(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】液滴堆積装置およびそのずれを決定する方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20230619BHJP
B41J 2/16 20060101ALI20230619BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 209
B41J2/16
B41J2/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555649
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 GB2021051014
(87)【国際公開番号】W WO2021219989
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516154934
【氏名又は名称】ザール テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XAAR TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】モーガン アラン
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア マザ イエス
(72)【発明者】
【氏名】ギャロン ケビン
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EA08
2C056EB08
2C056EB27
2C056EB36
2C056EB59
2C056FA13
2C056HA16
2C056HA22
2C057AG15
2C057AG16
2C057AN05
(57)【要約】
液滴堆積装置は、各ヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュール、ならびに決定された重なり合う領域の最良の整列のノズル対の表、液滴堆積装置の基準に対するヘッドモジュールの少なくとも一つの対応するスキュー角および/または第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの対応する位置オフセットを記憶するように構成された記憶装置であって、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、記憶装置を備える。
こうした液滴堆積装置に関するずれ情報を決定すること、および少なくとも二つのヘッドモジュール間の重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定することについての関連する方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴堆積装置であって、
各ヘッドモジュールが、少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュール、および
重なり合う領域の決定された最良の整列のノズル対の表、および前記液滴堆積装置の基準に対する前記ヘッドモジュールの少なくとも一つの対応するスキュー角、および/または前記第一のヘッドモジュールに対する前記第二のヘッドモジュールの対応する位置オフセットを記憶するように構成される記憶装置を備え、
前記重なり合う領域では、前記第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、前記第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、液滴堆積装置。
【請求項2】
前記第一のヘッドモジュールを備える第一の液滴堆積ヘッド、および前記第二のヘッドモジュールを備える第二の液滴堆積ヘッドを備える、請求項1に記載の液滴堆積装置。
【請求項3】
前記第一のヘッドモジュールのノズルアレイおよび前記第二のヘッドモジュールのノズルアレイがそれぞれ、そのノズルが第一のノズルピッチで配置される第一の部分、およびそのノズルが第二のノズルピッチで配置される第二の部分を備える、請求項1または請求項2に記載の液滴堆積装置。
【請求項4】
前記第一のヘッドモジュールの前記第二の部分が、前記第二のヘッドモジュールの前記第一の部分と重なり合うように構成される、請求項3に記載の液滴堆積装置。
【請求項5】
前記第一のヘッドモジュールのノズルアレイおよび前記第二のヘッドモジュールのノズルアレイがそれぞれ、そのノズルが第三のノズルピッチで配置される第三の部分をさらに備える、請求項3に記載の液滴堆積装置。
【請求項6】
前記記憶装置が、前記ヘッドモジュールの少なくとも一つの各スキュー角について、少なくとも二つの最良の整列の対を記憶するように構成される、請求項1~5のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項7】
前記記憶装置が、前記第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの各位置オフセットについて、少なくとも二つの最良の整列の対を記憶するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項8】
前記ヘッドモジュールの少なくとも一つが、前記記憶装置を備える、請求項1~7のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項9】
前記第一のヘッドモジュール、前記第二のヘッドモジュール、および前記記憶装置が分離している、請求項1~7のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項10】
前記液滴堆積装置に合計スキュー角を記憶するためのさらなる記憶装置をさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項11】
前記液滴堆積装置の前記合計スキュー角が、
前記液滴堆積ヘッドに対する前記第一および第二のヘッドモジュールのスキュー角、
モジュール取付システムに対する前記ヘッドモジュールの少なくとも一つのスキュー角、
前記第二のヘッドモジュールに対する前記第一のヘッドモジュールのスキュー角、
前記液滴堆積装置の基準に対する前記モジュール取付システムのスキュー角、
媒体のスキュー角、
前記媒体に対する媒体保持機構のスキュー角、および
基準液滴堆積装置に対する前記媒体保持機構のスキュー角、の少なくとも組み合わせを備える、請求項10に記載の液滴堆積装置。
【請求項12】
テスト画像を生成するよう構成され、前記印刷されたテスト画像の前記最良の整列のノズル対、および前記表の前記対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットに基づいて、前記装置の前記合計スキュー角および/または前記位置オフセットを決定するよう構成されるコントローラをさらに備える、請求項10または請求項11に記載の液滴堆積装置。
【請求項13】
前記コントローラが、
前記合計スキュー角を使用して、第三のヘッドモジュールまたは第四のヘッドモジュールの少なくとも一つについて、前記記憶装置に記憶された表から、前記第三のヘッドモジュールおよび前記第四のヘッドモジュールについて、最良の整列のノズル対を選択する、または
前記合計スキュー角を使用して、交換されたヘッドモジュールについて、前記記憶装置に記憶された表から、前記交換されたヘッドモジュールについて最良の整列のノズル対を選択するようにさらに構成される、請求項12に記載の液滴堆積装置。
【請求項14】
前記コントローラが、前記液滴堆積装置内の前記合計スキュー角および/または位置オフセットを補正するようにさらに構成される、請求項12または請求項13に記載の液滴堆積装置。
【請求項15】
前記コントローラが、前記合計スキュー角および/または前記位置オフセットに基づいて、各ヘッドモジュールの前記ノズル射出を制御するように構成される、請求項14に記載の液滴堆積装置。
【請求項16】
前記コントローラが、前記合計スキュー角および/または前記位置オフセットに基づいて、一つまたは複数のマスキングパターンを生成するように構成される、請求項15に記載の液滴堆積装置。
【請求項17】
前記記憶装置が、前記液滴堆積装置の二つ以上のヘッドモジュールの位置の実際の位置および/または位置の誤差を記憶するようにさらに構成される、請求項1~16のいずれかに記載の液滴堆積装置。
【請求項18】
液滴堆積装置であって、
各ヘッドモジュールが、少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールを備える液滴堆積ヘッド、および
重なり合う領域の決定された最良の整列のノズル対の表、および前記液滴堆積装置の基準に対する前記ヘッドモジュールの対応するスキュー角、および/または前記液滴堆積ヘッドの対応する位置オフセットを記憶するように構成される記憶装置を備え、
前記重なり合う領域では、前記第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、前記第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、液滴堆積装置。
【請求項19】
液滴堆積装置であって、
各モジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールであって、重なり合う領域では、前記第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、前記第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュール、および
前記液滴堆積装置の二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差を記憶するように構成される記憶装置を備え、
前記位置の誤差が、前記ヘッドモジュールの理想的な位置と、前記ヘッドモジュールの実際の位置との間の差である、液滴堆積装置。
【請求項20】
方法が、
前記液滴堆積装置の基準に対する前記ヘッドモジュールの少なくとも一つの複数のスキュー角について、および/または前記第一のヘッドモジュールに対する前記第二のヘッドモジュールの複数の位置オフセットについて、前記第一のヘッドモジュールの前記ノズルアレイと前記第二のヘッドモジュールの前記ノズルアレイの重なり合う領域で一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程、および
決定された最良の整列のノズル対の表、および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットを前記記憶装置に記憶する工程を含む、請求項1~17のいずれかに記載の液滴堆積装置に関するずれ情報を決定するための方法。
【請求項21】
前記第一のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差、ならびに前記第二のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置誤差を、前記記憶装置に記憶すること、ならびに、それに基づいて、前記重なり合う領域で前記一つ以上の最良の整列のノズル対を決定することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、
前記液滴堆積装置の基準に対する前記液滴堆積ヘッドの複数スキュー角について、および/または前記液滴堆積ヘッドの複数の位置オフセットについて、前記第一のヘッドモジュールの前記ノズルアレイと前記第二のヘッドモジュールの前記ノズルアレイの重なり合う領域で一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程、および
決定された最良の整列のノズル対の表、および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットを前記記憶装置に記憶する工程を含む、請求項19に記載の液滴堆積装置に関するずれ情報を決定するための方法。
【請求項23】
前記重なり合う領域で一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定することが、
テスト画像を印刷する工程、および
前記テスト画像を分析して、一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む、請求項20~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、
前記第一のヘッドモジュールと前記第二のヘッドモジュールを前記液滴堆積装置に取り付ける工程、
前記記憶装置から表を取得する工程であって、前記表が、所定の最良の整列のノズル対、および前記液滴堆積装置の基準に対する前記ヘッドモジュールの前記少なくとも一つの対応するスキュー角を含む、取得する工程、
前記表の前記所定のすべての最良の整列のノズル対についてのテスト画像を生成する工程、
前記テスト画像を印刷する工程、および
前記印刷されたテスト画像の前記最良の整列のノズル対および前記表の前記対応するスキュー角に基づいて、前記液滴堆積装置の合計スキュー角を決定する工程を含む、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記方法が、
前記液滴堆積ヘッドを前記液滴堆積装置に取り付ける工程、
前記記憶装置から表を取得する工程であって、前記表が、所定の最良の整列のノズル対、および前記液滴堆積装置の基準に対する前記液滴堆積ヘッドの対応するスキュー角を含む、取得する工程、
前記表の前記所定のすべての最良の整列のノズル対についてのテスト画像を生成する工程、
前記テスト画像を印刷する工程、および
前記印刷されたテスト画像の前記最良の整列のノズル対および前記表の前記対応するスキュー角に基づいて、前記液滴堆積装置に液滴堆積ヘッドが取り付けられるスロットの合計スキュー角を決定する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記液滴堆積装置の前記合計スキュー角が、
前記液滴堆積ヘッドに対する前記第一および第二のヘッドモジュールのスキュー角、
モジュール取付システムに対する前記ヘッドモジュールの少なくとも一つのスキュー角、
前記第二のヘッドモジュールに対する前記第一のヘッドモジュールのスキュー角、
前記液滴堆積装置の基準に対する前記モジュール取付システムのスキュー角、
媒体のスキュー角、
前記媒体に対する媒体保持機構のスキュー、および
液滴堆積装置の基準に対する前記媒体保持機構のスキュー角、の少なくとも一つの組み合わせを備える、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記液滴堆積装置における合計スキュー角を前記液滴堆積装置の記憶装置に記憶する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
決定された最良の整列のノズル対の表、および各ヘッドモジュールの対応するスキュー角を、前記ヘッドモジュールの記憶装置に記憶する工程をさらに含む、請求項20、21、23、または24のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
さらなるヘッドモジュールまたは交換用ヘッドモジュールを前記液滴堆積装置に取り付ける工程、
前記液滴堆積装置における前記合計スキュー角を使用して、前記さらなるテスト画像の印刷に依存することなく、前記さらなるヘッドモジュール、または前記さらなるヘッドモジュールについての表から、前記さらなるヘッドモジュールについて、または前記交換用ヘッドモジュールについて、最良の整列のノズル対を選択する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、
前記第一のヘッドモジュールと前記第二のヘッドモジュールを前記液滴堆積装置に取り付ける工程、
前記記憶装置から表を取得する工程であって、前記表が、所定の最良の整列のノズル対、および前記第一のヘッドモジュールに対する前記第二のヘッドモジュールの対応する位置オフセットを含む、取得する工程、
前記表の前記所定のすべての最良の整列のノズル対についてのテスト画像を生成する工程、
前記テスト画像を印刷する工程、および
前記印刷されたテスト画像の前記最良の整列のノズル対および前記表の前記対応する位置オフセットに基づいて、前記液滴堆積装置において前記第一のヘッドモジュールに対する前記第二のヘッドモジュールの位置オフセットを決定する工程を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、
前記液滴堆積装置の二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差を前記記憶装置に記憶する工程を含む、請求項19に記載の液滴堆積装置に関するずれ情報を決定するための方法。
【請求項32】
前記方法が、
二つ以上のヘッドモジュールの前記実際の位置および/または位置の誤差に基づいて、前記液滴堆積装置の基準に対する前記ヘッドモジュールの少なくとも一つの複数のスキュー角について、および/または前記第一のヘッドモジュールに対する前記第二のヘッドモジュールの複数の位置オフセットについて、前記第一のヘッドモジュールの前記ノズルアレイと前記第二のヘッドモジュールの前記ノズルアレイの重なり合う領域で一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程、および
決定された最良の整列のノズル対の表、および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットを前記記憶装置に記憶する工程をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
それぞれが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも二つのヘッドモジュールの間の重なり合う領域において一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法であって、前記重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールの前記ノズルアレイのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールの前記ノズルアレイのノズルが第二のノズルピッチで配置され、前記方法が、
前記重なり合う領域内の前記ノズルアレイから前記複数のノズルを介してテスト画像を印刷する工程であって、前記テスト画像が、前記ノズルアレイの前記重なり合う領域の一つまたは複数のノズル対について、一つまたは複数のテストパターンを含む、印刷する工程、
前記印刷されたテスト画像をスキャニングする工程、
前記スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数の領域にわたる平均色密度を計算する工程であって、前記スキャニングされたテスト画像が、一つまたは複数セクションを含み、各セクションが重なり合う領域内で一つのアレイから異なる一つのアレイへ遷移領域を形成するステッチ領域、および前記ステッチ領域の外側にある非ステッチ領域を含む、計算する工程、
前記スキャニングされたテスト画像の前記一つまたは複数のセクションにわたる色密度変化を決定する工程、および
前記決定された色密度変化に基づいて、前記ノズルアレイの重なり合う領域における前記一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む、方法。
【請求項34】
前記重なり合う領域において前記一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定することが、
前記非ステッチ領域にわたる平均色密度を計算する工程、
前記ステッチ領域にわたる平均色密度を計算する工程、
前記非ステッチ領域にわたる前記計算された平均色密度から、前記ステッチ領域にわたる前記計算された平均色密度を減算することによって、前記ステッチ領域の色密度偏差を計算する工程、
前記スキャニングされたテスト画像の各セクションについて上記の工程を繰り返す工程、および
前記ステッチ領域の前記計算された色密度偏差に基づいて、前記一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記最良の整列のノズル対について、前記セクションの前記ステッチ領域の前記計算された色密度偏差がゼロである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定することが、
前記セクションの全領域の複合平均色密度を計算する工程、
前記セクション内の各領域にわたる平均色密度を計算する工程、
前記セクションの全領域の前記計算された複合平均色密度から前記セクション内の各領域にわたる前記計算された平均色密度を減算する工程、
減算の結果に基づいて、各領域の色密度偏差を決定する工程、
前記セクションの一つまたは複数の領域の色密度偏差の絶対値を決定する工程、
前記領域の色密度偏差の前記絶対値を合計して、前記セクションで色密度偏差を見出す工程、
前記スキャニングされたテスト画像の各セクションについて上記の工程を繰り返す工程、
各セクションの局所的色密度偏差を計算する工程、
前記スキャニングされたテスト画像中の前記すべてのセクションの局所的色密度偏差を互いに比較する工程、および
前記比較の結果に基づいて、前記ノズルアレイの重なり合う領域における前記一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
各セクションの前記局所的色密度偏差が、前記セクションの近傍の少なくとも二つのセクションとの前記セクションの色密度偏差の移動平均を決定することによって計算される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記最良の整列のノズル対を有する前記セクションについて、局所的色密度偏差が他のセクションのそれよりも小さい、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記テストパターンが、ノズルアレイの前記重なり合う領域における少なくとも一つの選択されたノズル対について、ゼロピクセルオフセット、および少なくとも1ピクセルオフセットについて生成される、請求項33~38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記決定された一つまたは複数の最良の整列のノズル対を、装置の記憶装置に記憶する工程をさらに含む、請求項33~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
請求項20~40のいずれかに記載の方法を実行するように構成されるコントローラ。
【請求項42】
プログラムが、計算装置によって実行されるとき、前記計算装置に請求項20~40のいずれかに記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は液滴堆積のための装置に関する。より具体的には、本開示は、液滴堆積装置における様々な構成要素間のずれを決定することによって、印刷品質を改善するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴堆積装置、例えばインクジェットプリンタは、流体の小滴(例えば、インク)を印刷媒体上に吐出することによってドットを印刷する。このような液滴堆積装置は、典型的には、ノズルアレイを有する少なくとも一つの液滴堆積ヘッドを備える。ノズルアレイは複数のノズルを備え、各ノズルは、制御回路から受信した信号に応答して流体(例えば、インク)の液滴を吐出して、印刷媒体上に画像を再現するように構成される。
【0003】
(一緒に配置されて個々の液滴堆積ヘッドを形成し得る、および/または別々の液滴堆積ヘッドまたはヘッドモジュールとして配置され得る)複数のノズルアレイを備える液滴堆積装置は、通常、ノズルアレイが媒体供給軸に沿って(または液滴堆積の方向に)重なるように、平行に、しかし互いにオフセットされて配置されるように製造される。これにより、ノズルアレイの組み合わせで、個々のアレイよりも大きな印刷媒体の幅、場合よっては、印刷媒体の幅全体をカバーすることが可能となる。しかしながら、こうした配置では、アレイの重なり合う領域で印刷画像に目に見える欠陥またはアーチファクトが生じるというずれの問題がしばしば発生する。目に見える欠陥は、典型的には、人間の目に留まりやすい明るいまたは暗いバンディングとして印刷画像内に現れる。この問題は、機械的なアライメント方法、また厳密な製造公差を維持してずれを許容範囲内に維持する試みによって対処されてきた。しかしながら、同じ液滴堆積ヘッド内に位置するノズルアレイ、または液滴堆積装置内で互いに隣接して取り付けられたヘッドモジュールまたはヘッド内に位置するノズルアレイを、ずれを許容可能なレベルに制限し、印刷画像の目に見える欠陥を低減または回避する程度の精度に、機械的に整列させることは、時間と費用がかかる。
【0004】
したがって、隣接するノズルアレイがずれた場合に生じる目に見える欠陥を低減または回避するための改善された技術が必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の態様を添付の独立請求項に記載し、本発明の特定の実施形態を添付の従属請求項に記載する。
【0006】
以下の開示は、本発明の第一の態様によれば、液滴堆積装置は、各ヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュール、ならびに決定された重なり合う領域の最良の整列のノズル対の表、液滴堆積装置の基準に対するヘッドモジュールの少なくとも一つの対応するスキュー角および/または第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの対応する位置オフセットを記憶するように構成された記憶装置であって、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、記憶装置を備える。
【0007】
本発明の第二の態様によれば、各ヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュールを備える液滴堆積ヘッド、ならびに決定された重なり合う領域の最良の整列のノズル対の表、および液滴堆積装置の基準に対する液滴堆積ヘッドの対応するスキュー角および/または液滴堆積ヘッドの対応する位置オフセットを記憶するように構成された記憶装置であって、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、記憶装置を備える液滴堆積装置が提供される。
【0008】
本発明の第三の態様によれば、各ヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュールであって、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールのノズルが第二のノズルピッチで配置される、第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュール、ならびに液滴堆積装置の二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差を記憶するように構成された記憶装置であって、位置の誤差がヘッドモジュールの理想の位置とそのヘッドモジュールの実際の位置の差である、記憶装置を備える液滴堆積装置が提供される。
【0009】
本発明の第四の態様によれば、本発明の第一の態様による液滴堆積装置に関するずれ情報を決定する方法が提供される。方法は、液滴堆積装置の基準に対するヘッドモジュールの少なくとも一つの複数のスキュー角について、および/または第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの複数の位置オフセットについて、第一のヘッドモジュールのノズルアレイと第二のヘッドモジュールのノズルアレイの重なり合う領域で一つ以上の最もよく整列されたノズル対を決定する工程、ならびに、決定された最良の整列のノズル対の表、および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットを記憶装置に記憶する工程を含む。
【0010】
本発明の第五の態様によれば、本発明の第二の態様による液滴堆積装置に関するずれ情報を決定する方法が提供される。方法は、液滴堆積装置の基準に対する液滴堆積ヘッドの複数のスキュー角について、および/または液滴堆積ヘッドの複数の位置オフセットについて、第一のヘッドモジュールのノズルアレイと第二のヘッドモジュールのノズルアレイの重なり合う領域で一つ以上の最もよく整列されたノズル対を決定する工程、ならびに、決定された最良の整列のノズル対の表、および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットを記憶装置に記憶する工程を含む。
【0011】
本発明の第六の態様によれば、本発明の第三の態様による液滴堆積装置に関するずれ情報を決定する方法が提供される。方法は、液滴堆積装置における二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差を記憶装置に記憶する工程を含む。
【0012】
本発明の第七の態様によれば、それぞれのヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、少なくとも二つのヘッドモジュールの間の重なり合う領域において一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法が提供され、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュールのノズルアレイのノズルは第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュールのノズルアレイのノズルは第二のノズルピッチで配置され、方法は、重なり合う領域の複数のノズルを介してテスト画像を印刷する工程であって、テスト画像はノズルアレイの重なり合う領域の一つまたは複数のノズル対についての一つまたは複数のテストパターンを含む、印刷する工程、印刷されたテスト画像をスキャニングして、スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数の領域にわたる平均色密度を計算する工程であって、スキャニングされたテスト画像は一つまたは複数のセクションを含み、各セクションは重なり合う領域内の一つのアレイから他の異なるアレイへの遷移領域を形成するステッチ領域、およびステッチ領域の外側である非ステッチ領域を含む、計算する工程、スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数のセクションにわたる色密度変化を決定する工程、ならびに決定された色密度変化に基づいてノズルアレイの重なり合う領域において一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む。
【0013】
上記の装置および方法によって、装置内のずれを効率的に決定することができる。さらに、新しいヘッドモジュール/ヘッドが装置に挿入されるとき、または装置のヘッドモジュール/ヘッドが交換されるとき、ヘッドモジュール/ヘッドのアライメントに必要なプロセス工程が少なく、かつ時間が少なくなり、それによって装置の効率が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで図面を参照する。
【0015】
【
図1】
図1は、本発明による液滴堆積装置のブロック図を示す。
【
図2A】
図2Aは、各液滴堆積ヘッドが二つのヘッドモジュールを有する、二つの部分的にオーバーラップし、かつ整列された液滴堆積ヘッドの概略図である。
【
図2B】
図2Bは、各液滴堆積ヘッドが四つのヘッドモジュールを有する、二つの部分的にオーバーラップし、かつ整列された液滴堆積ヘッドの概略図である。
【
図3】
図3は、各ノズルアレイが、第一のノズルピッチを有する第一の部分、および第二のノズルピッチを有する第二の部分を含む、第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールの二つの部分的に重なり合ったノズルアレイの概略図である。
【
図4】
図4は、それぞれ、第一のヘッドモジュールのノズルアレイが、第一のノズルピッチを有する第一の部分、および第二のノズルピッチを有する第二の部分を含み、第二のヘッドモジュールのノズルアレイが第一のノズルピッチを有する第一の部分、および第三のノズルピッチを有する第二の部分を含む、第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールの二つの部分的に重複したノズルアレイの概略図である。
【
図5】
図5は、第一および第二のずれた液滴堆積ヘッド内のずれたヘッドモジュールの概略図である。
【
図6】
図6は、ヘッドモジュール、液滴堆積ヘッド、液滴堆積ヘッド取付システム、および液滴堆積装置のレールの間のずれを示す概略図である。
【
図7】
図7は、実施される液滴堆積装置に関連するスキュー情報を決定するための方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、液滴堆積装置および対応する整列したノズル対に対する、様々なヘッドのスキュー角を示す表の一例である。
【
図9】
図9は、複数のヘッドモジュールの重なり合う領域において、一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法のフローチャートである。
【
図10】
図10は、重なり合う領域における、第一のヘッドモジュールの第一のノズルアレイのノズルおよび第二のヘッドモジュールの第二のノズルアレイのノズルによって媒体上に印刷された画像を示す。
【
図11-1】
図11(i)~(vii)は、選択されたノズル対に基づくピクセルオフセットを示す。
【
図12】
図12は、スキャニングされたテスト画像の一例を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一つの変形による、重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法のフローチャートである。
【
図14】
図14は、セクション内の領域の領域インデックスに対する領域の色密度のグラフであり、ステッチ領域の色密度偏差を示す。
【
図15】
図15は、スキャニングされたテスト画像内のセクションのセクションインデックスに対するセクションステッチ領域の色密度偏差のグラフである。
【
図16】
図16は、本発明の別の変形による、重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法のフローチャートである。
【
図17】
図17は、セクション内の領域の領域インデックスに対する領域の色密度のグラフであり、各領域の色密度偏差を示す。
【
図18】
図18は、テスト画像内のセクションのセクションインデックスに対するセクションの色密度偏差のグラフである。
【
図19】
図19は、液滴堆積装置に関連するスキュー情報を決定するための方法のフローチャートである。
【
図20】
図20は、液滴堆積装置における整列されたノズル対および対応する様々な合計スキュー角を示す表の一例である。
【
図21】
図21は、第一の液滴堆積ヘッドと第二の液滴堆積ヘッドの間の位置オフセットを図示する。
【
図22】
図22は、コントローラをさらに備える、本発明による液滴堆積装置のブロック図である。
【0016】
図面では、全体を通して、類似の要素は、同様の参照符号で示される。図面は原寸に比例したものではなく、特定の特徴がより明瞭に見えるように誇張されたサイズで示されている場合があることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の装置および方法は、装置の少なくとも一つの最良の整列のノズル対を決定して記憶することによって、隣接するノズルアレイがずれているときに発生する目に見える欠陥を低減または回避するための改善された技術を可能にする。これにより、例えば、液滴堆積装置内のヘッドモジュールまたは液滴堆積ヘッド、またはプリントバーなどの取付中の全体的な処理時間および手動調整が節約される。
【0018】
ここで実施形態を詳細に参照していくが、その例は添付の図面に図示されている。
【0019】
装置の概要
液滴堆積装置(例えば、プリンタ)は、典型的には、少なくとも一つのヘッドモジュールを有する少なくとも一つの液滴堆積ヘッドを備える。または各ヘッドモジュールは、一つまたは複数の列に配置された複数のノズルを有する少なくとも一つのノズルアレイを備える。
【0020】
図1は、本発明による液滴堆積装置のブロック図を示す。液滴堆積装置1は、各ヘッドモジュールが少なくとも一つのノズルアレイに複数のノズルを有する、印刷方向に少なくとも部分的に重なり合う関係で配置された第一のヘッドモジュール101Aと第二のヘッドモジュール101Bを備える。さらに、液滴堆積装置1は、第一のヘッドモジュール101Aを備える第一の液滴堆積ヘッド、および第二のヘッドモジュール101Bを備える第二の液滴堆積ヘッドを備え得る。したがって、この場合、用語「ヘッドモジュール」および「ヘッド」は、互換的に使用され得る。ヘッドモジュール101A、101Bのノズルアレイは、
図2または
図3に図示した構成であり得る。さらに、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュール101Aのノズルが第一のノズルピッチで配置され、第二のヘッドモジュール101Bのノズルが第二のノズルピッチで配置される。第一のヘッドモジュール101Aの第二の部分は、第二のヘッドモジュール101Bの第一の部分と重なり合うように構成される。
【0021】
第一のヘッドモジュール101Aおよび第二のヘッドモジュール101Bは、単一の液滴堆積ヘッドに配置され得る。液滴堆積装置は、複数の液滴堆積ヘッドを含み得る。液滴堆積装置内または液滴堆積ヘッド内の各ヘッドモジュールの実際の位置、および/または各液滴堆積装置内または各液滴堆積ヘッド内の互いに対するヘッドモジュールの実際の位置は、ほぼ同じであり得る。しかしながら、製造上のばらつきや、ずれにより、ヘッドモジュールの実際の位置は異なり得る。したがって、装置1は、液滴堆積ヘッド内、または液滴堆積装置内の、および/または別の隣接するヘッドモジュールに対する、三つ以上のヘッドモジュールの実際の位置を記憶するように構成された記憶装置200をさらに備える。さらに、ヘッドモジュールの位置の誤差は、ヘッドモジュールの実際の位置および理想的な位置から計算され得、結果として、実際の位置を保存することに加えて、またはその代わりに、三つ以上のヘッドモジュールの位置の誤差が、記憶装置に記憶され得る。位置の誤差は、ヘッドモジュールの理想的な位置とヘッドモジュールの実際の位置との間の差である。
【0022】
実際の位置は、ヘッドモジュールを液滴堆積ヘッドまたは液滴堆積装置に配置または取り付けた後のヘッドモジュールの位置であり、一方、理想的な位置は、液滴堆積ヘッドまたは液滴堆積装置(製造上の変形がないと仮定する)の中でヘッドモジュールが必要とされる位置であることに留意されたい。
【0023】
記憶装置200は、第一のヘッドモジュール101Aと第二のヘッドモジュール101Bとの間の重なり合う領域の決定された最良の整列のノズル対の表、および液滴堆積装置1の基準に対するヘッドモジュール101A、101B、またはヘッド101、102の少なくとも一つの対応するスキュー角、および/または第一のヘッドモジュールまたは第一のヘッドに対する第二のヘッドモジュールまたは第二のヘッドの対応する位置オフセットを記憶するようにさらに構成される。液滴堆積ヘッドが三つ以上のヘッドモジュールを備える場合、記憶装置内の表は、ヘッドモジュールではなく、ヘッドの対応するスキュー角、および/またはヘッドの対応する位置オフセットを含む。基準は、ヘッドモジュールまたはヘッドが取り付けられ得る液滴堆積装置1内の基準点である。記憶装置200は、ヘッドモジュール101A、101Bまたはヘッド101、102のうちの少なくとも一つの各スキュー角について、少なくとも一つの最良の整列のノズル対を記憶する。最良の整列のノズル対は、二つ以上のヘッドモジュール101A、101Bの実際の位置または位置の誤差に基づいて、または互いに対するヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差に基づいて計算され得る。さらに、記憶装置200は、ヘッドモジュール101A、101Bまたはヘッド101、102のうちの少なくとも一つの各スキュー角について、少なくとも二つの最良の整列のノズル対を記憶するように構成され得る。
【0024】
本開示における「スキュー」は、回転または角度のずれを指し、一方、「位置オフセット」は、クロスプリント方向における平行オフセットまたは平行ずれを指すことに留意されたい。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第一のヘッドモジュール101A、第二のヘッドモジュール101Bおよび記憶装置200は、個別の構成要素であり得、すなわち、記憶装置200は、ヘッドモジュール101A、101Bの中に含まれてもその上に位置付けられてもいないが、ヘッドモジュール101A、101Bと通信している。印刷中、記憶されたデータの処理のために記憶装置が発熱する場合、外部に位置する記憶装置が好ましい場合がある。したがって、記憶装置がヘッドモジュールから離れて位置付けられ、かつヘッドモジュールの近くにない場合、記憶装置によるヘッドモジュールへの直接的な熱の影響、およびヘッドモジュールの動作に対する結果としての干渉の可能性が回避され得る。
【0026】
あるいは、本発明の別の実施形態によれば、ヘッドモジュール101A、101Bの少なくとも一つは、記憶装置200がヘッドモジュール101A、101B内に埋め込まれるか、またはヘッドモジュール101A、101B上に位置付けられるように、記憶装置200を備え得る。さらに、記憶装置200は、ヘッドモジュール101A、101Bを駆動するために必要な他の電子構成要素を備えるヘッドモジュール101A、101BのドライバASICまたはプロセッサ内に提供され得、ヘッドモジュール101A、101Bの中かまたはその上に位置付けられ得る。ヘッドモジュールは、記憶装置および/またはヘッドモジュール上に取り付けられた他の電子構成要素を冷却するための冷却機構を有し得る。この実施形態は、ヘッドモジュール製造業者が、ヘッドモジュールの製造中に、最良の整列のノズル対に関連するデータをヘッドモジュールメモリに直接記憶することができるため、有利であり得る。これにより、各個々のヘッドモジュールのアライメントデータへの迅速なアクセスが提供され、それによって、液滴堆積装置内のヘッドモジュールの全体的なセットアップ時間が短縮される。
【0027】
他の実施形態によれば、液滴堆積ヘッドは、二つのヘッドモジュール101A、101Bを備え得、記憶装置200は、ヘッド上に位置するか、またはヘッド内に埋め込まれ得る。
【0028】
ヘッドとヘッドモジュールの千鳥/重複配置
液滴堆積装置1は、複数の液滴堆積ヘッドを備え得、例えば、隣接する液滴堆積ヘッドのノズルのこうしたアレイは、単一の液滴堆積ヘッドの幅よりも大きな幅、または印刷媒体の幅(例えば、産業用プリンタ)よりも大きくてもよい。例えば、二つ以上の液滴堆積ヘッド、または液滴堆積ヘッド内の二つ以上のヘッドモジュールは、
図2Aおよび2Bに示すように、隣接するヘッドまたはヘッドモジュールが印刷方向500に互いに部分的に重複するように、千鳥配置で装置の軸に沿って配置され得る。
【0029】
図2Aは、印刷方向500に互いに部分的に重複する、第一の液滴堆積ヘッド101および第二の液滴堆積ヘッド102を(下方からの平面図で)図示する。ヘッド101、102はそれぞれ、二つの部分的に重複するヘッドモジュールを備える。
図2Aに示すように、第一の液滴堆積ヘッド101は、印刷方向500に部分的に互いに重複する第一のヘッドモジュール101Aおよび第二のヘッドモジュール101Bを備え、第二の液滴堆積ヘッド102は、印刷方向500に部分的に互いに重複する第一のヘッドモジュール102Aおよび第二のヘッドモジュール102Bを備える。液滴堆積ヘッド101、102のそれぞれの中の第一および第二のヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bの重なり合う領域「OR」は、「OR1」として示され、一方、第一のヘッド101および第二のヘッド102の重なり合う領域「OR」はOR2として示される。
【0030】
さらに、液滴堆積ヘッドはまた、三つ以上のヘッドモジュールを備え得る。
図2Bは、それぞれが四つのヘッドモジュールを含む二つの液滴堆積ヘッドを図示する。
図2Bに示すように、第一の液滴堆積ヘッド101は、四つのヘッドモジュール101A、101B、101Cおよび101Dを備え、第二の液滴堆積ヘッド102は、四つのヘッドモジュール102A、102B、102Cおよび102Dを備える。各ヘッド101、102内の重なり合う領域「OR」は「OR1」として示され、ヘッド101、102の重なり合う領域は「OR2」として示されている。
図2Bでは、各ヘッド101、102が四つのヘッドモジュールを備えるため、各ヘッド101、102内に形成された三つの重なり合う領域「OR1」がある。第一の液滴堆積ヘッド101では、ヘッドモジュールは、第二のヘッドモジュール101Bが印刷方向500にあり、第一のヘッドモジュール101Aと第一の側面上で部分的に重なり合い、第三のヘッドモジュール101Cと第二の側面上で部分的に重なり合うように配置される。一方、第三のヘッドモジュール101Cは、印刷方向500にあり、第二のヘッドモジュール101Bと第一の側面上で部分的に重なり合い、第四のヘッドモジュール101Dと第二の側面上で部分的に重なり合う。同様に、第二の液滴堆積ヘッド102では、ヘッドモジュールは、第二のヘッドモジュール102Bが印刷方向500にあり、第一のヘッドモジュール102Aと第一の側面上で部分的に重なり合い、第三のヘッドモジュール102Cと第二の側面上で部分的に重なり合うように配置される。第三のヘッドモジュール102Cは、印刷方向500にあり、第二のヘッドモジュール102Bと第一の側面上で部分的に重なり合い、第四のヘッドモジュール102Dと第二の側面上で部分的に重なり合う。
【0031】
図2Aおよび
図2Bが、液滴堆積ヘッド内にそれぞれ二つおよび四つのヘッドモジュールを図示しているが、液滴堆積ヘッドのヘッドモジュールの数は、二つまたは四つに限定されず、液滴堆積装置は、任意の数のヘッドモジュールを有する液滴堆積ヘッドを備え得ることに留意されたい。
【0032】
さらに、
図2Aおよび2Bがヘッド101、102のヘッドモジュールと同じ位置を図示する場合でも、各ヘッドのヘッドモジュールの実際の位置は同じではない場合があることに留意されたい。また、ヘッド内の、または二つ以上のヘッド間の重なり合う領域の領域は異なり得る。例えば、ヘッド101のヘッドモジュール101Aは、ヘッドモジュール101A、101Bの間の重なり合う領域「OR1」がヘッドモジュール102A、102Bの間の重なり合う領域「OR1」よりも狭いか、またはより広いように、ヘッド101Aの縁部からより近くまたはより遠くに配置され得る。
【0033】
図2Aおよび2Bに示す重なり合う配置では、一つのヘッドまたはヘッドモジュールのノズルの一部または全部が画像の一部を印刷するために使用され、画像の別の一部が別の隣接するヘッドまたはヘッドモジュールのノズル等を使用して印刷される。隣接するヘッドまたはヘッドモジュールの重なり合う領域において、画像は、一つのヘッドまたはヘッドモジュールから隣接するヘッドまたはヘッドモジュールに遷移することによって印刷される。この遷移が発生する点は、本明細書では「遷移点」と呼ばれる。
【0034】
重なり合う領域におけるこうした遷移は、重なり合うノズル領域が十分によく整列していない場合、液滴堆積ヘッドまたはヘッドモジュールの各一つによって印刷されるサブ画像間に、継ぎ目(すなわち、重なり合う領域の遷移点)に不正確または目に見えるアーチファクトを導入し得る。例えば、目に見えるアーチファクトは、(重なり合うノズルが接近しすぎる、すなわち公称ノズルピッチよりも互いに接近している場合)より暗い線、または暗いバンディングまたは(重なり合うノズルが離れすぎている、すなわち公称ノズルピッチよりもさらに離れている場合)より明るい線または明るいバンディングとなり得る。
【0035】
ノズルアレイの異なるピッチ
上記の問題を克服するために、第一のヘッドモジュールおよび第二のヘッドモジュールのノズルアレイの複数のノズルは、重なり合う領域「OR」において、第一のヘッドモジュールのノズルピッチ(すなわち、アレイの方向に沿った隣接するノズル間の中心分離)が、第二のヘッドモジュールのノズルピッチとは異なるように配置される。第一のヘッドモジュールのノズルアレイおよび第二のヘッドモジュールのノズルアレイはそれぞれ、そのノズルが第一のノズルピッチで配置される第一の部分、およびそのノズルが第二のノズルピッチで配置される第二の部分を備え得る。第一のヘッドモジュールの第二の部分は、第二のヘッドモジュールの第一の部分と重なり合うように構成される。
【0036】
本発明の一実施例によると、
図3は、異なるノズルピッチを有する部分的に重なり合ったノズルアレイの配置を図示する。第一のヘッドモジュール101のノズルアレイA1は、印刷方向500における第二のヘッドモジュール102のノズルアレイB1と部分的に重なり合う。ノズルアレイA1は、二つの部分を含み、第一の部分P1は、ノズルピッチNP1を有し、第二の部分P2は、ノズルピッチNP1とは異なるノズルピッチNP2を有する。言い換えれば、ノズルアレイの各部分は、異なるノズルピッチを有する。ピッチNP2は、NP2<NP1となるように、ピッチNP1よりも小さくてもよく、またはピッチNP2は、NP2>NP1になるように、ピッチNP1より大きくてもよい。さらに、この実施例では、ノズルアレイB1は、二つの部分P1およびP3を含み、そのノズルは、ノズルピッチNP1およびNP3でそれぞれ配置され、ノズルピッチNP3は、ノズルピッチNP1と同一である。言い換えれば、この実施例では、ノズルアレイB1のノズルピッチは一定であり、NP1=NP3である。
図3では、ノズルアレイA1の部分P2は、印刷方向500に沿って、ノズルアレイB1の部分P3と重なり合う。
【0037】
ノズルピッチは重なり合う領域(NP2≠NP3)で異なるため、遷移点で一つのアレイから別のアレイへ切り替わるときに、ノズルピッチNP2とノズルピッチNP3との間のノズルピッチ変動「Δ」の最小値を提供する、少なくとも一つの整列されたノズル対「A」がある。アレイA1からアレイB1への切り替え時に重なり合う領域の遷移点として、この「最良に」に整列された対であるAPを選択することによって、遷移領域のバンディングまたは目に見えるアーチファクトが低減または回避される。
【0038】
図3はさらに、画像の印刷に使用されるノズルとそうでないノズルとを定義するために使用され得る、ノズルマスキングパターンを示す。遷移点APのノズルまでおよびそれを含む第一のヘッドモジュール101のアレイA1のノズル、および遷移点APのノズルの後の第二のヘッドモジュール102のアレイB1のノズルは、暗い円で示されるように、印刷のために有効化され使用される。アレイA1およびB1の代替的なノズルマスキングパターンでは、遷移点APのノズル(しかしそのノズルは含まない)までの第一のヘッドモジュール101のアレイA1のノズル、および遷移点APのノズルを含むおよびその後の第二のヘッドモジュール102のアレイB1のノズルは、有効化され印刷に使用され得る。これら両方の例示的なノズルマスキングパターンでは、遷移点APでの整列されたノズル対のノズルのうち、一度に一つのみが有効化される。しかしながら、さらなる実施例では、例えば、各々が隣接するノズルと比較してより低い液滴量を印刷し得る遷移点APにおいて、両方のノズルを有効化し得る。さらに別の実施例では、遷移点APで整列したノズル対のどのノズルが有効化されているかを、交互に(またはそうでなければ経時的に)変更することができる。
【0039】
本発明の別の実施例によると、
図3に図示したものに対する代替的配置が
図4に示される。
図4は、重なり合う領域「OR」が、ノズルアレイA1およびノズルアレイB1の異なるピッチを含む一つの配置を示す。
図4では、ノズルアレイB1の部分P3は、ノズルアレイB1の部分P1のピッチNP1のものとは異なるピッチNP3を含む。ピッチNP3は、(NP3>NP1)のように、ピッチNP1より大きくてもよい。あるいは、ピッチNP3は、(NP3<NP1)のように、ピッチNP1よりも小さくてもよい。
図4に示すノズルピッチNP1が公称ピッチとみなされる場合、ノズルアレイA1のピッチNP2は、公称ピッチNP1よりも小さい、すなわち(NP2<NP1)、ノズルアレイB1のピッチNP3は、公称ピッチNP1、すなわち(NP3>NP1)よりも大きい。
【0040】
本発明のさらなる実施例では、第一のヘッドモジュールのノズルアレイおよび第二のヘッドモジュールのノズルアレイはそれぞれ、そのノズルが第三のノズルピッチで配置される第三の部分をさらに含む。この場合、第一のヘッドモジュールの第三の部分は、第二のヘッドモジュールの第一の部分と重なり合うように構成され得る。
【0041】
上記の実施例の全てにおいて、異なるピッチが重なり合う領域に示されており、これは、三つ以上のモジュールが互いに隣接している場合に有利であり、隣接するモジュールの第一および第三の領域を使用して、同様に設計された一連のノズルピッチを有し得る隣接アレイと類似した方法で重ね合わせることができる。さらに、遷移点では、印刷された画像における目に見えるアーチファクトを回避または低減するために、第一のノズルアレイから第二のノズルアレイに遷移する際に、第二のノズルアレイのノズルピッチを合わせることがより容易である。上述の実施例のすべてを使用して、第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールとの間に遷移を生成し得るが、その結果、視覚的にシームレスなステッチ、すなわち、目に見えるアーチファクトがない、または目に見えるアーチファクトがより少ない。ステッチは、第一のヘッドモジュールの最後に有効化されたノズルと第二のヘッドモジュールの初めに有効化されたノズルとから構成される重なり合う領域のサブ領域である。最良の整列のノズル対APは、装置の重なり合ったノズルアレイ間の遷移点を定義するが、これは次に、ユーザー要件に従ってノズルマスキングパターンを定義するために使用され得る。
【0042】
異なるピッチの配置は、例示のみを目的とし、任意の数および組み合わせの適切なノズルピッチが想定され得ることに留意されたい。さらに、第一のヘッドモジュールおよび/または第二のヘッドモジュールの重なり合う領域のノズルピッチは、徐々に増加または徐々に減少し得る。
【0043】
液滴堆積ヘッド内のヘッドモジュールアライメントまたは装置内のヘッドアライメント
一般的に、重なり合うアレイ間の遷移による目に見えるアーチファクトのない正確な印刷のために、液滴堆積ヘッド内のヘッドモジュール、および液滴堆積装置内の液滴堆積ヘッドは、装置またはヘッドが構築または組み立てられるとき、互いに対して緊密な公差で整列されなければならない。さらに、液滴堆積装置では、液滴堆積ヘッドが交換されたとき(例えば、液滴堆積ヘッドが故障したとき)に、液滴堆積ヘッドを整列させることも必要である。
【0044】
図2Aおよび2Bは、ヘッド間の、およびヘッド内のヘッドモジュール間の理想的なアライメントの場合を示す。
図2Aは、ヘッドモジュールのアレイのアレイ方向とヘッドが互いに平行に延在するような、ヘッド101、102間の理想的なアライメント、およびヘッド101内のヘッドモジュール101A、101Bのノズルアレイ間の理想のアライメント、およびヘッド102内のヘッドモジュール102A、102Bのノズルアレイ間の理想的なアライメントを示す。
図3および
図4に示すように、二つのヘッドモジュール101A、101B、101C、101D、102A、102B、102C、102D、または二つのヘッド101、102の重なり合う領域内に、少なくとも一つの整列したノズル対APがある。ヘッド当たり三つ以上のモジュールについて、すべてのモジュールが製造中に互いに対して完全に整列する理想的なアライメント状況では、最良の整列のノズル対APは、重なり合うモジュールの対に対して同じ遷移点に位置付けされ得る。同様に、さらなるヘッドが別のヘッドの隣に完全なアライメントで取り付けられた場合、最良の整列のノズル対APは、重なり合うヘッドの対に対して同じ遷移点に位置し得る。しかしながら、製造上の変形またはずれのため、
図5に示すように、ヘッド101、102および/またはヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bは、アレイ方向または印刷方向500に平行にずれ、および/またはZ方向に角度がずれてもよく、その結果、最良の整列のノズル対の物理的位置を予測したり、他の重なり合うヘッドまたはヘッドモジュールと同じであると推定することができない。したがって、二つ以上のヘッドモジュールまたは二つ以上のヘッドの重なり合う領域において、目に見えるアーチファクトなし(または少なくとも低減された)で印刷するために、最良の整列のノズル対を決定するには、スキュー角および/または位置オフセットを考慮する必要がある。さらに、装置内のヘッドおよび/またはヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差は異なってもよく、したがって、ヘッドおよび/またはヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差を考慮して、最良の整列のノズル対を決定することが必要とされ得る。
【0045】
これらの変形またはスキューを補正するために、重なり合う領域内のノズルを正確に整列させるために、重なり合うヘッドの機械的な微細調整を行うことが可能であり、それにより、一つのヘッドモジュールまたはヘッドから隣接するヘッドモジュールまたはヘッドへと遷移して、目に見えるアーチファクトの減少(または最小限のアーチファクト)をもたらす。しかしながら、これらの処理は非常に高額かつ時間がかかる場合があり、特に1200dpiヘッドなど高解像度液滴堆積ヘッドの場合、高い精度が要求されるため、専門の人材または専門のツールが必要とされ得る。
【0046】
装置内の様々なずれまたはスキュー
さらに、液滴堆積装置内のヘッド間アライメント、または液滴堆積ヘッド内のヘッドモジュール間アライメントのこうした微細な調整があっても、達成可能なアライメントは、目に見えるアーチファクトを低減または除去するには不十分であり得る。さらに、他の因子による液滴堆積装置のわずかなずれは、液滴堆積装置の合計スキューに寄与し、印刷画像に目に見えるアーチファクトをもたらし得る。これらの因子は、二つ以上の液滴堆積ヘッド内のヘッドモジュールの位置のスキュー、液滴堆積ヘッド取付システム(例えば、プリントバー、キャリッジまたはレール)に対する液滴堆積ヘッドのスキュー、液滴堆積装置に対する液滴堆積ヘッド取付システムのスキュー、媒体のスキュー、媒体に対する媒体保持機構のスキュー、媒体保持機構に対する液滴堆積装置のスキューのうちの一つまたは複数であり得る。人間の目は光密度の段階的変化に敏感であり、印刷媒体によって、約5μm幅の印刷されたラインに沿って段階的変化を形成するずれまたは欠陥を検出し得る。グラフィックス印刷では、および/またはUV硬化性インクを使用する場合、流体またはインクは、紙や織物上への印刷など他の用途と比べて、媒体に乗せてもあまり広がらず、そのため、「にじみ」は限定的となり、人間の目に見える欠陥を低減させ得る。
【0047】
図6は、互いに対して、かつ液滴堆積ヘッド取付システム100に対して、ずれたヘッドモジュールおよびヘッドの配置を図示し、これは次に、液滴堆積装置内で印刷方向500に垂直に延在するレールに取り付けられる。図示した液滴堆積装置1は、複数のヘッド101、102を備え、それぞれが、印刷方向500に沿って部分的に互いに重なり合う二つのヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bをそれぞれ有する。ヘッド101、102は、液滴堆積装置1のレール110と連通し得る、液滴堆積ヘッド取付システム100上に取り付けられる。
図6は、同じ液滴堆積ヘッド取付システム100上の二つのヘッドの取り付けを示すが、これは必要ではなく、各ヘッドは個別の液滴堆積ヘッド取付システムを有し得る。液滴堆積ヘッド取付システム100は、キャリッジ、プリントバー、または取付フレームを備え得る。一部の実施例では、レール110は、ヘッド101、102がレール110に直接取り付けられるように、液滴堆積ヘッド取付システムとして機能し得る。
【0048】
図6は、液滴堆積装置1の異なる構成要素間のずれの結果として、ノズルアレイ間の発生し得るずれを図示する。例えば、ヘッド内のヘッドモジュール間のずれ、ヘッド間のずれ、液滴堆積ヘッド取付システムに対するヘッドのずれ、およびレールまたは液滴堆積装置に対する液滴堆積ヘッド取付システムのずれは、スキュー角θとして示され、表される。本説明では、各スキュー角は、構成要素が装置内の他の構成要素の主軸(長軸)に対して配置され、主軸に対して非平行である程度を示す角度である。
図6では、液滴堆積ヘッド取付システム100の長軸(X軸)とヘッド101、102の長軸(X軸)との間のスキュー角は、θ
1として示され、ヘッドモジュール101Aのノズルアレイ方向(X軸)とヘッド101の長軸(X軸)との間のスキュー角は、θ
2として示され、ヘッド101の長軸(X軸)とヘッド102の長軸(X軸)との間のスキュー角は、θ
3として示され、レール110の長軸(X軸)と液滴堆積ヘッド取付システム100の長軸(X軸)との間のスキュー角は、θ
4として示される。液滴堆積ヘッド取付システム100に関して、装置1に存在する各ヘッドについてθ
1が計算され得、各ヘッド内に存在する各ヘッドモジュールについてθ
2が計算され得る。θ
2は、一般的には工場にて計算される。
【0049】
液滴堆積装置における合計スキュー角は、少なくとも、液滴堆積ヘッドに対する第一および第二のヘッドモジュールのスキュー角、モジュール取付システムに対するヘッドモジュールの少なくとも一つのスキュー角、第二のヘッドモジュールに対する第一のヘッドモジュールのスキュー角、液滴堆積装置の基準に対するモジュール取付システムのスキュー角、媒体のスキュー角、媒体に対する媒体保持機構のスキュー角、ならびに液滴堆積装置の基準に対する媒体保持機構のスキュー角の少なくとも一つの組み合わせを含む。
【0050】
したがって、
図6において、液滴堆積装置1の合計スキュー角θは、液滴堆積ヘッド101、102に対するヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bのスキュー角(θ
2)、液滴堆積ヘッド取付システム100に対する液滴堆積ヘッド101、102のスキュー角(θ
1)、第二の液滴堆積ヘッド102に対する第一の液滴堆積ヘッド101のスキュー角(θ
3)、液滴堆積装置1の基準に対する液滴堆積ヘッド取付システム100のスキュー角(θ
4)、媒体のスキュー角、媒体に対する媒体保持機構のスキュー角、液滴堆積装置の基準に対する媒体保持機構のスキュー角の少なくとも一つの組み合わせを含み得る。液滴堆積装置における合計スキュー角θは、装置内に存在する全てのスキュー角を組み合わせることによって計算され得る。したがって、この場合、合計スキュー角θ=θ
1(ヘッド101)+θ
1(ヘッド102)+θ
2(ヘッドモジュール101A)+θ
2(ヘッドモジュール101B)+θ
2(ヘッドモジュール102A)+θ
2(ヘッドモジュール102B)+θ
3+θ
4である。
【0051】
装置の単一のヘッドの場合、合計スキュー角θ=θ1(ヘッド101)+θ2(ヘッドモジュール101A)+θ2(ヘッドモジュール101B)+θ4である。上述のように、レール110は、代わりに液滴堆積ヘッド取付システムとして機能し得、その場合θ4は存在しない。
【0052】
したがって、上記の式から、合計スキュー角θ、主にθ1およびθ2を計算することが必要となる。工場レベルでは、スキュー角θ1、すなわち、液滴堆積ヘッド取付システムの長軸(X軸)とヘッドの長軸(X軸)との間のスキュー角、および/または各ヘッド内のヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差θ2、すなわちヘッドモジュールのノズルアレイ方向とヘッドの長軸(X軸)との間のスキュー角、ならびに任意選択で、θ3、すなわち、二つのヘッドの長軸(X軸)間のスキュー角が重なり合う領域で最良の整列のノズル対を決定するために使用され得る。以下で説明する工場レベルでは、θ1の値を測定して記憶することができ、工場レベルでは、θ2の値もまた測定して記憶することができる。あるいは、各ヘッドの各ヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差は工場レベルで測定および記憶され得、θ1およびθ2の値は、例えば、プリンタ製造現場または組立て中に測定され記憶され得る。
【0053】
液滴堆積装置の組み立て後、工場レベルで決定された最良の整列のノズル対、または、代替的に、例えば、プリンタ製造現場または組み立て中に、各ヘッドのヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差に基づいて決定された最良の整列のノズル対は、ヘッドが液滴堆積装置に取り付けられた後、ヘッドまたはヘッドモジュールが取り付けられた液滴堆積装置のスロットの合計スキュー角を決定するために使用され得る。媒体のスキューおよび媒体に対する媒体保持機構のスキューもまた、合計スキュー角θを計算する間に加えられ得る。液滴堆積装置1のスロットの計算された合計スキュー角は、液滴堆積装置1の記憶装置200(
図1に示す)に記憶され得る。あるいは、装置1は、計算された合計スキュー角を液滴堆積装置1に記憶するための第二の/さらなる記憶装置(図示せず)をさらに備え得る。
【0054】
θ
1
および二つのヘッドモジュール間の最良の整列のノズル対の決定
図7は、実施され得る液滴堆積装置に関連するずれ情報を決定するための方法を示す。工程S701において、各ヘッド内の各ヘッドモジュールの実際の位置および/または各ヘッドモジュールの位置の誤差が工場レベルで決定され、記憶装置200に記憶される。ヘッドモジュール(例えば、ミリメートル単位)の実際の位置は、絶対値または相対値として記憶され得る。例えば第一のヘッドモジュールの実際の位置は、絶対値であって、液滴堆積ヘッドフレームからの距離、または液滴堆積装置の一つまたは複数の基準からの距離であり得、一方で、第二のヘッドモジュールの実際の位置は相対値であって、第一のヘッドモジュールの実際の位置に基づいて、および/または液滴堆積ヘッドフレームからの距離もしくは液滴堆積装置の一つまたは複数の基準からの距離に基づいて、のいずれかで計算され得る。さらに、さらなる正確性のために、ヘッドモジュールの実際の位置は、液滴堆積ヘッドまたは液滴堆積装置に対する二つ以上の座標を使用して計算され得る。工場において、ヘッドモジュールの実際の位置から、およびヘッドモジュールの理想的な位置から、ヘッドモジュールの位置の誤差(例えば、マイクロメートル単位で)は、以下のように計算することができる:(位置の誤差)=(ヘッドモジュールの理想的な位置)-(ヘッドモジュールの実際の位置)。したがって、位置の誤差は、ヘッドモジュールの理想的な位置とヘッドモジュールの実際の位置との間の差である。位置の誤差は、正、負、またはゼロであり得ることに留意されたい。さらに、二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置を記憶装置に記憶することに加え、二つ以上のヘッドモジュールの位置の誤差を記憶装置に記憶し得る。あるいは、二つ以上のヘッドの実際の位置を記憶装置に記憶する代わりに、二つ以上のヘッドモジュールの位置の誤差のみを記憶装置に記憶し得る。これは、位置の誤差を記憶するために必要なビット数が、ヘッドモジュールの実際の位置を記憶するために必要なビット数よりも少ないため、記憶領域を節約するのに有利であり得る。
【0055】
決定されたヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差に基づいて、工程S702において、液滴堆積装置(例えば、プリントバー、キャリッジ、レール)の基準に対する、ヘッドモジュール101A、101Bの少なくとも一つまたはヘッドモジュール101、102の少なくとも一つの複数のスキュー角について、および/または第一のヘッドモジュール101Aまたは第一のヘッド101に対する第二のヘッドモジュール101Bまたは第二のヘッド102の複数の位置オフセットについて、第一のヘッドモジュール101Aのノズルアレイと第二のヘッドモジュール101Bのノズルアレイとの重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対APが決定される。ここで、第一のヘッド101は二つのヘッドモジュール101Aおよび101Bを備え、第二のヘッド102は二つのヘッドモジュール102Aおよび102Bを備えることに留意されたい。第一および第二のヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bの重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対APは、テスト画像を印刷することによって、次いで、テスト画像を分析して一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定することによって決定され得る。テスト画像は、一つまたは複数のテストパターンを含み得る。分析は、ユーザーによって視覚的に、または画像分析アルゴリズムを使用してテスト画像の分析によってコントローラによって電子的に実行され得る。分析の電子的方法は、以下でより詳細に説明される。
【0056】
次の工程S703では、決定された最良の整列のノズル対APおよび対応するスキュー角θ1および/または対応する位置オフセットの表が、記憶装置200に記憶される。記憶装置200は、ヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bまたはヘッド101、102のうちの少なくとも一つの一部であり得るか、またはヘッドモジュール101A、101B、102A、102B、またはヘッド101、102の外部にあり得る。
【0057】
工程S702およびS703は、工場レベルでは任意であり、工場レベルでは実施されない場合があることに留意されたい。代わりに、工程S702およびS703は、例えば、工程S701で記憶されたデータに基づいて、プリンタ製造現場で、または組み立て中に実施され得る。したがって、工程S701および工程S702、S703は独立している。例えば、工程S701~S703はすべて、同じ場所で実施することができる。あるいは、工程S701は、一つの場所で実施することができ、工程S703、S703は、他の場所で実施することができる。
【0058】
工程S703で、ヘッド101について、記憶装置200に記憶され得る表の一例が
図8に示される。この表は、液滴堆積装置の基準に対するヘッド101の様々なスキュー角θ
1、およびヘッドモジュール101Aおよび101Bの対応する決定された最良の整列のノズル対のノズル番号を示す。表に示すように、-0.05度~+0.05度の範囲のスキュー角θ
1の整列されたノズル対を、テスト印刷から決定し記憶した。こうした表の等しく適切な変形では、任意の数のスキュー角に対する任意の数のノズル対を決定し記憶し得る。表のサイズは、記憶装置のサイズに依存し得る。さらに、表は、各スキュー角に対して、最良の整列のノズル対一つのみを示す。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、重なり合う領域は複数の整列したノズル対を有し得、その中から選択された、またはすべての最良の整列のノズル対が表に記憶され得る。次に、ユーザーは、液滴堆積装置のセットアップおよび液滴堆積装置の互いに対するヘッドモジュールのアライメントに応じて、どの整列されたノズル対を遷移点として使用するかを選択し得る。さらに、記憶された表は、後でより詳細に説明するように、液滴堆積装置のスロットの合計スキュー角を決定するのに有用であり得る。
【0059】
ソフトウェア方法を使用した最良の整列のノズル対の決定
ここで、複数のヘッドモジュールまたは複数のヘッドの重なり合う領域において、一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための電子的方法に目を向けると、コントローラは、液滴堆積装置と通信し、テスト画像を分析する画像分析の電子的方法にアクセスして実行するように構成される。コントローラは、電子的方法を使用して、テスト画像で検出された各重なり合う領域について、最良の整列のノズル対を決定し、次いで、一つまたは複数のヘッドモジュールまたは一つまたは複数の液滴堆積ヘッドの適切なノズルを無効化する。画像分析の電子的方法は、プロセスが視覚的分析方法よりも速く、より信頼性が高く、ヒューマンエラーになりにくいため有利である。さらに、重なり合う領域のテスト画像は、目視検査によって分析される必要がないため、媒体およびインクなどのリソースの使用が少なくて済み、よりコンパクトにすることができる。さらに、この方法はコントローラによって実行されるため、熟練したオペレータの必要がない。
【0060】
ここで方法を、二つのヘッドモジュール間の重なり合う領域を参照して説明するが、方法が、二つ以上の液滴堆積ヘッド間の重なり合う領域に等しく適用され、それぞれが一つまたは複数のヘッドモジュールを備えることに留意されたい。
【0061】
各ヘッドモジュールは複数のノズルのアレイを備え、重なり合う領域では、第一のヘッドモジュール101AのアレイA1のノズルが第一のノズルピッチNP2で配置され、第二のヘッドモジュール101BのアレイA2のノズルが第二のノズルピッチNP3で配置される。方法は、重なり合う領域の複数のノズルを介してテスト画像を印刷する工程であって、テスト画像はノズルアレイの重なり合う領域の一つまたは複数のノズル対についての一つまたは複数のテストパターンを含む、印刷する工程、印刷されたテスト画像をスキャニングする工程、スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数の領域にわたる平均色密度を計算する工程であって、スキャニングされたテスト画像は一つまたは複数のセクションを含み、各セクションは重なり合う領域内の一つのアレイから他の異なるアレイへの遷移領域を形成するステッチ領域、およびステッチ領域の外側である非ステッチ領域を含む、計算する工程、スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数のセクションにわたる色密度変化を決定する工程、ならびに決定された色密度変化に基づいてノズルアレイの重なり合う領域において一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する工程を含む。非ステッチ領域は、重なり合う領域の内側にあるがステッチ領域の外側にある、セクション内の一つまたは複数の領域を指す。
【0062】
一般的なソフトウェア方法(図9)
複数のヘッドモジュールの重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を電子的に決定するための上述の方法工程のフローチャートが、工程S901~S905を含む
図9に示される。各工程は、
図10~12を参照して詳細に説明される。
【0063】
工程S901において、ドットまたは線のパターンなどのテスト画像は、重なり合う領域の複数のノズルによって印刷される。同じテスト画像は、液滴堆積装置1の各ヘッドモジュールによって印刷され得るが、異なるテスト画像が代わりに印刷され得る。さらに、バーコードまたは基準などの一つまたは複数の識別マークを印刷して、特定のヘッドまたはヘッドモジュールから生じる特定のテスト画像を識別し得る。
【0064】
-テスト画像のテストパターンの例
二つのノズルアレイの所与の重なり合う領域について、いくつかのノズル対があり得、各々、第一のノズルアレイからのノズルと第二のノズルアレイからのノズルから構成され、これらのノズル対に固有のいくつかのテストパターンを生成し、印刷することができる。これらすべてのテストパターンが、その重なり合う領域のテスト画像を形成する。したがって、テスト画像は、一つまたは複数のテストパターンを含み得る。テストパターンの一例を
図10に図示する。例示的なテストパターンは、重なり合う領域(点線で示される)に位置する、第一のヘッドモジュール101AのノズルアレイA1のノズルおよび第二のヘッドモジュール101BのノズルアレイB1のノズルによって印刷された媒体上の印刷されたドットを示す。
図10では、「AP」は整列されたノズル対であり、潜在的な遷移点を定義する。印刷に使用されるアレイA1およびB1の有効化されたノズルは、暗い円で示され、印刷に使用されないノズルアレイA1およびB1の無効化されたノズルは、空白の円で示される。
図10は、印刷された一列の一例を示す。繰り返し印刷された列は、テストパターンをもたらす。
図10は、遷移点APまで(およびそれを含む)ノズルアレイA1のノズルのみが印刷に使用され、遷移点APから先はノズルアレイB1のノズルのみが印刷に使用される、潜在的なノズルマスキングパターンの一つを示す。さらに、遷移点AP自体で、ノズルアレイA1のノズルおよびノズルアレイB1のノズルはそれぞれ、アレイの他のノズルよりも低い液滴量を印刷する。
【0065】
-ピクセルオフセットの例
最良の整列のノズル対を決定するために、ユーザーは、ゼロのピクセルオフセットを有する重なり合う領域のノズル対で分析を開始することができる。しかしながら、ノズルアレイA1、B1のノズルピッチが重なり合う領域において異なるため、最良の整列のノズル対は、ゼロのピクセルオフセットでは必ずしも見出されない場合がある。また、重なり合う領域では複数の最良の整列のノズル対があり得るため、ピクセルオフセットの他の組み合わせを考慮する必要があり得る。まず、少なくともゼロまたは1のピクセルオフセットを有する各ノズル対についてテストパターンが生成され、印刷される。
図11(i)~(vii)は、様々なピクセルオフセットに対して選択されたノズル対(AP)を示す。選択されたノズル対は、テストパターンにおける遷移点APである。
図11(i)は、ゼロピクセルオフセットに対するノズル対AP
0を示し、
図11(ii)は、+1ピクセルオフセットに対するノズル対AP
1を示し、
図11(iii)は、+2ピクセルオフセットに対するノズル対AP2を示し、
図11(iv)は、+3ピクセルオフセットに対するノズル対AP
3を示し、
図11(v)は、-1ピクセルオフセットに対するノズル対AP
-1を示し、
図11(vi)は、-2ピクセルオフセットに対するノズル対AP
-2を示し、
図11(vii)は、-3ピクセルオフセットに対するノズル対AP
-3を示す。言い換えれば、
図11(ii)~(vii)は、
図11(i)に対して1ずつ増加または減少するピクセルオフセットを示す。ピクセルオフセットは、例えば、0.5など、整数または非整数の値で増加または減少することができ、さらに、連続する増加/減少の増分値または減分値が同じである必要はない。
図11(i)~(vii)では、
図10に示すように、選択されたノズル対(遷移点)の後のノズルアレイA1のノズル、および選択されたノズル対(遷移点)の前のノズルアレイB1のノズルは、印刷に使用されない。
【0066】
図11(i)~
図11(vii)は、重なり合う領域内の一つのノズル対を遷移点として選択することによって、各ピクセルオフセットの遷移点の一例を示すことに留意されたい。しかしながら、ピクセルオフセットごとに、重なり合う領域内のノズル対の数に等しい異なる遷移点を選択し、対応するテストパターンを生成して印刷することができる。これは
図11(i)に図示される。ゼロピクセルオフセットの遷移点AP
0は実線で示され、同じゼロピクセルオフセットについては、さらなるテストパターンのさらなる遷移点が点線で示される。
【0067】
-スキャニング工程および印刷されたテストパターンを含むスキャンニングされたテスト画像の例
図9の次の工程S902では、印刷されたテスト画像がスキャナによってスキャニングされる。スキャニング工程は、手動で行われてもよく、またはスキャニング工程は、インラインスキャナを使用して自動化されてもよい。
図12は、スキャニングされたテスト画像の一例を示す。スキャニングされたテスト画像は、一つまたは複数の印刷され、スキャニングされたテストパターンを含み得る。例示の目的で、
図12は、ゼロピクセルオフセットの七つのテストパターンTP1~TP7を含む、スキャニングされたテスト画像を示す。各テストパターンは、遷移点として選択され、ゼロピクセルオフセットを有する、異なるノズル対に対応する。一実施例では、重なり合う領域に56のノズルがある場合、テスト画像は、遷移点として選択され得る28のノズル対に対応する最大28のテストパターンを含み得る。同様に、+3、+2、+1、-1、-2、および-3のピクセルオフセットを有するテスト画像は、そのピクセルオフセットの遷移点として選択されたいくつかのノズル対に対して生成され得る。さらに、テスト画像をコンパクトにすることを可能にするため、テストパターンを分割して下に並べてもよい。例えば、最大28のうちの14のテストパターンが、テストパターンの上部のセクションに配置されてもよく、14のテストパターンが、テストパターンの上部のセクションの下に配置されてもよい。
【0068】
重なり合う領域のスキャニングされた各テストパターンは、重なり合う領域の両方のアレイの一つまたは複数のノズルによって印刷される、ステッチ領域およびステッチ領域の隣接領域を含む一つまたは複数の領域を有する「セクション」を含む。セクションは、重なり合う領域内の小さな領域であってもよく、または重なり合う領域全体をカバーするように延在してもよい。セクションの寸法は、ユーザー定義であり、色密度変化を容易に分析できるように、セクションがステッチ領域およびステッチ領域の少なくともいくつかの隣接領域をカバーするようにする必要がある。
図12では、セクションが実線の長方形で示され、遷移点で形成された明るいまたは暗いバンディングが「ステッチ領域」として示される。ステッチ領域は、第一のヘッドモジュールの最後に有効化されたノズルによって、第二のヘッドモジュールの初めに有効化されたノズルによって印刷されたドットから構成される重なり合う領域のサブ領域である。ステッチ領域はまた、印刷が一つのヘッドモジュールから別のヘッドモジュールに遷移され得る遷移点として定義され得る。良好なステッチ領域は、一つのヘッドモジュールから別のヘッドモジュールへのシームレスな遷移として定義され得、ここで、「シームレス」とは「目に見えるバンディングがない」ことを意味する。さらに、不良のステッチ領域は、目に見える明るいまたは暗いバンディングが印刷方向に形成されるものと定義され得る。
【0069】
図12は、七つのセクションS1~S7、および七つのステッチ領域、SA1(ステッチ領域1)~SA7(ステッチ領域7)を示す。遷移点における複数の有効化されたノズルが互いに重なり合わないようにオフセットされる場合、印刷方向500に沿って、例えば、SA1(ステッチ領域1)、SA2(ステッチ領域2)、およびSA3(ステッチ領域3)に示されるように、印刷画像に明るいバンディングがある。一方で、複数の有効化されたノズルが遷移点において重なり合うまたは部分的に重なり合う場合、SA5(ステッチ領域5)、SA6(ステッチ領域6)およびSA7(ステッチ領域7)に示されるように、印刷方向500に沿って印刷画像に暗いバンディングがある。重なり合う領域において第一のヘッドモジュールのノズルが第二のヘッドモジュールのものと整列している場合、SA4(ステッチ領域4)によって示されるように、印刷方向500に沿って印刷画像において滑らかな遷移が観察される。アレイの方向(すなわち、印刷方向500に対して横方向)に測定された色密度の変化は、最良の整列のノズル対を識別するために使用され得る遷移の質の指標である。検出可能な色密度変化が最も低いかまたは全くない場合に、最良の整列のノズル対を示す。
【0070】
-スキャニングされたテスト画像の再形成
スキャニングされたテスト画像は、画像の回転、スキャンバーが印刷画像上を一定の速度で移動しない、またはピクセル画像を捕捉している速度と同期しないなどのスキャニング不良、またはスキャナが必要とされる解像度に完全に設定されていない場合のスキャナの不正確さによって、印刷画像に対して傾いている場合がある。したがって、印刷画像内の正確な位置がスキャニングされた画像内に正確に見出されるように、スキャニングされた画像の電子分析の前にスキャニング不良を修正する必要がある。各テスト画像のスキャンニングされた画像は、ワープパースペクティブ変換などの任意の公知の再形成技術を使用して再形成され得る。スキャンニングされた画像は、再形成されたサブ画像に分割されてもよく、それぞれがワープパースペクティブ変換を使用し、その後、サブ画像の実測された中心が予想される位置にマッピングされ、それぞれのサブ画像において、中心周りの画像は中心に関して一致するように適宜調整される。
【0071】
スキャンニングされた画像の再形成は、印刷画像の正確な複製を提供するスキャナには不要であり得ることに留意されたい。
【0072】
再形成された画像および/またはスキャンニングされた画像の縮尺、実寸、および配向などの属性は、スキャンニングされた画像および/または再形成された画像内のサブ画像の位置を正確に予測することができるように、印刷画像の同じ属性に設定され得る。
【0073】
-色密度測定
図9の次の工程S903では、テストパターンを含む各テスト画像のスキャンニングされた画像(または必要に応じて、再形成されたスキャンニングされた画像)から、スキャニングされたテスト画像の各スキャニングされたテストパターンのステッチ領域を含む一つまたは複数の領域にわたって、平均色密度測定が行われる。
【0074】
ヘッドモジュールは、色密度測定に干渉し得、偽陽性または偽陰性の結果をもたらし得る、一つまたは複数の欠陥ノズルを有し得る。例えば、良好なステッチ領域にわたってなされる色密度測定は、印刷方向に対して横断する方向における最低の色密度変化を示すものであるべきである。しかしながら、潜在的に最良の整列のノズル対の近傍に一つまたは複数のノズルの欠損がある場合、欠損したまたは弱いノズルは、不良のステッチ領域に似た明るいバンディングを呈し、同じテストパターンの遷移点が低色密度変化をもたらしたとしても、このテストパターンによる結果によって、それを「不良な」ステッチ領域(偽陰性)と決めつける場合がある。さらなる実施例では、
図12に関連して記載されるように、重なり合う領域内で重なり合ったノズルを有効化にした結果として、印刷方向に形成された暗いバンディングを有するテストパターンに不良のステッチ領域があり得る。しかしながら、重なり合ったノズルのうちの一つまたは複数が機能しない場合、測定されたセクションは、低色密度変化を有するように見える場合があり、その結果、それが「良好」なステッチ領域(偽陽性)とみなされ得る。
【0075】
-平滑化アルゴリズム
偽陽性または偽陰性の割り当てを低減または防止するために、スキャニングされたテスト画像にわたって平滑化アルゴリズムを使用し得る。このアルゴリズムでは、背景色密度は、各セクションの前後(すなわち、外側)の第一および第二のヘッドモジュールの領域にわたって測定される。ここで、「領域」は、重なり合う領域の外側であってもよく、または重なり合う領域内であるがセクションの外側であってもよい。これらの領域は、「参照領域」と称し得る。例えば、
図12では、セクションS1~S7の外側にある重なり合う領域の各テストパターンTP1~TP7の領域は、参照領域である。参照領域は、セクションの外側の各アレイの一つまたは複数のノズルによって印刷される一つまたは複数の領域を含み得る。
【0076】
第一および第二のアレイ(隣接するヘッドモジュールのアレイまたは隣接するヘッドのアレイであり得る)によって印刷される参照領域の各領域の色密度は、セクションのそれぞれのアレイによって印刷される各領域に対する背景色密度値を与えるように平均化される。第一のアレイによって印刷される領域は、第一のアレイの背景色密度値と第二のアレイの背景色密度値とをより簡単に区別するために、第二のアレイによって印刷される領域とは異なる色密度で印刷され得る。どのアレイのどのノズルがセクション内のそれぞれの領域を印刷したかによって、そのアレイの背景色密度値がセクション内の画像のその領域から減算される。セクションのステッチ領域では、第一および第二のアレイの両方の背景色密度値の平均が、ステッチ領域から減算される。減算後、セクションの画像は減算の結果で置換され、平滑化された画像がもたらされる。
【0077】
平滑化アルゴリズムの適用後にスキャンニングされた(または再形成された)画像は、平滑化アルゴリズムなしでスキャンニングされた(または再形成された)画像よりも信頼性の高い結果をもたらし一つまたは複数の欠陥ノズルがある場合に良好なステッチ領域を見出さすのに有用である。
【0078】
図9の次の工程S904では、スキャニングされたテスト画像の一つまたは複数のセクションにわたる色密度変化が決定され、工程S905では、ノズルアレイの重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対が、スキャニングされたテスト画像のセクションにわたる決定された色密度変化に基づいて決定される。色密度変化が最も低いセクションは、最良の整列のノズル対を有するものとして選択される。決定された一つまたは複数の最良の整列のノズル対は、装置1の記憶装置200に記憶される。
【0079】
図12は、重なり合う領域内の異なるノズル対を選択することによって印刷されたゼロピクセルオフセットに対するテストパターンTP1~TP7のテスト画像を示し、
図12に関して工程S901~S905が上述されている。しかしながら、工程S901~S905は、そのピクセルオフセットに対して少なくとも一つの選択されたノズル対を有する少なくとも一つのピクセルオフセットに対して反復されてもよい。さらに、テスト画像は、ノズルアレイの重なり合う領域における少なくとも一つの選択されたノズル対について、ゼロピクセルオフセット対して生成されたテストパターンと少なくとも一つのピクセルオフセットに対して生成されたテストパターンを含み得る。次に、各ピクセルオフセットの最良の整列のノズル対を互いに比較され得、それらのうち、セクションにわたって全体的に最も低い色密度変化をもたらすノズル対を使用する一つまたは複数の最良の整列のノズル対として選択し得る。
【0080】
テスト画像に対する最良の整列のノズル対は、二つの異なる方法、すなわち、「方法1」および「方法2」を個別に、またはより正確な結果を達成するために組み合わせて使用して決定され得る。これらの方法は、
図13および18に関して概説される。これら二つの方法の両方を各テスト画像に適用してもよく、これらの方法の平均を計算して、そのテスト画像における最良の整列のノズル対を決定し得る。あるいは、一つの方法のみがすべてのテスト画像に適用されてもよく、または一つの方法がいくつかのテスト画像に適用されてもよく、他の方法が残りのテスト画像に適用されて、それぞれの最良の整列のノズル対を決定してもよい。ユーザーは、自身の要件または必要な精度に基づいて、これらの選択肢を選ぶことができる。例えば、方法1は、方法1に関与するデータ処理が少ないため、方法2よりも高速であり得る。したがって、より処理速度を必要とする場合、ユーザーは方法2よりも方法1を選ぶことができる。
【0081】
最良の整列のノズル対を決定するための方法1
図13は、本発明の一つの変形による、重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法のフローチャートである。工程S1301では、非ステッチ領域にわたる平均色密度が計算される。この工程では、各領域の平均を個別に計算する代わりに、二つ以上の領域の合計平均を計算できる。さらに、セクション内のすべての領域の平均を計算する必要はなく、ステッチ領域の二つ以上の隣接した非ステッチ領域の平均のみが、色密度変化を決定するのに十分であり得る。次に、工程S1302では、セクション内のステッチ領域にわたる平均色密度が計算される。次に、工程S1303では、非ステッチ領域にわたる計算された平均色密度から、ステッチ領域にわたる計算された平均色密度を減算することによって、ステッチ領域の色密度偏差が計算される。これについては、
図14に例示する。
【0082】
より具体的には、
図14は、領域インデックス(例えば、
図12の領域1、領域2、領域3など)またはセクション内の領域の領域位置に対する、領域にわたる色密度エリアのプロットを図示し、ステッチ領域の色密度偏差は、セクションで隣接する非ステッチ領域からのステッチ領域の色密度偏差を表す。プロットは、重なり合う領域内のセクションにわたる色密度変化を示し、セクションのおよそ二十の領域にわたる変化を示す。プロットに示される最大ピークは、ステッチ領域にわたる色密度に対応するが、最大ピークの両側に示される小さな正ピークおよび負ピークは、一つまたは複数の非ステッチ領域にわたる色密度に対応する。二つのアレイによって印刷される一つまたは複数の非ステッチ領域にわたる平均色密度値およびステッチ領域の平均色密度値は、実線の横棒で示される。ステッチ領域の平均色密度と非ステッチ領域の平均色密度との間の差は、「ステッチ領域の色密度偏差」であり、実線の縦矢印で示される。
【0083】
上記の工程S1301~S1303は、スキャニングされたテスト画像の各セクションに対して繰り返され、
図15に示すように、各セクションのステッチ領域の決定された色密度偏差は、テスト画像内の各セクションのセクションインデックス(例えば、
図12のS1、S2、S3...など)に対してプロットされる。次に、データに線形回帰を適用し、その線がx軸をと交差するセクションインデックスを「最良のステッチ領域セクション」とする。明るいバンディングを有するセクションステッチ領域について、ステッチ領域の色密度偏差は正であるのに対し、暗いバンディングを有するセクションステッチ領域については、ステッチ領域の色密度偏差は負である。最良のステッチ領域セクションについては、ステッチ領域は、第一のアレイから第二のアレイまでの色密度変化が最低であり、ステッチ領域の色密度偏差は最小またはゼロとなる。工程S1304では、ステッチ領域の計算された色密度偏差に基づいて、一つまたは複数の最良の整列のノズル対が決定される。最良の整列のノズル対について、セクションのステッチ領域の計算された色密度偏差は、他のセクションのステッチ領域の計算された色密度偏差と比較してゼロまたは最低である。決定された一つまたは複数の最良の整列のノズル対は、装置の記憶装置に記憶され得る。
【0084】
最良の整列のノズル対を決定するための方法2
図16は、第二の方法変形による、重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定するための方法のフローチャートである。工程S1601では、スキャニングされたテスト画像のセクションのすべての領域(ステッチ領域を含む)の複合平均色密度が計算される。次に、工程S1602では、セクション内の各領域(ステッチ領域を含む)にわたる平均色密度が計算される。
【0085】
次に、工程S1603では、セクションのすべての領域の計算された複合平均色密度からセクション内の各領域にわたる計算された平均色密度が減算される。工程S1604では、すべての領域の複合平均色密度からの各領域の色密度偏差が、工程S1603における減算の結果に基づいて決定される。工程S1605では、セクションの一つまたは複数の領域のこれらの色密度偏差の絶対値が決定され、工程S1606では、領域の色密度偏差のこれらの絶対値を合計して、セクションの色密度偏差が見い出される。
【0086】
図17は、領域インデックス(例えば、
図12の領域1、領域2、領域3...など)またはセクション内の領域の領域位置に対する領域にわたる色密度のプロットを示す。プロット中の横棒は、セクション内のすべての領域の複合平均色密度を示し、縦棒は、スキャニングされたテスト画像のセクション内のすべての領域の複合平均色密度からの各領域の色密度偏差を示す。
【0087】
次に、工程1601~1606が、スキャニングされたテスト画像中に存在する各セクションに対して繰り返される。スキャニングされたテスト画像のすべてのセクションの色密度偏差が得られると、工程S1607で、そのセクションと一つまたは複数の隣接するセクションの色密度偏差の移動平均、好ましくは、そのセクションの近傍にある少なくとも二つのセクションのウィンドウで決定することにより、各セクションの局所的色密度偏差が計算される。
図18は、セクションインデックス(例えば、
図12のS1、S2、S3...など)、またはスキャニングされたテスト画像内のセクションの位置に対するセクションの色密度偏差のプロットを示す。プロット中のドットは、セクションの移動平均値である。
【0088】
工程S1608では、スキャニングされたテスト画像内のすべてのセクションの局所的色偏差を互いに比較し、ノズルアレイの重なり合う領域内の一つまたは複数の最良の整列のノズル対を、比較の結果に基づいて決定する。スキャニングされたテスト画像の他のセクションよりも、局所的色密度偏差が最低または最小であるセクションが、そのスキャニングされたテスト画像に対する最良のステッチセクションとして選択される。そのセクションの遷移点にある第一および第二のノズルアレイのノズルは、最良の整列のノズル対として選択される。最良の整列のノズル対を有するセクションについて、局所的色密度偏差は他のセクションのそれよりも小さい。決定された一つまたは複数の最良の整列のノズル対は、装置の記憶装置に記憶され得る。移動平均は、色密度測定におけるノイズを低減するのに役立ち得る。例えば、いくつかのセクションは、にじみなどの画像欠陥のために滑らかに見える場合がある。さらに、移動平均は、その隣接するセクションも滑らかである滑らかなセクションが選択されることを確実にし得る。ここで、「滑らか」とは、セクションにわたる色密度変化が少ないか、または全くないことを意味する。
【0089】
方法1および方法2の結果の組み合わせ
上述のように、各テスト画像について、一つまたは複数の最良の整列のノズル対は、方法1および方法2の両方を使用して決定され得る。次いで、そのテスト画像に対する全体的な最良の整列のノズル対は、方法1および方法2の結果の平均として計算され得、決定された一つまたは複数の最良の整列のノズル対は、装置1の記憶装置200に記憶され得る。
【0090】
概して、ノズルアレイの所与の重なり合う領域について、複数の最良の整列のノズル対が存在し、そのうちのいくつかは重なり合う領域の最初/近くに位置することができ、いくつかは重なり合う領域の中央/近くに位置することができ、またはいくつかはオーバーラップ領域の最後/近くに位置することができる。ユーザーは、最良の整列のノズル対のいずれかを選択することができるが、画質向上のためには、主に重なり合う領域の最初または最後に存在し得る機能しないノズルを回避するため、また、主に重なり合う領域の最初または最後に見られ得る、重なり合う領域内の異なるノズルピッチによるピッチ変動の影響を回避するため、重なり合う領域の中央/近くに位置する最良の整列のノズル対を選択することが好ましい。
【0091】
すべての決定された最良のステッチセクションからの好ましいまたは主要の最良の整列のノズル対の選択基準は、三つの因子:(i)セクションの局所的色密度偏差、(ii)中間オフセットの重み付け、および(iii)セクションのステッチ領域を含むすべての領域の絶対平均色偏差に依存し得る。決定された最良のステッチセクションそれぞれについて、これら三つの因子を掛け合わせ、掛け合わせた合計値が最も小さい最良のステッチセクションを主要ステッチセクションとして選択し、そのセクションの遷移点にある第一および第二のノズルアレイのノズルを「主要な最良の整列のノズル対」として選択しても良い。さらに、乗算の合計値が次に小さい少なくとも一つの最良のステッチセクションを二次的ステッチセクションとして選択し、そのセクション内の遷移点にある第一および第二のノズルアレイのノズルを「二次的な最良の整列のノズル対」として選択しても良い。
【0092】
スキャニングされたテスト画像のセクションの局所的色密度偏差である第一の因子は、方法2で上述したように計算される。
【0093】
第二の因子である中間オフセット重み付けは、印刷およびスキャニングされたテスト画像のテストパターンにおける、各領域と中央領域との間の領域インデックスの距離である。例えば、テストパターンが30領域(インデックス0~29)を有し、ステッチ領域の領域インデックスが5である場合、中間オフセット重み付けは9.5である(すなわち、14.5-5=9.5)。この重み付けは、最良のステッチセクションのステッチ領域が重なり合う領域のテストパターンの中央付近にあると予想されるため、テストパターンの開始の領域は第一ノズルアレイのノズルで、終了の領域は第二のノズルアレイのノズルで、テストパターンの中央付近は第一、第二のノズルアレイのほぼ同数のノズルで印刷され、よりバランスの良いステッチができるように適用され得る。
【0094】
第三の因子は、セクションのステッチ領域を含むすべての領域の平均色偏差である。この平均色密度は、平滑化アルゴリズムが適用された後に測定され得る。平滑化アルゴリズムは、各領域から背景参照領域を減算する。したがって、測定される色密度は、実際には参照領域からの領域の偏差であり、暗い領域は負の色偏差を有し、明るい領域は正の色偏差を有する。不良のステッチ領域を有するセクションは、不良のステッチ領域の両側にすべて暗い領域またはすべて明るい領域のいずれかが存在するため、平均色偏差が大きく負に、または正になり得る。一方で、良好なステッチ領域を有するセクションは、良好なステッチ領域の両側に同数の暗い領域および明るい領域が存在するため、平均色偏差がほぼゼロとなり得る。背景参照領域からの平均色密度偏差の絶対値が低いセクションを最良のステッチセクションとして選択し、そのセクション内の遷移点にある第一および第二のノズルアレイのノズルが最良の整列のノズル対として選択される。
【0095】
記憶されたデータから装置のスロットの合計スキュー角θを決定する
ここで、ヘッドまたはヘッドモジュールが液滴堆積装置に取り付けられるスロットの合計スキュー角θを決定する方法を説明する。ヘッドモジュールは、複数のノズル、例えば、数十ミクロンのピッチで配置される数千のノズルを含む。ヘッドモジュールの重なり合う配置において、各重なり合う領域は、少なくとも20~100のノズルを含む。一般的に、テスト画像は印刷され、視覚的に分析されて、各重なり合う領域における一つまたは複数の最良の整列のノズル対を決定する。しかし、重なり合う領域全体の複数のテストパターンからなるテスト画像を印刷し、それらの異なるテストパターンを視覚的に分析することは、重なり合う領域のノズル対(遷移点)の組み合わせごとに対応するテストパターンを有することになり、面倒で時間のかかる作業である。例えば、重なり合う領域内の50のノズル対について、テスト画像内に50のテストパターンがあり得る。しかしながら、上述の本発明の方法を用いて、ヘッド101のヘッドモジュール101A、101Bについて、最良の整列のノズル対(
図8に示す通り)の表として、記憶装置200に既に記憶され、または各ヘッドモジュール(図示せず)の実際の位置または位置の誤差のデータがすでに記憶装置に記憶され、それに基づいて、ヘッドモジュールについて最良の整列のノズル対の表が決定され、当該表は記憶装置に記憶され、ヘッドモジュール101A、101B、すなわちヘッド101が液滴堆積装置1に取り付けられる場合、テストパターンのすべての組み合わせを有するテスト画像を、重なり合う領域のすべてのノズルを用いて印刷する必要はない。代わりに、テスト画像は、工場レベルおよび/またはプリンタ製造現場において、または組立中に決定および/または記憶された、所定の最良の整列のノズル対のみのテストパターンで印刷されてもよく、表から選択され、これは次に、液滴堆積装置(例えば、プリンタ)内のスロットの合計スキュー角θを決定するために使用されてもよく、プロセスを迅速化および効率化する。スロットの合計スキュー角θは、少なくともヘッド101のスキュー角θ
1とスキュー角θ
4を含み、すなわち、スロットの合計スキュー角θ=θ
1+θ
4である。
【0096】
ヘッド101、102のヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bのうち少なくとも二つが液滴堆積装置1に取り付けられるとき、
図19による方法が実行される。工程S1901では、第一のヘッドモジュール101Aおよび第二のヘッドモジュール101B、すなわち、ヘッド101が液滴堆積装置1に取り付けられ、次いで、工程S1902では、表が記憶装置200から取得される。表は、ヘッドモジュール101A、101Bの所定の最良の整列のノズル対、および液滴堆積装置1の基準に対するヘッド101の対応するスキュー角を含む。表に記憶された最良の整列のノズル対は、ヘッドが取り付けられた位置に関わらず、参照取付装置に対するヘッド101のスキュー角に依存する。したがって、ヘッド101自体が装置1や取付システムに対してスキュー角を有していなくても、当該ヘッド101を液滴堆積装置1に取り付けた場合、ヘッドモジュール101A、101Bの重なり合う領域における最良の整列のノズル対は、装置1における合計スキュー角(
図6に示す)に寄与する他のスキュー(例えばθ
4)に依存することになる。これらのスキュー角は、
図8の表に存在するスキュー角と同じ範囲であり得る。したがって、
図8に示すのと同じ表を使用して、所定の最良の整列のノズル対から合計スキュー角θを決定することができる。
【0097】
図20は、
図8と本質的に同じ表を示すが、列を逆にしたものである。また、整列されたノズル対は、2列と3列の代わりに1列と2列に、スロットの合計スキュー角θ(θ
1とθ
4の組み合わせ)として示されるスキュー角θ
1は、表の1列の代わりに3列に表示される。工程S1903では、
図20の表にある所定の最良の整列のノズル対の全て(のみ)に対して、テストパターンを有するテスト画像が生成され(
図20に示す表の例の場合、ピクセルオフセットに対するテスト画像のテストパターンが11個となる)、工程S1904では、生成されたテスト画像が印刷される。印刷されたテスト画像の視覚的または電子的分析の後、最良の整列のノズル対が決定される。次いで、工程S1905では、印刷されたテスト画像の最良の整列のノズル対および
図20の表の最良の整列のノズル対についての対応する(合計)スキュー角θに基づいて、液滴堆積装置1のスロットの合計スキュー角θが決定される。例えば、モジュール101Aのノズル番号1403とモジュール101Bのノズル番号1459のノズル対が、印刷されたテスト画像において視覚的アーチファクトまたは色密度変化が少ないまたはないように、印刷されたテスト画像において互いに最良に整列されるまたは十分に良く整列される場合、
図20の表の対応する角度、すなわち-0.03度が装置1内のスロットの合計スキュー角θと決定される。
【0098】
決定された合計スキュー角θは、様々なスキュー角、すなわち、θ
1、θ
2、θ
3およびθ
4を包含し得る(
図6に示す)。液滴堆積装置1の合計スキュー角は、液滴堆積装置1の記憶装置200に記憶され得る。
【0099】
液滴堆積装置1の合計スキュー角θが決定されると、さらなるヘッドモジュールが液滴堆積装置1内に取り付けられたとき、またはヘッドモジュール101A、101Bもしくはヘッド101が交換されたときに、さらなるテスト画像を生成または印刷する必要がない。さらなるまたは交換されたヘッドモジュールの記憶装置200に記憶されたθ1に対応するスロットの合計スキュー角θに基づいて、さらなるまたは交換されたヘッドモジュールの記憶装置200に記憶された表から対応する最良の整列のノズル対が選択され得る。液滴堆積装置1は、一つまたは複数のヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bまたは一つまたは複数のヘッド101、102、および所定の最良の整列のノズル対および各ヘッドモジュール101A、101B、102A、102B、または各ヘッド101、102の対応するスキュー角θ1の表を有し得、そのヘッドモジュール101A、101B、102A、102B、またはヘッド101、102の記憶装置200に記憶され得る。したがって、さらなるヘッドモジュールもしくはヘッド、または交換用ヘッドモジュールもしくはヘッドが液滴堆積装置1に取り付けられたとき、液滴堆積装置1のスロットの合計スキュー角θ(θ1に対応)を用いて、さらなるテスト画像の印刷に依存せずに、さらなるヘッドモジュールもしくはヘッドのための、または交換用ヘッドモジュールもしくはヘッドのための最良の整列のノズル対を、さらなるヘッドモジュールもしくはヘッドのための、または交換用ヘッドモジュールもしくはヘッドのための表から選択し得る。
【0100】
液滴堆積ヘッドのΔxを決定する
上記の全ての方法から、一つまたは複数のヘッドモジュール101A、101Bの角度スキュー、および液滴堆積装置1のスロットの合計角度スキューθが、記憶された各ヘッドモジュールの実際の位置または位置の誤差を使用して、または記憶された最良の整列のノズル対の表を使用して決定され得る。しかしながら、角度スキューと共に、印刷画像の視覚的アーチファクトをさらに回避または低減するために、隣接する他方のヘッドモジュールに対する一方のヘッドモジュールの位置オフセットΔx、または隣接する他方のヘッドに対する一方のヘッドのΔxを決定して緩和することも必要である。位置オフセットのΔxは、位置オフセットのΔxのタイプに応じて、印刷画像の明るいまたは暗いバンディングにつながる可能性のある液滴配置誤差を引き起こす可能性がある。印刷画像において、正のΔx(すなわち+Δx)は、明るいバンディングを生成し、負のΔx(すなわち、-Δx)は、暗いバンディングを生成する。
【0101】
図21は、隣接する液滴堆積ヘッド101、102間の位置オフセットを示し、各ヘッドは二つのヘッドモジュールを備える。ここで、ヘッド101は、参照ヘッドとみなされてもよく、ヘッド101に対するヘッド102の位置オフセットが計算される。位置オフセットを決定するために、位置オフセットの一つの値について、ヘッドモジュール101Bと102Aとの間の重なり合う領域「OR」のテスト画像が生成され、印刷される。次に、重なり合う領域の最良の整列のノズル対は、目視検査によって手動で、または最良の整列のノズル対を決定するための上述の電子的方法のいずれかを使用して、印刷された画像を分析することによって決定される。この手順は、ヘッド101に対するヘッド102の複数の位置オフセットについて繰り返されてもよく、ヘッド102の複数の位置オフセットと対応する最良の整列のノズル対の表は、その後、液滴堆積装置1にヘッド101、102を取り付ける間など、将来の使用のために液滴堆積装置1の記憶装置200に記憶され得る。
【0102】
さらに、
図21に示すように、ヘッド101に対するヘッドモジュール101Bの位置オフセットのΔx1、およびヘッド102に対するヘッドモジュール102Aの位置オフセットのΔx2を考慮しながら、ヘッド102の位置オフセットのΔxを決定し得る。
【0103】
図21は、二つの隣接する液滴堆積ヘッド間の位置オフセットを記述しているが、二つの隣接するヘッドモジュール間の位置オフセットに適用される。記憶装置200は、第一のヘッドモジュール101A、102Aに対する第二のヘッドモジュール101B、102Bの各位置オフセットに対して、少なくとも二つの最良に整列された対を記憶するように構成され得る。ヘッドモジュール101B、102Bが装置1に取り付けられたとき、位置オフセットは、記憶された所定の最良の整列のノズル対のみのテスト画像を印刷および分析することによって、記憶された表に基づいて決定される。
【0104】
ヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bの少なくとも二つが液滴堆積装置1に取り付けられたとき、表は記憶装置200から取得される。表は、所定の最良の整列のノズル対、および第一のヘッドモジュール101A、102Aに対する第二のヘッドモジュール101B、102Bの対応する位置オフセットを含む。次に、テストパターンを有するテスト画像が、表の所定の最良の整列のノズル対のすべてに対して(のみ)生成され、生成されたテスト画像が印刷される。印刷されたテスト画像の視覚的または電子的分析の後、最良の整列のノズル対が決定される。印刷されたテスト画像の最良の整列のノズル対および表の対応する位置オフセットに基づいて、液滴堆積装置において第一のヘッドモジュール101A、102Aに対する第二のヘッドモジュール101B、102Bの位置オフセットを決定する。
【0105】
相対スキュー
二つの液滴堆積ヘッド101、102の重なり合う領域における最良の整列のノズル対は、様々な相対スキューに依存する。
図21におけるこれらの様々な相対スキューは、ヘッド101の位置オフセットΔx、ヘッドモジュール101Bの位置オフセットΔx1、ヘッド102の位置オフセットΔx、ヘッドモジュール102Aの位置オフセットΔx2、ヘッド101の角度スキューθ
1(
図6に示す)、ヘッド101Bの角度スキューθ
2(図示せず)、ヘッド102の角度スキューθ
1(図示せず)、およびヘッドモジュール102Aの角度スキューθ
2(図示せず)である。これらすべてのスキューは互いに依存し、スキューのうちの一つがわからない場合、残りのスキューから計算することができる。ヘッド101、102の重なり合う領域における最良の整列のノズル対は、これらの相対スキューの関数である。ここで、ヘッド101は、参照ヘッドとみなされてもよく、それゆえ、ヘッド101の位置オフセットΔxは、他の相対スキューを計算するために、ゼロとみなされてもよい。一実施例では、ヘッド102の位置オフセットΔxは、ヘッド102のΔx、ヘッド101のΔx1、Δx2、θ
1、ヘッドモジュール101Bのθ
2、ヘッド102のθ
1、ヘッドモジュール102Aのθ
2を用いて決定され得る。スキューの決定値は、将来の使用のために記憶装置200に記憶され得る。
【0106】
コントローラ
図22に示すように、液滴堆積装置1は、液滴堆積装置の様々な構成要素の機能を制御し、第一および第二のノズルアレイの複数のノズルによる印刷を制御するコントローラ300をさらに備えて得る。コントローラ300は、一つまたは複数のテストパターンを有するテスト画像を生成するように構成され得、印刷されたテスト画像における最良の整列のノズル対と表における対応するスキュー角とに基づいて、装置1における合計スキュー角θを決定するように構成され得る。コントローラ300は、さらに、合計スキュー角θを用いて、第三または第四のヘッドモジュール102A、102Bの少なくとも一方について、記憶装置に記憶された表から、第三のヘッドモジュール102Aおよび第四のヘッドモジュール102Bについて最良の整列のノズル対を選択するように構成され得るか、またはコントローラ300は、合計スキュー角θを用いて、交換されたヘッドモジュールについて、交換されたヘッドモジュールについての記憶装置に記憶された表から最良の整列のノズル対を選択するように構成され得る。
【0107】
さらに、コントローラ300は、一つまたは複数のテストパターンを有するテスト画像を生成するように構成され得、かつ印刷されたテスト画像における最良の整列のノズル対および表の対応する位置オフセットΔxに基づいて、隣接するまたは第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの位置オフセットΔxを決定するように構成され得る。
【0108】
最良の整列のノズル対に基づいて、コントローラ300は、ヘッドモジュールまたはヘッドのノズルアレイから適切なノズルを無効化または有効化し得る。第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールとの間で無効化されるノズルの総数は、二つのモジュールの間の所与の重なり合う領域のすべてのステッチ領域に対して同じであることが好ましい。例えば、重なり合う領域に56のノズルがある場合、ゼロピクセルオフセットのテスト画像は、重なり合う領域に存在する各ステッチ領域について、両方のヘッドモジュールのノズルアレイ間で、28のノズルを無効化にし得る。ピクセルオフセットが+3、+2、+1のテスト画像では、両方のヘッドモジュールのノズルアレイ間でそれぞれ無効化された合計25、26、27のノズルが存在し、ピクセルオフセットが-3、-2、-1のテスト画像では、両方のヘッドモジュールのノズルアレイ間でそれぞれ合計29、30、31のノズルが無効化され得る。液滴堆積装置1の異なる構成要素間のずれ、例えば液滴堆積ヘッド取付システム100と液滴堆積ヘッド101、102との間のずれ、および/または二つ以上の液滴堆積ヘッド101、102間のずれ等がある場合、無効化されたノズルの数は、最良の整列のノズル対に基づきまたは見出した最良のステッチ領域(印刷方向に対して最も低い色密度変化をもたらすもの)に基づいて増加され得る。
【0109】
無効化されたノズルまたは有効化されたノズルの数は、重なり合ったモジュールの各セットに対して異なり得ることに留意されたい。すなわち、第一および第二のヘッドモジュール101A、101Bが重なり合う場合、第一のヘッドモジュール101Aの無効化されたノズルの数は、第二のヘッドモジュール101Bの無効化されたノズルの数とは異なる場合がある。この数は、重なり合う領域におけるステッチ領域の位置または最良の整列のノズル対の位置に依存し得る。
【0110】
コントローラ300はさらに、液滴堆積装置1内の合計スキュー角および/または位置オフセットを補正するように構成され得る。コントローラ300は、スキュー角および/または位置オフセットの補正の様々な方法を使用し得、例えば、コントローラ300は、液滴吐出のタイミングを調整してスキュー角θ、および/または位置スキューΔxによる着地点の差を補正するように、合計スキュー角θ、および/または位置オフセットΔxに基づいて、各ヘッドモジュール101A、101B、102A、102Bのノズル射出を制御し得る。コントローラ300はまた、合計スキュー角θ、および/または位置オフセットΔxに基づいて、一つまたは複数のマスキングパターンを生成するように構成され得る。
【0111】
コントローラ300は、計算装置、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または一つまたは複数のフロー装置を制御するための他の任意の好適なデバイスであってもよい。コントローラ300は、別個の制御ボードであってもよく、または装置1の様々な構成要素の機能を制御するように構成され得る装置1の制御回路の一部であり得る。
【0112】
本開示はまた、上述のようにプログラムが計算装置によって実行されるとき、計算装置をコントローラ300として機能し、本明細書に記載される方法のいずれかを実行させるコンピュータプログラムを提供する。
【0113】
総論
上述の開示では、「液滴堆積ヘッド」と「ヘッド」は、「液滴堆積装置」と「装置」、「ノズルアレイ」と「アレイ」、「液滴堆積ヘッド取付システム」と「取付システム」、および「ステッチ」と「ステッチ領域」などと同様に、交換可能に使用される。
【0114】
理解を容易にするために、二つのヘッドモジュールまたは四つのヘッドモジュールを有する液滴堆積ヘッドが図に示されており、本発明は、二つのヘッドモジュールを有する液滴堆積ヘッドに関して記述されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、必要に応じて任意の数の重なり合ったヘッドモジュールを想定することができる。一つまたは複数のヘッドモジュールを含む重なり合った液滴堆積ヘッド、または重なり合ったヘッドモジュールに等しく適用可能である。
【0115】
上記の説明では、二つ以上のヘッドモジュールの実際の位置および/または位置の誤差を記憶装置に記憶し、第一のヘッドモジュールと第二のヘッドモジュールのノズルアレイ間の重なり合う領域における決定された最良の整列のノズル対の表、および液滴堆積装置の基準に対するヘッドモジュールの少なくとも一つの対応するスキュー角および/または第一のヘッドモジュールに対する第二のヘッドモジュールの対応する位置オフセットを記憶装置に記憶するとしたが、この発明がこれに限られないことは注意されたい。実際に、記憶装置は、二つ以上のヘッドモジュールの位置の実際の位置および/または位置の誤差のみを記憶するか、または決定された最良の整列のノズル対および対応するスキュー角および/または対応する位置オフセットの表のみを記憶し得る。
【0116】
図には一種類のテストパターンが描かれているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ユーザーの要求に応じて、線やドットなどの個別パターンの任意の形態を含む他の種類のテストパターンを使用し得ることに注目されたい。
【国際調査報告】