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特表2023-526790TIE-2の活性化物質による急性呼吸窮迫症候群の処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】TIE-2の活性化物質による急性呼吸窮迫症候群の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230616BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230616BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230616BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230616BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20230616BHJP
   A61P 31/14 20060101ALN20230616BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P11/00
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P11/16
A61K47/40
A61K47/26
A61K31/427
A61K31/426
A61K31/428
A61K31/497
A61K31/513
A61K31/433
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569498
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 US2021033495
(87)【国際公開番号】W WO2021236985
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/028,317
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522129856
【氏名又は名称】アイポイント ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ピータース, ケビン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA29
4C076AA32
4C076BB13
4C076BB16
4C076BB27
4C076CC04
4C076CC15
4C076CC29
4C076CC35
4C076DD38
4C076EE39
4C076EE39E
4C076FF04
4C076FF13
4C076FF15
4C084AA17
4C084MA57
4C084MA66
4C084NA02
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZA601
4C084ZB111
4C084ZB331
4C084ZC191
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086BC85
4C086GA02
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA57
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC19
4C086ZC41
(57)【要約】
Tie-2の活性化物質およびHPTPβの阻害剤を使用して、急性呼吸窮迫症候群、肺傷害、呼吸不全および関連状態を処置する方法が本明細書で開示される。この方法は、血管漏出および透過性を減少させること、浮腫を減少させること、炎症を減少させること、および肺における酸素交換能力を増加させることを含む。いくつかの実施形態において、本発明は、肺状態の処置を必要とする被験体において肺状態を処置する方法を提供し、該方法は、治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、投与が、投与しない場合と比較して、被験体の酸素化指数(oxygenation index)を約1~約20増加させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺状態の処置を必要とする被験体において肺状態を処置する方法であって、前記方法は、治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、方法。
【請求項2】
前記投与が、前記被験体の酸素化指数を約1~約10増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記投与が、投与しない場合と比較して、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が、投与後72時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記投与が、投与後48時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が、投与後24時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体におけるPaO/FiO比を約1~約100増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1から4低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿Ang-2濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿Ang-2/Ang-1比のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿IL-6濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿IL-8濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿TNFα濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿D-ダイマー濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記投与が、投与後の前記被験体における血漿CRP濃度のレベルの変化を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記投与が、投与後の前記被験体における全身性炎症を軽減する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が、投与後の前記被験体において内皮一酸化窒素シンターゼ(eNOS)を活性化する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記投与が、投与後の前記被験体における一酸化窒素(NO)の産生を増加させる、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記Tie-2活性化物質が単位剤形として前記被験体に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記単位剤形が薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がHPβCDである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がD-マンニトールである、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記単位剤形が、前記単位剤形の約10質量%の量のHPβCDをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記単位剤形が、前記単位剤形の約4.5質量%の量のD-マンニトールをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記単位剤形が、前記単位剤形の約5質量%の量のデキストロースをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記投与が1時間の連続注入である、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記投与が2時間の連続注入である、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記投与が2時間~2.5時間の連続注入である、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記投与が1日2回である、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記投与が1日3回である、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記投与が7日間にわたり毎日3回である、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記投与が72時間にわたって8時間ごとである、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約20mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記治療有効量が約750ng・hr/mL/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記治療有効量が約510.2ng・hr/mL/日である、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約10mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約15mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約30mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約45mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
前記Tie-2活性化物質が、約20mg/mLの濃度を有する製剤で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項57】
前記投与が皮下投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
前記投与が静脈内投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項59】
前記投与がボーラス静脈内注射である、請求項1に記載の方法。
【請求項60】
前記投与が持続静脈内注入である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記肺状態が急性肺傷害である、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記肺状態が急性低酸素呼吸不全である、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記肺状態が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、請求項1に記載の方法。
【請求項64】
前記ARDSが軽度ARDSである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記ARDSが中等度ARDSである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記ARDSが重度ARDSである、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記肺状態がCOVID-19である、請求項1に記載の方法。
【請求項68】
前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約300未満のPaO/FiO比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約200~約300のPaO/FiO比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項70】
前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約100~約200のPaO/FiO比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項71】
前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約100未満のPaO/FiO比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項72】
前記被験体が、胸部X線によって決定される両側性肺浸潤を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項73】
前記被験体が、胸部X線によって決定される両側性肺浸潤を有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項74】
前記被験体がウイルス感染を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項75】
前記ウイルス感染がコロナウイルス感染である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ウイルス感染がSARS-CoV-2である、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記被験体が高血圧を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項78】
前記被験体が肺高血圧症を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項79】
前記被験体がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項80】
前記Tie-2活性化物質が、以下の式の化合物
【化31】
または薬学的に許容され得るその塩であって、式中、
- アリールは、置換または非置換のアリール基であり;
- アリールは、置換または非置換のアリール基であり;
- Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、ウレイド結合、スルホン結合または化学結合であり、ここで、該アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合のいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSOもしくはNHCOR(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、または
【化32】
であり、ここで、
- Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であるか、またはR、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し; - Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
化合物または薬学的に許容され得るその塩ある、請求項1に記載の方法。
【請求項81】
- アリールが、置換または非置換のフェニルであり;
- アリールが、置換または非置換のヘテロアリールであり;
- Xが、アルキレンである、
請求項80に記載の方法。
【請求項82】
-アリールが置換フェニルであり、
-アリールが置換ヘテロアリールであり、
-Xがメチレンである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
Tie-2を活性化する前記化合物が、式:
【化33】
化合物であり、式中、
-アリールはパラ置換フェニルであり、
-アリールは置換ヘテロアリールであり、
-Xはメチレンでり、
-Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であり、
-Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
-Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
-アリールがパラ置換フェニルであり、
-アリールが置換チアゾール部分であり、
-Xがメチレンであり、
-Lが、Lが結合している窒素原子と一体となってカルバメート結合を形成し、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-RがHである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
アリールが、
【化34】
であり、式中、
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
請求項84に記載の方法。
【請求項86】
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
-アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがヘテロアリールである、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
前記化合物が、
【化35】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
前記化合物が、
【化36】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項91】
-アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがアルキルである、請求項85に記載の方法。
【請求項92】
前記化合物が、
【化37】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項93】
前記化合物が、
【化38】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項94】
アリールが、
【化39】
であり、式中、
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
請求項84に記載の方法。
【請求項95】
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
-アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがヘテロアリールである、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記化合物が、
【化40】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項99】
前記化合物が、
【化41】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項100】
-アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがアルキルである、請求項94に記載の方法。
【請求項101】
前記化合物が、
【化42】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項102】
前記化合物が、
【化43】

である、請求項80に記載の方法。
【請求項103】
急性呼吸窮迫症候群の処置をそれを必要とする被験体において行う方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【請求項104】
COVID-19の処置をそれを必要とする被験体において行う方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【請求項105】
COVID-19を有する被験体における急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【請求項106】
前記投与が皮下投与である、請求項103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記投与が静脈内投与である、請求項103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記投与が吸入投与である、請求項103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記Tie-2活性化物質が、
【化44】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、請求項103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記Tie-2活性化物質が、
【化45】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、請求項103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記Tie-2活性化物質が、
【化46】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、請求項103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記Tie-2活性化物質が、
【化47】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、請求項103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年5月21日に出願された米国仮特許出願第63/028,317号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺内皮恒常性の破綻、両側性肺浸潤、および低酸素血症を特徴とする重度の肺傷害状態である。血球と気腔とを隔てる微小血管バリアの破裂が生じる。結果として生じる炎症性浸潤および肺浮腫は、ガス交換を極端に低下させ、多臓器不全および死をもたらす。ARDSの一般的な原因は敗血症であり、感染症に対する免疫応答の機能不全により、全身性炎症および臓器損傷が引き起こされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
いくつかの実施形態において、本発明は、肺状態の処置を必要とする被験体において肺状態を処置する方法を提供し、該方法は、治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、投与が、投与しない場合と比較して、被験体の酸素化指数(oxygenation index)を約1~約20増加させる。
【0004】
いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする被験体における急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、治療有効量が、用量あたり被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、治療有効量が、約10mg~約40mgであり、Tie-2活性化物質が、単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、被験体がSARS-CoV-2に感染しており、投与が、被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法を提供する。
【0005】
いくつかの実施形態において、本発明は、COVID-19を有する被験体における急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、治療有効量が、用量あたり被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、治療有効量が、約10mg~約40mgであり、Tie-2活性化物質が、単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、被験体がSARS-CoV-2に感染しており、投与が、被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法を提供し。
【0006】
いくつかの実施形態において、本発明は、それを必要とする被験体におけるCOVID-19を処置する方法であって、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を被験体に投与することを含み、投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、治療有効量が、用量あたり被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、治療有効量が、約10mg~約40mgであり、Tie-2活性化物質が、単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、被験体がSARS-CoV-2に感染しており、投与が、被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法を提供し。
【0007】
参照による援用
本願において引用される各特許、刊行物および非特許文献は、その各々が個別に参照により援用されている場合と同様にその全体が参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、健康、敗血症、およびARDSにおけるTie-2シグナル伝達効果を示す。
【0009】
図2図2は、COVID-19におけるTie-2、Ang-1、Ang-2、およびVE-PTPシグナル伝達効果を示す。
【0010】
図3図3のパネルAは、VE-PTPのヒトRNA発現データを示す。パネルBは、Akita/Ren糖尿病高血圧マウスの全肺溶解物から免疫沈降したVE-PTP(上のパネル)またはTie2(下のパネル)の免疫ブロットおよび対応する発現レベルを示す。パネルCは、低酸素症によるVE-PTP誘導を実証する培養内皮細胞からの溶解物のウエスタンブロット解析を示す。
【0011】
図4図4のパネルAは、化合物1によるTie-2活性化を実証する培養内皮細胞溶解物のウエスタンブロット解析を示す。パネルBは、LPS誘導性肺透過性に対する化合物1の効果を示す。パネルCは、VEGF誘導性およびヒスタミン誘導性皮膚血管透過性に対する化合物1の効果を示す。
【0012】
図5図5は、盲腸結紮穿刺(CLP)敗血症モデルの概略図である。
【0013】
図6図6は、多菌性敗血症性ショックに対する化合物1の効果を示す。
【0014】
図7図7は、示された用量での1日2回(BID)のSQ化合物1のヒト薬物動態結果を示す。
【0015】
図8図8のパネルAは、DME患者の収縮期血圧低下に対する化合物1の効果を示す。パネルBは、DME患者の収縮期血圧低下に対する化合物1単独およびラニビズマブとの併用の効果を示す。パネルCは、140mmHgまたはそれを超えるベースライン収縮期圧を有する患者対140mmHg未満のベースライン収縮期圧を有する患者における収縮期血圧低下に対する化合物1の効果を示す。
【0016】
図9図9は、DME患者における網膜の中心サブフィールド厚の減少に対する化合物1単独およびラニビズマブとの併用の効果を示す。
【0017】
図10図10は、尿アルブミン/クレアチニン比(UACR)に対する化合物1の効果を示す。
【0018】
図11図11は、肺傷害の病態生理学的進行を示す図である。
【0019】
図12図12は、3回のARDSネットワーク試行からの例示的な酸素化指数データを示す。
【0020】
図13図13は、中等度~重度のCOVID-19を有する被験体における化合物1の安全性および有効性を評価する試験設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
例えば、ARDS、急性肺傷害(ALI)、慢性肺傷害、肺炎症、肺低酸素血症、および呼吸不全の処置のためのTie-2活性化物質を使用する治療法について本明細書で説明される。本開示のTie-2活性化物質は、Tie-2のリン酸化などのタンパク質リン酸化を促進することによってTie-2シグナル伝達を活性化することができる。そのような活性化は、ARDSまたはCOVID-19における微小血管破裂に対する防御において極めて重要な役割を果たすことができる。
【0022】
ARDSおよび呼吸不全
ARDSは、肺胞-毛細血管膜の透過性の増加を特徴とする急性炎症症候群である。臨床的には、ARDSは、重度の低酸素血症を伴う急性発症両側性肺浸潤として呈し得る。一般集団の中で、ARDSの最も一般的な原因は敗血症である。肺炎および/または経口胃内容物の吸引が2番目の主因であり、外傷および熱傷がこれに続く。他の原因としては、膵炎、煙の吸入、敗血症の非存在下での循環性ショック、輸血(輸血関連急性肺傷害またはTRALI)、心胸郭手術、胸部または肺の挫傷、骨折、および薬物毒性が挙げられる。ARDSの症状としては、重度の息切れ、筋肉疲労、全身の衰弱、低血圧、皮膚または爪の変色、乾性咳および空咳(hacking cough)、発熱、頭痛、心拍数の上昇、および精神状態の変化が挙げられる。
【0023】
ARDSに関連する状態の非限定的な例としては、ALI、慢性肺傷害、敗血症、敗血症性ショック、肺炎、肺炎症、肺への体液貯留、肺水腫、低血圧、および気管支炎が挙げられる。敗血症は、肺、腹部臓器、および尿路などの組織および臓器への傷害をもたらす感染症に対する極端な免疫応答を特徴とする。正常条件下では、免疫系は、感染症に対抗するためにサイトカインおよび他の免疫調節物質を血流中に放出するよう誘発する。敗血症は、例えば慢性感染症の間に、免疫応答が調節不全になり、全身性炎症および免疫細胞の過剰活性化を引き起こす場合に起こる。敗血症の症状の非限定的な例としては、発熱、低体温、低血圧、心拍数上昇、呼吸数上昇、血糖上昇、代謝性アシドーシス、低血液量、心不全、アナフィラキシー、副腎機能不全、肺塞栓症、浮腫、排尿減少、および精神状態の変化が挙げられる。
【0024】
ARDS、敗血症、および肺炎は、細菌、ウイルス、または寄生生物などの病原性感染によって引き起こされ得る。これらの感染は、肺を特異的に標的とし、肺傷害およびARDSを引き起こし得る。病原性ウイルスの非限定的な例としては、コロナウイルス、インフルエンザ、ライノウイルス、ハンタウイルス、ニパウイルス、ヘンドラウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)が挙げられる。ARDSを引き起こすまたはARDSに関連する状態の非限定的な例としては、ハンタウイルス肺症候群(HPS)、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、および2019の新型コロナウイルス疾患(COVID-19)が挙げられる。
【0025】
コロナウイルスは、気道に感染する近縁ウイルスの群である。コロナウイルスの非限定的な例としては、SARS-CoV(SARS-CoV-1)、SARSr-CoV、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、MERS-CoVおよびSARS-CoV-2(2019-nCoV)が挙げられる。
【0026】
ヒトインフルエンザAおよびBウイルスは、インフルエンザ疾患の季節的流行を引き起こす。インフルエンザAウイルスは、インフルエンザ大流行を引き起こすことが知られている。インフルエンザAウイルスは、ウイルスの表面上の2つのタンパク質:ヘマグルチニン(H)およびノイラミニダーゼ(N)に基づいて亜型に分類される。18の異なるヘマグルチニン亜型および11の異なるノイラミニダーゼ亜型(それぞれH1~H18およびN1~N11)が存在する。ヒトにおいて日常的に循環しているインフルエンザAウイルスの亜型としては、A(H1N1)およびA(H3N2)が挙げられる。病原性インフルエンザウイルスの非限定的な例としては、ブタインフルエンザ、トリインフルエンザ、ウマインフルエンザ、イヌインフルエンザ、H1N1、H1N1/09、H1N2、H2N2、H3N2、H3N8、H5N1、H7N2、H7N3、H7N3、H7N7、H7N9、H9N2、およびH10N7が挙げられる。
【0027】
ライノウイルスは、ヒトにおいて最も一般的なウイルス感染性因子であり、風邪の主な原因である。3種のライノウイルス(A、B、およびC)が存在し、表面タンパク質(血清型)に基づいて異なる。
【0028】
ARDSの現在の治療法は、感染症を処置するための抗生物質、炎症を軽減するコルチコステロイド、気道を拡張するための気管支拡張薬、および肺への体液貯留を軽減するための利尿薬などのARDSの根本的な原因または症状を管理するにすぎない。ARDS管理の基礎は、支持ケアおよび機械的呼吸補助である。支持ケアは、肺がARDSから回復するときに、更なる害を減らすように設計されている。例えば、低一回換気量の人工呼吸器戦略は人工呼吸器誘導性肺傷害の可能性を低減し、保存的流体戦略は、より乾燥した肺を維持し、より良好な酸素化および臨床転帰をもたらす。しかしながら、ARDS患者の転帰の実質的な改善は、ARDSの病態生理学を直接処置する治療法にかかっている。そのような標的化された療法は、後期の線維増殖期を減弱し、正常な肺機能をより完全に回復させることによって、長期の疾患負荷を軽減することができる。
【0029】
COVID-19
COVID-19は、コロナウイルス、SARS-CoV-2による急速に進行する呼吸器感染症であり、ARDSおよび呼吸不全を引き起こす。既存の状態を有する個体は、COVID-19に関連する合併症のリスクが高い。これらの既存の状態の非限定的な例としては、心不全、糖尿病、高血圧、冠動脈心疾患、喘息、慢性肝疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および慢性腎臓疾患(CKD)が挙げられる。例えば、COVID-19に罹患しているCKD患者は、急性腎障害のリスクが高い。
【0030】
糖尿病および高血圧などの慢性内皮機能不全および血管損傷に関連する状態では、VE-PTP発現が増加し、Tie-2活性化が減少する。この生物学的状況により、糖尿病および高血圧患者がCOVID-19の重症度を高める素因を説明することができる。そのうえ、低酸素症によってVE-PTP発現が増加し、Tie-2活性化が減少するため、重度の呼吸不全を有するCOVID-19患者において生じる内皮機能不全および多臓器不全にさらに寄与する。
【0031】
SARS-CoV-2の機能性受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、肺上皮および内皮に発現される。この現象は、肺血管構造がCOVID-19肺病理の発症における直接的な標的であることを示唆している。SARS-CoV-2はまた、ヒト毛細血管オルガノイドに感染し、複製することもできる。場合によっては、リンパ球性内皮炎が、COVID-19患者の肺、心臓、腎臓、および肝臓で起こり得る。COVID-19-内皮炎は、異なる血管床における全身性の微小循環機能不全およびCOVID-19を有する患者における臨床的続発症の原因であり得る。
【0032】
ウイルス封入体およびウイルスエレメントを、COVID-19患者の心臓、肝臓、腎臓、腸、および肺の内皮内層に見出すことができる。これらの内皮細胞は、炎症性細胞の蓄積を有し、内皮細胞および炎症性細胞死のエビデンスを示す。まとめると、これらの所見は、SARS-CoV-2感染が、ウイルスの関与および宿主の炎症応答の直接的な結果として、いくつかの器官における内皮炎の誘導を促進することを示唆している。
【0033】
さらに、アポトーシスおよびパイロトーシスの誘導が、COVID-19を有する患者の内皮細胞傷害において重要な役割を果たし得る。この戦略は、男性、喫煙、高血圧、糖尿病、肥満、および確立された心血管疾患に関連する既存の内皮機能不全を有する脆弱な患者に特に関連する可能性があり、これらはすべてCOVID-19における有害な転帰に関連する。したがって、肺血管構造におけるTie-2活性化の回復は、COVID-19関連肺病理を処置するための有望な宿主指向性アプローチを表す。本明細書には、COVID-19の重症度を軽減するのに有用なTie-2活性化物質が記載されている。
【0034】
Tie-2活性化および肺内皮の安定化
体内のすべての器官の中で、肺は、最も高い割合の内皮細胞および最大断面積の脈管構造を含む。したがって、肺は、Tie-2の治療的調節のための主要な標的である。Tie-2(免疫グロブリンおよび上皮成長因子相同ドメイン2を有するチロシンキナーゼ)は、主に血管内皮細胞および、造血幹細胞(HSC)とマクロファージのサブセットにおいて発現される膜レセプターチロシンキナーゼである。Tie-2受容体は、大部分が内皮特異的であり、血管成熟に必須である。Tie-2のリン酸化はTie-2活性化をもたらす。上流因子はTie-2リン酸化を制御し、下流のシグナル伝達経路に影響を及ぼす。Tie-2を制御する因子の非限定的な例としては、アンジオポエチン1(Ang-1またはAngpt-1)、アンジオポエチン2(Ang-2またはAngpt-2)、およびヒトタンパク質チロシンホスファターゼβ(しばしばHPTPβまたはHPTP-ベータと略される)が挙げられる。
【0035】
Ang-1は、Tie-2のアゴニストであり、Tie-2へのAng-1の結合は、レセプターリン酸化を促進する。Ang-2は、状況依存的なアンタゴニスト性またはアゴニスト性の様式で作用するTie-2リガンドである。Ang-1がTie-2に結合すると、内在性Tie-2レセプターリン酸化のレベルが増加する。この結合は、高度に秩序立てられた血管新生を介した特徴的な血管リモデリングおよび内皮細胞接合部を強固にすること(内皮細胞の近接)を誘導し得るシグナル伝達カスケードを開始する。そのようなシグナル伝達経路としては、下流PI3K/Aktシグナル伝達、eNOSシグナル伝達、Rac1シグナル伝達、サバイビンシグナル伝達、NF-κBシグナル伝達、およびRas/Raf/MEK/ERK経路が挙げられる。Rac1シグナル伝達は、細胞接合部の安定化を媒介する。サバイビンは、内皮細胞の生存を改善することができる。Ang-1-Tie-2シグナル伝達は、炎症を調節するNF-κBシグナル伝達を阻害することができる。血管内皮内では、Ang-1-Tie-2シグナル伝達は、内皮細胞の近接を促進する。造血幹細胞(HSC)微小環境では、Ang-1-Tie-2シグナル伝達は、パラクリン様式でHSCの長期の再増殖に寄与する。
【0036】
生理学的条件下では、Tie-2リン酸化の持続時間は、Tie-2受容体からホスフェート基を除去するHPTPβによって制御される。HPTPβを阻害することによって、Tie-2リン酸化レベルは実質的に上昇し、適切な細胞近接が回復する。本開示の化合物は、HPTPβ/VE-PTPを阻害することによって、Tie-2下流シグナル伝達を活性化することができる。
【0037】
HPTPβおよび血管内皮タンパク質チロシンホスファターゼ(VE-PTP;HPTPβのマウスオルソログ)は、発生の間中、血管内皮細胞においておよび成体の血管において発現される。HPTPβは、内皮細胞増殖、内皮細胞生存度、内皮細胞分化、内皮細胞透過性、血管形成、および血管新生において機能的役割を果たす。HPTPβはまた、周皮細胞、有足細胞、および平滑筋細胞などの炎症および内皮支持細胞との相互作用を調節する。HPTPβは、Tie-2、接着結合成分、VE-カドヘリン、プラコグロビン、および血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)を含む内皮細胞接合部内のタンパク質のリン酸化を制御することによって内皮バリアの完全性を維持する。HPTPβの発現は、低酸素症、糖尿病およびレニン誘導性高血圧によって上方制御され、Tie-2シグナル伝達の減少および内皮細胞バリアの完全性の喪失をもたらす。したがって、Tie-2抑制は、肺における血管漏出を引き起こす。
【0038】
血管漏出の場合、血管を裏打ちする内皮細胞が分離し、循環系から間質腔への体液の漏出を可能にする。血管漏出の症状としては、血液濃縮、低血圧、低アルブミン血症、部分的または全身性浮腫、意義不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)、疲労、および失神が挙げられる。動脈、静脈、および毛細血管は、肺の血管漏出をもたらす血管透過性の増加の影響を受けやすい。
【0039】
HPTPβを標的化することにより、Tie-2を活性化し、肺内皮細胞における下流のシグナル伝達を回復させることができる。図1に示すように、Tie-2調節は、ARDSおよび関連する病因における宿主血管応答の制御において重要な役割を果たすことができる。例えば、Tie-2活性化は敗血症において阻害され、ARDSはAng-2のレベル上昇およびTIE2遺伝子発現の減少の結果である。また、循環Ang-2は、慢性腎不全の重症度に関連する。さらに、Tie-2シグナル伝達が無傷であると、炎症時に内皮細胞の完全性が促進される。炎症を起こした血管構造におけるTie-2シグナル伝達の喪失は、通常の抗凝固表面から凝固促進表現型に移行する。逆に、Tie-2活性化は、敗血症モデルにおいて自発的および傷害誘導性の両方のフィブリン形成を減少させることができる。Ang-2発現の抑制によりTie-2の総レベルを高めることができ、Tie-2シグナル伝達の低減によりAng-2生合成を下方制御することができる。したがって、活性化内皮細胞からのAng-2の初期放出は、Tie-2シグナル伝達の抑制を引き起こし、Ang-2生合成を下方制御し、それによってTie-2シグナル伝達をさらに低下させることができる。HPTPβ/VE-PTP阻害は、Tie-2シグナル伝達を活性化し、それによって内皮バリア防御および恒常性を維持することができる。したがって、Tie-2活性化は、ARDS、ならびに急性腎障害(AKI)、敗血症性ショック、および播種性血管内凝固症候群(DIC)などの全身性炎症性状態の処置メカニズムであり得る。
【0040】
また、リン酸化されたTie-2は標準的な炎症性転写因子NF-kBを抑制することができるため、血管炎症がこの高Ang-2/低Tie-2フィードフォワードループによって増強される。保護的Tie-2シグナル伝達の喪失は、NF-kBの核移行および白血球の接着分子の転写をもたらす。逆に、Tie-2刺激は、エンドトキシンショック時の肺炎症を軽減することができる。Tie-2シグナル伝達はまた、周皮細胞および血管平滑筋細胞を安定化することによって血管壁の恒常性を回復させることができる。この効果は、内皮一酸化窒素シンターゼ(eNOS)から血管拡張剤である一酸化窒素(NO)の産生を回復させることによって達成される。NOは一過性血圧を低下させる。
【0041】
循環Ang-2濃度は、疾患の重症度や、死亡または回復に向かう経時的な進行を反映し得る。Ang-2の循環および気管支肺胞洗浄(BAL)レベルは、ALIおよびARDSの患者において上昇する。循環Ang-2はまた、外科患者の間のALI/ARDSの将来の非生存者において上昇し、敗血症性および非敗血症性ALI/ARDSの両方における血管外肺水分含量および体液バランス、ならびに敗血症性ショック患者における全身体液過負荷と定量的に関連し得る。Ang-1レベルの低下およびAng-2レベルの上昇は、重症敗血症からのICUにおける死亡率と関連し得る。Ang-2レベルは、ARDS死亡率を予測するための有効な指標(metric)となり得る。さらに、ANG2の遺伝的バリアントが、ARDSのリスク増加と関連し得る。機能不全のTie-2シグナル伝達を標的とすることは、ARDS処置のための有望なアプローチを提供する。
【0042】
図2に示すように、安定した正常な脈管構造では、Ang-1は応答性であり、Tie-2を活性化することができる。逆に、不安定化されたCOVID-19(またはALI/ARDS)脈管構造では、Ang-1活性は損なわれているかまたは抵抗性であり、したがってTie-2を活性化することができない。Ang-2のレベルおよび活性はAng-1と比較して上昇しており、Tie-2シグナル伝達の更なる不活性化が起こる。次いで、増強されたTie-2シグナル伝達は、ARDSに関連する低酸素肺血管収縮を調節し、酸素化指数に対する有益な効果を誘発することができる。
【0043】
本明細書に開示される化合物によるTie-2活性化は、ALIまたは慢性肺傷害を含む多様な形態の肺傷害に対抗することができる。例えば、Tie-2シグナル伝達は、バリア機能を防御し、炎症を減弱させ、血管壁の恒常性を回復させ、リンパの完全性を促進し、血栓形成性を相殺し、高酸素症によって引き起こされる肺傷害を減少させ、リポ多糖誘導を減少させ、盲腸結紮穿刺(CLP)、全身性炭疽毒素、ホスゲンによって引き起こされる腹部敗血症を処置し、モノクロタリン、セロトニン、またはIL-6によって引き起こされる肺高血圧症を処置することができる。ARDSにおけるTie-2活性化は、血管バリアを回復させ、炎症を鈍化させ、肺血管抵抗を減少させ、血栓症を減弱させ、それによって換気/血流不均衡(ventilation/perfusion mismatch)(V/Q比)を改善し、肺水腫の除去のためのリンパ機能を促進することができる。これらの効果の各々は、ARDSを有する患者の生理学および転帰を改善することができる。
【0044】
肺傷害の処置のためのTie-2活性化の主なメカニズムは、血管透過性亢進に対する防御であり得る。炎症時、内皮構造および接合部を制御する内皮内GTPアーゼのバランスを切り替えるTie-2シグナル伝達の減少に起因して血管漏出が生じ得る。結果として、内皮構造が収縮し、接合部がバリアエフェクタータンパク質であるVE-カドヘリンを失う。したがって、例えば、過剰なAng-1、Ang-1活性化、Ang-2阻害、またはVE-PTP阻害を介して、Tie-2シグナル伝達を活性化する遺伝的または生物学的操作は、微小血管バリア機能に対する保護効果を有し得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物によるTie-2の活性化またはHPTPβの阻害は、内皮細胞におけるeNOSの活性化を促進し、これが次に平滑筋細胞におけるグアニル酸シクラーゼを活性化し、環状グアノシン一リン酸(cGMP)を産生する。cGMPは、平滑筋細胞を弛緩させ、血管拡張をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、Tie-2活性化物質またはHPTPβ阻害剤は、NO濃度を増加させ、血管漏出を減少させることによって血管密度を促進する。
【0046】
一次肺傷害に対する宿主応答としては、サイトカイン、例えばIFN-αβ、IFN-γ、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、単球走化性タンパク質(MCP1)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1A)、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、IL-6、IL-7、およびIL-8の放出が挙げられる。IFN-αβおよびIFN-γは、炎症細胞浸潤を誘導し、Fas/FasL依存的メカニズムまたはTRAIL-DR5依存的メカニズムを介して気道および肺胞上皮細胞のアポトーシスを引き起こす。さらに、免疫調節因子によって放出されるTNFは、肺上皮細胞および内皮細胞の両方のアポトーシスを促進する。上皮細胞および内皮細胞のアポトーシスは、肺微小血管および肺胞上皮細胞のバリアを損なう。上皮バリアの破綻は、血管漏出および肺胞浮腫を引き起こし、最終的に低酸素症をもたらす。また、サイトカインは、白血球を損傷した肺に引き付け、白血球の活性化を引き起こす。活性化された白血球は、肺胞上皮および毛細血管内皮に二次的に損傷を与える一連の分子を分泌する。内皮損傷は、微小血管バリアの破綻および血管漏出をもたらす。タンパク質に富む流体が血管腔から間質へ流出すると、好ましくない腫脹勾配が生じ、肺胞腔に水がさらに蓄積されることになる。次いで、肺胞腔の流体を除去するリンパ管の能力が限界に達する。タンパク質性の流体および死細胞からのデブリによる肺胞の充満は、ガス交換を損ない、低酸素肺胞をもたらす。その結果、低酸素肺胞の周囲に生理的に血液がシャントされる。この段階では、死腔率が高いため、換気は非効率的である。処置せずに放置すると、肺のコンプライアンスが低くなり、ひいては換気のためにより大きな陽圧を必要とし、それによって人工呼吸器誘導性肺傷害のリスクが高まる。肺高血圧症は、低酸素性肺血管収縮、換気に必要な気道内圧上昇、および血管収縮薬剤の効果の組み合わせによって発症することが多い。
【0047】
ARDSの評価
本明細書に記載される化合物によるARDSおよび/またはCOVID-19の処置、または呼吸機能の回復は、例えば、ベルリン基準、酸素化指数、急性肺傷害スコア、肺死腔率、胸部X線写真評価、人工呼吸器離脱期間の定量化、補助換気の期間、感染症の発生、逐次臓器不全評価、COVID-19順序尺度、または本明細書に記載される治療を被験体に投与した後の被験体における血栓塞栓性事象の発生によって評価することができる。ベルリン基準(ベルリン定義)は、ARDSの診断的特徴である。ベルリン基準は、肺動脈楔入圧を測定するための肺動脈カテーテルの利用を除外する。ベルリン基準はARDSを以下のように分類する:300以下200超のPaO/FiO比は軽度のARDSである;100~200のPaO/FiO比は中等度のARDSである;100未満のPaO/FiO比は重度のARDSである。ARDSはまた、急性低酸素血症(200mmHg未満のPaO/FiO比)を特徴とし得、両側性浸潤が胸部X線で見られ、左心房高血圧のエビデンスはない。ALIはARDSと同様の基準を有するが、低酸素血症の程度はより低い(300mmHg未満のPaO/FiO比)。ALIは、肺胞-毛細血管膜の透過性の増加を伴う急性炎症症候群と定義される。ALIとARDSとを区別するためのカットオフ値は200mmHgである。
【0048】
十分な酸素を血液に供給するために、呼吸不全を有する被験体は、機械式人工呼吸器または人工呼吸器を使用して酸素補充を受けることができる。機械換気の2つの主なタイプは、非侵襲的換気および侵襲的換気である。非侵襲的換気は、しっかりと装着された顔面マスクまたは鼻マスクを介して被験体に換気支持を提供する。侵襲的換気は、口もしくは鼻を通って気管に挿入されたチューブ、または喉の前部を通って気管に形成された穴を通して、被験体に換気補助を提供する。肺保護換気戦略としては、低一回換気量/低プラトー圧および肺胞動員/呼気終末陽圧(PEEP)滴定が挙げられる。これらの戦略は、肺胞レベルでの緊張およびストレスを軽減することを目的としている:前者は、吸気終了時の過度の過伸展を回避することによって行われ、後者は、呼気終了時に開放肺を達成および維持することによって行われる。
【0049】
PEEPは、呼気終了時の肺内の圧力(肺胞圧)の尺度である。外因性PEEPは、人工呼吸器によって適用されるPEEPである。内因性PEEPは、不完全な呼気によって引き起こされる。呼気終末肺胞虚脱を緩和するために、ほとんどの機械的に換気されている患者に低レベルのPEEP(例えば、4~5cmHO)を適用することができる。例えば、ARDS、ALI、または他の種類の低酸素呼吸不全を有する患者において、高レベルの適用PEEP(5cm未満のHO)を使用して低酸素血症を改善するか、または人工呼吸器関連肺傷害を軽減することができる。ARDSの診断に必要なPEEPの最小レベルは5cmHOである。本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするPEEPを減少させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするPEEPを約1cmHO~約20cmHO、約1cmHO~約10cmHO、約1cmHO~約5cmHO、5cmHO~約10cmHO、または約10cmHO~約20cmHOだけ減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするPEEPを約1cmHO、約2cmHO、約3cmHO、約4cmHO、約5cmHO、約6cmHO、約7cmHO、約8cmHO、約9cmHO、約10cmHO、約11cmHO、約12cmHO、約13cmHO、約14cmHO、約15cmHO、約16cmHO、約17cmHO、約18cmHO、約19cmHO、または約20cmHOだけ減少させる。
【0050】
平均気道圧(MAP)は、陽圧機械換気中に適用される平均圧力である。本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするMAPを減少させることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするMAPを約1cmHO~約20cmHO、約1cmHO~約10cmHO、約1cmHO~約5cmHO、約5cmHO~約10cmHO、または約10cmHO~約20cmHOだけ減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体が必要とするMAPを約1cmHO、約2cmHO、約3cmHO、約4cmHO、約5cmHO、約6cmHO、約7cmHO、約8cmHO、約9cmHO、約10cmHO、約11cmHO、約12cmHO、約13cmHO、約14cmHO、約15cmHO、約16cmHO、約17cmHO、約18cmHO、約19cmHO、または約20cmHOだけ減少させる。
【0051】
吸気酸素分率(FiO)に対する動脈血酸素分圧(PaO)の比を使用して、肺ガス交換の異常を評価することができる。FiOは、吸入ガス中の酸素のモル分率または体積分率である。例えば、自然空気は、0.21のFiOに相当する21%の酸素を含有する。呼吸困難がある被験体には、加圧酸素、大気圧よりも高いFiO、ひいてはFiO>0.21が補充される。PaO/FiO比を使用して、肺傷害の重症度およびARDSの診断を決定することができる。
【0052】
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体のPaO/FiO比を高めることができる。PaO/FiO比の変化は、本明細書に記載される治療の投与から6、24、36、48、72時間後、または7日後と比較してベースラインから決定することができる。いくつかの実施形態において、PaO/FiO比の変化は、投与しない場合と比較して約1~約400または約1~約100である。いくつかの実施形態において、PaO/FiO比の変化は、約50、約60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、または約450である。
【0053】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質の被験体への投与は、被験体のPaO/FiO比を、約100、約110、約120、約130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、約310、約320、約330、約340、約350、約360、約370、約380、約390、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500約510、約520、約530、約540、約550、約560、約570、約580、約590、または約600に増大させることができるPaO/FiO比は、本明細書に記載される療法の投与の後、例えば、投与後6、24、36、48、72時間、または7日で決定することができる。
【0054】
酸素化指数(OI)は、肺の酸素交換効率の尺度であり、より高いスコアは、より重度の肺機能不全およびより高い死亡リスクを示す。OIは、(FiO*平均気道圧)/PaOによって計算される。PaO/FiO比と同様に、OIは肺における酸素交換(肺機能)の尺度であるが、OIは気道圧(ひいては肺コンプライアンス)も測定に組み込む。したがって、肺機能の固有の変化を伴わないPEEP送達の変化はOIを変化させない(PEEPの変化によって調節することができるPaO/FiO比とは異なる)。OIは以下のとおり解釈することができる:0~25=良好な転帰;25~40=死亡の可能性>40%;および>40=体外式膜型人工肺を考慮する。
【0055】
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、被験体のOIを低下させることができる。OIの変化は、本明細書に記載される治療の投与から6、24、36、48、72時間後、または7日後と比較してベースラインから決定することができる。いくつかの実施形態において、OIの変化は、約1~約5、約1~約10、または約1~約20である。いくつかの実施形態において、OIの変化は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、または50より大きい。
【0056】
急性肺傷害スコア(LIS)またはMurrayスコアは、ALI重症度の評価である。LISは、PaO/FiO比、PEEP、肺コンプライアンス、および被験体の胸部X線によって決定される浸潤の程度(肺胞硬化)を含む複合的4点スコアリングシステムである。スコアリングシステムは0から4まで変化し、4は肺傷害の程度が最も大きい。LISの合計は、胸部X線写真、低酸素血症、PEEP、呼吸器系コンプライアンスの使用した構成要素の数で総和を割ることによって得られる。表1は、LISの構成要素および対応するスコアを示す。LISは以下のとおり解釈することができる:0=肺傷害なし;1~2.5=軽度~中等度の肺傷害;および>2.5=重度の肺傷害。呼吸器系コンプライアンスは、伸長および拡張する肺の能力の評価である。この指標は、肺コンプライアンスとして知られているように、両肺の総コンプライアンスを含み、経肺圧の単位増加毎の肺体積の変化を測定する(系が平衡に達するのに十分な時間が許容される場合)。肺コンプライアンスは、肺体積の変化/経肺圧の変化によって計算することができる。LISの変化は、7日間にわたって、または本明細書に記載される治療の投与後7日目より前の陽圧換気の最終日に評価され得る。いくつかの実施形態において、LISの変化は、1、2、3または4である。
【表1】
【0057】
肺死腔率は、ARDS死亡率の危険因子である。肺死腔率(死腔対一回換気量の比[V/VT])は、ガス交換に関与しない一回換気量の一部であり、したがって二酸化炭素を含まない呼気ガスからなる。PeCOは、平均呼気COの分圧である。死腔率は、(PaCO-PeCO)/PaCOとして計算される。肺死腔率の変化は、例えば、処置後1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、または7日目に評価することができる。
【0058】
肺水腫のX線評価(RALE)は、ARDSにおける肺水腫の程度を推定するために、胸部X線写真上の肺胞混濁の程度および密度を評価する。RALEスコアを計算するために、各X線写真象限を、硬化の程度(0~4)および混濁の密度(1~3)についてスコア化する。4つの象限の各々の硬化スコアと密度スコアとの積を合計する。RALEスコアは、0(最良)~48(最悪)の範囲である。RALEスコアは、処置後1日目、2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、または7日目に測定することができる。
【0059】
ARDS症状の解消は、肺機能の改善、例えば補助換気の必要性の減少によってさらに評価することができる。人工呼吸器離脱期間の定量化は、例えば、7日間、14日間、または28日間にわたって評価することができる。いくつかの実施形態において、人工呼吸器離脱期間の定量化は、28日間を超えて評価することができる。補助換気の持続期間は、7、14、または28日間にわたって評価することもできる。いくつかの実施形態において、補助換気の持続期間は、28日間を超えて評価することができる。例えば、2時間にわたって圧力支持換気を達成した被験体の割合を28日間にわたって評価することができる。例えば、補助換気のPEEPは、2時間にわたる5cmHOである。
【0060】
感染の発生は、7、14、21、または28日間にわたって評価することができる。感染の非限定的な例としては、表在性切開/創傷感染、深部切開創感染、臓器/腔感染、および人工呼吸器関連肺炎が挙げられる。
【0061】
逐次臓器不全評価(SOFA)は、呼吸器系、心血管系、肝臓系、凝固系、腎臓系、および神経系の各々6つの臓器系の機能不全の程度に基づく死亡予測スコアであり、各々0~4の範囲である。SOFAスコアは、0(最良)~24(最悪)の範囲の6つのスコアの合計である。SOFAスコアは、処置後7日間にわたって評価することができる。例えば、SOFAスコアを3日目および7日目に評価することができる。
【0062】
COVID-19順序尺度を使用して、COVID-19の疾患重症度を評価することができる。例えば、2020年2月に世界保健機関によって公開されたCOVID-19順序尺度を表2に要約している。感染のウイルス学的エビデンスは、鼻咽頭または呼吸器の試料、血液、尿、または糞便から得ることができる。スコアはまた、重症管理室への入院;酸素補給、機械換気/酸素化、体外式膜型人工肺(ECMO)、または体外生命維持装置(ECLS)の必要性;静脈内血管作動薬の必要性;腎代替治療(RRT)の必要性;重症管理室での死亡、病院での死亡および28日目の生命状態(死亡);非入院日数、非ICU;病気の生物学的マーカーおよび免疫学的マーカーなどの追加因子に基づくことができる。
【表2】
【0063】
血栓塞栓事象の発生を60日間にわたって評価することができる。血栓塞栓事象は、深部静脈系の超音波または胸部のCT血管造影によって測定することができる。
【0064】
更なる評価は、本明細書に記載される治療を被験体に投与した後の被験体の血漿中のバイオマーカーのレベルを決定することを含む。血漿バイオマーカーの非限定的な例としては、Ang-2、Ang-1、VEGF、終末糖化産物受容体(RAGE)、IL-6、IL-8、可溶性TNF-1(sTNF-1)、血漿タンパク質C、リポキシンA4、レゾルビンD1、ケラチノサイト成長因子(KGF)、可溶性Tie2、c反応性タンパク質(CRP)、およびD-ダイマーが挙げられる。例えば、血漿バイオマーカーのレベルの変化は、6、24、36、48、72時間、7日間と比較してベースラインから決定することができる。いくつかの実施形態において、血漿バイオマーカーのレベルの変化は、処置後7日目と比較してベースラインから決定することができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルの変化は、約0.1ng/mL~約5ng/mL、約0.1ng/mL~約10ng/mL、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約0.1ng/mL~約30ng/mL、または約0.1ng/mL~約50ng/mLである。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルの変化は、約0.1ng/mL、約0.2ng/mL、約0.3ng/mL、約0.4ng/mL、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.8ng/mL、約0.9ng/mL、約1ng/mL、約1.1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.3ng/mL、約1.4ng/mL、約1.5ng/mL、約1.6ng/mL、約1.7ng/mL、約1.8ng/mL、約1.9ng/mL、約2ng/mL、約2.1ng/mL、約2.2ng/mL、約2.3ng/mL、約2.4ng/mL、約2.5ng/mL、約2.6ng/mL、約2.7ng/mL、約2.8ng/mL、約2.9ng/mL、約3ng/mL、約3.1ng/mL、約3.2ng/mL、約3.3ng/mL、約3.4ng/mL、約3.5ng/mL、約3.6ng/mL、約3.7ng/mL、約3.8ng/mL、約3.9ng/mL、約4ng/mL、約4.1ng/mL、約4.2ng/mL、約4.3ng/mL、約4.4ng/mL、約4.5ng/mL、約4.6ng/mL、約4.7ng/mL、約4.8ng/mL、約4.9ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、または約50ng/mLである。いくつかの実施形態において、バイオマーカーのレベルの変化は、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%である。
【0066】
血漿Ang-2/Ang-1比の変化は、本明細書に記載される治療の投与から6、24、36、48、72時間後、または7日後と比較してベースラインから決定することができる。いくつかの実施形態において、血漿Ang-2/Ang-1比の変化は、約1~約10、約1~約20、約1~約30、約1~約40、約1~約50、または約1~約100である。いくつかの実施形態において、血漿Ang-2/Ang-1比の変化は、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85、約90、約95、または約100である。
【0067】
微量アルブミン尿は、例えば、敗血症、ARDS、および腎損傷に起因する全身性炎症反応によって引き起こされる血管透過性の増加の指標となり得る。したがって、呼吸機能は、本明細書に記載される治療を被験体に投与した後の被験体における尿微量アルブミンのレベルの変化によって評価することができる。例えば、投与から24、36、48、72時間後、または7日後と比較して、ベースラインから尿微量アルブミンのレベルの変化を決定することができる。
【0068】
肺胞浮腫液のタンパク質濃度は、肺傷害進行の指標となり得る。気管支肺胞洗浄(BAL)におけるより高い総タンパク質濃度は、ARDS患者におけるより高い死亡率と関連している。したがって、呼吸機能はまた、本明細書に記載される治療を被験体に投与した後の、例えば、被験体から得られたミニ気管支肺胞洗浄(mBAL)における総タンパク質レベルの変化によって評価することもできる。例えば、BAL中のタンパク質濃度の変化は、投与から24、36、48、72時間後、または7日後と比較してベースラインから決定することができる。
【0069】
ARDSおよび呼吸不全モデル
ARDS、肺傷害、および呼吸不全の処置は、インビトロまたはインビボモデルを使用して肺血管漏出に対する本明細書に開示される化合物の効果を測定することによって評価することができる。例えば、炎症性肺血管漏出は、培養内皮細胞において、グラム陰性エンドトキシン、リポ多糖(LPS)によって誘導され得る。LPS誘導性血管漏出の減少は、本明細書に記載される化合物を使用して評価することができる。
【0070】
処置有効性はまた、VE-PTPの誘導性内皮細胞ノックアウトマウスモデル(Cdh 5-CreERT2:PTPR-βlox/lox、以降iECKO-VE-PTP)を使用して評価することができる。マウスモデルにおける血管漏出は、ヒスタミンおよびVEGFなどの炎症性透過性トリガーによって誘導され得る。疾患モデルの更なる非限定的な例としては、LPS誘導性肺および腎損傷、盲腸結紮穿刺(CLP)によって誘導される多菌性敗血症性ショック、IL-8誘導性白血球内皮細胞遊走、およびIL-2誘導性サイトカインストームが挙げられる。高用量のIL-2はAng-2レベルを増加させることができる。IL-2誘導性血管漏出症候群は、低血圧として現れ、ショックおよび死をもたらし得る。
【0071】
Tie-2活性化物質
本明細書中に開示される化合物は、Tie-2活性化物質として有効であり得る。該化合物は、その活性を、例えば、HPTPβに結合するかまたはHPTPβを阻害することによって、促進し得る。そのような化合物は、例えば、リン酸化された化合物などの天然の基質の結合機序を模倣することによって、HPTP-βに結合し得る。ある化合物は、ホスフェート模倣物またはバイオアイソスター、例えば、スルファミン酸であり得る。また、該化合物は、アミノ酸基本構成要素から誘導されても、合成を効率的にするためおよび節約するためのアミノ酸骨格を含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される化合物は、以下の式の化合物
【化1】
またはそれらの薬学的に許容され得る塩、互変異性体もしくは両性イオンであり、式中、アリールは、置換または非置換のアリール基であり;アリールは、置換または非置換のアリール基であり;Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または化学結合であり;Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSOもしくはNHCOR(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)または
【化2】
であり、式中、Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であるか、またはR、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。
【0073】
いくつかの実施形態において、アリールは、置換または非置換のフェニルであり、アリールは、置換または非置換のヘテロアリールであり、Xは、アルキレンである。いくつかの実施形態において、アリールは、置換フェニルであり、アリールは、置換ヘテロアリールであり、Xは、メチレンである。
【0074】
いくつかの実施形態において、ある化合物は、以下の式の化合物
【化3-1】
【化3-2】
であり、式中、アリールは、パラ置換フェニルであり、アリールは、置換ヘテロアリールであり;Xは、メチレンであり;Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であり;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり;Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである。
【0075】
いくつかの実施形態において、アリールは、パラ置換フェニルであり;アリールは、置換チアゾール部分であり;Xは、メチレンであり;Lは、Lが結合している窒素原子と一体となって、カルバメート結合を形成し;Rは、置換または非置換のアルキルであり;Rは、置換または非置換のアリールアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、Hである。
【0076】
いくつかの実施形態において、アリールは、
【化4】
であり、式中、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。
【0077】
いくつかの実施形態において、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。いくつかの実施形態において、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、Rは、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。いくつかの実施形態において、アリールは、4-フェニルスルファミン酸であり;Rは、置換または非置換のアルキルであり;Rは、置換または非置換のアリールアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、アリールは、4-フェニルスルファミン酸であり;Rは、置換または非置換のアルキルであり;Rは、置換または非置換のアリールアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、アルキルである。
【0078】
いくつかの実施形態において、アリールは、
【化5】
であり、式中、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。いくつかの実施形態において、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。いくつかの実施形態において、Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり;Rは、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である。いくつかの実施形態において、アリールは、4-フェニルスルファミン酸であり;Rは、置換または非置換のアルキルであり;Rは、置換または非置換のアリールアルキルであり;Rは、Hであり;Rは、ヘテロアリールである。
【0079】
いくつかの実施形態において、置換フェニル基は、
【化6】
であり、式中、Rph1、Rph2、Rph3、Rph4およびRph5の各々は、独立して、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、スルファミン酸、トシレート、メシレート、トリフレート、ベシレート、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、アジド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホンアミド基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0080】
例証的な化合物としては、以下が挙げられる。
【化7-1】
【化7-2】
【化7-3】
【0081】
化学基に対する必要に応じた置換基
必要に応じた置換基の非限定的な例としては、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、アジド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホンアミド基、カルボキシル基、カルボキサルデヒド基、イミン基、アルキル基、ハロアルキル基、アルケニル基、ハロアルケニル基、アルキニル基、ハロアルキニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アリールアルコキシ基、ヘテロシクリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルバメート基、アミド基およびエステル基が挙げられる。
【0082】
アルキルおよびアルキレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルキルおよびアルキレン基が挙げられる。アルキル基は、例えば、置換または非置換の、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
【0083】
直鎖アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。
【0084】
分枝状アルキル基には、任意の数のアルキル基で置換された任意の直鎖アルキル基が含まれる。分枝状アルキル基の非限定的な例としては、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチルおよびt-ブチルが挙げられる。
【0085】
環式アルキル基の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル(cycloheptlyl)およびシクロオクチル基が挙げられる。環式アルキル基には、縮合二環式化合物(bicycles)、架橋二環式化合物およびスピロ二環式化合物、ならびに高次の縮合系、架橋系およびスピロ系も含まれる。環式アルキル基は、任意の数の直鎖、分枝状または環式のアルキル基で置換され得る。
【0086】
アルケニルおよびアルケニレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルケニル基が挙げられる。アルケニル基のオレフィン(単数または複数)は、例えば、E、Z、cis、trans、末端またはエキソ-メチレンであり得る。アルケニルまたはアルケニレン基は、例えば、置換または非置換の、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
【0087】
アルキニルまたはアルキニレン基の非限定的な例としては、直鎖、分枝状および環式のアルキニル基が挙げられる。アルキニル(alkylnyl)またはアルキニレン基の三重結合は、内部または末端に存在し得る。アルキニルまたはアルキニレン基は、例えば、置換または非置換の、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、C40、C41、C42、C43、C44、C45、C46、C47、C48、C49またはC50基であり得る。
【0088】
ハロアルキル基は、任意の数のハロゲン原子、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子で置換された任意のアルキル基であり得る。ハロアルケニル基は、任意の数のハロゲン原子で置換された任意のアルケニル基であり得る。ハロアルキニル基は、任意の数のハロゲン原子で置換された任意のアルキニル基であり得る。
【0089】
アルコキシ基は、例えば、任意のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基で置換された、酸素原子であり得る。エーテルまたはエーテル基は、アルコキシ基を含む。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシおよびイソブトキシが挙げられる。
【0090】
アリール基は、複素環式または非複素環式であり得る。アリール基は、単環式または多環式であり得る。アリール基は、本明細書中に記載される任意の数の置換基、例えば、ヒドロカルビル基、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン原子で置換され得る。アリール基の非限定的な例としては、フェニル、トルイル、ナフチル、ピロリル、ピリジル、イミダゾリル、チオフェニルおよびフリルが挙げられる。
【0091】
アリールオキシ基は、例えば、任意のアリール基で置換された酸素原子、例えば、フェノキシであり得る。
【0092】
アラルキル基は、例えば、任意のアリール基で置換された任意のアルキル基、例えば、ベンジルであり得る。
【0093】
アリールアルコキシ基は、例えば、任意のアラルキル基で置換された酸素原子、例えば、ベンジルオキシであり得る。
【0094】
複素環は、炭素ではない環原子、例えば、N、O、S、P、Si、Bまたは他の任意のヘテロ原子を含む任意の環であり得る。複素環は、任意の数の置換基、例えば、アルキル基およびハロゲン原子で置換され得る。複素環は、芳香族(ヘテロアリール)または非芳香族であり得る。複素環の非限定的な例としては、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、スクシンアミド、マレイミド、モルホリン、イミダゾール、チオフェン、フラン、テトラヒドロフラン、ピランおよびテトラヒドロピランが挙げられる。
【0095】
アシル基は、例えば、ヒドロカルビル、アルキル、ヒドロカルビルオキシ、アルコキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アリールアルコキシまたは複素環で置換されたカルボニル基であり得る。アシルの非限定的な例としては、アセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。
【0096】
アシルオキシ基は、アシル基で置換された酸素原子であり得る。エステルまたはエステル基は、アシルオキシ基を含む。アシルオキシ基またはエステル基の非限定的な例は、アセテートである。
【0097】
カルバメート基は、カルバモイル基で置換された酸素原子であり得、ここで、該カルバモイル基の窒素原子は、非置換であるか、または一つもしくは複数のヒドロカルビル、アルキル、アリール、ヘテロシクリルもしくはアラルキルで一置換されるかもしくは二置換される。窒素原子が、二置換されるとき、その二つの置換基は、窒素原子と一体となって、複素環を形成し得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、Tie-2の活性化物質は、MAN-01である。
【0099】
薬学的に許容され得る塩
本明細書に開示される方法は、本明細書中に記載される任意の化合物の薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。薬学的に許容され得る塩には、例えば、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。酸付加塩を形成するために化合物に付加される酸は、有機酸または無機酸であり得る。塩基付加塩を形成するために化合物に付加される塩基は、有機塩基または無機塩基であり得る。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、金属塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容され得る塩は、アンモニウム塩である。
【0100】
金属塩は、本明細書に開示される化合物への無機塩基の付加によって生じ得る。その無機塩基は、塩基性対イオン、例えば、水酸化物イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンまたはリン酸イオンと対になった金属カチオンからなる。その金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属または典型金属元素(main group metal)であり得る。いくつかの実施形態において、上記金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、セリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、カルシウム、ストロンチウム、コバルト、チタン、アルミニウム、銅、カドミウムまたは亜鉛である。
【0101】
いくつかの実施形態において、金属塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、セリウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、鉄塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、チタン塩、アルミニウム塩、銅塩、カドミウム塩または亜鉛塩である。
【0102】
アンモニウム塩は、本明細書に開示される化合物へのアンモニアまたは有機アミンの付加によって生じ得る。いくつかの実施形態において、上記有機アミンは、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N-メチルモルホリン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミン、ピペラジン、ピリジン、ピラゾール、ピピラゾール(piprazole)、イミダゾールまたはピラジンである。
【0103】
いくつかの実施形態において、アンモニウム塩は、トリエチルアミン塩、ジイソプロピルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、N-メチルモルホリン塩、ピペリジン塩、N-メチルピペリジン塩、N-エチルピペリジン塩、ジベンジルアミン塩、ピペラジン塩、ピリジン塩、ピラゾール塩、ピピラゾール塩、イミダゾール塩またはピラジン塩である。
【0104】
酸付加塩は、本明細書に開示される化合物への酸の付加によって生じ得る。いくつかの実施形態において、上記酸は、有機酸である。いくつかの実施形態において、上記酸は、無機酸である。いくつかの実施形態において、上記酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルクロン酸(glucaronic acid)、サッカリン酸(saccaric acid)、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、パントテン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、フマル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、シュウ酸またはマレイン酸である。
【0105】
いくつかの実施形態において、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩(glucaronate salt)、サッカリン酸塩(saccarate salt)、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、パントテン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩またはマレイン酸塩である。
【0106】
本明細書中の化合物は、酸性基の塩、例えば、
【化8-1】
【化8-2】
であり得る。
【0107】
本明細書中の化合物は、強酸から形成される塩基性基の塩、例えば、
【化9】
であり得る。
【0108】
本明細書中の化合物は、双性イオンの形態、例えば、
【化10】
としても存在し得る。
製剤
【0109】
本開示の医薬組成物は、治療有効量のTie-2の活性化物質を提供することができる。
【0110】
開示される製剤は、単独でまたは組み合わさって本明細書中の化合物または薬学的に許容され得るその塩を可溶化する1種または複数種の薬学的に許容され得る作用物質を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、製剤中に、約0.1mg/mL~約100mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約5mg/mL、約5mg/mL~約10mg/mL、約10mg/mL~約15mg/mL、約15mg/mL~約20mg/mL、約20mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約30mg/mL、約30mg/mL~約35mg/mL、約35mg/mL~約40mg/mL、約40mg/mL~約45mg/mL、約45mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約55mg/mL、約55mg/mL~約60mg/mL、約60mg/mL~約65mg/mL、約65mg/mL~約70mg/mL、約70mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約80mg/mL、約80mg/mL~約85mg/mL、約85mg/mL~約90mg/mL、約90mg/mL~約95mg/mL、約95mg/mL~約100mg/mLで存在する。
【0112】
いくつかの実施形態において、化合物またはその薬学的に許容され得る塩は、約1mg/mL、約2mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、約5mg/mL、約6mg/mL、約7mg/mL、約8mg/mL、約9mg/mL、約10mg/mL、約11mg/mL、約12mg/mL、約13mg/mL、約14mg/mL、約15mg/mL、約16mg/mL、約17mg/mL、約18mg/mL、約19mg/mL、約20mg/mL、約21mg/mL、約22mg/mL、約23mg/mL、約24mg/mL、約25mg/mL、約26mg/mL、約27mg/mL、約28mg/mL、約29mg/mL、約30mg/mL、約31mg/mL、約32mg/mL、約33mg/mL、約34mg/mL、約35mg/mL、約36mg/mL、約37mg/mL、約38mg/mL、約39mg/mL、約40mg/mL、約41mg/mL、約42mg/mL、約43mg/mL、約44mg/mL、約45mg/mL、約46mg/mL、約47mg/mL、約48mg/mL、約49mg/mL、約50mg/mL、約51mg/mL、約52mg/mL、約53mg/mL、約54mg/mL、約55mg/mL、約56mg/mL、約57mg/mL、約58mg/mL、約59mg/mL、約60mg/mL、約61mg/mL、約62mg/mL、約63mg/mL、約64mg/mL、約65mg/mL、約66mg/mL、約67mg/mL、約68mg/mL、約69mg/mL、約70mg/mL、約71mg/mL、約72mg/mL、約73mg/mL、約74mg/mL、約75mg/mL、約76mg/mL、約77mg/mL、約78mg/mL、約79mg/mL、約80mg/mL、約81mg/mL、約82mg/mL、約83mg/mL、約84mg/mL、約85mg/mL、約86mg/mL、約87mg/mL、約88mg/mL、約89mg/mL、約90mg/mL、約91mg/mL、約92mg/mL、約93mg/mL、約94mg/mL、約95mg/mL、約96mg/mL、約97mg/mL、約98mg/mL、約99mg/mL、または約100mg/mLの量で製剤中に存在する。
【0113】
本明細書中に開示される製剤は、ある添加物または作用物質を加えることによって、可溶性が高められ得る。製剤の溶解度の改善によって、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、約325%、約350%、約375%、約400%、約450%または約500%上昇し得る。
【0114】
本明細書中に開示される製剤は、約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、約10日間、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約3か月間、約4か月間、約5か月間、約6か月間、約7か月間、約8か月間、約9か月間、約10か月間、約11か月間または約1年間安定であり得る。本明細書中に開示される製剤は、例えば、約0℃、約5℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約60℃、約70℃または約80℃において安定であり得る。
【0115】
アルコール
可溶化剤の非限定的な例としては、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の非限定的な例としては、アルコール、例えば、C-C直鎖アルキル、C-C分枝状アルキル、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、2-ヒドロキシプロパノール、プロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール;置換または非置換アリールおよびベンジルアルコールが挙げられる。
【0116】
シクロデキストリン
シクロデキストリンの非限定的な例としては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、メチルβ-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンナトリウム塩、ヒドロキシエチル-β-シクロデキストリン(HE-β-CD)、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(DMβCD)、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンおよび2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(HPγCD)が挙げられる。シクロデキストリンは、大きな環式構造を有し得、その構造の中心をチャネルが通っている。シクロデキストリンの内部は、疎水性であり得、疎水性分子と好ましく相互作用する。シクロデキストリンの外部は、バルク溶媒に曝露されたいくつかのヒドロキシル基に起因して、高度に親水性であり得る。本明細書中に開示される化合物などの疎水性分子をシクロデキストリンのチャネルの中に捕捉することにより、非共有結合性の疎水性相互作用によって安定化された複合体が形成され得る。その複合体は、水に可溶性であり得、捕捉された疎水性分子をバルク溶媒に運び得る。
【0117】
本開示の製剤は、ランダムにメチル化されたβ-シクロデキストリン(RAMEBまたはRMCD)を含み得る。本開示の製剤は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、または少なくとも21個のメチル基を含むRAMEBを含み得る。
【0118】
開示される可溶化系は、2-ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HPβ-CD)を含む。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン[CAS No.128446-35-5]は、Cavitron(商標)として商業的に入手可能である。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはHPβCDとしても記載されており、以下の式
【化11-1】
【化11-2】
のいずれかによって表され得る。
【0119】
Cavitron(商標)の平均分子量は、およそ1396Daであり、平均置換度は、一つの環グルコース単位あたり約0.5~約1.3単位の2-ヒドロキシプロピルである。
【0120】
開示される可溶化系は、2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン(HPγCD)を含む。2-ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン[CAS No.128446-34-4]は、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、またはHPGCDとしても知られており、以下の式:
【化12】
で表すことができる。
【0121】
一つの実施形態において、本明細書中に開示される製剤は、約20部の本明細書中の化合物または薬学的に許容され得るその塩と約1部の可溶化系との比(約20:約1)から、約1部の本明細書中の化合物または薬学的に許容され得るその塩と約20部の可溶化系との比(約1:約20)までを含み得る。例えば、約100mgの本明細書中の化合物または薬学的に許容され得るその塩を含む製剤は、約5mg~約2000mgの可溶化剤、例えば、シクロデキストリンを含み得る。別の実施形態において、その比は、可溶化系の数またはモルと比較した数またはモルまたは化合物に基づき得る。
【0122】
以下は、本明細書中の化合物と、可溶化剤、例えば、シクロデキストリンとの比の非限定的な例である。あるいは、以下の例は、可溶化剤、例えば、シクロデキストリンと本明細書中の化合物との比を記載する。その比は、約20:約1、約19.9:約1、約19.8:約1、約19.7:約1、約19.6:約1、約19.5:約1、約19.4:約1、約19.3:約1、約19.2:約1、約19.1:約1、約19:約1、約18.9:約1、約18.8:約1、約18.7:約1、約18.6:約1、約18.5:約1、約18.4:約1、約18.3:約1、約18.2:約1、約18.1:約1、約18:約1、約17.9:約1、約17.8:約1、約17.7:約1、約17.6:約1、約17.5:約1、約17.4:約1、約17.3:約1、約17.2:約1、約17.1:約1、約17:約1、約16.9:約1、約16.8:約1、約16.7:約1、約16.6:約1、約16.5:約1、約16.4:約1、約16.3:約1、約16.2:約1、約16.1:約1、約16:約1、約15.9:約1、約15.8:約1、約15.7:約1、約15.6:約1、約15.5:約1、約15.4:約1、約15.3:約1、約15.2:約1、約15.1:約1、約15:約1、約14.9:約1、約14.8:約1、約14.7:約1、約14.6:約1、約14.5:約1、約14.4:約1、約14.3:約1、約14.2:約1、約14.1:約1、約14:約1、約13.9:約1、約13.8:約1、約13.7:約1、約13.6:約1、約13.5:約1、約13.4:約1、約13.3:約1、約13.2:約1、約13.1:約1、約13:約1、約12.9:約1、約12.8:約1、約12.7:約1、約12.6:約1、約12.5:約1、約12.4:約1、約12.3:約1、約12.2:約1、約12.1:約1、約12:約1、約11.9:約1、約11.8:約1、約11.7:約1、約11.6:約1、約11.5:約1、約11.4:約1、約11.3:約1、約11.2:約1、約11.1:約1、約11:約1、約10.9:約1、約10.8:約1、約10.7:約1、約10.6:約1、約10.5:約1、約10.4:約1、約10.3:約1、約10.2:約1、約10.1:約1、約10:約1、約9.9:約1、約9.8:約1、約9.7:約1、約9.6:約1、約9.5:約1、約9.4:約1、約9.3:約1、約9.2:約1、約9.1:約1、約9:約1、約8.9:約1、約8.8:約1、約8.7:約1、約8.6:約1、約8.5:約1、約8.4:約1、約8.3:約1、約8.2:約1、約8.1:約1、約8:約1、約7.9:約1、約7.8:約1、約7.7:約1、約7.6:約1、約7.5:約1、約7.4:約1、約7.3:約1、約7.2:約1、約7.1:約1、約7:約1、約6.9:約1、約6.8:約1、約6.7:約1、約6.6:約1、約6.5:約1、約6.4:約1、約6.3:約1、約6.2:約1、約6.1:約1、約6:約1、約5.9:約1、約5.8:約1、約5.7:約1、約5.6:約1、約5.5:約1、約5.4:約1、約5.3:約1、約5.2:約1、約5.1:約1、約5:約1、約4.9:約1、約4.8:約1、約4.7:約1、約4.6:約1、約4.5:約1、約4.4:約1、約4.3:約1、約4.2:約1、約4.1:約1、約4:約1、約3.9:約1、約3.8:約1、約3.7:約1、約3.6:約1、約3.5:約1、約3.4:約1、約3.3:約1、約3.2:約1、約3.1:約1、約3:約1、約2.9:約1、約2.8:約1、約2.7:約1、約2.6:約1、約2.5:約1、約2.4:約1、約2.3:約1、約2.2:約1、約2.1:約1、約2:約1、約1.9:約1、約1.8:約1、約1.7:約1、約1.6:約1、約1.5:約1、約1.4:約1、約1.3:約1、約1.2:約1、約1.1:約1、または約1:約1であり得る。
【0123】
ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidione)
可溶化剤の別の非限定的な例は、以下の式
【化13】
を有するポリビニルピロリドン(PVP)であり、式中、添え字nは、約40~約200である。PVPは、約5500~約28,000g/molの平均分子量を有し得る。一つの非限定的な例は、およそ10,000g/molの平均分子量を有するPVP-10である。
【0124】
ポリアルキレンオキシド(Polyakyleneoxides)およびそのエーテル
可溶化剤の別の非限定的な例としては、ポリアルキレンオキシド、およびアルコールまたはポリオールのポリマーが挙げられる。ポリマーは、混合され得るか、または単一のモノマーリピートサブユニットを含み得る。例えば、約200~約20,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG200、PEG400、PEG600、PEG1000、PEG1450、PEG1500、PEG4000、PEG4600およびPEG8000である。同じ実施形態において、組成物は、PEG400、PEG1000、PEG1450、PEG4600およびPEG8000から選択される一つまたはそれより多くのポリエチレングリコールを含む。
【0125】
他のポリアルキレンオキシドは、以下の式
HO[CH(CH)CHO]
を有するポリプロピレングリコールであり、式中、添え字xは、そのポリマー中のプロピレンオキシ単位の平均数を表す。添え字xは、整数または分数によって表され得る。例えば、8,000g/molの平均分子量を有するポリプロピレングリコール(PEG8000)は、以下の式
HO[CH(CH)CHO]138H または HO[CH(CH)CHO]137.6
によって表され得るか、またはそのポリプロピレングリコールは、通常の簡易表記:PEG8000によって表され得る。
【0126】
ポリプロピレングリコールの別の例は、約1,200g/mol~約20,000g/molの平均分子量を有し得、すなわち、約8,000g/molの平均分子量を有するポリプロピレングリコール、例えば、PEG8000であり得る。
【0127】
別の可溶化剤は、Polysorbate80(Tween(登録商標)80)であり、これは、ソルビトールおよびソルビトール無水物の1モルに対しておよそ20モルのエチレンオキシドと共重合した、ソルビトールおよびその無水物のオレイン酸エステルである。Polysorbate80は、ソルビタンモノ-9-オクタデカノエートポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)誘導体から構成されている。
【0128】
可溶化剤には、以下の式
HO(CHCHy1(CHCHCHO)y2(CHCHO)y3OH
を有するポロキサマーも含まれ、これは、二つのポリエチレンオキシ単位に隣接したポリプロピレンオキシ単位から構成される非イオン性ブロック共重合体である。添え字y、yおよびyは、上記ポロキサマーが約1000g/mol~約20,000g/molの平均分子量を有するような値を有する。
【0129】
賦形剤
本明細書中に開示される化合物の薬学的組成物は、本明細書中に記載される任意の薬学的化合物と、他の化学的構成要素、例えば、キャリア、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または賦形剤との組み合わせであり得る。その薬学的組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。薬学的組成物は、例えば、静脈内、硝子体内、鼻腔内、吸入、鼻吸入、口吸入、気管内、肺内、経粘膜、皮下、筋肉内、経口、直腸、エアロゾル、非経口、眼、肺、経皮、膣、耳、鼻および局所投与をはじめとする、様々な形態および経路によって、薬学的組成物として治療有効量で投与され得る。
【0130】
薬学的組成物は、必要に応じてデポーまたは徐放製剤として、例えば、器官に化合物を直接注射することによって、局所または全身に投与され得る。薬学的組成物は、急速放出製剤の形態で、持続放出製剤の形態で、または中速度(intermediate)放出製剤の形態で提供され得る。急速放出型は、即時放出を提供し得る。持続放出製剤は、制御放出または持続性の遅延放出を提供し得る。
【0131】
経口投与の場合、薬学的組成物は、活性な化合物を薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤と組み合わせることによって、容易に製剤化され得る。そのようなキャリアを使用することにより、被験体による経口摂取のための、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤などを製剤化することができる。
【0132】
経口使用のための薬学的調製物は、1種または複数種の固体賦形剤を本明細書中に記載される1種または複数種の化合物と混合し、得られた混合物を必要に応じて粉砕し、その顆粒の混合物を加工して、所望であれば好適な補助剤を加えた後に、錠剤または糖衣錠コアを得ることによって、得ることができる。コアは、好適なコーティングを伴って提供され得る。この目的上、濃縮された糖溶液を使用することができ、上記糖溶液は、賦形剤、例えば、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコールまたは二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。例えば、識別のため、または活性な化合物の用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
【0133】
経口的に使用され得る薬学的調製物には、ゼラチンから作製された押し込み型カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作製された密封軟カプセルが含まれる。いくつかの実施形態において、上記カプセルは、薬学的ゼラチン、ウシゼラチンおよび植物ゼラチンの一つまたは複数を含む硬ゼラチンカプセルを含む。ゼラチンは、アルカリ処理され得る。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに安定剤と混合した状態で活性成分を含み得る。軟カプセルにおいて、活性な化合物は、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールに溶解し得るかまたは懸濁し得る。安定剤が加えられ得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した投薬量で提供される。
【0134】
頬側または舌下投与の場合、組成物は、錠剤、舐剤またはゲル剤であり得る。
【0135】
非経口注射剤は、ボーラス注射または持続注入用に製剤化され得る。上記薬学的組成物は、油性または水性ビヒクルにおける滅菌された懸濁物、溶液またはエマルジョンとして非経口注射に適した形態であり得、製剤化剤(formulatory agents)、例えば、懸濁化剤、安定化剤または分散剤を含み得る。非経口投与のための薬学的製剤には、水溶性の形態の活性な化合物の水溶液が含まれる。活性な化合物の懸濁物は、油性の注射用懸濁物として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を高める物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含み得る。上記懸濁物は、好適な安定剤、または化合物の溶解度を高めることにより高度に濃縮された溶液の調製を可能にする作用物質も含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば、滅菌された発熱物質非含有水で構成するための粉末の形態であり得る。
【0136】
活性な化合物は、局所的に投与され得、種々の局所的に投与可能な組成物、例えば、溶液、懸濁物、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バルム剤(balms)、クリームおよび軟膏に製剤化され得る。そのような薬学的組成物は、可溶化剤、安定剤、張度向上剤、緩衝剤および保存剤を含み得る。
【0137】
活性な化合物の経皮投与に適した製剤は、経皮送達デバイスおよび経皮送達パッチを使用し得、ポリマーまたは接着剤に溶解したまたは分散した、親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液であり得る。そのようなパッチは、薬学的化合物の連続的送達、拍動性送達または応需型送達のために構築され得る。経皮送達は、イオントフォレーシスパッチを用いて達成され得る。さらに、経皮パッチは、制御送達を提供し得る。吸収速度は、律速膜を使用することによって、またはポリマーマトリックス内もしくはゲル内に化合物を捕捉することによって、遅くすることができる。逆に、吸収促進剤を用いることによって、吸収を高めることができる。吸収促進剤またはキャリアには、皮膚を通過するのを助ける吸収性の薬学的に許容され得る溶媒が含まれ得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち材、化合物およびキャリアを含むレザバー、長時間にわたって制御された所定の速度で被験体の皮膚に化合物を送達する律速バリア、ならびにそのデバイスを皮膚または眼に固定する接着剤を含む包帯の形態であり得る。
【0138】
吸入による投与の場合、活性な化合物は、エアロゾル、蒸気、ミストまたは粉末としての形態であり得る。吸入は、鼻送達、経口送達または両方を介して生じ得る。薬学的組成物は、好適な噴霧体、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、二酸化炭素、窒素、酸素または他の好適なガスを使用して、加圧パック、ネブライザーまたはアトマイザーからのエアロゾルスプレーの提示の形態で便利に送達される。ネブライザーは、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、または振動メッシュネブライザーとして使用できる。ジェットネブライザーは圧縮空気で作動する。超音波ネブライザーは、圧電トランスデューサーを使用して、開放された液体リザーバから液滴を生成する。振動メッシュネブライザーは、環状圧電素子によって作動する振動有孔膜(メッシュ)を使用する。膜の穴は、液体供給側の断面直径が広く、液滴が出てくる側の断面直径が狭い。
【0139】
加圧エアロゾルの場合、投薬量の単位は、例えば定量吸入器(MDI)を使用して、定量を送達するバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または注入器において使用するための、例えばゼラチンの、カプセルおよびカートリッジは、化合物と好適な粉末基剤、例えば、ラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含むように製剤化され得る。粉末エアロゾルは、乾燥粉末吸入器(DPI)によって投与され得る。また、エアロゾルは、フェイスマスクインターフェースによって投与され得る。これは、5歳未満の小児患者に好ましい送達経路であり得る。適した吸入デバイスの選択は、活性化合物およびその製剤の性質、目的の送達部位、および肺の病態生理学などの好みに依存する。
【0140】
鼻投与または鼻腔内投与は、鼻を介した化合物の吹送を伴い、それには点鼻剤および鼻スプレーが含まれる。この投与経路は、局所的および/または全身的な効果をもたらし得る。吸入器または吹送デバイスは、本明細書に記載される化合物の鼻から肺への送達に使用され得る。
【0141】
化合物は、従来の坐剤基剤、例えば、カカオバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンおよびPEGを含む直腸用組成物、例えば、浣腸、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー坐剤または停留浣腸としても、製剤化され得る。坐剤の形態の組成物では、低融点ろう、例えば、脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物が使用され得る。
【0142】
本明細書中に提供される処置または使用の方法を実施する際、治療有効量の本明細書中に記載される化合物が、処置される疾患または状態を有する被験体に薬学的組成物として投与される。いくつかの実施形態において、上記被験体は、哺乳動物、例えば、ヒトである。治療有効量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、ならびに他の因子に応じて大幅に変わり得る。上記化合物は、単独で、または混合物の構成要素として1種もしくは複数種の治療剤と組み合わせて、使用され得る。
【0143】
薬学的組成物は、活性な化合物を、薬学的に使用され得る調製物に加工するのを容易にする賦形剤および補助剤を含む1種または複数種の生理的に許容され得るキャリアを用いて製剤化され得る。製剤は、選択される投与経路に応じて改変され得る。本明細書中に記載される化合物を含む薬学的組成物は、例えば、混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、湿式粉砕(levigating)、乳化、カプセル封入、捕捉または圧縮プロセスによって、製造され得る。
【0144】
薬学的組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤または賦形剤、および遊離塩基もしくは薬学的に許容され得る塩の形態の、本明細書中に記載される化合物を含み得る。本明細書中に記載される方法および薬学的組成物には、結晶型(多形としても知られる)および同じタイプの活性を有するこれらの化合物の活性な代謝産物の使用が含まれる。
【0145】
本明細書中で記載される化合物を含む組成物を調製するための方法は、該化合物を1種または複数種の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤またはキャリアとともに製剤化して、固体、半固体または液体の組成物を形成する工程を含む。固体の組成物には、例えば、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤が含まれる。液体の組成物には、例えば、化合物を溶解させた溶液、化合物を含むエマルジョン、または本明細書中に開示されるような化合物を含むリポソーム、ミセルもしくはナノ粒子を含む溶液が含まれる。半固体の組成物としては、例えば、ゲル、懸濁物およびクリームが挙げられる。上記組成物は、液体の溶液もしくは懸濁物、使用前の液体への溶解または懸濁に適した固体の形態、またはエマルジョンとして存在し得る。これらの組成物は、微量の無毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤および他の薬学的に許容され得る添加物も含み得る。
【0146】
本明細書に開示される方法において使用するのに適した剤形の非限定的な例としては、飼料、食物、ペレット、舐剤、液剤、エリキシル剤、エアロゾル、吸入剤、スプレー、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、ゲル剤、ゲルタブ(geltab)、ナノ懸濁剤、ナノ粒子、マイクロゲル、坐剤、トローチ剤、水性または油性の懸濁剤、軟膏、パッチ、ローション、歯磨剤、エマルジョン、クリーム、滴剤、分散性の散剤または顆粒剤、硬または軟ゲルカプセル内のエマルジョン、シロップ剤、植物性医薬品(phytoceuticals)、栄養補助食品およびそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0147】
本明細書に開示される方法において使用するのに適した薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例としては、造粒剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、滑剤、抗接着剤、帯電防止剤、界面活性物質、抗酸化剤、ゴム、コーティング剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、可塑剤、保存剤、懸濁化剤、乳化剤、抗菌剤、植物セルロース系材料および球形化剤ならびにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0148】
本明細書に開示される化合物の組成物は、例えば、即時放出形態または制御放出製剤であり得る。即時放出製剤は、化合物の迅速な作用を可能にするように製剤化され得る。即時放出製剤の非限定的な例としては、容易に溶解可能な製剤が挙げられる。制御放出製剤は、薬物放出速度および薬物放出プロファイルが、生理学的要求および時間治療学的要求に合致し得るように適合されたか、あるいは、プログラムされた速度で薬物の放出をもたらすように製剤化された、薬学的製剤であり得る。制御放出製剤の非限定的な例としては、顆粒剤、遅延放出顆粒剤、ヒドロゲル(例えば、合成または天然起源)、他のゲル化剤(例えば、ゲル形成食物繊維)、マトリックスベースの製剤(例えば、少なくとも一つの活性成分が分散したポリマー材料を含む製剤)、マトリックス内の顆粒剤、ポリマー混合物および顆粒塊が挙げられる。
【0149】
開示される組成物は、必要に応じて、約0.001%~約0.005%(重量/体積)の薬学的に許容され得る保存剤を含み得る。好適な保存剤の一つの非限定的な例は、ベンジルアルコールである。
【0150】
いくつかにおいて、制御放出製剤は、遅延放出型である。遅延放出型は、化合物の作用を長時間にわたって遅延させるように製剤化され得る。遅延放出型は、有効用量の1種または複数種の化合物の放出を、例えば、約4、約8、約12、約16または約24時間遅延させるように製剤化され得る。
【0151】
制御放出製剤は、徐放型であり得る。徐放型は、例えば、化合物の作用を長時間にわたって持続するように製剤化され得る。徐放型は、有効用量の本明細書中に記載される任意の化合物を約4、約8、約12、約16または約24時間にわたって提供する(例えば、生理的に有効な血液プロファイルを提供する)ように製剤化され得る。
【0152】
薬学的に許容され得る賦形剤の非限定的な例は、例えば、Remington:The
Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)(これらの各々が、その全体が参照により組み込まれる)に見られる。
【0153】
本明細書に開示される方法は、例えば、Tie-2活性化物質、またはその薬学的に許容され得る塩を、薬学的に許容され得るキャリアと併用して投与することを含む。キャリアは、活性成分のあらゆる分解を最小限に抑え、被験体におけるあらゆる有害な副作用を最小限に抑えるように選択され得る。
【0154】
本明細書中に開示されるTie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩は、1種または複数種の薬学的に許容され得るキャリアから構成される薬学的組成物に便利に製剤化され得る。例えば、本明細書中に記載される化合物の製剤の調製とともに使用され得る、代表的なキャリアおよび薬学的組成物を調製する従来の方法を開示するRemington’s Pharmaceutical Sciences,最新版,E.W.Martin Mack Pub.Co.,Easton,PA(これは、本明細書中に参照により組み込まれる)を参照のこと。そのような医薬は、組成物をヒトおよび非ヒトに投与するための標準的なキャリアであり得、それらには、溶液、例えば、滅菌水、食塩水および生理学的pHの緩衝液が含まれる。他の組成物は、標準的な手順に従って投与され得る。例えば、薬学的組成物は、1種または複数種のさらなる活性成分、例えば、抗菌剤、抗炎症剤および麻酔薬も含み得る。
【0155】
薬学的に許容され得るキャリアの非限定的な例としては、食塩水、リンガー溶液およびデキストロース溶液が挙げられる。上記溶液のpHは、約5~約8であり得、約7~約7.5であり得る。さらなるキャリアとしては、徐放調製物、例えば、Tie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩を含む固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、該マトリックスは、成形された物品、例えば、フィルム、リポソーム、微小粒子およびマイクロカプセルの形態である。
【0156】
本明細書に開示される方法は、Tie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩を薬学的組成物の一部として投与することに関する。様々な実施形態において、本明細書に開示される化合物の組成物は、溶液、懸濁物またはその両方の形態の、活性な作用物質を含む液体を含み得る。液体組成物には、ゲルが含まれ得る。一つの実施形態において、液体組成物は、水性である。あるいは、上記組成物は、軟膏の形態をとり得る。別の実施形態において、上記組成物は、インサイチュゲル化可能水性組成物である。いくつかの実施形態において、上記組成物は、インサイチュゲル化可能水溶液である。
【0157】
薬学的製剤は、本明細書中に開示される化合物に加えて、さらなるキャリアならびに増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤および界面活性剤を含み得る。薬学的製剤は、1種または複数種のさらなる活性成分、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬なども含み得る。
【0158】
賦形剤は、不活性な充填剤と同程度に単純かつ直接的な役割を務め得るか、または本明細書中で使用されるような賦形剤は、上記成分を胃に安全に送達するのを保証するpH安定化系またはコーティングの一部であり得る。
【0159】
Tie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩は、活性な治療剤をエアロゾルの形態で、身体の腔、例えば、鼻、咽喉または気管支の通路に送達するための液体、エマルジョンまたは懸濁物としても存在し得る。これらの調製物におけるTie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩と他の配合剤との比は、剤形が要求する場合に変わり得る。
【0160】
意図される投与様式に応じて、本明細書に開示される方法の一部として投与される薬学的組成物は、固体、半固体または液体の剤形、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤、ローション、クリーム、ゲルの形態、例えば、正確な投薬量の単一投与に適した単位剤形であり得る。上記組成物は、上で述べたように、有効量のTie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩を薬学的に許容され得るキャリアとともに含み得、さらに、他の薬剤、医薬品、キャリア、佐剤、希釈剤などを含み得る。
【0161】
固体組成物の場合、無毒性の固体キャリアとしては、例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムが挙げられる。一つの実施形態において、Tie-2活性化物質または薬学的に許容され得るその塩を、0.1mLの液体あたりおよそ4mgの量で含む組成物が、調製される。その液相は、滅菌水および適切な量のサッカライドまたは多糖を含む。
【0162】
薬学的組成物
本明細書中に記載される化合物を含む薬学的組成物は、予防的処置または治療的処置のために投与され得る。組成物は任意の数の活性剤を含み得る。治療的用途において、上記組成物は、疾患または状態にすでに罹患している被験体に、上記疾患もしくは状態を治癒するのに十分か、またはその疾患もしくは状態の症状を少なくとも部分的に停止するのに十分か、またはその疾患もしくは状態を治癒するか、治すか、改善するか、低減させるか、低下させるかもしくは回復させるのに十分な量で、投与され得る。化合物は、状態を発症する可能性、状態にかかる可能性または状態を悪化させる可能性を低下または低減させるためにも投与され得る。この使用にとって有効な量は、上記疾患または状態の重症度および経過、以前の治療、被験体の健康状態、体重、薬物に対する応答、ならびに処置している医師の判断に基づいて変わり得る。
【0163】
複数種の治療剤が、任意の順序でまたは同時に投与され得る。同時の場合、上記複数種の治療剤は、単一の一体化した形態、または複数の形態、例えば、複数の別個の丸剤または注射として、提供され得る。上記化合物は、単一の包装または複数の包装の中に、共にまたは別々に包装され得る。上記治療剤の1種またはすべてが、複数回投与で投与され得る。同時でない場合、複数回投与の間のタイミングは様々であり得る。
【0164】
本開示の化合物および組成物は、キットとしてまとめられ得る。いくつかの実施形態において、本開示は、キットを提供し、該キットは、本明細書中に開示される化合物または薬学的に許容され得るその塩、および本明細書中に記載される状態の処置においてそのキットを使用する際の書面での指示を備える。いくつかの実施形態において、本開示は、キットを提供し、該キットは、本明細書中に開示される化合物または薬学的に許容され得るその塩、抗体、および本明細書中に記載される状態の処置においてそのキットを使用する際の書面での指示を備える。
【0165】
投与および投薬量
本明細書に開示される化合物は、皮下または静脈内注射を介して投与することができる。注射の体積は、約0.1mL、約0.2mL、約0.3mL、約0.4mL、約0.5mL、約0.6mL、約0.7mL、約0.8mL、約0.9mL、約1mL、約1.1mL、約1.2mL、約1.3mL、約1.4mL、約1.5mL、約1.6mL、約1.7mL、約1.8mL、約1.9mL、約2mL、約2.1mL、約2.2mL、約2.3mL、約2.4mL、約2.5mL、約2.6mL、約2.7mL、約2.8mL、約2.9mL、または約3mLであり得る。被験体に投与される個々の用量は、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、または約50mgであり得る。
【0166】
本明細書中に記載される薬学的組成物は、正確な投薬量の単一投与に適した単位剤形であり得る。単位剤形において、上記製剤は、適切な量の1種または複数種の化合物を含む単位用量に分割される。その単位剤形は、別々の量の製剤を含む包装の形態であり得る。非限定的な例は、包装された注射剤、バイアルまたはアンプルである。水性懸濁物組成物は、単回投与用の再び密閉できない容器に包装され得る。複数回投与用の再び密閉できる容器も、例えば、保存剤と併用してまたは保存剤なしで、使用され得る。非経口注射用の製剤は、単位剤形、例えば、アンプルとして、または保存剤を含む複数回投与用の容器の中に、提供され得る。
【0167】
本明細書中に記載されるTie-2活性化物質は、約1mg~約5mg、約5mg~約10mg、約10mg~約15mg、約15mg~約20mg、約20mg~約25mg、約25mg~約30mg、約30mg~約35mg、約35mg~約40mg、約40mg~約45mg、約45mg~約50mg、約50mg~約55mg、約55mg~約60mg、約60mg~約65mg、約65mg~約70mg、約70mg~約75mg、約75mg~約80mg、約80mg~約85mg、約85mg~約90mg、約90mg~約95mg、約95mg~約100mg、約100mg~約125mg、約125mg~約150mg、約150mg~約175mg、約175mg~約200mg、約200mg~約225mg、約225mg~約250mgまたは約250mg~約300mgの範囲で組成物中に存在し得る。
【0168】
本明細書中に記載されるTie-2活性化物質は、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mgまたは約300mgの量で組成物中に存在し得る。
【0169】
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、約0.5μg、約1μg、約2μg、約3μg、約4μg、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約20μg、約30μg、約40μg、約50μg、約60μg、約70μg、約80μg、約90μg、約100μg、約150μg、約200μg、約250μg、約300μg、約350μg、約400μg、約450μg、約500μg、約550μg、約600μg、約650μg、約700μg、約750μg、約800μg、約850μg、約900μg、約950μg、約1mg、約1.1mg、約1.2mg、1.3mg、約1.4mg、約1.5mg、約1.6mg、約1.7mg、約1.8mg、約1.9mg、または約2mgの量で組成物中に存在し得る。
【0170】
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、約0.1mg/kg~約500mg/kg、約1mg/kg~約500mg/kg、約0.1mg/kg~約300mg/kg、約1mg/kg~約300mg/kg、または約0.1mg/kg~約30mg/kgの量で被験体に投与され得る。いくつかの実施形態において、Tie-2活性化物質は、被験体あたり約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kg、約16mg/kg、約17mg/kg、約18mg/kg、約19mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、約100mg/kg、約120mg/kg、約150mg/kg、約160mg/kg、約180mg/kg、約200mg/kg、約240mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約360mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、または約600mg/kgの量で被験体に投与される。
【0171】
本明細書に記載される化合物は、疾患または状態が発生する前、発生している間、または発生した後に投与され得、化合物を含む組成物を投与するタイミングは、様々であり得る。例えば、化合物は、予防薬として使用され得、状態または疾患の傾向を有する被験体に、該疾患または状態が発生する可能性を低下または低減させるために連続的に投与され得る。化合物および組成物は、症状が発生している間、またはその症状が発生した後できるだけ早く、被験体に投与され得る。化合物の投与は、症状の発生の最初の48時間以内、症状の発生の最初の24時間以内、症状の発生の最初の6時間以内、または症状の発生の3時間以内に開始され得る。最初の投与は、任意の実用的な経路を介して、例えば、本明細書中に記載される任意の経路によって、本明細書中に記載される任意の製剤を用いて行われ得る。
【0172】
化合物は、疾患または状態の発生が検出された後または疑われた後にできる限り早く、かつその疾患の処置に必要な長さの時間、例えば、約1か月間~約3か月間にわたって投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物が投与され得る時間の長さは、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約2か月、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約3か月、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約4か月、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約5か月、約21週間、約22週間、約23週間、約24週間、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約1年、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、約18か月、約19か月、約20か月、約21か月、約22か月約23か月、約2年、約2.5年、約3年、約3.5年、約4年、約4.5年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年または約10年、約11年、約12年、約13年、約14年、約15年、約16年、約17年、約18年、約19年、約20年、約21年、約22年、約23年、約24年、または約25年であり得る。処置の長さは、被験体ごとに異なり得る。
【0173】
本明細書に記載される化合物を投与するための投与スケジュールとしては、1日1回(QD)、1日2回(BID)、1日3回(TID)、1日4回(QID)、週に1回、週に2回、週に3回、月に1回、月に2回、および隔月に1回が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
Tie-2活性化物質による被験体の処置
本明細書には、例えば、ARDS、肺傷害、呼吸不全および肺炎症に苦しむ被験体をTie-2の活性化物質またはHPTPβの阻害剤で処置するための方法が開示される。その被験体は、ヒトであり得る。処置は、臨床試験においてヒトを処置することを含み得る。処置は、本開示全体に記載される1つまたはそれを超えるTie-2の活性化物質を含む薬学的組成物を被験体に投与することを含み得る。処置は、Tie-2分子のリン酸化を促進する治療を被験体に施すことを含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される適応症の処置において使用するためのTie-2活性化物質を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、本明細書に開示される適応症を処置するための医薬の製造において使用するためのTie-2活性化物質を提供する。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、混合物の成分として単独でまたは1つもしくはそれを超える治療薬と組み合わせて使用するためのTie-2活性化物質を提供する。例えば、本開示のTie-2活性化物質は、抗体、例えば抗VEGF剤と共製剤化または共投与することができる。抗VEGF剤は、化合物、抗体、もしくはその抗体断片、バリアント、または誘導体であり得る。抗VEGF剤の非限定的な例としては、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))およびアフリベルセプト(Eylea(登録商標))が挙げられる。いくつかの実施形態において、本開示のTie-2活性化物質は、非炎症剤(non-inflammatory agent)、例えばVEGF調節剤と共製剤化または共投与することができる。VEGF調節剤の非限定的な例としては、例えば、デキサメタゾン、フルオシノロンおよびトリアムシノロンが挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、抗VEGF、またはVEGF調節剤による処置の前、間、または後に使用することができる。
【0176】
投与される可能性のある被験体の非限定的な例としては、以下が挙げられる。被験体は、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、チンパンジーならびに他の類人猿およびサル種);農場動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギおよびブタ);家庭動物(例えば、ウサギ、イヌおよびネコ);および実験動物(ラット、マウスおよびモルモットを含む)であり得る。被験体は、任意の年齢であり得る。被験体は、例えば、高齢者、成年、青年、前青年期の者(pre-adolescent)、小児、幼児、乳児および新生児であり得る。
【0177】
併用療法
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、肺傷害、ARDS、またはCOVID-19を処置するための1つもしくはそれを超える更なる治療または治療薬と共製剤化または共投与することができる。例えば、併用治療は、ウイルス複製を阻害する薬剤、例えば、抗炎症剤、抗サイトカイン剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、またはスタチンと組み合わせて、内皮を安定化させるTie-2活性化物質を含み得る。
【0178】
組み合わせは、連続的に、同時に、単一剤形で、または別々の剤形で投与することができる。更なる治療の非限定的な例としては、酸素補充(例えば、機械換気)、体外式膜型人工肺(ECMO)が挙げられる。更なる治療薬の非限定的な例としては、Ang-1活性化物質、Ang-1アゴニスト、Ang-1ペプチドアゴニスト、Ang-1模倣薬、Ang-1抗体、Ang-1抗体アゴニスト、Ang-2阻害剤、Ang-2アンタゴニスト、Ang-2模倣薬、Ang-2抗体、Ang-2ペプチドアンタゴニスト、Ang-2抗体アンタゴニスト、抗炎症剤、抗サイトカイン剤、免疫調節剤、インターロイキンアンタゴニスト、ACE阻害剤、スタチン、ステロイド、コルチコステロイド、IL-6阻害剤、IL-2阻害剤、JAK阻害剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗寄生生物剤、利尿剤、気管支拡張剤、プロスタグランジンアゴニスト、プロスタグランジン類似体、エポプロステノール、アルプロスタジル、血管拡張剤、および血管収縮剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、更なる治療薬は、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、アジスロマイシン、トシリズマブ、アカラブルチニブ、トファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、アナキンラ、マブリリムマブ、サリルマブ、ロピナビル、リトナビル、イオピナビル、インターフェロン-β、オセルタミビル、ファビピラビル、ウミフェノビル、ガリデシビル、コルヒチン、イベルメクチン、またはアスコルビン酸である。
【0179】
いくつかの実施形態において、更なる治療薬は、回復期血漿、過免疫グロブリン(hyperimmune globulin)、COVID-19に対するヒト免疫グロブリン(COVID19-HIG)、またはSARS-CoV-2特異的モノクローナル抗体である。回復期血漿は、COVID-19から回復した患者から得られた血漿である。回復した患者からの抗体含有血漿は、COVID-19に罹患している患者に静脈内輸液によって投与することができる。ドナー抗体は、例えばウイルス粒子の認識によって、疾患の重症度を軽減するのを助けることができる。
【0180】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、レムデシビルと組み合わせて投与することができる。レムデシビルは、ウイルスRNA合成を阻害するRNAポリメラーゼ阻害剤である。レムデシビルは、エボラウイルス疾患の処置に使用されている。レムデシビルは、細胞培養および動物モデルにおいて、SARS-CoV、MERS-CoVおよびSARS-CoV-2に対して活性を示す。レムデシビルは、体内のコロナウイルスの量を減少させることによって、COVID-19を有する被験体における回復までの時間を短縮することができる。
【0181】
レムデシビルは、例えば、緊急使用または治験使用として、COVID-19の有効な処置であり得る。レムデシビルは、疑われるかまたは実験室で確認されたCOVID-19および室内空気中でSpO2≦94%と定義される重度の疾患を有し、酸素補給、機械換気、またはECMOを必要とする成人および小児を処置するために使用することができる。レムデシビルは、医療提供者による静脈内注入を介して患者の病院環境で投与することができる。レムデシビルは、最大10日間にわたって毎日1回静脈(静脈内またはIV)投与することができる。
【0182】
レムデシビル処置の非限定的な副作用としては、以下のものが挙げられる:
・注入関連反応。注入関連反応は、レムデシビル注入中またはレムデシビルが投与された頃に見られた。注入関連反応の徴候および症状としては、低血圧、悪心、嘔吐、発汗、および震えを挙げることができる。
・肝臓酵素のレベルの増加。レムデシビルを投与された人では肝臓酵素のレベルの上昇が見られており、これは肝臓の炎症または細胞の損傷の徴候であり得る。血液検査は、レムデシビルを投与する前およびレムデシビルを投与している間毎日、肝臓酵素レベルを調べるために医療提供者によって実施され得る。
・注射部位での短時間の痛み、出血、皮膚のあざ、うずき、腫れ、および感染の可能性。
【0183】
注射用のレムデシビル(100mg)は、19mLの注射用滅菌水で再構成され、静脈内投与前に0.9%生理食塩水に希釈される滅菌された防腐剤非含有凍結乾燥固体である。再構成後、単回用量の透明ガラスバイアルは、20mLの回収を可能にするのに十分な体積を有する5mg/mLのレムデシビル濃縮溶液を含有する。レムデシビル注射液(5mg/mL)は、静脈内投与前に0.9%生理食塩水に希釈される滅菌された防腐剤を含まない透明な溶液である。
【0184】
注射用のレムデシビル(100mgバイアル)は、使用時まで30℃未満で保存すべきである。レムデシビル注射液(5mg/mLバイアル)は、使用時まで冷蔵温度(2℃~8℃)で保存すべきである。0.9%生理食塩水で希釈した後、溶液を室温(20℃~25℃)で最大4時間または冷蔵温度(2℃~8℃)で24時間保存することができる。
【0185】
いくつかの実施形態において、Tie-2活性化物質は、Ang-1活性化物質、Ang-1模倣物、Ang-1抗体、またはAng-1ポリペプチドである。いくつかの実施形態において、Tie-2活性化物質はMAN-01である。
【0186】
薬力学的および薬物動態学的パラメータ
薬物動態学的および薬力学的データは、様々な実験技術によって得ることができる。特定の組成物を記載する適切な薬物動態学的および薬力学的プロファイル成分は、異なる被験体におけるTie-2活性化物質の代謝の変動に起因して変動し得る。薬物動態学的および薬力学的プロファイルは、被験体の群の平均パラメータの決定に基づくことができる。被験体の群には、代表的な平均値を決定するのに適した任意の合理的な数の被験体、例えば、5人の被験体、10人の被験体、15人の被験体、20人の被験体、25人の被験体、30人の被験体、35人の被験体またはそれを超える被験体を含む。平均値は、測定された各パラメータについてすべての被験体の測定値の平均を計算することによって決定される。
【0187】
治療は、より低い投薬量で特定の生物学的または生化学的機能を阻害するために使用することができる。用量は、本明細書に記載されるように、所望の薬物動態学的または薬力学的プロファイル、例えば所望のまたは有効な血液プロファイルを達成するように調節することができる。50%阻害濃度(IC50)は、特定の生物学的または生化学的機能を阻害する際の物質の有効性の尺度である。この定量的尺度は、HPTPβの活性などの所与の生物学的プロセスを半分阻害するために、特定の薬物または化合物がどの程度必要であるかを示す。併用薬物処置は、単剤療法と比較してより低いIC50値を示し得る。
【0188】
ヒト被験体を治療で処置することの転帰は、薬力学的および薬物動態学的パラメータを計算することによって測定することができる。本開示の治療による被験体の処置の効果を決定するために使用することができる薬力学的および薬物動態学的パラメータの非限定的な例としては、a)用量Dとして表すことができる、投与された薬物の量;b)τとして表すことができる投与間隔;c)分布の体積V(ここで、V=D/C)として表すことができる、薬物が分布している見かけ体積;d)濃度CまたはCssとして表すことができる、所与の体積の組織中の薬物の量(CまたはCss=D/V);e)薬物の半減期t1/2(ここで、t1/2=ln(2)/k;f)薬物が身体から除去される速度k(ここで、k=ln(2)/t1/2=CL/V);g)式Kinのバランスをとるのに必要な注入速度(ここで、Kin=CssCL);h)単回用量の投与後の濃度ー時間曲線の積分であって、これはAUC0-∞
【数1】
として表すことができ、または定常状態で、AUCτ,ss
【数2】
として表すことができる;i)CL(クリアランス)として表すことができる単位時間当たりの薬物が除去された組織の体積(ここで、CL=V=D/AUC);j)f、ここで、
【数3】
として表すことができる、薬物の全身的に利用可能な画分;k)投与後の薬物のピーク組織濃度Cmax;l)薬物がCmax、Tmaxに達するのにかかる時間;m)次の用量が投与される前に薬物が到達する最低濃度Cmin;n)
【数4】
ここで、
【数5】
として表すことができる、定常状態での1つの投与間隔内のピークトラフ変動が挙げられる。
【0189】
薬物動態学的パラメータは、本開示の治療の組織濃度プロファイルを説明するのに適した任意のパラメータであり得る。例えば、薬物動態プロファイルは、例えば、約0分、約1分、約2分、約3分、約4分、約5分、約6分、約7分、約8分、約9分、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、約20分、約21分、約22分、約23分、約24分、約25分、約26分、約27分、約28分、約29分、約30分、約31分、約32分、約33分、約34分、約35分、約36分、約37分、約38分、約39分、約40分、約41分、約42分、約43分、約44分、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約0時間、約0.5時間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約12.5時間、約13時間、約13.5時間、約14時間、約14.5時間、約15時間、約15.5時間、約16時間、約16.5時間、約17時間、約17.5時間、約18時間、約18.5時間、約19時間、約19.5時間、約20時間、約20.5時間、約21時間、約21.5時間、約22時間、約22.5時間、約23時間、約23.5時間、または約24時間の投薬後の時点で、取得することができる。
【0190】
薬物動態パラメータは、Tie-2の低分子活性化物質を記載するために好適な任意のパラメータであり得る。Cmaxは、例えば、約1ng/mL以上;約2ng/mL以上;約3ng/mL以上;約4ng/mL以上;約5ng/mL以上;約6ng/mL以上;約7ng/mL以上;約8ng/mL以上;約9ng/mL以上;約10ng/mL以上;約15ng/mL以上;約20ng/mL以上;約25ng/mL以上;約50ng/mL以上;約75ng/mL以上;約100ng/mL以上;約200ng/mL以上;約300ng/mL以上;約400ng/mL以上;約500ng/mL以上;約600ng/mL以上;約700ng/mL以上;約800ng/mL以上;約900ng/mL以上;約1000ng/mL以上;約1250ng/mL以上;約1500ng/mL以上;約1750ng/mL以上;約2000ng/mL以上;または本明細書に記載されるTie-2の活性化物質の薬物動態プロファイルを記載するために適切な任意の他のCmaxであり得る。Cmaxは、例えば、約1ng/mL~約5,000ng/mL;約1ng/mL~約4,500ng/mL;約1ng/mL~約4,000ng/mL;約1ng/mL~約3,500ng/mL;約1ng/mL~約3,000ng/mL;約1ng/mL~約2,500ng/mL;約1ng/mL~約2,000ng/mL;約1ng/mL~約1,500ng/mL;約1ng/mL~約1,000ng/mL;約1ng/mL~約900ng/mL;約1ng/mL~約800ng/mL;約1ng/mL~約700ng/mL;約1ng/mL~約600ng/mL;約1ng/mL~約500ng/mL;約1ng/mL~約450ng/mL;約1ng/mL~約400ng/mL;約1ng/mL~約350ng/mL;約1ng/mL~約300ng/mL;約1ng/mL~約250ng/mL;約1ng/mL~約200ng/mL;約1ng/mL~約150ng/mL;約1ng/mL~約125ng/mL;約1ng/mL~約100ng/mL;約1ng/mL~約90ng/mL;約1ng/mL~約80ng/mL;約1ng/mL~約70ng/mL;約1ng/mL~約60ng/mL;約1ng/mL~約50ng/mL;約1ng/mL~約40ng/mL;約1ng/mL~約30ng/mL;約1ng/mL~約20ng/mL;約1ng/mL~約10ng/mL;約1ng/mL~約5ng/mL;約10ng/mL~約4,000ng/mL;約10ng/mL~約3,000ng/mL;約10ng/mL~約2,000ng/mL;約10ng/mL~約1,500ng/mL;約10ng/mL~約1,000ng/mL;約10ng/mL~約900ng/mL;約10ng/mL~約800ng/mL;約10ng/mL~約700ng/mL;約10ng/mL~約600ng/mL;約10ng/mL~約500ng/mL;約10ng/mL~約400ng/mL;約10ng/mL~約300ng/mL;約10ng/mL~約200ng/mL;約10ng/mL~約100ng/mL;約10ng/mL~約50ng/mL;約25ng/mL~約500ng/mL;約25ng/mL~約100ng/mL;約50ng/mL~約500ng/mL;約50ng/mL~約100ng/mL;約100ng/mL~約500ng/mL;約100ng/mL~約400ng/mL;約100ng/mL~約300ng/mL;または約100ng/mL~約200ng/mLであり得る。
【0191】
本明細書に記載されるTie-2の活性化物質のTmaxは、例えば、約0.1時間、約0.2時間、約0.3時間、約0.4時間、約0.5時間以下、約1時間以下、約1.5時間以下、約2時間以下、約2.5時間以下、約3時間以下、約3.5時間以下、約4時間以下、約4.5時間以下、約5時間以下、または本明細書に記載されるTie-2の活性化物質の薬物動態プロファイルを記載するために適切な任意の他のTmaxであり得る。Tmaxは、例えば、約0.1時間~約24時間;約0.1時間~約0.5時間;約0.5時間~約1時間;約1時間~約1.5時間;約1.5時間~約2時間;約2時間~約2.5時間;約2.5時間~約3時間;約3時間~約3.5時間;約3.5時間~約4時間;約4時間~約4.5時間;約4.5時間~約5時間;約5時間~約5.5時間;約5.5時間~約6時間;約6時間~約6.5時間;約6.5時間~約7時間;約7時間~約7.5時間;約7.5時間~約8時間;約8時間~約8.5時間;約8.5時間~約9時間;約9時間~約9.5時間;約9.5時間~約10時間;約10時間~約10.5時間;約10.5時間~約11時間;約11時間~約11.5時間;約11.5時間~約12時間;約12時間~約12.5時間;約12.5時間~約13時間;約13時間~約13.5時間;約13.5時間~約14時間;約14時間~約14.5時間;約14.5時間~約15時間;約15時間~約15.5時間;約15.5時間~約16時間;約16時間~約16.5時間;約16.5時間~約17時間;約17時間~約17.5時間;約17.5時間~約18時間;約18時間~約18.5時間;約18.5時間~約19時間;約19時間~約19.5時間;約19.5時間~約20時間;約20時間~約20.5時間;約20.5時間~約21時間;約21時間~約21.5時間;約21.5時間~約22時間;約22時間~約22.5時間;約22.5時間~約23時間;約23時間~約23.5時間;または約23.5時間~約24時間であり得る。
【0192】
本明細書に記載されるTie-2の活性化物質のAUC(0-inf)またはAUC(last)は、例えば、約1ng・hr/mL以上、約5ng・hr/mL以上、約10ng・hr/mL以上、約20ng・hr/mL以上、約30ng・hr/mL以上、約40ng・hr/mL以上、約50ng・hr/mL以上、約100ng・hr/mL以上、約150ng・hr/mL以上、約200ng・hr/mL以上、約250ng・hr/mL以上、約300ng・hr/mL以上、約350ng・hr/mL以上、約400ng・hr/mL以上、約450ng・hr/mL以上、約500ng・hr/mL以上、約600ng・hr/mL以上、約700ng・hr/mL以上、約800ng・hr/mL以上、約900ng・hr/mL以上、約1000ng・hr/mL以上、約1250ng・hr/mL以上、約1500ng・hr/mL以上、約1750ng・hr/mL以上、約2000ng・hr/mL以上、約2500ng・hr/mL以上、約3000ng・hr/mL以上、約3500ng・hr/mL以上、約4000ng・hr/mL以上、約5000ng・hr/mL以上、約6000ng・hr/mL以上、約7000ng・hr/mL以上、約8000ng・hr/mL以上、約9000ng・hr/mL以上、約10,000ng・hr/mL以上、または本明細書に記載されるTie-2の活性化物質の薬物動態プロファイルを記載するために適切な任意の他のAUC(0-inf)であり得る。Tie-2の活性化物質のAUC(0-inf)は、例えば、約1ng・hr/mL~約10,000ng・hr/mL;約1ng・hr/mL~約10ng・hr/mL;約10ng・hr/mL~約25ng・hr/mL;約25ng・hr/mL~約50ng・hr/mL;約50ng・hr/mL~約100ng・hr/mL;約100ng・hr/mL~約200ng・hr/mL;約200ng・hr/mL~約300ng・hr/mL;約300ng・hr/mL~約400ng・hr/mL;約400ng・hr/mL~約500ng・hr/mL;約500ng・hr/mL~約600ng・hr/mL;約600ng・hr/mL~約700ng・hr/mL;約700ng・hr/mL~約800ng・hr/mL;約800ng・hr/mL~約900ng・hr/mL;約900ng・hr/mL~約1,000ng・hr/mL;約1,000ng・hr/mL~約1,250ng・hr/mL;約1,250ng・hr/mL~約1,500ng・hr/mL;約1,500ng・hr/mL~約1,750ng・hr/mL;約1,750ng・hr/mL~約2,000ng・hr/mL;約2,000ng・hr/mL~約2,500ng・hr/mL;約2,500ng・hr/mL~約3,000ng・hr/mL;約3,000ng・hr/mL~約3,500ng・hr/mL;約3,500ng・hr/mL~約4,000ng・hr/mL;約4,000ng・hr/mL~約4,500ng・hr/mL;約4,500ng・hr/mL~約5,000ng・hr/mL;約5,000ng・hr/mL~約5,500ng・hr/mL;約5,500ng・hr/mL~約6,000ng・hr/mL;約6,000ng・hr/mL~約6,500ng・hr/mL;約6,500ng・hr/mL~約7,000ng・hr/mL;約7,000ng・hr/mL~約7,500ng・hr/mL;約7,500ng・hr/mL~約8,000ng・hr/mL;約8,000ng・hr/mL~約8,500ng・hr/mL;約8,500ng・hr/mL~約9,000ng・hr/mL;約9,000ng・hr/mL~約9,500ng・hr/mL;または約9,500ng・hr/mL~約10,000ng・hr/mLであり得る。
【実施例
【0193】
実施例1.HPTPβに対する阻害活性を有する化合物。
例示的な化合物のHPTPβ IC50(μM)活性の非限定的な例を表3に列挙する。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【表3-19】
【表3-20】
【表3-21】
【表3-22】
【表3-23】
【表3-24】
【表3-25】
【表3-26】
【0194】
実施例2 VE-PTPは、ARDS肺微小血管構造のストレスを受けた内皮において誘導される。
VE-PTPは、ARDSの重要な病理であるストレスを受けた内皮において誘導される。したがって、ARDS肺微小血管構造は、HPTPβ/VE-PTP阻害剤の有望な標的である。図3は、ARDSにおけるTie-2およびVE-PTPの病態生理学的関連性を示す。図3のパネルAは、ヒト由来のVE-PTPのRNA発現データを示す:各株は細胞型または組織を表し、右への偏向の程度は発現レベルを表す。ストレスが存在しない場合でさえも、VE-PTPは肺において最も高度に発現される。図3のパネルBは、対照マウスと比較したAkita/Ren糖尿病性高血圧マウスの全肺溶解物から免疫沈降したVE-PTP(上のパネル)またはTie2(下のパネル)の免疫ブロットおよび対応するタンパク質発現レベルを示す。VE-PTP条件付きノックアウトは、Akita/RenマウスにおいてTie2活性化を回復させた(左下パネルの最後のレーン)。図3のパネルCは、VE-PTPが内皮の標準的なストレッサーである低酸素によって誘導されることを実証する培養内皮細胞からの溶解物のウエスタンブロット解析を示す。この解析は、VE-PTPが低酸素(COVID-19およびARDSに関連する内皮の標準的なストレッサー)によって誘導されることを実証する。HPTPβ/VE-PTP阻害は、Tie-2活性化を回復させて、ストレスを受けた脈管構造を安定化することができる。
【0195】
実施例3 HPTPβ阻害剤によるリガンド非依存性Tie-2活性化および肺血管漏出からの標的化保護
肺血管漏出を、本明細書中に記載されるHPTPβ阻害剤である化合物1を使用して評価した。培養内皮細胞に適用した場合、化合物1はリガンド非依存性Tie-2活性化を達成し、Ang-1が内皮細胞低酸素時にそうすることができなかった場合でさえも該Tie-2を活性化した(図4のパネルA)。
【0196】
化合物1の効果を、炎症性肺血管漏出のマウスモデルにおいても評価した。対照siRNAまたはTie-2 siRNAで処置したマウスを、グラム陰性エンドトキシン、リポ多糖(LPS)(図4のパネルB)によって誘導された肺血管漏出について解析した。LPSは、両群のマウスにおいて肺血管漏出を増加させた。しかしながら、化合物1は、Tie-2が人工的に抑制されなかった場合、LPS誘導性血管漏出に対抗するだけであった。この結果は、化合物1がTie-2依存的に作用して炎症性肺血管漏出を減少させることを実証した。
【0197】
また、VE-PTPに対する化合物1の効果を、VE-PTPの誘導性内皮細胞ノックアウトマウスにおいてインビボで評価した(Cdh5-CreERT2:PTPR-βlox/lox、以降「iECKO-VE-PTP」)。同腹仔子対照(PTPR-βlox/lox)と比較して、iECKO-VE-PTPマウスは、2つの無関係な炎症性透過性トリガーであるヒスタミンおよびVEGFに応答して、より少ない血管漏出を示した。さらに、化合物1は対照マウスにおいて炎症性血管漏出を減少させたが、内皮VE-PTPを欠くマウスは化合物1の処置で漏出の更なる減少を示さなかった(図4のパネルC)。まとめると、これらの結果は、(a)化合物1が、ストレスを受けた内皮においてTie-2の強力な活性化物質であり、(b)化合物1は、特にVE-PTPを介して作用してTie-2シグナル伝達を増強することによって、インビボでの炎症性血管漏出を減少させることを実証している。
【0198】
図4のパネルAは、Ang-1およびAng-2リガンドの非存在下での化合物1によるTie-2活性化(p-Tyr)、ならびにAng-1誘導Tie-2およびAng-2誘導Tie-2の増強を実証する培養内皮細胞溶解物のウエスタンブロット解析を示す。したがって、化合物1は、リガンド非依存性Tie-2活性化を達成し、高度に標的化された様式で哺乳動物の血管漏出を相殺した。図4のパネルBは、siRNA対Tie-2によって示されるように、化合物1がLPS誘導性肺血管漏出に対抗するためにTie-2発現が必要であることを示す。図4のパネルCは、VE-PTP(Ptprb)の条件的欠失が、VEGFまたはヒスタミンによって誘導されるマウスにおいて血管漏出に対抗するための化合物1(Cpd1)の要件を実証することを示す。
【0199】
化合物1はまた、呼吸不全に寄与するCOVID-19肺病態の2つの重要な構成要素である肺におけるLPS媒介血管漏出および白血球遊走(好中球およびリンパ球)を減少させた。化合物1はまた、COVID-19における不良転帰に関連するサイトカインストームに関連すると考えられるIL2誘導性サイトカインストームのマウスモデルにおいて肺毒性を軽減し、生存を改善した。さらに、化合物1を介したVE-PTP阻害は、糖尿病性腎症、LPS誘導性急性腎障害および脳虚血のモデルにおいて転帰を改善し、肺外の重要な血管床においてTie-2活性化を回復させる潜在的な利点を示している。化合物1はまた、Ang-1およびAng-2の両方のTie-2アゴニスト特性を増強し、低酸素内皮細胞におけるTie-2活性化およびアンジオポエチン応答性を回復させた。これらの結果は、呼吸不全を有するCOVID-19患者におけるTie-2活性化の利益を示唆する。
【0200】
実施例4 インビボでの敗血症に対する化合物1の効果
図5に示すように、敗血症の盲腸結紮穿刺(CLP)モデルは、全身麻酔下で開腹手術を行い、続いて針穿刺による盲腸結腸切除の作製と併せて盲腸の一部を結紮することを含む。このモデルは、1)組織に対する外科的外傷、2)結紮した盲腸からの虚血組織、および3)針穿刺後の糞便流出からの多菌性敗血症をもたらす。
【0201】
敗血症では、Ang-2レベルの上昇は血管漏出および死亡と相関する。化合物1(Cpd 1)を使用して、インビボで敗血症に対する効果を評価した。盲腸結紮前に雄のSprague Dawleyラットを16時間絶食させた。盲腸を外科的に露出させ、次いで、回盲弁の下で結紮した。切除した盲腸に16G針を用いて2回穿刺した。糞便材料を、動物の縫合および輸液による蘇生の前に絞り出すことによって排出した。24時間後、壊死した盲腸を摘出し、腹腔内を洗浄し、再度動物を縫合した。次いで、薬物処置を1~5日目に1日2回(BID)皮下投与した(n=16/群)。体重および死亡率を10日間モニタリングした。広域スペクトル抗生物質イミペネム(IM)を陽性対照として使用した。動物を4つの群に分けた:ビヒクル対照、Cpd 1(10mg/kg)、Cpd 1(10mg/kg)+IM(20mg/kg)、およびIM(20mg/kg)。得られた生存率を図6に示す。ビヒクル処置対照は、100%の生存(16/16;p=0.001)を有するCpd 1群および94%の生存(15/16;p=0.007)を有するCpd 1+IMに対して50%の生存(8/16)を示した。IM処置群における81%の生存は、ビヒクル対照と比較して統計学的有意性(13/16;p=0.06)に達した。生存の結果をカプラン・マイヤー法によって解析し、ログランク検定によって比較した。結果は、HPTPβ阻害が多菌性敗血症性ショックに対する有効な治療法であり得ることを示している。
【0202】
実施例5 ヒトにおける化合物1の皮下製剤の評価
臨床薬物動態
第1相試験を実施して、糖尿病性黄斑浮腫(DME)を有する被験体における28日間反復SC用量の化合物1の薬物動態(PK)効果を評価した。4つの用量コホートに、それぞれ5、15、22.5および30mgの化合物1をBIDで投与した。1日目および14日目に朝用量を投与した後、4時間にわたって血漿試料を収集した。得られた平均血漿中濃度-時間プロファイルを図7に示す。図に示すすべてのプロファイルについて、BIDレジメンの朝用量後にのみ試料を収集した。14日目の朝用量後の化合物1の平均(SD)PKパラメータを表3に要約している。22.5mg用量群のPK試料を14日目の用量のみ収集した。
【0203】
ヒトへのSC注射後の化合物1の吸収は迅速であり、平均Tmaxは0.3時間~0.5時間の範囲であった。血漿濃度-時間プロファイルは、急激なTmaxの後に急速に低下し、比較的短かいT1/2は約1時間であった。AUC0-infは、化合物1の用量の増加と共に用量比例的に増加した。化合物1の尿排泄は、すべての用量群について用量の約9~13%であった。これらの結果は、DMEを有する被験体における血漿曝露の用量関連増加を裏付けている。
【表3-27】
【0204】
臨床的有効性
VE-PTPの阻害は、Ang-1(アゴニスト)またはAng-2(アンタゴニスト)の細胞外レベルに関係なくTie-2を活性化することができ、したがって、ARDSに罹患している患者においてTie-2活性化を回復させるための効率的な薬理学的アプローチを表す。SC注射後、化合物1は循環中に迅速に吸収され、そこで化合物は損傷した内皮に直接接近する。第1b相試験では、DMEを有する患者へのBID投与は、1日目および14日目の間に同様のPKプロファイルを示し(図7および表3)、血漿濃度の用量比例的増加および蓄積のエビデンスはなかった。
【0205】
化合物1のSC投与は、血圧の一過性の用量依存的低下をもたらした。図8のパネルAは、第1b相試験における一過性の用量依存的血圧低下を示す。この結果は、Tie-2の下流のeNOS活性化と一致する血漿濃度プロファイルに相当していた。第1相試験における15mg用量での血圧低下は、第2相試験(図8のパネルB)および第2b相試験(データは示さず)で再現された。第2相試験では、図8のパネルCに示すように、ベースライン収縮期BP≧140mmHg(左側)の患者では、ベースライン収縮期BP<140mmHg(右側)の患者と比較して、収縮期血圧のより大きな低下が観察された。試験群は以下のとおりであった:15mg BIDの化合物1のみ;15mg BIDの化合物1+ラニビズマブ(RBZ);およびプラセボBID+ラニビズマブ(RBZ)。化合物1による血圧低下の大きさは、3つの試験の各々においてベースライン血圧に依存していた。この関係は、図8のパネルCに示されており、血圧の低下の大部分は、140mmHgまたはそれを超えるベースライン収縮期圧を有する患者で生じた。ベースライン収縮期圧が140mmHg未満の患者で血圧の小さな変化が観察された。この血圧の低下は、糖尿病を有するこれらの高血圧患者における内皮機能の改善と一致している。内皮機能の改善は、ARDSおよびCOVID-19の患者において有益であり得る。
【0206】
DMEを有する患者における第2相試験では、標準治療のラニビズマブ(Lucentis(登録商標))の毎月の硝子体内注射と組み合わせた15mgのBIDのSC化合物1が、ラニビズマブ単独と比較して、非常に統計学的に有意な網膜の厚さの減少をもたらした。DME患者を、ラニビズマブの3回の毎月の硝子体内注射、化合物1(15mg SC BID)、または化合物1(15mg SC BID)+ラニビズマブの毎月の硝子体内注射で処置した。図9は、DME患者における網膜の中心サブフィールド厚(CST)の減少に対する化合物1単独およびラニビズマブ(RBZ)との併用の効果を示す。15mgのSQ BID化合物1は、CSTの減少のためにラニビズマブの上に相加効果を実証した。毎日のSC化合物1+毎月の硝子体内ラニビズマブの併用は、ラニビズマブ単独よりも有意に黄斑浮腫を減少させた。
【0207】
糖尿病性腎症のエビデンスを有する患者(すなわち、尿アルブミン/クレアチニン比[UACR]≧30mg/g)では、化合物1は、ラニビズマブ単独で処置された患者の増加と比較してUACRを約20%減少させた。結果は、腎機能に対する潜在的な有益な効果を示している。その後の非増殖性糖尿病性網膜症患者における第2b相試験では、SC化合物1、15mgを、1日1回または2回、48週間投与した結果、用量依存的なUACRの減少が、プラセボ投与患者の増加と比較して、BID投与で最大20%の有意なベースラインアルブミン尿症(UACR>30mg/g)を有する患者においてもたらされた(図10)。第2相および第2b相試験で観察されたUACRの20%の減少は、長期の腎保護および末期腎疾患への進行の減少をもたらす他の介入と一致している。したがって、血圧効果によって示されるターゲットエンゲージメント(target engagement)のエビデンスおよび糖尿病性網膜および腎臓における有益な効果によって示唆される血管安定化有効性のエビデンスは、ARDSまたはCOVID-19の処置のための化合物1、15mg用量を裏付ける。
【0208】
図10は、腎臓糸球体過透過性のマーカーであるUACRに対する化合物1の効果を示す。化合物1の1日1回(QD)または1日2回(BID)投与は、糖尿病患者における尿タンパク質漏出を減少させた(LOCF=最後に観測された値での補完)。第2b相試験の患者を、SCプラセボまたは化合物1、15mgに、1日1回または2回、等しく無作為化した。UACRを、試験の48週終了時を含めて3か月ごとにベースラインで測定した。ベースラインUACR≧30mg/mLを有する患者を解析に含めた。
【0209】
実施例6 急性非心原性低酸素呼吸不全における肺機能悪化の予防のためのSQ化合物1の臨床試験
多施設プラセボ対照二重盲検無作為化臨床試験を実施して、中等度~重度のARDSの基準を満たさない急性非心原性低酸素呼吸不全のために機械換気を受けている患者における低酸素血症進行の可能性の減少を評価する。患者集団は、300mmHg未満のPaO/FiO(P:F)比として定義される急性非心原性低酸素呼吸不全を伴う侵襲的機械換気を受けている成人であり、中等度~重度のARDSに対するベルリン基準を満たしていない。この集団には、ARDSを伴わない非心原性低酸素呼吸不全患者(すなわち、両側性肺浸潤を伴わない急性低酸素呼吸不全を有する患者)およびベルリン基準による軽度ARDSの患者が含まれる。心原性肺水腫または体液過剰による低酸素症を有する患者は除外される。中等度~重度のARDS(すなわち、両側性肺浸潤を伴うP:F比200mmHg未満)の患者は、これらの患者が既に重度の肺血管漏出の病態生理学的状態に進行しているため除外される(予防はもはや不可能である)。患者は、組み入れ基準を満たしてから24時間以内に登録される。適格性基準を以下に列挙する。
【0210】
組み入れ基準:
1.年齢18歳以上
2.気管内チューブまたは気管切開による陽圧換気として定義される侵襲的機械換気
3.心不全または体液過負荷によって十分に説明できない呼吸不全;過去7日間に以下のARDS危険因子のいずれも起こらなかった場合、静水圧性浮腫(hydrostatic edema)を除外するための客観的評価(例えば、心エコー検査)が必要である:肺炎、胃内容物の吸引、吸入傷害、溺水、非肺性敗血症、外傷、膵炎、熱傷、非心原性ショック、薬物過剰投与、および複数回の血液製剤輸血
4.PEEP≧5cmHOで≦300mmHgのPaO/FiO比を、試験薬物適用を開始してから4時間以内に確認しなければならない
【0211】
除外基準:
1.治験参加のためのインフォームドコンセントの欠如
2.組み入れ基準を満たしてから24時間以内に試験薬物適用を開始することができない
3.妊娠中
4.授乳中
5.囚人
6.患者は、両側性肺浸潤および200mmHg未満のPaO/FiO比を含む中等度~重度のARDSのベルリン基準を満たす
7.ノルエピネフリン注入≧10μg/分(または代替血管収縮薬の同等の投与)
8.肺移植レシピエント
9.嚢胞性線維症
10.WHOクラスIIIまたはIV肺高血圧症
11.現在体外治療中
12.慢性呼吸不全、在宅酸素使用または外来でのPaCO>60mmHgと定義
13.入院前の慢性侵襲的機械換気
14.Child-Pughスコア≧12として定義される重度の慢性肝疾患
15.延命処置の保留の決定(心停止の場合にのみCPRを保留する決定は、この除外基準を満たさない)
16.処置臨床チームの意見で24時間生存すると予想されない瀕死の患者
17.理想体重1kgあたり約6mLの低一回換気量を利用することを臨床医が望まない
18.過去30日間のINDによる別の試験への登録
19.化合物1に対する以前のアレルギー反応
20.本試験への以前の登録
【0212】
図11は、少なくとも重症から最も重症の急性非心原性低酸素呼吸不全:ARDSを伴わない急性低酸素呼吸不全、軽度ARDS、中等度ARDS、および重度ARDSの病気の範囲を示す。肺傷害のこの病態生理学的進行は、PaO/FiO比(P:F比)および胸部X線(CXR)によって決定される両側性肺浸潤物(Bil浸潤物)の存在に基づく。実施例6に記載される試験には、両側性肺浸潤物を伴わない低酸素血症を有する患者および軽度ARDSを有する患者を含む、病態生理学的進行の初期の患者が含まれる。実施例7に記載される試験は、中等度および重度のARDSを有する患者を含む、より進行したARDS病態生理学を有する患者を含む。
【0213】
中等度~重度のARDSのリスクがある患者の集団を定義するための戦略の非限定的な例としては、肺傷害予測スコア(LIPS)および肺傷害の素因となる状態でのICU入室が挙げられる。この試験では、適格患者は、機械換気で急性非心原性低酸素呼吸不全を有する。先行予防試験と比較して試験参加に必要な病気の重症度を高めるという目的は、プラセボ群の患者の肺機能の悪化のリスクを高めることであり得る(予後的エンリッチメント(prognostic enrichment))。
【0214】
投与スケジュール:投与は、15mgまたは30mgの化合物1の1日3回(TID)、8時間ごと(q8h)の3日間(72時間)または7日間のSC投与である。
【0215】
SQ化合物1の安全性は、標的集団、例えば、中等度~重度のARDSの基準を満たさない急性非心原性低酸素呼吸不全のために機械換気を受けている患者において評価される。これらの患者は、重度の肺血管漏出および劇症ARDSのリスクが高いが、疾患の最も進行した段階にはまだ進行していない。この試験は、これらの患者における化合物1の早期使用が、Tie-2受容体活性化および結果としての肺血管漏出の減少を介して、より重篤な肺傷害の可能性を低下させるかどうかを評価する。
【0216】
SQ化合物1の有効性は、この標的集団における中等度~重度のARDSの酸素化および予防の改善に基づいて評価される。主要転帰は、呼吸不全を有する機械換気患者における肺機能の確立された尺度である酸素化指数の変化である。このように、この試験の結果は、Tie-2活性化が、中等度~重度のARDSを発症するリスクが高い急性低酸素呼吸不全患者においてどの程度酸素化を安定化またはさらには改善できるかさえも決めることができる。この試験はまた、低酸素症から劇症ARDSへの病態生理学的進行の初期の患者における化合物1によるTie-2活性化が、最も重症な形態の肺傷害の可能性を低下させ得るかどうかを調べることができる(図11)。第2相試験はまた、この脆弱な集団におけるSQ製剤の安全性を定義することができる。このSQプログラムは、フィールドおよびリソースが制限された他の状況での大量曝露に使用するための、携帯可能で容易に投与できる製剤の開発につながる可能性がある。
【0217】
介入アームに無作為化された患者には、72時間にわたって8時間ごとにSC注射によって化合物15mgを投与することができる(9回用量)。対照アームに無作為化された患者には、72時間にわたって8時間ごとにSC注射によって適合プラセボを投与する(9回用量)。バイタルサインおよび臨床状態は、試験の処置段階中にすべての登録患者についてICU環境で綿密にモニタリングされる。血圧を1時間ごとに記録する。試験薬物投与後に患者が悪化する低血圧症(収縮期血圧の10mmHg超の低下またはノルエピネフリン注入の5μg/分超の増加)を示す場合、その後の用量は控える。
【0218】
生存している登録患者および病院にいる登録患者からの血漿および尿試料を以下の時点で収集する:ベースライン、24時間、48時間、72時間、および7日。試料を登録部位にストックし、その後、Ang-2、Ang-1、IL-6、IL-8、およびTNFαの測定のために中央研究室に輸送する。
【0219】
試験手順:試験参加のための書面によるインフォームドコンセントの後、患者を化合物1または適合プラセボに1:1の比で無作為化する。無作為化は、REDCap電子無作為化ツールを使用して完了し、登録部位ごとに層別された2および4の順列ブロックで実行される。試験群の割り当ては、患者、臨床医、および研究者に対して盲検化される。各施設の試験薬剤師は非盲検である。酸素化指数、PaO/FiO比、急性肺傷害スコアおよびSOFAスコアを計算するためのデータを、ベースライン(無作為化と試験薬物適用の開始との間)、24時間、48時間、72時間および7日間で収集する。試験薬の最初の用量(化合物1対プラセボ)は、無作為化後できるだけ早く投与され、患者が最初に組み入れ基準を満たしてから24時間以内に開始しなければならない。患者は、退院を通して有害事象について毎日評価される。患者に28日目に連絡する(まだ病院にいる場合は直接連絡するか、退院した場合は電話で連絡する)。28日の評価の間に、研究者は、生命の状態、再来院、および侵襲的機械換気の再発に関するデータを収集する。
【0220】
プラセボと比較して、中等度~重度のARDSのリスクがある成人への化合物1の間欠的SC投与を、治療の最初の72時間の間の酸素化指数の変化によって測定される肺機能の改善について評価する。試験設計は、化合物1、15mgを72時間にわたって8時間ごとに皮下投与する群と適合プラセボとを1:1で割り当てた、多施設、2アーム、並行群、盲検RCTである。
【0221】
主要転帰:主要転帰は、ベースラインと72時間との間の酸素化指数の変化である。図12は、300mmHg未満のPaO/FiO比を有する患者を含む3つのARDSネットワーク試験(ALTA、EDEN、OMEGA)からの無作為化後72時間の例示的な酸素化指数データを示す。これらのデータは、肺血管漏出の有効な処置がない場合、酸素化指数がベースラインから1日目および2日目に改善したが、3日目を通して損なわれたままであることを実証している。
【0222】
介入と主要転帰(72時間の薬物送達中の酸素化指数)との間の関連を不明瞭にする可能性があるARDS処置の過程における臨床上の発症(clinical development)には、以下が含まれる:72時間以内の死亡(死亡の競合リスク);72時間以内の機械換気からの解放(抜管の競合リスク);ARDSの治療としての腹臥位換気;ARDSの治療としての体外式膜型人工肺(ECMO);およびARDSの治療としてのエポプロステノール。これらの発生の各々は、予測的に追跡され、以下のように取り扱われる。72時間前に死亡した患者には、進行した最悪の(最高の)酸素化指数を割り当てることができる。72時間前に侵襲的機械換気から解放された患者には、最良の(最低の)酸素化指数を補完することができる。試験プロトコルには、プロニング(proning)、ECMO、およびエポプロステノールの使用の基準が含まれているため、これらの治療は介入アームと対照アームとの両方で標準化された様式で使用される。高感度解析には、72時間の介入期間中に、プロニング、ECMO、またはエポプロステノール治療を受けていない患者が含まれる。
【0223】
副次的転帰には、以下が含まれる:(1)7日以内のベルリン基準による中等度~重度のARDSの発症;(2)ベースラインと7日間との間の酸素化指数の変化;(3)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間のPaO/FiO比の変化;(4)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の急性肺傷害スコアの変化;(5)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間のSOFAスコアの変化;(6)28日目までの人工呼吸器離脱期間;(7)28日目までの非ICU日数;(8)72時間、7日、28日以内の死亡率;(9)72時間、7日および28日以内の機械換気からの解放;(10)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の血漿Ang-2濃度の変化;(11)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の血漿Ang-2/Ang-1比の変化;(12)IL-6、IL-8、およびTNFαを含む全身性炎症のマーカーの血漿中濃度の変化。
【0224】
血圧の調節は、試験参加者において評価される。SQ化合物1を用いた以前の安全性データは、薬物の急速な吸収および循環Cmaxに関連する約5mmHgの収縮期血圧の軽度かつ一過性の低下を示した。化合物1のこの薬理学的効果は、Tie-2の下流でのeNOS活性化を示し得る。この研究を使用して、呼吸不全を有する患者において降圧効果が減弱されるかまたは良好に耐容され、低酸素誘発性肺血管収縮の減弱によって肺機能を改善するかどうかさえも決定することができる。SC間欠投与は、軍事的状況における前方位置(forward position)での使用と、軍病院および民間病院の両方におけるICU外のより広い患者集団での使用とを容易にすることができる。
【0225】
Ang-2およびAng-1バイオマーカーを用いた事後層別解析を行って、将来の試験のためのエンリッチメントおよびモニタリングを知らせる。薬物動態、薬力学、および更なる探索的研究のために試料を収集することができる。
【0226】
統計計画およびデータ解析
この試験の主な目的は、化合物1が、中等度~重度のARDSのリスクがある患者の肺機能悪化の可能性を安全に低下させる可能性があるかどうかを決定することである。ベースライン(処置前)と72時間の処置期間の終了時(ΔOI)との間の酸素化指数の変化は、肺傷害の進行の高感度指標としての主要転帰尺度である。中等度~重度のARDSの発生および死亡率を定量化して、その後の第3相試験の設計を容易にすることができる。
【0227】
初期解析は、処置群によって層別された参加者を特徴付ける。特性には、人口統計、病歴、ならびに臨床データおよび検査データが含まれる。連続データは、必要に応じて平均および標準偏差または中央値および範囲を使用して記載される。分類データは、頻度および割合を使用して記載される。次に、処置プロトコルに対する忠実性、ならびに一次エンドポイントおよび二次エンドポイントについて参加者を追跡する能力を記録する記述統計が提供される。安全性は、関連する有害事象を記録することによって評価される。割合を95%信頼区間で示す。
【0228】
実施例7 中等度~重度のARDSの処置のためのIV化合物1の試験
化合物1のIV製剤を開発し、安全性、忍容性、および薬物動態についてヒト研究を行うために使用する。臨床試験に適したIV化合物1製剤を使用して、健常なボランティアにおける薬物動態および最大耐容量を確立し、安全性および忍容性を調べる。
【0229】
投与スケジュール:投与は、15mgの化合物1の3日間(72時間)にわたって1日3回(TID)、8時間ごとのIV投与である。
【0230】
IV化合物1の安全性は、標的集団、例えば中等度~重度のARDSを有する患者において評価される。IV化合物1の有効性は、この標的集団における酸素化レベルの改善に基づいて評価される。Ang-2およびAng-1バイオマーカーを用いた事後層別解析を行って、将来の試験のためのエンリッチメントおよびモニタリングを知らせることができる。薬物動態、薬力学、および更なる探索的研究のために試料を収集することができる。
【0231】
その後、多施設プラセボ対照二重盲検無作為化臨床試験を開始して、ベルリン基準によって定義される中等度~重度のARDSの処置を評価する。この患者集団は、中等度~重度のARDSを有しない急性呼吸不全患者よりも不安定であり得る。この設定では、IV注入は、この集団の安全性を最適化するのに役立ち得る速度での投与においてより大きな柔軟性および制御を可能にし得る。
【0232】
IV投与のためのプロトタイプ製剤を開発し、薬物動態(PK)評価を含む予備的な非GLP非臨床用量範囲研究を行った。初期PK解析は、2時間の注入中の血漿濃度が注入開始後に急速に定常状態に達し、停止後に急速に低下するIV投与に理想的なPKプロファイルを示す。このプロファイルは、IVおよびSC注射を用いた以前の非臨床PK試験で見られた化合物1の急速なクリアランスと一致する。IV注入のためのこのPKプロファイルは、ICU環境における重篤な疾患および血行動態的に不安定な患者における上下の曝露の迅速な調整を可能にし得る。さらに、初期非臨床用量範囲研究は、提案された中心的な非臨床安全性研究において、意図された臨床曝露の10倍を超える曝露が十分に許容され得ることを示している。
【0233】
3日間の1~2時間のIV注入TIDとして投与される、ヒト臨床試験における化合物1の3日間IV注入投与に関連するインビトロ、PK、および毒物学研究を以下に列挙する。化合物1を、≦30mg/kg/用量BID(60mg/kg/日)の用量の10%HPβCD製剤に製剤化する。
・血液溶血、凝集、および血小板活性化のインビトロ評価。
・IV注入(2時間)TIDによって投与されたHPβCD製剤中の化合物1のPKおよび許容範囲を、以前のIV注入許容試験で観察された最大許容1日用量(60mg/kg/日)までの用量の範囲で特徴付けるためのラットまたはイヌの非GLP7日間TID IV注入用量範囲測定試験。
・10%HPβCDビヒクル製剤中の化合物1の毒性およびトキシコキネティクスを特徴付けるためのラットまたはイヌGLP14日間TID IV注入毒性試験。ビヒクルおよび化合物1の製剤を、IV注入(2時間)TIDによって、かつ非GLP7日間許容試験によって知らされた化合物1の用量で投与する。SC注射によって投与した10%HPβCD製剤中の化合物1の全身安全性を実施例6に概説する。したがって、単一種毒性試験は、異なる投与経路の安全性を橋渡しすることができ、以前に同定された標的器官および局所注射部位に対するIV注入曝露の影響を厳密に評価することができる。
【0234】
初期安全性試験
試験設計:健常なボランディアにおける単一施設、二重盲検、プラセボ対照、3コホート、漸増投与試験を実施して、単一の2時間連続注入として送達される化合物1の最大3回の単回漸増用量の安全性、忍容性およびPKを決定する。
【0235】
集団:健常なボランティア
【0236】
主要組み入れ基準:試験には、18.0kg/m~32.0kg/m(両端の値を含む)の肥満度指数(BMI)を有する、18歳~55歳(両端の値を含む)の健康、非喫煙、男性および女性被験体を登録することができる。すべての被験体は、インフォームドコンセント用紙に署名する必要があり得る。
【0237】
重要な除外基準:妊娠中の女性、規定の時間枠にわたって必要な避妊手段の使用を拒否する被験体、スクリーニング前1年以内に症候性起立性低血圧、血管迷走神経症候群、失神または失神寸前状態の既往を有する被験体、スクリーニング時に拡張期血圧<60mmHgまたは収縮期血圧<105mmHgの被験体。
【0238】
介入群:2時間にわたるIV注入によって送達された3回の単回漸増用量の化合物1。群は、化合物1またはプラセボに3:1で無作為化された8人の健康なボランティアからなり得る。提案される用量は、15mg、30mg、および45mgである。しかしながら、これらの用量は、非臨床試験における忍容性/安全性もしくはPKまたは以前の用量コホートにおける忍容性もしくはPKに基づいて修正することができる。
【0239】
試験手順:重要な試験手順を以下のステップで概説する:
1.健康状態を評価するための病歴および投薬歴、バイタルサイン、および検査室解析を含むプロトコルによって定義された組み入れ/除外基準を使用する被験体の登録。
2.被験体は、用量投与前の夕方から最終試験手順が完了するまで(合計少なくとも24時間)臨床施設内に居住した。
3.無作為化スケジュールに基づくIV注入用量の投与。
4.用量投与中および投与後の特定の時間におけるPK試料の収集。
5.バイタルサイン、検査室試料、およびAEモニタリングを含む安全性パラメータの収集。
6.すべての試験手順が完了した後の被験体の退院。
【0240】
主要転帰:有害事象、バイタルサイン、および検査室評価を含む安全性。
【0241】
副次的転帰としては、個々の被験体の血漿中濃度-時間プロファイルから決定された化合物1の薬物動態学的パラメータが挙げられる。重要なパラメータは、以下の解析計画に記載されている。
【0242】
概要:肺機能を改善するために中等度~重度のARDSを有する成人にIV注入によって投与された化合物1の安全性および有効性を評価するために、60人の患者の無作為化対照試験を開発する。この処置試験は、試験データを化合物1のIV製剤および確立された中等度~重度のARDSを有するより重症の患者集団に拡大することによって、実施例6で概説した予防試験を補完する。実施例6に記載されているように、肺機能の代償不全のリスクが高い患者の中の重度の肺傷害を予防するためのSC化合物1を評価することができる。さらに、確立された中等度~重度のARDSの処置のための化合物1のIV製剤を評価する。
【0243】
剤形:実施例6と同様に、製剤活性剤形は、10%HPβCDに20mg/mLで可溶化され、バイアル内の凍結乾燥生成物として提示される化合物1である。IV注入のための20mg/mLの化合物1濃度に、5%デキストロース(D5または同等物)を含有する滅菌溶液を用いて、生成物を現場で無菌的に再構成する。剤形は、注入された再構成された20mg/mLの製剤材料の量に基づいて用量漸増(例えば、10mg、30mgおよび45mg)を可能にする。プラセボ剤形は、凍結乾燥された活性生成物の量に等しい10%HPβCDの凍結乾燥アリコートを含有するバイアルである。プラセボは、IV注入のための元の10%HPβCD濃度に5%デキストロース(D5または同等物)を含有する滅菌溶液で現場で無菌的に再構成される。
【0244】
IV投与の根拠:この処置試験におけるIV注入の根拠は、高い血清レベルでの毒性およびより低い血清レベルでの有効性の喪失に対して潜在的に最も脆弱な患者における一貫した血清レベルの維持を含む。
【0245】
試験設計:72時間にわたって8時間ごとにIV注入によって投与される化合物1とプラセボ(9回用量)とを1:1で割り当てた多施設、2アーム、並行群、盲検RCTである。
【0246】
集団:ベルリン基準による中等度~重度のARDSを伴う侵襲的機械換気を受けている成人。患者は、中等度~重度のARDSの基準を満たしてから48時間以内に登録することができる。適格性基準を以下に列挙する。
【0247】
組み入れ基準:
1.年齢18歳以上
2.気管内チューブまたは気管切開による陽圧換気として定義される侵襲的機械換気
3.胸水、肺葉/肺虚脱または結節によって十分には説明できない、胸部X線写真またはコンピュータ断層撮影における両側性肺陰影
4.心不全または体液過負荷によって十分に説明できない呼吸不全;過去7日間に以下のARDS危険因子のいずれも起こらなかった場合、静水圧性浮腫を除外するための客観的評価(例えば、心エコー検査)が必要である:肺炎、胃内容物の吸引、吸入傷害、溺水、非肺性敗血症、外傷、膵炎、熱傷、非心原性ショック、薬物過剰投与、および複数回の血液製剤輸血
5.PEEP≧5cmHOで≦200mmHgのPaO/FiO比。≦200mmHgのPaO/FiO比を、試験薬物適用を開始してから4時間以内に確認しなければならない
【0248】
除外基準:
1.治験参加のためのインフォームドコンセントの欠如
2.組み入れ基準を満たしてから48時間以内に試験薬物適用を開始することができない
3.妊娠中
4.授乳中
5.囚人
6.ノルエピネフリン注入≧50μg/分(または代替血管収縮薬の同等の投与)
7.肺移植レシピエント
8.嚢胞性線維症
9.WHOクラスIIIまたはIV肺高血圧症
10.現在体外治療中
11.慢性呼吸不全、在宅酸素使用または外来でのPaCO>60mmHgと定義
12.入院前の慢性侵襲的機械換気
13.Child-Pughスコア≧12として定義される重度の慢性肝疾患
14.延命処置の保留の決定(心停止の場合にのみCPRを保留する決定は、この除外基準を満たさない)
15.処置臨床チームの意見で24時間生存すると予想されない瀕死の患者
16.理想体重1kgあたり約6mLの低一回換気量を利用することを臨床医が望まない
17.過去30日間のINDによる別の試験への登録
18.化合物1に対する以前のアレルギー反応
19.この試験または以前の化合物1予防試験への以前の登録
【0249】
介入群:介入アームに無作為化した患者には、72時間のIV注入によって化合物1を投与する。投与は、実施例6に記載の結果から決定される。投与は8時間ごとに行う(72時間かけて9回用量)。対照アームに無作為化した患者には、IV注入によってプラセボ液(plasmalyte-A)を投与する。バイタルサインおよび臨床状態は、処置中にICU環境で厳密にモニタリングされる。血圧を1時間ごとに記録する。試験薬物投与後に患者が悪化する低血圧症(収縮期血圧の10mmHg超の低下またはノルエピネフリン注入の5μg/分超の増加)を示す場合、その後の用量は控えることができる。
【0250】
生物学的試料の収集;生存している登録患者および病院にいる登録患者から血漿および尿試料を以下の時点で収集する:ベースライン、24時間、48時間、72時間、および7日。試料を登録部位にストックし、その後、Ang-1、Ang-2、IL-6、IL-8、TNFα、可溶性Tie2、CRPおよびD-ダイマーの測定のために中央研究室に輸送する。
【0251】
試験手順:試験参加のための書面によるインフォームドコンセントの後、患者をIV化合物1または適合プラセボに1:1の比で無作為化する。無作為化は、REDCap電子無作為化ツールを使用して完了し、登録部位ごとに層別された2および4の順列ブロックで実行される。試験群の割り当ては、患者、臨床医、および研究者に対して盲検化される。各施設の試験薬剤師は非盲検化することができる。酸素化指数、PaO/FiO比、急性肺傷害スコアおよびSOFAスコアを計算するためのデータを、ベースライン(無作為化と試験薬物適用の開始との間)、24時間、48時間、72時間および7日間で収集する。試験薬の最初の用量(化合物1対プラセボ)の投与は、無作為化後できるだけ早く開始し、患者が最初に組み入れ基準を満たしてから48時間以内、および<200mmHgのPaO/FiO比が確認されてから4時間以内に開始しなければならない。患者は、退院を通して有害事象について毎日評価される。患者に28日目に連絡する(まだ病院にいる場合は直接連絡するか、退院した場合は電話で連絡する)。28日の評価の間に、研究者は、生命の状態、再来院、および侵襲的機械換気の再発に関するデータを収集する。
【0252】
転帰:実施例6に記載の予防試験と同様に、この処置試験の主要転帰は、ベースラインと72時間との間の酸素化指数の変化である。副次的転帰には、以下が含まれる:(1)ベースラインと7日間との間の酸素化指数の変化;(2)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間のPaO/FiO比の変化;(3)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の急性肺傷害スコアの変化;(4)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間のSOFAスコアの変化;(5)28日目までの人工呼吸器離脱期間;(6)28日目までの非ICU日数;(7)72時間、7日、28日以内の死亡率;(8)72時間、7日および28日以内の機械換気からの解放;(9)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の血漿Ang-2濃度の変化;(10)ベースラインと72時間との間およびベースラインと7日間との間の血漿Ang-2/Ang-1比の変化;(11)IL-6、IL-8、およびTNFαを含む全身性炎症のマーカーの血漿中濃度の変化。
【0253】
解析的アプローチ:バイオマーカーレベルと処置との間の相互作用(予測的エンリッチメント(predictive enrichment))、経時的なバイオマーカーの変化(治療に対する応答)、および初期/最終バイオマーカーレベル間の関係(予後的精度)が各々モデル化される。各バイオマーカードメイン-Ang-1、Ang-2、およびAng-2/Ang-1比-を個々に、人口統計学、併存症、病気の種類、および重症度を含む因子を調節するより複雑な数学モデルの一部として測定する。マルチマーカーモデルは、モデルがエンリッチメント、治療に対する応答、または予後的可能性を保持しているかどうかを決定するために検査される。
【0254】
更なる生体試料解析を、(a)アンジオポエチン測定値を、ARDSの病因:TNFα、IL-1およびIL-6に関連するサイトカインと比較するために;(b)アンジオポエチン測定値を、重篤な疾患にも関連する内皮マーカーのより大きなセット:重篤な疾患の血管症状発現に関連するE-セレクチンの可溶性エクトドメイン(sE-セレクチン)、sVCAM-1、およびsVE-カドヘリンに対して比較するために;(c)化合物1の応答性に関連する新規タンパク質シグネチャを同定するためにSomaScanプロテオミクスを適用するために(本発明者らのチームによってICUで首尾よく展開された技術);および(d)標的集団におけるSQおよびIV化合物1の薬物動態学的解析を行うために行う。
【0255】
解析計画
表、リストおよび記述統計を使用して、臨床化学/血液学および有害事象を含む安全性データを評価する。PK濃度-時間データを使用して、非コンパートメント法を使用してPKパラメータを決定することができ、個々の被験体について列挙することができる。実際の投与およびサンプリング時間をすべての計算に使用することができる。解析から任意の試料を除外した理由を提供することができる。個々の被験体および平均濃度-時間データを表にし、グラフで提示することができる。以下のPKパラメータを、記述統計学を使用して各処置について決定し、要約することができる。
・Cmax-注入終了時の濃度
・AUClast-時間0から最後の定量可能な濃度までの曲線下面積
・AUCinf-時間0から無限大までの曲線下面積
・CL-クリアランス
・V-分布体積
【0256】
用量比例解析は、統計モデルパラメータ(傾き)の点推定値とCIとの観点から対応することができる。検定力モデルは、以下の一般式を有する:
y=β0×用量β1
式中、yは従属変数、例えばAUCおよびCmaxを表す。モデルにおける指数は、自然対数変換された用量に対する自然対数変換されたPKパラメータを回帰することによって評価することができる。
logy=logβ+β1log(用量)
【0257】
さらに、血行動態変数(BPおよびHR)の変化と曝露パラメータとの間の関係は、適切な解析を使用して調査することができる。
【0258】
処置試験のための解析計画:この試験の目的は、化合物1が中等度~重度のARDSを有する患者の肺機能を改善する可能性があるかどうかを決定することである。予防試験(実施例6)と同様に、主要転帰尺度は、ベースラインと72時間との間の酸素化指数の変化(ΔOI)である。この尺度は、この処置試験における肺機能の改善の高感度指標である(実施例7)。次いで、解析を前述のように進めることができ、記述統計から始めて、安全性の特性評価を行い、最後に主要な生理学的エンドポイント(酸素化指数)の解析を行う。
【0259】
実施例8 中等度~重度のCOVID-19の処置のためのSQ化合物1の試験
中等度~重度のCOVID-19を有する入院被験体において7日間まで毎日3回(q8時間)15mgまたは30mgの用量で化合物1の安全性および有効性を評価するために、第2相無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験を行うことができる。この試験では、中等度~重度のCOVID-19を有する被験体の血漿中の炎症および血液凝固障害のバイオマーカー(例えば、CRPおよびD-ダイマー)に対する化合物1の効果を調べることができる。この試験はまた、中等度~重度のCOVID-19を有する被験体の血漿中の血管漏出および炎症のバイオマーカーに対する化合物1の効果を調査することもできる(例えば、Ang-2、IL-6、IL-8、TNFα、およびHMGB-1)。
【0260】
7日目、またはそれより早い退院時の主要な有効性転帰には、以下が含まれ得る。
1.ベースラインからの平均変化および以下のカテゴリーからなるCOVID-19順序尺度で7日目に臨床状態≧7を有する被験体の割合:
・1は、無症候性であり、
・2は、「症候性;独立」であり、
・3は、「症候性;支援が必要」であり、
・4は、「入院;酸素治療なし」であり、
・5は、「入院;マスクまたは鼻カニューレによる酸素」であり、
・6は、「非侵襲的換気または高流量による酸素」であり、
・7は、「挿管および機械換気、SpO:FiO比≧200」であり、
・8は、「機械換気、SpO:FiO比<200または血管収縮薬」であり、
・9は、「機械換気、SpO:FiO比<200および血管収縮薬、透析またはECMO」であり、
・10は、「死」である。
2.生存日数および人工呼吸器離脱;ならびに
3.3日目および7日目のSpO:FiO比のベースラインからの変化。
【0261】
副次的転帰には、以下が含まれ得る。
1.生存日数および28日目での人工呼吸器離脱(または退院)
2.死亡率
3.入院期間
4.7日目以前に機械換気に移行せずに退院した被験体の割合
5.7日目(または退院)までのCOVID-19順序尺度での臨床状態の時間的変化
6.7日目のCOVID-19順位尺度における各カテゴリーの被験体の数
7.7日目のCOVID-19順序尺度での臨床状態のベースラインからの平均変化
8.7日目にCOVID-19順序尺度において2カテゴリー以上改善した被験体の割合
9.7日目にCOVID-19順序尺度で2カテゴリー以上悪化した被験体の割合
10.任意の重篤な有害事象を有する被験体の数
11.任意の処置下で発生した有害事象を有する被験体の数
12.CRPおよびDダイマーのベースラインからの変化
【0262】
探索的エンドポイントには、血管漏出および炎症の全身バイオマーカーのベースラインからの変化が含まれる(Ang-1、Ang-2、IL-6、IL-8、TNFα、およびHMGB-1)。
【0263】
試験集団は、入院しておりかつSARS-CoV-2の標準治療を受けているCOVID-19感染症に感染していることが記録されている少なくとも18~75歳の被験体である。適格被験体はスクリーニング時に酸素補給を必要としなければならない;スクリーニング時に機械換気を必要とする被験体は適格ではない。
【0264】
この試験は、標準治療を受けている中等度~重度のCOVID-19を有する被験体において1日3回(TID;q8)15mgまたは30mgのいずれかで投与される最大7日間の皮下化合物1の安全性および有効性を評価することができる。スクリーニング時に、被験体は酸素補給を必要としなければならない。スクリーニング時に機械換気を必要とする被験体は適格ではない。試験参加についての同意が得られ、適格性が決定された後、コンピュータ生成無作為化リストに従って、被験体を1:1:1の比で3つの処置アーム(15mg TIDの化合物1、30mg TIDの化合物1、またはプラセボTID)のうちの1つに無作為化し、施設ごとに層別することができる。処置群の割り当ては、患者、臨床医および研究者に対して盲検化される。被験体は、7日間または退院(もしくは死亡)までのいずれか早い方の期間、腹部TIDで投与される。標準治療の一部である日常的な臨床モニタリングおよび検査室評価に加えて、以下を行うことができる:仰臥BPおよびHRは、30分および90分で試験薬適用の最初の用量の前後1日目に評価することができ、被験体の酸素支援要件および有害事象に関するデータを7日目まで収集することができ、臨床状態は、28日目(または退院)まで毎日評価することができ、凝固、炎症、および血管漏出に関連するバイオマーカー(CRPおよびD-ダイマーが必要;必要に応じたバイオマーカーとしては、Ang-1、Ang-2、IL-6、IL-8、TNFαが挙げられる)の血液サンプリングは、1日目、3日目、および7日目に行われ、入院したままの被験体では≧14日目に1回行われる。これらの被験体について、バイオマーカーのための血液サンプリングは、28日目または退院の日のどちらか早い方に行われる。安全性レビューチームは、最初の15人の被験体が処置を完了した後(7日目)、その後、処置を完了した被験体の25%の増分で(7日目)、利用可能な安全性データのマスクレビューを行うことができる。試験設計を図13に要約する。
【0265】
米国全体で約10の施設から約180人の被験体を無作為化することができる(処置群あたり60人)。参加期間は、およそ29日間とすることができる:スクリーニング(およそ1日まで)、処置期間(7日間)、28日目の処置後観察。
【0266】
組み入れ基準:
1.インフォームドコンセントを理解し提供する能力を有していなければならない
2.18~75歳(両端の値を含む)の男性および妊娠していない女性
3.任意の検体においてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはその他の市販もしくは公衆衛生アッセイにより決定され、以下のいずれかによって記録された、検査室で確認されたSARS-CoV-2感染症:無作為化前72時間未満で収集された試料でPCR陽性;または、反復試料を得ることができないことが記録されている(例えば、試験供給品の不足、試験能力の制限、結果の取得に24時間超かかるなど)無作為化の72時間以上前に収集された試料でPCR陽性、かつ進行中のSARS-CoV-2感染症を示唆する進行性疾患
4.現在入院中でCOVID-19の標準治療(SOC)を受けている
5.酸素補給を必要とする
6.100超300未満のSpO:FiO
7.500ng/mL超のD-ダイマー
【0267】
除外基準:
1.組み入れ基準を満たしてから12時間以内に試験薬物適用を開始することができない
2.妊娠可能な女性で、28日目まで産児制限をすることができないかもしくはその意志がない、または授乳を見合わせることができないかもしくはその意志がない
3.100mmHg未満の収縮期血圧
4.機械的に換気されているかまたはECMOを受けている
5.ショック状態にあるまたは昇圧薬の支持が必要
6.吸入一酸化窒素またはエポプロステノールまたは同様の介入を受けている
7.正常値上限の3倍超のアラニントランスアミナーゼ(ALT)またはアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)
8.30mL/分未満の推定糸球体濾過量(eGFR)、または血液透析もしくは血液濾過を受けている
9.処置臨床チームの意見で24時間生存すると予想されない瀕死の患者
10.何らかの重篤な病状を併発している(例えば、化学療法時の活動性悪性疾患、臓器移植後、末期鬱血性心不全)か、または処置に応答する可能性が低い
11.延命処置の保留の決定(例えば、心停止の場合にのみCPRを保留する決定は、この除外基準を満たさない)
12.SARS-CoV-2に対する実際のまたは可能性のある直接作用型抗ウイルス活性を有する他の薬剤との同時処置が、試験薬物投与前24時間未満は禁止さている
13.最後の来院(28日目)までの本試験中の別の調査試験への参加
14.本試験への以前の登録
【0268】
主要転帰について:
【0269】
7日目の臨床状態
・ベースラインからの変化:群あたり60人の被験体が、プラセボに対する活性物質の優位性を実証するために80%の検定力を提供し、1.4の真の平均差、3.0のSD、および両側α=0.10と仮定している。
・臨床状態≧7(挿管)の被験体の割合:群あたり60人の被験体が、挿管された被験体の割合においてプラセボに対する活性物質の優位性を実証するために80%の検定力を提供し、それぞれ活性物質およびプラセボにおいて0.098および0.30の真の割合および両側α=0.05であると仮定している。
【0270】
生存日数および人工呼吸器離脱:群あたり60人の被験体が、平均人工呼吸器離脱日数および生存においてプラセボに対する活性物質の優位性を実証するために80%の検定力を提供し、1.2日の真の平均差、2.25のSD、および両側α=0.05であると仮定している。
【0271】
SpO:FiO比:群あたり60人の被験体が、平均CFB P/F比においてプラセボに対する活性物質の優位性を実証するために80%の検定力を提供し、41.3の真の平均差、80のSD、および両側α=0.05であると仮定している。
【0272】
試験薬:皮下注射用の化合物1の即時投与滅菌溶液:
・すぐに投与できるように提供された20mg/mLの滅菌溶液-0.75mL用量で15mgの化合物1を送達
・すぐに投与できるように提供された40mg/mLの滅菌溶液-0.75mLの用量で30mgの化合物1を送達
【0273】
皮下注射用の化合物1のすぐに投与できる滅菌溶液のプラセボ:
・化合物1のプラセボは(滅菌生理食塩水)すぐに投与できるように現地で調達する-0.75mL用量のプラセボ溶液を投与する。
・採血量:スクリーニング/1日目、3日目、および7日目、ならびに14日目以降も入院している被験体には処置後の間に1回、4×6mLで収集したバイオマーカー試料。必要に応じたバイオマーカーを含むプロトコルに従って規定されたとおり収集された総採血量:被験体あたり最大24mL。
【0274】
表4は、評価のプロトコル特異的な別スケジュールを要約する。
【表4】
【0275】
実施例9 化合物1の医薬製剤
ナトリウム塩形態としての化合物1は、ヒドロキシプロピルベタデックス(ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン;HPβCD)溶液に製剤化することができる。化合物1の水への溶解度は約15mg/mLである。10%HPβCDの溶液は、化合物1の溶解度を約48mg/mLに改善することができる。10%HPβCD中20mg/mLの化合物1の濃度は、安定した製剤を維持することができる。
【0276】
化合物1の医薬組成物は、以下に記載されるように製剤化され、凍結乾燥される。10.0%w/v(100mg/mL)HPβCDを含有するビヒクル中に20mg/mLの化合物1を用いて組成物を調製することができる。溶液になったら、アリコートを20mLバイアルに入れ、凍結乾燥する。凍結乾燥された化合物1+HPβCDは、張度を調整するために市販の滅菌流体(すなわち、注射用滅菌水中の滅菌D5 5%デキストロース)を利用して再構成される。20mg/mLの化合物1の溶液が得られるような体積の希釈剤を添加する。バイアルには、27ゲージ~29ゲージ1/2インチ(13mm)針または標準的な注入装置を取り付けた容易に入手可能な1mL滅菌ステークニードルシリンジ(stake needle syringe)を使用して、無菌再構成ならびにその後のSC注射またはIV注入用量の調製および投与を可能にするゴム製セプタム設計のキャップとクリンプシールとが取り付けられている。バイアルから取り出される20mg/mLの化合物1の体積により、投与される用量を決定することができる。プラセボは、10%HPβCDの等量(活性バイアル充填体積に一致する)であり、これを凍結乾燥し、同じ方法で密封する。再構成および用量投与は、活性物質について規定されたとおりに行われる。
【0277】
製剤は、塩酸または水酸化ナトリウムでpH5~8.5に調整した注射用滅菌水中に10.0%w/v(100mg/mL)HPβCDおよび2.5%w/v(25mg/mL)デキストロースを含有するビヒクル中20mg/mLの化合物1である。
【0278】
投与溶液は、以下の一次包装要素を含むプレフィルドシリンジとして0.75mLの用量で供給される:
・シリンジ:27ゲージ1/2インチ(13mm)針で固定された、1mLの長い無色のタイプ1ホウケイ酸ガラスシリンジ;
・プランジャ:シリンジに適合するGray FluroTec(登録商標)プランジャ;および
・プランジャロッド:プランジャおよびシリンジに適合するポリプロピレンプランジャロッド。
【0279】
実施例10 COVID-19の処置のためのTie-2活性化物質とレムデシビルとの組み合わせ
本明細書に記載されるTie-2活性化物質は、COVID-19、ARDS、または他の呼吸不全状態の処置のために、レムデシビルと組み合わせて使用することができる。例えば、化合物1およびレムデシビルを共製剤化し、COVID-19を有する被験体に単一剤形のIV注入として同時に投与することができる。いくつかの実施形態において、化合物1およびレムデシビルを別々の剤形で連続的に投与することができる。化合物1は、本明細書に記載されるように、例えばHPβCDと共に製剤化することができる。レムデシビルは、スルホ-ブチルエーテルシクロデキストリンと製剤化することができる。
実施形態
【0280】
実施形態1. 肺状態の処置を必要とする被験体において肺状態を処置する方法であって、前記方法は、治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、方法。
【0281】
実施形態2. 前記投与が、前記被験体の酸素化指数を約1~約10増加させる、実施形態1に記載の方法。
【0282】
実施形態3. 前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、実施形態1に記載の方法。
【0283】
実施形態4. 前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、実施形態1に記載の方法。
【0284】
実施形態5. 前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させる、実施形態1に記載の方法。
【0285】
実施形態6. 前記投与が、投与しない場合と比較して、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、実施形態1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【0286】
実施形態7. 前記投与が、投与後72時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、実施形態1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【0287】
実施形態8. 前記投与が、投与後48時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、実施形態1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【0288】
実施形態9. 前記投与が、投与後24時間以内に、人工呼吸器によって前記被験体に適用されるのに必要な平均気道圧を約1cmHO~約30cmHO低下させる、実施形態1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【0289】
実施形態10. 前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体におけるPaO/FiO比を約1~約100増加させる、実施形態1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【0290】
実施形態11. 前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、実施形態1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【0291】
実施形態12. 前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、実施形態1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【0292】
実施形態13. 前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体のPaO/FiO比を約1~約100増加させる、実施形態1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【0293】
実施形態14. 前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、実施形態1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【0294】
実施形態15. 前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、実施形態1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【0295】
実施形態16. 前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1~4低下させる、実施形態1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【0296】
実施形態17. 前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体の急性肺傷害スコアを1から4低下させる、実施形態1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【0297】
実施形態18. 前記投与が、投与しない場合と比較して、前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、実施形態1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【0298】
実施形態19. 前記投与が、投与後72時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、実施形態1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【0299】
実施形態20. 前記投与が、投与後48時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、実施形態1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【0300】
実施形態21. 前記投与が、投与後24時間以内に前記被験体における逐次臓器不全評価(SOFA)スコアを1~24調節する、実施形態1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【0301】
実施形態22. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿Ang-2濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【0302】
実施形態23. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿Ang-2/Ang-1比のレベルの変化を調節する、実施形態1から22までのいずれか1項に記載の方法。
【0303】
実施形態24. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿IL-6濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から23までのいずれか1項に記載の方法。
【0304】
実施形態25. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿IL-8濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から24までのいずれか1項に記載の方法。
【0305】
実施形態26. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿TNFα濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から25までのいずれか1項に記載の方法。
【0306】
実施形態27. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿D-ダイマー濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から26までのいずれか1項に記載の方法。
【0307】
実施形態28. 前記投与が、投与後の前記被験体における血漿CRP濃度のレベルの変化を調節する、実施形態1から27までのいずれか1項に記載の方法。
【0308】
実施形態29. 前記投与が、投与後の前記被験体における全身性炎症を軽減する、実施形態1から28までのいずれか1項に記載の方法。
【0309】
実施形態30. 前記投与が、投与後の前記被験体において内皮一酸化窒素シンターゼ(eNOS)を活性化する、実施形態1から29までのいずれか1項に記載の方法。
【0310】
実施形態31. 前記投与が、投与後の前記被験体における一酸化窒素(NO)の産生を増加させる、実施形態1から30までのいずれか1項に記載の方法。
【0311】
実施形態32. 前記Tie-2活性化物質が単位剤形として前記被験体に投与される、実施形態1から31までのいずれか1項に記載の方法。
【0312】
実施形態33. 前記単位剤形が薬学的に許容され得る賦形剤をさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0313】
実施形態34. 前記薬学的に許容され得る賦形剤がシクロデキストリンである、実施形態33に記載の方法。
【0314】
実施形態35. 前記薬学的に許容され得る賦形剤がHPβCDである、実施形態33に記載の方法。
【0315】
実施形態36. 前記薬学的に許容され得る賦形剤がD-マンニトールである、実施形態33に記載の方法。
【0316】
実施形態37. 前記薬学的に許容され得る賦形剤がデキストロースである、実施形態33に記載の方法。
【0317】
実施形態38. 前記単位剤形が、前記単位剤形の約10質量%の量のHPβCDをさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0318】
実施形態39. 前記単位剤形が、前記単位剤形の約4.5質量%の量のD-マンニトールをさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0319】
実施形態40. 前記単位剤形が、前記単位剤形の約5質量%の量のデキストロースをさらに含む、実施形態32に記載の方法。
【0320】
実施形態41. 前記投与が1時間の連続注入である、実施形態1から40までのいずれか1項に記載の方法。
【0321】
実施形態42. 前記投与が2時間の連続注入である、実施形態1から40までのいずれか1項に記載の方法。
【0322】
実施形態43. 前記投与が2時間~2.5時間の連続注入である、実施形態1から40までのいずれか1項に記載の方法。
【0323】
実施形態44. 前記投与が1日2回である、実施形態1から43までのいずれか1項に記載の方法。
【0324】
実施形態45. 前記投与が1日3回である、実施形態1から43までのいずれか1項に記載の方法。
【0325】
実施形態46. 前記投与が7日間にわたり毎日3回である、実施形態1から43までのいずれか1項に記載の方法。
【0326】
実施形態47. 前記投与が72時間にわたって8時間ごとである、実施形態1から43までのいずれか1項に記載の方法。
【0327】
実施形態48. 前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgである、実施形態1から47までのいずれか1項に記載の方法。
【0328】
実施形態49. 前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約20mgである、実施形態1から47までのいずれか1項に記載の方法。
【0329】
実施形態50. 前記治療有効量が約750ng・hr/mL/日である、実施形態1から49までのいずれか1項に記載の方法。
【0330】
実施形態51. 前記治療有効量が約510.2ng・hr/mL/日である、実施形態1から50までのいずれか1項に記載の方法。
【0331】
実施形態52. 前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約10mgである、実施形態1から51までのいずれか1項に記載の方法。
【0332】
実施形態53. 前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約15mgである、実施形態1から51までのいずれか1項に記載の方法。
【0333】
実施形態54. 前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約30mgである、実施形態1から51までのいずれか1項に記載の方法。
【0334】
実施形態55. 前記Tie-2活性化物質の治療有効量が約45mgである、実施形態1から51までのいずれか1項に記載の方法。
【0335】
実施形態56. 前記Tie-2活性化物質が、約20mg/mLの濃度を有する製剤で投与される、実施形態1から55までのいずれか1項に記載の方法。
【0336】
実施形態57. 前記投与が皮下投与である、実施形態1から56までのいずれか1項に記載の方法。
【0337】
実施形態58. 前記投与が静脈内投与である、実施形態1から56までのいずれか1項に記載の方法。
【0338】
実施形態59. 前記投与がボーラス静脈内注射である、実施形態1から56までのいずれか1項に記載の方法。
【0339】
実施形態60. 前記投与が持続静脈内注入である、実施形態1から56までのいずれか1項に記載の方法。
【0340】
実施形態61. 前記肺状態が急性肺傷害である、実施形態1から60までのいずれか1項に記載の方法。
【0341】
実施形態62. 前記肺状態が急性低酸素呼吸不全である、実施形態1から60までのいずれか1項に記載の方法。
【0342】
実施形態63. 前記肺状態が急性呼吸窮迫症候群(ARDS)である、実施形態1から60までのいずれか1項に記載の方法。
【0343】
実施形態64. 前記ARDSが軽度ARDSである、実施形態63に記載の方法。
【0344】
実施形態65. 前記ARDSが中等度ARDSである、実施形態63に記載の方法。
【0345】
実施形態66. 前記ARDSが重度ARDSである、実施形態63に記載の方法。
【0346】
実施形態67. 前記肺状態がCOVID-19である、実施形態1から66までのいずれか1項に記載の方法。
【0347】
実施形態68. 前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約300未満のPaO/FiO比を有する、実施形態1から67までのいずれか1項に記載の方法。
【0348】
実施形態69. 前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約200~約300のPaO/FiO比を有する、実施形態1から67までのいずれか1項に記載の方法。
【0349】
実施形態70. 前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約100~約200のPaO/FiO比を有する、実施形態1から67までのいずれか1項に記載の方法。
【0350】
実施形態71. 前記被験体が、前記被験体の動脈血から決定される場合、約100未満のPaO/FiO比を有する、実施形態1から67までのいずれか1項に記載の方法。
【0351】
実施形態72. 前記被験体が、胸部X線によって決定される両側性肺浸潤を有する、実施形態1から71までのいずれか1項に記載の方法。
【0352】
実施形態73. 前記被験体が、胸部X線によって決定される両側性肺浸潤を有しない、実施形態1から71までのいずれか1項に記載の方法。
【0353】
実施形態74. 前記被験体がウイルス感染を有する、実施形態1から73までのいずれか1項に記載の方法。
【0354】
実施形態75. 前記ウイルス感染がコロナウイルス感染である、実施形態72に記載の方法。
【0355】
実施形態76. 前記ウイルス感染がSARS-CoV-2である、実施形態72に記載の方法。
【0356】
実施形態77. 前記被験体が高血圧を有する、実施形態1から76までのいずれか1項に記載の方法。
【0357】
実施形態78. 前記被験体が肺高血圧症を有する、実施形態1から77までのいずれか1項に記載の方法。
【0358】
実施形態79. 前記被験体がヒトである、実施形態1から78までのいずれか1項に記載の方法。
【0359】
実施形態80. 前記Tie-2活性化物質が、以下の式の化合物
【化14】
または薬学的に許容され得るその塩であって、式中、
- アリールは、置換または非置換のアリール基であり;
- アリールは、置換または非置換のアリール基であり;
- Xは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、ウレイド結合、スルホン結合または化学結合であり、ここで、該アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、エーテル結合、アミン結合、アミド結合、エステル結合、チオエーテル結合、カルバメート結合、カーボネート結合、スルホン結合のいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Yは、H、アリール、ヘテロアリール、NH(アリール)、NH(ヘテロアリール)、NHSOもしくはNHCOR(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、または
【化15】
であり、ここで、
- Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であるか、またはR、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し; - Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールもしくはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかもしくは非置換である)であるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであるか、またはL、R、RおよびRのいずれかと一体となって、置換もしくは非置換の環を形成し;
- Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
化合物または薬学的に許容され得るその塩ある、実施形態1から79までのいずれか1項に記載の方法。
【0360】
実施形態81. - アリールが、置換または非置換のフェニルであり;
- アリールが、置換または非置換のヘテロアリールであり;
- Xが、アルキレンである、
実施形態80に記載の方法。
【0361】
実施形態82. -アリールが置換フェニルであり、
-アリールが置換ヘテロアリールであり、
-Xがメチレンである、実施形態80または81に記載の方法。
【0362】
実施形態83. Tie-2を活性化する前記化合物が、式:
【化16】
化合物であり、式中、
-アリールはパラ置換フェニルであり、
-アリールは置換ヘテロアリールであり、
-Xはメチレンでり、
-Lは、アルキレン、アルケニレンもしくはアルキニレン(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であるか、またはLが結合している窒素原子と一体となって、アミド結合、カルバメート結合もしくはスルホンアミド結合を形成するか、または化学結合であり、
-Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
-Rは、Hまたは置換もしくは非置換のアルキルである、実施形態80から82までのいずれか1項に記載の方法。
【0363】
実施形態84. -アリールがパラ置換フェニルであり、
-アリールが置換チアゾール部分であり、
-Xがメチレンであり、
-Lが、Lが結合している窒素原子と一体となってカルバメート結合を形成し、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-RがHである、実施形態81から83までのいずれか1項に記載の方法。
【0364】
実施形態85.
アリールが、
【化17】
であり、式中、
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態84に記載の方法。
【0365】
実施形態86. -Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、実施形態85に記載の方法。
【0366】
実施形態87. -Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、実施形態85に記載の方法。
【0367】
実施形態88. -アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがヘテロアリールである、実施形態85に記載の方法。
【0368】
実施形態89. 前記化合物が、
【化18】

である、実施形態80に記載の方法。
【0369】
実施形態90. 前記化合物が、
【化19】

である、実施形態80に記載の方法。
【0370】
実施形態91. -アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがアルキルである、実施形態85に記載の方法。
【0371】
実施形態92. 前記化合物が、
【化20】

である、実施形態80に記載の方法。
【0372】
実施形態93. 前記化合物が、
【化21】

である、実施形態80に記載の方法。
【0373】
実施形態94.
アリールが、
【化22】
であり、式中、
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換であり;
- Rは、H、OH、F、Cl、Br、I、CN、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ基、エーテル基、カルボン酸基、カルボキサルデヒド基、エステル基、アミン基、アミド基、カーボネート基、カルバメート基、チオエーテル基、チオエステル基、チオ酸基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である、
実施形態84に記載の方法。
【0374】
実施形態95. -Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキル、アルコキシ基、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、実施形態94に記載の方法。
【0375】
実施形態96. -Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、アルキルまたはアルコキシ基(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)であり、
-Rが、アルキル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール(これらのいずれもが、置換されているかまたは非置換である)である、実施形態94に記載の方法。
【0376】
実施形態97. -アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがヘテロアリールである、実施形態94に記載の方法。
【0377】
実施形態98. 前記化合物が、
【化23】

である、実施形態80に記載の方法。
【0378】
実施形態99. 前記化合物が、
【化24】

である、実施形態80に記載の方法。
【0379】
実施形態100. -アリールが4-フェニルスルファミン酸であり、
-Rが、置換または非置換のアルキルであり、
-Rが、置換または非置換のアリールアルキルであり、
-RがHであり、
-Rがアルキルである、実施形態94に記載の方法。
【0380】
実施形態101. 前記化合物が、
【化25】

である、実施形態80に記載の方法。
【0381】
実施形態102. 前記化合物が、
【化26】

である、実施形態80に記載の方法。
【0382】
実施形態103. 急性呼吸窮迫症候群の処置をそれを必要とする被験体において行う方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【0383】
実施形態104. COVID-19の処置をそれを必要とする被験体において行う方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【0384】
実施形態105. COVID-19を有する被験体における急性呼吸窮迫症候群を処置する方法であって、前記方法が、単位剤形中の治療有効量のTie-2活性化物質を前記被験体に投与することを含み、前記投与が、投与しない場合と比較して、投与後7日以内に前記被験体の酸素化指数を約1~約20増加させ、前記治療有効量が、用量あたり前記被験体1kgあたり約0.1mg~約30mgであり、前記治療有効量が、約10mg~約40mgであり、前記Tie-2活性化物質が、前記単位剤形中に約20mg/mLの濃度で存在し、前記被験体がSARS-CoV-2に感染しており、前記投与が、前記被験体の急性呼吸窮迫症候群を処置する、方法。
【0385】
実施形態106. 前記投与が皮下投与である、実施形態103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【0386】
実施形態107. 前記投与が静脈内投与である、実施形態103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【0387】
実施形態108. 前記投与が吸入投与である、実施形態103から105までのいずれか1項に記載の方法。
【0388】
実施形態109. 前記Tie-2活性化物質が、
【化27】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、実施形態103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【0389】
実施形態110. 前記Tie-2活性化物質が、
【化28】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、実施形態103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【0390】
実施形態111. 前記Tie-2活性化物質が、
【化29】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、実施形態103から108までのいずれか1項に記載の方法。
【0391】
実施形態112. 前記Tie-2活性化物質が、
【化30】

;または
その薬学的に許容され得る塩である、実施形態103から108までのいずれか1項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】