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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】多方向公差制御を通した閉塞力低減
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A61M5/142 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569105
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 US2021033341
(87)【国際公開番号】W WO2021236896
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,055
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(71)【出願人】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スラビー, ジリ
(72)【発明者】
【氏名】ピピン, スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】イェーガー, ケンダル ディーン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD16
4C066EE10
4C066FF01
4C066HH01
(57)【要約】
点滴ポンプ機構は、モータと、複数のポンプフィンガと、対向するプレートとを含む。ポンプフィンガの各フィンガは、本体部分と、ヘッド部分とを含む。ヘッド部分は、ポンプ機構内に配設される管と接触し、それを閉塞するように構成される、先端を含む。対向するプレートは、複数の集力部を伴う、アンビルを含む。複数の集力部のうちのある集力部は、複数のポンプフィンガのうちの個別のポンプフィンガに対応する。加えて、集力部は、管と接触し、それを閉塞するように構成される集力表面を含む。集力部は、個別のポンプフィンガの先端と整合され、それによって、フィンガが、管に向かって指向され、管と接触するとき、先端および集力部は両方とも、管の反対側に圧力を提供し、少なくとも部分的に管を閉塞する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴ポンプ機構であって、
モータと、
複数のポンプフィンガであって、
各フィンガは、本体部分と、ヘッド部分とを含み、
前記ヘッド部分は、前記ポンプ機構内に配設される管と接触し、それを閉塞するように構成される、先端を含む、複数のポンプフィンガと、
複数の集力部を伴う、アンビルを含む、対向するプレートであって、
前記複数の集力部のうちのある集力部は、前記複数のポンプフィンガのうちの個別のポンプフィンガに対応し、
前記集力部は、前記管と接触し、それを閉塞するように構成される集力表面を含み、
前記集力部は、前記個別のポンプフィンガの先端と整合され、それによって、前記フィンガが、前記管に向かって指向され、前記管と接触するとき、前記先端および前記集力部は両方とも、前記管の反対側に圧力を提供し、少なくとも部分的に前記管を閉塞する、対向するプレートと
を備える、点滴ポンプ機構。
【請求項2】
前記機構は、点滴ポンプの一部である、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項3】
前記点滴ポンプは、歩行用の点滴ポンプである、請求項2に記載のポンプ機構。
【請求項4】
各フィンガは、誘導レールを含み、前記対向するプレートは、対応する誘導溝を含む、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項5】
各フィンガは、誘導溝および誘導チャネルのうちの少なくとも1つを含み、前記対向するプレートは、対応する誘導レールを含む、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項6】
前記対向するプレートは、前記複数のポンプフィンガの各ポンプフィンガに対応する、誘導チャネルを含む、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項7】
前記誘導チャネルは、個別のポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形され、前記誘導チャネルは、対応する集力部に向かって、前記個別のポンプフィンガの前記先端を指向するために、前記ポンプフィンガを整合するように構成される、請求項6に記載のポンプ機構。
【請求項8】
各フィンガは、誘導レールを含み、前記対向するプレートは、対応する誘導溝を含み、前記対向するプレートは、誘導チャネルを含む、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項9】
前記誘導チャネルは、個別のポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形され、前記誘導溝は、対応する集力部に向かって、前記個別のポンプフィンガの前記先端を指向するために、個別の誘導レールの少なくとも一部分を受容するように、サイズ指定および成形される、請求項8に記載のポンプ機構。
【請求項10】
各個別の集力部は、(i)弾性材料、および(ii)非圧縮性材料のうちの1つから作製され、それによって、各個別の集力部が非圧縮性である、請求項1に記載のポンプ機構。
【請求項11】
点滴ポンプであって、
電源と、
ポンプ機構であって、前記ポンプ機構は、少なくとも1つのポンプフィンガと、少なくとも1つの集力部を伴う、対向するプレートとを含む、ポンプ機構と、
ポンプ導管を伴う、点滴管セットと
を備え、
前記少なくとも1つのポンプフィンガは、本体部分と、ヘッド部分とを含み、
前記ヘッド部分は、前記ポンプ導管と接触し、それを閉塞するように構成される先端を含み、
前記少なくとも1つの集力部は、前記少なくとも1つのポンプフィンガと軸方向に整合され、
前記少なくとも1つの集力部は、前記少なくとも1つのポンプフィンガの前記先端の反対の前記ポンプ導管と接触し、それを閉塞するように構成される集力表面を含む、点滴ポンプ。
【請求項12】
前記点滴ポンプは、歩行用の点滴ポンプである、請求項11に記載の点滴ポンプ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポンプフィンガは、誘導チャネルおよび誘導溝のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の点滴ポンプ。
【請求項14】
前記対向するプレートは、前記誘導チャネルおよび前記誘導溝のうちの少なくとも1つに対応する、誘導レールを含む、請求項13に記載の点滴ポンプ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのポンプフィンガは、誘導レールを含む、請求項11に記載の点滴ポンプ。
【請求項16】
前記対向するプレートは、前記誘導レールに対応する、誘導溝を含む、請求項15に記載の点滴ポンプ。
【請求項17】
前記対向するプレートは、前記少なくとも1つのポンプフィンガに対応する、少なくとも1つの誘導チャネルを含む、請求項15に記載の点滴ポンプ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの誘導チャネルは、前記少なくとも1つのポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形され、前記誘導溝は、対応する集力部に向かって、前記個別のポンプフィンガの前記先端を指向するために、前記誘導レールを受容するように、サイズ指定および成形される、請求項17に記載の点滴ポンプ。
【請求項19】
前記ポンプ導管は、管を備える、請求項11に記載の点滴ポンプ機構。
【請求項20】
前記ポンプ導管は、ケイ素膜を含む、請求項11に記載の点滴ポンプ機構。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、2020年5月21日に出願され、「OCCLUSION FORCE REDUCTION THROUGH MULTI-DIRECTIONAL TOLERANCE CONTROL」と題された、米国仮出願第63/028,055号の利益および優先権を主張する。
【0002】
(背景)
本発明は、ポンプに関し、より具体的には、患者への薬剤の送達のための点滴ポンプに関する。概して、内科患者は、時として、持続的な薬剤または設定された周期的間隔での薬剤のいずれかの精密な送達を要求する。制御された薬物点滴を提供するために、医療用ポンプが開発されてきており、薬物は、治療限界内で、かつ不必要な、または場合によっては有毒な範囲外で、薬物濃度を保つ、ある精密な割合で投与されることができる。基本的には、医療用ポンプは、制御可能な率で、適切な薬物送達を患者に提供し、これは、頻繁な目配りを要求しない。
【0003】
医療用ポンプは、臨床の場および臨床の場以外の両方において、患者への静脈内療法の投与を促進し得る。臨床の場以外において、医師は、多くの事例において、患者が、薬剤の周期的または持続的な静脈内投与を受けることを前提として、実質的に通常の生活に戻ることができることを見出している。療法のタイプの中で、この種の投与を要求するものは、抗生物質療法、化学療法、疼痛コントール療法、栄養療法、および当業者によって公知である、いくつかの他のタイプである。多くの場合、患者は、複数の毎日の治療を受ける。ある内科疾患は、30分~2時間等の比較的短い周期にわたって、溶液中の薬物の点滴を要求する。これらの状況および他の状況は、患者によって着用されることができ、所望の率で、薬剤の持続的な供給量を投与する、または予定された間隔で、いくつかの用量の薬剤を提供することが可能であるような、ますます軽量で、携帯可能で、または歩行可能な点滴ポンプの開発を助長するために、組み合わせられてきた。
【0004】
点滴ポンプの構成は、患者への送達のためのIV管類の中に、バルーン等、可撓性コンテナから溶液を圧搾する、エラストマポンプを含む。代替として、ばね荷重式ポンプが、溶液コンテナまたはリザーバを加圧する。あるポンプの設計は、溶液を送出するために、加圧ローラによって圧搾される、可撓性区画を含有する、カートリッジを利用する。注射器を利用する点滴ポンプもまた、公知であり、駆動機構が、流体を患者に送達するために、注射器のプランジャを移動させる。典型的には、これらの点滴ポンプは、注射器アセンブリを受容するように適合された筐体と、注射器プランジャを移動させるように適合された駆動機構と、様々な動作制御装置を有するポンプ制御ユニットと、駆動機構および制御装置を含むポンプに電力を供給するための電源とを含む。
【0005】
加えて、いくつかの点滴ポンプは、可搬型であり、例えば、点滴ポンプは、歩行可能な患者または他の患者による、動かしやすい使用のために、より小型かつよりコンパクトであってもよい。当然ながら、可搬型ポンプは、ポンプモータに電力を供給するための手段として、同等に可搬型電源を供給されなければならない。バッテリは、可搬型ユニットのための電源の好適な選定である。いくつかのポンプは、使い捨てバッテリを使用し得る一方、他のポンプは、再充電可能バッテリを使用し得る。そのようなポンプの動作は、生命維持のために必須であり得るため、それらは、概して、バッテリバックアップを具備する。したがって、ポンプの動作バッテリ寿命(例えば、バッテリ電源を使用している間、ポンプが動作中のままであり得る時間の長さ)が、その効率によって限定されるため、デバイスの効率が、重要因子となる。
【0006】
歩行可能な点滴ポンプのサイズおよび電力消費量を最小限にする一方、ポンプ機構の動作寿命(例えば、バッテリ寿命)を最大限にするための複数の必要性が存在する。具体的には、特に歩行可能な点滴ポンプのための点滴ポンプの動作寿命(例えば、バッテリ寿命)を延ばし、より軽い構成要素、より軽いポンプを作製するために、既存のポンプよりも少ない量の力を伴う、IV管セット等のポンプ導管を閉塞することができる、ポンプを提供するための必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要約)
本発明は、多方向公差制御を通した、閉塞力低減を伴う、点滴ポンプを提供する。本ポンプは、ポンプ機構の必要な閉塞力を低減させるために、誘導特徴および集力部を含み、これは、点滴ポンプの動作寿命(例えば、バッテリ寿命)を有利に延ばす。
【0008】
本明細書に説明される主題の側面は、単独で、または本明細書に説明される、1つ以上の他の側面と組み合わせて、有用であり得る。本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第1の側面では、点滴ポンプ機構は、モータと、複数のポンプフィンガと、対向するプレートとを含む。複数のポンプフィンガの各フィンガは、本体部分と、ヘッド部分とを含む。ヘッド部分は、ポンプ機構内に配設される管と接触し、それを閉塞するように構成される、先端を含む。対向するプレートは、複数の集力部を伴う、アンビルを含む。複数の集力部のうちのある集力部は、複数のポンプフィンガのうちの個別のポンプフィンガに対応する。加えて、集力部は、管と接触し、それを閉塞するように構成される集力表面を含む。集力部は、個別のポンプフィンガの先端と整合され、それによって、フィンガが、管に向かって指向され、管と接触するとき、先端および集力部は両方とも、管の反対側に圧力を提供し、少なくとも部分的に管を閉塞する。
【0009】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第2の側面では、機構は、点滴ポンプの一部である。
【0010】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第3の側面では、点滴ポンプは、歩行用の点滴ポンプである。
【0011】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第4の側面では、各フィンガは、誘導レールを含み、対向するプレートは、対応する誘導溝を含む。
【0012】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第5の側面では、各フィンガは、誘導溝および誘導チャネルのうちの少なくとも1つを含み、対向するプレートは、対応する誘導レールを含む。
【0013】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第6の側面では、対向するプレートは、複数のポンプフィンガの各ポンプフィンガに対応する、誘導チャネルを含む。
【0014】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第7の側面では、誘導チャネルは、個別のポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形される。加えて、誘導チャネルは、対応する集力部に向かって、個別のポンプフィンガの先端を指向するために、ポンプフィンガを整合するように構成される。
【0015】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第8側面では、各フィンガは、誘導レールを含み、対向するプレートは、対応する誘導溝を含み、対向するプレートは、誘導チャネルを含む。
【0016】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第9の側面では、誘導チャネルは、個別のポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形される。加えて、誘導溝は、対応する集力部に向かって、個別のポンプフィンガの先端を指向するために、個別の誘導レールの少なくとも一部分を受容するように、サイズ指定および成形される。
【0017】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第10の側面では、各個別の集力部は、弾性材料から作製される。
【0018】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第11の側面では、各個別の集力部は、非圧縮性材料である。
【0019】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第12の側面では、点滴ポンプは、電源と、ポンプ機構と、ポンプ導管を伴う、点滴管セットとを含む。ポンプ機構は、少なくとも1つのポンプフィンガと、少なくとも1つの集力部を伴う、対向するプレートとを含む。少なくとも1つのポンプフィンガは、本体部分と、ヘッド部分とを含む。加えて、ヘッド部分は、ポンプ導管と接触し、それを閉塞するように構成される先端を含む。少なくとも1つの集力部は、前記少なくとも1つのポンプフィンガと軸方向に整合され、少なくとも1つの集力部は、少なくとも1つのポンプフィンガの先端の反対のポンプ導管と接触し、それを閉塞するように構成される集力表面を含む。
【0020】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第13の側面では、点滴ポンプは、歩行用の点滴ポンプである。
【0021】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第14の側面では、少なくとも1つのポンプフィンガは、誘導チャネルおよび誘導溝のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第15の側面では、対向するプレートは、誘導チャネルおよび誘導溝のうちの少なくとも1つに対応する、誘導レールを含む。
【0023】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第16の側面では、少なくとも1つのポンプフィンガは、誘導レールを含む。
【0024】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第17の側面では、対向するプレートは、誘導レールに対応する、誘導溝を含む。
【0025】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第18の側面では、対向するプレートは、少なくとも1つのポンプフィンガに対応する、少なくとも1つの誘導チャネルを含む。
【0026】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第19の側面では、少なくとも1つの誘導チャネルは、少なくとも1つのポンプフィンガの一部分を受容するように、サイズ指定および成形され、誘導溝は、対応する集力部に向かって、個別のポンプフィンガの先端を指向するために、誘導レールを受容するように、サイズ指定および成形される。
【0027】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第20の側面では、少なくとも1つの集力部は、弾性材料から作製される。
【0028】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第21の側面では、少なくとも1つの集力部は、非圧縮性である。
【0029】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第22の側面では、ポンプ導管は、管を備える。
【0030】
本明細書に説明される、任意の他の側面とともに使用され得る、第23の側面では、ポンプ導管は、ケイ素膜を含む。
【0031】
したがって、点滴ポンプのために、改良された動作寿命(例えば、バッテリ寿命)を提供することが、本発明の一次目標である。
【0032】
より軽い点滴ポンプを結果としてもたらす、より軽い構成要素を伴う、点滴ポンプを提供することが、本発明の別の目的である。
【0033】
管閉塞を支援するために、整合および誘導する特徴を提供することが、本発明のさらなる別の目的である。
【0034】
点滴ポンプにおいて、管閉塞に対して要求される力を低減させることが、本発明の別の目的である。
【0035】
開示された点滴ポンプの付加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明および図において説明され、そこから明らかであろう。本明細書に説明される、特徴および利点は、包括的ではなく、特に、多くの付加的な特徴および利点は、図および説明を考慮して、当業者にとって明らかであろう。また、任意の特定の実施形態は、本明細書に列挙される利点の全てを有する必要はない。さらに、明細書内で使用される用語は、主に、可読性および指導的目的のために選択されており、本発明の主題の範囲を限定しないことを留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、本開示の例示的実施形態による、ポンプ機構の部分的な側面図である。
【0037】
図1B図1Bは、本開示の例示的実施形態によるポンプ導管を伴う、図1Aのポンプ機構の部分的な側面図である。
【0038】
図1C図1Cは、本開示の例示的実施形態による、別のポンプ機構の部分的な側面図である。
【0039】
図2A図2A、2B、および2Cは、本開示の例示的実施形態による、例示的ポンプフィンガの透視図である。
図2B図2A、2B、および2Cは、本開示の例示的実施形態による、例示的ポンプフィンガの透視図である。
図2C図2A、2B、および2Cは、本開示の例示的実施形態による、例示的ポンプフィンガの透視図である。
【0040】
図3A図3Aは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートの部分的な透視図である。
【0041】
図3B図3Bは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートおよびポンプフィンガの部分的な透視図である。
【0042】
図3C図3Cは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートおよびポンプフィンガの部分的な透視図である。
【0043】
図3D図3Dは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートの部分的な透視図である。
【0044】
図3E図3Eは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートおよびポンプフィンガの部分的な透視図である。
【0045】
図3F図3Fは、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートの部分的な透視図である。
【0046】
図4図4は、本開示の例示的実施形態による、対向するプレートおよびポンプフィンガの部分的な上面図である。
【0047】
図5A図5Aは、本開示の例示的実施形態による、例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
【0048】
図5B図5Bは、本開示の例示的実施形態による、別の例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
【0049】
図6A図6A、6B、6C、および6Dは、本開示の例示的実施形態による、例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
図6B図6A、6B、6C、および6Dは、本開示の例示的実施形態による、例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
図6C図6A、6B、6C、および6Dは、本開示の例示的実施形態による、例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
図6D図6A、6B、6C、および6Dは、本開示の例示的実施形態による、例示的対向するプレートおよびポンプフィンガの断面図である。
【0050】
図7A図7Aは、本開示の例示的実施形態による、平形の対向するプレートを伴う、ポンプ機構の部分的な側面図である。
【0051】
図7B図7B、7C、および7Dは、本開示の例示的実施形態による、異なる例示的集力部を伴う、ポンプ機構の部分的な側面図である。
図7C図7B、7C、および7Dは、本開示の例示的実施形態による、異なる例示的集力部を伴う、ポンプ機構の部分的な側面図である。
図7D図7B、7C、および7Dは、本開示の例示的実施形態による、異なる例示的集力部を伴う、ポンプ機構の部分的な側面図である。
【0052】
図8図8は、本開示の例示的実施形態による、ポンプ負荷データのグラフを図示する。
【0053】
図9図9は、本開示の例示的実施形態による、圧送力データのグラフを図示する。
【0054】
図10図10A、10B、および10Cは、本開示の例示的実施形態による、レール、溝、およびチャネルのための種々の表面外形(例えば、平形、尖形、丸形)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(例示的実施例の詳細な説明)
下記の開示は、所定の分量で、流体(例えば、薬剤または栄養)を患者に送達するために使用される、点滴ポンプ等の点滴送達システムに関する。点滴ポンプは、歩行可能なポンプであってもよい。歩行可能なポンプのサイズおよび電力消費量を最小限にする一方、ポンプ機構の動作寿命を最大限にするために、本明細書に開示される、システムおよび技法は、IV管セット等のポンプ導管が、最小限の力で閉塞されることを可能にする。最小限の力で管セットを閉塞することは、ポンプのより長期的な可搬性のために、歩行可能なポンプにとって特に重要である。より長期的な可搬性は、典型的には、歩行可能な点滴ポンプのためのより小さいポンプサイズと関連付けられ、したがって、モータおよびポンプ機構は、他のタイプの点滴ポンプよりも小さな空間的制約(例えば、空間の小さな外被)に制限される。
【0056】
図1Aは、IV管セットが装填されてない、ポンプ機構100を図示する。図示される実施例では、ポンプ機構100は、ポンプ機構100のポンプ区分110を形成する、10個の機構フィンガ120a-nを含む。ポンプ機構100はまた、対向するプレート130(例えば、カセットバックプレート、アンビル、ドア)を含む。
【0057】
図1Bは、IV管セット140が装填されている、図1Aのポンプ機構100を図示し、これは、機構フィンガ120a-nのうちのいくつかによって変形されている。図示される実施例では、機構フィンガ120aおよび120nは、ポンプ区分110内の2つの異なる場所で、管140等のポンプ導管を閉塞する。管140以外の他のポンプ導管が、使用されてもよいことを理解されたい。例えば、ポンプ導管は、流動チャネルに可撓性膜を提供してもよい。ある実施例では、可撓性膜またはポンプ導管の別の部分は、シリコン、PVC、または他のエラストマから作製されてもよい。
【0058】
図1Cは、IV管セットが装填されてない、ポンプ機構100を図示する。図示される実施例では、ポンプ機構100は、ポンプ機構100のポンプ区分110を形成する、10個の機構フィンガ120a-nを含む。ポンプ機構100はまた、対向するプレート130(例えば、カセットバックプレート、アンビル、ドア)を含む。図1Cに図示される実施例では、対向するプレート130は、集力部を含み、これは、下記により詳細に説明される。
【0059】
図2Aおよび2Bに図示されるように、各フィンガ120は、本体部分210と、ヘッド部分220とを含んでもよい。ヘッド部分220は、集力部としての役割を果たす、先端230を含んでもよい。例えば、フィンガ120の本体部分210は、フィンガ120の第1の端部215から、ヘッド部分220の始まりまで、一定の断面積を有してもよい。ヘッド部分220内で、断面積は、ヘッド部分が、先端230に到達するまで狭くなるにつれて、減少し得る。ヘッド部分220が狭くなることは、先端230または集力特徴をフィンガ120上に作成する。図示された実施例では、フィンガ120はまた、カセット上の対応する誘導溝内に嵌合し、その中で移動させるように適合される、誘導レール240a-bを含む。(図3A、3B、3C、3D、5A、および5B参照)。
【0060】
代替実施形態はまた、対向するプレート130(またはフィンガ120以外の他の構成要素)内にレール、およびフィンガ120内に溝を含んでもよい。例えば、対向するプレート130は、誘導レール240a-bに類似する、誘導レールを含んでもよく、フィンガは、誘導溝320および誘導チャネル360に類似する、誘導溝および/または誘導チャネルを含んでもよい。
【0061】
図2Aでは、誘導レール240a-bは、フィンガ120の長さ全体に沿って延在する。各誘導レール240は、付加的な誘導突起部または止め具250a-bを含む。付加的な誘導突起部または止め具250a-bは、IV管の実質的な圧縮に先立って、各フィンガ120と予め整合するように適合されてもよい。加えて、誘導突起部または止め具250a-bは、限定された空間の面積において、誘導レール240のために延在される整合経路を提供してもよい。別の実施例では、誘導突起部または止め具250a-bは、X方向に、フィンガ120の運動を限定するように適合されてもよい(図5A、5B、および6A参照)。X方向に、フィンガ120の運動を限定することは、IV管セット(または他のポンプ導管)の寿命を延ばし、フィンガ120が、管を過剰閉塞しない、または閉塞された状態を達成するために必要なものよりも深く、管140内に圧接しないことを確実にし得る。図2Bでは、誘導レール240a-bは、フィンガ120の長さの一部分に沿って延在する。誘導レール240a-bの長さ全体を減少させることによって、各フィンガ120の質量および重量は、各フィンガ120を移動させるための電源および力の量を有利に低減させ得る。図2Bでは、誘導レール240a-bは、ヘッド部分220内のフィンガ120の側面に沿って延在する。
【0062】
図2Cでは、誘導レール240a-bは、フィンガ120の第1の端部215により近接して(例えば、X方向に沿って下側)、フィンガ120の長さの一部分に沿って延在する。図2Cに図示される、誘導レール240a-bの位置は、対向するプレート130以外の構成要素との整合を提供してもよく、これは、フィンガ120と対向するプレート130との間で異なる構成要素を伴う代替構成において、整合および/またはシーリングを有利に提供する。例えば、付加的な誘導突起部または止め具250a-bは、各フィンガ120と、フィンガ120と対向するプレート130との間の構成要素との間でシールを作成するように適合されてもよい。加えて、誘導突起部または止め具250a-bは、誘導レール240のために延在される整合経路を提供してもよい。
【0063】
誘導レールおよび溝は、各フィンガ120の先端230と、集力部(図3A-3Fの集力部330参照)を整合させるために、Y-Z平面における平面的な移動を制御する。加えて、下記により詳細に説明されるように、対向するプレート130はまた、圧縮性または非圧縮性であり得る、集力部(図3A-3Fの集力部330参照)を含んでもよい。ある実施例では、圧縮性またはエラストマ集力部が、対向するプレート130に沿って位置付けられてもよく、これは、X方向に、公差補償のための制御を有利に提供する。
【0064】
図3A-3Fに図示されるように、カセット310上の誘導溝320は、個別のヘッド部分220、より具体的には、個別の先端230を、カセット310の背面部130上の個別の集力部330に向かって整合させるために、レール240a-bに誘導を提供する。集力部330の対応する集力表面(例えば、先端部分)に、フィンガ120の先端230を誘導することはまた、IV管140(または他のポンプ導管)を閉塞するために要求される力を低減させる。ある実施例では、誘導溝は、誘導レール240a-bを伴わずに、単独で使用されてもよい。例えば、誘導溝320は、図3Dおよび3E内の誘導チャネル360によってさらに図示されるように、フィンガ120の運動を誘導するために、ヘッド部分220または本体部分210のいずれかを収容するように、サイズ指定および成形されてもよい。他の実施例では、フィンガ誘導レール240および関連付けられるフィンガ誘導溝320は両方とも、各フィンガの先端230を対応する集力部330と予め整合するために使用されてもよい。加えて、誘導チャネル360は、フィンガ120のための付加的な整合を提供するために、誘導溝320とともに使用されてもよい。いくつかの場合では、誘導溝および/または誘導チャネルは、要求される閉塞力を最小限にするために、フィンガ120が、集力部330に向かって前進するにつれて、先端230の適切な最終的な整合を確実にするように、一斉に動作させてもよい。
【0065】
図3Aおよび3Bは、誘導溝320の2つの異なる形状を伴って、実施例を図示する。誘導溝320は、対向するプレート(例えば、平坦なバックプレート)130または個別の集力部330に最近接する、開放端340および終端部350を有してもよい。誘導溝320は、終端部350に接近するにつれて狭くなる、より大きな開放端340を伴う、三角形であってもよい。誘導溝は、開放端340の反対の溝の底部に向かって互いに接近する、角度付けられた側方壁322、324を有してもよい。
【0066】
カセットはまた、誘導チャネル360を含んでもよい。例えば、図3C、3D、および3Eは、誘導チャネル360を伴うカセット310を図示する。誘導チャネル360は、フィンガ120が、管140(または他のポンプ導管)を閉塞するために移動するにつれて、フィンガ120のヘッド部分220を整合および誘導し得る。いくつかの実施例では、カセットは、誘導溝320または誘導チャネル360のうちの1つを使用してもよい。誘導溝320と同様に、誘導チャネル360は、チャネルが、対向するプレート130または個別の集力部330に接近するにつれて狭くなる、三角形の形状であってもよい。誘導チャネル360は、チャネルの底部に向かって互いに接近する、角度付けられた側方壁362、364を有してもよい。他の実施例では、誘導溝320および誘導チャネル360は両方とも、フィンガ120のための複数の整合モードを提供するために、(図3Cおよび3D内に図示されるように)カセット310上に含まれてもよい。
【0067】
図3Cに図示される実施例では、誘導チャネル360は、フィンガ120のヘッド部分220の形状に対応する、三角形の形状であってもよく、それによって、フィンガ120が、集力部330に向かって前進する。誘導溝320および誘導チャネル360の両方のアプローチ角は、フィンガ120(および対応する誘導レール240)と、誘導溝320および/または誘導チャネル360との間の摩擦を無視できるように最適化されてもよい。無視できるほどの摩擦を提供するために、フィンガ120、誘導レール240、誘導溝320、および/または誘導チャネル360の外縁は、丸形であってもよい。さらに、表面322、324、362、および364は、最小限の摩擦を伴う誘導を提供するために、丸形または尖形であってもよい。平形表面、尖形表面、および丸形表面の実施例が、図10A、10B、および10Cにそれぞれ図示される。
【0068】
図示された実施例では、整合先端または誘導止め具250は、誘導溝320の開放端に進入する。例えば、整合先端または誘導止め具250は、初期整合先端として、および後に、X方向にフィンガ120の運動を限定するための誘導止め具250としての両方の役割を果たしてもよい。ポンプフィンガが、対向するプレート(例えば、カセットプレートまたはドアプレート)に向かって移動し続けるにつれて、より大きな誘導レール240もまた、Y-Z平面において、ポンプフィンガ120の適切な整合を提供する、誘導溝320に進入する。いくつかの実施例では、フィンガ120のヘッド部分220はまた、個別の誘導チャネル360によって、Y-Z平面に誘導および整合される。誘導チャネル360および誘導レール320は両方とも、フィンガの先端230が、集力部330の対応する集力表面(例えば、先端部分)と整合されることを確実にするために、フィンガ120を整合させてもよい。先端230と集力部330の対応する集力表面(例えば、先端部分)との間に延在する、垂直なX平面において、管140(または他のポンプ導管)を閉塞することは、管閉塞のための2つの狭い表面を提供する。各狭い表面(例えば、先端230および集力部330の対応する集力表面(例えば、先端部分))は、管140(または他のポンプ導管)に、同一量の押圧力に対して、より多くの閉塞圧力を提供する。例えば、閉塞のために要求される、管壁に対する圧力が、その力を提供する面積で割った力であるため、より狭い表面は、同一量の印加された力に対して、より高い圧力を提供する。
【0069】
図3Eでは、フィンガ120は、誘導レールを伴わずに提供されるが、誘導チャネル360が、フィンガ120全体を整合および誘導し、それによって、フィンガ120の先端230は、集力部330に向かって指向され、それと整合する。
【0070】
上記に議論されるように、ポンプ機構100は、フィンガ運動と垂直な公差を補償するために、誘導レール240、整合先端、または誘導止め具250、および/または誘導溝320等の種々の整合特徴を含んでもよい。例えば、誘導レール240が、(運動の)フィンガ方向に垂直な平面(例えば、図2Aおよび2Bに図示される、Y-Z平面)における、システム公差を最小限にするために、各機構フィンガ120に対して提供されてもよい。誘導レール240を提供することは、公差の差異が最小限にされるため、各フィンガ120の先端230における集力部が、より狭くなることを可能にする。より狭いほど、先端230(例えば、より小さな表面積を伴う先端)は、管140に対して圧接されるとき、より高い圧力を提供する。誘導レール240を伴わない場合、フィンガ120は、システム内の公差の範囲を補償するために、より広い先端230を伴う、比較的平坦な集力部を要求し得る。例えば、誘導レール240等の誘導要素を伴わない場合、先端230は、システム内の公差の範囲を補償するために、幅1.5mmであってもよい。逆に言えば、誘導要素は、0.75mmまたはそれ未満の幅を有する、先端を可能にし得る。
【0071】
集力部330は、非弾性または弾性であってもよい。エラストマ集力部は、フィンガ運動の軸(例えば、図2Aおよび2B内のX方向)に沿って、公差を有利に補償する。例えば、X方向(例えば、フィンガの動作または運動の方向)において、公差の影響を最小限にするために、エラストマ集力部330が使用され得、それによって、エラストマ集力部330が圧縮されると、集力部330は、スプリングとして動作し、累積公差を吸収する。エラストマ集力部330はまた、エラストマが、典型的には、数回のポンプサイクル後に「固化」し、したがって、累積公差を補償するために、より少ない圧縮を要求するであろうため、結果として生じるポンプサイクルにおけるエネルギー要件を低下させ得る。
【0072】
図4は、対向するプレートおよびポンプフィンガの部分的な上面図を図示する。図5Aおよび5Bは、図4の断面図A-Aに関する2つの異なる実施例を図示し、異なる誘導溝320の幾何学形状、ならびに異なる整合先端または誘導止め具250の幾何学形状を示す。図6Aおよび6Bは、図4の断面図B-Bに関する2つの異なる実施例を図示し、図5Aおよび5Bと同様に、異なる誘導溝320の幾何学形状、ならびに異なる整合先端または誘導止め具250の幾何学形状を示す。例えば、図5Aおよび6Aは、図3Aに図示される構成と類似する、構成に対応する。同様に、図5Bおよび6Bは、図3Bに図示される構成と類似する、構成に対応する。
【0073】
図6Cは、図4の断面図B-Bに関する実施例を図示し、(図3Eにおける構成と同様に)誘導チャネル360のみを伴う構成を示す。図6Dは、図4の断面図B-Bに関する実施例を図示し、(図3Cにおける構成と同様に)誘導溝320および誘導チャネル360の両方を伴う構成を示す。
【0074】
図5Aおよび6Aに図示されるように、整合先端250は、IV管の実質的な圧縮に先立って、各フィンガ120を予め整合するように適合されてもよい。加えて、整合先端250は、限定された空間の面積内に、誘導レール240のために延在される整合経路を提供し得る。
【0075】
別の実施例では、整合先端または誘導止め具250は、フィンガ120の運動をX方向に限定するために、誘導溝320の終端部350において、最底部に達してもよい。逆転防止装置、またはX方向におけるフィンガ120の運動の限界を提供することは、フィンガ120の先端230と、集力部330上の集力表面(例えば、先端部分)との間に所定の隙間高さを提供する。所定の隙間高さ(H)390は、管140(または他のポンプ導管)の材料、寸法、壁厚、材料の性質、システム力等のうちの1つ以上に基づいてもよい。例えば、より厚い管壁を伴う管140は、より大きな隙間高さ(H)390を有し得る。同様に、より厚い膜を伴うポンプ導管は、より大きな隙間高さ(H)390を有し得る。
【0076】
図7A、7B、7C、および7Dは、フィンガ120および対向するプレート130の4つの異なる配置を図示する。図7Aに図示される実施例では、ポンプ機構100は、フィンガ120が、対向するプレート(例えば、平坦なバックプレート)130に対して、管140を圧接するにつれて、管140を閉塞する。対向するプレートは、カセットプレートまたはドアの一部であってもよい。図7Bでは、ポンプ機構はまた、フィンガ120が、対向するプレート130に向かって移動するとき、管140の閉塞を支援する、集力部(例えば、集力部330a)も利用する。集力部330aは、対抗するフィンガ120と類似する形状を有し、平坦なベース部分740もまた含み得る。
【0077】
図7Cでは、ポンプ機構は、管140(または他のポンプ導管)の閉塞を支援する、集力部(例えば、集力部330b)を利用する。本構成では、集力部330bは、ポンプに改良された洗浄性を提供し得る、丸形または曲線状のベース部分440に流入する。同様に、図7Dでは、ポンプ機構は、フィンガ120が、バックプレート130に向かって移動するときに管140の閉塞を支援する、集力部(例えば、集力部330c)を利用する。集力部330cの外形、および丸形または曲線状のベース部分は、改良された洗浄性を提供する一方、システムの公差適応もまた改良する。
【0078】
各集力部330は、集力部の高さ(H)720および集力表面(例えば、先端部分)(W)の幅710を有し得る。幅(W)710は、図7Bおよび7Cに図示される構成においては、より小さく、これは、管140(または他のポンプ導管)上により多くの圧力を提供し得るが、付加的な整合特徴を要求する、または同等の圧力下において、力を低下させ得る。
【0079】
ある実施例では、集力部330は、対向するプレート130に接続される、またはその上部に着座する、別個の構成要素であってもよい。別の実施例では、集力部330は、単一の構成要素として、対向するプレート130内に統合されてもよい。上記に議論されるように、集力部330は、エラストマ系または非エラストマ系であり得る。
【0080】
図7B、7C、および7Dに図示されるように、集力部330は、異なる表面外形および幾何学形状を有してもよい。図7Bに図示される実施例では、集力部330aは、ヘッド部分220の形状を模倣し、それによって、ヘッド部分220の先端230は、先端または集力部330aの集力表面(例えば、先端部分)と衝合する。図7Dに図示される集力部330cは、より平坦な集力表面(例えば、先端部分)を含み、これは、公差の差異を考慮することに役立ち得る。例えば、集力部330c上に、より平坦かつより広い集力表面(例えば、先端部分)を提供することによって、集力部330cの集力表面(例えば、先端部分)と整合する、ヘッド部分220の先端230の尤度は、増加する。
【0081】
加えて、ポンプ機構は、集力部220およびベース部分に対して、他の表面外形を含んでもよい。いくつかの実施例では、図7A-7Dに図示される表面外形の代替パターンまたは組み合わせが、使用されてもよい。対向するプレート130上のレールまたは誘導およびフィンガ120上の誘導チャネルまたは溝等、フィンガ120および/または集力部330の他の形状および構成が可能である。加えて、図7A-7Dに図示されるように、集力部330は、フィンガ120と比較して、異なる形状および表面外形であってもよい。異なるサイズ、形状、および表面外形は、種々のカセット公差の改良を提供し得る。
【0082】
図7Aに図示されるように)集力部を伴わない場合、フィンガ力(F)は、対向するプレートまたはアンビル上の力(F)と等しい(例えば、F=F)。中実プラスチック集力部を伴う場合、フィンガ力(F)は、対向するプレート上の力(F)から、集力部によって低減された力(F)を差し引いたものと等しい(例えば、F=F-F)。エラストマ集力部を伴う場合、フィンガ力(F)は、対向するプレート上の力(F)から、集力部によって低減された力(F)ならびにエラストマ集力部によって低減された力(F)を差し引いたものと等しい(例えば、F=F-F-F)。
【0083】
上記の整合機構はそれぞれ、管140(または他のポンプ導管)を部分的または完全に閉塞するために要求される力の量の低減を支援する。加えて、整合機構は、ポンプストローク毎の改良された一貫性に起因して、ポンプ機構の流率の正確度を改良する。例えば、各ポンプ運動中に、ポンプフィンガ120を整合することによって、寸法的な差異および公差は補償され、これは、各ポンプ運動と一致する結果を作成し、したがって、ポンプ動作毎の薬剤変位量の改良された一貫性を提供する。
【0084】
(サンプルデータ)
図8は、フィンガ力の公差補償の影響を図示するグラフである。(例えば、図1Aまたは図7Aに図示される設計に対応する)完全に平坦な対向するプレート130またはアンビルは、データセット「1A」によって描写される、IV管140を閉塞するために、(例えば、1Cに図示される設計に対応する)集力部330を伴う対向するプレート130よりも多くの力を要求した。(例えば、1Cに図示される設計に対応する)先端230を伴う集力部330は、データセット「1C」に描写される、管140を閉塞するために、より少ない力を要求した。典型的には、7Bに図示される設計に対応する外形を伴う(例えば、狭い集力表面幅を伴う)集力部330は、管を閉塞するために最も少ない量の力を要求する。7Bに図示される設計に対応する外形を伴う(例えば、より広い集力表面幅を伴う)集力部330は、管140を閉塞するために、より狭い集力表面幅を有する集力部330(例えば、尖形または鋭端集力部)よりも多くの力を要求するが、完全に平坦な対向するプレート130またはアンビルよりも少ない力を要求し得る。
【0085】
図8に図示されるように、誘導要素(例えば、誘導レール240および対応する誘導溝320)を伴わない場合、(図7Aに図示されるような)平坦な対向するプレート130または集力部330c上のより平坦かつより広い集力表面(例えば、先端部分)のいずれかが、累積公差を補償するために要求され得る。しかしながら、平坦な対向するプレート130または集力部330c上のより広い集力表面(例えば、先端部分)を使用することによって、システム公差を補償することは、管140を閉塞するために必要とされる力または充填の増加を結果としてもたらす。逆に言えば、整合および誘導要素(例えば、誘導レール240および対応する誘導溝320)を用いて、寸法的な差異を最小限にし、公差を考慮することによって、フィンガ120上のより狭く、より鋭利な先端230、ならびに集力部330上のより鋭利かつより狭い集力表面は、ポンプ機構100内に充填される、管140を閉塞するために要求される力の量を低減させるために使用され得る。
【0086】
図9は、異なる圧縮サイクルに基づいて、IV管140を閉塞するための力のプロットを図示する。平坦な対向するプレート130(図1A参照)ならびに集力部を伴う、対向するプレート130(図1C参照)の両方に対して、3つの異なる圧縮サイクル(例えば、サイクル1、サイクル3、およびサイクル5)にわたって、閉塞力が記録された。データセット「1A」は、図1Aに図示される、ポンプ機構構成に対応し、データセット「1C」は、図1Cに図示される、ポンプ機構構成に対応する。集力部330は、図9に図示されるプロット上に示されるように、IV管圧縮力を低減させる。いくつかの場合では、IV管圧縮力は、集力部330を使用するとき、平坦な対向するプレート130(図1A参照)と比較して、50パーセントまたはそれを上回る率で低減させられ得る。上記に議論されるように、図1Cに戻って参照すると、集力部330は、機構フィンガ120の反対の場所のカセット内に位置する。
【0087】
図8および9に図示されるように、集力部330は、IV管圧縮力を低減させる(例えば、約50パーセント)。圧縮力の低減は、(i)より低いシステムの力およびトルクに起因する、ポンプ構成要素の摩耗の低減、(ii)より低いシステムの力およびトルクに起因する、ポンプ構成要素の信頼性の改良、および(iii)モータ電力の必要性の低減に起因する、バッテリ寿命の延長等、他のポンプの利点に直接つながる。
【0088】
本開示の多くの特徴および利点が、文書化された説明から明らかであり、したがって、添付の請求項は、本開示の全てのそのような特徴および利点を網羅することが意図される。さらに、多数の修正および変更が、当業者にとって容易に想起されるであろうため、本開示は、図示および説明されるような正確な構築および動作に限定されない。したがって、説明される実施形態は、例示的かつ非制限的なものとして捉えられるべきであり、本開示は、本明細書内に与えられる詳細に限定されるべきではなく、以下の請求項およびその同等物の全範囲によって、現在または将来において、予測可能または予測不可能であるかどうかにかかわらず、定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A-3B】
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
【国際調査報告】