(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】T細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0783 20100101AFI20230616BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20230616BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230616BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
A61K35/17
A61P35/00
A61P31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571181
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 PT2021050013
(87)【国際公開番号】W WO2021235959
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511115734
【氏名又は名称】インスティテュート デ メディシナ モレキュラー ジョアオ ロボ アントゥネス
【氏名又は名称原語表記】Instituto de Medicina Molecular Joao Lobo Antunes
【住所又は居所原語表記】Faculdade de Medicina, Universidade de Lisboa, Avenida professor Egas Moniz,1649-028 Lisbon,Portuguese Republic
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ダ・コンセイソン・バランダス・フェレイラ,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルデホーエン,マルク
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA92X
4B065AA94X
4B065BB04
4B065BB19
4B065BD25
4B065BD39
4B065CA44
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087DA32
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB31
(57)【要約】
本発明は、T細胞、および組織常在性記憶T細胞(T
RM)を生産する方法に関する。本発明は、本発明の方法から得られた組織常在性記憶T細胞(T
RM)自体、これらのT
RM細胞を含む組成物、ならびに癌の治療のための免疫療法などの治療における、これらのT
RM細胞および組成物の使用に関する。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)の存在下でリンパ球を培養する工程、および/またはリンパ球を制御性T細胞と共培養する工程を含む、組織常在性記憶T細胞(T
RM)を生産する方法。
【請求項2】
リンパ球がTGFβの存在下で培養され、好ましくはリンパ球が制御性T細胞と共培養されない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リンパ球がナイーブ、エフェクターまたは記憶CD8+Tリンパ球である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
TGFβが0.01ng/mlから50ng/mlの間の濃度で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
リンパ球が、ヒトまたは非ヒト動物の組織から得られたものであり、任意選択で、組織が、血液、脾臓、リンパ節、肺、胃腸管、皮膚、前立腺乳腺組織、肝臓、骨髄および膵臓からなる群から選択され得る、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
T
RMが、分化クラスター8(CD8)、分化クラスター69(CD69)、Hobit、アリール炭化水素受容体(AhR)および/または分化クラスター103(CD103)の発現により特徴付けられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
T
RMが、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーGメンバー(KLRG1)および/またはエオメソデルミン(Eomes)の発現の不在によって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、IL-15および/またはIL-21の存在下でリンパ球を培養する工程を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
インターロイキン15(IL-15)の存在下でリンパ球を培養する工程をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
インターロイキン33(IL-33)の存在下でリンパ球を培養する工程をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
インターロイキン7(IL-7)の存在下でリンパ球を培養する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
インターロイキン2(IL-2)の存在下でリンパ球を培養する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つのインターロイキン1ファミリーメンバーの存在下でリンパ球を培養する工程をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのインターロイキン1ファミリーメンバーがIL-1a、IL-1bおよび/またはIL-18である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
リンパ球が、少なくとも1つのアリール炭化水素受容体(AhR)リガンドを含む培地中で培養される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
AhRリガンドが、ハロゲン化芳香族炭化水素、多環式芳香族炭化水素、食物由来アリール炭化水素、ヘム代謝産物、インジゴイド、StemRegenin1およびトリプトファン代謝産物から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
リンパ球が、少なくとも1つの脂質を含む培地中で培養される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
リンパ球が、抗原を含む培養培地で培養され、任意選択で、抗原が腫瘍抗原である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
制御性T細胞が、Foxp3の発現によって特徴付けられるか、または存在しない、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
樹状細胞とともにリンパ球を培養する工程をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
組織常在性記憶T細胞(T
RM)の集団を増殖する工程をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、IL-15および/またはIL-21の存在下でT
RM細胞を培養する工程をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の方法によって得られるか、または得ることができる、組織常在性記憶T細胞(T
RM)。
【請求項24】
治療に使用するための、請求項23に記載の組織常在性記憶T細胞(T
RM)、任意選択で、その増殖集団。
【請求項25】
T細胞療法に使用するための、請求項23に記載の組織常在性記憶T細胞(T
RM)、任意選択で、その増殖集団。
【請求項26】
癌または感染症の予防、治療または改善に使用するための、請求項23に記載の組織常在性記憶T細胞。
【請求項27】
請求項23に記載の組織常在性記憶T細胞、任意選択で、その増殖集団、および薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項28】
請求項27に記載の医薬組成物を製造する方法であって、治療有効量の請求項23に記載の組織常在性記憶T細胞、任意選択で、その増殖集団を、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T細胞に関し、特に、排他的ではないが、組織常在性記憶T細胞(TRM)を産生する方法、本発明の方法から得られた組織常在性記憶T細胞(TRM)自体、これらのTRM細胞を含む組成物、および癌を治療するための免疫療法などの治療におけるこれらのTRM細胞および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PD-1やCTLA-4に対する抗体を遮断するなど、免疫チェックポイント阻害剤を使用した免疫療法は、無癌生存率を著しく向上させた。重要なことには、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞[1]、一般的な腫瘍検出デルタ-ワンγδT細胞(DOT)[2、3]、またはMR-1拘束性T細胞[4]などの養子移入が非常に有望な結果を達成している。しかし、持続的な奏効が得られるのは一部の患者に限られ、これらのアプローチが乳癌などの固形腫瘍に対して十分に有効であるかどうかについては疑問が残る。特に固形腫瘍におけるT細胞免疫療法の成功は、腫瘍組織内にCD8+T細胞などの細胞傷害活性を持つ腫瘍特異的リンパ球を送達し、活性化することにかかっている。
【0003】
組織免疫のブレークスルーにより、組織に深く浸透できる組織常在性記憶CD8+T(TRM)細胞の存在が明らかになった[5、6]。近年、マーカーCD103の発現によって識別される腫瘍内のTRM細胞の存在と、患者の陽性予後との間に強い相関関係があることが示されている。TRM細胞は、乳癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌などの固形腫瘍において、全CD8+T細胞数よりも、全生存期間の延長および無病状態の期間の延長と強く相関している[7~15]。実際、TRM細胞は、ヒト固形腫瘍における強化された細胞傷害性T細胞応答に直接関連している[16、17]。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、細胞傷害性CD8+T細胞を組織の奥深くに生成して送達することに重点を置いて、免疫療法の改善されたメカニズムを探ることは非常に重要であり、固形腫瘍に対する細胞ベースの癌免疫療法を成功させるために不可欠なステップ変更である。
【0005】
本発明者らは、制御性T(TREG)細胞が、組織に深く浸透することができ、固形腫瘍に対して非常に効果的なT細胞の生成において重要であると仮定した。本発明者らは、組織浸透特性を有する抗腫瘍T細胞を生成する目的で、インビトロでTRM細胞の生成を可能にするために、TRM細胞の生成に必要な因子を解明および同定することができた。
【0006】
したがって、本発明の第1の態様では、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)の存在下でリンパ球を培養することおよび/またはリンパ球を制御性T細胞と共培養することを含む、組織常在性記憶T細胞(TRM)を産生する方法が提供される。
【0007】
有利なことに、実施例に記載されるように、本発明者らは、組織浸透性T細胞、すなわち組織常在性記憶T細胞(TRM)の成長に必要なインビトロ要件を確立し、細胞療法に用いるT細胞を生成するプロトコルを開発した。このような細胞の産生は、腫瘍組織や転移腫瘍などの疾患組織内での細胞傷害活性を持つ疾患特異的リンパ球の送達と活性化を可能にするTRM細胞の産生をもたらし、それによってT細胞ベースの治療用ツールキットを大幅に広げる。さらに、実施例に記載されるように、本発明者らは、培養物中にTREG細胞を含まずに、細胞治療に使用するためのTRM細胞を生成するための新規プロトコルを開発した。
【0008】
好ましくは、本方法はエクスビボまたはインビトロで実施される。
好ましくは、本方法は、TGFβの存在下でリンパ球を培養することを含む。好ましくは、いくつかの実施形態では、本方法は、制御性T細胞の存在下でリンパ球を培養することを含まない。
【0009】
好ましくは、TGFβは生理活性である(すなわち活性化されている)。好ましくは、TGFβは哺乳動物のものである。TGFβは、げっ歯類、イヌ、ウマ、またはブタのTGFβであり得る。げっ歯類は、ラットまたはマウスであり得る。最も好ましくは、TGFβはヒトTGFβである。
【0010】
一実施形態では、TGFβは、Genebank ID No:7040によって表されるTGFβ1であってもよく、以下のように、配列番号1として本明細書に提供される:
MPPSGLRLLPLLLPLLWLLVLTPGRPAAGLSTCKTIDMELVKRKRIEAIRGQILSKLRLASPPSQGEVPPGPLPEAVLALYNSTRDRVAGESAEPEPEPEADYYAKEVTRVLMVETHNEIYDKFKQSTHSIYMFFNTSELREAVPEPVLLSRAELRLLRLKLKVEQHVELYQKYSNNSWRYLSNRLLAPSDSPEWLSFDVTGVVRQWLSRGGEIEGFRLSAHCSCDSRDNTLQVDINGFTTGRRGDLATIHGMNRPFLLLMATPLERAQHLQSSRHRRALDTNYCFSSTEKNCCVRQLYIDFRKDLGWKWIHEPKGYHANFCLGPCPYIWSLDTQYSKVLALYNQHNPGASAAPCCVPQALEPLPIVYYVGRKPKVEQLSNMIVRSCKCS
[配列番号1]
したがって、好ましくは、TGFβは、配列番号1に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0011】
一実施形態では、TGFβは、Genebank ID No:7042によって表されるTGFβ2であってもよく、以下のように、配列番号14として本明細書に提供される:
MHYCVLSAFLILHLVTVALSLSTCSTLDMDQFMRKRIEAIRGQILSKLKLTSPPEDYPEPEEVPPEVISIYNSTRDLLQEKASRRAAACERERSDEEYYAKEVYKIDMPPFFPSENAIPPTFYRPYFRIVRFDVSAMEKNASNLVKAEFRVFRLQNPKARVPEQRIELYQILKSKDLTSPTQRYIDSKVVKTRAEGEWLSFDVTDAVHEWLHHKDRNLGFKISLHCPCCTFVPSNNYIIPNKSEELEARFAGIDGTSTYTSGDQKTIKSTRKKNSGKTPHLLLMLLPSYRLESQQTNRRKKRALDAAYCFRNVQDNCCLRPLYIDFKRDLGWKWIHEPKGYNANFCAGACPYLWSSDTQHSRVLSLYNTINPEASASPCCVSQDLEPLTILYYIGKTPKIEQLSNMIVKSCKCS
[配列番号14]
したがって、好ましくは、TGFβは、配列番号14に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0012】
一実施形態では、TGFβは、Genebank ID No:7043によって表されるTGFβ3であってもよく、以下のように、配列番号16として本明細書に提供される:
MKMHLQRALVVLALLNFATVSLSLSTCTTLDFGHIKKKRVEAIRGQILSKLRLTSPPEPTVMTHVPYQVLALYNSTRELLEEMHGEREEGCTQENTESEYYAKEIHKFDMIQGLAEHNELAVCPKGITSKVFRFNVSSVEKNRTNLFRAEFRVLRVPNPSSKRNEQRIELFQILRPDEHIAKQRYIGGKNLPTRGTAEWLSFDVTDTVREWLLRRESNLGLEISIHCPCHTFQPNGDILENIHEVMEIKFKGVDNEDDHGRGDLGRLKKQKDHHNPHLILMMIPPHRLDNPGQGGQRKKRALDTNYCFRNLEENCCVRPLYIDFRQDLGWKWVHEPKGYYANFCSGPCPYLRSADTTHSTVLGLYNTLNPEASASPCCVPQDLEPLTILYYVGRTPKVEQLSNMVVKSCKCS
[配列番号16]
したがって、好ましくは、TGFβは、配列番号16に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0013】
好ましくは、TGFβは、0.01ng/mlから50ng/mlの間の濃度で存在する。より好ましくは、TGFβは、0.1ng/mlから20ng/mlの間、または0.1ng/mlから10ng/mlの間の濃度で存在し得る。最も好ましくは、TGFβは、0.25ng/mlから5ng/mlの間、より好ましくは0.5ng/mlから5ng/mlの間の濃度で存在し得る。
【0014】
好ましくは、リンパ球は、ナイーブ、エフェクターまたは記憶CD8+Tリンパ球である。
好ましくは、リンパ球はナイーブまたはエフェクターCD8+Tリンパ球である。
【0015】
好ましくは、リンパ球はナイーブCD8+Tリンパ球である。リンパ球がヒトの場合、ナイーブCD8+Tリンパ球は、分化クラスター45アイソフォームRA(CD45RA+)、C-Cケモカイン受容体7型(CCR7+)、および/または分化クラスター27(CD27+)の発現によって定義される。ナイーブCD8+Tリンパ球はさらに、分化クラスター45アイソフォームRO(CD45RO-)の発現の欠如によって特徴付けられる場合がある。
【0016】
リンパ球がネズミ、好ましくはマウスである場合、ナイーブCD8+Tリンパ球は、分化クラスター67アイソフォームL(CD67L+)、C-Cケモカイン受容体7型(CCR7+)、分化クラスター127(CD127+)および/または分化クラスター27(CD27+)の発現によって定義され得る。ナイーブCD8+Tリンパ球は、分化クラスター44(CD44+)の低レベルの発現によってさらに定義され得る。
【0017】
好ましくは、リンパ球はエフェクターCD8+Tリンパ球である。リンパ球がヒトである場合、エフェクターCD8+Tリンパ球は、分化クラスター45アイソフォームRA(CD45RA+)および/または分化クラスター45アイソフォームRO(CD45RO+)の発現によって特徴付けられ得る。エフェクターCD8+Tリンパ球は、C-Cケモカイン受容体7型(CCR7-)の発現の欠如によってさらに特徴付けられ得る。
【0018】
リンパ球がネズミ、好ましくはマウスである場合、エフェクターCD8+Tリンパ球は、分化クラスター44(CD44+)の高レベルの発現および/または分化クラスター62リガンド(CD62L)の発現の欠如によって特徴付けられ得る。
【0019】
好ましくは、リンパ球は記憶CD8+リンパ球である。記憶CD8+Tリンパ球は、中央記憶CD8+Tリンパ球またはエフェクター記憶CD8+Tリンパ球であり得る。
リンパ球がヒトである場合、中央記憶CD8+Tリンパ球は、分化クラスター45アイソフォームRO(CD45RO+)の発現によって特徴付けられ得る。中央記憶CD8+Tリンパ球はさらに、分化クラスター45アイソフォームRA(CD45RA-)、C-Cケモカイン受容体7型(CCR7-)分化クラスター27(CD27-)および/または分化クラスター62L(CD62L-)の発現の欠如によって特徴付けられる場合がある。
【0020】
リンパ球がネズミ、好ましくはマウスである場合、中央記憶CD8+Tリンパ球は、分化クラスター44(CD44+)の高レベルの発現および/または分化クラスター62リガンド(CD62L)の発現によって特徴付けられ得る。
【0021】
リンパ球がヒトである場合、エフェクター記憶CD8+Tリンパ球は、分化クラスター45アイソフォームRO(CD45RO+)の発現によって特徴付けられ得る。エフェクター記憶CD8+Tリンパ球はさらに、分化クラスター45アイソフォームRA(CD45RA-)、C-Cケモカイン受容体7型(CCR7-)分化クラスター27(CD27-)および/または分化クラスター62Lの発現の欠如によって特徴付けられ得る。(CD62L-)。
【0022】
リンパ球がネズミ、好ましくはマウスである場合、エフェクター記憶CD8+Tリンパ球は、分化クラスター44(CD44+)の高レベルの発現および/または分化クラスター62リガンド(CD62L)の無発現によって特徴付けられ得る。
【0023】
一実施形態では、CD45RAは、Genebank ID No:5788によって表すことができ、以下のように、配列番号18として本明細書に提供される:
MTMYLWLKLLAFGFAFLDTEVFVTGQSPTPSPTGLTTAKMPSVPLSSDPLPTHTTAFSPASTFERENDFSETTTSLSPDNTSTQVSPDSLDNASAFNTTGVSSVQTPHLPTHADSQTPSAGTDTQTFSGSAANAKLNPTPGSNAISDVPGERSTASTFPTDPVSPLTTTLSLAHHSSAALPARTSNTTITANTSDAYLNASETTTLSPSGSAVISTTTIATTPSKPTCDEKYANITVDYLYNKETKLFTAKLNVNENVECGNNTCTNNEVHNLTECKNASVSISHNSCTAPDKTLILDVPPGVEKFQLHDCTQVEKADTTICLKWKNIETFTCDTQNITYRFQCGNMIFDNKEIKLENLEPEHEYKCDSEILYNNHKFTNASKIIKTDFGSPGEPQIIFCRSEAAHQGVITWNPPQRSFHNFTLCYIKETEKDCLNLDKNLIKYDLQNLKPYTKYVLSLHAYIIAKVQRNGSAAMCHFTTKSAPPSQVWNMTVSMTSDNSMHVKCRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHKNCDFRVKDLQYSTDYTFKAYFHNGDYPGEPFILHHSTSYNSKALIAFLAFLIIVTSIALLVVLYKIYDLHKKRSCNLDEQQELVERDDEKQLMNVEPIHADILLETYKRKIADEGRLFLAEFQSIPRVFSKFPIKEARKPFNQNKNRYVDILPYDYNRVELSEINGDAGSNYINASYIDGFKEPRKYIAAQGPRDETVDDFWRMIWEQKATVIVMVTRCEEGNRNKCAEYWPSMEEGTRAFGDVVVKINQHKRCPDYIIQKLNIVNKKEKATGREVTHIQFTSWPDHGVPEDPHLLLKLRRRVNAFSNFFSGPIVVHCSAGVGRTGTYIGIDAMLEGLEAENKVDVYGYVVKLRRQRCLMVQVEAQYILIHQALVEYNQFGETEVNLSELHPYLHNMKKRDPPSEPSPLEAEFQRLPSYRSWRTQHIGNQEENKSKNRNSNVIPYDYNRVPLKHELEMSKESEHDSDESSDDDSDSEEPSKYINASFIMSYWKPEVMIAAQGPLKETIGDFWQMIFQRKVKVIVMLTELKHGDQEICAQYWGEGKQTYGDIEVDLKDTDKSSTYTLRVFELRHSKRKDSRTVYQYQYTNWSVEQLPAEPKELISMIQVVKQKLPQKNSSEGNKHHKSTPLLIHCRDGSQQTGIFCALLNLLESAETEEVVDIFQVVKALRKARPGMVSTFEQYQFLYDVIASTYPAQNGQVKKNNHQEDKIEFDNEVDKVKQDANCVNPLGAPEKLPEAKEQAEGSEPTSGTEGPEHSVNGPASPALNQGS
[配列番号18]
したがって、好ましくは、CD45RAは、配列番号18に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0024】
一実施形態では、CD45ROは、Genebank ID No:5788によって表すことができ、以下のように、配列番号19として本明細書に提供される:
MTMYLWLKLLAFGFAFLDTEVFVTGQSPTPSPTDAYLNASETTTLSPSGSAVISTTTIATTPSKPTCDEKYANITVDYLYNKETKLFTAKLNVNENVECGNNTCTNNEVHNLTECKNASVSISHNSCTAPDKTLILDVPPGVEKFQLHDCTQVEKADTTICLKWKNIETFTCDTQNITYRFQCGNMIFDNKEIKLENLEPEHEYKCDSEILYNNHKFTNASKIIKTDFGSPGEPQIIFCRSEAAHQGVITWNPPQRSFHNFTLCYIKETEKDCLNLDKNLIKYDLQNLKPYTKYVLSLHAYIIAKVQRNGSAAMCHFTTKSAPPSQVWNMTVSMTSDNSMHVKCRPPRDRNGPHERYHLEVEAGNTLVRNESHKNCDFRVKDLQYSTDYTFKAYFHNGDYPGEPFILHHSTSYNSKALIAFLAFLIIVTSIALLVVLYKIYDLHKKRSCNLDEQQELVERDDEKQLMNVEPIHADILLETYKRKIADEGRLFLAEFQSIPRVFSKFPIKEARKPFNQNKNRYVDILPYDYNRVELSEINGDAGSNYINASYIDGFKEPRKYIAAQGPRDETVDDFWRMIWEQKATVIVMVTRCEEGNRNKCAEYWPSMEEGTRAFGDVVVKINQHKRCPDYIIQKLNIVNKKEKATGREVTHIQFTSWPDHGVPEDPHLLLKLRRRVNAFSNFFSGPIVVHCSAGVGRTGTYIGIDAMLEGLEAENKVDVYGYVVKLRRQRCLMVQVEAQYILIHQALVEYNQFGETEVNLSELHPYLHNMKKRDPPSEPSPLEAEFQRLPSYRSWRTQHIGNQEENKSKNRNSNVIPYDYNRVPLKHELEMSKESEHDSDESSDDDSDSEEPSKYINASFIMSYWKPEVMIAAQGPLKETIGDFWQMIFQRKVKVIVMLTELKHGDQEICAQYWGEGKQTYGDIEVDLKDTDKSSTYTLRVFELRHSKRKDSRTVYQYQYTNWSVEQLPAEPKELISMIQVVKQKLPQKNSSEGNKHHKSTPLLIHCRDGSQQTGIFCALLNLLESAETEEVVDIFQVVKALRKARPGMVSTFEQYQFLYDVIASTYPAQNGQVKKNNHQEDKIEFDNEVDKVKQDANCVNPLGAPEKLPEAKEQAEGSEPTSGTEGPEHSVNGPASPALNQGS
[配列番号19]
したがって、好ましくは、CD45ROは、配列番号19に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0025】
一実施形態では、CCR7は、Genebank ID No:1236によって表すことができ、以下のように、配列番号20として本明細書に提供される:
MDLGKPMKSVLVVALLVIFQVCLCQDEVTDDYIGDNTTVDYTLFESLCSKKDVRNFKAWFLPIMYSIICFVGLLGNGLVVLTYIYFKRLKTMTDTYLLNLAVADILFLLTLPFWAYSAAKSWVFGVHFCKLIFAIYKMSFFSGMLLLLCISIDRYVAIVQAVSAHRHRARVLLISKLSCVGIWILATVLSIPELLYSDLQRSSSEQAMRCSLITEHVEAFITIQVAQMVIGFLVPLLAMSFCYLVIIRTLLQARNFERNKAIKVIIAVVVVFIVFQLPYNGVVLAQTVANFNITSSTCELSKQLNIAYDVTYSLACVRCCVNPFLYAFIGVKFRNDLFKLFKDLGCLSQEQLRQWSSCRHIRRSSMSVEAETTTTFSP
[配列番号20]
したがって、好ましくは、CCR7は、配列番号20に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0026】
一実施形態では、CD27は、Genebank ID No:939によって表すことができ、以下のように、配列番号21として本明細書に提供される:
MARPHPWWLCVLGTLVGLSATPAPKSCPERHYWAQGKLCCQMCEPGTFLVKDCDQHRKAAQCDPCIPGVSFSPDHHTRPHCESCRHCNSGLLVRNCTITANAECACRNGWQCRDKECTECDPLPNPSLTARSSQALSPHPQPTHLPYVSEMLEARTAGHMQTLADFRQLPARTLSTHWPPQRSLCSSDFIRILVIFSGMFLVFTLAGALFLHQRRKYRSNKGESPVEPAEPCHYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP
[配列番号21]
したがって、好ましくは、CD27は、配列番号21に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0027】
一実施形態では、CD62Lは、Genebank ID No:6402によって表すことができ、以下のように、配列番号22として本明細書に提供される:
MGCRRTREGPSKAMIFPWKCQSTQRDLWNIFKLWGWTMLCCDFLAHHGTDCWTYHYSEKPMNWQRARRFCRDNYTDLVAIQNKAEIEYLEKTLPFSRSYYWIGIRKIGGIWTWVGTNKSLTEEAENWGDGEPNNKKNKEDCVEIYIKRNKDAGKWNDDACHKLKAALCYTASCQPWSCSGHGECVEIINNYTCNCDVGYYGPQCQFVIQCEPLEAPELGTMDCTHPLGNFSFSSQCAFSCSEGTNLTGIEETTCGPFGNWSSPEPTCQVIQCEPLSAPDLGIMNCSHPLASFSFTSACTFICSEGTELIGKKKTICESSGIWSNPSPICQKLDKSFSMIKEGDYNPLFIPVAVMVTAFSGLAFIIWLARRLKKGKKSKRSMNDPY
[配列番号22]
したがって、好ましくは、CD62Lは、配列番号22に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0028】
好ましくは、リンパ球は、ヒトまたは非ヒト動物の組織から得られたものである。好ましくは、非ヒト動物は哺乳動物である。非ヒト動物は、げっ歯類、イヌ、ウマ、またはブタであり得る。げっ歯類は、ラットまたはマウスであり得る。好ましくは、リンパ球はヒトの組織から得られたものである。組織は、血液、脾臓、リンパ節、肺、胃腸管、皮膚、前立腺乳腺組織、肝臓、骨髄、および膵臓からなる群から選択され得る。好ましくは、組織は血液または骨髄である。
【0029】
本方法は、ヒトまたは非ヒト動物から得られた組織からリンパ球を得ることを含むことができる。リンパ球は、当技術分野で知られている任意の適切な方法によって取得してもよい。そのような方法には、バフィーコートまたは密度勾配、蛍光活性化細胞選別および/または磁気活性化細胞選別が含まれる。これらの方法は当業者に知られているだろう。
【0030】
好ましくは、本発明の方法によって産生される組織常在性記憶T細胞(TRM)は、組織常在性記憶CD8+T細胞である。好ましくは、複数の組織常在性記憶T細胞(TRM)が、本方法を使用して産生される。
【0031】
組織常在性記憶CD8+T細胞は、分化クラスター8(CD8)、分化クラスター69(CD69)、ジンクフィンガータンパク質683(ZNF683/HOBIT)、アリール炭化水素受容体(AhR)および/または分化クラスター103(CD103)の発現によって特徴付けられ得る。組織常在性記憶CD8+(細胞傷害性)T細胞は、キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーGメンバー(KLRG1)および/またはエメソデルミン(Eomes)の非存在によってさらに特徴付けられ得る。
【0032】
好ましくは、組織常在性記憶CD8+(細胞傷害性)T細胞は、CD8、CD69、Hobit、AhRおよびCD103の発現によって特徴付けられ得る。好ましくは、組織常在性記憶CD8+(細胞傷害性)T細胞は、CD8、CD69、Hobit、AhR、CD103の発現、およびKLRG1およびEomes発現の非存在によって特徴付けられ得る。
【0033】
一実施形態では、CD8は、Genebank ID No:925によって表すことができ、以下のように、配列番号2として本明細書に提供される:
MALPVTALLLPLALLLHAARPSQFRVSPLDRTWNLGETVELKCQVLLSNPTSGCSWLFQPRGAAASPTFLLYLSQNKPKAAEGLDTQRFSGKRLGDTFVLTLSDFRRENEGYYFCSALSNSIMYFSHFVPVFLPAKPTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCNHRNRRRVCKCPRPVVKSGDKPSLSARYV
[配列番号2]
したがって、好ましくは、CD8は、配列番号2に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0034】
一実施形態では、CD69は、Genebank ID No:969によって表すことができ、これは、以下のように、配列番号3として本明細書に提供される:
MSSENCFVAENSSLHPESGQENDATSPHFSTRHEGSFQVPVLCAVMNVVFITILIIALIALSVGQYNCPGQYTFSMPSDSHVSSCSEDWVGYQRKCYFISTVKRSWTSAQNACSEHGATLAVIDSEKDMNFLKRYAGREEHWVGLKKEPGHPWKWSNGKEFNNWFNVTGSDKCVFLKNTEVSSMECEKNLYWICNKPYK
[配列番号3]
したがって、好ましくは、CD69は、配列番号3に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0035】
一実施形態では、CD103は、Genebank ID No:3682によって表すことができ、以下のように、配列番号4として本明細書に提供される:
MWLFHTLLCIASLALLAAFNVDVARPWLTPKGGAPFVLSSLLHQDPSTNQTWLLVTSPRTKRTPGPLHRCSLVQDEILCHPVEHVPIPKGRHRGVTVVRSHHGVLICIQVLVRRPHSLSSELTGTCSLLGPDLRPQAQANFFDLENLLDPDARVDTGDCYSNKEGGGEDDVNTARQRRALEKEEEEDKEEEEDEEEEEAGTEIAIILDGSGSIDPPDFQRAKDFISNMMRNFYEKCFECNFALVQYGGVIQTEFDLRDSQDVMASLARVQNITQVGSVTKTASAMQHVLDSIFTSSHGSRRKASKVMVVLTDGGIFEDPLNLTTVINSPKMQGVERFAIGVGEEFKSARTARELNLIASDPDETHAFKVTNYMALDGLLSKLRYNIISMEGTVGDALHYQLAQIGFSAQILDERQVLLGAVGAFDWSGGALLYDTRSRRGRFLNQTAAAAADAEAAQYSYLGYAVAVLHKTCSLSYIAGAPRYKHHGAVFELQKEGREASFLPVLEGEQMGSYFGSELCPVDIDMDGSTDFLLVAAPFYHVHGEEGRVYVYRLSEQDGSFSLARILSGHPGFTNARFGFAMAAMGDLSQDKLTDVAIGAPLEGFGADDGASFGSVYIYNGHWDGLSASPSQRIRASTVAPGLQYFGMSMAGGFDISGDGLADITVGTLGQAVVFRSRPVVRLKVSMAFTPSALPIGFNGVVNVRLCFEISSVTTASESGLREALLNFTLDVDVGKQRRRLQCSDVRSCLGCLREWSSGSQLCEDLLLMPTEGELCEEDCFSNASVKVSYQLQTPEGQTDHPQPILDRYTEPFAIFQLPYEKACKNKLFCVAELQLATTVSQQELVVGLTKELTLNINLTNSGEDSYMTSMALNYPRNLQLKRMQKPPSPNIQCDDPQPVASVLIMNCRIGHPVLKRSSAHVSVVWQLEENAFPNRTADITVTVTNSNERRSLANETHTLQFRHGFVAVLSKPSIMYVNTGQGLSHHKEFLFHVHGENLFGAEYQLQICVPTKLRGLQVVAVKKLTRTQASTVCTWSQERACAYSSVQHVEEWHSVSCVIASDKENVTVAAEISWDHSEELLKDVTELQILGEISFNKSLYEGLNAENHRTKITVVFLKDEKYHSLPIIIKGSVGGLLVLIVILVILFKCGFFKRKYQQLNLESIRKAQLKSENLLEEEN
[配列番号4]
したがって、好ましくは、CD103は、配列番号4に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0036】
一実施形態では、KLRG1は、Genebank ID No:10219によって表すことができ、以下のように、配列番号5として本明細書に提供される:
MTDSVIYSMLELPTATQAQNDYGPQQKSSSSRPSCSCLVAIALGLLTAVLLSVLLYQWILCQGSNYSTCASCPSCPDRWMKYGNHCYYFSVEEKDWNSSLEFCLARDSHLLVITDNQEMSLLQVFLSEAFCWIGLRNNSGWRWEDGSPLNFSRISSNSFVQTCGAINKNGLQASSCEVPLHWVCKKCPFADQALF
[配列番号5]
したがって、好ましくは、KLRG1は、配列番号5に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0037】
一実施形態では、Eomesは、Genebank ID No:8320によって表すことができ、以下のように、配列番号6として本明細書に提供される:
MQLGEQLLVSSVNLPGAHFYPLESARGGSGGSAGHLPSAAPSPQKLDLDKASKKFSGSLSCEAVSGEPAAASAGAPAAMLSDTDAGDAFASAAAVAKPGPPDGRKGSPCGEEELPSAAAAAAAAAAAAAATARYSMDSLSSERYYLQSPGPQGSELAAPCSLFPYQAAAGAPHGPVYPAPNGARYPYGSMLPPGGFPAAVCPPGRAQFGPGAGAGSGAGGSSGGGGGPGTYQYSQGAPLYGPYPGAAAAGSCGGLGGLGVPGSGFRAHVYLCNRPLWLKFHRHQTEMIITKQGRRMFPFLSFNINGLNPTAHYNVFVEVVLADPNHWRFQGGKWVTCGKADNNMQGNKMYVHPESPNTGSHWMRQEISFGKLKLTNNKGANNNNTQMIVLQSLHKYQPRLHIVEVTEDGVEDLNEPSKTQTFTFSETQFIAVTAYQNTDITQLKIDHNPFAKGFRDNYDSSHQIVPGGRYGVQSFFPEPFVNTLPQARYYNGERTVPQTNGLLSPQQSEEVANPPQRWLVTPVQQPGTNKLDISSYESEYTSSTLLPYGIKSLPLQTSHALGYYPDPTFPAMAGWGGRGSYQRKMAAGLPWTSRTSPTVFSEDQLSKEKVKEEIGSSWIETPPSIKSLDSNDSGVYTSACKRRRLSPSNSSNENSPSIKCEDINAEEYSKDTSKGMGGYYAFYTTP
[配列番号6]
したがって、好ましくは、Eomesは、配列番号6に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0038】
一実施形態では、Hobitは、Genebank ID No:257101によって表すことができ、以下のように、配列番号9として本明細書に提供される。
MKEESAAQLGCCHRPMALGGTGGSLSPSLDFQLFRGDQVFSACRPLPDMVDAHGPSCASWLCPLPLAPGRSALLACLQDLDLNLCTPQPAPLGTDLQGLQEDALSMKHEPPGLQASSTDDKKFTVKYPQNKDKLGKQPERAGEGAPCPAFSSHNSSSPPPLQNRKSPSPLAFCPCPPVNSISKELPFLLHAFYPGYPLLLPPPHLFTYGALPSDQCPHLLMLPQDPSYPTMAMPSLLMMVNELGHPSARWETLLPYPGAFQASGQALPSQARNPGAGAAPTDSPGLERGGMASPAKRVPLSSQTGTAALPYPLKKKNGKILYECNICGKSFGQLSNLKVHLRVHSGERPFQCALCQKSFTQLAHLQKHHLVHTGERPHKCSIPWVPGRNHWKSFQAWREREVCHKRFSSSSNLKTHLRLHSGARPFQCSVCRSRFTQHIHLKLHHRLHAPQPCGLVHTQLPLASLACLAQWHQGALDLMAVASEKHMGYDIDEVKVSSTSQGKARAVSLSSAGTPLVMGQDQNN
[配列番号9]
したがって、好ましくは、Hobitは、配列番号9に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0039】
一実施形態では、Ahrは、Genebank ID No:196によって表すことができ、以下のように、配列番号10として本明細書に提供される。
MNSSSANITYASRKRRKPVQKTVKPIPAEGIKSNPSKRHRDRLNTELDRLASLLPFPQDVINKLDKLSVLRLSVSYLRAKSFFDVALKSSPTERNGGQDNCRAANFREGLNLQEGEFLLQALNGFVLVVTTDALVFYASSTIQDYLGFQQSDVIHQSVYELIHTEDRAEFQRQLHWALNPSQCTESGQGIEEATGLPQTVVCYNPDQIPPENSPLMERCFICRLRCLLDNSSGFLAMNFQGKLKYLHGQKKKGKDGSILPPQLALFAIATPLQPPSILEIRTKNFIFRTKHKLDFTPIGCDAKGRIVLGYTEAELCTRGSGYQFIHAADMLYCAESHIRMIKTGESGMIVFRLLTKNNRWTWVQSNARLLYKNGRPDYIIVTQRPLTDEEGTEHLRKRNTKLPFMFTTGEAVLYEATNPFPAIMDPLPLRTKNGTSGKDSATTSTLSKDSLNPSSLLAAMMQQDESIYLYPASSTSSTAPFENNFFNESMNECRNWQDNTAPMGNDTILKHEQIDQPQDVNSFAGGHPGLFQDSKNSDLYSIMKNLGIDFEDIRHMQNEKFFRNDFSGEVDFRDIDLTDEILTYVQDSLSKSPFIPSDYQQQQSLALNSSCMVQEHLHLEQQQQHHQKQVVVEPQQQLCQKMKHMQVNGMFENWNSNQFVPFNCPQQDPQQYNVFTDLHGISQEFPYKSEMDSMPYTQNFISCNQPVLPQHSKCTELDYPMGSFEPSPYPTTSSLEDFVTCLQLPENQKHGLNPQSAIITPQTCYAGAVSMYQCQPEPQHTHVGQMQYNPVLPGQQAFLNKFQNGVLNETYPAELNNINNTQTTTHLQPLHHPSEARPFPDLTSSGFL
[配列番号10]
したがって、好ましくは、Ahrは、配列番号10に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0040】
好ましくは、本方法は、インターロイキン2、4、7、12、15および/または21(IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、IL-15および/またはIL-21)の存在下でリンパ球を培養することを含む。
【0041】
インターロイキンは、好ましくは哺乳動物のものであり、最も好ましくはヒトのインターロイキンである。
好ましくは、本方法は、インターロイキン7(IL-7)の存在下でリンパ球を培養することを含む。
【0042】
好ましくは、IL-7は哺乳動物のものである。最も好ましくは、IL-7はヒトIL-7である。一実施形態では、IL-7は、Genebank ID No:3574によって表すことができ、以下のように、配列番号28として本明細書に提供される:
MFHVSFRYIFGLPPLILVLLPVASSDCDIEGKDGKQYESVLMVSIDQLLDSMKEIGSNCLNNEFNFFKRH ICDANKEGMFLFRAARKLRQFLKMNSTGDFDLHLLKVSEGTTILLNCTGQVKGRKPAALGEAQPTKSLEENKSLKEQKKLNDLCFLKRLLQEIKTCWNKILMGTKEH
[配列番号28]
したがって、好ましくは、IL-7は、配列番号28に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0043】
好ましくは、IL-7は、0.1ng/mlから200ng/mlの間の濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-7は、2ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-7は10ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。
【0044】
好ましくは、本方法は、インターロイキン15(IL-15)の存在下でリンパ球を培養することをさらに含む。
好ましくは、IL-15は哺乳動物のものである。最も好ましくは、IL-15はヒトIL-15である。一実施形態では、IL-15は、Genebank ID No:3600によって表すことができ、以下のように、配列番号7として本明細書に提供される:
MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS
[配列番号7]
したがって、好ましくは、IL-15は、配列番号7に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0045】
好ましくは、IL-15は、1ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-15は、5ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-15は、10ng/ml~25ng/mlの濃度で存在し得る。
【0046】
好ましくは、本方法は、インターロイキン33(IL-33)の存在下で培養することをさらに含む。好ましくは、IL-33は哺乳動物のものである。最も好ましくは、IL-33はヒトIL-33である。一実施形態では、IL-33は、Genebank ID No:90865によって表すことができ、以下のように、配列番号8として本明細書に提供される:
MKPKMKYSTNKISTAKWKNTASKALCFKLGKSQQKAKEVCPMYFMKLRSGLMIKKEACYFRRETTKRPSLKTGRKHKRHLVLAACQQQSTVECFAFGISGVQKYTRALHDSSITGISPITEYLASLSTYNDQSITFALEDESYEIYVEDLKKDEKKDKVLLSYYESQHPSNESGDGVDGKMLMVTLSPTKDFWLHANNKEHSVELHKCEKPLPDQAFFVLHNMHSNCVSFECKTDPGVFIGVKDNHLALIKVDSSENLCTENILFKLSET
[配列番号8]
したがって、好ましくは、IL-33は、配列番号8に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0047】
好ましくは、IL-33は、0.5ng/mlから100ng/mlの間の濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-33は、2ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-33は、10ng/ml~25ng/mlの濃度で存在し得る。
【0048】
好ましくは、本方法は、インターロイキン2(IL-2)の存在下でリンパ球を培養することを含む。
したがって、一実施形態では、TGFβの存在下でナイーブCD8+Tリンパ球を培養することを含む、組織常在性記憶T細胞(TRM)を産生する方法が提供される。
【0049】
別の実施形態では、TGFβ、IL-15およびIL-33の存在下でナイーブCD8+Tリンパ球を培養することを含む、組織常在性記憶T細胞を産生する方法が提供される。
【0050】
したがって、一実施形態では、TGFβ、IL-15およびIL-33の存在下でナイーブCD8+Tリンパ球を培養することを含む、組織常在性記憶CD8+(細胞傷害性)T細胞を産生する方法が提供される。
【0051】
好ましくは、本方法は、少なくとも1つのインターロイキン1ファミリーメンバー、例えばIL-1α、IL-1βおよび/またはIL-18の存在下で培養することをさらに含む。
【0052】
好ましくは、インターロイキン1ファミリーメンバーは哺乳動物である。最も好ましくは、インターロイキン1ファミリーメンバーはヒトである。
一実施形態では、IL-1αは、Genebank ID No:3552によって表すことができ、以下のように、配列番号11として本明細書に提供される:
MAKVPDMFEDLKNCYSENEEDSSSIDHLSLNQKSFYHVSYGPLHEGCMDQSVSLSISETSKTSKLTFKESMVVVATNGKVLKKRRLSLSQSITDDDLEAIANDSEEEIIKPRSAPFSFLSNVKYNFMRIIKYEFILNDALNQSIIRANDQYLTAAALHNLDEAVKFDMGAYKSSKDDAKITVILRISKTQLYVTAQDEDQPVLLKEMPEIPKTITGSETNLLFFWETHGTKNYFTSVAHPNLFIATKQDYWVCLAGGPPSITDFQILENQA
[配列番号11]
したがって、好ましくは、IL-1αは、配列番号11に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0053】
好ましくは、IL-1αは0.1ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-1αは、1ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-1αは、5ng/ml~20ng/mlの濃度で存在し得る。
【0054】
一実施形態では、IL-1βは、Genebank ID No:3553によって表すことができ、以下のように、配列番号12として本明細書に提供される:
MAEVPELASEMMAYYSGNEDDLFFEADGPKQMKCSFQDLDLCPLDGGIQLRISDHHYSKGFRQAASVVVAMDKLRKMLVPCPQTFQENDLSTFFPFIFEEEPIFFDTWDNEAYVHDAPVRSLNCTLRDSQQKSLVMSGPYELKALHLQGQDMEQQVVFSMSFVQGEESNDKIPVALGLKEKNLYLSCVLKDDKPTLQLESVDPKNYPKKKMEKRFVFNKIEINNKLEFESAQFPNWYISTSQAENMPVFLGGTKGGQDITDFTMQFVSS
[配列番号12]
したがって、好ましくは、IL-1βは、実質的に配列番号12に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0055】
好ましくは、IL-1βは0.1ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-1βは、1ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-1βは5ng/ml~20ng/mlの濃度で存在し得る。
【0056】
一実施形態では、IL-18は、Genebank ID No:3606によって表すことができ、以下のように、配列番号13として本明細書に提供される:
MAAEPVEDNCINFVAMKFIDNTLYFIAEDDENLESDYFGKLESKLSVIRNLNDQVLFIDQGNRPLFEDMTDSDCRDNAPRTIFIISMYKDSQPRGMAVTISVKCEKISTLSCENKIISFKEMNPPDNIKDTKSDIIFFQRSVPGHDNKMQFESSSYEGYFLACEKERDLFKLILKKEDELGDRSIMFTVQNED
[配列番号13]
したがって、好ましくは、IL-18は、配列番号13に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0057】
好ましくは、IL-18は、0.1ng/mlから100ng/mlの間の濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-18は、1ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-18は5ng/ml~20ng/mlの濃度で存在し得る。
【0058】
リンパ球は、少なくとも1つのアリール炭化水素受容体(AhR)リガンドを含む培養培地で培養することができる。AhRリガンドは、アゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。好ましくは、AhRリガンドはアゴニストである。好ましくは、AhRリガンドはアンタゴニストである。
【0059】
AhRリガンドは、ハロゲン化芳香族炭化水素、多環式芳香族炭化水素、食物由来のアリール炭化水素、ヘム代謝産物、インジゴイド、StemRegenin1およびトリプトファン代謝産物からなる群から選択されてもよい。
【0060】
ハロゲン化芳香族炭化水素は、テトラクロロジベンゾ-p-ダイオキシン(TCDD)であってもよい。多環式芳香族炭化水素は、3-メチルコラントレンであってもよい。トリプトファン代謝産物は、6-ホルミルインドロ[3,2-b]カルバゾール(FICZ)であってもよい。食物由来のアリール炭化水素は、フラボンおよび/またはインドール誘導体であってもよい。インドール誘導体は、インドール-3-カルビノール(I3C)および/またはその生成物ジインドリルメタン(DIM)であってもよい。
【0061】
リンパ球は、少なくとも1つの脂質を含む培養培地で培養することができる。好ましくは、脂質はコレステロールおよび/または中鎖脂肪酸(MCFA)である。MCFAはオレイン酸であってもよい。
【0062】
リンパ球は、抗原とともにさらに培養することができる。抗原の具体的なタイプは、TRM細胞が使用される治療用途によって異なる。例えば、リンパ球を腫瘍抗原とともに培養することができる。
【0063】
好ましくは、いくつかの実施形態では、本方法は、制御性T細胞または1型制御性T細胞の存在下でリンパ球を培養することを含む。
したがって、本発明の別の態様では、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGFβ)の存在下でリンパ球を培養することおよび/またはリンパ球を1型制御性T細胞と共培養することを含む、組織常在性記憶T細胞(TRM)を産生する方法が提供される。
【0064】
当業者は、「制御性T細胞」がCD4+T細胞のサブセットとして末梢免疫に関与するT細胞であることを理解するであろう。好ましくは、制御性T細胞は、転写因子であるフォークヘッドボックスP3(Foxp3)の発現によって特徴付けられる。他の実施形態では、本方法は、制御性T細胞の存在下でリンパ球を培養することを含まない。
【0065】
当業者は、「1型制御性T細胞」が、CD4+T細胞のサブセットとして末梢免疫に関与する制御性T細胞のクラスであることを理解するであろう。好ましくは、1型制御性T細胞は、転写因子、フォークヘッドボックスP3(Foxp3)、Tボックス転写因子21(Tbet)、および/または表面分子C-X-Cモチーフケモカイン受容体3(CXCR3)の発現によって特徴付けられる。他の実施形態では、本方法は、1型制御性T細胞の存在下でリンパ球を培養することを含まない。
【0066】
一実施形態では、Foxp3は、Genebank ID No:50943によって表すことができ、以下のように、配列番号23として本明細書に提供される:
MPNPRPGKPSAPSLALGPSPGASPSWRAAPKASDLLGARGPGGTFQGRDLRGGAHASSSSLNPMPPSQLQLPTLPLVMVAPSGARLGPLPHLQALLQDRPHFMHQLSTVDAHARTPVLQVHPLESPAMISLTPPTTATGVFSLKARPGLPPGINVASLEWVSREPALLCTFPNPSAPRKDSTLSAVPQSSYPLLANGVCKWPGCEKVFEEPEDFLKHCQADHLLDEKGRAQCLLQREMVQSLEQQLVLEKEKLSAMQAHLAGKMALTKASSVASSDKGSCCIVAAGSQGPVVPAWSGPREAPDSLFAVRRHLWGSHGNSTFPEFLHNMDYFKFHNMRPPFTYATLIRWAILEAPEKQRTLNEIYHWFTRMFAFFRNHPATWKNAIRHNLSLHKCFVRVESEKGAVWTVDELEFRKKRSQRPSRCSNPTPGP
[配列番号23]
したがって、好ましくは、Foxp3は、配列番号23に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0067】
一実施形態では、Tbetは、Genebank ID No:30009によって表すことができ、以下のように、配列番号24として本明細書に提供される:
MGIVEPGCGDMLTGTEPMPGSDEGRAPGADPQHRYFYPEPGAQDADERRGGGSLGSPYPGGALVPAPPSRFLGAYAYPPRPQAAGFPGAGESFPPPADAEGYQPGEGYAAPDPRAGLYPGPREDYALPAGLEVSGKLRVALNNHLLWSKFNQHQTEMIITKQGRRMFPFLSFTVAGLEPTSHYRMFVDVVLVDQHHWRYQSGKWVQCGKAEGSMPGNRLYVHPDSPNTGAHWMRQEVSFGKLKLTNNKGASNNVTQMIVLQSLHKYQPRLHIVEVNDGEPEAACNASNTHIFTFQETQFIAVTAYQNAEITQLKIDNNPFAKGFRENFESMYTSVDTSIPSPPGPNCQFLGGDHYSPLLPNQYPVPSRFYPDLPGQAKDVVPQAYWLGAPRDHSYEAEFRAVSMKPAFLPSAPGPTMSYYRGQEVLAPGAGWPVAPQYPPKMGPASWFRPMRTLPMEPGPGGSEGRGPEDQGPPLVWTEIAPIRPESSDSGLGEGDSKRRRVSPYPSSGDSSSPAGAPSPFDKEAEGQFYNYFPN
[配列番号24]
したがって、好ましくは、Tbetは、配列番号24に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0068】
一実施形態では、CXCR3は、Genebank ID No:2833によって表すことができ、以下のように、配列番号25として本明細書に提供される:
MELRKYGPGRLAGTVIGGAAQSKSQTKSDSITKEFLPGLYTAPSSPFPPSQVSDHQVLNDAEVAALLENFSSSYDYGENESDSCCTSPPCPQDFSLNFDRAFLPALYSLLFLLGLLGNGAVAAVLLSRRTALSSTDTFLLHLAVADTLLVLTLPLWAVDAAVQWVFGSGLCKVAGALFNINFYAGALLLACISFDRYLNIVHATQLYRRGPPARVTLTCLAVWGLCLLFALPDFIFLSAHHDERLNATHCQYNFPQVGRTALRVLQLVAGFLLPLLVMAYCYAHILAVLLVSRGQRRLRAMRLVVVVVVAFALCWTPYHLVVLVDILMDLGALARNCGRESRVDVAKSVTSGLGYMHCCLNPLLYAFVGVKFRERMWMLLLRLGCPNQRGLQRQPSSSRRDSSWSETSEASYSGL
[配列番号25]
したがって、好ましくは、CXCR3は、配列番号25に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0069】
好ましくは、制御性T細胞(好ましくは1型制御性T細胞)は、インテグリンアルファVベータ8(αvβ8)を発現する。当業者は、αvβ8がインテグリンサブユニット(Itgβ8)およびインテグリンサブユニットアルファV(Itgav)の二量体であることを理解するであろう。したがって、好ましくは、制御性T細胞(好ましくは1型制御性T細胞)は、Itgβ8およびItgavを発現する。
【0070】
一実施形態では、Itgβ8は、Genebank ID No:3696によって表すことができ、以下のように、配列番号26として本明細書に提供される:
MCGSALAFFTAAFVCLQNDRRGPASFLWAAWVFSLVLGLGQGEDNRCASSNAASCARCLALGPECGWCVQEDFISGGSRSERCDIVSNLISKGCSVDSIEYPSVHVIIPTENEINTQVTPGEVSIQLRPGAEANFMLKVHPLKKYPVDLYYLVDVSASMHNNIEKLNSVGNDLSRKMAFFSRDFRLGFGSYVDKTVSPYISIHPERIHNQCSDYNLDCMPPHGYIHVLSLTENITEFEKAVHRQKISGNIDTPEGGFDAMLQAAVCESHIGWRKEAKRLLLVMTDQTSHLALDSKLAGIVVPNDGNCHLKNNVYVKSTTMEHPSLGQLSEKLIDNNINVIFAVQGKQFHWYKDLLPLLPGTIAGEIESKAANLNNLVVEAYQKLISEVKVQVENQVQGIYFNITAICPDGSRKPGMEGCRNVTSNDEVLFNVTVTMKKCDVTGGKNYAIIKPIGFNETAKIHIHRNCSCQCEDNRGPKGKCVDETFLDSKCFQCDENKCHFDEDQFSSESCKSHKDQPVCSGRGVCVCGKCSCHKIKLGKVYGKYCEKDDFSCPYHHGNLCAGHGECEAGRCQCFSGWEGDRCQCPSAAAQHCVNSKGQVCSGRGTCVCGRCECTDPRSIGRFCEHCPTCYTACKENWNCMQCLHPHNLSQAILDQCKTSCALMEQQHYVDQTSECFSSPSYLRIFFIIFIVTFLIGLLKVLIIRQVILQWNSNKIKSSSDYRVSASKKDKLILQSVCTRAVTYRREKPEEIKMDISKLNAHETFRCNF
[配列番号26]
したがって、好ましくは、Itgβ8は、配列番号26に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0071】
一実施形態では、Itgavは、Genebank ID No:3685によって表すことができ、以下のように、配列番号27として本明細書に提供される:
MAFPPRRRLRLGPRGLPLLLSGLLLPLCRAFNLDVDSPAEYSGPEGSYFGFAVDFFVPSASSRMFLLVGAPKANTTQPGIVEGGQVLKCDWSSTRRCQPIEFDATGNRDYAKDDPLEFKSHQWFGASVRSKQDKILACAPLYHWRTEMKQEREPVGTCFLQDGTKTVEYAPCRSQDIDADGQGFCQGGFSIDFTKADRVLLGGPGSFYWQGQLISDQVAEIVSKYDPNVYSIKYNNQLATRTAQAIFDDSYLGYSVAVGDFNGDGIDDFVSGVPRAARTLGMVYIYDGKNMSSLYNFTGEQMAAYFGFSVAATDINGDDYADVFIGAPLFMDRGSDGKLQEVGQVSVSLQRASGDFQTTKLNGFEVFARFGSAIAPLGDLDQDGFNDIAIAAPYGGEDKKGIVYIFNGRSTGLNAVPSQILEGQWAARSMPPSFGYSMKGATDIDKNGYPDLIVGAFGVDRAILYRARPVITVNAGLEVYPSILNQDNKTCSLPGTALKVSCFNVRFCLKADGKGVLPRKLNFQVELLLDKLKQKGAIRRALFLYSRSPSHSKNMTISRGGLMQCEELIAYLRDESEFRDKLTPITIFMEYRLDYRTAADTTGLQPILNQFTPANISRQAHILLDCGEDNVCKPKLEVSVDSDQKKIYIGDDNPLTLIVKAQNQGEGAYEAELIVSIPLQADFIGVVRNNEALARLSCAFKTENQTRQVVCDLGNPMKAGTQLLAGLRFSVHQQSEMDTSVKFDLQIQSSNLFDKVSPVVSHKVDLAVLAAVEIRGVSSPDHVFLPIPNWEHKENPETEEDVGPVVQHIYELRNNGPSSFSKAMLHLQWPYKYNNNTLLYILHYDIDGPMNCTSDMEINPLRIKISSLQTTEKNDTVAGQGERDHLITKRDLALSEGDIHTLGCGVAQCLKIVCQVGRLDRGKSAILYVKSLLWTETFMNKENQNHSYSLKSSASFNVIEFPYKNLPIEDITNSTLVTTNVTWGIQPAPMPVPVWVIILAVLAGLLLLAVLVFVMYRMGFFKRVRPPQEEQEREQLQPHENGEGNSET
[配列番号27]
したがって、好ましくは、Itgavは、実質的に配列番号27に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0072】
一実施形態では、1型制御性T細胞(好ましくは1型制御性T細胞)は、好ましくは抗CD3抗体などの抗CD3分子および/またはIL-2によって活性化され得る。
αvβ8の発現は、アンフィレグリン(amphigerulin)によって制御性T細胞(好ましくは1型制御性T細胞)で増強され得る。したがって、本方法は、制御性T細胞(好ましくは1型制御性T細胞)をアンフィレグリンと接触させることをさらに含んでもよい。
【0073】
本方法は、リンパ球を樹状細胞とともに培養することをさらに含んでもよい。
好ましくは、リンパ球は、100E+03細胞/cm2から2000E+03細胞/cm2の間で培養される。より好ましくは、リンパ球は、250E+03細胞/cm2から1000E+03細胞/cm2の間で培養される。最も好ましくは、リンパ球は、250E+03細胞/cm2から1000E+03細胞/cm2の間で培養される。
【0074】
一実施形態では、本方法は、培養物からTRM細胞を精製することをさらに含む。
当業者は、本明細書に記載されるサイトカインなどの任意の因子が哺乳動物のものであり得ることを理解するであろう。哺乳動物は、げっ歯類、イヌ、ウマまたはブタであり得る。げっ歯類は、ラットまたはマウスであり得る。しかし、好ましくは、本明細書に記載の因子はヒトのものである。
【0075】
第2の態様では、組織常在性記憶T細胞(TRM)の集団を増殖する方法が提供され、本方法は、第1の態様で定義された組織常在性記憶T細胞の集団を培養することを含む。
組織常在性記憶T細胞は、第1の態様で定義された通りであり得る。
【0076】
第1または第2の態様の方法は、IL-2、IL-4、IL-7、IL-12、IL-15および/またはIL-21の存在下で組織常在性記憶T細胞を培養することをさらに含み得る。
【0077】
好ましくは、IL-2は哺乳動物のものである。最も好ましくは、IL-2はヒトIL-2である。一実施形態では、IL-2は、Genebank ID No:3558によって表すことができ、以下のように、配列番号17として本明細書に提供される:
MYRMQLLSCIALSLALVTNSAPTSSSTKKTQLQLEHLLLDLQMILNGINNYKNPKLTRMLTFKFYMPKKATELKHLQCLEEELKPLEEVLNLAQSKNFHLRPRDLISNINVIVLELKGSETTFMCEYADETATIVEFLNRWITFCQSIISTLT
[配列番号17]
したがって、好ましくは、IL-2は、配列番号17に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0078】
好ましくは、IL-2は、0.1ng/mlから200ng/mlの間の濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-2は、2ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-2は10ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。
【0079】
好ましくは、IL-21は哺乳動物のものである。最も好ましくは、IL-21はヒトIL-21である。一実施形態では、IL-21は、Genebank ID No:59067によって表すことができ、以下のように、配列番号15として本明細書に提供される:
MRSSPGNMERIVICLMVIFLGTLVHKSSSQGQDRHMIRMRQLIDIVDQLKNYVNDLVPEFLPAPEDVETNCEWSAFSCFQKAQLKSANTGNNERIINVSIKKLKRKPPSTNAGRRQKHRLTCPSCDSYEKKPPKEFLERFKSLLQKMIHQHLSSRTHGSEDS
[配列番号15]
したがって、好ましくは、IL-21は、配列番号15に実質的に示される配列、またはその断片もしくは変異体を含むか、またはそれからなる。
【0080】
好ましくは、IL-21は、0.1ng/mlから200ng/mlの間の濃度で存在し得る。より好ましくは、IL-21は、5ng/ml~100ng/mlの濃度で存在し得る。最も好ましくは、IL-21は、10ng/ml~50ng/mlの濃度で存在し得る。
【0081】
第3の態様では、第1の態様による方法によって得られる、または得ることができる組織常在性記憶T細胞が提供される。
本発明の方法によって産生された組織常在性記憶T細胞は、治療用途において特に有用である。
【0082】
T細胞は、腫瘍を根絶するための強力なツールであることが示されている。T細胞、特に腫瘍組織内の組織常在性記憶T細胞の存在は、陽性な癌の予後と相関することが知られる94。いくつかの研究では、固形腫瘍において、CD103の発現によって特定されるTRM細胞の存在が、癌の進行期であっても高い生存率と全体的な陽性の予後と特に関連付けられている95、96。さらに、TRM細胞は、他の既知の免疫療法との併用療法で癌患者の生存率を大幅に改善することが示されている97。しかし、天然に存在するTRM細胞の数は通常、有意な治療効果が観察されるためには、他のタイプのT細胞と比較して少ない。そのため、TRM細胞の属性、およびCD103、CD69、CTLA-4の発現など、T細胞が腫瘍に浸透できるようになる遊走および組織ホーミング属性を備えた抗腫瘍療法用のT細胞をインビトロで生成すると、単剤療法または併用療法として非常に価値があると思われる。
【0083】
したがって、好ましくは、本発明のTRM細胞はCD103を発現する。好ましくは、本発明のTRM細胞はCD69を発現する。好ましくは、本発明のTRM細胞はCTLA-4を発現する。
【0084】
したがって、本発明の第4の態様では、治療に使用するための、第3の態様による組織常在性記憶T細胞、場合によってはその増殖された集団が提供される。
本発明の第5の態様では、T細胞療法で使用するための、第3の態様による組織常在性記憶T細胞、場合によってはその増殖された集団が提供される。
【0085】
組織常在性記憶T細胞(TRM)の増殖された集団は、治療、特にT細胞療法において特に有用であることが理解されるであろう。
T細胞療法は、CAR-T細胞療法であってもよい。T細胞療法は、ガンマデルタT細胞、粘膜関連インバリアントT細胞またはナチュラルキラーT細胞ベースの療法などの先天性T細胞療法であり得る。
【0086】
本発明の第6の態様では、癌または感染症の予防、治療または改善の使用のための、第3の態様による組織常在性記憶T細胞、場合によりその増殖された集団が提供される。
本発明の第7の態様では、そのような治療を必要とする対象に、第3の態様による治療有効量の組織常在性記憶T細胞、場合によりその増殖された集団を投与すること、または投与させることを含む、対象における癌または感染症を治療する方法が提供される。
【0087】
TRM細胞は、抗原提示細胞、インターロイキン(IL)-15およびTGFβの存在下で、以前に活性化されたT細胞のインビトロ培養によって生成されてもよい。IL-2または特にIL-7の添加は、好ましくは、マウスモデルにおける分化クラスター(CD)69、CD103、および細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)の発現などのTRM細胞遊走特性および養子移入時の末梢器官からの細胞回収を向上させる。
【0088】
本発明に従って産生された組織常在性記憶T細胞は、単剤療法(すなわち、(i)組織常在性記憶T細胞、または(ii)組織常在性記憶T細胞を含む治療組成物の単独使用)において使用され得ることが理解される。あるいは、本発明による組織常在性記憶T細胞は、疾患、例えば癌を治療、改善、または予防するための既知の療法の補助として、または併用して使用することができる。
【0089】
本発明による組織常在性記憶T細胞は、特に組成物が使用される方法に応じて、多くの異なる形態を有する組成物に組み合わせることができる。したがって、例えば、組成物は、粉末、錠剤、カプセル、液体、軟膏、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、エアロゾル、スプレー、ミセル溶液、経皮パッチ、リポソーム懸濁液、または治療が必要な人または動物に投与することができる任意の他の適切な形態であってもよい。本発明による薬剤のビヒクルは、それが投与される対象によって十分に許容されるものであるべきであることは理解されるであろう。
【0090】
本発明の組織常在性記憶T細胞は、多くの方法で使用され得る。例えば、経口投与が必要とされる場合があり、その場合、薬剤は、例えば、錠剤、カプセルまたは液体の形態で経口摂取することができる組成物の内に含有してもよい。本発明の抗生物質組成物および製剤は、吸入によって(例えば、鼻腔内に)投与されてもよい。組成物は、局所使用のために製剤化することもできる。例えば、クリームや軟膏を皮膚に適用してもよい。
【0091】
本発明による組織常在性記憶T細胞組成物および製剤はまた、徐放または遅延放出デバイス内に組み込まれてもよい。このようなデバイスは、例えば、皮膚の上または下の特定の組織位置に挿入することができ、薬剤は、数時間、数日、数週間、さらには数カ月にわたって放出され得る。デバイスは、治療部位に少なくとも隣接して位置され得る。そのようなデバイスは、本発明に従って使用される薬剤での長期治療が必要であり、通常は頻繁な投与(例えば、少なくとも毎日の投与)が必要となる場合に特に有利であり得る。
【0092】
好ましい実施形態では、本発明による組織常在性記憶T細胞は、血流への注射によって、または治療を必要とする部位へ直接、注射することによって対象に投与され得る。注射は、静脈内(ボーラスまたは注入)または皮下(ボーラスまたは注入)、または皮内(ボーラスまたは注入)、または筋肉内であり得る。好ましくは、本発明の組織常在性記憶T細胞は、末梢血を介して投与される。好ましくは、本発明の組織常在性記憶T細胞は静脈内投与される。
【0093】
必要とされる組織常在性記憶T細胞の量は、その生物学的活性およびバイオアベイラビリティによって決定されるが、これは投与様式、組織常在性記憶T細胞の生理化学的特性、およびそれらが単独療法として使用されるか、併用療法として使用されるかによっても依存している。投与の頻度はまた、治療される対象内の組織常在性記憶T細胞の半減期によっても影響を受ける。投与される最適投与量は、当業者によって決定することができ、使用される特定の組成物および製剤、医薬組成物の強度、投与様式、および治療される特定の疾患の進行によって変化する。対象の年齢、体重、性別、食事、投与時期など、治療される特定の対象に依存する追加の要因により、投与量を調整する必要がある。
【0094】
一般に、本発明によるTRM細胞または製剤の0.001μg/kg体重~10mg/kg体重の1日用量を、使用される組成物または製剤に応じて使用することができる。より好ましくは、1日用量は、0.01μg/kg体重から1mg/kg体重の間であり、より好ましくは、0.1μg/kgから100μg/kg体重の間であり、最も好ましくは、およそ0.1μg/kgから10μg/kg体重の間である。一般に、本発明の10^5TRM細胞から10^7TRM細胞の間の1日用量を使用することができる。好ましくは、本発明の10^5TRM細胞から10^6TRM細胞の間の1日用量を使用することができる。
【0095】
組成物または製剤は、治療する疾患の発症前、発症中、または発症後に投与することができる。1日用量は、1回の投与(例えば、1日1回の注射)として与えることができる。あるいは、組織常在性記憶T細胞は、1日に2回以上の投与が必要となる場合がある。例として、組織常在性記憶T細胞は、10^5TRM細胞から10^7TRM細胞の間の2回(または治療される疾患の重症度に応じてそれ以上)の1日用量として投与してもよい(すなわち、体重を70kgと仮定する)。治療を受けている患者は、起床時に最初の用量を服用し、その後、夕方(2回の用量レジメンの場合)またはその後3時間または4時間の間隔で第2の用量を服用することができる。あるいは、反復用量を投与する必要なく、本発明による濃度の最適用量を患者に提供するため徐放デバイスを使用してもよい。
【0096】
製薬業界で従来から採用されているような既知の手順(例えば、インビボ実験、臨床試験など)を使用して、本発明による特定の製剤および正確な治療レジメン(組織常在性記憶T細胞の1日用量、投与頻度など)を形成することができる。
【0097】
第8の態様では、第3の態様による組織常在性記憶T細胞、任意選択でその増殖集団、および薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物が提供される。
本発明はまた、第9の態様において、治療有効量の第3の態様による組織常在性記憶T細胞、任意選択でその増殖集団を、薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることを含む、第8の態様による医薬組成物の製造方法を提供する。
【0098】
「対象」は、脊椎動物、哺乳類、または家畜であり得る。したがって、本発明による薬剤は、任意の哺乳動物、例えば家畜(例えば、ウマ)、ペットの治療に使用することができるし、他の獣医学的用途にも使用することができる。最も好ましくは、対象はヒトである。
【0099】
組織常在性記憶T細胞の「治療有効量」は、対象に投与された場合に、所望の効果を生成するために必要な量である任意の量である。
薬剤の量は、約10^5 TRM細胞から約10^7 TRM細胞までの量であってもよく、最も好ましくは、約10^5 TRM細胞から約10^6 TRM細胞までの量であってもよい。
【0100】
本明細書で言及される「薬学的に許容されるビヒクル」は、医薬組成物、特にはT細胞ベースの治療のための製剤を製剤化するのに有用であることが当業者に知られている任意の既知の化合物または任意の既知の化合物の組み合わせである。
【0101】
一実施形態では、薬学的に許容されるビヒクルは固体であってもよく、組成物は粉末または錠剤の形態であってもよい。固体薬学的に許容されるビヒクルは、香味剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁剤、色素、増量剤、流動促進剤、圧縮助剤、不活性結合剤、甘味料、防腐剤、染料、コーティング剤、または錠剤崩壊剤としても作用し得る1つまたは複数の物質を含むことができる。ビヒクルは封入材料であってもよい。粉末では、ビヒクルは、本発明による微粉化された活性剤と混合された微粉化された固体である。錠剤では、活性剤を必要な圧縮特性を有するビヒクルと適切な比率で混合して、所望の形状およびサイズに圧縮することができる。粉末および錠剤は、好ましくは活性剤を99%まで含む。適切な固体ビヒクルには、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、ポリビニルピロリジン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂が含まれる。別の実施形態では、薬学的ビヒクルはゲルであってもよく、組成物はクリームのような形態であってもよい。
【0102】
しかし、薬学的ビヒクルは液体であってもよく、薬学的組成物は溶液の形態である。液体ビヒクルは、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エリキシル、および加圧組成物の調製に使用される。本発明による活性剤は、水、有機溶媒、両方の混合物、または薬学的に許容される油もしくは脂肪などの薬学的に許容される液体ビヒクルに溶解または懸濁されてもよい。液体ビヒクルは、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、防腐剤、甘味料、香味剤、懸濁剤、増粘剤、色素、粘度調節剤、安定剤または浸透圧調節剤などの他の適切な医薬品添加物を含むことができる。経口および非経口投与のための液体ビヒクルの適切な例としては、水(上記の添加剤、例えばセルロース誘導体、好ましくはナトリウムカルボキシメチルセルロース溶液を部分的に含む)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えばグリコールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分画されたココナッツ油および落花生油)が挙げられる。非経口投与の場合、ビヒクルはオレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルなどの油性エステルでもあり得る。滅菌液体ビヒクルは、非経口投与用の滅菌液体形態組成物において有用である。加圧組成物用の液体ビヒクルは、ハロゲン化炭化水素または他の薬学的に許容される噴射剤であり得る。
【0103】
滅菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、髄腔内、硬膜外、腹腔内、静脈内および特に皮下注射によって利用することができる。薬剤は、滅菌水、生理食塩水、または他の適切な滅菌注射用媒体を使用して、投与時に溶解または懸濁させることができる滅菌固体組成物として調製することができる。
【0104】
本発明の薬剤および組成物は、他の溶質または懸濁剤(例えば、溶液を等張にするのに十分な生理食塩水またはグルコース)、胆汁酸塩、アカシア、ゼラチン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリソルベート80(ソルビトールのオレイン酸エステルおよびエチレンオキシドと共重合したその無水物)などを含む滅菌溶液または懸濁液の形態で経口投与することができる。本発明に従って使用される薬剤は、液体または固体の組成物の形態で経口投与することもできる。経口投与に適した組成物には、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、および粉末などの固体形態、ならびに溶液、シロップ、エリキシル、および懸濁液などの液体形態が含まれる。非経口投与に有用な形態には、滅菌溶液、エマルジョン、および懸濁液が含まれる。
【0105】
本発明は、その変異体または断片を含む、本明細書で言及される任意の配列のアミノ酸配列または核酸配列を実質的に含む、任意の核酸もしくはペプチド、またはその変異体、誘導体またはアナログにおよぶことが理解されよう。「実質的にアミノ酸/ヌクレオチド/ペプチド配列」、「変異体」および「断片」という用語は、本明細書で言及する配列のいずれか1つのアミノ酸/ヌクレオチド/ペプチド配列と少なくとも40%の配列同一性を有する配列であることができ、例えば、配列番号1~28などとして識別される配列と40%の同一性を有する。
【0106】
参照される配列のいずれかと65%を超える、より好ましくは70%を超える、さらにより好ましくは75%を超える、なおより好ましくは80%を超える配列同一性を有するアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列も想定される。好ましくは、アミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列は、本明細書に言及された配列のいずれかと少なくとも85%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも92%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、さらによりより好ましくは少なくとも97%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも98%の同一性、最も好ましくは少なくとも99%の同一性を有する。
【0107】
当業者は、2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間のパーセンテージ同一性を計算する方法を理解するであろう。2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間のパーセンテージ同一性を計算するためには、まず2つの配列のアラインメントを準備し、続いて配列同一性値を計算する必要がある。2つの配列のパーセンテージ同一性は、次の条件に応じて異なる値をとる可能性がある:-(i)配列のアラインメントに使用される方法、例えば、ClustalW、BLAST、FASTA、Smith-Waterman(異なるプログラムで実装)、または3D比較からの構造アラインメント;ならびに(ii)アラインメント方法で使用されるパラメータ、例えば、ローカルアラインメント対グローバルアラインメント、使用されるペアスコアマトリックス(例えば、BLOSUM62、PAM250、Gonnetなど)、およびギャップペナルティ、例えば関数型および定数。
【0108】
アラインメントを作成すると、2つの配列間のパーセンテージ同一性を計算するさまざまな方法がある。例えば、同一性の数を以下のものにより割ることができる:(i)最短配列の長さ;(ii)アラインメントの長さ;(iii)配列の平均長;(iv)非ギャップ位置の数;または(v)オーバーハングを除く同等の位置の数。さらに、パーセンテージ同一性もまた、長さに強く依存することが理解されるであろう。したがって、配列のペアが短いほど、偶然に発生すると予想される配列同一性が高くなる。
【0109】
したがって、タンパク質またはDNA配列の正確なアラインメントは複雑なプロセスであることが理解されるであろう。一般的な多重アラインメントプログラムClustalW(Thompsonら、1994、Nucleic Acids Research、22、4673~4680頁;Thompsonら、1997、Nucleic Acids Research、24、4876~4882頁)は、本発明によるタンパク質またはDNAの多重アラインメントを生成するための好ましい方法である。ClustalWに適したパラメータは以下の通りである:DNAアラインメントの場合:ギャップオープンペナルティ=15.0、ギャップ拡張ペナルティ=6.66、およびマトリックス=アイデンティティ。タンパク質アラインメントの場合:ギャップオープンペナルティ=10.0、ギャップ拡張ペナルティ=0.2、およびマトリックス=ゴネット。DNAおよびタンパク質アラインメントの場合:ENDGAP=-1、およびGAPDIST=4。当業者は、最適な配列アラインメントのためにこれらおよび他のパラメータを変えることが必要である場合があることに気付くであろう。
【0110】
好ましくは、2つのアミノ酸/ポリヌクレオチド/ポリペプチド配列間のパーセンテージ同一性の計算は、(N/T)×100のようなアラインメントから計算することができ、ここで、Nは、配列が同一の残基を共有する位置の数であり、Tはギャップを含み、オーバーハングを含むか含まないかのいずれかで比較された位置の総数である。好ましくは、オーバーハングが計算に含まれる。したがって、2つの配列間のパーセンテージ同一性を計算するための最も好ましい方法は、(i)例えば上記のようなパラメータの適切なセットを使用し、ClustalWプログラムを用いて配列アラインメントを準備するステップ;ならびに(ii)NおよびTの値を式:-配列同一性=(N/T)*100、に挿入するステップを含む。
【0111】
類似の配列を同定するための代替方法は、当業者に知られている。例えば、実質的に類似のヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件下でDNA配列またはその相補体にハイブリダイズする配列によってコードされる。本発明者らは、ストリンジェントな条件とは、約45℃で3x塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でフィルター結合DNAまたはRNAにヌクレオチドがハイブリダイズし、続いて約20~65℃で0.2xSSC/0.1%SDSで少なくとも1回洗浄することを意味している。あるいは、実質的に類似のポリペプチドは、例えば、アミノ酸配列である配列番号1~28のものにおいて示される配列とは、少なくとも1個であって、5、10、20、50または100個未満のアミノ酸だけ異なり得る。
【0112】
遺伝コードの縮重により、本明細書に記載の任意の核酸配列を、それによってコードされるタンパク質の配列に実質的に影響を与えることなく変化または変更して、その機能的変異体を提供し得ることは明らかである。適切なヌクレオチド変異体は、配列内の同じアミノ酸をコードする異なるコドンの置換によって改変され、その結果、サイレント(同義)変化を生じる配列を有するものである。他の適切な変異体は、相同なヌクレオチド配列を有するが、配列の全てまたは一部からなるものであり、置換するアミノ酸と生物物理学的特性が類似した側鎖を有するアミノ酸をコードする異なるコドンの置換により改変されて、保存的変化を生じるものである。例えば、小さい非極性疎水性アミノ酸には、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、およびメチオニンが含まれる。大きな非極性の疎水性アミノ酸には、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンが含まれる。極性の中性アミノ酸には、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンが含まれる。正に荷電した(塩基性)アミノ酸には、リジン、アルギニン、およびヒスチジンが含まれる。負に帯電した(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸とグルタミン酸が含まれる。したがって、どのアミノ酸を類似の生物物理学的特性を有するアミノ酸で置き換えることができるかが理解され、当業者はこれらのアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を知るであろう。
【0113】
本明細書に記載された全ての特徴(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)、および/またはこのように開示された任意の方法もしくはプロセスの全てのステップは、そのような特徴および/またはステップの少なくとも一部が相互排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで上記の態様のいずれかと組み合わせることが可能である。
【0114】
本発明をよりよく理解するために、また、同様の実施形態がどのように実行され得るかを示すために、例として添付の図面を参照する:
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図1】Foxp3依存性のTbx21切除が、1型Treg細胞数の減少をもたらすことを示す図である。(a)フローサイトメトリー分析によってT-betについて染色された腸T
RMまたは脾臓CD8+T細胞の割パーセンテージ(n=4~7)。示された器官におけるFoxp3WTおよびFoxp3ΔTbx21マウスのT細胞集団のエクスビボフローサイトメトリー分析。(b、f)(a)Foxp3WTまたは(f)Foxp3ΔTbx21マウスでCXCR3、CCR6またはST2のいずれかを発現する脾臓、腸間膜リンパ節(mLN)または粘膜固有層(LPL)におけるTreg細胞(CD4+Foxp3+)の割合(n=4~12)。(c、d)(c)脾臓または(d)胸腺のCD4+、CD8α+およびTreg細胞で発現したCXCR3のパーセンテージ(n=5)。(e)脾臓CD4+T細胞におけるCXCR3発現の代表的なフローサイトメトリープロット。(g-j)Foxp3WT(白丸)およびFoxp3ΔTbx21マウス(黒三角)における(g)CD44、(h)Helios、(i)Nrpl1または(j)KLRG1を発現するTreg細胞の割合(n=4~9)。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、マン・ホイットニーU検定、または多重t検定(g-j)が使用された。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図2】Foxp3依存性Tbx21切除がCD8T細胞521集団の変化をもたらすことを示す図である。(a、b)脾臓のCD8+T細胞集団のフローサイトメトリー分析。(a)Foxp3WTマウス(白いバー)n=8、Foxp3ΔTbx21マウス(黒いバー)n=4、Foxp3ΔEomesマウス(灰色のバー)(n=4)の脾臓におけるナイーブ(CD62LhiCD44lo)、中央記憶(CD62LhiCD44hi)、およびエフェクター記憶(CD62L-CD44hi)CD8+T細胞のパーセンテージ。(b)指定されたマウス系統の脾臓CD8+T細胞におけるCD62LおよびCD44発現の代表的なフローサイトメトリープロット。(c-e)腸区画におけるT細胞集団、CD4+、Foxp3+、およびCD8α+T細胞のフローサイトメトリー分析;(c)Foxp3WT(白色記号)またはFoxp3ΔTbx21(黒色記号)マウスの上皮内リンパ球(IEL)、(d)(c)で説明される同じマウスのIELの示された亜集団の数、および(e)粘膜固有層(LPL)(n=8~9)。(f、g)Foxp3WTおよび(f)Foxp3ΔTbx21または(g)Foxp3ΔEomes(n=4~12)の示された器官におけるCD4+Foxp3-およびCD8+T細胞の比率。(h)示されたマウス系統のIEL(上のパネル)またはLPL(下のパネル)CD8+T細胞のCD103およびCD69発現を示す代表的なドットプロット。(i)Foxp3WT(白いバー)、Foxp3ΔTbx21(黒いバー)およびFoxp3ΔEomes(灰色のバー)マウス系統の空腸LPLにおける総CD8+およびCD8+CD103+T細胞の細胞数(n=5~11)。(j)示されたマウス系統のLPLに見られるCD8+CD103+T細胞に対する総CD8+T細胞の比率。(n=6~13)。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、多重t検定が使用された。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図3】1型Treg細胞の非存在下でT
RM細胞の成長の減少を示す図である。(a-d)粘膜固有層リンパ球は、Foxp3WTマウス(白いバー)、Foxp3ΔTbx21マウス(黒いバー)、およびFoxp3ΔEomesマウス(灰色のバー)の示された小腸切片から分離され、フローサイトメトリーにより分析された。(a、b)細胞をTCRβ+CD8α+でゲートし、KLRG1発現を分析した(n=4~8)。(c、d)示されたマウス系統のTCRβ+CD4-CD8α+LPLにおける(c)CD103およびKLRG1発現、または(d)EomesおよびKLRG1発現を示す代表的なフローサイトメトリープロット。(e-h)示されたマウス系統(f)の肝臓および肺においてKLRG1を発現するTCRβ+CD4-CD8α+細胞の割合、(g)肝臓(CD69+Eomes-KLRG1-)および(h)肺(CD69+CD103+KLRG1-)におけるT
RM細胞の割合を示す代表的なプロット(e)および累積データ(f-h)を示す図である(n=7~11)。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、マン・ホイットニーU検定または多重t検定(f-h)が使用された。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図4】T
RM細胞成長の低下が、感染に対する感受性の上昇をもたらすことを示す図である。(a-b)Foxp3ΔTbx21マウスのTCRβ+CD8α+粘膜固有層リンパ球、EomeshiまたはEomesloを、25μgの抗CD3i.p.で刺激してから48時間後にフローサイトメトリーで、(a)PD-1および(b)GrzmB発現について分析した(n=8~9)。(c-h)Foxp3WT(白色記号)、(c、e、g)Foxp3ΔTbx21(黒色記号)または(d、f、h)Foxp3ΔEomes(灰色記号)マウスに1000個のE.vermiformisオーシストを経口感染させた。(c、d)5日目から18日目までの個々のマウスの糞便から収集されたオーシストの累積数。(e、f)個々のマウスあたり1日あたりに流されたオーシストの数。(g、h)E.vermiformis感染の経過中の体重変化(実験ごとにn=3~4、2回の生物学的反復)。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、多重t検定またはウィルコクソン検定(a、b)が使用された。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001。
【
図5】1型Treg細胞の動員がT
RM細胞の分化を決定することを示す図である。(a-b)Rag2欠損マウスは、Ctrl(CD45.1)またはFoxp3ΔTbx21(CD45.2)マウスの骨髄で再構成された。各ドナーの寄与は、脾臓およびT
RM(CD8+CD103+KLRG1-)LPL集団の総CD8T細胞について評価された;(a)代表的なドットプロット、(b)評価された個々のマウスの概要(n=8)。(c)養子移入モデルの説明;Foxp3WTまたはFoxp3ΔTbx21マウスは、E.vermiformisでの経口感染の1日前に、C57Bl/6 CD45.1+CD8α+T細胞を静脈内投与された。感染回復後、接種後3~4週目に、粘膜固有層リンパ球(LPL)を小腸から分離し、フローサイトメトリーで分析した。(d)(c)で説明したように脾臓Foxp3ΔTbx21由来CD8T細胞を移入し、その後E.vermiformisチャレンジしたCD45.1宿主マウスのLPLにおける総CD8T細胞の割合としてのT
RM細胞成長(n=6)。(e)示されたマウス系統においてCD45.1でプレゲーティングし、続いてTCRβおよびCD8αでゲーティングし、CD103およびEomesの発現について分析したリンパ球の代表的なドットプロット。(f-g)感染後(b)3週目または(c)9週目に小腸から得られた総CD8α+LPLおよびCD103+Eomes-CD8α+LPLの細胞数。ゲーティングは(a)に記載されるように実行された(n=5~7)。(h)Foxp3ΔTbx21マウスへの野生型Treg細胞の存在または非存在における野生型CD45.1+CD8α+ T細胞の移入およびE.vermiformisチャレンジ後、発現するCD103を回収されたCD8α+CD45.1+T細胞の割合。(i)1型(85細胞)、2型(35細胞)、3型(28細胞)または他の未定義のTreg細胞によって編成されたTreg細胞サブタイプの単一細胞RNAシーケンス分析。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、マン・ホイットニーのU検定を使用した。**P<0.01;****P<0.0001、n.s.=有意なし。
【
図6】1型Treg細胞がTGFβの利用可能性を介してT
RM細胞の成長を促進することを示す図である。(a、b)Foxp3WTまたはFoxp3ΔTbx21マウスは、エルシニア・シュードツベルクロシスによる経口感染の1日前に、C57Bl/6 CD45.1+CD8α+T細胞を静脈内投与された。2~3週間後、粘膜固有層リンパ球(LPL)を小腸から単離し、フローサイトメトリーで分析した。(a)発現するCD103を回収されたCD8α+CD45.1+T細胞の割合(n=7~9)。(b)示されたマウス系統においてCD45.1でプレゲーティングし、続いてTCRβおよびCD8αでゲーティングし、CD103およびEomesの発現について分析したリンパ球の代表的なドットプロット。(c-d)回腸LPL Foxp3WT(白色記号)またはFoxp3ΔTbx21(黒色記号)マウスを、定常状態(丸)またはE.vermiformis(Ev)感染の10日後(四角)に、(591 c)Tregの数について、(d)CXCR3を発現するTregの数(n=4~9)について分析した。(e)C57BL/6マウスをE.3vermiformisに感染させたか、させなかった;10日目に回腸でHprtを超えるCxcl10mRNAレベルを評価した(2 594の生物学的反復n=5~8)。(f-k)E.vermiformisでの経口感染の1日前に、C57Bl/6 CD45.1+CD8α+T細胞をFoxp3ΔTbx21マウスに静脈内投与した。感染後3週目に、小腸からLPLを分離し、CD103の発現をフローサイトメトリーで分析した。CD8CD45.1細胞に加えて、野生型Treg細胞または(f)CXCR3、(h)IL-10、(i)IL-35、(j)インテグリンβ8または(k)TGFβ1が欠損したTreg細胞を同時移入した。野生型T
REG細胞を投与したマウスを蓄積し、パネルに使用した(f、h-k)。(g)E.vermiformisでの経口感染の1日前に、示されたマウス系統にCD45.1+CD8α+T細胞を静脈内投与した。感染10日後に、小腸をCD45.1(緑)、Dapi(青)、Foxp3(赤)で染色した。代表的な免疫組織化学写真(対物40倍、ズーム1.5倍)は、オーシストを有する領域から示されている(n=4)。白い矢印は、CD8T細胞とT
REGが近接していることを示す。バーは平均を表し、エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、マン・ホイットニーのU検定を使用した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;**** P<0.0001。
【
図7】Foxp3依存性のTbx21条件付き欠失が、1型Treg細胞の数の減少をもたらすことを示す図である。エクスビボフローサイトメトリー解析細胞;a)C57BL/6脾臓または腸T
RM集団におけるCD8細胞の細胞内染色によるTbetおよびEomes発現を示す代表的なプロット、b)Foxp3およびTbetについて染色されたCD4T細胞の代表的なプロットを示す図である。c-e)Foxp3WT(白いバー)およびFoxp3ΔTbx 21(黒いバー)マウスの胸腺および脾臓におけるTreg、CD4、およびCD8T細胞の数n=9。f-h)Foxp3WT(白いバー)およびFoxp3ΔEomes(灰色のバー)マウスにおけるTreg、CD4T細胞、およびCD8T細胞の数;i-j)i)脾臓またはj)胸腺におけるCD4CD8αおよびTreg細胞におけるCXCR3発現の割合。CXCR3、CCR6、またはST2を発現する脾臓、腸間膜リンパ節mLNおよび粘膜固有層におけるTreg細胞の割合のフローサイトメトリー分析における脾臓CD4T細胞でのCXCR3発現の代表的なフローサイトメトリープロット(n≧4白色記号Foxp3ΔWT黒色Foxp3ΔTbx21エラーバーは±SEMを表す;統計分析には、マン・ホイットニーのU検定または多重t検定h-m)が使用されたP<0.05 P<0.01 P<0.001 P<0.0001。
【
図8】TregのTbetまたはEomes欠損が小腸のT細胞表現型の変化と関連していることを示す図である。粘膜固有層リンパ球(LPL)をFoxp3WT、Foxp3ΔTbx21、およびFoxp3ΔEomesマウスから分離し、フローサイトメトリーにより分析した。a-d)(a)十二指腸(n=8~11)、(b)空腸(n=10~14)、(c)回腸(n=9~13)および(d)結腸(n=4~7)のLPL画分の細胞数は、TCRβ+細胞をゲーティングした後、CD4+CD8α_YFP-(CD4+)、CD4+CD8α_YFP+(Treg)、およびCD4-CD8α+T細胞(CD8+)をゲーティングすることによって決定した。e-f)Foxp3WT(白丸)およびe)Foxp3ΔTbx21(黒三角)または(f)Foxp3ΔEomes(黒菱形)からの個々の動物におけるCD4+Foxp3-T細胞とCD4+YFP+T細胞との間の比(n=8)。g)示されたマウス系統のCD4+YFP-(上のパネル)またはCD8+(下のパネル)LPL細胞のCD103およびCD69染色を示す代表的フローサイトメトリードットプロット。h)Foxp3WT(白色バー)、Foxp3ΔTbx21(黒色バー)およびFoxp3ΔEomes(灰色バー)マウス系統の粘膜固有層における総CD4+T細胞およびCD103+CD4+T細胞の数(n=5~11)。i)示されたマウス系統のLPLに見られるFoxp3-CD4+T細胞/CD8α+CD103+T細胞の比率(n=6~13)。エラーバーは±SEMを表す。統計分析には、マン・ホイットニーのU検定を使用した。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図9】1型Tregの非存在は、T
RM細胞の減少をもたらすことを示す図である。Foxp3WT、Foxp3ΔEomesおよびFoxp3ΔTbx21マウスから粘膜固有層リンパ球を分離し、フローサイトメトリーで調べた。a)示されたマウス系統におけるCD103対EomesおよびKLRG1対CD69を示す代表的なフローサイトメトリードットプロット。b)KLRG1対Bcl2タンパク質発現を示す代表的なフローサイトメトリードットプロット。c)CD103対TLテトラマーを示す代表的なフローサイトメトリードットプロット(CD8αα染色)(n=4)。d)血液およびLPLコンパートメントにおけるCD8αのインビボ染色を示す代表的なフローサイトメトリードットプロットとe概要グラフ(n=5)*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。
【
図10】T
RM細胞成長の低下が感染感受性を高めることを示す図である。粘膜固有層リンパ球(LPL)または脾臓CD8T細胞を、抗CD3ε抗体を腹腔内注射した48時間後にFoxp3WTおよびFoxp3ΔTbx21マウスから分離し、フローサイトメトリーで調べた。a-c)(a)PD1または(b)LPLにおけるグランザイムB対Eomesタンパク質の発現を示す代表的なフローサイトメトリードットプロット(n=4)b)a)と同様であるが、脾臓の累積データを示す(n=6)。d-i)C57BL/6(対照)または(g-i)IL15Rマウスの(d-f)C57BL/6Rag2
-/-に1000個のE.vermiformisオーシストを経口感染させた(g)示された日数についての個々のマウスあたりの毎日の糞オーシスト数、e、h)累積オーシスト数(6~17日目f、i)E.vermiformis感染中の体重の変化(n=5~9、2回の生物学的反復)。エラーバーは±SEMを表す。統計分析については、マン・ホイットニーU検定(e、h)多重t検定(d、f、g、f)またはウィルコクソン(b)を使用した*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001。
【
図11】免疫活性化時のTbet発現とT
RM細胞の成長を示す図である(a-d)示されたT細胞を、定常状態下またはインビボ抗CD3刺激の24時間後に細胞内フローサイトメトリー染色によって評価した。a)Foxp3WT(白色記号)およびFoxp3ΔTbx21(黒色記号)脾臓CD4およびCD8T細胞におけるTbet発現の概要。b)脾臓CD8ナイーブT細胞および記憶T細胞、ならびにLPL供給T
RM細胞の細胞内染色によるTbet発現分析(n=11 12)。活性化の24時間後に(c)Eomesまたは(d)Tbetについて染色されたFoxp3WTおよびFoxp3ΔEomesマウスからの脾臓CD8T細胞の代表的なプロット(n=3 5)。e-h)Foxp3WT(白色記号)およびFoxp3ΔTbx21(黒色記号)マウスにCD8CD45.1T細胞を養子移入し、1日後にマウスにE.vermiformisをチャレンジさせた。感染のピーク時に、10日目のLPLを分離し、CD45.1を、(e)T
RM細胞(CD8+CD103+Eomes-)の割合、および(f)総CD8+CD45.1+T細胞(n=6 7)についてフローサイトメトリーで分析した。(g)e)に基づいて、CD45.2+Foxp3ΔTbx21マウスを宿主として使用し、追加のCD45.1+WtTreg細胞を移入し、LPL、内因性(CD45.2+)および移入(CD45.1+)CD4およびCXCR3を発現するTreg細胞におけるCD4+T細胞の代表的なフローサイトメトリープロットを示す。h) f-g)に基づいて移入されたTreg細胞のCXCR3割合の概要。統計分析には、マン・ホイットニーのU検定を使用した。
【
図12】選択したマウス系統におけるT
RM細胞の成長を示す図である。a、b)定常状態(丸)またはE.vermiformisの10日後(四角)のFoxp3WTおよびFoxp3ΔTbx21マウスから回腸の粘膜固有層CD4Foxp3を分離・計数した(n=5~8)。c)示されたマウス系統は、Evの経口感染の1日前にCD45.1+CD8α+T細胞を静脈内投与した。感染後10日目に、小腸をCD45.1(緑)Dapi(青)とFoxp3(赤)で染色した。代表的な免疫組織化学写真(対物レンズ20xズーム15x、スケールバー50μm)、示された領域を拡大した。オーシストは、*で示された部分など、特徴的な丸い未染色領域である。比較のためオーシストのない領域を示す(3番目のパネル)。f)脾臓CXCR3の相対的発現レベル。またはCXCR3+Treg細胞(n=4)。LPLは、d、e)C57BL6(対照)またはIL10欠損マウス、g、j)またはC57BL6マウスまたはg、h)IL-35欠損マウスで生成された骨髄キメラマウス、g、i)Foxp3ΔItgβ8マウス、g、j Foxp3Δtgfβ1マウスから分離された。代表的なフローサイトメトリープロットを示し(f)、CD103発現細胞の累積割合(h-j)(n=7~10)を示す。バーは平均を表す。統計分析には、マン・ホイットニー検定を使用した***P<0.001、****P<0.0001。
【
図13】フローサイトメトリー解析のゲーティング戦略を示す図である。a)リンパ球ゲーティング、ダブレット排除、および死細胞排除、その後eYFPおよびtdRFP検出に基づくCD4選択およびTreg選択を示すC57BL/6 Foxp3ΔTbx21マウスの脾臓からの代表的なフローサイトメトリープロット。b)リンパ球ゲーティング、ダブレット排除、死細胞排除、その後、TCRβ+CD69+およびCD8α+を含むことを示すC57BL/6 Foxp3ΔTbx21マウスのLPLから得られた代表的なフローサイトメトリープロット。LPLでは、T
RMはCD103+と定義されている。
【
図14】Foxp3ΔTbx21マウスにおけるRFP検出を示す図である。a-c)C57BL/6 Foxp3ΔTbx21マウスの脾臓からの代表的なフローサイトメトリープロット;
図13aのように、a)CD4ライフゲート、b)CD4Foxp3YFP集団、およびc)CD8集団におけるeYFPおよびtdRFP検出。2匹の個々のマウスの2つの代表的なプロットを示す。
【
図15】マウスからの最初の細胞抽出からFACSマシンを介する細胞集団の選別までのT
RM細胞の生産と試験の詳細を示す実験レイアウトを示す図である。
【
図16】骨髄由来樹状細胞(BMDC)がCD8T細胞においてCD69発現を維持することを示す図である。エフェクターCD8T細胞をIL-15およびTGFβ単独(丸)またはBMDC(四角)の存在下で抗CD3とともに培養すると、T
RM細胞において重要に発現するCD69マーカーは、BMDCの存在下で発現を維持するが、BMDCの非存在で失われる。
【
図17】IL-7がT
RMにおいてCTLA-4発現を誘導することを示す図である。2つの独立した二重実験は、エフェクターCD8T細胞をIL-7の非存在下(黒)とIL-7の添加(灰色)とともに培養した場合のCTLA-4発現の違いを示す。
【
図18】IL-2が、T
RMでCTLA-4発現もまた誘導することを示す図である。データは、エフェクターCD8T細胞をIL-7およびIL-2の非存在下(黒)、IL-7添加(明るい灰色)、IL-2添加(暗い灰色)とともに培養したときのCTLA4の発現を示している。IL-7またはIL-2とともに培養した場合、CD8T細胞は同程度の割合でCTLA-4を発現するが、CTLA-4の発現レベルは、IL-2を含む培養よりもIL-7を含む培養の方が平均してより堅牢である。
【
図19】T
RM細胞の生産と試験、およびインビボチャレンジと、チャレンジ後のマウスの器官で実行されたエクスビボ分析を詳述する実験レイアウトを示す図である。本発明者は、インビトロで生産されたT
RM細胞の特徴および表現型が器官へのインビボ播種と相関するかを確認したかった。
【
図20】インビボチャレンジで使用されるさまざまなT細胞培養物についてのマーカーCD69、CD103およびCTLA-4の発現プロファイルを示す図である。チャレンジに使用されたT細胞は、次の条件またはグループで培養された:グループ1:CD8+BMDC+aCD3+TGFb+IL-15=T
RM;グループ2:CD8+BMDC+aCD3+TGFb+IL-15+IL-7=T
RM+IL-7;グループ3:CD8+BMDC+aCD3+IL-15=エフェクター;およびグループ4:CD8+BMDC+aCD3+TGFb+IL-15+IL-2=T
RM+IL-2。
【
図21】40日間にわたってチャレンジしたマウスの脾臓に由来するCD8+T細胞の数を示す図である。エフェクターCD8T細胞を
図20に示す条件下で培養し、完全なC57BL6/J宿主に移入した。指示された時点で、脾臓における移入細胞(CD45.1)の存在が評価された。グラフは、プールされた2つの実験を示す。実験1(黒色記号)にはグループ4は含まれず、分析は時点11~14でのみ実行された。実験2(灰色記号)にはグループ4が含まれ、分析はいくつかの時点で行われ、細胞が遅い時点で回収された6匹のマウスのうち2匹のみが示されている。データは、IL-7なしで培養したT
RM細胞と比較して、IL-7培養T
RM細胞(グループ2)がかなりの数で見出されたことを示している。
【
図22】40日間にわたってチャレンジしたマウスの腸の粘膜固有層に由来するCD8+T細胞の数を示す図である。エフェクターCD8T細胞を
図20に示す条件下で培養し、完全なC57BL6/J宿主に移入した。指示された時点で、腸の粘膜固有層における移入細胞(CD45.1)の存在が評価された。グラフは、プールされた2つの実験を示す。実験1(黒色記号)にはグループ4は含まれず、分析は時点11~14でのみ実行された。実験2(灰色記号)にはグループ4が含まれ、分析はいくつかの時点で行われ、細胞が遅い時点で回収された6匹のマウスのうち2匹のみが示されている。データは、IL-7なしで培養したT
RM細胞と比較して、IL-7培養T
RM細胞(グループ2)がかなりの数で見出されたことを示している。
【
図23】32日間にわたってチャレンジしたマウスの肺および腸のIELコンパートメントに由来するCD8+T細胞の数を示す図である。エフェクターCD8T細胞を
図20に示す条件下で培養し、完全なC57BL6/J宿主に移入した。指示された時点で、肺および腸のIELコンパートメントで移入細胞(CD45.1)の存在が評価された。グラフは、3つのグループを示す両方の器官における実験(実験1-黒色記号、実験2-灰色記号)を示し、分析はいくつかの時点で実行された。データは、IL-7なしで培養したT
RM細胞と比較して、IL-7培養T
RM細胞(グループ2)がかなりの数で見出されたことを示している。
【
図24】40日間にわたってチャレンジしたマウスの腸の粘膜固有層および脾臓由来のCD8+T細胞の比較数を示す図である。エフェクターCD8T細胞を
図20に示す条件下で培養し、完全なC57BL6/J宿主に移入した。指示された時点で、脾臓および腸の粘膜固有層で移入細胞(CD45.1)の存在が評価された。データは、IL-7なしで培養したT
RM細胞と比較して、IL-7培養T
RM細胞(グループ2)がかなりの数で見出されたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0116】
【実施例】
【0117】
本発明者らは、T
REG細胞が、組織に深く浸透することができ、固形腫瘍に対して非常に効果的なT細胞、T
RM細胞の生成において重要であると仮定した。本発明者らは、T
RM細胞の生成に必要な因子を決定し、インビトロ内でのT
RM細胞の生成を可能にすることを最終目的とし、現在の培養プロトコルを適応して抗腫瘍T細胞を生成し、これらに組織浸透特性を提供して原発腫瘍の両方を標的とし、原発腫瘍から離れた組織に移動した転移に向けられた重要な器官全体の免疫サーベイランスを提供することを最終的な目的としている。本発明者らはまた、
図15に詳述されるように、培地中でT
RM細胞の生成がT
REG細胞の非存在下で可能であったかどうかを評価することを目的とした。さらに、本発明者らは、
図19に詳細に示すように、インビトロで産生された細胞が治療特性、特にインビボで組織内を移動し生存する能力を維持しているかどうかを評価した。
【0118】
材料および方法
マウス
:C57Bl/6JおよびC57Bl/6J CD45.1マウスは、フランスのCharles Riverから購入した。Tbx21
f/f(Tbx21
tm2Srnr)とEomes
fl/fl(Eomes
tm1Srnr)はReiner博士の好意により提供された
14、82、Foxp3
eYFP-Cre(Foxp3
tm4(YFP/icre)Ayr)はRudensky博士
83から提供され、Rosa26-tdRFPはFehling博士
84、Rag2
-/-、IL15R
-/-(Jackson labs)の好意により提供された。マウスは、ポルトガルのリスボンにあるInstituto de Medicina Molecularで飼育された。8~18週齢のオスとメスの、年齢と性別を一致させたマウスを使用した。動物は、12時間の明/暗サイクルの下で温度制御された条件の飲料水と食物に自由にアクセスできるIVCケージに収容された。全てのマウスは、特定の病原体を含まない状態で維持された。Foxp3
eYFP-CreRosa26-tdRFP系統の全てのマウスは、PCRによって厳密に遺伝子型を同定し、ノックアウト対立遺伝子が検出されたマウスは破棄し(~20%)、適切なTbx21の存在は、CXCR3発現するCD4T細胞の血液型判定によって確認された。さらに、eYFPに関連するRFPの不適切な発現について、マウスをカウンタースクリーニングした(~10%を破棄)(
図13~14)。骨髄キメラは、Rag2欠損マウスの致死量未満の照射(450ラド)に続いて、得られた骨髄細胞の静脈内注射によって生成された。CXCR3
-/-(Cxcr3
tm1Dgen)
85は、ドイツのハイデルベルクにあるドイツ癌研究センター(DKFZ)で飼育された;IL-10
-/-86はInstituto Gulbenkian de Ciencia、リスボンで飼育され、Ebi3
-/-87はInstitute for Immunology、University Medical Center Mainz、ドイツで飼育され、Foxp3yfp-Creと交配したItgb8f/f88およびTgfb1f/f89は、Immunology Virology and Inflammation department、Cancer Research Center of Lyon、フランスで飼育された。全ての動物実験は、Direcao-Geral de Alimentacao e Veterinaria Portugalおよび現地の倫理審査委員会およびガイドラインの規制に準拠していた。
【0119】
細胞の単離:腸細胞を前述のように単離した90。腸をPBSで洗浄して内容物を除去し、縦方向に開いた。1cmの切片に切断した後、20mM Hepes、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、1mMピルビン酸、10%FCS、100μg/mlポリミキシンB、10mM EDTAを含むPBSで、30分間37℃でIELsを解放するために振盪しながらインキュベートした。IEL単細胞懸濁液は、37.5%等張Percollを使用してさらに精製された。LPLを単離するために、その後、腸組織を0.5mg/mlのコラゲナーゼD(Roche)および0.2mg/mlのDNaseI(Roche)を含むIMDM培地中で、37℃で25分間、振盪しながら消化した。肝臓リンパ球は、70μmフィルターを介して臓器をすりつぶして分離し、続いて37.5%等張Percollで細胞を精製した。肺をハサミで細断し、1mg/mlのコラゲナーゼDを含むPBSで、37℃で30分間消化した。リンパ球を含む細胞懸濁液は、50μmのセルストレーナーを通過させた後に得られた。
【0120】
養子細胞移入:CD8α+T細胞および/またはCD25+細胞(Treg)を、脾臓およびリンパ節の単一細胞懸濁液から精製した。簡単に説明すると、細胞を抗CD8a-APCまたは抗CD25-APC抗体で標識し、抗APC MACSマイクロビーズを用い、取扱説明書に従って選択した。計数後、フローサイトメトリーにより純度を決定し、細胞数を調整した。移入された集団で幅広いTCR多様性を確保するために、最低2x106のCD8T細胞を使用した。一部のレシピエントマウスには、0.4~1x106個のTreg細胞を追加で投与した。感染は、細胞移入の1日後(0日目)に行った。
【0121】
感染チャレンジ:動物をEimeria vermiformis(Ev)で、以前報告したように91、感染させた。簡単に説明すると、オーシストを脱イオン水で3回洗浄し、次亜塩素酸ナトリウムに浮かせ、Fuchs-Rosenthalチャンバーを使用して計数した。E.vermiformisの500個のオーシストを100μlの水中で強制経口投与によりマウスに投与し、感染が解消された後(3p.i週目から)分析した。感染の負荷を決定するために、動物を個別にケージに入れ、オーシストが検出されなくなるまで糞便を毎日収集した。動物は、前述のように58、T. Bergsbaken博士の好意により提供をされたエルシニア・シュードツベルクロシス(Yptb)に感染させた。動物は、100μlの水中で強制経口投与により106のYptbに感染した。組織の分析は、15~19日目に行った。
【0122】
フローサイトメトリー:合意された基準
92に従って、示されたゲーティング戦略を用い、脾臓、リンパ節、腸、肺、および肝臓からの単一細胞懸濁液を調製し、抗体(リストを参照)染色した(
図13)。インビボ染色は、3μgのCD8a-APC抗体を静脈注射することにより行い、5分後にマウスを犠牲にした。TL-テトラマーは、NIH Tetramer Core Facilityの好意により提供された。サンプルをFortessa X20サイトメーター(BD Biosciences)で実行し、FlowJoソフトウェア(TreeStar)で分析した。
【0123】
定量的RT-PCR:Qiagen RNeasy Miniキットを使用してRNAを単離し、Applied BiosystemsのHigh Capacity RNA-to-cDNAキットを使用して、cDNAを生成した。増幅は、SYBR Select Master Mix(Applied Biosystems)およびQuantiTect Primer Assays Mm_Cxcl10_1_SG、Mm_Tgfb1_1_SG、Mm_Itgb8_1_SG、Mm_Hprt_1_SG(Qiagen)を使用して行った。
【0124】
免疫組織化学および顕微鏡観察:腸組織を「スイスロール」に丸め、10%ホルマリンで固定し、30%グルコースで再水和し、OCT培地中に凍結した。組織を10μmに切断し、切片を4%パラホルムアルデヒドで処理した。ブロッキングは10%BSAを使用して行い、以下の抗体を検出に使用した:CD45.1(A20、Biolegend)およびFOXP3(FJK-16s、eBioscience)。スライドをFluoromount(Invitrogen)にマウントし、Zeiss LSM880顕微鏡を使用して画像化した。分析は、Fijiソフトウェアを使用して行った。
【0125】
scRNA-Seq解析:オリジナルデータは55で作成および解析された。最初のデータセットから、TREG細胞をFoxp3に基づいて、Tmems、ストレスを受けた細胞、および低品質の細胞を除外して選択した。このサブセットを分析するために、RパッケージSeurat93を使用して、55と同様のアプローチに従った。「LogNormalize」メソッド使用した、および105の倍率を使用したデータの正規化;負の二項モデルに基づき、UMIを使用したデータのスケーリング。TREGのサブタイプは、以下の基準を使用して定義された:
1型(Tbx21、Stat1およびCxcr3遺伝子に割り当てられた生カウントを持つ細胞);
2型(Gata3、Stat6、およびIl1rl1遺伝子に割り当てられた生カウントを持つ細胞);
3型(Rorc、Stat3、およびCcr6遺伝子に割り当てられた生カウントを持つ細胞);
その他(Tbx21、Gata3、およびRorc遺伝子に割り当てられた生カウントのない細胞)。
【0126】
インビトロ培養:
エフェクターCD8T細胞は、予め25μgの抗CD3εを腹腔内注射したC57BL6/JまたはCD45.1C57BL6/Jマウスから得た。細胞をAutoMACSビーズ選択によって分離し、IMDM培地中に平底96ウェルプレートあたり200,000細胞で培養した。GM-CSFを使用した標準プロトコルを介して培養された100,000 BMDCを、示された条件で加えた。細胞を、0.25μg/mlの抗CD3ε、10ng/mlのIL-15、および0.5ng/mlのTGFβで、示されている場合は10~20ng/mlのIL-2またはIL-7で再刺激した。組織ホーミングを試験するために、分析または完全C57BL6/Jマウスへの養子移入の前に3日間細胞を増殖させた。TRMマーカーCD69、CD103、KLRG-1非存在、およびCTLA-4発現について、細胞を評価した。
【0127】
インビトロ分化した細胞は、静脈内注射によってマウスに移入された。示された時点で、動物を犠牲にし、脾臓、肺、および小腸からのリンパ球(IELおよびLPL画分の両方)を標準的な方法に従って分離した。細胞集団は、フローサイトメトリーによって分析された。移入細胞は、コンジェニックマーカーCD45.1の発現によって内因性細胞と区別され、細胞計数は、フローサイトメトリー計数ビーズを使用して行った。
【0128】
実施例1
結果
FoxP3+細胞でTbx21を削除すると、1型TREG細胞が減少する。
【0129】
T
RM細胞はT-betを発現するが、Eomesは発現しない(
図1a、
図7a)
37。T
REG細胞は、免疫タイプ1、2、および3の特徴を持つ、さまざまな組織で系統関連ケモカイン受容体を発現する(
図1b)。T-betまたはEomesを発現するT
REG細胞が、T
RM細胞に影響を与えるかどうかを試験するために、本発明者らは、Foxp3
eYFP-CreTbx21
fl/flRosa26
tdRFP/tdRFPおよびFoxp3
eYFP-CreEomes
fl/flRosa26
tdRFP/tdRFPマウス系統(それぞれFoxp3
ΔTbx21およびFoxp3
ΔEomesと呼ばれる)および対照Foxp3
eYFP-CreRosa26
tdRFP/tdRFP系統(Foxp3
WT)(方法、
図14)を利用した。T-betとEomesは、T-bet
38によってトランス活性化されるケモカイン受容体CXCR3など、1型免疫応答に重要な遺伝子の転写を活性化する。T
REG細胞におけるT-betの非存在下での強化された1型炎症と一致して
35、39(
図7b)、胸腺ではなく脾臓が、Foxp3
ΔTbx21マウスにおいてCXCR3
+CD4
+およびCXCR3
+CD8
+T細胞の比例増加を示した(
図1c-d)。胸腺または脾臓のCD4
+Foxp3
-またはT
REG(CD4
+Foxp3
+)細胞の数は類似していたが(
図7c-h)、脾臓のCD8
+T細胞はFoxp3
ΔTbx21動物の増加傾向を示した(
図7e)
29、35、39。生後3か月までのマウスでは、自己免疫の兆候は観察されなかった。
【0130】
本発明者らは、Foxp3特異的ターゲティング、CD4
+CXCR3
+Foxp3
+ではなく、CD4
+CXCR3
+Foxp3
-T細胞が、Foxp3
ΔTbx21マウスに存在することを確認した(
図1c-e)が、Foxp3
ΔEomesマウスの末梢リンパ器官においてCXCR3
+T
REG細胞の割合と数の増加が観察された(
図7i-k)。T
REG細胞におけるT-betの切除は、3型T
REG細胞の増加とともに、T
REGサブセットの数ではなく、分布の変化をもたらした(
図1f、
図7l-n)。LPLのT
REG細胞集団は、二次リンパ器官(SLO)に存在するものと比較して、より活性化された表現型を示し、より高いレベルのCD44を発現した(
図1g)。Neuropilin-1(Nrpl-1)および転写因子Heliosは、主にSLO T
REG細胞に存在していたが、腸では減少していた。T
REG細胞は、Foxp3
WT対照マウスと比較して、Foxp3
ΔTbx21において同様の表現型を示し(
図1h-i)
29、エフェクターT細胞およびT
EM細胞で発現された、共抑制受容体キラー細胞レクチン様受容体G1(KLRG1)が
40、41、Foxp3
WT対照マウスと比較して、Foxp3
ΔTbx21からのT
REG細胞で増加する(
図1j)。まとめると、これらのデータは、T-bet発現T
REG細胞の非存在下で、T
REG細胞の数とその表現型は類似したままであるが、T
REGサブセットの割合が変化していることを示している。
【0131】
T
REG細胞におけるTbx21またはEomesの切除は、CD8T細胞の分布を変化させる。
Foxp3
ΔTbx21マウスの脾臓CD8
+T細胞コンパートメントは、エフェクター(T
eff)/T
EMT細胞の増加を示す(
図2a-b)。しかしながら、Foxp3
ΔTbx21マウスの腸上皮内画分は、Foxp3
WT対照と比較してCD4およびCD8T細胞の減少を示している(
図2c)。CD8IEL集団内では、誘導されたCD8αβ
+内でFoxp3
ΔTbx21マウスの顕著な減少が観察されるが、天然のCD8αα
+IEL集団内では観察されない(
図2d)。Foxp3
ΔTbx21マウスの粘膜固有層(LP)コンパートメントは、Foxp3
WT対照と比較して、CD4
+T細胞の減少を示すが、CD8
+T細胞の減少は示さない(
図2e)。この違いは、結腸を除く全ての腸切片で明らかであり(
図8a-d)、CXCR3とT
REG細胞のT-bet発現はバラバラである
42。
【0132】
LPLコンパートメント内のCD4
+Foxp3
-T細胞およびT
REG細胞の数の変化にもかかわらず、およびTbx21またはEomesのFoxp3依存性切除に関係なく、CD4
+T細胞およびT
REG細胞の割合は安定を維持している(
図8e-f)。しかしながら、Foxp3
ΔTbx21動物のT細胞集団は、CD8T細胞への顕著な比例偏りを示す(
図2f)が、Foxp3
ΔEomes動物では特に近位腸で逆が観察される(
図2g)。これらのデータは、T
REG細胞にT-betまたはEomesが存在しない場合、CD4
+Foxp3
+とCD4
+Foxp3
-T細胞の間の比例分布は変化しないが、小腸におけるCD8
+T細胞サブセットの割合への顕著な影響があることを示している。
【0133】
Tbx21
+およびEomes
+T
REG細胞はCD8T細胞記憶コンパートメントに影響を与える。
T-betが十分なT
REG細胞の非存在下での腸内のT
RM細胞の減少および循環エフェクター/T
EM細胞の割合の増加は、T
RM細胞の生成または維持におけるこれらの細胞の潜在的役割を示唆した。IEL数の減少はあるものの(
図2c-d)、全てのCD8
+IELは、T
RM細胞マーカーCD103およびCD69を発現している(
図2h)。Foxp3
ΔTbx21、Foxp3
ΔEomesおよびFoxp3
WTマウスのLPLコンパートメントは、高レベルのCD69を発現し、約半分がCD103を共発現するCD4
+Foxp3
-T細胞に関して類似していた(
図8g)。本発明者らは、CD4T
RM細胞の表現型の違いを観察しなかったが、Foxp3
ΔTbx21動物は、CD4
+Foxp3
-T細胞およびCD4
+CD103
+細胞数の減少において全体的な傾向を示した(
図8h)。
【0134】
Foxp3
WTおよびFoxp3
ΔEomes動物のLPLコンパートメントでは、ほとんどのCD8T細胞がT
RMマーカーCD69およびCD103を発現する(
図2h-i)。対照的に、Foxp3
ΔTbx21動物では、CD8+T細胞の半分以上がCD103を発現していない(
図2h-i)。したがって、CD8+T細胞の総数が類似しているにもかかわらず、T-bet発現T
REG細胞の非存在下で、CD8+T
RM細胞の数はこれらの動物の腸内で減少し、T
RM細胞に対してエフェクターの割合の寄与は高く(
図2i-j)、3つのマウス系統全てでCD4T細胞とCD8T
RM細胞の比率は一定になった(
図8i)。これらのデータは、腸の免疫ネットワークは微調整されており、Foxp3
ΔTbx21動物で観察されたCD8+T細胞比率の増加は、T
RM細胞に成長しないCD8+エフェクターT細胞の蓄積に起因すると考えられることを示している。
【0135】
Tbx21
+T
REG細胞は、複数の組織でT
RM細胞の成長に影響する。
皮膚感染の際、KLRG1
+CD103
-CD8
+のエフェクターT細胞が、後期でも、表皮でもではなく、初期の真皮で報告されている
19。定常状態のFoxp3
ΔTbx21動物の小腸で観察されたCD103
-CD8
+T細胞の集団と一致して、小腸の全ての切片で、全CD8T細胞集団の約20%であるKLRG1
+CD8
+T細胞の顕著な集団が観察された(
図3a)。対照的に、増加したCXCR3
+T
REG細胞を保有するFoxp3
ΔEomes動物(
図7h)は、近位腸でKLRG1
+CD8
+T細胞数の減少を示した(
図3b)。
【0136】
CD103との共染色により、KLRG1タンパク質がCD103と相互排他的な形式で発現し
19、26、43、主にFoxp3
ΔTbx21マウスに存在することが確認された(
図3c)。Foxp3
ΔTbx21動物に存在するCD103
-KLRG1
+CD8T細胞は、高レベルのEomesを発現したが、Foxp3
WTではほとんど見られず、Foxp3
ΔEomes動物ではさらに少なかった(
図3d、
図9a)。それらのエフェクター状態と一致して、Foxp3
ΔTbx21動物のKLRG1
+Eomes
+CD8T細胞は、生存促進タンパク質Bcl-2の発現レベルが低く、T
RM細胞成熟中にアップレギュレートされた
44、45(
図9b)。さらに、CD8αβヘテロ二量体とともに発現し、上皮記憶CD8T細胞
46に特徴的なCD8ααホモ二量体を発現する細胞の割合は、Foxp3
WT対照と比較してFoxp3
ΔTbx21動物で減少した(
図9c)。最後に、インビボ染色により、LPLコンパートメントから分離された細胞の大部分が最近循環していないことが確認された(
図9d、e)。まとめると、特定の理論に縛られることを望まないが、これらのデータは、T
REG細胞を発現するT-betが存在しない場合、CD8
+エフェクターT細胞が腸バリアに蓄積し、T
RM細胞に向かって進行しないことを示している。
【0137】
T
RM細胞の存在は多くの組織で報告されている
4。腸での結果と一致して、Foxp3
ΔTbx21マウスの肝臓と肺は、Foxp3
ΔEomesおよびFoxp3
WT動物と比較して、高レベルのKLRG1およびEomesを発現するエフェクターCD8T細胞の割合が増加していた(
図3e-f)。CD103発現は肝臓におけるT
RM細胞の十分なマーカーとは考えられないため、本発明者らは、KLRG1およびEomesについて陰性であるCD8
+CD69
+細胞の割合を評価した。Foxp3
ΔTbx21マウスは、Foxp3
ΔEomesおよびFoxp3
ΔWTマウスと比較して、評価された非リンパ組織において、より少ないT
RM細胞を含んでいた(
図3g-h)。特定の理論に縛られることを望まないが、これらのデータは、1型T
REG細胞が、複数の組織におけるT
RM細胞の生成において重要であることを示唆している。
【0138】
T
RM細胞コンパートメントが損なわれると、病原体の侵入に対する保護が低下する。
本発明者らは、T
RM細胞のバイスタンダー媒介活性化が病原体の侵入を制限する重要な防御メカニズムであることから、Foxp3
ΔTbx21マウスにおけるT
RM細胞数の減少が、新しい感染に対する保護を低下させる可能性があるという仮説を立てた
47、48、49。2日後にLPL T細胞応答を評価した抗CD3抗体を投与することにより、腸のCD8+T細胞の急性応答をテストした。Eomes
+CD8T細胞は、Eomes
-CD8T細胞と比較して活性プロファイルの低下を示し、PD-1の発現が増加し、グランザイムBが減少した(
図4a、b、
図10a-c)
50。
【0139】
次に、本発明者らは、ネズミの小腸上皮細胞に感染する細胞内原生動物寄生虫Eimeria vermiformis(Ev)でマウスをチャレンジした。この感染モデルでは、リンパ球が寄生虫の負担を軽減し(
図10d-f)、CD8+T細胞とIFNγがクリアランスにおいて重要な役割を果たしている
10、51、52。T細胞性免疫の増強につながると期待し得る1型T
REG細胞は存在しないものの
53、事実、Foxp3
ΔTbx21マウスは、Foxp3
WTおよびFoxp3
ΔEomes動物に比べ、Ev感染の抑制が損なわれていた(
図4c-f)。リンパ球を欠くマウスとは対照的であるが(
図10d-e)、T
RM細胞の生存に必要なIL-15Rα欠損マウス
26と同様に、エフェクター細胞がより多く存在するが、疲弊した表現型であるFoxp3
ΔTbx21マウスは、Foxp3
WT、Foxp3
ΔEomes、およびRag2
-/-の動物と比較して体重が減少した(
図4g-h、
図10f)。これらのデータは、T
RM細胞が肝臓のアピコンプレックス寄生虫マラリア原虫
49と皮膚のウイルス
26に対する保護を提供していることと一致している。
【0140】
1型T
REG細胞はT
RMの成長を促進する。
Foxp3
ΔTbx21またはFoxp3
ΔEomesマウスからのT細胞は、定常状態、活性化時またはT
RM細胞確立時で、TbetまたはEomesの発現に関して、Foxp3
WT対照と区別できなかった(
図11a-d)。Foxp3
ΔTbx21動物の組織におけるエフェクターT細胞の蓄積とT
RM細胞の減少(Foxp3
WTと比較して)がCD8T細胞固有であるかどうかを評価するために、我々はCD45.1対照とFoxp3
ΔTbx21マウスとの混合骨髄キメラを生成した。見つかったT
RM細胞は、両方のドナーから同様の寄与を示した(
図5a-b)。さらに、Foxp3
ΔTbx21マウス(CD45.2)から供給されたCD8T細胞を対照CD45.1動物に移入した。1日後、マウスにEvをチャレンジすると、2週間後に解消する
54。CD8
CD45.1CD103
+T
RM細胞の成長は、寄生虫解消の1週間後、T
eff細胞が減少したときに評価された(
図5c)。移入されたCD45.2
+集団内で、T
RM細胞が高効率で発生した(
図5d)。まとめると、これらの結果は、T
RM細胞の生成を阻害するFoxp3
ΔTbx21マウスのCD8T細胞外因性欠陥を示唆している。これを確証するために、CD45.1
+CD8
+T細胞(CD8
CD45.1)をCD45.2
+Foxp3
ΔTbx21またはFoxp3
WT動物に移入した。感染ピーク時(10日目)に、T
RM細胞およびエフェクターT細胞がLPLに存在する(
図11e、f)。Foxp3
WT宿主では、移入されたCD8
CD45.1細胞の大部分が、Eomesレベルが低いCD103発現の特徴的なT
RM細胞プロファイルを示した(
図5e)。対照的に、Foxp3
ΔTbx21宿主に移入されたCD8
CD45.1T細胞は、Eomesを発現し、CD103を欠く、細胞の大部分がエフェクター表現型である、部分的T
RM細胞形成を示した(
図5e)。移入されたCD8
CD45.1T細胞の累積数は、Foxp3
WT宿主と比較してFoxp3
ΔTbx21宿主で類似しており、前者ではT
RM細胞が減少していた(
図5f)。Ev感染の9週間後のマウスの分析により、Foxp3
ΔTbx21動物全体で、検出可能な移入CD8
CD45.1T細胞の数が減少したことが示された(
図5g)。これらのデータにより、Foxp3
ΔTbx21動物で観察されたCD8
+T
RM細胞分化の障害が、CD8
+T細胞集団にとって外因性であることが確認される。本発明者の移入システムにより、T
REG細胞が、CD8
CD45.1T細胞およびT
REG
WT細胞のFoxp3
ΔTbx21動物への同時移入を介してT
RM細胞の成長を促進するという仮説を試験することが可能になった。(
図11g)。仮説が支持されることに、Foxp3
ΔTbx21動物におけるT
RM細胞の生成は、対照T
REG細胞の存在下、Foxp3
WT対照で観察されたレベルに回復した(
図5h)。
【0141】
T-bet発現T
REG細胞が、T
RMの成長における役割を説明できる特定の機能的属性を有するかどうかを理解するために、本発明者らは、最近公開された単一のT
REG細胞配列決定データのセットを利用した
55。以前の報告
42、56と一致して、小さな傾向は存在するかもしれないが、本発明者らは、特徴的な系統転写因子Tbx21、Gata3またはRorcの存在によって定義されるT
REG細胞サブセットにわたって、IL-10、IL-35、TGFβ、CD25、LAG3、またはCTLA-4などのT
REG細胞エフェクター分子の有意差を発見しなかった(
図5i)。さらに、T-bet欠損T
REG細胞は、対照T
REG細胞と同様の抑制能を示すことが報告されている
35、57。
【0142】
T
RMの成長は、T
REGの動員に依存して、局所的にTGFβを生物学的に利用可能にする。
発明者の観察は、特定の無病原体条件下での微生物の存在と、非常に局所的な応答を誘発する細胞内小腸寄生虫Evに依存していた。本発明者らは、我々のCD8
CD45.1T細胞移入システム(
図5c)を利用して細菌エルシニア・シュードツベルクロシス(Yptb)でマウスをチャレンジし、T
RM細胞を誘導することを報告した
58、59。Evを使用して得られた結果と一致して、YptbチャレンジはFoxp3
ΔTbx21動物で著しく減少したFoxp3
WT動物で効率的なT
RM細胞成長をもたらした(
図6a、b)。
【0143】
CD8
CD45.1T細胞のFoxp3
ΔTbx21マウスへの移入モデルにより、発明者は、T
RM細胞の成長を促進するためにT
REG細胞が行う寄与を調査することができた。T-betの非存在下で、T
REG細胞は同程度のレベルのCD103、CCR6、およびP-セレクチン
35を発現するが、非リンパ組織の感染領域へのT細胞の局在化に重要なCXCR3を発現できない
7、35、39、60。局所炎症環境は、T
RM前駆細胞
58、61、およびT
REG細胞の動員を制御する(
図6c)。重要なことに、Ev感染時に動員されたT
REG細胞は、主にCXCR3を発現するタイプ1表現型を示す(
図6d、
図11g-h)。CXCR3の発現がT-bet依存的でないFoxp3
ΔTbx21マウスの結腸におけるエフェクターおよびT
RM細胞における変化の欠如を考慮して、本発明者らは、T
REG細胞の亜集団におけるT-bet発現が、これらの細胞の感染部位への動員を促進し、T
RM前駆細胞と近接させると仮定した。これを確認すると、Tbx21のFoxp3依存性切除により、Ev感染時のT
REG細胞の動員の減少がもたらされたが(
図6c)、これは主にCXCR3を発現するものが原因であった(
図6d)。1型T
REG細胞の動員と一致して、本発明者らは、Ev感染時に腸組織においてCXCR3リガンド、CXCL10の発現が増加することを見出した(
図6e)。CD4T細胞数は、Foxp3
ΔTbx21マウスのLPLコンパートメントの定常状態で減少し(
図1e)、T
RM細胞の生成に追加の役割を果たし得る。しかしながら、Ev感染は、優勢なTヘルパー1表現型を持つLPLコンパートメントへのCD4T細胞の堅牢な動員をもたらした(
図12a、b)。移入システムを利用して(
図5a)、CD8
CD45.1細胞を同時に移入すると、CXCR3欠損T
REG細胞は、CXCR3が十分な対照と比較して、T
RM細胞の効率的な成長を支援できなかった。(
図6f)。
【0144】
CD8
+およびCD4
+T細胞の凝集体は、B細胞は伴わないが、マクロファージや樹状細胞などの他の免疫細胞と一緒に、微生物の侵入領域において一般的に観察される
58、62、63、64、65。CD4
+とCD8
+T細胞間の相互作用は、T細胞の維持には必要ないが
59、T
RM分化をサポートする可能性のある異なる微小環境を構成する可能性がある。一致して、本発明者らは、Foxp3
WTマウスのFoxp3発現T
REG細胞に近接した移入CD8
CD45.1T細胞が頻繁に観察されたが、これはCD8T細胞浸潤が同様であるにもかかわらずFoxp3
ΔTbx21動物では容易に観察されなかった(
図6g、
図12c参照)。
【0145】
T
RMの成長を促進するためのCXCR3の要件は、T
REGが短距離作用または細胞結合エフェクター分子を提供することを示唆している。IL-12のような1型サイトカインは、高レベルのT-betおよびEomesを維持できるため、T
RM細胞の分化とCD103の発現を防ぐ。IL12Rβ2欠損CD8+T細胞は、CD103を発現する細胞の割合が増加しており、T細胞クラスターは高いTGFβ転写物を有する
59。IL-10はIL-12の発現と樹状細胞の成熟を低下させる可能性がある
66。しかしながら、IL-10欠損T
REG細胞は、T
RM細胞の効率的な成長を助けることができ(
図6h)、IL-10欠損動物はT
RM細胞コンパートメントの減少を示さなかった(
図12d、e)。さらに、IL-35を生成できないEBI3欠損T
REG細胞は、T
RM細胞の生成を同様に促進し(
図6i)、EBI3欠損骨髄キメラ動物では、T
RM細胞コンパートメントが減少しなかった(
図12g、h)。
【0146】
多くの細胞、特に粘膜バリアでは、TGFβを作ることができる
67。しかし、TGFβは不活性な前駆体として生産され、潜伏関連ペプチドからの切断が必要である。TGF-βは強力な細胞調節活性を有し、多数の免疫および非免疫細胞型に作用するため、その利用可能性は局所的な微小環境で厳密に調節されている。最近、T
REG細胞がインテグリンαvβ8を介してTGFβを活性化できること、このタンパク質が活性化/エフェクターT
REG細胞でアップレギュレートされ、それによって局所生物活性TGFβが減少することが示され
68、本発明者らは、定常状態ではTGFβ1やItgb8に対して差次的発現を示さないCXCR3発現T
REG細胞のエフェクターCD8T細胞の部位への特異的な動員(
図5f、
図12f)
42が、TGFβの局所放出を可能にすると仮定した。Foxp3
ΔTbx21マウスと同様に、Foxp3
ΔItgβ8マウスから生成された骨髄キメラは、T
RM細胞の減少とKLRG1発現エフェクターCD8+T細胞の増加を示した(
図12g、i)。重要なことに、T
REG細胞のみItgβ8が存在しない場合、T
RM細胞生成の非効率的な促進があった(
図6j)。T
REG由来のTGFβが決定論的な役割を果たすかどうかを理解するために、本発明者らは、Foxp3
ΔTgfβ1マウスを使用した。Foxp3
ΔItgβ8マウスと一致して、T
REG細胞からのTGFβ1の非存在下では、エフェクターT細胞の増加とT
RM細胞の割合の減少をもたらしたのみであった(
図12g、j)。養子移入では、TGFβ1の供給が不足しているT
REG細胞は、Foxp3
ΔTbx21マウスのT
RM細胞の成長をレスキューすることができなかった(
図6k)。まとめると、特定の理論に縛られることを望まないが、データは、T
REG細胞がCXCR3のT-bet誘導性発現を介して動員され、TGFβ1を生成し、αvβ8インテグリンの発現を介して局所的な生物利用を可能にし、炎症組織におけるT
RM細胞の成長を促進させることを示している。
【0147】
考察
非リンパ組織における長期間の細胞性免疫の誘導は、再感染を防ぐために重要であり、ワクチン設計の主要な目的でもある。本発明者のデータは、エフェクター細胞または記憶細胞前駆体としてCD8+T細胞が組織にホーミングし、その後、ローカルキューを受け取るとTRM細胞に分化するモデルを支持する69。SLOにおけるT細胞の活性化は、活性化T細胞を非リンパ組織に誘導する多種多様な組織ホーミング受容体の発現を誘導し、エフェクターT細胞がほとんどの末梢組織を検査できるようにする69、70。TRM細胞のユニークなプロファイルは、組織の微小環境の因子がエフェクター細胞のTRM細胞への分化を指示することを示唆する。
【0148】
本発明者のデータは、局所感染モデルおよびポリクローナルTCRレパートリーに基づいている。局所的な微小環境における炎症媒介輸送および同種抗原は、最適なTRM細胞の成長に必要であるが、維持には必要ないことが、局所感染モデルを使用して示されている61、71、72。これは、IEL数が安定したままである全身性ウイルス感染を使用した観察とは対照的であるが69、発明者の観察は、以前に報告された小腸感染58と一致しており、これが局所炎症の特徴であることが示唆される。動員されたエフェクターT細胞または記憶前駆T細胞からのTRM細胞の分化には、サイトカインや二次抗原との遭遇などの局所的な手がかりが必要になる場合がある。発明者のデータは、本モデルを支持し、TREG細胞を炎症部位に動員する必要性と、エフェクターから記憶への成長を促進する生物活性TGFβレベルを上昇させるそれらの能力により本モデルを拡張する。全TREG細胞が枯渇すると、中枢神経系のTRM細胞の数がウイルス感染で減少し73、TRM細胞の成長または維持におけるTREG細胞の役割が示唆された。本発明者らは、1型TREG細胞の局所動員が重要であり、その際、Itgβ8の発現がTRMの成長を促進し、局所的に供給されるTGFβおよびその生物学的利用可能性に大きく依存することを示すことにより、この観察を拡張する23、26、59。局所抗原は、感染細胞との安定な接触を形成する組織内のCD8+T細胞を保持することができ、その際、CXCR3発現を必要とするプロセスであるCD69が再発現される74。非炎症組織では、本発明者らはCD4およびTREG細胞の減少を報告しているが、CD4T細胞は炎症時に動員される。TREG細胞の補給はTRM細胞の成長を向上するのに十分であるが、これはCD4T細胞の支援的役割を排除するものではない。本発明者らは、ヒトにおける1型TREG細胞も同定するCXCR3発現が75、TREG細胞を上流転写因子T-betの必要性の合理性を提供する炎症部位に動員するために必要であることを示す。CXCR3非存在下で、TREG細胞組織の動員は制限され、1型免疫および免疫病理学の向上をもたらす42、76。TREG細胞の欠如は免疫応答を向上し、滅菌的な免疫さえもたらすことができるが、その後の免疫の喪失が報告されている53。発明者らはここで、1型TREG細胞がTGFβを提供し、αvβ8インテグリンの発現により局所的に利用可能にすることにより、TRM細胞の成長を促進し、生涯にわたる免疫監視を支援し、侵入微生物に対する組織保護を強化することを示す。
【0149】
本発明者らは、T-bet発現TREG細胞の非存在下で評価されたいくつかの組織においてTRM分化の減少を観察した。これは、特定の組織微小環境がTRM細胞の成長または1型TREG細胞の動員において重要な役割を果たしていないことを強調している。それにもかかわらず、組織の特定の違いは、TRMの成長またはそれらの表現型の振幅を変える可能性がある。TRM細胞は腸内で主にIFNγを生産することが知られているが、表皮では微生物チャレンジ後にIL-17を産生できることが示されている。さらに、追加の組織傷害は表皮のTRM細胞機能を変化させることがあり、創傷の修復に寄与している77、78。結腸は、1型TREG細胞の非存在下で、本発明者がTRMまたはエフェクター細胞の変化を発見せず、T細胞サブセットの比率も変化しなかった注目すべき例外であった。TREG細胞はCXCR3を発現し、炎症部位に動員されるためにT-betを必要とするが、T-betは結腸でCXCR3発現を調節していないようである42。結腸におけるT-betとCXCR3の分離は、微生物の最大含有量を保有する器官における代替免疫調節を示唆している。
【0150】
TGFβは、インビトロおよびインビボでCD8+T細胞のCD103発現を強力に促進し22、KLRG1発現を減少させることが示されている43。さらに、TRM細胞の成長に対する炎症の軽減の重要性が、慢性感染時のCD103発現の減少によって示唆されている23、79。さらに、TGFβRII欠損CD8T細胞は、TRM細胞になれないか、またはTRM細胞に留まらない19、58。CD103+TRM細胞に加えて、CD103-TRM細胞集団が報告されている22、58、62。この集団の安定性は、組織の種類と抗原の持続性に依存する場合がある。対照マウスにおける本発明者のモデルにおいて、特定の無病原体条件下での定常状態、ならびにEvチャレンジ後の状態を見ると、CD103-T細胞は少数集団であった。代わりに、Foxp3ΔTbx21マウスで観察されたCD103-T細胞は、CD103を発現しEomesをスイッチオフする移行期のT細胞の特徴であるKLRG1および高レベルのEomesを発現していた80。特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者のデータは、TRM細胞の成長における1型TREG細胞の重要な役割を明らかにしているが、より小さなTRM細胞集団が依然として生成される可能性があることから、他の細胞がTGFβの放出にさらなる貢献をする可能性が示唆される。TRM細胞の維持に重要な間質上皮細胞を含む、生物活性TGFβの代替的な生成源が報告されている81。
【0151】
TREG細胞は、過剰な免疫応答を弱め、それによって自己免疫および免疫病理学を防ぐことに重要であり、血液中で測定される感染およびワクチン接種時の応答の振幅を減少させると考えられている。しかしながら、本発明者のデータは、エフェクターまたは記憶前駆体から、さもなければ枯渇してしまう組織常在性記憶T細胞を効率的に生成する際における、それらの重要な役割を強調している。そのことにより、TREG細胞は、組織内の免疫監視に重要な数のT細胞が利用できるように確証して、再感染を防止または軽減し、新たな感染による病原体負荷を軽減する。
【0152】
実施例2
結果
本発明者らは、
図15に詳述するように、培地中にT
REG細胞の非存在下で、T
RM細胞の生成が可能であるかどうかを評価した。
【0153】
図16を参照すると、IL-15、抗原提示細胞(BMDC)、および以前に活性化されたCD8T細胞を含む培養物へのTGFβの添加は、追加のT
REG細胞の非存在下で、CD69およびCD103の継続的発現などのT
RM機能を確立するのに十分であることが示されている。
【0154】
図17を参照すると、IL-15、TGFβ、抗原提示細胞、および以前に活性化されたCD8T細胞とIL-7の添加との組み合わせが、それらのCTLA-4発現プロファイルに基づいて、生成されたT
RM細胞の遊走能力を増強できることが示されている。(Front. Immunol.、2018年11月27日;Brunner-WeinzierlおよびRudd;Kiekeら、PLOS One、27/5/09)
図18を参照すると、IL-15、TGFβ、抗原提示細胞、および以前に活性化されたCD8T細胞とIL-2の添加との組み合わせが、それらのCTLA-4発現プロファイルに基づいて生成されたT
RM細胞の遊走能力を増強できることが示されているが、これは、細胞あたりの量または生物学的反復について、IL-7の添加ほど一貫していない。
【0155】
さらに、本発明者らは、インビトロで生産された細胞が、それらの治療特性、特に、
図19に実験設定が詳述される、組織内インビボで遊走および生存する能力を維持しているかどうかを評価した。
【0156】
本発明者らは、エフェクターCD8+T細胞および骨髄由来樹状細胞(BMDC)からなるインビトロ設定においてインビボ条件を再現した。T細胞はインビトロで刺激され、T細胞療法のために大量の細胞を生産するのと同様の方法で増殖させることができる。本発明者らは、生物活性TGFβの添加が、T
RM細胞に似たT細胞の成長におけるT
REG細胞の役割を置き換え、マーカーならびに組織保持因子CD69およびCD103の発現を継続できることを示している(
図20)。CD69は通常、T細胞活性化の際に、一過性に発現する活性化マーカーである。CD69はC型レクチンであり、固形腫瘍を含む非リンパ組織におけるT
RM細胞の保持に関与している可能性が最も高い
98。CD69はスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)1と複合体を形成し、それにより、T細胞の組織外への放出を引き起こすS1P受容体への結合を阻害することが可能である。さらに、データは、IL-7およびIL-2の添加が強力なCTLA-4発現を誘導することを示しており(
図17および18)、これは増強されたT細胞遊走と関連している
99、100、101。CTLA-4の発現はIL-2の添加でより強くなるように見えるが、再現実験では、IL-2の添加よりもIL-7の添加の方がより一貫性があることが示された。さらに、IL-7を添加すると、個々の細胞でCTLA-4の発現がより強くなることが示された。
【0157】
インビトロで生成され増殖したT細胞をインビボに移入することから得られたデータは、TGFβの非存在下で生成されたエフェクター細胞が組織中に実質的な数で見出されないことを示している(
図21、22、23および24)。一方、T
RM細胞は、特にIL-7で刺激した場合、肺、肝臓、粘膜固有層および小腸上皮内コンパートメントなど、試験した全ての臓器を含めて、移入後40日で容易に検出される(
図21、22、23および24)。
【0158】
要約
要約すると、本発明者らは、腫瘍(および特に固形腫瘍)に深く浸透して、腫瘍または感染症に対するT細胞療法の段階的な変化に寄与することができるT細胞(TRM細胞として知られる)を生成するための非常に新規で革新的なプロトコルを開発した。本発明者のプロトコルは、CTLA-4、CD69およびCD103の発現に基づいて、遊走性および組織浸透性細胞の表現型を有するインビトロで生成され増殖された細胞をもたらす。それらの表現型に適合し、エフェクターT細胞とは対照的に、生成された細胞は、完全マウス宿主への養子移入の少なくとも40日後に、さまざまなリンパ組織および非リンパ組織に容易に見出される。発明者らの研究は、臓器感染症の効果的な治療や、治療がはるかに困難な固形腫瘍に罹患した癌患者にとって重要な進歩を遂げるものであろう。しかしながら、本発明者らは、TRM細胞の組織浸透能力は、感染症または原発腫瘍の標的化のみならず、アクセスしにくいことがよくある原発腫瘍から離れた組織に移動した転移に対して向けられた臓器全体の重要な免疫監視を提供し得ると考えている。
【0159】
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【国際調査報告】