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特表2023-526855洋上発電構造体を支持するための浮体式プラットフォームおよび前記プラットフォームを作製するための方法
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  • 特表-洋上発電構造体を支持するための浮体式プラットフォームおよび前記プラットフォームを作製するための方法 図1
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  • 特表-洋上発電構造体を支持するための浮体式プラットフォームおよび前記プラットフォームを作製するための方法 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】洋上発電構造体を支持するための浮体式プラットフォームおよび前記プラットフォームを作製するための方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20230616BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20230616BHJP
【FI】
B63B35/00 T
F03D13/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571164
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 IB2021054331
(87)【国際公開番号】W WO2021234601
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102020000011779
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522452455
【氏名又は名称】シーウィンド オーシャン テクノロジー ホールディング ビー.ヴィ.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】カルソ,シルヴェストゥロ
(72)【発明者】
【氏名】バルビアノ ディ ベルジオジョソ,ユーゲニオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャクボウスキ,マーティン
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA26
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD61X
(57)【要約】
発電することを目的とした洋上構造体を支持するための浮体式プラットフォーム(1)であって、3つの頂点(3、4、5)およびその幾何学的中心の近くに位置する中間点(6)が設けられたコンクリートで作られ、かつ長手軸(L)を画定する耐荷重支持ベース(2)と、前記頂点(3、4、5)および中間点(6)において支持ベース(5)から延在しているコンクリートで作られた複数の垂直体(8)とを備えるプラットフォーム。耐荷重支持ベース(2)の頂点(3)は、他の2つの頂点(3、4)に対して長手方向前方位置に配置されており、耐荷重支持ベース(2)は、平面図において実質的に矢印のような形状を画定するために他の2つの頂点(3、4)に対して長手方向前方位置において頂点(3)を直接接続するのに適した一対の主接続アーム(18)を備える。発電することを目的とした洋上構造体を支持するための浮体式プラットフォーム(1)の構築のための方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電することを目的とした洋上構造体を支持するための浮体式プラットフォーム(1)であって、
3つの頂点(3、4、5)およびその幾何学的中心の近くに位置する中間点(6)が設けられているコンクリートで作られ、かつ長手軸(L)を画定する耐荷重支持ベース(2)と、
前記頂点(3、4、5)および前記中間点(6)においてコンクリートで作られ、かつ前記支持ベース(2)から延在している複数の垂直体(8)と
を備え、
前記耐荷重支持ベース(2)の頂点(3)は前記他の2つの頂点(3、4)に対して長手方向前方位置に位置しており、
前記耐荷重支持ベース(2)は前記支持ベース(2)のために平面図において実質的に矢印の形状を画定するために、長手方向前方位置にある前記頂点(3)を前記他の2つの頂点(3、4)に直接接続するのに適した一対の主接続アーム(18)を備え、
第1の一連の副接続アーム(19’)を備え、その各1つが前記耐荷重支持ベース(2)の前記中間点(6)を対応する主接続アーム(18)に直接接続するのに適していることを特徴とするプラットフォーム。
【請求項2】
前記第1の一連の副接続アームの各副接続アーム(19’)は、その実質的に中点において前記中間点(6)を前記対応する主接続アーム(18)に接続するのに適していることを特徴とする、請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項3】
前記主接続アーム(18)は実質的に長手方向前方位置に位置する前記ベース(2)の前記頂点(3)において交わるそれぞれの方向(X)に沿って配置されており、かつ少なくとも60°の角度(α)で角度的に離間されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項4】
前記主接続アーム(18)は実質的に同じ長さ(l)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項5】
前記支持ベース(2)は、長手方向後方位置に配置された前記頂点(2、3)を接続するのに適したさらなる主アーム(18)を備えることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項6】
前記耐荷重支持ベース(2)は第2の一連の副接続アーム(19、19’)を備え、そのそれぞれが前記中間点(6)を前記頂点(3、4、5)に位置する対応する垂直体(8)に接続するのに適していることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項7】
前記主接続アーム(18)および/または前記第1および第2の一連の副接続アーム(19、19’)はそれぞれ、実質的に正方形もしくは長方形の断面および内側空洞(22)を有し、前記空洞(22)は二対の長手方向の平行な壁(9、25;23、24)よって画定されていることを特徴とする、請求項6に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項8】
前記主接続アーム(18)および/または前記第1および前記第2の一連の副接続アーム(19、19’)は、長手方向にオフセットされた位置において前記空洞(22)内に配置された複数の横断壁(27)を備えることを特徴とする、請求項7に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項9】
前記横断壁(27)のそれぞれが、前記空洞(22)を満たすための水の通過を可能にするのに適した下側開口部(28)および前記空洞(22)を水で満たしながらも前記空洞(22)中に存在する空気を逃すのを可能にするのに適した上側開口部(29)を有することを特徴とする、請求項8に記載の浮体式プラットフォーム。
【請求項10】
前記垂直体(8)は中空であり、かつ平面図において実質的に多角形の断面を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のプラットフォーム。
【請求項11】
前記耐荷重支持ベース(2)はコンクリートで作られ、かつ平面図において所定の形状を有するスラブ(9)を備え、前記スラブ(9)は前記3つの頂点(3、4、5)および前記中間点(6)を互いに接続するのに適していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のプラットフォーム。
【請求項12】
前記耐荷重支持ベース(2)は前記スラブ(9)上に得られたか、あるいはそれぞれ前記主アーム(18)の少なくとも1つの部分および/または前記副アーム(19、19’)の少なくとも1つの部分および/または前記垂直体(8)の少なくとも1つの部分から延在している実質的に水平の外縁(30)を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載のプラットフォーム。
【請求項13】
海洋エネルギーの変換による発電に適している1つ以上の装置(31)を備えることを特徴とする、請求項11または12に記載のプラットフォーム。
【請求項14】
発電のための前記1つ以上の装置(31)は前記耐荷重支持ベース(2)の前記外縁(30)に沿って配置されていることを特徴とする、請求項13に記載のプラットフォーム。
【請求項15】
a)複数の平らな型枠パネル(37)を提供する工程、
b)一対の実質的に平行な外側を有するそれぞれが交錯された棒鋼によって構成された鉄筋(38)を提供する工程、
c)複数のタイロッド(40)を提供する工程、
d)前記鉄筋(38)の前記棒鋼が前記パネル(37)の縁から突出している状態で、一対の平らなパネル(37)をそれぞれの鉄筋(38)の側面の外側に位置決めする工程、
e)前記タイロッド(40)を介して前記対のパネル(37)を相互に組み合わせて、前記鉄筋(38)が実質的にそれらの間に挟まれ、かつ複数のスペーサを介して前記パネル(37)の間に固定された状態で単一組み立て体(39)を形成する工程、
f)所定の数の単一組み立て体(39)を得るために工程a)~工程e)を繰り返す工程、
g)平面図における前記ベース(2)の形状に従ってコンクリートベーススラブ(9)を作製する工程であって、前記スラブ(9)には突出している棒鋼(43)が設けられている工程、
h)前記支持ベース(2)およびアーム(18、19、19’)の形状に実質的に対応する平面図形状を画定するために、横並びであって前記鉄筋(38)の前記それぞれの突出している棒鋼がそれぞれ互いに、かつ前記スラブ(9)の前記棒鋼(43)に接続された状態で前記単一組み立て体(39)を前記スラブ(9)上に配置する工程、
i)前記パネル(37)および前記コンクリートベーススラブ(9)の中の空間を無くすような方法で横並びに配置された前記組み立て(39)の前記型枠パネル(37)を相互に接続する工程、
j)前記鉄筋(38)を埋め込むような方法で前記単一組み立て体(39)の中にコンクリートを打設する工程、
k)前記支持ベース(2)の前記アーム(18、19、19’)の垂直壁を作製するために使用された前記型枠パネル(37)を除去する工程、
l)前記接続アーム(18、19、19’)のカバー(25)を作製する工程、
m)プレハブのコンクリート補剛要素(16)を作製する工程、
n)前記プレハブのコンクリート補剛要素(16)を用いて垂直体(8)の底を作製する工程、
o)工程h)~工程j)を繰り返して前記垂直体(8)を得るのに適した残りのコンクリート層を作製する工程であって、前記工程j)は4つの異なる点からのコンクリートの打設を含み、そのそれぞれは前記それぞれの垂直体(8)に位置している工程、
p)前記主本体(8)を作製するために使用された前記型枠パネル(37)を除去する工程であって、前記除去は上から底に向かって行う工程
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のコンクリート製プラットフォーム(1)を作製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐荷重構造体の技術分野に関し、より具体的には洋上発電システムの設置のためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームに関する。
【0002】
本発明は半潜水型コンクリート製浮体式プラットフォームを作製するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
周知のとおり最近の洋上発電設備は主に、浅瀬に設置され、従って海底に固定されるその支持構造体を有する風力タービンからなる。
【0004】
近い将来には、大部分の風力発電設備は中程度の深さまたは非常に深い海域に設置されるであろう。
【0005】
この種の設置において最も経済的かつ有利な解決法は、好適な係留索で海底に係留される半潜水型浮体式プラットフォーム上への変換システムの設置である。
【0006】
場合によってはプラットフォームは鋼で作られているが、この種の構造体は経済的および技術的欠点の両方を有する。
【0007】
特にこれらの構造体は高い構築費を有し、当該システムの全体的重心を下げることができず、これにより海中でのその動作中に風力タービンの安定性が制限される。
【0008】
鋼の代替物はコンクリートであり、コンクリートで作られたプラットフォームは実際に好適に構成されていればより低い構築費を有し、当該システムの重心を下げることを可能にし、このようにして動作中にさらなる安定性を与える。
【0009】
浮体式プラットフォームは沿岸の近くに位置する建設場所で構築され、その後に海の中の設置場所に牽引されることを強調する必要がある。建設場所において完全な発電システムを組み立て、次いでそれを設置場所に牽引することも可能である。これにより、コストがかかる海洋巻上装置の必要性がなくなる。
【0010】
低い重心を有する構造体(コンクリートを用いて得ることができる)により、これらの作業を可能にする。
【0011】
コンクリート製プラットフォームのさらなる利点は、それらの質量により水中において(設置場所で予測される)最大の波の周期を超える当該システムの特定の振動周期を得ることが可能になることである。このようにして、波とプラットフォームとのあらゆる動的相互作用を排除または最小化するのを可能にする。
【0012】
最後に、好適に構成され、かつサイズ決めされたコンクリート製プラットフォームにより風力タービン制御システムのために高いねじり慣性モーメントを得ることが可能になる。
【0013】
しかしコンクリート製プラットフォームの構築コストの低下は、その構造的構成が低コストの工業的プロセスの使用を可能にする程度に大きく依存する。
【0014】
コンクリート製プラットフォームの既存の構成は、それらの構築費を最小限に抑えるのに適した工業的プロセスを用いて構築されるように設計されていない。
【0015】
海洋力活用技術は現在重要な開発段階にある。しかし、それはコストがかかる支持システムの準備を必要とするため、深海で使用するのに適していない。
【0016】
また風力タービンのコンクリート製プラットフォームが海洋力変換システムの要素に対応するように構成されている場合、両方の変換システム(すなわち風力および海洋力変換システム)の(協働的)組み合わせにより、全体的に非常に収益が大きくなる。
【0017】
変換システムに対する風および波の作用は一般に、羅針図および現場の波に従って所与の方向に対して特定の角度範囲内で卓越していることが知られている。
【0018】
洋上変換システムの経済的に有利な性質はその支持構造体の寿命にも依存する。50年間持続するように設計されているプラットフォームは、変換システムの2つのライフサイクル(各サイクルが25年の期間を有する)にわたって使用することができる。
【0019】
この場合、各サイクルの最後に当該システムを組み立て場所に牽引することができ、そこでは塔、風力タービンおよび海洋力変換システムを交換して、プラットフォームの構造体を外部および内部的に点検し、かつ必要であればそれらを修理することができる。
【0020】
この目的は、特に波および風がそれらの卓越方向から当該構造体に応力を加えた際に振動および疲労荷重を最小限に抑えるような方法でプラットフォームが最適化される場合にのみ達成することができる。
【0021】
言い換えると、あらゆる方向から来る風および波によって生成される応力/振動が許容可能であり、かつそれらの卓越方向に沿った風および波によって生成されるものが最小になるような方法でプラットフォームは最適化されなければならない。
【0022】
先行技術のプラットフォームは、これらの目的を達成するように考案または設計されていない。
【0023】
さらにプラットフォームを点検することができることは、その全耐用年数の間の当該構造体の検証のために重要である(特に2倍のライフサイクルのために設計されたプラットフォームの場合)。
【0024】
先行技術のコンクリート製プラットフォームが全てのそれらの部品へのアクセスおよびその検査を可能にするように設計されているという事実に関する証拠は存在しない。
【0025】
プラットフォームによって支持される変換システムには一般に、電気設備を冷却することを目的としたシステムが備えられている。
【0026】
但し半潜水型浮体式プラットフォームは、プラットフォームが浸かっている水によって冷却されるヒートシンクによって冷却することができるような位置に電気設備を収容するように考案することができる。
【0027】
係留システムの信頼性は、浮体式プラットフォームのための別の重要な因子である。実際に良好なレベルの信頼性を達成するための最も有効な方法は、動作中に互いの接触を防止するような方法で配置される3対の索からなる余剰な係留索の使用である。
【0028】
米国特許出願公開第2015/329180号、特開第2006327252号は、プラットフォームに関する独立請求項のプリアンブルに記載されている全ての特性を有する半潜水型浮体式プラットフォームについて記載している。さらに国際公開第2018/185309号、国際公開第2015/048147号、国際公開第2016/172149号、中国特許出願公開第107963186号、フランス特許出願公開第3064694号、フランス特許出願公開第2970748号および米国特許出願公開第2018/105235号は、本特許出願の独立請求項に記載されているものと共通するいくつかの技術的特性を有する浮体式構造体について記載している。
【0029】
しかし上記文献は上に特定されている同じ欠点、すなわち当該構造体に対して波および風がそれらの卓越方向に応力を加える場合に、これらの構造体がその振動および疲労を最小限に抑えることができないこと(すなわち、あらゆる方向から来る風および波によって生成される応力/振動を許容可能にし、かつそれらの卓越方向に沿った風および波によって生成されるものを最小限に抑えることができないこと)について記載している。
【0030】
さらに上記特許に記載されている構造体の信頼性には限界があり、この欠点を克服するために、動作中にそれらの接触を防止するような方法で配置された3対の索によって構成された余剰な係留索を使用することが必要である。
【発明の概要】
【0031】
本発明は、生産時間およびコストを劇的に減らすことを可能にする洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにより、上で言及した技術的欠点を克服することを目的とする。
【0032】
本発明の別の目的は、その寿命を先行技術のエネルギー変換システムの寿命の2倍にすることを目的とした洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0033】
本発明のさらに別の目的は、長距離であっても海中で牽引される場合に高い安定性を有する洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0034】
本発明のさらなる目的は、風力および海洋エネルギーの変換のための併合システムを設置することを可能にする洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0035】
本発明のなお別の目的は、比較的低い重心および垂直軸の周りでの高い慣性モーメントを有する洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0036】
本発明のさらに別の目的は、それらの卓越方向に作用している波および風によって生成される応力を最小限に抑えることを可能にする洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0037】
本発明のさらなる目的は、それらの卓越方向に作用している波および風によって生成される応力に対する適切な抵抗性を保証しながらも平面図におけるその形状はその構築を単純化するようなものである、洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0038】
本発明のなお別の目的は、それらの卓越方向に作用している波および風によって引き起こされるピッチングおよびローリング振動の両方を最小限に抑えるのに適した洋上電力変換システムのための半潜水型浮体式プラットフォームを提供することにある。
【0039】
以下にさらに詳細に記載されているこれらおよび他の目的は、請求項1に記載の種類の洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームによって達成される。
【0040】
以下でより明らかにされる他の目的は、従属請求項に記載の種類の洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームによって達成される。
【0041】
本発明は、請求項15に記載の種類の洋上電力変換システムのためのコンクリートで作られた半潜水型浮体式プラットフォームを作製するための方法も含む。
【0042】
本発明の利点および特性は、特に以下の図面を参照しながらの洋上電力変換システムのための半潜水型浮体式プラットフォームのいくつかの好ましいが非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】電気エネルギーを発生するように設計された洋上構造体を支持するための浮体式プラットフォームの第1の実施形態の斜視図を示す。
図2図1の浮体式プラットフォームの上面図を示す。
図3図1のプラットフォームの側面斜視図を示す。
図4】海洋エネルギー変換器の位置を見ることができる図1のプラットフォームの斜視図を示す。
図5】タービンの電気システムの位置を見ることができる図1のプラットフォームの断面斜視図を示す。
図6図1に示されているプラットフォームの支持ベースの平面斜視図を示す。
図7】アームの上側が除去された図6のベースの平面斜視図を示す。
図8】電気エネルギーを発生させるための洋上構造体を支持するのに適した浮体式プラットフォームの第2の実施形態の斜視図を示す。
図9図8に示されているプラットフォームの支持ベースの平面斜視図を示す。
図10】アームの上側が除去された図9のベースの平面図を示す。
図11】その構築後のプラットフォームのベーススラブの平面斜視図を示す。
図12】プラットフォーム全体を作製するための方法の一例として、図1の浮体式プラットフォームの支持ベースを作り出すためにサンドイッチ構成で組み立てられる型枠および補強要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の主題は、洋上発電構造体を支持するように設計された半潜水型浮体式プラットフォームである。より具体的には、以下に記載されている浮体式構造体は、風力タービンを支持するのに適し、かつ海洋エネルギー変換器を支持するためにも本明細書においてもっと先で詳細に記載されているように設計されている。
【0045】
本発明の主題である浮体式プラットフォームは、50メートルを超える深さで外海において動作するシステムのために使用するのに特に適しており、さらに完全に鉄骨鉄筋コンクリートで作られている(必要であればポストテンションされた部品を含むいくつかの部品の可能なプレファブリケーションを有する)。
【0046】
図1図5は、本発明の主題であり、かつそこでは全体として符号1によって示されている浮体式プラットフォームの好ましい実施形態を示す。
【0047】
前記プラットフォームは、長手軸Lに沿って延在し、かつ上記図に加えて図6図9においても見ることができる耐荷重支持ベース2を備える。
【0048】
支持ベース2の幾何学的構造体は、端部に位置する3つの頂点3、4、5およびベース2内のその幾何学的中心の近くに位置する中間点6を有する。
【0049】
「中間点」という表現は、実際にはベースの幾何学的中心を表わさない点であるが、3つの頂点3、4、5によって形成された三角形の領域の中に位置する点を示すために使用されている。
【0050】
好都合には、プラットフォーム1が外海に位置している場合、ベースの長手軸Lは波および風の卓越方向(図の中では符号7と共に矢印によって示されている)に平行であり、かつその頂点3は波の移動方向とは逆に位置決めされる状態で方向づけられている。
【0051】
言い換えると、プラットフォームは、波および風(それらの卓越方向にある)が最初に頂点3(従ってこれは他の2つの頂点4、5に対して長手方向前方位置にある)に当たるような方法で方向づけられるように設計されている。
【0052】
好都合には、図2においてより良く分かるように、2つの頂点4、5は頂点3に対して後方位置にあり、実質的に共通の横方向Tに沿って配置されている。
【0053】
コンクリート製プラットフォーム1は、アームの格子(以下により良く説明されている)によって共通のスラブ9により互いに接続された4つの垂直体8(多角形の断面を有する中空垂直体からなる)を備える。
【0054】
4つの内部中空垂直体8は頂点3、4、5および中間点6に位置する。
【0055】
垂直体8の壁は、閉鎖断面および実質的に規則的な多角形形状を有する。
【0056】
垂直体8の多角形壁の各側面10は、以下の説明においてより良く説明されているようにコンテナに入れて輸送することができる平らな型枠を用いたその構築を可能にするために、約2.5メートルの最大幅を有する。
【0057】
図1図5に適切に示されているように、垂直体8は支持ベース2のスラブ9から開始して途切れることなく上方に延在しており、それらの上に至るまでそれらの多角形構成を維持している。
【0058】
図8では、支持ベース2のスラブ9をはっきりと見ることができ、スラブ9は各垂直体8およびアームの格子の底壁である。
【0059】
スラブ9はプラットフォーム1全体の構造体の剛性を高めるために(これは垂直体8の底壁内部の横補強材により高めることもできる)、支持ベース2を構成している他の壁よりも実質的に厚い。
【0060】
全ての垂直体8は水を通さず、当該システムを垂直位置に維持するために必要な流体静力学的推力を生み出すという機能も有する。
【0061】
頂点3、4、5に位置する垂直体8は、タービンローターに対する風およびプラットフォームに対する波の作用によって生じる転倒モーメントとは反対の復元モーメントを発生させるために、流体静力学的推力の分配を修正するという機能を有する。
【0062】
中間点6の垂直体8(最も深刻な応力に曝される構成要素の1つである)は、円筒状多角形断面および切頭円錐形状断面からなる構成を有していてもよく、ポストテンショニングケーブルを必要としてもよい。
【0063】
この特定の垂直体8は、金属製異材継手11によりそこに接続されるタービンの鉄塔(図では見ることができない)を支持する。また中間点6に位置する垂直体8の寸法および重なっている塔の寸法は、それらの間で生成される動的相互作用およびタービンローターの運動を最小限に抑えるための必要性を考慮に入れて決定される。
【0064】
頂点3、4、5に配置されている垂直体8は、支持ベース2のスラブ9から海面の上まで延在しており、そこには端部13を閉鎖するのに適した蓋12が備え付けられている。
【0065】
垂直体8の寸法および互いからのそれらの距離は、プラットフォーム1が部分的に潜水された状態で当該システムを海において安定な位置に維持し、かつピッチおよびロール角を風力タービンのために許容可能な値の中に制限するようなものである。
【0066】
好都合には中間点6に位置する垂直体8は、大部分が海面の下に位置する変換器の電気系(全体として符号14により示されている)を収容するという機能も有する。
【0067】
このようにして、電気設備14を含む中空垂直体8の壁を通して、海によって生成されるヒートシンクによりその冷却を容易にすることが可能である。
【0068】
中間点6に位置する垂直体8の上端13の近くの塔の内部へのアクセスのためにハッチ15も設けられている。
【0069】
4つの垂直体8は、アーム18、19、19’の格子カバーの高さに配置された環状横構造体からなる内部補剛要素16を備えていてもよい。さらに中間点6に位置する垂直体8は、それが接続されているアームの内部に向かう延在部およびその切頭円錐形状領域およびその上部における極厚部によって構成された両方の内部補剛構造体45を備えていてもよい。頂点3、4、5に配置されている垂直体8は、それらのベースにおける内部補強材46および係留索17を接続するためのそれらの上部に配置されたさらなる補強材を備えていてもよい。
【0070】
上述のように、支持ベース2はそこにプラットフォームの全ての要素が配置されている下側壁を画定するスラブ9を備えていてもよい。
【0071】
特に、このスラブ9は平面図において所定の厚さおよび形状を有していてもよい。
【0072】
プラットフォーム1の全体的安定性を高めると同時に、風力タービンの卓越方向に作用している波および風によって引き起こされる応力を最小限に抑えるために、スラブ9のレイアウトは全ての頂点3、4、5を中間点6に接続するようなものである。
【0073】
例えば図1図2図4図6図7および図11に示されているプラットフォームに関連づけられているスラブ9は、全ての頂点3、4、5を(スラブそれ自体によって)中間点6に接続するために実質的に「矢印のような」レイアウトを有する。
【0074】
図8図10に示されているスラブ9は実質的に三角形のレイアウトを有するが、この場合にも全ての頂点3、4、5は(スラブそれ自体によって)中間点6に接続されている。
【0075】
プラットフォーム1は、全体を構成する単一の支持ベース2を画定するために、垂直体8をスラブ9を介して互いに接続するのに適した複数の接続アーム18、19、19’を備える。
【0076】
特に図に示されている支持ベース2は、
これらの接続アーム18の一端20が頂点3(前方位置に配置されている)に位置する垂直体8に接続され、
これらの接続アーム18の他端21が頂点4、5(後方位置に配置されている)に位置する対応する垂直体8に接続される
ような方法で、頂点3、4、5を互いに接続することを目的とした一対の主接続アーム18を有する。
【0077】
主接続アーム18は頂点3、4、5(および対応する垂直体8)を互いに直接的な方法で接続するのを可能にするような実質的に直線の形状を有する。言い換えると、これらの接続アーム18は、中間点6と交わることなく頂点3、4、5を互いに接続する直線方向Xに沿って延在している。
【0078】
主接続アーム18の特定の幾何学的形状は、前方頂点3が尖った端部である実質的に矢印の形状のベース(図2においてはっきりと見ることができる)のレイアウトを画定する。
【0079】
図6および図7においてより良く示されているように、主接続アーム18は長手軸Lにおいて実質的に交わる(次いで支持ベース2の前方頂点3を通過する)方向Xに沿って位置する。
【0080】
X方向は少なくとも60°の角度αで互いから角度的に離間されている。
【0081】
本発明の目的であるプラットフォームに対して実施されたシミュレーションから、その軸Lが波7の卓越方向に平行な状態でそれが方向づけられている場合に、60°を超える角度αがプラットフォーム1の横方向(ローリング)振動の減少を可能にすることを確認することができた。
【0082】
この実施形態は、設置場所において波および風がそれらの卓越方向7に作用し、かつ風力タービンがそのローターが風方向に対して正しく位置合わせされていない状態で動作する場合に特に有利である。
【0083】
好ましくは2つの主接続アーム18は、矢印の点が同じ長さを有する2つの側面によって形成されている実質的に「対称的な矢印」形状で支持ベース2を画定するために、同じ長さlを有していてもよい。
【0084】
副接続アーム19、19’は、中間点6(またはこの点上に得られる垂直体8)を対の頂点4、5に接続するのを可能にする。
【0085】
図2に示されている本発明の実施形態は2つの一連の副接続アームを示す。
【0086】
符号19’により示されている第1の一連の副接続アームに属する副接続アームは、支持ベース2(または中間点6に配置されている垂直体8)の中間点6と主接続アーム18との接続を可能にする。
【0087】
符号19により示されている第2の一連の副接続アームに属する副接続アームは、中間点6(または中間点6に配置されている垂直体8)と頂点4、5に配置されている垂直体8との接続を可能にする。
【0088】
好都合には、第1の一連の副接続アーム19’は主接続アーム18と同じレベルまで延在している。
【0089】
従って両方のこれらの種類の接続アーム(主アーム18および第1の一連の副アーム19’)は、スラブ9上に位置している(すなわち、それらはスラブ9から開始して上方に延在している)。上で既に説明したように、主アーム18および第1の一連の副アーム19’のための特定の事例において、スラブ9はプラットフォーム1の耐荷重要素のための支持壁を画定する。
【0090】
好都合には、図により良く示されているように第1の一連の副接続アーム19’は、2つの端部の間で直線方向に沿って延在している。これらの端部のうちの一方は中間点6(またはこの点に位置する垂直体8)に接続されており、他方の端部は主接続アーム18に接続されている。
【0091】
有利には、第1の一連の副接続アーム19’はその端部の一方を後者の中心位置において主接続アーム18に固定するような方法で選択された直線方向に沿って延在していてもよい。
【0092】
言い換えると、第1の一連の副接続アーム19’は、その長さlの半分(1/2)に対応する主接続アーム18の領域において接続することができる。
【0093】
この実施形態はプラットフォームへの高い安定性を保証し、かつ風力タービンの卓越方向に流れる波および風によって加えられる応力を最小限に抑えるのを助ける。
【0094】
好都合には、第2の一連の副接続アーム19(中間点6を頂点3、4、5に関連づけられている垂直体8に接続するに適している)は実質的に直線方向に沿って延在し、かつ主接続アーム18と同じレベルにあってもよい。
【0095】
従ってこの場合も、第2の一連の副接続アームは支持ベース2のスラブ上に位置しており、すなわちスラブ9から上方に延在している。
【0096】
従って図により良く示されているように、主支持アーム18ならびに第1および第2の一連の副支持アーム19、19’は全て同じレベルにあってもよい(従って全てがスラブ9上に位置している)。
【0097】
他の実施形態によれば、図8図10に示されているようにプラットフォームの支持ベース2は、全ての頂点3、4、5を互いに接続するのに適した3つの主接続アーム18(プラットフォーム1の三角形の形状を画定するため)と、中間点6に位置する垂直体8をそれぞれの主接続アーム18に接続することを目的とした3つの副アーム18’とを有していてもよい。
【0098】
この場合、中間点6を頂点4および5を接続する主アーム18に接続するために第1の一連のさらなる副アーム19’が設けられていてもよい。
【0099】
この副アーム19’も主接続アーム18’の実質的な中心線に交わる直線方向に沿って延在していてもよい。
【0100】
従ってこの場合、副接続アーム19’の一端は中間点6(またはその点に位置する垂直体8)に固定されており、他端は主アーム18にその長さlの半分(1/2)の距離に位置するその領域において接続されている。
【0101】
図7および図10においてより良く分かるように、主アーム18および副アーム19、19’は内部空洞22を取り囲むのに適した実質的に正方形または長方形の断面形状を有する。
【0102】
各アーム18、19、19’は一対の側壁23、24、スラブ9によって画定された下側壁および上側覆い壁25を有する。
【0103】
図7においてより良く分かるように、耐荷重支持ベース2は、各アーム18、19、19’の内部空洞22の中に位置する横断壁26、27を挿入することにより強化することができる。
【0104】
特にこれらの横断壁26、27は、実質的に一定のピッチpでアーム18、19、19’の延在方向に沿ってオフセットされるように配置することができる。
【0105】
いくつかの横断壁は、開口部を含まずに完全に閉鎖されていてもよい(これらの壁は図7に符号26により示されている)。
【0106】
実際にはこれらの閉鎖された横断壁26は、対応するアーム18、19、19’の空洞22を2つの水密区画に分割することができるダイアフラムである。
【0107】
さらなる横断壁27は下側開口部28および上側開口部29を有していてもよい。以下により良く説明されているように、下側開口部28は必要に応じて空洞22を完全に満たすために各区画の空洞22内での水の通過を可能にする。上側開口部29は、水で満たされた場合に各区画の空洞22内に存在する空気が逃げるのを可能にする。
【0108】
好都合には、下側開口部28のサイズは、支持ベース2の構築中およびその構築後に空洞22およびアーム18、19、19’を点検するために人がアクセスするのを可能にするのに十分な大きさにすることができる。
【0109】
図7の耐荷重支持ベースは、各主アーム18を2つの区画に分割するのに適した一対の横方向ダイアフラム26を示す。
【0110】
各主アーム18を2つの相互に水密の区画に分割すること(横方向ダイアフラム26により互いから分離すること)により、それ以外のものから実質的に独立した方法で各区画を海水で満たすことが可能になるので、特に柔軟な構造体の構築が可能になる。
【0111】
さらに各区画は、各単一の主接続アーム18内に存在する空洞22によって画定される体積の半分に実質的に等しい体積を有する。
【0112】
従ってダイアフラム26の導入により、各主接続アームの空洞を2つの半分の空洞に分割することが可能になる。
【0113】
この場合、他方の半分の空洞の状態に対する影響なしに(これも空にしたり、それどころか海水で部分的もしくは完全に満たしたりすることもできる)、実際に空洞22の半分の空洞を空および乾燥状態に維持すること(あるいは、それが以前に海水で満たされていた場合はそれを空にすること)が可能になる。
【0114】
この実施形態は、空にした場合に(例えば異なる性質の維持または他の活動)、各半分の空洞に対して任意の種類の作業を行うことを可能にする。
【0115】
支持ベース2のスラブ9は、主アーム18および/または副アーム19、19’および/または垂直体8の少なくとも一部に沿って延在する横方向に突出している外縁30を画定してもよい。
【0116】
図に示されている支持ベース2の構成では、外縁30はプラットフォーム1の周囲全体に沿って(周囲に)延在している(このようにして全ての接続アーム18、19および全ての垂直要素8を取り囲んでいる)。
【0117】
外縁30は支持ベース2の周囲下面の平らな表面を増加させ、かつ水中でのプラットフォームの垂直方向への上下動の制動をかなり高めることを可能にする。
【0118】
図4により良好に図式化されているように、突出している外縁30に符号31と共に概略的に示されている1つ以上の海洋エネルギー変換器を設置することが可能となる。
【0119】
許容可能な多くのもののうち可能な実施形態によれば、これらの発電機30は、外縁30の近くに位置し、かつ主アーム18に位置する膜と海の波との相互作用による波の動きによって発生する気流から開始してエネルギーを発生するように構成されていてもよい。
【0120】
次いでこの相互作用によって生成された気流は、1つ以上のダクト(図には示されていないが主アーム18に組み込むことができる)を介して、発電機に動作可能に接続されたタービン(次いで主タービンの電気系に接続される)を備えたエネルギー変換システム(これも図には示されていない)の中に運ぶことができる。
【0121】
動作的観点から、支持ベース2および垂直体8は造船所において構築することができ、その場合、作業が完了したらプラットフォーム1全体を洋上システム設置場所まで牽引することができる。
【0122】
構築場所から設置場所まで牽引する間のプラットフォーム1(または組み立てられたシステム全体)の安定性を高めるために、支持ベース2のアーム18、19、19’の空洞22において得られた区画を水で満たすことができる。
【0123】
これは言及したとおり、アーム18、19、19’の各区画内の横断壁27には2つの開口部28、29(1つは水の入口のために底にあり、1つは空気を抜くために上部にある)が備えられおり、かつアーム18、19、19’の上側壁25には、プラットフォーム1を進水させた後に海水が支持ベース2の中に入るのを可能にするために開放される弁32が備えられているという事実により可能である。これらの壁25は空気抜き管32も有し、その上部は海面から突出している。
【0124】
弁32において、アーム17、18の上側壁25にマンホールを位置付けることができ、これを使用してメンテナンスおよび検査のためにアームの内部にアクセスすることができる。
【0125】
好ましくは、プラットフォーム(または組み立てられたプラットフォーム全体)の海の中への牽引プロセス中に最大の安定性を得るために、頂点3、4、5に位置する中空体8を同じ量の海水で部分的に満たすこともできる。
【0126】
これらの垂直体8の中には、底壁9から蓋12を超えるまで延在する2本のパイプ33、34(一般に蓋付き)が存在する。一方のパイプ33を通して対応する垂直体8の底に水を導入してもよく、プラットフォーム1が完全に設置された場合に他方のパイプ34(そこにポンプ35が関連づけられている)により排水することできる。
【0127】
動作中にプラットフォーム1は海面に対して決定的な潜水位置を有し、特に支持ベース2および中空垂直体8の大部分は、図5に示すように水中に留まることが意図されている(符号36により示されている破線は水位を示す)。
【0128】
好都合には、支持ベース2および垂直体8は、プレキャストコンクリート要素または混合溶液を用いて(設計および構築プロセスが円筒体の水密完全性ならびに疲労抵抗性および荷重限界の点でプラットフォームの構造的特性を保証するという条件で)、現場で打設される鉄筋コンクリートで作られていてもよい。
【0129】
あらゆる水の入口は、垂直体8の底に位置するセンサ(図には示されていない)により監視することができる。
【0130】
本発明の目的であるプラットフォーム1の特定の「矢印」形状(波および風の卓越方向に対して)により、それが50年間の期間にわたって疲労サイクルに抵抗することが可能になる。
【0131】
これらの特性は、厚さの最適化、好適なコンクリートの選択、金属補強材のサイズ決め、および最も応力のかかる領域におけるポストテンショニングケーブルの使用により達成することができる。
【0132】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載されている半潜水型浮体式プラットフォームの構築のための方法が提供される。
【0133】
この方法はプラットフォーム1の構築段階を加速させ、かつ構築費を減らすことを目的とする。
【0134】
好都合には本方法は、(何百個ものプラットフォームのために)長期間にわたって再利用可能であるように設計および製造され、かつコンテナによる輸送に適合可能な寸法を有する平らな型枠パネル(または要素)37の使用に基づいている。これは、もっぱら平らな要素の使用により作製される壁の存在を特徴とするプラットフォーム1の特定の構成により可能になる。
【0135】
本方法の工程a)では、複数の型枠パネル37を提供する。
【0136】
本方法は工程b)を含み、ここでは各鉄筋38が一対の実質的に平行な外側を有する、交錯された棒鋼によって形成された鉄筋38を提供する。
【0137】
有利には、型枠パネル37および鉄筋38を予め組み立てた後に、個々または同じ高さの単一組み立て体のセットとしてそれらを挟む(図10において見ることができる)。
【0138】
全体的に符号39により示されている単一組み立て体は、2つの型枠パネル37(構築される壁の内部および外部にそれぞれ配置される)、鉄筋38の骨組み、および型枠パネル37を鉄筋38の骨組み(型枠パネル37から好適に離間されている)に対して安定に維持するように設計された必要な横方向タイロッド40からなる。
【0139】
本方法の工程c)の間に複数のタイロッド40を提供し、一対の平らな型枠パネル37を鉄筋38の側面の外側に位置決めするための工程d)も存在する。
【0140】
各単一組み立て体の鉄筋の端部は、隣接する単一組み立て体の突出している棒に接続させるために型枠パネル37から突出している。
【0141】
本方法の工程e)の間に、鉄筋38がそれらの間に挟まれた状態の単一組み立て体39を得るために、当該対の型枠パネル37をタイロッド40により鉄筋38に固定し、それらのうち鉄筋38も複数のスペーサ(図には示されていない)を介して型枠パネル37に固定する。
【0142】
単一組み立て体39に使用される型枠パネル37および鉄筋38は、異なる形状およびサイズを有するが、i)鉄筋の分布および重量の最適化とii)一般にプレファブリケーションおよびプラットフォーム全体のプレハブ構成要素の加速および単純化との有効な妥協を得るために最小数の種類を有する。
【0143】
本方法は、プラットフォーム1全体の構築のために必要な単一組み立て体から得られた予め指定された数の単一組み立て体39を組み立てるために、工程a)~工程e)を繰り返す工程f)も含む。
【0144】
本方法は、アームおよびいくつかの補強材の上側を構成することを目的としたコンクリートスラブのプレファブリケーションも含み、横並びに設置される型枠パネル37のために接続継手41、42を提供することも有利である。
【0145】
本方法の工程g)では、その形状が支持ベース2の平面図形状に一致する鉄筋コンクリートスラブ9を提供し、前記スラブには複数の突出している棒鋼43も設けられている。
【0146】
好ましい構築方法では、支持ベース2のベーススラブ9を作製した後に、支持ベース2の垂直壁および垂直体8の下側部品の構築のために単一組み立て体39の第1の層をその上に装着する。
【0147】
特に本方法は、支持ベース2の垂直壁に対応する平面図形状を画定するために、横並び位置であって突出している鉄筋38が互いに、かつスラブ9の棒鋼43に接続された状態で単一組み立て体をスラブ9上に配置するための工程h)を含む。
【0148】
型枠パネル37とコンクリートベーススラブ9との間の空間を無くすように横並びに配置された型枠パネル37の相互接続のためのその後の工程i)も存在する。型枠パネル37のベーススラブ9への接続は継手44の使用により行い、型枠パネル37間の相互接続は継手42の使用により行う。
【0149】
工程j)の間に、各単一組み立て体39の鉄筋38を埋め込むために単一組み立て体の中にコンクリートを打設する。
【0150】
支持ベース2の垂直壁の構築後に、アームの垂直壁を作製するために使用された型枠パネル37を除去し(工程k)、次いでアーム18、19、19’のカバー25および垂直体8の環状補剛要素16をプレハブコンクリート要素と共に構築し(工程l)、最後にプレハブコンクリート補剛要素を構築する(工程m)。
【0151】
工程n)では、プレハブコンクリート補剛要素を用いて垂直体の底を構築する。
【0152】
この時点で、支持ベース2から開始して垂直体8を構築することが可能になる。
【0153】
次いで、4つの別個の位置(それぞれがそれぞれの垂直体8に対応する)から平行に作業して、単一組み立て体39または予め組み立てられた単一組み立て体セット39を垂直体8の底に組み立てることができる。
【0154】
従って、工程j)では4つの異なる位置で打設を行う。
【0155】
この構築は、プラットフォーム1の完成までその後の段階と共にこのように進み、作業の最後に型枠パネル37を上部から底に進めて解体すると共に、指定された時間でポストテンションケーブルを緊張させなければならない。
【0156】
上に記載されている内容を実施するために、本方法は、垂直体8の残りのコンクリート層を作製するために工程h)~工程j)の繰り返しを行う工程o)を含む。
【0157】
プラットフォームの第1の層の厚さは、必要なアームの高さによって決まる。他の層の厚さはコンクリートの打設を容易にするために、小型クレーンで容易に操作される軽い型枠パネルすなわち単一組み立て体を有するように決める。
【0158】
最後に工程p)では、主本体を作製するために使用される型枠パネル37を除去し、前記除去は上部から底へのパネルの解体を含む。
【0159】
本発明は他の異なる実施形態で実施することができ、それらの全てが特許請求され、かつ本明細書に記載されている本発明の特性の範囲内である。これらの技術的特性は異なるが技術的に同等の要素および材料で置き換えてもよく、本発明の形状および寸法は、それらがその目的に適合可能である限り変えることができる。
【0160】
特許請求の範囲および本明細書に含まれている符号および記号は、単に説明の理解を容易にするためのものであり、それらにより示されている物体またはプロセスの技術的解釈を限定する要素とみなしてはならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】