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特表2023-526940温度インディケータ用サーモクロミック化合物の特性評価
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】温度インディケータ用サーモクロミック化合物の特性評価
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230619BHJP
   C09D 5/26 20060101ALI20230619BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230619BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/26
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571095
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 FR2021050877
(87)【国際公開番号】W WO2021234283
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2005082
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PHOTOSHOP
2.CAPTURE ONE
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル トゥルギ
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ジョウタン
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー ル ブリ
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CD101
4J038CD121
4J038CD131
4J038HA166
4J038KA08
4J038NA16
4J038PA07
4J038PB02
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、家庭用電気物品の表面塗膜に関し、塗膜は、室温と150℃との間で11以上のΔE*を有する顔料化合物BiVO4を含み、ΔE*は、CIELAB色空間におけるCIE1976の式(I)によって定義され、式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。
【数1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用物品の表面塗膜であって、前記表面塗膜は装飾部(a)を含み、装飾部(a)は、前記塗膜中、室温と150℃との間で11以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含み、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【数1】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義されることを特徴とする塗膜。
【請求項2】
家庭用物品の表面塗膜であって、前記表面塗膜は装飾部(a)を含み、装飾部(a)は、前記塗膜中、室温と200℃との間で15以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含み、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【数2】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義されることを特徴とする表面塗膜。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに定義される装飾部(a)と、その被膜間または被膜内に配置される装飾部(b)とを少なくとも含み、装飾部(b)が温度基準顔料組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の塗膜。
【請求項4】
装飾部(a)および装飾部(b)のそれぞれが、重畳しない隣接するパターンの形態で存在することを特徴とする請求項3に記載の塗膜。
【請求項5】
2つの装飾部(a)および装飾部(b)が部分的に重畳していることを特徴とする請求項3に記載の塗膜。
【請求項6】
2つの装飾部(a)および装飾部(b)が、2つの重畳するパターンの形態で存在することを特徴とする請求項3に記載の塗膜。
【請求項7】
1つまたは複数の仕上げ塗り被膜を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の塗膜。
【請求項8】
装飾部がスクリーン印刷またはパッド印刷によって塗布されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の塗膜。
【請求項9】
装飾部(a)中のBiVO4顔料化合物の量が、乾燥状態の被膜の重量を基準として0.1~100重量%、好ましくは0.2~80重量%で構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の塗膜。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の塗膜で完全または部分的に覆われた基材、好ましくは金属、を含むことを特徴とする家庭用物品。
【請求項11】
調理器具であり、食品を受容する面において、塗膜が基材を完全または部分的に覆っていることを特徴とする、請求項10に記載の家庭用物品。
【請求項12】
基材は、プラスチック、金属、ガラス、セラミックまたはテラコッタ、好ましくは、陽極酸化されているかまたは陽極酸化されていないアルミニウムまたはアルミニウム合金、または研磨、ブラシ加工またはビードブラスト、サンドブラスト、化学的処理が施されたアルミニウムまたはアルミニウム合金、または研磨、ブラシ加工またはビードブラストされたステンレス鋼、または鋳鉄または鋳造アルミニウム、チタン、打ち出しまたは研磨された銅であることを特徴とする、請求項10または11に記載の家庭用物品。
【請求項13】
請求項11または12に記載の調理器具であって、前記調理器具は、ソースパン、フライパン、シチュー鍋、中華鍋、ソテーパン、クレープメーカー、グリル、プランチャグリル、ラクレットグリル、マルミット鍋またはキャセロール皿からなる群から選択されることを特徴とする、調理器具。
【請求項14】
BiVO4顔料化合物であって、室温と150℃との間で22以上のΔE*を有し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【数3】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義されることを特徴とするBiVO4顔料化合物。
【請求項15】
BiVO4顔料化合物であって、室温と200℃との間で30以上のΔE*を有し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【数4】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義されることを特徴とするBiVO4顔料化合物。
【請求項16】
室温で単斜晶系のシェーライト結晶構造を有することを特徴とする、請求項14または15に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用物品、好ましくは調理器具のための、改善された視認性を有する機能性温度インディケータに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の色は実のところ物理的なものではなく、実際は、光束または光源(光)、観察者(眼→視覚)、物体という3つの要素が同時に作用した結果である。(図1
【0003】
光は波であり、真空中および透明媒体の中を伝播することを特徴とする。2つの種類の光源が存在し、一次光源は、自ら光を発生する光源(たとえば、太陽、火、ランプ、テレビ、またはレーザー)である。一方、二次光源は、周囲光(一次光源からの光)を散乱させる物体である。
【0004】
織物、紙、食品、塗膜のような光を受ける材料は、異なる挙動を示すことができる。それら材料は光を横切らせることができ、その場合、材料は透明である。あるいは、それ材料は光の透過を防止することができ、その場合、材料は不透明である。
【0005】
物体が不透明な場合は、物体は白色となることができ、この場合、光エネルギーを完全に反射する。これに対して、物体が黒色であれば、光エネルギーを完全に吸収する。灰色(濃いまたは淡い)の場合は、放射線の一部を反射し、残りを吸収する。
【0006】
可視光線スペクトルの特定の波長の放射線の選択的吸収が、材料の色を特徴づける。この材料に吸収されない残りの放射線は反射され、観察者に視認される。
【0007】
したがって、物体の視覚認識は、この物体によって変化および透過される光に関係する。光は眼で認識され、最終的に脳によって解釈される。眼は約35万種類の色を識別することができる。
【0008】
眼の中で、角膜が網膜上に像を結び、水晶体が焦点を調整し、虹彩が瞳孔を広げたり縮めたりしてフィルターの役目を果たす。網膜には、錐体と桿体という受容体が存在する。桿体は暗所視を提供し、錐体(青色、緑色、および赤色)は明所視を提供し、光信号を神経信号に変換する。
【0009】
家庭用物品の分野では、熱源に暴露されたり、加熱された際に、使用中の物品の温度変化を知覚することが、その物品の使用者にとって重要である。
【0010】
調理器具の場合、健康および味覚の理由(たとえば、グリルまたはフライパンでステーキを焼くとき)、ならびに偶然の過熱が調理器具の塗膜に損傷を与えるのを制限するために、調理中の良好な温度制御が必要である。過熱の少ない材料は、より長い耐用年数を有する。低温で調理された食品は、より健康的な官能特性を有するであろう。さらに、適切な温度での調理は、エネルギー投入量を抑制し、かつ環境への影響も抑制できる。
【0011】
衣料用アイロンまたはヘアストレートナー(縮毛矯正器)の場合、温度制御は、使用に伴う悪影響(たとえば、髪をもろくする効果または繊維を劣化させる効果など)を回避し、火傷などの家庭内事故を回避することを可能にする。
【0012】
フランス特許第1388029号明細書は既知であり、温度の関数として可逆的に変色する感熱性成分からなる温度インディケータを備えた調理器具を記載しており、この温度インディケータは、特にポリテトラフルオロエチレンからなる焦げ付き防止塗膜に配合されている。熱安定性顔料(すなわち、無機または有機化合物であって、所定の温度範囲にの高温にさらされた際に色の変化を示さないか、またはほとんど示さない)を、温度インディケータの色を評価し、それによって温度変化を評価するための対照標準として調理器具に組み込むことも可能である。しかしながら、本発明では、熱安定性対照標準は、焦げ付き防止塗膜に組み込まれないため、相対的な変化に明瞭な視認性を提供できない。
【0013】
これらの問題を改善するために、本出願人は、欧州特許出願公開第1121576号明細書に記載されたサーモクロミック顔料に基づく温度インディケータを開発した。この温度インディケータは、少なくとも2つのパターンを含む装飾部であり、一方は、温度が上昇すると暗くなる酸化鉄のサーモクロミック顔料に基づき、他方は、温度が上昇するとごくわずかに明るくなる、ペリレン赤とスピネル黒との混合物を含むサーモクロミック顔料に基づくものである。その結果、あらかじめ設定された温度(160℃から220℃に設定可能)において、2つのパターンの色の混乱が得られ、このあらかじめ設定された温度を特定する手段となる。
【0014】
これらのサーモクロミック顔料を装飾部の連続した領域に同時に使用することで、調理器具の調理面の温度変化の視覚的認識を効果的に向上させることが可能になる。しかしながら、この種の温度インディケータは、2つの領域のそれぞれが室温で非常に近い彩度値を有する赤色を呈するため、一目では使用者が理解しにくいままである。さらに、装飾部パターンの色の混乱は、少なくとも50℃の温度幅の領域で発生する。このことから、特に特別な訓練を受けていない一般人にとって、温度の変化を評価することは容易ではなく、読み取りは容易ではない。その結果、使用者はこの温度インディケータによって提供される情報を無視する傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、温度変化中に色および/または光学特性が明確に変化する温度インディケータを提供できること、たとえば、有色温度インディケータの場合には明確に異なる色を示す温度インディケータを提供できることに重要性が存在する。
【0016】
本発明の利点は、改善された可読性、理解、および認識を消費者に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の主題は、家電製品の表面塗膜に関し、前記塗膜中、室温と150℃との間で11以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含む装飾部(a)を含み、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0018】
【数1】
【0019】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0020】
本発明の別の主題は、前記塗膜中、室温と200℃との間で15以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含む装飾部(a)を含む家庭用物品の表面コーティングに関し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0021】
【数2】
【0022】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0023】
本発明の別の主題は、本発明の塗膜で完全または部分的に覆われている、基材、好ましくは金属を含む家庭用物品に関するものである。
【0024】
本発明の別の主題は、室温と150℃との間の22以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物に関し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0025】
【数3】
【0026】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0027】
本発明の別の主題は、室温と200℃との間の30以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物に関し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0028】
【数4】
【0029】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】色に影響を与える要因を示す図である。
図2】CIELAB空間を表現する焦点球を示す図である。
図3】エネルギーバンド理論を説明する図である。
図4】禁制帯(またはギャップ)と観測される色との関係を示す図である。
図5】コンピュータビジョン法の全体図を示す図である。
図6】温度インディケータと組み合わせた塗膜の製造を示す図である。
図7】種々のサンプル、フォトブース配備+カメラを説明する図である。
図8】粉末形態の顔料の比較を示す図である
図9】フライパンにパッド印刷された装飾部の形態の顔料の比較を示す図である。
図10】パターン分布を示す図であり、Aは、重畳していない隣接パターンを示し、Bは、部分的に重畳している隣接パターンを示し、Cは重畳しているパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(定義)
「室温」は、18℃と30℃との間の温度を意味すると理解される。
【0032】
本発明の意味において、「被膜」は、連続被膜または不連続被膜を意味すると理解されるべきである。連続被膜(モノリシック被膜とも呼称される)は、それが配置される表面を完全に被覆する、全ベタ色(solid color)を形成する単一の統一体である。不連続被膜(または非モノリシック被膜)は、いくつかの部分を含んでもよく、単一の統一体ではない。
【0033】
「下塗被膜」,「結合被膜」,「結合下塗」は、基材とも呼ばれる支持体に直接付着される最初の被膜(この被膜は支持体によく接着し,そのすべての機械特性(硬度,耐傷性)を塗膜に与えることが望ましい)から最初の装飾被膜の前の最後の被膜までを意味すると理解される。
【0034】
「仕上げ塗り被膜」または「仕上げ塗り」は、装飾被膜を完全に可視とし、装飾被膜を摩耗から保護し、かつ塗膜に非粘着性を付与する、連続かつ透明な表面被膜を意味すると理解される。
【0035】
「装飾部」または「装飾被膜」は、顔料組成物を含む、いくつかの連続被膜または不連続被膜を意味すると理解される。装飾部は、1つまたは複数のパターン、ならびに、1つまたは複数の色を有する形態であることができる。装飾部は、肉眼で、かつ家庭用物品の標準的な使用距離で、使用者に明瞭に視認される。
【0036】
「重畳被膜」とは、部分的または完全に重畳した被膜を意味すると理解される。これらの被膜は、部分的に重畳したパターン(たとえば同心円状の円盤)を有する装飾部の形態であることができる。
【0037】
「隣接被膜」は、非重畳の被膜を意味すると理解される。これらの被膜は、同一または異なる非重畳パターンを有する装飾部の形態で存在することができ、好ましくは均一に分布する。
【0038】
「温度基準顔料組成物」とは、所定の温度において、最適な温度に達したことを使用者に示すことを可能にする顔料を含む組成物を意味すると理解される。この表示は、BiVO4顔料化合物の色と、温度基準顔料組成物の色とを比較することによって実施される。色が同一である際に最適な使用温度に到達したことを示してもよく、色が著しく異なる際に最適な使用温度に到達したことを示してもよい。
【0039】
「温度基準顔料組成物」は、以下の特徴を有する顔料を含むことができる。
- 最適な使用温度において、BiVO4顔料化合物と同一の色。
○ この顔料は、室温における色が、最適な使用温度におけるBiVO4顔料化合物と同一であるか、温度によって色が変化しないかのいずれかであるためである。
○ あるいは、この顔料は、室温における色が、最適な使用温度におけるBiVO4顔料化合物と異なり、最適な使用温度でBiVO4顔料化合物と同一の色に変化するためである。
- この顔料が温度変化とともに顔料の色が変化するか否かのいずれであっても、最適な使用温度において、このBiVO4顔料化合物と全く異なる色。
【0040】
温度基準顔料組成物の色が、本発明の塗膜を含む家庭用物品の使用説明書に示された色である場合、または当該物品とともに使用者に提供されるカラースケールに示された色である場合に、最適な使用温度を達成することができる。
【0041】
温度基準顔料組成物は、サーモクロミック(熱変色性)または熱安定性である。
【0042】
調理器具ではない家庭用物品(ヘアストレートナーまたは衣料用アイロンのようなもの)の場合、温度基準顔料組成物は、たとえば、通常の使用温度または燃焼の危険性を示す基準顔料組成物とすることができる。
【0043】
調理器具の場合、温度基準顔料組成物は、たとえば、調理温度または過熱の危険性の表示の基準顔料組成物とすることができる。
【0044】
本発明は、以下の利点の少なくとも1つを有する。
- 本発明にしたがう塗膜は、たとえば台所用品の食品調理温度付近の、目標とする正確で中心となる温度範囲にわたって、顕著な可視性、対照的な色の変化を伴うサーモクロミック機能を有する。
- 本発明にしたがう塗膜は、たとえば食品を調理する際に良好な温度制御を提供することができ、これは健康または味覚の理由のために必要であると同時に、塗膜を損傷する偶然の過熱を制限する。
- BiVO4化合物は、サーモクロミック特性の可逆性を有する。すなわち、熱の効果による変色の後、温度が低下した際に化合物は初期状態および初期色に戻る。この色変化のサイクル(可逆性)は、その特性を失うことなしに無限に繰り返すことができる。
- 本発明にしたがう塗膜は、温度上昇時にかなりの熱安定性を有し、それは約450℃まで安定である。
【0045】
本発明の意味において、「サーモクロミック半導体」という表現は、温度上昇中に可逆的な色変化を示す無機または有機化合物を意味すると理解されるべきである。これらの半導体化合物の漸進的かつ可逆的なサーモクロミック特性は、材料の膨張による半導体の禁制帯幅の減少に関連する。実際、アニオンおよびカチオンのネットワークの周期性は、エネルギー準位をエネルギー帯に集めることをもたらす。より高いエネルギーを持つ充填エネルギー帯を価電子帯と称し、より低いエネルギーを持つ空エネルギー帯を伝導帯と呼称する。この2つのエネルギー帯の間には、ギャップと呼ばれる禁制帯が存在する。半導体材料の色は、同じ原子の価電子帯から伝導帯への電子の移動、または一般的には、アニオンの軌道からカチオンの軌道への移動(原子間光吸収)に対応する電荷移動の存在に由来することができる。
【0046】
本発明について考慮される適用分野では、衣料用アイロンまたはヘアストレートナータイプの家庭用電気器具は、通常、100℃~300℃、好ましくは100℃~250℃、特に好ましくは100℃~200℃の温度範囲において使用される。
【0047】
本発明で考慮される応用分野では、調理器具の場合、コーティングが食品の調理に適した温度、好ましくは100℃~250℃の間に含まれる温度に達したときに、最適条件が達成される。
【0048】
本発明の意味において、「サーモクロミック顔料、サーモクロミック顔料化合物、またはサーモクロミック顔料組成物」は、所定の温度範囲において温度の関数として色が変化し、この変化が可逆的である顔料、顔料化合物または顔料組成物を意味すると理解されるべきである。この色の変化は、肉眼および使用するための標準的な距離で、使用者に視認可能である。
【0049】
「熱安定性顔料、熱安定性顔料化合物、または熱安定性顔料組成物」は、所定の温度範囲における温度上昇にさらされたときに色変化を示さない顔料、顔料化合物または顔料組成物、あるいは、所定の温度範囲における温度上昇にさらされたときに色変化を示すが、それが肉眼および使用のための標準距離では使用者に視認できないほど小さい顔料、顔料化合物または顔料組成物を意味すると理解される。
【0050】
好ましくは、熱安定性顔料は、25℃と200℃との色差ΔE*が10未満である。
【0051】
「色が同一である」とは、肉眼および使用するための標準的な距離において、使用者に区別できないことを意味すると理解される。
【0052】
「家庭用物品」という表現は、調理器具および家庭用電気器具を意味すると理解すべきである。
【0053】
問題となる家庭用電気器具は、熱を発生させることを目的とする。
【0054】
本発明の意味において、「調理器具」は、調理を目的とした物体を意味すると理解されるべきである。この目的のために、それは熱処理を受けることを意図している。
【0055】
本発明の意味において、「熱処理を受けることを意図した物体」とは、フライパン、ソースパン、ソテーパン、中華鍋またはバーベキューグリルなどの、外部加熱システムによって加熱される物体であり、この外部加熱システムによって与えられる熱エネルギーを前記物体と接触する材料または食品へと伝達できるものであると理解されるべきである。
【0056】
本発明の意味において、「熱を発生させることを意図した物体」とは、衣料用アイロン、ヘアストレートナー、蒸気発生器、ケトル、調理用電気器具など、それ自体が加熱システムを有する物体を意味すると理解されるべきである。
【0057】
「フルオロポリマーベースの塗膜」は、1つまたは複数の被膜に1つまたは複数のフルオロポリマーを含む塗膜を意味すると理解される。
【0058】
本発明の意味において、ゾル-ゲル塗膜とは、液相の前駆体に基づく溶液からゾル-ゲル経路によって合成され、低温での一連の化学反応(加水分解および縮合)によって固体に変化する塗膜を意味すると理解される。このようにして得られた塗膜は、有機-無機塗膜であっても、完全無機塗膜であってもよい。
【0059】
本発明の意味において、有機-無機塗膜とは、そのネットワークは本質的に無機であるが、特に使用される前駆体および塗膜の硬化温度のために有機基を含む塗膜を意味すると理解される。
【0060】
本発明の意味において、完全無機塗膜とは、有機基を含まない、完全に無機材料からなる塗膜を意味することを意図される。このような塗膜は、少なくとも400℃の硬化温度を有するゾル-ゲル経路によって、または400℃未満であってよい硬化温度を有するテトラエトキシシラン(TEOS)タイプの前駆体から得ることも可能である。
【0061】
CIEは、国際照明委員会である。
【0062】
本発明の第1の主題は、家電製品の表面塗膜に関し、前記塗膜中、室温と150℃との間で11以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含む装飾部(a)を含み、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0063】
【数5】
【0064】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0065】
好ましくは、BiVO4顔料化合物は、前記塗膜中、室温と150℃の間で、13以上、より好ましくは15以上のΔE*を有する。
【0066】
本発明の別の主題は、家電製品の表面塗膜に関し、前記塗膜中、室温と200℃との間で15以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物を含む装飾部(a)を含み、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0067】
【数6】
【0068】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0069】
好ましくは、BiVO4顔料化合物は、前記塗膜中、室温と200℃の間で、17以上、より好ましくは20以上のΔE*を有する。
【0070】
有利には、温度の関数としての色変化ΔE*の漸進的変化は、線形である。好ましくは、この線形の漸進的変化は、0.05~0.1、好ましくは0.1以上を含む勾配を有する。
【0071】
有利なことには、BiVO4顔料化合物は、BiVO4からなる粒子の形態で存在する。したがって、これらの粒子は被覆されていない。有利なことに、これらの粒子は粗面(rough)を有する。
【0072】
色は、色の格付けによって測定および特徴付けることができる。この格付けは、色が数字で定義されている場合にのみ可能であり、この変換は色空間によって行うことができる。
【0073】
「色空間」は、人間または機器が知覚、使用、または再現できる色の集合を表す、3次元数学的モデルである。多数の空間が存在し、それらは正確な座標を有する色の独特の分布を有する(例えば、テレビシステムで広く使われているRGB空間、あるいは、眼の対数応答を考慮したCIELAB空間)。
【0074】
CIELAB色空間すなわちL*** CIE1976は、種々の表面の色を特徴付けるのに役立つ。この空間は、L***値を表す3つの直交軸を有する幾何学的モデルに従って表現することができる(図2)。このように、それぞれの色は、明確に指定された固有のL***座標を有する。
* は、黒(0)から白(100)までパーセントで表した軸に沿った明度を表す。
* 緑色(-120)から赤色(+120)までの軸。
* 青色(-120)から黄色(+120)までの軸。
【0075】
各色固有のこれらの座標から,明度差ΔL*,色相差ΔH*,色差ΔE*などのパラメータを計算することが可能である。
【0076】
本発明で注目するパラメータは、CIELAB空間内に位置する2つの異なる色の間の距離の測定値を表す色差ΔE*である。色差ΔE*には単位がない。
【0077】
【表1】
【0078】
(色相および色の偏差および差の計算式)
サーモクロミズム現象とは、さらされる温度の関数として、化合物が色を変化させる能力のことであると定義される。
【0079】
BiVO4化合物は室温で黄色であり、温度が上昇する際に連続的に色が変化し、橙色を経由して赤色に至る。
【0080】
BiVO4化合物は、半導体酸化物ファミリーの一部であり、このカテゴリーは、そのサーモクロミック特性の原因ともなる発色機構を有する。
【0081】
実際、半導体材料は、原子の相互作用を表すエネルギーバンド理論によって特徴づけられる。このモデルでは、内殻電子は所属する原子に局在し、離散的な原子軌道に存在するため、モデルのエネルギーバンドには現れないと仮定している。一方、価電子は、固体の結晶ネットワーク全体に非局在化することが可能で、価電子帯を構成する。伝導帯は、自由電子が占有することができる最初の空のエネルギー帯である。価電子帯と伝導帯とは、禁制帯によって分離され、その幅(「ギャップ」とも呼称される)は価電子帯および伝導帯のエネルギー準位の間に存在するエネルギー差と等しい(図3)。
【0082】
半導体材料の色は、問題となる材料の価電子帯と伝導帯とを分離する禁制帯の幅と関連する。材料の色の原因となるのは、禁制帯の幅以上のエネルギーの電子遷移である。1.7eVから3eVの範囲で変動する禁制帯の幅は、黒から白、淡黄色から赤色の範囲で変動する色に及ぶカラーパレットを通して、黒色から白色までの範囲で変動する色を発生させる(赤色は低エネルギーに対応し、淡黄色は高エネルギーに対応する)。(図4
【0083】
温度の影響下、原子間のアニオン-カチオン結合が伸長し、軌道の重なりが減少する。その結果、結合の共有結合性が低下し、ギャップが減少し、次いで、2つの原子間の価電子帯および伝導帯の間で電子の移動が容易となる。
【0084】
このため、半導体材料は、温度上昇の影響による結晶構造の寸法変化により、サーモクロミック特性を示す。結晶構造が変化すると、ネットワーク内の相互作用が同一ではなくなり、禁制帯の幅が変化し、その結果、色が変化する。
【0085】
温度上昇にさらされた際に、多くの半導体材料は、禁制帯の幅が狭くなる。このことは、室温では黄色であり、加熱すると赤色に変化する、BiVO4の色を説明する。
【0086】
好ましくは、本発明によるコーティングは、前記塗膜の被膜間または被膜内に配置された少なくとも2つの装飾部(a)および(b)を含む。
(a)上述で定義されたようなBiVO4顔料化合物を少なくとも含む装飾部。
(b)温度基準顔料組成物を含む装飾部。
【0087】
好ましくは、装飾部(a)において上で定義されたようなBiVO4顔料化合物の量は、乾燥状態の前記被膜の重量を基準として、0.1~100重量%、好ましくは0.2~80重量%、より好ましくは0.5~70重量%で含まれる。
【0088】
好ましくは、装飾部(b)における温度基準顔料組成物の量は、乾燥状態の前記被膜の重量を基準として、0.1~100重量%、好ましくは0.2~80重量%、より好ましくは0.5~70重量%で含まれる。
【0089】
1つの実施形態によれば、装飾部(a)および装飾部(b)の各々は、重畳しない隣接するパターンの形態で存在する。たとえば、各装飾部は、表面全体に均一に分布し、かつ交互に配置された異なる幾何学的パターンによって表される(図10Aを参照)。
【0090】
別の実施形態によれば、2つの装飾部(a)および装飾部(b)は、部分的に重畳する。たとえば、それぞれの装飾部は、表面全体に均一に分布する異なる幾何学的パターンによって表され、部分的に重畳する(図10B参照)。
【0091】
好ましくは、2つの装飾部(a)および装飾部(b)は、重畳する。それは、2つの装飾部の一方が連続被膜であり、他方の装飾部がパターンの形態でそれを覆うためであるか、あるいは2つの装飾部(a)および装飾部(b)が2つの重畳するパターンの形態で存在するためであるかの何れかである(図10C参照)。
【0092】
好ましくは、上記で定義されたBiVO4顔料化合物は、室温で単斜晶系のシェーライト(灰重石)結晶形態を示す。
【0093】
好ましくは、本発明による塗膜は、装飾部(複数可)の上に塗布される1つまたは複数の仕上げ塗り被膜を含む。
【0094】
第1の実施形態によれば、本発明による塗膜は、支持体上に塗布される1つまたは複数の下塗り被膜を含む。そして、装飾部は、最後の下塗り被膜の上に塗布される。
【0095】
好ましくは、本発明による塗膜は、調理器具の基材の一方の面に、2つの下塗り被膜、2つの装飾被膜(a)および(b)、および仕上げ塗り被膜を、この順に含む。
【0096】
第2の実施形態によれば、装飾部は基材上に直接塗布される。
【0097】
装飾部は、たとえばスクリーン印刷またはパッド印刷のような、当業者によく知られた任意の方法によって施すことができる。
【0098】
温度基準顔料組成物は、
- チタンルチル黄色顔料。
- たとえば安定化バナジン酸ビスマスから選択される、ビスマスから誘導される黄色顔料(Py184)。
- たとえばペリレン赤または酸化鉄から選択される、赤色顔料。
- オキシハロゲン化ビスマス 橙色顔料(PO85)。
- バナジン酸ビスマス 橙色顔料(PO86)。
- スズ・チタン・亜鉛 橙色顔料(PO82)。
- 硫化セリウム 橙色顔料(PO75;PO78)。
- クロム・アンチモン・チタン 黄橙色ルチル顔料(PBr24)。
- スズおよび亜鉛の黄橙色ルチル顔料(Py216)。
- 硫化亜鉛スズ・ニオブ酸化物 黄橙色顔料(Py227)。
- スズおよびニオブの複酸化物 黄橙色顔料。
- およびそれらの混合物
からなる群から選択することができる。
【0099】
1つの実施形態によれば、本発明による塗膜はフルオロポリマーベースの塗膜である。
【0100】
フルオロポリマーは、粉末または水性分散物またはそれらの混合物の形態で存在することができる。
【0101】
有利なことには、フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとのコポリマー(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとポリメチルビニルエーテルとのコポリマー(MVA)、テトラフルオロエチレン、ポリメチルビニルエーテルおよびフルオロアルキルビニルエーテルのターポリマー(TFE/PMVE/FAVE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)およびこれらの混合物を含む群から選択することができる。
【0102】
有利なことには、フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロプロピルビニルエーテルとのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロペンとのコポリマー(FEP)、PTFEおよびPFAの混合物(PTFE/PFA)、ならびに、PTFEおよびFEPの混合物(PTFE/FEP)から選択することができる。
【0103】
好ましくは、フルオロポリマーは、非粘着性塗膜組成物の全乾燥質量に対して、10~99質量%、好ましくは50~98質量%を占めることができる。
【0104】
別の実施形態によれば、本発明による塗膜は、有機-無機ゾル-ゲル塗膜または完全無機ゾル-ゲル塗膜である。金属ポリアルコキシレートタイプの前駆体からゾル-ゲル経路によって合成されるこれら塗膜は、ハイブリッドネットワーク、一般的にはグラフト化アルキル基を有するシリカのハイブリッドネットワークを有する。ゾル-ゲル(SG)組成物は、少なくとも1種のコロイド状金属酸化物と少なくとも1種の金属アルコキシドタイプの前駆体とを含む。
【0105】
金属アルコキシドは、コロイダルシリカおよび/またはコロイダルアルミナから選択されるコロイド状金属酸化物であることが好ましい。
【0106】
金属アルコキシドは、好ましくは、以下の群から選択される前駆体として用いられる。
- 一般式M1(OR1nに相当する前駆体、
- 一般式M2(OR2(n-1)2’に相当する前駆体、および
- 一般式M3(OR3(n-2)3’ 2に対応する前駆体
(式中、R1、R2、R3またはR3’はアルキル基をし、
2’は、アルキル基またはフェニル基を示し
nは、金属M1、M2またはM3の最大価数に対応する整数であり、
1、M2またはM3は、Si、Zr、Ti、Sn、Al、Ce、V、Nb、Hf、MgまたはLnから選ばれる金属を示す。)。
【0107】
有利なことには、SG溶液の金属アルコキシドは、アルコキシシランである。
【0108】
本発明の方法のSG溶液に使用できるアルコキシシランは、特に、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、ジメチルジメトキシシラン、およびそれらの混合物などを含むことができる。
【0109】
好ましくは、メトキシ基を含まないという利点を有するために、アルコキシシランMTESおよびTEOSが使用されるであろう。実際、メトキシ基の加水分解は、ゾル-ゲル配合物中でメタノールを生成し、その毒性クラスを考慮すると、適用中にさらなる予防措置が必要となる。対照的に、エトキシ基の加水分解は、より好ましい種類であるエタノールを生成するだけであり、ゾル-ゲル被覆に関する使用要件は、制限が少ない。
【0110】
このゾル-ゲル塗膜の形成は、コロイド状金属酸化物を含む水性組成物Aと、金属アルコキシドを含む溶液Bとを混合することからなる。この混合は、有利なことには、ゾル-ゲル組成物(A+B)の重量を基準として40~75重量%の水性組成物の比率で実施され、乾燥状態で、コロイド状金属酸化物の量がゾル-ゲル組成物(A+B)の5~30重量%を占めるようにされる。
【0111】
また、水性組成物Aは、溶媒、特に少なくとも1種のアルコールを含む溶媒を含むことができる。水性組成物Aは、少なくとも1種のシリコーンオイルを含むこともできる。水性組成物Aは、顔料を含むこともできる。水性組成物Aは、無機フィラーを含むこともできる。水性組成物Aは、ヒュームドシリカを含むこともでき、ヒュームドシリカの機能は、ゾル-ゲル組成物の粘度および/または乾燥塗膜の光沢の調節である。
【0112】
下塗り塗膜に関して、水性組成物Aは、典型的には、以下の成分を含む。
i) 水性組成物Aの総重量を基準として5~30重量%の、少なくとも1種のコロイド状金属酸化物、
ii) 少なくとも1種のアルコールを含む、組成物Aの重量を基準として0~20重量%の溶媒、
iii) 任意選択的に、前記水性組成物Aの総重量を基準として0.05~3重量%の、少なくとも1種のシリコーン油、
iv) 5~30%の顔料、
v) 2~30%の無機フィラー。
【0113】
仕上げ塗り被膜に関して、水性組成物Aは、典型的には、以下の成分を含む。
i) 水性組成物Aの総重量を基準として5~30重量%の、少なくとも1種のコロイド状金属酸化物、
ii) 少なくとも1種のアルコールを含む、組成物Aの重量を基準として0~20重量%の溶媒、
iii) 任意選択的に、前記水性組成物Aの総重量を基準として0.05~3重量%の、少なくとも1種のシリコーン油、
iv) 0.1~1%の金属光沢材。
【0114】
溶液Bは、ブレンステッド酸またはルイス酸を含むこともできる。有利なことには、溶液Bの金属アルコキシド前駆体は、溶液Bの総重量を基準として0.01から10重量%を占める有機または無機ルイス酸と混合される。
【0115】
金属アルコキシド前駆体との混合に使用可能な酸の具体例は、酢酸、クエン酸、アセト酢酸エチル、塩酸またはギ酸である。溶液Bは、溶媒、特に少なくとも1種のアルコールを含む溶媒を含むこともできる。溶液Bは、少なくとも1種のシリコーンオイルを含むこともできる。溶液Bは、金属光沢材を含むこともできる。
【0116】
本発明の方法の有利な実施形態によれば、溶液Bは、上記で定義されたようなアルコキシシランの1種と、アルミニウムアルコラートとの混合物を含むことができる。
【0117】
このゾル-ゲルの実施形態によれば、本発明による塗膜は、前記表面から、
- 1つまたは複数のソル-ゲル下塗り被膜と、
- 上記で定義されたようなBiVO4顔料化合物を含む、最後の下塗り被膜の少なくとも一部の上の装飾部と、
をこの順で含む。
【0118】
本発明の別の主題は、本発明による塗膜で完全にまたは部分的に覆われた基材、好ましくは金属を含む家庭用物品に関する。
【0119】
BiVO4顔料化合物の色の変化により、一方では物品が高温であるため火傷の危険があること、他方では物品の表面がその使用に適した温度に達していることを、使用者に知らせることができる。
【0120】
有利なことには、物品基材は、プラスチック、金属、ガラス、セラミックまたはテラコッタであり得る。有利なことには、本発明の状況で使用可能な金属基材は:陽極酸化されているかまたは陽極酸化されていないアルミニウムまたはアルミニウム合金;または研磨、ブラシ加工またはビードブラスト、サンドブラスト、化学的処理を施したアルミニウムまたはアルミニウム合金;または研磨、ブラシ加工またはビードブラストされたステンレス鋼;または鋳鉄または鋳造アルミニウム;またはチタン;あるいは、打ち出しまたは研磨された銅の基材を含む。
【0121】
本発明の状況で使用可能な家庭用物品の例は、特に、揚げ物用ボウル、フォンデュまたはラクレット用のパンまたは鍋、揚げ物器またはパン焼き器のボウル、ブレンダーのジャー、ストレートアイロンのプレート、およびアイロンの底板を含むことができる。
【0122】
塗膜の良好な接着のために、基材を処理してその比表面積を増大させてもよく、アルミニウムの場合、この処理は、陽極酸化(管状アルミナ構造の形成)、化学エッチング、サンドブラストなどの方法で実施することができる。その他の金属基材も、研磨、サンドブラスト、ブラシ加工、ビードブラストなどの処理が可能である。
【0123】
特に基材を機械的に処理する場合には、下塗り被膜は、結合樹脂を含むことができる。
【0124】
好ましくは、結合樹脂は、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)およびタンニンからなる群から選択される。
【0125】
有利なことには、本発明による物品は調理器具であり、本発明による塗膜は、食品を受容する面において基材を完全または部分的に覆う。
【0126】
有利なことには、本発明による物品はヘアストレートナーであり、本発明による塗膜は、そのプレートを完全にまたは部分的に覆う。
【0127】
有利なことには、本発明による物品は衣料用アイロンであり、本発明による塗膜はその底板を完全にまたは部分的に覆う。
【0128】
有利なことには、物品は、支持体の一方の面が、当該調理器具の内部に配置される食品と接触することを意図した凹状の内側面であり、調理器具の他方の支持体面が、熱源と接触することを意図した凸状の外側面である調理器具である。
【0129】
好ましくは、前記家庭用物品は、調理器具の物品であり、好ましくは、ソースパン、フライパン、シチュー鍋、中華鍋、ソテーパン、クレープメーカー、グリル、プランチャグリル(plancha grill)、ラクレットグリル、マルミット鍋またはキャセロール皿からなる群から選ばれ、前記塗膜は食品と接触することが意図されている。
【0130】
本発明で考慮される応用分野では、調理器具タイプの被加熱物やアイロンタイプの加熱物品は、典型的には、10℃から300℃を含む温度範囲で使用される。
【0131】
本発明の別の主題は、室温と150℃の間で、22以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物に関し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0132】
【数7】
【0133】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、150℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0134】
有利なことには、本発明による化合物は、室温と150℃の間で、24以上、好ましくは26以上、さらに好ましくは28以上、特に好ましい態様では30以上のΔE*を有する。
【0135】
有利には、本発明の化合物は、室温で単斜晶系のシェーライト結晶構造である。
【0136】
本発明の別の主題は、室温と200℃の間で、30以上のΔE*を有するBiVO4顔料化合物に関し、ΔE*はCIELAB色空間におけるCIE1976の式
【0137】
【数8】
【0138】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、室温における前記化合物のL***値を特徴づけ、L2 *、a2 *およびb2 *は、200℃における前記化合物のL***値を特徴づける。)によって定義される。
【0139】
有利なことには、本発明による化合物は、32以上、好ましくは35以上、なおより好ましくは37以上、特に好ましい態様では40以上の、室温と200℃の間のΔE*を有する。
【0140】
有利なことには、温度の関数としての色変化ΔE*の漸進的変化は、線形である。好ましくは、この線形の漸進的変化は、0.05~0.1、好ましくはさらに0.1以上を含む勾配を有する。
【実施例
【0141】
(実施例1:顔料の選択)
使用される顔料は無機化合物の粉末である。
サーモクロミック顔料。
○ BiVO4、実施例2に記載のプロセス、バッチ2bおよび2d。
○ Bi23、バリスターファイングレード、5N Plus社から販売。
○ Sicopal(登録商標) Yellow K1120FG顔料、BASF社から販売。
○ Bayferrox(登録商標) 130顔料、Bayferrox社販売。
熱安定性顔料(温度基準顔料)。
○ イエロー10C242顔料、Shepherd Color Companyから販売
○ イエロー6716B顔料、FERRO社から販売
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0142】
(実施例2:本発明によるBiVO4顔料化合物の合成方法)
<プロセス2.1>
硝酸ビスマス(0.1M)の1M硝酸溶液に対して、バナジン酸アンモニウム(0.1M)の1M硝酸溶液を化学量論的に添加する。この混合物を一晩撹拌し、濾過し、水洗し、乾燥させる。次に、この粉末を450℃で3時間にわたってアニーリングする。次いで、バナジン酸ビスマスは、X線回折分析によって特徴付けられる単斜晶系のシェーライト構造を有する明黄色の粉末の形で得られる。このプロセスは、アルカリ剤を添加せず、pH<1で実施される。
【0143】
<プロセス2.2>
硝酸ビスマス(0.4M)の1M硝酸溶液に、化学量論量の粉末状メタバナジン酸ナトリウムを添加する。この混合物を80℃で2時間にわたって攪拌する。次に、沈殿物を濾過し、水洗して、単斜晶系シェーライトの形態の黄色のBiVO4の粉末を得る。次に、この粉末を500℃で3時間にわたってアニーリングする。このプロセスは、アルカリ剤を添加せず、pH<1で行われる。単斜晶系BiVO4は、室温と200℃の間でΔE=40を有する。
【0144】
(実施例3:本発明によらないBiVO4化合物の合成方法(比較例))
本出願人は、中国特許第101070435号の実施例1を再現した。
このプロセスでは、アルカリ剤を加えてpHを2とし、かつ第2工程で焼成を行い、色相を修正する。
【0145】
硝酸ビスマス(0.1M)の硝酸(4mol・L-1)溶液に、メタバナジン酸アンモニウム(0.1M)の硝酸(4mol・L-1)溶液を化学量論的に添加する。アンモニア溶液を用いてpHを2に調整する。
【0146】
この混合物を2時間にわたって撹拌し、沈殿物を濾過し、水洗すると、淡黄色の粉末を得ることができる。この粉末は、二次(正方)珪酸ジルコニウム構造を有する。これを500℃で2時間にわたって焼成し、単斜晶系シェーライト構造の暗黄色粉末を得る。この単斜晶系BiVO4は、室温と200℃との間でΔE=20を有する。
【0147】
(実施例4:黒色フッ素系非粘着性塗膜への化合物の組み込み)
【0148】
調理中に消費者を誘導する装飾部を提供する内側非粘着性塗膜を有する調理器具を提供するために、改善したサーモクロミック特性を改善した化合物を、以下の複数の被膜:
- 不透明色を有する下塗り被膜、
- 装飾被膜に組み込まれたサーモクロミック化合物、
- 半透明の仕上げ塗り被膜
を有する非粘着性塗膜に導入する。
【0149】
<i. 2つの下塗り被膜の調製>
水性PTFE分散物に基づく第1の配合物を調製する。
(a) 下塗り1/配合物1a
【0150】
【表2】
【0151】
水性PTFE分散物に基づく第2の配合物を調製する。
(b) 下塗り2/配合物2a
【0152】
【表3】
【0153】
配合物1aおよび配合物2aをろ過した後に、エアスプレーガンで予成形されたアルミニウム製キャップの内側に塗布する。この支持体は、事前に、少なくとも脱脂および除塵がなされている。塗膜のより良好な接着のために、支持体の表面をサンドブラストで処理して、その比表面積を増加させる。
【0154】
下塗りは,少なくとも1回,5~50μmの厚さを有する少なくとも1つの被膜として塗布する。数回に分けて塗布する場合は、各被膜を乾燥させた後に次の被膜を塗布する。
【0155】
<ii. サーモクロミック装飾部の調製>
実施例1に記載したようなサーモクロミック顔料を含むパッド印刷用ペーストを、以下に記載する処方に従って調製する。
【0156】
【表4】
【0157】
パッド印刷を用いて、乾燥した下塗り塗膜上に、このペーストをパターン状に塗布する。
【0158】
<iii. 基準装飾部の準備>
実施例1に記載したような着色標準物質を含むパッド印刷用ペーストを、以下に記載する処方に従って調製する。
【0159】
【表5】
【0160】
乾燥したサーモクロミック装飾部の上に、このペーストをパターン状に塗布する。
【0161】
<iv.仕上げ塗り被膜の調製および硬化>
最初の下塗りと同じ方法で、仕上げ塗りを実施する。唯一の相違点は、透明でなければならないため、顔料を含まず、任意選択的に光沢材を使用することである。
【0162】
【表6】
【0163】
すべての塗膜を塗布し、乾燥させた後、430℃で11分間、成形品を硬化させる。
【0164】
(実施例5:サンプルカラーの特性評価方法)
制御された照明を備えた密閉された筐体からなるライトブースを使用する。カメラはブースの上に直接設置され、写真処理ソフトウェアに接続され、分析されたサンプルの色に関連する特性を得ることができる。ライトブースは、D50(昼光に相当)の光源を有する。
【0165】
この特性評価の原理は、分析する材料をブース内に配置し、写真を撮影し、適切なソフトウェアを使用して写真から色データを抽出することである。
【0166】
得られたL***値により、所定の試料について基準温度(RT=25℃)に対する各温度における色差(または色変化)ΔE*を求める。ΔE*はCIELAB色空間のCIE1976の式
【0167】
【数9】
【0168】
(式中、L1 *、a1 *およびb1 *は、基準温度(25℃または室温)での顔料色または基準顔料色の座標であり、L2 *、a2 *およびb2 *は、選択温度(25℃/100℃/150℃/180℃/200℃/250℃)200℃における顔料色または選択した顔料の色の座標である)によって定義される。
【0169】
以下の手順を開発し、以下の要素を最大限に制御することを可能とした:ブース内で直接加熱することはできないが(雰囲気やカメラを乱さないため)、移動フェーズのタイミングを利用して目標温度で撮影する。
【0170】
<i. 設備>
- 接触型センサー付き温度計
- ストップウォッチ
- ホットプレート
- フォトライトブース
- CANON EOS 13000Dカメラ(キヤノン製28mm広角レンズ搭載)
- ガラススライド
- データ取得ソフト。Capture OneおよびPhotoshop
【0171】
<ii. フライパンにパッド印刷された装飾部の形態のサンプルのための手順(図7)>
- パッドスタンプされた顔料の円を収容したフライパンをホットプレートからブースに移動し、ブースを閉じ、カメラを起動するまでの所要時間を測定する。(t=15秒)。
- 試料を目標温度付近で加熱し、安定させる。
- 15秒の終点において希望の温度へと調整される温度を試験する。
- この温度で3回シミュレーションを行い、15秒後の試料温度に関して確認または調整する。
- 取得を開始する。
- ソフトウェアを使用して分析する写真面を選択し、L***値を読み取ることで特性評価を実行する。
- Capture Oneソフトウェアを使用して、RAW形式の画像を取り込む。当該画像は、その後に他のファイル形式に変換することができる。
- そして、Photoshopを使用して、RAWファイルを変換すること(TIFF形式への変換)ができる。これにより、D50照度でのRGB色空間からCIE L***色空間への変換が可能となる。
【0172】
<iii. 粉末状サンプルのための手順(図7)>
- フライパンに、3つの別々の粉の堆積物を得る(茶さじ1杯程度)。
- 粉体の堆積物をガラス板で平らにし、同じ厚さの滑らかで均質な表面を得る。
- その後、上記と同一の手順を実行する。
【0173】
(実施例6:成果の活用)
<i. いくつかの温度における試料のΔE*の計算>
たとえば、粉末状の顔料であるFe23を例とする。
【0174】
各温度におけるFe23のL***座標とΔE*の結果は以下の通りである。
【0175】
【表7】
【0176】
【数10】
【0177】
【表8】
【0178】
<ii. グラフによる解釈>
異なる温度における各サンプルのΔE*計算値は、グラフ(ΔE*=f(温度℃))によって、室温における色を基準とする色差の漸進的変化の視覚化を可能にする。
【0179】
グラフ(図8)は、各顔料の粉末状態での色変化を示したものである。
今回調べた顔料のいずれもが、温度の関数として明らかに線形の色変化を有する。
【0180】
「非常に良好」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で40以上の色差ΔE*、ならびに、0.2以上の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
「良好」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で30~40に含まれる色差ΔE*、ならびに、0.2以上の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
「平均的」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で10~30に含まれる色差ΔE*、ならびに、0.05~0.2に含まれる勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
熱安定性顔料は、25℃と200℃との間で10未満の色差ΔE*、ならびに、0.05未満の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
【0181】
グラフ(図9)は、前述のような非粘着性塗膜中にパッド印刷された装飾部の形態にある各顔料の色変化を示す。
【0182】
今回研究した非粘着性塗膜に組み込まれた色材のいずれもが、温度の関数として明らかに線形の色変化を有する。
温度の関数としての色変化挙動、および化合物相互間の格付けは、粉末状態の材料でなされた観察と非常によく似ている。しかしながら、色差の明確な減少が観察され、これは非粘着性塗膜への組み込みに関連し、おそらくは、完全に透明ではない仕上げ塗り被膜の「フィルター」効果に関連していると考えられる。
【0183】
非粘着性塗膜に組み込まれた「非常に良好」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で20上の色差ΔE*、ならびに、0.1以上の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
非粘着性塗膜に組み込まれた「良好」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で15と20との間に含まれる色差ΔE*、ならびに、0.1以上の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
非粘着性塗膜に組み込まれた「平均的」なサーモクロミック顔料は、25℃と200℃との間で7と15との間に含まれる色差ΔE*、ならびに、0.05~0.1に含まれる勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
非粘着性塗膜に組み込まれた熱安定性顔料は、25℃と200℃との間で7未満の色差ΔE*、ならびに、0.05未満の勾配を有する色差ΔE*の線形変化(温度の関数として)を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】