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特表2023-526769送信機フィンガープリントに基づく開ループウェイクアップ無線
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】送信機フィンガープリントに基づく開ループウェイクアップ無線
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20230616BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20230616BHJP
【FI】
H04W52/02 111
H04W88/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564499
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 US2021029045
(87)【国際公開番号】W WO2021217110
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】16/858,119
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン アルパート
(72)【発明者】
【氏名】マタン ベン シャチャル
(72)【発明者】
【氏名】オレン アハロン シャニ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067BB27
5K067EE02
5K067HH22
(57)【要約】
デバイス(例えば、IoTデバイス)が、第1の無線(126)と、第1の無線(126)にアクセス可能なメモリデバイス(227)とを含む。メモリデバイスは、特定の送信機デバイスのためのフィンガープリンティング特徴(229)を格納するように構成される。第2の無線(122)及びプロセッサ(210)も含まれる。プロセッサ(210)は、第1及び第2の無線(126、122)に結合される。第1の無線(126)は、第1の受信したワイヤレス信号のフィンガープリンティング特徴を抽出し、抽出された特徴がストレージデバイスに格納されたフィンガープリンティング特徴と一致することを判定し、抽出された特徴がストレージデバイス(227)に格納された特徴と一致するという判定に応答して、第2の無線(122)を、低電力状態からより高い電力の動作状態に遷移させ、入力信号を受信し続けさせるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
第1の無線と、
前記第1の無線にアクセス可能なストレージデバイスであって、特定の送信機デバイスのための特徴を格納するように構成される前記ストレージデバイスと、
第2の無線と、
を含み、
前記第1の無線が、
第1の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出し、
前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された前記特徴と一致することを判定し、
前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された前記特徴と一致するという前記判定に応答して、前記第2の無線に、低電力状態からより高い電力状態の動作に遷移させ、前記第1の受信したワイヤレス信号を復号させる、
ように構成される、デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のデバイスであって、前記第1の無線に結合されるセンサを更に含む、デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のデバイスであって、前記第1の無線が、前記センサのワイヤレスデータを送信するために前記第2の無線を使用するように構成される、デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載のデバイスであって、前記第1の無線が前記ストレージデバイスを含む、デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のデバイスであって、プロセッサを更に含み、前記プロセッサが、前記抽出された特徴を前記ストレージデバイスに格納するように構成される、デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載のデバイスであって、前記第1の無線が、
第2の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出し、
前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が、前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴とも一致しないと判定する、
ように構成される、デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載のデバイスであって、前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が、前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴にも一致しないという前記判定に応答して、前記第1の無線が、前記第2の無線に、前記低電力状態から前記より高い電力状態の動作に遷移させないように構成される、デバイス。
【請求項8】
請求項6に記載のデバイスであって、
前記第2の無線がイネーブル信号を受信するように構成され、前記イネーブル信号が、アサートされると、前記第2の無線を前記低電力状態から前記より高い電力状態に遷移させ、
前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴とも一致しないという前記判定に応答して、前記第2の無線が前記イネーブル信号を受信しない、
デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスであって、前記第1の無線及び前記第2の無線に結合されるプロセッサを更に含む、デバイス。
【請求項10】
デバイスであって、
複数の送信機デバイスからワイヤレス信号を受信するように構成される第1の無線と、
前記第1の無線にアクセス可能なストレージデバイスであって、前記複数の送信機デバイスのうちの特定の送信機デバイスのための特徴を格納するように構成される前記ストレージデバイスと、
第2の無線と、
前記第1及び第2の無線に結合されるプロセッサと、
を含み、
前記第1の無線が、第1の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出するように構成され、
前記第1の無線又は前記プロセッサのうちの少なくとも一方が、
前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された前記特徴と一致することを判定し、
前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された前記特徴と一致するという前記判定に応答して、前記第2の無線に、低電力状態からより高い電力状態の動作に遷移させる、
ように構成される、
デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載のデバイスであって、前記プロセッサに結合されるセンサを更に含む、デバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスであって、前記プロセッサが、前記センサのワイヤレスデータを送信するために前記第2の無線を使用するように構成される、デバイス。
【請求項13】
請求項10に記載のデバイスであって、前記第1の無線が前記ストレージデバイスを含む、デバイス。
【請求項14】
請求項10に記載のデバイスであって、
前記第1の無線が、第2の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出するように構成され、
前記第1の無線又は前記プロセッサのうちの少なくとも一方が、前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴にも一致しないと判定するように構成される、
デバイス。
【請求項15】
請求項14に記載のデバイスであって、前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴にも一致しないという前記判定に応答して、前記第1の無線又は前記プロセッサのうちの少なくとも一方が、前記第2の無線に、前記低電力状態から前記より高い電力状態の動作に遷移させないように構成される、デバイス。
【請求項16】
請求項14に記載のデバイスであって、
前記第2の無線がウェイクアップ信号を受信するように構成され、前記ウェイクアップ信号が、アサートされたときに、前記第2の無線を前記低電力状態から前記より高い電力状態に遷移させ、
前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴にも一致しないという前記判定に応答して、前記第2の無線が前記ウェイクアップ信号を受信しない、
デバイス。
【請求項17】
請求項10に記載のデバイスであって、前記第1の無線、前記第2の無線、前記ストレージデバイス、及び前記プロセッサが、共通の半導体ダイ上に設けられる、デバイス。
【請求項18】
方法であって、
第2の無線が低電力状態にあり、第1の受信したワイヤレス信号の特徴を第1の無線によって抽出することと、
前記抽出された特徴がストレージデバイスに格納された特徴と一致することを判定することと、
前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された特徴と一致することを判定することに応答して、前記第2の無線を前記低電力状態からより高い電力状態に遷移させることと、
含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記第2の無線が前記低電力状態にある間、第2の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出し、
前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された特徴と一致しないと判定すること、
を更に含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記第2の受信したワイヤレス信号の前記抽出された特徴が前記ストレージデバイスに格納された如何なる特徴にも一致しないという前記判定に応答して、前記第2の無線を前記低電力状態に維持し、前記第2の無線を前記より高い電力状態に遷移させないことを更に含む、方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、センサデータを送信するために前記第2の無線を使用することを更に含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
バッテリー駆動デバイスを含むワイヤレスネットワークにおける1つの課題は、バッテリー寿命である。ワイヤレスデバイスの1つのタイプは、IoT(Internet-of-Things)デバイスである。IoTデバイスは、しばしば、環境条件(例えば、温度)、機械の動作状態、又はその他のタイプの条件を監視するために使用し得るセンサを有する。IoTデバイスは概して、「ヘッドレス」であり、これは、直接のユーザ入出力能力を持たない(例えば、キーボードなし、ディスプレイなし等)ことを意味する。IoTデバイスは大抵、バッテリー駆動であり、或る環境又は機械内に設置され、ユーザによって直接アクセスされないことがある。IoTデバイスの使用のための多くの応用例は、IoTデバイスのバッテリーが長時間(例えば、数年)持続することにより恩恵を受ける。
【発明の概要】
【0002】
少なくとも一例において、デバイスが、第1の無線と、第1の無線にアクセス可能なメモリデバイスとを含む。メモリデバイスは、特定の送信機デバイスのための特徴を格納するように構成される。第2の無線及びプロセッサも含まれる。プロセッサは、第1及び第2の無線に結合される。第1の無線は、第1の受信したワイヤレス信号の特徴を抽出し、抽出された特徴がストレージデバイスに格納された特徴に一致することを判定し、抽出された特徴がストレージデバイスに格納された特徴に一致するという判定に応答して、第2の無線に、低電力状態からより高い電力状態の動作に遷移させるように構成される。
【0003】
種々の例の詳細な説明のため、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】幾つかの例におけるIoTデバイスを含むワイヤレスネットワークを図示する。
【0005】
図2】ウェイクアップ無線を有するIoTの例示の実装を示す。
【0006】
図3】ワイヤレス信号から抽出された特徴に基づいてアクセスポイントを検証するためのIoTデバイスのための方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
幾つかのバッテリー駆動ワイヤレスデバイスは、「主」無線及び「ウェイクアップ」無線を含む。主無線は、デバイスの実行時間動作においてデータを送信及び/又は受信するために用いられる。主無線は、非使用期間中に低電力状態(例えば、スリープ状態、休止状態等)に入ることができる。ウェイクアップ無線は、主無線をいつ起動させる(wake-up)かを判定するために、無線ネットワーク内の送信機からワイヤレス信号を受信する。ウェイクアップ無線は、「開ループ」構成又は「閉ループ」構成で動作し得る。閉ループウェイクアップ無線は、例えば、送信機からのシンボルの特定のシーケンスを認識するように、又は、シンボルの送信機特有のシーケンスについて送信機とネゴシエートするように、事前に構成される。閉ループウェイクアップ無線及び送信機は、ウェイクアップ信号を判定及び/又はネゴシエートする特定のワイヤレスプロトコルに従うことができる。ウェイクアップ信号のネゴシエーションは、データ及びメッセージシグナリングに対して付加的なものである。
【0008】
ワイヤレスデバイスは、適用可能な標準プロトコル(例えば、IEEE 802.11、Bluetooth Low Energy等)に従って動作するが、所与のワイヤレスネットワーク内のワイヤレス送信機は、送信機のアナログ構成要素における不完全性に起因して他のワイヤレス送信機と区別され得る。そのような不完全性は、送信機の構成要素(例えば、デジタルアナログ変換器、フィルタ、周波数ミキサ、電力増幅器等)の製造中に導入される無作為性に起因し得る。例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の閾値電圧又はオン抵抗は、たとえ同じプロセス工程で作製されたトランジスタでも、トランジスタ毎にわずかに変化し得る。そのような非線形の影響により、各送信機が一意の「フィンガープリント」を有することになる、そのため、無線周波数(RF)フィンガープリンティングは、他の考えられる送信機の中から特定の送信機を識別するために受信機によって用いられ、それによって主無線を起動させることができる。RFフィンガープリントに基づいて主無線を起動させることは、送信機と受信機との間のシンボルの特定のセットのネゴシエーションが必要とされないという点で、「開ループ」プロセスである。従って、特定の送信機の態様(抽出された「特徴」)に応答して主無線を起動させるためのウェイクアップ信号(ワイヤレスデバイスの内部で生成される)は、特定の/統合されたウェイクアップ信号を通常のデータ送信プロトコルに追加することなく、送信機の標準の送信に基づいて生成される。受信機は、受信機が関連付けるべき特定の送信機を一意に識別する送信のRFフィンガープリントを判定し、次いで、有効な特徴が検出された(例えば、抽出された特徴が無線のメモリに格納された特徴と一致する)とき、その抽出された特徴を用いて主無線のみを起動させる。フィンガープリントにより特定されている送信はまた、送信機が起動しようとするIoTデバイスの識別子も含み得る。IoTデバイス固有の識別子を用いて送信をフィンガープリントにより特定することで、関連するフィンガープリントを用いた将来の送信が検出されたときに、特定のIoTデバイスのみにその主無線を起動させ得る。
【0009】
幾つかの例は、主無線及びウェイクアップ無線を含む、バッテリー駆動のIoT(Internet-of-Things)デバイスを対象とする。主無線は、実行時間動作においてデータを送信及び/又は受信するためにIoTデバイスによって用いられる。一例において、バッテリー駆動IoTデバイスは、1つ又はそれ以上の統合された又は外部センサを有し得、IoTデバイスの主無線は、センサデータ又は事象情報をワイヤレスネットワークに送信するために用いられる。バッテリー電力を節約するために、主無線は、低電力状態(例えば、スリープ状態又は休止状態)に遷移する。低電力状態にある間、主無線は、ワイヤレス信号を送信又は受信するために用いられ得ない。そうではなく、主無線は、その目的のために起動されなければならない。ウェイクアップ無線は、RFフィンガープリンティング(すなわち、一時的な「特徴」)を用いて、有効な送信機(例えば、アクセスポイント)が、ウェイクアップ無線を含むIoTデバイスと通信を試みているときを検出する。この文脈において、有効な送信機とは、そのIoTデバイスが、ペアリングされ、通信するべき送信機である。ウェイクアップ無線が有効なフィンガープリントを検出すると、ウェイクアップ無線は、主無線を起動して(すなわち、低電力状態からより高い電力状態への遷移)、受信したワイヤレス信号を復号し続けさせ、それによって、センサデータの送信、送信機からのワイヤレス通信の受信等の実行時間動作が可能になる。そのため、本明細書で説明するウェイクアップ無線は、RFフィンガープリンティング(例えば、新たに抽出された特徴とメモリに格納された1つ又はそれ以上の特徴との比較)を用いて、主無線を起動させる。ウェイクアップ事象は、通常動作の過程でデータを受信する間にも生成される(すなわち、専用ウェイクアップ信号がない)ので、本明細書で説明する開ループウェイクアップ無線のために、特定のプロトコルに従った送信機と受信機との間の専用ウェイクアップ記号の特定のセットのネゴシエーションは必要とされない。
【0010】
図1は、アクセスポイント110及び111と、IoTデバイス120及び130とを含むワイヤレスネットワーク100の例を示す。任意の数のIoTデバイス(1つ又はそれ以上
)がワイヤレスネットワーク100内に含まれ得る。この例では、各IoTデバイスが、バッテリーと、主無線と、フィンガープリンティングウェイクアップ無線(WUR)とを含む。IoTデバイス120は、バッテリー121と、主無線122と、フィンガープリンティングウェイクアップ無線126とを含む。同様に、IoTデバイス130は、バッテリー131と、主無線132と、フィンガープリンティングウェイクアップ無線136とを含む。長期間の不使用の間、IoTデバイス120、130の主無線122、132は、バッテリー電力を節約するためにオフにされる。しかしながら、フィンガープリンティングウェイクアップ無線122、132は、継続的に電源オンにされたままである。図1の構成では、IoTデバイス130内の主無線132がオフにされる。IoTデバイス120内のウェイクアップ無線126は、アクセスポイント110によって送信されたワイヤレス信号から有効なフィンガープリントを検出している(例えば、ワイヤレス信号から特徴を抽出し、その特徴が無線のメモリに格納された特徴と一致することを判定している)。有効なフィンガープリントの検出に応答して、ウェイクアップ無線126は、IoTデバイス120内の主無線122に、到来するワイヤレス信号上の受信を完了するために起動させる(例えば、電源オンにされるか、さもなければ、より高い電力の完全な動作状態に遷移される)。IoTデバイス130内のウェイクアップ無線136は、ウェイクアップ無線126と同じRFフィンガープリントを認識するように構成されておらず(例えば、ウェイクアップ無線136によって抽出された特徴が、その無線のメモリに格納された如何なる特徴とも一致しない)、そのため、IoTデバイス130内の主無線132は、低電力状態(例えば、スリープ、休止状態(hibernation)等)のままである。代わりに、IoTデバイス130のウェイクアップ無線136は、アクセスポイント111から導出されたRFフィンガープリントを認識するように構成され得る。
【0011】
図2は、IoTデバイス120の実装に関する付加的な細部を示すが、同じアーキテクチャを、IoTデバイス130、及び/又は、ワイヤレスネットワーク100内の他のIoTデバイスに適用してもよい。この例では、IoTデバイス120は、バッテリー121と、主無線122と、フィンガープリンティングウェイクアップ無線126と、プロセッサ210と、センサ220と、メモリデバイス227とを含む。主無線122及びフィンガープリンティングウェイクアップ無線126並びにセンサ220は、プロセッサ210に結合される。バッテリー121は、IoTデバイス120内の能動構成要素の幾つか又は全てに動作電力を提供する。この例では1つのプロセッサ210が示されているが、他の実装では2つ以上のプロセッサを設けることができる。同様に、2つ以上のセンサ220を設けることもできる。センサ220は特定用途向けである。センサ220の例には、温度センサ、電流センサ、電圧センサ等が含まれる。
【0012】
各無線122、126はアンテナに結合される。主無線122はアンテナ225に結合され、ウェイクアップ無線126はアンテナ235に結合される。そのため、各無線はそれ自体のアンテナに接続され得る。他の例において、1つのアンテナ又はアンテナアレイが、2つの無線122、126の間で共有される。上述のように、主無線122は、フィンガープリンティングウェイクアップ無線とは異なる目的のために用いられる。主無線122は、デバイス実行時間中にアクセスポイントとワイヤレス信号を交換(送信及び/又は受信)するために用いられる。例えば、主無線122は、センサ読取りのためにアクセスポイント(例えば、アクセスポイント110)から要求を受け取り、センサ220からアクセスポイント(例えば、アクセスポイント110)等にデータ及び/又は信号を送るために用いられ得る。IoTデバイス120がアクセスポイントから受け取った要求に応答する実装において、IoTデバイスがアクセスポイントからの別の要求を待機する際、IoTデバイス内の主無線122は、アクセスポイントへの情報の送信/受信後に電源オフにされ得る。代替的に、主無線122は、所定の非使用時間期間(例えば、30秒、2分等)に続いて電源が切られ得る。
【0013】
フィンガープリンティングウェイクアップ無線126は、少なくとも幾つかの実装では、継続的に電源オン及び動作可能のままであり、有効なフィンガープリントをアクセスポイントの標準ワイヤレス信号から検出するために用いられる。有効なRFフィンガープリントの検出に応答して、主無線122は、入来信号を受信するために、低電力状態からより高い電力状態に遷移させられる。
【0014】
RFフィンガープリンティングは、以下の例示のカテゴリー、すなわち、過渡ベースのRFフィンガープリンティング生成及び定常状態ベースのRFフィンガープリンティング生成に基づいて実施され得る。過渡ベースのRFフィンガープリンティング生成では、オフ状態からオン状態に送信する送信機が、実際のデータパケットの送信前に現れる送信されたワイヤレス信号内の一意の過渡特徴をトリガする。定常状態ベースのRFフィンガープリンティング生成では、変調フェーズ中に送信機のワイヤレス信号内に一意の特徴が存在する。この場合、フィンガープリンティングウェイクアップ無線は、少なくとも1つの受信したシンボルからフィンガープリントを生成する。送信機を検証するために、IoTデバイスによって、多数の異なるタイプのRFフィンガープリンティング手法の任意のものを実装することができる。送信機を検証するということは、IoTデバイスが受信するワイヤレス信号が、IoTデバイスが関連付けられている(例えば、ペアリングされている)送信機からのものであるか、及び、抽出された特徴が、デバイスのメモリにすでに格納されている特徴と一致するかを、IoTデバイスが確認することを意味する。
【0015】
過渡ベースのRFフィンガープリンティングの例の1つは、例えばIEEE 802.1laプリアンブルにおけるもの等、プリアンブルのパワースペクトル密度(PSD)の判定を含む。この特定のRFフィンガープリンティング手法では、PSDは、下記のように計算することがで
きるPSD係数によって特徴付けられる。
ここで、X(k)は、入力信号x(m)の離散フーリエ変換の係数であり、下記式により与えられる。
【0016】
或る送信機から受信したワイヤレス信号のPSDは、その送信機を一意に識別するために用いられ得る。従って、PSDは、送信機間で変化し、概して、所与の送信機に対して反復可能である。本明細書で説明するフィンガープリンティングウェイクアップ無線は、入来ワイヤレス信号についてPSDを判定するために用いることができる。IoTデバイスが関連付けられる1つ又はそれ以上の送信機のためのPSDは、フィンガープリント229としてIoTデバイス内のメモリ227に格納される。所与のワイヤレス信号について判定されたPSDは、有効な送信機がIoTデバイスとの通信を試みているかどうかを判定するために、IoTデバイス内のメモリに格納されたPSDと比較され得る。IoTデバイスによって計算されたPSDが、IoTデバイスのメモリに格納されたPSDと一致する場合、主無線は、低い電力状態からより高い電力状態に遷移させられる(すなわち、起動(awake)される)。
【0017】
メモリ227に格納されたフィンガープリント229は、任意の適切な手法でIoTデバイス120に提供されるか、或いはIoTデバイス120によって判定され得る。一例において、ユーザデバイス211が、プロセッサ210に結合され、プロセッサ210が、プロセッサ210が受信するワイヤレス信号のフィンガープリントをプロセッサ210が判定するトレーニングモードに入ろうとしていること、及び、主無線122をイネーブルにするために後続の使用のためにフィンガープリントを受け取りメモリ227に格納しようとしていることをプロセッサ210に示すために用いられ得る。別の例において、ユーザがIoTデバイス120の外部のコンピュータシステム上に実装されたグラフィカルユーザインターフェースを介して1つ又はそれ以上のフィンガープリント229をプログラムし、外部コンピュータシステムに、メモリ227に格納するためにIoTデバイスにフィンガープリントを送信させることができる。
【0018】
図3は、IoTデバイス(例えば、IoTデバイス120)によってRFフィンガープリンティングを用いて送信機を検証するために実施される方法の例を図示する。IoTデバイスは、306において、他の送信機と通信し、308において、送信機のフィンガープリントを判定し、格納する。上述のようなフィンガープリント技法を用いることができる。IoTデバイスの主無線122は、工程306及び308の間、起動状態であり得、フィンガープリントの判定のために送信機からIoTデバイスのプロセッサ210に信号を提供するために用いられ得る。プロセッサ210は、フィンガープリントをメモリ227に格納し得る。
【0019】
310において、主無線122は、低電力状態(例えば、スリープ、休止状態等)に遷移される。一例において、プロセッサ210は、送信機から受け取った要求に応答するための主無線の使用に続いて、低電力状態に遷移するための信号を主無線122に送る。別の例において、プロセッサ210は、主無線122が用いられていない期間中にタイマーがタイムアウトすると、低電力状態に遷移するための信号を主無線122に送る。
【0020】
320において、フィンガープリンティングウェイクアップ無線(これはオンであり動作可能なままである)は、ワイヤレス信号を受信し始める。受信されたワイヤレス信号は、有効又は無効な送信機からのものであり得る。ワイヤレス信号が有効な送信機からのものである場合、主無線122は、より高い電力(動作可能)状態に遷移されるべきであるが、そのワイヤレス信号が有効な送信機からのものでない場合、主無線122は、より高い電力状態に遷移されるべきではなく、そのため低電力状態のままであるべきである。上述のように、有効な送信機とは、IoTデバイスがペアリングされ、IoTデバイスが通信すべき送信機である。320において受信されたワイヤレス信号は、IEEE 802.11メッセージのプリアンブルの受信を含み得る。主無線122をより高い電力状態に遷移させることは、主無線への電力をオンにすること、主無線への動作電圧を増加させること、より高い周波数で主無線をクロッキングすること等の1つ又はそれ以上を含み得る。
【0021】
330において、この方法は、受信したワイヤレス信号から特徴を抽出することを含む。一例において、抽出された特徴は、上記で説明したように、受信したワイヤレス信号のPSDの計算を含む。フィンガープリンティングウェイクアップ無線126は、受信したワイヤレス信号のPSDを計算し得る。
【0022】
340において、この方法は、抽出された特徴が、IoTデバイス120内のメモリ229に格納された任意の特徴に一致するかどうかを判定することを含む。一実装では、フィンガープリンティングウェイクアップ無線126がこの判定を行う。別の例において、フィンガープリンティングウェイクアップ無線126は、抽出された特徴をプロセッサ210に提供し、プロセッサ210は、抽出された特徴をメモリ227に格納された特徴と比較する。いずれの場合も、新たに抽出された特徴と、メモリ227に以前に格納された任意の特徴との比較が行われる。抽出された特徴及びメモリ227に格納された特徴は、例えばワイヤレスパケットのプリアンブルのPSDを含み得る。
【0023】
350において、抽出された特徴がメモリ227に格納された如何なる特徴とも一致しない場合、主無線122の電力状態は低電力状態のままである。従って、主無線122は起動されない。
【0024】
360において、抽出された特徴がメモリ227に格納された少なくとも1つの特徴と一致する場合、主無線は、起動され、受信信号を復号し続ける。一例において、フィンガープリンティングウェイクアップ無線126は、一致を判定し、信号をプロセッサ210に送って主無線122を起動させる。別の例において、フィンガープリンティングウェイクアップ無線は、330において、ワイヤレス信号から特徴を抽出し、その特徴をプロセッサ210に提供し、プロセッサ210は、一致が存在することを判定し、(例えば、イネーブル信号を主無線122に提供することによって)主無線122をより高い電力状態に遷移させるように命令する。主無線122がより高い電力状態に遷移すると、主無線は、入来ワイヤレス信号を受信し続け、更なる処理のためにそのような信号をプロセッサ210に提供する。より高い電力状態にある間、主無線122は、データ(例えば、センサデータ)を送信するためにも用いられ得る。
【0025】
「結合する」という用語は本明細書全体を通じて用いられている。この用語は、この説明と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが或る行為を行なうためにデバイスBを制御するための信号を生成する場合、第1の例において、デバイスAはデバイスBに結合されるか、又は第2の例において、介在構成要素CがデバイスAとデバイスBとの間の機能関係を実質的に変化させない場合にデバイスBがデバイスAによって生成される制御信号を介してデバイスAによって制御されるように、デバイスAが介在構成要素Cを介してデバイスBに結合される。
【0026】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。

図1
図2
図3
【国際調査報告】