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特表2023-526638架橋されたセルロース繊維に基づく膜を介して塩分勾配によりエネルギーを生成するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】架橋されたセルロース繊維に基づく膜を介して塩分勾配によりエネルギーを生成するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 14/00 20060101AFI20230615BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20230615BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20230615BHJP
   B01D 71/10 20060101ALI20230615BHJP
   B01D 71/82 20060101ALI20230615BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20230615BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20230615BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20230615BHJP
   B01D 61/28 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
H01M14/00 Z
B01D69/00
B01D71/02
B01D71/10
B01D71/82 500
B01D69/12
H01M50/429
H01M50/489
H01M50/457
H01M50/451
H01M50/443 M
H01M50/446
H01M50/434
B01D61/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570707
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 FR2021050894
(87)【国際公開番号】W WO2021234296
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2005211
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518071486
【氏名又は名称】スウィーチ・エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブルノ・モテ
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ラボリー
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ケチャディ
【テーマコード(参考)】
4D006
5H021
5H032
【Fターム(参考)】
4D006GA13
4D006KA11
4D006KA62
4D006KD30
4D006KE12R
4D006MA03
4D006MA06
4D006MA11
4D006MA21
4D006MA31
4D006MC03
4D006MC05
4D006MC11
4D006MC73
4D006MC74
4D006MC75
4D006MC77
4D006MC78
4D006PA10
4D006PB03
4D006PB04
4D006PB05
4D006PB08
4D006PB27
4D006PC80
5H021CC02
5H021CC04
5H021EE11
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH03
5H032AA08
5H032CC01
5H032CC06
5H032CC16
5H032EE02
5H032EE04
5H032HH01
5H032HH02
5H032HH04
(57)【要約】
本発明は、電気エネルギーを生成するためのデバイスであって、a)溶質の濃度CAを有する電解液(22A)を受けるための、濃度CAを有する電解液と接触している電極(30A)を含む第1のリザーバーA(20A);b)1種の同じ溶質の濃度CBを有する電解液(22B)を受けるための、CBがCAより低く、濃度CBを有する電解液と接触している電極(30B)を含む第2のリザーバーB(20B);c)2つのリザーバーを分離する膜(10)であって、電解質が前記細孔を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする細孔を含む、膜;及びd)2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーを供給することが可能なデバイス(32)を含み、膜が、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料で形成された少なくとも1つの層を含むことを特徴とする、デバイスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを生成するためのデバイスであって、
a)溶質の濃度CAを有する電解液(22A)を受けることを目的とし、濃度CAを有する電解液と接触している電極(30A)を含む第1のリザーバーA(20A);
b)同じ溶質の濃度CBを有する電解液(22B)を受けることを目的とし、CBがCAより低く、濃度CBを有する電解液と接触している電極(30B)を含む第2のリザーバーB(20B);
c)2つのリザーバーを分離する膜(10)であって、電解質が細孔を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする前記細孔を含む、膜;及び
d)2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーを供給することを可能にするデバイス(32)
を含み、膜が、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料で形成された少なくとも1つの層を含むことを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
膜の厚さが2μm~100μmの間、好ましくは2μm~75μmの間である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
膜が、膜1m2当たり10~20gのセルロース系材料、好ましくは膜1m2当たり15~20gのセルロース系材料を含む、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
ナノファイバー及び/又は架橋されたセルロースミクロファイバーが、負に荷電された基及び/又は水の存在下で負荷電となる基、好ましくはスルホネート基-SO3 -、カルボキシル基-CO2 -、アミノジアセテート基-N(CH2CO2 -)2、ホスホネート基PO2 3-;アミドキシム基-C(=NH2)(NOH)、アミノホスホネート基-CH2-NH-CH2-PO3 2-、チオール基-SH、及びこれらの混合物から選択される基で官能化された、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
ナノファイバー及び/又は架橋されたセルロースミクロファイバーが、正荷電基及び/又は水の存在下で正荷電となる基、好ましくは、第四級アンモニウム基-N(R)3 +(RはC1~C4アルキルである)、第三級アンモニウム基-N(H)R)2 +(RはC1~C4アルキル、好ましくはC1アルキルである)、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基-N(C2H4OH)CH3)2 +、及びこれらの混合物から選択される基で官能化された、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
膜が、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料で形成された単層(101)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
膜が、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料でそれぞれ形成された2つの外層(101、103)を含む複合膜であり、外層の間に、荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基で官能化されたナノ粒子を含む第2の材料で形成された内層(102)が配置された、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
外層(101、103)のそれぞれの厚さが有利には2μm~25μmの間であり、内層(102)の厚さが10nm~2μmの間である、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
ナノ粒子がラメラ状ナノ粒子、好ましくは金属酸化物のラメラ状ナノ粒子、遷移金属のダイカルコゲナイドのラメラ状ナノ粒子、例えば、二硫化モリブデンのラメラ状ナノ粒子、炭素のラメラ状ナノ粒子、又はこれらの混合物であり、より好ましくは負に荷電された基又は水の存在下で負荷電となる基により表面が官能化された酸化グラフェンのラメラ状ナノ粒子である、請求項7又は8に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイスを使用して電気エネルギーを生成するための方法であって、以下の工程:
i)リザーバーAに備えられた電極(30A)が電解液(22A)と接触するように、リザーバーA(20A)内に溶質濃度CAを有する電解液(22A)を供給する工程、
ii)リザーバーBに備えられた電極(30B)が電解液(22B)と接触するように、リザーバーB(20B)内に同じ溶質の濃度CBを有する電解液(22B)を供給する工程であって、CBがCAより低い、工程、
iii)電解質が膜(10)を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする工程、
iv)デバイス(32)を使用して、2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーを捕捉する工程
を含む、方法。
【請求項11】
前記電解液が、アルカリハロゲン化物又はアルカリ土類ハロゲン化物から選択される溶質、好ましくはNaCl、KCl、CaCl2及びMgCl2から選択される溶質を含む水溶液であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
濃度比CA/CBが1より大きく、109以下であり、好ましくは1より大きく、105以下であることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
塩分勾配によるエネルギーの生成は、世界的規模で最も大きな可能性を有する再生可能エネルギーの供給源の1つである。
【背景技術】
【0002】
現在考慮されている様々な技術の中でも、逆電気透析(RED)方法は、その基本的特性がこれらの電荷の符号によるイオンの選択的輸送である膜の使用に基づく。REDデバイスは通常、これらの間で塩水と真水が交互に循環している交互のイオン交換膜からなる。これらイオン交換膜(IEM)の間の交互の塩水と真水の循環により、デバイスのそれぞれのIEMにおいてイオン流出が確立することが可能となる。この膜のスタックの終端部において、電極は全部のイオン流出により生成される電流を収集する。
【0003】
塩分勾配から発電するためのデバイス、例えば、電流REDデバイスが遭遇する問題の1つは、これらデバイスの発電能力が非常に低いことであり、これは、電流膜が発生させる膜の単位面積当たりの電力(すなわち膜電力)が数W/m2(膜)であるという事実による。
【0004】
特に、IEMによるイオン電流の伝導は弱く、逆電気透析システムに対して重要なオーム的貢献を有する。更に、これらの膜の調製は非常に多額の費用がかかり、この理由により、膜による方法の保守投資の大部分がこれらの膜の補充に当てられる。
【0005】
この問題に対する手法は、2014年4月24日にWO2014/060690号で公開された国際出願に提示されている。この手法では、その細孔の内側の表面が窒化ホウ素又はより一般的には、ホウ素、炭素及び窒素等の要素の混合物で覆われているナノ多孔質膜が提案されている。これらナノ多孔質膜は細孔内での拡散-浸透現象を利用し、kW/m2の程度の膜電力を発生する。より最近では、その細孔の内側の表面が酸化チタンで覆われ、5kW/m2程度の膜電力に到達するのを可能にするナノ多孔質膜が、2017年3月9日にWO2017/037213号で公開された国際出願において提供されている。しかし、この手法は窒化ホウ素又は酸化チタンに基づく膜の使用を含み、実験室スケールより大きなスケールでのその調製は、必要とされる材料を考慮すると、複雑で、極めて多額の費用がかかる。更に、これらの膜に使用されている材料は潜在的に有害であり、これらが環境に放出された場合、危険性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2014/060690号
【特許文献2】WO2017/037213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、前述を考慮すると、非汚染的、経済的電気エネルギーの生成を可能にし、膜1平方メートル当たりkW/m2程度のエネルギー生成を得ることを可能にするデバイスに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークで形成される層を含む膜を含む、塩分勾配からの電気エネルギーを生成するためのデバイスは、膜1平方メートル当たりkW/m2程度のエネルギー生成を得ることを可能にすることを発明者らは発見した。
【0009】
このような膜の使用はまた、塩分勾配によるエネルギーの生成のため、及びそのコストを減少させるためのより大規模なデバイスの開発を促進することを可能にする。
【0010】
よって、本発明の目的は、高い膜電力を発生することが可能な塩分勾配により、及び経済的に、容易に調製され、更に環境に対する危険性が限定されている膜を使用して、エネルギーを生成するためのデバイスを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
デバイス
本発明の第1の目的は、
電気エネルギーを生成するためのデバイスであって、
- 溶質の濃度CAを有する電解液(22A)を受けることを目的とし、濃度CAを有する電解液と接触している電極(30A)を含む第1のリザーバーA(20A);
- 同じ溶質の濃度CBを有する電解液(22B)を受けることを目的とし、CBがCAより低く、濃度CBを有する電解液と接触している電極(30B)を含む第2のリザーバーB(20B);
- 2つのリザーバーを分離する膜(10)であって、電解質が前記細孔を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする細孔を含む、膜;及び
- 2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーを供給することを可能にするデバイス(32)
を含み、膜が架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料で形成された少なくとも1つの層を含むことを特徴とする、デバイスである。
【0012】
本発明による電気エネルギー生成デバイスは、膜10により分離されている2つのリザーバー(それぞれリザーバーA(20A)及びリザーバーB(20B))を含む。2つのリザーバーA及びBのそれぞれは、同じ溶質のそれぞれの濃度CA及びCBの電解液(22A、22B)を受けることを目的とし、これらの中に電極30A及び30Bは浸漬されている。2つの電極(30A、30B)は、生成された電気エネルギーの捕捉次いで供給を可能にするデバイスに連結している。
【0013】
膜を介してイオン流出を生成するために、電解液(22A、22B)の同じ溶質の濃度CA及びCBは必ず異なる。
【0014】
本発明の文脈では、CBはCAより低く、これがリザーバーAからリザーバーBへの溶質イオンの循環をもたらすと恣意的に考えられている。
【0015】
2つのリザーバーA及びBを分離している膜(10)は、電解質が前記細孔を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする細孔を含む。拡散はリザーバーAからリザーバーBへと生じる。細孔は、水分子と溶質イオンの両方が循環することを可能にするような平均断面積を有する。
【0016】
膜の厚さは、有利には2μm~100μmの間、好ましくは2μm~75μmの間である。
【0017】
膜は有利には、膜1m2当たり10~20gのセルロース系材料、好ましくは膜1m2当たり15~20gのセルロース系材料を含む。
【0018】
電極(30A、30B)は、電解液(22A、22B)中に部分的に又は完全に浸漬することができる。電極がリザーバーの壁の少なくとも一部分であるという形態を提供することもまた可能である。
【0019】
デバイス(32)は、2つの電極(30A)及び(30B)の間に存在する電位差により自然に生成される電気エネルギーの捕捉次いで供給を可能にする。デバイス(32)は電池、バルブ又は他の任意の電気需要形態に連結している簡単なケーブルからなることができる。
【0020】
本発明によるデバイスにおいて、電気エネルギーは、電解質の移動、より具体的には前記電解質から生成したイオンの、膜の材料の気孔を介した、これらの表面特性、特にこれらの表面電荷の影響下における、最も濃縮された溶液から、あまり濃縮されていない溶液への移動を引き起こす、電解液の同じ溶質の濃度CA及びCBの差異のおかげで生成される。
【0021】
発明者らは、完全に予想外に、ナノファイバー及び/又はセルロースに基づく膜が、塩分勾配の作用下で、数100W/m2(膜)程度という非常に高い膜電力を発生させることを発見した。
【0022】
特定の理論に拘束されることを望むことなく、発明者らは、予期せぬ膜電力は、ナノファイバー及び/又はセルロースの表面電荷、並びにこれらが形成するネットワークの形状により決定され、これらによって、膜を介した非常に良好な選択的イオン伝導性が可能となると考える。
【0023】
特に、更に発明者によると、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワーク内の多孔性及び電荷表面の電荷は、膜を介したイオンの選択的通過に予想外に影響を与え、よって膜が予期せぬ膜電力を発生させることを可能にする。
【0024】
膜の細孔の内部の壁の表面電荷密度は、有利には0.001~3C/m2の間、好ましくは0.1~1C/m2の間である。
【0025】
膜の表面電荷密度は線量測定により測定することができる。
【0026】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー
本発明によると、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーに関する「架橋された」という用語は、前記ファイバーが、セルロース系マトリックス形態で3次元ネットワークを形成するために共有結合の化学結合(時には「ブリッジ」と呼ばれる)により互いに連結していることを意味する。言い換えると、これらは弱い結合を介して単に凝集しているだけでも、自己集合しているだけでもない。
【0027】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーの架橋に関与している共有結合の化学結合はまた、例えば、使用されている架橋剤がクエン酸である場合等には、荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基を保持することができる。この場合、架橋の化学結合は、外層(101、103)の構造及び表面電荷の両方においてある役割を果たす。
【0028】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークは有利には10~1000nmの間の直径を有する細孔を有する。
【0029】
本発明によると、セルロース「ナノファイバー」という表現は、3つの外部寸法のうちの2つがナノメートルスケール(すなわち3つの寸法のうちの2つは1~100nmの範囲)であり、3番目の外部寸法が他の2つの寸法より有意に大きいが、必ずしもナノメートルスケールではないセルロースベースの3次元物体を意味する。
【0030】
セルロースナノファイバーは、有利には、1~100nmの範囲、好ましくは1~70nmの範囲、より好ましくは4~30nmの範囲、特に4~20nmの範囲の直径を有する。更に、これらの長さは有利には0.5~100μmの間、特に0.5~50μmの間、例えば、0.5~10μmの間、例えば、更に、0.5~2μmの間である。
【0031】
本発明によると、セルロース「ミクロファイバー」という表現は、3つの外部寸法のうちの2つがミクロメートルスケール(すなわち3つの寸法のうちの2つは0.1~1μmの範囲)であり、3番目の外部寸法が他の2つの寸法より有意に大きい3次元物体を意味する。
【0032】
セルロースミクロファイバーは有利には、100~1000nmの範囲、好ましくは100~700nmの範囲、より好ましくは100~200nmの範囲の直径を有する。更に、これらの長さは有利には0.5~100μmの間、特に1~50μmの間、例えば、1~10μmの間、例えば更に、1~5μmの間である。
【0033】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、有利には、有利には30より大きい、好ましくは100より大きい形状因子を有する。
【0034】
有利には、セルロース系材料はセルロース系材料の質量に対して、少なくとも90質量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー、少なくとも95質量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー、より好ましくは更に少なくとも99%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む。
【0035】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、当業者に公知の技術により、特に天然起源のリグノセルロース材料、例えば、木材の機械的、酵素的又は化学的処理により得ることができる。
【0036】
木材の場合、これらの処理は、セルロースを、木材の他の構成物質、例えば、リグニン及びヘミセルロースから分離するという特定の作用を有する。この目的のために、天然セルロースファイバーは、化学的に、特に酵素を用いて化学的に、及び/又は機械的に前処理又は後処理して、ホモジナイザー内での機械的な処理前に構造破壊を開始する。前記材料のセルロースファイバーのサイズ及び特に直径は、天然セルロースの供給源に施す処理に応じてモジュレートすることができることは公知である。
【0037】
よって、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、木材ファイバーの機械的処理により得ることができ、機械的処理を行うことで、ミクロフィブリルを一緒に保つ水素結合を少なくとも部分的に破壊することにより、天然セルロースのファイバーを破裂するのに十分な機械的エネルギーが得られる。機械的処理は多くの場合、化学的又は酵素的処理工程に続いて行われる。例えば、この処理工程は、酸化処理、特に酸化剤、例えば、TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシ)を使用した酸化処理であることができる。こうして得た生成物は、多くの場合、文献において「ナノフィブリル化セルロース」(「NFC」と略記)、「セルロースナノファイバー」(「CNF」と略記)又は「ミクロフィブリル化セルロース」(「MFC」と略記)と呼ばれる。
【0038】
一般的に、MFC材料は、NFCを得るために使用されているものよりも規模の小さい機械的及び/又は化学的な処理から調製され、一般的にNFCにおいて観察される直径より大きな直径を有するファイバーを有する。しかし、MFC及びNFC/CNFの明白な定義はなく、よってこれらの用語は文献において多くの場合交換可能なように使用されている。
【0039】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは好ましくはナノセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーである。
【0040】
セルロース系材料は、特に最大5質量%のヘミセルロース、より好ましくは最大3質量%のヘミセルロース、さもなければ最大1質量%のヘミセルロースを含み得る。
【0041】
セルロース系材料は特に最大5質量%のリグニン、より好ましくは最大3質量%のリグニン、さもなければ最大1質量%のリグニンを含み得る。
【0042】
セルロースモノマーはこれらのC2、C3又はC6炭素原子においてアルコール基を自然に保持するという事実により、本発明のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは負の表面電荷を内因的に保持する。
【0043】
一実施形態では、本発明のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーの内因性の負の表面電荷は、負荷電基及び/又は水の存在下で負荷電となる基を用いてこれらを官能化することにより増加させることができる。本実施形態は、内層(102)の官能化したナノ粒子の荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基が負の符号を有する場合、特に有利である。実際に、これは本発明の複合膜全体の表面電荷を増加させるという利点を有する。
【0044】
ミクロファイバー及び/又はナノファイバーにより保持されている荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基は、有利には前記セルロースミクロファイバー及び/又はナノファイバーの表面に共有結合方式で化学的に結合している。
【0045】
当業者に公知の、本発明のミクロファイバー及び/又はセルロースナノファイバーの電荷密度の増加を可能にする任意の荷電基及び/又は後者の水の存在下で荷電される基を、本発明の範囲で使用することができる。
【0046】
有利には、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーにより保持されている荷電基及び/又は負に荷電された水の存在下で荷電される基は、スルホネート基-SO3 -、カルボキシル基-CO2 -、カルボキシアルキル基R-CO2 -(RはC1~C4、好ましくはC1アルキルである)、アミノジアセテート基-N(CH2CO2 -)2、ホスホネート基PO3 2-;アミドキシム基-C(=NH2)(NOH)、アミノホスホネート基-CH2-NH-CH2-PO3 2-、チオール基-SH、及びこれらの混合物から選択される。
【0047】
カルボキシル基-CO2 -及びカルボキシアルキル基R-CO2 -(RはC1~C4、好ましくはC1アルキルである)が好ましい。
【0048】
よって、-CO2 -カルボキシル基(すなわち酸化されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー)を保持するセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、例えば、セルロースのナノファイバー及び/又はミクロファイバーの酸化、例えば、TEMPO酸化により得ることができる。酸化は、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのモノマーのC6炭素原子により保持されている第1級アルコール基上で優先的に生じる。
【0049】
カルボキシアルキル基R-CO2 -を保持するセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー(すなわちカルボキシルアルキル化セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー)は、例えば、セルロースナノファイバー及び/ミクロファイバーのエーテル化により得ることができる。エーテル化は、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのモノマーのC2、C3又はC6炭素原子により保持されているアルコール基上で優先的に生じる。
【0050】
別の実施形態では、本発明のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーの内因性の負の表面電荷は、正の電荷を有する荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基でこれらを官能化することにより逆転することができる。
【0051】
内層(102)の官能化したナノ粒子の荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基が正の符号を有する場合、この実施形態が好ましい。
【0052】
当業者に公知の任意の荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基並びにセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー上に正の表面電荷を付与することを可能にすることは、本発明の文脈で使用することができる。
【0053】
有利には、正荷電基及び/又は水の存在下で正荷電となる基は、第四級アンモニウム基-N(R)3 +(RはC1~C4アルキルである)、第三級アンモニウム基-N(H)R)2 +(RはC1~C4アルキル、好ましくはC1アルキルである)、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基-N(C2H4OH)CH3)2 +、及びこれらの混合物から選択される。
【0054】
第四級アンモニウム基が好ましい。
【0055】
単層膜
第1の実施形態では、本発明は、その膜が上で定義されたようなセルロース系材料で形成された単層(101)を含む、本発明によるデバイスに関する。
【0056】
発明者らは驚くことに、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークで形成された単層(101)を含む膜が、驚くことに、従来の技術の膜と比較して高い膜電力の発生を可能にし、産業開発に適合していることを示した。
【0057】
単層(101)を含む膜の厚さは、有利には、2μm~50μmの間、好ましくは5μm~20μmの間、より好ましくは10μm~20μmの間である。
【0058】
本発明では、膜の厚さ及び異なる層の厚さは、乾燥膜の断面の走査型電子顕微鏡法により測定される。
【0059】
単層膜を調製するための方法
単層を含む膜は、
i)セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む溶液を、濾過支持体上で濾過して、ナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む層を形成する工程;
ii)工程i)で得た層のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを架橋することが可能な架橋溶液を濾過する工程;
iii)工程ii)の生成物を、好ましくはオーブン内で乾燥させる工程;
iv)濾過支持体を除去して、層を含む膜を得る工程
を含む方法により簡単に調製することができる。
【0060】
本方法は、簡単、容易に実行され、経済的であり、複合膜の各層の厚さを制御することが可能である。
【0061】
本方法で使用されているセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、本発明の第1の目的で定義されている通りである。
【0062】
工程i)及びii)の濾過は有利には、真空ポンプを用いて、好ましくは1バールの真空下で行われる。
【0063】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーの溶液は、0.1重量%~1重量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー、好ましく0.3重量%~0.6重量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む。
【0064】
工程i)の溶液のナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、本発明の第1の目的において詳述されたように官能化することができる。
【0065】
工程ii)で導入された架橋溶液は有利には、0.005M~0.02Mの1種又は複数の架橋剤、好ましくは0.008M~0.012Mの1種又は複数の架橋剤を含む。
【0066】
上記に詳述されているように、架橋剤は荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基を優先的に保持する。
【0067】
当業者に公知の任意の他の技術、不連続的(すなわち、バッチ式)又は連続的に関わらず、例えば、膜が連続的に生成され、次いでロールの形態で保存される「ロールツーロール法」技術と呼ばれる技術が考慮され得る。
【0068】
複合膜
第2の実施形態では、デバイスは、それぞれが上で定義されたようなセルロース系材料で形成された2つの外層(101、103)を含む複合膜を含み、その間に、荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基で官能化したナノ粒子を含む第2の材料で形成された内層(102)が配置されている。
【0069】
第2の材料は有利には、10~100nmの間の直径を有する細孔を有する。
【0070】
発明者らは予想外に、このような複合膜が、上で定義されたような単層(101)を含む膜の膜電力より有意に更に高い膜電力を発生することを発見した。
【0071】
特定の理論に拘束されることなく、発明者らは、膜電力におけるこの改善は、一方では、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークの特性と、他方では荷電基で官能化したナノ粒子の層の特性との間の相乗効果によるものであると考える。複合膜の厚さは、有利には、好ましくは4μm~100μmの間、より好ましくは4μm~75μmの間である
【0072】
外層(101、103)のそれぞれの厚さは、有利には2μm~45μmの間、好ましくは2μm及び30μmの間である。前記外層は有利には同じ厚さを有する。それに対して、内層(102)の厚さは有利には10nm~2μmの間、10nm~1μm、10nm~800nm、好ましくは10nm~400nmの間、好ましくは200nm~500nmの間である。
【0073】
好ましくは、外層(101、103)のそれぞれの厚さは、有利には、2μm~25μmの間であり、内層(102)の厚さは10nm~2μmの間である。
【0074】
発明者らによると、内層(102)の極めて薄い厚さは、イオンの選択性伝導性を有意に増加させながら、優れた浸透率を得ることを可能にする。
【0075】
好ましくは、膜は、セルロース系材料の重量に対して、10重量%未満の第2の材料、好ましくはセルロース系材料の重量に対して、2重量%~8重量%の間の第2の材料、より好ましくは第1の材料の重量に対して、3重量%及び5重量%の間の第2の材料を含む。
【0076】
本実施形態では、外層(101、103)のセルロース系材料は、内層(102)の統合性、特にその使用の間、後者が膜のいずれかの側で圧力勾配等の応力に供される間、統合性を確保する。
【0077】
好ましくは、外層(101、103)のナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、荷電基又は水の存在下で荷電される基を保持し、前記基は有利には、内層(102)の官能化したナノ粒子の荷電基又は水の存在下で荷電される基の符号と同じ符号の電荷を有する。
【0078】
これは、全膜の表面電荷を増加させるという利点を有する。
【0079】
発明者らによると、膜の内層(102)及び外層(101、103)内の同じ符号を有するこれら荷電基又は水の存在下で荷電される基の存在により、相乗効果を得ること、すなわち膜を介したイオン選択性伝導性において予期せぬ改善を得ることが可能となる。
【0080】
したがって、本実施形態では、セルロース系材料は、膜の構造及びイオン選択性伝導性を確実にするその能力においてある役割を果たす。
【0081】
更に、ナノファイバー及び/又はミクロファイバーの架橋に関与している共有結合の化学結合はまた、例えば、使用されている架橋剤がクエン酸である場合等には、荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基を保持することができる。この場合、架橋の化学結合は、外層(101、103)の構造及び表面電荷の両方においてある役割を果たす。
【0082】
官能化したナノ粒子
本発明によると、「ナノ粒子」という用語は、少なくとも1つの外部寸法がナノメートルスケール(すなわち少なくとも1つの寸法が1~100nmの間の範囲)に位置する3次元物体を意味する。
【0083】
第2の材料は有利には、個々のナノ粒子の形態のナノ粒子、すなわち凝集していない、又は言い換えると互いに共有結合しているナノ粒子を含む。
【0084】
第2の材料は有利には、第2の材料の質量に対して、少なくとも50質量%のナノ粒子、少なくとも95質量%のナノ粒子、より好ましくは少なくとも99%のナノ粒子を含む。
【0085】
有利には、ナノ粒はナノチューブの形態ではない。
【0086】
ナノ粒子は好ましくはラメラ状ナノ粒子である。
【0087】
本発明によると、「ラメラ状ナノ粒子」という用語は、共有結合で一緒に結合されている原子の単層の形態で原子を含むナノ粒子を意味する。ラメラ状ナノ粒子は、単一の原子の単層(2D材料)、又は弱い結合、例えば、ファンデルワールス力により一緒に結合している2~5つの原子の単層のスタックからなることができる。
【0088】
言い換えると、ラメラ状ナノ粒子とは、第1の外部寸法がナノメートルスケールであり、他の2つの寸法が最初の寸法より有意に大きく、ナノメートルスケールとミクロメートルスケールの間で特に変動する3次元物体である。
【0089】
ラメラ状ナノ粒子は、好ましくは5μm~50μmの間に含まれる、好ましくは10μm~20μmの間に含まれる、より好ましくは15μmであるメジアン径(頭字語「D50」でもまた指定される)を有する。
【0090】
本発明によると、ラメラ状ナノ粒子に関する「単層」、「2層」、「数層」という用語は、それぞれ原子の単層、2つの原子の単層、及び3~5の原子の単層からなるラメラ状ナノ粒子を表す。2層及び数層のラメラ状ナノ粒子は通常、原子の単層の間の弱い相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用により安定化されている。
【0091】
ラメラ状ナノ粒子は、好ましくは金属酸化物のラメラ状ナノ粒子、特にSnO2又はTiO2のラメラ状ナノ粒子、遷移金属のダイカルコゲナイドのラメラ状ナノ粒子、例えば、二硫化モリブデンMoS2のラメラ状ナノ粒子、炭素のラメラ状ナノ粒子、又はこれらの混合物である。
【0092】
ラメラ状炭素ナノ粒子は有利には単層グラフェンのラメラ状ナノ粒子、2層グラフェンのラメラ状ナノ粒子、数層グラフェンのラメラ状ナノ粒子又はこれらの混合物である。
【0093】
単層グラフェンナノ粒子が好ましい。
【0094】
本発明によると、単層グラフェンは、特定の同素形の炭素からなる2次元の結晶性物質であり、平坦ハニカムとして表すことができる。より具体的には、単層グラフェンは、単一のsp2ハイブリッド形成した炭素原子の平面からなるシートである。したがって、これは単層と記載することができる。
【0095】
本発明によると、2層グラフェン(又はBLG)は、2つの単層のグラフェンの間のファンデルワールス型相互作用で安定化されている2つの単層のグラフェンのスタックからなる材料である。BLGは、グラファイトの剥離又は化学蒸着法(CVD)により得ることができる。
【0096】
本発明によると、数層グラフェン(又はFLG)は、異なるグラフェン平面の間のファンデルワールス型相互作用で安定化されている、グラフェンの3~5つのシートのスタックからなる材料である。
【0097】
ラメラ状の炭素ナノ粒子は、有利には単層二硫化モリブデン、二層二硫化モリブデン、数層二硫化モリブデン又はこれらの混合物のラメラ状ナノ粒子である。
【0098】
これらの電荷の符号に応じて、荷電基又は水の存在下で荷電される基は、水の存在下に配置された場合、複合膜の内層(102)上に負又は正の表面電荷を付与する。
【0099】
当業者には公知である任意の荷電基又は水の存在下で荷電される基であって、グラフェン粒子の表面電荷の増加を可能にする基を本発明の文脈で使用することができる。
【0100】
一実施形態では、ナノ粒子は、負荷電基及び/又は水の存在下で負荷電となる基により表面が官能化される。
【0101】
負荷電基及び/又は水の存在下で負荷電となる基は、エポキシド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホネート基-SO3 -、カルボキシアルキル基R-CO2 -(RはC1~C4、好ましくはC1アルキルである)、アミノジアセテート基-N(CH2CO2 -)2、ホスホネート基PO3 2-;アミドキシム基-C(=NH2)(NOH)、アミノホスホネート基-CH2-NH-CH2-PO3 2-、チオール基-SH、及びこれらの混合物から有利に選択される。
【0102】
好ましくは、負荷電基又は水の存在下で負荷電となる基で表面が官能化されたナノ粒子はグラフェンオキシド(又はGO)のラメラ状ナノ粒子である。
【0103】
ラメラ状グラフェンオキシドナノ粒子は、負荷電基又は水の存在下で負荷電となる基を持ち、これらの基はエポキシド基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、及びこれらの混合物から有利に選択される。
【0104】
一実施形態では、ナノ粒子は、正荷電基及び/又は水の存在下で正荷電となる基で表面が官能化される。
【0105】
有利には、正荷電基及び/又は水の存在下で正荷電となる基は、第四級アンモニウム基-N(R)3 +(RはC1~C4アルキルである)、第三級アンモニウム基-N(H)R)2 +(RはC1~C4アルキル、好ましくはC1アルキルである)、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基-N(C2H4OH)CH3)2 +、及びこれらの混合物から選択される。
【0106】
複合膜を調製するための方法
第2の実施形態による複合膜は、
i) セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む溶液を濾過媒体上で濾過して、セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む第1の外層(101)を形成する工程;
ii) 官能化されたナノ粒子の粒子の溶液を、工程i)の終わりに得た外層(101)上で濾過して、前記第1の外層(101)上に内層(102)を形成する工程;
iii) セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーの溶液を濾過して、工程ii)の終わりに得た内層(102)上にナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む第2の外層(103)を形成する工程;
iv) 外層(101、103)のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを架橋することが可能な架橋溶液を濾過する工程;
v) iv)の生成物を、オーブン内で乾燥させる工程;
vi) 濾過支持体を除去して、複合膜を得る工程
からなる工程を含む方法により調製することができる。
【0107】
セルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー並びに荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基により表面が官能化されたナノ粒子は、本発明の第1の目的で定義されている通りである。
【0108】
本方法は簡単、容易に実行され、経済的であり、複合膜の各層の厚さを制御することが可能である。
【0109】
工程i)、ii)、iii)及びiv)の濾過は有利には、真空ポンプを用いて、好ましくは1バールの真空下で行われる。
【0110】
工程i)の濾過は、任意選択で、工程i)の終わりに得た外層上の架橋溶液を濾過することからなる工程i1)がこれに続いて行われてもよい。
【0111】
工程ii)の濾過は、任意選択で、工程ii)の終わりに得た内層(102)上の架橋溶液を濾過することからなる工程ii1)がこれに続いて行われてもよい。
【0112】
工程i)及びiii)で導入されたナノファイバー及び/又はミクロファイバーの溶液は、0.1重量%~1重量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバー、好ましくは0.3重量%~0.6重量%のセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む。
【0113】
工程i)及びiii)の溶液のナノファイバー及び/又はミクロファイバーは、本発明の第1の目的において詳述されたように官能化することができる。
【0114】
工程ii)で導入された官能化したナノ粒子の溶液は、0.001重量%~0.01重量%のナノ粒子、好ましくは0.003重量%~0.006重量%の官能化したナノ粒子を含む。
【0115】
工程iv)で導入された架橋溶液は有利には、0.005M~0.02Mの1種又は複数の架橋剤、好ましくは0.008M~0.012Mの1種又は複数の架橋剤を含む。
【0116】
工程v)の乾燥は有利には、架橋反応が生じることを可能にする温度で、及びファイバー及び/又はナノファイバーを損傷する温度未満で行われる。好ましくは、乾燥は、80℃~150℃の間に含まれる温度で、特に80℃~120℃の間、より好ましくは80℃~100℃の間に更に含まれる温度で行われる。
【0117】
上記に詳述されているように、架橋剤は荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基を優先的に保持する。
【0118】
当業者に公知の任意の他の技術、不連続的(すなわち、バッチ式)又は連続的に関わらず、例えば、膜が連続的に生成され、次いでロールの形態で保存される「ロールツーロール法」技術)と呼ばれる技術が考慮され得る。
【0119】
デバイスの他の構成成分
本発明によるデバイスのリザーバーA及びBは、同じ溶質のそれぞれの濃度CA及びCBを有する電解液(22A、22B)をそれぞれ含有し、CBはCAより低い。
【0120】
各リザーバーA及びBは、開かれた又は密閉した、液体を含有することが可能な任意のデバイス又は自然環境であることができる。
【0121】
2つのリザーバーA及びBに異なる濃度の電解液を配置することによって、好ましくは拡散浸透により、すなわちいかなる浸透圧も出現することなく、2つのリザーバー間で浸透圧の流動が生じる。別の実施形態では、温度の関数として塩の溶解度に作用することによって、2つのリザーバー間の温度勾配により濃度勾配を得ることもできた。
【0122】
本発明の文脈では、濃度比Rc(Rcは、最も高く濃縮された溶液の濃度/最も低く濃縮された溶液の濃度の比と等しい)は1~109の間であってよい。好ましくは、濃度比CA/CBは1より大きく、109以下であり、有利には10より大きく、105以下である。
【0123】
電解液は電解質を含む水溶液である。電解質は荷電されたイオンの形態で溶液中に溶解する限り、これらは任意の化学的性質を有していてもよい。好ましくは、これらのイオンは、溶解した塩、例えば、NaCl、KCl、CaCl2及びMgCl2に由来する。電解液は以下であることができる:
- 合成溶液;
- 自然の溶液、例えば、湖又は川からの真水、地下水、半塩水、海水;
- 工業生産水、油生産水又は生物学的溶液。
【0124】
好ましくは、前記電解液は、アルカリハロゲン化物又はアルカリ土類ハロゲン化物から選択される、好ましくはNaCl、KCl、CaCl2及びMgCl2から選択される溶質を含み、より好ましくは溶質がNaClである水溶液である。
【0125】
本発明による膜のいずれかの側に生成される浸透圧の流動を改善するため、膜を構成する材料の等電点に従い、溶液のpHを調整することができる。
【0126】
本発明の文脈で、pHisoは、膜を構成する材料の等電点のpHを意味する。pHisoは、当業者に公知の方法により、特に酸性/塩基の電位差測定の滴定方法により測定される。
【0127】
更により有利には、デバイスの非対称を増加させ、デバイスにより生成される電気エネルギーの量を増幅させるため、pH勾配を2つのリザーバー間で確立することもでき、2つの溶液間のpHの差異は1より大きい、好ましくは2より大きい。
【0128】
本発明によるデバイスのリザーバーA及びBのそれぞれはまた、電解液(22A、22B)と接触するために配置された電極(30A、30B)を含む。
【0129】
異なる種類の電極を使用して、2つのリザーバー間で発生する電位又は電流を回収することができる。
【0130】
Na+又はCl-イオンの流動を収集することが可能なすべての種類の電極、好ましくは銀及び銀塩化物(Ag/AgCl)、炭素及び白金(C/Pt-)、炭素(C-)、グラファイト又は鉄[Fe(CN)6]4-/[Fe(CN)6]3-型の複合体で構成される電極を使用することができる。
【0131】
電極は、電解液中に部分的に又は完全に浸漬することができる。電極がリザーバーの壁の少なくとも一部分であるという形態を取るような提供も行うことができる。
【0132】
電極は特に循環電極(「レドックスフロー」)であることができる。これらの電極の原理は電極のそれぞれにおける酸化反応及び還元反応に基づく。
【0133】
電極は好ましくは容量性又は超容量性電極である。これらの電極の原理は、境界面における電荷の蓄積の自然発生的出現をもたらす電極及び電解質の相互作用に基づく。
【0134】
これらの電極は、デバイス(32)に一緒に連結して、それらの間に存在する電位差により自然に生成される電気エネルギーの捕捉次いで供給を可能にする。これらの電極は特に電池、バルブ又は任意の他の形態の電気需要に連結している簡単なケーブルにより連結することができる。
【0135】
こうして記載されているデバイスは、ナノ流体膜を横断する荷電されたイオン流出から生成される電気エネルギーを収集することを可能にする。
【0136】
本発明の特定の実施形態では、デバイスは、Nリザーバー(20)及びN-1膜(10)(Nは整数であり、特に3~100の間、特に3~50の間の整数である)を含むことができる。
【0137】
このデバイスでは、リザーバー及び膜は上で定義された通りである。したがって、集合体は、膜で互いに分離された、濃縮された電解液とあまり濃縮されていない電解液とを交互に含有する交互のリザーバーからなる。
【0138】
電気エネルギー生産方法
本発明の第2の目的は、本発明の第1の目的に記載されているデバイスを使用して電気エネルギーを生成するための方法であって、以下の工程:
i)リザーバーAに備えられた電極(30A)が前記溶液(22A)と接触するように、リザーバーA(20A)内に溶質濃度CAを有する電解液(22A)を供給する工程、
ii)リザーバーBに備えられた電極(30B)が前記溶液(22B)と接触するように、リザーバーB(20B)内に同じ溶質の濃度CBを有する電解液(22B)を供給する工程であって、CBがCAより低い、工程、
iii)電解質が膜(10)を介してリザーバーAからリザーバーBへと拡散することを可能にする工程、
iv)デバイス(32)を使用して、2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーを捕捉する工程
を含む、方法である。
【0139】
工程i)及びii)は、濃度CAを有する電解液及び濃度CBを有する電解液を連続流の形態で供給することにより好ましくは実行される。
【0140】
より一般的には、これらの異なる工程は、当業者らの一般的な知識を使用して、当業者により簡単に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1】膜10により分離されている2つのリザーバー20A及び20B(それぞれリザーバーA及びリザーバーB)を含む、本発明による電気エネルギー生産デバイスの例を概略的に示している。2つのリザーバーのそれぞれは、同じ溶質のそれぞれの濃度CA及びCBを有する電解液22A及び22Bを含有し、これらの中に電極30A及び30Bは浸漬されている。2つの電極30A及び30Bは、生成された電気エネルギーの捕捉及び次いで供給を可能にするデバイスに連結している。各リザーバーA及びBは、開かれた又は密閉した、液体を含有することが可能な任意のデバイス又は自然環境であることができる。膜を介してイオン流出を生成するために、電解液22A及び22Bの同じ溶質の濃度CA及びCBは必ず異なる。本発明の文脈では、CBはCAより低く、これがリザーバーAからリザーバーBへの溶質のイオンの循環を引き起こすと恣意的に考えられている。2つのリザーバーA及びBを分離する膜10は、細孔を含み、細孔を介して電解質がリザーバーAからリザーバーBへと拡散するのを可能にする。拡散はリザーバーAからリザーバーBへと生じる。細孔は、水分子と溶質イオンの両方が循環することを可能にするような平均断面積を有する。電極30A及び30Bは、溶液22A及び22B中に部分的に又は完全に浸漬することができる。電極がリザーバーの壁の少なくとも一部分であるという形態を提供することもまた可能である。デバイス(32)は、2つの電極30A及び30Bの間に存在する電位差により自然に生成される電気エネルギーの捕捉次いで供給を可能にする。デバイスは電池、バルブ又は任意の他の形態の電気需要に連結している簡単なケーブルからなることができる。
図2】ナノファイバー及び/又は架橋されたセルロースミクロファイバーを含むセルロース系材料で形成された単層(101)を含む本発明による膜(10)の例を断面で概略的に示している。
図3】本発明による膜(10)の例を断面で概略的に示している。図の中で膜は、架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含むセルロース系材料でそれぞれ形成された2つの外層(101、103)含む複合膜であり、これらの外層の間に、荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基で表面が官能化されたナノ粒子を含む材料で形成された内層(102)が配置されている。
【実施例
【0142】
本発明は、本発明を制限なしで例示する以下の実施例を読むことでより良く理解されることになる。
【0143】
(実施例1)
単層膜の調製及び単層膜の膜電力の測定
装置及び原料
使用されている材料を以下に列挙する:
- ブフナーフィルター
- 1バール真空ポンプ
- 0.1μmPVDF濾紙
- 補強加工されたオーブン
【0144】
本実施例に使用されている原料を以下に列挙する:
- カルボキシメチル化又はTEMPO酸化により負に荷電されたセルロースナノファイバー;
- クエン酸、99容量%。
【0145】
単層膜の調製
使用された調製方法は以下の通りである:
・3.5mlのナノセルロース溶液を、PVDFフィルターをブフナーフィルター上で濾過する。真空ポンプを1バールの真空に設定する;
・すべての溶液が濾過されたら、10mlのクエン酸溶液をその上で濾過する(ナノファイバー間の架橋剤として作用する);
・すべての濾過したクエン酸溶液がポンプを停止したら、ブフナーデバイスを開き、その濾液が付いた濾紙を取り外す。
【0146】
次いで、濾液と濾紙の集合体を85℃の実験用オーブン内に15分間配置する(乾燥及び架橋反応)。
【0147】
最後に、膜をその濾過媒体から分離する。処理をより簡単にするため、おそらく前もってこれをイソプロパノール溶液中に浸漬しておくこともできる。
【0148】
こうして得た膜は、17.5g/m2のナノセルロースで構成される。
【0149】
これらの膜は、約100nmの厚さを有する酸化グラフェンの内層、及び約10μmの厚さをそれぞれ有するセルロースの外層を有する。
【0150】
単層膜の膜電力
それぞれが濃縮溶液に対して1M、次いで希釈液中で0.1M、0.01M及び0.001Mで溶解された塩化ナトリウム(NaCl)溶液を含有し、2つのリザーバー間の10、100及び1000のRc勾配を設定することを可能にした、2つの独立したリザーバーでできたデバイスを用いて試験を行った。
【0151】
2つのリザーバーは、実施例1に詳述されたように得られた本発明による複合膜で分離されている。
【0152】
銀グリッドAg/AgCl電極を膜のいずれかの側のリザーバーのそれぞれに浸漬して、膜を介して生成された電流を測定する。
【0153】
結果はTable1(表1)に提示されている。
【0154】
【表1】
【0155】
- U Osmoは膜に結合した電位であり、これから電極のNernst電位が推定される(U Nernst)
- I Osmoは膜に結合した電流であり、オームの法則I=U/Rに従い、膜の電気抵抗を測定することにより計算する。
- P Osmo Maxは式Pmax=(UxI)/4により計算する。
膜電力は、膜1cm2上で得た値に10 000をかけることによってW/m2で表現する。
【0156】
(実施例2)
複合膜の調製及び複合膜の膜電力の測定
装置及び原料
使用される材料は実施例1に詳述された材料と同じである。
【0157】
この実施例に使用されている原料を以下に列挙する:
- カルボキシメチル化又はTEMPO酸化により負に荷電されたセルロースナノファイバー;
- クエン酸、99容量%;
- Sigma Aldrich社により参照番号n°777676で市販されている酸化グラフェン。
【0158】
複合膜の調製
本実施例で導入されている調製方法は以下に詳述されている:
・1.75mlのナノセルロース溶液を、PVDフィルターを有するブフナーフィルター上で濾過する。真空ポンプを1バールの真空に設定する;
・すべての溶液が濾過されたら、5mlのクエン酸溶液をその上で再濾過する(ナノファイバー間の架橋剤として作用する);
・クエン酸が濾過されたら、7mlの酸化グラフェン溶液を濾過する;
・酸化グラフェン溶液が濾過されたら、1.75mlのナノセルロース溶液を再濾過する;
・すべての溶液が濾過されたら、5mlのクエン酸溶液をその上で再濾過する(ナノファイバーの間で架橋剤として作用する);
・すべての濾過したクエン酸溶液がポンプを停止したら、ブフナーデバイスを開き、その濾液が付いた濾紙を取り外す。
【0159】
次いで、濾紙/濾液の組合せを85℃の実験用オーブン内に15分間配置する(乾燥及び架橋反応)。
【0160】
最後に、膜をその濾過媒体から分離する。処理をより簡単にするため、おそらく前もってこれをイソプロパノール溶液中に浸漬しておくこともできる。
【0161】
こうして得た膜は、17.5g/m2のナノセルロース及び0.34g/m2の酸化グラフェン(2質量%)で構成される。
【0162】
ナノセルロース含有量及び酸化グラフェンの質量含有率は異なった。10mg/m2未満のナノセルロース含有量では、十分な機械的強度を有する膜の得ることができない。
【0163】
機械的強度及びイオン抵抗の理由により、これらの17g/m2のセルロース及び4重量%の酸化グラフェンという値が最適であるように思われる。
【0164】
複合膜の膜電力
それぞれが濃縮溶液に対して1M、次いで希釈液中で0.1M、0.01M及び0.001Mで溶解された塩化ナトリウム(NaCl)溶液を含有し、2つのリザーバー間の10、100及び1000のRc勾配を設定することを可能にした、2つの独立したリザーバーでできたデバイスを用いて試験を行った。
【0165】
2つのリザーバーは、実施例1に詳述されたように得られた本発明による複合膜で分離されている。
【0166】
銀グリッドAg/AgCl電極を膜のいずれかの側のリザーバーのそれぞれに浸漬して、膜を介して生成された電流を測定する。
【0167】
これらの測定の結果はTable2(表2)に示されている。
【0168】
【表2】
【0169】
- U Osmoは膜電位であり、これから電極のNernst電位が推定される(U Nernst)
- I Osmoは膜に結合した電流であり、オームの法則I=U/Rに従い、膜の電気抵抗を測定することにより計算する。
- P Osmo Maxは式Pmax=(UxI)/4により計算する。
膜電力は、膜1cm2上で得た値に10 000をかけることにより、W/m2で表現する。
【0170】
また、85℃で加熱中、2枚の金属プレートの間の膜に3~4バールの圧力を加えることにより、膜の機械的安定性が10~20%改善されることが観察されている。
【符号の説明】
【0171】
(20A) 第1のリザーバーA
(20B) 第2のリザーバーB
(30A) 電極
(30B) 電極
(22A) 溶質の濃度CAを有する電解液
(22B) 同じ溶質の濃度CBを有する電解液
(10) 2つのリザーバーを分離する膜
(32) 2つの電極の間に存在する電位差により生成される電気エネルギーの供給を可能にするデバイス
(101) 架橋されたセルロースナノファイバー及び/又はミクロファイバーのネットワークを含むセルロース系材料で形成された単層
(102) 荷電基及び/又は水の存在下で荷電される基で官能化されたナノ粒子を含む第2の材料で形成された内層
(103) 内層(102)上の、ナノファイバー及び/又はミクロファイバーを含む第2の外層
図1
図2
図3
【国際調査報告】