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特表2023-526785磁気抵抗素子を備える磁気センサ及びそのような磁気センサをプログラミングするシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】磁気抵抗素子を備える磁気センサ及びそのような磁気センサをプログラミングするシステム
(51)【国際特許分類】
   H10N 50/10 20230101AFI20230616BHJP
   H10N 50/01 20230101ALI20230616BHJP
   H10N 50/80 20230101ALI20230616BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
H10N50/10 Z
H10N50/01
H10N50/80 Z
G01R33/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569043
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2021054647
(87)【国際公開番号】W WO2021240432
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】20315270.7
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509096201
【氏名又は名称】クロッカス・テクノロジー・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ティモフィーエフ・アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ストレルコフ・ニキータ
(72)【発明者】
【氏名】チルドレス・ジェフリー
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AD55
5F092AA20
5F092AB01
5F092AC12
5F092BB16
5F092BC03
5F092CA23
5F092EA06
5F092EA10
(57)【要約】
本開示は、複数の磁気抵抗効果素子(1)を備える磁気センサ(10)に関する。しきい値温度以上で配向可能な磁化(210)を有する強磁性層(21)を備える各磁気抵抗効果素子と、磁気センサは、電磁放射(70)によって照射されるプラズモニック構造(5)をさらに備え、金属構造(51)の空間周期プラズモニックアレイ(50)を備える。プラズモニックアレイの周期及び金属構造の横方向の寸法は、電磁放射(70)の所与の波長に対するプラズモニック構造のプラズモン共鳴を得るべく調整される。プラズモニックアレイは、第1強磁性層をしきい値以上の温度で加熱するような磁気センサに配置され、プラズモン共鳴による電磁波放射の吸収を増強する。本開示はさらに、電磁放射を放射するように構成されたセンサ及び放射装置(7)を備えるシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁気抵抗素子(1)を備える磁気センサ(10)であって、
各前記磁気抵抗素子(1)が、プログラミング動作中に第1強磁性層(21)が高温しきい値にあるときに第1磁化(210)を切り替え可能に、しきい値温度未満で固定され、しきい値温度以上で自由である第1磁化(210)を有する第1強磁性層(21)を備えるMTJ(2)を備え、
前記磁気センサ(10)は、電磁放射(70)によって照射されるようになっているプラズモニック構造(5)をさらに備え、
前記プラズモニック構造(5)は、金属構造(51)の空間的に周期的なプラズモニックアレイ(50)を備え、
前記プラズモニックアレイ(50)の周期及び前記金属構造(51)の横方向寸法(d)は、前記電磁放射(70)の所与の波(λ)に対して前記プラズモニック構造(5)のプラズモン共鳴を得るように調整され、ここにおいて、
前記プラズモニックアレイ(50)が、プラズモン共鳴による前記電磁放射(70)の増強された吸収から、前記第1強磁性層(21)を前記しきい値温度以上に加熱するように前記磁気センサ(10)内に配置されている、
複数の磁気抵抗素子(1)を備える磁気センサ(10)において、
前記磁気センサ(10)は、複数のセンサ支部(40)のアレイを備え、各センサ支部が複数の磁気抵抗素子(1)を備えていることと、
前記プラズモニック構造(5)は、複数のプラズモニック副アレイ(52)を備え、各プラズモニック副アレイ(52)は、金属構造(51)の周期的アレイを備えて前記センサ支部(40)と交互に配置されていることと
を特徴とする、磁気センサ。
【請求項2】
前記プラズモニックアレイ(50)の前記期間及び前記金属構造(51)の前記横方向寸法(d)は、前記電磁放射(70)の所与の波(λ)に対して前記プラズモニック構造(5)のプラズモン共鳴を得るように調整されている、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記MTJ(2)は、前記磁気センサ(10)のフロントエンド回路(80)と上面(28)との間にあって、かつ
前記プラズモニック構造(5)は、前記上面(28)と前記フロントエンド回路(80)との間に設けられている
請求項1又は2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記磁気抵抗素子(1)は、前記MTJ(2)と前記上面(28)との間に上部金属接続層(MCT)を備えて、かつ
前記プラズモニック構造(5)は、前記上部金属接続層(MCT)の平面内に設けられている、請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記磁気抵抗素子(1)は、前記MTJ(2)と前記フロントエンド回路(80)との間に下部金属接続層(MCB)を備え、
前記プラズモニック構造(5)は、前記下部金属接続層(MCB)の平面内に設けられている、請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記プラズモニック構造(5)は、誘電体層(27)に埋め込まれていて、
前記プラズモニックアレイ(50)の周期と前記金属構造(51)の横方向寸法(d)とは、前記電磁放射(70)の波長(λ)と前記誘電体層(27)の屈折率との所与の比に対して、前記プラズモニック構造(5)のプラズモン共鳴が得られるように調整されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記プラズモニック構造(5)は、少なくとも、第1プラズモニック副アレイ(52a)と、前記電磁放射(70)の偏波又は波長(λ)に関して前記第1プラズモニック副アレイ(52a)とは異なる共鳴応答を有する第2プラズモニック副アレイ(52b)とを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記プラズモニック構造(5)は、前記電磁放射(70)の吸収を調整するように構成された補助プラズモニック構造(53)をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記補助プラズモニック構造(53)は、金属構造の空間的に周期的な配置又は連続的な金属層を備える、請求項8に記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記補助プラズモニック構造(53)及び前記プラズモニックアレイ(50)は、前記磁気抵抗素子(1)と前記上面(28)との間にある請求項3、8、9のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気センサと、
前記磁気センサ(10)の照射領域(71)を照射し、前記プラズモニック構造(5)のプラズモン共鳴を生成するように適合された波長(λ)を有する電磁放射(70)を放出するように構成された電磁放射放出装置(7)とを備える、システム。
【請求項12】
照射領域(71)は、少なくとも1つの磁気抵抗素子(1)を取り囲んでいる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記電磁放射線放出装置(7)は、集束された電磁放射(70)を前記磁気センサ(10)の前記照射領域(71)に向けるレーザ放出装置を備える、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記電磁放射放出装置(7)は、前記照射領域(71)によって取り囲まれた前記1つ又は複数の磁気抵抗素子(1)を選択的に加熱するように、前記磁気センサ(10)の前記表面(28)上で移動可能である、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記プラズモニック構造(5)は、少なくとも、第1プラズモニック副アレイ(52a)と、前記電磁放射(70)の偏波又は波長(λ)に関して前記第1プラズモニック副アレイ(52a)とは異なる共鳴応答を有する第2プラズモニック副アレイ(52b)とを備え、かつ
前記電磁放射(70)の、前記波長と前記偏波との少なくとも一方は、前記第1プラズモニック副アレイ又は第2プラズモニック副アレイ(52a、52b)のうちの1つの共鳴条件に対応するように調整可能である、請求項11から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記プラズモニックアレイ(50)は、2つの隣り合う金属構造(51)間の距離(L)が実質的に等しい二次元格子を備え、前記プラズモニックアレイ(50)は、正方格子、矩形格子、六方格子、又は菱形格子のうちのいずれか1つを備える、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗素子を備える磁気センサ、及びそのような磁気センサをプログラミングするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気トンネル接合(MTJ)技術に基づく磁気センサは、感度、ダイサイズなどのいくつかの必須の変数で、GMR、AMR、及びホール効果センサより性能が優れている。TMRセンサの完全な性能は、対角枝が同じ方向にプログラムされ、各ハーフブリッジを構成する対角枝が反対方向にプログラムされるホイートストンブリッジ構成で達成できる。そのため、ホイートストンブリッジ構成は、異なる磁場の方向下の異なるセンサ分岐部ごとに一連のプログラミングを要求する。
【0003】
他の技術の中でも、レーザープログラミングは、マイクロメートルのサイズのスポットに高エネルギー密度を送達するのに有効なツールである。別の利点は、ウェハ全体を数十分でプログラムできることである。これら全ては、最終製品の費用に直接影響を及ぼし、したがって、市場におけるその成功を少なくとも部分的に決めている。
【0004】
しかしながら、レーザープログラミングの有効性は、完全なセンサレイアウト設計に強く依存する。通常のトンネル磁気抵抗(TMR)センサは、特定の直列対並列比で接続されたMTJを積み重ねたアレイを備える。金属層は、MTJアレイ内の内部接続部品(インターコネクタ)として機能するとともに、外周への電気リードとしても機能し、したがって、MTJスタックをレーザビームへの直接露光から部分的に又は完全に隠す。また、金属は、可視領域、近赤外領域での吸収が少ないため、全ての金属層がレーザエネルギーを吸収するのではなく反射するミラーとして作用する。
これは、エネルギーの吸収をセンサ領域にわたって不均一にし(第1近似では、それは金属の表面密度に依存する)、非常に非効率的にする。
【0005】
特許文献1(US2011111133)は、特定のサイズ、形状、向き、及び材料のプラズモン発生層を製作物上に形成し、それからプラズモン発生層によって最適に吸収されてその中にプラズモンを発生させるような波長及び偏波の電磁放射を形成物に照射することによって、ウェハレベル製作物の部分を選択的に加熱できる方法を開示している。
その結果、生成されたプラズモンは熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーは、プラズモン生成層が熱接触を有する製作物の部分に伝達される。
【0006】
特許文献2(US2015132503)は、近接場変換器を形成する方法を開示している。この方法は、プラズモン材料を堆積させることと、プラズモン材料をレーザアニールすることを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/111133号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/132503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラズモン共鳴は、開発されてマイクロメートルからサブマイクロメートルのテクスチャ(表面状態)を有する金属構造において生じる周知の確立された効果であり、この効果は、実験室環境を克服し、実生活の用途、すなわち、高保磁力記録媒体の熱支援プログラミング、光感知のための絶対又は選択的吸収層、金属上のレーザカラー印刷などに採用されている。
プラズモニック構造における共鳴吸収は、素子のサイズ、それらの形状、及びそれらの相対距離のような表面状態の特性寸法の設計によって、レーザビーム偏波及びその波長に調節してよい。
【0009】
本開示は、複数の磁気抵抗素子を備える磁気センサに関する。
各磁気抵抗素子は、しきい値温度を超える外部磁場に従って切り替え可能な第1磁化を有する第1強磁性層を備えるMTJを備える。
【0010】
磁気センサは、電磁放射によって照射されるようになっているプラズモニック構造をさらに備える。プラズモニック構造は、金属構造の空間的に周期的なプラズモニックアレイを備え、プラズモニックアレイの周期及び金属構造の横方向寸法は、電磁放射の所与の波長についてプラズモニック構造のプラズモン共鳴が得られるように調整される。プラズモニックアレイは、プラズモン共鳴による電磁放射の強化された吸収から、第1強磁性層をしきい値温度で加熱するように、磁気センサ内に配置される。
【0011】
磁気センサはセンサ支部のアレイを備え、各センサ支部は複数の磁気抵抗素子を備える。
プラズモニック構造は、複数のプラズモニック副アレイを備え、各プラズモニック副アレイは、金属構造の周期的なアレイを備え、センサ支部と交互に配置される。
【0012】
本開示はさらに、磁気センサと、磁気センサの照射領域を照射し、プラズモニック構造のプラズモン共鳴を生成するように適合された波長を有する電磁放射を放出するように構成された電磁放射放出装置とを備えるシステムに関する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に開示される磁気センサは、電磁放射を使用することによってプログラムされ、MTJにおける光エネルギーの効率的な吸収を提供できる。
光エネルギーの吸収に異なる金属層を使用できて、光エネルギーの吸収もより均一である。
【0014】
本発明は、例として与えられ、図面によって例示される実施形態の説明を用いてよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は一実施形態による、複数の磁気抵抗素子とプラズモニック構造とを備える磁気センサの側面図である。
図2図2は、一実施形態による、1つ分離された磁気抵抗素子の側面図を示す。
図3図3は、シリコンベースのCMOSフロントエンド回路上の1つのMTJを示す磁気センサのトポロジーを表す。
図4図4aは、一実施形態による、矩形形状の金属構造(図4a)を示す。
図4b図4bは、一実施形態による、円盤形状の金属構造(図4b)を示す。
図4c図4cは、一実施形態による、楕円形状の金属構造(図4c)を備える周期的なプラズモニックアレイを示す。
図5図5は、一実施形態による、磁気抵抗素子の上部及び上部金属接続層の上部に位置するプラズモニック構造を示す。
図6図6は、一実施形態による、上部金属接続層のレベルに位置するプラズモニック構造を備える磁気センサの配置の上面図を示す。
図7図7は、一実施形態による、プラズモニックアレイと補助プラズモニック構造とを備えるプラズモニック構造を示す図である。
図8図8は、一実施形態による、プラズモニック構造が第1プラズモニック副アレイと第2プラズモニック副アレイとを備える磁気センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、一実施形態による、複数の磁気抵抗素子1を備える磁気センサ10の側面図を示す。図2は、一実施形態による、1つ分離された磁気抵抗素子1の側面図を示す。
【0017】
図2に示されるように、磁気抵抗素子1は、第1磁化210を有する第1強磁性層21と、第1磁化210に対して切り替えられる第2磁化230を有する第2強磁性層23とを備える磁気トンネル接合(MTJ)2を備えてよい。第1強磁性層21と第2強磁性層23との間には、トンネル障壁層22が設けられている。第1磁化210は、MTJ2がブロッキング温度、ネール温度、又は別のしきい値温度などのしきい値温度以上の温度に加熱されたときに、外部磁場に従ってスイッチング可能であり得る。第1磁化210は、しきい値温度未満の温度で固定される。しきい値温度は、150℃又は200℃を超えるか、もしくは少なくとも磁気抵抗素子1の通常の使用条件の温度を超えられる。しきい値温度未満では、第1磁化210は固定され、その方向は、磁気抵抗素子1の通常の使用条件に対応する温度及び外部磁界に対して安定したままである。
【0018】
MTJ2は、第1強磁性層21の隣りにある、反強磁性層などのピン止め層24をさらに備えてよい。ピン止め層24は、しきい値温度よりも低い温度での交換結合によって、第1磁化210をピン止め方向に沿ってピン止めする。ここで、しきい値温度は、ネール温度に近く、同時に、反強磁性層24の反強磁性材料のブロッキング温度を超える温度に対応できる。
【0019】
図1に示すように、磁気抵抗素子1は、誘電体層27に埋め込んでよい。
【0020】
図3は、上面28、上部金属接続層MCT、第1電流線3、MTJ2、第2電流線4、及びシリコンベースの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)フロントエンド回路80を示す磁気センサ10のトポロジーを表す。
【0021】
磁気抵抗素子1は、書き込み及び読み出し機能の提供に金属導体をさらに備えてもよい。図3の例では、第1電流線3は、磁気抵抗素子1に電気的に結合できる。
第2電流線4は、第1電流線3に対して実質的に垂直(又は平行)に延在し、磁気抵抗素子1に磁気的に結合され得る。磁気抵抗素子1は、さらに、磁気抵抗素子1に電気的に接続された選択トランジスタ(図示せず)を備えてよい。磁気抵抗素子1は、金属ビアVMによってMTJ2に接続された、MTJ2の上の上部金属接続層MCTと、MTJ2の下の下部金属接続層MCBとをさらに備えてよい。上部金属接続層MCTは、下部金属接続層MCBを電気的に接続し、下部金属接続層MCBは、フィールド線として使用され得る。
【0022】
磁気抵抗素子1は、電磁放射放出装置7から放出された電磁放射70のエネルギー吸収を強化及び局所化するように構成されたプラズモニック構造5をさらに備える。
【0023】
一態様では、プラズモニック構造5は、金属構造51の空間的に周期的なプラズモニックアレイ50を備える。図4aから図4cに示すように、周期的なプラズモニックアレイ50は、矩形形状の金属構造51(図4a)、円盤形状の金属構造51(図4b)又は楕円形状の金属構造51(図4c)の空間的に周期的な配置を備えてよい。金属構造51のその他の形状も考慮してよい。
【0024】
プラズモニックアレイ50に備わる金属構造51は、全て実質的に同じ形状でよいが、プラズモニックアレイ50は、異なる形状を有する金属構造51を備えてもよい。
プラズモニック構造の原理
【0025】
磁気センサ10のプログラミング動作中、第1磁化210は、初期の向きからプログラムされた向きに切り替えられる。プログラムされた配向は、外部磁場の方向に従って任意の方向であり得る。プログラミング動作は、磁気センサ10内のすべての磁気抵抗素子1又は磁気抵抗素子1の選択されたサブアンサンブルに対して実行できる。
【0026】
プログラミング動作中、電磁放射放出装置7によって放出された電磁放射線70は、磁気センサ10の照射領域71を照射する。図1に示されるように、照射領域71は、2つの隣り合う磁気抵抗素子1を取り囲む表面領域を覆える。しかしながら、照射領域71は、単一の磁気抵抗素子1、磁気抵抗素子1のサブアンサンブル、又は磁気センサ10内のすべての磁気抵抗素子1を取り囲む表面領域を覆える。
【0027】
電磁放射70の波長でのプラズモニック構造5のプラズモン共鳴の条件において、プラズモニック構造5は、電磁放射70の強化された吸収を提供する。その結果、照射領域71において、プラズモニック構造5は、強化された熱発生を提供する。増強された熱は、照射領域71内の選択された磁気抵抗素子1に伝達され、選択された磁気抵抗素子1の第1強磁性層21がしきい値温度以上に加熱されることを可能にする。増強された加熱は、照射された領域71においてのみ生じるので、磁気センサ10の選択的かつマスクフリーのプログラミングが達成可能である。
【0028】
プラズモニック構造5はさらに、照明領域71内に均一な熱生成を提供できる。
【0029】
放射放出装置7は、集束レーザビーム70を磁気センサ10の照射領域71に向けるレーザー放出装置を備えてもよい(図1参照)。レーザビーム70の集束は、固浸レンズなどの近接場光学素子を使用することによって達成できる。
金属構造のアレイの配置
【0030】
周期的なプラズモニックアレイ50内の金属構造51の配置は、電磁放射70の波長でプラズモン共鳴を得るように最適化できる。これは、金属構造51の横方向寸法d及び金属構造51の周期的配置を変化させることによって達成できる。プラズモニックアレイ50は、2つの隣り合う金属構造51の間に実質的に等しい距離Lを有する2次元格子を備えてよい。プラズモニックアレイ50は、金属構造51の正方格子(図4に示す)、矩形格子、六方格子もしくは菱形格子、又は任意の他のタイプの格子のうちのいずれか1つを備えてよい。
【0031】
例えば、周期的なプラズモニックアレイ50内の2つの隣り合う金属構造51間の距離Lは、電磁放射70(サブ波長プラズモニックアレイ50)の波長以下であるべきである。
金属構造51の横方向の寸法dは、電磁放射70の波長よりも小さくなければならない(サブ波長金属構造51)。
【0032】
共鳴条件下では、すなわち、電磁放射70の波長が金属構造51のプラズモン共鳴と一致する場合には、金属構造51における電力吸収を少なくとも1桁増加可能である。
共鳴条件下では、照射領域71内の熱発生は、プラズモン共鳴を伴わない熱発生の最大9倍に到達できる。
プラズモニック構造の位置
【0033】
プラズモニック構造5は、照射領域71においてプラズモニック構造5によって吸収された熱をMTJ2に伝達可能であり、それによって参照磁化atを高温しきい値としてよいように、あるように磁気センサ10内に配置されるべきである。ここで、磁気抵抗素子1の近くとは、50nmから5000nmの距離を備えてよい。
【0034】
プラズモニック構造5はさらに、放射放出装置7によって容易に照射されるように、磁気センサ10内に配置されるべきである。理想的には、プラズモニック構造5は、金属接続層又はプラズモン共鳴に関与しない他の構造によって、放射放出装置7からマスクされるべきではない。
【0035】
一実施形態では、プラズモニック構造5は、磁気センサ10の上面28とMTJ2の少なくとも1つとの間に設けられる。
【0036】
図5は、図4のトポロジー表現の部分図を示す。図5に示す例では、プラズモニック構造5は、上面28と上部金属接続層MCTとの間に設けられる。プラズモニック構造5は、誘電体層27に埋め込んでよい。誘電体層27は、電磁放射70に対して光学的に透明であるべきである。誘電体層27は、二酸化ケイ素SiO、窒化ケイ素SiNなどの誘電体材料を含有してよい。
【0037】
プラズモニック構造5が磁気抵抗素子の上に配置されている図5の構成の利点は、プラズモニック構造5がより高いレベルの金属層によって陰にならないことである。
【0038】
金属構造51の横方向の寸法は、電磁放射70の波長と誘電体層27の屈折率との比、すなわち誘電体層27における電磁放射70の波長λ、又はこの比の分数にほぼ対応できる。
【0039】
例えば、誘電体層27が窒化ケイ素(SiN)を含む場合、放出された電磁放射線70の1064nmの入射波λは、誘電体層27内で減少し、SiNλ内の波は、入射波λを屈折率SiNλ/1.885=564nmで除算したものに等しい。したがって、金属構造50の横方向の寸法は、SiNλ半波長に実質的に等しくてもよく、2つの隣り合う金属構造50間の間隔Lは、SiNλの半波長に実質的に等しくてもよい。
【0040】
別の実施形態では、プラズモニック構造5は、上部金属接続層MCTのレベル(センサ高さ方向で同じ高さ)に配置される。
【0041】
図6は、上部金属接続層MCTのレベルに、すなわち上部金属接続層MCTの平面内に位置するプラズモニック構造5を備える磁気センサ10の構成の上面図を示す。磁気センサ10は、センサ支部40のアレイを備え、各センサ支部40は、複数の相互接続された磁気抵抗素子1を備える。プラズモニック構造5は、複数のプラズモニック副アレイ52を備えてよく、各プラズモニック副アレイ52は、金属構造51の周期的アレイを備える。各プラズモニック副アレイ52は、センサ支部40と交互に配置できる。
【0042】
一態様では、プラズモニック副アレイ52は、センサ支部40の幅Wの2倍の幅Wを有する。言い換えると、プラズモニック副アレイ52によって占有される表面積は、2つのセンサ支部40の表面積に対応する。各プラズモニック副アレイ52のプラズモン共鳴は、金属構造51のアレイの周期性と、金属構造51の横方向寸法dとに依存する。
【0043】
一例では、プラズモニック副アレイ52の幅は約5.0μmであり、金属構造51の横寸法dは約0.4μmである。しかしながら、センサ支部40に対するプラズモニック副アレイ52の他の配置も考えられる。
【0044】
プラズモニック構造5の他の配置も可能であり、例えば、プラズモニック構造5は、第2電流線4又は金属接続層MCBのレベルなど、金属層のいずれか1つの(平面内の)レベルに配置可能である。このような配置は、上述したように、センサ支部40と交互に配置された複数のプラズモニック副アレイ52を備えてもよい。
【0045】
プラズモニック構造5が上部金属接続層MCT、下部金属接続層MCB又は他の金属接続層もしくは金属ビアの平面内に設けられる磁気センサ10の構成は、磁気センサ10内の面積当たりの磁気抵抗素子1の密度を低下させることになり得る。実際に、磁気センサ10の利用可能な表面積は、プラズモニック構造5によって占有される表面積と磁気抵抗素子1によって占有される表面積との間で共有されなければならない。
【0046】
共鳴周波数は、上部金属接続層MCTのレベルに位置し、図6に示す構成に従って配置されたプラズモニック構造5についてモデル化された。共鳴周波数は、矩形形状(図4a参照)、円盤形状(図4b参照)を有する金属構造51の空間的に周期的な配置に対してモデル化された。共鳴周波数は、金属構造51の複数の横方向寸法d及び2つの隣り合う金属構造51間の複数の距離Lに対してモデル化された。
【0047】
表1は、上部金属接続層MCTのレベルに位置するプラズモニック構造5のモデル化から得られたプラズモニック共鳴値を報告する。モデル化は、500nmから700nmの間の距離Lだけ離間され、200nmから300nmの間の横寸法dを有する矩形(sq)及び円盤形(circ)の金属構造51を持つプラズモニックアレイ50に対して行われた。
【表1】
【0048】
表2は、底部金属接続層MCBのレベルに位置するプラズモニック構造5のモデリングから得られたプラズモニック共鳴値を報告する。モデリングは、500nmから880nmの間の距離Lだけ離され、200nmから400nmの間の横寸法dを有する矩形(sq)及び円盤形(circ)の金属構造51を有するプラズモニックアレイ50に対して行われた。
【0049】
シミュレーションは、共鳴吸収が、金属構造51とその下の金属層の両方で、例えば、金属構造51と上部金属接続層MCTの両方で、又は金属構造51と下部金属接続層MCBの両方で起こり得ることを示している。
【0050】
磁気センサ10内のプラズモニック構造5の構成及び位置に応じて、放出装置7によって放出される電磁放射70の屈折率は、20%未満に低下する可能性がある。
周波数はレーザー波長1064nmに対応する。
【表2】
【0051】
プラズモニック構造5の他の構成を考慮してよい。例えば、プラズモニック構造5は、上部金属接続層MCTのレベルに配置してよい。そして金属構造51は、400nmから700nmの間の距離Lだけ離してもよく、200nmから300nmの間の横方向寸法dを持ってよい。
【0052】
別の構成では、プラズモニック構造5は、底部金属接続層MCBのレベルに配置してよい。そして金属構造51は、500nmから900nmの距離Lだけ離してよく、200nmから400nmの横方向寸法dを持ってよい。
【0053】
さらに別の構成では、プラズモニック構造5は、MTJ2の下の第2電流線4のレベルに位置し、金属構造51は、450nmから850nmの間の距離Lだけ離され、200nmから450nmの間の横寸法dを持ってよい。
【0054】
矩形状及び円盤形状の金属構造51を備えるプラズモニックアレイ50について、シミュレーションは、共鳴周波数が横寸法d及び隣り合う金属構造51間の距離Lによって決定されることを示した。
【0055】
さらに別の構成では、金属構造51は、楕円形状であってよい(図4c)。楕円形金属構造51を備えるプラズモニック構造5について、シミュレーションは、共鳴周波数が楕円形金属構造51の長軸(a)及び短軸(b)によって決定されることを示した。楕円形金属構造51は、それぞれ、230nmから470nmの間の長軸と、470nmから230nmの間の短軸とを持ってよい。
【0056】
プラズモニック構造5の他の構成を考慮してよい。図7に示す実施形態では、プラズモニック構造5は、プラズモニックアレイ50と、電磁放射エネルギーの吸収を調整するように構成された補助プラズモニック構造53とを備える。言い換えると、共鳴条件下では、プラズモニックアレイ50と補助プラズモニック構造53とは、それらの間の電磁結合のために同時に共鳴する。補助プラズモニック構造53は、3倍以上の電力吸収の増幅をもたらし得る。プラズモニックアレイ50は、補助プラズモニック構造53と電磁放射放出装置7との間に備えられてよい。補助プラズモニック構造55は、金属構造の空間的に周期的な配置又は連続的な金属層を備えてよい。
【0057】
図8に示すさらに別の実施形態では、プラズモニック構造5は、少なくとも第1プラズモニック副アレイ52aと第2プラズモニック副アレイ52bとを備える。第1プラズモニック副アレイ52aは、プラズモン共鳴によって生成された熱を磁気センサ10の磁気抵抗素子1の第1サブセットに伝達するように構成され、第2プラズモニック副アレイ52bは、プラズモン共鳴によって生成された熱を磁気抵抗素子1の第2サブセットに伝達するように構成される。図8では、第1サブセットは、磁気抵抗素子1を備える2つのセンサ支部40として表され、第2サブセットは、1つのそのような支部40を備える。
プラズモニック副アレイ及びサブセットの数と同様に、サブセットの他の構成も考慮されるべきである。
【0058】
プラズモニック副アレイ52a、52bは、磁気抵抗素子1の上部及び上部金属接続層MCTの上部に配置できる。
【0059】
少なくとも第1プラズモニック副アレイ52aは、電磁放射70の偏波又は波長λに関して、第2プラズモニック副アレイ52bとは異なる共鳴応答を持つ。
【0060】
電磁放射放出装置7によって放出される電磁放射70の波長と偏波の少なくとも一方は、プラズモン共鳴が第1又は第2プラズモニック副アレイ52a、52bのうちの一方に対してのみ生じるように、第1プラズモニック副アレイ52a又は第2プラズモニック副アレイ52bのうちの一方の共鳴条件に対応するように調整できる。したがって、共鳴プラズモニック副アレイ52a又は52bに対応するセンサ支部40のみが、高温しきい値で加熱される。
【0061】
この後者の構成は、磁気センサ10全体が完全に照明される場合に、照射光線のウィンドウ化のためのマスクを必要とすることなく、センサ支部40の選択的プログラミングを可能にする。照射領域(71)によって囲まれた1つ又はいくつかの磁気抵抗素子1を選択的に加熱するように、(レーザーのような)電磁放射放出装置7磁気センサ10の上面28の上で移動可能なので、位置決めの制約も少なくなる。
【符号の説明】
【0062】
1 磁気抵抗効果素子
10 MRAMベースのセンサ
2 磁気トンネル接合
21 参照層
210 参照磁化
22 トンネル障壁層
23 センス層
230 センス磁化
24 ピン止め層
27 誘電体層
28 上面
3 第1電流線
4 第2電流線
40 センサ支部
5 プラズモニック構造
50 プラズモニックアレイ
51 金属構造
52 プラズモニック副アレイ
53 補助プラズモニック構造
7 電磁放射線放出装置
70 電磁放射
71 照射領域
80 フロントエンド回路
λ 波長
d 横寸法
L 距離
MCB 底部金属接続層、フィールド線
MCT 上部金属接続層
VM 金属ビア
プラズモン下部構造の幅
センサ支部の幅
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気抵抗素子を備える磁気センサ、及びそのような磁気センサをプログラミングするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気トンネル接合(MTJ)技術に基づく磁気センサは、感度、ダイサイズなどのいくつかの必須の変数で、GMR、AMR、及びホール効果センサより性能が優れている。TMRセンサの完全な性能は、対角枝が同じ方向にプログラムされ、各ハーフブリッジを構成する対角枝が反対方向にプログラムされるホイートストンブリッジ構成で達成できる。そのため、ホイートストンブリッジ構成は、異なる磁場の方向下の異なるセンサ分岐部ごとに一連のプログラミングを要求する。
【0003】
他の技術の中でも、レーザープログラミングは、マイクロメートルのサイズのスポットに高エネルギー密度を送達するのに有効なツールである。別の利点は、ウェハ全体を数十分でプログラムできることである。これら全ては、最終製品の費用に直接影響を及ぼし、したがって、市場におけるその成功を少なくとも部分的に決めている。
【0004】
しかしながら、レーザープログラミングの有効性は、完全なセンサレイアウト設計に強く依存する。通常のトンネル磁気抵抗(TMR)センサは、特定の直列対並列比で接続されたMTJを積み重ねたアレイを備える。金属層は、MTJアレイ内の内部接続部品(インターコネクタ)として機能するとともに、外周への電気リードとしても機能し、したがって、MTJスタックをレーザビームへの直接露光から部分的に又は完全に隠す。また、金属は、可視領域、近赤外領域での吸収が少ないため、全ての金属層がレーザエネルギーを吸収するのではなく反射するミラーとして作用する。
これは、エネルギーの吸収をセンサ領域にわたって不均一にし(第1近似では、それは金属の表面密度に依存する)、非常に非効率的にする。
【0005】
特許文献1(US2011111133)は、特定のサイズ、形状、向き、及び材料のプラズモン発生層を製作物上に形成し、それからプラズモン発生層によって最適に吸収されてその中にプラズモンを発生させるような波長及び偏波の電磁放射を形成物に照射することによって、ウェハレベル製作物の部分を選択的に加熱できる方法を開示している。
その結果、生成されたプラズモンは熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーは、プラズモン生成層が熱接触を有する製作物の部分に伝達される。
【0006】
特許文献2(US2015132503)は、近接場変換器を形成する方法を開示している。この方法は、プラズモン材料を堆積させることと、プラズモン材料をレーザアニールすることを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/111133号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/132503号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラズモン共鳴は、開発されてマイクロメートルからサブマイクロメートルのテクスチャ(表面状態)を有する金属構造において生じる周知の確立された効果であり、この効果は、実験室環境を克服し、実生活の用途、すなわち、高保磁力記録媒体の熱支援プログラミング、光感知のための絶対又は選択的吸収層、金属上のレーザカラー印刷などに採用されている。プラズモニック構造における共鳴吸収は、素子のサイズ、それらの形状、及びそれらの相対距離のような表面状態の特性寸法の設計によって、レーザビーム偏波及びその波長に調節してよい。
【0009】
本開示は、複数の磁気抵抗素子を備える磁気センサに関する。
各磁気抵抗素子は、しきい値温度を超える外部磁場に従って切り替え可能な第1磁化を有する第1強磁性層を備えるMTJを備える。
【0010】
磁気センサは、電磁放射によって照射されるようになっているプラズモニック構造をさらに備える。プラズモニック構造は、金属構造の空間的に周期的なプラズモニックアレイを備え、プラズモニックアレイの周期及び金属構造の横方向寸法は、電磁放射の所与の波長についてプラズモニック構造のプラズモン共鳴が得られるように調整される。プラズモニックアレイは、プラズモン共鳴による電磁放射の強化された吸収から、第1強磁性層をしきい値温度で加熱するように、磁気センサ内に配置される。
【0011】
磁気センサはセンサ支部のアレイを備え、各センサ支部は複数の磁気抵抗素子を備える。プラズモニック構造は、複数のプラズモニック副アレイを備え、各プラズモニック副アレイは、金属構造の周期的なアレイを備え、センサ支部と交互に配置される。
【0012】
プラズモニック構造は、少なくとも、第1プラズモニック副アレイと、偏波及び波長に関して第1プラズモニック副アレイと異なる共鳴応答を持つ第2プラズモニック副アレイを備える。
【0013】
本開示はさらに、磁気センサと、磁気センサの照射領域を照射し、プラズモニック構造のプラズモン共鳴を生成するように適合された波長を有する電磁放射を放出するように構成された電磁放射放出装置とを備えるシステムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本明細書に開示される磁気センサは、電磁放射を使用することによってプログラムされ、MTJにおける光エネルギーの効率的な吸収を提供できる。光エネルギーの吸収に異なる金属層を使用できて、光エネルギーの吸収もより均一である。
【0015】
本発明は、例として与えられ、図面によって例示される実施形態の説明を用いてよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は一実施形態による、複数の磁気抵抗素子とプラズモニック構造とを備える磁気センサの側面図である。
図2図2は、一実施形態による、1つ分離された磁気抵抗素子の側面図を示す。
図3図3は、シリコンベースのCMOSフロントエンド回路上の1つのMTJを示す磁気センサのトポロジーを表す。
図4図4aは、一実施形態による、矩形形状の金属構造(図4a)を示す。
図4b図4bは、一実施形態による、円盤形状の金属構造(図4b)を示す。
図4c図4cは、一実施形態による、楕円形状の金属構造(図4c)を備える周期的なプラズモニックアレイを示す。
図5図5は、一実施形態による、磁気抵抗素子の上部及び上部金属接続層の上部に位置するプラズモニック構造を示す。
図6図6は、一実施形態による、上部金属接続層のレベルに位置するプラズモニック構造を備える磁気センサの配置の上面図を示す。
図7図7は、一実施形態による、プラズモニックアレイと補助プラズモニック構造とを備えるプラズモニック構造を示す図である。
図8図8は、一実施形態による、プラズモニック構造が第1プラズモニック副アレイと第2プラズモニック副アレイとを備える磁気センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一実施形態による、複数の磁気抵抗素子1を備える磁気センサ10の側面図を示す。図2は、一実施形態による、1つ分離された磁気抵抗素子1の側面図を示す。
【0018】
図2に示されるように、磁気抵抗素子1は、第1磁化210を有する第1強磁性層21と、第1磁化210に対して切り替えられる第2磁化230を有する第2強磁性層23とを備える磁気トンネル接合(MTJ)2を備えてよい。第1強磁性層21と第2強磁性層23との間には、トンネル障壁層22が設けられている。第1磁化210は、MTJ2がブロッキング温度、ネール温度、又は別のしきい値温度などのしきい値温度以上の温度に加熱されたときに、外部磁場に従ってスイッチング可能であり得る。第1磁化210は、しきい値温度未満の温度で固定される。しきい値温度は、150℃又は200℃を超えるか、もしくは少なくとも磁気抵抗素子1の通常の使用条件の温度を超えられる。しきい値温度未満では、第1磁化210は固定され、その方向は、磁気抵抗素子1の通常の使用条件に対応する温度及び外部磁界に対して安定したままである。
【0019】
MTJ2は、第1強磁性層21の隣りにある、反強磁性層などのピン止め層24をさらに備えてよい。ピン止め層24は、しきい値温度よりも低い温度での交換結合によって、第1磁化210をピン止め方向に沿ってピン止めする。ここで、しきい値温度は、ネール温度に近く、同時に、反強磁性層24の反強磁性材料のブロッキング温度を超える温度に対応できる。
【0020】
図1に示すように、磁気抵抗素子1は、誘電体層27に埋め込んでよい。
【0021】
図3は、上面28、上部金属接続層MCT、第1電流線3、MTJ2、第2電流線4、及びシリコンベースの相補型金属酸化膜半導体(CMOS)フロントエンド回路80を示す磁気センサ10のトポロジーを表す。
【0022】
磁気抵抗素子1は、書き込み及び読み出し機能の提供に金属導体をさらに備えてもよい。図3の例では、第1電流線3は、磁気抵抗素子1に電気的に結合できる。
第2電流線4は、第1電流線3に対して実質的に垂直(又は平行)に延在し、磁気抵抗素子1に磁気的に結合され得る。磁気抵抗素子1は、さらに、磁気抵抗素子1に電気的に接続された選択トランジスタ(図示せず)を備えてよい。磁気抵抗素子1は、金属ビアVMによってMTJ2に接続された、MTJ2の上の上部金属接続層MCTと、MTJ2の下の下部金属接続層MCBとをさらに備えてよい。上部金属接続層MCTは、下部金属接続層MCBを電気的に接続し、下部金属接続層MCBは、フィールド線として使用され得る。
【0023】
磁気抵抗素子1は、電磁放射放出装置7から放出された電磁放射70のエネルギー吸収を強化及び局所化するように構成されたプラズモニック構造5をさらに備える。
【0024】
一態様では、プラズモニック構造5は、金属構造51の空間的に周期的なプラズモニックアレイ50を備える。図4aから図4cに示すように、周期的なプラズモニックアレイ50は、矩形形状の金属構造51(図4a)、円盤形状の金属構造51(図4b)又は楕円形状の金属構造51(図4c)の空間的に周期的な配置を備えてよい。金属構造51のその他の形状も考慮してよい。
【0025】
プラズモニックアレイ50に備わる金属構造51は、全て実質的に同じ形状でよいが、プラズモニックアレイ50は、異なる形状を有する金属構造51を備えてもよい。
プラズモニック構造の原理
【0026】
磁気センサ10のプログラミング動作中、第1磁化210は、初期の向きからプログラムされた向きに切り替えられる。プログラムされた配向は、外部磁場の方向に従って任意の方向であり得る。プログラミング動作は、磁気センサ10内のすべての磁気抵抗素子1又は磁気抵抗素子1の選択されたサブアンサンブルに対して実行できる。
【0027】
プログラミング動作中、電磁放射放出装置7によって放出された電磁放射線70は、磁気センサ10の照射領域71を照射する。図1に示されるように、照射領域71は、2つの隣り合う磁気抵抗素子1を取り囲む表面領域を覆える。しかしながら、照射領域71は、単一の磁気抵抗素子1、磁気抵抗素子1のサブアンサンブル、又は磁気センサ10内のすべての磁気抵抗素子1を取り囲む表面領域を覆える。
【0028】
電磁放射70の波長でのプラズモニック構造5のプラズモン共鳴の条件において、プラズモニック構造5は、電磁放射70の強化された吸収を提供する。その結果、照射領域71において、プラズモニック構造5は、強化された熱発生を提供する。増強された熱は、照射領域71内の選択された磁気抵抗素子1に伝達され、選択された磁気抵抗素子1の第1強磁性層21がしきい値温度以上に加熱されることを可能にする。増強された加熱は、照射された領域71においてのみ生じるので、磁気センサ10の選択的かつマスクフリーのプログラミングが達成可能である。
【0029】
プラズモニック構造5はさらに、照明領域71内に均一な熱生成を提供できる。
【0030】
放射放出装置7は、集束レーザビーム70を磁気センサ10の照射領域71に向けるレーザー放出装置を備えてもよい(図1参照)。レーザビーム70の集束は、固浸レンズなどの近接場光学素子を使用することによって達成できる。
金属構造のアレイの配置
【0031】
周期的なプラズモニックアレイ50内の金属構造51の配置は、電磁放射70の波長でプラズモン共鳴を得るように最適化できる。これは、金属構造51の横方向寸法d及び金属構造51の周期的配置を変化させることによって達成できる。プラズモニックアレイ50は、2つの隣り合う金属構造51の間に実質的に等しい距離Lを有する2次元格子を備えてよい。プラズモニックアレイ50は、金属構造51の正方格子(図4に示す)、矩形格子、六方格子もしくは菱形格子、又は任意の他のタイプの格子のうちのいずれか1つを備えてよい。
【0032】
例えば、周期的なプラズモニックアレイ50内の2つの隣り合う金属構造51間の距離Lは、電磁放射70(サブ波長プラズモニックアレイ50)の波長以下であるべきである。
金属構造51の横方向の寸法dは、電磁放射70の波長よりも小さくなければならない(サブ波長金属構造51)。
【0033】
共鳴条件下では、すなわち、電磁放射70の波長が金属構造51のプラズモン共鳴と一致する場合には、金属構造51における電力吸収を少なくとも1桁増加可能である。
共鳴条件下では、照射領域71内の熱発生は、プラズモン共鳴を伴わない熱発生の最大9倍に到達できる。
プラズモニック構造の位置
【0034】
プラズモニック構造5は、照射領域71においてプラズモニック構造5によって吸収された熱をMTJ2に伝達可能であり、それによって参照磁化atを高温しきい値としてよいように、あるように磁気センサ10内に配置されるべきである。ここで、磁気抵抗素子1の近くとは、50nmから5000nmの距離を備えてよい。
【0035】
プラズモニック構造5はさらに、放射放出装置7によって容易に照射されるように、磁気センサ10内に配置されるべきである。理想的には、プラズモニック構造5は、金属接続層又はプラズモン共鳴に関与しない他の構造によって、放射放出装置7からマスクされるべきではない。
【0036】
一実施形態では、プラズモニック構造5は、磁気センサ10の上面28とMTJ2の少なくとも1つとの間に設けられる。
【0037】
図5は、図4のトポロジー表現の部分図を示す。図5に示す例では、プラズモニック構造5は、上面28と上部金属接続層MCTとの間に設けられる。プラズモニック構造5は、誘電体層27に埋め込んでよい。誘電体層27は、電磁放射70に対して光学的に透明であるべきである。誘電体層27は、二酸化ケイ素SiO、窒化ケイ素SiNなどの誘電体材料を含有してよい。
【0038】
プラズモニック構造5が磁気抵抗素子の上に配置されている図5の構成の利点は、プラズモニック構造5がより高いレベルの金属層によって陰にならないことである。
【0039】
金属構造51の横方向の寸法は、電磁放射70の波長と誘電体層27の屈折率との比、すなわち誘電体層27における電磁放射70の波長λ、又はこの比の分数にほぼ対応できる。
【0040】
例えば、誘電体層27が窒化ケイ素(SiN)を含む場合、放出された電磁放射線70の1064nmの入射波λは、誘電体層27内で減少し、SiNλ内の波は、入射波λを屈折率SiNλ/1.885=564nmで除算したものに等しい。したがって、金属構造50の横方向の寸法は、SiNλ半波長に実質的に等しくてもよく、2つの隣り合う金属構造50間の間隔Lは、SiNλの半波長に実質的に等しくてもよい。
【0041】
別の実施形態では、プラズモニック構造5は、上部金属接続層MCTのレベル(センサ高さ方向で同じ高さ)に配置される。
【0042】
図6は、上部金属接続層MCTのレベルに、すなわち上部金属接続層MCTの平面内に位置するプラズモニック構造5を備える磁気センサ10の構成の上面図を示す。磁気センサ10は、センサ支部40のアレイを備え、各センサ支部40は、複数の相互接続された磁気抵抗素子1を備える。プラズモニック構造5は、複数のプラズモニック副アレイ52を備えてよく、各プラズモニック副アレイ52は、金属構造51の周期的アレイを備える。各プラズモニック副アレイ52は、センサ支部40と交互に配置できる。
【0043】
一態様では、プラズモニック副アレイ52は、センサ支部40の幅Wの2倍の幅Wを有する。言い換えると、プラズモニック副アレイ52によって占有される表面積は、2つのセンサ支部40の表面積に対応する。各プラズモニック副アレイ52のプラズモン共鳴は、金属構造51のアレイの周期性と、金属構造51の横方向寸法dとに依存する。
【0044】
一例では、プラズモニック副アレイ52の幅は約5.0μmであり、金属構造51の横寸法dは約0.4μmである。しかしながら、センサ支部40に対するプラズモニック副アレイ52の他の配置も考えられる。
【0045】
プラズモニック構造5の他の配置も可能であり、例えば、プラズモニック構造5は、第2電流線4又は金属接続層MCBのレベルなど、金属層のいずれか1つの(平面内の)レベルに配置可能である。このような配置は、上述したように、センサ支部40と交互に配置された複数のプラズモニック副アレイ52を備えてもよい。
【0046】
プラズモニック構造5が上部金属接続層MCT、下部金属接続層MCB又は他の金属接続層もしくは金属ビアの平面内に設けられる磁気センサ10の構成は、磁気センサ10内の面積当たりの磁気抵抗素子1の密度を低下させることになり得る。実際に、磁気センサ10の利用可能な表面積は、プラズモニック構造5によって占有される表面積と磁気抵抗素子1によって占有される表面積との間で共有されなければならない。
【0047】
共鳴周波数は、上部金属接続層MCTのレベルに位置し、図6に示す構成に従って配置されたプラズモニック構造5についてモデル化された。共鳴周波数は、矩形形状(図4a参照)、円盤形状(図4b参照)を有する金属構造51の空間的に周期的な配置に対してモデル化された。共鳴周波数は、金属構造51の複数の横方向寸法d及び2つの隣り合う金属構造51間の複数の距離Lに対してモデル化された。
【0048】
表1は、上部金属接続層MCTのレベルに位置するプラズモニック構造5のモデル化から得られたプラズモニック共鳴値を報告する。モデル化は、500nmから700nmの間の距離Lだけ離間され、200nmから300nmの間の横寸法dを有する矩形(sq)及び円盤形(circ)の金属構造51を持つプラズモニックアレイ50に対して行われた。
【表1】
【0049】
表2は、底部金属接続層MCBのレベルに位置するプラズモニック構造5のモデリングから得られたプラズモニック共鳴値を報告する。モデリングは、500nmから880nmの間の距離Lだけ離され、200nmから400nmの間の横寸法dを有する矩形(sq)及び円盤形(circ)の金属構造51を有するプラズモニックアレイ50に対して行われた。
【0050】
シミュレーションは、共鳴吸収が、金属構造51とその下の金属層の両方で、例えば、金属構造51と上部金属接続層MCTの両方で、又は金属構造51と下部金属接続層MCBの両方で起こり得ることを示している。
【0051】
磁気センサ10内のプラズモニック構造5の構成及び位置に応じて、放出装置7によって放出される電磁放射70の屈折率は、20%未満に低下する可能性がある。
周波数はレーザー波長1064nmに対応する。
【表2】
【0052】
プラズモニック構造5の他の構成を考慮してよい。例えば、プラズモニック構造5は、上部金属接続層MCTのレベルに配置してよい。そして金属構造51は、400nmから700nmの間の距離Lだけ離してもよく、200nmから300nmの間の横方向寸法dを持ってよい。
【0053】
別の構成では、プラズモニック構造5は、底部金属接続層MCBのレベルに配置してよい。そして金属構造51は、500nmから900nmの距離Lだけ離してよく、200nmから400nmの横方向寸法dを持ってよい。
【0054】
さらに別の構成では、プラズモニック構造5は、MTJ2の下の第2電流線4のレベルに位置し、金属構造51は、450nmから850nmの間の距離Lだけ離され、200nmから450nmの間の横寸法dを持ってよい。
【0055】
矩形状及び円盤形状の金属構造51を備えるプラズモニックアレイ50について、シミュレーションは、共鳴周波数が横寸法d及び隣り合う金属構造51間の距離Lによって決定されることを示した。
【0056】
さらに別の構成では、金属構造51は、楕円形状であってよい(図4c)。楕円形金属構造51を備えるプラズモニック構造5について、シミュレーションは、共鳴周波数が楕円形金属構造51の長軸(a)及び短軸(b)によって決定されることを示した。楕円形金属構造51は、それぞれ、230nmから470nmの間の長軸と、470nmから230nmの間の短軸とを持ってよい。
【0057】
プラズモニック構造5の他の構成を考慮してよい。図7に示す実施形態では、プラズモニック構造5は、プラズモニックアレイ50と、電磁放射エネルギーの吸収を調整するように構成された補助プラズモニック構造53とを備える。言い換えると、共鳴条件下では、プラズモニックアレイ50と補助プラズモニック構造53とは、それらの間の電磁結合のために同時に共鳴する。補助プラズモニック構造53は、3倍以上の電力吸収の増幅をもたらし得る。プラズモニックアレイ50は、補助プラズモニック構造53と電磁放射放出装置7との間に備えられてよい。補助プラズモニック構造55は、金属構造の空間的に周期的な配置又は連続的な金属層を備えてよい。
【0058】
図8に示すさらに別の実施形態では、プラズモニック構造5は、少なくとも第1プラズモニック副アレイ52aと第2プラズモニック副アレイ52bとを備える。第1プラズモニック副アレイ52aは、プラズモン共鳴によって生成された熱を磁気センサ10の磁気抵抗素子1の第1サブセットに伝達するように構成され、第2プラズモニック副アレイ52bは、プラズモン共鳴によって生成された熱を磁気抵抗素子1の第2サブセットに伝達するように構成される。図8では、第1サブセットは、磁気抵抗素子1を備える2つのセンサ支部40として表され、第2サブセットは、1つのそのような支部40を備える。
プラズモニック副アレイ及びサブセットの数と同様に、サブセットの他の構成も考慮されるべきである。
【0059】
プラズモニック副アレイ52a、52bは、磁気抵抗素子1の上部及び上部金属接続層MCTの上部に配置できる。
【0060】
少なくとも第1プラズモニック副アレイ52aは、電磁放射70の偏波又は波長λに関して、第2プラズモニック副アレイ52bとは異なる共鳴応答を持つ。
【0061】
電磁放射放出装置7によって放出される電磁放射70の波長と偏波の少なくとも一方は、プラズモン共鳴が第1又は第2プラズモニック副アレイ52a、52bのうちの一方に対してのみ生じるように、第1プラズモニック副アレイ52a又は第2プラズモニック副アレイ52bのうちの一方の共鳴条件に対応するように調整できる。したがって、共鳴プラズモニック副アレイ52a又は52bに対応するセンサ支部40のみが、高温しきい値で加熱される。
【0062】
この後者の構成は、磁気センサ10全体が完全に照明される場合に、照射光線のウィンドウ化のためのマスクを必要とすることなく、センサ支部40の選択的プログラミングを可能にする。
照射領域(71)によって囲まれた1つ又はいくつかの磁気抵抗素子1を選択的に加熱するように、(レーザーのような)電磁放射放出装置7磁気センサ10の上面28の上で移動可能なので、位置決めの制約も少なくなる。
【符号の説明】
【0063】
1 磁気抵抗効果素子
10 MRAMベースのセンサ
2 磁気トンネル接合
21 参照層
210 参照磁化
22 トンネル障壁層
23 センス層
230 センス磁化
24 ピン止め層
27 誘電体層
28 上面
3 第1電流線
4 第2電流線
40 センサ支部
5 プラズモニック構造
50 プラズモニックアレイ
51 金属構造
52 プラズモニック副アレイ
53 補助プラズモニック構造
7 電磁放射線放出装置
70 電磁放射
71 照射領域
80 フロントエンド回路
λ 波長
d 横寸法
L 距離
MCB 底部金属接続層、フィールド線
MCT 上部金属接続層
VM 金属ビア
プラズモン下部構造の幅
センサ支部の幅
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁気抵抗素子を備える磁気センサであって、
各前記磁気抵抗素子が、プログラミング動作中に第1強磁性層が高温しきい値にあるときに第1磁化を切り替え可能に、しきい値温度未満で固定され、しきい値温度以上で自由である第1磁化を有する第1強磁性層を備えるMTJを備え、
前記磁気センサは、電磁放射によって照射されるようになっているプラズモニック構造をさらに備え、
前記プラズモニック構造は、金属構造の空間的に周期的なプラズモニックアレイを備え、
前記プラズモニックアレイの周期及び前記金属構造の横方向寸法は、前記電磁放射の所与の波に対して前記プラズモニック構造のプラズモン共鳴を得るように調整され、ここにおいて、
前記プラズモニックアレイが、プラズモン共鳴による前記電磁放射の増強された吸収から、前記第1強磁性層を前記しきい値温度以上に加熱するように前記磁気センサ内に配置されている、
複数の磁気抵抗素子を備える磁気センサにおいて、
前記磁気センサは、複数のセンサ支部のアレイを備え、各センサ支部が複数の磁気抵抗素子を備えていることと、
前記プラズモニック構造は、複数のプラズモニック副アレイを備え、各プラズモニック副アレイは、金属構造の周期的アレイを備えて前記センサ支部と交互に配置されていて、
前記プラズモニック構造は、少なくとも、第1プラズモニック副アレイと、前記電磁放射の偏波又は波長に関して前記第1プラズモニック副アレイとは異なる共鳴応答を有する第2プラズモニック副アレイとを備える、磁気センサ。
【請求項2】
前記プラズモニックアレイの前記期間及び前記金属構造の前記横方向寸法は、前記電磁放射の所与の波に対して前記プラズモニック構造のプラズモン共鳴を得るように調整されている、請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記MTJは、前記磁気センサのフロントエンド回路と面との間にあって、かつ
前記プラズモニック構造は、前記上面と前記フロントエンド回路との間に設けられている
請求項に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記磁気抵抗素子は、前記MTJと前記上面との間に上部金属接続層を備えて、かつ
前記プラズモニック構造は、前記上部金属接続層の平面内に設けられている、請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記磁気抵抗素子は、前記MTJと前記フロントエンド回路との間に下部金属接続層を備え、
前記プラズモニック構造は、前記下部金属接続層の平面内に設けられている、請求項3に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記プラズモニック構造は、誘電体層に埋め込まれていて、
前記プラズモニックアレイの周期と前記金属構造の横方向寸法とは、前記電磁放射の長と前記誘電体層の屈折率との所与の比に対して、前記プラズモニック構造のプラズモン共鳴が得られるように調整されている、請求項に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記プラズモニック構造は、前記電磁放射の吸収を調整するように構成された補助プラズモニック構造をさらに備える、請求項に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記補助プラズモニック構造は、金属構造の空間的に周期的な配置又は連続的な金属層を備える、請求項に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記補助プラズモニック構造及び前記プラズモニックアレイは、前記磁気抵抗素子と前記上面との間にある請求項3及び7に記載の磁気センサ。
【請求項10】
請求項に記載の磁気センサと、
前記磁気センサの照射領域を照射し、前記プラズモニック構造のプラズモン共鳴を生成するように適合された波長を有する電磁放射を放出するように構成された電磁放射放出装置とを備える、システム。
【請求項11】
照射領域は、少なくとも1つの磁気抵抗素子を取り囲んでいる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記電磁放射線放出装置は、集束された電磁放射を前記磁気センサの前記照射領域に向けるレーザ放出装置を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記電磁放射放出装置は、前記照射領域によって取り囲まれた前記1つ又は複数の磁気抵抗素子を選択的に加熱するように、前記磁気センサの前記表面上で移動可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記プラズモニック構造は、少なくとも、第1プラズモニック副アレイと、前記電磁放射の偏波又は波長に関して前記第1プラズモニック副アレイとは異なる共鳴応答を有する第2プラズモニック副アレイとを備え、かつ
前記電磁放射の、前記波長と前記偏波との少なくとも一方は、前記第1プラズモニック副アレイ又は第2プラズモニック副アレイのうちの1つの共鳴条件に対応するように調整可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記プラズモニックアレイは、2つの隣り合う金属構造の距離が実質的に等しい二次元格子を備え、前記プラズモニックアレイは、正方格子、矩形格子、六方格子、又は菱形格子のうちのいずれか1つを備える、請求項10に記載のシステム。
【国際調査報告】