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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】可変形状を備えた船体
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/28 20060101AFI20230616BHJP
【FI】
B63B1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571147
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 IT2021050147
(87)【国際公開番号】W WO2021234748
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020000011980
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102020000022675
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522452112
【氏名又は名称】ヴェルメ プロジェクツ エス.アール.エル.
(71)【出願人】
【識別番号】522452123
【氏名又は名称】ヴェルメ,マッシモ
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルメ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,ロベルト
(57)【要約】
【解決手段】
船舶(11)のための可変形状を備えた船体であって、該船体は、浮力スラストの一部を提供するよう構成され、および、1つ以上の直立物(14)によって船体の浮かび上がった部分(13)と一体になっている、1つ以上の完全に浸水した部分(12)と、船舶(11)が十分な高速度で進む状況において、船舶(11)を水面よりも上の所定の高さに保つために必要な鉛直方向のスラストの残りの部分を提供するよう構成されている、1つ以上の浸水した翼表面(15)と、を含み、船体が1つ以上の支持物(16a、16b、16c)を含み、該支持物(16a、16b、16c)は、翼表面(15)に接続され、ならびに完全に浸水した部分(12)に対して可動性があるフロート構成要素(17a、17b、17c)に連結され、該フロート構成要素(17a、17b、17c)は、1つ以上の支持物(16a、16b、16c)に固定されるか、または支持物(16a、16b、16c)に対して可動性があり、該フロート構成要素(17a、17b、17c)は、このようにして、完全に浸水した部分(12)、ならびに翼表面(15)と十分に協働し、該翼表面(15)は、完全に浸水した部分(12)に対して動くか、またはそれに対して固定されたままとなるように構成され、および、該フロート構成要素(17a、17b、17c)は、船舶(11)の速度が減少するにつれて、その浸水を増加させ、ならびに、船舶(11)が減速時、または静止している場合でも、船舶(11)の使用に最適、かつ機能的である方法で、船舶(11)の水からの距離を維持、または調節するために、鉛直方向のスラストを提供するよう構成される、船体。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶(11)のための可変形状を備えた船体であって、前記船体は、
浮力スラストの一部を提供するよう構成され、および、1つ以上の直立物(14)によって前記船体の浮かび上がった部分(13)と一体になっている、1つ以上の完全に浸水した部分(12)と、
前記船舶(11)が十分な高速度で進む状況において、前記船舶(11)を水面よりも上の所定の高さに保つために必要な鉛直方向のスラストの残りの部分を提供するよう構成されている、1つ以上の浸水した翼表面(15)と、を含み、
前記船体が1つ以上の支持物(16a、16b、16c)を含み、
前記支持物(16a、16b、16c)は、前記翼表面(15)に接続され、ならびに前記完全に浸水した部分(12)に対して可動性があるフロート構成要素(17a、17b、17c)に連結され、
前記フロート構成要素(17a、17b、17c)は、前記1つ以上の支持物(16a、16b、16c)に固定されるか、または前記支持物(16a、16b、16c)に対して可動性があり、
前記フロート構成要素(17a、17b、17c)は、このようにして、前記完全に浸水した部分(12)、ならびに前記翼表面(15)と十分に協働し、
前記翼表面(15)は、前記完全に浸水した部分(12)に対して動くか、またはそれに対して固定されたままとなるように構成され、および、
前記フロート構成要素(17a、17b、17c)は、前記船舶(11)の速度が減少するにつれて、その浸水を増加させ、ならびに、前記船舶(11)が減速時、または静止している場合でも、前記船舶(11)の使用に最適、かつ機能的である方法で、
前記船舶(11)の水からの距離を維持、または調節するために、前記鉛直方向のスラストを提供するよう構成されること、を特徴とする、船体。
【請求項2】
前記船体は別の翼表面(36)を含み、前記別の翼表面(36)は、固定または可動性があり、前記翼表面(15)から独立していて、および飛行中の前記船舶(11)の前記船体のトリムを制御に役立つことを特徴とする、請求項1に記載の船体。
【請求項3】
前記翼表面(15)は、ヒンジ(30)、および回転手段(31)によって、前記完全に浸水した部分(12)に接続されており、前記回転手段(31)は、前記船体から離れる、あるいは前記船体に近づく動きをしながら、前記翼表面(15)が前記ヒンジ(30)の周りを回転することを可能にするよう構成されることを特徴とする、請求項1、または2に記載の船体。
【請求項4】
前記フロート構成要素(17b)は、前記1つ以上の直立物(14)の内側および外側に位置する、1つ以上のケーブルの形状を有する1つ以上の支持物(16b)に連結され、前記1つ以上のケーブル、前記1つ以上の直立物(14)、ならびに前記船体は、前記1つ以上の直立物(14)にかかる構造的応力を減少させる張力構造を実質的に構成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の船体。
【請求項5】
前記フロート構成要素(17c)は、前記1つ以上の直立物(14)の外側に位置する強固な支持物(16c)に沿って可動性があることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の船体。
【請求項6】
前記船体は、前記船舶が進む方向(X1)に対して前面にある、推進システムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の船体。
【請求項7】
前記船体は、圧縮空気を前記完全に浸水した部分(12)の外面に輸送するシステム(19)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の船体。
【請求項8】
船体は、陸上で前記船体を可動できるようにするために、前記フロート構成要素(17c)の内部に位置する、必要な場合には取り外し可能である車輪(25)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の船体。
【請求項9】
前記完全に浸水した部分(12)は、前記船舶の燃料用の、ならびに/あるいはバッテリーおよび/または燃料電池用のタンクの機能を有する魚雷型のボリューム(volume)であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の船体。
【請求項10】
前記船体は、制御システム(27)を含み、前記制御システム(27)は、前記翼表面(15)の動きを管理するよう構成された慣性センサ、ならびに高さ検出器が装備され、および、2つの主要な使用条件、すなわち操縦する場合は、上記フロート構成要素(17a、17b、17c)の浸水したボリュームの増加、または減少を利用することで、ならびに巡航速度での飛行中は上記翼表面(15)の揚力を変化させることで、前記船舶の運動を能動制御するためのものであることを特徴とする、請求項1~9にのいずれか一項に記載の船体。
【請求項11】
前記1つ以上の直立物(14)は伸縮自在であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の船体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的には民間サービスのため、およびタクシーとして、運河または礁湖水にて運航する小型船舶において有利に用いることができる、可変形状を備えた船体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば水中翼船などの翼表面を装備した船体は、様々なミッションプロファイルで、または様々な種類の使用に用いることができる。
【0003】
これらの使用のうちの1つは、例えば、いわゆる「水上タクシー」、すなわち、当然のことながら、例えば都市の運河、港湾地域、または他の水域などの水辺だけでなく外洋における人々の輸送である。
【0004】
したがって、この種の使用に用いられる船舶は、要件が次第に厳格になると証明されつつある、いくつかの保護地区内で、波形成を減少させることに適した最高限度の速度で移動すること、一旦外洋に出たときに、乗客に対して良好な安定性と低い船酔い指数をもって高速で移動すること、乗り物の連続使用、結果として生じるエネルギー、ならびに経済的節約を考慮して、抵抗の観点から可能な限り効率的であること、および必要な場合に喫水線が低下していることが必要となる。
【0005】
公知のように、様々な種類の船体、具体的には、支持物の種類において互いに異なる船舶の底部があり、底部の浸水体積のスラストに起因する流体静力学タイプ、または水上を滑る底部の揚力に起因する流体力学タイプとすることができる。
【0006】
「従来の」船舶は、原則として、流体静力学的スラストを主に利用する排水型船舶と、流体力学的揚力を利用する滑走型船舶に分けられる。前者の抵抗は、喫水線の長さに強く関係する。この抵抗は、前述の長さに関連する限界速度にまで加速させて徐々に増加し、その後急激に増加することで、速度を大幅に増加させるための動力の増加は、非効率的かつ不経済的となる。排水の頻度はあまり重要ではない。水上タクシーまたは小型船舶の場合、長さは通常制限されるので、限界速度は例えば数ノットのように非常に低いが、抵抗/重量の比に関しては効率的ではあり、排水底部は、限界排水速度より通常高い運航速度が必要となる小型船舶には採用できない。
【0007】
反対に、あらゆる形状の底を滑走するために、抵抗は、排水に強く関係する。これらの場合、軽さは消耗を劇的に減らすのに極めて重要なものである。しかし両者には、一貫した波形成や波動に対する感度という欠点がある。
【0008】
波動に対する感度と抵抗を減少させるのに採用可能な解決策の1つは、S.W.A.T.H.タイプの船舶、すなわちS.W.A.T.H.タイプの船体を用いる船舶である。その最も一般的な構成のうちの1つにおいて、流体静力学的な支持は、主船に接続される魚雷に似た2つの完全な没水体により設けられ、この没水体は、可能な限り薄い部分を有する鉛直方向の支持物によって完全に離水している。鉛直方向の支持物に薄い部分があるので、それらの前進運動に対する抵抗は、波形成と同じく小さい。同じ理由で、海の状態は主船の動きに影響を及ぼさず、波の通過をほとんど通す。
【0009】
欠点は、多量の喫水、バラストタンクで補われることの多い負荷変動に耐える性能の制限、およびそれによる不必要な重量増加である。
【0010】
S.W.A.T.H.は、水先船、研究室、および診療船での使用が限られていることが分かっている。しかし、抵抗の観点から、最近の最先端技術の発展に照らすと、S.W.A.T.H.は特に効率的な船体ではない。
【0011】
高速のための別のタイプの底部は水中翼船であり、該水中翼船では、流体力学的な支持が、翼、水中翼、またはフォイルと呼ばれる完全または部分的に水没した翼表面により得られ、この翼表面は、発進速度より高い速度で、船舶を水から持ち上げる。利点は、本質的に翼、および船舶に翼を結合する鉛直方向支持物の抗力/揚力の比に起因して、前進運動に対する抵抗が減少することである。このような、滑走底部の最小グライド速度を上回る高速度での比は、後者のタイプの底部に対して明らかに低い。
【0012】
この解決策の欠点は、水中翼を水面より上に保つために必要な最低速度に関連しており、その最低速度は、例えば水上タクシーの運航プロファイルにおける時間制限に対してのみ維持することができる。一旦速度が低速度に低下すると、水中翼船、すなわち翼を有する船体は、抵抗と凌波の観点から翼なしの船体よりも動作が悪くなり、これは翼の抵抗が底部の抵抗に加えられるからである。
【0013】
この乗り物の別の欠点はしばしば負荷容量の可動域が制限されていることであり、これは、大きな排水可動域では翼に過大な負荷がかかって効率を失い始め、重すぎる水中翼船を水面より上にすることができないからである。
【0014】
別の欠点は、船舶が静止しているときに喫水が過剰であることであり、これによりいくつかの港へのアクセスが少なくなる。
【0015】
船体に対して無数の試みや変化がなされたにもかかわらず、消耗を減らす唯一の解決策は速度減少であるが、そのような低速度に最適化された底部を用いることによって、具体的には抵抗/重量の比が大幅に低く、翼形のものよりも低い排水速度の減少である。
【0016】
例えば、外洋へ通じる水路などの保護区域での可航性に関しては、変更があることに留意されたい。過去には、制限は最高速度の低下であり、今日では場合により、速度にかかわらず波形成の減少が求められ、ある特定の底部ではより高くなる可能性がある。水没した翼を有する水中翼船は、水面より上にある状態での波形成が非常に少ないが、その航行は依然として発進工程により制限されかねない。実際、発進前に水中翼船は、時間が制限され、波形成が多いとはいえ、排水状態で速度に達した後に航行する必要がある。
【0017】
商業上不適切かもしれないが「ALI-SWATH」と呼ばれる、Rodriguez Cantieri Navali製の船舶では(二重船体がないので、SWATHではない)、単一の没水体は、その流体静力学的スラストとともに、翼表面の流体力学的な支持によって、海面上を航行する船舶を支え、これには非常に薄い構造が接続される。
【0018】
したがって、このタイプの底部は没水体の底部の利点と水中翼船の利点とを組み合わせている。これらの利点はすべて、造波抵抗が少ないこと、波形成が少ないこと、海の状態が船舶の動きに与える影響の減少によりプラットフォームの安定性が高いこと、および最後に、翼による流体力学的な支持の構成要素が、没水体の存在により流体力学的構成要素と比べて小さい部分であるという事実に応じて低速度でも発進する可能性があることに、関連する。
【0019】
これらの態様は、同様の底部の使用を、様々な用途、具体的には例えば運河および礁湖水で運航する水上タクシーにおいて特に興味深いものにする。
【0020】
しかし、このタイプの解決策の主な欠点は、船舶が静止している、または操縦時に低速度であるときに、翼表面の流体力学的スラストが欠落しているため、船舶の船体が、その流体静力学的スラストが翼表面の揚力の損失を補うまで水中に下降することである。これにより喫水が著しく上昇し、今日までその普及が厳しく制限されてきた。
【0021】
したがって、最先端技術の欠点のうち少なくとも1つを解消できる、可変形状を備えた船体を完成する必要がある。
【0022】
特に、本発明の1つの目的は、いくつかの既知の解決策に典型的である高い喫水の問題を解消することを可能にして、波形成を減少させることを可能にし、かつ前進運動に対する抵抗が減少している、可変形状を備えた船体を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、あらゆるタイプの船舶、具体的には、例外はあるが例えば水上タクシーとして使用可能である水中翼船、「Aliswath」などの船舶に対して本質的に用いることができる可変形状を備えた船体を提供することである。
【0024】
本出願人は、最先端技術の欠点を解消するとともに、これらおよび他の目的と利点を得るべく、本発明を考案、検査、および実施してきた。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、独立請求項に記載され、および特徴づけられる。従属請求項は、本発明の他の特徴、または主な発明概念の変形について記載する。
【0026】
上記の目的に関し、および本発明によると、可変形状を備えた船体は、1つ以上の部分であって、好ましくは魚雷型であり、完全に浸水し、浮力スラストの一部を提供するよう構成され、および、1つ以上の直立物によって上記船体の浮かび上がった部分と一体になっている、1つ以上の部分と、上記船舶が十分な高速度で進む状況において、上記船舶を水面よりも上の所定の高さに保つために必要な鉛直方向のスラストの残りの部分を提供するよう構成されている、1つ以上の浸水した翼表面と、を含む。
【0027】
本船体は、さらに1つ以上の支持物を含み、上記支持物は、上記翼表面に接続され、ならびに上記完全に浸水した部分に対して可動性があるフロート構成要素に連結され、上記フロート構成要素は、上記1つ以上の支持物に固定されるか、または上記支持物に対して可動性があり、上記フロート構成要素は、このようにして、上記完全に浸水した部分、ならびに上記翼表面と十分に協働し、上記翼表面は、上記完全に浸水した部分に対して動くか、またはそれに対して、および上記構成要素に対して固定されたままとなるように構成される。
【0028】
特に、フロートは、船舶の速度が減少するにしたがってその浸水を増加させ、したがって船舶の水からの距離を維持、または調節するための鉛直方向のスラストを提供するように構成されており、船舶が減速、あるいは静止している場合でも船舶の使用に最適、および機能的な方法で行われる。
【0029】
したがって、有利なことに、可変形状を備えた本船体は、波形成を減少させるための既知の解決策に特有な高い喫水の問題を克服することを可能にし、および前進運動に対する抵抗をも減少させる。
【0030】
したがって、本船体は、その形状の変更により、喫水を減少させる、またはいかなる場合にも喫水線に対する所定の高さを維持することができるので、船舶が静止、あるいは操縦中に、短い時間、および安全に行なわれる簡単な作業で、乗客を乗船および下船させる作業が可能になる。
【0031】
船体はしたがって、1対の水密ボリューム、またはフロート構成要素からなり、該フロート構成要素は、船体形状であり、低速度の際には部分的に水没し、中央の魚雷形状体に接続された翼表面の端に位置し、および後者は薄い鉛直方向の構造により没水体に接続されている。翼表面を動かすためのメカニズム、またはシステムが提供されてもよく、該システムは、翼表面の端に位置する水密ボリュームの位置を修正することで、翼表面を動かす。特に、翼表面の動きは、翼表面の端における船体形状の水密ボリュームと、没水体との間の相対位置を変更し、それにより、その喫水を変更する。
【0032】
翼表面、および浮体を動かすことは、状況に応じて様々なシステムを用いて、達成することができる。伸縮自在、または開閉可能な動作システムを用いることができる。手動、水圧、機械、または空気圧の動きを備えたメカニズムを用いることができる。可変形状を備えたこの船体を採用することで得られる別の直接的な利点は、船舶が静止している場合に負荷容量を変更することができ、さらに喫水線に対して、海水面の外側の船舶の部分と同じ高さを維持することができる。実際、船舶が静止している場合、流体静力学的支持は、没水体、および翼表面の端に位置する水密ボリュームのうち水没したボリュームの部分から与えられる。負荷が増加するにしたがって、翼表面を動かすこと、およびフロート構成要素、または水密ボリュームをより浸すことにより、喫水線に対して、船舶の高さは変わらない。明らかに、このことは、搭乗ドックの高さに対して船舶の高さを調節し、全ての搭乗作業中に高さを一定に維持することを、可能にする。さらに、船舶の高さを決定するのが、水密ボリュームの水没した部分であるという事実により、喫水は、浅水路の場合でさえ、ドックに入る(land at)ために必要な範囲内に保つことができる。
【0033】
さらに、翼の端に位置する水密ボリュームのうちのどれか1つを浸水させることにより、負荷のいかなる不均一も、バラストボックスを使用せず、したがって船舶の重量を不必要に増加させることなく、補うことができる。
【0034】
本発明の船体の別の利点は、発進、つまり水密ボリュームの流体静力学的支持と、翼表面の流体力学的支持との間の移行が、船舶の高さを変動させることなく、実際に発生することである。
【0035】
船舶の加速段階中に、部分的に浸水された水密ボリュームは、流体静力学的支持に寄与するだけでなく、船舶の横方向の安定性に寄与することで、船舶の動きに対して安定させるシステムとして機能する。水密ボリュームの形状は、船体の速度に対する抵抗を減少するために、あたかもそれらが本物の船体であるかのように、最適化することができる。
【0036】
速度があって、翼表面が水密ボリュームの流体静力学的スラストを相殺することができる場合、動きのメカニズムは、水密ボリュームが水から完全に出るまで、それらが接続されている翼表面を動かす。これらの状態では、船舶は、浸水ボリューム、および翼表面の揚力によって、完全に支えられる。
【0037】
このモーメントから、船舶の動力学的挙動は、Rodriguez「Aliswath」projectに関するもの、すなわち、没水体の高い浮力スラストによって高い負荷容量、ならびにプラットフォームの高い安定性を有し、および没水体の翼表面の鉛直方向の構造の喫水線の低下によって、前進運動に対する抵抗の減少、ならびに波形成の減少を可能にする船舶に関するものである。
【0038】
航行(flight)段階中に、船舶の動きに対する安定性は、翼表面の存在によってもたらされ、翼表面は、自動システムに制御された動きによって、その揚力を修正することにより、トリムの変化に反応する。船舶の動きを制御するために、翼表面は、トリムを制御、および調節するための独立したフラップを装備することができる。
【0039】
最後に、没水体は、それらに鉛直方向のスラストの一部分を伝動することで、船舶の浮上した部分に接触することができ、および中央構造の負荷を軽減する。このように、翼表面は、ビームが片方の支持物の上に固定されるのではなく、ビームが2つの支持物の上に固定されるなどのよりバランスのとれた方法で負荷をかけられ、それにより、翼表面が航行段階中に受ける動的応力を減少させ、および、疲労に対する耐性、ならびに構造の平均寿命を増加させる。
【0040】
波形成に関する厳格な要件を備えた保護地区での可航性について、船舶は、低速度では、没水体、および部分的に浸水したフロート構成要素上の流体静力学的支持にあり、いかなる場合にも、波形成は従来の多胴船、例としては、カタマラン、あるいはトライマランのように制限されることになる。フロート構成要素は、非常に狭く、および流線型をした部分を有し、一方、没水体と、船舶との間の連結部は、それ自体が非常に狭い部分を有し、トライマランの中央の船体の形状を想定するために、上甲板へのその上部連結部に有利に設計される。
【0041】
この形状は、したがって、本発明が波形成を減少させる発進速度に達し、および、フロート構成要素を持ち上げ、波形成をさらに減少させることで、他の船舶の速度が高波形成により制限される地区でさえ、高速で翼での航行を継続することを可能にする。この特性は、外洋に着いて、発進できるようになるまで、排水地区を低速度で横断しなくてはならない浸水した翼を有する水中翼船と比べて、本発明をよりいっそう有利にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
これら本発明の態様、特性および利点は、添付された図面を参照して非限定的な実施例として与えられる、以下のいくつかの実施形態の記載から明白になるであろう。
図1】可変形状を備えた本船体の一実施形態の側面概略図であり、特に、翼表面、または翼の端に配置された水密体、あるいは水密ボリュームは完全に水上に出るような位置にあり、翼表面、または翼を有することで、翼の流体力学の支持物は、それが適用される船舶の航行を可能にする位置ある。
図2図1の船体の側面図である。
図3図1および図2の構成における船体の断面概略図である。
図4図1図3の船体の断面概略図であり、翼表面の端に配置された水密ボリュームが部分的に水上に出ており、これらの水密ボリュームの流体静力学的支持は、翼の流体力学的スラストを補い、および船舶が静止、または低速度で操縦されているにもかかわらず、船舶を航行高度に保つことができる位置である。
図5】本発明の別の実施形態による、可変形状、および第一の上昇した位置における水密ボリューム、またはフロート構成要素を有する船体の断面概略図である。
図6】水密ボリュームが第二の低下した位置にある、図5の船体の断面概略図である。
図7】水密ボリュームが第一の上昇した位置にある、可変形状を備えた本船体の別の実施形態の三次元の概略図である。
図8図7の船体の平面概略図である。
図9図7、および図8の船体の背面概略図である。
図10】水密ボリュームが第二の低下した位置にある、図7の本船体の実施形態の三次元の概略図である。
図11図10の船体の平面概略図である。
図12図10、および図11の船体の正面概略図である。
図13図7の船体の実施形態の変形の側面概略図である。
図14図13の船体の一区画を拡大した断面概略図である。
図15図13の船体の正面図である。
図16図7の船体の実施形態の別の変形の側面概略図である。
図17図16の船体の背面図である。
【0043】
理解を容易にするために、同じ参照番号が使用されているので、図面における同一の共通要素を識別することができる。一実施形態の要素、および特性を、さらなる説明をすることなく、都合よく他の実施形態に組み入ることができることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、1つ以上の非限定的な例が添付された図面に示された本発明の可能な実施形態を、詳細に参照する。本明細書で使用される語法、および用語も、非限定的な例を提供することが目的である。
【0045】
添付された図面を参照すると、図1図4は、本発明の第一の実施形態による、可変形状を備えた船体(10a)を含む船舶(11)を示す。
【0046】
船体(10a)は、完全に浸水した部分(12)を含み、該完全に浸水した部分(12)は、浮力スラストの一部を提供するよう構成され、および、1つ以上の直立物(14)によって前記船体(10a)の浮かび上がった部分(13)と一体になっていて、および船体(10a)は、1つ以上の浸水した翼表面(15)を含み、該1つ以上の浸水した翼表面(15)は、前記船舶(11)が十分な速度で進む状況において、前記船舶(11)を水面上よりも上の所定の高さに保つために必要な鉛直方向のスラストの残りの部分を提供するよう構成されている。
【0047】
完全に浸水した部分(12)は、魚雷型の構成要素、または翼形、もしくは翼形のセット、支持構造物、またはその他であり得る。
【0048】
船体(10a)は、翼表面(15)に接続、および、完全に浸水した部分(12)に対して可動性のあるフロート構成要素(17a)に連結された1つ以上の支持物(16a)を含む。フロート構成要素(17a)は、支持物(16a)に固定される、または支持物(16a)に対して可動性がある。フロート構成要素(16a)は、したがって、完全に浸水した部分(12)、および翼表面(15)と十分に協働する。翼表面(15)は、前記完全に浸水した部分(12)に対して動くか、またはそれに対して固定されたままとなるよう構成され、ならびに可動性のあるフロート構成要素(16a)は、船舶(11)の速度が減少するにつれて、その浸水を増加させ、および、船舶(11)が減速度、または静止している場合でも、船舶(11)の使用に最適、かつ機能的である方法で、船舶(11)の水からの距離を維持、または調節するために、鉛直方向のスラストを提供するよう構成される。
【0049】
完全に浸水した部分(12)は、船舶(11)の重量を維持するのに必要な、全流体静力学的スラストの一部のみを生成する。この部分(12)は、海面を通り抜ける程度に非常に薄い部分を有する1つ以上の直立物(14)によって、船舶に接続される。さらに、ヒンジ(30)によって、浸水した部分(12)へ各々接続されている少なくとも1対の翼表面(15)がある。
【0050】
さらに、翼表面(15)が、2つのヒンジによって、部分(12)に接続され、該2つのヒンジは高さを変化させるための縦方向のヒンジ、すなわちヒンジ(30)、および、船舶のトリム角度を修正するために、翼表面(15)の入射角、または鉛直面におけるフロート構成要素(17a)の縦方向のトリムを変更するための水平方向、あるいは横方向のヒンジであると規定することを可能にする。
【0051】
翼表面(15)と、浸水した部分(12)との間の接合点はさらに、2つのヒンジから成り得て、該2つのヒンジは高さを変化させるための縦方向のヒンジ、すなわちヒンジ(30)、および、船舶の方向を修正するために、翼表面(15)の入射角、または水平面におけるフロート構成要素(17a)の縦方向のトリムを変更するための鉛直方向のヒンジである。
【0052】
他の実施形態では、翼表面(15)と、完全に浸水した部分(12)との間の接合点は、荷重負担面の端におけるフロート構成要素(17a)の高さをスライディングにより変更する、スライディングブロックから成り得る。
【0053】
直立物(14)はさらに、航行にとって便利な機能として、浸水した部分(12)、翼表面(15)、およびフロート構成要素(17a)から成るアセンブリの、浮上した部分(13)からの距離を増加、または減少させるために、伸縮自在、および調節可能なタイプであり得る。
【0054】
翼表面(15)は好ましくは、魚雷型の船体の側面における対称位置に、対になって位置される。翼表面(15)は、荷重負担の翼形に特徴があり、すなわち、翼表面の入り口の縁、および出口の縁を通る結合直線X2に対する湾曲が与えられる。この形状はさらに、直線X2が上記のように、入射流に対して角度α1を有するように位置決めされ、および上記のような直線と、翼表面(15)が装備できるフラップ(29)の入り口の縁と出口の縁を結ぶ線との間の角度β1を変更するように動くフラップが装備される。(図2も参照)
【0055】
曲線形状および固定された入射角α1は、一定の揚力を生成する一方、航行中の船舶のトリムを修正するために、フラップの角度β1を変更することにより、揚力を変更することが可能である。一旦発進速度が到達および超過すると、翼表面(15)は、部分(12)の流体静力学的スラストと一緒に船舶(11)の重量を維持することができる流体力学的スラストを生成する。翼表面(15)の端に位置される一対のフロート構成要素(17a)は、浸水した部分(12)に対する翼表面の相対運動によって、部分的に浸水、または完全に水の外に出得る。船舶が静止している状態で、翼表面(15)が揚力を生成しない場合、浸水したフロート構成要素(17a)の部分は、浸水した部分(12)の流体静力学的スラストと一緒に、船舶の重量を支えることができる流体静力学的スラストを生成する。
【0056】
翼表面(15)およびフロート構成要素(17a)は、ヒンジ(30)によって、完全に浸水した部分(12)に対して動かすことができる(図3図4も参照)。これらのヒンジ(30)は、フロート構成要素(17a)の、部分的に浸水した状態から完全に海面よりも上にある状態への遷移運動を可能にする。
【0057】
図3の位置から図4の位置に進むために、およびその逆も同様に、本船体(10a)は、翼表面(15)がヒンジ(30)を中心に回転し、船体(10a)から離れる、あるいは船体(10a)に近づくことを可能にするよう構成される回転手段(31)が装備されている。そのような回転手段(31)は、例えば油圧アクチュエーター(32)、および翼表面(15)の正確な動きを可能にし、したがってフロート構成要素(17a)の正確な開閉を可能にするレバーメカニズム(33)を含む。
【0058】
船体(10a)はさらに、推進システム(34)が装備され、例えば、フラップ(37)に装備することができる翼表面(36)に取り付けられた1対のプロペラ(35)が提供される(図1および図2を再度参照)。加えて、完全に浸水した部分(12)は、方向制御システム、この場合は舵(38)を装備することができる。
【0059】
船舶が静止しているか、または低速度で操縦されている場合、反対方向に回転することで船舶が操縦状態になることを可能にするのは、船舶の中心線軸(X3)から一定の距離に位置する2つのプロペラ(35)である。船舶の操縦性を改善するために、横方向の操縦プロペラは、浸水した部分(12)の船首に取り付けられ得るか、または該船首のプロペラを含むプロペラは、縦軸を中心に回転することができる特別なスラストに位置され得る。
【0060】
翼表面(36)は、航行中の船舶のトリムを制御するのに役に立つ。この点について、α2は翼表面(36)の入射角を示し、一方、β2は独立翼のフラップ(37)の入射角を示す。
【0061】
図3の位置において、翼表面(15)は、フロート構成要素(17a)を船舶(11)と接触させることができ、これにより、海の動きにより引き起こされる鉛直方向、ならびに水平方向のスラストの一部を船体に伝達させ、したがって、直立物(14)にかかる構造的応力を減少させる。特に、フロート構成要素(17a)は、船舶(11)の底部に作られたシート(28)に収納され得る。
【0062】
部分(12)に対する相対的位置に応じて翼表面(15)は、フロート構成要素(17a)の浸水の起こり得る変動に加えて、その表面または入射角を変化させ、あるいは、フラップ(29)によってその外形を変化させ、その結果、船舶(11)のすべての操縦状態(静止、発進、および航行中の船舶)における船舶の動きを制御および減少させるために揚力を変更する。上に述べたことは、部分(12)およびおそらくは翼表面(36)の流体静力学的スラストならびに流体力学的スラストの組み合わせであり、該翼表面(36)は固定、あるいは可動性があるが、フロート構成要素(17a)に連結された翼表面(15)からは独立している。
【0063】
図2はしたがって、例えば魚雷型である浸水した部分(12)、および翼表面(15および36)の上面図を示す。特に、翼表面の一部は、フラップ(29および37)専用のものであり、該フラップ(29および37)は、入射角β1およびβ2を修正することにより、トリムを調節、および航行状態における船舶の動きを減少するために、揚力を増加または減少させる(図1も参照)。
【0064】
図1はさらに、展開(deployment)操作中の船舶の喫水線L1を理想的に表しており、つまり浸水したフロート構成要素(17a)、および船舶(11)が航行中における水面を表す線L2と共に表す。L3は、船舶(11)の基線を示す。
【0065】
船舶が静止している、または操縦の状態では(図1を参照)、フロート構成要素(17a)は部分的に浸水し、および浸水Dを修正することなく、船体を航行中の高さに等しい所定の高さに保つことが出来る。浸水したフロート構成要素(17a)なしで、船舶の浸水は、多くの整備されていない上陸場において、ドックに入ることが不可能な高さ(D1)まで増加する。加えて、フロート構成要素(17a)の動きは、船舶が静止している場合に、船舶の動きを相殺することで、海が荒れた状態でも船舶を安定させたままにする。
【0066】
遷移段階において、浸水した部分(12)によって提供されない鉛直方向スラストの一部分は、部分的に浸水したフロート構成要素(17a)の流体静力学的スラストにより部分的に補われ、ならびに翼表面(15)の流体力学的揚力により部分的に補われ、およびフロート構成要素(17a)は、本物の船体のように機能し、この理由から、その形状は波抵抗と波形成を減少することに最適化される必要がある。フロート構成要素(17a)は、示された通り、例えば魚雷型である。
【0067】
図5~6は、翼表面15が固定され、およびフロート構成要素(17b)が1つ以上の直立物(14)の内外を通るケーブル形状である支持物(16b)によって動かされる、本船体(10b)の別の実施形態を示している。これらのケーブルは、運動システム(40)と連結されるので、船体(10b)の構造を強固にすることに加え、フロート構成要素(17b)が上昇および降下し、浮上した位置から浸水した位置まで移行し、またはその逆に移行することを可能にする。
【0068】
図5において、フロート構成要素(17b)は上昇した位置にあり、一方、図6において、それらは降下した位置した位置で示される。
【0069】
これらのケーブルは、直立物14の内外にあり、および完全に浸水した部分(12)を船舶(11)に実質的に接続させる。直立物14、ケーブル、および船舶(11)のアセンブリは、直立物(14)またはもしあれば1つより多くの直立物における構造応力を減少させる、閉ループの張力構造を実質的に構成する。
【0070】
フロート構成要素(17b)は各々が、船尾および船首における2つのケーブルの上を滑ることができ、それにより、フロート構成要素(17b)は、水へ下降する段階の間、調節可能なトリムで処理される可能性が与えられる。
【0071】
図7の構成において、船体10cは、フロート構成要素(17c)が滑ることができる剛体支持物(16c)を含む。支持物(16c)は、1つ以上の圧迫された直立物(14)、または図面に示されるような翼形、またはその他と一緒に、張力構造を形成する、張力を受けているケーブルであり得る。
【0072】
フロート構成要素(17c)が位置づけられる、少なくとも1対の支持物(16c)を、船体(10c)の両側に提供することが可能である。
【0073】
支持物(16c)は、片側が翼表面(15)に接続され、他の側が船体(10c)の下部に接続されている。
【0074】
支持物(16c)はまた、実質的に鉛直方向または少し傾いた方向に、特に船体(10c)の内部に向かって傾いて、方向付けられる(図9を参照)。このことは、図10の下の位置におおける開放部をより大きくし、および、図7の上の位置における全体のサイズをより小さくする。特に、図8を参照すると、上の位置において、フロート構成要素(17c)は、船体(10c)の下に実質的に引っ込められる。
【0075】
翼表面(15)は、船体(10c)の完全に浸水した部分(12)に接続されている。
【0076】
支持物(16c)は、例えば薄い剛体ロッドであるか、または、丸い形、楕円形またはその他の別の形状の輪郭であり得る。支持物(16c)に対して、フロート構成要素(17c)を上昇、または降下させることができる駆動システムを提供することができ、例えば片側がフロート構成要素(17c)に、他の側が船体(10c)に連結されたアクチュエーター、またはその他である。
【0077】
さらに、いくつかの実施形態において、フロート構成要素(17c)は、例として示されたように、V字型であり得る。
【0078】
船体(10c)(図13および15を参照)は、完全に浸水した部分(12)、例えば魚雷型物体の前端に位置する推進システム(18)を装備することができる。船体の運航方向(X1)は、図13に示されている。
【0079】
この船体の完全に浸水した部分(12)はまた、正面の推進システム(18)または、他の推進システムに必要な燃料のタンクとして用いることができる。
【0080】
推進システム(18)は、例えば軸X4の周りを回転するプロペラ(39)が提供され得、およびシェル(20)によって保護され得る。
【0081】
船体(10c)はまた、船舶(11)の前進運動、つまり方向X1に対する抵抗をさらに減少させるために、圧縮空気Aを完全に浸水した部分(12)の表面に運搬するよう構成された運搬システム(19)が装備することができる。(図14もまた参照)。
【0082】
システム(19)は、コンプレッサー(23)に連結した圧縮空気を貯蔵するためのタンク(21)を装備することができ、該コンプレッサー(23)は、分配弁(22)によって、圧縮空気を、部分(12)に作られる1つ以上の流路(24)を通って部分(12)の表面に運搬する。
【0083】
システム(19)は、船体(10)の船舶(11)のどこであっても、または完全に浸水した部分(12)の内部でさえも、任意の便利な位置に収納することができる。
【0084】
本船体(10c)(図16および17を参照)は、船体(10c)および、したがって船舶(11)が、例えばドック沿いで輸送することのため、自走するために、必要ならフロート構成要素(17c)から出てくる(extracted)ことができる車輪(25)を装備することもできる。
【0085】
各フロート構成要素(17c)の少なくとも1対の車輪(25)を提供することができる。好ましくは遊び車であるこれらの車輪(25)は、適切な支持物(26)によって、フロート構成要素(17c)の内部で旋回することができ、該適切な支持物(26)は、手動による回転、または船舶(11)により自動的に制御される回転によって、フロート構成要素(17c)の内部における、該適切な支持物が収納される実質的な水平構造から、陸上において船舶(11)が動くための実質的な鉛直構造に変形することができる。
【0086】
本船体(例えば、図2における船体(10a)を参照)は、慣性センサならびに高さ検出器を装備された制御システム(27)を含むことができ、該制御システム(27)は、2つの主要な使用状態における船体の動きの能動制御のために、翼表面の運動を管理するように構成され、つまり、操縦中においては、フロート構成要素の浸水体積の増加または減少を利用することにより、および巡航速度での航行中においては、翼表面の揚力を変更することによる。
【0087】
本発明者らは、船体の決定的な実施形態を参照して記載および示された特徴はまた、記載ならびに示された船体の他の実施形態に都合よく別の実施形態に組み入ることができることを明らかにさせることを望む。
【0088】
部分の修正および/または追加が、特許請求の範囲によって規定される本発明の分野ならびに範囲から逸脱することなく、ここまでに記載されたような可変形状を備えた船体に対して行われることは明らかである。
【0089】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照番号の唯一の目的は、読むことを容易にするためであり、それらは、特定の特許請求の範囲において主張される保護分野に関して、制限要因として見なしてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】