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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】活性層を有する並列流路接触器
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/24 20060101AFI20230619BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B01J19/24 A
B01D53/047
B01J19/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571803
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2021054720
(87)【国際公開番号】W WO2021240476
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/032,020
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518334613
【氏名又は名称】スヴァンテ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】シゼロン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァジ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】レウング,ケヴィン ワイキット
(72)【発明者】
【氏名】リザエイ,サブレエ
(72)【発明者】
【氏名】ホヴィントン,ピエール
【テーマコード(参考)】
4D012
4G075
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012BA04
4D012CA01
4D012CA03
4D012CA05
4D012CA06
4D012CA16
4D012CA20
4D012CB01
4D012CD02
4D012CD07
4D012CD10
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG03
4G075AA03
4G075BB04
4G075BB05
4G075CA01
4G075CA05
4G075CA54
4G075DA02
4G075DA18
4G075EC09
4G075FA08
4G075FA11
4G075FA12
4G075FA14
4G075FB12
(57)【要約】
本技術は、一般に、活性層を有する並列流路接触器およびその使用方法に関する。特に、本技術は、収着剤および/または触媒を含む活性層を有する並列流路接触器、ならびに収着ガス分離および/または触媒反応における使用の方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列流路接触器であって、
互いの上に積層された複数の活性層と;
隣接して積層された2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に前記接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するために、前記複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサと、を備え、
各チャネルが、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって画定され、
前記複数の活性層の各々の間の前記チャネルの前記チャネル長と前記チャネル高との比が100~10,000であり、
前記複数の活性層の間の前記チャネルの前記チャネル幅と前記チャネル高との比が50~10,000あり、
前記複数のスペーサが、各活性層の平面に垂直な方向の前記活性層上のスペーサ突出領域をカバー、各活性層の全表面積の1%~20%のスペーサ・カバー密度を有することができる、並列流路接触器。
【請求項2】
層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値をさらに備え、前記複数のスペーサによって生じる前記スタックのフロー抵抗が、前記スタックの全フロー抵抗の20%以下である、請求項1に記載の接触器。
【請求項3】
上に配置された吸着活性成分の熱容量よりも小さい熱容量を有する基材をさらに備える、請求項1または2に記載の接触器。
【請求項4】
前記チャネル高の10~90倍の範囲内のスペーサ距離をさらに備える、請求項1、2または3に記載の接触器。
【請求項5】
前記複数のスペーサが、前記活性層の平面の領域内で周期的配列に構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項6】
前記複数のスペーサが、異なるサイズまたは形状であり得る、請求項1~5のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項7】
前記複数のスペーサの各々が、2~6のアスペクト比を有する細長い形状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項8】
前記複数の活性層の各々の前記スペーサ突出領域が、前記複数の活性層の他の活性層の前記スペーサ突出領域と少なくとも10%重複する、請求項1~7のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項9】
前記スペーサ・カバー密度が、前記活性層上で複数のスペーサ・カバー密度をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項10】
1つの領域におけるスペーサの前記スペーサ・カバー密度を、異なる領域の前記スペーサ・カバー密度よりも20%~200%高くすることができる、請求項9に記載の接触器。
【請求項11】
前記活性層または前記複数の活性層の平面に実質的に平行な方向に、前記活性層または前記複数の活性層に引張力を加えるための手段をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項12】
前記複数のスペーサの各々が、その上に塗布された接着剤をさらに備えることができる、請求項1~11のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項13】
前記複数の前記活性層が、第2の活性層に隣接する第1の活性層をさらに備え、第1の活性領域が、細長い形状を有する第1の前記複数のスペーサを有し、前記第1の活性層に垂直な方向に第1のスペーサ突出領域を形成し、前記第2の活性領域が、細長い形状を有する第2の前記複数のスペーサを有し、前記第2の活性層に実質的に垂直な方向に第2のスペーサ突出領域を形成し、前記第1のスペーサ突出領域および前記第2のスペーサ突出領域が部分的に重複し、突出領域が重複している前記スペーサの長軸が同一直線上にない、請求項1~12のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項14】
前記複数の活性層が少なくとも20層である、請求項1~13のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項15】
前記複数のチャネルが、1%~15%の範囲のチャネル高の変動係数を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項16】
前記複数のチャネルが2つの異なるチャネル高をさらに含み、前記チャネル高の差が10%~70%の範囲にある、請求項1~15のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項17】
5kPaの荷重が加えられた場合、前記チャネル高が前記チャネル高の96%以上を保持する、請求項1~16のいずれか一項に記載の接触器。
【請求項18】
並列流路接触器であって、
互いの上に積み重ねられた複数の活性層と;
隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に前記スタックを通過させるための複数のチャネルを形成するための、前記複数の活性層の各々の表面に配置される複数のスペーサと、を備え、
各チャネルが、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって画定され、
前記スタックが、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値を有し、前記複数のスペーサによって生じる前記スタックのフロー抵抗が、前記スタックの全フロー抵抗の20%以下である、並列流路接触器。
【請求項19】
前記スタックに配置された吸着活性成分の熱容量よりも小さい熱容量を有する基材をさらに備える、請求項18に記載の接触器。
【請求項20】
5kPaの荷重が加えられた場合、前記スタックの前記チャネル高が前記チャネル高の96%以上を保持する、請求項18または19に記載の接触器。
【請求項21】
多成分ガス流から第1の成分を分離するための収着方法であって、
(a)請求項1~20のいずれか一項記載の前記接触器を用意する工程;
(b)前記多成分ガス流を供給流として前記接触器に流入させる工程;
(c)前記接触器で前記供給流からの前記第1の成分の少なくとも一部を収着する工程;
(d)前記接触器から前記供給流と比較して第2の成分が濃縮された第1の生成物流を回収する工程、および
(e)前記接触器で収着された前記第1の成分の少なくとも一部を脱着する工程を含む、収着方法。
【請求項22】
前記脱着工程が、温度スイング機構、圧力スイング機構、および分圧スイング機構のうちの少なくとも1つによる脱着をさらに含む、請求項21に記載の収着方法。
【請求項23】
前記脱着工程の間に前記第1の成分を脱着するための蒸気流を前記接触器に流入させる工程、および、前記供給流と比較して前記第1の成分が濃縮された第2の生成物流を回収する工程をさらに含む、請求項21または22に記載の収着方法。
【請求項24】
前記第1の成分が二酸化炭素をさらに含み、前記第2の成分が窒素をさらに含む、請求項21、22または23に記載の収着方法。
【請求項25】
流体流から少なくとも第1の成分に触媒作用するための触媒方法であって、
(a)請求項1~20のいずれか一項記載の接触器を用意する工程;
(b)前記第1の成分を有する前記流体流を前記接触器に流入させる工程;
(c)第2の成分を生成する反応を触媒するために前記第1の成分を前記接触器と接触させる工程、および
(d)前記第2の成分を含む第1の生成物流を回収する工程を含む、触媒方法。
【請求項26】
流体流から少なくとも第1の成分に触媒作用するための触媒および収着方法であって、
(a)前記少なくとも1つの活物質が、収着材および触媒材をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項記載の接触器を用意する工程;
(b)少なくとも前記第1の成分を有する前記流体流を前記接触器に流入させる工程;
(c)少なくとも第2の成分を生成する反応を触媒するために、前記第1の成分を前記接触器上に配置された触媒材と接触させる工程;
(d)前記接触器上で、前記第1の成分の少なくとも一部、前記第2の成分の少なくとも一部、および第3の成分の少なくとも一部のうちの少なくとも1つを収着する工程;
(e)前記反応から少なくとも生成物を含む第1の生成物流を回収する工程;
(f)前記第1の成分の少なくとも一部、または前記第3の成分を前記収着材から脱着する工程;
(g)前記第1の成分、前記第2の成分、および前記第3の成分のうちの少なくとも1つを含む第2の生成物流を回収する工程、ならびに、
(h)前記収着材の少なくとも一部を再生する工程を含む、触媒および収着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、一般に、並列流路接触器に関し、より具体的には、収着剤および/または触媒を含む活性層を有する並列流路接触器、ならびに収着ガス分離および/または触媒反応におけるその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸着ガス分離技術を使用して、多成分流体混合物から1つ以上の成分を分離することができる。例示的な用途は、様々な流体、例えば空気流、燃焼ガス流、またはプロセス流などのからの二酸化炭素成分の分離を含むことができ、これらはすべて、大気中に放出される二酸化炭素の量を減少させるため、および/またはさらなる下流プロセスもしくは下流生成物で使用するための二酸化炭素を供給するためである。
【0003】
セパレータ全体の圧力降下または流体抵抗が少ない吸着ガスセパレータを使用することが有利であり得る。いくつかの用途では、1つ以上の流体流、例えば供給ガス流、再生流体流、またはコンディショニング流体流は、低圧、例えば周囲圧力より最大約1バール高い圧力で利用可能であり得る。他の例では、セパレータを通過する流体流のいずれか1つの圧力増加に関連するコストは、高価であるか、または法外に高い場合がある。いくつかの用途では、供給ガス流から希釈成分を凝集または取り除くために、流体と収着剤との間の短い接触時間が望ましい。
【0004】
定置の固体吸着剤を有する吸着ガスセパレータは、典型的には、充填吸着剤層または並列流路接触器で構成される。並列流路接触器は、典型的には、充填吸着剤層と比較して圧力降下が小さく、したがって、流体流供給の圧力が制限されるか、または接触時間が短い(典型的には1秒未満)用途に、より適している。
【0005】
並列流路接触器は、吸着剤支持構造体、例えばモノリスまたは層状支持体の中および/または上に、活性層または複数の活性層またはシートの形態の1つ以上の吸着材を有することができる。
【0006】
モノリスは、典型的にはセラミック材料から作製され、高い熱容量を有し、これは、温度の急激な変動、例えば5分未満の吸着脱着サイクルが望まれる吸着ガス分離プロセスにとって望ましくない場合がある。さらに、モノリスは、典型的には、公差の厳しい金型を通してスラリーを押し出し形成することによって製造され、大量のガスを処理するのに適した大きなモノリスの製造は、困難または高価であり得る。
【0007】
吸着材料の多層活性層または複数の活性層またはシートから作製された構造化収着剤は、いくつかの用途における並列流路接触器として研究されている。初期の例は、並列流フィルタの構造が木炭布と透過性間隔との交互の層からなる、米国特許第4,234,326号に提供されている。急速PSA(圧力スイング吸着)を使用する水素精製のための層状構造化吸着剤のさらなる開発は、米国特許第5,082,473号;6,451,095号;および6,692,626号を含むいくつかの特許に記載されており、そこには、吸着器を層状吸着剤積層体活性層またはシート並列流路接触器構造として構成することによって強化され得る、平衡制御PSAプロセスが記載され、吸着材は、吸着剤活性層または複数の活性層へと形成されており、そのような活性層または複数の活性層に組み込まれる適切な補強材料を含むか、または含まない。これらの構造の動態学的選択性の具体的な利点は、吸着活性層、活性層、またはシートと共に小孔収着剤が使用される、米国特許第7,645,324号に詳細に論じられている。
【0008】
接触器は、互いに積み重ねられるかまたは層にされた複数の支持体で構成され得、支持体間は距離および流路を維持するためのスペーサによって分離されている。低熱容量を有する並列流路接触器を使用することが望ましい高速スイングプロセスの場合、支持体は、低熱容量を有する材料および薄い活性層または活性層またはシートから製造することができる。
【0009】
米国特許第6,406,523号は、高周波操作に適した高表面積並列流路吸着器を開示している。吸着器は、吸着剤を支持するための薄い活性層またはシートの積層を、活性層の各々の間のフローチャネルを確立するためのスペーサと共に含む。吸着剤活性層は、陽極酸化され得る補強材料、例えば、鉱物繊維マトリックス(ガラス繊維マトリックスなど)、金属ワイヤマトリックス(ワイヤメッシュスクリーンなど)、または金属箔(アルミニウム箔など)に結合された吸着材を含む。ガラス繊維マトリックスの例には、織布および不織ガラス繊維スクリムが含まれる。スペーサは、隆起パターンを吸着剤活性シートの各々に印刷もしくはエンボス加工することによって、または形成加工されたスペーサを隣接する対の吸着剤活性層の間に配置することによって提供される。
【0010】
米国特許出願公開第2002/0170436 A1号は、吸着剤積層体、および吸着剤積層体、スペーサを製造するための方法、ならびに吸着剤構造の寸法を開示している。典型的な開示される吸着剤積層体は、約1センチメートル~約1メートルのフローチャネル長さ、50~250ミクロンのチャネル間隙高さ、および活性層の片面または両面に50~300ミクロンの吸着剤コーティング厚を有する。基材に塗布される吸着剤または他の材料(例えば、乾燥剤、触媒など)を加えた厚さは、典型的には、約10マイクロメートル~約500マイクロメートルの範囲である。
【0011】
米国特許出願公開第2002/0170436A1号はまた、約50~約400マイクロメートルの範囲の厚さの吸着剤シート、吸着剤シート厚の約25%~約200%の範囲の、隣接する吸着剤シート間のチャネル高、約10~250マイクロメートルの厚さまたは高さを有するスペーサ、およびミリメートル範囲、例えば約1~10ミリメートルのスペーサ幅または直径を開示している。
【0012】
米国特許出願公開第2004/0118287A1号は、吸着剤シートを含む並列流路接触器構成要素を開示しており、各シートは、200~2500m/cmの範囲のシート表面積対総シート体積比および50~1000マイクロメートルの範囲のシート厚を有する。
【0013】
大量のガス流から、例えば約20体積%未満の希釈成分を分離するための従来の並列流路接触器の使用は、所望の資本コストおよび運転コストよりも高いために制限されてきた。支持構造、シート、または活性層の間の分離を維持するために使用されるスペーサは、並列流路接触器の機械的強度を高めることができるが、接触器全体の圧力降下を増加させることもできる。支持構造または活性層の厚さが増すと、並列流路接触器の機械的強度が増加し得るが、接触器の熱容量および体積が不適当に増加する可能性がある。
【0014】
大規模な接触器の大量製造を可能にしながら、圧力降下が小さく、熱容量が小さく、機械的強度が高い新規な並列流路接触器が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,234,326号
【特許文献2】米国特許第5,082,473号
【特許文献3】米国特許第6,451,095号
【特許文献4】米国特許第6,692,626号
【特許文献5】米国特許第7,645,324号
【特許文献6】米国特許第6,406,523号
【特許文献7】米国特許出願公開第2002/0170436A1号
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0118287A1号
【発明の概要】
【0016】
積層並列流路接触器構造体の実施形態は、上に収着剤を有し、互いの上に積層された複数の活性層を備えることができ、複数の活性層の各々はスペーサによって分離されている。
【0017】
広範の実施形態では、並列流路接触器は、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するための、複数の活性層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備える。実施形態では、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高を画定し、前記複数の活性層の各々の間のチャネル長とチャネル高との比は、100~10,000であり、前記複数の活性層の各々の間のチャネル幅とチャネル高との比は、50~10,000である。
【0018】
他の広範な実施形態では、並列流路接触器で使用するためのスタックは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と;
隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するための、複数の層の各々の表面に配置される複数のスペーサと、を備え、
各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって画定され、
前記スタックは、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値を有し、前記複数のスペーサによって生じる前記スタックのフロー抵抗は、前記スタックの全フロー抵抗の20%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明の一実施形態の側面斜視図であり、活性層の上面に配置された円筒状スペーサの配列を有する活性層を示す。
図1b】本発明の一実施形態の側面図であり、図1aによる複数の活性層および複数の活性層の各々の間のスペーサの整列を示す。
図2】本発明の一実施形態の斜視図であり、複数の活性層および複数のチャネルを有するスタックを示す。
図3】本発明の一実施形態の斜視図であり、互いに分離されて高いチャネルおよび低いチャネルを画定する活性層のスタックを示す。
図4a】本発明の一実施形態の上面図であり、長方形形状のスペーサを有する活性層を示す。
図4b】(図4aによる)長方形形状のスペーサを有する第1の活性層、および第1の活性層のスペーサの上に重ね合わされた第2の活性層のスペーサの上面図である。
図4c】本発明の一実施形態の斜視図であり、図4bによる活性層およびスペーサを示す。
図5a】本発明の一実施形態の写真であり、吸着剤シート上に印刷された円形またはドットの輪郭または形状を有するスペーサを有する活性層を示す。
図5b】本発明の一実施形態の写真であり、複数の吸着剤シートおよび吸着剤シート上に印刷されたスペーサを示す。
図6a】本発明の一実施形態の写真であり、吸着剤シート上に印刷され、長方形形状であるスペーサを有する活性層を示す。
図6b】複数の吸着剤シートまたは活性層を示す本発明の一実施形態の写真であり、吸着剤シートの各々が、吸着剤シート上に印刷され、長方形形状であるスペーサを有している。
図7】1メートルのチャネル長を有する本発明の一実施形態にわたって測定された、圧力降下のプロットを示すグラフである。
図8】スタックの活性層の平面に垂直な方向に加えられた圧縮圧でのチャネル高の減少のプロットを示すグラフである。
図9】本発明の一実施形態のプロセスフロー図であり、実施形態のスタックおよび並列流路接触器を使用する、多成分ガス流から第1の成分を分離するための収着ガス分離プロセスを示す。
図10】本発明の一実施形態のプロセスフロー図であり、実施形態のスタックおよび並列流路接触器を使用する、流体流からの少なくとも第1の成分の触媒作用のための触媒的収着プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義:
基材:1つ以上の活性化合物、例えば、収着剤、吸着剤、吸収剤および触媒を担持するための材料。基材は、シートの形態をとってもよい。
活性層または固体層:特定の分子または原子またはイオンに対して化学的親和性を有する多孔質材を含む、多孔質材の薄いスレート、層もしくはシート、または複合積層体。実施形態では、活性層は、吸着剤層、不均一触媒層、または吸着および不均一触媒作用機能層の組み合わせの代わりに使用することができる。
シートまたは積層体:1mm未満の厚さを有する活性層。実施形態では、シートは、吸着剤シート、不均一触媒シート、または吸着および不均一機能シートの組み合わせとして使用することができる。
活性スタック:各活性層の間にある複数のスペーサによって分離された複数の活性層。実施形態では、スペーサは、活性層の平面に沿った少なくとも一部分に配置することができる。実施形態では、活性スタックは、吸着剤スタック、不均一触媒作用スタック、または吸着および不均一触媒作用機能スタックの組み合わせの代わりに使用することができる。
活性接触器:流体を通過させて活性層に接触させるための互いに結合された1つ以上の活性スタック。
吸着剤モジュールまたはモジュール:入口から出口への方向以外の方向のプロセス流体のフローを制限するための、充填物を有する活性接触器。実施形態では、吸着剤モジュールは、反応器または吸着容器に組み込むためのコネクタまたは取り付け機構の設置を可能にし、場合によっては接触器用の機械的支持体および耐圧エンベロープを提供する。実施形態では、モジュールは、その上に吸着剤および/または触媒のいずれかまたは両方を有してもよい。
活性要素:活性層の平面に沿った少なくとも一部分上の複数のスペーサによって分離された複数の活性層であり、そこで活性層が複数のチャネルを画定し、チャネルは、同じまたは異なるチャネル高を有し得る。実施形態では、1つ以上の活性要素を組み合わせて、活性スタックを形成するように構成することができる。
スペーサ:スタックまたは接触器に機械的支持を提供するために、活性層の間に配置されたミリメートルスケールの目立たない固体。
熱容量:構成要素、例えば接触器の物理的部分の温度を特定の温度上昇させるのに必要なエネルギー量の、エネルギーを加える前後の比。
チャネル:1つまたは複数のプロセス流が通過する、接触器内の流路または空隙。
チャネル高:活性層の最も近い湿潤表面から測定された活性層間の垂直距離。
チャネル長:チャネルの入口端と出口端との間の距離。
チャネル幅:フローバリア、例えば、意図されたプロセスのフロー方向に垂直の方向かつ活性層と同一平面にある接触器用のハウジング間の距離。
配置される:材料の表面上または材料内に置かれる。
浸透率:単位長さ(またはβ)当たりの流体速度および圧力水頭損失によるによる動粘度の比。
【数1】
層流:流体粒子が、渦がなく、層状に滑らかな経路をほぼたどる流れ。
入口:構造体の接触器の入口(スタック入口面とも呼ばれる)、または使用時にプロセス流体が流入する面の直近。
出口:構造体の接触器の出口(スタック出口面とも呼ばれる)、または使用時にプロセス流体が存在する面の直近。
側面:構造体の接触器の側面(スタック面とも呼ばれる)、または面に出入りするフローがない面の直近。
中間部:構造化接触器の、入口、出口または側面の直近にはない任意の領域。
領域:活性層の全面積の少なくとも10%の連続した領域。
「収着剤」、「吸着剤」および「吸収剤」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
「収着性」、「吸着性」および「吸収性」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
「触媒」および「不均一触媒」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。
【0021】
<全体的なジオメトリ>
一般に、当業者は、吸着性接触器を、その構造を説明するための2つの記述子:1)チャネル長(供給物入口から生成物出口まで)のチャネル高に対する比;および2)チャネル幅のチャネル高に対する比、を使用して説明することが多い。
【0022】
チャネル高に対するチャネル長の定義は、例えば活性成分の利用を最大化しながら、流体源から分離した標的分子または原子の高回収または変換を可能にする等の実用的な考察によってなされる。
【0023】
さらに、短いチャネルを有し、入口表面の面積が大きい接触器のジオメトリは、標準的な配管に接続するために大きな分配器および収集器容積を有する容器を必要とする。これは、特に急速サイクル分離吸着用途では望ましくない。
【0024】
多チャネル接触器のほとんどの物理的実現は、コルゲーションまたは押出成形によって形成されるため、当技術分野で知られている接触器設計におけるチャネル幅の対チャネル高比は、通常50よりも大幅に小さい。
【0025】
図1aおよび1bを参照すると、実施形態では、吸着剤接触器の構造体は、一般に、並列して互いの上に積み重ねられた複数の活性層101を備える。活性層または吸着シートの各々は、複数のスペーサ102によって互いに分離されており、各活性層101の間の複数のスペーサ102は、吸着シート101の各々の間に流体通路またはチャネルを画定または形成する。活性層101または吸着シートまたは積層体の各々は、固体活性層101またはシートの間の開放空間と共に周期的に配置することができる。
【0026】
より具体的には、図1aおよび図1bは、活性層101の上面にスペーサ102の配列または複数を有する活性層101の例を示す。図1bに示すように、3つの活性層101、101、101のセットを活性スタックに組み立てることができる。示されるように、実施形態では、活性層101の各々の間の複数のスペーサ102を特定の空間的関係で配置することができ、その結果、複数のスペーサ102が互いの上に垂直に配置されるように配向される。他の実施形態では、複数のスペーサ101は、図1bに記載または図示されているもの以外の別の空間的配置であってもよい。
【0027】
図2を参照すると、本発明の実施形態は、チャネル高204よりも少なくとも100倍大きいチャネル長202を有する接触器200を有することができ、チャネル高204よりも少なくとも50倍大きいチャネル幅203を有することができる。したがって、これは、チャネル高に対するチャネル長の比が100~15,000の範囲であり、チャネル高に対するチャネル幅の比が50~10,000の範囲にある本発明の実施形態に等しい。本出願人らは、好ましい実施形態では、チャネル高に対するチャネル長の比が100~10,000の範囲内であり、チャネル高に対するチャネル幅の比が50~7,000の範囲内であることに留意する。
【0028】
より具体的には、図2は、活性要素、接触器、またはスタック200を示し、複数の活性層201が互いの上に積層または配置されている。各活性層201は、隣接する活性層201と共に、それらの間にフローチャネル206を画定または形成する。示されるように、複数のフローチャネル206は、接触器200において複数の活性層201によって形成される。
【0029】
プロセス流体のフロー方向205に対して、チャネル長202は、活性層201の入口面と出口面との間の距離または入口端と出口端との間の距離として定義することができる。図示のように、チャネル長202は、活性層の長さ全体であってもよい。
【0030】
チャネル幅203は、フロー方向205に対して実質的に垂直な方向に定義することができる。チャネル幅は、活性層201の端から端まで活性層201と同一平面であり得る。図示のように、かつ実施形態において、チャネル幅203が活性層201の幅と同程度であるのは、流体の移動、通過して流れるプロセス流体の成分の拡散、または圧力平衡が垂直方向に限定されないからである。
【0031】
チャネル高204は、活性層の平面に垂直な縦方向に隣接する活性層の隣接する湿潤表面間で測定された距離として定義することができる。これらの数量の特定の比率を使用して、入口面および出口面間の圧力降下が小さい、高表面積を有するスタックまたは接触器の望ましいジオメトリを説明することができる。
【0032】
本明細書に開示されるスペーサ102は、目立たないミリメートル規模の固体物体であり得、支持活性層またはシートの平面に平行な方向に重心から重心まで測定される少なくとも10チャネル高の距離によって分離され、周期的に配置される。実施形態では、重心から重心まで測定される各スペーサ間のスペーサ距離は、チャネル高の10~90倍の範囲内とすることができる。接触器200は、接触器200の少なくともいくつかの部分に対して周期的配列で配置された、粗い周期性のスペーサ分布を有することができる。
【0033】
上に開示したように、従来の吸着接触器は、活性層の各々の間にスペーサを有する並列活性層を備える。本発明の実施形態は、スペーサに依存し、結果として、各活性層の間のチャネルの容積の92%超が開放され、流体を流して通過させるために利用できる。
【0034】
図2に戻って参照すると、実施形態では、チャネル高204は、0.1 mm~2.0 mmの範囲内とすることができる。
【0035】
実施形態では、構造体の収着剤スタック全体に対するチャネル体積の割合は、15%~70%の範囲である。
【0036】
いくつかの実施形態において、湿潤活性層またはシート(各活性層またはシートの両側)の体積比に対する表面積は、1000m/m~8000m/mの範囲であってもよい。
【0037】
実施形態では、吸着剤活性層またはシートスタック長は、50mm~2000mm(フロー長)の範囲であり得る。
【0038】
図5aおよび図5bに示すように、吸着剤シートまたは活性層は、その上に印刷された複数のスペーサを有することができる。特に図5bを参照すると、スタックは、互いの上に積み重ねられた複数の吸着剤シートを、各活性層を互いから分離し、隣接して積み重ねられた活性層の間に流体が流れることを可能にするチャネルを形成する、複数のスペーサと共に備えることができる。
【0039】
示されているように、図5aおよび図5bに示す複数のスペーサは、ドット形状または輪郭を有することができ、約18mmのスペーサ距離によって互いから分離することができる。活性層は、図5aおよび図5bに示すように、約0.4mmの厚さを有する。スタック端から見えるドットの垂直方向の列によって示されるような垂直方向のインデックス付けを維持しながら、数百枚の吸着剤シートを積み重ねることができる。
【0040】
実施形態では、接触器、スタックまたは活性層は、重力ベクトルに対して任意の方向に配向することができる。しかしながら、実施形態では、活性層または複数の活性層またはシートとの垂直同一平面方向が、ガス分離用途における液体凝縮物のより容易な排出を可能にするために望ましい。
【0041】
<吸着剤活性層特性>
実施形態では、各吸着剤活性層は、繊維、結合剤および活性吸着剤固形物で作られる複合活性層であり得る。これらの活性層は、任意の補強結合剤または繊維の有無にかかわらず、多孔質ポリマーから作製することもできる。実施形態では、そのような実施形態の特徴は、少なくとも80重量%の吸着固体成分を有することである。
【0042】
吸着または脱着中の温度の大きなスイング(少なくとも10°C)を有する熱スイング吸着プロセスまたは分圧スイング吸着プロセスの文脈で使用される収着剤接触器は、1つまたは複数の活性成分、例えば吸着剤および/または触媒を有することができ、ここで、1つまたは複数の活性成分の熱容量は基材の熱容量よりも大きい。
【0043】
いくつかの実施形態において、本発明の吸着剤は、吸着活性成分に関連する熱容量、または活性成分と基材とを合わせた熱容量の75%を超える熱容量を有することができる。基材の熱容量および/または接触器の全体的な熱容量がその活性成分の付加に関連して減少すると、接触器内で行われる吸熱または発熱プロセスに対する迅速な熱応答が可能になる。
【0044】
実施形態では、本発明の接触器構造体は、活性成分に関連する熱容量、または活性成分、基材およびスペーサ要素の組み合わせ熱容量の75%を超える熱容量を有することができる。基材の熱容量および/または接触器の全体的な熱容量がその活性成分の充填に関連して減少すると、接触器内で行われる吸熱または発熱プロセスに対する迅速な熱応答が可能になる。
【0045】
実施形態では、活性層は、操作および処理されるのに十分に強力であり得る。スラリーを含浸させた多孔質基材は、オーブン内で加熱し、レシービングロール上で圧延し、回転スクリーン印刷ツールに移し、スペーサドットまたは線で印刷し、切断して積層することができる。一実施形態では、活性層は、多孔質ウェブまたはシートに、吸着材の液体またはスラリーに懸濁した吸着材を含浸させることによって製造することができる。余分なスラリーは既知の方法によって除去することができ、含浸されたシートは従来の手段を使用して乾燥させることができる。次いで、乾燥した各シートは、その上に印刷、堆積、または他の方法で配置された複数のスペーサを有することができる。いくつかの実施形態において、ステンシルを使用することができ、熱またはUV処理によって硬化され得るスペーサインクを乾燥したシートに塗布して、活性層を形成する。印刷されたスペーサが硬化した後、活性層は、サイズに合わせて切断され、次いで、互いの上に垂直に積み重ねられ、各活性層のスペーサの垂直方向の整列を得るためにインデックス付けされる。実施形態では、ステンシルは、ドットもしくは円形形状、または長方形もしくは細長い形状である、印刷されたスペーサの形状を提供することができる。
【0046】
得られる活性層の引張強度は、1N/mm超、より好ましくは2N/mm、さらにまたはより好ましくは4N/mmであり得る。
【0047】
実施形態では、吸着剤活性層またはシートの厚さは、100マイクロメートル~1000マイクロメートルの範囲で変動し得る。
【0048】
[フロー抵抗特性]
いくつかの実施形態では、本発明の構造化吸着剤の浸透率は、層流に相当するかまたは1,000未満のレイノルズ数を有する流れについて、2,000~40,000ダルシーの範囲であり得る。
【数2】
レイノルズ数[粘度、密度、空塔速度、等価直径、空隙率の関数]。
【数3】
浸透率[粘度、容積測定フロー、フロー面積、流路の長さ、圧力損失の関数]
【0049】
構造体のスペーサの高は、上記の特定の範囲の高い浸透率を達成するために吸着に要求される速度論に基づいて、活性層またはシートの厚さが固定された後に選択することができる。いくつかの実施形態において、スペーサの濡れ面積が小さいことの利点は、これらのスペーサの表面の粘性フロー抵抗に関連する接触器の全フロー抵抗の20%未満、または好ましくは10%未満を引き起こすことである。
【0050】
<少ない圧力降下および機械的強度のためのスペーサ印刷および積み重ねの空間関係設計>
実施形態では、上に含浸または配置された吸着剤固体または液体成分を有する活性層を、活性層のスタックに組み立てることができる。複数の活性層の積み重ねにより、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間に複数のガスフローチャネルが形成され、これは、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間に複数のスペーサの周期的配列を配置または設置することによって維持することができる。複数のスペーサは、各活性層の片側(または上面)の少なくとも一部に配置または印刷することができる。実施形態では、スペーサ突出面積またはスペーサによって覆われた活性層の上面の面積は、活性層の上面の平坦な表面積の約1%~約20%、または好ましくは約1%~約10%であり得る。
【0051】
さらに、複数のスペーサの配列を活性層から隣接して積み重ねられた活性層に実質的に整列させ得るように、活性層またはシートを積み重ねることができる。このような配置により、接触器は、活性層に垂直に加えられる機械的負荷を接触器またはスタックの全体を通して転送することができ、スタックに圧力が加えられた場合に、隣接して積み重ねられた活性層の間に形成されるフローチャネルのいずれかの部分的な崩壊を回避することができる。
【0052】
一実施形態では、吸着剤活性層に対して垂直方向のスタックの機械的剛性は、隣接する活性層スペーサ輪郭を活性層またはシートに垂直な方向に突出させた場合に、各活性層のスペーサ突出領域の少なくとも10%、好ましくは30%、より好ましくは50%を重複させることによって得ることができる。
【0053】
他の実施形態では、異なるサイズおよび形状のスペーサを組み合わせて使用して、活性層間の間隔の制御およびスタックの圧縮負荷耐性の両方を提供することができる。圧縮負荷を支持するより大きなサイズのスペーサが、その突出の、活性層またはシートに垂直な軸で重複する割合が十分に大きい限り、より小さいサイズのスペーサは、1つの活性層から別の活性層まで正確に一直線である必要はない。
【0054】
他の実施形態では、積層の前にスペーサの上および/または場合により底部に接着剤を塗布して、スタックの機械的剛性およびあらゆる方向の変形に対する耐性をさらに高めることができる。これにより、スタックの機械的剛性およびスタックの変形に対する耐性がさらに向上する。さらなる実施形態では、機械的剛性および変形に対する耐性を高めるために、複数のスペーサの20%超に接着剤を塗布することができる。
【0055】
一実施形態では、図4a~図4cを参照すると、細長いスペーサは、互いにまたがって重複する部分を、応力伝達面の両側の重複しない部分と共に有することができる(活性層またはシートに対して接線方向に重複する突出)そのような実施形態では、細長いスペーサの長軸を、好ましくは薄い吸着剤活性層またはシートを介して機械的または物理的に接触してスペーサ間で直交するように、異なる方向に配向させ、または向けることができる。
【0056】
好ましくは、異なって配向されたスペーサは、1つの周期的パターンで配置、印刷、または堆積することができ、活性層から活性層またはシートへのオフセットを使用して、スタックを構築するための単一のパターンの使用を可能にする。
【0057】
図4aに示すように、活性層401は、その上に堆積または印刷された細長いまたは長方形の形状のスペーサ402を有することができる。図4bを参照すると、異なる方向に配向されたスペーサ403を有する後続の活性層401を、図4aに示すスペーサ401上に配置することができる。出願人は、理解および参照を容易にするために、後続の活性層401を意図的に省略して、図4aに示すスペーサ402および後続の活性層403のスペーサの重複領域をより見やすくしたことを注記する。
【0058】
より具体的には、図4bおよび4cに示すように、活性層401ならびにスペーサ402およびスペーサ403の2つの周期的配列は、各機械的接触点にまたがる非重複領域と共に有意な重複領域を有する。図4cは、異なる向きのスペーサ間の空間的関係を示すために回転された活性層401、スペーサ402およびスペーサ403の斜視図を提供する。長方形形状のスペーサの、活性層に平行な平面内で画定されるそれらの長さ(または長軸)と幅とのアスペクト比は、好ましくは2~6であり得る。
【0059】
示されるように、図6aおよび図6b参照すると、活性層は、活性層上に印刷され、長方形または細長い形状である複数のスペーサを有することができる。そのような実施形態では、スペーサは、熱硬化されるシリカ充填エポキシ樹脂で作製することができる。より具体的には、図6bに示すように、スタックは、活性層を積み重ねた後に約1mm間隔でチャネルを有することができる。出願人は、長方形の形状を有するスペーサが、円筒形状を有するスペーサよりもシートの積み重ねの位置決め誤差に対する許容性が高いことを注記する。
【0060】
このような配置の利点は、スタックに対して活性層またはシート面に直交する方向に圧力が加えられると、インターロック機能を生成することによって、活性層が互いに対してシフトする可能性を最小限に抑えることを含むことができる。
【0061】
実施形態では、活性層の均一な周期的配置を使用した吸着剤活性層の単純な積み重ねは、チャネル高の分布が1%~15%の範囲の変動係数(標準偏差/平均値)を有する接触器を提供する。この分布は、スタック内の流体のフロー分布、および高回収用途に重要であり得る吸着工程の終了時の平均吸着剤飽和に影響を与える。捕捉効率目標が90%を超える吸着分離用途の場合、この特徴は設計要件となり得る。
【0062】
複数のスペーサの各々のスペーサの表面スペーサ・カバー密度は、様々なゾーンに均一に分布させるか、または異なるように設定することができる。
【0063】
実施形態では、印刷されたスペーサの領域は、活性層の別の領域と比較して異なるカバレッジ密度を有することができる。一実施形態では、スペーサ・カバー密度は、スタックのガス入口、出口または側面の近く、例えばフローの方向の層の長さの最初と最後の10%で、スタックの中間部のカバレッジ密度よりも20%~200%高くすることができる。
【0064】
極端なケースでは、隣接して積層された活性層間の間隔を維持する他の方法を調節するようにも適合されていれば、同一の活性層上でスペーサのない領域を、スペーサを有する領域と組み合わせることができる。一実施形態では、そのような調節の1つは、支持されていないスタック(または各活性層)の曲げを防止するために、スタックの平面内で少なくとも1つの方向、例えばスタック(または各活性層)の平面に実質的に平行な方向で、スタック(または各活性層)に引張荷重または力を加えることであり得る。この戦略は、個々の活性層上のフレームプレート交換器に使用することができる。実施形態では、張力下でスタックをフレーミングし、配置することを含む、活性層の端付近のチャネルジオメトリを設定するためのスペーサの組み合わせは、構造化吸着剤接触器に使用される現在の技術よりも有利な構造体の接触器層の組み合わせである。例えば、実質的に活性層の平面に沿った方向の引張荷重下に活性層を置きながら、所望の剛性を有する材料、例えば金属またはプラスチックから作られたフレームまたはハウジングを、活性層または活性層のスタックの周囲に沿って取り付けることができる。
【0065】
フレーミングの使用とスタックの張力下への配置とを組み合わせると、特定の領域で受ける応力に応じて吸着層の機械的特性を微調整することができる。自立している、または張力下にないスタックの入口、出口、および端は、不均一なガス速度分布によって、活性層の中間部よりも亀裂を発生させる可能性が高い。スタックをフレーミングし、スタックを張力下に配置することにより、チャネル全体のガス速度分布がより均一になるため、各活性層の周囲または周辺縁の亀裂が発生しにくくなる。
【0066】
商業用途では、少なくとも20枚の活性層を、隣接して積層された活性層上に制御されて配置された複数のスペーサと共に積層して、スタックを形成することができる。組み立てられたスタックを切断し、さらに互いの上に積み重ねて、少なくとも1つの吸着剤および/または触媒を有する種々の形状のモジュールを形成することができる。少なくとも吸着剤および/または触媒を有するモジュールでは、完全な組み立て品におけるチャネルのわずかな部分のみがスタックの不規則性を呈するので、スタック間の複数のスペーサの相対的な位置決めを制御する必要はない。
【0067】
<複合積層およびマルチスタック配置>
実施形態では、吸着剤活性層の最も単純な積層は、上述のように一定のチャネル高を使用して、活性層または複数の活性層またはシートの均一な周期的配置を使用することである。しかしながら、接触器を通過する流体フローの予測可能な分布と共に周期的な設計の維持を考慮して、他の戦略を使用することができる。
【0068】
実施形態では、隣接して積層された活性層の間の2つの異なるチャネル高が使用され、周期的に繰り返され得る。そのような実施形態では、大きいほうのチャネル高のチャネルがプロセスフローの大部分(狭いチャネル内のフローの2~50倍)を駆動することができ、一方、小さいほうのチャネル高のチャネルを使用して、収着剤の充填の均一性および標的吸着質の吸着/脱着速度論を改善することができる。
【0069】
図3を参照すると、スタックは、2つの異なるチャネル高を画定する隣接して積層された活性層を有することができる。示されるように、活性層301は、交互の対が2つの異なるチャネル高302,303をもたらすように、対で配置することができる。示されるように、一実施形態では、隣接して積層された2つの活性層を結合して、チャネル高303を有する活性層の対を画定することができ、隣接して積層された活性層の2つの対をチャネル高302よって分離することができる。示されるように、チャネル高302をチャネル高303よりも大きくすることができる。
【0070】
2つの異なる活性層または複数の活性層またはシートのこの周期的な積層の利点は、一定の層空隙率での浸透率を維持しながら、または浸透率を増加させながら、層の全体的な空隙率を常に減少させることである。一実施形態では、低いチャネル高は、高いチャネル高の10%~70%の範囲内にある。表1は、面速度2m/sでの一定の層空隙率についての圧力降下の利点を示している。
【0071】
表1は、反復要素を備えるスタックにわたる相対的な圧力降下の計算された推定値および比較を示し、要素は、チャネルAおよびチャネルBを有し、実施例セット1または実施例セット2のいずれも同じまたは一定の空隙率を有し、同じまたは様々なチャネル高を有するように構成される。圧力降下の減少は、スタックを通過する流量または2m/sの面速度、および厚さ0.254mmの活性層を有するスタックについて計算された。
【表1】
【0072】
図5bに示すスタックの圧力降下特性の試験は、スタックの長手方向軸に沿ってスタックを通過するガスの流れをガイドするために、スタックの一部をケースに入れるか、または4つの側面に枠組みした後に行われた。ガス流量は、質量流量計によって記録され、空塔速度に変換され、圧力変換器によって記録された測定された圧力降下に対して作表された。得られたデータを図7にプロット703として示す。このスタックについて計算されたダルシー浸透率は、約10,400である。
【0073】
図7を参照すると、全体、またはスタックの入口と出口との間で測定された圧力降下のプロット703が示されている。グラフのy軸701は、キロパスカル(kPa)単位の圧力降下を測定し、グラフのx軸702は、スタックのチャネルを流れて通過する窒素流の空塔速度をメートル/秒単位で測定する。スタックは、約1mのチャネル長および積み重ねられた活性層を備え、活性層は、その平面に沿って約2%の面積で突出させた円筒状スペーサを有する。圧力降下の測定は、周囲温度で窒素を流し、窒素の空塔速度で圧力をかけながら行った。スタックは、高さ約0.5mmで、60%のチャネル空隙率であるチャネルをさらに備える。
【0074】
特に図8を参照すると、スタックに加えられた圧縮圧でのチャネル高の減少のプロットが示されている。グラフのy軸801は、スタックの活性層の平面に垂直に加えられる、キロパスカル(kPa)単位の圧縮圧を測定する。グラフのx軸802は、チャネル高の減少の割合を測定する。20枚の活性層と、活性層上に印刷され、活性層の平面に垂直な方向に整列したスペーサとを備えるスタックを使用した。15kPa~6kPaの力を500サイクルで加えて、プロットを決定した。プロット803およびプロット804は、最大3%のチャネル高さ減少の弾性変形範囲におけるチャネルの変形を示す。変位対力プロットのプロット803およびプロット804間の差は、いくらかのヒステリシス(遅延または遅滞)が観察されるような移動の方向から生じる。
【0075】
<吸着剤スタックの機械的特性>
実施形態では、構造体の収着剤のチャネル高は、スタックに垂直に加えられた5kPaの荷重下で、その値の96%以上を保持する。
【0076】
第1の広範の実施形態では、並列流路接触器は、互いに積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するための、前記複数の層の各々の表面に配置または堆積された複数のスペーサとを備える。各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって画定することができ、前記複数の前記活性層の各々の間の前記チャネル流体通路の前記チャネル長と前記チャネル高との比は、100~10,000であり、前記複数の前記活性層の間の各前記チャネル流体通路の前記チャネル幅と前記チャネル高との比は、50~10,000であり、各活性層の平面に垂直な方向の各活性層のスペーサ突出領域は、各活性層の全表面積の1%~20%である。
【0077】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値をさらに備えることができ、前記複数のスペーサによって生じる前記スタックのフロー抵抗は、前記スタックの全フロー抵抗の20%以下である。
【0078】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、上に含浸または配置された吸着活性成分の熱容量よりも小さい熱容量を有する基材を有することができる。
【0079】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、前記チャネル高の10~90倍の範囲内のスペーサ距離をさらに備えることができる。
【0080】
他の実施形態では、第1の実施形態の複数のスペーサは、前記活性層の平面の領域内で周期的配列に構成することができる。
【0081】
他の実施形態では、第1の実施形態の複数のスペーサは、第1のサイズおよび第1の形状を有する第1のスペーサと、第2のサイズおよび第2の形状を有する第2のスペーサとを備えることができ、前記第1のサイズが前記第2のサイズとは異なること、および前記第1の形状が前記第2の形状とは異なること、のうち少なくとも1つである。
【0082】
他の実施形態では、前記第1の実施形態の複数のスペーサの各々は、2~6のアスペクト比を有する細長い形状であり得る。
【0083】
他の実施形態では、第1の実施形態の活性層のスペーサ突出領域は、複数の活性層のうちの別の活性層の前記スペーサ突出領域と少なくとも10%重複することができる。
【0084】
他の実施形態では、複数のスペーサは、あるスペーサ・カバー密度を有する前記複数のスペーサの各々の表面上に配置または堆積させることができる。一実施形態では、1つの領域におけるスペーサのスペーサ・カバー密度を、別の領域のスペーサ・カバー密度よりも20%~200%高くすることができる。
【0085】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、前記活性層または前記複数の活性層の平面に実質的に平行な方向に、前記活性層または前記複数の活性層に引張力を加えるための手段をさらに備えることができる。
【0086】
他の実施形態では、第1の実施形態の複数のスペーサの各々は、その上に塗布された接着剤をさらに備えることができる。
【0087】
他の実施形態では、第1の実施形態の前記複数の活性層は、第2の活性層に隣接する第1の活性層をさらに備えることができ、第1の活性領域は、細長い形状を有する第1の前記複数のスペーサを有し、前記第1の活性層に垂直な方向に第1のスペーサ突出領域を形成し、前記第2の活性領域は、細長い形状を有する第2の前記複数のスペーサを有し、前記第2の活性層に実質的に垂直な方向に第2のスペーサ突出領域を形成し、前記第1のスペーサ突出領域および前記第2のスペーサ突出領域は部分的に重複し、突出領域が重複しているスペーサの長軸は同一直線上にない。
【0088】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、少なくとも20枚の活性層を備える。
【0089】
他の実施形態では、第1の実施形態のチャネルは、1%~15%の範囲のチャネル高変動係数を有する。
【0090】
他の実施形態では、第1の実施形態の複数のチャネルは、2つの異なるチャネル高をさらに備え、チャネル高の差は10%~70%の範囲内にある。
【0091】
他の実施形態では、第1の実施形態の接触器は、5kPaの荷重が加えられた場合、そのチャネル高の96%以上を保持することができる。
【0092】
第2の広範の実施形態では、並列流路接触器で使用するためのスタックは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、スタックを通して流体が流れることを可能にするための複数のチャネルを形成するために隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成するための、複数の層の各々の表面に配置または堆積された複数のスペーサとを、備える。実施形態では、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって画定され得、前記スタックは、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値を有し、前記複数のスペーサによって生じる前記スタックのフロー抵抗は、前記スタックの全フロー抵抗の20%以下である。
【0093】
他の実施形態では、第2の実施形態のスタックは、前記スタック内および/または上に配置された吸着活性成分の熱容量よりも小さい熱容量を有することができる。
【0094】
他の実施形態では、第2の実施形態のスタックのチャネル高は、5kPaの荷重が加えられた場合、そのチャネル高の96%以上を保持することができる。
【0095】
<活性層を有する並列流路接触器を使用する収着ガス分離プロセス>
実施形態では、本発明の接触器は、多成分ガス流から第1の成分を分離するための収着プロセスにおいて使用することができる。少なくとも1つの収着材を基材内および/または上に配置することができる、接触器またはスタックの実施形態を提供することができる。実施形態では、少なくとも1つの収着剤は、例えば、乾燥剤、活性炭、グラファイト、炭素モレキュラーシーブ、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、アルミノリン酸、シリコアルミノリン酸、ゼオライト吸着剤、イオン交換ゼオライト、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト、変性ゼオライト、天然ゼオライト、ホージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、金属交換シリコアルミノリン酸、単極性樹脂、二極性樹脂、芳香族架橋ポリスチレン系マトリックス、臭素化芳香族マトリックス、メタクリルエステルコポリマー、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ナノ材料、金属塩吸着剤、過塩素酸塩、オキザラート、アルカリ土類金属粒子、ETS、CTS、金属酸化物、担持アルカリカルボナート、アルカリ促進(alkali-promoted)ハイドロタルサイト、化学収着剤、アミン、有機金属反応剤、金属有機構造体(MOF)吸着剤、ポリエチレンイミンドープシリカ(PEIDS)収着剤、アミン含有多孔質ネットワークポリマー収着剤、アミンドープ多孔質材収着剤、アミンドープMOF収着剤、ドープ活性炭、ドープグラフェン、アルカリドープまたは希土類ドープ多孔質無機収着剤を含むことができるが、これらに限定されない。
【0096】
図9を参照すると、プロセス実施形態では、少なくとも第1の成分(例えば、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素、酸素、および/または重金属を含み得る)を備える多成分流体混合物または流れの収着ガス分離のための、収着ガス分離プロセス900が提供される。そのような一実施形態では、収着プロセス900は、第1の成分の少なくとも一部を多成分流体混合物または流れから分離することができる。
【0097】
一態様では、収着ガス分離プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するために、複数の活性層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備え、並列流路接触器を利用することができる。実施形態では、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高を有することができ、複数の活性層の各々の間のチャネルの前記チャネル長と前記チャネル高とは、100~10,000の比であり得る。さらなる実施形態では、複数の活性層の間の各チャネルのチャネル幅とチャネル高とは、50~10,000の比であり得、複数のスペーサは、各活性層の平面に垂直な方向の各活性層のスペーサ突出領域をカバーし、各活性層の全表面積の1%~20%のスペーサ・カバー密度を有する。
【0098】
他の態様では、収着ガス分離プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体がスタックを通って流れることを可能にするための複数のチャネルを形成するために、複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備え、並列流路接触器を利用することができ、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅およびチャネル高によって定義される。実施形態では、接触器は、層流条件下での2,000~40,000ダルシーの浸透率値、または1,000未満の平均レイノルズ数を有することができ、複数のスペーサによって生じる接触器のフロー抵抗は、接触器の全フロー抵抗の20%以下であり得る。
【0099】
戻って図9を参照すると、収着ガス分離プロセス900の実施形態では、上記で開示され、活物質として少なくとも1つの収着材を有する並列流路接触器を提供することができる。収着工程901とそれに続く脱着工程902は、このような並列流路接触器を用いて実行することができ、収着ガス分離プロセス900は、所望に応じて繰り返すことができ、任意選択で追加の工程を含むことができる(図9には示さず)。
【0100】
示されるように、収着工程901の間、二酸化炭素などの少なくとも第1の成分を含む多成分ガス流を供給流として並列流路接触器またはスタックに受け入れることができ、供給流が接触器を流れて通過する際に、供給流は少なくとも1つの収着材と接触する。結果として、供給流の第1の成分の少なくとも一部は、収着材内および/または上に収着することができる。具体的に示されていないが、収着材内および/または上に収着されない残りの成分、例えば窒素などの第2の成分は、接触器を実質的に通過し、第1の生成物流を形成することができる。実施形態では、第1の生成物流は、供給流と比較して第1の成分が枯渇し得る。実施形態では、第1の生成物流はまた、供給流と比較して第2の成分が濃縮され得る。実施形態では、第1の生成物流は、並列流路接触器またはスタックから回収され得る。
【0101】
脱着工程902の間に、温度スイング機構、圧力スイング機構、および分圧スイング機構のうちの少なくとも1つによって、少なくとも1つの収着材の中および/または上に収着された第1の成分の少なくとも一部を脱着させて、第2の生成物流を形成することができる。実施形態では、第2の生成物流は、供給流と比較して第1の成分が濃縮され得る。第2の生成物流は、並列流路接触器またはスタックから回収され得る。任意選択的に、第1の成分を脱着するために、蒸気流を並列流路接触器またはスタックに入れることができる。実施形態では、蒸気流は、蒸気源から回収され、第1の成分を脱着させるために接触器またはスタックに入ることができる。
【0102】
触媒プロセス
使用時に、接触器の実施形態を、流体流からの少なくとも第1の成分の触媒作用のための触媒プロセスに使用することができる。
【0103】
一態様では、触媒プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するために、複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備え、並列流路接触器を利用する。実施形態では、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅、およびチャネル高によって定義され得、複数の活性層の各々の間のチャネルの前記チャネル長および前記チャネル高は、100~10,000の比であり、複数の活性層の間の各チャネルのチャネル幅およびチャネル高は、50~10,000の比である。実施形態では、複数のスペーサは、各活性層の平面に垂直な方向に各活性層のスペーサ突出領域を形成することができ、各活性層の全表面積の1%~20%のスペーサ・カバー密度を有することができる。
【0104】
他の態様では、触媒プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体にスタックを通過させるための複数のチャネルを形成するために、複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備え、並列流路接触器を利用することができ、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅およびチャネル高によって定義される。実施形態では、接触器は、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値を有することができ、複数のスペーサによって生じる接触器のフロー抵抗は、接触器の全フロー抵抗の20%以下である。
【0105】
触媒プロセスの一実施形態では、上記で開示された並列流路接触器は、活物質として少なくとも1つの触媒材を有することができる。
【0106】
プロセス実施形態では、第1の成分を有する流体流は、供給流として並列流路接触器またはスタックに流入し、ここで供給流および第1の成分は、第2の成分を生成する反応を触媒する少なくとも1つの触媒材に接触する。第2の成分は、第1の生成物流を生成することができ、それは次いで、並列流路接触器またはスタックから回収され得る。
【0107】
触媒収着プロセス
実施形態では、本明細書で開示された接触器を、流体流からの少なくとも第1の成分の触媒作用のための触媒収着プロセスに使用することができる。少なくとも1つの収着材を接触器内および/または上に配置することができる、接触器またはスタックの実施形態を提供することができる。実施形態では、少なくとも1つの収着材は、例えば、乾燥剤、活性炭、グラファイト、炭素モレキュラーシーブ、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、アルミノリン酸、シリコアルミノリン酸、ゼオライト吸着剤、イオン交換ゼオライト、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト、変性ゼオライト、天然ゼオライト、ホージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、金属交換シリコアルミノリン酸、単極性樹脂、二極性樹脂、芳香族架橋ポリスチレン系マトリックス、臭素化芳香族マトリックス、メタクリルエステルコポリマー、炭素繊維、カーボンナノチューブ、ナノ材料、金属塩吸着剤、過塩素酸塩、オキザラート、アルカリ土類金属粒子、ETS、CTS、金属酸化物、担持アルカリカルボナート、アルカリ促進(alkali-promoted)ハイドロタルサイト、化学収着剤、アミン、有機金属反応剤、金属有機構造体(MOF)吸着剤、ポリエチレンイミンドープシリカ(PEIDS)収着剤、アミン含有多孔質ネットワークポリマー収着剤、アミンドープ多孔質材収着剤、アミンドープMOF収着剤、ドープ活性炭、ドープグラフェン、アルカリドープまたは希土類ドープ多孔質無機収着剤を含むことができるが、これらに限定されない。
【0108】
図10を参照すると、プロセスの実施形態では、流体流からの少なくとも第1の成分の触媒作用のための触媒収着プロセス1000が提供される。
【0109】
そのような一実施形態では、触媒収着プロセス1000は、第2の成分を生成する反応を触媒することができる。
【0110】
一態様では、触媒収着プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体に接触器を通過させるための複数のチャネルを形成するために、複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備える並列流路接触器を利用することができ、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅およびチャネル高によって画定される。実施形態では、複数の活性層の各々の間のチャネルの前記チャネル長および前記チャネル高は、100~10,000の比であり得、複数の活性層の間の各チャネルのチャネル幅およびチャネル高は、50~10,000の比であり得る。実施形態では、複数のスペーサは、各活性層の平面に垂直な方向に各活性層上のスペーサ突出領域を形成することができ、各活性層の全表面積の1%~20%のスペーサ・カバー密度を有することができる。
【0111】
他の態様では、触媒収着プロセスは、互いの上に積み重ねられた複数の活性層と、隣接して積み重ねられた2つの活性層の間にチャネルを形成し、流体にスタックを通過させるための複数のチャネルを形成するために、複数の層の各々の表面に配置された複数のスペーサとを備える並列流路接触器を利用することができ、各チャネルは、チャネル長、チャネル幅およびチャネル高によって画定される。実施形態では、接触器は、層流条件下または1,000未満の平均レイノルズ数で2,000~40,000ダルシーの浸透率値を有することができ、複数のスペーサによって生じる接触器のフロー抵抗は、接触器の全フロー抵抗の20%以下である。
【0112】
触媒収着プロセスの一実施形態では、本明細書に開示され、かつ接触器内および/または上に配置された活物質として少なくとも1つの収着材および少なくとも1つの触媒材を有する並列流路接触器は、そのような並列流路接触器を使用することによって実施することができる。触媒収着プロセス1000は、所望に応じて繰り返すことができ、任意に追加の工程を含むことができる。
【0113】
プロセスの実施形態では、触媒工程1001の間、第1の成分を有する流体流を、供給流として並列流路接触器またはスタックに流入させ、そこを通過させることができる。実施形態では、供給流および第1の成分は、少なくとも第2の成分を生成する反応を触媒することができる少なくとも1つの触媒材と接触することができる。
【0114】
図10を参照すると、収着工程1002の間に、第1の成分の少なくとも一部、第2の成分の少なくとも一部、および第3の成分の少なくとも一部のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの収着材の中および/または上に収着する。実施形態では、反応の生成物および、または接触器の中および/または上に収着されていない成分を含む第1の生成物流を、次いで並列流路接触器またはスタックから回収することができる。
【0115】
プロセスの実施形態では、脱着工程1003の間に、第1の成分の少なくとも一部、および第3の成分の少なくとも一部のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの収着材を再生するために、少なくとも1つの収着材から脱着され得る。実施形態では、第1の成分の少なくとも一部、第2の成分の少なくとも一部、および第3の成分の少なくとも一部のうちの少なくとも1つを含む第2の生成物流は、並列流路接触器またはスタックから回収することができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】