(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】抗水垢組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 7/26 20060101AFI20230614BHJP
C11D 7/32 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
C11D7/26
C11D7/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571230
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2021054371
(87)【国際公開番号】W WO2021234621
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020000012028
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501193001
【氏名又は名称】ポリテクニコ ディ ミラノ
【氏名又は名称原語表記】POLITECNICO DI MILANO
【住所又は居所原語表記】Piazza Leonardo da Vinci,3220133 MILANO-Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】メレ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】フェロ,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】コロンボ ドゥゴーニ,グレタ
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003DA05
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB17
4H003FA04
4H003FA15
4H003FA26
(57)【要約】
a)
a1)水素結合受容体および水素結合供与体からなる共晶溶媒と、
a2)イオン性液体と、
a3)前記共晶溶媒および前記イオン性液体の混合物と
から選択され、
任意選択で、b)少なくとも1種の低級アルコール、水、またはそれらの混合物から選択される第2の溶媒に会合する第1の溶媒
を含む組成物であって、
第1の共晶溶媒において、a1)水素結合受容体および水素結合供与体がハロゲンフリーである、
組成物の石灰質除去剤および水垢除去剤としての使用
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)
a1)水素結合受容体および水素結合供与体からなる共晶溶媒と、
a2)イオン性液体と、
a3)前記共晶溶媒および前記イオン性液体の混合物と
から選択され、
任意選択で、少なくとも1種の低級アルコール、水、または前記アルコールおよび水の混合物から選択される第2の溶媒b)に会合する第1の溶媒
を含む組成物であって、
第1の共晶溶媒a1)において、水素結合受容体および水素結合供与体がハロゲンフリーであり、水素結合受容体が、酢酸コリンであり、水素結合供与体が、グリコール酸、ジグリコール酸、レブリン酸、乳酸、イミダゾール、クエン酸から選択される、
組成物の石灰質除去剤および水垢除去剤としての使用。
【請求項2】
前記水素結合供与体が、グリコール酸およびクエン酸から選択される、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項3】
前記イオン性液体が、酢酸コリンまたは水酸化コリンと、グリコール酸、ジグリコール酸、レブリン酸、乳酸、またはクエン酸から選択される弱酸の共役塩基との反応からもたらされる生成物である、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項4】
前記イオン性液体が、水酸化コリンと、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、レブリン酸、またはクエン酸から選択される弱い有機酸の共役塩基のうちの1つとの反応からもたらされる生成物である、請求項3に記載の組成物の使用。
【請求項5】
前記イオン性液体a2)が、クエン酸の共役塩基に由来して得られる、請求項1、3、および4のうちのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項6】
前記溶媒b)において、前記低級アルコールが、エタノールまたはイソプロパノールである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項7】
前記組成物が、芳香剤を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
前記芳香剤が、リモネンである、請求項7に記載の組成物の使用。
【請求項9】
前記溶媒a)が、イオン性液体a2)である、請求項1、3~8のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項10】
前記組成物が、界面活性剤組成物および家庭用洗剤に含まれる、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石灰質を除去する抗水垢組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水垢は、水と接触する表面に形成される、ならびにボイラー、加熱システム、および家庭用機器などの熱交換器における最も一般的な不溶性の沈着物である。水垢は、主に炭酸カルシウムから構成されるため、特に水道水が硬水である地域で問題である。特に、水垢は、シャワーの中ならびに浴室および台所の表面に沈着物を形成し、蛇口のつまり、ならびに洗濯機および食洗器などの家庭用機器での問題を引き起こし得る。さらに、産業レベルの水垢は、パイプのつまり、ならびにボイラーおよび熱交換器に沈着物を形成することにより、熱効率の問題を引き起こし得る。
【0003】
2つの異なる戦略:水垢の形成を予防する生成物を使用することまたは水垢を除去する生成物を定期的に使用することによって、水垢の問題に対処することは公知である。
【0004】
既知の軟化剤は、水垢の形成を予防するために使用される生成物である。最も一般的な軟化剤は、カルシウムイオン(および他の金属イオン)を「捕捉」し、不溶性塩の形成を予防するキレート剤に基づく。現在、ゼオライトおよびポリカルボキシレートなどの吸収剤および錯化剤が使用されている。
【0005】
他方で、水垢除去のため使用される石灰質除去剤に関しては、多くの製品が市場に存在する。最も一般的な1つは、界面活性剤および香料(scent)(リモネン、シンナマル)などの添加剤と共に製剤化された弱酸(酢酸、クエン酸、ギ酸、乳酸...)に基づく。
【0006】
しかしながら、既知の石灰質除去剤は、金属に対して腐食性の挙動を呈する。さらに、それらの組成により、既知の石灰質除去剤は、使用者に対して有害かつ毒性があり、たとえば皮膚の損傷および呼吸器の問題を引き起こす。
【0007】
中国特許公開公報第106866842号は、エビの殻からキチンを抽出するための方法であって、第1の段階として、以下の対:塩化コリン/リンゴ酸;塩化コリン/クエン酸、塩化コリン/乳酸から選択される深共晶溶媒によるエビの殻の粉末の処置を含む、方法を開示する。
【0008】
米国特許第8901061号は、DESを含む洗浄組成物であって、水素結合供与体が、有機酸または尿素であり、水素結合受容体が、コリン塩および界面活性剤である、組成物に関する。
この組成物は、調理済みまたは熱した食品の沈着物に由来する汚れを除去するために使用される。
【0009】
Chiappe C.らの“The possibility to obtain a new generation of ionic liquids starting from natural compounds”, 31 December 2008 Green Chemical Reactions [Proceedings of the NATO Advanced Study Institute on New Organic Chemistry Reaction and Methodologies for Green Production Lecce Italy 29 October-10 November 2006) Springer, Dordrecht, NL, pages 13-35 XP009144245, ISBN978-14020-8458-4は、天然化合物に由来するイオン性液体、たとえばクエン酸コリンを記載する。特に、水性溶媒において混和性である、上述のイオン性液体および深共晶溶媒の組み合わせが記載されている。
【0010】
Hoppe J.らの“Deep eutectic solvents based on choline cation - Physicochemical properties and influence on enzymatic reaction with [beta]-galactosidase”, Acta Paediatrica. Supplement, Elsevier BV, NL Vol.136, 6 June 2019 pages 296-304, XP0875369, ISSN:0141-8130, DOI :10.1016/J.IJBIOMAC.2019.06.27は、深共晶溶媒(DES)の物理化学的性質の分析およびβガラクトシダーゼにより触媒される反応媒体としてのそれらの使用を開示している。特に、D4(279ページ、表1)は、イオン性液体と、水素結合受容体が酢酸コリンであり、水素結合供与体がレブリン酸である深共晶溶媒とを含む組成物を記載している。
【0011】
Shurui Mの“Amphiphilic nanostructure in choline carboxylate and amino acid ionic liquids and solutions”, Physical Chemistry Chemical Physics VOL.22, NO.6, January 2020, Pages 3490-3498,xp55768909,ISSN: 1463-9076, DOI: 10.1039/C9CP06752Cは、X線回折により、カルボン酸コリン/アミノ酸ならびに水および様々な直鎖状脂肪族アルコールとのそれらの混合物に基づく6つのイオン性液体の液体状態での構造の分析を試験する。特に、水酸化コリンと乳酸との反応からもたらされる、エタノールと混和性のイオン性液体が開示される。
【発明の概要】
【0012】
本出願人は、使用者の健康を保護し、生産費用を低減しつつ、表面からの水垢の完全な除去を可能にする、従来技術の欠点を克服することが可能である組成物を見出した。
【0013】
実際、驚くべきことに、本出願人は、
a)
a1)水素結合受容体および水素結合供与体からなる共晶溶媒、
a2)イオン性液体、もしくは
a3)前記共晶溶媒および前記イオン性液体の混合物
から選択され、または任意選択で、少なくとも1種の低級アルコール、水、またはそれらの混合物から選択される第2の溶媒b)に会合する第1の溶媒
を含む組成物であって、
第1の共晶溶媒a1)において、水素結合受容体および水素結合供与体がハロゲンフリーであり、水素結合受容体が酢酸コリンであり、水素結合供与体がグリコール酸、ジグリコール酸、レブリン酸、乳酸、イミダゾール、クエン酸から選択されることを特徴とする
組成物を、石灰質除去剤および水垢除去剤として使用できることを見出した。
【0014】
実際に、本出願人は、この組成物が、単純で、安価であり、市販のものよりも著しく汚染しないことを見出した。
【0015】
実際に、本発明の組成物は、毒性または有害な成分を含まないため、環境に優しく、サステイナブルである。
【0016】
本発明のさらなる対象は、抗水垢剤としての本発明の組成物対象を含む界面活性剤組成物および洗剤である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明に係る組成物と、以下の組成:クエン酸、ギ酸、TNI<5%の(C9 エトキシレート)、サリチル酸ベンジル、ヘキシルシンナマル(香料)を特徴とする市販の製品Viakal(登録商標)との間の比較例の第1の写真を示す。
【
図2】
図2は、比較例1の結果の第2の写真を示す。
【
図3】
図3は、本発明に係る生成物を沈着させるステップの比較例2の第1の写真を示す。
【
図4】
図4は、本発明に係る生成物を沈着させるステップの比較例2の第2の写真を示す。
【
図5】
図5は、本発明に係る生成物の比較例2の結果の第3の写真を示す。
【
図6】
図6は、本発明に係る生成物の比較例3の結果の第1の写真を示す。
【
図7】
図7は、対象として実施例で例証された組成物におけるASTM DIN 51360/2標準化試験を有する比較例4の写真を示す。
【
図8】
図8は、本発明に係る生成物の比較例4の結果の写真を示す。
【
図9】
図9は、金属を腐食する従来の溶媒のASTM DIN 51360/2標準化試験に関連する画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の目的に関して、定義「~を含む(comprising)」は、この定義の後に列挙される成分/段階以外のさらなる成分/段階の存在を排除しない。
【0019】
本発明の目的に関して、定義「~からなる(consisting of)」は、この定義の後に列挙される成分/段階以外のさらなる成分/段階の存在を排除する。
【0020】
本発明の抗水垢組成物または石灰質除去組成物対象において、第1の溶媒は、共晶溶媒、イオン性液体、または共晶溶媒およびイオン性液体の組み合わせを含み得る。
【0021】
本発明の目的に関して、共晶溶媒は、頭字語DESによりよく知られている、いわゆる深共晶溶媒を表す。言い換えると、これは、水素結合受容体および水素結合供与体の組み合わせである。水素結合受容体は、酢酸コリンであり、水素結合供与体は、グリコール酸、ジグリコール酸、レブリン酸、イミダゾール、乳酸、またはクエン酸から選択され、好ましくは、グリコール酸およびクエン酸から選択され、より好ましくは、クエン酸である。
【0022】
共晶溶媒生成反応は、好ましくは、25~100℃、より好ましくは40~90℃、さらにより好ましくは50~85℃の範囲の温度、特に好ましい実施形態では75℃で行われる。
【0023】
本発明によれば、共晶溶媒の成分である、水素結合の供与体および受容体の間の重量比は、1:5~5:1、より好ましくは1:3~3:1、さらにより好ましくは1:2~2:1からなり、特に好ましい溶液では、上記比率は1:1である。
【0024】
好適には、上述の水素結合受容体および水素結合供与体の使用によって、室温および大気圧で2つの成分を単純に混合することによりDESを調製することが可能となり、費用および生成時間を低減する。
【0025】
本発明の目的に関して、溶媒として使用されるイオン性液体は、酢酸コリンまたは水酸化コリンと、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、レブリン酸、またはクエン酸から選択される弱酸の共役塩基との反応からもたらされる生成物を意味する。
【0026】
好ましくは、イオン性液体は、水酸化コリンと、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、レブリン酸、またはクエン酸から選択される前記弱い有機酸の上述の共役塩基のうちの1つとの反応からもたらされる生成物である。
【0027】
より好ましくは、イオン性液体a2)は、共役塩基としてクエン酸を使用して得られる。
【0028】
イオン性液体の生成のための反応は、好ましくは、20~90℃、より好ましくは20~70℃、さらにより好ましくは25~50℃の範囲の温度、特に好ましい実施形態によれば、30℃で行われる。
【0029】
本発明によれば、イオン性液体、酢酸コリン、または水酸化コリンと、弱酸の共役塩基と、の成分間の重量比は、好ましくは、1:5~5:1、より好ましくは1:3~3:1、さらにより好ましくは1:2~2:1からなり、特に好ましい溶液によれば、前記比率は1:1である。
【0030】
次にDESは反応して、上述のプロトン性イオン性液体を形成することができる。プロトン性イオン性液体の形成反応は、平衡反応であるため、これは、第1の溶媒がDESおよびイオン性液体a3)の混合物であり得るという事実を説明する。
【0031】
好ましくは、ハロゲンフリーである本発明の組成物対象における溶媒a)は、産業上容易に廃棄される。
【0032】
特に好ましい組成物は、溶媒a)が、溶媒a1)またはイオン性液体である組成物である。
【0033】
本発明の目的に関して、溶媒b)は、低級アルコール、水、またはそれらの混合物から選択される。低級アルコールは、直鎖状または分枝状C2-C6アルコールとして定義され、最も好ましくはエタノールまたはイソプロパノールである。
【0034】
上記の実施形態の代替である別の実施形態によれば、溶媒は、水である。
【0035】
上記の実施形態の代替であるさらなる実施形態によれば、溶媒b)は、低級アルコールおよび水の混合物である。
【0036】
好ましくは、第1の溶媒a)および存在する場合は第2の溶媒b)は、10:1~1:1、好ましくは5:1~1:1、より好ましくは3:1からなる体積比にある。特に好ましい組成は、以下の通りである。
100(v/v)%のDES/イオン性液体- 75(v/v)%のDES+25(v/v)%のエタノール/水- 50(v/v)%のDES+50(v/v)%のエタノール/水
25(v/v)%のDES+75(v/v)%のエタノール/水
【0037】
さらに好ましい組成物は、イオン性液体+水、イオン性液体+エタノール、またはイオン性液体+水+エタノールの組み合わせを含み、実施例に示されるものもまた、特に好ましい。
【0038】
第1の溶媒a)および第2の溶媒b)の混合は、好ましくは、20~60℃からなる温度範囲、より好ましくは20~50℃、さらにより好ましくは20~40℃、特に好ましい実施形態によれば25℃で行われる。
【0039】
さらに、a)とb)の混合は、好ましくは大気圧で行われる。好ましくは、本発明の組成物対象は、少なくとも1種の芳香剤を含む。好ましい実施形態によれば、芳香剤は、リモネンである。
【0040】
本発明に係る組成物は、表面から水垢を除去するための石灰質除去剤として使用される。
【0041】
本発明のさらなる対象は、上述の組成物を生産するためのプロセスである。
【0042】
当該プロセスは、以下のステップ:
A1.第1の溶媒および任意選択で第2の溶媒b)および任意選択で芳香剤c)を準備するステップと、
A2.段階A1の成分を混合するステップと
を含む。
ステップA1は、あるいは、共晶溶媒、イオン性液体、または共晶溶媒およびイオン性液体の混合物を調製する段階を含む。
【0043】
特に第2の溶媒b)および芳香剤c)を含む場合の本発明の対象である組成物の調製では、後者はリモネンであり、本特許出願の出願と同時に出願された特許出願に記載の柑橘類の果肉からセルロースを抽出するためのプロセスの廃棄物が使用され得る。この、本出願と同時に出願された特許出願に記載されるこのプロセスBは、以下のステップ:
B1.バイオマスを、本発明の組成物対象に含まれる溶媒a)と一致するプロセス溶媒と混合し、不溶性セルロース残渣を沈殿させるステップと、
B2.バイオマスおよびプロセス溶媒を含む混合物から不溶性セルロース残渣を分離するステップと、
B3.ステップB2由来の混合物に、低級アルコールおよび水、すなわち本発明の組成物の成分b)を添加することにより、プロセス溶媒混合物から、ヘミセルロースおよびペクチンを分離するステップと、
B4.本発明の対象である特定の組成物以外の何物でもないろ液を回収するステップと
を含む。
【0044】
実施例1
この実施例では、イオン性溶媒グリコール酸コリンを得るために、水酸化コリンおよびグリコール酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0045】
実施例2
この実施例では、イオン性溶媒酢酸コリンを得るために、水酸化コリンおよび酢酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0046】
実施例3
この実施例では、イオン性溶媒クエン酸コリンを得るために、水酸化コリンおよびクエン酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0047】
実施例4
この実施例では、イオン性溶媒グリコール酸コリンを得るために、水酸化コリンおよびグリコール酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水と1:1の比率で混合され、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0048】
実施例5
この実施例では、イオン性溶媒グリコール酸コリンを得るために、水酸化コリンおよびグリコール酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は水と、1:1の体積比で混合され、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0049】
実施例6
この実施例では、イオン性溶媒酢酸コリンを得るために、水酸化コリンおよび酢酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水/エタノール(1:1)と1:1の体積比で混合され、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0050】
実施例7
この実施例では、DES酢酸コリン:グリコール酸を得るために、酢酸コリンおよびグリコール酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水/エタノール混合物(体積比1:1)と体積比1:1で混合され、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0051】
実施例8
この実施例では、DES酢酸コリン:グリコール酸を得るために、酢酸コリンおよびグリコール酸が混合されている。この2つの成分のモル比は1:1である。ここで調製した溶媒は、水垢除去の作用のためにそのまま使用される。
【0052】
実施例9
DES酢酸コリン:グリコール酸、エタノール、水を体積比1:1:1で含む柑橘類の果肉のバイオマス処置プロセスから回収した溶媒を、水垢除去に関して試験する。
【0053】
実施例10
イオン性液体グリコール酸コリン、エタノール、水を体積比1:1:1で含む柑橘類の果肉のバイオマス処置プロセスから回収した溶媒を、水垢除去に関して試験する。
【0054】
好適には、本発明に係る組成物は、本組成物が水および/またはエタノールにさらに希釈される場合であっても、既知の現在販売されている製品よりも効率的に表面から水垢を除去できる。
【0055】
[比較例]
スライド上の水垢層の調製
a)水のフィルムをスライドの表面全体に沈着させる。
b)水性フィルムを蒸発させる。
上述の操作様式を3回繰り返す。
この手法の終了時に、スライドのほぼ表面全体に均等に分布した水垢層が得られる。
【0056】
比較例1
生成物1:市販品(Viakal, P&G)。組成:クエン酸、ギ酸、TNI<5%の(C9 エトキシレート)、サリチル酸ベンジル、ヘキシルシンナマル(香料)。
生成物2:実施例7のように調製したDES酢酸コリン:グリコール酸
生成物3:実施例7のように調製した50(v/v)%のDES酢酸コリン:グリコール酸+50(v/v)%の水
市販品を、番号1と特定される部分に沈着させる。同じ容量の生成物2および3を、それぞれ2および3と特定されるスライドの一部に沈着させる。これを5分間作用させる(
図1)。
これら生成物を、湿ったクロスで拭う。
生成物2および3は、市販品よりも良好な成績を有する(
図2)。
【0057】
比較例2
生成物1:50(v/v)%のイオン性液体クエン酸コリン+50(v/v)%の水
生成物2:50(v/v)%のイオン性液体酢酸コリン+50(v/v)%のエタノール
生成物1は、番号1と特定されるスライドの一部に適用され、生成物2は、番号2と特定されるスライドの一部に適用される(
図3および4)。
これを、5分間作用させる。両生成物を、湿ったクロスで拭う。生成物1および2は、両方とも非常に良好な抗水垢特性を有することが見出された(
図5)。
【0058】
比較例3
生成物1:市販品。組成:クエン酸、ギ酸、TNI<5%の(C9 エトキシレート)、サリチル酸ベンジル、ヘキシルシンナマル(香料)。
生成物2:イオン性液体グリコール酸コリン、エタノール、水を体積比1:1:1で含む柑橘類の果肉のバイオマス処置プロセスから回収した溶媒。
生成物1は、1と特定されるスライドの一部に沈着させ、生成物2はスライド2の一部に沈着させる。これを、5分間作用させる。
これら生成物を、湿ったクロスで拭う。
生成物1および2は、等しく良好な成績を有する(
図5)。
【0059】
比較例4
組成:クエン酸、ギ酸、TNI<5%の(C9 エトキシレート)、サリチル酸ベンジル、ヘキシルシンナマル(香料)を有するサンプル基準として使用される市販品は、組成物中の腐食性の有機酸の存在により金属に対し腐食性である。
【0060】
本明細書中提案される生成物は、ASTM DIN 51360/2標準化試験を使用して金属腐食に対して試験されている。
【0061】
3つの異なる製剤を試験した:
生成物1:グリコール酸コリン
生成物2:酢酸コリン:グリコール酸
生成物3:クエン酸コリン+50%の水
2gのCast Iron Chipを、標準的な紙フィルターに沈着させる。生成物(約2ml)をチップに沈着させる。2時間待機する(
図7)。
【0062】
チップを除去し、腐食に関してフィルターを確認する。
【0063】
図8の画像から見ることができるように、金属の腐食は示されない。実際に、本発明の対象ではない他の組成物に関するASTM DIN 51360/2標準化試験に関連して
図9に示されるように、金属チップの除去後の金属の腐食が存在する場合、さび沈着物の形成が観察される。
【国際調査報告】