(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】アンモニウム塩の汚染を抑制するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C07C 253/32 20060101AFI20230616BHJP
C07C 253/24 20060101ALI20230616BHJP
C07C 255/08 20060101ALI20230616BHJP
C23F 11/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
C07C253/32
C07C253/24
C07C255/08
C23F11/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561588
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 CN2020083628
(87)【国際公開番号】W WO2021203256
(87)【国際公開日】2021-10-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】リー シーコアン
(72)【発明者】
【氏名】スン ピーター チエン チュン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン チン チン
【テーマコード(参考)】
4H006
4K062
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC54
4H006AD33
4H006BA66
4H006QN24
4K062AA03
4K062BC19
4K062CA03
4K062CA05
4K062FA04
(57)【要約】
【課題】アンモニウム塩の堆積を抑制又は低減するために使用される防汚化合物又は組成物が提供される。
【解決手段】汚染物質の堆積を抑制する方法であって、以下の一般構造R-(SO
3)
nMを有する少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物を、プロセスに導入することを含む、方法。式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー(aralky)、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンアンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、nは、1~約6の範囲内である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質の堆積を抑制する方法であって、前記方法は、
以下の一般構造を有する少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物を、プロセスに導入することを含み、
R-(SO
3)
nM
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー(aralky)、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンアンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、方法。
【請求項2】
前記導入することが、前記スルホン化化合物を注入、噴霧、又は滴下することによる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導入することが、洗浄中若しくは洗浄後又は前記プロセス中に実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスが、アンモニウム濃縮プロセスである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセスが、プロピレン、プロパン、イソブテン、又はイソブチレンのアンモ酸化反応である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスが、アクリロニトリルプロセスである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記導入することが、断続的に実施される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記導入することが、連続的に実施される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセス装置が、コイル、熱交換器、移送ライン交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置(crystallizer)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プロセス装置が、アンモニウム濃縮システムの蒸発器、晶析装置を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記汚染物質が、HCN、アセトニトリル及び重質ニトリル、腐食生成物、ポリマー、触媒微粉、及びアンモニウム塩を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記汚染物質が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、流体体積の1ppm~3000ppmでプロセス中の流体に添加される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、一つ又は複数の他の防汚剤若しくは分散剤、重合抑制剤、腐食抑制剤、乳化剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド、ナフタレンスルホン酸コポリマー、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸ポリマー、及びリグノスルホン酸金属塩又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を有するスチレンスルホン酸ポリマーを含み、
【化1】
式中、Mは、水素、アルカリ金属若しくはアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは、整数である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、50,000~2,000,000ダルトンの分子量を有するスチレンスルホン酸ポリマー、1000~約100万ダルトンの分子量を有するナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はそれらの組み合わせである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、汚染物質堆積の50%~95%抑制を提供する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、分散性試験において汚染物質堆積の50%~95%抑制を提供する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物を前記導入することが、前記スルホン化化合物を導入しない同じ条件下でのプロセス装置と比較して、前記プロセス装置の汚染物質堆積を抑制する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
プロセス装置と接触する汚染物質の堆積を抑制するための少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物であって、前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を含み、
R-(SO
3)
nM
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンアンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、組成物。
【請求項22】
前記汚染物質が、少なくともアンモニウム塩を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記汚染物質が、少なくとも硫酸アンモニウム(NH
4)
2SO
4、塩化アンモニウム(NH
4Cl)、硝酸アンモニウム(NH
4NO
3)、リン酸二水素アンモニウム(NH
4H
2PO
4)、リン酸二アンモニウム(NH
4)
2HPO
4、リン酸アンモニウム(NH
4)
2HPO
4)又はそれらの混合物を含む、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド、ナフタレンスルホン酸コポリマー、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸ポリマー、及びリグノスルホン酸金属塩又はそれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を有するスチレンスルホン酸ポリマーを含み、
【化2】
式中、Mは、水素、アルカリ金属若しくはアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは、整数である、請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
前記スルホン化化合物が、前記組成物の約1ppm~3000ppmである、請求項21~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物が、一つ又は複数の他の防汚剤若しくは分散剤、重合抑制剤、腐食抑制剤、乳化剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
流体と、
請求項21~27のいずれか一項に記載の少なくとも1つのスルホン化化合物と、
を含む、組成物。
【請求項29】
前記流体が、コイル、熱交換器、移送ライン熱交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置、又はそれらの組み合わせと接触している、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記流体が、少なくともアンモニウム塩を含む、請求項28又は29に記載の組成物。
【請求項31】
前記流体が、少なくとも硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム又はそれらの混合物を含む、請求項28又は29に記載の組成物。
【請求項32】
流体温度が、約10℃~101℃である、請求項28~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
金属表面を含むプロセス装置と、
請求項21~31のいずれか一項に記載のスルホン化化合物を含む流体源であって、前記金属表面の少なくとも一部分が前記流体源と接触している、流体源と、
を含む、処理されたプロセス装置。
【請求項34】
前記プロセス装置が、鉄又は鉄合金を含む、請求項33に記載の処理されたプロセス装置。
【請求項35】
前記鉄合金が、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル-クロム-鉄合金、又は他の合金を含む、請求項34に記載の処理されたプロセス装置。
【請求項36】
金属格納容器が、コイル、熱交換器、移送ライン交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置、又はそれらの組み合わせを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の処理されたプロセス装置。
【請求項37】
前記流体が、少なくともアンモニウム塩を含む汚染物質を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の処理されたプロセス装置。
【請求項38】
前記汚染物質が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の処理されたプロセス装置。
【請求項39】
アンモニウム塩の汚染を抑制するための、請求項1~38のいずれか一項に記載のスルホン化化合物の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、アンモニウム塩によるプロセスの汚染を防止又は低減することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリロニトリル、シアン化水素の製造、又はコークス炉ガスの処理などの多くの工業プロセスは、残留アンモニアを含む工業プロセスストリームを生成する。残留アンモニアの回収及び再利用は、これら及び他のアンモニア生成プロセスの経済的実行可能性を高める。
【0003】
残留アンモニアは、硫酸アンモニウム塩の形態の硫酸などの酸を使用して、工業プロセスから回収され得る。しかしながら、硫酸アンモニウム及び他のアンモニウム塩が沈殿し装置の表面上に堆積し、汚染を引き起こし得る。熱交換器、リボイラー、パイプ、凝縮器、カラムなどの装置の汚染は、汚染物質を除去するために装置を停止する必要があるため、生産及び操作の効率に負担がかかり、結果として、生産損失、洗浄費用、操作の不便さ、並びに関連する安全性及び環境の問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、硫酸アンモニウムなどのアンモニウムの塩による汚染を抑制又は低減し、それによってシステムのエネルギー効率を改善し、製品の品質問題を防止するための組成物及び方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、汚染物質の堆積を抑制する方法であって、
以下の一般構造を有するスルホン化化合物を少なくとも1つ含む組成物を、プロセスに導入することを含み、
R-(SO3)nM
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー(aralky)、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンアンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、方法である。
【0006】
本発明の他の態様は、プロセス装置と接触する汚染物質の堆積を抑制するための少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物であり、少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を含み、
R-(SO3)nM
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である。
【0007】
いくつかの態様では、スルホン化化合物は、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸コポリマー、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸ポリマー、及びリグノスルホン酸金属塩、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0008】
いくつかの態様では、スチレンポリマーは、以下の一般構造を有し、
【化1】
式中、Mは、水素、アルカリ金属若しくはアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは、整数である。
【0009】
本発明の更に他の態様は、
流体と、
少なくとも1つのスルホン化化合物と、を含む組成物である。
【0010】
記載されたスルホン化化合物は、特にアンモニウム塩を濃縮するプロセスにおいて、アンモニウム塩の汚染を抑制するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】硫酸アンモニウムの濃縮プロセスの一例を示す図である。
【0012】
【
図2】汚染物質に対する本発明の実施形態の効果を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、実施形態への言及を提供するが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。様々な実施形態が、図面を参照して詳述される。様々な実施形態への言及は、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。更に、本明細書に記載されたいかなる例も、限定を意図するものではなく、添付の特許請求の範囲の多くの可能な実施形態のうちのいくつかを単に述べるものである。
【0014】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含む本文書が優先される。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料が、本発明の実施又は試験に使用され得るが、方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「防汚剤」は、「プロセス装置」上での汚染物質の形成又は堆積を「抑制する」組成物又は化合物を指す。この用語は、文脈によって決定されるように、防汚剤自体、又は他の防汚剤又は化合物又は溶媒を含み得る組成物中を指すと理解される。
【0016】
用語「汚染物質」は、製造又は化学プロセスの操作中にプロセス装置に蓄積し、望ましくなく、プロセスの操作及び効率を損なう物質を指す。「汚染物質」は、ポリマー、プレポリマー、オリゴマー、及び/又は硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩などの物質の形成を含み、プロセス装置を操作する条件下で、これらは流れに不溶になり、かつ/又は流れから沈殿し、プロセス装置上に堆積する。
【0017】
本明細書で使用される用語「抑制する」、「抑制すること」、又はその文法上の等価物は、汚染物質の堆積を防止、遅延、緩和、軽減、最小化、制御及び/又は遅延することを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「プロセス装置」は、プロセスと関連し、汚染物質の堆積に供され得る、加熱器、熱交換器、チューブ、パイプ、伝熱容器、処理容器、タンク、コンプレッサー、ファン、インペラー、ポンプ、バルブ、インタークーラー、センサー、ストリッパー、急冷塔又は急冷カラム、蒸発器、晶析装置(crystallizer)などを含む材料(ただし、これらに限定されない)を精製、貯蔵、輸送、分画、又は他のプロセスに使用される装置を意味する。この用語はまた、例えば、硫酸アンモニウムプロセスにおける急冷塔及び蒸発器などと連通している部品の組もまた含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「し得る(can)」、「含有する(contain(s))」、及びそれらの変形は、追加の作用又は構造の可能性を排除しない制限のない移行句、用語、又は単語であることが意図される。単数形「a」、「and」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示された実施形態又は要素を「含む(comprising)」、「からなる(consisting of)」、及び「から本質的になる(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「任意選択の」又は「任意選択に」は、その後に記載された事象、又は状況が発生する可能性があるが発生する必要はなく、並びにその説明に事象又は状況が生じる事例及び生じない事例が含まれることを意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、例えば、本開示の実施形態を説明する際に用いられる、組成物中の成分の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力、及び同様の値、並びにその範囲を修飾する「約」という用語は、例えば、化合物、組成物、濃縮物又は使用配合物を作製するために使用される典型的な測定及び取り扱い手順により;これらの手順における偶発的な誤りにより;方法を実行するために使用される出発物質若しくは成分の製造、供給源、又は純度の違いにより、及び同様の近似考慮事項により生じ得る数値量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期濃度又は混合物を有する配合物の劣化に起因して異なる量、及び特定の初期濃度又は混合物を有する配合物を混合又は加工することに起因して異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されている場合、添付の特許請求の範囲は、これらの量と同等のものを含む。更に、「約」が値の範囲を説明するために使用される場合、文脈によって特に限定されない限り、例えば「約1~5」は、「1~5」及び「約1~約5」及び「1~約5」及び「約1~5」を意味する。
【0022】
本明細書で使用される用語「実質的に(substantially)」は、「から本質的になる(consisting essentially of)」を意味し、「からなる(consisting of)」を含む。「から本質的になる」及び「からなる」は、米国特許法においてのように解釈される。例えば、特定の化合物又は材料を「実質的に含まない」溶液は、その化合物若しくは材料を含まなくてもよいか、又は意図しない汚染、副反応、不完全な精製若しくは使用した試験方法などによって存在する少量のその化合物若しくは材料を有してもよい。「少量」は、微量、測定不可能な量、価値若しくは特性を妨げない量、又は文脈で提供されるようないくつかの他の量であり得る。提供された成分のリストを「のみ実質的に」有する組成物は、それらの成分のみからなるか、又は存在する微量のいくつかの他の成分を有するか、又は組成物の特性に物質的に影響を及ぼさない一つ又は複数の更なる成分を有し得る。更に、例えば、本開示の実施形態を説明する際に用いられる、組成物中の成分のタイプ若しくは量、特性、測定可能な量、方法、値、又は範囲を修飾する「実質的に」とは、意図された組成物、特性、量、方法、値、又は範囲を無効にする様式で、記載された組成物、特性、量、方法、値、又はその範囲に全体的に影響を及ぼさない変動を指す。用語「実質的に」で修飾されている場合、本明細書に添付の特許請求の範囲は、この定義による等価物を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、任意の列挙された値の範囲は、範囲内の全ての値を想定し、列挙された範囲内の実数値である終点を有する任意の部分範囲を列挙する特許請求の範囲を支持するものとして解釈されるべきである。例示的な例として、本明細書における1~5の範囲の開示は、次の範囲、すなわち1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、2~4、2~3、3~5、3~4、及び4~5のうちのいずれに対する特許請求の範囲も支持するようにみなされよう。
【0024】
本明細書には、防汚剤を使用して、汚染物質としての硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の形成を抑制又は低減する組成物及び方法が記載される。防汚剤は、スルホン化化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、スルホン化油、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、スチレンスルホン酸ポリマー及びそれらの関連塩、並びにそれらの混合物及び組み合わせである。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、アンモニア関連プロセスにおいて汚染物質を分散させる。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、アンモニウムプロセスにおいて汚染物質としてアンモニウム塩(例えば、硫酸アンモニウム)を分散させる。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書での使用に好適なスルホン化化合物は、以下の一般構造を有し、
R-(SO3)nM
【0026】
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
【0027】
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、nは、1~約6の範囲内である。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書での使用に好適なスルホン化化合物は、以下の一般構造を有し、
R-(SO3M)n
【0029】
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
【0030】
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、nは、1~約6の範囲内である。
【0031】
更に他の実施形態では、本明細書での使用に好適なスルホン化化合物は、以下の一般構造を有し、
R-(SO3)nMn
【0032】
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
【0033】
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、nは、1~約6の範囲内である。
【0034】
いくつかの実施形態では、Rは、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、芳香族、環状、アルカリール、アラルキル、又はアルケニル基、アルキルジフェニルエーテル基、ジアルキルナフタレン基、又はそれらの混合物から選択される、1~34個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0035】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、アルキルスルホン酸、アルキル芳香族スルホン酸又はアルキルナフテンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、アルキルスルホン酸は、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ドデシルスルホンコハク酸無水物、ドデシルスルホコハク酸、及びジオクチルスルホコハク酸などの有機スルホン酸である。
【0036】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、ナフタレンスルホン酸-HCOコポリマー及びその塩、又は2-ナフタレンスルホン酸-HCOコポリマー及びその塩である。
【化2】
【0037】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、ドデシルベンゼンスルホン酸、メチルスルホン酸、トルエンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジアルキルナフタレンスルホン酸、ジオクチルスルホコハク酸、及びそれらの混合物である。
【0038】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの中和された高分子縮合生成物である。これらのナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、分子量が約X~約Yまでの範囲であり得る。ナフタレン部分は、1位又は2位のいずれかでスルホン化され得る。メチレン結合は、典型的には、5位又は8位でスルホン化ナフタレン環を結合する。ポリマーは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化アンモニウムを含む様々な塩基又は塩基の混合物で中和され得る。ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の一般構造は、--CH2[C10H5(SO3M)]n--であり、MはNa+、K+、Ca+2、NH4
+などであり得る。いくつかの実施形態では、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、分子量が約1000~約100万ダルトンであり、ナトリウム、カリウム、カルシウム、水酸化アンモニウムの塩、及び/又はそれらの混合物である。他の実施形態では、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物は、分子量が約2500~約500,000ダルトン、又は約3000~約10,000ダルトンである。
【0039】
当業者に知られている任意の方法を使用して、スルホン化化合物が調製され得る。例えば、スルホン化油、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びリグノスルホン酸金属塩、並びにスルホン酸ポリマーは、米国特許第5,650,072号、同第5,746,924号、同第3,691,226号、及び同第8,067,629号に記載されており、各々は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、スチレンスルホン酸ポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマー材料は、以下の繰り返し単位を有し、
【化3】
式中、Mは、水素、アルカリ金属又はアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは整数である。
【0041】
いくつかの実施形態では、スチレンスルホン酸ポリマーは、50,000~2,000,000又は少なくとも100,000~1,000,000ダルトンの分子量を有する。
【0042】
スルホン化化合物を調製するために、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ニトリル又はそれらの混合物などの様々な溶媒が使用され得る。いくつかの実施形態において、ブチルセロソルブ又はエチレンオキシドベースのセロソルブでキャップされたエーテル溶媒のいずれかなどの有機極性溶媒(プロトン性及び非プロトン性)が使用され、このような有機極性溶媒は、テトラエチレングリコールのジエチルエーテル、ポリエチレン及びポリプロピレンオキシドアルキルエーテルなども含み得、一般に、ジエチルエーテルなどの他のエーテル溶媒も含み得る。更に、機能する他の極性溶媒には、酢酸などの特定の有機酸、又はジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t-ブチルアルコールなどの直鎖アルキル及び分岐アルキルアルコールなどの他の極性溶媒が含まれる。これらの極性溶媒の混合物も使用され得る。
【0043】
使用され得る他の溶媒には、酢酸エチルなどのエステル、アセトンなどのケトン、アセトニトリル及びアクリロニトリルなどのニトリル、水(上記溶媒の一部とブレンドした場合)、及び上記溶媒の混合物が含まれる。また、脂肪族及び芳香族炭化水素溶媒、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び重芳香族ナフサも含まれる。
【0044】
例えば、スルホン化化合物は、水中で調製され得る。溶解度を高め、製品の安定性及び取り扱いを改善するために、共溶媒は水と一緒に使用され得る。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物としてのスチレンスルホン酸ポリマーは、水中で調製される。
【0045】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、溶媒に溶解したストック組成物として、約少なくとも約0.01%(重量)、少なくとも約50%(重量)の濃度で、又は少なくとも約0.01%(重量)~約100%(重量)の範囲における量で、調製される。
【0046】
スルホン化化合物を含むある量のストック組成物を、組成物若しくはプロセスストリーム、又は汚染物質を形成し得る組成物若しくはプロセスストリームに添加して、汚染物質(例えば、アンモニウム塩)の堆積を抑制若しくは低減するのに有効な濃度の防汚剤を提供し得る。いくつかの実施形態では、プロセスストリームは、HCN、アセトニトリル及び重ニトリル、腐食生成物、ポリマー、触媒微粉、及びアンモニウム塩を含み得る。
【0047】
使用されるスルホン化化合物の有効量は、局所操作条件、温度及びプロセスの他の特性などの多くの要因に依存するが、いくつかの実施形態では、処理される汚染物質(例えば、アンモニア塩)を含む流れでは、スルホン化化合物又は組成物中のスルホン化化合物は、流体源中のスルホン化化合物の重量又は容量で、約0.1ppm~10,000ppm、0.1ppm~3,000ppm、約100ppm~1000ppm、約500ppm~3,000ppm、約750ppm~3,000ppm、約2,000ppm~5,000ppm、約3,000ppm~5000ppm、約100ppm~3,000ppm、50ppm~2000ppm、約1ppm~1000ppm、約1ppm~3,000ppm、約10ppm~50ppm、約50ppm~100ppm、100pp~800ppm、150ppm~550ppm、約1ppm~250ppm、約1ppm~50ppm、約1ppm~25ppm、約1ppm~5ppm、約3ppm~25ppm、0.1ppm~5ppm、又は約0.1ppm~1ppmの量で使用される。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの記載されたスルホン化化合物を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる。スルホン化化合物は、アンモニア(液体又は気体形態のいずれかで)と接触するプロセス装置の金属表面(表面又は液体は10℃~110℃の温度に達する)上への汚染物質(例えば、アンモニウム塩)の堆積を抑制するのに有用な防汚剤組成物として配合され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、他の防汚剤又は分散剤、重合抑制剤、腐食抑制剤、乳化剤、浄水剤、エマルジョン破壊剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む組成物の一部である。
【0050】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、アンモニウム塩及び他の有機物のような汚染物質の形成を抑制又は低減する方法において使用される。いくつかの実施形態では、アンモニウム塩は、硫酸アンモニウム(NH4)2SO4、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸二アンモニウム(NH4)2HPO4、リン酸アンモニウム(NH4)2HPO4)又はそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、アンモニウム回収又は濃縮システムで生成されたアンモニウム塩を分散させるための防汚剤として使用される。いくつかの実施形態では、防汚剤は、ナフタレンスルホン酸ポリマー若しくは縮合物若しくはスチレンスルホン酸ポリマー又はそれらの組み合わせである。
【0051】
いくつかの実施形態では、汚染物質は、HCN、アセトニトリル及び重ニトリル、腐食生成物、ポリマー、触媒微粉、及びアンモニウム塩を含む。いくつかの実施形態では、汚染物質は、約75重量%の水、約15重量%のアンモニウム塩、約8.2重量%のポリマー、0.9重量%のアクリロニトリル及び0.3重量%の触媒微細粉塵からのプロセス水中に存在し得る。いくつかの実施形態では、防汚剤は、HCN、アセトニトリル及び重ニトリル、腐食生成物、ポリマー、触媒微粉、及びアンモニウム塩を含む、汚染物質を含有するサンプルに使用されるナフタレンスルホン酸ポリマー若しくは縮合物若しくはスチレンスルホン酸ポリマー又はそれらの組み合わせである。
【0052】
いくつかの実施形態において、アンモニウム塩(例えば、硫酸アンモニウム)を副生成物として濃縮するか、又は廃棄物の量を減らすための一般的な商業プロセスを
図1に示す。
図1を参照すると、工業プロセスに由来する残留アンモニア2を含有するプロセス流は、硫酸アンモニウムを含有する流れ1を用いて吸収器3で急冷され、硫酸アンモニウム水溶液を生成する。硫酸アンモニウム水溶液は、それを蒸発器4に通すことにより濃縮される。次いで、濃縮硫酸アンモニウムを晶析装置5に通して、硫酸アンモニウム結晶を形成する。硫酸アンモニウム結晶は、分離器6で母液から分離され、硫酸アンモニウム生成物7を形成する。
【0053】
いくつかの実施形態では、防汚剤(例えば、スルホン化化合物)は、蒸発器4、晶析装置5ユニット、及びパイプライン及びポンプのようなそれらの補助装置を含む蒸発/濃縮システム8に適用される。
【0054】
いくつかの実施形態において、アンモニウム塩を含有する流出物は、濃縮され、かついくつかの段階で分離されるが、これは、沈殿結晶化及び同時に蒸発により濃縮段階に戻った沈殿塩(例えば、硫酸アンモニウム)を含む。蒸発の最終段階から排出された残留母液は、任意に、10~80℃、約35~60℃で真空冷却結晶化に供され、形成された硫酸アンモニウムは、分離され、蒸発結晶化に戻され得る。水での希釈は、沈殿結晶化の前に、任意に真空冷却結晶化の後に実施される。得られた溶液に、アンモニアを約5kg/cm2まで、約1~2kg/cm2の圧力で添加し、晶出した硫酸アンモニウムは、アンモニア母液から分離され、必要に応じて洗浄されてアンモニアが除去されて蒸発結晶化段階に戻され得、その後、アンモニアを、蒸留によってアンモニア母液から回収する。硫酸アンモニウムを処理する方法の例は、米国特許第4292043号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
いくつかの実施形態では、アンモニウム塩(例えば、硫酸アンモニウム)用の濃縮システムは、2つ以上の蒸発器を含む。いくつかの実施形態では、多段階蒸発プロセスは、少なくとも2つの蒸発器、循環ポンプ、蒸気加熱器、凝縮器及び硫酸アンモニウム溶液タンク又は流れを含み得る。蒸発器は、アクリロニトリルユニットなどの様々な供給源からの硫酸アンモニウムを濃縮するためのものであり、第一蒸発器及び第二蒸発器を含み、第一蒸発器は、アクリロニトリルユニットからの硫酸アンモニウムを直接処理するために使用され、第二蒸発器は、第一蒸発器からの処理された硫酸アンモニウムを処理するために使用され、第一蒸発器は、蒸気パイプライン及び硫酸アンモニウム溶液搬送パイプラインを介して同時に第二蒸発器と連通する。循環ポンプは、硫酸アンモニウム溶液を循環させるために使用される。蒸気ヒーターは、蒸発器内の媒体を加熱するために使用される。凝縮器は、蒸発器によって放出された蒸気を凝縮するために使用される。硫酸アンモニウム溶液タンクは、濃縮溶液を収集するために使用される。スチームヒーターは、一次効用蒸発器と接続されている。凝縮器及び硫酸アンモニウム溶液タンクは、それぞれ二次効用蒸発器と連通している。二重効用蒸発システムは、エネルギー利用効率を向上させ、蒸気消費量及び操業コストを削減し、環境及び経済の利益を向上させ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、硫酸アンモニウム用の濃縮システムは、アクリロニトリルシステムの一部である。いくつかの実施形態では、硫酸アンモニウム濃縮システムは、プロピレンアンモ酸化反応型アクリロニトリルシステムの一部である。アクリロニトリル又はメタクリロニトリルの製造において、プロピレン、プロパン、イソブテン又はイソブチレンの接触アンモ酸化によってアクリロニトリルが製造される場合、アンモニアが使用される。他の実施形態では、硫酸アンモニウム濃縮システムは、コークス工場におけるコークス炉ガス急冷システムの一部である。未反応又は残留アンモニアは、上記のプロセスでリサイクル又は濃縮され得る。硫酸アンモニウムを処理するためのプロセスの例は、中国特許出願第203108242U号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。他の実施形態では、アンモニウム塩濃縮システムの他の変形例が、中国特許出願第106075943AU号に記載されている。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、複数の蒸発器又はシステムの他の部分を接続するパイプラインに適用される。
【0057】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、急冷カラム及び回収段階、並びにスルホン化化合物が汚染物質堆積を防止し、更には以前に堆積した汚染物質の除去を促進する分散剤として機能する廃水プロセスの一つ又は複数の流体ストリームに導入される。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物が導入される。
【0058】
いくつかの実施形態では、防汚剤は、アクリロニトリルシステムの一部である硫酸アンモニウム濃縮システムにおける汚染物質としての硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩の形成を抑制又は低減するために使用されるスルホン化化合物である。アクリロニトリルプラントの例は、米国特許第5,650,072号、同第5,746,924号、同第3,691,226号、及び同第8,067,629号に記載されており、各々は参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0059】
スルホン化化合物は、任意の好適な方法で添加され得る。例えば、スルホン化化合物はそのままで、又は希釈溶液として添加され得る。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、システム内の所望の開口部内に又はプロセス装置上に、噴霧、滴下、投入又は注入される溶液、エマルジョン、又は分散液として適用され得る。
【0060】
スルホン化化合物は、汚染を抑制するために、必要に応じてプロセス装置に連続的又は断続的に添加され得る。いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、プロセスユニット内の汚染を軽減するために、連続的様式で又は断続的様式で、システム内にポンプ注入又は注入され得る。注入ポイントは、プロセスユニットの任意の段階又は全ての段階であり得る。
【0061】
スルホン化化合物は、任意の好適なプロセス装置で使用される。いくつかの実施形態では、プロセス装置は、熱変換ユニット、熱交換器、ビスブレーカー、コーカー、加熱ヒーター、炉、精留塔、又は他の伝熱装置を含む。いくつかの実施形態では、プロセス装置はガス圧縮機である。いくつかの実施形態では、プロセス装置は、コイル、熱交換器、移送ライン交換器急冷冷却器又は急冷塔又はカラム、炉、分離カラム又は精留塔、蒸発器及び晶析装置である。防汚剤組成物はまた、他の同様の用途及び他の装置でも有用であり得る。例えば、スルホン化化合物は、プロセス装置が硫酸アンモニウム又は塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩と接触する任意のプロセスで使用され得る。いくつかの実施形態では、プロセスは、エチレン及びアクリロニトリル急冷水システムである。防汚剤組成物は、エチレン希釈蒸気発生器及びアクリロニトリル精製システムで使用されてもよい。多くのポリマープロセスは、汚染の対象となるモノマー回収システムを有し、防汚剤組成物の優れた標的用途である。防汚剤組成物は、プロセス装置上に形成及び堆積する汚染物質(例えば、アンモニウム塩)に供されるプロセス装置を有するあらゆるプロセスで使用され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、処理される流体源を通してスルホン化化合物を確実に分散させるのに好適な任意の手段によって流体に導入される。スルホン化化合物を含む組成物は、用途及び要件に応じて、1つ又は複数の追加の溶媒で調製又は配合されたまま注入され得る。当業者は、本明細書に開示される方法が、導入方法、導入のタイミング又は場所によって決して限定されないことを理解するであろう。
【0063】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物は、プロセス装置又はプロセス装置と接触する流体に導入される。いくつかの実施形態では、処理装置を使用して、硫酸塩又は塩化物などの塩を含むアンモニウム流を精製、貯蔵、輸送、分別、又は別の方法で処理する。
【0064】
スルホン化化合物又は組成物をプロセス装置に導入して、処理されたプロセス装置を形成する。いくつかの実施形態では、処理されたプロセス装置は、スルホン化化合物を添加しないプロセス装置よりも、又は組成物中に汚染物質堆積が少ないことが観察される。
【0065】
汚染物質形成又は汚染物質堆積の抑制は、任意の既知の方法又は試験によって評価され得る。いくつかの実施形態では、実施例1に記載のように、汚染物質を分散させるのにかかる時間を測定することによって、汚染物質形成及びプロセス装置への汚染物質堆積の抑制が評価され得る。
【0066】
スルホン化化合物又は組成物は、金属表面を有する任意のプロセス装置に使用され得る。いくつかの実施形態では、プロセス装置の金属表面は、金属又は金属合金である。例えば、金属表面は、鋼(炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、溶融亜鉛メッキ鋼、電気亜鉛メッキ鋼、アニール溶融亜鉛メッキ鋼、又は軟鋼を含む)、ニッケル、チタン、タンタル、アルミニウム、銅、金、銀、白金、亜鉛、ニッケルチタン合金(ニチノール)、ニッケル、クロム、鉄、イリジウム、タングステン、シリコン、マグネシウム、スズの合金、前述の金属のいずれかの合金、前述の金属のいずれかを含むコーティング、及びそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、プロセス装置の金属表面は、鉄合金、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル-クロム-鉄合金、又は他の合金である。
【0067】
いくつかの実施形態では、スルホン化化合物で処理された汚染物質プロセス装置の堆積は、スルホン化化合物で処理されていないプロセス装置と比較して少なくとも50重量%減少する。いくつかの実施形態では、約50重量%~100重量%(ポリマー形成の100重量%の低減は、堆積の排除である)、又は約50重量%~95重量%、又は約50重量%~90重量%、又は約50重量%~85重量%、又は約50重量%~80重量%、又は約50重量%~75重量%、又は約50重量%~70重量%、又は約55重量%~100重量%、又は約60重量%~100重量%、又は約65重量%~100重量%、又は約70重量%~100重量%、又は約60重量%~95重量%、又は約70重量%~95重量%、又は約60重量%~90重量%、又は約70重量%~90重量%である。
【0068】
本開示を更に例示するために、いくつかの追加の非限定的な実施形態を以下に提供する:
【0069】
実施形態1:汚染物質の堆積を抑制する方法であって、
以下の一般構造を有する少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物を、プロセスに導入することを含み、
R-(SO3M)n
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、方法。
【0070】
実施形態2:汚染物質の堆積を抑制する方法であって、
以下の一般構造を有するスルホン化化合物を少なくとも1つ含む組成物を、プロセスに導入することを含み、
R-(SO3)nMn
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、方法。
【0071】
実施形態3.導入することが、スルホン化化合物を注入、噴霧、又は滴下することによる、実施形態1又は2に記載の方法。
【0072】
実施形態4:導入することが、洗浄中若しくは洗浄後又はプロセス中に実施される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態5:プロセスが、アンモニウム濃縮プロセスである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態6:プロセスが、プロピレン、プロパン、イソブテン、又はイソブチレンのアンモ酸化反応である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態7:プロセスが、アクリロニトリルプロセスである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態8:導入することが、断続的に実施される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態9:導入することが、連続的に実施される、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態10:プロセス装置が、コイル、熱交換器、移送ライン交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態11:プロセス装置が、アンモニウム濃縮システムの蒸発器、晶析装置を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態12:汚染物質が、HCN、アセトニトリル及び重ニトリル、腐食生成物、ポリマー、触媒微粉、及びアンモニウム塩を含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態13:汚染物質が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
実施形態14:少なくとも1つのスルホン化化合物が、流体体積の1ppm~3000ppmでプロセス中の流体に添加される、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態15:組成物が、一つ又は複数の他の防汚剤若しくは分散剤、重合抑制剤、腐食抑制剤、乳化剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
実施形態16:少なくとも1つのスルホン化化合物が、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド、ナフタレンスルホン酸コポリマー、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸ポリマー、及びリグノスルホン酸金属塩又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
実施形態17:少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を有するスチレンスルホン酸ポリマーを含み、
【化4】
式中、Mは、水素、アルカリ金属若しくはアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは、整数である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態18:少なくとも1つのスルホン化化合物が、50,000~2,000,000ダルトンの分子量を有するスチレンスルホン酸ポリマー、1000~約100万ダルトンの分子量を有するナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はそれらの組み合わせである、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態19:少なくとも1つのスルホン化化合物が、汚染物質堆積の50%~95%抑制を提供する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態20:少なくとも1つのスルホン化化合物が、分散性試験において汚染物質堆積の50%~95%抑制を提供する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態21:少なくとも1つのスルホン化化合物を導入することが、スルホン化化合物を導入しない同じ条件下でのプロセス装置と比較して、プロセス装置の汚染物質堆積を抑制する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態22:プロセス装置と接触する汚染物質の堆積を抑制するための少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物であって、少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を含み、
R-(SO3M)n
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、組成物。
【0091】
実施形態23:プロセス装置と接触する汚染物質の堆積を抑制するための少なくとも1つのスルホン化化合物を含む組成物であって、少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を含み、
R-(SO3)nMn
式中、Rは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル、芳香族、環状、アルカリール、アラルキー、又はアルケニル基、及びそれらの混合物から選択される炭化水素基であり、
Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、又はそれらの混合物であり、
nは、1~約6の範囲内である、組成物。
【0092】
実施形態24:汚染物質が、少なくともアンモニウム塩を含む、実施形態22又は23に記載の組成物。
【0093】
実施形態25:汚染物質が、少なくとも硫酸アンモニウム(NH4)2SO4、塩化アンモニウム(NH4Cl)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸二アンモニウム(NH4)2HPO4、リン酸アンモニウム(NH4)2HPO4)又はそれらの混合物を含む、実施形態22~24のいずれか1つに記載の組成物。
【0094】
実施形態26:少なくとも1つのスルホン化化合物が、スルホン化脂肪酸、硫酸化油、硫酸化脂肪酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド、ナフタレンスルホン酸コポリマー、スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸ポリマー、及びリグノスルホン酸金属塩又はそれらの組み合わせを含む、実施形態22~25のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
実施形態27:少なくとも1つのスルホン化化合物が、以下の一般構造を有するスチレンスルホン酸ポリマーを含み、
【化5】
式中、Mは、水素、アルカリ金属若しくはアンモニウム又はそれらの混合物であり、Rは、水素、アルキルアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであり、Rは、ヘテロ原子を含んでいてもよく、nは、整数である、実施形態22~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0096】
実施形態28:スルホン化化合物が、組成物の約1ppm~3000ppmである、実施形態22~27のいずれか1つに記載の組成物。
【0097】
実施形態29:組成物が、一つ又は複数の他の防汚剤若しくは分散剤、重合抑制剤、腐食抑制剤、乳化剤、又はそれらの任意の組み合わせを更に含む、実施形態22~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0098】
実施形態30:
流体と、
実施形態22~29のいずれか1つに記載の少なくとも1つのスルホン化化合物と、を含む、組成物。
【0099】
実施形態31:流体が、コイル、熱交換器、移送ライン熱交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置、又はそれらの組み合わせと接触している、実施形態30に記載の組成物。
【0100】
実施形態32:流体が、少なくともアンモニウム塩を含む、実施形態30又は31に記載の組成物。
【0101】
実施形態33:流体が、少なくとも硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム又はそれらの混合物を含む、実施形態30又は31に記載の組成物。
【0102】
実施形態34:流体温度が、約10℃~101℃である、実施形態30~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0103】
実施形態35:
金属表面を含むプロセス装置と、
実施形態21~31のいずれか1つに記載のスルホン化化合物を含む流体源であって、金属表面の少なくとも一部分が流体源と接触している、流体源と、を含む、処理されたプロセス装置。
【0104】
実施形態36:プロセス装置が、鉄又は鉄合金を含む、実施形態35に記載の処理されたプロセス装置。
【0105】
実施形態37:鉄合金が、炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル-クロム-鉄合金、又は他の合金を含む、実施形態36に記載の処理されたプロセス装置。
【0106】
実施形態38:金属格納容器が、コイル、熱交換器、移送ライン交換器急冷冷却器若しくは塔、炉、分離カラム分留器、蒸発器、晶析装置、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態35~37のいずれか1つに記載の処理されたプロセス装置。
【0107】
実施形態39:流体が、少なくともアンモニウム塩を含む汚染物質を含む、実施形態35~38のいずれか1つに記載の処理されたプロセス装置。
【0108】
実施形態40:汚染物質が、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、又はそれらの混合物を含む、実施形態35~39のいずれか1つに記載の処理されたプロセス装置。
【0109】
実施形態41:アンモニウム塩の汚染を抑制するための、実施形態1~40のいずれか1つに記載のスルホン化化合物の、使用。
【実施例】
【0110】
以下の実施例は、本発明の異なる態様及び実施形態を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書に説明される実験的実施形態に従うことなく、更に特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更がなされ得ることが認識されるであろう。
【0111】
実施例1
様々な分散剤の有効性を判断するために、アクリロニトリル工場の硫酸アンモニウム蒸発/濃縮システムから、触媒の微細な粉塵、及びポリマーを含む硫酸アンモニウム汚染物質のサンプルを採取した。汚染物質サンプルを乾燥させ、粉砕して粉末にした。種々の分散剤を、水又は極性溶媒のいずれかに溶解させた。
【0112】
表1に示される様々な分散剤を、各々別々の試験管に加えた。各試験管は、10mlのプロセス水(75.5重量%の水、15.4重量%の硫酸アンモニウム、8.2重量%のポリマー、0.9重量%のアクリロニトリル及び0.3重量%の触媒微粉を含むその他の材料)、硫酸アンモニウム汚染物質からの0.05グラム及び様々な用量の分散剤を含んだ。各チューブの内容物を混合し、周囲温度(例えば、25~30℃)で放置した。データは、チューブ内の内容物が沈殿するのに要した時間として報告する。上記の全ての内容物を含むが分散剤を含まない試験管を、ブランクとして使用した。試験した様々な分散剤の用量は、200ppm、400ppm、800ppm、及び1600ppmであった。
【0113】
試験した様々な分散剤を、表1に示す。結果は、試験した各分散剤について、各チューブ内の内容物が沈殿するのにかかる時間であり、
図2に示す。沈殿するまでの時間が長いほど、分散剤の分散性能がより良好である。
【表1】
【0114】
上記の
図2に見られるように、スチレンスルホン酸ポリマー(2)及びナフタレンスルホン酸コポリマー塩(1)は、ブランク及び他の試験された分散剤と比較して、汚染物質を分散する最良の能力を示した。
【国際調査報告】