(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】ウイルス性の疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/675 20060101AFI20230616BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20230616BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230616BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20230616BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20230616BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230616BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230616BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K31/675
A61P31/12
A61P31/14
A61K9/12
A61K9/72
A61K47/10
A61P29/00
A61P11/00
A61P5/00
A61P1/00
A61P13/12
A61P35/00
A61P9/00
A61P37/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570425
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021060676
(87)【国際公開番号】W WO2021239346
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519084526
【氏名又は名称】ソフトハレ エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】SOFTHALE NV
【住所又は居所原語表記】Agoralaan building Abis, 3590 Diepenbeek Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルト, ユーゲン
(72)【発明者】
【氏名】テーブス, ヤン‐トーステン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA93
4C076BB27
4C076CC35
4C076DD37
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA04
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4C086MA56
4C086NA10
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB33
4C086ZC02
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、対象におけるウイルス性の疾患、障害または状態を治療する方法を提供し、この方法は、吸入によって噴霧形態の医学的に活性な液体を前記対象に投与するステップを含み、医学的に活性な液体は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態で投与される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態の治療または予防において使用するための、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体であって、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で前記対象に投与される、医学的に活性な液体。
【請求項2】
前記ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、コロナウイルス感染症またはコロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態である、請求項1に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項3】
前記コロナウイルス感染症が、SARS-CoVもしくはSARS-CoV-2感染症であるか、または前記コロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、SARS-CoVもしくはSARS-CoV-2感染症に起因する、請求項2に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項4】
前記コロナウイルス感染症が、中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症であるか、または前記コロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症に起因する、請求項2に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項5】
前記ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態が、ウイルス複製の阻害に応答するものである、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項6】
前記ウイルス性の疾患、障害または状態が免疫系の疾患、障害または状態;炎症性の疾患、障害または状態;自己免疫疾患、障害または状態;心血管系の疾患、障害または状態;癌;腫瘍または他の悪性腫瘍;腎系の疾患、障害または状態;胃腸管の疾患、障害または状態;呼吸器系の疾患、障害または状態;内分泌系の疾患、障害または状態;および/または中枢神経系(CNS)の疾患、障害もしくは状態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項7】
前記ウイルス性の疾患、障害または状態が炎症性の疾患、障害または状態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項8】
前記ウイルス性の疾患、障害または状態が重症急性呼吸器症候群(SARS)である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項9】
前記ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、呼吸器もしくは肺の感染症または呼吸器もしくは肺の疾患、障害もしくは状態である、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項10】
前記肺の感染症が下気道感染症である、請求項9に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項11】
前記下気道感染症が肺炎である、請求項10に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項12】
前記対象がヒトまたは動物である、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項13】
前記対象がウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態と診断されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項14】
前記対象が、COVID-19と診断されている、請求項13に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項15】
前記レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩が、前記対象の前記肺に投与される、請求項1から14のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項16】
レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む前記医学的に活性な液体を投与するために使用される前記吸入装置が手持ち式装置である、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項17】
前記レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む前記医学的に活性な液体を投与するために使用される前記吸入装置がソフトミスト吸入器である、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項18】
前記レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む前記医学的に活性な液体を投与するために使用される前記吸入装置が、少なくとも1つの衝突型ノズルを有するソフトミスト吸入器である、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項19】
レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む前記医学的に活性な液体を投与するために使用される前記吸入装置が、吸入療法のための噴霧された医学的に活性なエアロゾルを送達するための手持ち式吸入装置であり、
(a)使用者に面する側を有するハウジング、
(b)少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって前記噴霧されるエアロゾルを生成するための衝突型ノズルであって、前記ノズルが前記ハウジングに対して不動であるように前記ハウジングの前記使用者に面する側にしっかりと取り付けられている、衝突型ノズル、
(c)前記ハウジング内に配置された流体リザーバ、および
(d)前記ハウジング内に配置されたポンプユニットであって、
-前記流体リザーバに流体接続された上流端部、
-前記ノズルに流体接続された下流端部、を有する、ポンプユニットを備え、
前記ポンプユニットは、前記流体リザーバから前記ノズルに流体をポンピングするように適合されており、
前記ポンプユニットは、
(i)上流端部を有するライザーパイプであって、
-前記ポンプユニットのピストンとして機能するように適合され、
-前記ハウジングに対して不動であるように、前記ハウジングの前記使用者に面する側にしっかりと固定される、ライザーパイプ、および
(ii)前記ライザーパイプの上流に位置する中空シリンダであって、前記ライザーパイプの前記上流端部は、前記シリンダが前記ライザーパイプで長手方向に移動可能であるように前記シリンダに挿入される、中空シリンダ、
(iii)ロックされたときに位置エネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに前記蓄積されたエネルギーを放出するためのロック可能手段であって、前記手段は、前記シリンダの外側に配置され、前記シリンダに機械的に結合され、前記手段のロックを解除すると、前記ポンプユニットの下流端部に向かって前記シリンダが長手方向に推進運動するようになる、ロック可能手段
をさらに備える、請求項1から18のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項20】
前記医学的に活性な液体が、約10μg/μL~約30μg/μLの濃度のレムデシビルを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項21】
前記医学的に活性な液体が、約15μg/μLの濃度のレムデシビルを含む、請求項20に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項22】
前記投与される医学的に活性な液体が約150μg~約230μgのレムデシビルを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項23】
前記投与される医学的に活性な液体が約225μgのレムデシビルを含む、請求項22に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項24】
前記医学的に活性な液体の平均粒径分布が、Dv50で約2.0μm~約4.0μmである、請求項1から23のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項25】
前記医学的に活性な液体がアルコールを含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【請求項26】
前記アルコールがエタノールである、請求項25に記載の使用のための医学的に活性な液体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入によって噴霧形態の医学的に活性な液体を対象に投与することによって、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を治療するための方法という分野に関し、医学的に活性な液体は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態で投与される。より具体的には、本発明は、コロナウイルス感染症などのウイルス感染症、またはコロナウイルス感染症によって誘発されるもしくはコロナウイルス感染症から生じる呼吸器または肺の疾患、障害または状態などのウイルス性の疾患、障害または状態の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
液体用のネブライザまたは他のエアロゾル発生器は、当技術分野で知られている。とりわけ、そのような装置は医学および治療において使用される。そこでは、エアロゾル、すなわち気体に埋め込まれた小さな液滴の形態の活性成分を適用するための吸入装置として機能する。そのような吸入装置は、例えば欧州特許第0,627,230号明細書から知られている。この吸入装置の必須構成要素は、エアロゾル化される液体が収容され、噴霧するのに十分高い圧力を発生させるためのポンプ装置、ならびにノズルの形態の霧化装置があるリザーバである。ポンプ装置によって、液体は、リザーバから離散量で、すなわち連続的ではなく引き出され、ノズルに供給される。ポンプ装置は推進剤なしで作動し、機械的に圧力を発生させる。
【0003】
レムデシビルは、重症疾患で入院している成人および小児における、疑われるまたは実験室で確認されたコロナウイルス疾患COVID-19の治療のための緊急での使用について、2020年5月にFDAによって認可された抗ウイルス薬である。レムデシビルは、SARS-CoV-2(別名2019-nCoV)と呼ばれる、COVID-19という疾患のアウトブレイクを引き起こした、2019年に最初に検出された新規のコロナウイルスに対して抗ウイルス効果を有することが示されている。例えば、Wang,M.et al.,Cell Research,Vol.30,269-271(2020,doi:10.1038/s41422-020-0282-0)を参照されたい。COVID-19に加えて、レムデシビルは他のウイルス感染症の治療について調査されている。例えば、レムデシビルは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、エボラウイルス(EBOV)、マールブルグウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ニパウイルス(NiV)、およびヘンドラウイルスを含む様々なウイルス感染症に対して抗ウイルス効果を有することが示されている。例えば、Warren,T.K.et al.,Nature,Vol.531,381-385(2016);Lo,M.K.et al,Sci.Rep.,Vol.7,43395(2017);Sheahan,T.P.et al.,Sci.Transl.Med.,Vol.9,eaal3653(2017);およびSheahan,T.P.et al.,Nature Communications,Vol.11,222(2020,doi:10.1038/s41467-019-13940-6)を参照されたい。米国特許第7,544,712号明細書は、重症急性呼吸器症候群およびブタ伝染性胃腸炎ウイルス感染症を含むコロナウイルス感染症を、種々の化合物の経口投与、経鼻投与または親の投与によって治療する方法を開示している。これらの努力にもかかわらず、吸入による肺の送達のために、ウイルス感染症またはウイルス性の疾患もしくは状態、例えば呼吸器疾患もしくは状態を治療するためのレムデシビルの可溶性液体製剤は開発されていない。そのような製剤は、より正確な投与量で、非侵襲的に肺の高度に透過性で大きな表面積を介して患者に薬物を有利に送達する。
【0004】
したがって、本発明の目的は、特に正確で、効果的で、患者に優しい方法で、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を治療する方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、本発明の以下の説明、実施例および特許請求の範囲に基づいて明らかになるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0,627,230号明細書
【特許文献2】米国特許第7,544,712号明細書
【非特許文献】
【0006】
(非特許文献1)Wang,M.et al.,Cell Research,Vol.30,269-271(2020,doi:10.1038/s41422-020-0282-0)
(非特許文献2)Warren,T.K.et al.,Nature,Vol.531,381-385(2016)
(非特許文献3)Lo,M.K.et al,Sci.Rep.,Vol.7,43395(2017);Sheahan,T.P.et al.,Sci.Transl.Med.,Vol.9,eaal3653(2017)
(非特許文献4)Sheahan,T.P.et al.,Nature Communications,Vol.11,222(2020,doi:10.1038/s41467-019-13940-6)
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療する方法に関し、この方法は、吸入によって噴霧形態の医学的に活性な液体を前記対象に投与するステップを含み、医学的に活性な液体は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態で投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
さらなる態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態の予防または治療に使用するためのレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体であって、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で対象に投与される医学的に活性な液体を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
【0008】
さらなる態様では、本発明は、対象におけるウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療するための医学的に活性な液体を調製するためのレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩の使用であって、医学的に活性な液体が、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で対象に投与される使用を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
【0009】
なおさらなる態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療するための吸入装置の使用であって、医学的に活性な液体が吸入装置を使用して噴霧形態で投与され、医学的に活性な液体がレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む使用を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の方法においてそれが最初に使用される前に使用され得る吸入装置の実施形態を示す。
【0011】
【
図2】
図1のものと同様であるが、出口弁がない吸入装置を示す。
【0012】
【
図3】充填されたポンプ室を有する
図1の実施形態を示す。
【0013】
【
図4】
図1の吸入装置の最初の作動中の状況を示す。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を治療または予防する方法を提供し、この方法は、吸入によって噴霧形態の医学的に活性な液体を前記対象に投与するステップを含み、医学的に活性な液体は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態で投与される。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
【0019】
第2の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態の治療または予防に使用するためのレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体であって、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で対象に投与される医学的に活性な液体を提供する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、対象が経験する感染症、疾患、障害または状態の既存の徴候または症状を少なくとも改善、低減または抑制するための化合物または組成物の対象への投与を意味する。
【0021】
本明細書で使用される場合、「予防」という用語は、感染症、疾患、障害、または状態の徴候または症状を示さないが、予防の非存在下でそのような徴候または症状を示す可能性が予想または予期される対象に製剤を予防的に投与することを意味する。予防的処置は、予想される症状または徴候を少なくとも軽減または部分的に改善し得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、治療されている状態の症状の発生を予防する、または症状の悪化を停止させる、または症状を治療および緩和する、または少なくとも症状の重症度を軽減するのに十分な量の関連する化合物または組成物の投与を指す。有効量は、患者の年齢、性別、体重などについて、当業者により理解される方式で可変である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」または「患者」という用語は、治療が望まれる任意の対象、特に脊椎動物の対象、さらにより具体的には哺乳動物の対象を指し得る。適切な脊椎動物としては、霊長類、鳥類、家畜動物(例えば、ヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ)、実験動物(例えば、ウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター)、コンパニオンアニマル(例えば、ネコ、イヌ)および捕獲野生動物(例えば、キツネ、シカ、ディンゴ)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい対象、個体または患者はヒトである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「医学的に活性」という用語は、ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態、例えば呼吸器疾患、障害もしくは状態に関連する症状を改善する薬理学的活性を有する化合物を指す。
【0025】
さらなる定義は、後続の説明で提示される。
【0026】
誤解を避けるために、「特定の(specific)」、「特定の(particular)」、「好ましい(preferred)」、「有利な(advantageous)」、または任意の他の様式で呼ばれるかどうかにかかわらず、以下に記載される本発明のすべての実施形態および特徴、ならびにそれらの組み合わせは、上段で要約され、以下でさらに説明される本発明のすべての態様を指すことができることに留意されたい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「レムデシビル」という用語は、Chemical Abstracts Service(CAS)番号[1809249-37-3]のGS-5734としても知られている化合物を指す。レムデシビルは、602.6g/molの分子量および以下の構造を有する。
【0028】
「レムデシビル」という用語はまた、レムデシビルの任意の薬学的に許容される塩を含む。
【0029】
本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態の治療または予防に使用するための方法ならびに医学的に活性な液体を提供する。いくつかの特定の態様では、疾患、障害または状態は、コロナウイルスなどのウイルス感染症、または具体的には重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって引き起こされる疾患COVID-19に関連するか、それによって引き起こされるか、またはそれを介して媒介される。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器または肺の疾患、障害または状態である。
【0030】
一般的に言えば、本発明によるウイルス性の疾患、障害または状態は、ウイルス感染症によって誘導され得るか、またはウイルス感染症から生じ得、免疫系、心血管系、内分泌系、胃腸管、腎系、呼吸器系、中枢神経系の疾患、障害または状態であり得るか、またはウイルス病原体によって引き起こされるか、またはウイルス病原体に関連する癌または他の悪性腫瘍であり得る。本発明によるウイルス性の疾患はまた、ウイルス複製の阻害に応答するウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態であり得る。
【0031】
より具体的には、本明細書で言及されるウイルス性の疾患、障害または状態は、ウイルス感染症によって誘導され得るかまたはそれに起因し得、免疫系の疾患、障害または状態、炎症性の疾患、障害または状態または自己免疫疾患、障害または状態、心血管系の疾患、障害または状態、癌、腫瘍または他の悪性腫瘍、腎系の疾患、障害または状態、胃腸管の疾患、障害または状態、呼吸器系の疾患、障害または状態、内分泌系の疾患、障害または状態および/または中枢神経系(CNS)の疾患、障害または状態であり得る。
【0032】
これらの特定の実施形態によれば、本発明による使用のための方法および医学的に活性な液体は、患者または対象におけるウイルス感染症の治療を可能にする。そのようなウイルス感染症は、コロナウイルス、H1N1インフルエンザまたは鳥インフルエンザH5N1などのインフルエンザウイルス、ヒトライノウイルス(HRV)などのライノウイルス、ヒトアデノウイルス(HAdV)などのアデノウイルス、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoVまたはSARS-CoV-2)などの重症急性呼吸器症候群ウイルス(SARS)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)などの中東呼吸器症候群ウイルス、ジカウイルス(ZIKV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、エボラウイルス(EBOV)、チクングニヤウイルス(CHIKV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、マールブルグウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ニパウイルス(NiV)、ヘンドラウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む多種多様なウイルス感染症から選択され得る。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症には、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoVまたはSARS-CoV-2)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、エボラウイルス(EBOV)、マールブルグウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ニパウイルス(NiV)、およびヘンドラウイルスなどの重症急性呼吸器症候群ウイルス(SARS)が含まれる。しかし、特定の実施形態では、本発明の方法によって予防または治療されるウイルス感染症は、コロナウイルスによる感染症である。いくつかの実施形態では、ウイルス感染症は、下気道感染症(例えば、肺炎)などの肺の感染症である。
【0033】
さらなる特定の実施形態では、本発明による方法および使用のための医学的に活性な液体によって治療または予防されるウイルス感染症は、SARS-CoVまたはSARS-CoV-2ウイルス感染症である。SARS-CoV-2ウイルス感染症は、パンデミックである疾患COVID-19の原因であると考えられている。したがって、特定の実施形態では、本発明に従って使用するための方法および医学的に活性な液体は、COVID-19と診断された対象または患者におけるウイルス感染症、および/またはそのようなウイルス感染症に関連するまたはそれによって引き起こされる疾患、障害または状態の治療を可能にする。
【0034】
上述のさらなる特定の実施形態では、本発明に従って治療または予防される疾患、障害または状態は、対象、特にヒトの下気道の少なくとも一部、例えば対象または患者の一方または両方の肺に影響を及ぼす下気道感染症である(例えば、肺炎)。これらの実施形態によれば、呼吸器の疾患、障害または状態は、肺の疾患、障害または状態であり得るが、「肺」という用語は、そのような疾患が対象または患者の一方または両方の肺に影響を及ぼすかまたは関連することを意味する。いくつかの実施形態では、呼吸器疾患、障害もしくは状態またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態は、ウイルス感染症によって誘発され得るか、またはウイルス感染症から生じ得る。
【0035】
具体的には、本発明に従って治療または予防されるウイルス性の疾患、障害または状態は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、より具体的にはSARS-CoV-2ウイルス感染症である。他の特定の実施形態において、本発明に従って治療または予防されるウイルス性の疾患、障害または状態は、中東呼吸器症候群(MERS)、より具体的には、中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症である。
【0036】
特定の実施形態では、上で概説したように、本発明による方法によって治療される対象は、好ましくはヒトまたは温血動物、特にヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ウイルス感染症、例えばコロナウイルス感染症、特にSARSまたはMERSコロナウイルスによる感染症と診断される。さらなる特定の実施形態では、対象は、COVID-19と診断される。
【0037】
さらなる特定の実施形態では、本発明に従って治療または予防されるウイルス性の疾患、障害または状態は、ウイルス性病原体による初期感染に起因するまたはそれによって引き起こされる疾患、障害または状態であり得る。そのようなウイルス性の疾患、障害または状態には、それだけに限らないが、そのような感染によって引き起こされる炎症または情報の過程、例えばコロナウイルス、例えばSARS-CoVまたはSARS-CoV-2による感染によって引き起こされる肺炎が含まれる。
【0038】
本発明による方法は、医学的に活性な液体を噴霧形態で対象に吸入によって投与する工程を含み、医学的に活性な液体はレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は吸入装置を使用して噴霧形態で投与される。
【0039】
特定の実施形態では、本発明による医学的に活性な液体によって投与され、含まれる抗ウイルス有効物質は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩である。いかなる理論に束縛されるものではないが、さらなる実施形態では、医学的に活性な液体によって投与され、含まれるレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩は、SARS-CoVまたはSARS-CoV-2の複製を阻害し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、レムデシビルは、薬学的に許容される塩として投与される。他の実施形態では、レムデシビルは溶媒和物として投与される。いくつかの特定の実施形態では、溶媒和物は、1つ以上の溶媒分子、例えば、1つ以上の水またはアルコール分子を含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩は、本発明による噴霧形態で投与される医学的に活性な液体などとして使用することができる。しかしながら、代替的な実施形態では、本発明による方法によって投与され、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体または言い換えれば液体医薬組成物は、好ましくは、吸入での使用に適し、適合した組成物、言い換えれば、吸入のために噴霧または霧化することができ、対象による、特にヒトによる吸入のために生理学的に許容される組成物として製剤化される。
【0042】
本発明による吸入によって投与される医学的に活性な液体または医薬組成物は、分散液の形態、例えば液体連続相および固体分散相を有する懸濁液の形態または溶液の形態であり得る。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体または医薬組成物は、レムデシビルが溶液に実質的に溶解している溶液の形態である。いくつかの実施形態では、レムデシビルの溶液または固体分散体を吸入によって対象に投与して、呼吸器または肺の疾患、障害または状態などのウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を治療する。
【0043】
いくつかの実施形態では、レムデシビルは、対象に投与される医学的に活性な液体を生成するために溶媒で再構成される凍結乾燥物または凍結乾燥固体として取り扱われる。
【0044】
いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体は、溶媒または連続相として溶媒、または換言すれば液体ビヒクルを含み得る。いくつかの実施形態では、適切な溶媒または液体ビヒクルは、水性溶媒、非水性溶媒、または水性溶媒と非水性溶媒との混合物であり得る。いくつかの好ましい実施形態では、溶媒は非水性溶媒である。ある特定の実施形態では、生理学的に許容される溶媒は、アルコール、特に2~4個、または好ましくは2または3個の炭素原子を有するアルコール、例えばエタノール、プロパノールもしくはイソプロパノール、またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、または親油性液体、例えば半フッ化アルカンを含むが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態では、医学的に活性な液体は、100%のアルコールを含む。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体は100%エタノールを含む。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体は、100%のグリコールを含む。他の実施形態では、医学的に活性な液体は、1つ以上のアルコールの混合物を含む。さらに他の実施形態では、医学的に活性な液体は、1つ以上のアルコールと1つ以上のグリコールとの混合物を含む。さらに他の実施形態では、医学的に活性な液体は、1つ以上のアルコールと水との混合物を含む。さらに他の実施形態では、医学的に活性な液体は、1つ以上のグリコールと水との混合物を含む。さらに他の実施形態では、医学的に活性な液体は、1つ以上のアルコール、1つ以上のグリコール、および水の混合物を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体の溶媒系または液体ビヒクルは、上記のアルコール、特にエタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、またはプロピレングリコールを唯一のまたは優勢な溶媒として、例えばアルコールの100重量%含むことができる。これらの場合にも、水は、共溶媒として、例えば水を含むエタノール溶媒系、例えば最大約30重量%、または最大約20重量%、または最大約10重量%以下の量、または別の場合には水を含むエチレングリコールまたはプロピレングリコール、例えば最大約30重量%、最大約20重量%、または最大約10重量%以下として存在してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体は、約1μL、2μL、5μL、10μLもしくは15μL、または少なくとも約20μL、25μL、30μLもしくは50μLの量で分注される。いくつかの実施形態において、レムデシビルまたは薬学的に許容され得る塩は、約15μLの量で分注される。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体中のレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩の濃度は、約0.1μg/μL~約30μg/μL、または約1μg/μL~約25μg/μL、例えば約0.10μg/μL、0.25μg/μL、0.5μg/μL、1μg/μL、2μg/μL、3μg/μL、4μg/μL、5μg/μL、6μg/μL、7μg/μL、8μg/μL、9μg/μL、10μg/μL、11μg/μL、12μg/μL、13μg/μL、14μg/μL、15μg/μL、16μg/μL、17μg/μL、18μg/μL、19μg/μL、20μg/μL、21μg/μL、22μg/μL、23μg/μL、24μg/μL、25μg/μL、26μg/μL、27μg/μL、28μg/μL、29μg/μL、または30μg/μLの範囲内で選択される。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体中のレムデシビルまたは薬学的に許容される塩の濃度は、約15μg/μL、16μg/μL、または17μg/μLである。他の実施形態では、医学的に活性な液体中のレムデシビルまたは薬学的に許容される塩の濃度は約16μg/μLである。さらに他の実施形態では、医学的に活性な液体中のレムデシビルまたは薬学的に許容される塩の濃度は約15μg/μLである。いくつかの実施形態では、医学的に活性な液体中のレムデシビルまたは薬学的に許容される塩の濃度は、約1μg/μL~約10μg/μLまたは約10μg/μL~約30μg/μLである。
【0047】
いくつかの実施形態において、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約100μg~約300μgの量で分注される。他の実施形態では、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約150μg~約300μgの量で分注される。他の実施形態では、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約150μg~約230μgの量で分注される。他の実施形態では、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約210μg~約250μgの量で分注される。他の実施形態では、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約220μg~約230μgの量で分注される。他の実施形態では、レムデシビルまたは薬学的に許容される塩は、活性化するごとに約225μgの量で分注される。
【0048】
さらなる実施形態では、医学的に活性な液体、または液体医薬組成物は、任意選択的に、吸入での使用に適した1つ以上の生理学的に許容される賦形剤を含んでもよい。医学的に活性な液体または液体組成物に使用され得る賦形剤には、溶液のpHを調節または制御するための1つまたは複数の緩衝剤、塩、矯味剤、界面活性剤、脂質、酸化防止剤、および共溶媒が含まれ得るが、これらに限定されず、これらすべてが溶解度を増強または改善するために使用され得る。いくつかの実施形態では、可溶化剤は、シクロデキストリンなどの環状オリゴ糖である。特定の実施形態では、可溶化剤はシクロデキストリンである。
【0049】
適切な賦形剤は当業者に公知であり、例えば、米国薬局方またはPh.Eurなどの標準的な薬局方、またはHandbook of Pharmaceutical Excipients,6th ed.Rowe et al,Eds.;The Pharmaceutical Press and the American Pharmaceutical Association:2009に記載されている。
【0050】
再構成後の本医薬組成物のpHを調整するための緩衝液として適した例示的な化合物は、例えば、リン酸二水素ナトリウム二水和物および/またはリン酸水素二ナトリウム十二水和物、水酸化ナトリウム溶液、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムの塩基性塩、例えば、クエン酸塩、リン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、乳酸塩など、アミノ酸、酸性塩、例えばリン酸水素塩またはリン酸二水素塩、特にナトリウムのもの、さらには有機酸および無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、クロモグリシン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、リジン、メチオニン、ナトリウムまたはカリウムの酸性リン酸水素塩など、ならびに上記のさらなる緩衝系を含む。さらなる特定の実施形態では、本発明に従って噴霧され投与される医学的に活性な液体は、キレート剤、例えばエデト酸二ナトリウム二水和物、EDTAカルシウムナトリウム、好ましくはエデト酸二ナトリウム二水和物から選択される1つ以上のさらなる賦形剤を含み得る。
【0051】
またさらなる特定の実施形態では、本発明に従って噴霧および投与される医学的に活性な液体は、1つまたは複数の保存剤および/または抗酸化剤を含み得る。適切な防腐剤には、パラベン、例えば塩化ベンザルコニウム(BAC)、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本発明に従って噴霧および投与される医学的に活性な液体は、保存剤として塩化ベンザルコニウムを含む。適切な酸化防止剤には、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸レチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明に従って投与されるレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体に含まれ得るさらなる賦形剤は、ホスファチジルコリン、例えばジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DTPA)、ジエチレントリアミン五酢酸、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、多層小胞および大豆ホスファチジルコリン(SPC)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
吸入によってそれを必要とする対象に投与される、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体は、さらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる医学的に活性な化合物または活性医薬成分(API)をさらに含み得る。
【0054】
医学的に活性な液体に含まれ、それを必要とする患者または対象に投与されるレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩の量は、当業者に公知の日常的な実験に従って決定され得る。
【0055】
本発明の方法に従って投与されるレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体は、以下にさらに詳細に記載されるように、吸入器または吸入装置を使用して、吸入によって1回の単回用量または数回の別個の用量、例えば1日当たり1~約6または4回の用量、または1日当たり2または3回の用量で、投与され得る。
【0056】
本発明によれば、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態でそれを必要とする対象に投与される。本明細書で使用される場合、「噴霧形態」という用語は、投与される医学的に活性な液体に関して、医学的に活性な液体がエアロゾルの形態で存在し、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体が、連続相として空気または別の噴射剤に分散された微細に分割された粒子または液滴の形態で存在することを意味する。
【0057】
特定の実施形態では、そのようなエアロゾルは、好ましくはそれぞれ約10μm以下、特に約7μm以下、または約5μm以下の空気動力学的質量中央径(レーザ回折によって測定)を有する呼吸可能な粒子または液滴を有する。
【0058】
さらなる特定の実施形態では、医学的に活性な液体に含まれるレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩は、具体的にはレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む呼吸用エアロゾルの形態で、対象の肺に投与される。
【0059】
さらなる特定の実施形態では、本発明の方法によって投与される医学的に活性な液体は、ヒドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤などの噴射剤を本質的に含まなくてもよい。
【0060】
本発明によれば、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体は、吸入装置を使用してそれを必要とする対象に投与される。本明細書で使用される場合、「吸入装置」という用語は、医学的に活性な液体の吸入投与、好ましくは経口での吸入による噴霧を可能にし、それに適合する装置を指すものとして、最も広い意味で理解されるべきである。そのような吸入装置の例は、当業者に知られており、例えば、定量吸入器(MDI)、ネブライザ、振動メッシュ吸入器およびソフトミスト吸入器(SMI)を含むが、これらに限定されない。レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体の投与に適した吸入器の例示的な実施形態は、例えば、“Inhalation drug delivery devices:technology update”Medical Devices:Evidence and Research2015:8 131-139;または“Recent advances in in aerosolized drug delivery”,A.Chandel et al.,Biomedicine&Pharmacotherapy,Vol.112,April2019,108601(doi.org/j.biopha.2019.108601)または“Pharmaceutical Inhalation Aerosol Technology”,Third Edition,A.J.Hickey et al.,May1,2019に記載されており、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
特定の実施形態では、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体の吸入によるそのような噴霧化および投与は、手持ち式吸入装置を使用して行うことができる。
【0062】
さらなる特定の実施形態では、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用され得る吸入装置は、ソフトミスト吸入器である。本明細書で使用される場合、「ソフトミスト吸入器」という用語は、特定の実施形態では、低速の噴霧特性を有する液体製剤用の非通電の移動式吸入装置を指す。さらなる特定の実施形態では、そのような吸入装置、より具体的には、そのようなソフトミスト吸入器は、医学的に活性な液体の噴霧化/エアロゾル化について、さらに詳細に下段で述べるような、少なくとも1つの衝突型ノズルを含む。
【0063】
例えばRespimat(登録商標)吸入器(Boehringer Ingelheim)、振動膜ネブライザ、例えばeFlow(登録商標)(PARI)、Vibrating-Mesh(登録商標)ネブライザ(例えばPhilips InnoSpire Go)などの適切な吸入装置が知られている。
【0064】
さらなる例示的な適切な吸入装置は、例えば文献欧州特許第0,627,230号明細書から知られており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この例示的な吸入装置の必須構成要素は、エアロゾル化される医学的に活性な液体が収容され、噴霧するのに十分高い圧力を発生させるためのポンプ装置;ノズルの形態の霧化装置があるリザーバである。ポンプ装置によって、液体は、リザーバから離散量で、すなわち連続的ではなく引き出され、ノズルに供給される。ポンプ装置は推進剤なしで作動し、機械的に圧力を発生させる。
【0065】
適切な吸入装置のさらなる例示的な実施形態は、文献国際公開第91/14468号パンフレットに記載されており、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。このような装置では、ハウジングに接続されたポンプ室内の圧力は、可動中空ピストンの移動によって生成される。ピストンは、不動のシリンダまたはポンプ室の内側に移動可能に配置される。中空ピストンの(上流に配置された)入口は、リザーバ(リザーバ管部分)の内部に流体接続されている。その(下流に配置された)先端はポンプ室に通じている。また、ピストンの先端部の内側には、リザーバへの液体の逆流を阻止する逆止弁が配置されている。
【0066】
上記のソフトミスト吸入器は、それを必要とする患者または対象の肺に、医学的に活性な液体または組成物またはそれに含有される薬学的に活性な化合物を提供するための非常に有効な手段として証明されている。このようなソフトミスト吸入器は、通常、1つまたは複数の衝突型ノズルを備える。そのような衝突型ノズルは、衝突して、噴霧される医学的に活性な液体の小さなエアロゾル液滴に分割されるように向けられた、少なくとも2つの液体ジェットを放出するように適合されている。1つまたは複数のノズルは、通常、装置が使用されるときに、ハウジングに対して、または少なくとも使用者(例えば、患者)に面するハウジングの側面または部分に対して不動であるか、または移動不能であるように、吸入装置のハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定されている。
【0067】
レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体の投与に適したそのようなソフトミスト吸入器の特定の実施形態は、例えば国際特許出願公開の国際公開第2018/197730号パンフレットに記載されており、その内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかし、そこに記載されている吸入装置は、本発明に従って使用されるのに適した吸入装置の一例にすぎず、したがって、いかなる点においても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0068】
本発明の特定の実施形態では、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用され得る吸入装置は、吸入療法のための噴霧された医学的に活性なエアロゾルを送達するための手持ち式吸入装置であり、
(a)使用者に面する側を有するハウジング、
(b)少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって噴霧されるエアロゾルを生成するための衝突型ノズルであって、ノズルがハウジングに対して不動であるようにハウジングの使用者に面する側にしっかりと取り付けられている、衝突型ノズル、
(c)ハウジング内に配置された流体リザーバ、および
(d)ハウジング内に配置されたポンプユニットであって、
流体リザーバに流体接続された上流端部、
ノズルに流体接続された下流端部、を有する、ポンプユニットを備え、
ポンプユニットは、流体リザーバからノズルに流体を圧送するように適合されており、
ポンプユニットは、
(i)上流端部を有するライザーパイプであって、
-ポンプユニット内のピストンとして機能するように適合され、
-ハウジングに対して不動であるように、ハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定される、ライザーパイプ、および
(ii)ライザーパイプの上流に位置する中空シリンダであって、ライザーパイプの上流端部は、シリンダがライザーパイプで長手方向に移動可能であるようにシリンダに挿入される、中空シリンダ、
(iii)ロックされたときに位置エネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積されたエネルギーを放出するためのロック可能手段であって、手段は、シリンダの外側に配置され、シリンダに機械的に結合され、手段のロックを解除すると、ポンプユニットの下流端部に向かってシリンダが長手方向に推進運動するようになる、ロック可能手段をさらに備える。
【0069】
特定の実施形態では、そのような好ましい吸入装置は、使用者に面する側を有するハウジングと、少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって噴霧されるエアロゾルを生成するための衝突型ノズルと、ハウジング内に配置された流体リザーバと、同じくハウジング内に配置されたポンプユニットとを備える。ノズルはハウジングに対して不動であるように、ハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定され得る。ポンプユニットは、流体リザーバに流体接続された上流端部と、ノズルに流体接続された下流端部とを有してもよい。さらに、ポンプユニットは、流体リザーバからノズルに流体をポンピングするように適合され、それは、ポンプユニットのピストンとして機能するように適合されたライザーパイプと、中空シリンダと、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段とを備える。ライザーパイプは、ハウジングに対して不動であるように、ハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定される。中空シリンダは、ライザーパイプの上流に位置し、ライザーパイプの上流端部は、シリンダがライザーパイプで長手方向に移動可能であるようにシリンダに挿入される。ロック可能手段は、ロックされたときに位置エネルギーを蓄積することができ、ロック解除されたときに蓄積エネルギーを放出するように適合される。ロック可能手段は、手段のロックを解除すると、ポンプユニットの下流端部に向かってシリンダが長手方向に推進移動するように、シリンダの外側に配置され、シリンダに機械的に結合される。
【0070】
本明細書で使用される場合、ハンドヘルド吸入装置は、片手で便利に保持することができ、吸入療法のために噴霧された医学的に活性なエアロゾルを送達するのに適した移動式装置である。吸入療法に適しているために、装置は、その粒径が呼吸可能である、すなわち上段で概説したように、患者または使用者の肺によって取り込まれるのに十分小さい医学的に活性なエアロゾルを放出することができなければならない。典型的には、呼吸可能な粒子は、それぞれ約10μm以下、特に約7μm以下、または約5μm以下の空気力学的質量中央径を有する。この点で、吸入装置は、米国特許出願公開第2004/0068222号明細書に開示されているような、経口または経鼻投与用のスプレーを放出する装置とは実質的に異なり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0071】
いくつかの実施形態では、レムデシビルを含む噴霧された医学的に活性なエアロゾルの平均粒径分布は、Dv10で約1.0μm~約2.0μmである。他の実施形態では、レムデシビルを含む噴霧された医学的に活性なエアロゾルの平均粒径分布は、Dv50で約2.0μm~約4.0μmである。さらに他の実施形態では、レムデシビルを含む噴霧された医学的に活性なエアロゾルの平均粒径分布は、Dv90で約4.0μm~約10.0μmである。「Dv10、Dv50、Dv90」という用語は、マイクロメートル(μm)単位の最大粒径を指し、そのうちの10%、50%、および90%がそれぞれ、サンプル体積で存在する。
【0072】
本発明の方法で使用され得る吸入装置は、噴霧されるエアロゾルを送達することができる。本明細書で使用される場合、エアロゾルは、少なくとも2つの相、すなわち気体である相と、小さな液滴の形態の分散液相を含む連続した相を有するシステムである。任意選択で、液相はそれ自体、液体溶液、分散液、懸濁液、またはエマルジョンを表してもよい。
【0073】
適切なノズルは、噴霧されるエアロゾルの生成に重要である。本発明によれば、ノズルは、好ましくはインピンジメントタイプである。これは、ノズルが、衝突して小さなエアロゾル液滴に分解するように向けられた少なくとも2つの液体ジェットを放出するように適合されていることを意味する。ノズルは、装置が使用されるときに、ハウジングに対して、または少なくとも使用者(例えば、患者)に面するハウジングの側面または部分に対して不動であるか、または移動不能であるように、吸入装置のハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定され得る。
【0074】
ハウジング内に配置され得る流体リザーバは、好ましくは、そこから噴霧されるエアロゾルが生成され、吸入装置によって送達される医学的に活性な液体を保持または蓄積するように適合される。
【0075】
ハウジング内に配置することもできるポンプユニットは、プランジャポンプとも呼ばれるピストンポンプとして機能するように適合されることが好ましく、ライザーパイプは、中空シリンダ内で長手方向に移動可能なピストンまたはプランジャとして機能する。そのライザーパイプの上流端部が移動する中空シリンダの内側セグメントは、シリンダに対するライザーパイプの位置に応じて可変容積を有するポンプ室を形成し得る。
【0076】
ポンプ室を備える中空シリンダは、任意選択のリザーバパイプ(またはリザーバパイプ部)などによって、直接的または間接的に、流体リザーバに流体接続されてもよい。同様に、リザーバに面する、中空シリンダ内に収容することができる内部(上流)端部を有するライザーパイプは、その下流または外部端部において、直接的または間接的に、ノズルに液密に流体接続することができる。
【0077】
これに関連して、「中空シリンダ」という表現は、円筒形状を有するか、または円筒空間を有するセグメントを有する内部空隙を含むという意味で中空である部分または部材を指す。言い換えれば、他のタイプのピストンポンプに適用可能であるように、それぞれの部分または部材の外形が円筒形である必要はない。さらに、「中空シリンダ」という表現は、「中空」空間が材料、例えば噴霧される液体で満たされ得るそれぞれの部分または部材の動作状態を排除するものではない。
【0078】
本明細書で使用する場合、長手方向の動きは、中空シリンダの主軸に沿った動きであり、推進運動は、下流(または前方)方向の部分の動きである。
【0079】
いずれかの実施形態では、本発明の吸入装置のポンプユニットのライザーパイプは、シリンダの下流に配置され、ハウジングまたはハウジングの使用者に面する側を含むハウジングの少なくとも一部に対して不動であるように、好ましくはハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定される。誤解を避けるために、この文脈では、しっかりと固定されるというのは、それぞれの部分間の相対移動を防止するように、直接的または間接的に(すなわち、1つまたは複数の接続部を介して)固定されることを意味する。ノズルはまた、ハウジングまたはハウジングのそれぞれの部分に対して不動であるので、ライザーパイプもまた、ノズルに対して不動であり、ポンピング作用は、中空シリンダの長手方向の動きによってもたらされる。ライザーパイプに対して上流位置に配置されているシリンダの推進運動は、ポンプ室の容積の減少をもたらし、シリンダの反発運動は、容積の増加をもたらす。換言すれば、ライザーパイプは、ハウジングに対するその位置を維持し、中空シリンダは、ハウジングに対するその位置を、特にその長手方向軸に沿って、可動円筒部材内の不動ライザーパイプのシリンダ内ピストン型移動を実行するように変更することができる。
【0080】
この配置は、その内容が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0090603号明細書に開示されているように、ライザーパイプが上流位置にあるポンプユニット、およびライザーパイプが移動可能であり、円筒部材がハウジングに固定されている下流位置にある円筒部材に依存する他の衝突型吸入装置とは異なる。しかし、この種のポンピングを有する吸入装置は、本発明の方法による医学的に活性な液体の噴霧吸入投与にも適し得ることに留意されたい。
【0081】
記載された好ましい吸入装置の重要な利点は、ポンプ室と流体リザーバとの間の通路を、その寸法に関してより少ない制限で設計できることである。例えば、非常に大きな入口弁(逆止弁とも呼ばれる)を収容することが可能であり、狭いライザーパイプ内に収容する必要がないため、製造が容易である。代わりに、この構成は、ハウジングの内部サイズまたは位置エネルギーを蓄積する手段の寸法によってのみサイズが制限される逆止弁の使用を可能にする。言い換えれば、弁、ライザーパイプ、および使用される場合、リザーバ管の直径は、互いに一致する必要はない。さらに、可動ピストンを流体リザーバに接続する必要がないため、リザーバへの流体接続を成す構成要素は、可動構成要素、すなわち中空シリンダとは独立して設計することができ、個々の部分をそれぞれの個々の機能に適合するようにさせることができる。この点において、記載されているポンプの構成は、可動中空シリンダが、その堅牢な構造および寸法に起因して、それほど堅牢ではない可動ライザーパイプよりも、リザーバとの機械的に安定した接続を設計するためのより良好な機会を提供するので、より高い設計柔軟性を提供する。また、中空シリンダと流体リザーバとの間の接続は、より速い流速および流体粘度が実現可能になるように、より大きな直径で設計することができる。さらに、リザーバの支持体は、シリンダを含む任意の構成要素に一体化することができる。さらに、リザーバの圧力平衡のためのいずれかの通気口は、リザーバ本体自体から離れて、リザーバと中空シリンダとの間の界面を形成するコネクタに移動することができ、そのため構築を容易にし、本質的に「開いた」リザーバ本体を設ける必要性を回避する。
【0082】
述べたように、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段は、そのロック状態でエネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積エネルギーを放出するように適合されてもよい。手段は、手段のロックを解除することが、ポンプユニットの下流端部に向かってシリンダが長手方向に推進移動するよう至らせるように、中空シリンダに機械的に結合されてもよい。この移動中、シリンダの内部容積、すなわちポンプ室の容積は減少する。逆に、位置エネルギーを蓄積する手段がロック状態にあるとき、中空シリンダは、ポンプ室の容積が最大であるその最上流位置にある。ロック状態は、プライミング状態と考えることもできる。エネルギーを蓄積する手段の状態が、装置のプライミングと呼ばれ得るロック解除状態からロック状態に変更されると、中空シリンダは、反発する長手方向移動、すなわち、その最も下流の位置からその最も上流の位置に向かって移動する。ポンピングサイクルは通常、シリンダの最も下流の位置からその最も上流の(またはプライミングされた)位置へと始まり、次にそのエネルギーを放出する位置エネルギーを蓄積するための手段によって駆動され、その最も下流の位置に戻る、シリンダの2つのその後の対向する移動からなる。
【0083】
記載された吸入装置の好ましい実施形態のうちの1つでは、ポンプユニットは高圧ポンプユニットであり、少なくとも約50バールの圧力で作動するか、または流体を排出するように適合されている。他の好ましい実施形態では、ポンプユニットの動作圧力は、それぞれ少なくとも約10バール、または少なくとも約100バール、または約2バール~約1000バール、または約50バール~約250バールである。本明細書で使用される場合、作動圧力は、ポンプユニットが流体、特に、医学的に活性な液体の吸入可能な水性液体製剤などの医薬的に活性な液体を、そのポンプ室から下流方向に、すなわちノズルに向かって排出する圧力である。これに関連して、「動作するように適合されている」という表現は、ポンプユニットの構成要素が、指定された圧力での動作を可能にするように、材料、寸法、表面の品質および仕上げに関して選択されることを意味する。
【0084】
さらに、そのような高圧ポンプユニットは、位置エネルギーを蓄積するための手段が、それぞれの圧力が得られるような力でシリンダの長手方向の推進運動を駆動するのに十分な量のエネルギーを蓄積および放出することができることを意味する。
【0085】
位置エネルギーの蓄積手段は、引張または加圧ばねとして設計されてもよい。あるいは、金属体またはプラスチック体の他に、気体媒体または磁力利用材料もエネルギー蓄積手段として使用することができる。圧縮または引張りによって、位置エネルギーが手段に供給される。手段の一端は、適切な位置でハウジングまたはハウジング内に支持される。したがって、この端部は本質的に不動である。他端は、ポンプ室を備える中空シリンダに接続される。したがって、この端部は本質的に可動である。手段は、十分な量のエネルギーを装填した後にロックすることができ、ロック解除が行われるまでエネルギーを蓄積することができる。ロック解除されると、手段は、位置エネルギー(例えば、ばねエネルギー)をポンプ室を有するシリンダに解放することができ、ポンプ室はその後、(この場合、長手方向)運動を実行するように駆動される。典型的には、エネルギー放出は急激に起こるため、かなりの量の液体が放出される前にポンプ室内に高圧が形成される可能性があり、これにより圧力が低下する。実際、放出相のかなりの部分の間、位置エネルギーの蓄積手段によって送達される圧力と、既に放出されている液体の量との平衡が存在する。したがって、液体の量は、この段階の間、本質的に一定のままであり、これは、これらの各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、文献米国特許出願公開第2005/0039738号明細書、米国特許出願公開第2009/0216183号明細書、米国特許出願公開第2004/0068222号明細書、または米国特許出願公開第2012/0298694号明細書に開示されている装置など、放出のために使用者の手動の力を使用する装置にとって大きな利点であり、これは、手動の力が個々の使用者または患者に依存し、放出段階の間に大きく変化する可能性が非常に高く、不均一な液滴の形成、サイズ、および量をもたらすためである。従来技術とは対照的に、本発明による手段は、吸入装置が高度に再現可能な結果をもたらすことを保証する。
【0086】
位置エネルギーを蓄積するための手段はまた、高度に加圧されたガス容器の形態で提供されてもよい。適切な配置およびその反復可能な断続的な作動(開口部)によって、ガス容器内に蓄積されたエネルギーの一部をシリンダに放出することができる。このプロセスは、残りのエネルギーがポンプ室内に所望の圧力を再び構築するのに不十分になるまで繰り返すことができる。この後、ガス容器を補充または交換しなければならない。
【0087】
好ましい実施形態の1つでは、位置エネルギーを蓄積するための手段は、偏向状態で少なくとも10Nの負荷を有するばねである。特に好ましい実施形態では、位置エネルギーを蓄積する手段は、撓んだ状態で約1N~約500Nの荷重を有する鋼製の圧縮ばねである。他の好ましい実施形態では、鋼製の圧縮ばねは、その撓んだ状態で約2N~約200N、または約10N~約100Nの荷重を有する。
【0088】
本発明の方法で使用され得る吸入装置は、好ましくは、噴霧される医学的に活性なエアロゾルを不連続な様式で、すなわち個別のユニットの形態で送達するように適合され、ポンプサイクルごとに1つのユニットが送達される。この態様では、装置は、典型的には数秒から数分までの期間にわたって連続的に噴霧されるエアロゾルを生成および送達し、その結果、エアロゾルが、患者または使用者によって吸入されるために多数の連続的な呼吸操作を必要とするジェット式ネブライザ、超音波ネブライザ、振動メッシュ式ネブライザ、または電気流体力学的ネブライザなどの、一般的に知られているネブライザとは異なる。代わりに、本発明による医学的に活性な液体の投与に適した吸入装置は、好ましくは、個別のエアロゾルユニットを生成して放出するように適合されており、各単位は、1回のポンピングサイクルでポンプユニットによってノズルにポンピングされる流体(すなわち、医学的に活性な液体)の量(すなわち、体積)に対応し、そこで直ちにエアロゾル化されて使用者または患者に送達される。逆に、1回のポンピングサイクルでポンプユニットによってポンピングされる医学的に活性な液体の量は、患者が投与ごとに受け取る薬理学的に活性な薬剤の量を決定する。したがって、所望の治療効果を達成することに関して、ポンプユニットが正確に、確実に、再現可能に動作することが非常に重要である。本発明者らは、上記のようなポンプユニットを組み込んだ吸入装置が、高い精度および再現性を示すという点で特に有利であることを見出した。
【0089】
1つの好ましい実施形態では、単回用量の薬剤(すなわち、医学的に活性な液体の噴霧されるエアロゾル)は、1ユニット、すなわち、1回のポンピングサイクルでエアロゾルを生成するためにポンプユニットからノズルに送達される量に含まれる。この場合、使用者または患者は、装置を1回だけプライミングおよび作動させ、放出されたエアロゾルを投与ごとに1回の呼吸操作で吸入する(すなわち、投与事象ごとに)。
【0090】
別の好ましい実施形態では、単回用量の薬剤は2ユニットのエアロゾルからなり、したがって2回のポンピングサイクルを必要とする。典型的には、使用者または患者は、装置をプライミングし、エアロゾルの単位を放出して吸入するように装置を作動させ、次いで手順を繰り返す。あるいは、3つ以上のエアロゾルユニットが単一の投与を構成してもよい。
【0091】
1回のポンピングサイクルでポンプユニットによってポンピングされる流体(例えば、医学的に活性な液体)の体積は、好ましくは約2~約150μlの範囲である。特に、体積は、それぞれ約0.1~約1000μl、または約1~約250μlの範囲であり得る。これらの体積範囲は、吸入装置によって生成されるエアロゾルの1ユニットに含まれる液相の体積とほぼ同じであり、おそらく装置内の液体の微小損失に起因してわずかな差がある。
【0092】
別の好ましい実施形態では、吸入装置のポンプユニットは、中空シリンダ内に配置された、逆止弁または入口逆止弁とも呼ばれる入口弁を備える。この実施形態によれば、中空シリンダの内部空間、すなわちポンプ室は、入口逆止弁を介して流体リザーバと流体接続される。入口弁は、ポンプ室への液体の流入を可能にするが、流体リザーバへの、または流体リザーバ内への液体の逆流を防止する。入口弁の位置は、中空シリンダの内部容積のほぼ全体をポンプ室として機能するために利用可能にするように、シリンダの上流端部またはその近くにあってもよい。あるいは、それは、シリンダの上流セグメントおよび下流セグメントを画定するように、中空シリンダの(長手方向の)主軸に沿ってより中央に配置されてもよく、上流セグメントは入口弁の上流にあり、下流セグメントは弁の下流にある。この場合、ポンプ室は、下流セグメントに位置する。
【0093】
上述したように、有利な効果の1つは、比較的大きな寸法を有する入口弁がこの位置、すなわちポンプ室の上流端部に収容され得ることである。これは、弁内の流体導管の大きな寸法を可能にし、したがって吸入装置のプライミング中にポンプ室の急速な充填に移行する高い流体速度を可能にするので、特に有益である。さらに、可溶性活性成分の高濃度溶液など、吸入のための通常の液体製剤よりも高い粘度を有する液体の使用が、吸入療法のために実現可能になる。
【0094】
さらに好ましい実施形態によれば、入口弁は、弁の上流側と下流側、すなわち流体リザーバ側とポンプ室側との間の圧力差が所定の閾値を超えた場合にのみ開くように適合されてもよく、圧力差が閾値を下回る限り閉じたままである。この文脈で使用される場合、「圧力差」という用語は、絶対圧力値に関係なく、2つの側の間の相対圧力差のみが、弁がブロックするか開くかを決定するために関連することを意味する。例えば、上流(リザーバ)側の圧力が既に正(例えば、熱膨張による1.01バール)であるが、下流(ポンプ室)側の圧力が周囲圧力(1.0バール、装置の起動なし)である場合、圧力差(ここでは0.01バール)が閾値の値(例えば、20mbar)を下回っているため、開弁方向に正圧がかかっても弁は閉じたままである。これは、閾値圧力が満たされるまで逆止弁が閉じたままであり、したがって、例えば吸入装置が使用されていないときにリザーバとポンプ室との間の通路を安全に閉じたままにすることを意味する。閾値圧力差の例は、1から1000mbarの範囲、より好ましくは約10から約500mbarの間、または約1から約20mbarの間である。
【0095】
吸入装置を作動させるとき、位置エネルギーを蓄積する手段がその状態をロック状態からロック解除状態に変化させると、シリンダにその推進長手方向運動を実行させるエネルギーが放出され得て、ポンプ室内にかなりの圧力が形成される。これは、ポンプ室内の高圧および圧力差の閾値を超える顕著な圧力差(流体リザーバの実質的に低い圧力に起因)を生成し、その結果、逆止弁が開き、圧力室がリザーバからの液体で満たされるようになる。
【0096】
そのような閾値圧力差で動作するように設計され得る弁タイプは、例えば、ばねで予め荷重されたボール弁である。ばねはボールをその座に押し込み、ばねの力に作用する圧力がばねの力を超える場合にのみ、ボール弁が開く。その構造に応じて、そのような閾値圧力差で動作することができる他の弁タイプは、ダックビル弁またはフラップ弁である。
【0097】
閾値の圧力差で動作するそのような弁の利点は、吸入装置がアクティブに使用されるまでリザーバを閉じたままにすることができ、したがって、装置輸送中にリザーバの液体の望ましくない飛散、または装置の長期蓄積中の蒸発を低減することである。
【0098】
さらなに好ましい実施形態では、本発明により使用され得る吸入装置は、ライザーパイプから中空シリンダへの液体または空気の戻り流を回避するために、ライザーパイプの内側またはライザーパイプの端部に出口弁をさらに備える。多くの場合、そのような出口弁の使用が有利であることが判明する。典型的には、ライザーパイプの下流端部は、ノズルの近くに配置される。ノズルは、外気と流体連通している。シリンダの長手方向の推進運動によって駆動される、ポンプユニットからノズルを通って送達される液体の量をエアロゾル化された形態で放出した後、ポンプ室を再充填しなければならない。この目的のために、ポンプ室の内部容積が増加するように、ライザーパイプ上をその以前の上流位置(すなわち、反発的な長手方向の移動を実行)にスライドして戻る。これに伴い、ポンプ室の内部に負圧「負圧」(時に「低圧」と呼ばれる)が発生し、ポンプ室の上流に位置する流体リザーバからポンプ室に液体が吸引される。しかし、そのような負圧はまた、ライザーパイプを通ってノズルの外側まで下流に伝播し、それぞれ空気がノズルまたはノズル開口部を通って装置に吸い込まれることにつながる可能性がある。この問題は、ノズル開口部に向かって開き、反対方向にブロックする出口逆止弁とも呼ばれる出口弁を設けることによって回避することができる。
【0099】
任意選択的に、出口弁は、上記の入口弁の文脈で説明したように、閾値圧力差の下を遮断する(および上で開く)タイプのものである。ばねを備えたボール弁が使用される場合、ポンプ室の内部圧力と周囲圧力との間の差が閾値圧力差の値を超えると、出口弁が開くように、ばねの力をポンプ室に向けなければならない。そのような弁の利点は、前述のそれぞれの利点に対応する。
【0100】
上述したように、出口弁は、ライザーパイプ内に配置されてもよい。あるいは、吸入装置は、ライザーパイプ内に一体化されておらず、ライザーパイプの一方の端部またはその近傍、特にその下流端部またはその近傍、例えばライザーパイプとノズルとの間の別個のコネクタまたはその近傍に配置された出口弁を備え得る。この実施形態は、特定の場合、例えば、弁の一体化を困難にする特に小さい直径を有するライザーパイプが必要な場合に有利であり得る。ライザーパイプの下流に出口弁を収容することにより、比較的大きな直径を有する弁を使用することができ、したがって弁の設計の要件が簡素化される。
【0101】
さらなる代替実施形態では、出口弁は存在しない。この実施形態は、衝突型ノズルの流体チャネルが比較的小さい断面を有することができ、装置のプライミング中に所与の圧力条件でわずかなまたは非常に遅い逆流をもたらすので、実現可能であり得る。特定の製品用途を考慮して逆流の量が許容可能であると考えられる場合、吸入器の設計は、出口弁を回避することによって単純化され得る。
【0102】
いずれの場合でも、吸入装置が出口弁の有無にかかわらず設計でき、他の装置の特徴に関して説明した他のすべての選択肢および選好は、これらの代替実施形態の両方に適用可能である。
【0103】
さらに好ましい実施形態では、本発明による吸入装置は、ハウジング内で中空シリンダと共に移動可能であるように中空シリンダにしっかりと取り付けられた流体リザーバを備える。これは、ポンピングサイクルの各噴出段階において、流体リザーバが、ポンプ室がその最大内部容積を有する初期の(「上流側」)の位置から、ポンプ室の容積が最小である端部(「下流」)の位置に向かって、中空シリンダと共に移動すること、および次の「プライミング」ステップの間、流体リザーバは中空シリンダと共にそれらの初期(「上流側」)の位置に戻ることを意味する。
【0104】
本明細書で使用される場合、「しっかりと取り付けられた」という表現は、永久的および非永久的(すなわち、解放可能である)の両方の取り付け形態を含む。さらに、それは、直接的および間接的(すなわち、1つまたは複数の接続部を介する)タイプの取り付けを含む。同時に、上述したように、「しっかりと取り付けられている」とは、それぞれの部品が互いに対するそれらの動きを実質的に防止するように互いに固定されることを意味する。言い換えれば、互いにしっかりと取り付けられた2つの部分は、一緒にのみ移動可能で、互いに対して移動不能または不動であってもよい。
【0105】
流体リザーバが中空シリンダにしっかりと取り付けられているこの実施形態の利点の1つは、リザーバとポンプ室との間に可能な限り小さいデッドボリュームを設けていることである。
【0106】
別の実施形態によれば、流体リザーバは、可撓性管状要素によって中空シリンダに流体接続され、ハウジングにしっかりと取り付けられている。この実施形態によれば、リザーバは、中空シリンダにしっかりと取り付けられておらず、シリンダがその長手方向の動きを行うときにそれと共に移動しない。代わりに、それはハウジングまたはハウジングの一部にしっかりと、しかし任意選択的に着脱可能に、直接または間接的に取り付けられる。この実施形態の1つの利点は、位置エネルギーを蓄積する手段をロック解除すると突然放出されるエネルギーが、流体リザーバではなく中空シリンダのみに作用することである。これは、使用開始時の初期(完全に満たされた状態)の流体リザーバが、過度の使用を減少させる比較的大きな質量を有する場合に特に有利であり得る。中空シリンダのより高い加速度は、ポンプ室のより高い圧力に変換される。
【0107】
誤解を避けるために、他の装置の特徴に関して上段および下段に説明する他のすべての選択肢および選好は、これらの代替形態の両方に、すなわち流体リザーバが中空シリンダにしっかりと取り付けられているか否かにかかわらず適用可能である。
【0108】
一実施形態では、流体リザーバは、可撓性または弾性の壁などによって折り畳み可能に設計される。そのような設計の効果は、リザーバを漸進的に空にすることを含む装置の繰り返し使用時に、可撓性または弾性の壁が座屈しまたは折り畳まれてリザーバの内部容積を減少させ、その結果、一定量の液体の抽出に必要な負圧が使用期間にわたって実質的に増加する必要がないことである。特に、リザーバは、折り畳み式バッグとして設計されてもよい。折り畳み式バッグの利点は、リザーバ内の圧力が充填レベルとほとんど無関係であり、熱膨張の影響がほとんど無視できることである。また、そのようなリザーバタイプの構造はかなり単純であり、既に十分に確立されている。
【0109】
同様の効果は、可動の底部(または壁)を有し、それによってリザーバの内部容積も連続的に減少させることができる剛性の容器によって、達成することができる。
【0110】
上記で詳細に説明した特定のソフトミスト吸入器などのソフトミスト吸入器は、吸入によって投与される医学的に活性な液体のエアロゾルの生成が通常最大3秒または最大5秒の期間(本明細書では「スプレー持続時間」または「事象持続時間」とも呼ばれる)内に、典型的には約0.5から約5秒、または約0.5もしくは約1から約3秒の範囲内で選択される期間内に完了するので、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体の別個の用量の短期間での投与を可能にする。
【0111】
第3の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療するための医学的に活性な液体を調製または製造するためのレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩の使用であって、医学的に活性な液体が、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で対象に投与される使用を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器の疾患、障害または状態である。
【0112】
第4の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療するための吸入装置の使用であって、医学的に活性な液体が吸入装置を使用して噴霧形態で投与され、医学的に活性な液体がレムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む使用を提供する。いくつかの実施形態では、ウイルス性の疾患、障害または状態は、呼吸器の疾患、障害または状態である。
【0113】
第5の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を予防または治療するための、レムデシビルを含む医学的に活性な液体の使用であって、医学的に活性な液体が、吸入装置を使用した吸入によって噴霧形態で対象に投与される使用を提供する。
【0114】
第6の態様では、本発明はキット、具体的には、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態を治療または予防するためのキットを提供し、キットは、
-レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体であって、吸入によって噴霧形態で対象に投与されるように適合されている、医学的に活性な液体、および
-吸入装置、好ましくはソフトミスト吸入器などの手持ち式吸入装置、を備える。
【0115】
本発明のこの態様によれば、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体はまた、医学的に活性な液体を含有する上記の流体リザーバの形態で提供することができる。
【0116】
第7の態様では、本発明は、対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態を予防または治療するためのキットの製造における、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体の使用を提供し、キットは、
-対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態を予防または治療するための、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体であって、吸入によって噴霧形態で対象に投与されるように適合されている、医学的に活性な液体、および
-吸入装置、好ましくはソフトミスト吸入器などの手持ち式吸入装置、を備える。
【0117】
本発明の第1の態様の方法および第2の態様による使用のための医学的に活性な液体に関連して上に開示されたすべての実施形態、特徴およびそれらの組み合わせは、本発明のすべてのさらなる態様に等しく適用されることに留意されたい。
図面の詳細な説明
【0118】
図1には、本発明による方法に有用な吸入装置の好ましい実施形態の1つが概略的に示されており、拡大縮小させたものではない。
図1は、初回使用前の状況を示す。
【0119】
吸入装置はハウジング(1)を備え、これは、片手で保持することができ、1本の指、例えば親指または人差し指(図示せず)で操作することができるような形状および寸法であることが好ましい。本発明に従って投与される医学的に活性な液体(F)を貯蔵するための流体リザーバ(2)は、ハウジング(1)の内部に配置される。図示のリザーバ(2)は、装置の繰り返しの使用によりリザーバが空になる過程で、リザーバから液体を引き出すのに必要な負圧が経時的に実質的に一定のままであるように軟質または弾性の壁が変形するように、折り畳み可能に設計されている。同様の効果は、可動の底部を有し、それによってリザーバの内部容積も連続的に減少させることができる剛性の容器が代替実施形態によって達成することができる(図示せず)。
【0120】
さらに、図示の吸入装置は、ハウジング(1)内に中空シリンダ(9)を有するポンプユニットを備え、これは、液体(F)(すなわち、医学的に活性な液体)を放出してそれを噴霧化するのに必要な所望の圧力を生成するためのポンプ室(3)を形成する。ポンプユニットはまた、押しボタン、ロック装置などの図に示されていないさらなる構成要素を備えてもよい。
【0121】
位置エネルギーの蓄積手段(7)として、シリンダ(9)の一端(上向き、または下流)に結合され、ハウジング(1)(図の下部)で支持されるばねが設けられる。
【0122】
図示の吸入装置は、前記シリンダ(9)内に収容することができる少なくとも1つのリザーバに面する、または上流の内部端部(5A)を有するライザーパイプ(5)をさらに備える。言い換えれば、ライザーパイプ(5)は、中空シリンダ(9)の中に少なくとも部分的に押し込むことができ、ポンプ室(3)の内部容積の減少をもたらす。「内部容積」という用語は、シリンダ(9)のリザーバに面する入口から、それぞれのライザーパイプ(5)の内部端部(5A)が位置する場所まで延在する容積を表す。図示の状況では、ライザーパイプ(5)は、ほぼ完全にシリンダ(9)内に収容されている。結果として、入口弁(4)とライザーパイプ(5)の内部端部(5A)との間に位置するポンプ室(3)の内部容積は最小である。
【0123】
好ましくは、ポンプ室(3)として機能し、またはポンプ室(3)を収容し、ライザーパイプ(5)を収容する中空シリンダ(9)の部分(またはセグメント)は、その直径がライザーパイプ(5)の対応するセグメントの円形外側断面の直径と比較的密接に(例えば、小さな隙間を除いて)一致する円形の内側断面を呈する。もちろん、他の(例えば、非円形)の断面の形状も可能である。
【0124】
図示の実施形態によれば、入口弁(4)は、リザーバ(2)とシリンダ(9)によって形成されたポンプ室(3)の入口との間に配置される。
【0125】
さらに、吸入装置は、ライザーパイプ(5)の外部(または下流)端部(5B)に液密に接続されたノズル(6)を備える。ノズル(6)は、少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって噴霧されるエアロゾルを生成するための衝突型ノズルである。好ましくは、液体含有チャネルの断面は、典型的にはミクロンの領域で比較的小さい。
【0126】
また、外部からライザーパイプ(5)の外部端部(5B)への液体または空気の逆流を回避するための、ライザーパイプ(5)の内側の任意選択の出口弁(8)が示されている。出口弁(8)は、ライザーパイプ(5)の内部端部(5A)に配置されている。液体(F)は、ノズル(6)の方向に出口弁(8)を通過することができるが、出口弁(8)は、反対方向のいずれの望ましくない逆流をも遮断する。
【0127】
図1に見られるように、ライザーパイプ(5)は、ハウジング(1)に対して不動であるように設計され、外部端部(5B)の領域におけるハウジング(1)との接続によって示されるように、ハウジング(1)に固定されて設計される。ライザーパイプ(5)はまた、ノズル(6)にしっかりと取り付けられ、順次ノズル(6)は同様にハウジング(1)に取り付けられる。対照的に、ポンプ室(3)を備える中空シリンダ(9)は、ハウジング(1)およびノズル(6)に対して移動可能であるように設計されている。この設計の利点は説明されている。上記の各セクションを参照されたい。
【0128】
図2を参照すると、
図1の装置と同様の装置が示されている。しかし、
図2に示す実施形態は、(任意選択の)出口弁(8)を欠いている。他のすべての構成要素が存在し、機能も同等である。この実施形態では、ポンプ室(3)は、弁(4)の下流からノズル(6)まで延在し、ノズル(6)は流体の抵抗が著しく増加する場所である。ライザーパイプ(5)の内径が特に小さい代替的な実施形態では、ポンプ室(3)は、弁(4)の下流からライザーパイプ(5)の上流内部端部(5A)までのみ延在する。
【0129】
図3は、充填されているポンプ室の
図1の実施形態を示す。中空シリンダ(9)は、その最上流の位置に移動されており、それによって、位置エネルギーの蓄積手段(7)に負荷をかける。出口弁(8)はポンプ室(3)内の負圧によって閉じられ、入口弁(4)は流体リザーバ(2)に向かって開いている。リザーバ(2)の壁が徐々に崩れていくことにより、リザーバ(2)内の内圧がほぼ一定のままであることが可能になる一方で、ポンプ室(3)内の圧力は、中空シリンダ(9)の長手方向の推進運動のために低下し、したがってポンプ室(3)の容積が増加する。結果として、ポンプ室(3)は、リザーバ(2)からの医学的に活性な液体(F)で満たされている。
【0130】
図4には、
図1の吸入装置の最初の作動後の状況が示されている。位置エネルギーの蓄積手段(7)は、
図3に示すように負荷位置から外れている。これは、ライザーパイプ(5)上を摺動するようにシリンダ(9)を下流方向に押す。ライザーパイプ(5)の内部端部(5A)は、ここでは閉じられている入口逆止弁(4)に近づいている。その結果、ポンプ室(3)内の圧力が上昇し、入口弁(4)を閉じたままにするが、出口弁(8)を開く。液体(F)は、ライザーパイプ(5)からその外部端部(5B)を通ってノズル(6)に向かって流れる。
【0131】
図5は、エアロゾル放出段階の終了時の状況における
図1の吸入装置を示す。位置エネルギーの蓄積手段(7)は、その最も弛緩した端部位置にある(ばねが完全に伸長している)。また、ポンプ室(3)の内部容積が最小に達するように、中空シリンダ(9)のほぼ全体がライザーパイプ(5)上に押し込まれている。ポンプ室(3)に以前に収容されていた液体(F)の大部分は、出口弁(8)を通ってライザーパイプ(5)の主要部分に入っている。噴霧されるエアロゾルが使用者または患者に向けて放出されるように、噴霧が行われるノズル(6)に向かって、およびノズル(6)を通っていくらかの液体(F)が押されている。
【0132】
図6には、ポンプ室を再充填した後の状況における
図1の吸入装置が示されている。中空シリンダ(9)は上流方向に(反発的に)移動されており、したがってシリンダ(9)が備えるポンプ室(3)の容積を増加させている。位置エネルギーの蓄積手段(7)は、負荷がかけられている(ばねが圧縮されている)。シリンダ(9)がノズル(6)から離れるように移動する間、負圧がポンプ室(3)内に生成され、出口弁(8)を閉じ、入口逆止弁4を開く。その結果、さらなる液体(F)がリザーバ(2)からポンプ室(3)に引き込まれる。吸入装置のポンプ室(3)は再び満たされ、ばねを放すことによって液体(F)の次の排出の準備が整う。
【0133】
図7は、実施例1に記載されているように5%、10%、15%、20%、および25%(重量%)の濃度でレムデシビルなどの高分子量化合物の粘度を模倣するように調製された水とエチレングリコール混合物の様々な組み合わせの全スプレー持続時間に対する平均粒径分布を示す。粒径分布は、T分布に基づいて95%信頼区間で決定される。本明細書で使用される場合、「スチューデントのt分布」としても知られる「T分布」という用語は、サンプルサイズが小さく、母集団の標準偏差が未知である状況で、正規分布集団の平均を推定するときに生じる連続確率分布のファミリーのメンバーを指す。
【0134】
図8は、実施例2に記載されているように、100%エタノールまたは70:30エタノール:水(%w/w)中の様々なレムデシビルの濃度(3.56、5.08、7.63および10.17mg/ml)のスプレー持続時間全体の平均粒径分布を示す。粒径分布は、T分布に基づいて95%信頼区間で決定される。
【符号の説明】
【0135】
1 ハウジング
2 流体リザーバ、リザーバ
3 ポンプ室
4 入口弁
5 ライザーパイプ
5A 内部端部
5B 外部端部
6 ノズル
7 位置エネルギーを蓄積する手段
8 出口弁
9 中空シリンダ、シリンダ
F 液体、流体、医学的に活性な液体
【0136】
以下の実施例は、本発明を説明するのに役立つが、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
(実施例)
材料および方法
【0137】
実施例1については、室温で2つの溶媒を組み合わせて水およびエチレングリコールの溶液を調製した。実施例2では、レムデシビルのエタノール溶液(100%)を、室温でレムデシビルをエタノールに溶解することによって調製した。実施例2では、レムデシビルを室温でエタノールに溶解し、水を溶液に添加することによって、レムデシビルのエタノール:水(70:30%w/w)中溶液を調製した。本明細書に開示されるように、少なくとも200バールの作動圧力および1~5秒(実施例1)または1~3秒(実施例2)の噴霧持続時間である実施形態のソフトミスト吸入器を使用して、各溶液を分注した。分注した溶液の粒径分布を、Malvern Spraytec(登録商標)装置を用いて測定した。
【実施例】
【0138】
水およびエチレングリコールの溶液を調製して、5%、10%、15%、20%、および25%(溶液中の化合物の重量%)の濃度でレムデシビルなどの高分子量化合物の粘度を模倣した。各溶液のエチレングリコールおよび水の重量/重量%の値を表1にまとめる。
【表1】
【0139】
本明細書に開示されるような実施形態のソフトミスト吸入器を使用して、溶液を室温で分注した。分注パラメータおよび粒径分布の結果を表2および
図7にまとめる。「事象持続時間」という用語は、溶液が分注されるときの秒(s)単位のスプレー持続時間全体を指す。「Stdev」という用語は標準偏差を意味する。
【表2】
【実施例】
【0140】
エタノール(100%)およびエタノール:水(70:30%w/w)中のレムデシビルの溶液を、約3.56mg/mL(「REM3.56」)、5.08mg/mL(「REM5.08」)、7.63mg/mL(「REM7.63」)、および10.17mg/mL(「REM10.17」)の濃度で調製した。本明細書に開示されるような実施形態のソフトミスト吸入器を使用して、溶液を室温で分注した。分注パラメータおよび粒径分布の結果を表3および
図8にまとめる。水の添加は粒径を増加させる。
【表3】
項目のリスト
【0141】
とりわけ、本開示は、以下の特定の実施形態E1~E26に関する。
【0142】
E1 対象におけるウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態を治療または予防する方法であって、吸入によって噴霧形態の医学的に活性な液体を前記対象に投与するステップを含み、
-医学的に活性な液体は、レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含み、医学的に活性な液体は、吸入装置を使用して噴霧形態で投与される、方法。
【0143】
E2 ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、コロナウイルス感染症またはコロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態である、実施形態1に記載の方法。
【0144】
E3 コロナウイルス感染症が、SARS-CoVもしくはSARS-CoV-2感染症であるか、またはコロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、SARS-CoVもしくはSARS-CoV-2感染症に起因する、実施形態2に記載の方法。
【0145】
E4 コロナウイルス感染症が、中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症であるか、またはコロナウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、中東呼吸器症候群コロナウイルス感染症に起因する、実施形態2に記載の方法。
【0146】
E5 ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害または状態が、ウイルス複製の阻害に応答するものである、実施形態1から4のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
E6 ウイルス性の疾患、障害または状態が免疫系の疾患、障害または状態;炎症性の疾患、障害または状態;自己免疫疾患、障害または状態;心血管系の疾患、障害または状態;癌;腫瘍または他の悪性腫瘍;腎系の疾患、障害または状態;胃腸管の疾患、障害または状態;呼吸器系の疾患、障害または状態;内分泌系の疾患、障害または状態;および/または中枢神経系(CNS)の疾患、障害もしくは状態である、実施形態1から5のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
E7 ウイルス性の疾患、障害または状態が炎症性の疾患、障害または状態である、実施形態1から6のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
E8 ウイルス性の疾患、障害または状態が重症急性呼吸器症候群(SARS)である、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
E9 ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態が、呼吸器もしくは肺の感染症または呼吸器もしくは肺の疾患、障害もしくは状態である、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
E10 肺の感染症が下気道感染症である、実施形態9に記載の方法。
【0152】
E11 下気道感染が肺炎である、実施形態10に記載の方法。
【0153】
E12 対象がヒトまたは動物である、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
E13 対象が、ウイルス感染症またはウイルス性の疾患、障害もしくは状態と診断される、実施形態1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
E14 対象が、COVID-19と診断されている、実施形態13に記載の方法。
【0156】
E15 レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩が、対象の肺に投与される、実施形態1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
E16 レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用される吸入装置が手持ち式装置である、実施形態1から15のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
E17 レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用される吸入装置がソフトミスト吸入器である、実施形態1から16のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
E18 レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用される吸入装置が、少なくとも1つの衝突型ノズルを有するソフトミスト吸入器である、実施形態1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
E19 レムデシビルまたはその薬学的に許容される塩を含む医学的に活性な液体を投与するために使用される吸入装置が、吸入療法のための噴霧された医学的に活性なエアロゾルを送達するための手持ち式吸入装置であり、
(a)使用者に面する側を有するハウジング、
(b)少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって噴霧されるエアロゾルを生成するための衝突型ノズルであって、ノズルがハウジングに対して不動であるようにハウジングの使用者に面する側にしっかりと取り付けられている、衝突型ノズル、
(c)ハウジング内に配置された流体リザーバ、および
(d)ハウジング内に配置されたポンプユニットであって、
流体リザーバに流体接続された上流端部、
ノズルに流体接続された下流端部、を有する、ポンプユニットを備え、
ポンプユニットは、流体リザーバからノズルに流体を圧送するように適合されており、
ポンプユニットは、
(i)上流端部を有するライザーパイプであって、
-ポンプユニット内のピストンとして機能するように適合され、
-ハウジングに対して不動であるように、ハウジングの使用者に面する側にしっかりと固定される、ライザーパイプ、および
(ii)ライザーパイプの上流に位置する中空シリンダであって、ライザーパイプの上流端部は、シリンダがライザーパイプで長手方向に移動可能であるようにシリンダに挿入される、中空シリンダ、
(iii)ロックされたときに位置エネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積されたエネルギーを放出するためのロック可能手段であって、手段は、シリンダの外側に配置され、シリンダに機械的に結合され、手段のロックを解除すると、ポンプユニットの下流端部に向かってシリンダが長手方向に推進運動するようになる、ロック可能手段をさらに備える、実施形態1から18のいずれか一項に記載の方法。
【0161】
E20 医学的に活性な液体が、約10μg/μL~約30μg/μLの濃度のレムデシビルを含む、実施形態1から19のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
E21 医学的に活性な液体が、約15μg/μLの濃度のレムデシビルを含む、実施形態20に記載の方法。
【0163】
E22 投与される医学的に活性な液体が約150μg~約230μgのレムデシビルを含む、実施形態1から21のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
E23 投与される医学的に活性な液体が約225μgのレムデシビルを含む、実施形態22に記載の方法。
【0165】
E24 医学的に活性な液体の平均粒径分布が、Dv50で約2.0μm~約4.0μmである、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
E25 医学的に活性な液体がアルコールを含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
E26 アルコールがエタノールである、実施形態25に記載の方法。
【国際調査報告】