(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-22
(54)【発明の名称】アリールグルコシド誘導体及び薬物におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C07H 7/04 20060101AFI20230615BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230615BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230615BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230615BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230615BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20230615BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230615BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230615BHJP
A61K 31/7004 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C07H7/04 CSP
A61P3/10
A61P9/00
A61P3/00
A61P1/16
A61P1/10
A61P35/00
A61P43/00 105
A61K31/7004
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513899
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2020131253
(87)【国際公開番号】W WO2021227441
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】202010411247.8
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522447130
【氏名又は名称】上▲海▼▲哲▼▲イェ▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杜 ▲鋒▼田
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲海▼波
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲強▼
【テーマコード(参考)】
4C057
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057AA19
4C057CC05
4C057EE04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA02
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA66
4C086ZA72
4C086ZA75
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC35
(57)【要約】
ナトリウム・グルコース共役輸送体1を阻害する化合物並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体。化合物は、医薬組成物において使用される。医薬組成物を調製及び使用するための方法、並びに、糖尿病、心血管疾患、体重低減、脂肪肝、便秘及び代謝関連疾患を処置する及び改善するため並びにがん療法のための、化合物の薬物及び組成物を調製する際における適用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(V)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化1】
[式中、U、V、W及びQは、窒素原子又はCHからそれぞれ独立して選択され、
R
1a、R
1b、R
1cは、ハロゲン又は-OR
1A、-NHR
1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、各R
1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R
2は、-S(O)
m-R
1Aから選択され、
R
3、R
4、R
5、R
6a、R
7a、R
6b、R
7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
R
A、R
Bは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
n1R
aa、-(CH
2)
n1OR
aa、-SR
aa、-(CH
2)
n1C(O)R
aa、-SR
aa、-C(O)OR
aa、-C(O)R
aa、-S(O)
m1R
aa、-(CH
2)
n1S(O)
m1R
aa、-NR
aaR
bb、-C(O)NR
aaR
bb、-NR
aaC(O)R
bb、-NR
aaS(O)
m1R
bbからそれぞれ独立して選択され、
代替として、R
A、R
Bは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3から8員のヘテロ環を形成し、前記ヘテロ環は、1個又は複数の炭素、窒素、酸素又は硫黄原子を含有してよく、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル又はオキソによって更に置換されていてよく、
R
aa、R
bbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基によって場合により更に置換されており、
Zは、酸素原子、硫黄原子から選択され、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
m=0、1、2であり、
q=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニルから選択され、
Yは、以下の構造:
【化2】
{式中、R
E、R
F、R
G、R
Hは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH
2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]。
【請求項2】
式(VA)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化3】
[式中、R
1a、R
1b、R
1cは、ハロゲン又は-OR
1A、-NHR
1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、各R
1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R
2は、-S(O)
m-R
1Aから選択され、
R
3、R
4、R
5、R
6b、R
7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
R
A、R
Bは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
n1R
aa、-(CH
2)
n1OR
aa、-SR
aa、-(CH
2)
n1C(O)R
aa、-SR
aa、-C(O)OR
aa、-C(O)R
aa、-S(O)
m1R
aa、-(CH
2)
n1S(O)
m1R
aa、-NR
aaR
bb、-C(O)NR
aaR
bb、-NR
aaC(O)R
bb、-NR
aaS(O)
m1R
bbからそれぞれ独立して選択され、
代替として、R
A、R
Bは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3から8員のヘテロ環を形成し、前記ヘテロ環は、1個又は複数の炭素、窒素、酸素又は硫黄原子を含有してよく、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル又はオキソによって更に置換されていてよく、
R
aa、R
bbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基によって場合により更に置換されており、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
m=0、1、2であり、
q=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Yは、以下の構造:
【化4】
{式中、R
E、R
F、R
G、R
Hは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH
2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]。
【請求項3】
式(VA-1)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化5】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R
5、R
6b、R
7bは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
R
A、R
Bは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH
2)
n1R
aa、-(CH
2)
n1OR
aa、-SR
aa、-(CH
2)
n1C(O)R
aa、-SR
aa、-C(O)OR
aa、-C(O)R
aa、-S(O)
m1R
aa、-(CH
2)
n1S(O)
m1R
aa、-NR
aaR
bb、-C(O)NR
aaR
bb、-NR
aaC(O)R
bb、-NR
aaS(O)
m1R
bbからそれぞれ独立して選択され、
R
aa、R
bbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基で場合により更に置換されており、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
q=0、1、2、3であり、
Yは、以下の構造:
【化6】
から選択される連結基である]。
【請求項4】
以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩。
【化7】
【請求項5】
式(VA-2)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化8】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R
5、R
6b、R
7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
q=0、1、2、3であり、
環Bは、以下の構造:
【化9】
を有し、
Yは、以下の構造:
【化10】
から選択される連結基である]。
【請求項6】
以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩。
【化11A】
【化11B】
【請求項7】
式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化12】
[式中、R
1は、F又は-OR
1A、-NHR
1Aから選択され、ここで、R
1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R
2は、-S(O)
m-R
1Aから選択され、m=0、1、2であり、
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9のそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Yは、連結基であり、これは、2から17個の炭素、酸素及び窒素原子で構成される連結アームであり、
Zは、O、S又は水素である]。
【請求項8】
式(I-1)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化13】
[式中、R
1a、R
1b、R
1cは、F又は-OR
1A、-NHR
1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、各R
1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R
2は、-S(O)
m-R
1Aから選択され、m=0、1、2であり、
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9のそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアシル、アルキニルアルキルから独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Y1は、以下の構造:
【化14】
{式中、R
E、R
F、R
G、R
Hは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH
2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]。
【請求項9】
一般式(II)の以下の構造の化合物を含む式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化15】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R
8、R
9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Yは、連結基であり、これは、2から17個の炭素、酸素及び窒素原子で構成される連結アームである]。
【請求項10】
一般式(II-1)の以下の構造の化合物を含む式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化16】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R
8、R
9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアシル、アルキニルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Y1は、以下の構造:
【化17】
{式中、R
E、R
F、R
G、R
Hは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH
2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]。
【請求項11】
一般式(III)の以下の構造の化合物を含む式(II)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【化18】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R
8、R
9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Y1は、以下の構造:
【化19】
から選択される連結基である]。
【請求項12】
Xが、水素、重水素、フッ素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、ビニル及びエチニルから選択される、式(III)の化合物。
【請求項13】
R
9が、水素、重水素、フッ素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、C3~C8シクロアルキル、ビニル及びエチニルから選択される、式(III)の化合物。
【請求項14】
以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩。
【化20A】
【化20B】
【化20C】
【化20D】
【請求項15】
治療有効用量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物又はその立体異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
糖尿病、心血管及び脳血管疾患、体重減少、脂肪肝、便秘、代謝関連疾患の処置及び改善において並びに腫瘍の処置において使用される、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
SGLT1/SGLT2機能に関連する疾患の処置のための薬又は医薬組成物の調製における、請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物若しくは薬学的に許容されるその塩又は請求項15に記載の医薬組成物の、SGLT1/SGLT2阻害剤としての使用。
【請求項18】
患者が、降圧薬、脂質低下薬、抗糖尿病薬、血糖降下薬、体重減少薬又は食欲抑制剤を含む他の治療薬を服用したことがある又は現在服用している、請求項16に規定の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウム依存性グルコース輸送体1(SGLT1)阻害剤、その組成物を含有する薬物を合成するための方法、及び、代謝性疾患、とりわけ2型糖尿病の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、高血糖症を特徴とする代謝性疾患の群である。高血糖症は、インスリン分泌不全、生物学的作用の異常又は両方によって引き起こされる。糖尿病における長期高血糖症は、種々の組織、とりわけ目、腎臓、心臓、血管及び神経の慢性損傷及び機能不全を引き起こす。2012年に、世界保健機関は、18歳以上の成人における糖尿病の発生率が9%を超えたことを報告した。人口増加、老化及び寿命の延長に伴い、糖尿病の発生率は増大するであろう。糖尿病の発生率は、肥満の人々においてより高い。糖尿病は、2030年までに7番目に多い死因となることが予想される。
【0003】
ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)阻害剤は、腎臓によるグルコースの再吸収を阻害することができ、過剰なグルコースが尿から排出されることを可能にし、血中グルコースを低下させる。このことは、糖尿病の処置のための新たな手法を提供し、血糖降下薬の研究におけるホットスポットとなる。過去数十年にわたり、新たな標的薬物が糖尿病の処置のために開発されてきた。近年では、引き続き市販されているSGLT2阻害剤が、血中グルコースを制御するための新たな戦略を提供してきた。引き続き市販されている薬物の分子構造は、次の通りである。
【0004】
【0005】
SGLTファミリーは、炭水化物を細胞膜全体にわたって輸送し、その間にそれらがナトリウムイオン輸送体と結合する役割を果たす、いくつかのサブタイプからなる。SGLT1は、消化管において主に発現され、小腸におけるグルコース及びガラクトースの吸収を主に司る。SGLT1は、腎臓の近位直尿細管にも存在し、ここでは、血中グルコースの再吸収に寄与する。SGLT1を阻害することにより、血中グルコースが吸収されて血液に戻って使用されるのを防止し、故に、血中グルコースレベルを低下させるという目標を達成することができる。
【0006】
SGLT1阻害は血糖制御のための代替療法も提供しうることから、SGLT1阻害による血糖制御の改善は、腎機能とは無関係であることができるため、魅力的である。現在のSGLT2選択的阻害剤は、中等度から重度の腎機能障害を持つ患者において無効であり、これはすべての糖尿病患者のおよそ30~40%を占める。腸のSGLT1の阻害は、血糖制御において潜在的な効能を有する。この作用を通して、SGLT2阻害剤の糖尿病関連副作用、とりわけ性器感染症を回避することもできる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Reference Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721
【非特許文献2】Journal of the American Chemical Society(2014)、136(20)、7205~7208
【非特許文献3】Chemistry-A European Journal(2011)、17(12)、3326~3331、S3326/1-S3326/21
【非特許文献4】Journal of Fluorescence(2013)、23(1)、181~186
【非特許文献5】Journal of Organic Chemistry(2011)、76(12)、4964~4972
【非特許文献6】Angewandte Chemie、International Edition(2019)、58(21)、6987~6992
【非特許文献7】Chemische Berichte(1985)、118(4)、1564~1574
【非特許文献8】Science of Synthesis(2010)、41、543~612
【非特許文献9】Nature(London、United Kingdom)(2019)、574(7776)、86~89
【非特許文献10】Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721、Discovery of LX2761, a Sodium-Dependent Glucose Cotransporter 1(SGLT1) Inhibitor Restricted to the Intestinal Lumen, for the Treatment of Diabetes
【非特許文献11】Acta Pharmaceutica Sinica 2017、52(6):897~903
【非特許文献12】Nature Protocols(2007)、2(3)、753~762
【非特許文献13】Journal of Biochemical and Biophysical Methods(2005)、64(3)、207~215
【非特許文献14】Diabetes Technology & Therapeutics(2011)、13(7)、743~775
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
腸のSGLT1阻害剤の開発における最近の進歩にもかかわらず、より良好な効能を持つ新たな化合物を開発することが依然として必要である。継続的な努力により、本発明は、一般式(V)の構造を持つ化合物を設計し、そのような構造を持つ化合物が、優れた効果及び機能を示し、より大きい範囲では、構造と活性効能との間の関係がより深く且つ包括的に露わにされて解明され、このことが重要な適用価値を有することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、式(V)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0010】
【0011】
[式中、U、V、W及びQは、窒素原子又はCHからそれぞれ独立して選択され、
R1a、R1b、R1cは、ハロゲン又は-OR1A、-NHR1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、各R1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R2は、-S(O)m-R1Aから選択され、
R3、R4、R5、R6a、R7a、R6b、R7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
RA、RBは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH2)n1Raa、-(CH2)n1ORaa、-SRaa、-(CH2)n1C(O)Raa、-SRaa、-C(O)ORaa、-C(O)Raa、-S(O)m1Raa、-(CH2)n1S(O)m1Raa、-NRaaRbb、-C(O)NRaaRbb、-NRaaC(O)Rbb、-NRaaS(O)m1Rbbからそれぞれ独立して選択され、
代替として、RA、RBは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3から8員のヘテロ環を形成し、ヘテロ環は、1個又は複数の炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有してよく、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル又はオキソによって更に置換されていてよく、
Raa、Rbbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、上記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基によって場合により更に置換されており、
Zは、酸素原子、硫黄原子から選択され、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
m=0、1、2であり、
q=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニルから選択され、
Yは、以下の構造:
【0012】
【0013】
{式中、RE、RF、RG、RHは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]
を提供する。
【0014】
本発明は、式(VA)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0015】
【0016】
[式中、R1a、R1b、R1cは、ハロゲン又は-OR1A、-NHR1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、R1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R2は、-S(O)m-R1Aから選択され、
R3、R4、R5、R6b、R7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
RA、RBは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH2)n1Raa、-(CH2)n1ORaa、-SRaa、-(CH2)n1C(O)Raa、-SRaa、-C(O)ORaa、-C(O)Raa、-S(O)m1Raa、-(CH2)n1S(O)m1Raa、-NRaaRbb、-C(O)NRaaRbb、-NRaaC(O)Rbb、-NRaaS(O)m1Rbbからそれぞれ独立して選択され、
代替として、RA、RBは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、3から8員のヘテロ環を形成し、ヘテロ環は、1個又は複数の炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含有してよく、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシ、アルケニル、アルキニル又はオキソによって更に置換されていてよく、
Raa、Rbbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、上記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基によって場合により更に置換されており、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
m=0、1、2であり、
q=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Yは、以下の構造:
【0017】
【0018】
{式中、RE、RF、RG、RHは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]
を提供する。
【0019】
本発明は、式(VA-1)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0020】
【0021】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R5、R6b、R7bは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
RA、RBは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アミノ、メルカプト、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、C2~C8アルケニル、C2~C8アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-(CH2)n1Raa、-(CH2)n1ORaa、-SRaa、-(CH2)n1C(O)Raa、-SRaa、-C(O)ORaa、-C(O)Raa、-S(O)m1Raa、-(CH2)n1S(O)m1Raa、-NRaaRbb、-C(O)NRaaRbb、-NRaaC(O)Rbb、-NRaaS(O)m1Rbbからそれぞれ独立して選択され、
Raa、Rbbは、水素、重水素、アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立して選択され、ここで、前記アルキル、重水素化アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アルケニル、アルキニル、重水素化アルケニル、重水素化アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、水素、重水素、シリル、アルキルシリル、置換又は非置換のアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、置換又は非置換のアミノ、オキソ、ニトロ、シアノ、置換又は非置換のアルケニル、置換又は非置換のアルキニル、置換又は非置換のアルコキシ、置換又は非置換のヒドロキシアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクリル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される1つ又は複数の置換基によって場合により更に置換されており、
n1=0、1、2、3、4であり、
m1=0、1、2、3、4であり、
q=0、1、2、3であり、
Yは、以下の構造:
【0022】
【0023】
から選択される連結基である]
を提供する。
【0024】
本発明は、以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0025】
【0026】
【0027】
を提供する。
【0028】
本発明は、式(VA-2)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0029】
【0030】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R5、R6b、R7bのそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
q=0、1、2、3であり、
環Bは、以下の構造:
【0031】
【0032】
を有し、
Yは、以下の構造:
【0033】
【0034】
から選択される連結基である]
を提供する。
【0035】
本発明は、以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0036】
【0037】
【0038】
を提供する。
【0039】
本発明は、式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0040】
【0041】
[式中、R1は、F又は-OR1A、-NHR1Aから選択され、ここで、R1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R2は、-S(O)m-R1Aから選択され、m=0、1、2であり、
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9のそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルから独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Yは、連結基であり、これは、2から17個の炭素原子、酸素原子、窒素原子で構成される連結アームであり、
Zは、O、S又は水素である]
を提供する。
【0042】
本発明は、式(I-1)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0043】
【0044】
[式中、R1a、R1b、R1cは、F又は-OR1A、-NHR1Aからそれぞれ独立して選択され、ここで、R1Aは、独立して、水素、C1~C6アルキル又はアシルであり、
R2は、-S(O)m-R1Aから選択され、m=0、1、2であり、
R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9のそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアシル、アルキニルアルキルから独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=0、1、2、3であり、
Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
Y1は、以下の構造:
【0045】
【0046】
{式中、RE、RF、RG、RHは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]
を提供する。
【0047】
本発明は、一般式(II)の以下の構造の化合物を含む式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0048】
【0049】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R8、R9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシル基から選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Yは、連結基であり、これは、2から17個の炭素原子、酸素原子、窒素原子で構成される連結アームである]
を提供する。
【0050】
本発明は、以下の一般構造(II-1)の化合物を含む式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0051】
【0052】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R8、R9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル又はアシル、アルキニルアルキルからそれぞれ独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Y1は、以下の構造:
【0053】
【0054】
{式中、RE、RF、RG、RHは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
E、Jは、化学結合、-CH2-、酸素、-NH-から選択され、
s1=0、1、2、3、4、5であり、
s2=0、1、2、3、4、5であり、
s3=0、1、2、3、4、5である}
から選択される連結基である]
を提供する。
【0055】
本発明は、一般式(III)の以下の構造の化合物を含む式(II)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0056】
【0057】
[式中、Xは、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニルから選択され、
R8、R9は、水素、重水素、ハロゲン、C1~C6アルキル又はアシルからそれぞれ独立して選択され、
m2=0、1、2、3であり、
n2=1であり、
Y1は、以下の構造:
【0058】
【0059】
から選択される連結基である]
を提供する。
【0060】
本発明は、Xが、水素、重水素、フルオロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、ビニル及びエチニルから選択される、式(III)の化合物を提供する。
【0061】
本発明は、R9が、水素、重水素、フルオロ、ブロモ、ヨード、メチル、エチル、C3~C8シクロアルキル、ビニル及びエチニルから選択される、式(III)の化合物を提供する。
【0062】
本発明は、以下の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
を提供する。
【0068】
本発明は、治療有効用量の本発明の化合物のいずれか1つ又はその立体異性体、互変異性体若しくは薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0069】
本発明において記述されている化合物のいずれか若しくは薬学的に許容されるその塩又は本発明に従う医薬組成物は、糖尿病、心血管及び脳血管疾患、体重減少、脂肪肝、代謝関連疾患の処置及び改善において並びに腫瘍の処置において使用される。
【0070】
本発明において記述されている化合物のいずれか若しくは薬学的に許容されるその塩又は本発明に従う医薬組成物は、SGLT1/SGLT2阻害剤として、SGLT1/SGLT2機能に関連する疾患の処置のための薬又は医薬組成物の調製において使用される。
【0071】
患者が、降圧薬、脂質低下薬、抗糖尿病薬、血糖降下薬、体重減少薬又は食欲抑制剤を含む他の治療薬を服用したことがある又は現在服用している、本発明の使用。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】ラットにおける14日間の連続投与後の経口耐糖能試験(OGTT)の結果を示す図である。
【
図2】マウスにおける5日間の連続投与後6日目の経口耐糖能試験(OGTT)の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
上記及び本明細書のいずれか他の箇所で使用される場合、以下の用語及び略語は、以下で定義する意味を有する。定義されていなければ、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有する。
【0074】
用語「水素」は、本明細書において、-Hを指す。
【0075】
用語「ハロゲン」は、本明細書において、-F、-Cl、-Br及び-Iを指す。
【0076】
用語「フルオロ」は、本明細書において、-Fを指す。
【0077】
用語「クロロ」は、本明細書において、-Clを指す。
【0078】
用語「ブロモ」は、本明細書において、-Brを指す。
【0079】
用語「ヨード」は、本明細書において、-Iを指す。
【0080】
用語「シアノ」は、本明細書において、-CNを指す。
【0081】
用語「アミノ」は、本明細書において、-NH2を指す。
【0082】
用語「ヒドロキシル」は、本明細書において、-OHを指す。
【0083】
用語「ニトロ」は、本明細書において、-NO2を指す。
【0084】
用語「カルボキシ」は、本明細書において、-COOHを指す。
【0085】
用語「ニトロソ」は、本明細書において、-NOを指す。
【0086】
用語「連結アーム」は、本明細書において、2から17個の炭素原子、酸素原子、窒素原子で構成される連結機能を持つ化学構造を指す。具体的には、これは、直鎖又は分枝鎖構造を持つアルカン構造(飽和アルカン、アルケン及びアルキンを含む)又は一端にカルボニル基を持つ同様のアルカン構造を指し、ここで、安定な化学構造を形成するという前提のもとに、任意の炭素原子が酸素原子、窒素原子によって置き換えられていてよく、置換基群によって更に置換されていてもよく、ここで、置換基群は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、エステル基、アミド、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルコキシを含む。本明細書において記述されている「連結アーム」は、以下の化学構造:
【0087】
【0088】
を含むがこれらに限定されない。
【0089】
用語「アリール」は、本明細書において、共役したπ電子系を持つ、6から10員の全炭素単環式又は縮合多環式(すなわち、炭素原子の隣接対を共有する環)基、多環式(すなわち、炭素原子の隣接対を持つ環)基を指す。アリール基は、任意の炭素原子において、定義された化学構造と共有結合していてよく、これにより安定構造をもたらす。本明細書において記述されているアリール基は、以下の置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルアミノ、エステル基、アミド、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルコキシの1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0090】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書において、5から10個の原子で構成され、N、O又はS等から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する、芳香族基を指す。この用語は、単環(非限定的な例は、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、オキサゾール、チアゾール等を含む)であっても複数の縮合環(非限定的な例は、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、イソインドール等を含む)であってもよく、ここで、縮合環は、ヘテロ原子を含有する芳香族基であってもなくてもよく、但し、連結点は、芳香族ヘテロアリール基の原子を経由する。本明細書において記述されているヘテロアリールは、以下の置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、エステル基、アミド、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルコキシの1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0091】
用語「シクロアルキル」は、本明細書において、単環式又は多環式環(縮合、架橋及びスピロ環系を含む)を有する、3から10個の炭素原子を有する環状アルキル基を指す。シクロアルキル基の非限定的な例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。本明細書において記述されているシクロアルキル基は、以下の置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキル、オキソ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アシルアミノエステル基、アミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルコキシ、アリール又はヘテロアリールの1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0092】
用語「ヘテロシクリル」は、N、O又はSから選択される少なくとも1から5個のヘテロ原子を含有する、置換又は非置換の、飽和又は不飽和芳香族環、非芳香族環を指し、芳香族環、非芳香族環は、3から10員の単環式環、4から20員のスピロ環、二環式環又は架橋環であってよく、ヘテロシクリル環において選択的に置換されたN、Sは、種々の酸化状態に酸化されていてよい。3から12員のヘテロ環が好ましい。非限定的な例は、オキシラニル、オキセタニル、オキソラニル、オキサニル、オキサニル、オキソカニル(oxocanyl)、アジリジニル、アゼチジニル、アゾリジニル、アザシクロヘキシル、アザシクロプロペニル、1,3-ジオキソシクロペンチル、1,4-ジオキソシクロペンチル、1,3-ジオキソシクロペンチル、1,3-ジオキサシクロヘキシル、1,3-ジチオシクロヘキシル、アザシクロヘプテニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、ピラニル、N-アルキルピロリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、チアジアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピラゾリル、1,4-ジオキサシクロヘキサジエニル等を含む。
【0093】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、O、N及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有し、1つ又は複数の二重又は三重結合を場合により含有する、非芳香族シクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、全体として、3から10個の環原子を有してよい。ヘテロシクロアルキル基は、任意のヘテロ原子又は炭素原子において、定義された化学構造と共有結合していてよく、これにより安定構造をもたらす。ヘテロシクロアルキル基の非限定的な例は、ピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ピラニル等を含む。ヘテロシクロアルキル基における1個又は複数のN又はS原子は、酸化されていてよい(モルホリンN-オキシド、チオモルホリンS-オキシド、チオモルホリンS,S-ジオキシド等)。ヘテロシクロアルキル基は、フタルイミド、ピペリジノン基、オキサゾリジノン基、2,4(1H,3H)-ジオキソ-ピリミジニル、ピリジン-2(1H)-ケト基等の1つ又は複数のオキソ基を含有してもよい。本明細書において記述されているヘテロシクロアルキル基は、以下の置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、アルキル、アルコキシ、オキソ、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、エステル基、アミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルコキシ、アリール又はヘテロアリールの1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0094】
用語「アルケニル」は、本明細書において、2から8個の炭素原子を有し、少なくとも1つのアルケニル不飽和部位を有する、アルケニル基を指す。アルケニル基の非限定的な例は、エテニル、プロペニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等を含む。本明細書において記述されているアルケニル基は、以下の置換基:重水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルキル、アルコキシル、アシル、アシルアミノ、エステル基、アミド、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、重水素化アルキルメルカプト、スルホニル、スルホキシド基、アミノ、シリル、ホスホニル、重水素化アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル、アリールアルキル、エステル基の1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0095】
用語「アルキニル」は、本明細書において、2個の隣接する炭素原子が三重結合によって接合しているアルキル基を指し、ここで、アルキル基は、本明細書において定義されている通りである。アルキニルは、少なくとも2個の炭素原子、及びエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-、2-又は3-ブチニル等の少なくとも1つの炭素-炭素三重結合で構成される、上記で定義した通りの不飽和アルキル基を意味する。アルキニル基は、置換されていても非置換であってもよく、置換されている場合、置換基は、好ましくは、以下の、重水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、アルキル、アルコキシル、アシル、アシルアミノ、エステル基、アミド、スルホニル、スルフィニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、重水素化アルキルメルカプト、スルホニル、スルホキシド基、アミノ、シリル、ホスホニル、重水素化アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキニル、アルケニル、アリールアルキル、エステル基から独立して選択される基の1つ又は複数である。
【0096】
用語「アルキル」は、本明細書において、1から10個までの炭素原子を有する飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指し、この用語は、直鎖及び分枝鎖ヒドロカルビル基の両方を含む。アルキル基の非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル等を含む。本明細書において記述されているアルキル基は、以下の置換基:フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノ、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、オキソ、アシルアミノ、エステル基、アミド、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキニル、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール又はヘテロアリールの1つ又は複数によって場合により置換されていてよい。
【0097】
用語「へテロアルキル」は、本明細書において、少なくとも1個のヘテロ原子を含むアルキル基を指す。
【0098】
用語「アルコキシ」は、本明細書において、酸素原子を経由して分子の残りに結合しているアルキル基(-O-アルキル)を指し、ここで、アルキル基は、本明細書において定義されている通りである。アルコキシ基の非限定的な例は、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキシ等を含む。
【0099】
用語「アシルアミノ」は、本明細書において、-NR8-C(O)-アルキル、-NR8-C(O)-シクロアルキル、-NR8-C(O)-シクロアルケニル、-NR8-C(O)-アリール、-NR8-C(O)-ヘテロアリール及び-NR8-C(O)-ヘテロシクロアルキルを指し、ここで、R8は、水素、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル及びアルキルである。ここで、水素、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル及びアルキル等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0100】
用語「アシル」は、本明細書において、H-C(O)-、R9R10N-C(O)-、アルキル-C(O)-、シクロアルキル-C(O)-、シクロアルケニル-C(O)-、ヘテロシクロアルキル-C(O)-、アリール-C(O)-及びヘテロアリール-C(O)-を指し、ここで、R9及びR10は、水素、ヒドロキシル、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル又はシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される。ここで、水素、ヒドロキシ、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル及びシクロアルキル等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0101】
用語「オキソ」は、炭素原子、窒素原子、硫黄原子等の酸素原子による酸化状態の記述を指し、炭素原子、窒素原子、硫黄原子等の酸素原子による酸化後に形成される代表的な構造は、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、オキシニトリド、スルホキシド及びスルホン等の官能基を含むがこれらに限定されない。
【0102】
用語「スルホニル」は、本明細書において、R11R12N-S(O)2-、シクロアルキル-S(O)2-、シクロアルケニル-S(O)2-、アリール-S(O)2-、ヘテロアリール-S(O)2-、ヘテロシクロアルキル-S(O)2-及びアルキル-S(O)2-を指し、ここで、R11及びR12は、水素、ヒドロキシル、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル又はシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される。ここで、水素、ヒドロキシ、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル及びシクロアルキル等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0103】
用語「スルフィニル」は、本明細書において、R13R14N-S(O)-、シクロアルキル-S(O)-、シクロアルケニル-S(O)-、アリール-S(O)-、ヘテロアリール-S(O)-、ヘテロシクロアルキル-S(O)-又はアルキル-S(O)-を指し、ここで、R13及びR14は、水素、ヒドロキシル、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル又はシクロアルキルからそれぞれ独立して選択される。ここで、水素、ヒドロキシ、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、スルホニル、スルフィニル、シクロアルケニル、アシル及びシクロアルキル等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0104】
用語「アシルオキシ」は、本明細書において、-O-C(O)-アルキル、-O-C(O)-シクロアルキル、-O-C(O)-シクロアルケニル、-O-C(O)-アリール、-O-C(O)-ヘテロアリール及び-O-C(O)-ヘテロシクロアルキルを指し、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0105】
用語「エステル基」は、本明細書において、アルキル-O-C(O)-、シクロアルキル-O-C(O)-、シクロアルケニル-O-C(O)-、ヘテロシクロアルキル-O-C(O)-、アリール-O-C(O)-及びヘテロアリール-O-C(O)-を指し、ここで、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール等の基は、本明細書において定義されている通りである。
【0106】
用語「任意選択の」又は「場合により」は、その後に記述されている事象又は状況が、起こりうるが必ずしも起こるとは限らないことを意味し、この記述は、事象又は状況が起こる及び怒らない事例を含む。
【0107】
用語「...によって場合により置換されている」は、構造が、非置換であるか又は本発明において記述されている1つ若しくは複数の置換基によって置換されていることを意味する。用語「置換」は、本明細書において、指定された置換基による任意の基の単一又は複数の置換を、そのような単一又は複数の置換(同じ部分に複数の置換を含む)が化学的に容認できるである限りにおいて意味し、ここで、各置換基は、基における任意の利用可能な位置に位置付けられていてよく、置換基における任意の利用可能な原子を経由して結合していてよい。「任意の利用可能な位置」は、当技術分野において公知の方法によって又は本明細書において教示されている通りに化学的に取得可能である、基における任意の位置を指し、過度に不安定である分子を作成しない。任意の基において2つ以上の置換基がある場合、各置換基は、任意の他の置換基とは独立して定義され、故に、同じであっても異なっていてもよい。
【0108】
本明細書の種々の部分において、本発明の化合物の置換基は、群又は範囲の形態で開示されている。これは、具体的には、本発明が、そのような群若しくは範囲のメンバーのそれぞれ又はメンバーのそれぞれのサブ群を包含することを意味する。用語「C1~6アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル及びC6アルキルが別個に開示されていることを意味する。
【0109】
用語「本発明の化合物」は、(具体的に指示されていない限り)本明細書において、式(I)及び式(II)の化合物並びにすべての純粋及び混合立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ及び同位体標識化合物並びに任意の薬学的に許容されるその塩を指す。本発明の化合物の溶媒和物は、水和物、エチレート、メチレート、アセトネート等の、化学量論的及び非化学量論的溶媒と組み合わせられた化合物又はその塩を意味する。化合物は、1つ若しくは複数の結晶性状態で、すなわち、共結晶、多形として存在してもよく、又は、非晶質固体として存在してもよい。すべてのそのような形態は、請求項により網羅される。
【0110】
用語「薬学的に許容される」は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分及び/又はそれによって処置される哺乳動物と、化学的に且つ/又は毒物学的に適合性でなくてはならないことを意味する。
【0111】
用語「立体異性体」は、本明細書において、鏡像異性体及びジアステレオマーを含む1つ又は複数の立体中心を有する異なるキラル特性を持つ化合物を指す。
【0112】
用語「互変異性体」は、本明細書において、低エネルギー障壁を横断し、故に互いに変換することができる、異なるエネルギーを持つ構造異性体を指す。一例は、エノール-ケト互変異性体及びイミン-エナミン互変異性体等のプロトン移動によって相互変換する互変異性体を含むプロトン互変異性体、又は、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール及びテトラゾール等の環-NH-部分及び環=N-部分に結合している環原子を含有するヘテロアリール基の互変異性形態である。原子価互変異性体は、一部の結合電子が再度組み合わさって相互変換するものを含む。
【0113】
用語「プロドラッグ」は、本明細書において、対象に投与された場合に、本発明の化合物、その活性代謝物又は残基を直接的に又は間接的に提供する、本発明の化合物の任意の誘導体を指す。とりわけ好ましいのは、本発明の化合物のバイオアベイラビリティ、代謝安定性及び組織標的化を増大させる、誘導体又はプロドラッグである。
【0114】
本発明の化合物は、無機又は有機酸に由来する「薬学的に許容される塩」等の塩の形態で使用されうる。これらは、以下の物質:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、エタンスルホン酸塩、二硫酸塩、酪酸塩、樟脳、樟脳スルホン酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ラウリル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、塩酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩、硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、トリメチル酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩及びデカン酸塩を含むがこれらに限定されない。加えて、塩基性窒素含有基は、以下の試薬で四級化されて、第四級アンモニウム塩を形成することができる:メチル、エチル、プロピル及びブチル基の塩化物、臭化物及びヨウ化物を含むハロゲン化低級アルキル等;硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル及び硫酸ジペンチルを含む硫酸ジアルキル等;デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルの塩化物、臭化物及びヨウ化物を含む長鎖ハロゲン化物等;ベンジル及びフェネチルの臭化物等のハロゲン化アラルキル等。
【0115】
本発明は、本発明の同位体標識化合物も含み、これらは、上記で開示したものと構造が同一であるが、1個又は複数の原子が、同じ数の陽子を有するが異なる数の中性子を有する原子によって置き換えられている。本発明の化合物に組み込む同位体の例は、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Cl及び131I等、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体を含む。
【0116】
本発明の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩、並びに上記の同位体及び/又は他の原子の同位体を含有する上記の形態の化合物は、すべて本発明の範囲内である。3H又は14Cで標識化されたもの等、本発明のある特定の同位体標識化合物は、薬物組織分布アッセイにおいて使用されてよく、したがって、これらの3H又は14C同位体は、それらの調製及び検出の容易性により、特に好ましい。加えて、2H等のより重い同位体によって置き換えられた本発明のある特定の化合物は、インビボ半減期の増大及びより低用量等のより良好な代謝安定性によるある特定の治療上の利点を有し、したがって、2Hも一部の事例において好ましい。
【0117】
詳細な記述
以下の例を使用して、本発明を更に例証するが、本発明はそれに限定されない。本出願全体を通して、本発明の化合物及び方法の種々の例が本明細書において参照される。記述されている種々の例は、若干数の例証的な例を提供することが意図されており、代替物の記述として解釈されるべきではない。同時に、本明細書において論じられる例(種々の方法及びパラメーターを含む)は、本発明を例証することが意図されているにすぎず、本発明の保護範囲を決して限定しないことに留意すべきである。本発明を記述することを目的として、具体例を以下で明記する。しかしながら、本発明はこれらの例に限定されず、以下の例は本発明を実践する方法を提供することが意図されているにすぎず、本発明の範囲を決して限定しないことを理解されたい。
【0118】
本発明の任意の項目における式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体又は薬学的に許容される塩の調製方法は、以下の工程を含む。スキーム1:
【0119】
【0120】
SM1-1及びSM2-1をある特定の化学反応条件下で反応させて、一般式(I)の化合物を調製し、ここで、各置換基は、前述の通りに定義される。
スキーム2:
【0121】
【0122】
SM1-2及びSM2-2をある特定の化学反応条件下で反応させて、一般式(I)の化合物を調製し、ここで、各置換基は、前述の通りに定義される。
【0123】
本発明によって提供される化合物は、当技術分野において周知である標準的な合成方法によって調製することができ、本明細書は、本発明の化合物を調製するための一般的な方法を提供する。出発材料は、通常は市販されており、例えば、Alfa Aesar(登録商標)社、Sigma-Aldrich(登録商標)社、TCI社、J&K(登録商標)社、Shaoyuan Chemical社、Energy Chemical社等の企業から購入されるか、又は当業者に周知である方法によって調製される。
【0124】
本発明の化合物及び対応する調製方法を、例及び調製を利用して以下で更に説明及び収載する。典型的な又は好ましい反応条件(反応温度、時間、反応物のモル比、反応溶媒及び圧力等)が具体例で記されるが、他の反応条件も当業者によって使用されうることが理解されるべきである。最適な反応条件は、使用される特定の反応基質又は溶媒に伴って変動しうるが、そのような条件は、日常的な最適化を通じて、当業者によって決定されうる。
【0125】
以下の例における化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)によって特徴付けた。NMR分光計を使用し、化合物を適切な重水素化試薬に溶解し、TMSを内部標準として用いて、1H-NMRによって室温で分析した。NMR化学シフト(δ)をppmで測定し、以下の略語:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;brs、広域一重線を使用した。MSは質量分析計(ESI)によって決定した。
【0126】
反応の出発材料、例の中間体及び化合物を、沈殿、濾過、結晶化、蒸発、蒸留及びクロマトグラフィー(カラムクロマトグラフィー、TLC分離及び精製等)等の従来の技術によって、分離及び精製することができる。
【0127】
HSGF254薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレート(0.2±0.03mm)をTLCに使用し、HSGF254薄層クロマトグラフィー厚調製プレート(0.9~1mm)をTLC分離及び精製に使用した。300~400メッシュシリカゲルをカラムクロマトグラフィーのための担体として使用した。
【0128】
試験において使用した市販の溶媒及び試薬は、別段の指定がない限り、購入後に更なる精製も処理もなしに直接使用されうる。他の例又は合成方法に言及する場合、反応条件(反応温度、反応溶媒、反応物のモル比又は/及び反応持続時間)は異なりうる。概して、反応の進行をTLCによってモニターすることができ、適切な時間を選択して、反応を終了させ、後処理を適宜行うことができる。化合物の精製条件も変動しうるものであり、概して、適切なカラムクロマトグラフィー溶離液がTLCのRf値に従って選択されるか、又は対応する化合物が分取TLCによって分離及び精製される。
【0129】
中間体の調製
中間体:4-(4-(2-メチル-5-(2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸
【0130】
【0131】
5-ブロモ-N-メトキシ-N,2-ジメチルベンズアミド
5-ブロモ-2-メチル安息香酸(24.0g)及びジクロロメタン(600ml)を1リットルの反応フラスコに添加し、ジメチルスルホキシド(16.2ml)、N,N-ジメチルホルムアミド(3.6ml)を連続的に滴下添加し、滴下後、混合物を室温に戻し、3時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮乾固し、ジクロロメタン(190ml)、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(31.0g)を連続的に添加し、温度を氷浴中で0℃に冷却し、トリエチルアミン(46.5ml)を滴下添加した。添加後、溶液を室温に戻し、15時間にわたって撹拌した。反応溶液を1M希塩酸に注ぎ入れ、液体分離を行い、水性相をジクロロメタンで2回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、23.1gの無色液体を得た。
【0132】
(5-ブロモ-2-メチルフェニル)(4-クロロフェニル)メタノン
前の工程の生成物(18.7g)及びテトラヒドロフラン(150ml)を、500mlの反応フラスコに添加し、0℃に冷却し、4-クロロフェニルマグネシウムブロミド(Et2O中1M)を滴下添加し、滴下後、混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、18.0gの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.76(m,2H),7.54(dd,J=2.1,8.2Hz,1H),7.48(m,2H),7.43(d,J=2.1Hz,1H),7.20(d,J=8.2Hz,1H),2.27(s,3H).
【0133】
4-ブロモ-2-(4-クロロベンジル)-1-トルエン
(5-ブロモ-2-メチルフェニル)(4-クロロフェニル)メタノン(23.0g)、アセトニトリル(230ml)及びトリエチルシラン(52.9ml、331.2mmol)を、500mlの反応フラスコに添加し、0℃に冷却し、三フッ化ホウ素エーテル(54.6ml)をゆっくりと滴下添加し、添加後、0℃で30分間にわたって撹拌し続け、次いで、混合物を65℃に加熱し、2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、反応溶液を0℃に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を泡が発生しなくなるまでゆっくりと添加し、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテルで溶離する)によって精製して、18.5gの白色固体を得た。
【0134】
(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)((3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)メタノン
(3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)(モルホリニル)メタノン(14.3g)及びテトラヒドロフラン(150ml)を、500mlの反応フラスコに添加し、0℃に冷却し、tert-ブチルマグネシウムクロリド(THF中1M、57.5ml、57.5mmol)を滴下添加し、添加後、混合物を30分間にわたって撹拌し続けた。
【0135】
4-ブロモ-2-(4-クロロベンジル)-1-トルエン(18.5g)及びテトラヒドロフラン(180ml)を、窒素保護下、1Lの反応フラスコに添加し、-78℃に冷却し、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M)をゆっくりと滴下添加し、10分間にわたって撹拌した。次いで、新たに調製した上記のグリニャール反応溶液を添加し、添加後、混合物を室温に戻し、1時間にわたって撹拌し続けた。反応が完了した後、反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、14.2gの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.90-7.88(dd,J=1.8,7.9Hz,1H),7.77(d,J=1.6Hz,1H),7.32-7.30(d,J=8.0Hz,1H),7.28-7.26(m,2H),7.08-7.06(d,J=8.4Hz,2H),6.10(d,J=3.6Hz,1H),5.31(d,J=2.7Hz,1H),4.61(d,J=3.6Hz,1H),4.58(s,1H),4.02(s,2H),3.09(s,1H),2.31(s,3H),1.57(s,3H),1.38(s,3H).
【0136】
(3aS,5S,6R,6aS)-5-((s)-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール
(3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)(モルホリニル)メタノン(14.2g)、塩化セリウム七水和物(15.7g)及びメタノール(280ml)を、500mlの反応フラスコに添加し、氷浴中で0℃に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液中の水素化ホウ素ナトリウム(1.6g)の溶液(16ml)をゆっくりと滴下添加した。添加後、混合物を室温に戻し、1時間にわたって撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、13.0gの淡黄色固体を得、これを次の反応において直接使用した。
【0137】
(3S,4R,5S,6S)-6-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトライルテトラアセテート
(3aS,5S,6R,6aS)-5-((s)-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール(13.0g)、氷酢酸(65ml)及び水(65ml)を、500mlの反応フラスコに添加し、110℃に加熱し、4時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮乾固し、トルエンと3回にわたって共沸蒸留し、残留物を130mlのアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミン(44.5ml)を添加し、アセトニトリル中の無水酢酸(30.1ml)の溶液(65ml)を、窒素保護下、35℃でゆっくりと滴下添加した。添加後、混合物を室温に自然に冷却し、15時間にわたって撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水を添加し、液体分離を行った。水性相を酢酸エチルで3回にわたって抽出した。有機相を合わせ、希塩酸及び飽和食塩水で順に1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、14.6gの黄色固体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.26-7.23(m,2H),7.19-7.14(m,2H),7.09(s,1H),7.01(d,J=8.5Hz,2H),5.88(d,J=8.2Hz,1H),5.37(t,J=9.5Hz,1H),5.28(t,J=8.9Hz,1H),5.20(t,J=9.6Hz,1H),4.50(d,J=9.9Hz,1H),3.98-3.90(m,2H),2.18(s, 3H),2.12(s,3H),2.08(s,3H),2.03(s,3H),1.78(s,3H).
【0138】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
(3S,4R,5S,6S)-6-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトライルテトラアセテート(14.6g)、チオ尿素(4.2g)、1,4-ジオキサン(150ml)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(9.9ml)を、500mlの反応フラスコに添加し、90℃に加熱し、2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、溶液を室温に冷却し、ヨードメタン(5.1ml)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(27.1ml)を連続的に添加し、混合物を室温で15時間にわたって撹拌した。酢酸エチル及び水を添加し、撹拌し、液体分離を行った。水性相を酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、希塩酸及び飽和食塩水で順に1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、11.4gの淡黄色固体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.26-7.23(m,2H),7.18-7.14(m,2H),7.06(s,1H),7.03-7.00(m,2H),5.35(t,J=9.4Hz,1H),5.23(t,J=9.6Hz,1H),5.13(t,J=9.7Hz,1H),4.53(d,J=9.9Hz,1H),4.40(d,J=9.8Hz,1H),3.99-3.88(m,2H),2.20(s,3H),2.19(s,3H),2.11(s,3H),2.03(s,3H),1.78(s,3H).
【0139】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-((E)-4-メトキシ-4-オキソブタ-1-エン-1-イル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-クロロベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(1.0g)、3-ブテン酸メチル(1.0ml)、Pd2(dba)3(366mg)、トリ-tert-ブチルホスフィンテトラフルオロボレート(232mg)、ジシクロヘキシルメチルアミン(1.2ml)及びN-メチルピロリドン(10ml)を、25mlのマイクロ波反応管に添加し、窒素置き換え後、混合物をマイクロ波によって160℃に加熱し、1時間にわたって反応させた。この操作プロセスを10回にわたって合計10gの原材料について繰り返した。反応溶液を合わせ、酢酸エチルで希釈し、水を添加し、液体分離を行った。水性相を酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、希塩酸及び飽和食塩水で順に1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、6.4gの淡黄色固体を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ7.30-7.28(m,2H),7.16-7.15(m,2H),7.04-7.02(m,3H),6.47(d,J=15.9Hz,1H),6.30-6.22(m,1H),5.35(t,J=9.4Hz,1H),5.23(t,J=9.6Hz,1H),5.13(t,J=9.7Hz,1H),4.53(d,J=9.8Hz,1H),4.40(d,J=9.9Hz,1H),4.01-3.90(m,2H),3.73(s,3H),3.26(dd,J=1.2,7.1Hz,2H),2.21(s,3H),2.18(s,3H),2.11(s,3H),2.02(s,3H),1.77(s,3H).
【0140】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-((E)-4-メトキシ-4-オキソブタ-1-エン-1-イル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(6.8g)、メタノール(60ml)、テトラヒドロフラン(60ml)、5%パラジウム炭素(1.4g)を、250mlの反応フラスコに添加し、水素置き換えを3回にわたって行い、混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、5.6gの淡黄色固体を得た。
【0141】
4-(4-(2-メチル-5-(2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-(4-メトキシ-4-オキソブチル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(5.6g)、メタノール(30ml)、テトラヒドロフラン(15ml)及び水(30ml)を、250mlの反応フラスコに添加し、次いで、水酸化リチウム一水和物(4.0g)をゆっくりと添加し、添加後、混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を廃棄し、水性相のpHを希塩酸で1に調整し、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、2.8gの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ12.04(s,1H),7.11-7.04(m,7H),5.22(d,J=5.5Hz,1H),5.13(brs,1H),4.88(d,J=5.4Hz,1H),4.33(d,J=9.4Hz,1H),4.05(d,J=8.9Hz,1H),3.91(s,2H),3.29-3.15(m,3H),2.53(t,J=7.4Hz,2H),2.20(t,J=7.4Hz,2H),2.17(s,3H),2.03(s,3H),1.80-1.72(五重線,J=7.7Hz,2H).MS:m/z 445.2,[M-H]-.
【0142】
中間体:3-((4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)ベンジル)オキシ)プロピオン酸
【0143】
【0144】
(3-クロロ-4-メチルフェニル)((3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)メタノン
(3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)(モルホリニル)メタノン(5.0g)、テトラヒドロフラン(50ml)を、窒素保護下、250mlの反応フラスコに添加し、0℃に冷却し、tert-ブチルマグネシウムクロリド(THF中1M、20.1mL)を添加し、30分間にわたって撹拌した。
【0145】
2-クロロ-4-ヨードトルエン(5.5g)、テトラヒドロフラン(50ml)を、窒素保護下、500mlの反応フラスコに添加し、-78℃に冷却し、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、14.9ml)をゆっくりと添加し、添加後、10分間にわたって撹拌した。新たに調製した上記のグリニャール反応溶液を添加し、添加後、混合物を室温に戻し、1時間にわたって撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、4.0gの白色固体を得た。
【0146】
(3aS,5S,6R,6aS)-5-((S)-(3-クロロ-4-メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール
(3-クロロ-4-メチルフェニル)(3aS,5R,6S,6aS)-6-ヒドロキシ-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-5-イル)メタノン(3.0g)、塩化セリウム七水和物(4.3g)及びメタノール(60ml)を、250mlの反応フラスコに添加し、氷浴中で0℃に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(5ml)中の水素化ホウ素ナトリウム(0.4g)をゆっくりと滴下添加した。添加後、混合物を室温に戻し、1時間にわたって撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、3.0gの淡黄色固体を得た。
【0147】
(2R,3S,4R,5S,6S)-6-(3-クロロ-4-メチルフェニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトライルテトラアセテート
(3aS,5S,6R,6aS)-5-((S)-(3-クロロ-4-メチルフェニル)(ヒドロキシ)メチル)-2,2-ジメチルテトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール-6-オール(3.0g)、氷酢酸(15ml)及び水(15ml)を、150mlの反応フラスコに添加し、110℃に加熱し、4時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮乾固し、トルエンと3回にわたって共沸蒸留し、残留物を30mlのアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミン(13.3ml)を添加し、アセトニトリル中の無水酢酸(9.0ml)の溶液(18ml)を35℃でゆっくりと滴下添加した。添加後、混合物を室温に冷却し、15時間にわたって撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水を添加し、液体分離を行った。水性相を酢酸エチルで3回にわたって抽出した。有機相を合わせ、希塩酸で1回及び飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4.6gの褐色油状物質を得、これを次の反応に直接添加した。
【0148】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
(2R,3S,4R,5S,6S)-6-(3-クロロ-4-メチルフェニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4,5-テトライルテトラアセテート(4.6g(理論量))、チオ尿素(1.5g)、1,4-ジオキサン(40ml)、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(3.5ml)を、150mlの反応フラスコに添加し、90℃に加熱し、2時間にわたって撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、ヨードメタン(1.8ml)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.5ml)を添加し、混合物を15時間にわたって撹拌した。酢酸エチル及び水を反応溶液に添加し、液体分離を行った。水性相を酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、希塩酸で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、2.4gの淡黄色固体を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.33(d,J=1.6Hz,1H),7.21(d,J=7.9Hz,1H),7.17-7.14(dd,J=1.6,7.8Hz,1H),5.36(t,J=9.4Hz,1H),5.23(t,J=9.7Hz,1H),5.10(t,J=9.7Hz,1H),4.55(d,J=9.9Hz,1H),4.41(d,J=9.9Hz,1H),2.37(s,3H),2.22(s,3H),2.12(s,3H),2.04(s,3H),1.87(s,3H).MS:m/z 453.1,[M+Na]+.
【0149】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(1.2g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.4g)、酢酸カリウム(0.8g)、酢酸パラジウム(0.05g)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(0.1g)、1,4-ジオキサン(10ml)を、25mlのマイクロ波管に添加し、窒素置き換え後、混合物をマイクロ波によって60℃に加熱し、18時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮し、次いで、カラムクロマトグラフィーによって精製して、1.1gの淡黄色固体を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.67(d,J=2.0Hz,1H),7.37(dd,J=2.1,8.0Hz,1H),7.17(d,J=7.9Hz,1H),5.36(t,J=9.4Hz,1H),5.24(t,J=9.6Hz,1H),5.15(t,J=9.7Hz,1H),4.54(d,J=9.9Hz,1H),4.46(d,J=9.9Hz,1H),2.52(s,3H),2.20(s,3H),2.12(s,3H),2.03(s,3H),1.85(s,3H),1.35(d,J=3.3Hz,12H).MS:m/z 545.2,[M+Na]+.
【0150】
エチル3-(4-ホルミルベンジル)オキシ)プロピオネート
p-ヒドロキシメチルベンズアルデヒド(3.0g)及びテトラヒドロフラン(30ml)を、150mlの反応フラスコに添加し、氷浴中で0℃に冷却し、テトラヒドロフラン(15ml)中の3-ブロモプロピオン酸エチル(14.1ml)の溶液をゆっくりと滴下(ropwise)添加し、添加後、混合物を室温に戻し、15時間にわたって撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、800mgの無色液体を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ 10.03(s,1H),7.89(d,J=8.2Hz,2H),7.52(d,J=8.0Hz,2H),4.64(s,2H),4.19(q,J=7.1Hz,2H),3.82(t,J=6.3Hz,2H),2.66(t,J=6.3Hz,2H),1.29(t,J=7.1Hz,3H).
【0151】
エチル3-(4-(ヒドロキシメチル)ベンジルオキシ)プロピオネート
エチル3-(4-ホルミルベンジル)オキシ)プロピオネート(800mg)及びメタノール(16ml)を、50mlの反応フラスコに添加し、氷浴中で0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(193mg)を数回に分けて添加した。添加後、混合物を室温に戻し、2時間にわたって撹拌した。反応溶液を1N HCl水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、600mgの無色液体を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.36-7.32(m,4H),4.68(s,2H),4.54(s,2H),4.17(q,J=7.2Hz,2H),3.75(t,J=6.4Hz,2H),2.62(t,J=6.4Hz,2H),2.07(brs,1H),1.27(t,J=7.1Hz,3H).
【0152】
エチル3-((4-(((メトキシカルボニル)オキシ)メチル)ベンジル)オキシ)プロピオネート
エチル3-(4-(ヒドロキシメチル)ベンジルオキシ)プロピオネート(600mg)、ピリジン(0.4ml)、ジクロロメタン(6ml)を、50mlの反応フラスコに添加し、氷浴中で0℃に冷却し、ジクロロメタン中のクロロギ酸メチル(0.5ml)の溶液(2ml)を滴下添加し、添加後、混合物を室温に戻し、3時間にわたって撹拌した。反応溶液を1N HCl水溶液に注ぎ入れ、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、620mgの無色液体を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.41-7.34(m,4H),5.17(s,2H),4.55(s,2H),4.18(q,J=7.1Hz,2H), 3.81(s,3H),3.76(t,J=6.4Hz,2H),2.63(t,J=6.4Hz,2H),1.28(t,J=7.1Hz,3H).
【0153】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-(3-エトキシ-3-オキソプロピルオキシ)メチル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(72mg)、アリルパラジウム(II)クロリドダイマー(32mg)、トルエン(4ml)、イソプロパノール(2ml)を、25mlの三口(there-necked)フラスコに添加し、窒素置き換え後、混合物を室温で30分間にわたって撹拌した。
【0154】
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(911mg)、エチル3-((4-(((メトキシカルボニル)オキシ)メチル)ベンジル)オキシ)プロピオネート及びイソプロパノール(8ml)を、25mlのマイクロ波反応管に添加し、上記の触媒を窒素置き換え後に添加し、反応物を80℃まで12時間にわたってマイクロ波照射した。反応溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、540mgの油状物質を得た。1H NMR(CDCl3,400MHz):δ7.23(d,J=8.1Hz,2H),7.18-7.13(m,2H),7.07-7.05(m,3H),5.34 (t,J=9.4Hz,1H),5.22(t,J=9.6Hz,1H),5.13(t,J=9.7Hz,1H),4.53(d,J=9.9Hz,1H),4.50(s,2H),4.40(d,J=9.8Hz,1H),4.15(q,J=7.2Hz,2H),4.00-3.92(m,2H),3.75(t,J=6.4Hz,2H),2.61(t,J=6.4Hz,2H),2.21(s,3H),2.18(s,3H),2.11(s,3H),2.02(s,3H),1.76(s,3H),1.27(t,J=6.4Hz,3H).
【0155】
3-((4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)ベンジル)オキシ)プロピオン酸
(2S,3S,4R,5S,6R)-2-(3-(4-(3-エトキシ-3-オキソプロピルオキシ)メチル)ベンジル)-4-メチルフェニル)-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(540mg)、メタノール(3ml)、テトラヒドロフラン(1.5ml)、水(3ml)、水酸化リチウム一水和物(368mg)を、25mlの反応フラスコに添加し、室温で15時間にわたって撹拌した。反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を廃棄し、水性相のpHを希塩酸で1に調整し、酢酸エチルで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固して、300mgの無色泡状物を得た。
1H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ12.19(brs,1H),7.22(d,J=8.1Hz,2H),7.13-7.11(m,5H),5.22 (brs,1H),4.89(brs,1H),4.42(s,2H),4.33(d,J=9.4Hz,1H),4.05(d,J=9.1Hz,1H),3.94(s,2H),3.61(t,J=6.3Hz,2H),3.51-3.45(m,1H),3.30-3.17(m,3H),2.48(t,J=6.3Hz,2H),2.18(s,3H),2.04(s,3H).
13C NMR(DMSO-d6,100MHz):δ173.2,140.0,138.7,137.9,136.3,135.8,130.1,129.7,128.9,128.1, 126.0,85.8,81.8,78.6,74.8,72.7,72.2,66.0,38.9,35.2,19.5,11.5.MS:m/z 485.2,[M+Na]+.
【0156】
中間体:N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタ-1,2-ジアミン
【0157】
【0158】
2-(Boc-アミノ)エチルブロミド
テトラヒドロフラン(4ml)、水(4ml)、ブロモエチルアミン臭化水素酸(2.05g)を、25mlの反応フラスコに連続的に添加し、10℃に冷却し、重炭酸ナトリウム(2.1g)、4-ジメチルアミノピリジン(61mg)、二炭酸ジ-tert-ブチル(2.05g)を添加し、添加後、10℃で8時間にわたって撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を液体分離(seperation)に供し、水性相をジクロロメタンで2回抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、2.0gの淡黄色液体を得た。
【0159】
N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタ-1,2-ジアミン
N-メチルプロパルギルアミン(0.68g)、テトラヒドロフラン(20ml)、水(20ml)、炭酸カリウム(2.46g、17.8mmol)、及びテトラヒドロフラン中の2-(Boc-アミノ)エチルブロミド(2.0g)の溶液(5ml)を、100mlの反応フラスコに連続的に添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで3回にわたって抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、1.72gの淡黄色油状物質を得た。得られた粗生成物をアセトニトリル(10ml)に溶解し、濃塩酸(5ml)をゆっくりと滴下添加し、室温で1時間にわたって撹拌し、反応溶液を減圧下で濃縮し、10mlのアセトニトリルに溶解し、炭酸カリウム(3.35g、24.3mmol)を添加し、35℃で3時間にわたって撹拌し、室温に冷却し、珪藻土で濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を濃縮乾固して、0.67gの淡黄色液体を得た。MS:m/z 112.9,[M+H]+.
【0160】
中間体:2-アミノ-2-メチル-N-(2-(メチル(プロパ-2-イン-1-イル)アミノ)エチル)プロピオンアミド
【0161】
【0162】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-メチルプロピオン酸(894mg)及びジクロロメタン(25ml)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、氷浴中で0℃に冷却し、CDI(713mg)をゆっくりと添加した。添加後、混合物を0℃で30分間にわたって撹拌した。N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタ-1,2-ジアミン(450mg)を添加し、添加後、混合物を室温に戻し、3時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水を添加し、液体分離を行い、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮乾固して、1.04gの淡黄色液体を得た。生成物をアセトニトリル(5ml)に溶解し、濃塩酸(2ml)をゆっくりと滴下添加し、室温で1時間にわたって撹拌し、反応溶液を濃縮乾固し、アセトニトリル(10ml)を添加して溶解し、炭酸カリウム(1.93g)を添加し、35℃で3時間にわたって撹拌し、室温に冷却し、珪藻土で濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、550mgの淡黄色液体を得た。MS:m/z 198.2,[M+H]+.
【0163】
中間体:2-アミノ-N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-2-メチルプロピオンアミド
【0164】
【0165】
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-メチルプロピオン酸(2.03g)及びジクロロメタン(25ml)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、氷浴中で0℃に冷却し、CDI(1.62g)をゆっくりと添加した。添加後、混合物を0℃で30分間にわたって撹拌した。N,N-ジメチルエチレンジアミン(970mg)を添加し、添加後、混合物を室温に戻し、3時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水を添加し、液体分離を行い、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、1.96gの淡黄色液体を得た。生成物をアセトニトリル(10ml)に溶解し、濃塩酸(4ml)をゆっくりと滴下添加し、室温で1時間にわたって撹拌し、反応溶液を濃縮乾固し、アセトニトリル(10ml)を添加して溶解し、炭酸カリウム(4.14g、30mmol)を添加し、35℃で3時間にわたって撹拌し、室温に冷却し、珪藻土で濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮して、930mgの淡黄色液体を得た。MS:m/z 174.2,[M+H]+.
【0166】
中間体:2-アミノ-2-メチル-N-(2-(メチル(2-(メチル(プロパ-2-イン-1-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)エチル)プロピオンアミド
【0167】
【0168】
エチルN-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-N-メチルグリシン
Tert-ブチル2-(メチルアミノ)エチルカルバメート(8.7g)、アセトニトリル(100ml)、炭酸カリウム(10.4g)及びブロモ酢酸エチル(9.2g)を、100mlの反応フラスコに連続的に添加し、30℃に加熱し、10時間にわたって撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、9.89gの淡黄色油状物質を得た。
【0169】
2-((2-アミノエチル)(メチル)アミノ)-N-メチル-N-(プロパ-2-イン-1-イル)アセトアミド
エチルN-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル)-N-メチルグリシン(5.5g)、テトラヒドロフラン(25ml)、水酸化リチウム一水和物(0.98g)及び水(2ml)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、室温で5時間にわたって撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、濃縮した残留物をジクロロメタン(25ml)に溶解した。HATU(9.62g)、DIPEA(5.57g)及びN-メチルプロパルギルアミン(1.75g)を連続的に添加し、混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水を添加し、液体分離を行った。有機相を飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、3.2gの淡黄色油状物質を得た。生成物をアセトニトリル(15ml)に溶解し、濃塩酸(5ml)をゆっくりと滴下添加し、混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮し、アセトニトリル(15ml)を添加して溶解し、炭酸カリウム(6.24g)を添加し、混合物を35℃で3時間にわたって撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、珪藻土で濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を濃縮して、1.67gの淡黄色液体を得た。
【0170】
2-アミノ-2-メチル-N-(2-(メチル(2-(メチル(プロパ-2-イン-1-イル)アミノ)-2-オキソエチル)アミノ)エチル)プロピオンアミド
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-メチルプロピオン酸(2.03g)及びジクロロメタン(25ml)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、氷浴中で0℃に冷却し、CDI(1.62g)をゆっくりと添加した。添加後、混合物を0℃で30分間にわたって撹拌した。2-((2-アミノエチル)(メチル)アミノ)-N-メチル-N-(プロパ-2-イン-1-イル)アセトアミド(1.67g)を添加し、添加後、室温に戻し、3時間にわたって撹拌した。ジクロロメタンを反応フラスコに添加して希釈し、水を添加し、液体分離を行った。水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、2.1gの淡黄色油状物質を得た。生成物をアセトニトリル(10ml)に溶解し、濃塩酸(4ml)をゆっくりと滴下添加し、混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。反応溶液を濃縮乾固し、アセトニトリル(10ml)を添加して溶解し、炭酸カリウム(3.15g、22.8mmol)を添加し、混合物を35℃で3時間にわたって撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、珪藻土で濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮乾固して、1.24gの淡黄色油状物質を得た。MS:m/z 269.2,[M+H]+.
【0171】
化合物の調製
【実施例1】
【0172】
【0173】
4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸(100mg)、N-(2-アミノエチル)ピロリジン(51mg)、テトラヒドロフラン(3ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(85mg、0.66mmol)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチル尿素ヘキサフルオロホスフェート(110mg)を、50mlの一口フラスコに添加し、室温で2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、20mgの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD3):δ=7.24-7.01(m,7H),4.41(d,J=9.4Hz,1H),4.15(d,J=9.2Hz,1H),3.97(s,2H),3.51-3.40(m,8H),3.29(t,J=6.0Hz,2H),2.62(t,J=7.5Hz,2H),2.31-2.24(m,2H),2.23(s,3H),2.16(s,3H),2.12-2.05(m,3H),2.04(s,2H),1.96-1.91(m,2H).MS:m/z 543.3,[M+H]+.
【実施例2】
【0174】
【0175】
4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸(100mg)、4-メチル-1-ピペラジンエチルアミン(64mg)、テトラヒドロフラン(3ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(85mg)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(110mg)を、50mlの一口フラスコに添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、56mgの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD3):δ=7.23-7.04(m,7H),4.42(d,J=9.5Hz,1H),4.16(d,J=9.3Hz,1H),3.97(s,2H),3.53-3.37(m,4H),3.37-3.29(m,5H),3.27-2.92(m,4H),2.80(s,3H),2.66-2.54(m,4H),2.27-2.18(m,5H),2.16(s,3H),1.97-1.85(m,2H).MS:m/z 572.3,[M+H]+.
【実施例3】
【0176】
【0177】
4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸(80mg)、1-(2-アミノエチル)ピペラジン(30mg)、テトラヒドロフラン(3ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(70mg)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(89mg)を、50mlの一口フラスコに添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、16mgの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD3):δ7.22-7.05(m,7H),4.41(d,J=9.4Hz,1H),4.15(d,J=9.2Hz,1H),3.97(s,2H),3.53-3.38(m,5H),3.17(t,J=6.0Hz,2H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),2.30-2.20(m,5H),2.16(s,3H),1.97-1.78(m,4H),1.74-1.57(m,2H),1.36-1.28(m,6H).MS:m/z 557.3,[M+H]+.
【実施例4】
【0178】
【0179】
4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸(80mg)、N1-ベンジル-N1-メチルエタン-1,2-ジアミン(30mg)、テトラヒドロフラン(3ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(70mg)及び2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(89mg)を、50mlの一口フラスコに添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応が完了した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、50mgの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,CD3OD):δ=7.39-7.25(m,5H),7.22-7.12(m,3H),7.11-7.03(m,4H),4.40(d,J=9.4Hz,1H),4.14(d,J=9.1Hz,1H),3.96(s,2H),3.67(s,2H),3.52-3.34(m,5H),2.67-2.53(m,4H),2.33(s,3H),2.24-2.16(m,5H),2.15(s,3H),1.94-1.83(m,2H).MS:m/z593.3,[M+H]+.
【実施例5】
【0180】
【0181】
4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)酪酸(Reference Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721の方法によって調製したもの) (89mg、0.2mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(5ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(52mg、0.4mmol)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタン-1,2-ジアミン(化合物1B) (25mg、0.22mmol)、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(84mg、0.22mmol)を、25mlの反応フラスコに連続的に添加し、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)によって精製して、白色固体(45mg)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δppm 7.17-7.12(m,2H),7.09-7.02(m,5H),6.22-6.20(t,J=4.9Hz,1H), 4.36-4.34(d,J=9.5Hz,1H),4.13-4.11(d,J=9.4Hz,1H),3.96-3.88(m,2H),3.63-3.58(t,J=8.8Hz,1H),3.51-3.44(m,2H),3.28-3.25(m,4H),2.62-2.58(t,J=7.2Hz,2H),2.54-2.51(t,J=5.8Hz,2H),2.26-2.22(m,7H),2.15(s,3H),2.14-2.10(t,J=7.8Hz,2H),1.97-1.88(m,2H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6):δppm 168.5,134.8,134.4,133.0,132.2,130.7,125.7,124.2,124.1,123.9,120.8,80.9,77.2,73.2,72.9,69.9,69.0,67.3,49.4,40.9
,36.5,34.1,31.8,30.9,30.0,22.3,14.8,7.0;MS[M+H]+=541.3.
【実施例6】
【0182】
【0183】
化合物は、実施例1における同様の調製スキームを参照することによって得た。ESI-MS: 543.3[M+H]+.
【0184】
具体的な調製方法は、次の通りであった。
【0185】
【0186】
3-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニルオキシ)プロピオン酸(91mg)、N,N-ジメチルホルムアミド(10ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(55mg)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタン-1,2-ジアミン(27mg)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(92mg)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(53mg)を得た。
【実施例7】
【0187】
【0188】
化合物は、実施例1における同様の調製スキームを参照することによって得た。
【0189】
具体的な調製方法は、次の通りであった。
【0190】
【0191】
3-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)ベンジル)オキシ)プロピオン酸(92mg)、N,N-ジメチルホルミル(5ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(52mg)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタ-1,2-ジアミン(25mg)、2-(7-ベンゾトリアゾールオキシド)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(84mg)を、25mlの反応フラスコに連続的に添加し、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、45mgの白色固体を得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ7.82(s,1H),7.22-7.10(m,7H),5.22(s,1H),5.13(s,1H),4.88(s,1H),4.40 (s,2H),4.33(d,J=9.0Hz,1H),4.05(d,J=8.3Hz,1H),3.94(s,2H),3.60(s,2H),3.51(s,1H),3.29-3.21(m,5H),2.39-2.34(m,4H),2.18(m,5H),2.04(s,3H).13C NMR(100MHz,DMSO-d6):δ170.5,139.9,138.7, 137.9,136.4,135.8,130.1,129.7,128.9,128.1,126.0,85.8,81.8,79.3,78.6,76.3,74.8,72.7,72.1,66.6,54.7,45.5,41.7,38.9,37.1,36.6,19.5,11.5.MS:m/z 557.2737,[M+H]+.
【実施例8】
【0192】
【0193】
化合物は、実施例1における同様の調製スキームを参照することによって得た。ESI-MS: 539.2[M+H]+.
【0194】
具体的な調製方法は、次の通りであった。
【0195】
【0196】
(E)-4-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)ビニル酢酸(102mg)、N,N-ジメチルホルムアミド(10ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(54mg)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタン-1,2-ジアミン(29mg)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(95mg)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(56mg)を得た。
【実施例9】
【0197】
【0198】
化合物は、実施例1における同様の調製スキームを参照することによって得た。ESI-MS: 553.4[M+H]+.
【0199】
具体的な調製方法は、次の通りであった。
【0200】
【0201】
3-(4-(2-エチニル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニルオキシ)プロピオン酸(65mg)、N,N-ジメチルホルムアミド(8ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(50mg)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタン-1,2-ジアミン(20mg)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(82mg)を、50mlの反応フラスコに連続的に添加し、添加後、室温で1.5時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体(16mg)を得た。
【実施例10】
【0202】
化合物は、実施例1における同様の調製スキームを参照することによって得た。ESI-MS: 555.6[M+H]+.
【0203】
【0204】
具体的な調製方法は、次の通りであった。
【0205】
【0206】
5-(4-(2-メチル-5-((2S,3R,4R,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(メチルチオ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)ベンジル)フェニル)吉草酸(49mg)、N,N-ジメチルホルムアミド(5ml)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(25mg)、N1-メチル-N1-(プロパ-2-イン-1-イル)エタン-1,2-ジアミン(18mg)、2-(7-アザベンゾトリアゾール)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(62mg)を、25mlの反応フラスコに連続的に添加し、添加後、室温で2時間にわたって撹拌した。反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄し、水性相をジクロロメタンで3回にわたって抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固し、カラムクロマトグラフィーによって精製して、淡黄色固体(19mg)を得た。
【0207】
本発明の一部の化合物への「アルキニル」官能基の導入は、2つの利点を有する:一方で、「アルキニル」官能基は「クリックケミストリー」を使用して生物発光マーカーと接続することができ、これは、体内における化合物の分布を正確に決定するために有益である。例えば、「クリックケミストリー」は、銅塩の触媒作用下、本発明の化合物と、蛍光性発色団を持つ「アジド」化合物との間で起こって、「トリアゾール構造」を持つ蛍光化合物を発生させる。本発明の化合物は、バイオマーカー機能を持つ他の生物学的化合物と連結して、検出しやすい新たな化学物質を形成することもでき、これは、そのような化合物の有効性及び安全性を十分に研究するために非常に有意である。他方で、「アルキニル」官能基は、「クリックケミストリー」を介して他のファーマコフォア基と接続し、これは、より良好な包括的な特性を持つ候補化合物の発見を促す。例は次の通りである。
【0208】
「クリックケミストリー」を使用する探索的研究:
(1)発光特性を持つ標識化合物の調製
【0209】
【0210】
実施例5の化合物、硫酸銅、及び7-ヒドロキシ-3-アジドクマリン(Journal of the American Chemical Society(2014)、136(20)、7205~7208; Chemistry-A European Journal(2011)、17(12)、3326~3331、S3326/1-S3326/21; Journal of Fluorescence(2013)、23(1)、181~186; Journal of Organic Chemistry(2011)、76(12)、4964~4972; Angewandte Chemie、International Edition(2019)、58(21)、6987~6992を参照)を室温で反応させて、生成物を得た。Rf:0.22(ジクロロメタン:メタノール=10:1)。
【0211】
(2)より良好な包括的な特性を持つ候補化合物の調製
【0212】
【0213】
実施例5の化合物、硫酸銅、及びシクロプロピルアジド(Chemische Berichte(1985)、118(4)、1564~1574; Science of Synthesis(2010)、41、543~612; Nature(London、United Kingdom)(2019)、574(7776)、86~89を参照)を室温で反応させて、生成物を得た。Rf:0.24(ジクロロメタン:メタノール=10:1)。化合物は、実施例5のものと同様の生物活性を有し、実施例5の化合物よりも良好な脂質溶解度及び水溶解度を有する。
【0214】
生物学的試験
1. SGLT1阻害剤活性実験1
SGLT1の阻害活性を、文書において記述されている方法を参照して試験した(Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721、Discovery of LX2761, a Sodium-Dependent Glucose Cotransporter 1(SGLT1) Inhibitor Restricted to the Intestinal Lumen, for the Treatment of Diabetes)。
【0215】
試験結果:
【0216】
【0217】
ここで、Aは、活性IC50<50nMを表し、Bは、50nM<IC50<1000nMを表し、Cは、IC50>1000nMを表す。
【0218】
実験結果は、本発明の化合物が、SGLT1を阻害する有意な活性を有することを示す。
【0219】
マウス耐糖能試験において、本発明の化合物は、試験動物の血中グルコースレベルを改善する効果を有する。
【0220】
本発明の化合物は、体重を低減させるのに役立ち、インビボ薬力学的研究において、本発明の化合物は、実験動物の体重を低減させた。
【0221】
本発明の化合物は、インビボで非常に低い吸収を有するか又は有さず、薬物動態研究は、本発明の化合物が、実験動物においてほとんど検出されず、体内の他の臓器に対して副作用をほぼ有さないことを示した。
【0222】
2. hSGLT1阻害剤活性実験
阻害活性試験は、文書において記述されている同様の方法を参照して実施した(Acta Pharmaceutica Sinica 2017、52(6):897~903; Nature Protocols(2007)、2(3)、753~762; Journal of Biochemical and Biophysical Methods(2005)、64(3)、207~215; Diabetes Technology & Therapeutics(2011)、13(7)、743~775)。
【0223】
この実験では、ヒト胎児腎上皮細胞(ヒトSGLT1を安定に発現しているHEK293)による2-NBDG(2-デオキシ-2-[(7-ニトロ-2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-4-イル)アミノ]-D-グルコース、CAS番号:186689-07-6)の取り込みを使用してインビトロ活性アッセイを評価し、その半最大阻害濃度(IC50)を測定することによって標的化合物のSGLT1阻害活性を決定した。
【0224】
ヒトSGLT1遺伝子を安定に発現することができるHEK293細胞を、DMEM培地を含有する96ウェル透明底黒色プレートに接種した。細胞を、細胞インキュベーター内、37℃、5%CO2でインキュベートした。96ウェルプレート中の培地を吸引し、プレートを低グルコース無血清DMEM培地で処理し、非特異的取り込み緩衝液で1回及びNa+依存性取り込み緩衝液で1回洗浄した。試験化合物を含有する取り込み緩衝液、続いて、2-NBDGを含有する取り込み緩衝液をグルコース取り込みのために細胞の各ウェルに添加し、細胞プレートを37℃、5%CO2でインキュベートした。化合物を段階的に希釈した。培養培地を除去することによって取り込み反応を停止し、細胞を氷冷取り込み緩衝液で洗浄した後、洗浄溶液を除去した。NaOHを添加することによって細胞を溶解し、細胞中における2-NBDGの含有量を蛍光マイクロプレートリーダーによって検出した。溶解物のタンパク質濃度をBCA法によって測定し、2-NBDGの取り込みを蛍光強度/タンパク質含有量によって定量化し、得られたデータをグラフパッドプリズムを使用して分析して、試験される化合物の半数阻害濃度(IC50)を決定した。
【0225】
比較用化合物3は、文書において「3」と番号付けされた化合物である(Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721、Discovery of LX2761, a Sodium-Dependent Glucose Cotransporter 1 (SGLT1) Inhibitor Restricted to the Intestinal Lumen, for the Treatment of Diabetes)。これは、文書において記述されている合成方法に従って、調製及び同定された。
【0226】
試験結果:
【0227】
【0228】
実験結果は、本発明の実施例、例えば、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5の化合物が、SGLT1を阻害する有意な活性を有することを示す。
【0229】
3. ラットにおける14日間にわたる連続投与後の経口耐糖能試験(OGTT)
実験動物:SPF雄SDラット;
化合物調製:適切な量の実施例2、実施例3及び実施例5の化合物を秤量し、適切な量の0.5%CMC-Na溶液で均一に懸濁させた。
【0230】
グルコース溶液の調製:適切な量のグルコース粉末を秤量し、適切な量の純水で溶解した。
【0231】
投薬量及び投与方法:0.012mg/kg、経口強制飼養。
【0232】
実験プロセス:動物に、14日間にわたる連続的投与とともに正常食を給餌し、15日目に耐糖能試験を実施し、投与前(-30分)、グルコースを与える前(0分)、並びにグルコース溶液を与えた10、30、60及び120分後に、血中グルコースを検出し、動物の排便を観察した。
【0233】
実験結果:
図1における結果は、実施例2、実施例3及び実施例5の化合物が、ラットの血糖レベルを有意に低減させることができ、実験の前後48時間以内には実験動物において軟便が観察されなかったことを示す。
【0234】
4. マウスにおける連続的投与後の経口耐糖能試験(OGTT)
実験動物:SPF雄マウス;
化合物調製:適切な量の実施例5の化合物を秤量し、適切な量の0.5%CMC-Na溶液で均一に懸濁させた。
【0235】
グルコース溶液の調製:適切な量のグルコース粉末を秤量し、適切な量の純水で溶解した。
【0236】
投与及び投薬量:経口強制飼養;ブランクビヒクル群、高用量群(1.6mg/kg)、低用量群(0.12mg/kg)。
【0237】
実験プロセス:
(1)マウスに高糖食を6日間にわたって給餌し、次いで、群分け(各群に10匹のマウス)して、投与段階に入った。
(2)実施例の化合物5を、1日目から5日目まで毎日、1日に1回午後5:00に投与し、次いで、動物に高糖自由食(high-sugar free diet)を給餌し、動物の排便を観察した。
(3)6日目に、経口耐糖能試験を実施し、グルコース溶液(2g/kg)を経口的に投与した。グルコース溶液を与える前(0分)、並びに与えた10、30及び60分後に、それぞれ血中グルコースを検出した。
【0238】
実験結果:
(1)1日目から5日目まで、連続投与後の動物排便の観察を次の通りにまとめる:
【0239】
【0240】
注記:表中のデータは、「軟便症状」を持つ動物の総数及び群における動物の総数を表す。例えば、「1/10」は、各群において10匹の動物のうちの1匹が「軟便症状」を有することを意味する。
【0241】
(2)6日目における経口耐糖能試験(OGTT)の結果を
図2に示す。
実験のまとめ:(1)1日目から5日目まで、実施例5の化合物5を連続して投与し、高用量群(1.6mg/kg)では、1日目に1匹の動物のみが軟便を有し、2日目から5日目には動物は軟便を有さず、低用量群(0.12mg/kg)では、5日間にわたる連続投与後、動物は軟便を有さなかった。
【0242】
(2)6日目、経口耐糖能試験(OGTT)において、
図2における結果は、実施例5の化合物の高及び低用量群の両方が、マウスの血中グルコースレベルを有意に低減させることができることを示す。
【0243】
5. ラットにおける薬物動態研究
実験動物:SPF雄SDラット;
投薬量及び投与方法:10mg/kg、経口強制飼養。
研究化合物:ダパグリフロジン、実施例5の化合物、実施例7の化合物、比較例6の化合物;
試験方法:投与前(0)、並びに投与の1、4、8及び24時間後に、0.2mlの血液を眼窩静脈叢から収集し、ヘパリンで抗凝固剤処置し、血漿を収集した。
【0244】
注記:比較用化合物6は、文書において「6」と番号付けされた化合物である(Journal of Medicinal Chemistry 2017、60、710~721、Discovery of LX2761, a Sodium-Dependent Glucose Cotransporter 1 (SGLT1) Inhibitor Restricted to the Intestinal Lumen, for the Treatment of Diabetes)。これは、文書において記述されている合成方法に従って、調製及び同定された。
【0245】
ラットの薬物動態絶対バイオアベイラビリティデータ:
【0246】
【0247】
実験結果は、実施例5及び実施例7の化合物がインビボで吸収をほぼ有さず、絶対バイオアベイラビリティ値はいずれも1.5%未満であったのに対し、比較用化合物6の絶対バイオアベイラビリティは23%であり、ダパグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティは73%であったことを示す。したがって、比較化合物6及びダパグリフロジンはいずれも経口投与後に血液中に吸収され、体内の臓器(例えば、脳、心臓及び他の臓器)へのそれらの曝露は、潜在的且つ予測不可能な毒性につながりうる。
【0248】
腎臓において発現されることに加えて、SGLT1は、腸上皮細胞並びに心臓及び脳等の臓器においても存在する。比較用化合物6及びダパグリフロジンと比較して、本発明の実施例5及び実施例7の化合物は、経口投与後にインビボでほとんど検出されなかった。したがって、予備実験的証拠により、本発明の実施例5及び実施例7の化合物は、心臓及び脳等の種々の臓器に対して副作用を有さないと推測される。
【0249】
6. シタグリプチンと組み合わせたインビボ低血糖効能実験
モデル確立:SPFグレードBalb/C雄マウスをこの実験において使用し、2型糖尿病マウスモデルの確立は、高脂肪及び高糖食によって補完されるストレプトゾトシン(STZ)の腹腔内注射によって誘導した。
群:1群当たり10匹
投与:正常群、モデル群、低用量併用投与群(実施例5の化合物0.02mg/kg+シタグリプチン20mg/kg)、中用量併用投与群(実施例5の化合物0.06mg/kg+シタグリプチン20mg/kg)、高用量併用投与群(実施例5の化合物0.1mg/kg+シタグリプチン20mg/kg)、シタグリプチン群(20mg/kg)。正常群及びモデル群には溶媒を強制飼養によって与えた。
【0250】
実験結果は、実施例5の化合物及びシタグリプチンの組合せが、糖尿病モデル動物の血中グルコースレベルを有意に低減させることができ、用量効果関係があることを示す。
【0251】
7. 化合物の腸内細菌代謝安定性についての研究
方法:収集したラット糞便を加工し、代謝安定性の決定のために糞便懸濁液を得た。ラット糞便懸濁液及び実施例5の化合物からなる混合反応系を、37℃で、3時間、6時間、12時間及び24時間にわたってインキュベートした。インキュベーションシステム内の実施例5の化合物を分析して、残りの化合物の総量を決定した。ここで、「+」は残りの百分率が50%未満であることを表し、「++」は残りの百分率が50%から70%であることを表し、「+++」は残りの百分率が70%から90%であることを表し、「++++」は残りの百分率が90%超であることを意味する。
【0252】
実験結果:
【0253】
【0254】
試験結果は、実施例5の化合物をラット糞便中の微生物とともに約24時間にわたってインキュベートした後、残りの実施例5の化合物が依然として比較的豊富(70%超)であったことを示した。実施例5の化合物は、腸内微生物の代謝下で高い安定性を依然として維持しうることが例証された。
【0255】
8. 本発明の化合物は、抗腫瘍効果を有する。Hep3B異種移植片腫瘍モデルの抗腫瘍実験において、本発明の化合物は腫瘍の成長を阻害することができることが分かり、高脂肪食によって誘導された動物モデルに対する試験は、本発明の化合物が、非アルコール性脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎の寛解、並びにエネルギー吸収及び代謝に関連する肝臓及び腎臓疾患の処置に有益であることを示唆している。
【国際調査報告】