(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】非選択的還元性の不均一電極触媒作用による環境汚染除去用触媒の調製方法
(51)【国際特許分類】
B01J 21/06 20060101AFI20230614BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20230614BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B01J21/06 A ZAB
B01J37/02 301P
B01J35/10 301F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512486
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-09
(86)【国際出願番号】 ES2021070321
(87)【国際公開番号】W WO2021224536
(87)【国際公開日】2021-11-11
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522436710
【氏名又は名称】オメリチェンコ,エレナ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】オメリチェンコ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】トレシージャ,ロドリゲス,ルイス,マニュエル
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
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4G169CA02
4G169CA10
4G169CA13
4G169EC03X
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4G169EC22X
4G169EC26
4G169FA01
4G169FB02
4G169FB03
(57)【要約】
本発明は、環境汚染除去プロセスにおいて高度な酸化還元メカニズムによって作用する粒又は粉末の形態での活性炭の基材の表面に、TiO2のような半導体の汚染除去コーティングを被着させることからなる方法に関し、電子が価電子帯から伝導帯に励起するように、TiO2アナターゼの場合は3.2eVである、半導体のバンドギャップエネルギー以上の大きさの電位を印加する不均一電極触媒システムによって、H2Oを酸化してOHラジカルを生成することができる十分な酸化能力を備えたh+孔をその場所に残す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属酸化物の半導体、好ましくはTiO
2と、金属の基材とを含む非選択的還元性の不均一電極触媒による環境汚染除去用触媒の調製方法であって、粒又は粉末の形態の活性炭などの基材の表面の1つの面に、低圧電気アークによる気相状態での物理的な被着のプロセスにより、TiO
2のナノメートルのコーティングを部分的に被着することからなり、前記基材は、粗さがRa0.02~50μmの間に設定され、表面積が300~3000m
2/gの範囲であり、前記半導体のバンドギャップエネルギー以上の大きさの電位を加えることにより、このTiO
2層は基材と共に、前記電位の設定時に整流性の電位障壁を形成し、該整流性の電位障壁は、前記TiO
2から前記活性炭への電子の輸送を促進すると同時に、電荷の逆流を妨げる還元メカニズムを生じ、前記金属での還元機能を強化し、界面でのh+孔とe
-電子の再結合を防ぐ、整流性の電位障壁を形成することを特徴とする、方法。
【請求項2】
使用される前記コーティングが、TiO
2アナターゼであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
使用される前記コーティングが、非晶質若しくはルチル又はその両方の組み合わせの形態のTiO
2であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
使用される前記基材が、気泡コンクリート、多孔質シリカ、ゼオライト又は別の同様のものなどの大きな表面積を有した多孔質の材料であり、前記TiO
2層と基材の間に介在する金属の導電層を被着させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
炭素が、粒又は粉末の形態に加工された金属基材上にナノチューブの形態で存在し、その上にTiO
2が同様に被着されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記TiO
2のコーティングが、光触媒半導体酸化物、好ましくはCdS、SrTiO
3、ZnO、Nb
2O
5、MoS、FeO
3、WO
3若しくはSnO
3又はそれらの混合物と混合されること特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記TiO
2が、増加したO
2空孔を備えていることを特徴とする、請求項1、3から6のいずれかに記載の方法。。
【請求項8】
前記TiO
2が、Cu、Mo、V、Ni、W、Fe、Alなどのいずれかの遷移金属又はAg、Au、Pt、Ru、Rh、Pdなどの貴金属でドープされていることを特徴とする、請求項1又は6に記載の方法。
【請求項9】
TiO
2が、N
2又はB若しくはSなどの非金属でドープされていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
TiO
2が、希土類Ce、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy又はEuでドープされていることを特徴とする、請求項1又は6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、不均一電極触媒と呼ばれているより普遍的でコンパクトなシステムを創作することによる、光触媒による高度な酸化プロセスに代わる、大気の汚染除去、環境の消毒及び生態系の衛生のための触媒の調製方法である。
【背景技術】
【0002】
今日では、主にNOとNO2で構成される、都市部でその毒性により最も懸念されるガスであるNOxを除去するための処理に細心の注意が払われている。しかし、地球を最も脅威にさらし、既に大異変の主な原因であると思われるガスであるCO2を操る効果的な技術がないことに、切実な悲観を表すことになっている。
【0003】
私たちが示唆したように、燃焼はNOxの主要な人為的発生源である。空気中に存在し、従って吸気接触中に吸引された後に、いくつか例を挙げるとエンジンの燃焼室内に、ガス炉のチャンバ内に、高炉内に存在する窒素及び酸素は、高温での燃焼中に互いに反応することがある。その過程で、NOとNO2が形成される。そして、NOとNO2の相対的な量は、主として燃焼時に発生し得る高温に依存する。また、エンジン燃焼時に吸引されるN2とO2の相対的な量にも直接依存する。
【0004】
したがって、これらのガスを除去する触媒法の適用は、NOx排出の抑制のために非常に重要である。
【0005】
現在、この分野で使用されている2つの方法、遷移金属で交換されたセラミックスとゼオライトに基づくNOxの直接触媒分解と、選択還元法がある。
【0006】
これらの方法のうちの最初の方法は、追加の試薬なしで行われ、Pt、Pd、Ru、Rhなどの天然では非常に希少である高価な金属を必要とするため、その技術は特に費用が掛かる。また、触媒作用中での効果的な作用のためには高温が必要であり、これは最も高温のガスが出てくる場所であるエキゾーストマニホールドの直後である、排気ガス出口のすぐ近くに触媒容器を配置することを余儀なくさせる。これにより、すすやその他の残留化合物の直接的な被害が生じ、表面が汚され、触媒ダクトに堆積し、プロセスの効率が悪化して低下する。このプロセスでは、触媒は重大な汚染を被り、その阻害に達することさえある。同時に、触媒ダクト内の表面は、通過するときに排気ガスのすべての分子が触媒ダクトに接触して、次にそれに収容される触媒に接触するのに十分な大きさではないため、この技術の有効性は低いレベルであり、これはガスがこの表面に触れないため、高レベルの透過性と、その結果としてのNOxの変換性能の低下を意味する。
【0007】
使用されている他の技術では、窒素酸化物の排出を抑制することが可能なものとして、遷移金属と交換されたゼオライトに基づく触媒の使用が説明されている(非特許文献1)。しかし、分解反応におけるこれらの触媒の活性は、O2、SO2及び水蒸気の存在によって深刻な影響を受ける(非特許文献2~4)。
【0008】
実際に、ディーゼルエンジンでの排気ガスによる都市での現実の問題により、この触媒処理技術の有効性に疑いの目が向けられており、現実での恥ずべき不正行為を引き起こした。例えば2015年から2016年のフォルクスワーゲンのエンジン偽装では、米国環境保護庁(EPA)によって設定された、規制で許可されている制限の40倍以上を排出した。この不正行為により、そのドイツの会社は、影響を受けた車両所有者への補償での175億ドルと、米国司法省に支払う43億ドルの罰金を支払った。
【0009】
現在ディーゼルエンジンで積極的に使用されているもう1つの触媒後処理技術は、選択的還元である(非特許文献5~6)。この技術は、既に述べた触媒作用に導入される前に、排気ガスの化学的前処理として尿素の使用を考える。このプロセスは、ガスの全質量への触媒作用の広汎性を促進し、大気中に放出される前に、N2及びO2への還元によって変換処理の有効性を最大で90%増加させる。しかしながら、この技術は、アンモニアの使用に関連する安全性の問題をもたらす(非特許文献7)。
【0010】
他の同様のものの中でも特に知られており、代表的なものである「AdBlue」の商品名で市場での地位を確立した最先端のものに言及して、この新たな技術の使用によって生じる問題を分析する。
【0011】
この技術の使用は、排気ガスの触媒還元による処理における新しい中間システムに集約され、これは既に高価な触媒での直接処理に追加のコストを必要とする新しいメカニズムを示す。この処理は、排気ガスと尿素の事前混合に集約される。それは、大量の液体尿素用の貯蔵システム全体を導入し、それをパイプを介してスプレーシステムに圧送し、触媒に入る前にプレチャンバーでスプレーされた液体とガスを混合することを必要とする。この通過の途中にあるガスは、このすべての後に初めて、実際に中和される。私たちが想像できるように、非科学的根拠に基づいた情報によると90%の有効性を達成するこの処理には、一連の欠点がある。以下に、それらのいくつかを挙げる。
【0012】
-エンジンの既にかさばり、高価で扱いにくい多機能メカニズムに、その作動での新しいシステムを追加する必要があり、それはそのコストを増加させる。
【0013】
-尿素は腐食性の高い液体のため、使用には特殊な材料が必要である。この腐食性は、それが作用する高温によって増加するが、高温は後での触媒の処理に不可欠である。次に、この腐食性は、触媒材料自体、ダクト内の石灰の増加(尿素と65%の脱塩水の必要とされる混合物の生成物)に影響を与え、その結果としてダクト、つまり流れが狭くなり、またスプレーインジェクターの穴が詰まる。
【0014】
-尿素タンクの定期的な交換。尿素タンクは20リットルになることがあり(わずかな量ではない)、それをしないとエンジンが動作できず、車両の中央制御ユニットによって遮断される。
【0015】
-尿素の一部が触媒で中和されずに排気管から放出されるのを防ぐために、触媒を通過する前に導入される尿素の量を監視することが急務である。この問題は、既に損傷を受けている大気環境に更なる汚染を引き起こさないために特に重要である。更に、混合物における100%の適合性と、触媒を通過する際の同じレベルの中和は、一般的に適合性を達成しようとする日常の活動における数えきれない例によって実証されるように、実際には不可能であることを付け加えなければならない。したがって、未処理の排気ガスと混合された一定量の尿素は、必然的に大気に入り、それを汚染する。
【0016】
-平均温度として20℃で保存された尿素を含む水溶液と排気ガスの混合物は、排気ガスを急速に冷却する。これは上述のように、その完璧な作用のためにかなりの高温を必要とする効果的な触媒作用を損ねることになる。この問題は、寒い気候の国で顕著である。
【0017】
-それは、COなどの有毒ガスをCO2に変換するのに必要とされる、酸化による処理は行わない。そのため、処理されたNOxと同じかそれ以上に危険であるこのガスを、大気中に排出する危険性が未解決のままである。通常の完全燃焼から生じた非毒性であるCO2などのガスがCOに還元され、そして上述したように極めて有毒であるCO汚染の問題が増大される。言い換えれば、それは選択的な処理であるため、燃焼中に発生するすべての汚染物質の汚染除去は妨げられ、エンジンの通常の燃焼から既に得られた中性ガスから有毒ガスが増加するおそれを追加する。ここで、CO2及びCOなどのガスを処理することは、NOxと比べて排出ガス中の組成割合がはるかに高いため、NOxよりも量的にはるかに困難である。
【0018】
そのため、つまりは、直接触媒作用と選択的還元のいずれもが、エンジンの動作システムと、浄化しなければならない生態系及び環境との両方に対して、非常に高いコストと、内燃エンジンが私たちに与える有害な影響を回避しない。
【0019】
欧州特許E99101847(4)(EP0935056 A2(1999年8月11日)、EP0965056 A3(2000年1月12日)、EP0935056 B1(2001年12月12日)としても公開される)とも見なされるスペイン国特許ES2169935 T3(2002年7月16日)(優先権主張番号DE19981004429(1998年5月2日)、出願人ADAM OPEL AG(ドイツ) 65423 リュッセルスハイム、発明者フォン ブランド,ハインツ エウォ(ドイツ))(特許文献1)は、内燃機関の排気ガス触媒を急速に予熱するためのシステムに言及する。
【0020】
この特許では、エンジン始動時に外部環境を侵さずに排気ガスの有害な成分を中和する作用をするように、内燃機関の排気ガスの出口で触媒コンバーターを急速に加熱する必要性が指摘されている。排気ガスの有害な成分の中和において効果的であるエンジンの触媒コンバーターのこの高温での作動状態は、ほとんどのエンジンで動作時間全体にわたって維持される。前述の必要性は、しばらく動作しておらず、外部環境との通常の熱交換の結果として冷却された冷えたエンジンの始動中により顕著である。
【0021】
この特許は、今日市場に出回っている触媒は、エンジンが低温状態において及び比較的長い停止の後に汚染ガスを大気中に排出している時間全体にわたって、触媒作用の最適な効率を保証できないため、その特性において指摘されている欠点の1つを証明している。
【0022】
Urjusa(アルメリア)という会社は、2つの特許で、完全燃焼を促進し、燃焼中に体積の95%のレベルまで(通常の75~85%だけでなく)燃焼するようにするために、天然鉱物を用いて、大量のO2との物理的接触によって、炭化水素を提供する。この場合、より完全な燃焼は、達成されるべき目標である、大気中へのCO放出レベルの減少を保証する。
【0023】
この特許は、高尚な目的を有することを止めないが、燃料のコストを増加させ、そして排気ガス中のNOxを除去するという実質的かつ主要な問題を解決することはできない。
【0024】
同じ意味で、ペルーの技術者は、EcoEvol(登録商標)と呼ばれる装置を使用して、燃料タンクに沈められてエンジンでの完全燃焼を最適化し、大気中へのCO放出のレベルを下げる触媒を創作した。彼らが公表したように、収率は30%増加する。
【0025】
会社「03 PROTEGELO SL」(ハエン)は、エンジンのエネルギー効率を改善するための触媒を発表した。この触媒は、炭化水素供給管に導入される。
【0026】
これらの特許もまた、エンジンから大気中に放出される有毒なNOxガスの抗し難い問題を排除しない。
【0027】
非特許文献8の刊行物では、次の総括が公開されている。
【0028】
「CSICのEduardo Torroja Instituteの科学者は、自動車の排気管での汚染物質を除去する光触媒を開発した。光触媒は、光によって触媒が働き、酸化又は還元による化合物の除去を可能にする。本件では、CSICによって開発された装置は、窒素酸化物、揮発性有機化合物、及び燃焼による酸化によって発生する炭素を含有するその他の粒子を除去する。」
【0029】
「この装置は、ガスの通路に対して最大の表面を占めるようにして配置された、排気管の内側に配置された材料(光触媒)と、最大の性能を発揮するように波長が調整されたランプ(化学反応を引き起こす)とからなる。
【0030】
「実験室で行われた試験では、窒素酸化物の濃度を100分の1(4,000~6,000ppbから40~60へ)まで下げることができ、環境規制で要求されるよりも低いレベルに達した。研究者は、光触媒の安定性を確保するために、引き続きそのシステムを改善している。」
【0031】
「ランプを覆うガラスは自動洗浄機能を有し、煙による汚れでの効率の低下を防ぐ。更に、その装置には、光触媒を損なうおそれがある、光触媒の活性中心に堆積した生成物を洗浄及び除去することが可能な手段を組み込む。車のエンジンを始動すると光触媒作用処理が始まり、点火装置を停止すると止まる。尿素などの化学物質に基づく他の同様の触媒装置と比較して、この装置はそれ自体でより多くのCO2を生成しないという追加の利点がある。化学製品の交換も不要である。」
【0032】
この種の機能で最も安定かつ耐久性のあるTiO2に基づくそのような光触媒での私たちの経験では、それは触媒の作用面積によって非常に限定され、排気管の限られたスペースでは非常に低い性能であることが示されている。更に、孔によって覆われた大きな表面積のすべてを触媒が覆っている、非常に多孔質の基材によって表面積が増加した触媒が用いられると仮定したならば、400nm未満の波長の紫外領域の光を照射しても、触媒全体には到達しない。これらの材料は、例えば、前述のゼオライト、活性炭、粗く砕かれたセラミック、気泡コンクリート又は海綿状金属であり得る。言い換えれば、この種の装置における不均一光触媒作用は、排気管によって提供される限られた容積によって妨げられる。
【0033】
つまり、NOxの動的除去のために現在使用されている技術にはかなりの制限があり、非効率的であるか又はそれに伴ってガス処理の問題を更に悪化させる汚染物質や腐食性物質の生成をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】スペイン国特許第2169935号明細書
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】M. Iwamoto, H. Yahiro, S. Shundo, Y. Yu-u, N. Mizuno (Catalyst), 32(1990), 430
【非特許文献2】M. Iwamoto他、Stud. Surf. Sci. Catal., 28(1986)943
【非特許文献3】M. Iwamoto, Misono Misono他(投稿者), Future Opportunities in Catalytic and Separation Technology, Stud. Surf. Sci. Catal., Vol. 54、Elsevier、アムステルダム、1990年、p. 121
【非特許文献4】M. Iwamoto, H. Hamada, Catal. Today, 10 (1991) 57.2, 3.
【非特許文献5】F. P. Boer, L. L. Hegedus, T. R. Gouber, K. P. Zak, Chem. Tech. 1990年5月, 312
【非特許文献6】G. L. Baverle, S.C. Wu, K. Nobe, Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev., 14 (1975) 268
【非特許文献7】S. Matsuda, T. Kamo, A. Kato, F. Nakajima, T. Kumura, H. Kuroda, Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev., 21 (1982) 48
【非特許文献8】R+D CSIC(2017年7月11日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
環境汚染と気候変動の世界的な問題の緊急事態には、他の問題を引き起こして深刻にするおそれのある部分的な解決策で状況を悪化させない、これらすべての弊害を一度に完全に解決し、同時に手頃な価格であり、低コストで永続的な技術が必要である。エンジンの排気ガス、一般的にはNOxやCO2を排出するあらゆる排出源の排気ガス、及び特にCO、S2O、未燃焼の炭化水素ガスなどを挙げることができる燃焼中に発生する他の有毒ガスの汚染除去中のこれらすべての問題を取り除くために、本発明の特許で提示される技術が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本特許は、不均一光触媒による従来の高度な酸化処理を、従来のものよりも無数の利点を有する不均一電極触媒と呼ぶことができる新しい技術に置き換える、大気の汚染除去、環境の消毒、及び生態系の衛生のための新しい方法に取り組む。この技術は、NO、NO2(NOxとして知られる)、CO、未燃焼の炭化水素、揮発性有機化合物(VOCS)などの、化石燃料の燃焼中に発生する有害なガスを除去することによって、大気衛生での無数の用途がある。これらのガスは、エンジンの排気プロセス中に直接動的に除去されることができ、これらの有害なガスは汚染除去及び浄化される前に外部環境と接触しないので、これは真の技術的進歩を意味する。また、自動車環境が循環するトンネル内、それらが駐車されている駐車場内などで収集することによって静的に処理されることもできる。産業的な汚染除去の場合、大気中に放出する前に、汚染除去プロセスを目的とした煙突又は特別な槽において処理可能なものを提供する。これらのガスが発生する家庭や建物では、産業的な処理の場合と同様に処理されることができる。
【0038】
その技術は、CO2を除去して純粋なO2を大気に戻すことができ、これは地球が気候変動及び温室効果に対して取り組んでいる戦いでの大きな勝利を意味する。これは、人類にとって、途方もない規模の大きな気候災害とすべての生態系の絶滅の脅威から地球を救うこと以上に重要な課題がない現在において、極めてかつ命に係わる重要なことである。また、地球に脅威をもたらさないエネルギー供給のためのクリーンで安全かつ永続的な技術を何とか発見して開発するまで、通常のエネルギー資源、石油、天然ガス、石炭、バイオ燃料などを、無害な方法で、大気や環境を害することなく、必要な期間にわたって使用を継続する機会でもある。
【0039】
あらゆる種類の有機汚染物質を区別することなく、どのような組成であっても除去する、私たちの技術の汚染除去活動及び浄化活動を明白に示す非選択的な性質を考慮すると、ウイルス及び細菌の除去において幅広い有用性があり、それはカタルーニャ工科大学に付属するユネスコ持続可能性委員会及びこの大学のCRESCA研究所などの国際的に名声のある承認された研究所及び機関によって認められている。それらの結論では、私たちの化合物及びコーティングの強力かつ顕著な殺生物活性は、際立っている。
【0040】
また、この技術は特に液体処理に優れた用途があり、その態様の1つでは、廃水の処理、スラリーの浄化、下水の浄化、並びに水及び産業排水の処理に使用されることができ、実際に使用される予定であるということに注意することも重要である。
【0041】
移動(自動車輸送)のための直接的なエネルギーを得るためだけでなく、様々な活動の発展のための熱を得るエネルギーベクトル及び他の形態として電気を得るために、人間が使用するほとんどの化石燃料の燃焼時に起こる物理化学的プロセスは、化学的に活性な残留ガスを大気中に放出し、それは全体が又は部分的に有毒で、健康を害するおそれがある。例えば、S2O、CO、NO、NO2(NOxという用語で一般化される)などのガスや、肺、そして肺胞にさえ留まるPM2.5などの微粒子は、血液による酸素とCO2の交換という呼吸機能の中で処理されて、この機能を損なうため、特に危険である。また、同様に健康に害を与える未燃焼の炭化水素や揮発性有機化合物(VOC)の一部が含まれていることもある。これらのガスの中のいくつかは無害かもしれないが、例えば、地球温暖化の原因であり、現在の気候変動の主役であるCO2の場合のように、地球の生態系のバランスに非常に害を及ぼす。つまり、輸送手段や発電所で使われる内燃機関、及び人間が日々の活動で使う、石油やその派生物、天然ガス、石炭、木材などの化石燃料の燃焼に基づく多数のエネルギー源や熱源は、地球と生物の機能の生態系のバランスにおける真の侵略者である。化石燃料は、地球温暖化の主要な原因であるCO2並びに上述したように、危険なガスであるNO及びNO2の最大の排出源である。NO及びNO2は都市を汚染し、また化学スモッグや酸性雨の原因である。
【0042】
したがって、これらのNOxは、世界中で650万人以上の早期死亡の原因であり、特に呼吸器疾患や心臓血管疾患を患う人々にとって攻撃的であるため、特筆に値し、大気汚染除去での科学活動の主要な目的であるべきである。
【0043】
したがって、本発明の特許は、汚染、大気汚染及び気候変動のこれらの抗し難い問題に対して、社会を抑圧しかつ我々の自然を屈服させる問題を解決するために試されてきた多くの技術の中でこれまでに経験したことのない技術により、効果的な解決に取り組む。
【0044】
上述されたように、ガスは、エンジンの排気を大気中に放出する管路で動的に除去されるか、又は収集と圧送によって導かれるタンク若しくは追加の処理槽で静的に除去されることができる。
【0045】
より多くのNOxを発生させる主な部門は輸送で、それは一定の増加傾向を示している。これに次いで、火力発電所、タービンから放出されるガス、製油所、アンモニア又は硝酸の生産に関連する化学工業、並びに森林火災、火葬全般、ゴミ、木材の燃焼などの他の排出源からの排出が主な排出源である。
【0046】
これらの化合物の人間の健康への主な影響は、皮膚及び気道での腐食作用で、皮膚の発赤及び重度の皮膚の火傷を引き起こす。高濃度で短時間の吸入は、肺水腫を引き起こすことがあり、その影響は数時間過ぎるまで観察されず、肉体活動により更に悪化する。長期間の暴露は、免疫系と肺に影響を与えて、感染に対する抵抗力低下及び肺組織への不可逆的な損傷をもたらすおそれがある。
【0047】
環境への影響については、他の大気汚染物質と結合すると、地表でのオゾン形成反応に影響を与えるため、光化学スモッグの形成において大きな重要性を有する物質である。
【0048】
最後に、NO2は一酸化窒素(NO)の酸化により形成され、適切な条件下では急速に硝酸塩(NO3-)又は硝酸(HNO3)に酸化されるので大気中での寿命は比較的短く、酸性雨現象を引き起こして、森林への大きな損傷及び表面水の酸性化をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0049】
この新技術は、汚染除去、殺菌、殺生物性であるナノメートルのTiO2コーティングからなり、それは粒又は粉末の形態である活性炭の基材の表面に被着され、その特徴である高い表面密度と多孔性を備える。基材は金属であることができ、粗い又は滑らかな仕上げを備えることができ、好ましくはRa0.02~50μmの間に設定された粗さに入る任意の粗さであるが、しかし好ましくはRa1.6~50μmの間であり、基材は粒子又は粉末の形態であり、又は大きな物体の形態であるが、好ましくは粒子又は粉末の形態であり、TiO2の光反応性半導体のコーティングが提供又は被着される。
【0050】
好ましくは、使用される基材は粒状の活性炭(以下、AC)であり、その特徴である大きな表面積を備え、それは1グラムあたり300m2と3000m2の間、300m2以下、3000m2以上であることができる。
【0051】
TiO2は、広帯域の感光性半導体である。電子を価電子帯から伝導帯に励起するためには、この半導体は、波長400nm以下のエネルギー光子を入射させて光電効果を用いることが必要である。したがって、この種の放射は、光スペクトルでの紫外線領域における。光子の衝突により、電子は上述したように伝導殻に高められて、この時点で伝導帯内を自由に移動できる。そして、価電子帯でこの電子が占有していた場所には、強い酸化特性を有する正電荷(h+)を備えた孔が存在し、それは影響を及ぼすあらゆる元素から電子を奪って、酸化させることができる。これは高度な酸化反応で広く用いられている不均一光触媒の従来のメカニズムであり、非常に効果的で安価、かつ経時的に安定であることから、現在非常に広く普及している。その最大の有用性は、液体や気体の汚染除去プロセス、並びに殺菌、滅菌及び殺ウイルスプロセスで提供される。活性化には太陽放射が広く利用される。
【0052】
しかし、大きな表面積を有するという基本的な条件と共に、光に対してその大きな表面を直接曝すという、場合によっては満たすことが不可能な光触媒のための非常に厳しい条件がある。この暴露がないと、光触媒現象は起こらない。
【0053】
私たちの新しい装置では、触媒に必要とされる、これから述べる最も深刻な問題のうちの少なくとも3つを非常に効果的に解決した。それらは、次の通りである。
【0054】
第1に、ACと、好ましくは、それだけではないが、特別な被着の技術と特定のその後の熱処理によって確保されるアナターゼ状態のTiO2の形態(これは、この優れた触媒の最大の表面積を備えた海綿状の形態である)を用いて、私たちが開発しようとする、触媒作用と高度な酸化還元処理のための巨大な活性表面を確保した。
【0055】
第2に、低圧電気アークによる気相状態での物理的な被着プロセスにより、ACの原子的に自由な表面に半導体を強力に固定するという要件を確保し、このACの表面の清浄性は、相の境界での電荷の移動と交換の正しいメカニズムを確保するために極めて重要である。半導体であるTiO2と活性炭の接合部は、半導体から金属特性を備えた要素への電子の輸送を促進する整流性の電位障壁を形成し、この現象は、これらの要素を接触させるだけで自動的に確立される。そして、TiO2から導体への電子の流れは、その2つの要素間での出力作用の値での差から、界面でのフェルミエネルギー準位の等化の間に本質的に発生する。この事実は、半導体コーティングが部分的に粒状基材の表面に設けられている場合に、還元メカニズムへの傾向を可能にするものであり、私たちが発明したシステムで達成した課題である。外部環境へ排出される汚染物質の成分を再変換してその形成前の始めの状態に戻し、新しい化合物の形成を防ぎ、ひいては環境に影響を及ぼすことを望むならば、私たちの技術が還元特性を有するという事実は非常に有利である。同時に、電位が設定されると、逆に流れるメカニズムが抑制され、それは金属の還元機能を強化し、界面でのh+孔と電子の再結合を防ぐ。
【0056】
第3に、私たちは、光触媒で最も広く普及している従来の方法としての光放射と光電効果を、価電子帯から伝導帯への電子の通過を促進するものである電位の印加によって置き換えた。使用される電位の大きさは、最小では、上述された紫外線領域の光の光子のエネルギーでの大きさに対応するものである。この革新的な解決策により、最初の要件で言及した広大な表面全体の活性化を、体積全体を文字通り表面に変換したおかげで、体積の小さい空間にまで広げた。今やこの解決策では、光触媒に光を照射する必要はなく、場合によっては現実的に不可能なことである、光触媒の表面全体に光を到達させることも必要とされない。一方で、電子と電位は、どんなに複雑な、微小な凸凹のある又は大量の触媒の表面であっても、触媒のすべての隅及び表面に到達することができる。本発明で処理することができる有害な気体や液体は、触媒のその大きさのすべてと、実質的に100%接触することになり、処理されずに環境に無害で適合する元素に変換されないで逃れ得る分子は存在しないことになる。
【0057】
このTiO2層は、この場合には金属特性を有する基材と共に、新規な不均一電極触媒作用システムを通じて、環境汚染除去プロセスにおいて高度な還元の酸化物のメカニズムによって作用する。そのシステムは、TiO2や他の広帯域半導体に強いられる高エネルギー(紫外線A、B又はC光又は他の更に高エネルギー)の光放射の要求を避け、それによりそれらが、不均一光触媒による周知の酸化メカニズムを通じて種々の汚染除去プロセス中に効率的に作用することができるようにする。しかし、何よりも、この技術は、半導体の全表面が必ず光に曝されるべきであることの必要性、狭い作用容積及び複雑な構造における効果的な処理光触媒の使用を、数え切れない場合において大幅に制限し、多くの場合にそれを不可能にさえする問題を回避する。
【0058】
本発明では、半導体の禁制バンドギャップエネルギー、つまりバンドギャップ(TiO2アナターゼの場合は3.2eVである)以上の大きさの電位の印加は、電子を価電子帯から伝導帯に励起するのに十分であり、その場所にH2Oを酸化してOHラジカルを形成するのに十分な酸化能力を備えたh+孔を残し、極めて酸化能力が高く、それは異なる種類の酸化還元反応において、汚染物質を破壊するか、又は汚染物質に対して直接h+を作用させる。
【0059】
つまり、この新技術の新しさは、触媒機能を果たすようにして、光触媒に一般的に用いられている光の量子から材料(この場合は半導体)へのエネルギー送達に基づく光電メカニズムを、光電メカニズムの使用において電気的で、より効率的、汎用的かつ普遍的なものに置き換えることに基づく。そのように、光触媒のメカニズムには、深刻な制約及び満たすことが難しい要求がある。しかし、放射を、半導体への電位印加で置き換えることにより提案された電気は、量的な効率を向上させ、実施が容易で、簡単、安価、効果的で、光に光触媒を曝すことが必須であることを必要としない。
【0060】
TiO2半導体と活性炭の結合体は、半導体から金属特性を備えた要素への電子の輸送を促進する整流性の電位障壁を形成し、この現象は、これらの要素を接触させるだけで自動的に確立される。そして、TiO2から導体への電子の流れは、界面でのフェルミエネルギー準位の等化の間に本質的に発生し、その2つの要素間での出力作用の値での差の所産である。この事実は、私たちが発明したシステムでの還元メカニズムへの傾向を可能にし、外部環境へ排出される汚染物質を再変換してその形成前の始めの状態に戻し、新しい化合物の形成を防ぎ、ひいては環境に影響を及ぼすことを望むならば、そのシステムは非常に有利である。同時に、電位が設定されると、逆に流れるメカニズムが抑制され、それは金属の還元機能を強化し、界面でのh+孔と電子の再結合を防ぐ。
【0061】
追加の重要な側面は、障壁メカニズムはその半導体の固有のバンドギャップを3.2eV以下に下げることもでき、それはその機能を損なうことなく、上述したメカニズムを強化し、現象が確立されるのに必要なエネルギーを低減させることができることである。使用する半導体が異なる時は、基準となる飛びぬけて優れたTiO2以外では、設定する電位は特定の半導体のバンドギャップの特定の値、又はそれ以上に調整されることになるが、それをするのは難しくなく、供給源の電圧値を変更する。
【0062】
本発明には、別の非常に重要な側面があり、それは触媒コンバーターは、効率的な性能のためには大きな表面積を必要とするということである。触媒は表面積が大きいほど活性中心が多くなり、より多くの分子に同時に触媒作用を及ぼすことができると言える。そのため、活性炭にコーティングすると、TiO2は作用する大きな表面積を有し、この表面は問題になっている基材のように比較的小さな体積に配置され、それは巨大な比表面積に相当する3000m2/gに達し得る。つまり、文字通り、使用される方法では、体積に対して全ての可能な表面まで広げたと言える。更に、私たちの技術で選んだものであるアナターゼ型のTiO2を焼成すると、TiO2の表面も最初の値の1000倍まで増加し得る海綿状に成長する。この表面積の増加は、私たちの技術に相乗効果をもたらし、それは実施中に示す効果的な結果において証明される。
【0063】
したがって、私たちは、不均一光触媒から不均一電極触媒への技術転換を強調したい。
【0064】
電極触媒TiO2半導体は、ガルバニック、CVD(化学蒸着)、ゾルゲル、スピンコーティング、分子線エピタキシー、原子線エピタキシー又はPVD(物理気相成長法)などの当分野で知られているいずれかの種類の化学的又は物理的被着によって被着させることができる。物理的被着は、熱、スパッタリング、マグネトロンスパッタリング又はマルチアークなどの使用される方法のいずれかにより、好ましくはこの最後に示された方法のマルチアークによる。
【0065】
あるいは、TiO2は、TiO2アナターゼの代わりに、特定の焼結プロセス及び熱処理によって得られる非晶質若しくはルチル又はその両方の組み合わせの形態で使用される。
【0066】
基材上に、他の何らかの光触媒半導体の層、好ましくはCdS、SrTiO3、ZnO、Nb2O5、MoS、FeO3、WO3又はSnO3の層のコーティングを加えることができる。私たちは、限定されないが、優先的にTiO2コーティングを選択した。この光触媒層の基材への固定は、上述したように強力でなければならず、汚染除去装置の正しい作動を保証する、厳密に決定された値によって必要とされてかつそれを伴う、電位障壁整流又はショットキーの状態を妨げる又は変更する分極若しくは寄生抵抗の可能性なしに、電荷の一定の伝達を保証しなければならない。この目的のためには、原子洗浄が厳密に必要であり、これにより基材の表面層で曝された原子価の完全な自由度と、半導体のホスト層を受け取るための利用可能性が保証される。この要件は、デバエフ(Debaev)層でのスパッタリング加速を保証する基材に印加した過電位による平行加熱を伴う、私たちの独自の技術である大量のイオン照射によって、又は私たちもプロセスで使用している中性原子加速器によってのみ保証されることができる。原子洗浄の変形例は、やはり私たちのノウハウにあるイオン源から生成されるアルゴン重イオンプラズマによって行われることもできる。
【0067】
使用されるAC基材は、300~3000m2/gの表面積を有することができる。好ましくは、その空隙率に応じて、800~3000m2/gのACが使用される。空隙は、マイクロポーラス(2nm未満)、メソポーラス(2~50nm)、及びマクロポーラス(50nm以上)であることができる。好ましくは、メソポーラス及びマクロポーラスが、マイクロポーラスを排除することなしに、殺生物臨床治療用などの特定の指定で使用されるであろう。粒子炭素については1~10mm、粉末については1mm以下の粒子寸法である顆粒状又は粉末状のこれらの粒子上で、触媒TiO2コーティングの部分的な被着が行われ、それは基材と共に、高度酸化還元反応において作用するものである。
【0068】
ACは導電性であり、私たちの新技術で使用される飛びぬけて優れた基層である。しかし、私たちは、これに代わるものとして及び状況に応じて、多孔質及び海綿状の材料などの他のコーティング用ベースを使うことも計画しており、例えば、大きな表面積を有した多孔質の粒又は粉末の材料であり、それは気泡コンクリート、多孔質シリカ、ゼオライト又はその他の同様のものであることができる。
【0069】
基材が導電性でない場合、触媒半導体のコーティングの前に、金属の被着を行うことが想定される。このような実施形態では、金属層は基材の全表面に及ぶ。
【0070】
この場合、金属の導電層の被着は、続いてこの上に電極触媒半導体をコーティングをする前に行われることになる。
【0071】
触媒半導体の被着はまた、何らかの金属上に、具体的には、汚染除去コーティング上に行われることもでき、そこでは炭素が、触媒表面を増やすために、粒又は粉末の形態に精緻に作られた金属基材上で成長させたナノチューブの形態で存在する。すでに炭素化されたこの要素の上に、同様にしてTiO2が被着される。
【0072】
この汚染除去コーティングは、TiO2半導体がこの技術において非常に望ましいn型半導体としてのその特性を向上させるために増加したO2空孔を呈するように、技術的に作用されることができる。これは、O2の除去に伴い、O2の2p軌道からTiO2の3d軌道への電子の移動を改善する。
【0073】
TiO2の電子供与体としての特性を増強し、n型半導体メカニズムの効率を高めるという同様の目的で、本技術では、例として特に挙げることができるがそれらに限定されない、Cu、Mo、V、Ni、W、Fe、Alなどの遷移金属や、Ag、Au、Pt、Ru、Rh、Pdなどの貴金属をドープすることが可能である。また、その電極触媒反応を向上させるために、半導体にN2又はB、Sなどの非金属をドープした汚染除去コーティングもまた想定される。
【0074】
これと同じ方向性で、電極触媒反応を向上させるために、半導体に希土類Ce、La、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy又はEuをドープした汚染除去コーティングが想定される。
【国際調査報告】