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特表2023-526721直線運動のための磁気カップリングを備えるオートサンプラレールシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】直線運動のための磁気カップリングを備えるオートサンプラレールシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230616BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G01N35/10 A
G01N1/00 101K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556261
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 US2021023426
(87)【国際公開番号】W WO2021189037
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/992,334
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516257707
【氏名又は名称】エレメンタル・サイエンティフィック・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ELEMENTAL SCIENTIFIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100224616
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 志聡
(72)【発明者】
【氏名】マース,ボー エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヨスト,タイラー
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
【Fターム(参考)】
2G052AD06
2G052BA14
2G052JA11
2G058ED00
(57)【要約】
サンプル分析中にサンプル内で検出される可能性がある金属粒子のオートサンプラからの放出を防止するためのシステム及び方法が記載されている。実施例では、オートサンプラシステムは、これらに限定されないが、サンプルプローブ支持構造と、z軸支持体と、z軸支持体の外面に結合された外側シャトルと、z軸支持体の内部ボリューム内で直線運動可能な内側シャトルと、を備える。内側シャトルと外側シャトルとは磁気的に結合されて、内側シャトルの直線運動を外側シャトルに転換する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルプローブを保持し、前記サンプルプローブを介して流体サンプルを移送するように構成されたサンプルプローブ支持構造と、
前記サンプルプローブ支持構造に結合されたz軸支持体と、
前記z軸支持体の外面に結合され、且つ、前記サンプルプローブ支持構造に結合された外側シャトルと、
前記z軸支持体の内部ボリューム内で直線運動可能な内側シャトルと、
を備え、
前記内側シャトルは、前記外側シャトルと磁気的に結合され、前記内側シャトルの直線運動を前記外側シャトルに転換して、前記サンプルプローブ支持構造の直線運動を提供する、
オートサンプラシステム。
【請求項2】
前記z軸支持体は、
前記z軸支持体に沿って延在し、前記内部ボリュームを画定するチューブを含み、
前記チューブは、前記外側シャトルと前記内側シャトルとの間に配置された部分を含む、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項3】
前記チューブは、前記チューブの外面における1つ以上の表面特徴を規定し、
前記外側シャトルは、前記外側シャトルの内面における1つ以上の対応する表面特徴を規定することによって、
前記チューブの回転運動が、1つ以上の前記表面特徴と1つ以上の前記対応する表面特徴との間の相互作用を介して前記外側シャトルに転換される、
請求項2に記載のオートサンプラシステム。
【請求項4】
1つ以上の前記表面特徴は、1つ以上のスプラインを含む、
請求項3に記載のオートサンプラシステム。
【請求項5】
前記チューブに結合された駆動システムを更に備え、
前記駆動システムは、前記駆動システムが作動するとき、前記チューブの回転運動を提供する、
請求項3に記載のオートサンプラシステム。
【請求項6】
前記内側シャトルに結合された第2駆動システムを更に備えて、前記チューブの前記内部ボリューム内の前記内側シャトルの前記直線運動を提供する、
請求項5に記載のオートサンプラシステム。
【請求項7】
前記内側シャトルに結合された駆動システムを更に備えて、前記チューブの前記内部ボリューム内の前記内側シャトルの前記直線運動を提供する、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項8】
前記内側シャトルは、前記内側シャトルの外側構造内に収容された1つ以上の磁石を含み、
前記外側シャトルは、前記外側シャトルの本体構造内に収容された1つ以上の磁石を含み、
前記内側シャトルの1つ以上の前記磁石と、前記外側シャトルの1つ以上の前記磁石とは、磁気的に結合されている、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項9】
前記内側シャトルの1つ以上の前記磁石は、スペーサ構造を介して第2磁石から垂直方向に離間された第1磁石を含む、
請求項8に記載のオートサンプラシステム。
【請求項10】
前記第1磁石の第1極と前記第2磁石の第1極とは、それぞれ、前記スペーサ構造に向き合うように配置され、
前記第1磁石の前記第1極と前記第2磁石の前記第1極は同じ磁極である、
請求項9に記載のオートサンプラシステム。
【請求項11】
前記外側シャトルの1つ以上の前記磁石は、第2のスペーサ構造を介して第2磁石から垂直方向に離間された第1磁石を含む、
請求項9に記載のオートサンプラシステム。
【請求項12】
前記外側シャトルの前記第1磁石の第1極と前記外側シャトルの前記第2磁石の第1極とは、それぞれ、前記第2のスペーサ構造に向き合うように配置され、
前記外側シャトルの前記第1磁石の前記第1極と前記外側シャトルの前記第2磁石の前記第1極とは同じ磁極である、
請求項11に記載のオートサンプラシステム。
【請求項13】
前記z軸支持体と、前記外側シャトルと、前記サンプルプローブ支持構造とのそれぞれの少なくとも一部は、化学的不活性材料を含む、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項14】
前記z軸支持体の外面はキー構造を規定し、
前記キー構造は、前記外側シャトルの内面に配置された対応するキー構造と噛み合うように構成されている、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項15】
前記外側シャトルは、前記外側シャトルの外面に配置された第2のキー構造を規定し、
前記第2のキー構造は、前記サンプルプローブ支持構造に配置された対応する第2のキー構造と噛み合うことによって、前記外側シャトルに対して前記サンプルプローブ支持構造の向きを合わせるように構成されている、
請求項14に記載のオートサンプラシステム。
【請求項16】
前記外側シャトルは、前記外側シャトルの上部に配置された少なくとも2つのセグメントを規定し、
前記サンプルプローブ支持構造は、少なくとも2つの前記セグメントに対向して内向きの力を提供して、少なくとも2つの前記セグメントを前記z軸支持体に対して押圧する、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項17】
前記外側シャトルは、前記外側シャトルの外面に溝を規定し、
前記サンプルプローブ支持構造は、前記サンプルプローブ支持構造の内面における突起を規定し、
前記突起は、前記溝に導入されるように構成されている、
請求項1に記載のオートサンプラシステム。
【請求項18】
サンプルプローブを保持し、前記サンプルプローブを介して流体サンプルを移送するように構成されたサンプルプローブ支持構造と、
前記サンプルプローブ支持構造に結合されたz軸支持体と、
前記z軸支持体の外面に結合され、且つ、前記サンプルプローブ支持構造に結合された外側シャトルであって、少なくとも第1の磁石を含む外側シャトルと、
前記z軸支持体の内部ボリューム内で直線運動可能な内側シャトルであって、少なくとも第2の磁石を含む内側シャトルと、
を備え、
前記内側シャトルは、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の磁気相互作用を介して前記外側シャトルと磁気的に結合され、前記内側シャトルの直線運動を前記外側シャトルに転換して、前記サンプルプローブ支持構造の直線運動を提供し、
前記z軸支持体は、前記外側シャトルと前記内側シャトルとの間に配置された部分を有するチューブを含み、前記チューブは、前記直線運動中に前記内側シャトルが通過する前記内部ボリュームを画定する、
オートサンプラシステム。
【請求項19】
前記チューブは、前記チューブの外面における1つ以上の表面特徴を規定し、前記外側シャトルは、前記外側シャトルの内面における1つ以上の対応する表面特徴を規定することによって、
前記チューブの回転運動が、1つ以上の前記表面特徴と1つ以上の前記対応する表面特徴との間の相互作用を介して前記外側シャトルに転換される、
請求項18に記載のオートサンプラシステム。
【請求項20】
前記内側シャトルに結合された第1駆動システムを更に備えて、前記チューブの前記内部ボリューム内の前記内側シャトルの前記直線運動を提供する、
請求項19に記載のオートサンプラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年3月20日に出願され、「直線運動のための磁気カップリングを備えるオートサンプラレールシステム」を題とした米国仮特許出願第62/992,334号に基づいて優先権を主張する。米国仮出願第62/992,334号の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの実験室環境では、個々のサンプル容器にある多数の化学的又は生化学的サンプルを分析する必要な場合がある。このようなプロセスを効率化するために、サンプルの操作は機械化されている。このような機械化サンプリングは、一般にオートサンプリングと呼ばれ、自動サンプリング装置又はオートサンプラ(autosampler)を使用して実行される。
【発明の概要】
【0003】
オートサンプラシステムは、サンプル分析中にサンプル内で検出される可能性のある、オートサンプラからの金属粒子の放出を防止するように記載される。システムの実施形態は、これらに限定されないが、サンプルプローブを保持し、当該サンプルプローブを介して流体サンプルを移送するように構成されたサンプルプローブ支持構造と、サンプルプローブ支持構造に結合されたz軸支持体と、z軸支持体の外面に結合され、且つ、サンプルプローブ支持構造に結合された外側シャトルと、z軸支持体の内部ボリューム内で直線運動可能な内側シャトルと、を備え、内側シャトルは、外側シャトルと磁気的に結合され、内側シャトルの直線運動を外側シャトルに転換して、サンプルプローブ支持構造の直線運動を提供する。
【0004】
一態様では、オートサンプラシステムは、これらに限定されないが、サンプルプローブを保持し、当該サンプルプローブを介して流体サンプルを移送するように構成されたサンプルプローブ支持構造と、サンプルプローブ支持構造に結合されたz軸支持体と、z軸支持体に結合され、且つ、サンプルプローブ支持構造に結合され、少なくとも第1の磁石を含む外側シャトルと、z軸支持体の内部ボリューム内で直線運動可能な内側シャトルと、を備え、内側シャトルは少なくとも第2の磁石を含み、内側シャトルは、第1の磁石と第2の磁石との間の磁気相互作用を介して外側シャトルと磁気的に結合され、内側シャトルの直線運動を外側シャトルに転換して、サンプルプローブ支持構造の直線運動を提供し、z軸支持体は、外側シャトルと内側シャトルとの間に配置された部分を有するチューブを含み、チューブは、直線運動中に内側シャトルが通過する内部ボリュームを画定する。
【0005】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の選択を、簡略化された形式で紹介するために提供されている。この概要は、クレームされる主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、クレームされる主題の範囲を決定するときに補助として使用することを意図したものでもない。
【0006】
詳細については、添付の図面を参照して説明される。説明及び図面における異なる例示において、同一の符号を用いて、類似又は同一の項目を示す場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示の例示的実施形態に係る、サンプル分析中にサンプル内で検出され得る金属粒子がオートサンプラから放出されることを防止するためのオートサンプラプローブレールシステムの等角図である。
図1B図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの等角図であって、オートサンプラの支持アームがz軸に沿ってより低い位置に移動した状態を示す図である。
図1C図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの等角図であって、支持アームがz軸を中心に回転することを示す図である。
図2図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの部分断面側面図である。
図3図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの内側シャトルの部分等角図である。
図4図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの部分断面等角図であって、外側シャトルによって支持される磁石が、内側シャトルによって支持される磁石に関連することを示す図である。
図5図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの部分断面側面図であって、その駆動システムを備えることを示す図である。
図6図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの上面図である。
図7図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの支持アームの等角図である。
図8】本開示の例示的実施形態に係る、図1Aのオートサンプラプローブレールシステムの外側シャトルの部分等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
自動サンプリング装置又はオートサンプラは、垂直方向のロッドに対してサンプルプローブを支持して、当該サンプルプローブを、1つ又は複数の移動方向に沿って、或いは、1つ又は複数の移動方向を横切ってサンプルプローブを移動する。例えば、サンプルプローブは、プローブ支持アーム又は他の装置によってロッドの垂直可動部分に結合することでプローブを垂直方向に移動し、これによって、プローブを、オートサンプラデッキ上のサンプル容器(例えば、チューブ又は他の容器)、リンス容器、標準化学薬品容器、希釈剤容器等に出入りさせることができる。他の状況では、ロッドを回転させて、水平面の周りのプローブの動きを容易にすることによって、プローブを、デッキ上に配置された他のサンプル容器及び他の容器の上に配置することができる。
【0009】
オートサンプラは、プローブの1つ又は複数の動きを容易にするために、互いに対して動く金属製の機械部品又は構造部品を含むことができる。部品が摩耗し始めると(例えば、摩擦に基づく相互作用が繰り返されることにより)、金属粒子がオートサンプラデッキや、プローブアームの周りに配置された容器内に放出される場合がある。例えば、金属粒子は、サンプル容器、プローブ、又はサンプル調製プロセスで使用された他の容器(例えば、リンス容器、標準化学薬品容器、希釈剤容器等)に直接付着することがあり、これによって、汚染物質がサンプル又は他の流体に導入されてしまう。このような汚染物質は分析機器によって検出可能であり、プローブにより分析用に導入された流体の内容物に関しては、信頼できない、又は不正確なデータを提供することで、サンプル及び他の流体の分析測定は、歪みが生じる可能性がある。更に、金属製の機械部品又は構造部品は、オートサンプラデッキ上に存在する強い化学物質、例えば、腐食性の酸等に晒される場合があり、それにより、オートサンプラの通常の動作を介して、金属粒子の放出が促進されることがある。
【0010】
そこで、サンプル分析中にサンプル内で検出される可能性がある金属粒子のオートサンプラからの放出を防止するためのシステム及び方法が開示されている。一態様では、システムは、内側シャトルを含み、当該内側シャトルは、外側シャトルと磁気的に結合されてサンプルプローブを支持するように構成されている。オートサンプラの動作中に金属的な特徴が外部環境に晒さないように、内側シャトルは、化学的に不活性な材料(例えば、フルオロポリマー)により形成されるか又はコーティングされたチューブ内に封入される。外側シャトルは、化学的に不活性な材料(例えば、フルオロポリマー)により形成されるか又はコーティングされる。内側シャトルはチューブ内を移動し、その動きは磁気カップリングを介して外側シャトルに転換され、そしてプローブ支持構造に転換される。実施形態では、チューブは、チューブの外面における表面特徴(例えば、スプライン(splines))を規定し、外側シャトルは内面において対応する特徴を有する。チューブと外側シャトルとの表面特徴が相互作用することによって、チューブの回転運動が外側シャトルに転換され、そしてその回転運動がプローブ支持構造に転換される。オートサンプラは、サンプル容器やオートサンプラのデッキに配置された他の容器に、金属粒子が露出するリスクのないように、サンプルプローブの複数の動作面(planes of motion)を容易にすることができる。
【0011】
(実施例)
図1Aから図8を参照すれば、本開示の例示的な実施形態に係る、サンプル分析中にサンプル内で検出される可能性がある金属粒子のオートサンプラからの放出を防止するためのオートサンプラプローブレールシステム(「システム100」)が示されている。システム100は、一般に、プローブ支持アーム102と、外側シャトル104と、内側シャトル106と、z軸支持体108と、を備える。システム100の1つ又は複数の部分は、システムの金属部品が100の外部環境への露出を防止するために、化学的に不活性な材料により形成されるか又はコーティングされ、これによって、サンプル容器又はオートサンプラに隣接する他の液体容器内に金属汚染物質が混入することを防止できる。実施形態において、プローブ支持アーム102と、外側シャトル104と、z軸支持体とのそれぞれは、化学的に不活性な材料、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフルオロポリマーにより形成され又はコーティングされた構造を含む。実施形態において、システム100の全ての外面は、化学的に不活性な材料を含み、これによって、デッキ上に存在するサンプルに晒されたとき、又は外部環境に晒されたときに、システム100の腐食又はシステム100の他の材料の破損を防止する。
【0012】
プローブ支持アーム102は、プローブ支持体110を備え、プローブ支持体110は、システム100に隣接して配置された、例えば、オートサンプラシステムのデッキ上に配置されたサンプル容器から流体を引き出す、又はサンプル容器内に流体を導入するためのサンプルプローブ及び関連するチューブを保持する。プローブ支持アーム102は、例えば、摩擦嵌めインターロック、又はスナップ結合等を介して)外側シャトル104に結合される。当該結合箇所において、プローブ支持アーム102と外側シャトル104とのそれぞれは開口部を規定し、当該開口部内に、z軸支持体108の上部112が嵌合して、プローブ支持アーム102及び外側シャトル104をz軸支持体108に結合することができる。例えば、z軸支持体108の上部112は、プローブ支持アーム102と外側シャトル104とのそれぞれにおける概ね円形の開口部に対応する概ね円形の形状を有する。概ね円形の形状が示されているが、長方形、三角形、不規則な形状などを含むがこれらに限定されない他の形状もシステム100に利用することができる。プローブ支持アーム102は、それぞれの構造間の摩擦嵌め、及び外側シャトル104とz軸支持体内に配置された内側シャトル106との間の磁気結合を介して、z軸支持体108に対して適所に保持することができる。実施形態において、プローブ支持アーム102及び外側シャトル104、又はそれらの一部は、一体型構造として形成することができる。
【0013】
システム100は、制御された外側シャトル104の位置決め及びz軸支持体108の回転によって、プローブ支持アーム102により保持されているサンプルプローブの位置決めを制御する。例えば、図1Bは、z軸支持体108に沿った(例えば、z軸114に沿った)外側シャトル104の動きを示し、そして、これは、外側シャトル104と内側シャトル106との間の相互作用を介してプローブ支持アーム102を移動させる。図1Cは、本明細書で更に説明されるz軸支持体108の回転によるプローブ支持アーム102の回転運動を示している。
【0014】
図2を参照すると、本開示の実施例に係るシステム100の断面が示されている。z軸支持体108は、内部ボリューム202を規定する外側のチューブ200を有するように示され、内側シャトル106は、内部ボリューム202を通過して外側シャトル104の垂直移動に影響を与えるように構成されている。システム100は、様々な機構を通じてチューブ200内で内側シャトル106を動かすことができる。これら様々な機構は、これらに限定されないが、プッシュロッドを備えたリニアアクチュエータ(例えば、空気圧アクチュエータ)、スプラインスクリューレール、又はこれらの組み合わせを含む。示される実施形態において、システム100は、(例えば、図2から図5に示すように)スプラインスクリューレール204を有する。スプラインスクリューレール204は、z軸114に沿って配置されたスクリュー206を含み、スクリュー206の一部の周りに構造レール208が配置されている。構造レール208はベースに固定して取り付けられ、スクリュー206はチューブ200内で回転可能に結合されている。例えば、システム100は、チューブ200内でスクリュー206の回転運動を発生させる第1駆動装置(例えば、図5に示すプーリー駆動装置500)を含むことができる。内側シャトル106は、スクリュー206のねじ山と噛み合うように、内側シャトル106の内面に対応するねじ山を含む。スクリュー206が回転駆動されると、内側シャトル106は、それぞれのねじ山間の相互作用を介してチューブ200内で(例えば、内部ボリューム202を通って)z軸114に沿って垂直に移動する。代替的又は追加的に、システム100は、内部ボリューム202内において、内側シャトル106を垂直に押圧する空気圧アクチュエータを含む。実施形態において、内側シャトル106は、構造レール208の形状に対応する1つ又は複数の開口を規定し、これにより、内側シャトル106がチューブ200内で移動するとき、構造レール208が内側シャトル106の開口を通過する。例えば、図3に示す例示的な実施形態において、内側シャトル106は、「C」字形状の構造レール208に適合する「C」字形状の開口を有する。
【0015】
外側シャトル104と内側シャトル106とのそれぞれは、それぞれのシャトルと磁気的に結合する1つ又は複数の磁石を含み、これによって、内側シャトル106が(例えば、スプラインスクリューレール204及び第1の駆動装置の動作、又は空気圧アクチュエータの動作等を介して)z軸114に沿って駆動されたとき、外側シャトル104は、z軸支持体108の外面に沿った対応する垂直移動するようになる。例えば、内側シャトル106は、内側シャトル106の外側構造212内に配置された2つの磁石210を有するように示されている。外側構造212は、これに限定されないが、内側シャトル106の本体構造214の周りを覆うポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)材料を含む。実施形態において、本体構造214は、スクリュー206のねじ山と嵌合するように対応するねじ山を規定する。磁石210は、中央に開口部を有する円形状又は環形状を有するように示され、スプラインスクリューレール204の構造が磁石210を通って通過することができる。例えば、磁石210はz軸114を取り囲み、スプラインスクリューレール204は、磁石210の開口部を通過する。内側シャトル106は、スペーサ構造216が2つの磁石210の間に配置されているように示されている。外側構造212と本体構造214とは、各磁石210をスペーサ構造216に押し付けて、磁石210間の分離を制御することができる。これによって、システム100の動作中に、磁石210間の実質的に均一な距離が維持される。磁石210は、同じ極が互いに向き合うように整列される(例えば、同じ極がスペーサ構造216とインターフェースする)。例えば、図2に示すように、各磁石210のN極が互いに向き合い、その間にスペーサ構造216が配置され、S極が互いに離れて配向されている。代替的に、磁石210のS極は互いに向き合い、N極は互いに離れて配向されていてもよい。
【0016】
外側シャトル104は、内側シャトル106の磁石210と相互作用するように対応する磁石を含む。例えば、外側シャトル104は、本体構造220内に保持された2つの対応する磁石218を有するように示されている。内側シャトル106と同様に、外側シャトル104は、本体構造220内の磁石218の間に配置されたスペーサ構造222を含むことができる。実施形態では、本体構造220は、底部226に結合された上部224を含み、上部224と底部226との間に、磁石218及びスペーサ構造222を収容するキャビティが規定される。上部224と底部226とを一緒に固定して、磁石218をスペーサ構造222に向き合うように位置決めすることができる。2つの磁石218は、同じ極が互いに向き合うように整列され、且つ、磁石218は、隣接する内側シャトル106の磁石210の極とは、反対の極が面するように配置される。例えば、図2に示すように、磁石218のN極は、磁石210のS極に面し(例えば、チューブ200がその間に配置される)、磁石218のS極は、磁石210のN極に面する(例えば、チューブ200がその間に配置される)。磁石210と磁石218とは、反対極が面することによって、磁場は、内側シャトル106の直線運動が外側シャトル104の対応する直線運動を引き起こすように、内側シャトル106を外側シャトル104に結合させる。システム100は、外側シャトル104と内側シャトル106とのそれぞれが2つの磁石を有するように示されているが、システム100は、2つの磁石を有することに限定されず、各シャトルは、(例えば、それぞれのシャトル間の所望の引力に応じて)より少ない又はより多くの磁石を含むことができる。
【0017】
実施において、チューブ200は、チューブ200の外面に表面特徴を規定して、チューブ200が回転するときに外側シャトル104の回転運動を容易にする。例えば、チューブ200は、チューブ200の外面に沿って長手方向に配向された複数のスプライン300を有するように示されている。外側シャトル104は、内面において、対応する特徴を含み、対応する特徴は、チューブ200の表面特徴と相互作用することができる。例えば、外側シャトル104は、対応するスプライン302を有し、スプライン302は、チューブ200のスプライン300間のギャップと噛み合うことができる。チューブ200と外側シャトル104との表面特徴は、相互作用して、チューブ200の回転運動を外側シャトル104に転換し、そして、回転運動は更にプローブ支持構造102に転換されて、プローブ支持構造102を、z軸114を中心に回転させる。実施形態では、チューブ200は、チューブ200の回転運動を発生させる第2駆動装置(例えば、図5に示されるプーリー駆動装置502)の動作によって回転される。例えば、システム100は、固定駆動ベース506と回転駆動構造508との間に結合されたブッシング504を含むことができる。回転駆動構造508は、プーリー駆動装置502に結合され、プーリー駆動装置502が動作すると、回転駆動構造508はz軸114の周りを回転する。チューブ200は、回転駆動構造508に結合され、プーリー駆動装置502が動作すると相応的に回転する。そして、チューブ200の回転は、対応する表面特徴(例えば、スプライン300及びスプライン302)の相互作用を介して外側シャトル104を回転させ、プローブ支持構造102を回転させる。
【0018】
外側シャトル104は、本体構造220をz軸支持体108の上部112に隣接して配置することによって、z軸支持体108に取り付けることができ、磁石218を収容する本体構造220の端部228は、磁石210を収容する本体構造214の端部230に対応するように配置され、内側シャトル106と外側シャトル104とのそれぞれの磁場間の相互作用を可能にすることによって、それぞれのシャトルを磁気的に結合することができる。外側シャトル104が、磁石218が磁石210に結合するまで、z軸支持体108に沿って下方へ位置されるときに、外側シャトル104とチューブ200との表面特徴(例えば、スプライン302とスプライン300とのそれぞれ)は、互いに隣接してスライドすることができる。実施において、システム100は、プローブ支持構造102がz軸支持体108に取り付けられると、プローブ支持構造102を所定の方向に向きを合わせるキー構造(key structure)を含み、これによって、チューブ200の回転により、目的を示すように、プローブ支持構造102により保持されるプローブの特定の位置を提供することができる。例えば、図6は、キー構造600、(例えば、他のスプライン300よりも大きな断面を有するスプライン)を規定するチューブ200を示している。外側シャトル104は、対応するキー構造602、(例えば、キー構造600を受容するための開口部)を規定している。プローブ支持構造102と外側シャトル104とは、チューブ200に対してプローブ支持構造102の所望の向きを提供するように、対応するキー構造を含むこともできる。例えば、外側シャトル104はキー構造604を含むように示され、プローブ支持構造102は、対応するキー構造606、(例えば、キー構造604を受容するための開口部)を含む。実施において、プローブ支持構造102は外側シャトル104に取り外し可能に結合される。これによって、異なるプローブ支持構造102が外側シャトル104に結合することができる。代替的又は追加的に、異なる外側シャトルをz軸支持体108に配置して、異なるスタイルのプローブ支持構造をz軸支持体に適用する(例えば、隔壁貫通プローブ等の適用を容易にする)ことができる。
【0019】
プローブ支持構造102と外側シャトル104とは、外側シャトル104に対してプローブ支持構造102を固定するための係止構造を含むことができる。例えば、図8に示す外側シャトル104は、本体構造220の外面802に溝800を規定している。溝800は、(例えば、図7に示された)プローブ支持構造102の内面806に設けられた突起804を受容するようにサイズ及び寸法が決められる。代替的又は追加的に、プローブ支持構造102は溝を規定することができ、外側シャトル104において対応する突起を設けることができる。プローブ支持構造102を外側シャトル104に取り付けるときに、突起804は溝800と噛み合い、プローブ支持構造102と外側シャトル104との間に篏合係止配置(lock-fit arrangement)を提供して、外側シャトル104及びz軸支持体108に対して、プローブ支持構造102をしっかりと保持することができる。例えば、プローブ支持構造102と外側シャトル104との間の単なる摩擦嵌めが垂直方向の力に負けることで、プローブ支持構造102が外側シャトル104から外れることは、溝800と突起804との間の相互作用によって防ぐことができる。
【0020】
実施形態では、外側シャトル104は、プローブ支持構造102を受容するように、外側シャトル104の上部にセグメントを規定することができる。プローブ支持構造102は、セグメントを押すことができ、これにより、チューブ200に対向するz軸支持体108の適合固定が提供されて、外側シャトル104とz軸支持体108との確実な固定を提供することができる。例えば、図8に示す外側シャトル104は、外側シャトル104の上部810を通る複数の垂直カット808を含み、上部810が複数のセグメント812に分割されている。プローブ支持構造102が外側シャトル104に導入されると、プローブ支持構造102は、セグメント812に内向きの力を与えることができる。これは、z軸支持体に対して(例えば、スプライン300に対して)押圧して、外側シャトル104を適所に固定することができる。図8は、4つのセグメント812に分割された上部810を示しているが、本開示はこのような構成に限定されない。例えば、上部810は、4つ未満のセグメント812、4つを超えるセグメント812、等しいサイズのセグメント812、等しくないサイズのセグメント等に分割することができる。
【0021】
(結論)
主題は、構造的特徴及び/又はプロセス動作について特有な用語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で規定される主題は、上記の特定の特徴又は動作に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。むしろ、上記の特定の特徴及び動作は、請求項を実施する例示的な形態として開示されている。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】