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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】ハードカプセル剤形及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/59 20060101AFI20230619BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20230619BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230619BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230619BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230619BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61K31/59
A61P3/02 102
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/46
A61K47/44
A61K47/14
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/02
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571817
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2022-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2021000376
(87)【国際公開番号】W WO2021245458
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】63/032,714
(32)【優先日】2020-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/000220
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353274
【氏名又は名称】エアジェン ファーマ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】エルシディグ リーム エラメイン
(72)【発明者】
【氏名】ナルティ コルム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA54
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC22
4C076DD21
4C076DD28
4C076DD29
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD39
4C076DD46
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE55
4C076EE58
4C076FF34
4C076FF35
4C076FF43
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA16
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA12
4C086ZC23
(57)【要約】
本明細書では、ビタミンD化合物を含有するハードカプセル剤形、並びにその作製方法及び使用方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む固体又は半固体組成物を含有するハードシェルカプセルを含む、ハードカプセル剤形であって、前記ハードシェルカプセルが、セルロースエーテル及びゼラチン化剤を含む、ハードカプセル剤形。
【請求項2】
前記セルロースエーテルが、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル置換セルロースエーテルを含む、請求項1に記載のハードカプセル剤形。
【請求項3】
前記セルロースエーテルが、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの群から選択される1つ以上を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項4】
20℃での2%水溶液のいずれかとしての、前記セルロースの粘度が、3cps~15cps、若しくは5cps~10cpsの範囲、又は約6cpsである、請求項1~3のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項5】
前記セルロースエーテルが、前記ハードシェルカプセルの約95重量%~99.98重量%の範囲の量で前記ハードシェルカプセル中に存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項6】
前記ゼラチン化剤が、天然海藻、天然種子ガム、天然植物滲出物、天然果実抽出物、生合成ガム、及び生合成加工デンプンの群から選択される1つ以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項7】
前記ゼラチン化剤が、アルジネート、寒天ガム、グアーガム、ローカストビーンガム(イナゴマメ)、カラギーナン(カッパカラギーナン及び/又はイオタカラギーナンを含む)、タラガム、アラビアガム、ガティガム、カヤグランディフォリアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビアン(アラバン)、キサンタン、ジェラン、デンプン、コンニャクマンナン、ガラクトマンナン、フノラン、細胞外多糖類、キサンタン、アセタン、ジェラン、ウェラン、ラムザン、ファーセレラン、サクシノグリカン、シエログリカン、シゾフィフラン、タマリンドガム、カードラン、プルラン、並びにデキストランの群から選択される1つ以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項8】
前記ゼラチン化剤が、ジェランガム、カラギーナン、ペクチン、及びプルランの群から選択される1つ以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項9】
前記ゼラチン化剤が、前記ハードシェルカプセルの0.01重量%~50重量%、又は0.1重量%~30重量%、又は0.1重量%~20重量%、又は0.1重量%~10重量%、又は0.1重量%~2重量%、又は0.1重量%~1.0重量%の範囲の量で存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項10】
前記ハードカプセルシェルが、ゲル化促進剤を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項11】
前記ゲル化促進剤が、カルシウムカチオン、カリウムカチオン、又はナトリウムカチオンを含む、請求項10に記載のハードカプセル剤形。
【請求項12】
前記ハードシェルカプセルが、サイズ3~サイズ5カプセルの範囲、任意選択で、サイズ4カプセルである、請求項1~11のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項13】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、
前記ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約20重量%~約36重量%のワックス、任意選択で、非消化性ワックス、任意選択で、パラフィンワックスと、
前記ハードカプセルシェル中に含有される前記組成物の総重量に基づいて、約25重量%~約41重量%の油性ビヒクル、任意選択で、非消化性油、任意選択で、鉱油と、を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項14】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、前記ハードカプセルシェル中に含有される前記組成物の総重量に基づいて、約2重量%~約18重量%の安定化剤、任意選択で、セルロースエーテル、任意選択で、ヒプロメロースを更に含む、請求項13に記載のハードカプセル剤形。
【請求項15】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、前記ハードカプセルシェル中に含有される前記組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約26重量%の乳化剤、任意選択で、長鎖の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステル、任意選択で、モノ及びジグリセリドNFを含む混合物を更に含む、請求項13又は14に記載のハードカプセル剤形。
【請求項16】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、前記ハードシェルカプセル中に含有される前記組成物の総重量に基づいて、約3重量%~約17重量%の吸収促進剤、任意選択で、グリセロールの脂肪酸エステル及びPEGエステル、任意選択で、ラウロイルポリオキシグリセリド(44/14)を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項17】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、以下の成分:
カルシフェジオール:約0.01%~0.03、又は0.0194%;
パラフィン:約25%~30%、又は27.95%;
鉱油:約30%~35%、又は32.26%;
ヒプロメロースk100:約7%~13%、又は9.98%;
モノグリセリド及びジグリセリド:約14.5%~20.5%、又は17.5%;
ラウロイルポリオキシグリセリド:約7%~13%、又は9.73%;
無水エタノール、約2%~4%、又は2.54%;及び
BHT:約0.05%~0.05%、又は0.02%の混合物を含み、全ての量が、前記ハードシェルカプセル中に含有される前記組成物の総重量に基づく重量で特定される、請求項1~16のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項18】
前記ハードシェルカプセル中に含有される25-ヒドロキシビタミンD組成物の量が、170mg未満、又は約150~約160mgの範囲である、請求項17に記載のハードカプセル剤形。
【請求項19】
前記25-ヒドロキシビタミンDを含む前記組成物が、以下の成分:
カルシフェジオール:約0.01%~1%、又は0.03%;
中鎖トリグリセリド:約5%~約15%、又は10%;
ブチルヒドロキシトルエン:約0.01%~約0.05%、又は0.03%;
微結晶性セルロース:約30%~約50%、又は38.44%;
エチルセルロース:約10%~約30%、又は20%;
ベヘン酸グリセリル:約10%~約30%、又は20%;
低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース:約3%~約8%、又は5%;
ポリグリコール化グリセリド:約3%~約8%、又は5%;
タルク:約0.5%~約2%、又は1%;及び
香料:任意選択で、又は約0.01%~約 %、又は0.5%の押し出されて球状化された混合物を含み、全ての量が、前記ハードシェルカプセル中に含有される前記組成物の総重量に基づく重量で特定される、請求項1~12のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項20】
前記ハードシェルカプセルが、以下の成分:
ジェランガム:約1%~10%、又は5%;
二酸化チタン:約0.01%~4%、又は2%;及び
ヒプロメロース:qsp100の混合物を含み、全ての量が、前記ハードシェルカプセルの全乾燥重量に基づく重量で特定される、請求項1~19のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項21】
前記ハードシェルカプセルが、サイズ4カプセルである、請求項1~20のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項22】
前記剤形が、前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの約7%以下、又は約5%以下を、酸性媒体中、任意選択で、pH1.2又は1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に放出する、請求項1~21のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項23】
前記酸性媒体中の放出が、pH1.2の媒体中37℃で2時間測定され、続いて、pH6.8の緩衝媒体中で測定され、前記剤形が、4時間の時点での前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの最大約40%を放出する、請求項22に記載のハードカプセル剤形。
【請求項24】
前記剤形が、6時間の時点で前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの少なくとも60%を放出する、請求項23に記載のハードカプセル剤形。
【請求項25】
前記剤形が、8時間の時点で前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの少なくとも80%を放出する、請求項24に記載のハードカプセル剤形。
【請求項26】
前記酸性媒体中の放出が、pH1.2の媒体中37℃で2時間測定され、続いて、pH6.8の緩衝媒体中で測定され、前記剤形が、2時間の時点で前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの最大30%、6時間の時点で前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの50%以上かつ75%以下、及び12時間の時点で前記製剤中の前記25-ヒドロキシビタミンDの80%以上を放出する、請求項1~21のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項27】
前記剤形が、前記25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの分解を回避することによって、かかる酸性条件への曝露後に、より高い程度の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの回収を提供する、請求項23に記載のハードカプセル剤形。
【請求項28】
前記剤形が、投与から最初の24時間後以内に少なくとも7ng/mlかつ30ng/mlを超えない、又は少なくとも8ng/mlかつ16ng/mlを超えない、又は少なくとも10ng/mlかつ14ng/mlを超えない成人ヒトにおける血清総25-ヒドロキシビタミンDの上昇を提供する量の25-ヒドロキシビタミンDを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項29】
30μg~1800μg、又は450μg~1800μg、又は30μg~1000μg、又は30μg~300μgの範囲の量の25-ヒドロキシビタミンDを含む、請求項28に記載のハードカプセル剤形。
【請求項30】
バイオアベイラビリティを考慮して、約30μg~約130μgの範囲の有効用量の、任意選択で、投与後42日の範囲にわたって計算された10%のバイオアベイラビリティを有する製剤について、有効用量の45μg超、少なくとも50μg、少なくとも60μg、少なくとも70μg、少なくとも80μg、又は少なくとも90μg、又は50μg~180μgの範囲、又は70μg~110μgの範囲の25-ヒドロキシビタミンDを含む、請求項27又は28に記載のハードカプセル剤形。
【請求項31】
前記剤形が、投与から最初の24時間後内に成人ヒトにおいて3ng/ml未満の血清総25-ヒドロキシビタミンDの上昇を提供する量の25-ヒドロキシビタミンDを含む、請求項1~27のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項32】
前記剤形が、毎日60μgが投与された場合に、12.5ng/ml~104.9ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンDのベースライン調整された定常状態Cmaxを提供する、請求項1~31のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項33】
前記剤形が、毎日60μgが投与された場合に、25ng/ml~98ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンDのベースライン調整された定常状態Cmaxを提供する、請求項32に記載のハードカプセル剤形。
【請求項34】
前記剤形が、毎日60μgが投与された場合に、98ng/ml超かつ最大104.9ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンDのベースライン調整された定常状態Cmaxを提供する、請求項32に記載のハードカプセル剤形。
【請求項35】
前記剤形の30μg強度での毎日の投薬が、少なくとも30ng/mlの定常状態の血清25-ヒドロキシビタミンD濃度を提供することを特徴とする、請求項1~34のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項36】
前記剤形の30μg強度での毎日の投薬が、患者の少なくとも80%において少なくとも50ng/mlの定常状態の血清25-ヒドロキシビタミンD濃度を提供することを特徴とする、請求項35に記載のハードカプセル剤形。
【請求項37】
前記剤形の60μg強度での毎日の投薬が、少なくとも50ng/mlの定常状態の血清25-ヒドロキシビタミンD濃度を提供することを特徴とする、請求項35に記載のハードカプセル剤形。
【請求項38】
前記25-ヒドロキシビタミンDが、カルシフェジオールを含むか、又はカルシフェジオールからなる、請求項1~37のいずれか一項に記載のハードカプセル剤形。
【請求項39】
25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールをそれを必要とする対象に送達する方法であって、請求項1~38のいずれか一項に記載のハードシェルカプセル製剤を対象に投与することを含む、方法。
【請求項40】
約25ng/ml~約98ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールのベースライン調整された定常状態Cmaxをもたらす、任意選択で、30μg用量の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを使用した、前記ハードカプセル製剤の繰り返し投与を送達することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約12.5ng/ml~約104.9ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールのベースライン調整された定常状態Cmaxをもたらす、任意選択で、60μg用量の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを使用した、前記ハードカプセル製剤の繰り返し投与を送達することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記剤形が、酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に、前記剤形に含有される製剤中の約5%以下の前記25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含む組成物を含有し、かつ前記剤形の酸性条件への曝露後の前記25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの回収の増加及び/又は分解の減少を提供する、請求項1~38のいずれか一項に記載のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用。
【請求項43】
前記剤形が、酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に、前記剤形に含有される製剤中の約5%以下の前記25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含む組成物を含有し、かつ哺乳動物に経口投与するための組成物を含有する、請求項1~38のいずれか一項に記載のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用。
【請求項44】
剤形が、酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に、前記剤形に含有される製剤中の約5%以下の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含む組成物を含有し、かつ前記剤形を、酸性条件、任意選択で、pH4.5未満、任意選択で、pH3.5未満に曝露する、請求項1~38のいずれか一項に記載のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月6日に出願されたPCT出願PCT/IB21/00220の継続出願であり、2020年5月31日に出願された米国仮特許出願第63/032,714号の米国特許法119条(e)に基づく利益がここに主張されている。それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、ビタミンD活性化合物とともに使用するのに好適な剤形、例えば、25-ヒドロキシビタミンD化合物を送達するためのハードカプセル製剤、及び治療におけるその使用に関する。
【0003】
関連技術の簡単な説明
徐放性カルシフェジオール(ERC)剤形及び関連する方法は、例えば、米国特許第8,2207,149号、同第8,426,391号、同第9,861,644号、及び米国特許出願公開第2019/0083513A1号、並びに国際特許出願公開WO2020/044314A1に記載されており、これらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。FDA承認済みの製品は、柔らかい野菜ベースの(Optishell(登録商標))カプセルに入ったRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルとして販売されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む固体又は半固体組成物を含有するハードシェルカプセルを含むハードカプセル剤形であり、ハードシェルカプセルはセルロースエーテル及びゼラチン化剤を含む。
【0005】
本開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む固体又は半固体組成物を含有するハードシェルカプセルを含むハードカプセル剤形であり、ハードシェルカプセルはセルロースエーテルを含む。
【0006】
本開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを、それを必要とする対象に送達する方法であり、本開示におけるハードシェルカプセル剤形を対象に投与することを含む。同様に、本開示の一態様は、それを必要とする対象に投与するための、本明細書における開示によるハードシェルカプセル剤形の使用である。必要とする対象は、25-ヒドロキシビタミンDを必要とする任意の対象、又は本明細書に記載の疾患若しくは状態を有する対象であり得る。
【0007】
本開示の別の態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用であり、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含む組成物を含有し、酸性条件への剤形の曝露後に当該25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの回収の増加及び/又は分解の減少を提供する。
【0008】
本開示の別の態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用であり、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含み、かつ哺乳動物に経口投与するための組成物を含有する。
【0009】
4本開示の別の態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用であり、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で2時間後に放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含み、かつ剤形を酸性条件、任意選択で、pH4.5未満、及び任意選択で、pH3.5未満に曝露する。
【0010】
本開示の別の態様は、本明細書における開示によるゼラチン化ヒプロメロースハードシェルカプセル中に25-ヒドロキシビタミンDを含有する製剤を配置することを含む、本明細書における開示によるハードシェルカプセル剤形を作製する方法である。25-ヒドロキシビタミンD製剤は、例えば、それが加熱されるときにより容易に流動する固体又は半固体製剤である場合に、任意選択で、シェル内にそれを配置する前に任意に加熱され得る。シェルは、任意選択で、それにシーリング溶液、例えば、ヒプロメロースシーリング溶液を塗布され得る。
【0011】
本明細書中に記載される組成物及び方法については、任意選択の特徴(成分、その組成範囲、置換基、条件及び工程を含むがこれらに限定されない)が本明細書中に提供される様々な態様、実施形態及び実施例から選択されることが企図される。
【0012】
更なる態様及び利点は、図面と併せて以下の詳細な説明を検討することにより、当業者には明らかになるであろう。方法、使用、及び組成物は、様々な形態の実施形態が可能であるが、以下の説明は、本開示が例示的であり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図するものではないという理解の下で、特定の実施形態を含む。
【0013】
本発明の理解を更に容易にするために、8つの図が、本明細書に添付されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】900mcgの調節放出カルシフェジオールソフトカプセルの経口投与後の25-ヒドロキシビタミンD3曲線の平均血清濃度を示す。
図2】本開示によるハードカプセル剤形のインビトロ溶解プロファイルを示す。
図3】実施例3による二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎疾患(CKD)及びビタミンD欠乏症の成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロールの繰り返し投与による時間の関数としての血清総25-D濃度を示す。
図4】実施例3による二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎疾患(CKD)及びビタミンD欠乏症の成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロールの繰り返し投与による時間の関数としてのVMRを示す。
図5】実施例3による二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎疾患(CKD)及びビタミンD欠乏症の成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロールの繰り返し投与による血清総25-ヒドロキシビタミンD奏効率を示す。
図6】実施例3による二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎疾患(CKD)及びビタミンD欠乏症の成人患者におけるERC(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル)、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロールの繰り返し投与による血漿iPTH低下反応を示す。
図7】実施例5によるpH6.8媒体(左)及び2段階溶解手順(右)におけるヒプロメロースカプセル試料の溶解プロファイルを示す。
図8】pH6.8媒体(左)、2段階溶解手順(中)、及びpH1.2媒体(右/下)における野菜カプセル試料の溶解プロファイルを示す。
図9】pH1.2の試験の溶解プロファイルを示す。
図10】pH4.5の試験の溶解プロファイルを示す。
【0015】
説明
本開示の剤形は、ビタミンD化合物、例えば、25-ヒドロキシビタミンDのハードカプセル製剤である。以下の一般的な説明は、25-ヒドロキシビタミンDを有する組成物及び25-ヒドロキシビタミンDの使用を記載しているが、どの場合においても、25-ヒドロキシビタミンD化合物の代わりに別のビタミンD化合物を使用され得ることが企画される。25-ヒドロキシビタミンDが言及される場合、どの場合においても、カルシフェジオールが特定の25-ヒドロキシビタミンD化合物であり得ることも企図される。本明細書における開示の別の態様は、例えば、経口投与のための、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含有する徐放性ハードカプセル製剤である。製剤は、任意選択で、遅延放出特性も有することができる。本明細書に記載の方法のいずれにおいても、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、本明細書に記載のハードカプセル製剤の形態で投与され得る。
【0016】
驚くべきことに、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルで使用されるようなワックスベースの製剤は、ハードゼラチンカプセル及びハードHPMCカプセルに入れられた場合に、2段階溶解法(pH1.2で2時間、その後、pH6.8緩衝媒体に移す)を、特に0~2時間及び0~4時間の時間範囲で使用して適合する溶解放出プロファイルを提供しないことがわかった。しかしながら、ゼラチン化HPMCハードカプセルシェルを使用すると、このような剤形は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの溶解プロファイルに厳密に適合する溶解プロファイルを有するように作製され得る。図2を参照されたい。ヒプロメロースベースのハードカプセルシェルは、ソフトジェルカプセルと比較してより一貫した破断時間を提供する一方で、より早い破断時間を提供することもわかった。したがって、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルにより厳密に一致する溶解放出プロファイルを達成するために、ワックスの量を増加させて、活性物質の放出速度を遅くする。
【0017】
本明細書中に記載される組成物及び方法については、任意選択の特徴(成分、その組成範囲、置換基、条件及び工程を含むがこれらに限定されない)が本明細書中に提供される様々な態様、実施形態及び実施例から選択されることが企図される。本明細書に記載の法及び組成物は、様々な形態の実施形態が可能であるが、以下の説明は、本開示が例示的であり、本発明を本明細書に記載の特定の実施形態に限定することを意図するものではないという理解の下で、特定の実施形態を含む。
【0018】
米国特許第5,264,223号及び同第5,431,917号には、HPMCをカラギーナンなどのゼラチン化剤とともに使用することによって製造されたカプセルが記載されている。このようなカプセルの製造は、ゼラチンカプセルと同様の温度設定で行われると主張されていた。Shionogi Qualicaps Co.(Japan)は、ゲル化助剤としてのカラギーナン(例えば、カッパ及び/又はイオタカラギーナン)並びにゲル化促進剤としての塩化カリウムを含有するHPMCカプセルを製造している。米国特許第6,410,050B1号には、ペクチン及びグリセリンを含有するセルロースカプセル(HPMCを含む)が記載されている。米国特許第6,517,865B2号には、ジェランガムなどの親水コロイド及び金属イオン封鎖剤(EDTA、クエン酸ナトリウム、及びクエン酸など)を含むHPMCカプセルが記載されている。例えば、それには、含水量が2から10%であり、2%水溶液中20℃で測定された粘度が3から15cpsである90~99.98重量%の少なくとも1つのセルロースエーテル、0.01~5重量%のジェランガム、及び0.01~8重量%のEDTA、クエン酸ナトリウム、クエン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される金属イオン封鎖剤を有するカプセル材料が記載されている。例えば、約0.01~約10重量%、又は約1%~約8%、又は約2%~約7%、又は約4%~約6%、又は約5重量%の量で、少なくとも1つのセルロースエーテル、任意選択で、含水量が2~10%であり、粘度が2%水溶液中20℃で測定して粘度3~15cpsであるHPMC及びゲル化剤、任意選択で、ジェランガムを含有するHPMCカプセルを使用することが企画される。このようなゼラチン化HPMCカプセルは、ゼラチン化補助剤を含まないHPMCカプセルと比較して、例えば、胃内でのより遅い破断時間又は崩壊時間を提供すると考えられる。追加的に又は代替的に、HPMCカプセルは、胃環境におけるカプセルシェルの溶解又は崩壊を遅延又は防止するための腸溶性コーティングを含み得る。酸性媒体における溶解に抵抗し、中性及びアルカリ性媒体に溶解する腸溶性コーティング材料が知られており、例えば、アクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、メタクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体、シェラック、酢酸トリメリット酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼイン、並びにエチルセルロース、中鎖トリグリセリド、オレイン酸、アルギン酸ナトリウム、及びステアリン酸の混合物を含むコーティング溶液を含む。ゼラチン化剤を含まないか、又はその割合が小さい(例えば、0~4%w/w)のハードカプセルは、任意選択で、腸溶性コーティングして、投与から0~2時間の期間で最小からゼロの放出を達成することができる。
【0019】
ハードシェルカプセルは、主に、セルロースエーテル又はその混合物に基づいている。本明細書における開示のハードシェルカプセルは、ゼラチンベースのカプセルではない。好適なセルロースエーテルは、アルキル鎖に1~4個の炭素原子を有するアルキル及び/又はヒドロキシアルキル置換セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、一般に、ヒプロメロースとして知られており、特に企画される。様々な例及び実施形態が、ヒプロメロースに関連して本明細書に記載されており、どの場合においても、ハードシェルカプセルは、本明細書に記載されているように、別のセルロースエーテル又はその混合物に基づき得ることがより一般的に企画される。セルロースエーテル又はセルロースエーテルの混合物の量は、例えば、ハードシェルカプセルの50重量%超、又はハードシェルカプセルの少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%、例えば、95重量%~99.98重量%であり得る。セルロースエーテル又は混合物の粘度は、2%の水溶液中20℃で3cps~15cpsの範囲、又は5cps~10cpsの範囲、又は約6cpsであり得る。
【0020】
ハードシェルカプセルは、ゼラチン化剤を含む。ゼラチン化剤は、親水コロイドを含むことができる。親水コロイドは、アルカリ又はアルカリ土類金属イオンを添加することなくゲル化することができる合成ガムなどの品目を含むことができる。親水コロイドは、陰イオン性多糖、例えば、ジェランガムであり得る。親水コロイドはまた、天然海藻、天然種子ガム、天然植物滲出物、天然果実抽出物、生合成ガム、及び生合成加工デンプンの群から選択されることができる。親水コロイドは、アルジネート、寒天ガム、グアーガム、ローカストビーンガム(イナゴマメ)、カラギーナン(カッパカラギーナン又は/又はイオタカラギーナン)、タラガム、アラビアガム、ガティガム、カヤグランディフォリアガム、トラガカントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビアン(アラバン)、キサンタン、ジェラン、デンプン、コンニャクマンナン、ガラクトマンナン、フノラン、及び他の細胞外多糖類、例えば、キサンタン、アセタン、ジェラン、ウェラン、ラムザン、ファーセレラン、サクシノグリカン、シエログリカン、シゾフィフラン、タマリンドガム、カードラン、プルラン、並びにデキストランから選択される1つ以上のタイプを含むことができる。ハードシェルカプセル中の親水コロイドの量は、ハードシェルカプセルの0.01重量%~50重量%、又は0.1重量%~30重量%、又は0.1重量%~20重量%、又は0.1重量%~10重量%、又は0.1重量%~2重量%、又は0.1重量%~1.0重量%であり得る。ハードカプセルシェルは、約0.01~約10重量%のゼラチン化剤を含むことができる。ゼラチン化剤は、ジェランガムを含むことができる。
【0021】
ハードシェルカプセルは、ゲル化促進剤を更に含むことができる。ゲル化促進剤は、例えば、アンモニウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン、若しくはナトリウムカチオンから選択することができるか、又はカルシウムカチオン、カリウムカチオン、若しくはナトリウムカチオンから選択することができる。カチオンは、水溶性アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、又はナトリウム塩の使用によって提供され得る。ゲル化促進剤は、有機酸の水溶性塩、又は無機酸の水溶性塩によって提供され得、これに関連して、ゲル化促進剤前駆体と呼ぶことができる。例えば、ゲル化促進剤前駆体は、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、乳酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、及び塩化ナトリウムの群から選択される1つ以上の化合物であり得る。クエン酸は、ゲル化促進剤として使用され得る。ゲル化促進剤前駆体の量は、例えば、ハードシェルカプセルの約0.1重量%~20重量%、又は0.5重量%~15重量%、又は0.5重量%~10重量%の範囲にあり得る。
【0022】
ハードシェルカプセルは、可塑剤、潤滑剤、金属イオン封鎖剤、着色剤、遮光剤、及び残留水分(例えば、ハードシェルカプセル重量の1%~10%)の群から選択される1つ以上のアジュバントを、そのような目的で通常使用される量で、含むことができる。ハードシェルカプセルは、商業的に購入するか、又は当該技術分野で知られている方法によって作製され得る。
【0023】
ハードカプセルシェルは、所望の活性強度で本明細書に記載の製剤を含有する任意の好適なサイズ、例えば、サイズ000~サイズ5までの標準サイズの範囲、例えば、サイズ000、サイズ00E、サイズ00、サイズ0E、サイズ0、サイズ1、サイズ2、サイズ3、サイズ4、若しくはサイズ5、又は例えば、サイズ3~サイズ5の範囲、若しくは具体的には、サイズ3、若しくは具体的には、サイズ4であり得る。
【0024】
充填したら、ハードシェルは、任意選択で、例えば、低粘性グレード、例えば、20℃での2%溶液としての3mPa・sの粘度であるE3グレードから作製されたヒプロメロース溶液でバンド形成/シールされ得る。シーリング溶液は、例えば、約0.002g/カプセル~0.02g/カプセルの範囲など、任意の好適な量で塗布され得る。一態様では、溶液は、溶解特性に影響を及ぼさない速度で塗布され得るが、液体内容物を使用して、又はホットゾーン、例えば、35℃~50℃などで遭遇する高温で軟化する若しくは液体になり得る内容物を使用して、カプセルを漏出から保護することができる。
【0025】
ハードシェルカプセルにはビタミンD製剤が含有されており、これは、25-ヒドロキシビタミンD製剤であり得る。様々な態様において、剤形は、25-ヒドロキシビタミンD化合物を経口投与するために調製される。様々な例において、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、25-ヒドロキシビタミンD2若しくは25-ヒドロキシビタミンD3、又は25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の組み合わせを含む。本明細書に開示される組成物及び方法のあらゆる態様及び実施形態において、25-ヒドロキシビタミンD化合物は25-ヒドロキシビタミンD3であり得ることが特に企図される。本明細書で使用される場合、「25-ヒドロキシビタミンD化合物」という用語は、25-ヒドロキシビタミンD3、25-ヒドロキシビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD4、25-ヒドロキシビタミンD5、又は25-ヒドロキシビタミンD7のうちの1つ以上を指し、それに対する任意の参照において、好ましい実施形態は、25-ヒドロキシビタミンD3及び25-ヒドロキシビタミンD2のうちの1つ以上、好ましくは、25-ヒドロキシビタミンD3であることが特に企図される。したがって、本明細書に記載の任意の及び全ての製剤において、活性物質は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の一方又は両方、特に、25-ヒドロキシビタミンD3を含み得ることが特に企図される。
【0026】
ハードシェルカプセルは、以下に説明するように、様々な形態をとることができる25-ヒドロキシビタミンD製剤、別名充填製剤が含有する。そのような製剤は、徐放性製剤であり得、更に任意選択で、遅延放出特性を有し得る(例えば、単独で、又は本明細書の開示によるゼラチン化セルロースエーテルハードカプセルシェルでの使用の結果として)。
【0027】
25-ヒドロキシビタミンD化合物は、任意の好適な手段によって対象に投与されてもよい。経口投与に好適な製剤は、(a)水、生理食塩水、牛乳、油、又は他の担体などの希釈剤に溶解又は懸濁された有効量の25-ヒドロキシビタミンD化合物などの液体溶液又は懸濁液、(b)固体又は顆粒、(c)粉末、及び(d)好適なエマルジョンからなり得るか、又はそれらを含み得る。液体製剤は、水及びアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、及びポリエチレンアルコールなどの希釈剤を、薬学的に許容される界面活性剤の添加の有無にかかわらず含んでもよい。カプセル形態は、例えば、油、ワックス、又は他の脂質などの担体、界面活性剤、潤滑剤、及びラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、及びコーンスターチなどの不活性充填剤を含むことができる。ハードシェルカプセルは錠剤スラグを含有し得、そのような錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、グアーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、崩壊剤、湿潤剤、保存剤、香味剤、並びに他の薬理学的に適合性のある賦形剤、のうちの1つ以上を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物は、担体又は賦形剤中での分散のために、アルコール、例えば、エタノール中に溶解され得る。
【0028】
経腸製剤に使用され得る油には、石油、動物油、植物油、又は合成油が含まれる。油の具体例には、ピーナッツ、大豆、ゴマ、綿実、とうもろこし、オリーブ、ワセリン、及びミネラルが含まれる。一部の実施形態において、非消化性油が企図される。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。
【0029】
25-ヒドロキシビタミンD化合物は、ポリマー組成物中に分散され得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物は、ポリマーネットワークに組み込まれ得る。ポリマーは水不溶性であり得、任意選択で、膨潤性であり得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含む球状化ペレット製剤であり得る。そのようなペレットは、任意選択で、腸溶コーティングされ得、別の方法では、ペレットは、腸溶性コーティングされ得るカプセルシェル内に配置され得る。製剤は、脂肪酸グリセリド混合物中に分散された25-ヒドロキシビタミンD化合物を含むことができる。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含むナノ/マイクロ粒子製剤からなり得るか、又はそれを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される脂質を含む脂質微粒子製剤からなり得るか、又はそれらを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び薬学的に許容される賦形剤を含むノンパレイルシード製剤からなり得るか、又はそれを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物、並びに吸収促進剤、球状化助剤、水不溶性ポリマー、及び結合剤の群における1つ以上の賦形剤から選択される薬学的に許容される賦形剤からなり得るか、又はそれらを含み得る。製剤は、25-ヒドロキシビタミンD化合物、徐放剤、及び界面活性剤を含む噴霧凝固脂質ビタミンD製剤からなり得るか、又はそれらを含み得る。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む製剤は、安定化された製剤であり得、「安定化された製剤」という用語は、最初の製造に続く、例えば、実際の棚保存又は加速安定性保存条件に続くある期間のビタミンD化合物の安定したインビトロ溶解プロファイル(本明細書で更に説明されるパラメータのいずれかによる)及び制御放出(例えば、徐放)を示す製剤を指す。活性成分の放出は、当該技術分野ですでに知られている方法の1つなどの好適なインビトロ溶解法を使用して測定され得る。原則として、米国薬局方、USP43-NF38 2S、溶解<711>物理試験及び測定、米国薬局方会議、Rockville、Md、2020年に記載されている溶出試験、固形製剤についての欧州薬局方2.9.3溶出試験、又は日本薬局方6.10溶出試験のいずれかを使用して、製剤が安定しているかどうかを判定することができる。本開示の目的のために、単一媒体インビトロ溶解法は、以下の実施形態に記載の装置2(パドル法)を使用する、米国薬局方、USP43-NF38 2S、溶解<711>物理的試験及び決定、米国薬局方会議、Rockville、Md、2020である。別の方法では、溶解特性は、装置1又は2、任意選択で、装置2を使用する、USP43-NF38 2S、溶解<711>の方法2などの2相法を使用して測定され得る。
【0031】
本明細書の開示による安定化された製剤は、ある期間保存した後、製造直後及び保存前の同じ製剤の溶解と実質的に異ならない、インビトロ溶解におけるある量の25-ヒドロキシビタミンDを放出する。例えば、一実施形態では、製剤は、製剤を保存条件に曝露する前に行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出される量(すなわち、新たに製造された製品)と比較して30%以下だけ、4時間後の任意の所定の溶解時点で変化する、25℃及び相対湿度60%で2ヶ月の保存条件に曝露した後のインビトロ溶解中に、ある量の25-ヒドロキシビタミンDを放出する。
【0032】
以下の表は、初期製造後の様々な時間、及び溶出試験中の時間に、25℃及び60%RHで、代替的に40℃及び75%RHで保存した後の、本発明の実施形態について企図される有利な程度の保存安定性の例を提供する。保存安定性の程度は、公称活性効力からの最大偏差、すなわち、LCからの最大%変化で表される。最大偏差の代替実施形態も提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0033】
1つのタイプの実施形態において、製剤は、保存後の溶解プロファイルが新鮮な生成物の溶解プロファイルに従うように、溶解試験を通して複数の時点で、例えば少なくとも2時間及び4時間の時点の両方で、任意選択で、6時間の時点でも、任意選択で、8時間の時点でも、更に任意選択で、12時間の時点でも、すぐ上の表に記載されている有利な程度の安定性を有する。代替的に、製剤は、少なくとも2時間、6時間、及び12時間の時点で、すぐ上の表に記載されている有利な程度の安定性を有する。代替的に、製剤は、少なくとも4時間、8時間、及び12時間の時点で、すぐ上の表に記載されている有利な程度の安定性を有する。代替的に、製剤は、少なくとも2時間、4時間、及び6時間の時点で、すぐ上の表に記載されている有利な程度の安定性を有する。代替的に、製剤は、少なくとも4時間、6時間、8時間、及び12時間の時点で、又は4時間以降の全ての時点で、すぐ上の表に記載されている有利な程度の安定性を有する。
【0034】
すぐ上の表に記載の実施形態のいずれか及び全てにおいて、偏差は新鮮な製品に対して正(より多い放出)又は負(より少ない放出)であり得ることが企図される。1つのタイプの実施形態では、偏差は、複数の時点で負の(より少ない放出)方向にあることが企画される。更に、1つのタイプの実施形態において、溶解放出の偏差は、複数の時点であるが、製剤中の安定化剤の存在のために、負(より少ない放出)であることが企画される。
【0035】
様々な例において、25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む製剤は、ビタミンD化合物を放出可能に結合し、ビタミンD化合物(例えば、親油性マトリックス)、及び安定剤(例えば、セルロース化合物)を制御可能に放出するマトリックス成分を含む。様々な例において、安定化剤は、セルロース系化合物である。本明細書で使用される場合、「セルロース化合物」という用語は、別段の指定がない限り、セルロース(C6105n又はセルロースの誘導体を含み得る。様々な態様において、セルロース化合物は、セルロースエーテルである。「セルロースエーテル」は、セルロース分子中のヒドロキシル基の部分的又は完全なエーテル化をもたらすように化学修飾されたセルロース誘導体である。安定化剤として使用され得るセルロース誘導体の例としては、例えば、セルロース酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアニオン性セルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、分子量、粘度、溶解度、及び水和におけるバリエーションに対応する、各セルロース系化合物又は安定化剤の異なる等級も、用語に包含される。
【0036】
一実施形態において、安定化製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の一方又は両方、ワックスマトリックス、及びセルロース化合物を含む。一態様において、安定化製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の一方又は両方、ワックスマトリックス、及びセルロース系安定化剤を含む。別の態様において、製剤は、例えば、すぐ上の表に対して、又は以下に記載の例のいずれかと適合するような、本明細書に記載の有利な程度の安定性を有するように、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の一方又は両方、ワックスマトリックス、及び有効量のセルロース系化合物を含む。例えば、その量は、溶解時点で25℃及び相対湿度60%で少なくとも1ヶ月の保存条件への曝露後のインビトロ溶解中に放出される活性物質の量と保存条件に製剤を曝露する前に行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点での放出量との間で30%以下の差を提供するのに有効であり得るが、安定化剤を欠く比較製剤は、同じ保存条件後の溶解放出においてより大きな差をもたらすであろう。
【0037】
一態様において、製剤は、製剤を摂取する対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のための改善された製剤である。一実施形態において、その改善は、製剤を摂取する対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のために、セルロース安定化剤を製剤に混合することを含む。別の実施形態では、その改善は、例えば、すぐ上の表に対して、又は以下に記載の実施例のいずれかと適合するような、本明細書に記載の有利な程度の安定性を有するように、製剤を摂取して本明細書に記載の有利な程度の安定性を提供する、対象の胃腸管におけるビタミンD化合物の制御放出のための製剤に混合された有効量のセルロース化合物を含む。例えば、その量は、溶解時点で25℃及び相対湿度60%で少なくとも1ヶ月の保存条件への曝露後のインビトロ溶解中に放出される活性物質の量と保存条件に製剤を曝露する前に行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点での放出量との間で30%以下の差を提供するのに有効であり得るが、安定化剤を欠く比較製剤は、同じ保存条件後の溶解放出においてより大きな差をもたらすであろう。
【0038】
安定化剤は、セルロース化合物を含み得る。本開示の安定化製剤で使用するためのセルロース化合物及び安定化剤の例としては、セルロース酸、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアニオン性セルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポロクサマー(例えば、ポロクサマー407)、ポリ(エチレンオキシド)ポリマー(例えば、DowのPOLYOXポリマー)、ポビドン、及びヒュームドシリカ(例えば、AEROSIL200、Evonik Industries AG、Essen、Germany)のうちの1つ以上も企図される。安定剤、例えば、セルロース化合物は、好ましくは、追加のコーティング又はシェルを除いた製剤の総重量(重量%)に基づいて、製剤の少なくとも約5%の量で存在する。例えば、セルロース化合物は、製剤の少なくとも5重量%、又は製剤の少なくとも10重量%、又は製剤の少なくとも15重量%、又は製剤の5重量%超、又は製剤の10重量%超、又は製剤の15重量%超の量で存在し得る。好適な範囲には、5重量%~30重量%、10重量%~20重量%、10重量%~15重量%、5重量%~15重量%、及び7.5重量%~12.5重量%が含まれる。例としては、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、及び約15重量%が挙げられる。本明細書で言及される安定化剤は、保存条件、例えば、典型的な棚保存条件中の経時的な実質的な変化に対して溶解放出プロファイル(したがって、インビボ放出プロファイルも)を安定化させる薬剤であることが理解される。活性成分自体の分解を防止するための保存剤として当該技術分野で知られている他の薬剤は、「安定化剤」及び「安定剤」という用語に包含されることを意図していないが、そのような保存剤も本発明の製剤における使用のために企画される。
【0039】
1クラスの実施形態では、セルロース化合物は、セルロースエーテルである。セルロースエーテルの例としては、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロース)が、特に企画される。HPMCは、以下の特徴のうちの1つ以上によって特徴付けられ得、これらは、個別に及び組み合わせて具体的に企図される。HPMCのメトキシル成分(%)は、19~24の範囲にあり得る。ヒドロキシプロピル成分(%)は、7~12の範囲にあり得る。見かけの粘度(20℃の水中2%溶液)は、少なくとも50,000cP、又は少なくとも80,000cP、又は約80~120,000cP、又は3000~120,000cP、又は11,000~120,000cP、又は80,000~120,000cPの範囲にあり得る。特に、見かけの粘度(20℃の水中2%溶液)は、80,000~120,000cPの範囲にあり得る。pH(水中1%溶液)は、5.5~8.0の範囲にあり得る。例えば、80,000~120,000cPの範囲にある見かけの粘度(20℃の水中2%溶液)を含む、前述の特性の全てを有する好適なヒドロキシルプロピルメチルセルロースは、METHOCEL K100M CR(Dow Wolff Cellulosics,Midland、Mich.)である。
【0041】
1つのタイプの実施形態において、セルロース化合物は、マトリックスの主成分の融点、例えば、65℃又は60℃~75℃の範囲で、マトリックス製剤に不溶性である。
【0042】
1つのタイプの実施形態において、セルロース化合物は、親水性である。安定化ワックスマトリックス製剤(例えば、Rayaldee(登録商標)タイプの充填製剤)は、Rayaldee(登録商標)カルシフェジオール徐放性放出カプセルと同様にOptiShell(登録商標)植物多糖類シェルに充填されることに代えて、本明細書における開示によるハードシェルカプセルに充填された以下の組成物:カプセル充填の0.02重量%のカルシフェジオール、カプセル充填の20.0重量%のパラフィン、カプセル充填の35.34重量%のミネラルオイル、カプセル充填の10.0%のヒプロメロース、カプセル充填の22.56重量%のモノ-及びジ-グリセリド、カプセル充填の9.75重量%のラウロイルポリオキシグリセリド、カプセル充填の2.32重量%の脱水アルコール、並びにカプセル充填の0.02重量%のBHTを有し得る。
【0043】
25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3のうちの1つ以上及びセルロース化合物を含む本開示による医薬製剤は、セルロース化合物を欠く製剤と比較して、改善された安定性を有する。一実施形態において、本開示による安定化された製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び25-ヒドロキシビタミンD3の一方又は両方を含む活性負荷親油性マトリックスと、セルロース系安定剤との混合物を含み、製剤は、作製されたての生成物に関して行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出された量と比較して、任意の所与の溶解時点で30%以下変化する、25℃及び相対湿度60%で少なくとも1ヶ月の保存条件に曝露した後のインビトロ溶解中にある量の25-ヒドロキシビタミンDを放出する。
【0044】
安定化されていない製剤は、組成物が一定期間保存された後に放出される有効成分の量における変化を示す。安定化されていない製剤は、作製されたての生成物に関して行われたインビトロ溶解中の同じ溶解時点で放出された量と比較して、例えば、30%超、所与の溶解時点で変化し得る保存条件への曝露の後に、ある量の25-ヒドロキシビタミンDを放出する。その変化は、所与の時点での溶解速度の増加又は減少であり得、そのような変化により、曲線が初期溶解プロファイルの形状とは異なる溶解プロファイルが生成される。安定化されていない製剤はまた、本明細書に記載の保存後、例えば、25℃及び60%RHでの3ヶ月以上の保存後、本開示による安定化製剤と比較して異なるインビボ効果を示す。安定化製剤は、本明細書に記載の保存後、例えば、25℃及び60%RHでの3ヶ月以上保存後、安定化されていない製剤と比較して、改善されたバイオアベイラビリティなどの異なる臨床薬物動態パラメータを示す。本開示による安定化された製剤は、本明細書に記載されるように製剤保存安定性を与える安定化剤と組み合わされた、保存不安定性の基本製剤を有し得る。
【0045】
放出可能に結合し、活性成分を制御可能に放出するマトリックスは、例えば、ワックスマトリックスを含む親油性マトリックスであり得る。ワックスマトリックスは、室温で固体又は半固体であり、体温で固体、半固体又は液体であり、好ましくは、体温で半固体又は液体である製剤を提供することができる。一態様では、ワックスマトリックスは、制御放出剤、乳化剤、及び吸収促進剤を含む。
【0046】
使用に好適な制御放出剤の例としては、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、及び蜜ろうを含むワックス;ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、硬化植物油、グリセリルモノ、ジ又はトリベヘン酸;ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びポリエチレングリコールなどの長鎖アルコール;並びに前述のいずれかの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ハードパラフィンワックスなどの非消化性ワックス状物質が好ましい。
【0047】
制御放出剤は、安定化マトリックス製剤の少なくとも5重量%、又は製剤の約5重量%超の量で存在し得る。例えば、使用される制御放出剤に応じて、制御放出剤は、製剤の少なくとも5重量%、又は製剤の少なくとも10重量%、又は製剤の少なくとも15重量%、又は製剤の少なくとも20重量%、又は製剤の少なくとも25重量%、又は製剤の5重量%超、又は製剤の10重量%超、又は製剤の15重量%超、又は20重量%超、及び/又は製剤の25重量%超を構成し得る。制御放出剤は、50重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、又は30重量%以下の量で存在し得る。好適な範囲には、5重量%~40重量%、10重量%~30重量%、及び15重量%~25重量%が含まれる。例としては、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、及び約25重量%が挙げられる。
【0048】
安定化マトリックス製剤での使用に好適な乳化剤の例としては、混合脂肪酸モノグリセリドなどのHLBが7未満の親油性剤;混合脂肪酸ジグリセリド;脂肪酸モノ及びジグリセリドの混合物;親油性ポリグリセロールエステル;モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリルを含むグリセロールエステル;脂肪酸のグリセリルラクトエステル;モノパルチミン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコールを含むプロピレングリコールエステル;モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル;ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸を含む脂肪酸及びその石鹸;及びそれらの混合物、モノオレイン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルチミン酸グリセリル、及びジパルミチン酸グリセリル;脂肪酸のグリセリルラクトエステル;モノパルチミン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、及びモノオレイン酸プロピレングリコールを含むプロピレングリコールエステル;モノステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンを含むソルビタンエステル;ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸を含む脂肪酸;及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
安定化されたマトリックス製剤で使用するための好ましいリポイド剤は、グリセリド及びその誘導体から選択される。好ましいグリセリドは、中鎖又は長鎖グリセリド、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
好ましい中鎖グリセリドとしては、中鎖モノグリセリド、中鎖ジグリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、モノラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、モノカプリル酸グリセリル、モノジカプリル酸グリセリル、カプリル酸/カプリン酸リノール酸トリグリセリド、及びカプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
低融点を有するモノグリセリドは、安定化されたマトリックス製剤を作製するために好ましい。好ましいモノグリセリドとしては、限定はしないが、モノステアリン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリルなど、好ましくは、モノステアリン酸グリセロール(GMS)が挙げられるが、これらに限定されない。GMSは、天然の乳化剤である。それは、油溶性であるが、水には溶けにくい。GMSは、3.8のHLB値を有する。親油性乳化剤は、例えば、約10重量%~約40重量%、又は約20重量%~約25重量%の範囲の量で存在し得る。他の例には、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、及び約25重量%が含まれる。
【0051】
安定化されたマトリックス製剤で使用するための好適な吸収促進剤の例としては、ポリグリコール化グリセリド又はペグ化グリセリドとしても知られるポリエチレングリコシル化グリセリドなどのカプリロカプロイルマクロゴールグリセリドが挙げられるが、これらに限定されない。組成物中に使用され得るペグ化グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリドの混合物、並びにポリエチレングリコール、ポリエチレングリコシル化アーモンドグリセリド、ポリエチレングリコシル化コーングリセリド、及びポリエチレングリコシル化カプリリック/カプリックトリグリセリドのモノエステル及びジエステルを含むが、これらに限定されない。吸収促進剤は、13~18、又は13~15のHLB値を有し得る。
【0052】
1つの好ましい吸収促進剤は、GELUCIRE(Gattefosse Corporation、Paramus,N.J.、USA)の商品名で知られている。GELUCIREは、ポリグリコール化グリセリドとしても知られる、グリセロール及びPEGエステルの脂肪酸エステルのファミリーである周知の賦形剤である。GELUCIREは、徐放性医薬組成物の調製を含む様々な用途において使用される。GELUCIRE化合物は、両親媒性であり、融点、HLB、様々な溶媒への溶解度等の様々な物理的特性を伴って入手可能な、不活性な半固体のワックス状材料である。それらは本質的に界面活性であり、水性媒体に分散又は可溶化して、ミセル、微視的小球又は小胞を形成する。それらは融点/HLB値によって特定される。融点は摂氏で表される。融点及び/又はHLB値の所望の特性を実現するように、異なるグレードのGELUCIRE賦形剤の1つ又は混合物を選択することができる。好ましいGELUCIRE組成物は、44℃の融点及び14のHLBを有する、ラウロイルマクロゴールグリセリドとラウロイルポリオキシグリセリドとの混合物であるGELUCIRE44/14である。親油性乳化剤は、例えば、約5重量%~約20重量%、又は約8重量%~約15重量%の量で存在し得る。他の例には、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、及び約15重量%が含まれる。
【0053】
ワックスマトリックスの低融点は、ワックスマトリックスの融点よりも高い約0℃~約50℃の温度で、薬学的活性成分、例えば、25-ヒドロキシビタミンD2、25-ヒドロキシビタミンD3、又はその両方などのビタミンD化合物を組み込み、次いで溶融物(溶液及び/又は分散液)を好適なカプセルに充填する手段を提供する。カプセルは、ソフト又はハードゼラチンカプセル、及び動物又は植物ゼラチンカプセルを含む、溶融充填剤の温度に適合する任意の種類のものであり得る。溶融物は、室温まで冷却するとカプセル内で固化する。
【0054】
一態様において、安定化されたマトリックス製剤は、25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3用の油性ビヒクルを更に含んでもよい。薬学的に許容される任意の油を使用することができる。例としては、動物(例えば、魚)、植物(例えば、大豆)、及び鉱油が挙げられる。油は、使用される25-ヒドロキシビタミンD化合物を容易に溶解することが好ましい。好ましい油性ビヒクルは、鉱油、特に、流動パラフィン、及びスクアレンなどの非消化性油を含む。油性ビヒクルは、例えば、製剤の約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約45重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約30重量%~40重量%の範囲の濃度で存在し得る。1つのタイプの実施形態において、好適な流動パラフィンは、以下のパラメータ:約0.88~0.89の比重;約64cSt~約70cStの動粘度(40℃);分子量424;パラフィン系炭化水素約59%;及び流動点-24℃の1つ以上によって特徴付けられ得る。ワックスマトリックスと油性ビヒクルとの比率は、ビタミンD化合物の所望の放出速度を達成するために最適化することができる。したがって、より重い油成分が使用される場合、比較的少ないワックスマトリックスを使用することができ、より軽い油成分が使用される場合、比較的多いワックスマトリックスが使用され得る。
【0055】
本開示による安定化された制御放出組成物は、好ましくは、例えば、単位用量当たり1~1000μgの濃度の25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含むように設計され、25-ヒドロキシビタミンD2/25-ヒドロキシビタミンD3の制御された又は実質的に一定の放出を、任意選択で、ヒト又は動物の胃腸管の回腸に長期間にわたってもたらすような方法で調製される。投薬量の例としては、単位用量当たり1μg~1000μg、1μg~600μg、1μg~500μg、1μg~450μg、1μg~400μg、1μg~200μg、1μg~100μg、5μg~90μg、30μg~80μg、20μg~60μg、30μg~60μg、35μg~50μg、5μg~50μg、10μg~25μg、例えば、20μg、25μg、30μg、40μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、及び100μgが挙げられる。
【0056】
ハードカプセル製剤の1つのタイプは、親油性(任意選択で、ワックス状)充填剤、乳化剤、及び吸収促進剤、例えば、上記のワックスベースのマトリックス製剤と同一若しくは類似のものを含む、又はワックスを省略し、代わりにより高濃度の他の親油性放出剤を含む放出調節剤を有する。マトリックスは、室温及び人体の常温の両方で固体又は半固体であり得る。それはゆっくりとかつ実質的に一定の様式で放出を開始し、少なくとも4時間、又は少なくとも8時間、又は少なくとも10時間、又は少なくとも12時間、任意選択で、4~24時間、又は6~20時間、又は8~18時間、又は10~16時間、又は約12時間の期間の間、活性の放出を制御する。放出メカニズムは、例えば、下部小腸及び/又は結腸の管腔の内容物への、物理的侵食及び/又は漸進的崩壊によって支配され得る。
【0057】
ゼラチン化ヒプロメロースシェル中に25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、本明細書に記載の任意のもの、例えば、固体又は半固体組成物、任意選択で、ワックスマトリックスであり得る。ワックスの量は、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約20重量%~約36重量%であり得る。ワックスマトリックスのワックスは、非消化性ワックス、任意選択で、パラフィンワックスを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、油性ビヒクルを、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約25重量%~約41重量%の量で更に含み得る。油性ビヒクルは、非消化性油、任意選択で、鉱油を含み得るか、又はそれからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約2重量%~約18重量%の範囲の量の安定剤を更に含み得る。安定化剤は、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、例えば、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約10重量%~約26重量%の範囲の量で、乳化剤を更に含み得る。乳化剤は、例えば、長鎖の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、吸収促進剤を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約3重量%~約17重量%の範囲の量で更に含み得る。吸収促進剤は、グリセロールの脂肪酸エステル及びPEGエステル、任意選択で、ラウロイルポリオキシグリセリドを含み得るか、又はそれらからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、25-ヒドロキシビタミンD用の溶媒を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約0.2重量%~約6重量%の範囲の量で更に含み得る。溶媒は、アルコール、任意選択で、エタノールを含み得るか、又はそれからなり得る。ハードカプセル剤形は、例えば、約0.1μg~約2mgの範囲の量で25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物は、25-ヒドロキシビタミンD3を含み得るか、又はそれからなり得る。剤形は、例えば、6μg~500μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDを含み得る。ハードカプセル剤形は、ステージ3、4又は5の慢性腎疾患を有する患者における続発性副甲状腺機能亢進症を治療するために使用され得る。このパラグラフの製剤タイプは、実施例1の製剤(0%、10%、20%、30%、及び40%のパラフィンワックスタイプ)、実施例2(試験3及び試験4のタイプ)の製剤と同様に、非ゼラチン化ハードカプセルシェルでの使用のためにも企図される。
【0058】
したがって、本開示の別の態様は、本明細書に記載の25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み、非ゼラチン化ヒプロメロースシェルに含まれる組成物である。例えば、組成物は、固体又は半固体組成物、任意選択で、ワックスマトリックスであり得る。ワックスの量は、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約20重量%~約36重量%であり得る。ワックスマトリックスのワックスは、非消化性ワックス、任意選択で、パラフィンワックスを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、更に油性ビヒクルを、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約25重量%~約41重量%の量で含み得る。油性ビヒクルは、非消化性油、任意選択で、鉱油を含み得るか、又はそれからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約2重量%~約18重量%の範囲の量の安定剤を更に含み得る。安定化剤は、セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、例えば、固体又は半固体組成物の重量に基づいて、約10重量%~約26重量%の範囲の量で、乳化剤を更に含み得る。乳化剤は、例えば、長鎖の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、吸収促進剤を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約3重量%~約17重量%の範囲の量で更に含み得る。吸収促進剤は、グリセロールの脂肪酸エステル及びPEGエステル、任意選択で、ラウロイルポリオキシグリセリドを含み得るか、又はそれらからなり得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物を含む組成物は、25-ヒドロキシビタミンD用の溶媒を、任意選択で、固体又は半固体組成物の重量に基づいて約0.2重量%~約6重量%の範囲の量で更に含み得る。溶媒は、アルコール、任意選択で、エタノールを含み得るか、又はそれからなり得る。ハードカプセル剤形は、例えば、約0.1μg~約2mgの範囲の量で25-ヒドロキシビタミンD化合物を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物は、25-ヒドロキシビタミンD3を含むか、又はそれからなることができる。剤形は、例えば、6μg~500μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDを含み得る。ハードカプセル剤形は、ステージ3、4又は5の慢性腎疾患を有する患者における続発性副甲状腺機能亢進症を治療するために使用され得る。
【0059】
以下の製剤は、非ゼラチン化HPMCハードカプセルに配置され得る。
【表2】
【0060】
カルシフェジオールハードカプセル製剤は、例えば、カプセルシェルに流動性材料を充填すること、又はカプセルシェルに固体若しくは半固体材料の塊若しくはスラグを充填すること、又はシェル構成を用いて固体若しくは半固体塊をエンロービング若しくはコーティングすることを含む、任意の好適な方法によって調製され得る。ハードカプセルのサイズは、パラフィン及び他の賦形剤の特定の充填比に応じて、例えば、サイズ3からサイズ4に調整されて、薬物の放出を更に制御することができる。
【0061】
以下の表に、様々な割合の賦形剤を含む25-ヒドロキシビタミンDのHPMCハードカプセル製剤の例を示す(全ての割合は、カプセル内の充填材料の重量に基づく重量である)。
【表3】
【0062】
実験計画法(DOE)試験を実施し、パラフィンワックスを製剤の20~40重量%(シェル材料を含まない)、ラウロイルポリオキシグリセリドを4.75~14.75%、モノグリセリド及びジグリセリドを22.5~12.5%、HPMCを6~14%で変える。鉱油は、全ての配合物で30%として一定に保たれた。このDOEから、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルよりも遅いインビトロ放出プロファイルを達成するためには、パラフィンワックスの割合が35%以上、ラウロイルポリオキシグリセリドが約4.75%であり得ることがわかった。
【0063】
以下の表は、追加のワックスベースのハードカプセル製剤、植物ベースのカプセルシェルを備えたRayaldee(登録商標)タイプのソフトカプセル製剤(参照)、及び加工ワックスベースの植物ベースのソフトカプセル製剤の例を提供する。ソフトカプセルは、例えば、加工デンプン及びカラギーナンを含有するOptiShell(登録商標)植物ベースのカプセルであり得る。
【表4】
【0064】
下の表には、ゼラチン化HPMCカプセルシェルを備えた、25-ヒドロキシビタミンDの別のハードカプセル製剤が記載されている。ジェランガムは、親水性ポリマーであり、上記の参照ソフトカプセル製剤の植物カプセルシェルに使用されるカラギーナンと同様の特性を有する。ゼラチン化HPMCカプセルは、非ゼラチン化HPMCカプセルよりも胃内でのより遅い破裂/崩壊時間を有する。
【表5】
【0065】
組成物は、サイズ4のゼラチン化HPMCカプセルシェル、例えば、ジェランガムを含有するHPMCカプセルに充填され得る。
【0066】
したがって、本明細書に開示の別の態様は、25-ヒドロキシビタミンDのゼラチン化HPMCハードカプセル製剤である。製剤は、単位用量当たり0.1μg~約2mgの25-ヒドロキシビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含み得る。25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は更に、約1μg~約1mg、又は約10μg~約900μg、又は約20μg~約600μg、又は約30μg~約300μg、又は約60μg~約300μgの範囲、例えば、約20μg、又は約25μg、又は約30μg、又は約40μg、又は約50μg、又は約60μg、又は約70μg、又は約80μg、又は約200μg、又は約300μg、又は約600μg、又は約900μgであり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約20wt%~約36wt%のワックス、任意選択で、非消化性ワックス、例えば、パラフィンワックスを含むことができる。ワックスの量は更に、約22重量%~約34重量%、又は約24重量%~約32重量%、又は約26重量%~約30重量%の範囲、例えば、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、又は約33重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約25重量%~約41重量%の油性ビヒクル、任意選択で、上記のもの、例えば、非消化性油、例えば、鉱油を含むことができる。油性ビヒクルの量は更に、約27重量%~約39重量%、又は約29重量%~約37重量%、又は約31重量%~約35重量%の範囲、例えば、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、又は約37重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約2重量%~約18重量%の安定化剤、任意選択で、上記のもの、例えば、セルロースエーテル、例えば、ヒプロメロースを含むことができる。安定化剤の量は更に、約4重量%~約16重量%、又は約6重量%~約14重量%、又は約8重量%~約12重量%の範囲、例えば、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約13重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル内の充填材料の総重量に基づいて、約10wt%~約26wt%の乳化剤、任意選択で、上記のもの、例えば、長鎖の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含む混合物、例えば、モノ及びジグリセリドNFを含むことができる。乳化剤の量は更に、約12重量%~約24重量%、又は約14重量%~約22重量%、又は約16重量%~約20重量%の範囲、例えば、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、又は約23重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル内の充填材料の総重量に基づいて、約3重量%~約17重量%の吸収増強剤、任意選択で、上記のもの、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル及びPEGエステル、例えば、ラウロイルポリオキシグリセリド(44/14)を含むことができる。吸収促進剤の量は更に、約5重量%~約15重量%、又は約7重量%~約13重量%、又は約9重量%~約11重量%の範囲、例えば、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約13重量%であり得る。25-ヒドロキシビタミンD活性剤は、アルコール担体、例えば、0.2重量%~約6重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%、又は約2重量%~約4重量%、例えば、約1.5重量%、又は約2.0重量%、又は約2.5重量%、又は約3重量%、又は約3.5重量%、又は約4重量%の量で製剤中に存在するエタノールに溶解され得る。製剤は、少量の防腐剤、例えば、抗酸化剤、例えば、BHTを、例えば、約0.005重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.05重量%の範囲、例えば、約0.02重量%含むことができる。
【0067】
前述のタイプの剤形のバリエーションは、以下の特徴を有し得る。
【表6】
【0068】
充填材料の量は、170mg未満であり得、例えば、約150mg~160mgの範囲、又は155mgである標準サイズ4のハードシェルカプセルに適合し得る。
【0069】
別のハードカプセル製剤タイプでは、ワックスを省略することができ、例えば、乳化剤及び/又は吸収促進剤の濃度を増加させることができる。製剤は、単位用量当たり0.1μg~約2mgの25-ヒドロキシビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD2及び/又は25-ヒドロキシビタミンD3を含むことができる。25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は更に、約1μg~約1mg、又は約10μg~約900μg、又は約20μg~約600μg、又は約30μg~約300μg、又は約60μg~約300μgの範囲、例えば、約20μg、又は約25μg、又は約30μg、又は約40μg、又は約50μg、又は約60μg、又は約70μg、又は約80μg、又は約200μg、又は約300μg、又は約600μg、又は約900μgであり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約25重量%~約50重量%の油性ビヒクル、任意選択で、上記のもの、例えば、非消化性油、例えば、鉱油を含むことができる。油性ビヒクルの量は更に、約25重量%~約45重量%、又は27重量%~約45重量%、又は27重量%~約39重量%、又は約29重量%~約37重量%、又は約31重量%~約35重量%の範囲、例えば、約30重量%、約32重量%、約34重量%、約36重量%、約38重量%、約40重量%、約42重量%、約44重量%、又は約46重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約2重量%~約20重量%の安定化剤、任意選択で、上記のもの、例えば、セルロースエーテル、例えば、ヒプロメロースを含むことができる。安定化剤の量は更に、約4重量%~約16重量%、又は約6重量%~約14重量%、又は約8重量%~約12重量%の範囲、例えば、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、又は約14重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約15wt%~約45wt%の乳化剤、任意選択で、上記のもの、例えば、長鎖の飽和及び不飽和脂肪酸のモノ及びジグリセリルエステルを含む混合物、例えば、モノ及びジグリセリドNFを含むことができる。乳化剤の量は更に、約17重量%~約42重量%、若しくは18重量%~約40重量%、若しくは20重量%~約36重量%、若しくは20重量%~約34重量%、若しくは約20重量%~約32重量%、若しくは約20重量%~約30重量%、若しくは約22重量%~約28重量%の範囲、又は、例えば、約18重量%、約20重量%、約22重量%、約24重量%、約26重量%、約28重量%、約30重量%、約32重量%、約34重量%、約36重量%、若しくは約40重量%であり得る。製剤は、ハードカプセルシェル中の充填材料の総重量に基づいて、約8重量%~約22重量%の吸収増強剤、任意選択で、上記のもの、例えば、グリセロールの脂肪酸エステル及びPEGエステル、例えば、ラウロイルポリオキシグリセリド(44/14)を含むことができる。吸収促進剤の量は更に、約8重量%~約20重量%、又は約9重量%~約18重量%、又は約10重量%~約16重量%の範囲、例えば、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、又は約16重量%であり得る。25-ヒドロキシビタミンD活性剤は、アルコール担体、例えば、0.2重量%~約6重量%、又は約0.5重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%、又は約2重量%~約4重量%、例えば、約1.5重量%、又は約2.0重量%、又は約2.5重量%、又は約3重量%、又は約3.5重量%、又は約4重量%の量で製剤中に存在するエタノールに溶解され得る。製剤は、少量の防腐剤、例えば、抗酸化剤、例えば、BHTを、例えば、約0.005重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.05重量%の範囲、例えば、約0.02重量%含むことができる。
【0070】
別の態様では、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、国際(PCT)出願公開第2020/044314A1号に記載の製剤の形態で投与され得、小児患者への投与に好適な製剤を含む。そのような製剤は、徐放性製剤であり得、更に任意選択で、遅延放出特性を有し得る(例えば、単独で、又は本明細書の開示によるゼラチン化セルロースエーテルハードカプセルシェルでの使用の結果として)。
【0071】
そのような製剤は、ポリマーネットワークに埋め込まれたビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含むことができる。ポリマーは水不溶性であり得、任意選択で膨潤性であり得る。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0072】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物、及び薬学的に許容される賦形剤を含む球状化ペレット製剤を含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。実施形態において、製剤は、遅延放出製剤、又は遅延徐放性製剤であり得る。球状化ペレットは、任意選択で腸溶コーティングされたカプセル中に配置され得る。別の方法では、ペレットは腸溶コーティングされ得る。
【0073】
そのような製剤は、脂肪酸グリセリド混合部中に分散されたビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0074】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物又はカルシフェジオール、及び薬学的に許容される賦形剤を含むナノ/マイクロ粒子製剤を含むことができる。実施形態において、ナノ/マイクロ粒子製剤は、例えば、賦形剤として徐放性ポリマーを使用することにより、ビタミンD化合物の徐放を提供することができる。
【0075】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物又はカルシフェジオール、及び薬学的に許容される脂質を含む脂質マイクロ粒子製剤を含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0076】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物又はカルシフェジオール、及び薬学的に許容される賦形剤を含むノンパレイルシード製剤を含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。実施形態において、賦形剤は、徐放性ポリマーコーティングを含むことができる。
【0077】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物又はカルシフェジオール、並びに吸収促進剤、球状化助剤、水不溶性ポリマー、及び結合剤の群における1つ以上の賦形剤から選択される薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0078】
そのような製剤は、ビタミンD化合物、任意選択で、25-ヒドロキシビタミンD化合物又はカルシフェジオール、徐放剤、及び界面活性剤を含む噴霧凝固脂質ビタミンD製剤を含むことができる。実施形態において、製剤は、例えば経口使用のための、徐放性製剤であり得る。
【0079】
ハードカプセルのいずれかのシェル組成物は、一実施形態では、低pH環境で安定な組成物であり得る。
【0080】
1つのタイプの実施形態において、25-ヒドロキシビタミン又はカルシフェジオール充填製剤は、押し出され球状化されたエチルセルロース(EC)ベースの製剤である。25-ヒドロキシビタミン又はカルシフェジオールの量は、本明細書の開示による剤形強度を提供する任意の量、例えば、約0.01重量%~約1重量%、又は約0.01重量%~約0.5重量%、又は約0.01重量%~約0.1重量%の範囲であり得る。ECの量は、例えば、充填組成物の量に基づいて、約5重量%~約60重量%、又は約1重量%~約20重量%、又は約1重量%~約10重量%、又は約2重量%~約10重量%、又は約10重量%~約30重量%の範囲であり得る。1つ以上の脂肪酸グリセリド、例えば、ベヘン酸グリセリルなどの添加剤を、徐放剤として使用することができる。そのような化合物は、増粘剤又はゲル化剤として使用され、徐放剤として好適であり、例えば、ベヘン酸グリセリル(例えば、Compritol 888 ATO)を含む。それは、充填製剤の重量に基づいて、5重量%~25重量%、又は5重量%~40重量%、又は10重量%~30重量%の範囲の重量割合で添加され得、ベヘン酸グリセリルが主要な又は唯一の徐放剤である場合に、より高い濃度が特に企図される。中鎖トリグリセリド(例えば、Miglyol 812N)及びポリグリコール化グリセリド(例えば、Gelucire 48/16)などの吸収促進剤;微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH 101)などの球状化助剤;ラクトース一水和物又はHPMCなどの希釈剤及び細孔形成剤;低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、Methocel K3 Premium LV)などの結合助剤;タルク粉末又はベヘン酸グリセリルなどの潤滑剤;キャラメルなどの香味剤;プロセス希釈剤(例えば、結合剤を溶解するため)としての精製水が含まれ得る。球状化助剤は、約30重量%~約90重量%、又は約30重量%~約50重量%の濃度で存在し得る。吸収促進剤は、約3重量%~約25重量%、又は約10重量%~約20重量%の濃度で存在し得る。低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、メトセルK3)などの結合助剤は、約3重量%~約10重量%、又は約3重量%~約8重量%の濃度で存在し得る。タルクなどの潤滑剤は、約0.5重量%~約2重量%、又は約1重量%~約2重量%の重量濃度で存在し得る。酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)は、約0.01重量%~約0.05重量%の範囲で存在し得る。香味剤は、任意選択的であり、約0.01重量%~約2重量%の範囲で存在し得る。そのような製剤は、徐放製剤であり得、更に任意選択で、遅延放出特性を有し得る(例えば、単独で、又は本明細書の開示によるゼラチン化セルロースエーテルハードカプセルシェルでの使用の結果として)。
【0081】
製剤の例を以下に記載し、全ての割合は、充填材料の総重量に基づく重量割合である。
【表7】
【0082】
本明細書で企図される実施形態のいずれにおいても、製剤の溶解放出プロファイルは、本明細書で以下に提供される例のうちのいずれか1つの特徴を有することができる。例えば、製剤は、pH6.8の媒体で、2時間で30%未満、6時間で45%超、12時間で80%超、更に任意選択で、6時間で60%未満のビタミンD化合物の放出を提供する溶解放出プロファイルによって特徴付けられ得る。
【0083】
別のタイプの実施形態において、製剤は、pH6.8の媒体で、100~140分で30%未満、5~7時間で45%超、11~13時間で80%超のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。別のタイプの実施形態において、製剤は、2時間で30%未満、6時間で45%超、12時間で80%超のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。これらのタイプの実施形態において、任意選択で、pH6.8の媒体で、ビタミンD化合物の放出は5~7時間で60%未満である、又は6時間で60%未満である。
【0084】
別のタイプの実施形態において、製剤は、pH6.8の媒体で、2時間で約20%~約40%、6時間で少なくとも35%、12時間で少なくとも70%のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロフィールによって特徴付けられ得る。別のタイプの実施形態において、製剤は、2時間で約25%~約35%、6時間で少なくとも40%、12時間で少なくとも75%のビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。これらのタイプの実施形態において、任意選択で、ビタミンD化合物の放出は、例えばpH6.8の培地で、6時間で75%以下、又は6時間で65%以下、又は6時間で60%以下である。
【0085】
別のタイプの実施形態において、製剤は、2時間で30%以下、6時間で50%以上及び75%以下、並びに12時間で80%以上の、37℃の2段階の酸性媒体(pH1.2、2時間)、次いでpH6.8緩衝媒体でのビタミンD化合物の放出を提供するインビトロ溶解プロファイルによって特徴付けられ得る。
【0086】
ハードカプセル製剤は、投与から最初の2時間でのAPIの早期放出を防ぐのにも効果的であり得る。したがって、本発明は、例えば、pH1.0~2.0、又は1.1、又は1.2、又は1.5で2時間、その後pH6.5、又は6.8の緩衝水溶性媒体に移される2段階の酸性/中性条件下でインビトロ溶解プロファイルを有するカルシフェジオールの徐放剤形を含み、約7%、又は約5%、又は約4%、又は約3%、又は約2%、又は約1%以下のカルシフェジオールが、最初の2時間の期間中に放出される。一態様において、溶解方法は、pH1.5で2時間であり得、その後pH6.5の緩衝媒体に移され得る。別の態様において、溶解方法は、pH1.2で2時間であり得、その後pH6.8の緩衝媒体に移され得る。別の態様において、溶解方法は、pH1.1で2時間であり、その後pH6.8の緩衝媒体にされ得る。例えば、溶解方法は、装置1又は2及び方法B(1000mLの0.1NのHClを37℃で2時間排出し、1000mLのpH6.8のリン酸塩を加える)、任意選択で、装置2を使用するUSP-NF法<711>に従い得る。その後、pH6.8の緩衝媒体において、カルシフェジオールの放出は、4時間で最大約40%若しくは36%(2相溶出試験手順の開始から測定される)、又は6時間で少なくとも60%若しくは62%、及び8時間で少なくとも80若しくは84%であり得る。溶解条件は、本明細書に更に記載される標準的な条件であり得る。
【0087】
実施例2に関連して図2に記載されるように、本明細書の開示によるゼラチン化ヒプロメロースハードシェルカプセル剤形は、酸性条件下で最大2時間まで溶解に抵抗することが示された。この試験における放出プロファイルは、1時間のマークで約5%の放出を示すが、2時間の時点で測定された放出量はそれよりも低い。いずれかの特定の理論に縛られるつもりはないが、2つの可能性が企画される。最初の理論によると、1時間の時点でのより高い放出は、単一カプセルの早期破裂の影響を受けた異常な変動の可能性による。しかしながら、実施例6に関連する図9は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放カプセルについて同様の挙動を示しているように見える。したがって、別の理論によれば、ハードカプセルと植物性(カラギーナン)ベースのカプセルシェルの両方が、シェル材料(又はその成分)が完全に膨潤する前の早期時点での活性剤のより高い拡散速度を示し得、カプセルシェルの膨潤は、その後、拡散速度を遅くする。
【0088】
様々な態様において、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、調節放出製剤で投与される。本明細書で使用される場合、「制御放出」及び「調節放出」という用語は互換的に使用され、即時放出から逸脱する方法で投与されるビタミンD化合物の放出を指す。調節放出製剤は、徐放製剤であり得る。任意選択で、放出調節製剤は、遅延放出態様を含み得る。本明細書で使用される場合、「徐放(sustained release)」、「徐放(extended release)」、及び「持続放出」という用語は互換的に使用され、同等の即時放出製剤より長い期間にわたって投与されるビタミンD化合物の放出を指す。
【0089】
25-ヒドロキシビタミンDのハードカプセル製剤は、25-ヒドロキシビタミンDを必要とする任意の患者を治療するために使用され得る。ビタミンDの補給を必要とする患者は、健康な対象及びビタミンDの不足又は欠乏のリスクがある対象、例えば、ステージ1、2、3、4、又は5のCKDを有する対象;ビタミンD強化ミルクを飲まない乳児、小児及び成人(例えば、乳糖不耐症の対象、牛乳アレルギーを有する対象、牛乳を摂取しない菜食主義者、母乳で育てられる乳児);くる病を有する対象;肌の色が濃い対象(例えば、米国では、15~49歳のアフリカ系アメリカ人女性の42%が、白人女性の4%と比較して、ビタミンD欠乏である);高齢者(日光に曝露されている間に皮膚でビタミンDを合成する能力が低下しており、また屋内に留まりやすい);施設に収容された成人(アルツハイマー病又は精神疾患を有する対象を含む、屋内に留まりやすい);全ての露出される皮膚を覆う対象(特定の宗教又は文化のメンバーなど);日焼け止めを常用している対象(例えば、日焼け防止指数(SPF)が8の日焼け止めを塗布すると、ビタミンDの産生が95%低減し、SPFが高いほど皮膚のビタミンD産生が更に低減する可能性がある);脂肪吸収不良症候群を有する対象(嚢胞性線維症、胆汁うっ滞性肝疾患、他の肝疾患、胆嚢疾患、膵臓酵素欠損症、クローン病、炎症性腸疾患、スプルー若しくはセリアック病、又は胃及び/若しくは腸の部分若しくは全部の外科的除去及び/若しくはバイパスを含むが、これらに限定されない);炎症性腸疾患を有する対象;クローン病を有する対象;小腸切除を受けた対象;歯周病を有する対象;フェニトイン、フォスフェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、及びリファンピンを含む、ビタミンDの異化作用を高める薬を服用している対象;コレスチラミン、コレスチポール、オルリスタット、鉱油、及び脂肪代替物を含む、ビタミンDの活性化を阻止する薬を服用している対象;ケトコナゾールを含む、ビタミンDの活性化を阻害する薬剤を服用している対象;コルチコステロイドを含む、カルシウム吸収を減少させる薬剤を服用している対象;肥満の対象(体脂肪貯蔵部に蓄えられたビタミンDはバイオアベイラビリティが低い);骨粗鬆症を有する対象及び/若しくは閉経後の女性を含む。ビタミンDの食事摂取基準に関する医学研究所の報告によると、食物消費データは、若年及び高齢女性の両方のビタミンD摂取量の中央値が現在の推奨値を下回っていることを示唆しており、データは、若年及び高齢女性の50%超が、推奨量のビタミンDを摂取していないことを示唆している。
【0090】
様々な態様において、患者のベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルは、約30ng/mL未満、又は約20ng/mL未満、又は20ng/mL~30ng/mLの範囲、又は約20ng/mL~約25ng/mLの範囲であり得る。
【0091】
本明細書に記載の組成物及び方法は、ビタミンD応答性疾患、すなわち、25-ヒドロキシビタミンD又は活性型ビタミンD(例えば、1,25-ジヒドロキシビタミンD)が疾患の発症若しくは進行を予防する、又は疾患の兆候若しくは症状を低減する疾患の予防的若しくは治療的処置に有用である。そのようなビタミンD応答性疾患には、がん(例えば、乳がん、肺がん、皮膚がん、黒色腫、結腸がん、結腸直腸がん、直腸がん、前立腺がん、及び骨がん)が含まれる。1,25-ジヒドロキシビタミンDは、多くの細胞についてインビトロでの細胞分化を誘導し、かつ/又は細胞増殖を阻害することが観察されている。ビタミンD応答性疾患には、自己免疫疾患、例えば、I型糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、多発性筋炎、皮膚筋炎、硬化性皮膚炎、線維症、グレーブス病、橋本病、急性又は慢性移植片拒絶、急性又は慢性移植片対宿主疾患、炎症性腸疾患、クローン病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、湿疹及び乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎及び/又は慢性皮膚炎を含む皮膚炎も含まれる。ビタミンD応答性疾患には、他の炎症性疾患、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、多発性嚢胞腎、多嚢胞性卵巣症候群、膵炎、腎炎、肝炎及び/又は感染症も含まれる。ビタミンD応答性疾患には、高血圧及び心血管疾患も含まれることが報告されている。したがって、本発明は、心血管疾患のリスクがある又は罹患している対象、例えば、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、冠状動脈疾患、脳血管疾患、末梢血管疾患、心筋梗塞、心筋虚血、脳虚血、脳卒中、うっ血性心不全、心筋症、肥満又は他の体重障害、脂質障害(例えば、高脂血症、関連する糖尿病性脂質異常症及び混合型脂質異常症を含む脂質異常症、低アルファリポタンパク血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、及び低HDL(高密度リポタンパク質))、代謝障害(例えば、代謝性症候群、II型真性糖尿病、I型真性糖尿病、高インスリン血症、耐糖能障害、インスリン抵抗性、神経障害、腎症、網膜症、糖尿病性足潰瘍及び白内障を含む糖尿病性合併症)、及び/又は血栓症を有する対象の予防的又は治療的処置を企図する。
【0092】
ビタミンD化合物のレベルの調節から利益を得ることができる疾患には、以下:(i)副甲状腺での、副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症、二次性副甲状腺機能亢進症;(ii)膵臓での、糖尿病;(iii)甲状腺での、髄様がん;(iv)皮膚での、乾癬;創傷治癒;(v)肺での、サルコイドーシス及び結核;(vi)腎臓での、慢性腎臓病、低リン血症 VDRR、ビタミンD依存性くる病;(vii)骨での、抗けいれん治療、骨線維形成不全症、嚢胞性線維性骨炎、骨軟化症、骨粗鬆症、骨減少症、骨硬化症、腎性骨萎縮症、くる病;(viii)腸内での、グルココルチコイド拮抗作用、特発性高カルシウム血症、吸収不良症候群、脂肪便、熱帯性スプルー;(ix)自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
実施形態において、ビタミンD化合物のレベルの調節から恩恵を受ける疾患は、がん、皮膚疾患(例えば、乾癬)、副甲状腺疾患(例えば、副甲状腺機能亢進症及び二次性副甲状腺機能亢進症)、骨疾患(例えば、骨粗鬆症)並びに自己免疫疾患から選択される。実施形態において、ハードカプセル25-ヒドロキシビタミンD製剤は、SARS-CoV-2感染の治療に使用され得る。実施形態において、ハードカプセル製剤は、慢性腎疾患、任意選択で、ステージ3、4、又は5のCKD、任意選択で、ステージ3又は4のCKD、任意選択で、ステージ5のCKDを有する患者、及び、任意選択で、血液透析を受けている患者における続発性副甲状腺機能亢進症の治療に使用され得る。25-ヒドロキシビタミンDのハードカプセル製剤は、血清iPTHレベルの低下に使用され得る。
【0094】
限定するものではないが、本明細書に記載の製剤及び剤形は、慢性腎疾患(ステージ3、4、又は5)及び続発性副甲状腺機能亢進症の患者を治療するため、並びにビタミンD不足及びCOVID-19に関連する症状を治療するために使用され得る。この製剤は、CKD患者における副甲状腺ホルモンの有効な低減を達成するため、及び/又はSARS-CoV-2に感染した患者を治療するために、長時間にわたってカルシフェジオールの放出を制御するのに特に有用である。
【0095】
本明細書に記載の25-ヒドロキシビタミンDの投与及びCOVID-19の治療は、追加の治療法の存在下又は非存在下で行われ得る。一例として、ビタミンD作用を増強するための薬剤、例えば、25-ヒドロキシビタミンD化合物及び1,25-ジヒドロキシビタミンD化合物の異化作用を遅らせることができるCYP24阻害剤を投与することができる。
【0096】
本明細書に記載の製剤を用いた療法又は治療の対象は、哺乳動物、好ましくは、ヒトであり得る。
【0097】
現在開示されている方法に関して、25-ヒドロキシビタミンD化合物の量は、治療期間中、対象において少なくとも50ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。任意選択で、その量は、治療期間中に少なくとも60ng/mLの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。この方法は、治療の最初の24時間で、例えば、少なくとも50ng/mL以上、又は少なくとも60ng/mL以上の血清レベルを達成することを含み得る。実施形態において、治療中の血清レベルは、200ng/mL以下、又は100ng/mL以下であり得る。例えば、この方法は、治療の最初の24時間で、少なくとも50ng/mLかつ100ng/mL未満の血清レベルを達成することを含み得る。様々な例において、その量は、対象において、60ng/mL超、例えば、70ng/mL超、80ng/mL超、90ng超、100ng/mL超、125ng/mL超、150ng/mL超、175ng/mL超、200ng/mL超、250ng/mL超、300ng/mL超、350ng/mL超、400ng/mL超、450ng/mL超、又は治療期間中最大500ng/mLまで、又は約50ng/mL~約100ng/mLの範囲、又は約60ng/mL~約100ng/mLの範囲、又は60ng/mL超~約100ng/mLの範囲の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成及び維持するのに有効である。
【0098】
様々な態様において、25-ヒドロキシビタミンD化合物は、例えば、毎日(1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回)、週3回、週2回、2日毎、3日毎、4日毎、5日毎、6日毎、毎週、隔週、3週間毎、毎月、又は隔月を含む任意のレジメンに従って投与される。
【0099】
場合によって、本明細書に記載のハードカプセル製剤を使用する方法は、25-ヒドロキシビタミンD化合物の1回以上の維持用量の前に、対象に投与される25-ヒドロキシビタミンD化合物の負荷用量を含む。様々な態様において、負荷用量は、約90μg、又は少なくとも100μg、又は少なくとも200μg、又は少なくとも250μg超、又は約250μg超、又は約500μg超である。任意選択で、負荷用量は、約1200μg以下、1000μg以下である。様々な態様において、負荷用量は、約90μg~約250μg、又は約500μg~約900μg、約500μg~約800μg、約500μg~約700μg、約500μg~約600μg、600μg~約1000μg、約700μg~約1000μg、約800μg~約1000μg、又は約900μg~約1000μgである。様々な例において、負荷用量は、少なくとも又は約900μg±90μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。前述の用量のいずれも、約25%のバイオアベイラビリティを有する徐放経口製剤として投与され得る。実施形態において、負荷用量は、最初の用量、例えば、1日目の用量であり得る。他の実施形態において、負荷用量は、分割用量で、例えば、1日以上、例えば、1~5日、又は2~5日の期間にわたって投与される。例えば、負荷用量は、2日以上又は3日間にわたって投与され得、例えば、900μgの負荷用量が、1、2、及び3日目は1日当たり300μgとして、続いて、本明細書に記載の維持用量が投与され得、又は、900μgの負荷用量が、1日目及び2日目は1日当たり450μgとして、続いて、本明細書に記載の維持用量が投与され得る。実施形態において、負荷用量は、絶食状態で投与される。
【0100】
様々な態様において、1日以上の維持用量は、少なくとも25μg、又は少なくとも30μg、又は30μg超、又は約50μg超の25-ヒドロキシビタミンD化合物である。任意選択で、各維持用量は、100μg未満又は約100μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。様々な例において、各維持用量は、約50μg~約100μg、約50μg~約80μg、約50μg~約70μg、約50μg~約60μg、約60μg~約100μg、約70μg~約100μg、約80μg~約100μg、又は約90μg~約100μgである。様々な例において、各維持用量は、約60μg~約±6μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。前述の用量のいずれも、約25%のバイオアベイラビリティを有する徐放経口製剤として投与され得る。実施形態では、維持用量は、絶食状態で投与される。維持用量を毎日投与するか、毎日の維持用量を1日を通して分割用量で投与するか、又は同等量の25-ヒドロキシビタミンDを毎日より少ない頻度で、例えば、毎日30μgの代わりに、1日おきに60μg、又は毎日30μgの代わりに、毎週約210μg投与され得る。
【0101】
負荷量及び維持量は、対象の体重に基づいて、すなわち比較的高いBMIレベルを有する患者が比較的多くの25-ヒドロキシビタミンDを受け取るように、更に調整され得る。
【0102】
負荷用量及び維持用量は、対象の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルに基づいて、更に調整され得る。例えば、ビタミンD不足又は欠乏ではないが、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが50ng/ml又は60ng/ml未満である患者は、ビタミンD不足又は欠乏である対象よりも比較的低い量の負荷量を受け取り得る。
【0103】
用量、例えば、負荷用量及び/又は維持用量は、少なくとも40ng/ml、又は少なくとも50ng/ml、又は少なくとも60ng/ml、例えば、40ng/ml~100ng/ml、又は50ng/ml~200ng/ml、50ng/ml~100ng/ml、又は60ng/ml~100ng/ml、又は40ng/ml~80ng/mlの範囲の対象の血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを維持する量で提供され得ることが企図される。
【0104】
様々な例において、方法は、任意選択で、少なくとも3日間、5日間、1週間、10日間、12日間、13日間、2週間、19日間、20日間、3週間、26日間、4週間、又はそれ以上の毎日の維持用量を対象に投与することを含む。任意選択で、方法は、対象に900μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物の負荷用量を投与した後、少なくとも1週間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、少なくとも20日間、又は少なくとも26日間、毎日の維持用量を投与することを含む。様々な例において、毎日の維持用量は、60μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物であり得る。任意選択で、そのような方法は、少なくとも13日間、又は少なくとも2週間、又は少なくとも19日間、又は少なくとも20日間、任意選択で、少なくとも3週間、又は少なくとも26日間、又は少なくとも4週間、毎日維持用量を投与することを含む。
【0105】
絶食状態では、対象の体重に応じて(体重が重いほど、血清総25-ヒドロキシビタミンDの予想される増加がより低くなる)、900μgのRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル(バイオアベイラビリティ約25%)の負荷用量により、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルが約10時間以内に約20ng/mL~30ng/mL上昇する。Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの毎日の60μg維持用量は、血清総25-ヒドロキシビタミンDを更に0.6ng/mL増加させる。約25ng/mLのベースライン血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを有する対象は、負荷投与後に約45ng/mL~55ng/mLレベルに達し、14日間の維持後に約53~63ng/mLに達し、絶食状態で投与した場合、26日間の維持投与後に61~71ng/mLに達する。他の実施形態において、方法及び製剤は、初回投与後の最初の24時間で、少なくとも50ng/mL、又は少なくとも60ng/mL、及び最大200ng/mL、又は最大100ngの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを提供するように選択され得る。
【0106】
摂食状態では、血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルは、絶食状態と比較して、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの投与後、約3~4倍増加する。この理由から、及び投与による吸収の一貫性を改善するために、全ての投与は、就寝時(対象の最後の食事から少なくとも約3時間後、任意選択で、最後の食事から少なくとも約4時間後と定義される絶食状態)に行うことができることが企画される。
【0107】
経口で及び他の投薬経路を介する他の製剤の用量は、バイオアベイラビリティ及び/又は薬物動態に基づいて、当業者によって調整され得る。例えば、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルは、約25%のバイオアベイラビリティを有するために、3倍のバイオアベイラビリティを有する別のタイプの製剤の負荷用量は、製剤によって送達される約63μgの生物学的に利用可能な量の25-ヒドロキシビタミンD、又は約125μg超の生物学的に利用可能な量を超え得る。任意選択で、負荷用量は、製剤によって送達される約250μg未満の25-ヒドロキシビタミンDの生物学的に利用可能な量である。様々な態様において、負荷用量は、約125μg~約300μg、約125μg~約225μg、約125μg~約200μg、約125μg~約175μg、約125μg~約150μg、約150μg~約250μg、約175μg~約250μg、約200μg~約250μg、又は約225μg~約250μgの生物学的に利用可能な量である。同様に、1つ以上の維持用量は、少なくとも約7μg、又は7μg超、又は約12μg超の生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDであり得る。任意選択で、各維持用量は、約25μg未満又は約25μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な例において、各維持用量は、約12μg~約25μg、約12μg~約20μg、約12μg~約17μg、約12μg~約15μg、約15μg~約25μg、約17μg~約25μg、約20μg~約25μg、約22μg~約25μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDであり得る。様々な例において、各維持用量は、そのような製剤における約15μg±1.5μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。
【0108】
別の観点から、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルは、約25%のバイオアベイラビリティを有するため、投与量は、任意のタイプの製剤における25-ヒドロキシビタミンDのバイオアベイラブル量に基づいて表され得る。様々な態様において、負荷用量は、約22μg超、又は少なくとも25μg超、又は少なくとも50μg超、又は少なくとも62μg超、又は約62μg超、又は約125μg超の生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。任意選択で、負荷用量は、約250μg未満である。様々な態様において、負荷用量は、約22μg~約62μg、又は約125μg~約225μg、約125μg~約200μg、約125μg~約175μg、約125μg~約150μg、約150μg~約250μg、約175μg~約250μg、約200μg~約250μg、又は約225μg~約250μgである。様々な例において、負荷用量は、少なくとも又は約225μg±22μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。前述の用量のいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。様々な態様において、毎日1回以上の維持用量は、少なくとも6μg、又は少なくとも7μg、又は7μg超、又は約12μg超の生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。任意選択で、各維持用量は、約25μg未満又は約25μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な例において、各維持用量は、約12μg~約25μg、約12μg~約20μg、約12μg~約18μg、約12μg~約15μg、約15μg~約25μg、約17μg~約25μg、約20μg~約25μg、又は約22μg~約25μgの生物学的に利用可能な25-ヒドロキシビタミンDである。様々な例において、各維持用量は、約15μg±1.5μgの25-ヒドロキシビタミンD化合物である。前述の用量のいずれも、絶食状態で、例えば、就寝時を含む食事の少なくとも3時間後に、食物なしで投与され得る。
【0109】
ビタミンDホルモンの細胞内レベルが急速に上昇又は過剰になると、ビタミンD受容体を含む細胞におけるCYP24A1として知られるシトクロムP450酵素の発現が刺激される。CYP24A1酵素は、1,25-ジヒドロキシビタミンD、25-ヒドロキシビタミンD、及びビタミンDを高い特異性で異化し、それによって正常な細胞内ビタミンDホルモンレベルを回復する。これは、ビタミンDホルモンへの過剰で潜在的に有害な局所曝露を制限する重要なフィードバックメカニズムである。したがって、CYP24A1の発現をアップレギュレートすることなく、25-ヒドロキシビタミンDを投与することが企図される。一方、必要に応じて、25-ヒドロキシビタミンDの利用可能性、例えば、ビタミン欠乏症Dの是正に基づいて、迅速な応答、例えば、免疫応答を提供するために、投与の最初の24時間以内に血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを、例えば、少なくとも50ng/mL、又は50ng/mL超、又は少なくとも60ng/mL、又は60ng/mL超、及び任意選択で、最大200ng/mL、又は100ng/mLに安全に上昇させることが企図される。同様に、本明細書の方法で使用する製剤は、例えば、4~24時間、又は4~18時間、又は4~16時間、又は4~12時間、又は4~8時間の範囲のインビボTmaxを提供できることが企図される。
【0110】
患者のビタミンD代謝物比(VMR、血清24,25-ジヒドロキシビタミンD3と血清25-ヒドロキシビタミンD3の比、又は24,25-ジヒドロキシビタミンD3と血清25-ヒドロキシビタミンD3の比の100倍として計算される、ビタミンD3タイプの生成物、例えば、25-ヒドロキシビタミンD3の投与後)が、CYP24A1の誘導の指標として使用され得る。Strugnell SA,Sprague SM,Ashfaq A et al.“Rationale for Raising Current Clinical Practice Guideline Target for Serum 25-Hydroxyvitamin D in Chronic Kidney Disease”Am.J.Nephrol.2019;49(4):284-293を参照されたい。Strugnellらは、ビタミンD欠乏症及びSHPTを有し、26週間にわたって30又は60μgのERCで治療されたステージ3及び4のCKD患者において、平均治療後のVMRが、CYP24A1の実質的な誘導がなかったことを示唆する中程度(最大4.8)しか上昇しなかったことを示した。同様に、以下の実施例7に記載されるように、ビタミンD欠乏症及びSHPTを有し、60μgのERCで8週間治療されたステージ3及び4のCKD患者において、治療後の平均VMRはまた、5未満(最大約4.2)のままであった。25-ヒドロキシビタミンDの投与後のVMRは、用量依存的である。十分に高用量の25-ヒドロキシビタミンD、特に徐放性25-ヒドロキシビタミンDが投与される場合、VMRはより高いレベルを達成できる。同様に、25-ヒドロキシビタミンDを十分頻繁に繰り返して投与すると、VMRは、時間の経過とともに増加し、望ましいレベルよりも高いレベルに達し得る。更に、25-ヒドロキシビタミンDの十分に迅速かつ強力な送達により、VMRの速度は比例的に増加する。したがって、一態様において、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが少なくとも28日の期間、更に任意選択で、維持投与期間中にわたって実質的に一定のままである投与計画を採用する。別の態様において、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが少なくとも28日の期間、更に任意選択で、維持投与期間中にわたって減少する投与計画を採用する。別の態様において、本明細書の治療方法は、任意選択で、例えば、28日の期間の、VMRの変化率が、即時放出により投与される生物学的等価量の25-ヒドロキシビタミンのVMRの変化率未満の徐放性投薬計画を採用する。別の態様において、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが12を超えない、又は11を超えない、又は5を超えない、又は4.8を超えない投薬計画を採用する。他の態様において、本明細書に記載のように、患者がビタミンD不足を是正し、少なくとも50ng/mlの血清総25-ヒドロキシビタミンDレベルを達成することから利益を得ることができることを認識し、本明細書の治療方法は、VMRが負荷投与段階で4.8、又は5、又は11、又は12を超え得、維持投与段階で11を超えない、又は5を超えない、又は4.8を超えない投薬計画を採用する。更に別の態様において、本明細書の治療方法は、任意選択で、VMRが、負荷投与段階で12を超えない(例えば、4~12の範囲)、維持投与段階で11を超えない(例えば、3~11の範囲)投与計画を採用する。
【0111】
本明細書に記載の製剤のいずれにおいても、ハードシェルカプセル剤形又はその使用は、投与後最初の24時間以内での少なくとも7ng/mlで、30ng/mlを超えない、又は少なくとも8ng/mlかつ16ng/mlを超えない、又は少なくとも10ng/mlかつ14ng/mlを超えない血清総25-ヒドロキシビタミンDの上昇を提供するように設計され得る。任意選択で、そのような上昇は、少なくとも30μg、又は少なくとも300μg、又は少なくとも350μg、又は少なくとも400μg、例えば、30μg~1800μg、又は450μg~1800μg、又は30μg~1000μg、又は30μg~300μgの名目投薬量の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールで達成され得る。バイオアベイラビリティを説明する有効用量の観点から、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの1つのタイプの投与量は、投与後最初の24時間のバイオアベイラビリティに基づいて、約30μg~約130μgの範囲であり得ることが企図される。投与後42日間の範囲にわたって計算された10%のバイオアベイラビリティを有する製剤の場合、有効用量は、45μg超、少なくとも50μg、少なくとも60μg、少なくとも70μg、少なくとも80μg、又は少なくとも90μg、例えば、50μg~180μgの範囲、又は70μg~110μgの範囲である。別のタイプの実施形態において、剤形は、投与後最初の24時間で3ng/ml未満の成人ヒトにおける血清総25-ヒドロキシビタミンDの上昇を提供する。
【0112】
ハードカプセル剤形は、参照Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルとの生物学的同等性によって特徴付けられ得る。例えば、ハードカプセル剤形は、米国FDA基準及び2021年3月付けのカルシフェジオールに関するFDAのドラフトガイダンスに従って、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルと生物学的に同等であり得る。要約すると、例えば、生物学的同等性は、単回投与、2回の治療、2期間のクロスオーバーを使用した、健康な男性及び妊娠していない、授乳していない女性において900mcgの用量を使用するインビボでの絶食試験で評価され得る。別の態様において、生物学的同等性は、単回投与、2期間のクロスオーバーを使用した、健康な男性及び妊娠していない、授乳していない女性において900mcgの用量を使用するインビボでの絶食試験で評価され得る。対象は、任意選択で、30ng/mL未満のベースラインのカルシフェジオール濃度を有する。対象は、任意選択で、35ng/mL未満のベースラインのカルシフェジオール濃度を有する。別の方法において、試験は、摂食状態で実行され得る。ベースライン補正されたカルシフェジオール濃度は、投与の12、6、及び0時間前に測定され得、これらの濃度の平均はベースライン補正に使用され得る。1つのタイプの実施形態において、本明細書の開示によるハードカプセル製剤は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルのベースライン調整Cmax(35.87ng/mL、又は約36ng/ml)の80%~125%の90%信頼区間(CI)を達成する。企画される別の方法では、本明細書の開示によるハードカプセル製剤は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルのベースライン調整Cmax(35.87ng/mL、又は約36ng/ml)の約74%~136%の90%CIを達成し、任意選択で、この実施形態では、ハードカプセルについての幾何平均ベースライン調整Cmaxは、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルのCmaxの80%~125%である。本明細書の開示によるハードカプセル製剤は、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)女王性カプセル(9418ng・h/mL)のベースライン調整AUC(0-∞)の80%~125%の90%CIを達成することができる。
【0113】
本明細書に記載の任意の使用又は使用方法又は治療、例えば、ステージ3、ステージ4、又はステージ5のCKDにおける続発性副甲状腺機能亢進症において、剤形を送達して、例えば、30μg用量の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを使用して、25ng/ml~98ng/mlの範囲の血清25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールのベースライン調整定常状態Cmaxを、又は、例えば、毎日の60μgの用量の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを使用して、12.5ng/ml~104.9ng/mlの範囲の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールをもたらすことができる。Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの承認につながる2つのピボタル試験におけるレスポンダー(iPTHがベースラインから30%超減少するという主要評価項目を達成した)は、毎日のRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルによる6ヶ月間の治療の終わりに、それぞれ毎日30mcgを服用していたレスポンダー及び毎日最大60mcgの用量が滴定されたレスポンダーについて、25~98ng/ml(42.18の%CV)及び12.5~104.9ng/ml(33.18の%CV)のベースライン調整定常状態血清カルシフェジオール濃度の範囲を示した。カルシフェジオールのこれらの広い有効治療濃度は、徐放性25-ヒドロキシビタミンDの効果がCmaxを狭い範囲に維持することに依存していないことを示唆している。更に、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルは、慢性疾患で毎日使用されており、Cmaxパラメータは、急性疾患を治療するのに必要な即時放出製剤ほど重要ではない。
【0114】
以下の実施例3に関連して記載されるように、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル(ERC)は、治療の第1の月の終わり(EAP1)及び30ng/mL(P<0.001)の目標を使用した治療の第2の月の終わり(EAP2)の両方で100%の血清総25-ヒドロキシビタミンD奏効率を達成した。対照的に、即時放出カルシフェジオール(IRC)は、この同じ目標を使用したEAP2で20%の奏効率を示した(図5)。目標の50ng/mLを使用すると、ERCは、EAP1で80%超の奏効率、EAP2で100%超(P<0.001)の奏効率を達成したが、血清25-ヒドロキシビタミンDをこのレベルまで上昇させることができた他の療法はなかった。EAP1及びEAP2で観察された血漿iPTH低下奏効は、図6に4つの治療グループ全てについてまとめられている。ERCの奏効率は、IRCについての回答率よりも著しく高かった。例えば、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルと生物学的に同等になるように作製された本開示によるハードカプセル製剤は、即時放出カルシフェジオールよりも同じ利点を示すことが期待される。
以下の実施例4に関連して記載されるように、カルシフェジオールは、酸性条件への曝露、特に生理学的条件の特徴である37℃の温度を含むより高い温度で分解することが示された。更に、以下の実施例5に示されるように、通常のヒプロメロースハードシェルカプセルは、そのような条件で2時間以内に溶解し得る。実施例2及び図2に関連して記載されるように、本明細書の開示によるゼラチン化ヒプロメロースハードカプセル剤形は、そのような条件下で最大2時間で溶解に抵抗し、植物ベースのソフトカプセルシェルを含むRayaldee(登録商標)の徐放性カプセルの溶解プロファイルにより厳密に一致することが示された。したがって、本明細書の開示の一態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用を企画し、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中2時間で、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含む組成物を含有し、酸性条件への剤形の曝露後に当該25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの回収の増加及び/又は分解の減少を提供する。別の態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用を企画し、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中2時間で、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含み、かつ哺乳動物に経口投与するための組成物を含有する。別の態様は、本明細書における開示のゼラチン化ハードカプセル剤形の使用を企画し、剤形は、剤形に含有される製剤中の25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールの約5%以下を酸性媒体中2時間で、任意選択で、pH1.2、又はpH1.5で、更に任意選択で、37℃で放出して、25-ヒドロキシビタミンD又はカルシフェジオールを含み、かつ剤形を酸性条件、任意選択で、例えば、pH4.5未満、又はpH4.0未満、又はpH3.5未満、又は約pH1.2~3.5の範囲、又は約pH1.5~3.5に曝露する。
【0115】
方法は、別に記載しない限り、1つ以上の追加の任意選択の要素、特徴、及び以下に更に記載される(図面に示されるものを含む)ステップのいずれかの組み合わせを含む、実施形態を含むことが企画される。
【0116】
人体に対して実施される方法の特許を禁止する管轄区域においては、組成物のヒト対象への「投与」の意味は、ヒト対象が任意の手法(例えば、経口、吸入、局所適用、注射、挿入など)で自己投与するであろう制御された物質を処方することに限定されるものとする。特許可能な主題を定義する法律又は規制に則った最も広い合理的な解釈が意図されている。人体に対して実施される方法の特許を禁止しない管轄区域では、組成物の「投与」は、人体に対して実施される方法と前述の活動の両方を含む。
【0117】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、指定されたものに加えて、他の薬剤、要素、ステップ、又は特徴を含む可能性を示す。
【実施例
【0118】
以下の実施例は、例示のために提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0119】
実施例1
以下の表に、様々な割合のパラフィンワックス及びミネラルオイル(重量%)を含む25-ヒドロキシビタミンDのHPMCハードカプセル製剤、及び関連するインビトロ溶解放出速度を示す。
【表8】
【0120】
パラフィンワックスを20%未満に(10%及び0%に)低減させ、ミネラルオイルを関連して増加させた場合、20重量%パラフィン製剤と比較して、20%のパラフィンワックスを含有する比較ソフトカプセル製剤と比較して、有意に速い放出プロファイルは提供されなかった。一方、パラフィンワックスを20%を超えて30%及び40%に増加させると、ミネラルオイルが関連して減少し、特に2時間後に、インビボ放出速度の大幅な減少が示された。
【0121】
実施例2
以下の表は、参照製剤と比較して比較的より遅い及びより速い放出を提供する、追加のワックスベースのハードカプセル製剤、植物ベースのカプセルシェルを備えたRayaldee(登録商標)タイプのソフトカプセル製剤(参照)、及び目標で変更された加工ワックスベースの植物ベースのソフトカプセル製剤の例を示す。ソフトカプセルは、加工デンプン及びカラギーナンを含有するOptiShell(登録商標)植物ベースのカプセルであった。ソフトカプセルファースト(試験1)は、賦形剤の濃度を調整することにより、参照と比較して速い放出速度を与えるように処方された。ソフトカプセルファーストバッチは、増加された量のウロイルポリオキシグリセリド及び低減された量のフィンワックスを組み込んだ。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、参照製剤と比較して固形製剤が少なく、吸収促進剤の濃度が高いマトリックス特性のこの変更は、有効成分の溶解度を高めることを意図しており、その結果、インビボでのより速い放出速度は示されなかったが、放出速度及びインビボでの吸収量を増加させる。この表はまた、16人の成人対象の各々に900μgの用量を投与して得られた薬物動態プロファイル(平均ベースライン補正血清濃度曲線から抽出、図1)を含む。
【表9】
【0122】
図1は、900μgの調節放出カルシフェジオールソフトカプセルの経口投与後の25-ヒドロキシビタミンD3曲線の関連する平均血清濃度を示す。パラフィンワックスを20%から39%に増加させることによって、参照と比較してインビトロ及びインビボでの放出が遅くなったが、パラフィンワックスを20%から5%に減少させることによっては、試験した溶解条件下でインビトロで速い放出速度は示されなかった。この結果は、パラフィンワックスが20%未満の場合、侵食メカニズムがこれらの製剤の主要な放出メカニズムではない可能性があることを示唆している。高速バッチ及び参照バッチにおけるカルシフェジオールは、同程度に可溶化され、乳化剤を追加しても溶解度は増加しなかった。吸収エンハンサーの割合を9.75%から14.75%に増加させても、試験した条件下でインビトロでは殆ど効果がなかったが、他のメカニズム、例えば、組織浸透によると考えられるインビボでの吸収は増加した。ハードカプセル及びソフトカプセルにおける遅いバッチは、インビトロで予想通りに動作した。スローバッチソフトカプセルは、インビボで期待通りに挙動した。このバッチのマトリックスは比較的堅固であり、堅固なマトリックスからの活性剤の浸食が、この製剤における主要なメカニズムである可能性がある。
【0123】
以下の表は、USP Apparatus II(シンカー付きパドル)による、上記の製剤についての溶解時間プロファイルを提供する。
【表10-1】
【表10-2】
【0124】
下の表には、ゼラチン化HPMCカプセルシェルを備えた、25-ヒドロキシビタミンDの別のハードカプセル製剤が記載されている。ジェランガムは、親水性ポリマーであり、参照ソフトカプセル製剤の植物性カプセルシェルに使用されるカラギーナンと同様の特性を有する。ゼラチン化HPMCカプセルは、非ゼラチン化HPMCカプセルよりも胃内でのより遅い破裂/崩壊時間を有する。
【表11】
【0125】
上記の参照ソフトカプセル製剤の場合のように、20%の代わりに27.95%のワックスのレベルでのパラフィンワックスを使用し、ミネラルオイル及びモノグリセリド及びジグリセリドの濃度をわずかに変更させた。マトリックス充填剤は、カプセル当たり170mgの代わりに155mgに低減され、組成物は、サイズ4のゼラチン化HPMCカプセルシェルに充填された。
【0126】
ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤、参照ソフトカプセル製剤、及び上記の試験4製剤についてのインビボ溶解プロファイル(75RPMでのUSP装置II(シンカー付きパドル)、5mMリン酸二水素ナトリウム一水和物中の0.5%SDSの媒体を含む、pH6.8、37±0.5℃、容量500ml)を以下の表に示す。
【表12】
【0127】
同様に、変更されたインビトロ溶解法を使用して、カプセルの溶解を測定し(容器中2つのカプセル、900mlの媒体、及び60RPM)、結果を以下の表に示す(5つの参照バッチの平均)。
【表13】
【0128】
2段階溶解法をまた、使用し(pH1.2で2時間、その後pH6.8に移す)、結果を以下及び図2に示す(3つの参照バッチの平均、ダイヤモンドマーカー、対ゼラチン化HPMC製剤、三角マーカー)。ゼラチン化ハードカプセル製剤の溶解プロファイルは、植物ベースのソフトカプセル製剤の溶解プロファイルとほぼ一致している。
【表14】
【0129】
ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤及び参照ソフトカプセル製剤は、絶食状態で対象に投与される。ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤の投与により得られた薬物動態の値及びプロファイル(Cmax、AUC、Tmax)は、上記のように、非ゼラチン化HPMCハードカプセル製剤の投与により得られた値及びプロファイルと比較して、参照製剤の投与により得られた値及びプロファイルによりよく一致する。
【0130】
実施例3
ERC(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル)、IRカルシフェジオール(「IRC」)、高用量コレカルシフェロール(「HDC」)、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロール(「PLDC」)を用いた試験が、続発性副甲状腺機能亢進症(SHPT)、ステージ3又は4の慢性腎臓病(CKD)、及びビタミンD欠乏症の成人患者において実施される。
【0131】
これは、ERC、IRカルシフェジオール、高用量コレカルシフェロール、及びパリカルシトールと低用量コレカルシフェロールを評価する比較データを収集するためのオープンラベル試験である。適格な対象は、1:1:1:1の割合で無作為に割り付けられ、カプセルを飲み込むのに十分な量のノンアルコール飲料とともに、リストされた治験薬の1つによる8週間の治療を受けた:
1)フェーズ1ユニットでの朝食前の朝に投与が行われた1日目及び29日目を除く、就寝時に1日1回の60μgのERCカプセル、
2)フェーズ1ユニットでの1日目及び29日目の朝の朝食前の266μgのIRカルシフェジオール、
3)フェーズ1ユニットでの1日目及び29日目の朝の朝食前のコレカルシフェロール300,000IU(高用量)、
4)フェーズ1ユニットでの朝食前の朝に投与が行われた1日目及び29日目を除く、朝食前の朝の1日1回の1μgのパリカルシトール(恐らく、29日目に2μgに増加)とコレカルシフェロール800IU(低用量)。4週間の治療後、パリカルシトールを投与された対象は、朝食前の朝に1日1回、用量を2μgとコレカルシフェロール800IUとの2倍に増加され、ただし、(a)血漿iPTHは、治療前のBLから少なくとも30%減少せず、70pg/mLを超えたままであり、(b)補正血清カルシウムは、<9.8mg/dLであり、(c)血清リンは、<5.5mg/dLである。
【0132】
対象は、必要な血液試料を提供するために、試験開始時及び試験29日目に約14~26時間、フェーズ1ユニットに収容された。
【0133】
試験前にカルシトリオール又は他の1α-ヒドロキシル化ビタミンD類似体又はビタミンD補給による治療を受けた対象は、ベースライン(BL)評価の前に4週間のウォッシュアウト期間を完了し、試験期間中、これらの非試験薬を使用なかった。対象は、スクリーニング前の12週間以内にカルシウム模倣療法を受けた場合、登録から除外された。
【0134】
血液試料は、スクリーニング及びBL期間中及び8週間の治療期間中、全ての対象から1週間間隔で収集された。対象は、試験中、食事カウンセリングと、必要に応じて、処方された毎日のカルシウムサプリメントとによって、1日当たり約1,000~1,500mgの元素カルシウムの食事摂取量を維持した。
【0135】
対象は、血漿iPTHが<30pg/mLであることが確認された場合、補正された血清カルシウムが>10.3mg/dLであることが確認された場合、又は血清リンが>5.5mg/dLであることが確認された場合、以下のスケジュールに従って治験薬の用量を低減される。被験者は、血漿iPTHが15pg/mL未満であることが確認された場合、又は補正された血清カルシウムが11.0mg/dL超であることが確認された場合、投与を中断し、血漿iPTHが30pg/mL以上であり、かつ補正血清カルシウムが9.8mg/dL未満である場合、以下の投与スケジュールに従って、投与を再開する。
ERC:1日当たり30μgに減少する(1日当たり60からμgから)
IRカルシフェジオール:29日目の用量を保留する
コレカルシフェロール300,000IU:29日目の投与を保留する
パリカルシトール:用量を1日当たり1μgに減少させる(1日当たり2μgから)
コレカルシフェロール800IUは、調整されない
ERCの最小用量(1日当たり30μg)又はパリカルシトール(1日当たり1μg)を受ける対象について用量低減が必要なイベントにおいて、対象は、投与を中断し、iPTHが30pg/mL以上であり、かつ補正血清カルシウムが同じ最小用量で9.8mg/dL未満である場合に再開する。
投与再開(必要に応じて):
ERC:1日当たり30μg
1日当たり1μgのパリカルシトール
【0136】
時間の関数としての平均血清総25-ヒドロキシビタミンD濃度を図3に示す(ERCグループはひし形、IRカルシフェジオールグループは三角形、コレカルシフェロールグループは円形、パリカルシトール+コレカルシフェロールグループは四角形)。ERCグループは50ng/ml超かつほぼ90ng/mlの血清濃度を達成したが、そのグループについてのVMRは5未満(最大平均値は治療終了時の約4.2)のままであった。時間の関数としてのVMRを図4に示す。
【0137】
ERC治療は、30ng/mL(P<0.001)の目標を使用して、治療の最初の1ヶ月の終わり(EAP1)及び治療の2ヶ月の終わり(EAP2)の両方で100%の血清総25-ヒドロキシビタミンD奏効率を達成した。対照的に、HDC、IRC、及びPLDCは、この同じターゲットを使用したEAP2で、それぞれ44%、20%、及び14%の奏効率を示した(図5)。目標の50ng/mLを使用すると、ERCは、EAP1で80%超の奏効率、EAP2で100%(P<0.001)の奏効率を達成したが、血清25-ヒドロキシビタミンDをこのレベルまで上昇させることができた他の療法はなかった。全てのグループにおける対象によりEAP2で達成された血清25-ヒドロキシビタミンDレベルは、体重及びBMIとの有意な逆相関を示した。
【0138】
EAP1及びEAP2で観察された血漿iPTH低下奏効が、図6における4つの治療グループ全てについてまとめられている。EAP2でのERCについての奏効率は方向的により低かったが、「奏効」が治療前のベースラインから10、20又は30%以上の低減として定義されているかどうかに関係なく、PLDCの奏効率と有意な差はなかった。EAP2でのHDC及びIRCによる奏効率は更に低かった(P<0.05)。「奏効」を定義するための10%以上のしきい値を使用すると、ERC及びPLDCは、EAP2での奏効率がそれぞれ76.5%及び85.7%であり、これは、他の2つの治療グループよりもかなり高かった(P<0.05)。20%以上のしきい値を使用すると、IRC及びHDCグループについてのそれぞれ20.0%及び37.5%の奏効率と比較して、ERC及びPLDCは、EAP2の奏効率がそれぞれ70.6%及び78.6%であった(P<0.05)。30%以上のしきい値を使用すると、ERCは、PLDCについての64.3%(P=NS)、IRCについての6.7%(P<0.01)、HDCについての25.0%(P<0.5)と比較して、EAP2で41.2%の奏効率を達成した。
【0139】
本明細書の開示によるゼラチン化ヒプロメロースカプセル剤形、特に、Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルと少なくとも実質的に生物学的に同等のものは、ERC剤形と実質的に同じ25-ヒドロキシビタミンD奏効率及び血漿iPTH低下奏効を示す。
【0140】
実施例4
カルシフェジオールの安定性は、30μgのカルシフェジオール徐放性カプセルを使用して、周囲/光条件及び暗条件、37℃、20℃、及び10℃での酸性溶解媒体で試験された。結果を以下の表にまとめている。カルシフェジオールは、pH1.2の媒体中では非常に不安定であることが判明し、37℃で6時間後に約90%の分解が観察された。中和後、安定性が大幅に改善された。
【表15】
【0141】
実施例5-比較例
様々なカプセルシェルに基づく様々なカルシフェジオール徐放剤形の一連の溶解試験が行われて、例えば、哺乳類の胃腸管における、内様々なpH条件の媒体での放出特性、及びこの場合カルシフェジオールにおける、活性25-ヒドロキシビタミンD成分に関する関連する効果がよりよく理解された。
【0142】
5a
12個の30mcgのRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルの溶解速度を、アルコールを含む酸性媒体において監視した。試験は、37℃の酸性媒体(0.1NのHCl)で、パドルを100rpmで2時間使用し、15分毎にプルポイントを用いて、以下の4つのグループにおいて、各々12個のカプセルを使用して実施した:(1)溶解溶液中にアルコールなし;(2)溶解溶液中に5%v/vのエタノール;(3)溶解溶液中に20%v/vのエタノール;(4)40%v/vのエタノール。検出は、UVを用いたUPLCによるものであった。
【0143】
酸性媒体中並びに5%及び20%のエタノールを含有する酸性媒体中での2時間の時点でさえ、カルシフェジオールは放出されなかった。少量のカルシフェジオール(30mcgのラベルクレームの約2~3%)は、40%のエタノールを含有する酸性媒体中に放出されたが、全てのプルポイントで定量限界(30mcgのカプセルについてラベルクレームの5%)未満のレベルであった。試験中に行われた目視観察により、結果が確認された。2時間後、元のカプセルの青色のコーティングが溶解し、溶解容器の底のシンカー内に充填材料がそのままで残っていることが観察された。
【0144】
5b
溶解試験は、各々において6回の複製を使用して、以下の2セットの試料で実施された:(1)30mcgのRayaldee(登録商標)徐放性カルシフェジオールカプセル;(2)Rayaldee(登録商標)タイプのワックスベースの充填剤を含有する非ゼラチン化ヒプロメロースに基づく30mcgのカルシフェジオールカプセル。充填剤は、両方の試料で同じであった。ヒプロメロースシェルを含む剤形は、サイズ3のカプセルであり、170mgの充填剤(植物ベースのソフトカプセルシェルにおけるRayaldee(登録商標)カルシフェジオール徐放性カプセルと同じ充填剤の量)を含有していた。
【0145】
pH6.8の緩衝溶解媒体中での溶解試験を、1、2、3、4、5、6、7、8、10、及び12時間のサンプリングポイントを用いて、全ての試料で実行した。
【0146】
上記グループ(1)の試料について酸性溶解試験を実行した。0.5%のSDSを含む500mLのHCl酸性緩衝液pH1.2を溶解媒体として使用した。ドデシル硫酸カリウムの沈殿を避けるために、塩化カリウムの代わりに塩化ナトリウムを使用したことを除いて、USPに従って緩衝液を調製した。酸性溶液中でのカルシフェジオールの不安定性が高いため、試料を、1、2、3、4、5、6、7、8、10、及び12時間の試料抽出の時間に酢酸ナトリウム(水中150μLの273mg/mLの酢酸ナトリウム)を用いて中和/安定化した。
【0147】
全ての試料で2段階の溶解試験を実行した。最初の酸性段階を、直前の酸性溶解試験において記載されるように、500mLのHCl酸性緩衝液pH1.2で実行した。サンプリング時点は、1時間及び2時間であった。試料をまた、直前の酸性溶解試験で記載されたものと同じ酢酸ナトリウム溶液で中和/安定化した。2時間後、容器からカプセルを取り出し、媒体を500mLのリン酸緩衝液pH6.8に置換した。第2段階を、1、2、3、4、5、6、7、8、10、及び12時間後でのサンプリングポイントを用いた溶解媒体置換直後に実行した。
【0148】
図7は、pH6.8の媒体(左)及び2段階の溶解手順(右)におけるヒプロメロースカプセル試料(平均6個)の溶解プロファイルを示す。図8は、pH6.8の媒体(左)、2段階の溶解手順(中央)、及びpH1.2の媒体(右/下)における野菜カプセル試料(各平均6個)の溶解プロファイルを示す。
【0149】
ヒプロメロースカプセル剤形のシェルは、試験した両方の溶解媒体(pH6.8及びpH1.2)において約30~60分後に崩壊した。カプセル残留物を2段階の溶解手順中の酸性段階後にpH6.8媒体に移すと、シェルは完全に崩壊したように見え、その時点でシンカー中ではカプセル充填残留物のみが観察された。いずれの溶解試験の終了時のいずれの容器にも、残留充填材料は残っていなかった。
【0150】
30mcgのRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルのシェルは、pH6.8の溶解媒体中で約1~2時間後及び酸性媒体中で約2時間後に崩壊した。2段階の溶解での溶解媒体変化中に、シェルは、完全に又はほぼ完全に溶解したように見え、充填剤表面の(元のシェルの色からの)不連続な青色着色のみが観察された。一部の容器では、pH6.8の溶解試験、pH1.2の試験、及び2段階の溶解試験の最後に、少量の充填残留物が検出された。
【0151】
pH6.8の媒体でのヒプロメロースカプセルの溶解速度は、特に最初の2時間(2段階の溶解試験の酸性段階に対応)でより速いように見えた。最終的なカルシフェジオール放出はまた、2段階の溶解後よりもpH6.8の媒体でより高かった。これは、酸性段階中に一部のカルシフェジオールが分解された可能性を示している。これらの試験からは、対応するpH6.8の媒体溶解の期間と比較して酸性段階での溶解が遅いのは、カルシフェジオールの分解に起因するか、又は、例えば、シェルの崩壊が遅いのに起因するか、充填材料からの放出が遅いのに起因するのかは明らかではなかった。
【0152】
実施例6-比較例
30μg強度のRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性出カプセルが、異なる酸性特性の溶解媒体における溶解放出特性について試験された。
【0153】
溶解試験を、0.5%のSDSを添加した塩酸緩衝液pH1.2及び酢酸緩衝液pH4.5の2つの異なる媒体において実行した。緩衝溶液を、1つの変更(ドデシル硫酸カリウムが沈殿するため、塩酸緩衝液の場合、塩化カリウムの代わりに塩化ナトリウムを使用した)が加えられたUSP(緩衝溶液p.2165)に従って調製した。pH1.2の媒体でのカルシフェジオールの不安定性のために、これらの試料は、試料抽出のときに酢酸ナトリウムの溶液(273mg/mLの溶液150μL)で中和された。pH1.2の溶出試験の結果は、中和剤の添加による希釈のために補正された。
【0154】
試験を、各媒体において6回繰り返して実行した。溶解時点は次のように設定された:公称パドル速度75RPMで1-2-3-4-5-6-8-10-12時間、その後、それは250RPMに変更され、13時間での試料を取り上げた。
【0155】
pH1.2及び4.5の試験の溶解プロファイルを、それぞれ図9及び図10に示す。pH1.2の媒体でのカルシフェジオールの分析値が低いのは、溶解実行中にこの媒体でカルシフェジオールが分解される事実によるためである。
【0156】
実施例7
比較のため、本明細書の開示による強度30μgのカルシフェジオールゼラチン化ハードカプセル製剤、及び強度30μgのRayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセルに関して、2段階の溶解試験を実行した。
【0157】
ハードカプセル充填物は、以下の製剤を有した:
【表16】
【0158】
ホット充填製剤のバッチがカプセル化手順中に変更され、溶解特性における変化がもたらされる可能性があるかどうかも試験するために、カプセル化プロセスの開始、中間、及び終了からの試料を個別に試験した。
【0159】
溶解装置は、75RPM及び37±0.5℃で動作される、USP装置2、JPシンカーを備えたパドルであった。酸性段階の溶解媒体は、0.5%のSDS、pH1.2中の0.1NのHClであった。5nMのリン酸ナトリウム緩衝液中の0.5%のSDS、500mLをpH6.8の溶解媒体として使用した。容器ごとに1つのカプセルを使用し、12の複製を試験した。酸性媒体中での2時間後、カプセルを容器から取り出し、媒体を500mLのリン酸緩衝液pH6.8に置換した。
【0160】
結果を図11に示す。
【0161】
実施例8
健康な成人対象におけるゼラチン化ヒプロメロースハードシェルカプセル(試験産物)を使用して、カルシフェジオール30mcg徐放性ハードカプセルの経口バイオアベイラビリティを比較する試験を行う。
【0162】
この試験の目的は、絶食条件下で900mcgの単回経口投与後に試験産物と参照産物(Rayaldee(登録商標)(カルシフェジオール)徐放性カプセル30mcgソフトカプセル)のバイオアベイラビリティを比較すること、試験産物のバイオアベイラビリティに関する食物の影響を評価及び比較すること、及び参照対参照intrasubjectCVを推定することである。試験の主要エンドポイントは、ベースライン調整されたカルシフェジオールの薬物動態(PK)パラメータCmax AUC0-336である。
【0163】
この試験は、単一センター、無作為化、単回投与、実験室ブラインド試験として設計されている。適格な対象は、次のように2:2:1:1で無作為化される:
【表17】
【0164】
包含基準には、18.5kg/m2~30.0kg/m2の肥満度指数;60kg以上の体重;非喫煙者又は元喫煙者;及び10以上かつ35ng/mL以下又は25以上かつ87nmol/L以下の血清25-ヒドロキシビタミンDレベルが含まれる(生物医学研究所で使用される単位による)。
【0165】
除外基準には以下が含まれる:治験薬投与60日前のカルシフェジオールの摂取;治験薬投与28日前のIPの摂取;治験薬投与10日前から、ビタミンD含有量が非常に高い飲食物の摂取を避けることができない;治験薬投与10日前から、ビタミンD含有量が比較的高い飲食物の過剰摂取(すなわち、1日2回以上)を避けることができない;治験薬投与28日前以内に日当たりの良い目的地(例えば、米国南部及び中央アメリカ)に旅行した、又は治験中にそのような目的地への旅行を計画している、屋外での職業に就いている、又は治験中に長時間の屋外活動への参加を計画している;並びに治験薬投与10日前以内の日光浴及び日焼け用ベッドの使用。
【0166】
900mcgのカルシフェジオール(30×30mcgの徐放性カプセル)の単回経口用量が、朝投与される。各対象ついて、全てのスケジュールされた投与後の活動及び評価が、治験薬物投与の時間に対して実行される。
【0167】
割り当てられた製剤の経口用量は、5分以内に対象に投与される。対象には、一度に最大3カプセルの治験薬が、周囲温度で約240mLの水とともに、必要に応じて、最大240mLの追加量の水とともに、投与される。投与時間は、最初のカプセルが対象に投与される時間として設定される。完全な投与手順は5分以内に完了するが、許可された時間枠外で最大2分間実行された投与手順は、プロトコルの逸脱とはみなされないが、文書化される。開始時刻及び終了時刻、並びに治験薬投与中に摂取された水の量が記録される。カプセルは、噛んだり壊したりされずに丸ごと飲み込まれる。
【0168】
各拘束期間中、及び全ての対象について、食物摂取量が制御される。拘束中に提供される食事は、外因性カルシフェジオールのレベルを低減させるためにビタミンD含有量が低くなっている。次のアイテムは、参加者に配給される食事には含まれていない:魚介類;卵黄;豆腐;大豆、アーモンド又は米の飲み物;チーズ;きのこ;牛レバー;ビタミンDを強化した製品(強化ミルク、オレンジジュース、マーガリン、シリアルを含む)。食事は、ベースライン日と投与日で同じ(同じビタミンD含有量)である。
【0169】
治療1及び治療2(絶食状態)の場合:
対象は、投与前最低10時間、一晩絶食する(水以外の飲食は禁止)。
【0170】
治療3(高脂肪、高カロリーの食事の栄養状態)の場合:
少なくとも10時間の一晩の絶食の後、対象は、薬物投与の30分前に標準化された高脂肪、高カロリーの食事を取る。食事の例は、バターで揚げた卵2個、ベーコン2切れ、バター付きトースト2枚、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳8オンスからなる。この試験食の代用は、その食事がタンパク質、炭水化物、及び脂肪から同様の量のカロリーが供給され、同等の食事量及び食感を有することを条件として行われてもよい。対象は、この食事の全内容物を30分以内に食べなければならない。
【0171】
対象は、投与後少なくとも4時間絶食する必要があり、その後、標準化された昼食が提供される。夕食、軽食、及び他の食事は、その後の適切なときに提供されるが、投与後9時間以内に提供されることはない。
【0172】
PK評価のために、27個の血液試料を収集する。ベースライン濃度を評価するために、薬物投与の12、6及び0.25時間前に血液試料を収集する(各1×6mL)。その後、血液試料を、薬物投与から1、2、4、6、7、8、9、10、11、12、14、16、20、24、30、36、42、48、72、96、144、216、288及び336時間後に収集する(各1×6mL)。各期間について、ベースライン濃度を、薬物投与の約12、6及び0.25時間前に測定する。これらの3つの投与前濃度の平均をベースライン補正に使用し、ベースライン補正から得られたいずれの負の値も、ゼロとして特定する。
【0173】
一次PKパラメータ(ベースライン調整されたカルシフェジオールについてCmax及びAUC0~336)の各々について、参照対参照の対象内標準偏差(swr)が決定される。
【0174】
参照産物の2つの期間についての評価可能なPKデータを提供する対象(シーケンス3に含まれる)は、絶食状態で投与された試験産物と参照産物との間の生物学的同等性の評価(シーケンス1及び2に含まれる対象からのデータ)に参照スケールの生物学的同等性手順が使用され得るかどうかを判定するために、swrの計算に含まれる。
【0175】
平均の生物学的同等性:
wrが0.294(ISCV=30%に相当)未満の場合、基準を満たす特定のパラメータについて、生物学的同等性評価に対する2つの片側検定手順が使用される。固定効果としてシーケンス、期間、及び治療と、ランダム効果としてシーケンス内にネストされた対象とを含む混合効果モデルが、ln変換パラメータについて実行される。対応する90%の信頼区間(CI)を有する幾何学的LSmeansの比が、ln変換パラメータの試験産物と参照産物との差の指数から計算された場合に、参照産物と生物学的に同等であるとみなされる試験産物は、80.00~125.00%の生物学的同等性の範囲内にある。
【0176】
参照スケールの平均生物学的同等性:
wrが0.294以上である場合には、生物学的同等性評価に対する参照スケーリング手順が、基準を満たす特定のパラメータについて使用される。上で定義したものと同じ混合効果モデルが実行される。試験産物は、対応する90%のCIを有する幾何学的LSmeansの比がexp(±0.893*swr)*100として判定される広げられた合否基準内にある場合、参照産物と生物学的同等であるとみなされる。
【0177】
max及びAUC0~336は異なるswr値を有する可能性があるため、基準スケーリング手順が、swr≧0.294を有する特定のPKパラメータにのみ使用される。2つの片側検定手順は、swr<0.294のPKパラメータに使用される。
【0178】
ベースライン未調整のカルシフェジオールの結果が、裏付けとなる情報として提示される。
【0179】
食物の影響評価
ベースライン調整されたカルシフェジオールに対する食物の影響は、摂食条件下で投与された試験と絶食条件下で投与された試験について得られたCmax及びAUC0~336を比較することによって決定される。
【0180】
PKプロファイルに対する食物の影響がないことは、次の手順によって決定される:固定効果として食物の状態を用いるモデルが、ln変換パラメータに対して実行される。ln-変換パラメータCmax及びAUC0~336について、摂食条件下で投与された試験と絶食条件下で投与された試験との間の差の指数関数から計算された、対応する90%CIを有する幾何学的LS平均の比が80.00~125.00%の範囲内にある場合、食物効果の欠如が結論付けられ得る。
【0181】
ベースライン未調整のカルシフェジオールの結果が、裏付けとなる情報として提示される。Tmaxは記述的に分析される。
【0182】
上述の説明は、理解を明確にするためにのみ提供されており、本発明の範囲内の修正は当業者には明らかであり得るので、そこからいかなる不必要な制限も解釈されるべきではない。
【0183】
本開示を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示物は、本明細書に別の記述がなければ、又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」及び「含有する」という用語は、別途注記のない限り、開放型専門用語として解釈されるべきである(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する)。したがって、本明細書及び以下の特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という単語並びに「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」などの変形は、記載された整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を含むが、任意の他の整数若しくは工程又は整数若しくは工程の群を除外しないことを意味すると理解される。
【0184】
本明細書において特に指定のない限り、本明細書中の値の範囲の記載は、その範囲及び各端点に入る各々の別個の値を個々に指す略記方法として役立つことを意図したものであるにすぎず、各々の別個の値及び各端点は、それが本明細書中に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0185】
本明細書を通して、組成物が成分又は材料を含むものとして記載されている場合、当該組成物は、特に記載のない限り、列挙された成分又は材料の任意の組み合わせから本質的になり得るか、又はその組み合わせからなり得ることが企図される。同様に、方法が特定のステップを含むものとして記載される場合、その方法は、別途記載のない限り、列挙されるステップの任意の組み合わせから本質的になるか、又はそれらからなり得ることが企図される。本明細書に例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素又は工程を欠いた状態で適切に実施され得る。
【0186】
本明細書に開示される方法の実施及びその個々のステップは、手動で実施することができ、及び/又は電子機器によってもたらされる若しくは自動化を用いて実施することができる。特定の実施形態を参照してプロセスを説明してきたが、当業者は、上記方法に関連する行為を実施する他の方法を使用できることを容易に理解するであろう。例えば、特に記載のない限り、本方法の範囲又は趣旨から逸脱することなく、様々なステップの順序を変更することができる。更に、個々のステップのいくつかは、組み合わされてもよく、省略されてもよく、又は追加のステップに更に細分されてもよい。
【0187】
本明細書で引用される全ての特許、刊行物及び参考文献は、参照により本明細書に完全に組み込まれる。本開示と組み込まれた特許、刊行物及び参考文献との間に矛盾がある場合、本開示が優先される。
図1
図2
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図10
【国際調査報告】