(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】車両を監視する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230619BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230619BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565634
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2021062373
(87)【国際公開番号】W WO2021239457
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020114115.7
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ツィッツェヴィッツ・グスタフ
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC12
5H181DD09
5H181EE02
5H181FF05
5H181FF10
5H181MB01
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】車両の所有状況について、車両の信頼性をもった監視を可能とする。
【解決手段】車両100を監視する装置110が、
-対応する一連の時点における車両100の一連の位置を検出するように、
-一連の位置に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両100の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定するように、及び
-車両100の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両100に関して少なくとも1つの措置を講じるように
構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)を監視する装置(110)であって、装置(110)が、
-対応する一連の時点における車両(100)の一連の位置(201)を検出するように、
-一連の位置(201)に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定するように、及び
-車両(100)の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両(100)に関して少なくとも1つの措置を講じるように
構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
装置(110)が、
-一連の位置(201)のうちのいくつかの位置(201)が、複数の時間インターバルのうち1つの時間インターバルに割り当てられ、1つの時間インターバルが一連の時点のうちそれぞれ複数の時点を含むように、
-複数の時間インターバルのそれぞれについて、クラスタアルゴリズムを用いて、それぞれ時間インターバルに割り当てられた位置(201)の各位置クラスタ(211,212,213)を特定するように、及び
-位置クラスタ(211,212,213)に基づき、複数の時間インターバルについて、一連の時点のうちある一時点において車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定するように
構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(110)。
【請求項3】
装置(110)が、
-直接連続する時間インターバルの1つのペアについての位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いを特定するように、及び
-直接連続する時間インターバルの間で車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いに基づいて特定するように
構成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置(110)。
【請求項4】
装置(110)が、
-複数の時間インターバルのうち直接連続する時間インターバルの各ペアについて、位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いを特定するように、及び
-直接連続する時間インターバルの異なるペアについての位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いに基づいて、複数の時間インターバルのうちどの時間インターバルの間で車両(100)の所有者変更が行われた可能性かあるかを特定するように
構成されていることを特徴とする請求項3に記載の装置(110)。
【請求項5】
装置(110)が、
-互いに重なる異なる時間インターバルについての位置クラスタ(211,212,213)の数に基づき、及び/又は
-異なる時間インターバルについての位置クラスタ(211,212,213)の重複度合いに基づき、
直接連続する時間インターバルの1つのペアについての位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いを特定するように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の装置(110)。
【請求項6】
装置(110)が、
-直接連続する時間インターバルの1つのペアについての位置クラスタ(211,212,213)の重なり度合いを重なり閾値と比較するように、及び
-直接連続する時間インターバルの間で車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを前記比較に基づいて特定するように
構成されていることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項7】
装置(110)が、
-複数の時間インターバルを特定するために、一連の時点を所定の継続時間の時間インターバルに分割するように、
-それぞれ異なる長さの継続時間を有する異なる複数の時間インターバルを特定するために、時間インターバルの継続時間を変更するように、
-異なる複数の時間インターバルについての位置クラスタ(211,212,213)を特定するように、及び
-異なる複数の時間インターバルについての位置クラスタ(211,212,213)に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定するように
構成されていることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項8】
装置(110)が、措置として、特に車両(100)のユーザインタフェース(102)及び/又はユーザのユーザ機器(120)を介して、認識された所有者変更についての通知を車両(100)のユーザへ発出させるように構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項9】
装置(110)が、措置として、車両(100)のユーザ、特にこれまでの所有者のユーザ機器(120)によって、車両(100)へのリモートアクセスをチェックさせ、及び/又は自動的に阻止させるように構成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(110)。
【請求項10】
車両(100)を監視する方法(300)であって、方法(300)が、
-対応する一連の時点における車両(100)の一連の位置(201)を検出すること(301)、
-一連の位置(201)に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両(100)の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定すること(302)、及び
-車両(100)の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両(100)に関して少なくとも1つの措置を講じること(303)
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信頼性をもって車両、特に車両の所有状況について監視することを可能とする方法及び対応する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両においては、車両の寿命の間に、場合によっては複数回所有者が変更されることがある。この場合、車両に関する所定の権利及び/又は義務は、車両における所有権に結び付いている。例えば、(例えば、走行距離又は燃料タンクの充填状況のような車両データを読み取るための)車両へのリモートアクセスの可能性は、車両の所有者に限定されるべきである。他方で、典型的には、所有者の1つの役割は、車両の十分なメンテナンスに配慮することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書は、特に車両の所有状況について、車両の信頼性をもった監視を可能とするという技術的な課題を取り扱うものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
当該課題は、各独立請求項によって解決される。有利な実施形態は、とりわけ従属請求項に記載されている。独立請求項に従属する請求項の追加的な特徴は、独立請求項の特徴なしに、又は独立請求項の特徴の一部との組合せにおいてのみでも、固有の、及び独立請求項の全ての特徴の組合せから独立した発明を形成することができ、当該発明は、独立請求項、分割出願又は後出願の対象に対して行われ得ることを指摘しておく。このことは、独立請求項の特徴のうち1つから独立した発明を形成し得る、明細書に記載された技術的な示唆についても同様に当てはまる。
【0005】
一態様によれば、(原動機付き)車両を監視する装置が記載される。装置は、対応する一連の時点における車両の一連の位置を検出するように構成されている。位置は、車両の位置センサに基づいて(例えばGPS受信器に基づいて)特定されることが可能である。したがって、異なる(連続した)時点において車両がどの位置に配置されたかを特定することが可能である。車両の位置は、例えば1時間に一度又は1日に一度特定されることができるとともに、一連の時点において表示されることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、車両が停車及び/又は駐車されているときには、ある一時点における車両の位置を特定することが可能である。
【0006】
さらに、装置は、一連の位置に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定するように構成されている。この目的のために、一連の位置に基づく位置の統計的な解析を行うことが可能である。
【0007】
装置は、特に、一連の位置のうちのいくつかの位置が、異なる、及び/又は連続する複数の時間インターバルのうちそれぞれ1つの時間インターバルに割り当てられるように構成されることが可能である。このとき、個々の時間インターバルは、時間インターバルが一連の時点のうちそれぞれ複数の時点を含む長さであってよい。したがって、個々の時点は、異なる(連続的する)時間インターバルへグループ化されることが可能である。そして、異なる時点における位置は、異なる時間インターバルに割り当てられることが可能である。したがって、複数の時間インターバルについて、対応する複数量の位置を提供することが可能である。1つの時間インターバルについての位置の量は、(例えば30日の時間インターバルについて)例えば20以上又は100以上又は1000以上の位置を有し得る。
【0008】
また、装置は、複数の時間インターバルのそれぞれについて、クラスタアルゴリズムを用いて(例えばDBSCANアルゴリズムを用いて)、それぞれ時間インターバルに割り当てられた位置の各位置クラスタを特定するように構成されることが可能である。このとき、位置のクラスタリングは、1つ又は複数のクラスタパラメータに依存して行われることが可能である。例示的なクラスタパラメータは、クラスタごとの位置の最小数及び/又はクラスタ内の2つの位置間の最大間隔及び/又は位置クラスタの中心あるいは重心を中心とする位置クラスタの最大許容半径である。
【0009】
したがって、時間インターバル事にそれぞれ1つ又は複数の位置クラスタを提供することが可能である。このとき、個々の位置クラスタは、車両がそれぞれの時間インターバルにおいて比較的頻繁に配置されていた位置を表示する。
【0010】
そして、複数の時間インターバルについての位置クラスタに基づき、一連の時点のうちある一時点において車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特に精確に特定することが可能である。
【0011】
したがって、装置によって、車両の使用に基づいて、特に車両の位置に基づいて、車両の所有状況を精確かつ信頼性をもって特定することが可能である。
【0012】
また、装置は、車両の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両に関して少なくとも1つの措置を講じるように構成されることが可能である。装置は、例えば、認識された所有者変更についての通知を車両のユーザへ発出させるように構成されることが可能である。通知は、特に車両のユーザインタフェース及び/又はユーザのユーザ機器(例えばスマートフォン)を介して発出されることが可能である。特に、通知の発出によって、認識された、車両のあり得る所有者変更が実際にも行われたかどうかをチェックすることが可能である。さらに、通知の発出によって、車両の実際の所有者が(場合によっては必要な)車両のメンテナンスに配慮するように促すことが可能である。
【0013】
これに代えて、又はこれに加えて、装置は、措置として、車両のユーザ、特にこれまでの所有者のユーザ機器(例えばスマートフォン)によって、車両へのリモートアクセスをチェックさせ、及び/又は自動的に阻止させるように構成されることが可能である。したがって、車両の動作の安全性を高めることが可能である。したがって、特に、場合によっては車両への許容されないリモートアクセスを阻止することが可能である。
【0014】
装置は、直接連続する時間インターバルの1つのペアについての位置クラスタの重なり度合いを特定するように構成されることが可能である。このとき、直接連続する時間インターバルの1つのペアについての位置クラスタの重なり度合いは、例えば、互いに重なる異なる時間インターバルについての位置クラスタの数に基づいて特定されることが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、重なり度合いは、異なる時間インターバルについての位置クラスタの重複度合いに基づいて特定されることが可能である。2つの位置クラスタの重複度合いを特定するために、例えば、両位置クラスタを、各クラスタ中心を中心とする所定の半径を有する円とみなすことが可能である。そして、両円の重複度合いを特定することが可能である。
【0015】
また、装置は、直接連続する時間インターバルの間で車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを位置クラスタの重なり度合いに基づいて特定するように構成されることが可能である。特に、装置は、直接連続する時間インターバルの1つのペアについての特定された位置クラスタの重なり度合いを重なり閾値と比較するように構成されることが可能である。そして、装置は、直接連続する時間インターバルの間で車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを比較に依存して特に精確に特定することが可能である。
【0016】
装置は、複数の時間インターバルのうち直接連続する時間インターバルの各ペアについて、位置クラスタの重なり度合いを特定するように構成することが可能である。直接連続する時間インターバルの異なるペアについての位置クラスタの重なり度合いに基づいて、複数の時間インターバルのうちどの時間インターバルの間で車両の所有者変更が行われた可能性かあるかを特定することが可能である。
【0017】
装置は、複数の時間インターバルを特定するために、一連の時点を所定の継続時間(例えば1か月)の時間インターバルに分割するように構成されることが可能である。さらに、装置は、それぞれ異なる長さの継続時間を有する異なる複数の時間インターバルを特定するために、時間インターバルの継続時間を変更するように構成されることが可能である。したがって、異なる継続時間(例えば2週間、1か月、2か月)を有する異なる時間インターバルを考慮に入れることが可能である。
【0018】
そして、(一連の位置に基づき)異なる複数の時間インターバルについてそれぞれ位置クラスタを特定することが可能である。さらに、複数の異なる時間インターバルについての位置クラスタに基づき、一連の時点のうちある一時点において車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定することが可能である。異なる長さの時間インターバルを考慮に入れることで、所有者変更の認識の信頼性を更に高めることが可能である。
【0019】
別の一態様によれば、本明細書で記載される装置を含む(道路車両)原動機付き車両(特に自家用車又は貨物自動車又はバス又は自動二輪車)が記載される。
【0020】
別の一態様によれば、本明細書で記載される装置を含む車両外部ユニットが記載される。装置は、(それぞれ各車両についての一連の位置に基づいて)複数の異なる車両を(特に各車両の所有状況について)監視するように構成されることが可能である。
【0021】
別の一態様によれば、(原動機付き)車両を監視する方法が記載される。方法は、対応する一連の時点における車両の一連の位置を検出することを含んでいる。さらに、方法は、一連の位置に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定することを含んでいる。方法は、車両の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両に関して少なくとも1つの措置を講じることを更に含むことが可能である。
【0022】
別の一態様によれば、ソフトウェア(SW)プログラムが記載される。ソフトウェアプログラムは、プロセッサにおいて実行されるように、及びこれにより本明細書で記載される方法を実行するように構成されることが可能である。
【0023】
別の一態様によれば、記憶媒体が記載される。記憶媒体は、プロセッサにおいて実行されるように、及びこれにより本明細書で記載される方法を実行するように設置されるソフトウェアプログラムを含むことが可能である。
【0024】
本明細書に記載される方法、装置及びシステムは、単独でも、また本明細書に記載される他の方法、装置及びシステムとの組合せにおいても用いられることができることに留意すべきである。さらに、本明細書に記載される方法、装置及びシステムの各態様は、様々に互いに組み合わせられることが可能である。特に、請求項の特徴を様々に組み合わせることが可能である。
【0025】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2a】車両の例示的な位置データを示す図である。
【
図2b】車両の例示的な位置データを示す図である。
【
図3】車両を監視する例示的な方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
冒頭で説明したように、本明細書は、車両、特に車両の所有状況についての信頼性をもった監視を取り扱うものである。この関係において、
図1には、車両100の位置についての位置データ(すなわちセンサデータ)を検出するように構成された位置センサ105(例えばGPS受信器)を有する例示的な車両100が示されている。
【0028】
車両100の制御ユニット101は、一連の時点についての位置データに基づいて車両100の一連の位置を特定するように構成されることが可能である。したがって、異なる時点において車両100がどの位置に配置されたかを特定することが可能である。位置は、例えば道路ネットワークのデジタルマップ内における位置であり得る。車両100の位置は、所定のサンプリングレート(例えば1時間又は1日ごとの位置)で特定されることが可能である。
【0029】
一連の位置は、車両100の通信ユニット103を用いて、(無線の)通信接続部108を介して(車両外部の)評価装置110へ送信されることが可能である。装置110は、一連の位置と、異なる位置についての時間指定とに基づいて、所有者変更が行われた(可能性がある)か否かを特定するように構成されることが可能である。特に、時間的な一連の位置に基づいて、あり得る所有者変更についての仮定を作成することが可能である。例えば、x%の確率で所有者変更が行われたこと(例えばx=50以上又は70以上)を特定することが可能である。
【0030】
図2aには例示的なデジタルマップ200が示されており、当該デジタルマップには、車両100の異なる位置201が記録されている。
図2aから明らかであるように、車両100の位置201の分布は、典型的には(例えば車両100の所有者の居住地又は勤務地における)1つ又は複数の累積を有している。装置110は、クラスタアルゴリズムを車両100の時間的な一連の位置201に適用するように構成されることが可能である。例示的なクラスタアルゴリズムは、DBSCANアルゴリズムである。
【0031】
このとき、時間的な一連の位置201のクラスタリングは、異なる時間インターバルについて別々に行われることが可能である。特に、一連の位置201あるいは一連の時点は、異なる(直接連続する)時間インターバルに分割されることが可能である。時間インターバルは、例えば30日の継続期間を有し得る。そして、(それぞれ時間指定を有する)異なる位置201は、異なる時間インターバルに対する異なる量の位置201に分割されることが可能である。
【0032】
そして、位置201のそれぞれの量についての各時間インターバルに対して、位置201の位置的なクラスタリングを実行することが可能である。このとき、例えば、
・クラスタの位置201間の最大限許容される間隔、及び/又は
・クラスタ内の位置201の最小限必要な数、及び/又は
・クラスタの中心周りでのクラスタの最大限許容される半径あるいはクラスの中心に対するクラスタの位置201の最大限許容される間隔
のような1つ又は複数のクラスタパラメータを考慮することが可能である。
【0033】
図2bには、異なる時間インターバルについての例示的な位置クラスタ211,212,213が示されている。特に、
図2bには、第1の時間インターバルについての第1の位置クラスタ211と、第2の時間インターバルについての第2の位置クラスタ212と、第3の時間インターバルについての第3の位置クラスタ213とが示されており、第2の時間インターバルは(直接)第1の時間インターバルにつづくものであり、第3の時間インターバルは(直接)第2の時間インターバルにつづくものである。
【0034】
装置110は、位置クラスタ211,212,213に基づいて、車両100の所有者変更が行われたか否かを特定するように形成されることが可能である。特に、位置クラスタ211,212,213に基づき、(例えば所定の確率で)所有者変更が行われたことについての仮定を作成することが可能である。
【0035】
装置110は、特に、直接連続する2つの時間インターバルについての位置クラスタ211,212,213を互いに比較するように構成されることが可能である。特に、直接連続する2つの時間インターバルについての位置クラスタ211,212,213が重なり合っているか否かをチェックすることが可能である。例えば、直接連続する2つの時間インターバルについての位置クラスタ211,212,213の重なり度合いを特定することが可能である。ここで、重なり度合いは、
・重なりあるいは重複が存在する異なる時間インターバルの位置クラスタ211,212,213の数、及び/又は
・異なる時間インターバルの位置クラスタ211,212,213の重複度合い
に依存し得る。
【0036】
そして、直接連続する2つの時間インターバルについての位置クラスタ211,212,213の重なり度合いに基づき、両時間インターバル間で所有者変更が行われたか否かを特定することができるか、あるいは所有者変更についての仮定を作成することが可能である。
【0037】
装置110を、考察される時間インターバルの時間的な長さを変更(例えば延長及び/又は短縮)するように構成することが可能である。そして、異なる長さの時間インターバルについて位置クラスタ211,212,213を特定することが可能である。さらに、それぞれ位置クラスタ211,212,213に基づいて、所有者変更が行われた(可能性がある)かどうか、及びどの時間インターバル間で所有者変更が行われたかをチェックすることが可能である。時間インターバルの時間的な長さを変更することで、所有権変更についての仮定の特定の精度を高めることが可能である。特に、(例えば休暇旅行の場合のように)車両100の一時的な仕様変更及びこれに伴う使用者変更のエラー検出を検出及び除去することが可能である。
【0038】
装置110は、使用者変更についての仮定が存在する場合及び/又はあり得る使用者変更の検出後、車両100に関して1つ又は複数の措置を実行するように更に構成されることが可能である。特に、実際に所有者変更が実際に行われたかどうかをチェックするために、車両100のユーザへ通知を発出させることが可能である。例えば、ユーザインタフェース102を介して(例えば車両100の画面に、及び/又はスピーカを介して)通知を発出させることが可能である。車両100のユーザは、例えば、通知により、所有者変更が実際に行われたか否かを確認するよう要求され得る。さらに、車両100のユーザは、車両100のメンテナンスを実行するよう要求され得る。
【0039】
これに代えて、又はこれに加えて、認識されたあり得る所有者変更後の車両100へのリモートアクセスを遮断するか、又は少なくともチェックすることが可能である。リモートアクセスにより、例えば車両100の所有者は、ユーザ機器120(例えばスマートフォン)を介して車両100にアクセスすることが可能である。このとき、例えば車両情報、例えば車両100の走行距離及び/又は車両100のエネルギー貯蔵部の充填状態について応答要求することが可能である。さらに、所有者は、場合によっては、車両100をロックし、あるいはロック解除し、又は車両100のウィンドウを開放若しくは閉鎖することが可能である。
【0040】
装置110は、認識された、あり得る所有者変更に対応して車両100へのリモートアクセスを自動的に遮断するように構成されることが可能である。このとき、認識されたあり得る所有者変更により安全性の理由からリモートアクセスが遮断されたことをこれまでの所有者に通知するために、これまでの所有者には、これまでの所有者のユーザ機器120に通知を送信することが可能である。さらに、これまでの所有者が(場合によっては例えば車両登録証の存在によって所有者状況のチェック後初めて)リモートアクセスを再びロック解除することが可能であってよい。したがって、あり得る所有者変更の自動的な検出により、車両100の特に安全な動作が可能となる。
【0041】
図3には、車両100を監視するための例示的な(場合によってはコンピュータで実施される)方法300のフローチャートが示されている。方法300は、特に、車両100の所有者状況を監視するように設定されている。
【0042】
方法300は、対応する一連の時点における車両100の一連の位置201を検出すること301を含んでいる。一連の位置201は、例えば車両100の位置センサ105に基づいて特定されることが可能である。一連の時点の時点は、(例えば1時間若しくは数時間又は1日の時間的な間隔をもつ)等間隔であり得る。これに代えて、又はこれに加えて、時点は、車両100が停車及び/又は駐車している時点であり得る。
【0043】
さらに、方法300は、一連の位置201に基づき、一連の時点のうちある一時点において車両100の所有者変更が行われた可能性があるかどうかを特定すること302を含んでいる。特に、位置201の位置クラスタ211,212,213に基づき、異なる時間インターバルについて、2つの時間インターバル間で所有者変更が行われた可能性があるかどうかをチェックすることが可能である。個々の時間インターバルは、例えば一連の時点あるいは一連の位置201のうちそれぞれ100以上の時点あるいは位置201を含むことが可能である。
【0044】
方法300は、車両100の所有者変更が行われた可能性があることが特定されるときに、車両100に関して少なくとも1つの措置を講じることを更に含むことが可能である。このとき、措置として、例えば、車両のこれまでの所有者へ通知を発出することができ、及び/又は車両100へのリモートアクセスをチェック及び/又は阻止することができる。
【0045】
本明細書に記載された措置によって、特に所有者状況について車両100の信頼性のある監視を可能とすることができる。
【0046】
本発明は、示された実施例に限定されているものではない。特に、明細書及び図面は、提案される方法、装置及びシステムの原理を例示的にのみ説明するものとなっていることに留意すべきである。
【国際調査報告】