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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】内部照射型バイオリアクタ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230615BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20230615BHJP
   C12N 1/12 20060101ALN20230615BHJP
【FI】
C12M1/00 E
C12M1/04
C12N1/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571814
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 US2021033540
(87)【国際公開番号】W WO2021237015
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,705
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/326,469
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522455179
【氏名又は名称】ブライトウェーブ・パートナーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRIGHTWAVE PARTNERS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ペレッティ,ケネス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ティモシー リー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029DB17
4B065AA83X
4B065BC05
4B065BC48
4B065CA54
4B065CA60
(57)【要約】
水中培養光上の発光ダイオード(「LED」)などの発光素子によって発生した熱を管理するように構成された、内蔵型水中培養光アセンブリを使用する内部照射型バイオリアクタ及び関連する藻類産生方法が開示される。本バイオリアクタは、外殻と、外殻内に配置され、かつ中空の内筒の外周に沿って配置される1つ又は複数の水中培養光照射装置とを備える。発光素子及び内筒はこれら自体、発光素子によって発生した光を培養槽内の藻類培養物に通過させる、好ましくは光照射装置の透明外筒内に収容されている。中空の内筒を通って当該筒の上部から下部に、次いで内筒の下部の排出口から出て、加温空気の浮力によって、即ち機械的空気調和装置を使用することなく、当該装置の上方へ向かって誘導される強制空気を使用して光照射装置を冷却するために、熱管理システムが設けられている。当該空気が発光素子と外筒との間を上方へ向かって移動すると、当該空気が発光素子から熱をさらに運び去ることになる。加温空気は、最終的に光照射装置の上部から排出される。各光照射装置が、光照射装置の外筒の外面を自動的に清掃できるようにする清掃システムをさらに含んでいると好ましく、その結果、新たに形成された藻類が光照射装置上に集積するのが防止され、かつ藻類の産生を通してずっと、当該装置から藻類培養物内へと確実に光が連続的に流れるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と、
前記外殻内にある光照射装置であって、
前記光照射装置から前記外殻内にある培養槽内へと光を通過させるように構成された光照射装置外筒と、
自身の上部から自身の下部まで延在する第1の流路、及び自身の前記下部に隣接する前記第1の流路からの少なくとも1つの排出口を有する光照射装置内筒と、
前記内筒の外周に沿って配置された複数の発光素子を含む、光照射装置と、
前記第1の流路と流体連通しており、前記第1の流路に対して強制空気を供給している強制空気源と、を備え、
前記複数の発光素子と前記光照射装置外筒内との間に第2の流路が画定されており、前記第2の流路は、前記少なくとも1つの排出口から加温空気を受け取り、前記加温空気の浮力によって、前記少なくとも1つの排出口から前記光照射装置の上部まで前記加温空気を送達している、
内部照射型バイオリアクタ。
【請求項2】
前記光照射装置が、機械的空気調和装置を使用することなく、前記少なくとも1つの排出口から前記光照射装置の上部まで前記加温空気を送達するようにさらに構成されている、請求項1に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項3】
前記光照射装置外筒の外面と接触する可動清掃装置と、前記清掃装置と駆動係合し、前記光照射装置外筒の垂直長さに沿って前記清掃装置を移動させるように構成されたモータとをさらに備える、請求項1に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項4】
前記清掃装置が、リニア駆動部に移動可能に装着されたリングをさらに備え、前記リニア駆動部が前記モータと係合している、請求項3に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項5】
前記リングが、前記リングの内周上にブラッシング面をさらに含み、前記ブラッシング面が、前記光照射装置外筒の外面に接触している、請求項4に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項6】
前記光照射装置が、前記光照射装置内筒の外面に取り付けられた複数の放熱ストリップをさらに含み、前記発光素子が、前記放熱ストリップの各々の外面に取り付けられている、請求項1に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項7】
各前記放熱ストリップが平面ストリップをさらに含み、各前記平面ストリップの裏面の中央部が、前記光照射装置内筒の前記外面に取り付けられており、各前記平面ストリップの各前記裏面の縁部が、前記光照射装置内筒の前記外面から離隔して配置されている、請求項6に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項8】
前記強制空気源が、機械的空気調和装置を使用することなく、前記第1の流路に強制空気を送達する圧縮空気源をさらに含む、請求項1に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項9】
前記光照射装置内筒が、前記光照射装置内筒の上端と密閉係合する上部ディスクと、前記上部ディスクを通って延在する圧縮空気導入口とを有する、請求項8に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項10】
前記上部ディスクの直径が、前記光照射装置内筒の直径よりも大きい、請求項9に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項11】
前記上部ディスクが、前記上部ディスクを通って延在しており、前記第2の流路及び前記光照射装置外筒の空気排出口と流体連通している少なくとも1つの加温空気排出口を有する、請求項10に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項12】
前記強制空気源が、前記第1の流路に空気を誘導するように構成されたファンをさらに含む、請求項1に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項13】
内部に藻類培養槽を画定している外殻と、
前記藻類培養槽内にある光照射装置であって、前記光照射装置の外周に沿って配置された複数の発光素子と、前記光照射装置の上部から前記光照射装置の下部まで延在する第1の空気流路と、前記光照射装置の下部から前記光照射装置の上部まで延在する第2の空気流路をさらに含む、光照射装置と、
前記第1の流路と流体連通しており、前記第1の流路に対して強制空気を供給している強制空気源と、を備え、
前記光照射装置は、前記第2の空気流路内の前記空気の浮力によって、機械的空気調和装置を使用することなく、前記第1の流路から前記第2の空気流路を通って前記光照射装置から排出口へと空気を送達するように構成されている、
内部照射型バイオリアクタ。
【請求項14】
前記光照射装置の外面と接触する可動清掃装置と、前記清掃装置と駆動係合し、前記光照射装置の垂直長さに沿って前記清掃装置を移動させるように構成されたモータとをさらに備える、請求項13に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項15】
前記光照射装置が、中空の光照射装置内筒の外面に取り付けられた複数の放熱ストリップをさらに含み、前記発光素子が、前記放熱ストリップの各々の外面に取り付けられている、請求項13に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項16】
各前記放熱ストリップが平面ストリップをさらに含み、各前記平面ストリップの裏面の中央部が、前記光照射装置内筒の前記外面に取り付けられており、各前記平面ストリップの各前記裏面の縁部が、前記光照射装置内筒の前記外面から離隔して配置されている、請求項15に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項17】
前記強制空気源が、前記第1の流路に強制空気を送達する圧縮空気源をさらに含む、請求項13に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項18】
前記光照射装置が、中空の光照射装置内筒であって、前記光照射装置内筒の上端と密閉係合する上部ディスクと、前記上部ディスクを通って延在する圧縮空気導入口とを有する中空の光照射装置内筒をさらに備える、請求項17に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項19】
前記上部ディスクが、前記上部ディスクを通って延在しており、前記第2の流路及び前記光照射装置の空気排出口と流体連通している少なくとも1つの加温空気排出口を有する、請求項18に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【請求項20】
前記強制空気源が、前記第1の流路に空気を誘導するように構成されたファンをさらに含む、請求項13に記載の内部照射型バイオリアクタ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年5月22日に出願された「Internally Illuminated Bioreactor」と題する米国仮特許出願第63/028,705号の利益を主張するものであり、本出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概して、バイオマスの産生及び採取を行うためのシステム並びに方法に関し、より詳細には、藻類の産生及び採取を促進するためのバイオリアクタシステム並びに関連方法に関する。
【背景技術】
【0003】
藻類生産物の需要は、藻類がヒトや動物の食品、医薬品及び栄養補助食品、並びにビタミン剤のサプライチェーンを構成する重要な要素になるレベルまで、近年増加している。これらのサプライチェーンを含めるとなると、品質管理や認可条件がより厳格になる。藻類生産者は高品質の藻類を必要としており、またそれを産業規模で培養できる必要がある。
【0004】
そのような用途のために藻類を培養する試みにおいて、様々なシステム及び方法が採用されてきた。例えば、屋外の浅池やレースウェイで藻類を培養する取組みがなされている。しかしながら、そのような屋外培養システムは過度に大きな地理的フットプリントを要するため、単位面積当たりの産生量を極端に少なくすることで、産業規模の要件を満たすようにしている。土地を最も効果的に利用するには、資源管理及び資源効率の観点から池又はレースウェイではなく、大型のバイオリアクタ又は水槽が必要とされており、そこにはいくつかの理由が存在する。屋外での培養は、浅池の水底まで太陽光が浸透できるかによって制限されるものである。屋外の池やレースウェイの水深は、典型的には76センチメートル未満であるが、太陽光が浸透するのはその上部数センチメートルでしかない。藻類の屋外での大規模培養に適している領域は、地球上の極めて限られた数箇所に限定されてしまう。その上、汚染は常に脅威であり、風や雨、そして嵐により、生産者が培養物を廃棄したり、培養プロセスをやり直したりせざるを得ない場合がある。気象が増殖に影響を及ぼし、生産性を潜在的に低下させるだけでなく、日中時間の長さ一つによっても同様に、培養物の太陽光曝露量が制限される。これらの課題が原因で、屋外生産者が、藻類生産物に対して増大する世界的需要を満たすために必要となる産業規模で大量に、一定した予測可能な供給を行うことができていない。
【0005】
また、屋内のバイオリアクタ内で藻類を培養する取組みもなされている。例えば、屋内バイオリアクタシステムは、大規模設備内を曲がりくねって進み、1つ又は複数の外付けの培養光が照射される一連の密閉された透明筒で構成されており、このシステムもやはり、産業規模の要件を満たすことができていないという問題を抱えている。現行の照射技術の限界により、大型水槽の使用が妨げられている可能性がある。その結果、現行のより大型のバイオリアクタは通常、外部から照射を受けており、培養光は、透明バイオリアクタ又は筒の外面に沿って配置されるのが典型的である。バイオリアクタ又は水槽が外部から照射を受ける場合、光がより高密度の培養物に浸透することができない。この点によってバイオリアクタの寸法及び幅が制限され、それはなぜなら、直径が極端に大きいバイオリアクタの内部領域の藻類が、外部光からの光を十分に受けることができないからである。また、バイオリアクタ素材によって、藻類培養物に到達する光の量が変化したり、制限されたりする可能性があり、その結果、そのようなバイオリアクタの有効寸法が制限される。さらに、既知の屋内バイオリアクタは、典型的には、藻類培養物を筒の外側に配置された1つ又は複数の培養光に曝露する、1つ又は複数のガラス筒を備える。このような構造により、増大する藻類生産物の需要を満たすために必要な産業規模の能力をはるかに下回るものに、その規模が制限されてしまう。さらにまた、屋内バイオリアクタを清掃する際、その清掃プロセスで通常、定期的に産生を中断することが必要になるため、更なる課題が生じることになる。
【0006】
バイオリアクタ内で内部照射を使用する試みがなされている他の事例では、そのような取組みは限られた成功しか収めていない。光照射装置から発生する熱が、それらの光照射装置の温度(ひいてはそれらの全体的な効率及び耐久性も)と、培養物の温度との両方に悪影響を及ぼす可能性があるため、このような内部光照射装置を対象とする複合型冷却システムが必要になり、これもやはり産業規模で拡大するのに適していなかったため、内部照射アセンブリを使用する場合でも課題が増大している。
【0007】
また、藻類の培養プロセスを温室効果ガスの削減と、炭素の回収及び利用とに適用する取組みがこれまでなされてきたが、藻類の培養に対する現行のアプローチでは規模を拡大することができず、そのような用途に対して効率的とは言えない。より具体的には、温室効果ガス削減に対する現行の屋外アプローチにはコストがかかることが多く、また効果的ではない場合が多い。水性COを導入するには、コストのかかる事前の固液分離プロセスと液化プロセスとが必要になるが、ガス状COを導入する場合は、藻類培養物にCOを適切に送達するのに十分な培養深度/高度が必要になる。浅池では、ただ単にこの深度を得ることができない。また、現行の屋内アプローチは、大量のCOを消費できるように、1日24時間・週7日・1年365日ベースで藻類を安定培養する規模を有しないため、通常は清掃のために産生を中断することが必要になる。
【0008】
このため、藻類生産物に対する現在及び将来の世界的需要を満たすために必要であり、かつ既知のバイオリアクタシステム及び方法よりも複雑でなく、より容易に実装されるシステム及び方法を用いて、所与の空間フットプリントに対して藻類の産生をとりわけ最大化するような産業規模で藻類を容易に産生することができる、藻類の産生及び採取を促進するバイオリアクタシステム及び関連方法が、当技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術による藻類産生システム及び方法の欠点のうちの1つ又は複数を回避する、内部照射型バイオリアクタ及び関連する藻類産生方法が本明細書に開示される。一実施形態の特定の態様によれば、水中培養光上の発光ダイオード(「LED」)などの発光素子によって発生した熱を効率的かつ効果的に管理し、またこれらの発光素子によって発生した熱が、周囲の藻類培養物又は発光素子自体に確実に悪影響を及ぼさないようにする、水中培養光を内蔵した内部照射型バイオリアクタが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
とりわけ好ましい実施形態において、内部照射型バイオリアクタは、外殻と、外殻内に配置された1つ又は複数の水中培養光照射装置とを備え、当該光照射装置から外殻内にある藻類培養槽内へと光が誘導されている。当該光照射装置が、LEDチップアセンブリなどの垂直発光素子を配置したものを含んでいると好ましく、これらの発光素子は、培養槽内に光を投射して培養槽内の藻類の増殖を促進するように、中空の内筒の外周に沿って配置されている。発光素子及び内筒はこれら自体、発光素子によって発生した光を培養槽内の藻類培養物に通過させる、好ましくは光照射装置の透明外筒内に収容されている。発光素子によって発生した熱が培養槽内の藻類培養物に悪影響を及ぼすことを回避するために、複合型空気調和装置を設ける必要性を最小限に抑えながら、光照射装置を効果的に冷却する熱管理システムが提供される。より具体的には、強制空気が中空の内筒を通って当該筒の上部から下部へと誘導され、次いで内筒の下部にある1つ又は複数の排出口を介して内筒から吐出される。当該空気は、内筒の内側を通って移動するときに加温され、その結果として、内筒の外面に取り付けられた発光素子から熱を運び去る。内筒のそのような下部排出口を通って吐出された後、加温空気は、当該加温空気の浮力によって、機械的空気調和装置を追加することなく、光照射装置の発光素子と外筒との間を上方へ向かって移動する。当該空気が発光素子と外筒との間を上方へ向かって移動すると、当該空気が発光素子から熱をさらに運び去ることになる。加温空気は、最終的に光照射装置の上部から排出される。各光照射装置が、光照射装置の外筒の外面を自動的に清掃できるようにする清掃システムをさらに含んでいると好ましく、その結果、新たに形成された藻類が光照射装置上に集積するのが防止され、かつ藻類の産生を通してずっと、当該装置から藻類培養物内へと確実に光が連続的に流れるようになる。
【0011】
本発明の一実施形態の特定の態様によれば、外殻と、外殻内にある光照射装置であって、光照射装置から外殻内にある培養槽内へと光を通過させるように構成された光照射装置外筒と、自身の上部から自身の下部まで延在する第1の流路、及び自身の下部に隣接する第1の流路からの少なくとも1つの排出口を有する光照射装置内筒と、内筒の外周に沿って配置された複数の発光素子を含む、光照射装置と、第1の流路と流体連通しており、第1の流路に対して強制空気を供給している強制空気源と、を備え、複数の発光素子と光照射装置外筒内との間に第2の流路が画定されており、第2の流路は、少なくとも1つの排出口から加温空気を受け取り、加温空気の浮力によって、少なくとも1つの排出口から光照射装置の上部まで加温空気を送達している、内部照射型バイオリアクタが提供される。
【0012】
本発明の一実施形態の更なる態様によれば、内部に藻類培養槽を画定している外殻と、藻類培養槽内にある光照射装置であって、光照射装置の外周に沿って配置された複数の発光素子と、光照射装置の上部から光照射装置の下部まで延在する第1の空気流路と、光照射装置の下部から光照射装置の上部まで延在する第2の空気流路をさらに含む、光照射装置と、第1の流路と流体連通しており、第1の流路に対して強制空気を供給している強制空気源と、を備え、光照射装置は、第2の空気流路内の空気の浮力によって、機械的空気調和装置を使用することなく、第1の流路から第2の空気流路を通って光照射装置から排出口へと空気を送達するように構成されている、内部照射型バイオリアクタが提供される。
【0013】
本発明のさらに他の態様、特徴及び利点は、本発明を実施するために企図される最良の態様を含むいくつかの特定の実施形態及び実施態様を単に例示することによって、以下の詳細な説明から容易に明らかになる。本発明ではまた、他の異なる実施形態も実施可能であり、そのいくつかの詳細については、本発明の趣旨及び範囲からすべて逸脱することなく、種々の明らかな点において修正が可能である。したがって、これらの図面及び説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点に対する良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載している、以下の詳細な説明を参照することによって得られるであろう。本発明は、限定ではなく例示として添付の図面の図に示されており、同様の参照番号は同様の要素を指している。
【0015】
図1】本発明の一実施形態の特定の態様による、内部照射型バイオリアクタの正面斜視図である。
図2】藻類培養槽を形成する、図1のバイオリアクタの要素の構成要素を示す分解図である。
図3図1のバイオリアクタで使用する光照射装置の正面斜視図である。
図4図3の光照射装置の分解図である。
図5図3の光照射装置の上面斜視断面図である。
図6図3の光照射装置の下部を示す拡大斜視図である。
図7図3の光照射装置の上部を示す拡大斜視図である。
図8図1のバイオリアクタで使用する蓋アセンブリの拡大斜視図である。
図9図1のバイオリアクタで使用する清掃システムの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、以下の説明及び添付の図面を参照することによって理解され得る。本発明の実施態様を実践できるようにするために以下に記載される実施形態のこうした説明は、好ましい実施形態を限定することを意図するものではなく、その特定の例として役立つものである。本発明の同じ目的を実行する他の方法及びシステムを修正又は設計するための基礎として開示された概念及び特定の実施形態を、自身が容易に使用することができると、当業者であれば理解するはずである。また、そのような同等のアセンブリがその最も広い形態で本発明の趣旨及び範囲から逸脱することはないと、当業者であれば理解するはずである。
【0017】
明確さと簡潔さとを高めるために、周知の機能及び構造の説明は省略されている。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈で別途明確に指示しない限り、複数形も含むものとする。さらに、a、anなどの用語を使用することで、量の限定を示すものではなく、むしろ言及される項目のうちの少なくとも1つが存在することを示す。
【0018】
「第1の(first)」、及び「第2の(second)」などの用語を使用することによって特定の順序を示唆しているのではなく、個々の要素を識別するためにこれらが含まれている。また、第1の、第2の、などの用語を使用することによって重要度順を示しているのではなく、むしろ第1の、第2の、などの用語を使用して、1つの要素を別の要素と区別している。本明細書で使用する場合、「備える(comprise)」及び/又は「備えている(comprising)」、あるいは「含む(include)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、記載している特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、並びに/又は構成要素が存在することを明示しているが、1つ又は複数の他の特徴、領域、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/若しくはそれらのグループが存在すること、あるいはこれらを追加する可能性を除外していないことがさらに理解されるであろう。
【0019】
いくつかの特徴を個々の例示的な実施形態に関連して述べることができるが、1つ又は複数の例示的な実施形態からの特徴を、1つ又は複数の例示的な実施形態からの他の特徴と組み合わせることができるように、当該実施形態に態様を限定する必要はない。
【0020】
本発明の一実施形態の特定の態様により、かつ特に図1及び図2を参照すると、水中培養光上の発光ダイオード(「LED」)などの発光素子によって発生した熱を効率的かつ効果的に管理し、またこれらの発光素子によって発生した熱が、周囲の藻類培養物に確実に悪影響を及ぼさないようにする、水中培養光照射装置200を内蔵した内部照射型バイオリアクタ(全体を100で示されている)が提供される。例示的な一構成では、バイオリアクタ100は、非限定的な例としてポリエチレン、HDPE、PTFE、又は他のプラスチック、ガラス繊維、ステンレス鋼、炭素鋼、ホウケイ酸ガラス、セラミック、及び同様に構成された材料など、バイオリアクタ100の所望の寸法及び体積を支持できる軽量材料で形成された、外殻102を備える。特定の例示的な構成では、外殻102の材料は、食品グレードのプラスチック、又は食品グレードの材料の認可条件を満たすことができる他の素材で形成されている。特定の例示的な構成では、任意選択的に外殻102は、内部培養光照射装置から発せられた光を反射させて、外殻102内に収容された藻類培養物に戻すことができる反射内面を有するように構成されていてもよい。外殻102の開放上部に略密閉状態の水槽蓋104が装着されることにより、蒸発や汚染を最小限に抑え、好ましくは培養環境を厳密に制御できるような密閉型内部培養槽106を提供することができる。蓋104も同様に、水中培養光照射装置200を受容するための中央開口部、自動清掃システム300(特に図9に示され、以下に詳述される)用の1つ又は複数の駆動部を受容するための1つ又は複数の開口部、そして好ましくは栄養素添加、流入空気及びCOライン、水添加、又は通気のうちの1つ又は複数を行う1つ又は複数の追加の開口部を含む、バイオリアクタの様々な要素が培養槽106内を通過できるようにするポート又は開口部を含む。内部培養槽106の下部には1つ又は複数のスパージャ105が設けられてもよく、このスパージャ105は、バイオリアクタ100の外側から空気及び/又はCOを受け取ることができる。スパージャ105は、培養槽106の下部の様々な位置に配置される直線アレイとして、又はさもなければ、バイオリアクタ100の特定の構成に最良に適合するとして当業者に容易に想起される形態として、水中培養光照射装置200を取り囲むか、又はこれに取り付けられるリング若しくは他の形状形態など、いくつかの手段で配置されてもよく、また特定の一構成では、スパージングガスが培養槽106を通って移動するのをさらに補助するためのインペラ又は同様の構成を含んでいてもよい。培養槽106からの培養物のサンプリング及び/又は採取、並びにバイオリアクタ100の排水を行えるようにするために、外殻102の基部にドレン(図示せず)がさらに設けられてもよい。自動制御システムがさらに設けられると好ましく、当該システム(以下により詳述するように)が、好ましくは遠隔操作によって、バイオリアクタ100の完全な監視及び制御を行う。
【0021】
例示的な一実施形態では、図3及び図4に示すように(図3は組立済みの水中培養光照射装置200を示しており、図4は当該装置を分解図で示している)、かつ図5の拡大斜視断面図において、水中培養光照射装置200が、好ましくは円形の金属製内筒202を含み、この内筒202は、特定の構成では(優れた熱伝導性を有し、かつ費用効率の高い軽量アセンブリを提供するために)アルミニウムで形成されている。内筒202は水中培養光照射装置200の中核を形成しており、構造特性、強度特性、放熱特性、及び強制空気が内筒202の下部に到達できるようにする導管(中空の円形アルミニウム製内筒202の内部空間を含む)を提供している。筒202の外面には、ここでも好ましくはアルミニウムで形成された複数の金属放熱ストリップ204が取り付けられており、各金属放熱ストリップ204の外面には、1つ又は複数のLEDチップアセンブリ208が取り付けられている。放熱ストリップ204は、内筒202の下部から上方へ向かって延在しており、また典型的には、培養槽106内にある培養物の上面よりも下にある内筒202上の地点で終端している。例示的な一構成では、筒202の外面に5つの放熱ストリップ204が対称配置パターンで取り付けられているが、所与の実施態様の特定の構成に適合するように、他の個数の放熱ストリップ204が設けられてもよい。各放熱ストリップ204は、内筒202と放熱ストリップ204との間で効果的な熱伝達が確実に行われるように、筒202のその外面に接触している。非限定的な例として、筒202の外面の一部分は、各々が平坦な後面を有する放熱ストリップ204のうちの1つを受容する、平坦な領域に形成されてもよい。あるいは、各放熱ストリップ204と内筒202との間の接触表面積を同様に増大させるように、各ストリップ204の後面に、各ストリップ204の後部の中心に沿ってその中に浅い流路が形成されていてもよい。内筒202と平面放熱ストリップ204との間でこのように接触表面積が増大することにより、各放熱ストリップ204の前面に配置されたLED蛍光体から、より多くの熱がより迅速に奪い取られるため、内筒202と放熱ストリップ204とがその通常動作温度範囲内に快適に保たれることになる。図5のトップダウン断面図を参照すると、(以下により詳述するように)、水中培養光照射装置200の下部付近の開口部からの吐出時に、強制空気が各放熱ストリップ204の上部、側部、及び下部の少なくとも一部に沿って移動するように、内筒202に対して各放熱ストリップ204が配置されていると好ましい。バイオリアクタ100の特定の実施態様に基づいて、材料組成及び厚さを当業者自身が容易に調節して、それらの間でとりわけ所望の熱伝達を実現できることを、当業者であれば認識するであろう。
【0022】
放熱ストリップ204は、ねじ又はボルトなどの固定具を介して内筒202に取り付けられてもよいし、又は内筒202に溶接されてもよいし、あるいは内筒202に接着接合されてもよい。特定の一構成では、放熱ストリップ204は、熱伝導性エポキシ化合物又はシリコーン化合物で内筒202に接合されてもよい。そのような化合物は、典型的には、金属充填材料又は無機充填材料で補強された合成樹脂である。そのような最適化された熱伝導材料を使用することにより、水中培養光利用効率を高めることができ、また所望温度で培養光を作用させ続けるために必要なエネルギーを削減することができる。そのようなエポキシ樹脂及び化合物は、(i)より高い熱伝導性及び熱除去の向上をもたらすこと、(ii)放熱ストリップ204と内筒202との間により大きな(かつより効果的な)接触面積を確立すること、(iii)衝撃や振動に対する耐性の向上をもたらすこと、(iv)より良好な熱安定性をもたらすこと、又は(v)優れた機械的強度を付与することのうちの1つ又は複数など、ねじ、ボルト、又は溶接を上回る特定の利点を示し得る。そのようなエポキシ樹脂及び化合物により、内筒202と放熱ストリップ204との間に間隔を置くことができるため、ねじ、ボルト、又は溶接よりも多くの選択肢がさらに得られる。間隔を変化させることで、内筒202と放熱ストリップ204との間で空間内を移動する空気流を変化させることができる。
【0023】
上述したように、LEDチップ208(又は蛍光体)の列は、放熱ストリップ204の長さに沿って配置される。本明細書で述べている例示的な実施形態では、とりわけLEDチップ208を使用しているが、本明細書で述べているように、そのような発光素子を放熱ストリップ204上に直線的に配置できる限り、本明細書に開示しているLEDチップ208の代わりに、現存するもの及び将来開発されるものの両方を含む、他の高輝度発光素子を採用してもよいことを、当業者であれば認識するであろう。本明細書で述べている例示的な構成では、LEDチップ208が、藻類の特定株の増殖を最大化するために、非限定的な例として強度、色、及び温度を含むいくつかの手段でカスタマイズできると好ましい。好ましくは、LEDチップ208の各ストリップが約180°の拡散角を呈する状態で、LEDチップ208がバイオリアクタ100内に360°の照射範囲を提供するように、LEDチップ208のうちの少なくとも一列が各放熱ストリップ204上に設けられる(ただし、これらは任意選択的に複数の行及び/又は列で、各放熱ストリップ204上に異なる個数又は同じ個数設けられてもよい)。好ましくは、以下により詳述するように、培養液中センサを使用して検出されるバイオリアクタ100内の培養物の現在の密度に対して、LEDチップ208の光強度を最適化するように、LEDチップ208が自動コントローラを介して減光されてもよい。
【0024】
水中培養光照射装置200は、内筒202と放熱ストリップ204とを収容する透明外筒210(図1)をさらに含む。図6及び図7に最良に示されているように、金属ディスク206(a)及び206(b)が、それぞれ内筒202の上端及び下端に取り付けられていると好ましく、これらの金属ディスク206(a)及び206(b)が、放熱をさらに促進するように、内筒202と同じアルミニウムなどの金属で形成されていると好ましい。ディスク206(a)及び206(b)はさらに、透明外筒210内で内筒202と放熱ストリップ204とを中央に配置し、かつ最適に位置決めするように機能する。より具体的には、図1に示すように、使用中かつ外筒210内に収容されている間に水中培養光照射装置200が安定するように、透明外筒210の内径が、内筒202の上部及び下部にあるディスク206の直径よりもわずかに大きいと好ましい。さらに、内筒202及び内筒202に取り付けられた放熱ストリップ204と透明外筒210の内部との間の間隔が小さくなるように、ディスク206(a)及び206(b)が内筒202に対して寸法決めされると好ましい。例示的な一構成では、放熱ストリップ204上のLEDは、個々の水中培養光照射装置200が位置する透明外筒210の内部から、1.25cm~5cmの間に配置されてもよいが、バイオリアクタ100の全体的な規模に応じて他の距離が採用されてもよい。
【0025】
上部ディスク206(a)が、その中心に貫通穿孔された孔を含んでいると好ましく、その孔の中に、圧縮空気源に装着するために返し部又は他の導入口207が取り付けられ、当該圧縮空気は上部ディスク206(a)を通って内筒202の上部へと送り込まれる。さらに、透明筒210内の加熱空気が水中光照射装置200から脱出できるように構成された、上部ディスク206(a)の外縁に沿ってある開口部などの、1つ又は複数の開口部216を、上部ディスク206(a)が含んでいると好ましい。上部ディスク206(a)の開口部216は、透明筒210から通気される空気の流れを最大にするように構成かつ配置されている。開口部216が上部ディスク206(a)に切り込まれ、上部ディスク206(a)の縁部から内側へ向かって延在していると好ましい。特定の構成では任意選択により、下部ディスク206(b)が、緩衝材料からなる下部の外層に包まれているか、又はその中に設けられていてもよく、この緩衝材料は、例示的な一構成ではネオプレン又はゴムを含むことで、バイオリアクタ100の水中培養光照射装置200と外殻102の下部内部との間に緩衝材又はショックアブソーバを提供しているため、培養光照射装置200のアルミニウムを外殻102から離隔して、これと直接接触しないように維持することができる。
【0026】
培養光照射装置200の透明外筒210の下端が密閉され、かつその上端が開口されていると好ましく、その上端はバイオリアクタ100の上蓋104を越えて延在しているため、手入れが必要な場合にLED、放熱ストリップ402、及び培養光照射装置200の他の要素に接近することができる。透明外筒210が、手入れのために取り外すことができる接続方式によって、バイオリアクタ100の蓋104に固定されていると好ましい。多くのそのような接続方式が、当業者によって特定の構成を対象に採用かつ構成され得るが、1つの例示的な接続方式は、非限定的な例として、かつ図8に示すように、フランジカラーリング108と、フランジカラーリング108を通って垂直方向に位置合わせされた1つ又は複数のコッタピン110とを含んでいてもよく、これによって水中培養光照射装置200の浮力に対して、かつバイオリアクタ100内の乱流に対して透明外筒210を所定の位置にしっかりと保持することができる。特定の例示的な一実施形態では、フランジカラーリング108は、バイオリアクタ100の外形寸法によって決まる距離だけ、バイオリアクタ100の蓋104を越えて延在している。例えば、10フィートの高さを有するバイオリアクタ100は、25フィート以上の高さを有するバイオリアクタ100よりも小型のフランジカラーリング108を要することになる。フランジカラーリング108の寸法は、バイオリアクタの寸法に相対するものであり、したがって水中培養光照射装置200の寸法に相対するものである。コッタピン110はフランジカラーリング108全体と、透明外筒210とを貫通して、水中培養光照射装置200をバイオリアクタ100内の定位置にさらに固定することができる。
【0027】
透明外筒210が、ガラス若しくはアクリル、又は同様に構成された材料で形成されていると好ましい。密閉型水中光照射装置200を備えた1つ又は複数の透明外筒210は、任意選択的に単一のバイオリアクタ100内に設けられてもよく、外筒210の各々はバイオリアクタ100内に垂直方向に配置され、これによってバイオリアクタの床面に近接して延在し、かつ他の透明外筒210から距離を置いて延在することになり、その結果、藻類培養物全体が水中光照射装置200から略同一量の照射を受けることになる。したがって、単一のバイオリアクタ100はその寸法に応じて、複数の水中培養光照射装置200を備えてもよく、そのような培養光照射装置200の数は、水中培養光照射装置200から藻類培養物への浸透しやすさによって決まり、その深度は好ましくは透明外筒210から測定して少なくとも15cmとなる。
【0028】
特定の例示的な構成において、かつ図1図9を参照すると、バイオリアクタ100は、透明外筒210の外面に残骸や藻類の増殖がないように維持し、これによってバイオリアクタ100が可能な限り連続稼働できるようにするよう構成された、自動清掃システム300を備える。この自動清掃システム300はさらに、透明外筒210に沿って自動的に上下移動して外筒210を擦ることにより、藻類培養物が透明外筒210上に付着して凝集するのを防止する。例示的な一構成では、自動清掃システム300は、洗浄リング306などの清掃装置に接続されたリニアアクチュエータ304を駆動する、電動モータなどのモータ302を含む。モータ302とリニアアクチュエータ304とは、リニアアクチュエータ304が蓋104を貫通して、透明外筒210の全長に沿って延在するように、バイオリアクタ100の蓋104に取り付けられてもよい。リニアアクチュエータ304(非限定的な例として、ウォームギア、ベルト駆動リニアアクチュエータ、又は当業者が容易に想到できる他のリニアアクチュエータ・アセンブリを含んでもよい)は、その上端がモータ302に取り付けられており、その下端が、バイオリアクタ100の内部に装着された支持ブラケット(図示せず)に取り付けられており、この支持ブラケットはリニアアクチュエータ304、及び、したがってこれに装着された洗浄リング306を、透明外筒210に近接させて維持している。洗浄リング306は非限定的な例として、PVC又は同様の材料から形成されてもよく、また透明外筒210の外面に接触し、好ましくはこれを取り囲む洗浄リング306の内面に装着されたフック・ループ締結材料からなる部分などの、内部ブラッシング面を含んでいてもよい。透明外筒210の長さを上下移動する洗浄リング306にモータ302が動力供給すると、洗浄リング306の内面のブラッシング面が透明外筒210の外面に沿って移動し、その結果、堆積した藻類又は他の物質がいずれも透明外筒210から除去される。自動清掃システム300は、藻類培養物の筒表面への付着しやすさに影響する培養方式及び他の要因に応じて、所望の時間間隔での清掃をスケジュールできるタイマによって駆動されてもよい。図には別途示されていないが、従来のリニア駆動ガイドバー及びリミットスイッチなど、洗浄リング306が外筒210の上部及び下部付近の指定された地点に到達したときに、洗浄リング306(モータ302によって制御される)の移動方向を反転させる他の要素を自動清掃システム300が含んでもよく、またこれらの他の要素が、所与の例示的な一構成を対象に、当業者自身によって容易に構成され得ることを、当業者であれば容易に認識するであろう。同様に、光照射装置200の外筒210の長さに沿って洗浄リング306を前後に移動させられるようにするために、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、洗浄リング306用の他のアクチュエータが設けられてもよいことを、当業者であれば認識するであろう。また、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、外筒210を取り囲む完全リング以外のクリーナが同様に採用されてもよい。
【0029】
上述したように、水中培養光照射装置200の熱を適切に管理することは、藻類培養物の熱を確実に管理にするために欠かせないことでありながら、産業規模でバイオリアクタが行う効果的な藻類の培養を著しく困難にするものであった。したがって、水中培養光照射装置200の持続可能かつ経済的に実行可能な冷却プロセスは、とりわけ産業規模でバイオリアクタシステム全体を成功に導くために極めて重要である。放熱ストリップ204上のLEDによって伝達される熱が適切に管理かつ放散されない場合、周囲の藻類培養物に影響を及ぼすことになり、また培養光を作用不能にする可能性もあれば、それらの寿命を著しく短縮してしまう可能性もある。熱を適切に管理かつ放散する必要があり、即ち、産業規模の産生システムを成功裏に稼働するためには、バイオリアクタから熱を迅速に除去しなければならない。
【0030】
これらの熱管理の課題に対処するために、バイオリアクタ100は、水中培養光照射装置200の冷却を提供する熱管理システムを備える。このような熱管理システムを使用することにより、空気流を調節して放熱を加速させ、かつ内筒202の内外に制御された圧力差を作り出すことによって、バイオリアクタ100の動作環境を最適化することができる。特に図1図6及び図7を参照すると、内筒202の上部ディスク206(a)が、好ましくは上部ディスク206(a)の中心に配置された導入口207を含み、内筒202の内部へと通ずる冷却流体導入口を提供している。本明細書で使用される場合、「流体」という用語が流動可能な媒体を包含するのは言うまでもなく、したがって、この用語は、本発明の特定の態様に従って使用される流動する「流体」冷却媒体として気体、より具体的には空気を含む。特に好ましい一実施形態では、導入口207は、内筒202の上部へと送り込まれ得る圧縮空気源と流体連通している。内筒202の外周に沿ってその下部に隣接して、具体的には下部円形ディスク206(b)のすぐ上に排出口214が設けられてもよい。本構成では、圧縮空気は導入口207を通って押し込まれ、内筒202の垂直長さを通って下方に移動するときに内筒202の内部を冷却する。空気は、内筒202の下部にある排出口214を通って内筒202から脱出し、次いで透明外筒210の内部と内筒202の外面との間の空間を通り、上方へ向かって進む。当該空間を通って移動するとき、冷却空気は、内筒202の外面に沿って上方に、また図1及び図5に最良に示されているように、放熱ストリップ204の少なくとも側部上及び下に流れ、このために、冷却空気が上部ディスク206(a)の開口部216を通って排出される前にLEDチップ208を冷却する。排出冷却空気を光照射装置200から脱出させることができる限り、上部ディスク206(a)の開口部216が様々な形態をとってもよいことを、当業者であれば認識するであろう。特定の構成では、透明外筒210は、同様にその上端に空気排出口211(a)を含む、取り外し可能な上部蓋211を任意選択的に備えていてもよい。
【0031】
水中光照射装置200内に送り込まれる圧縮空気又は強制空気の流速は、使用者の光照射要件と、設けられる発光素子の長さ及び量と、藻類培養物の所望温度とに応じて変動する。以下により詳述するように、圧縮空気の流速は、LEDチップ208の所望温度を維持し、かつ透明外筒210内及び藻類培養物自体の内部の所望温度を維持するように調節されてもよい。
【0032】
このような所望温度を維持するために、水中培養光照射装置200の光強度が上昇するにつれて、空気流速度又は流速(airflow velocity or rate)(cfm又はm/sで測定される)を上昇させてもよい。培養槽106内の最も効果的な培養環境を維持するために、藻類培養物の密度が増大するにつれて光強度を上昇させる必要がある。光強度がこのように上昇すると、水中培養光照射装置200の温度(LED光ストリップの表面、及び内筒202の外面とこれを収容する外筒210との間の空中/空間で測定される)も上昇する。したがって、光強度が上昇するにつれて、水中培養光照射装置200の周囲の温度を再平衡させるために、空気流速度も同様に上昇する。特定の構成では、光照射装置200からの熱の排出をさらに補助するために、標準的な冷却技術を用いて空気が任意選択的に冷却されてもよい。以下により詳述するように、そのような調節は、センサ及び自動コントローラを使用して実行されてもよい。
【0033】
LEDチップ208は非常に効率よく動作するが、それでも熱を発生させ、熱放射によって自身の基板及び空きスペースを介して熱を伝達する。したがって、本明細書に記載のバイオリアクタ100の構成では、空気流を使用して内筒202内の熱を放散し、透明外筒210内の放射伝熱、即ち熱放射を最小限に抑えている。このように空気流を調節することにより、熱が周囲の培養物の所望温度に悪影響を及ぼさない程度まで、LEDチップ208が発生させたすべての熱を適切に管理し、かつ放散することができる。
【0034】
さらに、本明細書に記載しているように構成された熱管理システムでは、水中培養光照射装置200内に差圧を発生させ、この差圧は、ファン又は同様の装置を設けずに、水中培養光照射装置200内の空気が極めて効率的に移動するよう補助する。空気、より好ましくは圧縮空気が内筒202の内部に押し込まれ、内筒202を通って下方へと移動し、次いで内筒202の下部の排出口214を通って内筒202から押し出される。内筒202の内部の閉鎖空間内における容積と圧力とが増大すると、LEDチップ208によって温められた内部空気が強制的に排出される。次いで、圧力及び他の力が加温空気を、透明外筒210から、透明筒210の上部にある空気排出口211(a)を通すなどして(あるいは、単に透明筒210の上部の開放上端を通すなどして)、透明外筒210内を上方へ向かって通過させて押し出す(即ち、透明筒210の内部と内筒202/放熱ストリップ204/発光素子208との間の移動である)。圧力は、以下により詳述するように、自動コントローラを介して監視かつ制御されてもよい。
【0035】
さらに、内筒202内の空気流の乱流が、内筒202の内部に比較的平滑な表面を、好ましくは筒の全長にわたって一定の断面積を設けることによって最小限に抑えられる。その結果、空気は内筒202を通って、上部の導入返し部から、内筒202の下部に配置された排出口214に向かって、かつこれを通って迅速に移動する。下部の排出口214を介して内筒202から吐出された後、加熱空気は、熱浮力によって透明外筒210の上部へ向かって吐出され、内筒202の外面に取り付けられた放熱ストリップ204の上、下、及び周囲を通って進む。このため、放熱ストリップ204を設けていることに起因して、流路乱流が内筒202の外面上で増大する。あるいは、空気流が内筒202を通り、下方へ向かって移動するにつれて、内筒202の断面積が任意選択的に減少するようにしてもよい。内筒202の断面積が減少するにつれて流体流れが加速するため、内筒202と水中培養光照射装置200全体とがより迅速に排気や冷却を行うことができる。より大型のバイオリアクタで使用され得るように、6メートル以上の長さの水中培養光照射装置200を採用するものなど、より長い全長のバイオリアクタ100の構成において、このような構成がとりわけ好ましい場合がある。
【0036】
前述の説明は、圧縮空気が内筒202の内部に送達される形態を特に含むが、比較的小規模からなる(一例として、1000~1500リットルの総容積など)バイオリアクタ100の他の例示的な構成では、発光素子208をより少なくすることで、熱が発生しにくくなり、その結果冷却需要が低下する。そのような構成では、上述したように、ファン又は同様に構成された強制空気源を設けて、内筒202の内部に空気を押し込み、上述した冷却空気流を生成することができる。また、このようなより小規模な構成では、上部ディスク206(a)は任意選択的に完全に省略されてもよい。
【0037】
水中培養光照射装置200に供給される圧縮空気及び/又は強制空気は、水中培養光照射装置200内にある一連の電子部品を冷却するために使用されるので、湿度が最小となる乾燥空気であると好ましい。水中培養光照射装置200に供給される空気は、その供給源で乾燥させることが好ましいが、その代わりにインラインフィルタ及びドレンを使用して、水中培養光照射装置200に送り込む前に当該空気を乾燥させることができる。
【0038】
本発明の例示的な一実施形態の更なる態様によれば、所望量の藻類がバイオリアクタ100内で産生された後、藻類の排水を行い、次いでバイオリアクタ100の下部からこれを採取することができる。これにより、藻類培養物をバイオリアクタ100のドレンに送達する際の作業の大部分を、重力に実行させることができる。バイオリアクタ100が略円錐形状の下部を備えている場合、ドレンが当該円錐の下部に配置されると好ましい。バイオリアクタ100が平坦な外側下部を備えている場合、バイオリアクタ100の外殻102の側面下部にドレンが配置されていると好ましく、また、沈降した藻類がドレンに向かって自然に移動できるようにするために、傾斜した上げ底部などがバイオリアクタ10の内部に設けられてもよい。いずれの場合も、これらのドレン位置は両方とも、バイオリアクタ100内でドレンを最低エネルギーとなる配置にする解決策を提供する。上述したように構成されたバイオリアクタ100の排水を行うために、ポンプは必要ないが、ポンプを任意選択的に使用して、排水プロセスを加速することができる。
【0039】
例えば既製のセンサ及びソフトウェアのオペレーティングシステムを内蔵したインターフェースを介して、バイオリアクタ100の動作を自動で調節するために、コントローラが設けられてもよい。より具体的には、以下により詳述するように、培養温度、光強度、pH、流速、養分水準、及び空気流/ガス流を含む、藻類の産生に影響を及ぼすことが知られている特定の重要な変動要素を監視し、かつこれらに対する厳密な制御を維持することにより、バイオリアクタ100内の培養環境が自動的に調節されてもよい。バイオリアクタ100内の個々のセンサが追跡するデータが収集され、かつ中央ダッシュボードに送られて分析されてもよく、予めプログラムされた設定がバイオリアクタ全体にわたって確実に維持されるようにするために、当該データが他のバイオリアクタセンサからのデータと統合されてもよい。そのようなデータのすべてが、インターネット接続などを介して遠隔で表示されると好ましい。さらに、制御が遠隔で有効になってもよいし、又は遠隔で無効になってもよい。最後に、バイオリアクタ100は、例えば携帯電話、タブレット、又はコンピュータを介して遠隔で聞くことができ、かつ/又は傍受することができる警報を備えていてもよい。
【0040】
コントローラは、LEDチップ208の温度を監視するように配置された温度センサから、データを受信してもよい。LEDチップ温度センサは、LEDチップ208のリアルタイムの動作温度をコントローラに提供するために、LEDチップ208に隣接してLED基板に装着されてもよく、このLED基板は、平面放熱ストリップ204に取り付けられている。コントローラはまた、藻類培養物(水中の)の温度を監視するように配置された温度センサから、データを受信してもよい。藻類培養物が確実に、具体的には所望温度を維持するか、又は特定のわずかな温度範囲内に留まるようにするために、当該培養物の温度が温度センサで監視されてもよい。藻類の各株は、特定の最適温度又は特定の最適温度範囲内で最も効果的に増殖するものであり、またコントローラは、そのような最適温度又は温度範囲が確実に維持されるようにするために、バイオリアクタの他の要素を(以下にさらに述べるように)調節するように構成されていてもよい。LED基板温度が、非限定的な例として75℃を超えた場合に水中培養光照射装置200が確実にオフになるようにするために、LEDチップ温度センサ、及び任意選択的に藻類培養物温度センサと通信するフェイルセーフスイッチが設けられてもよく、当該スイッチは、空気流の供給に障害が発生した場合に、LEDチップ208及び関連電子機器をさらに保護する。自動システムは同様に、予め設定した電話、タブレット、コンピュータ、又は他の遠隔装置にアラームを送信して、LED基板温度が75℃を超えたことを技術者又は他の個人に警告するように構成されていてもよく、また同様に、75℃未満の予め設定した値に温度が到達した場合に、アラームに警告を発生させてもよい。さらに、LEDチップと透明外筒210の内部との間の空中/空間に1つ又は複数の温度センサを設けて、透明外筒210と直接接触する空気(当該空気はその一方で、藻類培養物と直接接触している)が所望温度範囲内に確実に維持されるようにしてもよい。
【0041】
自動システムが、培養物温度に影響を及ぼす藻類培養環境における3つの主要要素、即ち、光照射装置の温度、スパージャへの空気流量、及び周囲空気温度を制御するように構成されていると好ましい。より詳細には、光照射装置の温度に関して、装置200を冷却又は加熱し、それによって藻類培養物を特に所望温度に冷却又は加熱するように、コントローラが当該装置への空気流量を変更してもよい。同様に、培養槽106下部のスパージャへの空気流に関して、コントローラが藻類培養物の温度を直接監視し、かつスパージャへの空気の流れを自動的に調節してもよく、したがって、培養物温度に影響を与える二次的な手段として、ガス又は空気を藻類培養物に直接分配している。さらに、周囲空気温度に関して、バイオリアクタ100内の藻類培養物を冷却又は加熱するさらに別の手段として、室内冷暖房装置への接続を通じてコントローラが周囲の室温を調節してもよい。
【0042】
コントローラは、水中光照射装置200に供給される空気中の水分量を検出するように配置された、1つ又は複数の湿度センサをさらに監視してもよい。検出された水分量が所定のレベルを超えた場合、コントローラは水中培養光照射装置200を自動的に停止することができ、またアラームを上述の予め設定した装置に送信して、それらに水分量が増加していることを警告し、なおかつそれらを調査できるようにすることができる。
【0043】
コントローラは、バイオリアクタ全体に配置された水中光強度センサを介して、バイオリアクタ100内の培養物の密度をさらに監視してもよい。コントローラは所望の設定に応じて、密度及び光強度の読取り値を監視し、また水中培養光照射装置200の光強度を制御して、培養物を通る最適なレベルの光強度を生成することができる。
【0044】
さらに、コントローラは水中センサを介してバイオリアクタ100内の藻類培養物のpHを監視し、適切なpH値に到達して維持されるようになるまで、培養物にCOを注入することで、pH値を制御することができる。例示的な構成では、コントローラは、高増殖を促すために9~10の範囲内のpH値、又は温室効果ガスを産業規模で削減するために、場合によっては5~7の範囲内のpH値などの任意の所望のpH値を維持するように構成されていてもよい。コントローラは、pHが所定の閾値レベルを超えるか、又は下回る場合に上述の予め設定した装置に警告するために、当該装置にアラームをさらに送信することができる。
【0045】
さらにまた、コントローラは、培養物の導電率及び酸化還元電位(「ORP」)を監視してもよく、低速滴下又はバッチ送達のいずれかによって栄養素を適量に制御し、かつ/又は添加することができる。コントローラは、栄養素送達システムに不具合が生じた場合に、上述の予め設定した装置にさらにアラームを送信して、当該装置に警告することができる。
【0046】
さらにまた、コントローラは、スパージャを通してバイオリアクタの下部にある培養物へとより多くの空気及び/又はCOを微細に注入して、培養槽106内の藻類培養物の移動を制御するように、空気調節器に指示することができる。培養物が連続的に移動することで、藻類培養物全体が水中培養光照射装置200によって放射される光に確実に等しく曝露されるようになり、また同様に、水中培養光照射装置200の透明外筒210上に、かつ培養槽106の外壁上に藻類が堆積するのを抑制する(こうした堆積により、当該装置の有効性を低下させる恐れがある)ので、培養槽106内で培養物がこのように連続的に移動することは、培養物全体の増殖において重要であり得る。
【0047】
コントローラは、バイオリアクタ100のドレン内の採取機構を自動的に駆動するために、藻類培養密度センサとさらに通信してもよい。密度センサの読取り値により、藻類の増殖が最大限に達したことが示されてもよく、成熟培養物の増殖率が安定してプラトーに達する前に、バイオリアクタ100のドレンを稼働して開放し、所定量の培養物を培養槽106から放出することができる。ドレンに取り付けられたパイプが、好ましくは採取された培養物を採取点まで送達し、そこで当該培養物が処理されてもよい。一定量の培養物がバイオリアクタから放出されると、コントローラは、上部から等量の新鮮な処理済み(必要な限度まで)水をバイオリアクタ100に添加することができる。コントローラは任意選択的に、指定された時間でバッチ採取が行われるか、若しくは予定の藻類産生量に達すること、又は採取を継続することのいずれか若しくは両方を管理してもよい。同様に、コントローラは、添加される水の量及び栄養素の最終投入からの経過時間に応じて、適量の栄養素を添加することができる。コントローラは、採取プロセス中に不具合が生じた場合に、上述の予め設定した装置にさらにアラームを送信して、当該装置に警告することができる。
【0048】
最後に、コントローラは、自動清掃システム300を駆動して、洗浄リング306に透明外筒210内を上下に移動させることができる。自動清掃システム300は、定時的にそのように駆動されてもよく、あるいは自動清掃システム300は、光強度センサの読取り値が所定の閾値レベルを下回った場合に自動的に起動してもよい。自動清掃システム300の設定は、バイオリアクタ100内で培養される藻類株によって変動してもよい。一部の株は頻繁な洗浄を要する場合があるが、他の株は洗浄をほとんど要しないか、又は全く要しない場合がある。本明細書に記載の自動清掃システム300の役割は、バイオリアクタを可能な限り長く連続稼働させ続けることである。コントローラは、清掃プロセス中に不具合が生じた場合に、上述の予め設定した装置にさらにアラームを送信して、当該装置に警告することができる。
【0049】
上述のように構成されたバイオリアクタを藻類の産生に用いる場合には、藻類を培養するための水を培養槽106内で調製することが好ましい場合がある。一般に、バイオリアクタを始動かつ維持するために使用される水を、適切に調製する様々な方法が存在する。一部の生産者は、植藻前に、漂白剤若しくはオゾン又は別の洗浄剤で水を処理する場合がある。逆浸透水を使用することも、採用され得る別の方法であり、当該方法は、適切に希釈されない場合に漂白剤のように藻類を死滅させるリスクを呈しない。生産者によって選択される水調製方法は、その特定の場所にとって最も都合が良く、費用対効果の優れたものと大いに関係している可能性が高い。しかしながら、前述の開示内容に従って構成されたバイオリアクタは、いかなる場所にも設置され得、したがって、バイオリアクタの使用者に特定の水調製方法を強制することはない。むしろ、前述の開示内容に従って構成されたバイオリアクタでは、あらゆる水調製方法を採用することができ、調製済みの水はすべて、任意選択的にバイオリアクタ100の蓋104の専用ポートを介してバイオリアクタ100内に注入される。
【0050】
前述の開示内容に従って構成されたバイオリアクタは、藻類の産生を行う従来技術によるシステム及び方法を上回るいくつかの改良点を提供し得る。例えば、上述のように構成されたバイオリアクタは、大径のバイオリアクタ及び水槽(例えば、1メートルを超える直径を有するものなど)の全体にわたって完全かつ均一な光浸透性をもたらすことができる。水槽又はバイオリアクタに内部から適切に照射できることにより、太陽光又はバイオリアクタの外側に配置された培養光を利用し得るシステムなどにおいて、従前に考慮されていたよりも大型の水槽を利用できるようになる。さらに、内部照射型の大型水槽又はバイオリアクタを使用することで、屋内又は屋外の培養施設のフットプリントを、とりわけ立方フィートと平方フィートとの両方を考慮する場合に最適化することができ、また生産能力に対するフットプリントを最小化するのに役立ち得る。こうした要因により、利用可能なフットプリントの生産性を生産者が真に最大化できるようになり、その結果、規模を拡大して産業レベルで屋内培養を行う場合に、費用対効果を良くするために必要とされ得る重要な効率要素がもたらされる。したがって、前述の開示内容に従って構成されたバイオリアクタは、任意の寸法にスケーリングされてもよく、また任意の外部環境内の実質的にいかなる場所でも設置かつ稼働され得、なおかつ利用可能な任意のフットプリントに適合され得る。
【0051】
さらにまた、上述のように構成されたバイオリアクタは、大規模培養物に適量の光を供給することによって、発生した熱エネルギーよる当該培養物の過熱が確実に起こらないようにすることができる。より具体的には、熱管理システムにより、水中培養光照射装置200が培養物に熱を伝達することなく、液体培養物に完全に浸透できるようになり、また水中培養光照射装置の動作温度を最適温度に保ちながら、耐久性を維持し、なおかつ過熱が起こる可能性を低減することができる。さらに、上述のように構成されたバイオリアクタは、通常であれば光強度を低下させる傾向があり得る、水中培養光照射装置200を取り囲む透明外筒210上への藻類デトリタスの堆積を略防止することができ、またバイオリアクタの内部を清掃するために定期的に藻類の産生を中断する必要性を回避することができる。
【0052】
同様に、上述のように構成されたバイオリアクタは、藻類の培養に影響を及ぼす5つの主要要因、即ち光強度/スペクトル、pH、温度、栄養素、及び空気/培養液流を自動的に制御かつ/又は調節することによって、藻類にとって最適な培養環境を提供することができる。
【0053】
これで、本発明の基礎となる概念の好ましい実施形態及び特定の修正形態について完全に記載したことになるが、本明細書に示され、かつ記載される実施形態の他の様々な実施形態並びに特定の変形形態及び修正形態は、当該基礎となる概念に精通した当業者には明らかに想起されるであろう。したがって、本発明は、本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実践されてもよいことを理解されたい。
図1
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【国際調査報告】