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特表2023-526722ワイヤレス電力伝送システムにおける電流検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力伝送システムにおける電流検出
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/00 20060101AFI20230616BHJP
   G01R 15/00 20060101ALI20230616BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20230616BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
G01R19/00 A
G01R15/00 300
H01F38/14
H01F41/00 D
G01R15/00 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556471
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(85)【翻訳文提出日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021023259
(87)【国際公開番号】W WO2021188964
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】16/825,624
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルゲマス、ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ベンジャミン エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハックマン、ダニエル エス.
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB04
2G025AC01
2G035AA01
2G035AA07
2G035AA09
2G035AA10
2G035AB04
2G035AC03
2G035AC07
2G035AD10
2G035AD18
2G035AD28
2G035AD65
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】
電流検出方法は、電流検出抵抗器を用いて複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を測定し、電圧センサーを用いて前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定することにより、前記複数のコイル巻線を有するコイルを流れる部分電流を測定する。前記測定された電流値および電圧値は前記コイルの前記部分電流および位相を決定するためにプロセッサに提供される。例えば、前記コイルの部分電流および位相は、前記コイルの総電流をI=n(V/Rx)として算出することによって決定することができ、ここで、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rxは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである。前記コイルはワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線とすることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイル巻線を有するコイルを流れる電流を測定する方法であって、
電流検出抵抗器を用いて前記複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を測定する工程と、
前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する工程と、
前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記コイルは、ワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムは前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を有するものである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、さらに、前記測定された電圧をデジタル化する工程と、前記測定された電圧を整流器制御部に提供する工程であって、前記整流器制御部は前記コイルの前記部分電流および位相を決定し、前記整流器の動作を制御するものである、前記提供する工程とを有するものである、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt(2R+2π*L*f)として算出する工程を有するものであり、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして算出する工程を有するものであり、Vnはサンプリングされた各二次巻線の前記測定された電圧であり、Rnはサンプリングされた各二次巻線の各電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルにおけるコイル巻線の総数である、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出する工程を有するものであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、さらに、(a)インダクタンスを制限して、測定された電流が前記複数のコイル巻線に戻るときの位相ずれによる減算を阻止すること、および(b)加熱および電力損失を最小限に維持しながらインダクタンスの影響を低減することの少なくともいずかをするように前記電流検出抵抗器を選択する工程を有するものである、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、さらに、前記電流検出抵抗器をR>>Xの値を有するように選択する工程であって、X=2π*L*fであり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、前記選択する工程を有するものである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、R>nXであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数である、方法。
【請求項10】
複数のコイル巻線を有するコイルを流れる電流を測定するための電流検出デバイスであって、
前記複数のコイル巻線のサブセットに接続され、前記複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を測定する電流検出抵抗器と、
前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する電圧センサーと、
前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定するプロセッサと
を有するデバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記コイルはワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムは前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を有するものである、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、さらに、前記電圧センサーによって測定された電圧をデジタル化し、当該測定された電圧を前記プロセッサに提供するアナログ・デジタル変換器を有するものである、デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt(2R+2π*L*f)として決定するものであり、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、デバイス。
【請求項14】
請求項12に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして決定するものであり、ここで、Vnは各二次巻線について前記測定された電圧であり、Rnは各二次巻線の各電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルにおけるコイル巻線の総数である、デバイス。
【請求項15】
請求項12に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出することにより前記コイルの前記部分電流および位相を決定するものであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである、デバイス。
【請求項16】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記検出抵抗器は値R>>Xを有するものであり、X=2π*L*fであり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の前記交流電流の周波数である、デバイス。
【請求項17】
請求項16に記載のデバイスにおいて、R>nXであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数である、デバイス。
【請求項18】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記コイル巻線は、リッツ線、プリント回路基板トレース、または導電性フィラメントのうちの1つを有するものである、デバイス。
【請求項19】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記コイル巻線はインピーダンス整合され相互インダクタンスを介して互いに密結合されている、デバイス。
【請求項20】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記ワイヤレス電力伝送システムは、誘導システムおよび容量結合システムのうちの1つを有するものである、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電流測定に関し、より具体的には、ワイヤレス電力伝送システムにおける電流測定に関する。
【背景技術】
【0002】
共振誘導式ワイヤレス充電には、共通のコイル軸に沿って配置された2つの同心コイルで構成される空芯変圧器が用いられる。電力は前記2つの伝送用コイル間の磁束鎖交によって送信装置(すなわち、一次コイル)から受信装置(すなわち、二次コイル)へ送られる。一次コイルを流れる交流電流は二次コイルに交流電流を誘導する。
【0003】
コイルを構築する選択肢の1つとしては、リッツ線(Litzendraht(別名Litz)wire)またはその他の導電性フィラメントが用いられる。リッツ線は、個々に絶縁されたワイヤを均一なパターンに撚りまたは編組したもので構成されており、高周波巻線のAC損失を低減する上で主要な利点がある。代替的に、国際特許出願PCT/US2018/035060「WIRELESS POWER TRANSFER THINPROFILE COIL ASSEMBLY(ワイヤレス電力伝送薄型コイルアセンブリ)」に記載されているように、コイル導体は、絶縁性の誘電体基板(例えば、プリント回路基板など)に重ねられた複数の導電性トレースで構成することができる。
【0004】
電流は、動いている電荷(電子など)として定義される。電流はdq/dt、つまり電荷の時間変化率である。電気の流れの大きさはアンペアで表す。単位アンペア(A)は、1秒あたりの1クーロンの電荷の流れに等しいものとして定義される。電気回路内の電流の測定は、直接的に(例えば、検出抵抗器を用いるなどして)、または間接的に(ホール効果センサーや誘導センサーを用いるなどして)行うことができる。
【0005】
ワイヤレス電力伝送システムの動作に悪影響を与えることのない、ワイヤレス電力伝送システムに現れ得る高電流のための電流測定デバイスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題の実施形態の様々な詳細は、添付の図面および以下の詳細な説明本文に記載されている。
【0007】
例示的な実施形態において、複数のコイル巻線(例えば、リッツ線、プリント回路基板トレース、または導電性フィラメント)を有するコイルを流れる電流を測定するための電流検出デバイスが提供される。前記コイル巻線はインピーダンス整合され相互インダクタンスを介して互いに密結合されている。前記電流検出デバイスは、前記複数のコイル巻線のサブセットに接続され、前記複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を測定する電流検出抵抗器と、前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する電圧センサーと、前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定するプロセッサとを含むものである。例示的な実施形態において、前記コイルはワイヤレス電力伝送システム(誘導システムまたは容量結合システム)において用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムは、前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を含むものである。前記電圧センサーによって測定された電圧をデジタル化し、当該測定された電圧を前記プロセッサに提供するアナログ・デジタル変換器を設けてもよい。
【0008】
例示的な用途において、前記プロセッサは前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt(2R+2π*L*f)として決定する。ここで、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。代替的に、前記プロセッサは、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして決定することができる。ここで、Vnは各二次巻線の前記測定された電圧であり、Rnは各二次巻線の各電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルのコイル巻数の総数である。前記プロセッサは、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出することにより、前記コイルの前記部分電流および位相を決定する。ここで、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである。
【0009】
例示的な実施形態において、前記検出抵抗器は値R>>Xを有する。ここで、X=2π*L*fであり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。例えば、R>nXである。ここで、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数である。
【0010】
また、複数のコイル巻線を有するコイルを流れる電流を測定する方法が提供される。前記方法は、電流検出抵抗器を用いて、前記複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を測定する工程と、前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する工程と、前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定する工程とを含む。前記方法は、前記コイルがワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムが前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を有する実施形態で実施され得る。前記方法はさらに、前記測定された電圧をデジタル化する工程と、前記測定された電圧を整流器制御部に提供する工程であって、前記整流器制御部は前記コイルの前記部分電流および位相を決定し、前記整流器の動作を制御するものである、前記提供する工程とを含むものである。
【0011】
前記方法の例示的な実施形態において、前記方法は、前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt(2R+2π*L*f)として算出する工程を含むものである。ここで、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。前記方法はさらに、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして算出する工程を含んでもよく、ここで、Vnはサンプリングされた各二次巻線の測定された電圧であり、Rnはサンプリングされた各二次巻線の電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルにおけるコイル巻線の総数である。また、前記方法は、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出する工程を含んでもよく、ここでnは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである。
【0012】
前記方法はさらに、(a)インダクタンスを制限して、測定された電流が前記複数のコイル巻線に戻るときの位相ずれによる減算を阻止するように、および/または(b)加熱および電力損失を最小限に維持しながらインダクタンスの影響を低減するように、前記電流検出抵抗器を選択する工程を含んでもよい。例示的な実施形態において、前記電流検出抵抗器は値R>>Xを有するように選択される。ここで、X=2π*L*fであり、Lは前記二次巻線のインダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。例えば、Rは、R>nXとなるように選択されてもよく、ここで、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数である。
【0013】
本明細書の概要は、本発明の主題の態様を簡略化された形で紹介するために提供されるものであり、本発明の主題の更なる説明が詳細な説明本文に続く。本明細書の概要は、特許請求の範囲における主題の本質的または必須の特徴を特定することを意図したものではなく、また、本明細書の概要に列挙した要素の特定の組み合わせおよび順序は特許請求の範囲における主題の要素を限定することを意図したものではない。むしろ、下記部分は、以下の発明の詳細な説明に記載する実施形態の一部の概要例を提供するものであることが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の前述およびその他の有益な特徴および利点は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1図1は、例示的な実施形態におけるワイヤレス電力伝送システムの電流測定を概略的に示す。
図2図2は、例示的な実施形態における電流測定を用いたワイヤレス電力伝送システムを機能的に示す。
図3図3は、例示的な実施形態における電流測定のハードウェアを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書に記載のワイヤレス電力伝送のための電流検出および関連する方法は、本開示の一部を形成する添付の図および実施例に関連する以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解される。この説明は、本明細書に記載および/または示される特定の製品、方法、条件またはパラメーターに限定されるものではなく、本明細書で用いられる用語は、単に例として特定の実施形態を説明することを目的としており、特許請求の範囲における主題を限定することを意図するものではないことを理解されたい。同様に、可能な機構、動作形態、または改良の理由に関する任意の説明は例示のみを目的とするものであり、本明細書で説明する主題は、このような示唆された機構、動作形態、または改良の理由が正確である、若しくは正確ではないことによって制約されるものではない。本明細書全体を通して、本説明は方法および当該方法を実施するシステム/ソフトウェアの双方に言及する。
【0016】
以下、図1図3を参照して例示的な実施形態を詳細に説明する。以下の説明は、可能な実施形態例の詳細について提供するものであるが、このような詳細な説明は、例示のみを意図するものであり、本発明の主題の範囲を規定するものではないことに留意されたい。
【0017】
間接的な電流検出は、典型的には負荷電流が100A~1000Aの範囲の回路で用いられる。間接的な電流検出により、測定下で導体からのガルバニック絶縁が可能になる。ホール効果ベースのセンサーを用いる場合、センサーは陽極と負荷との間に設置される。ホール効果センサーはローレンツ力(磁場を通じて移動する電子に加えられる力)を用いるものであり、この力は、導体内の電流に対して且つ当該電流に対して垂直に適用される磁場に対して横断方向に電気導体の両端に電圧差(ホール電圧)を形成して、交流電流(AC)および直流電流(DC)の流れを決定する。誘導式電流センサーまたは電流検出トランスは、ファラデーの誘導の法則を用い、導線が一次として機能し電圧出力が二次として機能して、生成された磁束に基づいて導線の交流(AC)を測定する。
【0018】
高インピーダンス負荷を伴う高電力では、ワイヤレス電力伝送(WPT:wireless power transfer)システムが常に電流源(つまり、AC電圧が制御される電流源)になり、また、高電力WPTシステムが漂遊磁束を発生させるため、その間接的な測定技法および技術の利用は特にアクティブ整流器の閉制御ループの一部としては問題がある。
【0019】
直接的な電流測定方法は検出抵抗器を用いる。検出抵抗器は、公称オーム値が小さい抵抗器で、典型的には回路のグランドまたはバッテリのカソード近くで回路ネットワークと直列に配置される。次に、検出抵抗器を流れる総電流が、当該抵抗器両端の電圧降下を測定し電流をI(t)=v(t)/Rとして算出することにより測定される。ここで、i(t)は時間の関数としての電流(アンペア)であり、v(t)は時間の関数としての検出抵抗器の両端の電圧(ボルト)であり、Rは検出抵抗器の抵抗(オーム)である。検出抵抗器は、(当該検出抵抗器での電力損失は抵抗に比例することから)負荷への電力供給における過剰な加熱と摂動を避けるために最小限の抵抗を有するように選択される。
【0020】
同理由で、磁気共鳴ベースのWPTシステムで用いられる場合など交流システムの場合、選択される検出抵抗器は総インピーダンスのリアクタンス成分が最小となるようにすべきである。対象とする周波数での正確なAC信号測定(例えば、電流、周波数、位相など)のための要件は、リアクタンスが抵抗に対して小さくなければならないことを要件にする。
【0021】
高電流システム(例えば、125アンペアRMS以上)において電流検出抵抗器を用いて全体のAC電流を測定することは、電力消費による加熱のために禁止されている。もう1つの問題は、不可避の大きなインダクタンスを生成することなくその電流を処理するのに十分な物理的大きさの抵抗器が有する構造物理にある。寄生インダクタンスが付加されると、AC信号に加えられる位相角が大きくなりすぎて正確な測定ができなくなる可能性がある。
【0022】
しかしながら、WPTシステムのために部分電流を検出する方法を構築することができ、それは二次側のコイル巻線が有する複数導体構造を利用して導体のサブセットを分離し、当該導体のサブセットが低オーム定格の抵抗器を介して接続されるものである。導体電流が非常に小さな値の(固有の寄生インダクタンスを有する)抵抗器を通過し、抵抗器両端での電圧降下が測定されて、部分電流と位相が決定される。
【0023】
電流検出抵抗器は低コストであり、また、WPTシステムにより発生する漂遊磁束の存在下でも信頼性が維持される。ただし、電流検出抵抗器は抵抗素子(多少の自己インダクタンはあるもの)であるため、発生する熱はそこを通過する電流の2乗に比例し、WPTシステムで用いられるような高電流電源ではその有用性が制限される。しかしながら、磁気コイルの複数要素構造を利用することにより、単一の導体に配置された検出抵抗器は、システム全体の電力供給能力に影響を与えることなく、過剰な熱を発生させることなしに部分電流の測定を提供する。この部分電流の測定は、制御システム(例えば、アクティブ整流システムおよび電力制御フィードバックなど)のために乗算による正確な位相測定および正確な電流測定を提供する。
【0024】
実際には、どの抵抗器も不可避の寄生インダクタンスを含む。このインダクタンスは出力の位相シフトに繋がる。測定された導体が密結合された並列の導体の束に戻され、相互インダクタンスを通じて総電流負荷が共有されるため、その電力低下は単なる抵抗加熱損失のものよりもはるかに大きくなる可能性がある。
【0025】
抵抗器の構造が様々なため、低インダクタンスのモデルを選択することができる。供給される電力(および散逸熱)に対する抵抗器の影響は導体の総数に対する検出される導体の割合によって減少するため、部分電流測定システムにおいて(比較的)より大きなオームの抵抗器を選択することで自己インダクタンス成分の相対的な影響を減らすことができる。抵抗値が大きいほど電圧のダイナミックレンジが大きくなり、より正確な電圧が得られ、したがって、より正確な部分電流レベルおよび電流位相の検出が可能になる。
【0026】
例示的な実施形態において、検出抵抗器は、インダクタンスを制限するか、または高いが、加熱および電力損失を最小限に保ちながらインダクタンスの影響を低減するのには依然として比較的低い値を用いるように選択される。抵抗が高いほど、電圧のダイナミックレンジが高くなり、より正確な電流検出が可能になる。インダクタンスは、また、測定された電流が密結合された導体の束に戻るときに位相ずれによる減算を阻止するように制限される。
【0027】
図1
図1において、複数の導体(例えば、リッツ線、プリント回路基板トレース、または導電性フィラメントなど)が、WPTシステム(例えば、誘導システム、磁気共鳴結合誘導システム、または容量結合システムなど)の二次コイルで用いられている。二次側101は、それぞれが独自の導体105を有する独立した電流源のバンクとして回路に表されている。各導体105はインピーダンス整合され相互インダクタンスにより他の導体105と密結合されている。図1は、説明のみを目的として10個の導体105を用いる。負荷106には二次側101から、個々の導体105を単一の導体または電力バスに結合する電力バス107を介して電力が供給される。この回路は負荷106から二次側101への戻り電気バス108によって完了される。
【0028】
電流測定は、電流検出抵抗器102を介して接続する独立した導体105(この例では単一の導体109)のサブセットを選択することによって達成される。電流検出抵抗器102は抵抗性インピーダンス成分(リアクタンス)103と誘導性インピーダンス成分104との両方を有する。電圧センサー107は電流検出抵抗器102の両端の電圧降下を読み取る。
【0029】
電圧センサーの読み取り値107と抵抗器102のインピーダンスは電流を得るのに用いられる。インピーダンス整合され密結合された導体105が二次側101で生成された電流を共有するので、負荷106に供給される総電流を算出することができる。例えば、単一の導体109が測定される場合、総電流はn(V/Rz)である。ここで、nは導体の数(例えば、単一の導体ではn=1)であり、Vは検出抵抗器102の両端の測定電圧であり、Rzは検出抵抗器102のインピーダンスである。
【0030】
図2
図2は、例示的な実施形態における電流測定を伴う磁気誘導を用いた直流バッテリ充電回路の高レベル回路図を示す。受信機201または二次側は複数の巻線202を有する二次コイルを有する。受信機201は、誘導性、共振誘導性、または容量性とすることができる。受信機201は送信機(図示せず)からの磁場を交流電流に変換する。共振ネットワーク201によって生成された交流電流208は負荷203に電力を供給するのに用いられる。負荷の第1段は、交流電流を、バッテリ206(バッテリは湿型、乾型、個体型、容量性、またはハイブリッド(例えば容量性コンポーネントを備えたバッテリなど)とすることができる)の充電に必要な直流電流に変換するのに使用できるパッシブ(ダイオードベース)またはアクティブ(スイッチベース)整流器204である。バッテリ206を充電するために、整流されたDC信号はコンディショナ回路205により平滑化されレベル変換されてもよい。
【0031】
電流センサー209は受信機201によって生成される交流208を監視するのに用いられる。電流レベル、周波数、および位相は制御部207に報告される。制御部207は、ディスプレイ、閉ループ制御システム、安全システム、およびアクティブ整流制御スイッチングなどの補助システムに電気信号特性を報告することができる。
【0032】
図3
図3は、電流検出抵抗器301を用いた電流センサーの例示的な実施形態を示す。電流検出抵抗器301は、抵抗性(オーム)302と誘導性303との両方のインピーダンス成分を有する。この実施例では、アナログ・デジタル変換器(ADC)304を用いて電流検出抵抗器301の両端で生成される電圧をデジタル化する。ADC304はデジタルインターフェース305を用いてアクティブ整流制御部207などの他のシステムに接続する。アクティブ整流制御部207は、本明細書に記載するように、測定値から電流を算出するプロセッサを含むことができる。
【0033】
60個の導電素子受信機を備え単一の導体を測定するようになっているWPTシステムの例では、測定された導体を流れる電流はI=V/sqrt(R2+2π*L*f)となる。ここで、Iは単一の導体の電流(アンペア)、Vは測定された電圧(ボルト)、R2は抵抗値(オーム)、Lは二次コイルのインダクタンス値(ヘンリー)、fはAC信号の周波数(ヘルツ)である。
【0034】
代替的な実施形態―複数の並列電流検出
単一の導体の電流(i)が算出されると、その電流に、密結合された導体の数を掛けてシステムの電流レベルを決定する。すなわち、電流はi=nV/sqrt(R2+2π*L*f)となる。ここで、nは導体の数である。複数の導体を測定する場合、個々に測定された電流の合計が平均化される。次に、この導体あたりの平均電流に、密結合された導体の数を掛けてシステム全体の電流レベルを決定する。
【0035】
最も単純な場合では、単一の導体が部分電流検出のために密の誘導性コイル巻線から分離される。いくつかの場合では、複数の導体を検出することができ、各々が独自の電流検出抵抗器を備えている。複数の導体の場合において、その検出された電流は平均化されてから乗算される。
i(合計)={Σ[(Vn/Rn)/n]}*m
ここで、i(total)はシステムの電流、Vnは導体1~nについてサンプリングされた電圧、Rnは各抵抗器の電流抵抗インピーダンス、nはサンプリングされた導体の数、mは導体の総数である。
【0036】
代替実施形態―未知の寄生誘導
高電力(すなわち、大電流)システムの場合、単一の電流検出抵抗器を用いて交流全体を検出することは、その抵抗器での(加熱による)電力消費のために望ましくない。この発熱は任意の小さな値の抵抗器を用いることで軽減することができる。しかしながら、抵抗値が小さくなりすぎると、検出抵抗器のインピーダンスはリアクタンス、すなわち検出抵抗器の寄生インダクタンスによって支配され始める。このリアクタンス優位は、望ましくない位相シフトにつながり、以下のように交流の測定値にも影響を与える。
v(t)=I(t)*[sqrt(R+2π*L*f)]
ここで、v(t)は電圧、i(t)は電流、Rは検出抵抗器の抵抗値であり、Lは検出抵抗器に固有のインダクタンスであり、fはAC信号の周波数である。
【0037】
電圧v(t)は、測定システムによって測定される量であるため(例えば、図3参照)、調べれば、根号下の量が増加すると、検出された電圧v(t)が増加することがわかる。したがって、検出された電圧から電流を算出するものであるが、R<<X(ここで、X=2π*L*f)の検出抵抗器の場合、この検出された電圧はインダクタンスによって支配される。正確なインダクタンスが不明な場合、正確な電流を算出することはほとんど不可能である。しかしながら、密結合された並列導体の部分電流検出を行う前記システムおよび方法では、Rを>>Xにすることでこの問題を回避する。
【0038】
例えば、n=60個の導体の場合、総電流の1/60(前記総数のうちの単一の導体)を検出するときに、検出抵抗器の抵抗を、単一の検出抵抗器を用いて総電流を検出する場合よりも60倍大きくし得る。より一般的には、R>nXである。ここで、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数である。もちろん、これは検出抵抗器の消費電力が一定に保たれていることを前提とする。
【0039】
部分検出のコンセプトの利点は、R>>Xの場合、位相角がゼロに非常に近いだけでなく、電圧信号の振幅がインピーダンスの実数成分、つまりオーム抵抗により支配されることである。したがって、実際には、抵抗成分が誘導成分によって生成されるリアクタンスよりもはるかに大きい限り、正確な電圧測定値(したがって、電流レベル、位相、および周波数)を算出するのに検出抵抗器の正確な寄生インダクタンスを知る必要がない。
【0040】
結論
上記で様々な実施形態を説明してきたが、これらの実施形態は例示的な目的のみで提示されているものであり、限定的なものではないことを理解されたい。例えば、上述したシステムおよび方法に関連する要素のいずれも上述した望ましい機能のうちの任意の機能を採用することができる。したがって、好適な実施形態の範囲は、上述した例示的な実施形態のうち任意の実施形態によって限定されるべきではない。
【0041】
本明細書で説明するように、本明細書に記載の方法の態様を実施するロジック、コマンド、または命令は、デスクトップまたはノートブック・パーソナル・コンピュータ、モバイルデバイス、例えばタブレット、ネットブック、およびスマートフォンなど、クライアント端末およびサーバホストのマシンインスタンスなどのコンピュータシステムのための任意の数のフォームファクタを含むコンピュータシステムにおいて提供されてよい。本明細書で説明する他の実施形態は、本明細書で説明する技術を、他の形態のプログラムされたロジック、ハードウェア構成、または専用コンポーネント若しくはモジュールを含む他の形態に組み込むことを含み、そのような技術の機能を実行するためのそれぞれの手段を備えた装置を含む。そのような技術の機能を実装するために用いられるそれぞれのアルゴリズムは、本明細書で説明する電子的動作の一部または全てのシーケンス、または添付の図面および以下の詳細な説明に示す他の態様を含んでもよい。本明細書に記載の方法を実行するための命令を含むそのようなシステムおよびコンピュータ可読媒体もまた、例示的な実施形態を構成する。
【0042】
本明細書に記載の制御部207の監視および制御機能は一実施形態においてソフトウェアに実装することができる。このようなソフトウェアは、ローカルまたはネットワーク上の1若しくはそれ以上の非一時的メモリまたはその他のタイプのハードウェアベースの記憶装置などのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶装置に格納されたコンピュータにより実行可能な命令を有することができる。また、このような機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせとなし得るモジュールに対応する。必要に応じて、複数の機能を1若しくはそれ以上のモジュールで実行してもよく、記載される実施形態は単なる例に過ぎない。ソフトウェアは、デジタル信号プロセッサ、ASIC、マイクロプロセッサ、または、例えばパーソナルコンピュータ、サーバ、若しくは他のコンピュータシステムなどのコンピュータシステム上で動作するその他のタイプのプロセッサで実行することができ、そのようなコンピュータシステムを特別にプログラム設定された機械に変化させることもできる。
【0043】
本明細書に記載の例は、プロセッサ、ロジック、またはいくつかのコンポーネント、モジュール、若しくはメカニズム(本明細書では「モジュール」)を含んでもよく、またはそれらの上で動作させることができる。モジュールは指定された動作を実行することができる有形のエンティティ(例えば、ハードウェア)であり、特定の方法で構成または配置することができる。一例において、(例えば、内部に、または他の回路などの外部エンティティに対して)モジュールとして指定された方法で回路を配置してもよい。一例において、1若しくはそれ以上のコンピュータシステムの全体若しくは一部(例えば、スタンドアロン、クライアントまたはサーバーコンピュータシステム)、または1若しくはそれ以上のハードウェアプロセッサが、指定された動作を実行するように動作するモジュールとしてファームウェアまたはソフトウェア(例えば、命令、アプリケーション部分、またはアプリケーション)により構成されていてもよい。一例において、ソフトウェアはマシン可読媒体に常駐することができる。ソフトウェアは、モジュールの基盤となるハードウェアによって実行されると、前記指定された動作をハードウェアに実行させる。
【0044】
したがって、「モジュール」という用語は、指定された方法で動作し、または本明細書に記載の動作の一部または全てを実行する、物理的に構成され、特定的に構成され(例えば、配線で接続された)、あるいは一次的に(例えば、短期的に(transitorily))構成された(例えば、プログラムされた)実体である有形のハードウェアおよび/またはソフトウェアエンティティを包含すると理解される。モジュールが一時的に構成される例では、各モジュールは任意の時点でインスタンス化する必要がない。例えば、モジュールがソフトウェアを用いて構成された汎用ハードウェアプロセッサを有する場合、汎用ハードウェアプロセッサは異なる時点でそれぞれの異なるモジュールとして構成され得る。したがって、ソフトウェアは、例えば、ある時点で特定のモジュールを構成し、異なるある時点で異なるモジュールを構成するように、ハードウェアプロセッサを構成することができる。
【0045】
当業者であれば、本明細書に記載のトポロジーおよび回路実装方法論が、単一の特定用途向け集積回路として効果的な実現を可能にすることを理解するであろう。さらに、本明細書に含まれる開示は車両への電力供給に関するものであるが、これは多くの可能な用途の1つに過ぎず、車両以外の用途を含む他の実施形態が可能であることを理解されたい。例えば、当業者であれば、携帯型消費者電子デバイス充電器など、例えば歯ブラシ、携帯電話、およびその他のデバイスを充電するのに用いられる充電器(例えば、PowerMat(商標))などの非車両誘導充電用途において、電流源安全回路を提供する多数の用途があることを理解するであろう。したがって、これらおよびその他のそのような用途は、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイル巻線を有するコイルを流れる電流を測定する方法であって、
電流検出抵抗器を前記複数のコイル巻線のサブセットに接続して、前記複数のコイル巻線の前記サブセットを流れる電流を直接的に測定する工程と、
前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する工程と、
前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定する工程と
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記コイルは、ワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムは前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を有するものである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、さらに、前記測定された電圧をデジタル化する工程と、前記測定された電圧を整流器制御部に提供する工程であって、前記整流器制御部は前記コイルの前記部分電流および位相を決定し、前記整流器の動作を制御するものである、前記提供する工程とを有するものである、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt( 2π*L*f )として算出する工程を有するものであり、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして算出する工程を有するものであり、Vnはサンプリングされた各二次巻線の前記測定された電圧であり、Rnはサンプリングされた各二次巻線の各電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルにおけるコイル巻線の総数である、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、さらに、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出する工程を有するものであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、さらに、(a)インダクタンスを制限して、測定された電流が前記複数のコイル巻線に戻るときの位相ずれによる減算を阻止すること、および(b)加熱および電力損失を最小限に維持しながらインダクタンスの影響を低減することの少なくともいずかをするように前記電流検出抵抗器を選択する工程を有するものである、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、さらに、前記電流検出抵抗器をR>>Xの値を有するように選択する工程であって、X=2π*L*fであり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、前記選択する工程を有するものである、方法。
【請求項9】
複数のコイル巻線を有するコイルを流れる電流を測定するための電流検出デバイスであって、
前記複数のコイル巻線のサブセットに接続され、前記複数のコイル巻線のサブセットを流れる電流を直接的に測定する電流検出抵抗器と、
前記電流検出抵抗器の両端の電圧降下を測定する電圧センサーと、
前記測定された電流および電圧から前記コイルの部分電流および位相を決定するプロセッサと
を有するデバイス。
【請求項10】
請求項に記載のデバイスにおいて、前記コイルはワイヤレス電力伝送システムで用いられる二次巻線であり、前記ワイヤレス電力伝送システムは前記二次巻線の交流電流を負荷へ印加するための直流電流に変換する整流器を有するものである、デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスにおいて、さらに、前記電圧センサーによって測定された電圧をデジタル化し、当該測定された電圧を前記プロセッサに提供するアナログ・デジタル変換器を有するものである、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは前記二次巻線を流れる総電流IをI=nV/sqrt( 2π*L*f )として決定するものであり、nは前記二次巻線におけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rは前記電流検出抵抗器の抵抗であり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である、デバイス。
【請求項13】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、前記二次巻線を流れる総電流IをI={Σ[(Vn/Rn/n)]}*mとして決定するものであり、ここで、Vnは各二次巻線について前記測定された電圧であり、Rnは各二次巻線の各電流検出抵抗器の抵抗であり、nはサンプリングされたコイル巻線の数であり、mは前記コイルにおけるコイル巻線の総数である、デバイス。
【請求項14】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記プロセッサは、前記コイルの総電流をI=n(V/Rz)として算出することにより前記コイルの前記部分電流および位相を決定するものであり、nは前記コイルにおけるコイル巻線の数であり、Vは前記測定された電圧であり、Rzは前記電流検出抵抗器のインピーダンスである、デバイス。
【請求項15】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記検出抵抗器は値R>>Xを有するものであり、X=2π*L*fであり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の前記交流電流の周波数である、デバイス。
【請求項16】
請求項に記載のデバイスにおいて、前記コイル巻線は、リッツ線、プリント回路基板トレース、または導電性フィラメントのうちの1つを有するものである、デバイス。
【請求項17】
請求項に記載のデバイスにおいて、前記コイル巻線はインピーダンス整合され相互インダクタンスを介して互いに密結合されている、デバイス。
【請求項18】
請求項10に記載のデバイスにおいて、前記ワイヤレス電力伝送システムは、誘導システムおよび容量結合システムのうちの1つを有するものである、デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
ワイヤレス電力伝送システムの動作に悪影響を与えることのない、ワイヤレス電力伝送システムに現れ得る高電流のための電流測定デバイスを提供することが望ましい。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許公開第2014/0339916号明細書
(特許文献2) 米国特許第6072708号明細書
(特許文献3) 米国特許公開第2015/0194836号明細書
(特許文献4) 米国特許公開第2013/0282312号明細書
(特許文献5) 米国特許公開第2007/0021937号明細書
(特許文献6) 米国特許公開第2009/0026845号明細書
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
例示的な実施形態において、前記検出抵抗器は値R>>Xを有する。ここで、X=2π*L*fであり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
前記方法はさらに、(a)インダクタンスを制限して、測定された電流が前記複数のコイル巻線に戻るときの位相ずれによる減算を阻止するように、および/または(b)加熱および電力損失を最小限に維持しながらインダクタンスの影響を低減するように、前記電流検出抵抗器を選択する工程を含んでもよい。例示的な実施形態において、前記電流検出抵抗器は値R>>Xを有するように選択される。ここで、X=2π*L*fであり、Lは前記電流検出抵抗器寄生インダクタンスであり、fは前記二次巻線の交流電流の周波数である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
60個の導電素子受信機を備え単一の導体を測定するようになっているWPTシステムの例では、測定された導体を流れる電流はI=V/sqrt(R 2π*L*f )となる。ここで、Iは単一の導体の電流(アンペア)、Vは測定された電圧(ボルト)、Rは抵抗値(オーム)、Lは電流検出抵抗器寄生インダクタンス値(ヘンリー)、fはAC信号の周波数(ヘルツ)である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
代替実施形態―未知の寄生誘導
高電力(すなわち、大電流)システムの場合、単一の電流検出抵抗器を用いて交流全体を検出することは、その抵抗器での(加熱による)電力消費のために望ましくない。この発熱は任意の小さな値の抵抗器を用いることで軽減することができる。しかしながら、抵抗値が小さくなりすぎると、検出抵抗器のインピーダンスはリアクタンス、すなわち検出抵抗器の寄生インダクタンスによって支配され始める。このリアクタンス優位は、望ましくない位相シフトにつながり、以下のように交流の測定値にも影響を与える。
v(t)=I(t)*[sqrt(R 2π*L*f )]
ここで、v(t)は電圧、i(t)は電流、Rは検出抵抗器の抵抗値であり、Lは検出抵抗器に固有の寄生インダクタンスであり、fはAC信号の周波数である。
【国際調査報告】