(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】動力工具用の塵埃収集装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20230615BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20230615BHJP
B01D 46/72 20220101ALI20230615BHJP
B01D 46/76 20220101ALI20230615BHJP
A47L 9/10 20060101ALI20230615BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
B01D46/52 Z
B01D46/72
B01D46/76
A47L9/10 D
B25F5/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570099
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2021065239
(87)【国際公開番号】W WO2021254818
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ウト プランク
【テーマコード(参考)】
3B062
3C011
3C064
4D058
【Fターム(参考)】
3B062AG01
3C011BB03
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064BA01
3C064BA03
3C064BA11
3C064BA12
3C064BA31
3C064BB82
3C064CB82
4D058JA12
4D058MA02
4D058SA20
(57)【要約】
本発明は、動力工具用の塵埃収集装置に関し、前記塵埃収集装置は、ラメラフィルタと回転可能なシャフトとを有する。フィルタのラメラは、塵埃収集装置の塵埃収集部内でシャフトの回転運動によって軸方向に移動させることができ、軸方向運動は、その後、フィルタラメラがシャフトの解放手段の領域に到達すると中断される。解放手段は、ラメラがその元の位置に戻ることを可能にし、ラメラは、その元の位置に戻った結果、揺さぶられ、それゆえ、フィルタの清掃プロセスにつながる。本発明は、そのような塵埃収集装置を有する動力工具、及びその動力工具を動作させ、フィルタを清掃する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具用の塵埃収集装置(1)であって、前記塵埃収集装置(1)は、塵埃を収容するための収集容器(2)を有し、
ラメラ(4)を有するフィルタ(3)と回転可能なシャフト(5)とが前記収集容器(2)内に配置されており、前記フィルタ(3)の前記ラメラ(4)は、前記シャフト(5)の回転運動によって元の位置から軸方向運動(6)で出ることができ、前記シャフト(5)は、前記ラメラ(4)が前記ラメラ(4)の元の位置に戻ることを可能にする解放手段(7)を有し、前記フィルタ(3)は、前記ラメラ(4)が前記ラメラ(4)の元の位置に戻ることによって清掃される
こと、を特徴とする塵埃収集装置。
【請求項2】
前記シャフト(5)はスクリューシャフトであり、羽根(11)を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の塵埃収集装置。
【請求項3】
前記シャフト(5)は、解放手段(7)として平坦部を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の塵埃収集装置。
【請求項4】
前記収集容器(2)は回転式ハンドル(8)を有し、前記回転式ハンドル(8)は、前記シャフト(5)を回転させるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の塵埃収集装置。
【請求項5】
前記回転式ハンドル(8)は、前記収集容器(2)のハウジング(9)に存在する、
ことを特徴とする請求項4に記載の塵埃収集装置。
【請求項6】
前記フィルタ(3)は、前記塵埃収集装置(1)の前記収集容器(2)の入口領域(10)に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の塵埃収集装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の塵埃収集装置(1)を有する、ことを特徴とする動力工具。
【請求項8】
塵埃排出システムを含み、前記塵埃排出システムは空気流を発生させるように構成されており、前記空気流によって塵埃が除去される、ことを特徴とする請求項7に記載の動力工具。
【請求項9】
動力工具を動作させ、フィルタ(3)を清掃する方法であって、以下の工程、
a)請求項7又は8に記載の動力工具を動作させる工程であって、前記動力工具の動作中に生じた塵埃は空気流によって除去される工程、
b)前記空気流からの前記塵埃をフィルタ(3)で濾過する工程、
c)塵埃収集装置(1)上の回転式ハンドル(8)を作動させることにより前記フィルタ(3)の清掃を開始する工程であって、前記塵埃収集装置(1)内のシャフト(5)は、前記回転式ハンドル(8)を作動させることによって回転される工程、
d)前記シャフト(5)の回転運動を前記フィルタ(3)のラメラ(4)の軸方向運動(6)に変換する工程であって、前記フィルタ(3)の前記ラメラ(4)は前記軸方向運動(6)によって元の位置を離れる工程、
e)前記ラメラ(4)が前記シャフト(5)の解放手段(7)の領域に到達すると、前記フィルタ(3)の前記ラメラ(4)を前記ラメラ(4)の元の位置に戻す工程、そして
f)前記ラメラ(4)を前記ラメラ(4)の元の位置に戻すことによって前記フィルタ(3)を清掃する工程、
からなる、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記動力工具の動作中に生じた前記塵埃は、前記塵埃収集装置(1)の収集容器(2)内に収集される、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具用の塵埃収集装置に関し、塵埃収集装置は、ラメラフィルタ及び回転可能なシャフトを有する。フィルタのラメラは、塵埃収集装置の収集容器内で、シャフトの回転運動によって軸方向運動させることができ、軸方向運動は、フィルタラメラがシャフトの解放手段の領域に到達すると中断される。解放手段は、ラメラがその元の位置に戻ることを可能にし、ラメラがこの元の位置に戻るとラメラが振動し、フィルタの清掃につながる。更なる態様では、本発明は、提案する塵埃収集装置を有する動力工具、並びに動力工具を動作させ、フィルタを清掃する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力工具で作業すると生じる塵埃を内部塵埃排出システムによって排出することができる動力工具は、従来技術において周知である。収集した塵埃は、例えば、動力工具内の塵埃収集装置内に溜めることができるか又は装置が空にされるまで収集され得る。塵埃排出システムを有する動力工具は、空気流から石及び/又は塵埃粒子を分離するために、フィルタ、特に、小型フィルタを有し得る。これらのフィルタは、多くの場合、ラメラを有するフィルタである。本発明において、これらは、好ましくは、「ラメラフィルタ」と呼ばれる。これらのフィルタは、塵埃又は粗い汚物で容易に目詰まりする可能性があり、塵埃排出システムが性能を損なうこと又は排出路の詰まりにつながる可能性があることなどの不都合があることが経験から示されている。特に、望ましくないフィルタの目詰まりは、塵埃収集装置の充填容量を最適に使用できないことを意味し得る。
【0003】
従来技術において、動力工具の塵埃収集装置内のフィルタを清掃することができる様々な方法が知られている。これらのプロセスのほとんどは機械的な清掃プロセスであり、いくつかの欠点がある。例えば、従来技術においては、フィルタを清掃するためにフィルタのラメラを掃くことが提案されている。しかしながら、このために使用される掃き装置は、収集装置が塵埃で満たされている場合にはもはや動くことができないということが起こり得る。このことは、フィルタ清掃システムの機能性を阻害する可能性があり不都合である。更に、ダストボックスが塵埃で部分的に又は完全に満たされている場合に、塵埃収集装置の個々の構成要素の破損が起こり得る。従来技術においては、例えば、スクレーパ、スライド、又はブラシが掃き装置として知られている。
【0004】
更に、従来技術では、塵埃収集装置全体を叩くことを提案している。しかしながら、この、ダストボックス全体を叩くことは、多くの場合、塵埃収集装置又はその構成要素の機械的な故障につながる。既知の解決策において、塵埃収集装置を叩くことは、収集容器のハウジングに主に作用し、多くの場合、フィルタの十分な清掃につながらない。
【0005】
従来技術から知られる別の清掃オプションは、反対の空気流を使用してフィルタに「吹き付ける」ことである。吸引空気流の流れの方向は、空気流がフィルタ内を短時間にわたって流れるように、この場合、負圧をオフにする又は低減することによって反転される。その方向は、吸引の場合の通常の流れの方向と反対である。しかしながら、反対の空気流によるフィルタ清掃は、特に、塵埃又は石の大きな塊が流路に詰まっている場合には、所望の効果に役立たない又は至らないことが示されている。これは、一般に、反対の空気流は、通常、詰まった塵埃又は石の塊を流路から取る又は解放するほど十分に強くないからである。反対の空気流による清掃の別の欠点は、負圧を中断したときに塵埃排出も中断しなければならないことである。この清掃期間中、動力工具の使用者は、動力工具で作業しているときに発生する塵埃の全量に曝される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、塵埃収集装置内のフィルタの清掃を向上させるための装置を提供することである。更に、本発明は、塵埃収集装置が設けられる動力工具、並びにその動力工具を動作させる方法又はその動力工具内の塵埃収集装置内のフィルタを清掃する方法を示すことを目的とする。本発明は、上述の従来技術の欠点及び欠陥を克服すること、特に、動力工具の塵埃収集装置内のフィルタの効率的且つ効果的な清掃を可能にすることを目的とする。清掃は、例えば、動力工具の流路に詰まった塵埃又は石の塊を解放するために十分に強くすべきである。清掃に関連する機械的ストレスがフィルタ及びその周囲の構成要素の領域に限定され、特に、ハウジングに作用しなければ、当業者に歓迎されるであろう。更に、本発明においては、柔軟さのない及び/又はメンテナンスが発生しやすい掃き装置の使用を不要にすることが可能なはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項に記載の要旨によって達成される。独立請求項の要旨に関連する有利な態様は、従属請求項に記載されている。
【0008】
この目的は、動力工具用の塵埃収集装置であって、塵埃を収容するための収集容器を有する塵埃収集装置によって達成される。塵埃収集装置は、ラメラを有するフィルタと回転可能なシャフトとが収集容器内に配置されており、フィルタのラメラは、シャフトの回転運動によって元の位置から軸方向運動させることができ、シャフトは、ラメラがその元の位置に戻ることを可能にする解放手段を有し、フィルタは、ラメラがその元の位置に戻ることによって清掃されることを特徴とする。この点において、本発明は、ラメラフィルタの清掃オプションを提示し、ラメラフィルタは動力工具内の塵埃を含む空気流を濾過することができる。コンパクトで機械的な使いやすい構造により、本発明は、動力工具用の特に頑丈でメンテナンスの少ないダストボックスを有利に提供する。試験では、本発明は、特に、特別な掃き装置、ダストボックス全体を叩くこと、又は空気の逆噴射なしで管理され、フィルタ清掃の費用対効果の高い技術的解決策であること、が示された。したがって、提案する塵埃収集装置は、従来技術から周知のそのような解決策とは別の、動力工具の塵埃収集装置のフィルタの清掃の領域を切り開くものである。
【0009】
本発明において、シャフトとフィルタ又はそのラメラは互いに形状同志の嵌合により係合していることが好ましい。フィルタのラメラと回転可能なシャフトとの間のこの少なくとも一時的な接触により、シャフトの回転運動をフィルタ又はフィルタラメラの軸方向運動に変換することができる。軸方向運動は、シャフトの中心軸に実質的に平行に起こることが好ましい。「実質的に平行」という用語は、当業者にとって不明瞭な用語ではない。なぜなら、当業者であれば、この表現が、シャフトの軸方向に実質的に平行なフィルタラメラの運動を意味し、正確な数学的平行からのわずかなずれは許容できることを知っているからである。
【0010】
本発明において、シャフトは、螺旋状にプロファイル加工されたスクリュー表面又はネジ部を好ましくは有し、スクリュー表面は、フィルタのラメラと係合することができることが特に非常に好ましい。本発明において、シャフト上の螺旋状に形成されたスクリュー表面又はネジ部の存在は、シャフトが羽根(turns)を有すると述べることで表現することもできることが好ましい。シャフトのスクリュー表面とフィルタのラメラとの間の接触により、シャフトが回転すると、ラメラがシャフトの軸方向に移動することが可能になる。シャフトは、動力工具の収集容器内に実質的に水平に配置されていることが好ましく、回転式グリップを使用して外側から回転させることができる。この回転は、フィルタのラメラを軸方向運動させることができるシャフトのその回転運動に相当する。特に、フィルタの個々のラメラはシャフトの羽根によって運ぶことができるため、シャフトの回転運動は、フィルタの個々のラメラの軸方向運動に変換される。回転式ハンドルは、例えば、ねじなどの締結手段によってシャフトに締結され得る。特に、提案する塵埃収集装置はハウジングを有することができ、回転式ハンドルは、例えば、ハウジングの凹部に回転自在に取り付けることができる。ハウジングは、互いに接合されて塵埃収集装置のハウジング全体を形成することができる2つの構成要素半片からなることができる。ハウジング又はその2つの構成要素半片は、動力工具の動作時に発生する塵埃を収集することができる閉じた中空又は内部空間を有利に形成する又は内包する。提案する塵埃収集装置は、特に、動力工具の構成要素として設計され得る。本発明において、提案する塵埃収集装置は、好ましくは、「ダストボックス」又は「塵埃除去モジュール」と呼ばれ得る。
【0011】
塵埃が動力工具の動作中に生じた場合、この塵埃は、同じく動力工具の一部であり得る塵埃排出システムによって排出することができる。この目的のため、塵埃排出システムは、動力工具の作業領域から塵埃を除去することができる空気流を発生させることができる負圧を発生させることができる。塵埃を含む空気流は、塵埃収集装置の方向に案内されることが好ましい。塵埃収集装置は開口部を有することが好ましく、空気流は、開口部を通って塵埃収集装置に入ることができる。本発明において、塵埃収集装置のこの開口部又は入口領域内にフィルタが存在することが好ましい。動力工具が長時間動作する場合、又は空気流が非常に多くの塵埃を含む場合、フィルタの目詰まりが起こり得る。この場合、例えば、固体のフィルタケーキが形成され、排出システムが吸引力を失い、吸引路が詰まることになる可能性がある。更に、目詰まりしたフィルタにより、塵埃収集装置又はその収集容器の性能が最適に使用されないことになる可能性があり得る。
【0012】
有利には、本発明は、フィルタの迅速且つ効果的な清掃の可能性を提供することができる。本発明において、清掃プロセスは、塵埃収集装置の回転式ハンドルを作動させることによって開始されることが好ましい。シャフトは、回転式ハンドルを作動させることにより、塵埃収集装置の収集容器内で回転されることが好ましい。本発明において、シャフトは、フィルタのラメラ又はフィルタラメラの間の自由空間と係合することができるスクリュー表面を有することが好ましい。スクリュー表面を有するシャフトの構成により、シャフトは、本発明において、好ましくは、搬送シャフト又はスクリューシャフトとも呼ばれ得る。換言すると、本発明において、シャフトがスクリューシャフトの形態を取り、羽根を有することが好ましい。本発明において、シャフトの回転運動は、フィルタのラメラの軸方向運動に変換できることが好ましい。これは、特に、シャフトの羽根がフィルタのラメラ又はフィルタラメラの間の自由空間と形状同志の嵌合により係合できることによって起こる。換言すると、羽根は、フィルタラメラの間の空間に係合することができ、シャフトの繰り返しの回転中に、ラメラはその羽根によって進められる又は案内されることになる。本発明において、ラメラのこの進みは「軸方向運動」と呼ばれる。軸方向運動は、
図1に二重矢印として示されている。
【0013】
回転運動の開始前、ラメラは、シャフト又はその羽根に対して元の又は最初の位置にある。軸方向運動の結果、フィルタラメラは、特に、シャフトの軸方向に沿って、その最初の位置から出る。例えば、水平方向におけるその軸方向運動により、ラメラは、長さdだけ右又は左に移動することができる。したがって、長さdは、ラメラとその最初の位置との間の距離を好ましくは表す。本発明において、各ラメラは独自の元の位置を有することが好ましい。例えば、シャフトは、3~10個の羽根を有することができる。5つの羽根を有するシャフトが本発明の目的に特に適していることが示されている。本発明において、シャフトの羽根数は、フィルタのラメラ数と相関関係にあることが好ましい。本発明において、この相関関係は、シャフトの羽根数がフィルタのラメラの数と同じであることを意味し得る。しかしながら、本発明において、フィルタのラメラの数がシャフトの羽根数よりも1つ多いことが特に非常に好ましい。このことは、有利には、各シャフトの羽根がフィルタラメラの間の空間に係合し、シャフトの回転運動中に、各シャフトの羽根とともにラメラを運ぶことを可能にする。これは、シャフトの軸方向運動を好ましくは発生させ、フィルタを跳ね返らせ、清掃する。換言すると、本発明において、シャフトはn個の羽根を有し、フィルタはn+1個のラメラを有することが好ましい可能性がある。本発明において、シャフトのネジ部のピッチはラメラを隔てる距離に対応することが特に非常に好ましい。
【0014】
本発明において、シャフトは解放手段を含むことが好ましい。これらの解放手段は、平坦部の形態を取ることができる。換言すると、シャフトは、解放手段として平坦部を有することができる。好ましくは、平坦部は、形態が平坦又は平らである表面領域の形態を取ることができ、好ましくは、シャフトの各羽根に対して1つの平坦部が提供されている。平坦部の形態を取る解放手段を有するシャフトの1つの可能な態様が
図3に示されている。特に、平坦部は、羽根のサブ領域内において羽根を外側で遮断することができる。本発明において、シャフトの平坦部がフィルタのラメラの上方に位置しているときに、フィルタのラメラがその元の位置に戻ることが好ましい。これは、本発明において、ラメラの進みが平坦部の領域において終了し、ラメラが、形態が好ましくは平らな平坦部によってもはや保持されないことで、その本来の最初の状況に跳ね返る又は反発することができることを好ましくは意味する。跳ね返り又は急な反発は、好ましくは、フィルタラメラを振動させ、塵埃又はフィルタケーキを解放する及び/又はラメラを揺さぶることができる。特に、振動により、フィルタラメラ又はフィルタの効果的且つ効率的な清掃を可能にする。
【0015】
本発明において、ラメラがシャフトの平坦部の領域に到達すると、フィルタのラメラはシャフト又はその羽根から解放されることが好ましい。解放により、ラメラがその以前の位置に跳ね返る又は反発することが可能になる。ほとんどの場合、この律動的な運動は、その後、有利には、ラメラの振動につながり、これにより、目詰まりした又は詰まったフィルタの塵埃又はフィルタケーキを解放することができる。特に、回転可能なシャフトとフィルタの有利な相互作用によって清掃効果がもたらされる。
【0016】
本発明において、収集容器は、シャフトを回転させることができる回転式ハンドルを有することが好ましい。換言すると、本発明において、回転式ハンドルは、シャフトを回転させるように設計されていることが好ましい。この回転運動は、特に、好ましくは、動力工具の使用者による手動での作動によって起こり得る。本発明の代替的な態様では、シャフトが駆動手段によって駆動されることも好ましい場合がある。この目的のため、スイッチによって作動又は作動停止させることができる電動機が提供され得る。本発明の代替的な態様では、このスイッチは、塵埃収集装置のハウジング上の、本発明の「手動実施形態」において回転式ハンドルが設けられる領域内に配置され得る。しかしながら、人間工学的な理由から、スイッチは様々な他の位置にも配置することができる。
【0017】
本発明は、好ましくは、動力工具の作業領域からの塵埃除去の技術分野内に位置づけられる。動力工具の作業領域は、好ましくは、動力工具によって行われる作業が実施される領域である。これは、大部分は、工具の助けを得て行われる。動力工具が例えばハンマードリルである場合、工具は、例えば、穿孔又は削り工具によって形成され得る。動力工具の工具としての穿孔又は削り工具が機械加工される基材と接触する領域は、本発明において、好ましくは、「動力工具の作業域」と呼ばれる。本発明において、本発明によって好ましくは収集される塵埃は、この作業領域内で発生することが好ましい。この目的のため、動力工具は、塵埃排出システムを含むことができる。本発明において、塵埃排出システムは、空気流又は負圧を発生させて、その動作中に動力工具の作業域内に生じ得る塵埃を空気流により吸い出すように設計された装置であることが好ましい。
【0018】
本発明は、第2の態様では、動力工具の作業領域から粒子を除去するための塵埃排出システムを有する動力工具に関する。特に、動力工具は、提案する塵埃収集装置を有することになっている。動力工具は、ラメラを有するフィルタと回転可能なシャフトとが塵埃収集装置の収集容器内に配置されており、フィルタのラメラは、シャフトの回転運動によって元の位置から移動させることができ、シャフトは、ラメラがその元の位置に戻ることを可能にするように設計された解放手段を有し、ラメラがその元の位置に戻ることにより、ラメラを振動させることを特徴とする。この振動がフィルタの清掃につながることは、提案する塵埃収集装置の顕著な利点である。
【0019】
本発明において、動力工具は、塵埃排出システムを含み、塵埃排出システムは空気流を発生させるように構成されており、空気流によって塵埃が除去されることが好ましい。塵埃排出システムは、特に、動力工具の作業領域から塵埃を排出できるようにするために使用される。この目的のため、動力工具の塵埃排出システムは、負圧を発生させ、更に、空気流を発生させるように構成されていることが好ましい。この空気流によって、塵埃を、動力工具の作業域から除去し、塵埃収集装置の方向に案内することができる。空気流の流路が動力工具内に好ましくは設けられており、この流路を通して、空気流が作業領域から塵埃収集装置に案内される。動力工具の動作中に生じた塵埃は、塵埃収集装置の収集容器内に好ましくは収集され得る。塵埃収集装置に入ると、本発明において、空気流は濾過されることが好ましい。この目的のため、塵埃収集装置又は塵埃収集装置の収集容器の入口領域にフィルタが設けられ得る。フィルタはラメラを有し、ラメラの主な利点は、フィルタの表面を拡大することによりフィルタのフィルタ性能が上がることである。これにより、空気流を特に効果的に濾過することが可能になり、比較的粗い塵埃粒子が解放される。
【0020】
本発明において、フィルタは、提案する塵埃収集装置の収集容器に導かれる空気流から塵埃及び/又は塵埃粒子を濾過するように構成されていることが特に非常に好ましい。換言すると、本発明において、フィルタは収集容器の入口領域に存在することが好ましく、この入口領域内の空気流は、好ましくは、収集容器に通じている。収集容器の入口領域は、塵埃、粒子及び/又は石片をまだなお完全に含む空気流が収集容器に入る収集容器の領域であることが好ましい。これらの比較的粗い塵埃粒子を空気流から濾過することにより、提案する塵埃収集装置の機能性を向上させることができ、その耐用寿命を延長することができる。
【0021】
更なる態様では、本発明は、動力工具を動作させ、フィルタを清掃する方法に関する。当該方法は、以下の方法工程、すなわち、
a)提案する動力工具を動作させる工程であって、動力工具の動作中に生じた塵埃は空気流によって除去される、工程、
b)空気流からの塵埃を濾過する工程、
c)塵埃収集装置上の回転式ハンドルを作動させることによりフィルタの清掃を開始する工程であって、塵埃収集装置内のシャフトは、回転式ハンドルを作動させることによって回転される、工程、
d)シャフトの回転運動をフィルタのラメラの軸方向運動に変換する工程であって、フィルタのラメラは軸方向運動によって元の位置を離れる、工程、
e)ラメラがシャフトの解放手段の領域に到達すると、フィルタのラメラをその元の位置に戻す工程、そして
f)ラメラをその元の位置に戻すことによってフィルタを清掃する工程、
からなる、ことを特徴とする。
【0022】
提案するフィルタ清掃方法に関して、塵埃は、動力工具の塵埃排出システムによって動力工具の作業領域から吸い出すことができることが好ましい。これは、特に、塵埃排出システムによって空気流を発生させ、空気流によって動力工具の作業領域から塵埃を除去することができることで達成される。塵埃は、塵埃収集装置の収集容器内に収集されることが好ましく、空気流は、収集容器に入るときにフィルタを通過する。動力工具が長時間動作する場合、又は空気流が非常に多くの塵埃を含む場合、フィルタの目詰まりが起こり得る。例えば、いわゆるフィルタケーキがフィルタ内に形成される可能性がある。この状況において、本発明は、フィルタの清掃を開始することを有利に可能にし、フィルタ清掃は、特に、塵埃収集装置の外側の回転式ハンドルを作動させることにより開始される。例えば、回転式ハンドルは、ハウジングの凹部に回転自在に取り付けることができる。
【0023】
本発明において、シャフトは、回転式ハンドルを作動させることにより、塵埃収集装置内で回転されることが好ましい。好ましくはスクリューシャフトの形態を取るシャフトは羽根を有することができ、羽根は、好ましくは、フィルタのラメラと係合することができる。換言すると、スクリューシャフトはフィルタラメラと形状同志の嵌め合いにより係合することができ、この形状同志の嵌め合いによる係合は、特に、シャフトの羽根とフィルタのラメラとの間におけるものである。本発明において、シャフトの回転運動はフィルタのラメラの軸方向運動に変換され、フィルタのラメラは、軸方向運動の結果、その元の位置を離れることが好ましい。フィルタラメラが解放手段の領域に到達するとフィルタのラメラがその元の位置に戻ることを可能にする解放手段をシャフトが有することは、本発明に必須の特徴である。これは、特に、シャフトの解放手段又は平坦部がフィルタのラメラの上方に位置するときに当てはまる。フィルタは、フィルタのラメラを振動させることにより有利に清掃することができ、振動は、ラメラがその元の位置に戻ることで発生させる。
【0024】
提案する塵埃収集装置に関して記述した定義、技術的効果、及び利点は、操作及び清掃プロセス並びに動力工具にも当てはまる。
【0025】
本発明の更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。図は、本発明の実施例を示している。図面、説明、及び特許請求の範囲は様々な特徴の組み合わせを含んでいる。当業者はまた、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせて、有用な更なる組み合わせを形成するであろう。
【0026】
図では、同一及び類似の構成要素は同じ参照符号で示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】提案する塵埃収集装置の好ましい実施例を示す図(分解組立図)である。
【
図2】閉じた状態の、提案する塵埃収集装置の好ましい実施例を示す図である。
【
図3】羽根と解放手段とを有するシャフトの好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、提案する塵埃収集装置(1)の好ましい実施例の図を示す。特に、
図1は、塵埃収集装置(1)の分解組立図を示す。
図1は、左上から右下に、塵埃収集装置(1)又は収集容器(2)のハウジング(9)の第1の半片、フィルタ(3)及びそのラメラ(4)、並びに解放手段(7)を有するシャフト(5)、塵埃収集装置(1)又は収集容器(2)のハウジング(9)の第2の半片、並びに回転式ハンドル(8)を示す。
【0029】
本発明において、ハウジング(9)の2つの構成要素半片はある体積の空間を内包し、この閉じた体積の空間に塵埃が捕捉され収集され得ることが好ましい。この点において、ハウジング(9)の2つの構成要素半片は、塵埃収集装置(1)の収集容器(2)を好ましくは形成している。収集容器(2)の下部領域は、ベース又はシェルによって形成され得る。フィルタ(3)が配置され得る塵埃収集装置(1)の前側は、収集容器(2)のこの下面から始まって延びることができる。本発明において、塵埃収集装置(1)の前側は、塵埃を含む空気流が通じる、塵埃収集装置(1)の入口領域(10)を形成することが好ましい。特に、フィルタ(3)は、フィルタ受け部内に配置され得る。フィルタ(3)は、ラメラフィルタであることが好ましく、すなわち、ラメラ(4)を有するフィルタ(3)であることが好ましい。
図1に示される本発明の実施例では、フィルタ(3)は、例えば、6つのラメラ(4)を有し、ラメラ(4)の間に5つの空間がある。本発明において、シャフト(5)の羽根(11)は、フィルタ(3)のラメラ(4)の間の自由空間に係合することができることが好ましい。
【0030】
ハウジング(9)の2つの構成要素半片は、このシャフト(5)を収容するための開口部を有することができる。特に、シャフト(5)は、塵埃収集装置(1)内に回転自在に取り付けることができ、シャフト(5)は、特に、回転式ハンドル(8)によって回転され得る。回転式ハンドル(8)は、例えば、外側からアクセス可能であり、動力工具の使用者(図示せず)が手動で作動させることができる。この目的のため、使用者は、特に、回転式ハンドル(8)を回すことができる。回転式ハンドル(8)は、塵埃収集装置(1)のハウジング(9)内に回転自在に取り付けられていることが好ましい。この目的のため、ハウジング(9)又はその構成要素半片の1つは、回転式ハンドル(8)を収容するための凹部を有することができる。回転式ハンドル(8)は、有利には、塵埃収集装置(1)の外側から容易にアクセス可能である。
【0031】
回転式ハンドル(8)を作動させることにより、シャフト(5)を回転運動させる。シャフト(5)の羽根(11)がフィルタ(3)のラメラ(4)又はフィルタ(3)のラメラ(4)の間の自由空間と形状同志の嵌め合いにより係合している場合、シャフト(5)が回転すると、シャフト(5)の羽根(11)はラメラ(4)に沿って進む。ラメラ(4)が羽根(11)によって進められる前に、フィルタラメラ(4)は、最初の又は元の位置にあることが好ましい。羽根(11)によってフィルタラメラ(4)を進めると、フィルタ(3)のラメラ(4)の軸方向運動(6)が生じる。これは
図1に二重矢印として示される。二重矢印は、フィルタ(3)のラメラ(4)が、シャフト(5)の羽根(11)によって進められると、例えば、塵埃収集装置(1)のハウジング(9)の第1の構成要素半片の方向に移動することができることを示す。フィルタラメラ(4)の軸方向運動(6)は、虚軸としてシャフト(5)内に延びる中心軸に実質的に平行に起こることが好ましい。本発明において、フィルタラメラ(4)の進みは、フィルタ(3)のラメラ(4)がシャフト(5)の解放手段(7)の領域内に到達すると終了することが好ましい。解放手段(7)は、例えば、シャフト(5)の羽根(11)の最高点にある平坦面であり得る。好ましくは、シャフト(5)の各羽根(11)はそのような平坦面を有し、本発明において、これらの平坦面は、好ましくは、平坦部と呼ばれる。シャフト(5)の平坦部(7)がフィルタ(3)のラメラ(4)の上方に位置しているときに、フィルタラメラ(4)は解放される。本発明において、これは、フィルタ(3)のラメラ(4)がその最初の位置に跳ね返ることができることを好ましくは意味する。フィルタラメラ(4)のこの復帰運動は、例えば、塵埃収集装置(1)のハウジング(9)の第2の構成要素半片の方向に起こることができ、フィルタ(3)のラメラ(4)のこの反発により、塵埃及びフィルタケーキがラメラ(4)から解放されてフィルタ(3)が清掃されることに有利につながる振動を引き起こすことができる。換言すると、フィルタラメラ(4)がその最初の位置に跳ね返ると、フィルタラメラ(4)は、特に、振動し、塵埃及びフィルタケーキをフィルタ(3)から解放することができる。解放された塵埃又はフィルタケーキは、塵埃収集装置(1)の収集容器(2)に落下し、収集容器(2)が次に空にされるときに廃棄することができる。
【0032】
図2は、閉じた状態における提案する塵埃収集装置(1)の好ましい実施例の図を示す。特に、塵埃収集装置(1)のハウジング(9)の2つの構成要素半片は、塵埃などを収容するように構成された閉じた収集容器(2)を形成するように、互いに接続されている。
図2に示される本発明の実施例では、塵埃収集装置(1)のハウジング(9)の第2の構成要素半片に存在する回転式ハンドル(8)も示され得る。
【0033】
図3は、羽根(11)と解放手段(7)とを有するシャフト(5)の好ましい実施例の図を示す。
図3に示されるシャフト(5)は、特に、シャフト(5)の回転運動をラメラ(4)の軸方向運動(6)に変換するために、フィルタラメラ(4)の間の空間と係合又は相互作用することができる5つの羽根(11)を有する。
図3に示される本発明の実施例では特に平坦部の形態を取る解放手段(7)も
図3に明瞭に見ることができる。特に、
図3では、シャフト(5)の第1、第3、及び第5の羽根(11)に矢印及び参照符号11が提供されている。本発明において、これらの羽根(11)は、好ましくは、ネジ山とも呼ばれ得る。
【符号の説明】
【0034】
1 塵埃収集装置
2 収集容器
3 フィルタ
4 ラメラ
5 シャフト
6 軸方向運動
7 解放手段
8 回転式ハンドル
9 ハウジング
10 入口領域
11 羽根
【国際調査報告】