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特表2023-526952光ワイヤレス通信システムにおける中央及び分散マルチレベル干渉処理の併用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】光ワイヤレス通信システムにおける中央及び分散マルチレベル干渉処理の併用
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20230619BHJP
   H04W 16/02 20090101ALI20230619BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20230619BHJP
   H04B 10/114 20130101ALI20230619BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W16/02
H04W72/0446
H04B10/114
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571121
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021063401
(87)【国際公開番号】W WO2021234064
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】20175971.9
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ヴァーヘニンヘン アンドリース
【テーマコード(参考)】
5K067
5K102
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE37
5K102AA21
5K102AL23
5K102AL28
(57)【要約】
本発明は、中央エンティティと分散エンティティとの間のコーディネーションファンクショナリティのパーティショニングをフレキシブルに扱うために複数のレベル及び動作モードが提供される、光ワイヤレス通信システムのための干渉処理方法及びシステムに関する。これにより、アクセスポイントのオーバーラップするカバレッジエリア内のデバイスからの干渉レポートに依拠するコーディネーションファンクショナリティは、中央である、又はアクセスポイントに分散される、又は一部が中央で一部が分散されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ワイヤレス通信ネットワークにおける干渉処理をコーディネートするための装置であって、当該装置は、中央干渉処理エンティティと分散干渉処理エンティティとの間で干渉処理機能の構成をネゴシエートする、及び、前記ネゴシエートされた構成に基づいて干渉処理動作モードを設定するように構成され、
前記干渉処理動作モードは、前記中央干渉処理エンティティと前記分散干渉処理エンティティとの間の干渉処理機能の分散を定め、
前記干渉処理機能は、異なるレベルに関連し、前記異なるレベルは、前記光ワイヤレス通信ネットワークのアクセスポイントに時間スロット又は時間チャネルを割り当てるための最高レベルの第1の干渉処理機能と、各エンドポイント又はエンドポイントのグループに対してアクセスポイントに許容時間領域を割り当てるための中間レベルの第2の干渉処理機能と、各アクセスポイントに対してエンドポイントに時間スロットをスケジューリングするための最低レベルの第3の干渉処理機能とを含み、下位レベルの干渉処理機能は、上位レベルの干渉処理機能の結果に依存し、前記中央干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能は、前記分散干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能よりも高いレベルを有する、装置。
【請求項2】
ネゴシエーション可能な干渉処理動作モードの1つは、前記中央干渉処理エンティティが前記第1及び第2の干渉処理機能を実行し、前記分散干渉処理エンティティが前記第3の干渉処理機能を実行する、第1のモードである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記干渉処理動作モードは、干渉処理機能のどれが前記中央干渉処理エンティティによって実行され、干渉処理機能のどれが前記分散干渉処理エンティティによって実行されるかを規定する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ネゴシエーション可能な干渉処理動作モードは、
前記中央干渉処理エンティティが前記第1乃至第3の干渉処理機能を実行し、前記分散干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行しない、第2の動作モード、
前記中央干渉処理エンティティが前記第1の干渉処理機能を実行し、前記分散干渉処理エンティティが前記第2及び第3の干渉処理機能を実行する、第3の動作モード、及び
前記中央干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行せず、前記分散干渉処理エンティティが前記第1乃至第3の干渉処理機能を実行する、第4の動作モード、
の1つ以上を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
光ワイヤレス通信システムへのアクセスを提供するためのアクセスポイントであって、当該アクセスポイントは、分散干渉処理エンティティと、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置とを含み、前記装置は、当該アクセスポイントに又は前記分散干渉処理エンティティに含まれる、アクセスポイント。
【請求項6】
光ワイヤレス通信システムのグローバルマスタ機能を提供するためのネットワークコントローラであって、当該ネットワークコントローラは、中央干渉処理エンティティと、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置とを含み、前記装置は、当該ネットワークコントローラに又は前記中央干渉処理エンティティに含まれる、ネットワークコントローラ。
【請求項7】
前記装置は、選択された動作モードに応じて干渉処理機能の少なくとも1つを前記分散干渉処理エンティティ又は前記中央干渉処理エンティティに委任するように構成される、請求項6に記載のネットワークコントローラ。
【請求項8】
前記装置は、前記委任された少なくとも1つの干渉処理機能において前記分散干渉処理エンティティがどの制限ルールを適用すべきかを前記分散干渉処理エンティティに指示するように構成される、請求項7に記載のネットワークコントローラ。
【請求項9】
前記委任された少なくとも1つの干渉処理機能は、前記光ワイヤレス通信ネットワークのアクセスポイントにエンドポイント又はエンドポイントのグループごとに許容時間領域を割り当てるための機能と、アクセスポイントにエンドポイントごとに個々の時間スロットをスケジューリングするための機能とを含む、請求項6に記載のネットワークコントローラ。
【請求項10】
当該ネットワークコントローラは、バックボーンネットワークに接続され、前記光ワイヤレスネットワークを管理するように構成される、請求項6に記載のネットワークコントローラ。
【請求項11】
請求項6に記載のネットワークコントローラと、請求項5に記載の少なくとも1つのアクセスポイントとを含む、光ワイヤレス通信システム。
【請求項12】
前記中央干渉処理エンティティ又は前記分散干渉処理エンティティは、エンドポイントを示す最後の存在レポーティングの受信後、前記エンドポイントが、ネイバーアクセスポイントのカバレッジエリアに留まると仮定される期間を定める時間ウィンドウを設定するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
光ワイヤレス通信ネットワークにおける干渉処理をコーディネートする方法であって、当該方法は、
中央干渉処理エンティティと分散干渉処理エンティティとの間で干渉処理機能の構成をネゴシエートすることと、
前記ネゴシエートされた構成に基づいて干渉処理動作モードを設定することであって、前記干渉処理動作モードは、前記中央干渉処理エンティティと前記分散干渉処理エンティティとの間の干渉処理機能の分散を定める、ことと、
を含み、
前記干渉処理機能は、異なるレベルに関連し、前記異なるレベルは、前記光ワイヤレス通信ネットワークのアクセスポイントに時間スロット又は時間チャネルを割り当てるための最高レベルの第1の干渉処理機能と、各エンドポイント又はエンドポイントのグループに対してアクセスポイントに許容時間領域を割り当てるための中間レベルの第2の干渉処理機能と、各アクセスポイントに対してエンドポイントに時間スロットをスケジューリングするための最低レベルの第3の干渉処理機能とを含み、下位レベルの干渉処理機能は、上位レベルの干渉処理機能の結果に依存し、前記中央干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能は、前記分散干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能よりも高いレベルを有する、方法。
【請求項14】
ネゴシエーション可能な干渉処理動作モードの1つは、前記中央干渉処理エンティティが前記第1及び第2の干渉処理機能を実行し、前記分散干渉処理エンティティが前記第3の干渉処理機能を実行する、第1のモードである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータデバイスで実行された場合、請求項13又は14に記載の方法のステップを行うためのコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、オフィス、小売、ホスピタリティ及び産業のための様々な異なるアプリケーションで使用するための、限定されるものではないが、LiFiネットワーク等、光ワイヤレスネットワークにおける通信の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
US2014/0086039 A1は、第1のネットワークドメインの第1のドメインマスタによって、少なくとも1つの他のネットワークドメインの少なくとも1つのネットワークノードによる物理媒体上のデータ伝送と干渉する第1のネットワークドメインの第1の数のネットワークノードを決定することを含む、有線通信チャネル上の近隣ネットワークのコーディネーションのためのシステム及び方法を開示している。方法はさらに、第1のドメインマスタによって、第1のネットワークドメインの1つ以上のネットワークノードに、MACサイクルの複数のオーバーラップしないタイムスロットのうちの1つの間にデータを送信させることを含む。ドメインマスタが、割り当てられた時間よりも多くの時間を必要とする場合、ドメインマスタは、近隣のドメインマスタから時間をリースするようにネゴシエートし得る。
【0003】
(Wi-Fi(登録商標)ネットワークと名前が似ている)LiFiネットワーク等の光ワイヤレスネットワークは、ラップトップ、タブレット、スマートフォン等の(以下でエンドポイント(EP)と呼ばれる)モバイルユーザデバイスがインターネットにワイヤレスで接続することを可能にする。Wi-Fi(登録商標)は無線周波数を使用してこれを実現するが、LiーFiは、これまでにないデータ転送速度及び帯域幅を可能にし得る可視光及び(紫外(UV)光及び赤外(IR)光を含む)非可視光スペクトルを使用してこれを実現する。さらに、Li-Fiは、電磁干渉を受けやすいエリアで使用されることができる。
【0004】
変調に基づいて、コード化光の情報は、任意の適切な光センサを使用して検出されることができる。これは、専用のフォトセル(ポイントディテクタ)、場合によってはレンズ、リフレクタ、ディフューザ又は蛍光体コンバータを備えたフォトセルのアレイ、又はフォトセル(ピクセル)のアレイ及びアレイに像を形成するためのレンズを含むカメラであることができる。例えば、光センサは、エンドポイントにプラグインするドングルに含まれる専用のフォトセルであってもよく、又は、センサは、エンドポイントの汎用(可視又は赤外光)カメラ若しくは例えば3D顔認識のために当初設計されている赤外線ディテクタであってもよい。どちらにしても、これにより、エンドポイント上で動作するアプリケーションは、光を介してデータを受信することが可能になる。
【0005】
通信信号は、日常照明器具(everyday luminaire)、例えば、室内照明又は屋外照明等、アクセスデバイスの照明源によって発せられる光信号に埋め込まれることができ、斯くして、照明器具からの照明を情報のキャリアとして使用することを可能にする。斯くして、光は、部屋等の対象環境を照らすための可視照明寄与(典型的には、光の主要な目的)と、環境に情報を提供するための埋め込まれた信号(典型的には、光の副次的な機能と考えられる)との両方を含む。このような場合、変調は、典型的には、人間の知覚を超えるように十分に高い周波数で、又は、少なくとも、目に見える一時的な光アーティファクト(例えば、フリッカ及び/又はストロボアーティファクト等)が、人間が気づかない若しくは少なくとも人間が許容できるように十分に高い周波数で十分に弱くなるように行われる。斯くして、埋め込まれた信号は、主要な照明機能に影響を与えない。すなわち、ユーザは、全体的な照明を知覚するだけで、当該照明に変調されているデータの効果は知覚しない。
【0006】
既に述べたように、このような通信信号は、可視スペクトル外の光信号も利用してもよい。可視スペクトル外、とりわけ、赤外域又は紫外域は、目に見えず、斯くして、目に見えるアーチファクトをもたらさないので、興味深い候補であり、とりわけ、ハンドヘルドデバイスから生じる送信に関連してもよい。
【0007】
以下では、用語「アクセスポイント(access point)」(AP)は、1つ以上の物理アクセスデバイス(physical access device)(例えば、トランシーバ)に接続されることができる論理アクセスデバイス(logical access device)を示すために使用される。このような物理アクセスデバイスは、典型的には、照明器具に位置してもよく、論理アクセスポイントは、1つ以上の照明器具に各々位置する1つ以上の物理アクセスデバイスに接続されてもよい。しかしながら、RF技術と比較して、各アクセスポイントの範囲は小さく、アクセスデバイスの高密度化を可能にする。
【0008】
欧州特許出願EP3422772 A1は、グローバルコーディネータと、可視光パーソナルエリアネットワークを各々がコーディネートする複数のコーディネータとを含むビーコン対応可視光通信システムであって、各可視光パーソナルエリアネットワークは、複数の可視光通信デバイスに従事し得る、ビーコン対応可視光通信システムを開示している。この特許出願は、ビーコン送信中のオーバーラップするVPANからの干渉に対処することを目的とする。問題なのは、互いに干渉する2つ以上のVPANの間で干渉コーディネーション(interference coordination)がない結果、これらのVPANの干渉エリア内のデバイスが、ネットワークにアクセスしようとする場合にビーコンを正しく検出することができないことである。
【0009】
近隣のAPのカバレッジエリアがオーバーラップする場合、APとEPの間の通信の干渉が生じ得る。しかしながら、このような密なネットワークでは、アクセスポイントのオーバーラップするエリアがうまく組織されない(not well organized)場合、干渉処理(interference handling)が複雑になり得る。それゆえ、APのコーディネーションが、このような干渉を処理するために必要とされる。
【0010】
LiFiネットワークを管理するグローバルマスタ機能(GM)が、このようなコーディネーションを行うことができる。GMは中央のユニットであることができるが、複数のユニットに分散されてもよい。
【0011】
集中アプローチ(centralized approach)は、GMが、最適化された干渉処理を目指すために利用可能なすべての情報を有するという利点がある一方、分散アプローチ(distributed approach)は、中央制御ユニットから独立しているという利点がある。
【0012】
しかしながら、中央ユニット(GM)が失敗する場合、干渉処理は、すべてのAPに対して失敗することになる。さらに、多くのAP及び多くの動くEPを含む中央管理されたシステムで多くの変化が生じる場合、中央ユニットは過負荷になる可能性があり、又は、APとGMの間の通信オーバーヘッドが大きくなりすぎる可能性がある。さらに、APは、それらの実施(implementation)に依存して、集中又は分散アプローチに依拠する可能性がある。APのこのような異なる実施が単一の光ワイヤレスネットワーク内で適用される場合、中央ユニットは、正しく動作しない可能性がある。
【0013】
一方、分散システムにおいて干渉のないタイムスロットを割り当てるアルゴリズムは、収束しない可能性がある、かなりの時間を要する可能性がある、及び/又は最適ではない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、光ワイヤレスネットワークにおける干渉処理のためのよりフレキシブルなアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、請求項1に記載の装置、請求項5に記載のアクセスポイント、請求項6に記載のネットワークコントローラ、請求項11に記載の光ワイヤレス通信システム、請求項13に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムによって達成される。
【0016】
第1の態様によれば、光ワイヤレス通信ネットワーク(optical wireless communication network)における干渉処理をコーディネートするための装置であって、当該装置は、中央干渉処理エンティティ(central interference handling entity)と分散干渉処理エンティティ(distributed interference handling entity)との間で干渉処理機能の構成(configuration of interference handling functions)をネゴシエートする、及び、ネゴシエートされた構成に基づいて干渉処理動作モード(interference handling operation mode)を設定するように構成され、干渉処理動作モードは、中央干渉処理エンティティと分散干渉処理エンティティとの間の干渉処理機能の分散(distribution)を定める(determine)、装置が提供される。
【0017】
第2の態様によれば、光ワイヤレス通信ネットワークにおける干渉処理をコーディネートする方法であって、当該方法は、
中央干渉処理エンティティと分散干渉処理エンティティとの間で干渉処理機能の構成をネゴシエートすることと、
ネゴシエートされた構成に基づいて干渉処理動作モードを設定すること、
を含み、
干渉処理動作モードは、中央干渉処理エンティティと分散干渉処理エンティティとの間の干渉処理機能の分散を定める、方法が提供される。
【0018】
本開示を通じて、用語「ネゴシエーション(negotiation)」は、参加エンティティ間の干渉処理機能の構成又は分散(configuration or distribution of interference handling functions)を確立するために2つ以上の参加エンティティ(例えば、中央及び分散干渉処理エンティティ)間の(例えば、ハンドシェイキング、要求/承認(request/acknowledgement)等による)任意の情報交換と理解されることが意図されている。例えば、参加エンティティは、どの干渉処理機能がどの参加エンティティによって採用されるかを合意するために互いのそれぞれの干渉処理ケイパビリティ(interference handling capability)をシグナリングし(signal)てもよい。
【0019】
したがって、干渉処理を実施するための複数のオプションが、中央及び分散干渉処理エンティティの少なくとも1つのパフォーマンス及び/又は通信オーバーヘッドを最適化するために中央及び分散干渉処理エンティティ間の個々の干渉処理機能の分散を制御することによって提供されることができる。
【0020】
事実上、総干渉処理ファンクショナリティ(total interference handling functionality)は、干渉処理システムが集中及び/若しくは分散アプローチ又はハイブリッドアプローチを利用できるように特定のやり方で(例えば、チャネル/時間スロット割り当て、アクティビティのスケジューリング等)干渉処理機能の異なる段階又はレベルに区分される(partitioned)。より具体的には、総干渉処理ワーク(total interference handling work)のそれぞれの部分は、中央コントローラ、アクセスポイント、又は両者の組み合わせに割り当てられることができる。これを達成するために、(集中であれ分散であれ)関与するコントローラは、干渉処理動作モードを切り替えるように構成される。
【0021】
第1又は第2の態様の第1のオプションによれば、干渉処理機能は、異なるレベルに関連してもよく、下位レベルの干渉処理機能は、上位レベルの干渉処理機能の結果に依存してもよく、中央干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能は、分散干渉処理エンティティに割り当てられる干渉処理機能よりも高いレベルを有してもよい。これにより、干渉処理の効率が、通信及び/又は処理負荷を低減するために中央及び分散干渉処理エンティティ間でレベルに基づいて干渉処理機能を分散することによって向上されることができる。
【0022】
第1のオプションと組み合わされてもよい、第1又は第2の態様の第2のオプションによれば、干渉処理機能は、光ワイヤレス通信ネットワークのアクセスポイントに時間スロット又は時間チャネルを割り当てるための最高レベルの第1の干渉処理機能と、各エンドポイント又はエンドポイントのグループに対してアクセスポイントに許容時間領域(allowed time region)を割り当てるための中間レベルの第2の干渉処理機能と、各アクセスポイントに対してエンドポイントに時間スロットをスケジューリングするための最低レベルの第3の干渉処理機能とを含みんでもよい。これにより、総干渉処理ファンクショナリティは、中央及び分散干渉処理エンティティの少なくとも1つのパフォーマンス及び/又は通信オーバーヘッドを最適化するために中央及び分散干渉処理エンティティ間で分散されることができる異なるレベルの干渉処理に分割されることができる。これは、有利には、ノードに予め割り当てられた時間スロット以外の追加のタイムスロットをスケジューリングすることも含んでもよい。
【0023】
第1又は第2のオプションと組み合わされてもよい、第1又は第2の態様の第3のオプションによれば、干渉処理動作モードは、干渉処理機能のどれが中央干渉処理エンティティによって実行され、干渉処理機能のどれが分散干渉処理エンティティによって実行されるかを規定し(define)てもよい。これは、複数の予め選択された又は予め設定された動作モードのうちの適切な1つを選択することによって、提案される干渉処理機能の分散の単純な制御を可能にする。
【0024】
第1乃至第3のオプションのいずれかと組み合わされてもよい、第1又は第2の態様の第4のオプションによれば、中央干渉処理エンティティが第1乃至第3の干渉処理機能を実行し、分散干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行しない、第1の動作モードが選択されてもよく、又は中央干渉処理エンティティが第1及び第2の干渉処理機能を実行し、分散干渉処理エンティティが第3の干渉処理機能を実行する、第2の動作モードが選択されてもよく、又は中央干渉処理エンティティが第1の干渉処理機能を実行し、分散干渉処理エンティティが第2及び第3の干渉処理機能を実行する、第3の動作モードが選択されてもよく、又は中央干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行せず、分散干渉処理エンティティが第1乃至第3の干渉処理機能を実行する、第4の動作モードが選択されてもよい。これにより、干渉処理ファンクショナリティのフレキシブルな分散が、中央ネットワークコントローラが設けられない又は分散ネットワークエンティティが可能な限り単純に保たれるべきである場合、及び少なくとも第1の干渉処理機能が集中的に実行され、少なくとも第3の干渉処理機能が分散的に実行されるようにすることが有利な場合をカバーするために、完全に集中的な、部分的に集中的な、及び完全に非集中的な(decentralized)干渉処理構成を含む種々の動作モードの選択を可能にすることによって達成されることができる。
【0025】
とりわけ有利な動作モードは、アクセスポイントに対する時間スロット/時間チャネル割当(time-slot/time-channel allocation)及び各エンドポイント(又はエンドポイントのグループ)に対するアクセスポイントへの時間領域割当(time region allocation)の両方が中央で(centrally)処理される、前述の第2の動作モードである。これは、通信オーバーヘッドが若干増加するものの、すべての情報が中央で利用可能であるため、チャネル利用の最適化を可能にするが、アクセスポイントに対するエンドポイントへの実際の時間スロットの細かな決定スケジューリング(fine-grained decision scheduling)は、分散干渉処理エンティティに委ねられる。時間領域を中央でプレスケジューリングすることにより、分散干渉ハンドラ(distributed interference handler)におけるリソース要件は、時間領域及び時間スロット割当の両方がローカルに処理されるべきであるモードよりも低くなる。
【0026】
第3の態様によれば、光ワイヤレス通信システムへのアクセスを提供するためのアクセスポイントであって、当該アクセスポイントは、分散干渉処理エンティティと、第1の態様による装置とを含み、装置は、当該アクセスポイントに又は分散干渉処理エンティティに含まれる、アクセスポイントが提供される。アクセスポイントは、複数のトランシーバを含んでもよく、MISO(複数レシーバ、単一トランスミッタ)又はMIMO(複数レシーバ、複数出力)光ワイヤレス通信が可能であってもよい。代替的に、トランシーバは、アクセスポイントとは別個に収容されてもよく、電気的又は光学的リンクを使用して結合されてもよい。斯くして、分散干渉処理エンティティは、第1の態様の装置の機能を実行してもよく、又は装置は、干渉処理の構成を扱う(deal with)別個のエンティティであってもよく、分散干渉処理エンティティは、割り当てられた干渉処理機能を実行してもよい。
【0027】
第4の態様によれば、光ワイヤレス通信システムのグローバルマスタ機能(global master function)を提供するためのネットワークコントローラであって、当該ネットワークコントローラは、中央干渉処理エンティティと、第1の態様による装置とを含み、装置は、当該ネットワークコントローラに又は中央干渉処理エンティティに含まれる、ネットワークコントローラが提供される。
【0028】
斯くして、中央干渉処理エンティティは、第1の態様の装置の機能を実行してもよく、又は装置は、干渉処理の構成を扱う別個のエンティティであってもよく、中央干渉処理エンティティは、割り当てられた干渉処理機能を実行してもよい。
【0029】
第1又は第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第4の態様の第1のオプションによれば、装置は、選択された動作モードに応じて干渉処理機能の少なくとも1つを分散干渉処理エンティティ又は中央干渉処理エンティティに委任する(delegate)ように構成されてもよい。これにより、ネットワークコントローラにおける通信負荷が、(複数の)干渉処理機能を分散干渉処理エンティティ(例えば、AP)に委任することによって低減されることができる。
【0030】
第4の態様の第1のオプション又は第1若しくは第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第4の態様の第2のオプションによれば、分散干渉処理エンティティは、委任された少なくとも1つの干渉処理機能において分散干渉処理エンティティがどの制限ルールを適用すべきかについて中央干渉処理エンティティによって指示されてもよい。この措置は、中央及び分散干渉処理エンティティが、(例えば、時間スロット又は時間チャネルの割当に関連した)ミスマッチ又は衝突を防止し、干渉処理システム全体の適切な機能性(proper functioning)を確保するために同じ制限ルールを適用することを確実にする。
【0031】
第4の態様の第1若しくは第2のオプション又は第1若しくは第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第4の態様の第3のオプションによれば、委任された少なくとも1つの干渉処理機能は、光ワイヤレス通信ネットワークのアクセスポイントにエンドポイント又はエンドポイントのグループごとに許容時間領域を割り当てるための機能と、アクセスポイントにエンドポイントごとに個々の時間スロットをスケジューリングするための機能とを含んでもよい。
【0032】
第4の態様の第1乃至3のオプションのいずれか又は第1若しくは第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第4の態様の第4のオプションによれば、当該ネットワークコントローラは、バックボーンネットワークに接続され、光ワイヤレスネットワークを管理するように構成されてもよい。斯くして、光ワイヤレスネットワークを管理することを担うネットワークコントローラ(例えば、LiFiコントローラ)は、中央干渉処理機能に干渉処理機能の適応的な分散(adaptive distribution)を与えるために使用されることができる。
【0033】
第5の態様によれば、第4の態様によるネットワークコントローラと、第3の態様による少なくとも1つのアクセスポイントとを含む、光ワイヤレス通信システムが提供される。
【0034】
第4の態様の第1乃至4のオプションのいずれか又は第1若しくは第2の態様の第1乃至第4のオプションのいずれかと組み合わされることができる、第5の態様のオプションによれば、中央干渉処理エンティティ又は分散干渉処理エンティティは、エンドポイントを示す最後の存在レポーティング(last presence reporting)の受信後、エンドポイントが、ネイバーアクセスポイント(neighbor access point)のカバレッジエリアに留まると仮定される期間を定める時間ウィンドウを設定するように構成されてもよい。この措置は、(複数の)干渉処理機能の時間スロット又は時間チャネル予約の側面(time slot or time channel reservation aspect)に対するパフォーマンス要件及び通信オーバーヘッドが、検出されたネイバーAPがネイバーとして記憶及び取り扱われるより大きな時間ウィンドウ(larger time window)を適用することによって緩和されることができるという利点を有する。
【0035】
第6の態様によれば、コンピュータデバイスで実行された場合、第2の態様の上記方法のステップを行うためのコード手段を含む、コンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0036】
上記の装置は、ディスクリートハードウェアコンポーネント、組み込みチップ若しくはチップモジュールの配列を備えたディスクリートハードウェア回路に基づいて、又はメモリに格納された、コンピュータ読み取り可能媒体に書き込まれた若しくはインターネット等のネットワークからダウンロードされたソフトウェアルーチン若しくはプログラムによって制御される信号処理デバイス若しくはチップに基づいて実装されてもよいことに留意されたい。
【0037】
請求項1に記載の装置、請求項5に記載のアクセスポイント、請求項6に記載のネットワークコントローラ、請求項11に記載の光ワイヤレス通信システム、請求項13に記載の方法、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムは、同様の及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有し得ることを理解されたい。
【0038】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0039】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、様々な実施形態が実装され得るLiFiネットワークのブロック図を概略的に示す。
図2図2A及び図2Bは、近隣のアクセスポイント及びエンドポイントのオーバーラップするカバレッジエリアを有するLiFiインフラストラクチャ、並びに、それぞれ、ダウンリンク及びアップリンク干渉の例を概略的に示す。
図3図3は、アクセスポイントのMACサイクル及びそれらの時間スロットへの分割を概略的に示す。
図4図4A及び図4Bは、近隣のアクセスポイント及びエンドポイントのオーバーラップするカバレッジエリアを有するLiFiインフラストラクチャ、並びに、それぞれ、エンドポイント及びアクセスポイントによるネイバーレポーティングの例を概略的に示す。
図5図5は、ネイバーレポーティングのための共通チャネルを有するMACサイクルを概略的に示す。
図6図6は、オーバーラップするカバレッジエリアを有する4つのアクセスポイント及びカバレッジエリアに分散されるエンドポイントを概略的に示す。
図7図7は、4つのアクセスポイントへの時間チャネル割当を有するMACサイクルを概略的に示す。
図8図8は、エンドポイントに関連する制限ルールを有するMACサイクルを概略的に示す。
図9図9は、一実施形態による干渉処理機能の分散の第1の例を概略的に示す。
図10図10は、一実施形態による干渉処理機能の分散の第2の例を概略的に示す。
図11図11は、短い更新時間ウィンドウの場合の4つのアクセスポイントへの時間チャネル割当を有するMACサイクルを概略的に示す。
図12図12は、一実施形態による中央及び分散干渉処理エンティティの処理及びシグナリング図を概略的に示す。
図13図13は、一実施形態による干渉処理制御ユニットのブロック図を概略的に示す。
図14図14は、一実施形態による干渉処理制御プロシージャのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ここで、本発明の様々な実施形態が、光マルチセル照明及び通信(LiFi)システムに基づいて述べられる。
【0042】
以下を通じて、アクセスポイントとしての照明器具(luminaire)は、照明及び/又は通信目的のための1つ以上の光源(可視又は非可視(赤外線(IR)又は紫外線(UV))光源を含む)及び任意選択的に、例えば光を分配するため、光源及びバラスト(該当する場合)を位置決め及び保護するため、並びに照明器具を電源に接続するため等、照明の適切な動作に必要な他の内部及び/又は外部部品を含む任意のタイプの照明ユニット又は照明具(lighting fixture)として理解されるべきである。照明器具は、埋め込み型又は表面取付け型の白熱、蛍光又は他の電気放電照明器具等、従来のタイプのものであることができる。また、照明器具は、ファイバーコア又は「ライトパイプ(light pipe)」に光をインカップリングし(couple in)、他端において光をアウトカップリングする(couple out)光源を有するファイバーオプティクスベースのもの等、非従来のタイプのものであることもできる。
【0043】
ここで、光ワイヤレス通信のためのアクセスポイントは、照明器具と一体化されてもよく、若しくは専用のアクセスポイントであってもよく、又は任意選択的にWiFi(登録商標)アクセスポイントとコロケートされ(co-located)てもよいことに留意されたい。
【0044】
図1は、様々な実施形態が実装されることができるLiFiネットワークのブロック図を概略的に示している。
【0045】
本開示全体を通して、以前に述べられた同一の参照番号を有するブロックの構造及び/又は機能は、追加の特定の機能性が関与しない限り、再度述べられないことに留意されたい。さらに、実施形態を理解するのに有用な構造的要素及び機能のみが示されている。他の構造的要素及び機能は、簡潔さの理由から省略されている。
【0046】
LiFiネットワークは、スイッチ(例えば、Ethernet(登録商標)スイッチ(図示せず))を介してバックボーンネットワーク(例えば、Ethernet等)14に接続される、複数のアクセスポイント(AP)AP1、AP2、...APm 12、例えば、照明システムの照明器具を含み、これにより、各AP12は、エンドポイント(EP)EP1、EP2、...EPn 10、例えば、モバイルユーザデバイスに向けた光通信のための1つ又は複数のトランシーバ(図示せず)(すなわち、トランスミッタ(光エミッタ)及びレシーバ(光センサ)の組み合わせ)を制御する。EP10の各々は、AP12に登録される。AP12のトランシーバによって生成され、EP10の平面上のカバレッジエリアを画定するそれぞれのダウンリンク光ビームは、図1においてハッシュされた(hashed)台形で示されている。さらに、トランシーバによって生成され、EP10の平面上のカバレッジエリアを画定するそれぞれの光ビームは、図1においてハッチングされた台形で示されている。同様に、EP10のトランシーバによって生成され、AP12の平面上のカバレッジエリアを画定するそれぞれの光ビームは、図1において破線の台形で示されている。
【0047】
これらのカバレッジエリアがオーバーラップする場合、AP12とEP10との間の通信の干渉が生じ得る。それゆえ、AP12のコーディネーションが、干渉を処理するために必要とされる。
【0048】
例えば、LiFiコントローラに設けられる、中央グローバルマスタエンティティ又は機能(central global master entity or function)(CGM)15は、バックボーンネットワーク14に接続され、干渉処理コーディネーション(interference handling coordination)を含む、LiFiネットワークを管理するように構成される。さらに、中央グローバルマスタエンティティ15は、EP10の1つがAP12のオーバーラップするカバレッジエリアに入る及び該カバレッジエリアから出る場合にハンドオーバを制御するように構成されてもよい。中央グローバルマスタエンティティ15は、バックボーンネットワーク14のスイッチを介してAP12に接続されてもよい。
【0049】
様々な実施形態によれば、グローバルマスタファンクショナリティ(global master functionality)又は少なくとも干渉コーディネーションファンクショナリティ(interference coordination functionality)は、中央グローバルマスタエンティティと、AP12内又はAP12に設けられるそれぞれの分散グローバルマスタエンティティ(distributed global master entity)(DGM)DGM1、DGM2、...DGMm 11との間で共有されることができる。これにより、少なくとも一部の干渉処理機能は、AP12に分散されることができる。
【0050】
図2A及び図2Bは、近隣のAP(AP1及びAP2)及びEP(EP1~EP3)のオーバーラップするカバレッジエリアを有するLiFiインフラストラクチャ、並びに、それぞれ、ダウンリンク及びアップリンク干渉の例を概略的に示している。
【0051】
図2A及び図2Bの例において、EP1及びEP2はAP1に登録され、EP3はAP2に登録される。AP1はEP1及びEP2との通信を制御し、AP2はEP3との通信を制御する。
【0052】
図2Aの矢印で示されるように、AP1及びAP2が同時に送信する場合、ダウンリンク干渉がEP2において発生する。さらに、図2Bの矢印で示されるように、EP2及びEP3が同時に送信する場合、アップリンク干渉がAP2において発生する。
【0053】
干渉処理ファンクショナリティ(interference handling functionality)は、EP2及びEP3に対する通信を時間的に分離(時分割)することによりAP1及びAP2における干渉を処理するように構成されることができる。
【0054】
それゆえ、干渉処理は、APのMAC(Medium Access Control)サイクルがアラインされ、スロットに分割されるTDMA(Time Division Multiple Access)を提供することにより実施されることができる。
【0055】
図3は、上下に重なり合う2つのAP(AP1及びAP2)のアラインされたMACサイクル(MAC-c)及びそれぞれの矩形フィールドによって示されるそれらの時間スロットへの分割の時間図(time diagram)を概略的に示している。
【0056】
図4A及び図4Bは、図2A及び図2Bと同様に、近隣のAP(AP1及びAP2)及びEP(EP1~EP3)のオーバーラップするカバレッジエリアを有するLiFiインフラストラクチャを概略的に示し、それぞれ、EP及びAPによるネイバーレポーティング(neighbor reporting)の例が、それぞれの矢印で示されている。
【0057】
干渉処理を提供するために、中央及び/又は分散干渉処理エンティティ(例えば、図1の中央及び/又は分散グローバル管理機能15、11)は、ネイバー情報、例えば、AP1及びAP2のオーバーラップするカバレッジエリアにおけるEP2の存在に関する情報を必要とする。
【0058】
図4Aに示されるダウンリンク干渉の場合では、EP2がちょうどAP2のカバレッジエリアに入り、例えば、AP2によってブロードキャストされるビーコン又はアドバタイズメント(ハッチングされた矢印)に基づいて、AP2を検出すると仮定される。これに応じて、EP2は、近隣のAP2の検出をAP1(長い白矢印)に報告し、AP1は、ネイバー検出レポート(neighbor detection report)を中央又は分散グローバルマスタエンティティ(GM)の干渉処理ファンクショナリティに転送する(短い白矢印)。
【0059】
同様に、図4Bに示されるアップリンク干渉の場合では、(EP3が登録されている)AP2が、例えば、EP2によってブロードキャストされるビーコン又はアドバタイズメント(ハッチングされた矢印)に基づいて、そのカバレッジエリア内のEP2を検出したと仮定される。これに応じて、AP2は、近隣のEP2の検出を中央又は分散グローバルマスタエンティティ(GM)における干渉処理ファンクショナリティに報告する(短い白矢印)。
【0060】
EPがネイバーAPのカバレッジエリア内にあることを検出するのをサポートするために、AP及び/又はEPがそれらの存在をアドバタイズする、MACサイクル内のドメイン間通信チャネル(IDCC:inter domain communication channel)が定義されることができる。
【0061】
図5は、ネイバーレポーティング(neighbor reporting)のためのドメイン間通信チャネルを有するMACサイクル(MAC-c)を概略的に示している。図5の例では、MACサイクルは、MACサイクルの終わりに位置するドメイン間共通チャネル(IDCC)を含む。無論、IDCCは、MACサイクル内の他の所定位置に位置してもよい。
【0062】
IDCCへのアクセスは、競合ベース(contention based)(例えば、ALOHA動作プロシージャ等)、コーディネートされたスケジューリングによる無競合(contention free)、又は両方の組み合わせであることができる。IDCCは、APのための部分(IDCC-AP)とEPのための部分(IDCC-EP)の、2つの部分に分割される。APは、その存在を示すために定期的に(例えば、MACサイクル毎に)IDCC-AP部の複数の利用可能なスロットS-AP1~S-APnのいずれかにおいてアドバタイズメントフレームを送信し、APに登録されているEPが、ネイバーAPのカバレッジエリア内にあるかどうかを検出すること(ダウンストリーム検出)を可能にしてもよい。EPは、その存在を示すためにIDCC-EP部の複数の利用可能なスロットS-EP1~S-EPnのいずれかにおいてアドバタイズメントフレームを送信し、(EPが登録されているAPの)ネイバーAPが、EPがそのカバレッジエリア内にあるかどうかを検出すること(アップストリーム検出)を可能にしてもよい。アドバタイズメントフレームは、占有する時間を制限するために短いフレームであってもよく、識別情報を含んでもよい。
【0063】
ダウンストリーム検出の場合、APは、初期的に、スロットをランダムに選択することによってIDCC-APにアクセスしてもよい。中央又は分散グローバルマスタエンティティの干渉処理ファンクショナリティは、(例えば、干渉マップ(interference map)を使用して)どのAPが干渉し得るかを学習又は構成すると、干渉を避けるために各APにスロットを割り当ててもよい。中央又は分散グローバルマスタエンティティは、干渉マップに関する部分的な情報を有する場合、干渉を軽減するためにAPがランダムに選択するスロットのサブセットを各APに割り当てる。
【0064】
アップストリーム検出の場合、EPは、IDCC-EPにおけるスロットをランダムに選択する。EPは可動性(mobile)であるため、このアクセスは、中央又は分散グローバルマスタエンティティによってそれほど制御されなくてもよい。衝突を軽減するために、EPがIDCC-EPにアクセスする頻度は制限されてもよい。APは、例えば、ラウンドロビンスケジューリングスキームを適用することによって、その登録EPのどれがどの時間にIDCC-EPにおいてアドバタイズメントフレームを送信すべきかを決定してもよい。
【0065】
図6は、オーバーラップするカバレッジエリアを有する4つのAP AP1~AP4と、カバレッジエリアに分散されるEP EP1~EP8を概略的に示している。図6の例では、EP2は、AP1とAP2のオーバーラップするカバレッジエリアに位置し、EP6は、AP3とAP4のオーバーラップするカバレッジエリアに位置する。
【0066】
干渉を処理するために、中央又は分散グローバルマスタエンティティの干渉処理ファンクショナリティは、MACサイクル内の複数の時間チャネルを決定し、それらを各APに割り当てることができる。この時間チャネル割当は、APから受信されるレポートに基づくことができる。中央又は分散グローバルマスタエンティティの干渉処理ファンクショナリティは、EPがネイバーAPのカバレッジエリア内にある場合を示す、存在又はネイバーレポーティング(presence or neighbor reporting)に依拠してもよく、一方、EPがネイバーAPのカバレッジエリア内にもはやない場合を示す、非存在レポーティング(non-presence reporting)にそれほど依拠しなくてもよく、又は無視さえしてもよい。
【0067】
さらなるオプションとして、中央又は分散グローバルマスタエンティティの干渉処理ファンクショナリティは、最後の存在レポーティング後にEPがネイバーAPのカバレッジエリアに留まると仮定される期間を示す時間ウィンドウを決定してもよい。この時間ウィンドウは、長い時間ウィンドウ(例えば、分、時間、日、週等)、又は短い時間ウィンドウ(例えば、秒、数十ミリ秒、数百ミリ秒等)であってもよい。
【0068】
図7は、4つのアクセスポイントAP1~AP4への時間チャネル割当を有するMACサイクルを概略的に示している。ここでは、第1の時間チャネルTC1がAP1に割り当てられ、後続の第2の時間チャネルTC2がAP2に割り当てられ、後続の第3の時間チャネルがAP3に割り当てられ、後続の第4の時間チャネルTC4がAP4に割り当てられている。
【0069】
図7のスケジューリング例では、干渉処理ファンクショナリティが、4つのAPのオーバーラップするカバレッジエリアの各々においてEPの存在に関するレポートが発生する長い時間ウィンドウを適用している。それゆえ、干渉処理ファンクショナリティは、4つのAPの各々に異なる時間チャネルを割り当てている。
【0070】
さらに、干渉処理ファンクショナリティは、干渉のない時間スロット又は時間スロットのグループを決定することができ、これにより、後者は、本開示のコンテキストにおいて時間チャネルとみなされることができる。時間チャネルは、隣接する時間スロットのグループ、隣接しない時間スロットのグループ、又は両方の組み合わせから成ることができる。しかしながら、MACサイクル内のすべてのスロットが時間チャネル又はIDCCに割り当てられる必要はなくてもよい。例えば、図7の時間チャネルは、より短くてもよく、それらの間に複数のスロットを有するより大きなギャップを残してもよい。
【0071】
さらに、干渉を回避するために、干渉処理ファンクショナリティは、各APが、その登録されたEPとの通信をその割り当てられた時間チャネルに制限することを要求してもよい。このルールは干渉問題を解決し得るが、光ワイヤレス通信システムの最適ではないパフォーマンスにつながる可能性がある。
【0072】
それほど厳密ではないアプローチでは、干渉処理ファンクショナリティは、各APが、その割り当てられた時間チャネル以外でその登録されたEPと通信することを条件付きで可能にしてもよい。この場合、干渉処理ファンクショナリティは、条件付けを決定するルールのセットを適用する。
【0073】
一例として、以下のルールのセットが、干渉問題を解決しながら、割り当てられた時間チャネル以外のデータ通信の条件付きスケジューリングを可能にするために適用されてもよい。
【0074】
割り当てられた時間チャネルxを有するAPxに登録され、APyのカバレッジエリア内にあると報告されるEPxごとに、
1. EPxとのAPxの通信は、時間チャネルxに制限される、及び
2. APyに登録されたEPとのAPyの通信は、時間チャネルxを除外することにより制限される。
【0075】
図7の例によれば、干渉処理ファンクショナリティは、AP1に第1の時間チャネルTC1を割り当て、AP2に第2の時間チャネルTC2を割り当てている。ここで、図6のEP1及びEP2がAP1に登録され、EP3がAP2に登録されていると仮定すると、AP1は、EP2との通信を時間チャネルTC1に制限し、AP2は、EP3との通信を時間チャネルTC1から除外することにより制限する。
【0076】
図8は、上記の例のAP1及びAP2に対するエンドポイントに関連する制限ルール(endpoint-related restriction rule)が示されるMACサイクルを概略的に示している。グレーエリアは、あるAPのスケジューリングに対して常に許容される(AA:always allowed)時間チャネルに対応し、右方向に向かって上向きに傾斜したハッチングエリアは、あるAPに対して条件付きで許容される(CA:conditionally allowed)MACサイクルの一部を示し、左方向に向かって上向きに傾斜したハッチングエリアは、あるEPに対して許容される(A:allowed)時間チャネルを示し、×エリアは、あるEPに対して制限され(R:restricted)、割り当てられることができない時間チャネルを示している。
【0077】
図8に示されるように、AP1は、第1の時間チャネルTC1内で通信をスケジューリングすることが無条件で許容され、(前述したように用いられるIDCCを除く)MACサイクルの残りの時間においては条件付きで許容される。さらに、AP2は、第2の時間チャネルTC2内で通信をスケジューリングすることが無条件で許容され、(前述したように用いられるIDCCを除く)MACサイクルの残りの時間においては条件付きで許容される。斯くして、EP3は、第1の時間チャネルTC1から除外される。EP1は、(IDCCを除く)MACサイクル全体で通信することが許容され、EP2は、第1の時間チャネルTC1のみで通信することが許容され、EP3は、第1の時間チャネルTC1(及びIDCC)を除くMACサイクル全体で通信することが許容される。
【0078】
様々な実施形態によれば、様々な干渉処理機能及び動作モードが、例えば、それぞれ、中央及び分散グローバルマスタエンティティに設けられる、中央及び分散干渉処理エンティティ間で干渉処理ファンクショナリティの共有又は分散を可能にするように定義されることができる。
【0079】
これらの干渉処理機能の各々は、あるレベルを有することができ、これにより、あるレベルの機能は、一つ上位のレベルの機能の結果に依存する。一例として、以下の干渉処理機能が、定義されることができる。
A. 事前予約(pre-reservation)を適用すること(例えば、APへの時間スロット又は時間チャネルのグループの割当)、
B. 制限ルールを定義すること(例えば、(機能Aによって定義される事前予約を前提として)各APに対するEP又はEPのグループごとの許容時間領域の割当)、及び
C. 時間スロットをスケジューリングすること(例えば、(機能Bによって定義される許容時間領域を前提として)各APへのEPごとの個々の時間スロットのスケジューリング)。
【0080】
これらの干渉処理機能A~Cは互いに依存し、機能Bは機能Aの結果で、機能Cは機能Bの結果で働くことを意味する。
【0081】
さらに、動作モードは、上記の干渉処理機能A、B及びCが中央又は分散干渉処理エンティティ間でどのように分散又は共有されることができるかを定義する。動作モードに依存して、干渉処理ファンクショナリティの所定の第1の部分(すなわち、所定の(複数の)干渉処理機能)は、中央干渉処理エンティティ(例えば、図1のCGM15)において実行され、干渉処理ファンクショナリティの所定の第2の部分(すなわち、残りの(複数の)干渉処理機能)は、例えば、APにおける、分散干渉処理エンティティ(例えば、図1のDGM1)において実行される。
【0082】
一例として、以下の4つの動作モードが実装されてもよい。
【0083】
第1の動作モード(モード0)は、中央干渉処理エンティティが3つの干渉処理機能A~Cのすべてを実行し、分散干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行しない、完全に集中的な干渉処理ファンクショナリティ(fully centralized interference handling functionality)に対応してもよい。
【0084】
さらに、第2の動作モード(モード1)は、中央干渉処理エンティティが事前予約及び制限ルール機能A及びBを実行し、分散干渉処理エンティティがタイムスロットスケジューリング機能Cを実行する、第1の共有干渉処理ファンクショナリティ(shared interference handling functionality)に対応してもよい。
【0085】
さらに、第3の動作モード(モード2)は、中央干渉処理エンティティが事前予約機能Aを実行し、分散干渉処理エンティティが制限ルール及びタイムスロットスケジューリング機能B及びCを実行する、第2の共有干渉処理ファンクショナリティに対応してもよい。
【0086】
最後に、第4の動作モード(モード3)は、中央干渉処理エンティティが干渉処理機能を実行せず、分散干渉処理エンティティがすべての干渉処理機能A~Cを実行する、完全に分散的な又は非集中的な干渉処理ファンクショナリティ(fully distributed or decentralized interference handling functionality)に対応してもよい。
【0087】
斯くして、その実装又は設定された動作モードに応じて、中央干渉処理エンティティは、干渉処理機能A又はA+B又はA+B+Cを含んでもよい。同様に、その実装又は設定された動作モードに応じて、分散干渉処理エンティティ(例えば、AP)は、干渉処理機能C又はB+C又はA+B+Cを含んでもよい。
【0088】
したがって、様々な実施形態によれば、干渉処理を実装するための複数のオプションが、中央干渉処理エンティティに必要とされるパフォーマンス及び/又は通信オーバーヘッドを低減するために適用されることができる。
【0089】
第1のオプションによれば、中央グローバルマスタエンティティ(例えば、LiFiコントローラ)又は分散グローバルマスタエンティティ(例えば、AP)は、最後の存在レポーティング後にEPがネイバーAPのカバレッジエリア内にもはやないとみなす適切な時間ウィンドウを選択することによって、干渉処理機能Aに必要とされる労力(effort)及び通信オーバーヘッドを採用してもよい。この場合、中央又は分散グローバルマスタエンティティは、この時間ウィンドウを増加させることによって、必要とされる労力及び通信オーバーヘッドを低減してもよい。
【0090】
一例として、AP間のネイバー関係を追跡するために、中央又は分散グローバルマスタエンティティは、これらの関係を可視性マトリクス(visibility matrix)(例えば、ルックアップテーブル)に保持することができる。以下の表は、(EP2及びEP6がオーバーラップするカバレッジエリア内にある)図6の状況に対するこのような可視性マトリクスの例を表し、表中のマーク「x」は、EPが現在2つのAPのオーバーラップするカバレッジエリアにあることを示す。図6において、これは、AP1とAP2のオーバーラップするエリア(すなわち、EP2)及びAP3とAP4のオーバーラップするエリア(すなわち、EP6)の場合である。
【0091】
【0092】
上記の場合、表は実際の状況を表し、これは、中央又は分散グローバルマスタエンティティが、2つのAPのオーバーラップするカバレッジエリア内にあるEPについて、最新の対応するレポーティングから短い時間ウィンドウ内に更新レポートを受信しない場合、マーク「x」を削除することを意味する。
【0093】
しかしながら、中央又は分散グローバルマスタエンティティがより長い時間ウィンドウを適用する場合、中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、表内の対応するマーク「x」を削除する前に2つのAPに対する複数の更新レポートを受けてもよい。非常に長い時間ウィンドウ(例えば、数日又は数週間)を適用することによって、中央又は分散グローバルマスタエンティティは、オーバーラップするエリアで実際に検出されるEPよりも多くのマーク「x」を可視性マトリクスに蓄積してもよい。
【0094】
以下の表は、このような長い時間ウィンドウに対する可視性マトリクスを表し、これにより、当該ウィンドウ内で図6のAPの各オーバーラップするカバレッジエリアに対してEPのレポーティングが発生していると仮定されている。
【0095】
【0096】
斯くして、長い時間ウィンドウと比較して短い時間ウィンドウを使用する有利な点は、可視性マトリックスがより少ないマーク「x」で満たされ、中央又は分散グローバルマスタエンティティが、それほど干渉のない時間チャネルを計算することを可能にすることである。
【0097】
図9は、短い更新時間ウィンドウの場合の4つのアクセスポイントへの時間チャネル割当を有するMACサイクルを概略的に示している。ここでは、2つのより長い時間チャネルTC1及びTC2のみが、各MACサイクルにおいて提供され、2つのそれぞれのAP間で共有されることができる。すなわち、第1の時間チャネルTC1はAP1及びAP3によって共有され、第2の時間チャネルTC2はAP2及びAP4間で共有され、すべてのAPは、その割り当てられた時間チャネルの1つ置きにアクセスすることができる。
【0098】
より少ない時間チャネルしか必要ない場合、MACサイクルの利用可能な時間は、より大きな時間チャネルを許容する。APのオーバーラップするカバレッジエリアに生じるEPが少ない場合、より少ない時間チャネルしか必要とされない。オーバーラップするカバレッジエリアにEPが存在しない及び/又は検出されないという極端な状況では、1つの時間チャネルで十分であり、これは、すべてのAPが、(IDCCを除く)MACサイクル全体においてそのEPとの通信をスケジューリングすることが許容されることを意味する。すべてのAPについて、関連するEPがそのネイバーAPの各々におけるカバレッジエリア内にあるという別の極端な状況では、直接ネイバー(direct neighbor)APのみがオーバーラップするカバレッジエリアを有し、時間チャネル最適時間チャネル割当が行われると仮定すると、4つのチャネルが必要とされる。
【0099】
しかしながら、実際の状況を表すために、中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、ネイバー検出レポートのより頻繁な更新に依拠し、それに応じてその可視性マトリクスを更新するように構成される必要がある。さらに、中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、可視性マトリクスの変更ごとに時間チャネルを再計算しなければならない。
【0100】
中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティが長い時間ウィンドウを適用する場合、中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、ネイバー検出レポートの非常に頻繁な更新を必要とせず、その可視性マトリクスを頻繁に更新する必要がない。これは、時間チャネルの計算を更新するための中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティに対するパフォーマンス要件を緩和する。
【0101】
その結果、集中又は分散グローバルマスタエンティティは、検出されたネイバーAPをネイバーとして保持するより大きな時間ウィンドウを適用することによって、干渉処理機能A(時間チャネル予約)のそのパフォーマンス要件及びその通信オーバーヘッドを緩和することができる。
【0102】
第2のオプションによれば、干渉処理機能A及びBを含む中央グローバルマスタエンティティは、干渉処理機能Bをサポートする1つ又は複数の分散グローバルマスタエンティティに干渉処理機能Bを委任することによって、その必要とされるパフォーマンス及び分散グローバルマスタエンティティとの通信オーバーヘッドを低減してもよい。
【0103】
図10は、第2のオプションに基づく一実施形態による干渉処理機能の初期及びその後の分散の第1の例を上下に重ねて概略的に示している。
【0104】
第1の例において、中央グローバルマスタエンティティ(CGM)は、グレーエリア(「A」(「アクティブ(active)」))で示されるように、干渉処理機能A(事前予約)及び干渉処理機能B(許容領域(allowed region))を含み、アクティブにしている。中央グローバルマスタエンティティ(CGM)は、点線エリア(「NC」(「含まれない(not comprised)」))で示されるように、干渉処理機能Cを含まない。ここで、中央グローバルマスタエンティティ(CGM)は、分散グローバル管理機能(DGM)が干渉処理機能B(許容領域)及び干渉処理機能C(時間スロット割当)を含み又は可能であり、干渉処理機能Cがアクティブであり、干渉処理機能Bは含まれるが、アクティブではない(連続フレームエリア「C-NA」(「含まれるが、アクティブではない(comprised, not active)」))と判断する。検出された分散グローバル管理機能は、点線エリア(「NC」(「含まれない」))で示されるように、干渉処理機能Aを含まない。
【0105】
初期的に、図10の上部に示されるように、中央グローバルマスタエンティティは干渉処理機能A+Bの両方を実行してもよく(すなわち、アクティブにしていてもよく)、分散グローバルマスタエンティティは干渉処理機能Cのみを実行してもよい(すなわち、アクティブにしていてもよい)。中央グローバルマスタエンティティは、干渉処理機能Aに従って時間チャネルを事前予約すると、各AP及びその登録EPの各々について、通信が許容される許容領域を決定することができる(干渉処理機能B)。これにより、中央グローバルマスタエンティティは、これらの領域を決定するためにあるルールを適用してもよい。
【0106】
そのパフォーマンス要件を緩和するため及び/又はバックボーンネットワーク上の通信オーバーヘッドを緩和するために、中央グローバルマスタエンティティは、例えば、図10の下部に示されるように、中央及び分散グローバルマスタエンティティ間の対応するネゴシエーションプロセスによって、干渉処理機能Bを分散グローバルマスタエンティティに委任(DL)してもよい。その結果、干渉処理機能Bは、分散グローバルマスタエンティティにおいてアクティブにされ、中央グローバルマスタエンティティにおいて非アクティブにされる(しかしながら、依然として含まれる)。
【0107】
ある例では、異なる中央及び分散グローバルマスタエンティティは、干渉処理機能Bの使用の自由度及びフレキシビリティ、並びに干渉処理システムの適切な機能性を可能にするために中央アプローチ又は分散アプローチにおいて干渉処理機能B(すなわち、EPごとの許容時間領域の割当)の実行について同じルールを適用する。これを達成するために、中央グローバルマスタエンティティは、APの分散グローバルマスタエンティティを構成し、これにより、分散グローバルマスタエンティティがどの制限ルールを適用すべきかを(例えば、ネゴシエーションプロセスの過程で)指示してもよい。これは、分散グローバルマスタエンティティが実装しているべき制限ルールのセットを定義することによって達成されることができる。一例として、中央グローバルマスタエンティティは、分散グローバルマスタエンティティがどの制限ルールのセットを選択し、使用しなければならないかを示してもよい。別の可能性は、中央グローバルマスタエンティティが分散グローバルマスタエンティティに所望のファンクショナリティ(例えば、制限ルール)を挿入するために適用するメタ言語を適用することである。明らかに、これらのフレキシビリティオプションは、分散グローバルマスタエンティティに追加の要件を課し、誤用を避けるためのセキュリティ対策を伴ってもよい。
【0108】
斯くして、中央グローバルマスタエンティティは、干渉処理機能B(すなわち、あるAPのための時間領域の割当)を当該APの分散グローバルマスタエンティティに委任することが可能である。このAPは、無論、この(同じ)干渉処理機能Bを有するこの分散グローバルマスタエンティティを含まなければならない。
【0109】
一例として、すべてのAPが干渉処理機能Bをサポートする場合、この機能は、完全に分散的に実行されることができる。これは、干渉処理機能Bを含まない中央グローバルマスタエンティティを含むシステムを可能にする。
【0110】
他の極端な例は、中央グローバルマスタエンティティがこの干渉処理機能Bをまったく分散しないことであり、これは、どのAPも許容時間領域の割当を含まない、又は実行してはならないシステムを可能にする。
【0111】
また、干渉処理機能Bの標準化された割当を定義するアプローチは、異なるAPの実装を含み、これにより、これらの一部は、時間領域の割当を含む分散グローバルマスタエンティティを含んでもよく、これらの一部は、この干渉処理機能Bを含まない、システムを構築することを可能にする。これは、このようなAPの実装の混合を含むシステムを構築し、システムが正しく動作することを可能にする。
【0112】
第3のオプションによれば、干渉処理機能A、B及びCを含む中央グローバルマスタエンティティは、干渉処理機能Cをサポートする1つ又は複数の分散グローバルマスタエンティティに干渉処理機能Cを委任することによって、その必要とされるパフォーマンス及び分散グローバルマスタエンティティとの通信オーバーヘッドを低減してもよい。
【0113】
中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、APごとに各EP又はEPのグループに対して許容時間領域を割り当てると、EPごとにスロットスケジュールを決定することができる。干渉処理機能Cに従ってこのスロットスケジューリングを自由に実行できるようにするために、これは、中央で又は分散して実行されることができる。中央アプローチでは、中央グローバルマスタエンティティは、個々のAPでは利用できないかもしれないあらゆる種類の情報を考慮に入れてもよい。中央グローバルマスタエンティティは、例えば、2つのAPのカバレッジエリア内にあるEPが、例えば、これらのAP上の実際のトラフィック負荷に起因して、2つのAPのうちの1つによってより良く従事され得ると判断してもよい。
【0114】
しかしながら、このような集中アプローチは、中央グローバルマスタエンティティに対する非常に大きなパフォーマンス要件及びバックボーンネットワークに対する非常に大きな通信オーバーヘッドをもたらす可能性があり、これは、APに干渉処理機能C(スロットスケジューリング)を実行させることによって緩和されることができる。
【0115】
図11は、一実施形態による干渉処理機能の分散の第2の例を概略的に示している。干渉処理機能A~Cの異なる特性のマーキングは、図10のものと対応しており、ここでは改めて説明されない。
【0116】
図11の最も上部に示されるように、中央グローバルマスタエンティティ(CGM)は、干渉処理機能A(事前予約)、干渉処理機能B(許容領域)及び干渉処理機能C(スロットスケジューリング)を含み、アクティブにしていてもよい。中央グローバルマスタエンティティ(CGM)は、分散管理ユニット(DGM)が干渉処理機能B及びCを含むがアクティブにしておらず、干渉処理機能Aを含まないと(例えば、ネゴシエーションプロセス等を通じて)判断する。
【0117】
初期的に、中央グローバル管理機能は、干渉処理機能A+B+Cを実行してもよい。
【0118】
そのパフォーマンス要件を緩和するため及び/又はバックボーンネットワーク上の通信オーバーヘッドを緩和するために、中央グローバル管理機能は、例えば、図11の中間部に示されるように、対応するネゴシエーションプロセス等によって、干渉処理機能Cを分散グローバル管理機能に委任(DL)し、アクティブにさせてもよい。
【0119】
さらなるステップとして、中央グローバル管理機能はまた、図11の最下部に示されるように、干渉処理機能Bを分散グローバル管理機能に委任し、アクティブにさせてもよい。
【0120】
以下では、干渉処理機能の異なる分散を有する中央及び分散干渉処理エンティティの様々な実施形態が提示される。
【0121】
一実施形態において、中央干渉処理エンティティ(例えば、中央グローバルマスタエンティティ)は、干渉処理機能A及びBを含んでもよく、干渉処理が干渉処理機能Cを含む1つ又は複数の分散干渉処理エンティティ(例えば、分散グローバルマスタエンティティ)と共有される、第2の動作モード(モード1)に(例えば、ネゴシエーション動作に基づくモードセレクタによって)設定されるように構成されてもよい。
【0122】
中央干渉処理エンティティが、APの分散干渉処理エンティティが干渉処理機能Bをサポートしていると(例えば、ネゴシエーション動作に基づいて)判断する場合、中央干渉処理エンティティは、このAPに対する干渉処理機能Bの実行をこのAPに委任し、これと共に第3の動作(モード2)で動作してもよい。この場合、中央干渉処理エンティティ及び分散干渉処理エンティティは、それらの干渉処理機能Bについて同じ制限ルールを適用することが要求される。これは、中央及び分散干渉処理エンティティ間のネゴシエーション動作の一部として達成されることができる。
【0123】
さらなる実施形態において、中央干渉処理エンティティ(例えば、中央グローバルマスタエンティティ)は、干渉処理機能A、B及びCを含んでもよく、干渉処理が中央干渉処理エンティティにおいて完全に集中化される、第1の動作モード(モード0)に(例えば、ネゴシエーション動作に基づくモードセレクタによって)設定されるように構成されてもよい。
【0124】
中央干渉処理エンティティが、APの分散干渉処理エンティティが干渉処理機能Cをサポートしていると(例えば、ネゴシエーション動作に基づいて)判断する場合、中央干渉処理エンティティは、このAPに対する干渉処理機能Cの実行をこのAPに委任し、これと共に第2の動作モード(モード1)で動作してもよい。
【0125】
さらに、中央干渉処理エンティティが、APの分散干渉処理エンティティが干渉処理機能B及びCをサポートしていると(例えば、ネゴシエーション動作に基づいて)判断する場合、中央干渉処理エンティティは、このAPに対する干渉処理機能B及びCの実行をこのAPに委任し、これと共に第3の動作(モード2)で動作してもよい。この場合、中央干渉処理エンティティ及び分散干渉処理エンティティは、それらの干渉処理機能Bについて同じ制限ルールを適用することが要求される。これは、中央及び分散干渉処理エンティティ間のネゴシエーション動作の一部として達成されることができる。
【0126】
さらなる実施形態において、分散干渉処理エンティティ(例えば、AP等の分散グローバルマスタエンティティ)は、第4の動作モード(モード3)に(例えば、ネゴシエーション動作等に基づくモードセレクタによって)設定されてもよく、アクティブにされた干渉処理機能A、B及びCを含んでもよい。この場合、分散干渉処理エンティティは、干渉処理機能Aを達成するためにネイバー分散干渉処理エンティティと協働して第4の動作モードで動作してもよい。
【0127】
分散干渉処理エンティティが干渉処理機能Aを有する中央干渉処理エンティティを検出する場合、分散干渉処理エンティティは、中央干渉処理エンティティが分散干渉処理エンティティに対して干渉処理機能Aを実行する場合、(例えば、ネゴシエーションプロセス等に基づくモードセレクタによって)第3の動作モード(モード2)に設定されてもよい。
【0128】
さらに、分散干渉処理エンティティが干渉処理機能A及びBを有する中央干渉処理エンティティを検出する場合、分散干渉処理エンティティは、中央干渉処理エンティティが分散干渉処理エンティティに対して干渉処理機能A及びBを実行する場合、(例えば、ネゴシエーションプロセス等に基づくモードセレクタによって)第2の動作モード(モード1)に設定されてもよい。
【0129】
干渉を処理するために、グローバル及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、どのAPがネイバーAPとみなされるべきかを決定するためにネイバー検出レポートを受ける。グローバル及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、ある第1のAPに対するネイバーの第2のAPの検出に関するレポートを受ける場合、これら2つのAPをネイバーであると見なす。初期検出の後、グローバル及び/又は分散グローバルマスタエンティティは、この状況が続く限り、この検出に関する定期的な更新レポートを期待する。GMは、これら2つの近隣APに対する更新検出レポートをある時間検出しない場合、もはや2つのAPをネイバーとして見なさなくなる。
【0130】
図12は、一実施形態による中央及び分散干渉処理エンティティをコーディネートするためのシグナリング及び処理シーケンスを概略的に示している。
【0131】
図12のシグナリング及び処理シーケンス(signaling and processing sequence)において、上から下への垂直方向は時間軸に対応し、ゆえに、他のメッセージ又は処理ステップの上に示されるメッセージ又は処理ステップは、より早い時間に発生する。
【0132】
図12の上部に示されるように、処理ステップ及びメッセージは、中央グローバルマスタエンティティ(CGM、例えば、LiFiコントローラ)15及び分散グローバルマスタエンティティ(DGM、例えば、AP)11において、又はこれらの間で発生する。
【0133】
第1の処理及びシグナリングステップ301において、中央グローバルマスタエンティティ15と分散グローバルマスタエンティティ11との間で、ネゴシエーションプロセスにより、それらの干渉処理ケイパビリティに関する情報が交換される。
【0134】
その後、ステップ302において、中央グローバルマスタエンティティ15は、分散グローバルマスタエンティティ11の決定された干渉処理ケイパビリティに基づいて4つの動作モード(モード0、1、2、3)のうちの1つを選択する。
【0135】
その後、ステップ303において、中央グローバルマスタエンティティ15は、選択された動作モードに基づいて少なくとも1つの干渉処理機能を分散グローバルマスタエンティティ11に委任してもよい。しかしながら、代替的に、中央コントローラは、モード0で動作することを決定してもよい。この場合、中央コントローラは、干渉処理機能を委任しない。
【0136】
後続のステップ304a及び304b(ステップ304aは中央グローバルマスタエンティティ15で実行され、ステップ304bは分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)において、干渉処理機能Aは、選択された委任に基づいてアクティブ/非アクティブにされる。
【0137】
さらに、後続のステップ305a及び305b(ステップ305aは中央グローバルマスタエンティティ15で実行され、ステップ305bは分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)において、干渉処理機能Bは、選択された委任に基づいてアクティブ/非アクティブにされる。
【0138】
最後に、後続のステップ306a及び306b(ステップ306aは中央グローバルマスタエンティティ15で実行され、ステップ306bは分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)において、干渉処理機能Cは、選択された委任に基づいてアクティブ/非アクティブにされる。
【0139】
ステップ303における委任は、ネゴシエーションプロセスにおいて分散グローバルマスタエンティティ11に以前に委任された干渉処理機能が戻されることを示す逆委任(inverse delegation)であることもできる。委任は、図12のステップ303に対する矢印が示唆するように、中央グローバルマスタエンティティ15によって開始されてもよいが、分散グローバルマスタエンティティ11によって開始されてもよい。
【0140】
中央グローバルマスタエンティティ15から分散グローバルマスタエンティティ11に干渉処理機能の委任を開始する理由は、中央グローバルマスタエンティティ15の必要とされるパフォーマンスを緩和すること、中央グローバルマスタエンティティ15と分散グローバルマスタエンティティ11との間の通信労力を緩和すること、及び/又はAP(分散グローバルマスタエンティティ11)の中央グローバルマスタエンティティ15への依存を低くすることがあり得る。分散グローバルマスタエンティティ11から中央グローバルマスタエンティティ15に干渉処理機能の(逆)委任を開始する理由は、分散グローバルマスタエンティティ11の必要とされるパフォーマンスを緩和すること、及び/又は干渉処理に関するシステム全体のパフォーマンスを向上させることがあり得る。
【0141】
中央グローバルマスタエンティティ15と分散グローバルマスタエンティティ11との間のネゴシエーションプロセスをサポートする以下のメッセージが使用されることができる。
【0142】
干渉処理ケイパビリティについて、干渉処理ケイパビリティの要求、干渉処理ケイパビリティを示す応答。
【0143】
委任について、他のエンティティによる干渉処理機能を実行する要求、他のエンティティからの要求された干渉処理機能の実行を受け入れる/拒否することを示す応答。図12のステップ303の矢印によって示唆されるように、このような要求は、典型的には、中央グローバルマスタエンティティ15によって開始されるが、分散グローバルマスタエンティティ11によって開始されてもよいことに留意されたい。
【0144】
逆委任について、他のパーティによる干渉処理機能をもはや実行しない要求、他のエンティティからのもはや実行しない要求された干渉処理機能を受け入れる/拒否することを示す応答。図12のステップ303の矢印によって示唆されるように、このような要求は、典型的には、中央グローバルマスタエンティティ15によって開始されるが、分散グローバルマスタエンティティ11によって開始されてもよいことに留意されたい。
【0145】
これにより、総干渉処理ファンクショナリティは、効果的且つ効率的な干渉処理パフォーマンスを提供するために中央及び分散グローバルマスタエンティティの間で分散されることができる。
【0146】
以下に、様々な動作モードに対する干渉処理ファンクショナリティのためのバックボーンネットワーク上の通信を示す。
【0147】
中央及び分散グローバルマスタエンティティペアがモード0(干渉処理機能A、B及びCが中央グローバルマスタエンティティ15で実行される)で動作する場合、APに含まれる分散グローバルマスタエンティティ11は、APに登録されているどのEPがどのネイバーAPを検出したか、及びAPがどのネイバーAPを検出したかを中央グローバルマスタエンティティ15に知らせる。中央グローバルマスタエンティティ15は、MACサイクルの個々のスロットのスケジュールを分散グローバルマスタエンティティ11に提供する。
【0148】
中央及び分散グローバルマスタエンティティペアがモード1(干渉処理機能A及びBが中央グローバルマスタエンティティ15で実行され、干渉処理機能Cが分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)で動作する場合、APに含まれる分散グローバルマスタエンティティ11は、APに登録されているどのEPがどのネイバーAPを検出したか(及びAPがどのネイバーAPを検出したか)を中央グローバルマスタエンティティ15に知らせる。この場合、中央グローバルマスタエンティティ15は、許容時間領域を分散グローバルマスタエンティティ11に提供する。
【0149】
中央及び分散グローバルマスタエンティティペアがモード2(干渉処理機能Aが中央グローバルマスタエンティティ15で実行され、干渉処理機能B及びCが分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)で動作する場合、APに含まれる分散グローバルマスタエンティティ11は、どのネイバーAPがその関連するEPによって検出されているかを中央グローバルマスタエンティティ15に知らせる。分散グローバルマスタエンティティ11は、どのEPがネイバーAPを検出しているかに関する情報を提供する必要がない。なぜなら、分散グローバルマスタエンティティ11は、これらのEPに対して機能Bの第1の制限ルールをローカルに適用し、一方、ネイバーAPに対して、第2の制限ルールをそのすべてのEPに適用し、個々のEPに適用しないからである。この場合、中央グローバルマスタエンティティ15は、分散グローバルマスタエンティティ11に時間チャネル(又は時間スロット)の事前予約と、APのカバレッジエリア内に登録EPを有する各ネイバーAPの情報とを提供する。分散グローバルマスタエンティティ11は、どのネイバーAPがその関連するEPによって検出されているかについて中央グローバルマスタエンティティ15にのみ知らせる代わりに、例えば、ブロードキャスト通信又はマルチキャスト通信を適用することによって、当該情報を提供するに際しネイバーAPの他の分散グローバルマスタエンティティ11も含めてもよい。この場合、中央グローバルマスタエンティティ15は、これらのネイバーAPに関する情報を、ネイバーエンティティの分散グローバルマスタエンティティ11が既に提供している場合(当該情報は、無論、APの識別情報を含んでいるはずである)、提供する必要がない。これは、通信オーバーヘッドを節約することができる。
【0150】
中央及び分散グローバルマスタエンティティペアがモード3(中央グローバルマスタエンティティ15に干渉処理ファンクショナリティはなく、干渉処理機能A、B、Cのすべてが分散グローバルマスタエンティティ11で実行される)で動作する場合、APに含まれる各分散グローバルマスタエンティティ11は、どのネイバーAPがその関連するEPによって検出されているかについて他の分散グローバルマスタエンティティ11に知らせる。分散グローバルマスタエンティティ11は、分散アルゴリズムを実行することによって、例えば、それらの事前予約された時間チャネルを交換することによって、時間チャネル(又は時間スロット)の事前予約を決定し、その後、経時的に反復して改善する。さらに(干渉処理機能Bを実行することにより)(ローカルAPに含まれる)各分散グローバルマスタエンティティ11は、ネイバーAPを検出している(このローカルAPに関連する)EPを、その事前予約された時間チャネルに制限し、ネイバーAPに含まれる分散グローバルマスタエンティティ11がネイバーAPの関連EPがローカルAPのカバレッジエリア内にあることを検出したと知らせた時間チャネルから(このローカルAPに関連する)そのすべてのEPを制限する。この場合、各分散グローバルマスタエンティティ11は、前述したように、個別のスロット割当を実行する。
【0151】
図13は、一実施形態による干渉処理制御ユニットのブロック図を概略的に示している。
【0152】
本発明を理解するのに役立つ、ブロック及び/又は機能のみが図13に示されていることに留意されたい。他のブロック及び/又は機能は、簡潔さの理由から省略されている。
【0153】
干渉処理制御ユニットは、図1の中央グローバルマスタエンティティ15及び/又は分散グローバルマスタエンティティ11(例えば、AP12)に設けられてもよく、EP、例えば、モバイルユーザデバイスに向けた(IR及びUV放射を含む)光通信のための光トランシーバ(TRX)41(すなわち、トランスミッタ(光エミッタ)及びレシーバ(光センサ)の組み合わせ)を含む。
【0154】
さらに、干渉処理制御ユニットは、例えば、上述した第1~第4の動作モード(モード0~3)のいずれかを選択するために、トランシーバ41を介したネゴシエーションプロセスのシグナリングによって制御されることができるモードセレクタファンクショナリティ(MS)42を含む。モードセレクタファンクショナリティ42は、それぞれの干渉処理機能をアクティブにし、設けるために、干渉処理コントローラ(IH-CTRL)43、例えば、ソフトウェア制御される処理ユニットに、選択された動作モードを示す制御情報を供給する。干渉処理コントローラ43の動作は、干渉処理機能A~Cのプログラムルーチン及びパラメータ(例えば、可視性マトリクス及び/又は他のルックアップテーブル)が記憶されるメモリ44を利用する。
【0155】
一例として、モードセレクタファンクショナリティ42は、干渉処理コントローラ43に、例えば、追加のソフトウェアルーチンとして組み込まれてもよい。
【0156】
斯くして、干渉処理コントローラ43は、モードセレクタファンクショナリティ42から受ける制御情報に基づいて、利用可能な干渉処理機能をアクティブ又は非アクティブにする。
【0157】
図14は、一実施形態による干渉処理制御プロシージャのフロー図を示している。図14のステップは、図13の干渉処理コントローラ43、又は中央及び/又は分散グローバルマスタエンティティに設けられる任意の他のコントローラを制御するために用いられるそれぞれのソフトウェアルーチンによって実施されてもよい。
【0158】
第1のステップS501において、構成ネゴシエーション(configuration negotiation)が、干渉処理機能が共有されることが意図される別の干渉処理エンティティと開始される。その後、ステップS502において、ネゴシエーションの結果に基づいて、動作モード(例えば、第1~第4の動作モードのうちの1つ)が選択される。その後、ステップS503において、選択された動作モードに応じて、利用可能な干渉処理機能(例えば、上述した機能A~C)がアクティブ又は非アクティブにされる。最後に、ステップS504において、アクティブにされた干渉処理機能に基づいて、干渉処理動作が開始される。
【0159】
提案される共有干渉処理アプローチは、光ワイヤレスネットワークのケイパビリティ及び/又はインフラストラクチャへの総干渉処理プロセスの適応を可能にする。中央制御が提供されない場合、すべての干渉処理機能は、分散グローバルマスタエンティティ(例えば、AP)に割り当てられてもよい。そうでなければ、中央コントローラが設けられ、APが十分にスマートである場合、ルール評価及びタイムスロットスケジューリングがAPに割り当てられ、これにより中央コントローラにおける通信オーバーヘッドを低減することができる。一方、より複雑でなく、よりコスト効率の良いAPが望まれる場合、より多くの干渉処理作業が中央コントローラに割り当てられることができる。
【0160】
一実施形態において、干渉処理機能A及びBを1つのレベルに組み合わせることによって、干渉処理機能A~Cのレベルの数が減少されてもよい。これは、最初に粗い時間チャネル及び制限ルールを定義する代わりに、EPを個々に直接考慮することに起因して全体的なパフォーマンスを向上させ得、処理能力の必要性の増加にもかかわらず有益であり得る。
【0161】
さらなる実施形態において、システムパフォーマンスを最適化するために、例えば、APによるいくつかのタイプの通信の排他的使用(ゆえに、ネイバーAPによって決して許容されない)のため、各時間チャネル内の予約期間又は予約スロットを定義するために干渉機能A及びBの間に追加のレベルが挿入されてもよい。この場合、干渉処理機能Bによって使用される制限ルールが、適合される(例えば、排他的に予約された期間又はスロットからネイバーAPを常に除外する)必要があり得、及び/又はルールが、事前予約された時間チャネル内の予約された期間又はスロットに適用される必要があり得る。予約された期間/スロットのサイズ/数は、パフォーマンスを最適化するために動的に適合されてもよく、これは、干渉処理機能Bを適用する前の追加の干渉処理機能であってもよい。
【0162】
さらにさらなる実施形態において、干渉処理機能Bは、(事前予約された時間チャネルにAPのEPを制限する)第1の制限ルールを表す第1の干渉処理サブ機能B1及び(事前予約された時間チャネルを除外することによりすべてのEPを制限する)第2の制限ルールを表す第2の干渉処理サブ機能B2に分割されてもよい。この場合、第1の干渉処理サブ機能B1は、分散グローバルマスタエンティティ11によって良好に実行されてもよく(ローカルAPはすでに必要な情報を有している)、第2の干渉処理サブ機能B2は、(必要な情報を有していない)ネイバーAPに対して中央グローバルマスタエンティティ15によって良好に実行されてもよい。
【0163】
さらにさらなる実施形態において、スケジューリング干渉処理機能Cは、各スロットについて、該スロットが干渉EPによって実際に使用されるか否かをチェックすることによって強化されてもよい。分散グローバルマスタエンティティ11は、そのスケジュールに関する情報を中央グローバルマスタエンティティ15に提供してもよく、中央グローバルマスタエンティティ15は、ネイバーAPの関連する分散グローバルマスタエンティティ11に、さもなければこれらのネイバーによって使用されないであろう空きスロット機会について知らせてもよい。
【0164】
要約すると、中央エンティティと分散エンティティとの間のコーディネーションファンクショナリティ(coordination functionality)のパーティショニング(partitioning)をフレキシブルに扱うために複数のレベル及び動作モードが提供される、光ワイヤレス通信システムのための干渉処理方法及びシステムが述べられている。これにより、アクセスポイントのオーバーラップするカバレッジエリア内のデバイスからの干渉レポートに依拠するコーディネーションファンクショナリティは、中央である(central)、又はアクセスポイントに分散される、又は一部が中央で一部が分散されることができる。
【0165】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明されてきたが、そのような例示及び説明は、図的又は例示的であって、限定的なものではないと見なされるべきである。本発明は、開示されたLiFiベースの実施形態に限定されず、干渉処理ファンクショナリティを有するあらゆる種類の光ワイヤレスネットワークに適用されてもよい。
【0166】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。上記の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述している。しかしながら、上記がテキストにどのように詳細に現れようとも、本発明は多くの方法で実施されることができ、したがって、開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。本発明のある特徴又は態様を説明する際のある用語法(terminology)の使用は、用語法が、当該用語法が関連付けられている本発明の特徴又は態様の特定の特性を含むことに制限されるように本明細書において再定義されていることを意味すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0167】
単一のユニット又はデバイスが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0168】
図12及14に示されるもの等の述べられた動作は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段として、及び/又は、レシーバデバイス又はトランシーバデバイスの専用ハードウェアとして実装されることができる。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】