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特表2023-526867コロナウイルスおよびインフルエンザによって引き起こされる状態のための銅イオン組成物および処置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-23
(54)【発明の名称】コロナウイルスおよびインフルエンザによって引き起こされる状態のための銅イオン組成物および処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/34 20060101AFI20230616BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230616BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20230616BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20230616BHJP
【FI】
A61K33/34
A61P31/14
A61P31/16
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/12
A61K9/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571815
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021024555
(87)【国際公開番号】W WO2021236231
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/881,937
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522455113
【氏名又は名称】シーディエイ・リサーチ・グループ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CDA RESEARCH GROUP, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アボット,チュンリム
(72)【発明者】
【氏名】アボット,ドミニク シー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA93
4C076BB22
4C076BB26
4C076BB27
4C076BB31
4C076CC35
4C086AA01
4C086HA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA63
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
銅イオンを含有する製剤、ならびにこのような製剤を用いてコロナウイルス、特にCOVID-19、ならびにインフルエンザ、特にインフルエンザAおよび/またはインフルエンザBによって引き起こされる根底にある感染および状態を処置する方法が、本明細書に提供される。根底にあるウイルスおよびその結果としての状態を、局所銅処置薬を用いて処置する方法が提供される。基本的な形態の局所処置薬は、銅金属からの銅イオンの浸出により得られる生体適合性銅イオン溶液または懸濁液を含む。銅イオン溶液または懸濁液は、クリームまたは溶液を含む銅イオン処置薬を形成するために様々な担体と組み合わされてもよい。生体適合性溶液中で固体銅金属から銅イオン溶液または懸濁液を製造する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスによって引き起こされる少なくとも1つの状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に銅イオンを含む組成物を投与することを含む方法。
【請求項2】
少なくとも1つの状態が、COVID-19によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの状態が、インフルエンザAおよびインフルエンザBのうちの1つまたは複数によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの状態が、必要とする対象の口腔、呼吸器または耳組織を冒し、方法が、前記対象の口腔、呼吸器または耳組織を、銅イオンを含む組成物と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの状態が、咳、喉の痛み、胸痛または胸部圧迫感を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの状態が、胸痛または胸部圧迫感を含み、銅イオンを含む組成物がクリームであり、前記銅イオンを含む組成物が、対象の胸部を前記クリームと接触させることによって投与される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
クリームが、対象の胸部に3時間ごとに投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
クリームが、対象の症状に基づき必要に応じて対象の胸部に投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
銅イオンを含む組成物が溶液であり、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーが、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーとして前記溶液を送達し、前記銅イオンを含む組成物が、前記銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象に送達することによって投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーが、対象の肺に送達される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーが対象の口に挿入され、前記ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーが、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを前記対象の口に送達する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの状態が喉の痛みを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーが、各使用時に1、2または3用量の銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象に送達する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーが、対象に3時間ごとに投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーが、対象の症状に基づき必要に応じて対象に投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの状態が胸痛または胸部圧迫感を含み、方法が、
それを必要とする対象に銅イオンを含むクリームを投与すること、および
前記対象の胸部を前記クリームと接触させること
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーおよびクリームが対象に同時に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスによって引き起こされる少なくとも1つの状態を処置するための、銅イオン懸濁液を含む組成物であって、前記銅イオン懸濁液が
a.銅イオン;
b.食塩水;および
c.緩衝液
を含む、組成物。
【請求項19】
銅イオン懸濁液が、約15μg/mLの銅を含有する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
銅イオン懸濁液が、
a.固体銅金属を食塩水および緩衝液を含む溶液に入れること;
b.前記固体銅金属を前記溶液に所定時間残留させ、その所定時間中、前記固体銅金属が前記溶液に浸出するようにすること;ならびに
c.前記所定時間後、前記固体銅金属を前記溶液から取り出すこと
を含む方法によって形成される、請求項18に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月22日に出願された米国特許出願第16/881937号の継続出願であり、2013年3月15日に出願された米国特許出願第13/842,310号の一部継続出願であり、それに対する優先権を主張する。本特許出願の全内容が、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は全般的に、銅イオンを含有する局所処置薬(topical treatment)、ならびに銅イオンを含有する局所処置薬を用いて呼吸器およびウイルスによる身体状態(viral body condition)を処置する方法に関する。より詳細には、本技術は、銅イオンを含有する局所処置薬を用いて、ウイルス感染および/または根底にあるウイルス感染によって引き起こされる呼吸器状態を処置することに関する。一つの態様では、本技術は、銅イオンを含有する局所処置薬を用いて、コロナウイルス感染、具体的にはCOVID-19ウイルスによる感染によって引き起こされる呼吸器状態、ならびに/またはコロナウイルス感染、具体的にはCOVID-19ウイルスによる感染を処置することに関する。一つの態様では、本技術は、銅イオンを含有する局所処置薬を用いて、インフルエンザウイルス感染、具体的にはインフルエンザAもしくはインフルエンザBウイルスによる感染によって引き起こされる呼吸器状態、ならびに/またはインフルエンザウイルス感染、具体的にはインフルエンザAもしくはインフルエンザBウイルスによる感染を処置することに関する。一つの態様では、本技術は、吸入エアロゾルを用いた吸入療法(エアロゾル化)デリバリー系[inhalation therapy (aerosolized)delivery system]に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの様々な異常な身体状態は、有害な病原体または微生物によって引き起こされ、その例としては細菌、真菌およびウイルスが挙げられる。ウイルス性疾患から生じる異常な身体状態としては、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBによって引き起こされる地方病性インフルエンザ、ならびに新規なSARS-CoV-2コロナウイルス(「COVID-19」)流行病が挙げられる。CDCは、インフルエンザが、2017~2018年シーズン中の米国における5000万件近くの疾病と関連しており、79,400件の死亡に寄与したと推定している。さらに、CDCは、2020年の最初の4ヶ月半で、米国において140万人超が、呼吸器疾患を引き起こすCOVID-19に感染し、86,000人近くの死亡もたらしたと推定している。世界的なCOVID-19流行病は、この新規なウイルス感染に対する処置薬の開発の緊急性を生み出した。
【0004】
さらなるウイルス性疾患としては、ヘルペス(IおよびII型)、ヒトパピローマウイルス(HPV)およびHIVが挙げられ、これらはすべて性的に伝染し得る。ヘルペスまたはCOVID-19の治療法は存在しない。抗ウイルス薬が、ヘルペスの症状を軽減し、ヘルペスウイルスを抑制するために利用でき、したがって活動性感染はそれほど頻繁に再発せず、短い持続期間であるが、これらの薬物は、重大な副作用を伴う。HPVによる感染は、局所医薬、経口医薬および/または疣贅の外科的除去で通常処置される。HPV感染の合併症としては、子宮頸癌、直腸癌および外陰癌のリスクの増加が挙げられる。HIVに利用可能な処置薬は、日和見感染を回避し、末期の後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症を遅延または予防することを期待して、ウイルスを抑制し、免疫系を高めるように設計される。ウイルス、例えばヘルペス、帯状疱疹およびHPVはまた、皮膚の異常な身体状態の原因となる。特に、ヘルペスは口唇ヘルペス(熱の華)を引き起こし、帯状疱疹は有痛性発疹を引き起こし、HPVは皮膚に疣贅を引き起こす。
【0005】
身体の口腔-呼吸器-耳領域、すなわち口、咽頭、鼻、副鼻腔および耳はまた、COVID-19ならびにインフルエンザAおよびBウイルスを含む上述の病原体、微生物およびウイルスによる異常な身体状態の好発部位である。ウイルス感染は、咽頭痛、扁桃炎、感冒、気管支炎、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、喘鳴、耳の感染、耳痛、耳部圧迫感、口唇ヘルペス、口腔内潰瘍、口内炎、咳、嗄声または咽頭炎、鼻詰まり、鼻水、くしゃみ、歯肉痛、歯周病、虫歯および口臭症(halitosis)(口臭)を含む身体の口腔-呼吸器-耳領域に出現する多くの望まれない症状の原因となる。さらに、COVID-19ならびにインフルエンザAおよびB感染を含むウイルス感染は、重度で長期の疾病、入院、ウイルス感染が身体から一掃された後も未治癒のままである呼吸器系の損傷、および場合によっては死に至る可能性がある。
【0006】
無数の処方および非処方薬および製品は、口腔-呼吸器-耳の状態を処置するために市販されている。しかし、上記の数多くの身体状態を処置するために用いられる処方薬、および非処方薬または製品でさえも多くは、望ましくないまたは潜在的に有害な副作用、過剰摂取または不適切な使用の場合に害を及ぼす高いリスク、高コスト、限られた有効性、綿密な臨床観察の必要性および不便さを含む多くの欠点がある。さらに、COVID-19感染、またはCOVID-19感染によって引き起こされる口、咽頭、気道、鼻、副鼻腔および耳を含み得る口腔-呼吸器-耳を冒す状態を処置するための化合物または製品は現在一つも存在しない。
【0007】
銅は、病原体を死滅させ、中和し、その増殖を防止することができる特性を持つことが既に確立されている。病原体として同定される多くの細菌は、銅金属の表面で生存できないことが知られている。Fullerらに対する米国特許第8,135,466B2号は、抗菌性金属を含有する外面を有するインプラント体を有する人工関節であって、抗菌性金属が銅であり得る、人工関節を開示している。McClure.Jr.に対する米国特許出願公開第2012/0071807A1号および第2012/0089068A1号は、金属系抗菌剤を含有する創傷被覆材であって、金属系抗菌剤が銀イオンと銅イオンの混合物であり得る、創傷被覆材を開示している。膣に装入して異常な生物学的状態を処置するための銅金属の外面を有するデバイスが、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる2008年6月13日に出願された米国特許出願第12/157,823号(放棄)、2011年10月12日に出願された第13/317,230号、2012年5月4日に出願された第13/464,005号において出願人らにより提案された。
【0008】
銅またはその合金の粒子を含有する局所物質は、健康支援用途のために提案された。皮膚での使用のための銅ペプチドが市販されており、これらは、銅に対する親和性を有し、銅に非常に密接に結合するペプチド、すなわちタンパク質の小さな断片を必要とする。Morarluに対する米国特許第7,776,915B2号は、少なくともリポ酸、カルニチンおよびカルノシンを含有する局所組成物であって、カルノシンが亜鉛または銅イオンにキレート化され得る、局所組成物を開示している。局所組成物の意図される使用は、老化皮膚の外観を改善することである。Eaglesonらに対する米国特許出願公開第US2008/0195033A1号は身体の疾患を処置するための金属物質の使用を開示している。金属物質は、主としてコロイド懸濁液であり、身体への物質のデリバリーは、電気の使用を必要とし得る。本技術の前に、身体状態を処置するために解剖学的組織に直接塗布される局所処置薬としての使用のための、ならびに/または局所処置薬を形成するためのクリーム、ゲル、ローション、フォーム、ペースト、他の溶液、坐剤、タンポン、ボディワイプ(body wipe)、創傷被覆材、皮膚パッチおよび縫合材料を含む様々な担体と組み合わせた使用のための銅イオンを含有する単純な溶液であって、担体が、銅イオンのデリバリーを促進して、身体での解剖学的使用領域に応じて解剖学的組織と接触する、溶液を提供することは認識されていなかった。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、本技術は、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスによって引き起こされる少なくとも1つの状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に銅イオンを含む組成物を投与することを含む方法を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は、COVID-19によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は、インフルエンザAおよびインフルエンザBのうちの1つまたは複数によって引き起こされる。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は、必要とする対象の口腔、呼吸器または耳組織を冒し、方法は、対象の口腔、呼吸器または耳組織を、銅イオンを含む組成物と接触させることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は、咳、喉の痛み、胸痛または胸部圧迫感を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は、胸痛または胸部圧迫感を含み、銅イオンを含む組成物はクリームであり、銅イオンを含む組成物は、対象の胸部をクリームと接触させることによって投与される。いくつかの実施形態では、クリームは、対象の胸部に3時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、クリームは、対象の症状に基づき必要に応じて対象の胸部に投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、銅イオンを含む組成物は溶液であり、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー(aerosolizer)、気化器またはアトマイザーは、銅イオンエアロゾル化ミスト、クラウド(cloud)またはスプレーとして溶液を送達し、銅イオンを含む組成物は銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象に送達することによって投与される。いくつかの実施形態では、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーは、対象の肺に送達される。いくつかの実施形態では、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは対象の口に挿入され、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象の口に送達する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は喉の痛みを含む。いくつかの実施形態では、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは、各使用時に1、2または3用量の銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象に送達する。いくつかの実施形態では、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーは、対象に3時間ごとに投与される。いくつかの実施形態では、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーは、対象の症状に基づき必要に応じて対象に投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの状態は胸痛または胸部圧迫感を含み、銅イオンを含む組成物は溶液であり、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーとして溶液を送達し、銅イオンを含む組成物は、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーを対象に送達することによって投与され、さらに銅イオンを含むクリームは、それを必要とする対象に投与され、対象の胸部は、クリームと接触する。いくつかの実施形態では、銅イオンミスト、クラウドまたはスプレーおよびクリームは対象に同時に投与される。
【0014】
一態様では、本技術は、コロナウイルスまたはインフルエンザウイルスによって引き起こされる少なくとも1つの状態を処置するための、銅イオン懸濁液を含む組成物であって、銅イオン懸濁液が銅イオン、食塩水および緩衝液を含む、組成物を含む。いくつかの実施形態では、銅イオン懸濁液は約15μg/mLの銅を含有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、銅イオン懸濁液は、固体銅金属を食塩水および緩衝液を含む溶液に入れ、固体銅イオン金属を溶液に所定時間残留させ、その所定時間中、固体銅金属が溶液に浸出し、所定時間後、固体銅イオン金属を溶液から取り出すことを含む方法によって形成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、銅イオン処置薬を含有し、銅イオン処置薬を分配するためのスプレーポンプノズルを有するボトルの正面図である。
図2図2は、銅イオン処置薬を含有し、銅イオン処置薬を分配するための細長い延長部を有するスプレーポンプノズルを有するボトルの側面図である。
図3図3は、銅イオン処置薬を含有するボトルの側面図であり、ボトルは、銅イオン処置薬をボトルのスポイトから分配するように圧搾可能である。
図4図4は、銅イオン処置薬を含有し、銅イオン処置薬を解剖学的組織に塗布するためのブラシを有するボトルの側面図である。
図5図5は、銅イオン処置薬を含有するチューブの側面図であり、チューブは、銅イオン処置薬を分配するように圧搾可能である。
図6図6は、銅イオン処置薬を分配するように圧搾可能である代替のボトルであり、閉じた(dosed)状態のボトルを示す側面図である。
図7図7は、開いた状態のボトルを示す、図6のボトルの側面図である。
図8図8は、銅イオン処置薬を含有し、銅イオン処置薬をフォームの形態で分配するためのポンプノズルを有するボトルの側面図である。
図9図9は、銅イオン処置薬を膣に送達するためのアプリケーターの側面図である。
図10図10は、図5のチューブと組み合わせたアプリケーターの使用を示す、図9のアプリケーターの側面図である。
図11図11は、銅イオン処置薬を解剖学的組織に塗布するための代替のアプリケーターの側面図である。
図12図12は、銅イオン処置薬を膣に送達するための担体として用いられるタンポン本体を有するタンポンの側面図である。
図13図13は、銅イオン処置薬を含有する複数の坐剤の破断正面図であり、坐剤は、銅イオン処置薬を膣または直腸に送達するように膣または直腸に装入可能である。
図14図14は、そのパッケージから取り出された図13の坐剤を示す側面図である。
図15図15は、図13の坐剤を膣または直腸に送達するためのアプリケーターの側面図である。
図16図16は、銅イオン処置薬を保有するボディワイプを含有するパッケージであり、パッケージがそこからボディワイプを取り出すために部分的に開かれていることを示す正面図である。
図17図17は、銅イオン処置薬が供給された創傷被覆材の斜視図である。
図18図18は、銅イオン処置薬を保有する皮膚パッチの平面図である。
図19図19は、銅イオン処置薬を保有する縫合材料を用いて解剖学的組織に形成された縫合の斜視図である。
図20図20は、リン酸緩衝生理食塩水中でステンレス鋼ロッドを使用することによって分離された銅ストリップを示す。
図21図21は、リン酸緩衝生理食塩水を銅ストリップと共にインキュベートした後に得られたバルク懸濁液を示す。
図22図22は、計量カップへのバルク懸濁液の移動を示す。
図23図23は、清潔なガラス皿への移動後のバルク懸濁液を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
呼吸器状態を含む様々な状態の処置のための銅イオンを含む局所製剤が本明細書で提供される。特に、局所銅イオン製剤、例えば銅イオン溶液またはクリームを用いてウイルス感染から生じる呼吸器状態を処置する方法が提供される。処置は、COVID-19から生じる呼吸器状態またはインフルエンザAもしくはインフルエンザBから生じる呼吸器状態を処置することを含み得ることが予見される。加えて、局所銅イオン製剤、例えば銅イオン溶液またはクリームを用いてウイルス感染を処置する方法が提供される。処置は、COVID-19から生じるウイルス感染またはインフルエンザAもしくはインフルエンザBから生じるウイルス感染を処置することを含み得ることが予見される。
【0018】
いくつかの実施形態では、溶液は、気化器を用いてそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、溶液は、アトマイザーを用いてそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、溶液は、ネブライザーを用いてそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、溶液は、定量吸入器を用いてそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、溶液は、エアロゾライザーを用いてそれを必要とする対象に送達される。いくつかの実施形態では、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは、溶液を肺に送達する。いくつかの実施形態では、溶液はミストまたはクラウドとして提供される。いくつかの実施形態では、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは対象の口に装入され、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーは、ミストまたはクラウドを、咽頭を下って肺に分配する。いくつかの実施形態では、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、気化器またはアトマイザーが用いられるたびに、溶液は、ミストまたはクラウドとして肺に1回、2回または3回提供される。いくつかの実施形態では、溶液はスプレーとして提供される。いくつかの実施形態では、溶液はスプレーとして咽頭の後方に提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、ミスト、クラウドまたはスプレーとして提供される溶液は、対象の呼吸器系に侵入するために、咽頭を通過する。いくつかの実施形態では、溶液は、ミスト、クラウドまたはスプレーとして咽頭を通過しながら、喉の痛みを処置する。いくつかの実施形態では、溶液は、ミスト、クラウドまたはスプレーとして呼吸器系に3時間に約1回塗布される。いくつかの実施形態では、溶液は、対象の症状に基づき必要に応じてミスト、クラウドまたはスプレーとして呼吸器系に塗布される。
【0020】
いくつかの実施形態では、溶液は、対象の口および/または鼻道に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液は、対象の咽頭および呼吸器系に投与されるのと同時に、口および/または鼻道に投与される。いくつかの実施形態では、咽頭および呼吸器系への溶液の同時投与は、ネブライザー、定量吸入器、エアロゾライザー、アトマイザーまたは気化器によって生成されるミスト、クラウドまたはスプレーとして送達される。いくつかの実施形態では、口、鼻道、咽頭および呼吸器系のうちの1つまたは複数への溶液の投与は、対象のウイルス感染を阻害する。いくつかの実施形態では、阻害されるウイルス感染は、コロナウイルス、COVID-19、インフルエンザウイルス、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBである。いくつかの実施形態では、阻害利益は約0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間または48時間持続する。いくつかの実施形態では、阻害利益は約4時間~約12時間持続する。いくつかの実施形態では、阻害利益は約4時間持続する。
【0021】
いくつかの実施形態では、溶液は、対象の胸部に塗布される。いくつかの実施形態では、クリーム基剤を含む溶液製剤は、対象の胸部に塗布される。いくつかの実施形態では、胸部への溶液またはクリームの塗布は、対象の胸部の疼痛または圧迫感を軽減する。いくつかの実施形態では、溶液またはクリームは、対象の呼吸器系への溶液の塗布と同時にまたはその直後に胸部に塗布される。いくつかの実施形態では、溶液またはクリームは、胸部に3時間に約1回塗布される。いくつかの実施形態では、溶液またはクリームは、対象の症状に基づき必要に応じて胸部に塗布される。
【0022】
それを必要とする対象への溶液の塗布を知らせ得る症状としては、咽頭痛、咳、胸痛、および胸部圧迫感が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、身体状態を処置するための銅イオンを含有する局所処置薬、すなわち局所銅イオン処置薬としての使用のための、銅イオンを含有する溶液、すなわち銅イオン含有溶液は、銅金属からの銅イオンを適当な生体適合性溶液に浸出させるプロセスまたは方法に従って製造される。本明細書で使用する「銅金属」は、純銅(加工後99.5%以上の銅)および銅合金、例えば黄銅、青銅、銅-ニッケルおよび銅-ニッケル-亜鉛を意味する。好ましくは、純銅が銅金属として用いられる。実施例1は、7.44オンスに等しいまたは実質的に等しい量の銅イオン含有溶液を製造することを含む工程を記載する。
【0024】
他の実施形態では、銅塩沈殿物を含有する懸濁液は、銅イオンクリームを形成するためにクリーム基剤と組み合わされ、かなりの割合の銅イオンはクリームの液相中で見出される。ある特定の実施形態では、少なくとも5μg/mL、7μg/mL、9μg/mLまたは11μg/mLの銅が、可溶性相中で見出される。いくつかの実施形態では、クリームの液相は、約11.5μg/mLの銅を含有する。実施例34は、可溶性相中約11.5μg/mLの銅を有するクリームを調製することを含む工程を記載する。いくつかの実施形態では、クリームの液相は約15μg/mLの銅を含有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、銅イオンを含有する溶液は、実質的に純粋な銅を用いて製造される。実施形態では、銅イオンを含有する溶液は、適当量の溶液を銅を有する器(vessel)に添加することによって製造される。いくつかの実施形態では、追加の溶液が、溶液に浸出した銅イオンの濃度を低下させるために器に入れられる。いくつかの実施形態では、より少ない溶液が、溶液に浸出した銅イオンの濃度を増加させるために器に入れられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、溶液は緩衝化される。いくつかの実施形態では、緩衝液は、酢酸塩、酢酸、リン酸塩、リン酸のうちの少なくとも1つまたは酢酸塩、酢酸、リン酸塩もしくはリン酸のうちの少なくとも1つの塩を含む。いくつかの実施形態では、溶液は、緩衝液を不要とするかまたは溶液は、実質的に緩衝液もしくは緩衝化剤を含まない。いくつかの実施形態では、溶液は生理食塩水である。
【0027】
いくつかの実施形態では、銅負荷は、溶液中に約0.5時間および数日間(例えば1、2、3、4、5、6、7または10日間)、数週間(例えば1、2、3、4、5または6週間)または数ヶ月間(例えば1、2、3、4、5、6または12ヶ月間)の所定時間配置される。いくつかの実施形態では、所定時間は、約0.5時間~約72時間である。いくつかの実施形態では、時間は約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約4、約5、約6、約12、約18、約24、約36、約48、約60または約72時間である。
【0028】
いくつかの実施形態では、そこに配置される銅負荷を有する溶液は、所定の温度に加熱または冷却される。いくつかの実施形態では、温度は、約20℃(すなわちほぼ室温)~約100℃とする。いくつかの実施形態では、温度は約20℃と70℃の間とする。いくつかの実施形態では、温度は約35℃と70℃の間とする。いくつかの実施形態では、温度は約35℃と50℃の間とする。いくつかの実施形態では、温度は約37℃とし、所定時間維持される。いくつかの実施形態では、温度は約50℃とし、所定時間維持される。いくつかの実施形態では、温度は約20℃と35℃の間とする。いくつかの実施形態では、温度は約50℃と70℃の間とする。いくつかの実施形態では、温度は約70℃と100℃の間とする。
【0029】
本開示が、詳細な多くの変形形態、修正形態および変更形態の対象である限り、上で考察されるかまたは添付の図面に示されたすべての主題が、例示としてのみ解釈され、限定的な意味で解釈されないことが意図される。
【実施例
【0030】
[実施例1]
酢酸および酢酸ナトリウムでpH5(±0.4)に緩衝化された7.44オンスの生体適合性生理食塩水を、取り外し可能な密閉蓋を有する容器または器に入れて、蒸発を最小限に抑える。容器を、37℃(±1℃)の温度の恒温器またはオーブンに入れる。生理食塩水が37℃に達したら、102gの固体形態の純銅金属を、容器内の加熱した溶液に入れ、密閉蓋を有する容器を、37℃の恒温器に24時間入れる。24時間かけて、銅金属からの銅イオンが溶液に浸漬する。24時間後に、容器を恒温器から取り出し、銅金属を溶液から取り出すかまたは分離する。銅金属を溶液から取り出したかまたは分離した後に残る溶液の量は、銅イオン含有溶液を構成し、最小限の蒸発で本質的に7.44オンスでなくてはならない。この方法に従って製造される銅イオン含有溶液は、誘導結合型プラズマ/光学発光分光法(ICP/OES)により銅含有量を分析した場合、銅イオンを46mgと等しいまたは実質的に等しい量で含有する。銅イオン含有溶液は室温で保管され、解剖学的組織に塗布されて身体状態を処置するための局所銅イオン処置薬としてこの形態で使用できる状態にある。加えて、銅イオン含有溶液は、局所銅イオン処置薬を形成するためにクリーム、ゲル、ローション、フォーム、ペースト、他の溶液、坐剤、タンポン、ボディワイプ、創傷被覆材、皮膚パッチおよび縫合材料を含む様々な担体と組み合わせて使用できる状態にあり、そこで担体は、銅イオン処置薬のデリバリーを促進し、解剖学的組織と接触させて、身体状態を処置する。
【0031】
実施例1の固体純銅金属は、102gの純銅金属を提供するために、典型的には0.03~0.06インチ厚の範囲で、適当な長さおよび幅の1枚または複数枚のシートの純銅金属の形態であり得る。実際には、実施例1に記載した方法は、その全体が参照により本明細書に既に組み込まれている出願人らの先行特許出願第13/464.005号に従って純銅製の4つの膣治療デバイスを銅金属として用いて行われた。この場合、使用した各膣治療デバイスは、長さ3.25インチ×幅0.750インチ、壁厚0.031インチであり、25.5gの純銅が提供された。実施例1に記載した方法で使用した生体適合性生理食塩水は、B.Braun Medicalから市販されている。生体適合性食塩水の代替物として、酢酸でpH5(±0.4)に緩衝化された膣模擬流体(VSF)が生体適合性溶液として使用できるが、24時間にわたる銅金属からの銅イオンの浸出が少ない。VSFは、公開文献、例えばOwen, D. H.、Katz, D. F.、「A Vaginal Fluid Simulant」、Contraception、91~95頁(1999)に従って調製できる。実施例1に記載される方法は、銅金属を溶液に入れる前に溶液を加熱する工程を排除するように修正されてもよい。後者の場合、銅金属および未加熱溶液を容器に入れ、密閉蓋を有する容器を37℃の恒温器に入れ、溶液が37℃に達したら、加熱した溶液および銅金属を有する容器をオーブンに24時間残留させる。銅金属は、様々な方法で、例えば金属を溶液から持ち上げることによって、または溶液だけを別の容器に注入することによって、溶液から取り出すかまたは分離することができる。当然ながら、実施例1で使用した生体適合性食塩水および固体銅金属(mental)の量は、各プロセスで大量の銅イオン含有溶液を製造するために比例的に増加させてもよい。
【0032】
銅イオン含有溶液が、実施例1に記載したように、24時間かけて46mgの銅金属から生理食塩水に浸漬させた大量の銅イオンを含有する場合、広範囲の身体状態を処置するのに最も高い有効性があると考えられる。しかし、実施例1に記載した方法は、実施例2、3および4において以下で説明されるように、加熱した食塩水および銅金属を含有する容器を恒温器またはオーブンに残留させる時間の長さを調整することによって、低濃度の銅イオンを得るために修正され得ることが理解されるべきである。
【0033】
[実施例2]
この実施例は、食塩水および銅金属を含有する容器を、37℃のオーブンに1時間残留させて、8.8mgと等しいまたは実質的に等しい量の銅イオンを含有する銅イオン含有溶液を得ることを除いては、実施例1の工程に従う。
【0034】
[実施例3]
この実施例は、食塩水および銅金属を含有する容器を、37℃のオーブンに8時間残留させて、22mgと等しいまたは実質的に等しい量の銅イオンを含有する銅イオン含有溶液を得ることを除いては、実施例1の工程に従う。
【0035】
[実施例4]
この実施例は、容器が食塩水および銅金属を含有し、37℃のオーブンに72時間残留させて、35mgと等しいまたは実質的に等しい量の銅イオンを含有する銅イオン含有溶液を得ることを除いては、実施例1の工程に従う。
【0036】
その元の形態、すなわち実施例1~4の方法の最後の銅イオン含有溶液は、銅イオン処置薬として身体の様々な解剖学的領域の解剖学的組織に直接塗布されて、様々な身体状態を処置することができる。様々な容器またはボトルが、大量の銅イオン含有溶液を保持し、銅イオン含有溶液を意図される解剖学的使用領域に従って解剖学的組織に分配または塗布するために使用できる。銅イオン含有溶液はまた、解剖学的組織への銅イオン含有溶液、したがって銅イオンのデリバリーまたは塗布を促進する銅イオン処置薬を形成するために、クリーム、ローション、ゲル、フォーム、ペースト、他の溶液、タンポン、坐剤、ボディワイプ、創傷被覆材、例えばバンドエイドおよびパッド、皮膚パッチならびに縫合材料を含む様々な担体と組み合わせて使用できる。銅イオン含有溶液のコンシステンシーをその元の形態から変化させて、厚みのある銅イオン処置薬を得、解剖学的組織へのそのデリバリーまたは塗布を促進することが有利である場合、クリーム、ローション、ゲル、フォームおよびペーストを使用できる。銅イオン処置薬を解剖学的組織に塗布した場合に銅イオンが解剖学的組織と接触した結果として、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態もしくは症状の低減および/もしくは予防、COVID-19によって引き起こされる状態もしくは症状の低減および/もしくは予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/もしくはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態もしくは症状の低減および/もしくは予防、インフルエンザAおよび/もしくはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態もしくは症状の低減および/もしくは予防、放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)の低減および/もしくは予防、抗細菌、抗菌、消毒、抗真菌、抗ウイルス、抗病原体、抗炎症、殺精子、フリーラジカルの中和、治癒および組織修復の促進、バイオフィルムの予防ならびに免疫強化効果を含む局所および全身治療効果が実現される。特に、身体の生殖器-直腸領域、口腔-呼吸器-耳領域および皮膚科領域の解剖学的組織は、薬物および医薬の局所および全身デリバリーに好ましいため、銅イオン処置薬がこれらの領域の解剖学的組織で用いられた場合、これらの効果は実現される。
【0037】
本開示の態様によれば、銅イオン含有溶液は、銅イオン含有溶液の量が、好ましくは銅イオンクリームの総重量の5重量%~30重量%の範囲である、銅イオン含有クリーム、すなわち銅イオンクリームを形成するために、適当な局所クリーム基剤と組み合わされる。実施例5、6,7および8は、実施例1の銅イオン含有溶液を用いて本開示のこの態様に従って製造される銅イオンクリームに関する。
【0038】
[実施例5]
適当量の銅イオン含有溶液を、生体適合性局所クリーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が、銅イオンクリームの総重量の5%を構成する、銅イオンクリームを形成する。
【0039】
[実施例6]
適当量の銅イオン含有溶液を、生体適合性局所クリーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が、銅イオンクリームの総重量の10%を構成する、銅イオンクリームを形成する。
【0040】
[実施例7]
適当量の銅イオン含有溶液を、生体適合性局所クリーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が、銅イオンクリームの総重量の20%を構成する、銅イオンクリームを形成する。
【0041】
[実施例8]
適当量の銅イオン含有溶液を、生体適合性局所クリーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンクリームの総重量の30%を構成する、銅イオンクリームを形成する。
【0042】
様々な局所クリーム基剤が、実施例5、6,7および8の銅イオンクリームを形成するための銅イオン含有溶液の担体として使用できる。使用できる1つの好適な局所クリーム基剤は、Professional Compounding Centers of America (PCCA)、Houston、Tex製のVersaBase(登録商標)クリームである。銅イオンクリームで使用できる別の好適な局所クリーム基剤は、Pharmaceutical Specialtie、Inc.、Rochester、Minn製のVanicream(登録商標)である。根底にある状態を対象とする銅イオンクリーム中の唯一の活性成分が銅イオン含有溶液である場合、銅イオンクリームは、処置される身体状態に対して有効である。しかし、銅イオンクリームは、処置される根底にある状態に対して活性成分ではない、局所クリーム基剤に添加される他の成分、例えば保存料、浸透性添加剤、生体接着剤および安定助剤を含有していてもよい。好ましくは、様々な強度で少なくとも70g、より好ましくは80gの総重量の銅イオンクリーム、すなわち銅イオンクリームの総重量に対して5%、10%、20%および30%の銅イオン含有溶液が、銅イオンクリームが分配され得る容器、ボトルまたはチューブにおける使用のために提供される。銅イオンクリームは、上記の代替の銅イオン含有溶液を用いて製造され得ることが理解されるべきである。
【0043】
本開示のさらなる態様によれば、銅イオン含有ゲル、すなわち銅イオンゲルの形態の局所銅イオン処置薬は、実施例1の銅イオン含有溶液を利用する実施例9、10、11および12で以下に例示される銅イオン含有溶液および好適な局所ゲル基剤からなる。銅イオンゲル中の銅イオン含有溶液の量は、好ましくは銅イオンゲルの総重量の5重量%~30重量%の範囲である。
【0044】
[実施例9]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所ゲル基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンゲルの総重量の5%を構成する銅イオンゲルを形成する。
【0045】
[実施例10]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所ゲル基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンゲルの総重量の10%を構成する銅イオンゲルを形成する。
【0046】
[実施例11]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所ゲル基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンゲルの総重量の20%を構成する銅イオンゲルを形成する。
【0047】
[実施例12]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所ゲル基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンゲルの総重量の30%を構成する銅イオンゲルを形成する。
【0048】
様々な局所ゲル基剤が、銅イオンゲルを形成するための銅イオン含有溶液の担体として使用できる。実施例9~12で使用できる好適な局所ゲル基剤の一例は、PCCA製のVersaBase(登録商標)ゲルである。銅イオンクリームについて上で説明したように、銅イオンゲル中の唯一の活性成分が銅イオン含有溶液である場合、銅イオンゲルは有効であるが、処置される根底にある状態に対して不活性である他の成分が、局所クリームゲルに添加されてもよい。好ましくは、様々な強度で少なくとも70g、より好ましくは80gの総重量の銅イオンゲル、すなわち銅イオンゲルの総重量に対して5%、10%、20%および30%の銅イオン含有溶液が、銅イオンゲルが分配され得る容器、ボトルまたはチューブにおける使用のために提供される。また、銅イオンゲルは、代替の銅イオン含有溶液を用いて製造されてもよい。銅イオンゲルは、薄い流体稠度を有するように製造されてもよく、このようなゲルは、銅イオンセラムとして使用できる。
【0049】
本開示のさらなる態様によれば、銅イオン含有溶ローション、すなわち銅イオンローションの形態の局所銅イオン処置薬は、実施例13、14、15および16で表される銅イオン含有溶液および好適な局所ローション基剤からなる。実施例13~16は、実施例1の銅イオン含有溶液を利用するが、銅イオンローションは、代替の銅イオン含有溶液を用いて製造されてもよい。銅イオンローション中の銅イオン含有溶液の量は、好ましくは、銅イオンローションの総重量の5重量%~30重量%の範囲である。銅イオンゲルは、薄い流体稠度を有するように製造されてもよく、このようなゲルは、銅イオンセラムとして使用できる。
【0050】
[実施例13]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所ローション基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンローションの総重量の5%を構成する銅イオンローションを形成する。
【0051】
[実施例14]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性ローション基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンローションの総重量の10%を構成する銅イオンローションを形成する。
【0052】
[実施例15]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性ローション基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンローションの総重量の20%を構成する銅イオンローションを形成する。
【0053】
[実施例16]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性ローション基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンローションの総重量の30%を構成する銅イオンローションを形成する。
【0054】
様々な局所ローション基剤が、実施例13~16の銅イオンローション中の銅イオン含有溶液の担体として使用できる。使用できる1つの好適な局所ローション基剤は、PCCA製のVersaBase(登録商標)ローションである。銅イオンクリームおよびゲルについて上で説明したように、銅イオンローション中の唯一の活性成分が銅イオン含有溶液である場合、銅イオンローションは処置される身体状態に対して有効であるが、他の非活性成分が局所ローション基剤に添加されてもよい。好ましくは、様々な強度で少なくとも70g、より好ましくは80gの総重量の銅イオンローション、すなわち銅イオンローションの総重量に対して5%、10%、20%および30%の銅イオン含有溶液が、銅イオンローションが分配され得る容器、ボトルまたはチューブにおける使用のために提供される。
【0055】
本開示の別の態様によれば、銅イオン含有フォーム、すなわち銅イオンフォームの形態の局所銅イオン処置薬は、銅イオン含有溶液および好適なフォーム基剤からなる。以下に示す実施例17、18、19および20は、実施例1の銅イオン含有溶液を用いて本開示のこの態様に従って製造される銅イオンフォームまたは発泡溶液に関するが、銅イオンフォームまたは発泡溶液は、代替の銅イオン含有溶液を用いて製造されてもよい。銅イオンフォームまたは発泡溶液中の銅イオン含有溶液の量は、好ましくは銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量の5重量%~30重量%の範囲である。
【0056】
[実施例17]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所フォーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量の5%を構成する銅イオンフォームまたは発泡溶液を形成する。
【0057】
[実施例18]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所フォーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量の10%を構成する銅イオンフォームまたは発泡溶液を形成する。
【0058】
[実施例19]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所フォーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量の20%を構成する銅イオンフォームまたは発泡溶液を形成する。
【0059】
[実施例20]
適当量の銅イオン含有溶液を生体適合性局所フォーム基剤と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量の30%を構成する銅イオンフォームまたは発泡溶液を形成する。
【0060】
様々な局所フォーム基剤が、銅イオンフォームまたは発泡溶液を形成するための銅イオン含有溶液の担体として使用できる。実施例17~20で使用したフォーム基剤に応じて、フォーム基剤と銅イオン含有溶液の組合せは、フォームの形態であり得る。代替的には、使用できるいくつかのフォーム基剤は、銅イオン含有溶液と組み合わせた場合発泡溶液となり、発泡溶液は典型的には、実際のフォームを形成するために適当なディスペンサーを必要とする。使用できる好適な局所フォーム基剤の一例は、PCCA製のVersaBase(登録商標)フォームである。実施例17~20のフォーム基剤としてVersaBase(登録商標)を使用した場合、発泡溶液が得られ、これはフォームを形成するためにフォームディスペンサーを必要とする。銅イオンクリーム、ゲルおよびローションについて上で説明したように、銅イオンフォーム中の唯一の活性成分が銅イオン含有溶液である場合(when)、銅イオンフォームは処置される身体状態に対して有効である(win)。しかし、処置される状態に対して不活性である他の成分が局所フォーム基剤に添加されてもよい。様々な強度で少なくとも70g、より好ましくは80gの総重量の銅イオンフォームまたは発泡溶液、すなわち銅イオンフォームまたは発泡溶液の総重量に対して5%、10%、20%および30%の銅イオン含有溶液が、銅イオンが分配され得るディスペンサーに設けられることが好ましい。
【0061】
本開示のさらなる態様によれば、銅イオン含有ペースト、すなわち銅イオンペーストの形態の局所銅イオン処置薬は、銅イオン含有溶液および好適なペースト基剤からなる。以下に示す実施例21は、実施例1の銅イオン含有溶液を用いて本開示のこの態様に従って製造される銅イオン歯磨き粉に関するが、銅イオンペーストはまた、代替の銅イオン含有溶液を用いて製造されてもよい。銅ペースト中の銅イオン含有溶液の量は、好ましくは銅イオンペーストの総重量の5重量%~30重量%の範囲である。
【0062】
[実施例21]
適当量の銅イオン含有溶液を歯磨き粉基剤材料と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオン歯磨き粉の総重量の5%~30%の範囲を構成する銅イオン歯磨き粉を形成する。
【0063】
実施例21で使用した歯磨き粉基剤は、主要なブランド名で市場に出て販売されている歯磨き粉のいずれかを含む市販の歯磨き粉であってよい。実施例21に従って製造される歯磨き粉は、個人の通常の歯磨き粉の代わりに毎日使用した場合、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、COVID-19によって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、口を冒す放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)の低減および/または予防、口臭、歯肉痛、歯肉疾患、歯垢、バイオフィルムおよび虫歯の処置に有利である。
【0064】
本開示のさらなる態様によれば、銅イオン含有溶液は、代替の銅イオン溶液を形成するために様々な基剤溶液と組み合わされてもよい。以下に示す実施例22は、実施例1の銅イオン含有溶液を用いて本開示のこの態様に従って製造される銅イオン洗口液に関するが、銅イオン溶液はまた、実施例2~4の代替の銅イオン含有溶液を用いて製造されてもよい。代替の銅イオン溶液中の銅イオン含有溶液の量は、好ましくは銅イオン溶液の総重量の5重量%~30重量%の範囲である。
【0065】
[実施例22]
適当量の銅イオン含有溶液を洗口液基剤溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が銅イオン洗口液の総重量の5%~30%の範囲を構成する銅イオン洗口液を形成する。
【0066】
実施例22で使用した洗口液基剤溶液は、主要なブランド名で市場に出て販売されている洗口液のいずれかを含む市販の洗口液であってよい。実施例22に従って製造される洗口液は、毎日使用した場合、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、COVID-19によって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、口を冒す放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)の低減および/または予防、口臭、歯肉痛、歯周病および虫歯の処置に有利である。
【0067】
ローション、ゲル、フォームおよび他の溶液の性質を持つ担体に関する上記の説明は、石鹸成分を含有するローション、ゲル、フォームまたは他の溶液基剤を担体として使用することによって、銅イオン石鹸の性質を持つ銅イオン処置薬を形成するのに特によく適している。銅イオン石鹸は、ボディソープまたは食器洗い洗剤としての使用のために設計され得る。
【0068】
図1は、銅イオン処置薬、特にその元の形態、例えば、実施例1~4から生じる形態の銅イオン含有溶液、および銅イオンローションを分配するのに有用なデバイス10を示す。デバイス10は、銅イオン含有溶液を保持し、出口オリフィス16を有するスプレーポンプノズル14を有する容器またはボトル12を含む。スプレーポンプノズル14は、容器12から離れて上方向に典型的にはバネによって弾性的に付勢されるが、スプレーポンプ作用を行うように容器12に向かって下方向に押し下げ可能である。スプレーポンプノズルが、典型的には容器を保持する手の指を用いて手動で全量(full amount)押し下げられるたびに、予測可能な量の銅イオン含有溶液が、出口オリフィス16からスプレーまたはストリームの形態で放出される。容器12は、使用と使用の間はスプレーポンプノズル14の上に配置される取り外し可能な保護カバー18を含み得る。使用中、出口オリフィス16は、解剖学的組織が、出口オリフィスから分配されるスプレーまたはストリームの範囲内にある十分に近い距離で、処置される解剖学的組織に沿って配置される。次いで、スプレーポンプノズル14は、指を用いて全量押し下げられ、予測可能な量の銅イオン含有溶液を解剖学的組織上に送達またはスプレーする。スプレーポンプノズル14は、当然ながら、銅イオン含有溶液の複数のスプレーまたはストリームを組織に送達するために、複数回押し下げられてもよい。デバイス10は、口および咽頭内の解剖学的組織、皮膚の解剖学的組織、ならびに外性器および直腸領域の解剖学的組織と接触するようにその元の形態の銅イオン含有溶液を分配するのに特に有用である。デバイス10はまた、銅イオンローションを分配するのに適応され得るが、このような場合、銅イオンローションは典型的には、リボン、塊またはストリーム状の物質の形態で分配される。後者の場合、銅イオンローションは処置される組織に直接、またはローションを処置される組織に塗布するために用いられる手のひらもしくは指に分配され得る。銅イオンローションは、皮膚、外性器および直腸領域、ならびに膣での使用に最善であり得る。
【0069】
銅イオン処置薬、特にその元の形態の銅イオン含有溶液を分配するのに有用な別のデバイス20が図2に示される。デバイス20は、デバイス10に類似しており、出口オリフィス26を有するスプレーポンプノズル24を有する容器またはボトル22を含む。しかし、デバイス20は、スプレーポンプノズル24に取り付けられた細長い中空延長部28をさらに含む。延長部28は、スプレーポンプノズル24の出口オリフィス26と連結した第1の端部を有し、放出開口部29を有する幅広端面を有する対向する第2の端部を有する。好ましくは、複数の放出開口部29は、図2において点線で示される幅広いスプレーパターンを得るために、点線で示される幅広端面に沿って設けられる。スプレーポンプノズル24が、手動で全量押し下げられるたびに、予測可能な量の銅イオン処置薬が、延長部28の端部の放出開口部29からスプレー形態で放出される。延長部の第2の端部の幅広端面および複数の放出開口部は、デバイス10より幅広いスプレーパターンを提供する。デバイス20は、スプレーポンプノズルなしで設計されてもよく、容器22は、強制的に銅イオン処置薬を放出開口部29から放出させるように圧搾可能である。延長部28は、デバイス20を保管しやすいように、スプレーポンプノズル24に対して選択的に取り外し可能/取り付け可能であり得る。デバイス20は、使用と使用の間はノズル24の上に配置される取り外し可能な保護カバー(図示せず)を含み得る。デバイス20は、口、咽頭および気道の奥の解剖学的組織と接触するように銅イオン処置薬を分配するためのアトマイザーとして特に有用である。
【0070】
図3に示すデバイス30はまた、銅イオン処置薬、特にその元の形態の銅イオン含有溶液を分配するのに有用である。デバイス30は、銅イオン処置薬を保持し、容器32のキャップに取り付けられた出口オリフィス36を有する先細スポイト(tapered dropper)または延長部34を有する圧搾可能な容器またはボトル32を含む。使用中、容器32は、スポイトの先端に位置する出口オリフィス36が処置される解剖学的組織に対面するように位置決めされる。次いで、容器32は、指で圧搾され、このような指圧に対応して、予測可能な量の銅イオン処置薬の個々の液滴が出口オリフィス36から放出される。代替的には、延長部34は、図3において点線で示されるスプレーの形態で銅イオン処置薬を放出するように設計されてもよく、これは、鼻/耳のスプレーとして特に有用である。スポイト/延長部34の先細構造は、鼻孔(鼻腔)および耳(外耳道)でのその配置を容易にする。容器32は、使用と使用の間はスポイト34上に配置される取り外し可能な保護カバー38を含み得る。デバイス30は、鼻(鼻孔)、耳(外耳道)、皮膚および爪内の解剖学的組織と接触するように銅イオン処置薬を分配するのに特に有用である。
【0071】
銅イオン処置薬を分配するためのさらなるデバイス40が図4に示される。デバイス40は、銅イオン処置薬を保持し、キャップの底面に取り付けられたブラシ45を有する取り外し可能なキャップ44を有する容器またはボトル42を含む。典型的には、キャップ44は、容器42の首部にねじ込まれる。キャップ44が容器42に配置されると、ブラシ45は、容器内に延び、銅イオン処置薬43中に配置される。キャップ44を容器42から取り外したら、キャップ44は、銅イオン処置薬をブラシ45から解剖学的組織に沈着させるために、処置される解剖学的組織をブラシ45と接触させるように指および手を用いて操作され得る。デバイス40は、銅イオン処置薬を皮膚および爪に塗布するのに特に有用である。ブラシ45は、キャップ44から除去されてもよく、この場合、デバイス40が、適当な大きさで形成されている場合、銅イオン溶液、例えば銅イオン洗口液を保持するのに有利である。
【0072】
図5に例示するデバイス50は、クリーム、ローション、ゲルおよびペーストとして形成される銅イオン処置薬を分配するのに特に有用である。デバイス50は、銅イオン処置薬を保持し、チューブの開口端または首部56に配置された取り外し可能なキャップ54を有する、圧搾可能なチューブの形態の容器52を含む。典型的には、キャップ54は、チューブの首部56の雄ねじ55に螺合される。キャップ54は穿孔形成部57を有していてもよく、これは最初に使用する前に開口首部56を覆う任意のシールを穿刺するために用いられ得る。キャップ54を取り外したら、穿孔形成部57は、シールに押し付けられ、キャップ54はチューブ52の方向に押されて、シールを穿刺する。シールが貫通したら、チューブ52は、好ましくはチューブの下部から上方に向かって(working upward)圧搾され得、銅イオン処置薬をチューブの開口首部56から分配させる。デバイス50は、銅イオン処置薬を指または手のひらに分配するのに特によく適しており、この場合には、処置薬を解剖学的組織、特に皮膚ならびに外性器および直腸領域の組織に塗布するために用いられる。しかし、銅イオン処置薬は、処置される解剖学的組織に直接圧搾されてもよい。加えて、銅イオン処置薬が、歯磨き粉としての使用のためのペーストまたは他の好適な形態である場合、デバイス50は、従来の方式で銅イオン処置薬を歯ブラシ上に分配するのに特によく適している。以下でさらに説明するように、デバイス50は、膣アプリケーターとの使用に特によく適している。
【0073】
図6および7は、銅イオン処置薬を分配するのに有用なさらなるデバイス60を示す。デバイス60は、銅イオンローションを分配するのに特に有利である。デバイス60は、銅イオン処置薬を保持し、ボトルの開口端または首部に配置されたキャップ64を有する容器またはボトル62を含む。キャップ64は、取り外し可能であっても、取り外し不可能であってもよい。キャップ64の上面は、その側端に沿って出口オリフィス66を有する旋回可能な部材またはディスク65によって形成される。図6は、旋回式部材65が、キャップ64に対して水平位にあり、出口オリフィス66がキャップ64内に配置され、露出していない閉じた状態のキャップ64を示す。旋回可能な部材65が、図7に矢印で示すように、出口オリフィス66に対向する位置で容器62に向かって下方に押し下げられると、キャップ64は、図7に示すように開いた状態を呈し、そこで旋回可能な部材65は、キャップ64に相対する角度で配置され、出口オリフィス66は、キャップ64のわずかに上に位置する露出した位置にある。使用中、旋回可能な部材65は、手の1本または複数の指で圧力をかけて押し下げられる。図7に示すようにキャップ64が開いた状態であるとき、容器62は、容器中の銅イオン処置薬を出口オリフィス66から分配するために手動で圧搾され得る。キャップ64は、出口オリフィスに隣接する位置で旋回可能な部材65を下方に押すことによって閉じた(closed)位置に戻される。デバイス60は、銅イオン処置薬を処置される解剖学的組織に塗布するために用いられる手のひらまたは指に分配するのに有利であるが、デバイス60は、銅イオン処置薬を処置される解剖学的組織に直接分配するために用いられてもよい。
【0074】
図8に示すデバイス70は、銅イオンフォームの形態の銅イオン処置薬を分配するために使用できるデバイスの一例である。デバイス70は、銅イオンフォームまたは発泡溶液を保持し、出口オリフィス76を有する弾性的に付勢されるフォームポンプディスペンサー74を有する容器72を含む。フォームポンプディスペンサー74がデバイス10と同様の方式で全量押し下げられると、予測可能な量の銅イオンフォームが出口オリフィス76から放出される。必要な場合、デバイス70は、銅イオン処置薬がそこから放出されるようにフォームを形成するための機構を含み得る。デバイス70は、使用と使用の間はフォームポンプディスペンサー74上に配置される取り外し可能な保護カバー78を有し得る。デバイス70はまた、銅イオンローションおよびゲルを分配するのに適応され得る。
【0075】
図9は、銅イオン処置薬を膣に送達するのに有用な膣アプリケーター81を示す。膣アプリケーター81は、図10に示すようにデバイス50と組み合わせて特に有用である。また、膣アプリケーター81は、銅イオン処置薬がローション、クリームまたはゲルのいずれかの形態である場合の使用に特によく適している。膣アプリケーター81は、中空バレル83および中空バレル83にスライド可能に載置されたプランジャー85を含む。バレル83は、放出開口部89を規定する開口前端を有し、プランジャーの基部91が通過する後端壁を有する。基部91は、その一端が、それと密接したバレル内に配置された内部フランジ93に取り付けられる。プランジャーは、バレル83の外部に配置された基部91の対向端に取り付けられた指フランジ95を有し、フランジ95は、バレル83に対してプランジ85を選択的に押し下げたり、引き抜いたりするために手の指と係合可能である。デバイス50との使用のために、バレル83の前端は、チューブ52の首部56上の外部のねじ山55と螺合するための内部のねじ山97を備える。
【0076】
図10は、銅イオン処置薬がデバイス50のチューブ52から充填される膣アプリケーター81を例示する。図10に示すように、キャップ54は、チューブ52の首部56から取り外され、バレル83の前端は、ねじ山55と97の螺合を介して首部56にねじ込まれる。この段階で、プランジャー85は、内部フランジ93がバレル83の後端壁に当接するようにバレル83に対して完全に引き抜かれる。次いで、チューブ52は、98で表される銅イオン処置薬をチューブ52の開口首部56からバレル83に分配するために指圧を用いて圧搾される。バレル83が、特定の投与量の銅イオン処置薬の大きさに形成されている場合、十分な量の銅イオン処置薬が、チューブ52から分配されて、チューブ56の首部からバレルの後端壁と当接する内部フランジ93までのバレル83内の空間に完全に充填され得る。代替的には、印または他のマーク99が、バレル83に付されて、バレル83にチューブ52から銅イオン処置薬98を充填すべき地点を示すことができる。チューブの首部から内部フランジまでのバレル内の空間に充填する場合、銅イオン処置薬5gの用量に相当することが好ましい。バレル83に適当量の銅イオン処置薬98が充填されたら(filed)、バレル83は、ねじ山97をねじ山55から外すことによってチューブ52の首部56から外される。銅イオン処置薬98をアプリケーター81から分配するために、プランジャー85の指フランジ95は、指を用いてバレル83に向かって押し下げられ、それによりプランジャー85がバレル83に対して押し下げられると、内部フランジ93は銅イオン処置薬98を放出開口部89から押し出す。指フランジ95が、バレル83の後端壁と出会うと、銅イオン処置薬98は、アプリケーターから完全に放出される。アプリケーター81は、銅イオン処置薬をバレル85に供給するための他のデバイスと組み合わせて使用できることが理解されるべきである。また、アプリケーター81が、銅イオン処置薬98を予め充填した上での使用のために供給されてもよく、この場合、バレルの後端は、取り外し可能なキャップまたはシールを備える。アプリケーター81は、銅イオン処置薬を膣に供給するのに特に有利である。したがって、プランジャー85を押し下げて、銅イオン処置薬98をバレル83から放出する前に、バレル83の後端が膣の入口付近に位置するまで、バレル83の前端が膣に導入される。次いで、プランジャー85を押し下げたら、銅イオン処置薬98が、放出開口部89から膣に放出される。
【0077】
銅イオン処置薬を解剖学的組織に塗布するのに有用な別のタイプのアプリケーターが、図11に101で示される。アプリケーター101は、取っ手103および取っ手103の端部の一体の吸湿材料105を含むスワブの性質を持つ。アプリケーター101は、銅イオン処置薬を含有する容器またはボトル、例えば図4のデバイス40と組み合わせて使用できる。キャップ44をデバイス40のボトル42から取り外したら、アプリケーター101の取っ手103は、一体の吸湿材料105をボトル42内の銅イオン処置薬に浸漬するために、アプリケーター101を操作するために用いられる手で把持され得る。次いで、一体の吸湿材料105は、処置される解剖学的組織と静かに接触させ、それにより吸湿材料105によって運ばれた銅イオン処置薬を処置される解剖学的組織に沈着させることができる。アプリケーター101は、銅イオン処置薬を皮膚、爪、外耳道、鼻孔、口および咽頭の局所領域に塗布するのに最もよく適している。当然ながら、スワブアプリケーター101は、銅イオン処置薬が予め供給された複数体の吸湿材料105を有する密封パッケージに設けられ得ることが理解されるべきである。
【0078】
銅イオン処置薬を膣に送達するために使用できる別のタイプの担体はタンポンである。用いられるタンポンは、市販のタンポンまたはそれに類似したものであってよい。タンポンは、吸湿タンポン本体を含有するバレル、およびタンポン使用の一般的に知られる方式で、前端が適当な距離で膣に導入されたら、バレルの開口前端から吸湿タンポン本体を配置または排出するようにバレル内にスライド可能なプランジャーを含むアプリケーターを有するものであってよい。この場合、適当量の銅イオン処置薬は、膣へのアプリケーターの導入且つアプリケーターから膣への吸湿タンポン本体の排出前に、バレルの開口前端から吸湿タンポン本体に供給されてもよい。別の好適なタンポンは、アプリケーターなしのもの、すなわちデジタルタンポンであり得、吸湿タンポン本体は、それを指で押すことによって膣に挿入される。この場合、適当量の銅イオン処置薬は、単純には、膣へのその挿入前に吸湿タンポン本体に沈着させる。いずれの場合も、タンポンが、すぐに、または吸湿タンポン本体に適当量の銅イオン処置薬が備えられた直後に膣に挿入されない限り、タンポンは、銅イオン処置薬の蒸発を回避するために、その使用時まで密封容器またはパッケージに保管されるべきである。銅イオン処置薬が供給されたタンポン本体は、すぐに使用できる商用製品として、アプリケーターありまたはなしで密封容器またはパッケージに設けられ得ることが理解されるべきである。代替的には、適当量の銅イオン処置薬は、使用者によって、銅イオン処置薬と別個にまたはそれと組み合わせて販売されるタンポンの吸湿タンポン本体に沈着させてもよい。好ましくは、タンポン本体には、5~10mlの範囲の量の銅イオン含有溶液が供給される。
【0079】
図12は、中空バレル113および中空プランジャー115、ならびに適当量の銅イオン処置薬が供給され、プランジャー115の後端から延びるタンポン本体の紐120と共にバレル113に配置される吸湿タンポン本体118を有するアプリケーター111を含む本開示の態様によるタンポン110を例示する。プランジャー115は、タンポン本体118を押し、それをバレルの開口前端128から排出するように、バレル(banal)113内におよびそれに向かってスライド可能である。バレル113の前端128は、膣への導入および前進を促進するように先細になっており、タンポン本体118がそこを通過すると広がるスリットを備え得る。タンポン110は、取り外し可能なキャップまたは蓋124を有する気密容器またはボトル122内に設けられる。タンポン110を使用するために、蓋124はボトル122から取り外され、タンポン110はボトルから取り出される。タンポン110は、タンポンを使用する従来の方式で膣に挿入される。より詳細には、アプリケーター111は、バレル113の指グリップ126を把持することによって保持され、バレルの前端128が膣に挿入される。アプリケーター111は、指グリップ126を把持する指が膣の入口に接触するまで膣に前進させる。次いで、プランジャー115がバレル113に押し込まれ、このようにしてタンポン本体118をバレルの前端128から膣に排出させる。次いで、アプリケーター111が膣から引き抜かれ、処分され、タンポン本体118を膣内の所定の位置に放置する。タンポン本体118が膣に収まったら、タンポン本体によって運ばれた銅イオン処置薬は、膣の解剖学的組織と接触し、膣に通常存在する膣流体に漏出する。タンポン本体118は、紐120を把持して引っ張ることによって、適当な時期に膣から取り出される。本開示の態様によるタンポンの例は実施例23および24において以下に示される。
【0080】
[実施例23]
銅イオン処置薬を膣に送達するためのタンポンを、5mlの銅イオン含有溶液を、膣への導入が意図される吸湿タンポン本体に供給することによって調製する。
【0081】
[実施例24]
銅イオン処置薬を膣に送達するためのタンポンを、10mlの銅イオン含有溶液を、膣への導入が意図される吸湿タンポン本体に供給することによって調製する。
【0082】
実施例23および24で使用した銅イオン含有溶液は、実施例1に示す方法に従って得られるその元の形態の銅イオン含有溶液である。しかし、タンポンは、代替の銅イオン含有溶液または他の形態の銅イオン処置薬が供給されたタンポン本体に設けられ得ることが理解されるべきである。
【0083】
銅イオン処置薬を膣および直腸に送達するのに有用な別のタイプの担体は坐剤である。坐剤は、様々な活性成分または医薬を分配するための手段として、膣および直腸(肛門)に一般に用いられる。坐剤は、卵型、球状、円錐形および弾丸形状を含む様々な形状、および様々な大きさに製造される。坐剤は典型的には1~5gの範囲の重さである。坐剤は、好適な坐剤基剤材料と活性成分または医薬の混合物からなる固形物であってよい。代替的には、坐剤は、非固体活性成分または医薬を封入する坐剤基剤材料の固体外壁で製造され得る。坐剤で用いられる坐剤基剤材料は、膣または直腸(直腸または肛門管)において見出される湿度(体液)または熱(体温)に曝露された場合、溶解または溶融することが可能であり、それにより活性成分または医薬を膣または直腸に放出する。好適な坐剤基剤材料としては、ココアバター、テオブロマ油および合成トリグリセリドを含む油性(脂肪)基剤材料、またはグリセリン化ゼラチンおよびポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含む水溶性もしくは水混和性基剤材料が挙げられる。基剤材料は非毒性、非刺激性、不活性および生体適合性であることが好ましい。本開示の態様での使用に好適な坐剤は、圧縮成形および融合成形を含む坐剤を調製する従来の方法に従って、様々な方法で調製できる。本開示の態様による膣および直腸坐剤としての使用のための坐剤は、異なる大きさの膣および直腸の解剖学的構造に対応するように2つの異なる大きさ、すなわち3gの重さの坐剤および5gの重さの坐剤に好ましくは製造される。各大きさの坐剤は、坐剤の総重量に対して、活性成分、すなわち銅イオン処置薬の重量パーセントに基づき異なる強度に製造され得る。好ましくは、坐剤中の銅イオン含有溶液の量は、坐剤の総重量の5%から30%の範囲である。坐剤は、好ましくはプラスチック金型で形成され、室温で保管され得る。膣および直腸坐剤に含有される唯一の活性成分が銅イオン処置薬である場合、坐剤は処置される身体状態に対して有効である。しかし、膣および直腸坐剤が、処置される根底にある状態に対して不活性である追加の成分、例えば保存料、浸透性添加剤、生体接着剤および安定助剤を含有していてもよい。坐剤は、指を用いて膣および直腸に挿入されてもよく、または坐剤は、膣および直腸へのその挿入を促進するためにアプリケーターを備えていてもよい。本開示の態様による膣および直腸坐剤の例は実施例25~32に示され、これは実施例1の銅イオン含有溶液を利用する。しかし、代替の銅イオン含有溶液が実施例25~32で用いられてもよい。
【0084】
[実施例25]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の5%を構成する3gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0085】
[実施例26]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の10%を構成する3gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0086】
[実施例27]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の20%を構成する3gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0087】
[実施例28]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の30%を構成する3gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0088】
[実施例29]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の5%を構成する5gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0089】
[実施例30]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の10%を構成する5gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0090】
[実施例31]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の20%を構成する5gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0091】
[実施例32]
坐剤基剤材料を、適当量の銅イオン含有溶液と組み合わせて、銅イオン含有溶液が坐剤の総重量の30%を構成する5gの総重量を有する膣または直腸使用のための坐剤に成形する。
【0092】
図13は、各々銅イオン処置薬を含有する膣または直腸坐剤130を封入する相互連結パッケージまたはポッド(pod)132のストリップ131を例示する。ポッド132はミシン目ライン133によって互いに分離され、図13に示すように、ミシン目ライン133に沿って引き裂くことによって、ポッド132を互いに引き離すことができる。各ポッド132は、前および後壁135を有し、坐剤130はその間に保持される。前および後壁135は、その周辺端部に沿って互いに密着させる。図14に示すように、各ポッド132は、前および後壁135に各々取り付けられた一対の指タブ134を備え、指タブ134は、指を用いて反対方向に引っ張られて、対向壁135を分離し、それによりそこに含有される坐剤130を放出することが可能である。
【0093】
図15は、坐剤130を膣または直腸に送達する際の使用に好適なアプリケーター181を例示する。アプリケーター181は、アプリケーター81と類似しているが、バレル183の前端に内部ねじ山を有さない。加えて、アプリケーター181のプランジャー186は、バレル183内に2つの内部フランジ193aおよび193bを有し、フランジ193aは、プランジャーをバレルに対して引き抜くことができる距離を制御し、フランジ193bは、プランジャーが全量押し下げられたとき、坐剤をバレルから排出するのに役立つ。使用中、坐剤130は、図15に例示するバレル183の開口前端に手動で位置決めされる。バレル183の開口前端は、好ましくは、坐剤130を過度にぴったりでなく、きつくもない適所に保持するような大きさに形成される。プランジャー185は、バレル183に対して全量引き抜かれ、これは、バレル183の後端壁と内部フランジ193aの接触と同時に起こる。次いで、坐剤を保持するバレル183の前端が、膣または直腸(肛門)管に導入され、バレル183の後端を保持する指が膣または直腸管の入口に隣接または接触するまで、アプリケーター181が膣または直腸管に静かに押し込まれる。次いで、図15に矢印で示すように、指フランジ195は、バレル183に向かっておよびその中にプランジャー185を押し込むように押し下げられて、このようにしてフランジ193bを坐剤130と会合させ、坐剤をバレル前端から膣または直腸管に排出させる。次いで、アプリケーター181は、膣または直腸管から取り出され、坐剤を膣または直腸管に放置する。坐剤は、銅イオン処置薬が放出されて、膣または直腸管内の解剖学的組織と接触し、膣または直腸管に存在する体液と混合するように、膣または直腸管で溶融または溶解する。
【0094】
銅イオン処置薬を解剖学的組織に送達するために使用できる別のタイプの担体は、ボディワイプである。図16は、前および後壁203を有する密封パッケージ202に含有されたボディワイプ200を例示する。ボディワイプ200は、その周辺端に沿って密封された前および後壁203の間に保持される場合、折り畳んだ状態で配置される薄いシート状の材料を含む。前および後壁203の間に封入されたボディワイプ200は、湿式または湿潤銅イオン処置薬を含有する。前および後壁203は、その対応する角が指で把持され得、前および後壁203を分離し、それによりボディワイプ200をパッケージ202から取り出すために、ポッド132と同様に反対方向に引っ張られ得る。図16は、部分的に開いた状態のパッケージ202を示し、前および後壁203の対応する角部は、互いに剥がされ、それによりボディワイプ200に到達する。パッケージ202から取り出されたら、ボディワイプ200は、折り畳まれた状態のその大きさより実質的に大きいそのフルサイズに広げられ得、処置される解剖学的組織を拭き取る(wipe)ために使用でき、銅イオン処置薬を解剖学的組織に移動させる。ボディワイプ200は、銅イオン処置薬を皮膚ならびに外陰部および直腸領域に塗布するのに有利である。
【0095】
銅イオン処置薬のための別のタイプの担体は創傷被覆材、例えばバンドエイド、ガーゼパッドまたは同様のデバイスである。このような担体は、皮膚の感染領域を一次的に覆い、保護するように皮膚に除去可能に塗布される市販の製品から選択できる。図17は、皮膚に接触して配置される表面301を有する創傷被覆材300の性質を持つ担体を示す。表面301は、創傷上に位置決めされる保護面302、および表面302を取り囲む接着界面を含む。使用中、銅イオン処置薬、例えば元の形態の銅イオン含有溶液は、皮膚に隣接してまたは接触して塗布される担体の表面302に大量にスプレーされ得る。次いで、担体の表面302が皮膚に隣接してまたは接触して塗布され、担体がしばらくの間皮膚の適所に放置されると、銅イオンは皮膚に接触または移動し、上記の治療効果をもたらす。当然ながら、ボディワイプ200と同様に、担体に銅イオン処置薬が予め供給されるかまたは担体が銅イオン処置薬を用いて予め処理される密封パッケージにこのタイプの担体を設けることが可能である。
【0096】
銅イオン処置薬のためのさらなるタイプの担体は、図18において400で表される皮膚パッチ、例えば真皮パッチまたは経皮パッチである。皮膚パッチ400は、接着界面402で取り囲まれた銅イオン処置薬を含有する薬物デリバリー面401を有する。パッチは皮膚に塗布され、薬物デリバリー面を皮膚と接触させてしばらくの間放置し、銅イオンを皮膚全体に拡散させ、そこで銅イオンは局所的に作用し得るかまたは広範な全身効果のために毛細管に浸透し得る。好適な経皮パッチの例は、3M Corporation製の経皮およびマイクロニードル3M Drug Delivery Systems(transdermal and microneedle 3M Drug Delivery Systems)である。
【0097】
銅イオン処置薬のためのさらなるタイプの担体は、図19において500で表される縫合材料であり、外部または内部の切開または創傷を閉じるかまたは縫合する、すなわち「縫い合わせる」ために医療専門家により用いられる。従来の縫合材料であり得る縫合材料500を使用する前に、縫合材料は、縫合材料を溶液で覆うかまたは飽和させるために、銅イオン含有溶液にしばらくの間浸漬され得る。縫合材料はまた、銅イオン含有溶液を含有する密封パッケージに保管されてもよい。次いで、縫合材料500が、図19に示すように、解剖学的組織Tに縫合または縫い目を形成するために用いられると、溶液中の銅イオンは、解剖学的組織と接触し、既に記載した治療効果をもたらす。
【0098】
本明細書に記載される銅イオン含有溶液および他の形態の銅イオン処置薬は、身体の生殖器-直腸領域[膣、外陰部、陰茎、陰嚢、直腸(肛門)、直腸(肛門)管および周辺の解剖学的領域]、口腔-呼吸器-耳領域(口、咽頭、気道、鼻孔および耳)および皮膚科領域(皮膚および爪)を含む、身体の様々な領域の解剖学的組織に使用できる。銅イオン処置薬により提供される処置効果は、活動性または既存疾患および他の望ましくない身体状態の処置、ならびにこのような疾患および状態の予防を包含する。銅イオン処置薬は、細菌、ウイルスおよび真菌を含む有害なまたは望ましくない病原体および微生物を死滅させるかまたは中和するその能力についてとりわけ有益である。銅イオン処置薬は、解剖学的組織に局所的に塗布され、解剖学的組織を冒す疾患および望ましくない身体状態に対して局所効果を有するが、銅イオン処置薬はまた、疾患および望ましくない身体状態に対して広範な全身効果を有する。銅イオン処置薬で実現される効果としては、抗細菌、抗菌、消毒、抗真菌、抗ウイルス、抗病原体、抗炎症、殺精子、フリーラジカルの中和、治癒および組織修復の促進、バイオフィルムの予防ならびに免疫強化効果が挙げられる。銅イオン処置薬で処置可能である疾患または状態としては、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、COVID-19によって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)、膣炎、細菌性膣疾患、痔、膣の乾燥、膣pHの不均衡、淋病、クラミジア、連鎖球菌およびブドウ球菌によって引き起こされる細菌感染、トリコモナスによって引き起こされる原中感染、骨盤内炎症性疾患、ヘルペス(IおよびII)、HPVおよびHIVによって引き起こされるウイルス感染、イーストカンジダ、鵞口瘡および他の真菌によって引き起こされる真菌感染、性的伝染性疾患への曝露、ならびに望まれない妊娠のリスク(避妊)の低減および/または予防が挙げられる。銅イオン処置薬で処置可能である口腔-呼吸器-耳領域を冒す疾患または状態としては、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、COVID-19によって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)、淋病、クラミジア、連鎖球菌およびブドウ球菌によって引き起こされる細菌感染、トリコモナスによって引き起こされる原中感染、ヘルペス(IおよびII)、HPVおよびHIVによって引き起こされるウイルス感染、口内炎、口のびらん、口腔内潰瘍、感冒、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、咽頭痛、鼻汁、鼻詰まり、鼻水、気管支炎、アレルギー、喘息、扁桃炎、喘鳴、くしゃみ、耳の感染、耳痛、耳部圧迫感、咳、嗄声、咽頭炎、歯肉痛、歯周病、口臭および虫歯の低減および/または予防が挙げられる。銅イオン処置薬で処置可能である皮膚科領域を冒す疾患または状態としては、コロナウイルス感染の処置、COVID-19ウイルス感染の処置、コロナウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、COVID-19によって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザウイルス感染の処置、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染の処置、インフルエンザウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルスによって引き起こされる状態または症状の低減および/または予防、放射線障害の症状(例えば放射線皮膚炎)、ブドウ球菌、連鎖球菌、エンテロバクター、大腸菌およびシュードモナスによって引き起こされる細菌感染、帯状疱疹および関連するヘルペス後神経痛(PHN)(帯状疱疹の後に続き得る慢性の疼痛状態)、ヘルペス(IおよびII)およびHPVによって引き起こされるウイルス感染、真菌感染、例えば足白癬、白癬および足指爪の真菌、膿痂疹、酒さ、乾癬、湿疹、疣贅、日光/風による損傷(日焼け、放射線損傷の形態を含む)、乾燥皮膚、シミ、色素沈着、瘢痕、疱疹、おでき、嚢胞、面皰、切り傷、引っ掻き傷、熱傷、擦過傷、表在性異物、咬虫および虫刺傷、動物咬傷および引っ掻き傷、潰瘍、弾力またはコラーゲンの喪失、皺、たるんだ皮膚、ざ瘡、麻疹、水疱、ならびに日常生活上避けられない結果である皮膚上の病原体および微生物の存在の低減および/または予防が挙げられる。臨床試験の結果に基づき、銅イオン処置薬は、細菌性膣疾患、淋病およびクラミジアを引き起こす細菌、ならびにヘルペス(IおよびII)およびHIVの原因であるウイルスを6時間で99.99%の死滅率で死滅させることが予想される。したがって、銅イオン処置薬は、本明細書に記載される疾患および状態を「治療」し、このような疾患および状態の出現または発生を予防するのに十分有効である。同様に、銅は、ブドウ球菌、連鎖球菌、エンテロバクター、トリコモナス、大腸菌およびシュードモナスを死滅させるかまたは不活性にすることが可能であると証明された。銅イオン処置薬は、安全かつ非毒性でありながら、様々な異常なまたは望ましくない身体状態を処置するのに極めて有効である。特に、銅の毒性は、世界保健機関(WHO)が、銅の摂取に対して上限を設定する必要がないことを決定したほど稀である。したがって、銅イオン処置薬は、過剰摂取または不適切な使用について懸念せずに安全に使用できる。さらに、多くの細菌および生物が従来の抗生物質に対して耐性を発生させたかまたは発生過程にあることと比較して、銅に対して耐性を発生させることが可能な細菌または他の有害な微生物はこれまでに見出されていないと考えられる。銅は細菌を非常に迅速に死滅させ、生存菌(survivors)をほぼ残さないため、銅の多標的作用(multi-target effects)により、細菌が耐性になる可能性は極めて低い。結果的に、細菌が、銅の死滅効果に抵抗する方法を「学習」する時間も、何らかの知識を生存菌の有意な集団に伝達する可能性もない。銅イオン処置薬は、幅広い疾患および身体状態を処置するのにある程度の有効性かつ安全性を提供し、これは同じ状態を処置するのに利用できる従来の医薬および非医薬製品および薬物を上回る。
【0099】
本技術の態様によれば、身体の口腔領域、すなわち口、咽頭および気道を冒す状態は、実施例33において以下に記載されるように、銅イオン含有溶液を、口腔内の解剖学的組織にスプレーすることによって処置され、これは実施例1に従って調製した銅イオン含有溶液を利用する。しかし、他の銅イオン含有溶液が、実施例33の方法で用いられてもよい。実施例33に示す方法は、銅イオン含有溶液を口腔内の解剖学的組織にスプレーするために図1および2のデバイス10または20を用いて行われ得るが、図2のデバイス20は、口腔の奥まで達するその能力により、咽頭、扁桃腺および気道を冒す状態を処置する場合に好ましいであろう。
【0100】
[実施例33]
診断または症状の発症後早急に、スプレーポンプノズル14または24の2連続ポンプを用いて銅イオン含有溶液を咽頭にスプレーして、ノズルからの2スプレーの銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を咽頭に送達する。銅イオン含有溶液を咽頭にスプレーした後少なくとも30分間、好ましくは1時間は飲食を避ける。数日間連続して4時間ごとに繰り返す。
【0101】
実施例33の方法が行われるべき連続日数は、処置される状態、状態の重症度、および患者の病歴に従って医療専門家のアドバイスに基づくものであり得る。典型的には、方法は、5~7日間連続、最も好ましくは7日間連続して行われるべきであるが、方法は、より重篤または頑固な状態を処置する場合長期間行われてもよい。銅イオン含有溶液中の銅イオンが咽頭および口腔の解剖学的組織と接触し、口腔で見出される唾液と混合した結果として、抗細菌、抗菌、消毒、抗真菌、抗ウイルス、抗病原体、抗炎症、殺精子、フリーラジカルの中和、治癒および組織修復の促進、バイオフィルムの予防ならびに免疫強化効果を含む局所(口腔)および全身効果が実現される。実施例33の方法は、感冒、咽頭痛、扁桃炎、咳、気管支炎、アレルギー、嗄声および咽頭炎のうちの1つまたは複数を含む口腔領域を冒す状態を処置するのに特に有利である。実施例33に示す方法はまた、連鎖球菌、ブドウ球菌、トリコモナス、真菌性疾患、鵞口瘡、ヘルペス(IおよびII)、HIV、HPV、クラミジアおよび淋病のうちの1つまたは複数を含む状態が口腔を冒すかまたはそこに生じた場合、このような状態を処置するために使用できる。
【0102】
口腔内の解剖学的組織を冒す口内炎、口のびらんおよび口腔内潰瘍を処置する方法が、実施例34において以下に記載される。実施例34の方法は、実施例1に従って調製した銅イオン含有溶液を利用する;しかし、他の銅イオン含有溶液が用いられてもよい。実施例34の方法は、銅イオン含有溶液を分配するために図1のデバイス10を用いて行われるのが最善であり得る。
【0103】
[実施例34]
口腔内の解剖学的組織での口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍の初期症状後早急に、スプレーポンプノズル14の2連続ポンプを用いて、銅イオン含有溶液を口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍に直接スプレーして、ノズルからの2スプレーの銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍に送達する。銅イオン含有溶液を口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍にスプレーした後少なくとも30分間、好ましくは1時間は飲食を避ける。口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍が治癒するまで2時間ごとに繰り返す。
【0104】
実施例34が行われる場合、スプレーポンプノズル14の出口オリフィス16は、銅イオン含有溶液のスプレーが、口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍に集中するように、処置される口内炎、口のびらんまたは口腔内潰瘍の近くに位置決めされるべきである。実施例33と同様に、冒された(affected)解剖学的組織と接触し、唾液と混合する銅イオンは、局所および全身治療効果をもたらす。実施例33および34は、銅イオン含有溶液を口腔内の解剖学的組織にスプレーすることによって行われるのが最善であり得るが、銅イオン含有溶液は、図11のスワブ105を用いて口腔内の解剖学的組織に送達されてもよいことが理解されるべきである。この場合、スワブ105は、銅イオン含有溶液で飽和され得、取っ手103は、銅イオン含有溶液が口腔内の解剖学的組織に沈着または移動するように、このような組織をスワブ105と接触させるように操作され得る。
【0105】
本技術の別の態様によれば、身体の呼吸器領域、すなわち鼻、鼻道および副鼻腔を冒す状態は、実施例35および36において以下に記載されるように、銅イオン含有溶液を鼻孔に送達することによって処置される。実施例35および36は、実施例1の銅イオン含有溶液を利用するが、他の銅イオン含有溶液が利用されてもよい。実施例36および36の方法は、スプレー(実施例35)または液滴(実施例36)の形態で銅イオン含有溶液を鼻孔に送達するために図3のデバイス30を用いて行われるのが最善であり得る。しかし、銅イオン含有溶液は、デバイス101を用いて鼻道を溶液で拭き取ることによって鼻道に送達されてもよい。
【0106】
[実施例35]
診断または症状の発症後早急に、容器32の2連続圧搾を用いて銅イオン含有溶液を鼻孔内にスプレーして、出口オリフィス36からの2スプレーの銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を鼻孔に送達する。同じ方式で、2スプレーの銅イオン含有溶液を他方の鼻孔に送達する。数日間連続して4時間ごとに繰り返す。
【0107】
[実施例36]
診断または症状の発症後早急に、容器32の2連続圧搾を用いて2滴の銅イオン含有溶液を鼻腔に送達して、出口オリフィス36からの2滴の銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を鼻腔に送達する。同じ方式で、2滴の銅イオン含有溶液を他方の鼻腔に送達する。数日間連続して4時間ごとに繰り返す。
【0108】
実施例36と同様に液滴により銅イオン含有溶液を鼻孔に送達する場合、液滴が、スポイト34から分配されたとき、鼻道の奥までまたはさらに奥まで流れるように、頭は後方に傾けられるべきである。実施例35および36に記載した方法が繰り返されるべき連続日数は、処置される状態、状態の重症度および患者の病歴に従って医療専門家のアドバイスに基づくものであり得る。典型的には、方法は、5~7日間連続、最も好ましくは7日間連続して行われるが、より重篤または頑固な状態は長期間の処置を必要とする場合がある。銅イオン含有溶液が実施例35および36と同様に鼻孔または鼻道に送達される場合、銅イオンは、鼻道または鼻孔内の解剖学的組織と接触し、既に記載した局所および全身治療効果をもたらす。実施例35および36の方法は、感冒、鼻詰まり、鼻汁、鼻水、アレルギー、喘息、喘鳴、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、副鼻腔圧迫感およびくしゃみのうちの1つまたは複数を含む呼吸器領域を冒す状態を処置するのに有利である。
【0109】
本技術のさらなる態様は、身体の耳領域、すなわち耳、外耳道、外耳および内耳を冒す状態を処置することである。耳領域を冒す状態を処置する方法は、実施例37および38において以下に記載されるように、銅イオン含有溶液を、冒された耳の外耳道に送達することを含む。実施例37および38は、実施例1の銅イオン含有溶液を利用するが、他の銅イオン含有溶液が用いられてもよい。実施例37および38の方法は、液滴(実施例37)またはスプレー(実施例38)として銅イオン含有溶液を外耳道に送達するために図3のデバイス30を用いて行われることが最善であり得る。しかし、銅イオン含有溶液は、デバイス101を用いて外耳道を溶液で拭き取ることによって外耳道に送達されてもよい。
【0110】
[実施例37]
診断または症状の発症後早急に、容器32の2連続圧搾を用いて、2滴の銅イオン含有溶液を冒された耳の外耳道に送達して、出口オリフィス36からの2滴の銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を外耳道に送達する。反対側の耳も冒されている場合、同じ方式で、2滴の銅イオン含有溶液を反対側の耳の外耳道に送達する。数日間連続して4時間ごとに繰り返す。
【0111】
[実施例38]
診断または症状の発症後早急に、容器32の2連続圧搾を用いて、銅イオン含有溶液を冒された耳の外耳道内にスプレーして、出口オリフィス36からの2スプレーの銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を外耳道に送達する。反対側の耳も冒されている場合、同じ方式で、2スプレーの銅イオン含有溶液を反対側の耳の外耳道に送達する。数日間連続して4時間ごとに繰り返す。
【0112】
実施例37および38の方法が行われる場合、スポイト34(実施例37)または伸長部34(実施例38)は、なんら不快感を生じることなく、外耳道のできるだけ奥まで挿入されるべきである。実施例37および38の方法が行われるべき連続日数は、処置される根底にある状態、状態の重症度および患者の病歴に従って医療専門家のアドバイスに基づくものであり得る。典型的には、方法は、5~7日間連続、最も好ましくは7日間連続して行われるが、より長期間の処置が必要とされる場合がある。銅イオン含有溶液が実施例37および38と同様に外鼻道に送達される場合、銅イオンは、耳内の解剖学的組織と接触し、既に記載した治療効果をもたらす。実施例37および38の方法は、耳痛、耳の感染、耳詰まりおよび耳部圧迫感の1つまたは複数を含む耳領域を冒す状態を処置するのに有利である。
【0113】
歯肉を冒す炎症、感染または疾患を含む状態を処置する方法が、実施例39において以下に記載される。実施例39の方法は、実施例1に従って調製した銅イオン含有溶液を利用する;しかし、他の銅イオン含有溶液が用いられてもよい。実施例39の方法は、銅イオン含有溶液を歯肉の冒された領域にスプレーすることを含み、デバイス10を用いて行われるのが最善であり得る。この方法はまた、口臭症または口臭を処置するのに適応され得る。
【0114】
[実施例39]
診断または症状の発症後早急に、スプレーポンプノズル14の2連続ポンプを用いて、銅イオン含有溶液を歯肉の冒された領域にスプレーして、ノズルからの2スプレーの銅イオン含有溶液に相当する用量の銅イオン含有溶液を歯肉の冒された領域に送達する。冒された領域にスプレーした後少なくとも30分間、好ましくは1時間は飲食を避ける。炎症、感染または疾患が解消されるまで、2時間ごとに繰り返す。
【0115】
本技術のさらに別の態様は、口臭または口臭症および虫歯の処置薬として銅イオン含有溶液を使用することを含む。実施例40は、実施例22に記載される銅イオン含有溶液を含有する銅イオン洗口液を用いて口臭症を処置する方法を記載する。この方法はまた、歯肉を冒す炎症、感染または疾患、および虫歯を処置するのに有用である。銅イオン洗口液は、所定の量または用量の銅イオン洗口液が注入され得る取り外し可能なキャップを有するボトルに供給され、その場合には、キャップは、洗口液を使用する従来の方式で銅イオン洗口液を口に送達するためのコップとして用いられる。
【0116】
[実施例40]
口をキャップ1杯の銅イオン洗口液で毎日朝およびさらに夜に定期的に含嗽するかまたはすすぐ。
【0117】
口臭症を処置する別の方法は、実施例21に記載される銅イオン含有溶液を含有する銅イオン歯磨き粉を使用することを含む。口臭症の処置に加えて、この方法はまた、歯肉を冒す炎症、感染または疾患、および虫歯を処置するのに有用である。
【0118】
[実施例41]
歯を銅イオン歯磨き粉で毎日朝およびさらに夜に定期的に磨く。
【0119】
実施例39、40および41の方法が行われる場合、銅イオンは、口腔内の解剖学的組織と接触し、口腔内の唾液と混合し、それにより、既に記載した局所および全身治療効果をもたらす。口臭症および虫歯が、主として口腔内の細菌および細菌の分解によって引き起こされるため、銅イオンによってもたらされる抗細菌作用は、口臭症および虫歯の排除、低減および/または予防につながる。口臭症を処置するために実施例39の方法を使用する場合、銅イオン含有溶液は、舌および頬の内側にスプレーされるべきである。実施例39、40および41に記載した方法は、口臭症、虫歯、ならびに歯肉を冒す炎症、感染または疾患を処置するのに有効であるが、これらの方法はまた、銅イオンが口内の有害な病原体、微生物、細菌、ウイルスおよび真菌のレベルを低下させるという事実により、口腔を冒す他の状態を間接的に処置するのに有用である。
【0120】
上記の方法に従って、銅イオン含有溶液、銅イオン歯磨き粉および洗口液で処置可能である口腔を冒す状態としては、コロナウイルス感染、COVID-19ウイルス感染、インフルエンザウイルス感染、インフルエンザAおよび/またはインフルエンザBウイルス感染、感冒、気管支炎、アレルギー、扁桃炎、くしゃみ、咳、嗄声、咽頭炎、歯肉痛、炎症した歯肉、感染した歯肉、歯周病、口臭、虫歯、淋病、クラミジア、連鎖球菌、ブドウ球菌、トリコモナス、ヘルペス(IおよびII)、HPV、HIV、口内炎、口のびらんおよび口腔内潰瘍のうちの1つまたは複数が挙げられる。銅イオン含有溶液で処置可能である呼吸器領域を冒す疾患または状態としては、感冒、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、鼻汁、鼻詰まり、鼻水、アレルギー、喘息、喘鳴ならびに細菌、ウイルスおよび/または真菌起源の全身性感染のうちの1つまたは複数が挙げられる。銅イオン含有溶液で処置可能である耳領域を冒す状態としては、耳の感染、耳痛、耳部圧迫感および耳詰まりが挙げられる。処置方法は、口腔、呼吸器および/または耳領域の活動性炎症、刺激、感染または疾患を処置するのに、且つ口腔、呼吸器および/または耳領域の疾患および望ましくない身体状態の発生を予防するのに特に有益である。
【0121】
[実施例41]
銅イオンバルク懸濁液の調製
銅含有懸濁液を、0.016gの無水リン酸二水素ナトリウムの添加により約pH5に緩衝化された2Lの0.9%塩化ナトリウム中で16本の銅ストリップ(3.625インチ×2.25インチ×0.3インチ)をインキュベートすることによって生成した。銅ストリップを、図20に示すようにステンレス鋼ロッドにより分離した。0.9%塩化ナトリウム溶液を、37℃に加熱したオーブン内の密閉ホウケイ酸ガラス容器に入れ、銅ストリップおよびステンレス鋼ロッド(8本の銅ストリップごとに6本のロッド)を、ガラス皿に入れ、同じオーブンで37℃に加熱した。塩化ナトリウム溶液が37℃の温度に達したら、銅ストリップを生理食塩水に入れ、24時間±30分間インキュベートさせた。銅ストリップおよびステンレス鋼ロッドをその後取り出し(図21)、図24~25に示すように、残りの懸濁液を測定し、即時使用のために透明なガラス容器に回収した。図23~25に示すように、沈殿した銅塩は、容器の底部に沈殿物を形成する。沈殿物を含むバルク懸濁液の総測定容量は32ozであった。
【0122】
3VM1001クリームの組成
この実施例は、3VM1001製品のうちの3つ:3VM1001クリームの製造で使用したバルク懸濁液;リン酸ナトリウムを使用せずに製造した類似のバルク懸濁液、および3VM1001クリームそれ自体の分析を提供する。バルク懸濁液は、液相と固相の組合せである。放置した場合、固相は、バルク容器の底部に沈殿物を形成する。実施された分析の目的は、一つには、バルク懸濁液およびクリームの液相中に見出される銅の量を評価することであった。
【0123】
【表1】
【0124】
表1は、液相中での銅の溶解度が、バルク懸濁液と比較して、クリーム中で20倍超であることを示す。Cuは、リン酸塩を含むバルク懸濁液の500ppb(0.5μg/mL)と比較して、主としてクリームの液相に11.5μg/mLで存在する。したがって、液相中に存在する銅の量は、バルク懸濁液と比較して3VM1001クリームで実質的に増強される。この増強された溶解度は驚くべきことであり、且つ予想外であった。溶解された銅は、固体沈殿物より実質的に高い生体適合性を有することが予想されるため、この知見は、3VM1001クリームの治療効果に対する根拠を与える。
【0125】
3VM1001クリームを調製するために、バルク懸濁液をクリーム基剤、例えばVersaBaseと組み合わせる。別段の記載がない限り、3VM1001クリームは30%のバルク懸濁液を含む。バルク懸濁液のパーセンテージが低く、相応にクリーム基剤のパーセンテージが高いより希薄なクリーム、例えば3VM1001 20%(20%のバルク懸濁液)、3VM1001 10%(10%のバルク懸濁液)、および3VM1001 5%(5%のバルク懸濁液)も調製および試験した。VersaBaseの組成を、以下の表2に示す。
【0126】
リン酸塩の使用は、沈殿物中より高い総銅濃度を提供する(リン酸塩を含まないバルク中の約10μg/mLと比較して37μg/mL)。表1を参照のこと。クリーム中30%の濃度でのリン酸塩バルクの使用(約11μg/mL[37μg/mLの30%]の最終濃度となることが予想される)は、液相中11.5μg/mLの濃度で銅クリーム製品をもたらす。
【0127】
【表2】
【0128】
ゲルの組成
本開示での使用のためのゲルを調製するために、バルク懸濁液をゲル基剤、例えばVersaBaseゲルと組み合わせる。VersaBaseゲルは、以下の成分からなる:
・ 水
・ アンモニウムアクリロジメチルタウレート/VPコポリマー
・ アロエベラ(Aloe Barbadensis)葉果汁粉末
・ アラントイン
・ EDTA二ナトリウム
・ メチルクロロイソチアゾリノン
・ メチルイソチアゾリノン
【0129】
別段記載されない限り、ゲルは、30%のバルク懸濁液を含む。バルク懸濁液のパーセンテージが低く、相応にゲル基剤のパーセンテージが高いより希薄なクリーム(cream)、例えばゲル20%(20%のバルク懸濁液)、ゲル%(10%のバルク懸濁液)、およびゲル5%(5%のバルク懸濁液)も調製および試験した。
【0130】
坐剤の組成
坐剤を調製するために、バルク懸濁液を、水素添加植物油およびジステアリン酸PEG-8を含む坐剤基剤と組み合わせる。
【0131】
別段示されない限り、坐剤は30%のバルク懸濁液を含む。バルク懸濁液のパーセンテージが低く、相応に坐剤基剤のパーセンテージが高いより希薄な坐剤、例えば坐剤20%(20%のバルク懸濁液)、坐剤%(10%のバルク懸濁液)、および坐剤5%(5%のバルク懸濁液)も調製および試験した。
【0132】
[実施例42]
3VM1001クリームの全身および皮膚毒性および毒物動態をSprague Dawleyラットへの1日4回30日間の局所投与、次いで2週間の回復期間後評価した。
【0133】
この研究の目的は、Sprague Dawleyラットへの1日4回30日間の局所投与、次いで2週間の回復期間後の被験物質の全身および皮膚毒性および毒物動態を評価することであった。
【0134】
合計92匹のラット(雄46匹および雌46匹)を、媒体対照群(群1)および一方の被験物質群(群2)を含む2つの処置群にランダム化した。各群は、2つのコホート(主および回復)を有する毒性部分および毒物動態(TK)部分を含んでいた。動物は、媒体クリーム(群1)または被験クリーム(3VM1001クリーム-群2)のいずれかの局所投与を1日4回30日間連続で受けた。TK分析のための血液試料を、TK動物から研究1日目(対照群については1時点および被験群については6時点)および研究30日目(対照群については1時点および被験群については7時点)に採取した。主研究動物(10匹の動物/性/群)を、31日目に安楽死させ、回復動物(5匹の動物/性/群)を、処置なしで2週間の期間後44日目に安楽死させた。
【0135】
【表3】
【0136】
研究中、すべての動物に適切に投薬した。いずれの動物についても、予定外の死亡または著しい瀕死はなかった。身体検査、臨床観察または投与部位のDraizeスコアリング(dose site Draize scoring)中、被験物質への曝露の有害作用を示す所見はなかった。動物は通常毎日食物を摂取し、研究中体重が増加し、いずれの時点でも群間での体重の有意差はなかった。臨床病理パラメーター(血液学検査、血清化学検査)における群間差は振幅が小さく、正常な生物学的変動と一致していた。臓器重量に大きな差はなく(腎臓重量だけが雄の回復動物で大きい)、被験物質への曝露に起因し得る肉眼または顕微鏡病理所見はなかった。
【0137】
TK結果は、1日4回30日間連続の3VM1001クリームの局所投与後のCuの吸収または蓄積がないことを示した。群2の3VM1001クリーム(被験)動物における定量可能な血清Cu濃度は、群1の3VM1002クリーム(媒体対照)のものと同様であるかまたはそれを下回った。3VM1002は、銅イオンを欠く以外は、3VM1001と同じ組成を有する。
【0138】
結論として、Sprague Dawleyラットに1日4回30日間連続で局所塗布された3VM1001クリームについて観察可能な効果のレベルは、18μg銅/kg/日以下である。
【0139】
[実施例43]
この研究の目的は、Hanfordミニブタへの局所投与、次いで2週間の回復期間後の3VM1001クリームの全身および皮膚毒性および毒物動態を評価することであった。
【0140】
各々12匹の動物(性別に6匹の動物)を含有する2群のミニブタを、媒体対照(3VM1002クリーム-群1)または被験物質[3VM1001クリーム(銅、Cuを含有)-群2]のいずれかを用いてうまく処置し、1日4回30日間連続で局所投与した。性別、群別に2匹の動物を、処置なしでさらに2週間追跡した。動物を、身体検査、臨床観察、体重および体重変化、投与部位のDraizeスコアリング、臨床病理(血液学検査、凝固検査、血清化学検査および尿検査)、心電図、眼科、臓器重量および組織病理から毒性の徴候について評価した。毒物動態特性を研究1日目および30日目に評価した。
【0141】
【表4】
【0142】
研究中、すべての動物に適切に投薬した。いずれの動物についても、予定外の死亡または著しい瀕死はなかった。身体検査、臨床観察または投与部位のDraizeスコアリング中、被験物質への曝露の有害作用を示す所見はなかった。動物は通常毎日与えられた食物をすべて摂取し、研究中体重が増加し、いずれの時点でも群間での体重の有意差はなかった。心電図検査または眼科評価に関して、被験物質に関連する所見はなかった。臨床病理パラメーター(血液学検査、凝固検査、血清化学検査および尿検査)における群間差は振幅が小さく、正常な生物学的変動と一致していた。臓器重量に大きな差はなく、被験物質への曝露に起因し得る肉眼または顕微鏡病理所見はなかった。
【0143】
血清Cu濃度(TK)を、研究1日目および30日目ならびに31および44日目の完了日に対照動物(投与の1時間後)、被験動物においては7時点について決定した。TK結果は、3VM1001クリームの1日4回30日間連続の局所投与後のCuの吸収または蓄積がないことを示した。群2の3VM1001クリーム(被験)動物における定量可能な血清Cu濃度は、群1の3VM1002クリーム(媒体対照)のものと同様であるかそれを下回った。
【0144】
結論として、ミニブタに1日4回30日間連続で局所投与された3VM1001クリームについて、観察可能な効果のレベルは18μg銅/kg/日以下である。
【0145】
[実施例44]
pH調整のために添加された0.8g/LのNaPO4と共に0.9%生理食塩水中46μg/mLの銅からなる懸濁液(本明細書では3VM1000と称される)を、外因性代謝活性化系ありまたはなしで、短い(3時間)および長い(22時間)インキュベーション中HPBL(ヒト末梢血リンパ球)に染色体異常を誘発する可能性について評価した。
【0146】
HPBL培養物を、Aroclor(商標)1254誘発ラット肝S9ミクロソーム画分の存在下または非存在下で被験物質、陽性対照または媒体対照を用いて処置した。培養培地中の食塩水濃度は10%v/vであった。範囲測定アッセイで試験した3VM1000濃度は培養物中1%~10%v/vの範囲であり、提供された溶液の10%を投薬する最大実行可能濃度までの範囲であった。沈殿物は処置の最後に各処置で10%観察された。範囲測定アッセイで観察された細胞毒性に基づき(すなわち分裂指数の減少)、染色体異常アッセイ中に使用した濃度は、培養物中2%~10%v/vの範囲であった。
【0147】
異常アッセイにおける染色体異常の評価のために選択された濃度は、沈殿物に基づくものであり、以下の通りである:a)代謝活性化なしで3時間の処置、4%、6%(沈殿物なしで試験した最大濃度)および8%(沈殿物ありで試験した最小濃度);b)22時間の処置、6%、8%(沈殿物なしで試験した最大濃度)および10%(沈殿物ありで試験した最小濃度);ならびにc)活性化ありで3時間の処置、2%、4%(沈殿物なしで試験した最大濃度)および6%(沈殿物ありで試験した最小濃度)。媒体および各処置条件に1つの濃度の陽性対照と共にこれらの培養物を、異常について分析した。構造的染色体異常を、合計300個の中期細胞(可能な場合)または≧50個の異常細胞からの各濃度についてスコア化した。数的異常を、濃度あたり400個の中期細胞において評価した。
【0148】
構造的染色体異常を有する細胞のパーセントまたは1を超える異常を有する細胞のパーセントにおける統計的有意差は、いずれのアッセイ条件下でも示されなかった。加えて、媒体対照と比較して、任意の処置における数的異常(倍数性または核内倍加)の統計的に有意な被験物質関連の増加もなかった。媒体、陰性および陽性対照からのデータは、この被験系の妥当性および感受性を実証した。
【0149】
3VM1000は、この被験系の条件下で代謝活性化ありまたはなしでHPBLに構造的異常を誘発することについては陰性とみなされた。加えて、数的異常(倍数性または核内倍加)における統計的に有意な増加は、3VM1000処置培養物において観察されなかった。
【0150】
[実施例45]
この研究の目的は、被験物質が、経口経管栄養により投与された3日間連続の処置後のラット骨髄に多染性赤血球(PCE)中の微小核を誘発する可能性を評価することであった。このアッセイでは、インビボ(in vivo)染色体異常誘発活性および/または分裂装置の破壊について化合物を評価した。
【0151】
媒体(0.9%塩化ナトリウム、USP)中の3VM1000を、経管栄養により3群(群2~4)のCrl:CD(SD)ラットに1日1回3日間連続経口投与した。投与量レベルは、群2、3および4各々に対して0.046、0.153および0.46mg/kg/日であった。同時媒体対照群(群1)は、同等のレジメンで媒体を受けた。陽性対照群(群5)は、60mg/kgの単回経口投与のシクロホスファミド一水和物(CPS)を予定された安楽死の前日である研究2日目に受けた。投与容量は全群に対して10mL/kgであった。各群は6匹の動物/性からなった。すべての動物を、研究3日目に1~4群については投与の約18~24時間後、および群5については投与の約24時間後に安楽死させ、骨髄採取後処分した。
【0152】
すべての動物を、死亡および瀕死について1日2回観察した。詳細な身体検査を行って、個体の体重を、順化中毎週(±2日間)、ランダム化日、研究0日目(投薬前)、研究2日目(投薬最終日)および予定された安楽死日に記録した。臨床検査を、投与時および投与の1~2時間後に行った。個体の食物重量を、順化中毎週(±2日間)、ランダム化日、研究0日目(投薬前)および予定された安楽死日に記録した。微小核評価のための骨髄採取を予定された安楽死日(研究3日目)に6匹の動物/性/群のうち5匹で行った。すべての動物を予定された安楽死日に剖検なしで処分した。骨髄スメアを調製し、コード化されたスライドを、研究3日目の最終の骨髄試料採取後に多染性、正染性および微小核化多染性赤血球について計数した。
【0153】
すべての動物は予定した安楽死まで生存した。体重または食物摂取に対する被験物質関連の臨床観察または効果はなかった。3VM1000は、媒体対照群と比較して、微小核化多染性赤血球(MN-PCE)の平均数の増加をもたらさなかった。骨髄細胞毒性(多染性赤血球の、全赤血球に対する比、PCE:TE比の減少)は、いずれの被験物質処置群でも示されなかった。したがって、3VM1000は、このアッセイの条件下で骨髄細胞毒性および染色体異常誘発能に対する陰性応答の基準を満たした。
【0154】
この研究結果に基づき、1日1回3日間連続でのCrl:CD(SD)ラットへの3VM1000の経口投与は、最大0.46mg/kg/日の投与量レベルで骨髄微小核の誘発に対して陰性応答をもたらした。
【0155】
[実施例46]
この研究の目的は、3VM1001クリームが、若年モルモットに対する皮膚局所投与(誘発曝露)、次いでチャレンジ用量(challenge dose)後の皮膚感受性反応をもたらす可能性を決定することであった。
【0156】
この研究を、39匹の健康な雌の若年モルモットで行った。21匹の動物に3VM1001クリームを投与し、7匹の動物に陽性対照としてDNCB(ジニトロ-クロロ-ベンゼン)を投与し、11匹の動物に陰性対照として3VM1002クリーム、媒体クリームを投与した。提案された実験において2つの被験相(誘発相およびチャレンジ相)があった。誘発相(1日目)において、各動物の側腹部領域に被験または対照物質のいずれかを6±0.5時間局所投与した。同じ手順を、2つの対照群および被験群に対して週3回3週間連続で行った。チャレンジ相(32日目)については、被験および対照動物の未処置側腹部領域に、閉鎖パッチを用いて適当量の被験または対照物質を6±0.5時間局所投与した。皮膚刺激を、チャレンジ相のパッチ除去の24±2時間および48±2時間後にスコア化した。
【0157】
いずれのスコア化時点(24または48時間)でも被験または対照クリームの投与と関連した皮膚刺激は、観察されなかった。
【0158】
結論として、3VM1001クリームは、この研究条件下で皮膚感作反応を引き起こさなかった。
【0159】
[実施例47]
この試験の目的は、3VM1001クリームがウサギにおいて眼球刺激を引き起こす可能性を評価することであった。3匹のニュージーランド白ウサギをこの研究に使用した。0.1mlの容量のクリームを各動物の右眼に投与した。左眼を未処置のままにして、対照として利用した。動物の両眼を、投薬の1、24、28および72時間後に観察およびスコア化した。眼球刺激スコアを、病変の性質および重症度と組み合わせたDraizeスコアリング系を用いて評価した。
【0160】
すべての動物は研究中健康そうであった。すべての被験動物は、研究中潰瘍なし(スコア0)、混濁なし(スコア0)および正常な虹彩(スコア0)を示した。わずかな結膜発赤(スコア1)が、3匹の動物すべてで被験物質投与の1時間後に示された。1匹のウサギは、わずかな結膜発赤(スコア1)を24時間の観察期間示し続けた。このわずかな反応は、48時間で解消した。残りの2匹の動物では結膜異常(スコア0)が24時間で観察されなかった。すべての動物は健康そうであり、眼球異常は、被験物質投与の48および72時間後示されなかった。
【0161】
3VM1001クリームが、ニュージーランド白うさぎの眼に投与された場合陽性応答を引き起こさないと結論付けることができる。
【0162】
本技術が、詳細な多くの変形形態、修正形態および変更形態の対象である限り、上で考察されるかまたは添付の図面に示すすべての主題が、例示としてのみ解釈され、限定的な意味で解釈されないことが意図される。
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【国際調査報告】