IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリアヴュー テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図1
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図2
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図3
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図4
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図5
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図6
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図7
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図8
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図9
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図10
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図11
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図12
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図13
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図14
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図15
  • 特表-建物又は構造物用窓ユニット 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】建物又は構造物用窓ユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20230616BHJP
   H02S 40/22 20140101ALI20230616BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
E06B5/00 A
H02S40/22
E06B3/66 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569633
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 AU2021050485
(87)【国際公開番号】W WO2021232114
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2020901648
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2020904059
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522045176
【氏名又は名称】クリアヴュー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クーネン、スティーヴン
【テーマコード(参考)】
2E016
2E239
5F251
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA04
2E016AA05
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC01
2E239AA01
5F251BA03
5F251DA20
5F251EA20
5F251JA02
5F251JA21
5F251JA23
(57)【要約】
本開示は建物又は構造物用の窓ユニットを提供するものである。窓ユニットは電気を発生させるために構成されており、可視光の少なくとも一部に対して透明であり、光入射方向からの光を受けるための受光面を有する領域を有するパネルを含む。窓ユニットは、少なくとも一連の太陽電池をさらに含み、各太陽電池は両面受光型太陽電池であり、対向する第1及び第2の表面を有し、各表面は光を吸収して電気を発生させることのできる領域を有する。太陽電池は、使用の際、第1の表面が光入射方向から光を受けるように配向されており、第2の表面が反対方向からの光を受けるように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気を発生させるために構成された、建物又は構造物用の窓ユニットであって、
可視光の少なくとも一部に対して透明であり、光入射方向からの光を受けるための受光面を有する領域を有するパネルと、
少なくとも一連の太陽電池であって、各々が両面受光型太陽電池であり、光を吸収して電気を発生させることのできる領域をそれぞれ備えた対向する第1の表面及び第2の表面を有し、使用の際、前記第1の表面は前記光入射方向からの光を受けるように配向されており、前記第2の表面は反対方向からの光を受けるように配置されている、少なくとも一連の太陽電池と、
を含む、窓ユニット。
【請求項2】
前記第1の表面は前記パネルの前記受光面に配向されている、請求項1に記載の窓ユニット。
【請求項3】
前記太陽電池の前記第2の表面は前記建物又は構造物の内部からの光を受けるように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の窓ユニット。
【請求項4】
前記パネルに面するか、又は前記パネルの前記受光面と90度以下の角度を形成する少なくとも1つの光反射面を含み、前記少なくとも1つの光反射面は前記パネル及び前記少なくとも一連の太陽電池の双方から離間している、請求項1~3のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項5】
使用の際、前記受光面に入射する光の一部は前記パネルを透過して前記少なくとも1つの光反射面に向かい、そして前記少なくとも1つの光反射面によって反射されて前記少なくとも1つの前記太陽電池の前記第2の表面に向かい、前記第2の表面で前記光を吸収して電気を発生することができるように構成されている、請求項4に記載の窓ユニット。
【請求項6】
前記受光面に入射する光の一部は前記パネルを透過して前記少なくとも1つの光反射面に向かい、そして前記少なくとも1つの光反射面によって反射されて前記少なくとも1つの前記太陽電池の前記第2の表面に向かい、前記第2の表面で前記光を吸収して電気を発生することができるように構成されている、請求項4又は請求項5に記載の窓ユニット。
【請求項7】
前記パネルは、前記少なくとも一連の太陽電池の間に配置され、前記少なくとも1つの受光面の間に配置される、請求項3~請求項6のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項8】
前記窓ユニットのコンポーネントによる事前反射なしで前記太陽電池の前記第2の表面も入射光に当たるように、前記少なくとも一連の太陽電池及び前記少なくとも1つの光反射面が配置されている、請求項4~請求項7のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光反射面は、前記太陽電池の前記第2の表面と前記少なくとも1つの光反射面との間に空隙が画定されるように配置されている、請求項4~請求項8のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項10】
前記太陽電池は、その前記第1の表面において前記受光面とは反対側のパネル表面に取り付けられており、これにより、前記パネルの受光面によって受けた光は前記パネルの少なくとも一部を通って伝播し、前記太陽電池の前記第1の表面に到達する、請求項1~9のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項11】
複数の一連の太陽電池を含み、各々が前記パネルのそれぞれのエッジに沿って延在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項12】
前記パネルは第1のパネルであり、前記窓ユニットは可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有する第2のパネルを含み、前記少なくとも一連の太陽電池は前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項13】
各太陽の前記第1の表面は前記第1のパネルに直接的又は間接的に接合されており、各太陽電池の前記第2の表面は前記第2のパネルに直接的又は間接的に接合されており、これによって各太陽電池は前記第1のパネルと前記第2のパネルとの間に挟持される、請求項12に記載の窓ユニット。
【請求項14】
前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの、少なくとも1つの端面に配置され、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に面する前記受光面に対してほぼ垂直に配向された少なくとも一連のさらなる太陽電池を含み、これにより、前記少なくとも一連のさらなる太陽電池は、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの前記端面を通って移動した光を受けるように配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項15】
前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの、少なくとも1つの端面に配置され、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に面する前記受光面に対してほぼ垂直に配向された少なくとも1つの反射エッジ素子を含み、これにより、前記少なくとも一連のさらなる太陽電池は、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの前記端面を通って移動した光を反射して前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つに戻し、前記光が前記太陽電池の1つ以上によって吸収される可能性を増加させるように配置されている、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項16】
前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に配置され、前記受光面とほぼ平行に配置されたさらなる反射素子を含み、これにより、前記さらなる反射素子及び前記反射エッジ素子が、前記端面においてほぼカップ状の断面形状を有する構成を共に形成する、請求項15に記載の窓ユニット。
【請求項17】
前記少なくとも1つの反射エッジ素子及び前記さらなる反射素子は、反射コーティングを含むか又は反射コーティングの形態で提供される、請求項15又は請求項16に記載の窓ユニット。
【請求項18】
請求項13に従属する場合、前記少なくとも一連の太陽電池は少なくとも一連の第1の太陽電池であり、前記窓ユニットは、前記第2のパネルに配置された少なくとも一連の第2の太陽電池をさらに含み、各第2の太陽電池は両面受光型太陽電池である、請求項13~請求項17のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項19】
前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つは、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つのエッジへの入射赤外光の方向変換を容易にするために少なくとも1つの回折素子及び/又は発光材料をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項20】
前記窓ユニットの前記パネルに取り付けられているか又はその一部を形成するテーパー状延長部を含む、請求項1に記載の窓ユニット。
【請求項21】
前記テーパー状延長部は、それらの間に角度を画定し、テーパー形状を画定する対向する第1の側面及び第2の側部を有する、請求項20に記載の窓ユニット。
【請求項22】
それぞれが両面受光型であり、光を受けて電気を発生させる第1の表面及び対向する第2の表面を有する第1及び第2の一連の太陽電池を含む、請求項20又は請求項21に記載の窓ユニット。
【請求項23】
前記太陽電池の前記第2の表面は前記テーパー状延長部の側部に面し、かつこれに取り付けられており、1つ以上の前記パネルのエッジを通って移動する光を受けるように配置されており、これによって窓ユニットは、前記太陽電池の前記第1の表面が光を受け、前記光入射方向を形成するか、又はほぼ反対方向を形成するかのいずれかであるように構成されている、請求項22に記載の窓ユニット。
【請求項24】
前記テーパー状延長部は、断面がほぼ角柱状の付属物である、請求項20~請求項23のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項25】
前記パネルは、前記テーパー状延長部が前記パネルの一部を形成するようにエッジにおいてテーパー付けされている、請求項20~請求項23のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項26】
前記少なくとも一連の太陽電池は可撓性及び/又は屈曲可能な太陽電池を含む、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項27】
前記少なくとも一連の太陽電池は、テーパー状延長部の先端の周りで屈曲される屈曲可能な両面受光型太陽電池を含む、請求項19又は請求項20に従属する請求項26に記載の窓ユニット。
【請求項28】
前記パネルは平行なコンポーネントパネル部を含み、前記パネルのエッジへの入射赤外光の方向変換を容易にするように配置された回折素子及び/又は発光材料をさらに含む、請求項20~請求項23のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項29】
前記太陽電池とパネル表面との間、又は前記太陽電池とテーパー状延長部との間の空隙が回避されるように、前記太陽電池が前記テーパー状延長部のパネル表面に接合されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項30】
前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つはさらなる光起電材料を含み、前記さらなる光起電材料は、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの表面又はその近傍に配置されており、前記さらなる光起電材料は、前記パネル、又は前記第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの前記表面に沿って、かつ前記さらなる光起電材料のない透過領域間に分布し、前記さらなる光起電材料は、前記さらなる光起電材料の特徴が肉眼で少なくとも殆ど見えないほど十分狭くなるように構築されている、請求項1~29のいずれか一項に記載の窓ユニット。
【請求項31】
前記さらなる光起電材料の特徴は100~80、80~60、60~40、40~20又は20~10マイクロメートルの直径を有し、これらの特徴間の透過領域は100~80、80~60、60~40、40~20又は20~10マイクロメートルの直径を有することができる、請求項30に記載の窓ユニット。
【請求項32】
前記さらなる光起電材料はパターンを形成している、請求項30又は請求項31に記載の窓ユニット。
【請求項33】
前記さらなる光起電材料は、受けた光の一部を吸収して電気を発生し、前記受けた光の一部をパネル材料の少なくとも1つの端面に向けて偏向させるように構成されたさらなる回折素子を形成している、請求項31又は請求項32に記載の窓ユニット。
【請求項34】
請求項13に従属する場合、前記少なくとも一連のさらなる太陽電池は、前記さらなる回折素子によって偏向された前記光の少なくとも一部を受けるように配置されている、請求項33に記載の窓ユニット。
【請求項35】
請求項15に従属する場合、前記少なくとも1つの反射エッジ素子は、前記さらなる回折素子によって偏向された前記光の少なくとも一部を受けるように配置されている、請求項33に記載の窓ユニット。
【請求項36】
電気を発生させるために構成された、建物又は構造物用の窓ユニットであって、
可視光の少なくとも一部に対して透明である領域を有するパネルと、
少なくとも一連の太陽電池と、
を含み、
前記パネルは、パネル材料又は前記パネル材料の近傍に配置されたさらなる光起電材料を含み、前記さらなる光起電材料の特徴が肉眼で少なくとも殆ど見えないほど十分に狭くなるように、前記さらなる光起電材料は前記パネルの表面に、かつ前記さらなる光起電材料のない透過領域間に分布している、
窓ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物又は構造物用の窓ユニットに関し、詳細には、電気を発生させる建物又は構造物用窓ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスタワー、高層住宅及びホテルなどの建物は、ガラスパネルを組み込んだ大量の外壁窓パネル及び/又はファサードを使用している。
【0003】
このような窓パネルを通して太陽光を受ける空間など、内部空間の過熱は、空調機を用いて克服することのできる問題である。空調機の運転には、大量のエネルギーが世界的に使用されている。
【0004】
PCT国際出願PCT/AU2012/000778号、PCT/AU2012/000787号及びPCT/AU2014/000814号(本出願人により所有)はスペクトル選択パネルを開示している。このパネルは窓ガラスとして使用することができ、大部分が可視光を透過するが、入射赤外光の一部をパネルの側部にそらし、そこで赤外光は太陽電池によって吸収されて電気が発生する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様において、電気を発生させるために構成された、建物又は構造物用の窓ユニットが提供される。この窓ユニットは、可視光の少なくとも一部に対して透明であり、光入射方向からの光を受けるための受光面を有する領域を有するパネルと、少なくとも一連の太陽電池であって、各々が両面受光型太陽電池であり、光を吸収して電気を発生させることのできる領域をそれぞれ備えた対向する第1及び第2の表面を有し、使用の際、第1の表面は光入射方向からの光を受けるように配向されており、第2の表面は反対方向からの光を受けるように配置されている、少なくとも一連の太陽電池と、を含む。
【0006】
第1の一連の太陽電池の太陽電池を、パネルのエッジ領域又はその近傍のみに配置することができる。各太陽電池は入射光の100%を吸収、散乱又は反射することができ、入射光を透過するか又は部分的に透過する領域を含まなくてもよいし、この領域を完全に取り囲まなくてもよい。
【0007】
第1の表面をパネルの受光表面に配向することができる。太陽電池の第2の表面が主に間接(反射)光(太陽光など)に当たり、太陽電池の第1の表面が窓ユニットのコンポーネント(component、構成要素)による事前反射なしで大部分の光を受けるために配置されるよう、窓ユニットを構成することができる。あるいは、太陽電池の第2の表面が建物又は構造物の内部からの光を受けるように窓ユニットを構成することができる。
【0008】
1つの実施形態において、窓ユニットは、パネルに面するか、又はパネルと90度以下の角度を形成することのできる少なくとも1つの光反射面を含む。少なくとも1つの光反射面を、パネル及び少なくとも一連の太陽電池の双方から離間させることができ、パネルと平行に配向することができる。少なくとも1つの反射面は、光を吸収して電気を発生させることができる太陽電池の少なくとも1つの第2の表面に少なくとも部分的に面することができる。使用の際、受光面に入射する光の一部はパネルを透過して少なくとも1つの光反射面に向かい、そして少なくとも1つの光反射面によって反射されて少なくとも1つの太陽電池の第2の表面に向かい、第2の表面で光を吸収して電気を発生することができるように、窓ユニットを構成することができる。
【0009】
太陽電池の第2の表面は少なくとも1つの光反射面に面することができ、太陽電池の第1の表面は少なくとも1つの受光面の反対側に面することができる。少なくとも一連の太陽電池と少なくとも1つの受光面との間にパネルを配置することができる。
【0010】
使用の際、窓ユニットのコンポーネントによる事前反射なしで太陽電池の第2の面も入射光に当たるように、少なくとも一連の太陽電池及び少なくとも1つの光反射面を配置することができる。1つの実施形態において、少なくとも1つの光反射面は、太陽電池の第2の表面と少なくとも1つの光反射面との間に空隙が画定されるように配置されている。
【0011】
パネルの面法線方向におけるパネルの周縁の投影内に、少なくとも1つの光反射面を配置することができる。さらに、パネルの面法線方向における少なくとも一連の太陽電池の投影は、少なくとも1つの反射面と部分的又は全体的に重なることができる。
【0012】
窓ユニットはエッジを有することができ、少なくとも一連の太陽電池を少なくとも1つのエッジに、かつこのエッジに沿って配置することができる。少なくとも1つの光反射面を細長くすることができ、窓ユニットのエッジに、かつこのエッジに沿って配置することができる。1つの実施形態において、少なくとも1つの反射面は細長く、窓ユニットのエッジに、かつこのエッジに沿って配置されるが、窓ユニットのエッジから離間されている。例えば、光反射面は、2~8cm又は3~6cmなど、1~10cmの範囲の距離だけエッジから離間されてもよい。
【0013】
窓ユニットは、パネル及び少なくとも一連の太陽電池を支持するフレーム構造をさらに含むことができる。少なくとも1つの光反射面を、窓ユニットのフレーム構造、パネル又は別のコンポーネント上に配置することができる。光反射面をフレーム構造の表面としてもよいし、フレーム構造によって支持される別個のコンポーネントの表面としてもよい。
【0014】
光反射面は、適切な誘電体コーティング又は金属材料のコーティングを含むことができる。光反射面は、赤外線又は可視光線の波長範囲内の波長において入射光の70%、80%、90%、95%、又はさらには99%を超える反射率を有することができる。
【0015】
1つの実施形態では、太陽電池をその第1の表面において受光面とは反対側のパネル表面に取り付けることができ、これにより、パネルの受光面によって受けた光はパネルの少なくとも一部を通って伝播し、太陽電池の第1の表面に到達する。
【0016】
1つの実施形態において、窓ユニットは、各々がパネルのそれぞれのエッジに沿って延在する複数の一連の太陽電池を含む。太陽電池が配置されておらず、少なくとも大部分が可視光に対して透明である領域にパネルの中央領域が対応するように、それぞれのエッジに沿って、かつその近傍にのみ延在する細いストリップの形態で各一連の太陽電池を設けることができる。
【0017】
可視光の少なくとも一部に対して少なくとも大部分が透明である中央領域が、一連の太陽電池が配置されるパネルの領域よりも5、10、15、20、50、100、又は更には500倍大きくなるように、少なくとも一連の太陽電池をパネルのエッジの近傍に配置することができる。
【0018】
太陽電池は、部分的に重なる関係又は屋根板状の構成で配置することが可能である。
【0019】
パネルを第1のパネルとすることができ、窓ユニットは可視光の少なくとも一部に対して透明な領域を有する第2のパネルを含むことができる。少なくとも一連の太陽電池を第1のパネルと第2のパネルとの間に配置することができる。
【0020】
各太陽電池の第1の表面を第1のパネルに直接的又は間接的に接合することができ、各太陽電池の第2の表面を第2のパネルに直接的又は間接的に接合することができ、これによって各太陽電池は第1のパネルと第2のパネルとの間に挟持される。この実施形態では、デバイスの前面及び後面の双方が第1又は第2のパネル(ガラスパネルでもよい)の表面であり、これは太陽電池を保護するという利点を有し、また、窓としての用途に信頼度の高い(真空)封止面をもたらすという利点を有する。
【0021】
フレームは、互いに離間することのできる第1のパネル及び第2のパネルを支持するように配置されることが可能である。少なくとも一連の太陽電池を、第1のパネルと第2のパネルとの間に配置することができる。
【0022】
窓ユニットは、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの、少なくとも1つの端面に配置され、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に面する受光面に対してほぼ垂直に配向された少なくとも一連のさらなる太陽電池を含むことができ、これにより、少なくとも一連のさらなる太陽電池は、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面を通って移動した光を受けるように配置されている。
【0023】
パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つは、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つのエッジへの入射赤外光の方向変換を容易にするために少なくとも1つの回折素子及び/又は発光材料をさらに含むことができる。
【0024】
一連のさらなる太陽電池は、回折素子及び/又は発光材料によって方向変換された光の少なくとも一部を受けるように配置されてもよい。回折素子による赤外線の偏向は、赤外線の建物への透過(パネルが窓ガラスとして使用される場合)を低減することができ、結果として建物内の空間の過熱を低減し、空調のコストを低減できるといったさらなる利点を有する。
【0025】
この代わりに、又はこれに加えて、窓ユニットは、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの、少なくとも1つの端面に配置され、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に面する受光面に対してほぼ垂直に配向された少なくとも1つの反射エッジ素子を含み、これにより、少なくとも一連のさらなる太陽電池は、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面を通って移動した光を反射してパネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つに戻し、光が太陽電池の1つ以上によって吸収される可能性を増加させるように配置されている。
【0026】
また、窓ユニットは、パネル、又は第1及び第2のパネルのうち少なくとも1つの端面に配置され、受光面とほぼ平行に配置されたさらなる反射素子も含むことができ、これにより、さらなる反射素子及び反射エッジ素子が、端面においてほぼカップ状の断面形状を有する構成を共に形成する。
【0027】
少なくとも1つの反射エッジ素子及びさらなる反射素子は任意の適切な形態で提供されてもよいが、1つの実施形態では、アルミニウム又は銀を含む金属コーティングなどの反射コーティングを含むか又は反射コーティングの形態で提供される。
【0028】
1つの実施形態では、少なくとも一連の第2の太陽電池が第2のパネルに配置されている。この実施形態において、第2の太陽電池は両面受光型太陽電池であってもなくてもよく、第2のパネルのエッジに沿って、かつその近傍に、第1のパネルの受光面に面して配置されることが可能である。
【0029】
第2の太陽電池とパネル表面との間の空隙が回避されるように、第2の太陽電池を第2のパネルに接合することができる。第2の一連の太陽電池を、第2のパネルのエッジに、かつこのエッジに沿って配置することができる。
【0030】
1つの別の実施形態において、窓ユニットは、窓ユニットの1つ以上のパネルに取り付けられているか又はその一部を形成するデーパー状延長部を含む。例えば、第2のパネルは2つ以上の平行なコンポーネントパネルを含むことができ、テーパー状延長部は2つ以上の平行なコンポーネントパネルのエッジに取り付けられるか又はその一部を形成することができる。この実施形態において、テーパー状延長部は、それらの間に角度を画定し、テーパー形状を画定する対向する第1及び第2の側部を有し、このテーパー形状は断面が先細りであっても、そうでなくてもよい。この実施形態において、窓ユニットは、それぞれが両面受光型であり、光を受けて電気を発生させる第1の表面及び対向する第2の表面を有する第1及び第2の一連の太陽電池を含むことができる。この実施形態では、太陽電池の第2の表面はテーパー状延長部の側部に面し、かつこれに取り付けられることが可能であり、1つ以上のパネルのエッジを通って移動する光を受けるように配置されることが可能である。この実施形態において、窓ユニットは、太陽電池の第1の表面が、入射光方向、又は建物あるいは構造物の内部からのようなほぼ反対方向のいずれかから光を受けるように構成されている。
【0031】
テーパー状延長部を、断面がほぼ角柱状の付属物とすることができる。あるいは、テーパー状延長部がパネルの一部を形成するように、パネルをエッジにおいてテーパー付けすることができる。パネルは平行なコンポーネントパネル部を含むことができ、パネルのエッジへの入射赤外光の方向変換を容易にするように配置された回折素子及び/又は発光材料をさらに含む。
【0032】
テーパー状延長部の第1及び第2の表面は、1~5、5~10、10~15又は15~20度の範囲の角度を形成することができる。
【0033】
また、少なくとも一連の太陽電池は可撓性及び/又は屈曲可能な太陽電池を含むこともできる。本発明の1つの実施形態において、少なくとも一連の太陽電池は、テーパー状延長部の先端の周りで屈曲される屈曲可能な両面受光型太陽電池を含む。
【0034】
本発明の任意の実施形態において、太陽電池とパネル表面との間、又は太陽電池とテーパー状延長部との間の空隙が回避されるように、太陽電池をテーパー状延長部のパネル表面に接合することができる。接合には接着剤を使用することができる。1つの実施形態において、接着剤は、例えばガラス又は適切なポリマー材料とすることができるパネル材料又はテーパー状延長部の材料の屈折率に少なくとも近似した屈折率を有する。あるいは、太陽電池は、エチレン酢酸ビニル(EVA)又は別の適切な材料などのポリマー材料の外層を有することができる。太陽電池を、パネル表面又はテーパー状延長部の表面に直接接合することができる。例えば、太陽電池がEVA又は別の適切な材料の層を含む場合、この材料をわずかに軟化させてからパネル表面又はテーパー状延長部の表面に直接接着することができる。パネル又はテーパー状延長部と太陽電池との間の空隙が回避されるため、パネルから太陽電池内に伝播する光の強度損失が低減される。
【0035】
太陽電池はシリコンベースの太陽電池であってもよいが、この代わりに、CIGS又はCIS、GaAs、CdS又はCdTeなど任意の他の適切な材料をベースにしてもよい。
【0036】
建物又は構造物は、オフィスビル、住宅建物、商業ビル、温室、又は任意の他のタイプの建物とすることができる。さらに、建物又は構造物は、車両、列車の車両、航空機などの可動構造物とすることができる。
【0037】
窓ユニットは、二重又は三重ガラスユニットなどの一体型ガラスユニットを形成することができる。
【0038】
前述の実施形態のいずれか1つにおいて、単数又は複数のパネル(第1及び第2のパネルなど)をガラス又は適切なポリマー材料から形成することができる。
【0039】
本発明の特定の実施形態において、単数又は複数のパネルはさらなる光起電材料を含む。さらなる光起電材料を、パネル材料又はその近傍に配置することができる。さらなる光起電材料を、パネル又はパネルの少なくとも1つの受光面又は反対面などの表面に分布させることができる。さらなる光起電材料の特徴が肉眼で少なくとも殆ど見えないほど十分狭くなるように、さらなる光起電材料をさらなる光起電材料のない透過領域間に分布させることができる。
【0040】
さらなる光起電材料は、単数のパネル、又は複数のパネルのうち少なくとも1つを通る視界の妨げがないか又は最小限の妨げのみであるという利点を有する。さらに、肉眼ではパネルの少なくとも大部分が透明に見える場合であっても、単数のパネル、又は複数のパネルのうち少なくとも1つの総面積の比較的大きな部分を発電に使用することができる。
【0041】
本発明の第2の態様において、電気を発生させるために構成された、建物又は構造物用の窓ユニットが提供される。この窓ユニットは、
可視光の少なくとも一部に対して透明である領域を有するパネルと、
少なくとも一連の太陽電池と、
を含み、
パネルは、パネル材料又はパネル材料の近傍に配置されたさらなる光起電材料を含み、さらなる光起電材料の特徴が肉眼で少なくとも殆ど見えないほど十分に狭くなるように、さらなる光起電材料はパネルの表面に、かつさらなる光起電材料のない透過領域間に分布している。
【0042】
以下、第1及び第2の態様による本発明の任意の特徴について紹介する。
【0043】
さらなる光起電材料の特徴は、100~80、80~60、60~40、40~20又は20~10マイクロメートルの直径を有することができる。これらの特徴間の透過領域は、100~80、80~60、60~40、40~20又は20~10マイクロメートルの直径を有することができる。
【0044】
さらなる光起電材料はパターンを形成することができる。例えば、さらなる光起電材料は、受けた光の一部を吸収して電気を発生し、受けた光の一部をパネル材料の少なくとも1つの端面に向けて偏向させるように構成されたさらなる回折素子を形成することができる。さらなる回折素子は、さらなる光起電材料の周期的又は準周期的配列を含むことができる。
【0045】
本明細書を通して、「準周期的配列」という用語は、周期的な成分と、さらに、ランダムに分布しうる非周期的な成分とを含む配列に使用される。
【0046】
さらなる回折素子は、例えば150、100、80、60又は40マイクロメートル未満など、200マイクロメートル以下の周期を有するさらなる回折格子とすることができる。主に赤外波長範囲の波長を有する光が少なくとも1つの端面に向けて偏向されるように、さらなる回折素子を構成することができる。偏向された光の少なくとも一部がパネル材料内でパネルの端面又はパネルの少なくとも1つに向かって導かれるように、さらなる回折素子及びパネル材料を構成することができる。
【0047】
少なくとも一連のさらなる太陽電池は、単数のパネル、又は複数パネルのうち少なくとも1つの少なくとも1つの端面に配置されてもよく、単数のパネル、又は複数パネルのうち少なくとも1つの端面に面する受光面に対してほぼ垂直に配向されてもよく、さらなる電気を発生させることができるように、さらなる回折素子によって端面に向けて偏向された光の少なくとも一部を受けるように配置されてもよい。
【0048】
さらなる光起電材料は、連続した材料の形態で提供されてもよいし、相互接続された材料の部分を含んでもよい。例えば、さらなる光起電材料は、ライン、ランダムな形状又は配向の材料、又は少なくとも大部分が透過性の材料を材料間に有する材料のパターンを含むことができる。
【0049】
透過性材料領域は、任意の適切な形状(任意の規則的又は不規則な形状など)を有することができる。
【0050】
特定の実施形態において、さらなる光起電材料は平面にパターンを形成し、パネル材料の少なくとも一部(大部分など)にわたって延在する特徴を含む。さらなる光起電材料の特徴は、回折素子の面積(通常は受光面に平行な面内)の1%~5%、5%~20%、20%~40%、40%~60%又は60~80%以上を占めることができる。
【0051】
1つの実施形態において、さらなる光起電材料は、単数のパネル、又は複数パネルのうち少なくとも1つの上に連続層構造の薄膜材料の形態で提供され、次に透過材料領域が、例えばレーザアブレーション又は適切なエッチングプロセスを用いて形成される。
【0052】
本発明は、本発明の特定の実施形態に関する以下の説明からより完全に理解されるであろう。添付の図面を参照して説明を行う。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の実施形態による窓ユニットの概略上面図である。
図2】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図3】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図4】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図5】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図6】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図7】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図8】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図9】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図10】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図11】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図12】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図13】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図14】本発明の実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
図15】本発明の実施形態による窓パネルの構成要素の概略図である。
図16】本発明のさらなる実施形態による窓ユニットの一部の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
まず図1を参照すると、本発明の実施形態による発電用窓ユニット100の概略上面図が示されている。窓ユニット100はパネル102を含み、本実施形態では4つの一連の太陽電池104、106、108、110がパネル102の各エッジに配置されている。4つの一連の太陽電池104、106、108、110は両面受光型太陽電池である。各両面受光型太陽電池は、各太陽電池面の、光を受けて電気を発生する第1の表面と、光を受けて電気を発生する反対側の第2の表面とを有する。各太陽電池の太陽電池面の第1の表面はパネル102の受光面に面し、第2の面は、本実施形態では窓ユニットを取り付けることのできる建物又は構造物の内部に面する。これらの太陽電池は、光の少なくとも大部分を透過するパネルの領域を共に囲んでいる。
【0055】
パネル102の材料は、入射可視光の少なくとも70%、80%又は90%を透過する(ガラスなどのパネル材料の透過率によって制限される)。入射光の透過がパネル102のエッジにおいてのみ太陽電池によって妨げられるように、太陽電池はパネル102のエッジにのみ配置されている。
【0056】
この例では、太陽電池の第1の表面は、太陽電池とパネル102との間に空隙が存在しないようにパネル102に接着されている。この例では、太陽電池112はEVAの外層を含む。太陽電池112をパネル102に接着する前に、(熱を注意深く加えることによって)EVAをわずかに軟化させ、次いで太陽電池112をパネル102に押しつける。軟化したEVAが再び硬化すると、太陽電池は、追加の接着剤を必要とせずにパネル102に接着される。
【0057】
パネル102は任意の形状を有することができるが、1つの特定の実施形態では矩形であり、正方形であってもよい。パネル102は、適切なガラス又はポリマー材料から形成することができる。
【0058】
ここで図2を参照すると、本発明の別の実施形態による窓ユニット200の一部分の断面図が示されている。窓ユニット200は、第1の太陽電池207を有するパネル102と、第2の太陽電池208を有するパネル204とを含む。太陽電池207及び208の各々は、パネル102及び204それぞれの、光の少なくとも大部分を透過する領域を共に囲む一連の太陽電池の一部である(図1に示す実施形態と同様である)。太陽電池207及び208は両面受光型太陽電池であり、本実施形態では太陽電池207及び208であり、パネル202及び204の表面部分にそれぞれ直接接着されている。
【0059】
また、窓ユニット200は反射部209及び210を含む。本実施形態において、反射部は、高い反射率を有する金属表面(AL又はAGコーティングの表面であってもよい)を有する。反射部209、210は、フレーム構造205上で、両面受光型太陽電池207の後ろの空隙内に配置されている。反射部209及び210は、両面受光型太陽電池207の後ろの空間を取り囲んでいる。反射部209、210は、反射部210と太陽電池207との間の間隙内で受ける光の大部分が両面受光型太陽電池207の第2の表面に向けられ、そこで吸収されて電気を発生することができるように配置されている。
【0060】
本実施形態において、両面受光型太陽電池208は、窓ユニット200が取り付けられる建物又は構造物の内部に両面受光型太陽電池208の第2の表面が面するように配置されている。両面受光型太陽電池208の第2の表面は、建物又は構造物の内部からの散乱光又はさらに直接光を受けるように配置されており、したがって追加の電気を発生することができる。
【0061】
フレーム構造205は、パネル102及び202ならびに一連の太陽電池を所定の位置に保持するように配置されている。
【0062】
図2に示される実施形態において、パネル204は2つのサブパネル204a及び204bを有する積層構造体である。サブパネル204a及び204bは、互いに嵌合してパネル204を形成する。パネル204aと204bの間にはポリビニルブチラル(PVB)の中間層が配置されており、この中間層は本実施形態では光散乱素子も含む。本実施形態において、光散乱素子はPVBに埋め込まれた発光散乱粉末を含み、これは接着剤を提供するエポキシも含む。また、パネル204は、パネル204のエッジ領域へ光を方向変換し、全内部反射によって光を導くことを容易にするように配置された回折格子を含む。
【0063】
発光材料及び/又は散乱材料のさらなる詳細は、PCT国際出願PCT/AU2012/000778号及びPCT/AU2012/000787号(本出願人により所有され、相互参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0064】
パネル204は、任意の数の中間層を備えた任意の数のガラス(pane)を有することができることを理解されたい。ある実施形態では、パネル204はガラスなどの光透過材料を一枚含むことができる。
【0065】
パネル204は、パネル102の受光面を横断する面を有するエッジ211を有する。図2の実施形態では、エッジ211と受光面との間の角度は90°である。
【0066】
また、窓ユニット200は一連の第3の太陽電池214を有する。一連の第3の太陽電池214はパネル204のエッジ211に面している。一連の第3の太陽電池214はパネル204を実質的に取り囲んでおり、散乱材料及び/又は回折素子(図示せず)によって第2のパネル204のエッジ(エッジ211など)に方向変換された光を受けるように配置されている。
【0067】
本実施形態では、一連の第3の太陽電池は両面受光型太陽電池ではなく、それぞれパネル204のエッジ211に面した単一の受光面を有する。
【0068】
ここで図3を参照して、窓ユニット300のさらなる実施形態を説明する。窓ユニット300は図2を参照して説明した窓ユニット200に関連しており、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。しかしながら、窓ユニット200とは対照的に、両面受光型太陽電池208はサブパネル204aの表面に配置されておらず、サブパネル204bの表面に取り付けられており、したがってパネル102と204の間に配置されている。両面受光型太陽電池208の第1の表面は、(パネル204も通るのではなく)単一のパネル102のみを通る光からの入射及び散乱光を受けるように配置されている。さらに、両面受光型太陽電池208の第2の表面は、建物又は構造物の内部からの光、パネル204のエッジ211付近でパネル204から散乱した光、そして太陽電池214によって反射された光も受けるように配置されている。
【0069】
本実施形態では、窓ユニット300はさらなる太陽電池215も含んでおり、これらは両面受光型太陽電池であってもなくてもよい。太陽電池215は、パネル204に取り付けられた第1の表面を有し、これらの表面は、パネル204のエッジ211付近でパネル204から散乱した光と、また太陽電池214によって反射された光も受けるように配置されている。太陽電池215が両面受光型太陽電池である場合、太陽電池215は、使用の際、窓ユニット300が取り付けられた建物又は構造物の内部からも光を受ける。
【0070】
ここで図4を参照して、本発明の別の実施形態による窓ユニット400について説明する。窓ユニット400は、図2及び図3を参照して説明した窓ユニット200及び300に関連しており、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。本実施形態では、両面受光型太陽電池207がパネル102と204との間に挟持されており、太陽電池207の第1の表面はパネル102に接着されており、太陽電池207の第2の表面はパネル204に接着されている。パネル207の第1の表面は、光入射方向から(建物又は構造物の外側領域から)パネル102を通って移動した光を受けるように配置されており、第2の表面は、建物又は構造物の内側部分から光を受けるように配置されている。また、窓ユニット400は、パネル102のエッジに配置され、パネル102の後ろの面で両面受光型太陽電池207を取り囲むさらなる一連の太陽電池402を含む。太陽電池402は両面受光型ではなく、フレーム205の一部分とパネル102との間に挟持されている。窓ユニットは太陽電池214及び215をさらに含んでおり、これらの太陽電池は図3を参照して前述したように配置されている。
【0071】
図5は、本発明のさらなる実施形態による窓ユニット500を示している。本実施形態では、両面受光型太陽電池207の第1の表面はパネル102に接着されている。太陽電池207はパネル102のエッジに配置され、列を形成している。一連の両面受光型太陽電池207は、可視光を透過するパネルの中央領域を取り囲んでいる。また、窓ユニット500は、窓ユニット500のコンポーネントを支持するフレーム505を含んでいる。第2のパネル509は反射部510を支持しており、反射部510は、パネル102を通って移動した入射光の一部を太陽電池207の第2の表面に向け、そこで光を吸収して電気を発生することができるように配置されている。
【0072】
図6は、本発明の別の実施形態による窓ユニット600を示している。窓ユニット600は、外側ガラスパネル602及び604と、内側ガラスパネル606及び608とを含む。フレーム610が窓ユニット600のコンポーネントを支持している。さらに、窓ユニット600は、本実施形態では適切なポリマー材料又はガラスから形成された角柱状の本体など、角柱体612の形で設けられたデーパー状延長部を含む。角柱体612は、パネル606及び角柱体612の材料の屈折率に少なくとも近似するか又はこれに等しい屈折率(硬化時)を有する光学接着剤を用いてパネル606に接着されている。当業者であれば、説明した実施形態の変形例において、パネル606の面取りされたエッジ部からテーパー状延長部612を形成してもよいことを理解するであろう。
【0073】
テーパー状延長部の両側部分には、両面受光型太陽電池614及び616が取り付けられている。両面受光型太陽電池614及び616は第1の表面を有し、その表面において、両面受光型太陽電池614及び616は間隙をなくすような態様で角柱状延長部612に取り付けられている。その結果、両面受光型太陽電池614、616の第1の表面は、パネル606のエッジを通って移動した光を受けるように配置されている。さらに、両面受光型太陽電池614及び616は、光入射方向からの光と、窓ユニットが取り付けられて使用されている建物又は構造の内部部分からの光を受けるように配置された第2の表面を有する。
【0074】
パネル606は、互いに嵌合してパネル606を形成するサブパネル606及び608を含む。サブパネル607とサブパネル608との間にはポリビニルブチラール(PVB)の中間層が配置されており、この中間層は本実施形態では光散乱素子も含む。本実施形態において、光散乱素子はPVBに埋め込まれた発光散乱粉末を含み、これは接着剤を提供するエポキシも含む。また、パネル606は、パネル606のエッジ領域へ光を方向変換し、全内部反射によって光を導くことを容易にするように配置された回折格子を含む。
【0075】
説明した実施形態の変形例において、両面受光型太陽電池614及び616は可撓性材料及び/又は屈曲可能な材料から形成されており、これらを共通の基材上に形成することができる。また、両面受光型太陽電池614及び616を屈曲可能な同一の太陽電池の部分としてもよく、角柱体612の先端の周りで屈曲させてもよい。可撓性及び/又は屈曲可能な太陽電池に関するさらなる詳細については、本出願人の同時係属中のPCT国際出願PCT/AU2018/051263号(相互参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0076】
図7は、本発明の別の実施形態による窓ユニット700を示している。本実施形態では、両面受光型太陽電池207がパネル102と204との間に挟持されている。両面受光型太陽電池207の第1の表面はパネル102に接着されており、太陽電池207の第2の表面はパネル204に接着されている。図3及び図4を参照して示した実施形態と同様に、窓ユニット700は、パネル102及び204の端面に面し、パネル102及び204に取り付けられた第1の表面を有する太陽電池702を含む。本実施形態において、太陽電池702は、パネル102及び204の端面を通って向けられた光を受けるように配置されている。パネル606を参照して前述したように、パネル102及び204は、入射光の端面への方向変換を容易にするために、適切な発光材料及び/あるいは散乱材料、ならびに/又は回折格子を含むことができる。
【0077】
図8は、本発明の別の実施形態による窓ユニット800を示している。窓ユニット800は前述の窓ユニット700の変形例であり、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。しかしながら、窓ユニット800は、太陽電池702の代わりに反射部802、804及び806を含んでいる。反射部802はパネル102及び204の端面に面しており、パネル102及び204の端面を通って方向変換された光を反射してパネル102及び204に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207によって吸収できるように配置されている。反射部804及び806は、パネル102及び204のエッジ領域でパネル102及び204から散乱された光を反射してパネル102及び204に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207によって吸収できるように配置されている。本実施形態において、反射部802、804、及び806はカップ状の断面形状を有する構成を形成している。反射部802、804、及び806は任意の適切な形態をとることができるが、本実施形態ではパネル102及び204の表面部分に塗布された金属コーティング(アルミニウム又は銀のコーティングなど)である。さらなる変形例において、窓ユニット800は反射部804及び806を含まなくてもよい。
【0078】
次に図9を参照して、本発明のさらなる実施形態による窓ユニット900を説明する。窓ユニット900は前述の窓ユニット700に関連しており、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。本実施形態では、窓ユニット900は三重ガラス構成であり、第3のパネル902と、さらなる両面受光型太陽電池904とを含んでいる。両面受光型太陽電池904はパネル204及び902の間に挟持され、これらに接着されている。また、窓ユニット900は、パネル102、204及び902の端面に面し、パネル102、204、902及び906に取り付けられた第1の表面を有する太陽電池906を含む。太陽電池906は、パネル102、204及び906の端面を通って向けられた光を受けるように配置されている。窓ユニット700と同様に、パネル102、204及び/又は902は、パネル102、204及び902のエッジへの入射光の方向変換を容易にするために、適切な発光材料及び/あるいは散乱材料、ならびに/又は回折格子を含むことができる。
【0079】
次に図10を参照して、本発明のさらなる実施形態による窓ユニット1000を説明する。窓ユニット1000は前述の窓ユニット900の変形例であり、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。しかしながら、窓ユニット1000は、太陽電池906の代わりに反射部1002、1004及び1006を含んでいる。反射部1002はパネル102、204及び902の端面に面しており、パネル102、204及び902の端面を通って方向変換された光を反射してパネル102、204及び902に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207及び904によって吸収できるように配置されている。さらなる反射部1004及び1006が、パネル102、204及び902のエッジでパネル102、204、及び902から散乱された光を反射してパネル102、204及び902に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207及び904によって吸収できるように配置されている。反射部1002、1004及び1006はカップ状の断面形状を有する構成を形成し、反射コーティング(アルミニウム又は銀を含む金属コーティングなど)の形態で提供されている。反射部1002、1004及び1006は、本実施形態ではパネル102、204及び902の表面部分に塗布されたコーティングである。変形例において、窓ユニット1000は反射部1004及び1006を含まなくてもよい。
【0080】
図11は、本発明のさらなる実施形態による窓ユニット1100を示している。窓ユニット1100は、本実施形態では四重ガラス構成で、前述の窓ユニット700に関連しており、同様の構成要素には同様の参照番号が付されている。窓ユニット1100は、平行に配置され、スペーサ1102によって分離された2つの窓ユニット700の組み合わせに関する。スペーサ1102は任意の適切な形態で提供することが可能であり、例えば、反射面を有することができる適切な金属材料又はポリマー材料から形成されたバー(棒状のもの)を含むことができる。本実施形態において、窓ユニット1100は、パネル102及び204の端面に面し、パネル102及び204に取り付けられた第1の表面を有する太陽電池1104を含む。太陽電池1104は、パネル102、204の端面を通って向けられた光を受けるように配置されている。パネル102、204は、パネル102、204のエッジへの入射光の方向変換を容易にするために、適切な発行材料及び/あるいは散乱材料、ならびに/又は回折格子を含むことができる。
【0081】
図12は、本発明のさらに別の実施形態による窓ユニット1200を示している。窓ユニット1200は前述の窓ユニット1100の変形例であり、同様の構成要素には同様の参照番号が使用されている。しかしながら、窓ユニット1200は、太陽電池1102の代わりに反射部1202、1204及び1206を含んでいる。反射部1202はパネル102及び204の端面に面しており、パネル102及び204の端面を通って方向変換された光を反射してパネル102及び204に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207によって吸収できるように配置されている。さらなる反射部1204及び1206が、パネル102及び204のエッジでパネル102及び204から散乱された光を反射してパネル102及び204に戻し、反射光の少なくとも一部を両面受光型太陽電池207によって吸収できるように配置されている。本実施形態において、反射部1202、1204及び1206はカップ状の断面形状を有する構成を形成している。反射部1202、1204、及び1206は任意の適切な形態をとることができるが、本実施形態ではパネル102及び204の表面部分に塗布された金属コーティング(アルミニウム又は銀を含むコーティングなど)である。さらなる変形例において、窓ユニット1200は反射部1204及び1206を含まなくてもよい。
【0082】
図2図12を参照して説明した窓ユニット200~1200の太陽電池は、窓ユニット100において前述したのと同じ方法でパネル表面に取り付けられる。太陽電池の表面は、太陽電池とパネルとの間に空隙が存在しないようにパネルに接着されている。説明した実施例では、太陽電池はEVAの外層を有する。太陽電池をパネルに接着する前に、(熱を注意深く加えることによって)EVAをわずかに軟化させ、次いで太陽電池をパネルに押しつける。軟化したEVAが再び硬化すると、太陽電池は、追加の接着剤を必要とせずにパネルに接着される。しかしながら、この代わりに、太陽電池をパネルの表面に接着するために接着剤(光学接着剤など)を使用できることを当業者は理解するであろう。接着剤は、パネルの材料の屈折率に少なくとも近似するか又はこれに等しい屈折率(硬化時)を有することが理想的である。
【0083】
前述の実施形態の全てのパネル及びサブパネルは低鉄超透明ガラスで形成されている。さらに、前述の窓ユニットの各々は、入射可視光を透過する(ガラスなどのパネル材料の透過率によって制限される)パネルを有する。パネルのエッジにおいてのみ入射光の透過が太陽電池によって妨げられるように、太陽電池はパネルのエッジにのみ配置される。
【0084】
説明した実施形態の各々の太陽電池はシリコンベースの太陽電池であってもよいが、この代わりに、CdS、CdTe、GaAs、CIS又はCIGSなど任意の他の適切な材料をベースにしてもよい。
【0085】
図13は本発明のさらなる実施形態を示している。図13は、上部パネル1302及び下部パネル1310を含む窓パネル1300を示している。両面受光型太陽電池1304が上部パネル1302のエッジに沿って分布している。さらに、回折格子1306が上部パネル1302のエッジに配置されている。本実施形態において、回折格子1306は、上部パネル1302に入射する光をパネル1300のエッジ部分へ向けることを容易にするように構成された位相格子である。回折格子1302は、上部パネル1302の表面にエンボス加工するか又は他の方法で形成する(書き込む)ことが可能である。さらに、パネル窓ユニット1300は低放射率コーティング1308を含み、これは本実施形態では二重シリコーンコーティングであり、赤外波長範囲の光を反射する一方で可視波長範囲の光の大部分を透過する。
【0086】
1つの実施形態において、図1図11を参照して前述したパネル102、204、204a、204a、204b、602、604、904のうちの1つ以上は、パネル表面上に配置されてパネル表面上に分布させることの可能なさらなる光起電材料を含む。さらなる光起電材料は、1つの実施形態ではCIS又はCIGSの薄膜など薄膜材料の形態で設けられるが、あるいは、さらなる光起電材料が他の形態(任意の適切な従来の無機光起電材料及びポリマー光起電材料などの有機材料を含む)で設けられてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0087】
ここで、本発明の実施形態による窓パネル1400を示す図14を参照して、さらなる光起電材料について説明する。本実施形態では、さらなる光起電材料1402が、可視光に対して大部分が透明であるパネル1400の表面に蒸着された薄膜材料の形態で提供されている。光起電材料1402は空隙1403を有し、肉眼では見えないように構築されている(図14の図は一定の縮尺で示されていない)。パネル1300は、図1図13を参照して前述したパネル102、204、204a、204b、602、604、904及び1302のうちの1つと置き換えることができる。
【0088】
1つの実施形態において、さらなる光起電材料は、図15に概略的に示すさらなる回折格子を形成している。さらなる回折格子1500は、さらなる光起電材料の周期的又は準周期的な配列から形成されており、受けた光の一部を吸収して電気を発生し、受けた光の一部をパネル材料の端面に向けて偏向させるように配置されている。通常、さらなる光起電材料は、10~25マイクロメートルなど100~50マイクロメートルよりも狭い幅を有し、ゆえに肉眼では見えず、光起電材料のない領域1503を取り囲むか又は分離するライン又は他の構造1502を含んでいる。さらなる回折格子の他の構造のラインは直列に接続される。本実施形態において、さらなる回折格子1500はパネルのエッジへの入射光の方向変換を容易にするように配置されており、このエッジにおいて光は、エッジ(図2図3図4図6図7図9及び図11を参照して前述した光電池214、702、614、616、906及び1104など)に配置された光電池によって吸収されるか、又は反射部(図8図10及び図12を参照して前述した反射部802、804、806、1002、1004、1006、1202、1204、1206など)によって反射されることが可能である。
【0089】
図16は、本発明のさらなる実施形態によるデバイスを示している。図16は、第1のパネル1602及び第2のパネル1604を有するデバイス1600を示している。第1のパネル1602及び第2のパネル1604は、入射可視光の少なくとも70%を透過する(ガラスなどのパネル材料の透過率によって制限される)。デバイス1600は、パネル1602、1604のエッジに配置された両面受光型太陽電池1606を含む。
【0090】
太陽電池1606の各々はパネル1602に面する受光面を有し、太陽電池1606とパネル1602との間に空隙が存在しないようにパネル1602に接着されている。また、太陽電池1606の各々は、パネル1604に面し、パネル304に接着された後部受光面を有する。排除体積分枝ポリマー(EVB)又はエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のシートが、パネル1602とパネル1604との間に配置されている。この例では、太陽電池1606はETAの外層を含む。太陽電池1606をパネル1602及び1604に接着してパネル1602及びパネル1604を互いに接着する前に、(熱を注意深く加えることによって)ETA及びEVB又はETFEをわずかに軟化させ、次いでパネル1602、1604を互いに押しつける。軟化したETAが再び硬化すると、太陽電池は、追加の接着剤を必要とせずにパネル1602、1604の間に挟持されてこれらに接着され、積層構造が形成される。パネル1602、1604は太陽電池1606を保護し、また、デバイスの前側と後側の双方に信頼度の高い封止面をもたらし、これは窓としての用途に有利である。
【0091】
しかしながら、説明した実施形態の変形例において、さらなる光起電材料は、肉眼で見ることのできるわずかに大きな特徴を代わりに含んでもよいことが理解されよう。例えば、さらなる光起電材料は、透過性材料領域間に、100~200マイクロメートルの直径を有する特徴を代わりに有することができる。この場合、これらの特徴は、詳しく調べれば肉眼で見ることができるがパネル構造を通しての視界を大きく妨げないように、サイズを十分に小さくすることができる。
【0092】
さらに、説明した実施形態の変形例において、さらなる光起電材料は、さらなる回折素子を形成しなくてもよいがランダムに配置されてもよく、パターンを形成してもよく、又はパターンを形成しなくてもよいことを当業者は理解するであろう。
【0093】
さらなる光起電材料1402の製造について以下に説明する。さらなる光起電材料1402の形成は、まず、CIS又はCIGSが形成される透明パネル(ガラスパネルなど)の提供を含むことができる。次いで、CIS又はCIGS材料の一部をアブレーションしてさらなる光起電材料の前述の透過性材料領域を形成することにより、さらなる光起電の特徴を形成することができる。例えば、アブレーションは、1つ以上のレーザを用いた光熱アブレーションを含むことができる。20マイクロメートル未満の直径を有する構造の形成は、レーザアブレーションを用いて可能である。具体的には、十分な出力のUV波長レーザを用いてCIS又はCIGS材料を局所的にアブレーションし、これによって分子間の化学結合を切断し、残留物を表面からアブレーションし、透過性材料領域(穴)を残す。このように、さらなる回折格子をレーザビームに対して移動させることによって拡張構造を形成できることを当業者は理解するであろう。さらに、一連のレーザを並列アブレーションプロセスに用いることができ、これによって製造時間が短縮される。
【0094】
あるいは、深掘りRIEなどの反応性イオンエッチング(RIE)を使用して、さらなる光起電材料を形成することができる。この場合、まずCIS又はCIGS太陽電池を透明パネル部分上に形成し、次いで適切なマスクによってこれを覆う。そして、CIS又はCIGS材料及びマスクを有するパネル部分をチャンバ内に配置し、高周波電源を用いるプラズマエッチングのために適切なガスをチャンバに導入する。次に、100マイクロメートルの長さ及び25マイクロメートルの厚さを有することができ、ゆえに肉眼では見えない銀ナノワイヤなどの細いモリブデンワイヤ又は銀ワイヤを使用して、個々のCIS又はCIGS層の部分を電気的に接続する。
【0095】
ウェットエッチングを用いて、透過性材料領域をさらなる光起電材料内に形成することもできる。選択されたウェットエッチングプロセスに対して大きく耐性がある適切なマスクを用いて、透明パネル上に形成されたCIS又はCIGS材料を覆う。特に小さい構造体を形成する際のウェットエッチングの既知の問題である、マスクで覆った領域の下のエッチングを、適切なスプレーエッチング技術を用いることにより低減することができる。
【0096】
あるいは、マスクを用いずに、エッチング材料の小さな液滴をCIS又はCIGS材料上に直接配置して透過材料領域を形成するインクジェット印刷と同様の技術を用いて、ウェットエッチングを実施してもよい。
【0097】
PCT国際出願PCT/AU2012/000778号、PCT/AU2012/000787号、PCT/AU2014/000814号及びPCT/AU2018/051263号への言及は、これらの文献がオーストラリア又は他国における技術常識の一部であることを認めるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】