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特表2023-526524電子エミッタ構造体、当該電子エミッタ構造体を備える装置および自由電子を生成する方法
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  • 特表-電子エミッタ構造体、当該電子エミッタ構造体を備える装置および自由電子を生成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】電子エミッタ構造体、当該電子エミッタ構造体を備える装置および自由電子を生成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 1/34 20060101AFI20230614BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20230614BHJP
   G01N 27/64 20060101ALI20230614BHJP
   H01J 1/312 20060101ALI20230614BHJP
   H01J 49/14 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01J1/34
H01T23/00
G01N27/64 C
H01J1/312
H01J49/14 700
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571255
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 DE2021100436
(87)【国際公開番号】W WO2021233501
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020113351.0
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522453441
【氏名又は名称】デー・ベー・テー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】DBT GmbH
【住所又は居所原語表記】Theaterstrasse 23, 97070 Wuerzburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】テオドア ドル
【テーマコード(参考)】
2G041
5C227
【Fターム(参考)】
2G041CA04
2G041DA02
2G041DA13
2G041EA05
2G041GA22
5C227CC03
5C227EE24
5C227GG08
(57)【要約】
電子エミッタ構造体は、a)第1の側と第2の側とを有する、金属の混合物からなる大気安定性の電子放出層と、b)調整可能な電界において、電子放出層から解放された電子を加速する加速区間を備える、電子放出層の第1の側にある電子加速構造体とを含んでおり、この加速区間は10nm~1μmの範囲の長さlを有している。外部光電効果エミッタ、粒子収集装置、トンネル-面エミッタ、半導体ベースのダイレクトエミッタおよびこれを備える液体イオナイザ、これを用いて自由電子を生成する方法およびこれを用いて粒子を収集する方法も開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子エミッタ構造体(11)であって、
前記電子エミッタ構造体(11)は、
a)第1の側と第2の側とを有する、金属の混合物からなる大気安定性の電子放出層(17)と、
b)前記電子放出層(17)の前記第1の側にある電子加速構造体(18)と、
を含み、
前記電子加速構造体(18)は、加速区間を形成する、前記電子加速構造体(18)に対して電気的に絶縁されている少なくとも1つの電極(22)を備えており、前記加速区間は、調整可能な電界の形成時に、前記電子放出層(17)から解放された電子(26)が所期のように加速されることを可能にするように構成されており、
前記加速区間は、10nm~1μmの範囲の長さlを有している、
ことを特徴とする、
電子エミッタ構造体(11)。
【請求項2】
前記金属の混合物は合金であり、好ましくはInCe、AsCeSm、AgSm、AgCe、AgSmCeおよびAgAsCeSmから選択される化合物および/またはAs、Ag、Zn、Au、Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ce、Zn、Bi、Te、Sm、Eu、Gd、Yt、Yb、Nd、PrおよびLaからの2つ以上の元素を含んでいる、請求項1記載の電子エミッタ構造体(11)。
【請求項3】
前記金属の混合物は、少なくとも1つの貴金属と、少なくとも1つのランタノイドと、As、Te、BiおよびSnから選択される少なくとも1つの元素とを含む共晶混合物を含んでいる、請求項1記載の電子エミッタ構造体(11)。
【請求項4】
前記電子加速構造体(18)は少なくとも1つの絶縁性の構造要素(24)をさらに含んでおり、前記少なくとも1つの絶縁性の構造要素(24)は、前記少なくとも1つの電極(22)と共に少なくとも1つの電子加速要素(20)を形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体(11)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの絶縁性の構造要素(24)は、前記電子放出層(17)と前記少なくとも1つの電極(22)との間に配置され、前記電子放出層(17)および前記少なくとも1つの電極(22)と接続されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体(11)。
【請求項6】
前記電子加速構造体は、1つのアレイに、好ましくは横方向に配置されている複数の電子加速要素(20)を含んでいる、請求項4または5記載の電子エミッタ構造体(11)。
【請求項7】
外部光電効果エミッタ(10)であって、
前記外部光電効果エミッタ(10)は、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体(11)と、前記電子放出層(17)から電子を解放する1つまたは複数のUV-LED(14)とを含んでおり、
前記1つまたは複数のUV-LED(14)は、電磁ビームを少なくとも部分的に前記電子放出層(17)へ放出するように構成されている、
ことを特徴とする、
外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項8】
前記外部光電効果エミッタ(10)は、前記電子放出層(17)の前記第2の側に配置されている基板(12)をさらに含んでおり、
前記1つまたは複数のUV-LED(14)は、電磁ビームを少なくとも部分的に前記電子放出層(17)の前記第2の側へ放出するように構成されており、かつ前記基板(12)の外部および/または内部に配置されており、かつ
前記基板(12)は前記UV-LED(14)の発光波長領域において少なくとも部分的に透過性である、請求項7記載の外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項9】
前記電子放出層(17)とは反対側の前記基板(12)の側に配置されている反射層(16)をさらに含んでいる、請求項8記載の外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項10】
前記反射層(16)は、白金、水銀、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択される材料を有している、請求項9記載の外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項11】
前記1つまたは複数のUV-LED(14)は、電磁ビームを少なくとも部分的に前記電子放出層(17)の前記第1の側に放出するように構成されている、請求項7記載の外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項12】
前記電子加速構造体(18)は、前記UV-LED(14)の発光波長領域において少なくとも部分的に透過性である、請求項11記載の外部光電効果エミッタ(10)。
【請求項13】
粒子収集装置(59)であって、
前記粒子収集装置(59)は、請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタ(10)と、異なる極性で帯電可能な、電界を形成する2つのプレート(60)とを含んでおり、前記プレート(60)は、前記電子放出層(17)の前記第1の側に、互いに間隔をおいて、それぞれ前記電子放出層(17)に対して垂直に配置されている、
ことを特徴とする、
粒子収集装置(59)。
【請求項14】
トンネル-面エミッタ(27)であって、
前記トンネル-面エミッタ(27)は、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体(11)と、前記電子放出層(17)の前記第2の側に配置されている、0.5nm~6nmの層厚を有している絶縁層(30)と、前記電子放出層(17)とは反対側の前記絶縁層(30)の側に配置されている、0.5nm~6nmの層厚を有している金属層(28)とを含んでおり、
前記電子放出層(17)および前記絶縁層(30)はトンネリング可能な層厚を有している、
ことを特徴とする、
トンネル-面エミッタ(27)。
【請求項15】
表面化学において使用される半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)であって、
前記半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)は、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体と、前記電子放出層(17)の前記第2の側に配置されており、かつトンネリング可能な層厚を有している絶縁層(30)と、前記電子放出層(17)とは反対側の前記絶縁層(30)の側に配置されている半導体(34)とを含んでおり、前記半導体(34)は、交互に隣り合ってn型ドープ領域(36)とp型ドープ領域(38)とを有しており、
前記n型ドープ領域(36)と、前記p型ドープ領域(38)とは、前記絶縁層(30)に接する境界領域(39)を有している、
ことを特徴とする、
半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)。
【請求項16】
前記半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)は、前記絶縁層(30)とは反対側の前記半導体(34)の側に配置されているアイソレータ(40)をさらに含んでおり、
前記アイソレータ(40)は、前記n型ドープ領域(36)と前記p型ドープ領域(38)との間の境界領域(39)に配置されており、かつ前記半導体(34)内に突出しているフィンガ(42)を有している、請求項15記載の半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)。
【請求項17】
半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)であって、
前記半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)は、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体(11)と、前記電子放出層(17)の前記第2の側に配置されておりかつトンネリング可能な層厚を有している絶縁層(30)と、前記電子放出層(17)とは反対側の前記絶縁層(30)の側に配置されている光放出装置とを含んでおり、前記光放出装置は、VCSEL(41)、側面発光半導体レーザまたは発光ダイオードから選択される、
ことを特徴とする、
半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)。
【請求項18】
液体イオナイザ(53)であって、
前記液体イオナイザ(53)は、請求項15または16記載の半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)と、前記電子放出層(17)とは反対側の前記電子加速構造体(18)の側に配置されている保護層(54)とを含んでおり、
前記保護層(54)は、電子放出方向に延びる複数の孔(56)を有している、
ことを特徴とする、
液体イオナイザ(53)。
【請求項19】
前記孔(56)は、10μm~100μmの直径dを有している、請求項17記載の液体イオナイザ(53)。
【請求項20】
請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタ(10)を用いて、規定された低エネルギの自由電子(26)を生成する方法であって、
前記方法は、前記1つまたは複数のUV-LED(14)を使用して、前記電子放出層(17)から電子(26)を解放するステップと、前記電子放出層(17)と前記少なくとも1つの電極(22)との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された前記電子(26)を加速するステップとを含んでいる、
ことを特徴とする、
方法。
【請求項21】
請求項10記載の粒子収集装置(59)を使用して粒子を収集する方法であって、
前記方法は、前記1つまたは複数のUV-LED(14)を使用して、前記電子放出層(17)から電子(26)を解放するステップと、前記電子放出層(17)と前記少なくとも1つの電極(22)との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された前記電子(26)を加速するステップと、加速された前記電子(26)によって粒子(62)を帯電させるステップと、帯電可能なプレート(60)間に第2の電圧を印加することによって形成されている第2の電界を用いて、帯電された前記粒子(62)を加速するステップとを含んでいる、
ことを特徴とする、
方法。
【請求項22】
請求項11記載のトンネル-面エミッタ(27)を用いて、規定された低エネルギの自由電子(26)を生成する方法であって、
前記方法は、前記電子放出層(17)と前記金属層(28)との間に電圧を印加することによって、前記電子放出層(17)から電子(26)を解放するステップと、前記電子放出層(17)と前記少なくとも1つの電極(22)との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された前記電子(26)を加速するステップとを含んでいる、
ことを特徴とする、
方法。
【請求項23】
請求項15または16記載の半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)を用いて、規定された低エネルギの自由電子(26)を生成する方法であって、
前記方法は、n型ドープ領域とp型ドープ領域との間の境界領域(39)において電子(26)を生成するステップと、外部から印加される電界によって、前記境界領域(39)において前記電子(26)を加速するステップと、トンネリング可能な絶縁層(30)と電子放出層(17)とを通じた前記電子のトンネリングによって、解放された電子を生成するステップと、前記電子放出層(17)と前記少なくとも1つの電極(22)との間に電圧を印加することによって形成されている第2の電界を用いて、解放された前記電子(26)を加速するステップとを含んでいる、
ことを特徴とする、
方法。
【請求項24】
ガスセンサ(64)であって、
前記ガスセンサ(64)は、
請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタ(10)と、イオン検出機器(66)と、前記外部光電効果エミッタ(10)および前記イオン検出機器(66)が配置されている減圧容器(68)とを含んでおり、
前記ガスセンサ(64)の動作中、前記減圧容器(68)の内部の圧力は周囲圧力に対して相対的に低減されている、
ことを特徴とする、
ガスセンサ(64)。
【請求項25】
ガスセンサ(64)であって、
請求項14記載のトンネル-面エミッタ(27)または請求項15から17までのいずれか1項記載の半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)と、イオン検出機器(66)と、前記トンネル-面エミッタ(27)または前記半導体ベースのダイレクトエミッタ(33)および前記イオン検出機器(66)が配置されている減圧容器(68)とを含んでおり、
前記ガスセンサ(64)の動作中、前記減圧容器(68)の内部の圧力は周囲圧力に対して相対的に低減されている、
ことを特徴とする、
ガスセンサ(64)。
【請求項26】
前記減圧容器(68)は、コントロールされていないガス流入に対してシールされており、少なくとも1つのガス入口(70)を有しており、前記少なくとも1つのガス入口(70)はガス透過性膜(72)を含んでいる、請求項24または25記載のガスセンサ(64)。
【請求項27】
前記少なくとも1つのガス透過性膜(72)は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含んでいる、請求項26記載のガスセンサ(64)。
【請求項28】
前記少なくとも1つのガス透過性膜(72)は、10~50μmの厚さを有している、請求項26または27記載のガスセンサ(64)。
【請求項29】
前記減圧容器(68)はポンプ機器(74)を含んでいる、請求項24から28までのいずれか1項記載のガスセンサ(64)。
【請求項30】
前記ガスセンサ(64)の動作中の前記減圧容器(68)の内部の圧力は100~200mbarである、請求項24から29までのいずれか1項記載のガスセンサ(64)。
【請求項31】
前記イオン検出機器(66)は、1つまたは複数のファラデーカップ(76)を有している、請求項24から30までのいずれか1項記載のガスセンサ(64)。
【請求項32】
前記イオン検出機器(66)は、1つまたは複数の二次電子増倍管を含んでいる、請求項24から31までのいずれか1項記載のガスセンサ(64)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に大気条件下で、規定された低エネルギの電子を放出するための電子エミッタ構造体、外部光電効果エミッタ、粒子収集装置、トンネル-面エミッタ、これを備える半導体ベースのダイレクトエミッタ、これを備える液体イオナイザ、エミッタもしくはエミッタ構造を備えるガスセンサ、これを用いて自由電子を生成する方法ならびにこれを用いて自由電子を収集する方法に関する。
【0002】
低エネルギの電子は、たとえば空気浄化または微量ガス分析に用いられる。空気中でイオンを形成するためには電荷が必要とされる。電荷は、放射線源によってまたは電子源を用いて、空気分子に高エネルギの電磁ビームを照射することによって発生する。電荷は、空気分子と結合する。放射線源による、高エネルギの電磁ビームを用いた電荷生成の場合には、電荷生成時の、または電荷転送による高いエネルギおよび不鮮明なエネルギが原因で、多様な種類のイオンが形成される。電子源を用いて空気中にイオンを形成する場合、空気分子に電子が放出される。低エネルギの電子が、これらの分子をイオン化することができる。このように形成されたイオンが電界において捕捉され、これによって周囲空気から除去される。これによって、たとえば、粉塵粒子、有害物質、汚染物質ならびにダニ、花粉、臭気、病原菌および細菌の結合が行われる。したがって、このような電子源が、空気清浄機において使用される。電子が分子によって捕捉され得るか否かは、実質的に電子のエネルギに依存する。異なる分子は、異なるエネルギの電子を捕捉することができる。特定の分子のみの帯電が、低いエネルギ範囲における極めて鮮明なエネルギ分布を有する電子によって可能である。したがって、このような電子は、たとえば質量分析法による微量ガス分析のための分子のイオン化にも適している。
【0003】
背景技術
光イオン化検出器(PIDセンサ)におけるUV源を用いたイオン形成、分析機器における63Ni源を用いたイオン化が知られており、または質量分析計での真空における電子衝撃イオン化も知られている。UV源は、空気清浄機においてイオン化のためにも使用される。この場合にはさらにオゾンが発生し、これは一部分、空気浄化にも寄与する。しかし、オゾン自体のみならず、オゾンによるニコチンおよびたばこの煙の分解生成物は、健康面での高いリスクをもたらす。したがって、オゾンを生成する空気清浄機は欠点を有している。
【0004】
PIDセンサにおけるUV源は、コンプトン効果によって、イオン化エネルギEが光子エネルギhvを下回るすべての分子をイオン化する。これによって、精密用途、たとえば上述の微量ガス分析に対してそれほど良好に適していない、さまざまな強さでイオン化された分子の幅広いスペクトルが生じる。
【0005】
空気中の自由電子は、電界放出または熱放出によって生成される。電界放出の場合、電子は、強い電界によって、トンネル効果を利用して、負に帯電された電極から解放される。熱放出とは、表面からのまたは電位バリアを横切る、熱によって誘導された電子の流れを指す。この場合、キャリア内の電子は、自身に供給される熱エネルギによって材料の仕事関数を克服する。大気条件下では熱放出は電界放出よりも生成が困難であるが、高温耐性で酸化安定性の材料、たとえばSnOまたはアンチモンドープされたSnOを用いて生成される。
【0006】
さらに、外部光電効果によって電子が生成される。ここでは電子は、光子吸収によって固体中の結合から解放される。従来技術から、いわゆる電子イオン化検出器(「ePID」)が公知であり、これは、外部光電効果に基づいて、極めて低いエネルギの電子をエミッタ材料から生成し、これらを、電界における通常条件において、分子のいくつかの平均自由行程長のオーダの行程長に加速する。このようにして、理論的に電子エネルギが自由に調整可能となり、これによって、空気中の種々異なる微量ガスを総量のみならず、ある程度、イオン化エネルギに基づいても識別することが可能になる。電子解放のために、UV発光源、たとえばダイオード(UV-LED)が使用される。
【0007】
基本的に、小さい仕事関数を有する放射性の材料が、空気中に自由電子を生成するのに最も適している。これらの材料は、高い密度の放出可能な電子を有している。すなわち、これらの材料は、フェルミ準位もしくは価電子帯縁部において高い電子密度を有している。しかし、この目的のためにこれまで使用されてきた、約1~2eVの比較的低い仕事関数の材料、たとえばBa、BaO、Cs、すなわちアルカリ金属およびアルカリ土類金属およびそれらの半導体酸化物は空気中で高い反応性を示す、すなわちこれらは発熱的に酸化する、または水酸化物を形成する。したがって、これらは高真空条件においてのみ使用可能である。たとえば電子放出のために電子顕微鏡のフィールドエミッタ先端部において使用されるホウ化ランタンも、大気条件下での使用には適していない。なぜなら、ホウ化ランタンは、電子エミッタとしての使用の前に、真空において高温で、自身の表面酸化物から解放されなければならないからである。空気中での使用は再酸化を生じさせるので、これは不可能であるか、または極めて短い時間(たとえば数マイクロ秒の間)だけ可能である。
【0008】
これに対して、貴金属、たとえば金、白金および銀は酸化に対して安定している、もしくは容易にトンネリング可能な極めて薄い酸化物層または硫化物層しか形成しないが、4.8~5.6eVの範囲の極めて高い仕事関数を有している。このようなエネルギ範囲は、UV-LEDには、まだ利用できない。このような状況は、「混じり物なく」生じる金属、すなわち軽い酸化コーティングのみを備えた純粋な金属である金属の場合にも同様である。このグループには、ヒ素、アンチモン、テルル、鉛、ビスマス、インジウムおよびスズが属する。それらは多くの場合、4eVよりも高い仕事関数を有しており、それらの酸化物は同等の値を有している。仕事関数が混じり物のない金属の仕事関数よりも約1eV低い、サブグループ金属、特にバルブ金属は多くの場合、通常は5nmのトンネリング距離を超える厚さを有する絶縁性の低電子酸化物を形成する。これらの酸化物の仕事関数は多くの場合、純粋な金属の仕事関数よりも大幅に低くはないが、いくつかは、半導体(NiO、CuOx、CoOx、Cr、SnO)として少なくとも伝導電子を有している。
【0009】
ランタンおよび同じグループの類似の希土類金属は、アルカリ土類金属に近接しているため、2.5~3.6eVの、より低く、したがってより適切な仕事関数範囲を有しており、その酸化物も同様である。しかし、これらの材料は、それらが空気湿分に曝されている場合には安定しない(これらは水酸化物を形成し、それらの全体積にわたって完全に酸化する)。
【0010】
独自の特性を有する例外として、2.2~2.4eVの仕事関数と、2.8eVの酸化物の仕事関数と、空気成分に対する安定性とを有するトリウムが挙げられる。その放射能のために、とりわけ非特異的にイオン化する54MeVの放出されたアルファ粒子の高いエネルギのために、この材料は、低く、鮮明な電子エネルギを必要とする用途には考慮されない。セリウム、サマリウムおよびイッテルビウム(および通常のサブグループ元素のイットリウムおよびストロンチウム)は、他の用途においてトリウムの代用として用いられる。しかしこれらは、純粋な金属として、急速に酸化し、水と反応するというランタノイドの制約を受けるため、同様に考慮されない。
【0011】
したがって、従来技術から公知のePID設計は、長期間安定して大気条件下で動作することはできない。これによって、オゾンなしで動作する静電動作式の空気清浄機における使用は不可能である。質量分析のような分析法も、大気条件下では、従来技術から公知のePID設計では同様に不可能である。このためには、たとえば<25eVの範囲における、可能な限り正確な(鮮明な)エネルギを有する空気中の自由電子が必要である。同様に、仕事関数が可能な限り低い、大気安定性、すなわち酸素および湿分に対して長期間安定している高放射性材料が欠如している。このような材料は、外部光電効果に対する低コストの光源(たとえばUV-LED)の使用を可能にするであろう。
【0012】
したがって、本発明の課題は、長期間安定して動作可能な、僅かなエネルギ幅を有する、25eVを下回る範囲の小さいエネルギの電子用の効率的なエミッタを提供することである。
【0013】
発明の説明
本発明によれば、上述の課題は、電子エミッタ構造体によって解決され、この電子エミッタ構造体は:
a)金属の混合物からなる大気安定性の電子放出層を含んでおり、この大気安定性の電子放出層は第1の側と第2の側とを有しており、かつ
b)電子放出層の第1の側にある電子加速構造体を含んでおり、この電子加速構造体は、加速区間を形成する、電子加速構造体に対して電気的に絶縁されている少なくとも1つの電極を備えており、この加速区間は、調整可能な電界の形成時に、電子放出層から解放された電子が所期のように(gezielt)加速されることを可能にするように構成されており、加速区間は、10nm~1μmの範囲の長さlを有している。
【0014】
専ら、元素金属の混合物、つまり酸化段階0の金属が、金属の混合物における金属と理解される。したがって特に金属酸化物は、本発明による金属とは理解されない。
【0015】
有利には、金属の混合物は合金であり、これは好ましくはInCe、AsCeSm、AgSm、AgCe、AgSmCeおよびAgAsCeSmから選択される化合物および/またはAs、Ag、Zn、Au、Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ce、Zn、Bi、Te、Sm、Eu、Gd、Yt、Yb、Nd、PrおよびLaからの2つ以上の元素を含んでいる。
【0016】
択一的にまたは付加的に、金属の混合物は、少なくとも1つの貴金属と、少なくとも1つのランタノイドと、As、Te、BiおよびSnから選択される少なくとも1つの元素とを含む共晶混合物を含んでいる。
【0017】
金属の混合物に関して、「含む」とは、好ましくは「から形成される」ことを意味し得る。
【0018】
自身の共晶点または共晶点の周辺における材料の組み合わせが共晶混合物と理解される。
【0019】
有利には、電子加速構造体は少なくとも1つの絶縁性の構造要素をさらに含んでおり、これは、少なくとも1つの電極と共に少なくとも1つの電子加速要素を形成する。
【0020】
本発明の特別な実施形態では、少なくとも1つの絶縁性の構造要素が、電子放出層と少なくとも1つの電極との間に配置され、電子放出層および少なくとも1つの電極と接続されていることが想定されている。
【0021】
本発明の別の特別な実施形態では、電子エミッタ構造体は、1つのアレイに、好ましくは横方向に配置されている複数の電子加速要素を含んでいる。
【0022】
さらに、本発明は、上述した実施形態のうちの1つの実施形態による電子エミッタ構造体と、電子放出層から電子を解放する1つまたは複数のUV-LEDとを含んでいる外部光電効果エミッタを提供し、この1つまたは複数のUV-LEDは、電磁ビームを少なくとも部分的に電子放出層へ放出するように構成されている。
【0023】
本発明の別の特別な実施形態では、外部光電効果エミッタは、電子放出層の第2の側に配置されている基板をさらに含んでおり、1つまたは複数のUV-LEDは、電磁ビームを少なくとも部分的に電子放出層の第2の側へ放出するように構成されており、かつ基板の外部および/または内部に配置されており、かつ基板はUV-LEDの発光波長領域において少なくとも部分的に透過性である。
【0024】
有利には、外部光電効果エミッタは、電子放出層とは反対側の基板の側に配置されている反射層をさらに含んでいる。
【0025】
好適には、外部光電効果エミッタの場合には、反射層は、白金、水銀、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムから選択される材料を有している。
【0026】
本発明の別の特別な実施形態では、外部光電効果エミッタの場合には、1つまたは複数のUV-LEDは、電磁ビームを少なくとも部分的に電子放出層の第1の側に放出するように構成されている。
【0027】
特に、ここでは、電子加速構造体が、UV-LEDの発光波長領域において少なくとも部分的に透過性であることが想定されていてよい。
【0028】
さらに本発明は、粒子収集装置に関しており、この粒子収集装置は、請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタと、異なる極性で帯電可能な、電界を形成する2つのプレートとを含んでおり、これらのプレートは、電子放出層の第1の側に、互いに間隔をおいて、それぞれ電子放出層に対して垂直に配置されている。
【0029】
本発明はさらにトンネル-面エミッタを提供し、このトンネル-面エミッタは、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体と、電子放出層の第2の側に配置されている、0.5nm~6nmの層厚を有している絶縁層と、この電子放出層とは反対側の絶縁層の側に配置されている、0.5nm~6nmの層厚を有している金属層とを含んでおり、電子放出層および絶縁層はトンネリング可能な層厚を有している。トンネリング可能な層厚は、たとえば0.5nm~5nmの範囲にあってよい。
【0030】
さらに、本発明は、表面化学において使用するための半導体ベースのダイレクトエミッタを提供し、この半導体ベースのダイレクトエミッタは、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体と、電子放出層の第2の側に配置されており、かつトンネリング可能な層厚を有している絶縁層と、電子放出層とは反対側の絶縁層の側に配置されている半導体とを含んでおり、この半導体は、交互に隣り合ってn型ドープ領域とp型ドープ領域とを有しており、n型ドープ領域と、p型ドープ領域とは、絶縁層に接する境界領域を有している。
【0031】
有利には、半導体ベースのダイレクトエミッタは、絶縁層とは反対側の半導体の側に配置されているアイソレータをさらに含んでおり、ここでこのアイソレータは、n型ドープ領域とp型ドープ領域との間の境界領域に配置されており、かつ半導体内に突出しているフィンガを有している。
【0032】
さらに本発明は、半導体ベースのダイレクトエミッタに関しており、このダイレクトエミッタは、請求項1から6までのいずれか1項記載の電子エミッタ構造体と、電子放出層の第2の側に配置されておりかつトンネリング可能な層厚を有している絶縁層と、電子放出層とは反対側の絶縁層の側に配置されている光放出装置とを含んでおり、光放出装置は、VCSEL、側面発光半導体レーザまたは発光ダイオードから選択される。
【0033】
さらに本発明は、液体イオナイザを提供し、この液体イオナイザは、請求項15または16記載の半導体ベースのダイレクトエミッタと、電子放出層とは反対側の電子加速構造体の側に配置されている保護層とを含んでおり、この保護層は、電子放出方向に延びる複数の孔を有している。
【0034】
有利には、これらの孔は、10μm~100μmの直径dを有している。
【0035】
さらに本発明は、請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタを用いて、規定された低エネルギの自由電子を生成する方法に関しており、この方法は、1つまたは複数のUV-LEDを使用して、電子放出層から電子を解放するステップと、電子放出層と少なくとも1つの電極との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された電子を加速するステップとを含んでいる。
【0036】
さらに本発明は、請求項10記載の粒子収集装置を使用して粒子を収集する方法に関しており、この方法は、1つまたは複数のUV-LEDを使用して、電子放出層から電子を解放するステップと、電子放出層と少なくとも1つの電極との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された電子を加速するステップと、加速された電子によって粒子を帯電させるステップと、帯電可能なプレートに電圧を印加することによって、第2の電界を用いて、帯電された粒子を加速するステップとを含んでいる。
【0037】
さらに本発明は、上述の実施形態によるトンネル-面エミッタを用いて、規定された低エネルギの自由電子を生成する方法に関しており、この方法は、電子放出層と金属層との間に電圧を印加することによって、電子放出層から電子を解放するステップと、電子放出層と少なくとも1つの電極との間に電圧を印加することによって形成されている電界を用いて、解放された電子を加速するステップとを含んでいる。
【0038】
さらに本発明は、請求項15または16記載の半導体ベースのダイレクトエミッタを用いて、規定された低エネルギの自由電子を生成する方法に関しており、この方法は、n型ドープ領域とp型ドープ領域との間の境界領域において電子を生成するステップと、外部から印加される電界によって、この境界領域において電子を加速するステップと、トンネリング可能な絶縁層と電子放出層とを通じた電子のトンネリングによって、解放された電子を生成するステップと、電子放出層と少なくとも1つの電極との間に電圧を印加することによって形成されている第2の電界を用いて、解放された電子を加速するステップとを含んでいる。
【0039】
好ましくは、解放された電子には、たとえば内部電界によって、放出の優先方向が付けられる。
【0040】
さらに本発明はガスセンサを提供し、このガスセンサは、請求項7から12までのいずれか1項記載の外部光電効果エミッタと、イオン検出機器と、外部光電効果エミッタおよびイオン検出機器が配置されている減圧容器とを含んでおり、ガスセンサの動作中、減圧容器の内部の圧力は周囲圧力に対して相対的に低減されている。
【0041】
さらに本発明は、ガスセンサに関しており、このガスセンサは、請求項14記載のトンネル-面エミッタまたは請求項15から17までのいずれか1項記載の半導体ベースのダイレクトエミッタと、イオン検出機器と、トンネル-面エミッタまたは半導体ベースのダイレクトエミッタおよびイオン検出機器が配置されている減圧容器とを含んでおり、ガスセンサの動作中、減圧容器の内部の圧力は周囲圧力に対して相対的に低減されている。
【0042】
別の特別な実施形態では、本発明は、請求項24または25記載のガスセンサに関しており、減圧容器は、コントロールされていないガス流入に対してシールされており、少なくとも1つのガス入口を有しており、この少なくとも1つのガス入口はガス透過性膜を含んでいる。
【0043】
好ましくは、少なくとも1つのガス透過性膜は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含んでいる。
【0044】
有利には、少なくとも1つのガス透過性膜は、10~50μmの厚さを有している。
【0045】
さらに、減圧容器がポンプ機器を含んでいることが想定されていてよい。
【0046】
さらに、ガスセンサの動作中の減圧容器の内部の圧力が100~200mbarであることが想定されていてよい。
【0047】
本発明の別の特別な実施形態では、イオン検出機器は、1つまたは複数のファラデーカップを有している。
【0048】
最後に、イオン検出機器は、1つまたは複数の二次電子増倍管を含んでいてよい。
【0049】
本発明の根底にある驚くべき認識は、適切な金属合金によって、低い仕事関数を有する材料を生成することができ、この材料から解放された電子が、適切な電子加速構造体によって、僅かなエネルギ幅を伴う小さいエネルギに加速可能である、ということである。この関連において、好ましくは25eVを下回る範囲、特に好ましくは10eVを下回る範囲のエネルギが小さいエネルギと理解される。好ましくは1eVを下回る、特に好ましくは0.5eVを下回る、最も好ましくは0.1eVを下回るエネルギ幅が僅かなエネルギ幅と理解される。
【0050】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の特許請求の範囲および以降の説明から明らかであり、この説明では、概略図を基に本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の特別な実施形態による外部光電効果エミッタの断面図である。
図2】本発明の別の特別な実施形態によるトンネル-面エミッタの断面図である。
図3】本発明の別の特別な実施形態による半導体ベースのダイレクトエミッタの断面図である。
図4】本発明の特別な実施形態による別の半導体ベースのダイレクトエミッタの断面図である。
図5】本発明の特別な実施形態による液体イオナイザの断面図である。
図6】本発明の特別な実施形態による粒子収集装置の断面図である。
図7】本発明の特別な実施形態によるガスセンサの断面図である。
【0052】
図1には、本発明の特別な実施形態による外部光電効果エミッタ10の断面図が示されている。外部光電効果エミッタ10は、本発明の特別な実施形態による電子エミッタ構造体11を含んでおり、この電子エミッタ構造体11はここでも、第1の側と第2の側とを備える、金属の混合物からなる大気安定性の電子放出層17と、電子放出層17の第1の側にある電子加速構造体18とを含んでいる。電子放出層17は、1nm~10nmの厚さを有している。
【0053】
電子加速構造体18は、複数の電子加速要素20を含んでいる。電子加速構造体18は、帯電粒子、特に電子を加速するのに適している。電子加速要素20は、電子放出層17の上に配置されており、かつ電子放出層17と接続されている。電子加速要素20は、それ自体、それぞれ1つの電極22と電気絶縁性の構造要素24とを有している。好ましくは、構造要素24は、電子放出層17の上に直接接触するように設けられている。動作中、電極22は、電圧源(図示せず)を介して、電子放出層17に対して正または負に帯電される。任意選択的に、電子加速構造体18は、電極22の上方にカバー電極(図示せず)を有していてよい。ゼロ電位または反発電位を印加することによって、電極22の上方の領域を無電界に設定することができ、これによって、電極22に接するイオン化空間(詳細に図示せず)における電子26の自由運動が保証される。
【0054】
さらに電子加速構造体は、円筒状の制御電極(図示せず)を有していてよい。こうした円筒状の制御電極は、ウェーネルト円筒の形態で形成されていてよい。この円筒状の制御電極によって、電子が電子加速要素間の領域に集束される。これによって、とりわけ電気絶縁性の構造要素24の帯電が阻止される。
【0055】
外部光電効果エミッタ10は、前面および背面を備える、UV透過性材料からなる基板12をさらに含んでいる。基板12に隣接して、UV-LED14が、破線の矢印として示されている光を透過性の基板12の方向に放出するように配置されている。択一的に、UV-LED14が、基板12内に統合されていてもよい。UV-LED14は、好ましくは240nm~400nmの波長の光を放出する。基板12の背面には反射層16が配置されており、反射層16は、UV-LED14から放出された光を反射するのに適している。反射層16は、この目的のために、好ましくは、極めて高い仕事関数を有する材料を有している。この関連において、極めて高い仕事関数とは、好ましくは、4.5eVを上回る、特に好ましくは5eVを上回る仕事関数を意味する。この目的のために、材料は、たとえば、白金、水銀、ニッケル、パラジウムおよびイリジウムを含み得る。好ましくは、電子放出層17とは反対側の基板12の側は、UV-LED14から放出された光が複数回、電子放出層17の方向に反射され得るように構造化されている。たとえば水平線に対して所定の角度を有する面がこれに適している。上述した多重反射によって、吸収されない光子が複数回、電子放出層17に衝突し、これによって吸収確率が向上し、外部光電効果エミッタの放射効率が向上する。
【0056】
外部光電効果エミッタ10の動作中、UV-LED14は、約240nm~400nmの波長を有するUV範囲において高エネルギ光子を放出する。これらの光子は、直接にまたは反射層16からの反射後に電子放出層17に衝突する。これらの光子は、電子放出層17によって吸収され、ここから、外部光電効果によって電子26を解放する。光子の侵入深さは典型的に、電子26の平均自由行程長を上回るため、十分な数の自由電子26を生成するためには、光のグレージング入射が有利である。グレージング入射は、UV-LED14を基板の側方に配置することによって促進される。電子加速構造体18は、電子放出層17の上方に、電極22と電子放出層17との間に印加された電圧を介して、電子放出層17の表面に対して実質的に垂直に延在し、電子26を加速する電界を生成する。電子26との関連において、加速という用語は、明確に、正の加速と負の加速とを含むべきである。一般に、電子加速構造体18を用いて、放出された電子26の運動エネルギが、電極22に印加される加速電圧によって調整される。電子放出層17は、外部光電効果による電子の放出に適しており、かつ好ましくは、たとえば2.5~3.6eVの範囲の小さい仕事関数を有している材料から形成される。ここで、加速区間の長さlは、同じオーダにあるかまたはガス分子の平均自由行程長よりも短い。これは、好ましくは10nm~1μm、特に好ましくは30nm~300nmである。
【0057】
金属の混合物は、たとえば、As、Ag、Zn、Au、Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ce、Zn、Bi、Te、Sm、Eu、Gd、Yt、Yb、Nd、PrおよびLaから選択される2つ以上の元素を含む合金を含んでいてよい。特に、InCe、AsCeSm、AgSm、AgCe、AgSmCeおよびAgAsCeSmを含んでいる合金が、電子放出層を形成するのに適している。択一的に、金属の混合物は共晶混合物を有していてよい、または共晶混合物から形成されていてよい。適切な共晶混合物は、少なくとも1つの貴金属と、少なくとも1つのランタノイドと、As、Te、BiおよびSnから選択される少なくとも1つの元素とから形成される。
【0058】
金属の混合物は、好ましくは3.5eVを下回る、特に好ましくは3.0eVを下回る、低い仕事関数を有しており、本発明に相応に適切な合金によって生成される。例示的な化合物InCe、AsCeSm、AgSm、AgCe、AgSmeCeおよびAgAsCeSmは、持続的に(標準条件下で14ヶ月の貯蔵)1.2eV~3.2eVの一定の仕事関数を有している。
【0059】
このような材料クラスに関して一般的に述べられる教示は、貴金属および「混じり物なく」生じる金属が、合金の大気安定性を高めるという点で合金の特性に寄与し、他方で、ランタノイドは合金の仕事関数を低下させるということである。これに加えて、材料が均一な化学量論で存在する場合、材料が不均一な化学量論で存在する場合よりも、材料は、より大きな結晶秩序で析出される。これによって、貴金属原子は近くのランタノイド原子を、空気における酸化または空気湿分との反応からより良好に保護することができる。安定性の向上は、いわゆるスピルオーバ効果によって説明される。ここで挙げた材料グループでは、電子は、貴金属原子のf軌道からランタノイド原子のd軌道に移る。特に、材料AgCeSmの均一な化学量論は、低い仕事関数および大気に対する安定性を最適化するのに有利である。特に化合物Ag(CeSm1-x)およびAg(CeSm1-x)がこれに適している。しかし、これらは、これらの元素を基礎とする多数の化合物に関して、例示的に挙げられているにすぎない。
【0060】
択一的にまたは付加的に、電子放出層17からの電子の解放のために、電子放出層17を前面から照射することも可能である。光学的に透過性の材料から形成されている電子加速構造体18はこれに対する効率を高める。このために、絶縁性の構造要素24が、たとえば石英またはフッ化物材料から形成されていてよい。このために、電極が、たとえば透明の酸化インジウムスズ(ITO)から形成されていてよい。UV-LEDは、このようなケースでは、電子放出層17の上に配置されている。
【0061】
図2には、本発明の別の特別な実施形態によるトンネル-面エミッタ27の断面図が示されている。トンネル-面エミッタ27は、たとえば図1に示した本発明の実施形態による電子エミッタ構造体11と、電子放出層17の第2の側に配置されている絶縁層30と、電子放出層17とは反対側の絶縁層30の側に配置されている金属層28とを有している。金属層28の層厚、トンネリング可能な絶縁層30の層圧およびトンネリング可能な電子放出層17の層厚は、好ましくは、それぞれ0.5nm~6nm、特に好ましくは1nm~3nmである。金属層28も電子放出層17も導電性である。これら2つの導電性層の間の薄い絶縁層30によって、電圧を印加することによって、これらの層内に強い電界が生成される。上述の3つの層に含まれる電子は、このように生成された電界からエネルギを吸収できるため、これらの平均エネルギは、格子温度に相応する平衡値を上回る。このようにして生成された、いわゆる「ホットエレクトロン」は、自身の高いエネルギに基づいて、トンネリング可能な陽極32と電子放出層17とから放出され得る。トンネル-面エミッタ27は、トンネリング可能な陽極32の上方に、図1に関連して説明した、本発明の特別な実施形態に応じた電子加速構造体18を有している。このような電子加速構造体18は、図1に示した外部光電効果エミッタ10の場合と同様に、放出された電子26を加速もしくは制動することができる。
【0062】
図3には、本発明の別の特別な実施形態による半導体ベースのダイレクトエミッタ33の断面が示されている。半導体ベースのダイレクトエミッタ33は、たとえば図1に示した本発明の実施形態による電子エミッタ構造体11と、電子放出層17の第2の側に配置されておりかつトンネリング可能な層厚を有している絶縁層30と、電子放出層17とは反対側の絶縁層30の側に配置されている半導体34とを含んでおり、半導体34は、水平方向に隣り合うn型ドープ領域36と、p型ドープ領域38とを有している。半導体34は、少なくとも3.0eVの直接的な大きなバンドギャップを有している。この目的のために、半導体は、たとえばAlGaNまたはInAlGaNを含んでいてよい。n型ドープ領域36とp型ドープ領域38との間の垂直方向の破線によって示された境界領域(39)には、それぞれp-n接合部が存在している。p-n接合部は、たとえば周囲の半導体材料34よりも低いバンドギャップを有する量子フィルム(ここでは明示せず)において、電子とホールとの再結合によって光子を放出するのに適している。このようにして、半導体材料34は、p-n接合部の各々において発光ダイオードを形成する。下面では、半導体材料34はアイソレータ40に接している。アイソレータ40は、p-n接合部の箇所において、半導体材料34内に突出しているフィンガ42を有している。これらのフィンガ42は、n型ドープ領域36およびp型ドープ領域38のほぼ変わらないサイズのもとで、発光ダイオードにおけるp-n接合部のサイズを低減する。p-n接合部をこのように制限することによって、p-n接合部における電荷キャリア密度が高められる。
【0063】
半導体材料34の第1の側には、透過性の絶縁層30と電子放出層17とから形成されている要素が、図1および図2と同様の様式または同じ様式で配置されている。さらに、半導体ベースのダイレクトエミッタ33は、図1および図2に示されているのと同様に電子加速構造体18を有しており、この電子加速構造体18によって、電子放出層17から解放された電子が加速される。
【0064】
トンネリング可能な絶縁層30と電子放出層17とは、それぞれ、0.5nm~5nmの層厚を有していてよい。ここで図示されている中断されている電子放出層17は、本発明の特別な実施形態を示しているにすぎない。中断されていない絶縁層30および電子放出層17を同様に利用することができる。
【0065】
これらの発光ダイオードのうちの1つの発光ダイオードが電圧の印加により動作すると、半導体材料の伝導帯もしくは価電子帯において、自由電子およびホールが形成される。さらに、動作中の発光ダイオードの境界領域39の上方に配置されている電子放出層17に正の電圧が印加されると、発光ダイオードの境界領域39において生成された電子26が、電子放出層17の方向で加速される。境界領域39において、電子26が絶縁層30の十分に近傍で生成され、その方向で加速されると、再結合が阻止される可能性が生じる。その代わりに電子26は、その層厚が僅かであるため、絶縁層30と電子放出層17との両方をトンネリングすることができる。このようにして、発光ダイオードの外部に自由電子の流れが生成され得る。
【0066】
さらに、半導体ベースのダイレクトエミッタ33は、図1および図2に示されているのと同様に電子加速構造体18を有していてよく、この電子加速構造体18によって、電子放出層17から解放された電子26が加速される。しかしこれは、このような半導体ベースのダイレクトエミッタ33に対して基本的に単に任意選択的なものである。電子加速構造体18を基本的に、半導体ベースのダイレクトエミッタ33の適用領域に応じて、省くこともできる。
【0067】
ブレークダウンを回避するためのエミッタの電流制限のために、電子放出層17は、この実施形態では、好ましくは半金属、たとえばヒ素、セレン、アンチモン、テルルおよびビスマスを含んでいる。これらの元素からなる化合物の場合、加速に有用な空間電荷ゾーンは、最初の原子層よりも深く延在する。択一的に、この目的のために、ペロブスカイト材料、すなわちkベクトルの優先軸を有する材料も使用可能である。放出層では、励起された電子の運動量分布は基本的に一方向である。平面での機械的応力によって、運動量分布の垂直優先方向が生じる。ペロブスカイト格子構造がこれに特に適している。
【0068】
図4には、本発明の特別な実施形態による別の半導体ベースのダイレクトエミッタ33の断面図が示されている。本発明のこの実施形態は、図2の関連において説明された要素の多くを有している。同じ参照符号で示された要素は、図2に示された要素に相当している。特に、半導体ベースのダイレクトエミッタ33は同様に、たとえば図1に示した本発明の実施形態による電子エミッタ構造体11と絶縁層30とを有している。電子放出層17とは反対側の絶縁層の側には、垂直共振器型面発光レーザ(vertical cavity surface emitting laser,VCSEL)41が配置されている。VCSEL41は、キャビティ43と、上側のブラッグミラー50と、下側のブラッグミラー52とを有している。キャビティ43自体は、n型ドープ層44と、p型ドープ層46と、量子フィルム48とを有している。上側のブラッグミラー50および下側のブラッグミラー52は、それぞれ、キャビティ43に直接接触している。量子フィルム48のバンドギャップは、それを取り囲んでいるn型ドープ層44およびp型ドープ層46のバンドギャップよりも小さい。
【0069】
半導体ベースのダイレクトエミッタ33の動作中、n型ドープ層44からの電子は、p型ドープ層46からのホールと、量子フィルム48において再結合し、このようにして適切な波長の光子が生成され、この光子は、ブラッグミラー50、52によって複数回反射され、誘導放出によって、量子フィルム48からさらなる光子を解放する。上側のブラッグミラー50は、下側のブラッグミラー52よりも低い反射率を有している。これによって、VCSEL41は、電子放出層17の方向に光子を放出する。光電効果によって、電子放出層17において電子26が解放される。電子は、続いて、電子加速構造体18によって加速または制動され得る。これらのプロセスは、実線の矢印および破線の矢印によって概略的に示されている。VCSEL41に対して択一的に、側面発光半導体レーザまたは発光ダイオードも使用可能である。
【0070】
図5には、本発明の特別な実施形態による液体イオナイザ53の断面図が示されている。液体イオナイザ53は、液体のイオン化のために、もしくは液体中の規定されたエネルギの電子26の供給のために用いられる。このために液体イオナイザ53は、半導体ベースのダイレクトエミッタ33を含んでおり、これはたとえば、図3に示された本発明の特別な実施形態に示されている。しかし、択一的に、たとえば、図1図2または図4に示された本発明の各実施形態も、液体イオナイザ53の基礎として用いることができる。液体イオナイザ53は、電子放出層17とは反対側の電子加速構造体18の側に配置されている保護層54を有している。保護層54は、保護層54内に存在する孔56を通じた電子26の放出を可能にする。これらの孔56は、保護層54に加えられた液体58が、自身の表面張力に基づいてこれらの孔を貫通せず、かつ電子放出が可能な限り制限されないように選択されている直径dを有している。これに加えて、電極22および電子放出層17を液体58との反応から保護するために保護層54が用いられる。保護層は、好ましくは絶縁性のポリマー、たとえばフルオロカーボンまたはフルオロシリコーン層から形成される。後者の2つの材料はとりわけ、液体を退けるロータス効果を強化する。孔56の直径dは、好ましくは10μm~100μmであり、特に好ましくは20μm~50μmである。電子は、上述したように電子放出層17から遠ざかるように放出され、電子加速構造体18によって加速または制動され、保護層54の孔56を通って飛び、液体58の表面に衝突する。液体表面上での電子放出は、局所的に、表面エネルギの大きな変化につながる。これによって、電子は、もはや広いエネルギスペクトルで拡散的に提供されるのではなく、特定の反応の推移に正に必要とされるようなエネルギでもって提供される。これは、たとえば触媒作用または電気化学反応に有利である。これによって、反応の推移を、これまでに触媒または反応性表面の形態によって可能であったよりもよりねらいを定めて制御することが可能になる。
【0071】
図6には、本発明の特別な実施形態による粒子収集装置59が示されており、これはたとえば、ここに示されているように、粒子62を含んでいる空気において使用され得る。粒子収集装置59は、たとえば図1に示された本発明の実施形態に相応する外部光電効果エミッタ10を含んでいる。しかし、択一的に、たとえば、図2図3または図4に示された本発明の各実施形態も、液体イオナイザ53の基礎として用いることができる。電子放出層17の第1の側には、互いに間隔をおいて、それぞれ電子放出層17に対して垂直に、異なる極性で帯電されている2つのプレート60が配置されている。これらのプレート60は、電子26の放出方向に対して垂直な電界を形成するのに適している。外部光電効果エミッタ10から放出された電子26は、粒子収集装置59の動作中に、プレート60の間に位置する粒子62によって捕捉され得る。このようにして、粒子62自体が負に帯電される。プレート60によって生成された電界では、負に帯電された粒子62が、正に帯電されたプレート60の方向に加速され、プレート60自体によって、またはプレート60の手前に位置するフィルタ(図示せず)によって捕捉され得る。このようにして、これらは空気から除去される。
【0072】
図7には、本発明の特別な実施形態によるガスセンサ64の断面図が示されている。ガスセンサ64は、ガス雰囲気において動作するように構成されており、外部光電効果エミッタ10と、イオン検出機器66と、減圧容器68とを有している。このために、減圧容器68は、コントロールされていないガス流入に対してシールされている。外部光電効果エミッタ10およびイオン検出機器66は、減圧容器68内に配置されている。ガスセンサ64は、減圧容器68の内部の圧力を、減圧容器68の外部の圧力に比べて低減するように構成されている。このために、減圧容器68にはポンプ機器74が配置されており、このポンプ機器74は、ガスセンサの動作中にガスを減圧容器68からポンピングする。ポンプ機器74は、たとえば減圧容器68の内部の圧力を低減させるのに適している、ダイヤフラムポンプまたは別の適切なポンプ機器74であってよい。
【0073】
減圧容器68は、好ましくは、ガスを減圧容器68内にコントロールして流入させるための少なくとも1つのガス入口70を有している。減圧容器68の内部の圧力を、ポンプ機器74のポンプ性能とガス入口70のサイズとによってコントロールすることができる。ガスセンサ64の運転中に、減圧容器68の内部の圧力は、基本的に、周囲圧力に対して低減されている。
【0074】
択一的にまたは付加的に、圧力をコントロールするために、1つまたは複数の弁(ここでは図示せず)が、たとえばガス入口70および/またはポンプ機器74の入口に取り付けられていてよい。図7に示されている本発明の特別な実施形態では、2つのガス入口70がそれぞれ1つのガス透過性膜72によって覆われている。好ましくは、このガス透過性膜72は、微量ガスに対しては少なくとも部分的に透過性であるが、空気湿分に対しては透過性でないかつ/または空気湿分を吸収する材料を含んでいる。これによって、とりわけ外部光電効果エミッタ10の電子放出層17の安定性を改良することができる。
【0075】
この目的に適した材料は、たとえばポリジメチルシロキサン(PDMS)である。ガス透過性膜72は、PDMSを含んでいてよい、またはPDMSから形成されていてよい。1つまたは複数のガス入口70とポンプ機器74とを減圧容器68に配置することによって、減圧容器68内のガスの流れ方向が調整される。
【0076】
好ましくは、ガスセンサの動作中、減圧容器68の内部の圧力は、50~500mbar、特に好ましくは100~200mbarである。圧力低減によって、ガスセンサ64はアクティブに通流する。したがって、ガスセンサ64の外部のガス組成の変化は、短時間でも、ガスセンサ64の内部のガス組成に作用する。
【0077】
ガスセンサ64の動作中、外部光電効果エミッタ10から電子26が放出される。放出された電子26は、任意選択的な加速構造体78を介して、特定のエネルギまで加速され得る。続いて電子26は、イオン化されたガス分子に衝突する。イオン化されたガス分子は、イオン検出機器66によって検出される。このためにイオン検出機器66は、1つまたは複数のファラデーカップ76を含んでいてよい。ファラデーカップに対して択一的にまたは付加的に、イオン検出機器66が、1つまたは複数の二次電子増倍管(ここでは図示せず)を含むことが想定されていてよい。
【0078】
外部光電効果エミッタ10に対して択一的にまたは付加的に、ガスセンサ64が、電子を放出するためにトンネル-面エミッタ27および/または図3および図4に関連して説明した実施形態のうちの1つの実施形態による半導体ベースのダイレクトエミッタ33を有することが想定されていてよい。ガスセンサ64の機能様式は、本発明のこれらの実施形態では、図7の関連において説明した機能様式と同様である。
【0079】
上述の説明、図面および特許請求の範囲において開示された本発明の各特徴は、単独でも、また任意の組み合わせでも、種々異なる実施形態における本発明の実現に対して本質的であり得る。
【符号の説明】
【0080】
10 外部光電効果エミッタ
11 電子エミッタ構造体
12 基板
14 UV-LED
16 反射層
17 電子放出層
18 電子加速構造体
20 電子加速要素
22 電極
24 構造要素
26 電子
27 トンネル-面エミッタ
28 金属層
30 絶縁層
32 トンネリング可能な陽極
33 半導体ベースのダイレクトエミッタ
34 半導体
36 n型ドープ領域
38 p型ドープ領域
39 境界領域
40 アイソレータ
41 VCSEL
42 フィンガ
43 キャビティ
44 n型ドープ層
46 p型ドープ層
48 量子フィルム
50 上側のブラッグミラー
52 下側のブラッグミラー
53 液体イオナイザ
54 保護層
56 孔
58 液体
59 粒子収集装置
60 プレート
62 粒子
64 ガスセンサ
66 イオン検出機器
68 減圧容器
70 ガス入口
72 ガス透過性膜
74 ポンプ機器
76 ファラデーカップ
78 加速構造体
l 加速区間の長さ
d 孔の直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】