(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】シームレス作用電極を有するナノポアセルおよびその形成方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20230619BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20230619BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572301
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2021063983
(87)【国際公開番号】W WO2021239781
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196243
【氏名又は名称】運 敬太
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,ジョン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ホーナー,ケネス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】グ,マロウェン
【テーマコード(参考)】
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G060AA15
2G060AA19
2G060AD06
2G060AF20
2G060AG11
2G060AG15
2G060JA07
2G060KA09
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
ナノポアセルは、シームレス多孔質電極および疎水性側壁を有するウェルを含み得る。シームレス多孔質電極は、導電層アイランドと誘電体層から形成される平面電極支持層上に多孔質電極材料を堆積させることにより形成してもよい。多孔質電極材料は、均一なシームレスカラムを形成し得、選択的に除去可能な保護層をその上に堆積させることによって製造中に保護され得る。ウェルは、保護層上に疎水性クラッドを形成し、次いでパターニングすることによって形成し得る。保護層を除去して、ウェルの底部にシームレス多孔質電極を露出させてもよい。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノポアセルを形成するための方法であって、
基板の上部に配置される導電層、および
前記導電層を覆う、相互接続誘電体層
を有するデバイス構造を提供する工程と、
前記相互接続誘電体層の一部を除去して、前記相互接続誘電体層の残りの部分によって囲まれる前記導電層の露出したアイランドを有する平面電極支持面を形成する工程と、
前記平面電極支持面上に多孔質電極材料を堆積させて、前記多孔質電極材料のカラムを含むシームレス多孔質電極層を形成する工程と、
前記シームレス多孔質電極層上に保護層を堆積させる工程と、
前記シームレス多孔質電極層および前記保護層をパターニングして、作用電極アイランドを形成する工程と、
前記作用電極アイランド上に疎水性クラッドを堆積およびパターニングして、前記ナノポアセルのウェルの側壁を形成する工程と、
前記保護層の少なくとも一部を除去して、前記多孔質電極層を前記ウェルに露出させる工程であって、露出した前記多孔質電極層が前記ナノポアセルの前記ウェルの底壁の少なくとも一部を形成する、前記工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記多孔質電極材料が、多孔質TiN(窒化チタン)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質電極材料がルテニウム含有材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記相互接続誘電体の一部を除去する工程が、前記相互接続誘電体の一部をブランケットエッチングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記保護層が誘電材料で構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記保護層が酸化ケイ素で構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記保護層が金属材料で構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記保護層がチタンで構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記保護層の少なくとも一部を除去して、前記多孔質電極層を露出させる工程が、除去試薬を前記保護層に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記除去試薬がフッ化水素酸を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記除去試薬が、ウェットエッチングプロセスを使用して適用される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記相互接続誘電体層を損傷させることなく、前記除去試薬が前記保護層に適用される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記シームレス多孔質電極層および前記保護層が、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを使用してパターニングされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板の上部を覆う電極支持層であって、
導電層アイランドと、
前記導電層アイランドを囲む相互接続誘電体層と、
前記導電層アイランドおよび前記相互接続誘電体層によって形成される平坦な上面と
を有する前記電極支持層と、
ウェルであって、
前記電極支持層の前記平坦な上面上に配置され、多孔質電極材料のカラムを有するシームレス作用電極アイランドと、
前記シームレス作用電極アイランドを囲み、ウェルの側壁を形成するようにパターニングされる疎水性クラッドと、
前記疎水性クラッドおよび前記シームレス作用電極アイランドによって形成される空洞と
を有する前記ウェルと
を有するナノポアセル。
【請求項15】
前記多孔質電極材料が多孔質TiN(窒化チタン)を含む、請求項14に記載のナノポアセル。
【請求項16】
前記多孔質電極材料がルテニウム含有材料を含む、請求項14に記載のナノポアセル。
【請求項17】
前記シームレス作用電極アイランドが、前記多孔質電極材料の前記カラム上に配置される保護層をさらに有し、前記保護層が、前記多孔質電極材料を前記空洞に露出させるために選択的に除去可能に構成されている、請求項14に記載のナノポアセル。
【請求項18】
前記保護層が、除去試薬の適用によって除去されるように構成されている、請求項17に記載のナノポアセル。
【請求項19】
前記除去試薬がフッ化水素酸を含む、請求項18に記載のナノポアセル。
【請求項20】
前記多孔質電極材料の前記カラムが、前記電極支持層が前記除去試薬により損傷されるのを防止するように構成されている、請求項18に記載のナノポアセル。
【請求項21】
前記保護層が誘電材料で構成されている、請求項17に記載のナノポアセル。
【請求項22】
前記保護層が酸化ケイ素で構成されている、請求項21に記載のナノポアセル。
【請求項23】
前記保護層が金属材料で構成されている、請求項17に記載のナノポアセル。
【請求項24】
前記保護層がチタンで構成されている、請求項23に記載のナノポアセル。
【請求項25】
前記導電層アイランドがアルミニウムを含む、請求項14~24のいずれか一項に記載のナノポアセル
【請求項26】
前記相互接続誘電体が酸化ケイ素を含む、請求項14~24のいずれか一項に記載のナノポアセル。
【請求項27】
前記疎水性クラッドがポリイミドを含む、請求項14~24のいずれか一項に記載のナノポアセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月26日に出願の、米国仮特許出願第63/029,936号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
本明細書で述べられる全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個々の刊行物または特許出願が参照によって組み込まれることが具体的且つ個別に示されるかのように同程度に参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
内径が1ナノメートルのオーダーの細孔サイズを有するナノポア膜デバイスは、素早いヌクレオチド配列決定において有望であることが示されている。電位が、伝導性流体に浸されたナノポアにわたって印加されると、ナノポアにわたるイオンの伝導に起因する小イオン電流が存在できる。電流のサイズは、細孔サイズ、およびナノポア内に配置された分子のタイプに影響を受けやすい。分子は、ヌクレオチド自体(例えば、核酸の一部として)または特定のヌクレオチドに結合した特定のタグであり得、それによって核酸の特定の位置でヌクレオチドの検出が可能になる。分子の抵抗を測定する方法として、ナノポアを有する回路内の電圧を測定し(例えば、積分コンデンサで)、どの分子がナノポア内にあるかを検出し得る。
【0004】
ナノポアベースの配列決定センサチップがいくつかの用途で成功しているにもかかわらず、依然として改善が望まれている。例えば、ナノポアウェル構造および方法の改善が必要とされている。場合によっては、ナノポアベースの配列決定センサチップの作用電極は、好ましくは、静電容量および表面積を最大化するために多孔質電極材料から作製されることがわかっている。所望の特性(濡れ性および適切な静電容量など)を有する信頼性の高い多孔質作用電極は、ナノポアベースの配列決定装置の動作にとって重要であるため、製造中に作用電極を保護する方法が実施される。特に、ナノポアセルのウェルを形成するために疎水性クラッドを堆積およびパターニングする間、作用電極を保護する必要がある。多孔質作用電極を保護するいくつかの方法としては、後続のステップ中に多孔質作用電極を保護するための緩衝層または犠牲層として使用される保護層(誘電体層など)の適用が挙げられる多くの場合、化学的プロセスによって保護層を容易に除去し、したがって多孔質作用電極を露出させて操作することが望ましい。しかしながら、保護層を除去するために使用される化学物質は、多孔質電極およびナノポアセルを形成する構造およびプロセスにおいて考慮されないと、潜在的に他の層を攻撃する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
したがって、ナノポアセルおよびナノポア形成方法は、本開示の実施形態に従って記載される。ナノポアセルおよびナノポアセルを形成するための方法は、保護層の化学的除去がナノポアセルの他の構成要素に悪影響を及ぼさないように、作用電極が構造的に健全であることを確実にする。特に、ナノポアセルおよびナノポアセル形成方法は、作用電極が多孔質材料のシームレスなカラムで形成されることを確実にし、これにより、化学物質がナノポアセルの他の層に浸透して損傷を与える可能性を低減する。
【0006】
実施形態は、ナノポアセルを形成するための方法に関する。本方法は、基板の上部に配置される導電層と、導電層を覆う相互接続誘電体層とを有するデバイス構造を提供する工程を含み得る。この方法は、相互接続誘電体層の一部を除去して平面電極支持面を形成することを含む。平面電極支持面は、相互接続誘電体層の残りの部分によって囲まれる導電層の露出したアイランドを有する。本方法は、多孔質電極材料を平面電極支持面上に堆積させて、シームレス多孔質電極層を形成することをさらに含む。シームレス多孔質電極層は、多孔質電極材料のカラムを有する。本方法は、さらに、シームレス多孔質電極層上に保護層を堆積させる工程と、シームレス多孔質電極層および保護層をパターニングして作用電極アイランドを形成する工程と、作用電極アイランド上に疎水性クラッドを堆積およびパターニングしてナノポアセルのウェルの側壁を形成する工程と、保護層の少なくとも一部を除去して多孔質電極層を露出させる工程とを含む。露出した多孔質電極層は、ナノポアセルのウェルの底壁の少なくとも一部を形成する。
【0007】
いくつかの実施形態は、ナノポアセルを含み得る。ナノポアセルは、基板と、基板の上部を覆う電極支持層と、ウェルとを有し得る。電極支持層は、相互接続誘電体層によって囲まれる導電層アイランドと、該導電層アイランドおよび相互接続誘電体層によって形成される平坦な上面とを有し得る。ウェルは、電極支持層の平坦な上面に配置されたシームレス多孔質作用電極アイランドと、シームレス多孔質作用電極アイランドを囲み、ウェルの側壁を形成するようにパターニングされた疎水性クラッドと、疎水性クラッドおよびシームレス多孔質作用電極アイランドによって形成される空洞とを有し得る。シームレス多孔質作用電極アイランドは、多孔質電極材料のカラムを有し得る。いくつかの実施形態では、シームレス作用電極アイランドは、多孔質電極材料のカラム上に配置された保護層をさらに有し、該保護層は、多孔質電極材料を空洞に露出させるために選択的に除去可能に構成されている。
【0008】
以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって、本発明の実施形態の性質および利点をよりよく理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ナノポアベースの配列決定チップ内のセルの一実施形態を示す。
【
図2】
図2は、Nano-SBS技術を用いてヌクレオチド配列決定を行うセルの実施形態を示す。
【
図3】
図3は、電気化学静電容量が増加したTiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルの実施形態を示す。
【
図4】
図4は、ナノポアベースの配列決定チップのセル内の回路のさらなる実施形態を示し、ナノポアに印加される電圧は、ナノポアが特定の検出可能な状態にある期間にわたって変化するように構成され得る。
【
図5】
図5は、導電性電極と隣接する液体電解質との間の任意の界面に形成される二重層を示す。
【
図6】
図6は、導電性電極と隣接する液体電解質との界面において、二重層の形成と同時に形成され得る擬似容量効果を示す。
【
図7】
図7A~
図7Gは、化学機械平坦化を使用してTiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示す。
【
図8】
図8A~
図8Fは、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを使用してTiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示す。
【
図12】
図12A~12Fは、シームレスな作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示す。
【
図16】
図16は、シームレス電極を用いてナノポアセルを形成するための方法を示すフローチャートである。
【0010】
用語
「ナノポア」とは、膜内に形成された、または、さもなければ提供された、細孔、チャネル、または通路を指す。膜は、脂質二重層などの有機膜、または、高分子材料製の膜などの合成膜、とし得る。ナノポアは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)もしくは電界効果トランジスタ(FET)回路などの、センシング回路、または、そのようなセンシング回路に接続された電極に隣接して、または、これに近接して配置され得る。いくつかの例では、ナノポアは、約0.1ナノメートル(nm)から約1000nmオーダーの、特徴的な幅または直径を有する。いくつかのナノポアはタンパク質である。
【0011】
ナノポアデバイスにおける「ウェル」は、絶縁壁と、電解質を有し得る作用電極とによって形成される構造を指す。「ウェルプロファイル」は、ウェルの構造的説明を指し、ウェルエッジの角度および鋭さの測定値を含み得る。ナノポアデバイスの「セル」は、様々な動作段階で、ウェル、ナノポア(例えば、ウェルを横切る膜内)、および作用電極、ならびに他の回路、例えばデータ取得回路を有し得る。
【0012】
「誘電体材料」は、印加された電界によって分極され得る電気絶縁体を指す。誘電体が電界に置かれると、電荷は導体内のように材料を通って流れず、それらの平均平衡位置からわずかにしかシフトせず、誘電分極が生じる。「導電層」は、1つ以上の方向に電流が流れることを可能にする材料の層を指す。金属ワイヤーは、一般的な導電体である。
【0013】
「多孔質材料」は、材料の表面に細孔または空隙を含む材料を指す。「海綿状材料」は、開いた多孔質構造を有する材料を指す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ナノポアデバイスでは、誘電体層のウェルの上に膜を形成し得る。例えば、膜は、誘電体層の上に形成された脂質単層を含み得る。膜がウェルの開口部に到達すると、脂質単層は、ウェルの開口部を横切って広がる脂質二重層に移行し得る。ウェルの構造およびウェルを形成する材料は、膜の形成および膜へのナノポアの挿入において重要な役割を果たす可能性があり、ウェルを形成する材料間の相互作用もまた、ナノポアデバイスの動作に影響を及ぼし得る。
【0015】
以下の説明は、ナノポアセルの構造および動作の概要を含む。ウェルの構造、ウェルを形成する材料、およびそれらの相互作用の影響についても論じられる。保護層を除去するために使用される化学物質と多孔質作用電極との間の相互作用に起因する問題も、提案された解決策とともに記載される。
【0016】
I.ナノポアセルの概要
このセクションは、ナノポアセルの動作、セルの構造および使用法、ならびに信号を測定するための回路を紹介する。作用電極における容量効果(二重層静電容量と呼ばれる)を説明し、多孔質作用電極を構築する例示的なプロセスを説明する。
【0017】
A.セルの動作
図1は、ナノポアベースの配列決定チップを形成する細胞アレイ内のセル100の一実施形態を示す。膜102が、セルの表面上に形成される。いくつかの実施形態では、膜102は脂質二重層である。タンパク質ナノポア膜貫通分子複合体(PNTMC)および目的の分析物(例えば、DNAなどの単一のポリマー分子)を含有するバルク電解質114を、細胞の表面上に直接配置し得る。単一のPNTMC104は、エレクトロポレーションによって膜102に挿入し得る。アレイ内の個々の膜は、化学的にも電気的にも互いに接続されていない。したがって、アレイ内の各セルは独立した配列決定機であり、PNTMCに関連する単一のポリマー分子に固有のデータを生成する。PNTMC104は、別の点で不透過性の二重層を通るイオン電流を調節し得る。
【0018】
アナログ測定回路112は、酸化物層106内に形成されたウェル内のある体積の電解質108によって覆われた作用電極110(例えば、金属製)に接続されている。ある体積の電解質108は、イオン不透過膜102によってバルク電解質114から隔離されている。PNTMC104は、膜102を横切り、バルク液体から作用電極110に流れるイオン電流の唯一の経路を提供する。セルはまた、対向電極(CE)116を有している。セルはまた、電気化学的電位センサとして作用し得る参照電極117を有している。
【0019】
図2は、合成(Nano-SBS)技術によるナノポアベースの配列決定によりヌクレオチド配列決定を行うセル200の実施形態を示す。ナノSBS技術では、配列決定する鋳型202およびプライマーがセル200に導入される。この鋳型-プライマー複合体に、4つの異なるタグ付けされたヌクレオチド208、A、T、G、およびCをバルク水相に添加する。正しくタグ付けされたヌクレオチドがポリメラーゼ204と複合体を形成すると、タグの尾部は、ナノポア206のバレル内に配置される。ナノポア206のバレル内に保持されたタグは、固有のイオン遮断シグナル210を生成し、それにより、タグの異なる化学構造に起因して付加された塩基を電子的に識別する。
【0020】
B.セルの構造および使用法
図3は、作用電極(例えば、高い電気化学静電容量を有するTiN)を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セル300の一実施形態を示す。セル300は、導電層または金属層301を有している。金属層301は、セル300をナノポアベースの配列決定チップの残りの部分に接続する。いくつかの実施形態では、金属層301は、CMOSチップの上部金属(例えば、下にある回路の金属6層M6)である。セル300は、作用電極302と、金属層301の上の誘電体層303とをさらに有している。いくつかの実施形態では、作用電極302は円形または八角形の形状としてもよく、誘電体層303は作用電極302を囲む壁を形成する。セル300は、作用電極302および誘電体層303の上の誘電体層304をさらに有する。誘電体層304は、ウェル305を囲む絶縁壁を形成する。
【0021】
いくつかの実施形態では、誘電体層303および誘電体層304は一緒に単一の誘電体片を形成する。誘電体層303は、作用電極302に水平方向に隣接して配置された部分であり、誘電体層304は、作用電極の一部の上方に配置されてこれを覆う部分である。いくつかの実施形態では、誘電体層303および誘電体層304は別々の誘電体片であり、それらは別々に形成されてもよい。ウェル305は、作用電極の覆われていない部分の上に開口部を有する。いくつかの実施形態では、作用電極の被覆されていない部分の上方の開口部は、円形または八角形の形状であり得る。
【0022】
ウェル305の内部には、ある体積の塩溶液/電解質306が作用電極302の上方に配置されている。塩溶液306は、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaClz)、塩化ストロンチウム(SrClz)、塩化マンガン(MnClz)、および塩化マグネシウム(MgClz)のうちの1種を含み得る。いくつかの実施形態では、塩溶液306は、約3ミクロン(μm)の厚さを有する。塩溶液306の厚さは、0~5ミクロンからの範囲であり得る。
【0023】
誘電体層303および304を形成するために使用される誘電体材料としては、ガラス、酸化物、一窒化ケイ素(SiN)などが挙げられる。誘電体層304の上面はシラン処理されていてもよい。シラン処理は、誘電体層304の上面の上に疎水性層320を形成する。いくつかの実施形態では、疎水性層320は、約1.5ナノメートル(nm)の厚さを有する。あるいは、酸化ハフニウムなどの疎水性である誘電体材料を使用して、誘電体層304を形成し得る。
【0024】
図3に示されているように、膜は、誘電体層304の上に形成され、ウェル305にまたがることがある。例えば、膜は、疎水性層320の上に形成された脂質単層318を有し、膜がウェル305の開口部に到達すると、脂質単層は、ウェルの開口部にまたがる脂質二重層314に移行する。疎水性層320は、誘電体層304上の脂質単層318の形成、および脂質単層から脂質二重層への移行を容易にする。タンパク質ナノポア膜貫通分子複合体(PNTMC)および目的の分析物を含むバルク電解質308は、ウェルの真上に配置される。単一のPNTMC/ナノポア316は、電気穿孔によって脂質二重層314に挿入される。ナノポア316は、脂質二重層314を横断し、バルク電解質308から作用電極302へのイオンフローの唯一の経路を提供する。バルク電解質308は、塩化リチウム(LiCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、グルタミン酸リチウム、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化カルシウム(CaCb)、塩化ストロンチウム(SrCb)、塩化マンガン(MnCb)、および塩化マグネシウム(MgCb)のうちの1種をさらに含み得る。
【0025】
セル300は、対向電極(CE)310を有している。セル300はまた、電気化学電位センサとして作用する参照電極312を有している。いくつかの実施形態では、対向電極300は、複数のセル間で共有し得、したがって、共通電極とも呼ばれる。共通電極は、測定セル内のナノポアと接触しているバルク液体に共通電位を印加するように構成し得る。共通電位および共通電極は、全ての測定セルに共通である。
【0026】
作用電極302は、電気化学的容量が増大した窒化チタン(TiN)作用電極である。作用電極302に関連する電気化学静電容量は、電極の比表面積を最大化することによって増加させ得る。作用電極302の比表面積は、単位質量当たり(例えば、m2/kg)または単位体積当たり(例えば、m2/m3、m2/m3、またはm-1)、またはベース面積の単位当たり(例えば、m2/m2)のことである。表面積が増加すると、作用電極の電気化学的容量が増加し、コンデンサが充電される前に同じ印加電位でより多くのイオンを移動させ得る。TiN電極を「海綿状」または多孔質とすることで、作用電極302の表面積を増加させ得る。TiN海綿は、電解質を浸漬し、電解質と接触する大きな有効表面積を作り出す。TiNを作製および使用するための技術は、Fosterらの米国特許第10,174,371号明細書にさらに記載されている。
【0027】
作用電極を形成するために使用し得る他の材料としては、Auらの国際公開第WO2020043653号にさらに記載されているように、ルテニウムが挙げられる。
【0028】
膜に関連する静電容量(Cmembrane)と作用電極に関連する静電容量(Celectrochemical)との比は、最適な全体的なシステム性能を達成するように調整し得る。システム性能の向上は、Celectrochemicalを最大化しながらCmembraneを低減することによって達成され得る。Cmembraneは、追加のオンチップ静電容量を必要とせずに必要なRC時定数を生成するように調整し得、それによってセルサイズおよびチップサイズの大幅な縮小を可能にする。
【0029】
セル300において、ウェル305の開口の基底表面積(脂質二重膜314の基底表面積と同じ)および作用電極302の基底表面積は、それぞれ誘電体層304および誘電体層303の寸法によって決定される。作用電極302の基底面積は、ウェル305の開口部の基底面積以上である。したがって、2つの基底表面積は、C
membraneとC
electrochemicalとの間の所望の比を提供するために独立して最適化され得る。
図3に示すように、作用電極302の一部は誘電体304で覆われており、そのため、その被覆部分は、塩溶液/電解質306と直接接触していない。海綿状で多孔質のTiN作用電極を使用することにより、電解質は、柱状TiN構造間の空間を通って作用電極の被覆されていない部分を垂直に下って、次いで誘電体層304の下にある作用電極302の被覆された部分に水平に拡散し得る。その結果、電解質と接触しているTiNの有効表面積が最大となり、C
electrochemicalが最大となる。
【0030】
C.信号測定回路
図4は、ナノポアベースの配列決定チップの細胞内の回路400の一実施形態を示し、ここで、ナノポアに印加される電圧または電流は、ナノポアが特定の検出可能な状態にある期間にわたって変化するように構成され得る。
図4では、膜に挿入されたナノポアとその周囲の液体を示す代わりに、ナノポアと膜の電気的特性を表す電気モデル402と、作用電極の電気的特性を表す電気モデル414が示されている。
【0031】
電気モデル402は、膜に関連する静電容量をモデル化するコンデンサ406(Cmembrane)と、異なる状態(例えばオープンチャネル状態、または前記ナノポア内に異なるタイプのタグもしくは分子を有することに対応する状態)のナノポアに関連する抵抗をモデル化する抵抗器404とを有する。電気モデル414は、作用電極に関連する静電容量をモデル化するコンデンサ416を有する。作用電極に関連する静電容量は、電気化学静電容量(Celectrochemical)とも称される。作用電極に関連する電気化学静電容量Celectrochemicalは、二重層静電容量を含み、擬似静電容量をさらに含んでもよい。
【0032】
図4はまた、抵抗404を測定する目的でオンおよびオフに切り替え得る電圧410に結合されたスイッチ408を有する。いくつかの実施形態では、電圧410は、ナノポアを表す電気モデル402に印加される。コンデンサ406が完全に充電された後(膜は低い静電容量を有することが望ましいので、あまり長くない可能性がある)、スイッチ408を開くことが可能であり、電流はコンデンサ406の一方の側から抵抗器404を介して他方の側に流れ得る。抵抗器404値が異なると、異なる電流が流れ、したがって電圧の減衰が異なる。コンデンサ416は、回路に大きな影響を与えないように十分に大きくし得る。
【0033】
指定された長さの時間の後、ADC(アナログ-デジタル変換器)412において電圧を測定し得る。これは、指定された長さの時間の後、電圧変化がポア(したがって、その内部の分子)の抵抗と相関するので、RCmembraneによって表される回路の時定数を測定し得る。実施形態はまた、米国特許第9,377,437号明細書に記載されているように、例えば比較器を使用することによって、特定の電圧に達する時間量をも測定し得る。
【0034】
D.作用電極での容量効果(二重層静電容量)
作用電極が高い静電容量を有することが望ましく、それによって回路へのインピーダンス効果を低減し、スイッチ408の開閉を伴う複数の測定後の電荷蓄積の結果として電圧レベルをわずかに移動させる可能性がある。
【0035】
図5は、導電性電極と隣接する液体電解質との界面に形成される二重層を示す。二重層の電気的モデルは、作用電極に関連する静電容量をモデル化する電気モデル414として
図4に示されている。示されている例では、電極表面が負に帯電しているため、電解質に正の帯電種が蓄積する。別の例では、全ての電荷の極性は、示されている例と反対であってもよい。電極内の電荷は、双極子の再配向と、界面近くの電解質における反対の電荷のイオンの蓄積とによってバランスが取られる。電極と電解質の間の界面の両側に蓄積された電荷は、電解質中の帯電種と溶媒分子のサイズが有限であるためにわずかな距離で分離され、従来のキャパシタの誘電体のように機能する。「二重層」という用語は、電極と電解質との間の界面の近くでの電子およびイオン電荷分布の集合を指す。
【0036】
図6は、
図5と同様に二重層を形成すると同時に、導電性電極と隣接する液体電解質との界面に形成できる疑似容量効果を示している。
図6は、利用可能な表面積(黒丸で表される)によって制限された吸着、インターカレーション、または還元-酸化反応をもたらす電荷移動からの擬似容量の付加を伴う二重層を示す。
【0037】
E.多孔質作用電極の構築工程の一例
図7A~
図7Gおよび
図8A~
図8Fは、TiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの実施形態を示す。同様のプロセスは、例えば、2018年3月18日に出願された米国特許出願第15/920,158号明細書に記載されており、その内容はその全体が本明細書に組み込まれる。特に、
図7A~
図7Gは、化学機械平坦化を使用してTiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示し、
図8A~
図8Fは、フォトリソグラフィおよびドライエッチングを使用してTiN作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示す。以下でより詳細に説明するように、プロセスは、所望の海綿状および多孔質特性を有する作用電極をもたらすが、これらの方法はいずれも、作用電極層にシームが形成され、それが弱点として作用し、性能問題が発生する可能性がある。
【0038】
図7Aを参照すると、電気化学ナノポアセルを構築するために受入材料700を提供し得る。受入材料700は、基板701、導電層702、およびその上に配置された誘電体層704を有し得る。基板701は、例えば、ナノポアセルの動作を制御するための回路を有するCMOS基板であってもよい。導電層702は、セルからチップの残りの部分に信号を送達する回路の一部であってもよい。場合によっては、導電層702は、回路の最上部の金属層、例えば第6の金属層であってもよい。しかしながら、導電層702は、下にある回路の第6の金属層であることに限定されない。場合によっては、導電層702は、アルミニウム層、例えば基板に関連するアルミニウム相互接続金属であってもよい。
図7Aに示すように、導電層702は誘電体704(例えば、SiO
2)の層に囲まれ、これは上述のようにCMOS基板の回路の導電性構成要素間に配置された相互接続誘電体であってもよい。
【0039】
図7Bを参照すると、プロセスの最初の工程では、誘電体704の層をエッチングしてビア706を形成し得る。ビア706は、ナノポアセルに望ましい海綿状および多孔質の電極を形成するための空洞を提供する。
図7Bに示すように、ビア706は、導電層702の上面709と接触する誘電体704によって形成された側壁707を有する。
【0040】
図7Cに示す次の工程では、
図7Bで作成されたビア706を充填するために海綿状および多孔質電極層708が堆積される。海綿状および多孔質電極層708は、電解質と接触し得る高い比表面積を提供する粗いまばらなTiN柱状構造またはTiN結晶のカラムを形成するように成長および堆積されたTiNの層であってもよい。海綿状および多孔質TiN層708は、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD)、物理的気相堆積(PVD)スパッタリング堆積などを含む種々の堆積技術を使用して堆積し得る。本明細書ではTiNが好ましい電極材料として記載されているが、他の適切な多孔質電極材料を使用してもよいことが理解されよう。
【0041】
さらなる工程では、
図7Dを参照すると、TiN層708の余分な部分を除去し得る。例えば、化学機械平坦化(CMP)技術を使用して、余分なTiN層を除去し得る。ビア706内に堆積された残りのTiNにより、海綿状で多孔質の作用電極710が形成される。
【0042】
上述したように、さらなる製造工程中に多孔質作用電極710を保護することが望ましい場合がある。具体的には、
図7Fを参照して後述するように、ウェルの形成には、最終的に多孔質電極上に疎水性クラッドを形成することが必要である。しかしながら、疎水性クラッドが多孔質電極上に直接形成されると、疎水性クラッドの残留物は、多孔質電極の隙間または空洞に埋め込まれ得る。有機残留物は、電極表面をより濡れにくくし、流体が電極の表面に接触するのを防止し得る。その結果、有効表面積を減少させ得、電解質-電極界面での二重層静電容量の著しい低下を引き起こす。この問題を軽減するために、ポリイミド層の堆積などの後続の処理の前に電極の表面を保護するために、SiO
2層などの薄いバッファまたは犠牲保護層を電極上に形成し得る。ウェルが形成された後、薄い犠牲層を電極の上面から除去し得る。薄い緩衝層または犠牲層は、ウェル形成プロセス中に多孔質電極層を疎水性層から保護するのに役立つ。したがって、ウェル形成の前の工程において、
図7Eを参照すると、保護層712を作用電極710の上に堆積させ得る。上述したように、保護層712は、動作のために所望の濡れ性および静電容量を保持するように、製造中に作用電極710を保護するためのバッファ層または犠牲層として使用し得る。以前に組み込まれた米国特許出願第15/920,158号に記載されているように、保護層712は、酸化ケイ素などの誘電材料またはチタンなどの金属材料であってもよい。いずれの場合も、保護層は、選択的に除去可能であるように選択し得る。
【0043】
図7Fに示す工程、疎水性クラッド714を形成およびパターニングして、作用電極710および保護層712の上にウェル716を形成し得る。
図7Fに示され得るように、保護層712が存在することにより、作用電極710上に疎水性クラッド714が直接形成されることが回避される。堆積およびパターニングされると、疎水性クラッド714はウェル716の側壁を形成する。
図7Fに示すウェル716の底部は、最初に保護層712を有する。
【0044】
図7Gに示され得るように、疎水性クラッドが形成およびパターニングされ、処理が他の方法で最終決定されると、保護層712を化学的に除去して作用電極710をウェル716に露出させ得る。特に、フッ化水素酸(HF)、硝酸、または保護層712を適切に除去する任意の他の試薬を含む除去試薬を適用することによって、保護層712を除去し得る。一例として、フッ化水素酸(HF)を用いたウェットエッチング法により保護層712を除去し得る。得られたナノポアセル750は、露出した作用電極710および疎水性クラッド714によって形成された側壁を有するウェル716を有する。
【0045】
ナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するための代替プロセスが
図8A~
図8Fに提供される。
図8A~
図8Fに示されるプロセスは、作用電極および保護層が、
図7A~
図7Gに記載されるような化学機械平坦化技術ではなくフォトリソグラフィおよびドライエッチングを使用して一緒にパターニングされることを除き、
図7A~
図7Gに示されるプロセスと同様である。具体的には、
図8Aは、
図7Aと同様に、基板701、導電層702、およびその上に配置された誘電体層704を有する同じ受入材料700を示し、
図8Bは、海綿状および多孔質のTiN電極を形成するためのビア706を形成するための誘電体704の同じエッチングを示す。
図7Bと同様に、ビア706は、導電層702の上面709と接する誘電体704によって形成された側壁707を有する。
【0046】
次に、
図8Cに示すように、海綿状で多孔質のTiN層708を堆積させて、
図8Bで作製したビア706を充填し、多孔質のTiN層708上に保護層812を堆積させる。次に、
図8Dに示すように、多孔質のTiN層708および保護層812をパターニングして、パターニングされた保護層813を有する作用電極810を作製する。上述のように、パターン保護層813は、
図8Eを用いて後述する後のウェル形成工程において、作用電極810を保護する役割を果たす。
【0047】
図8Eを参照すると、疎水性クラッド814を形成およびパターニングして、
図7Fに示すプロセスと同様のウェル816を形成し得る。
図7Fを参照して前述したように、
図8Eでは、保護層813が存在することにより、作用電極810上に疎水性クラッド814が直接形成されることが回避されることがわかる。堆積およびパターニングされると、疎水性クラッド814はウェル816の側壁を形成し、ウェル816の底部は最初に保護層813を有する。
【0048】
図8Fに示され得るように、疎水性クラッドが形成およびパターニングされ、処理が他の方法で確定すると、保護層813を化学的に除去して作用電極810をウェル816に露出させ得る。特に、フッ化水素酸(HF)、硝酸、または保護層813を適切に除去する任意の他の試薬を含む除去試薬を適用することによって、保護層813を除去し得る。一例として、フッ化水素酸(HF)を用いたウェットエッチングプロセスにより保護層813を除去し得る。得られたナノポアセル850は、露出した作用電極810および疎水性クラッド814によって形成された側壁を有するウェル816を有する。
【0049】
上記の
図7A~
図7Gおよび
図8A~
図8Fに記載されたプロセスは、概して、ナノポアベースの配列決定に適した電気化学セルを提供するが、多孔質電極材料の成長に関連するいくつかの欠点が観察されている。具体的には、多孔質電極材料の堆積は、所望の多孔質特性を有する電極材料の柱の成長をもたらすが、そのような成長は、意図されたように導電性表面(すなわち、
図7Bおよび
図8Bに示す上面709)の上部から上方にだけでなく、堆積ビアの側壁(すなわち、
図7Bおよび
図8Bに示す側壁707)からこの意図された成長に対して垂直にも起こることが観察された。その結果、導電性表面の上部から上方に成長するカラムと、堆積ビアの側壁から側方に成長するカラムとが互いに衝突し、TiNの堆積が完了するまで伝播し続けるシームを形成する。
【0050】
図9は、
図7A~
図7Gおよび
図8A~
図8Fに示すプロセスを使用して構築された作用電極に形成され得るシームを示す。
図9に示され得るように、TiN908のカラムは、導電層902の上面909から垂直に、および側壁907から水平のいずれにも成長してシーム918を形成する。
図7A~
図7Gおよび
図8A~
図8Fと同様のプロセスを使用して製造された実施例において、同様のシームが観察されている。例えば、シーム1018は、
図7A~
図7Gに示すプロセスを使用して形成されたTiN電極層を示す顕微鏡写真である
図10において観察し得、シーム1118は、
図8A~
図8Fに示すプロセスを使用して形成されたTiN電極層を示す顕微鏡写真である
図11において観察し得る。
【0051】
非平面ビア内に形成される前述のシームは、最終的に電極層の構造内の弱点となる望ましくない空隙をもたらすことが理解されよう(
図10および
図11において示され得る)。これらの空隙および弱点は、材料が電極層を通って染み出し、ナノポアセルの他の層と相互作用するかまたはそれを攻撃し、ナノポアセルの性能に劇的な影響を与える可能性がある。特に、上記のプロセスで説明した保護層を除去するために使用される除去試薬(HFまたは硝酸含有試薬など)は、説明したシームによって形成された空隙を通って染み出す可能性がある。例えば、これらの試薬は、デバイスの導電性相互接続を分離するために使用され得る相互接続誘電体層(例えば、
図7A~
図7Gおよび
図8A~
図8Fに記載の層704)を攻撃し得る。最終的に、これらの層への損傷は、ウェル構造の不整合、電極の短絡、および電極間のクロストークを引き起こす可能性があり、これらは全て、ナノポアセルの性能に深刻な影響を与える可能性がある。
【0052】
II.シームレス電極を有するナノポアセル
A.シームレス作用電極の構築方法
前述のシームおよびそれに関連する欠点を回避するために、シームレスな作用電極を有するナノポアセルを構築する方法が記載されている。特に、
図12A~12Fは、シームレス作用電極を有するナノポアベースの配列決定チップの電気化学セルを構築するためのプロセスの一実施形態を示す。
【0053】
図12Aに示され得るように、受入材料1200は、基板1201、導電層1202、およびその上に配置された相互接続誘電体層1204を含む、
図7Aおよび
図8Aに関して前述した入力材料700と同様であってもよい。
【0054】
次の工程では、
図12Bに示すように、相互接続誘電体層1204の少なくとも一部を除去することによって平面電極支持層1205を形成し得る。平面電極支持層1205は、導電層アイランド1202、および、その一部を除去した後に残る周囲の相互接続層1204の両方を有する。したがって、平面電極支持層1205は、導電層アイランド1202の上面および除去後に残っている周囲の相互接続層1204の上面の両方を有する平面電極支持面1203を有する。誘電体層1204の除去は、誘電体層1204をブランケットエッチングして導電層702のアイランドを露出させることによって行い得る。前述のプロセスとは対照的に、電極材料が堆積される側壁を有するビアはない。どちらかといえば、電極材料は、完全に平面な電極支持面1203上に堆積される。
【0055】
図12Cに示す次の工程では、TiNなどの多孔質電極材料1208を平面電極支持面1203上に堆積させ得る。
図12Cから示され得るように、多孔質電極材料を垂直方向に円柱状成長のためのビアの側壁は存在しないので、多孔質電極材料にシームは形成されない。したがって、堆積された多孔質電極材料1208は、多孔質電極材料の均一なシームのないカラムを形成する。これらの均一なシームレスカラムは、さらに
図13に示されており、
図12A~
図12Cに示すプロセスを使用して構築されたシームレス電極層を示している。堆積されると、
図12Cにも示され得るように、シームレス多孔質電極材料1208は、その上に保護層1212を堆積することによって保護され得る。上述のように、保護層1212は、誘電材料または金属材料で構成されてもよい。使用し得る保護誘電体の例としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム等が挙げられる。本発明の実施形態で使用するための他の適切な誘電体材料(例えば、保護層1212)としては、酸化物、窒化物(例えば、一窒化ケイ素またはSiN)、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属ケイ酸塩、遷移金属酸化物、遷移金属窒化物、遷移金属ケイ酸塩、金属の酸窒化物、金属アルミン酸塩、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、アルミン酸ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本発明での使用に適した他の誘電材料を理解するであろう。保護層として使用し得る他の材料の例としては、チタン、アルミニウム、タンタル、タングステン、または非多孔質窒化チタンが挙げられる。当業者は、本発明での使用に適した他の金属材料を理解するであろう。
【0056】
次に、
図12Dに示すように、多孔質電極層1208および保護層1212をパターニングして、パターニングされた作用電極1210および保護層1213を作製する。TiNおよび保護層は、フォトリソグラフィおよびドライエッチング、またはそのような材料をパターニングするために使用される他の適切なプロセスを使用して一緒にパターニングし得る。結果として得られる作用電極は、その上に保護層が配置された、前述の望ましくないシームのないTiNの均一なカラムのアイランドである。
【0057】
さらなる工程では、
図12Eを参照すると、
図7Fおよび
図8Eに示すプロセスと同様に、電極1210および保護層1213上に疎水性クラッド1214を形成し、パターニングしてウェル1216を形成し得る。
図7Fおよび
図8Eを参照して前述したように、パターニングされた疎水性クラッド1214は、ウェル1216の側壁を形成し、ウェル1216の底部は、作用電極1210を露出させないように保護層1213を最初に含む。使用され得る疎水性材料の例としては、ポリイミド、エポキシ、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ベンゾシクロブテン(BCB)が挙げられる。当業者は、本発明での使用に適した他の疎水性材料を理解するであろう。
【0058】
次に、
図12Fを参照すると、製造プロセスが別の方法で完成すると、除去試薬を使用して保護層1213を化学的に除去し、それによって、作用電極1210をウェル1216に露出させ得る。上述のように、保護層1213は、保護層1212/1213のために選択された材料に応じて、HF、硝酸、他の適切な試薬、および/またはそれらの組み合わせを含有する除去試薬によって化学的に除去され得る。例えば、保護層1212/1213が二酸化ケイ素などで構成されている場合、8:1~100:1(NH4F:HF)の範囲の濃度の緩衝酸化物エッチング(BOE)を使用して除去し得る。一方、保護層1212/1213が金属材料で構成されている場合、10:1:1~500:1:1(H2O:HF:HNO3)の範囲の濃度の希釈HF/硝酸混合物を除去のために使用し得る。当業者は、本発明での使用に適した他の試薬を理解するであろう。保護材料および除去試薬に応じて、種々のプロセスを使用して保護材料を除去し得る。いくつかの実施形態では、保護層1213は、前述の試薬のいずれかを使用するウェットエッチングプロセスによって除去し得るが、当業者は、本発明における除去に適した他のプロセスを理解するであろう。前述の方法とは対照的に、電極1210はTiNの均一なシームレスカラムで形成されているため、除去試薬が浸透して誘電体1204などの他の層を攻撃する可能性は非常に低い。
【0059】
図16は、シームレス電極を用いてナノポアセルを形成するための方法を示すフローチャートである。方法1600は、工程1610において、基板の上部に配置された導電層と、導電層の上にある相互接続誘電体層とを有するデバイス構造を提供することを含む。さらなる詳細は、
図12Aに関連する説明において提供される。工程1620において、相互接続誘電体の一部が除去されて、相互接続誘電体層の残りの部分によって囲まれる導電層の露出したアイランドを有する平面電極支持面が形成される。さらなる詳細は、
図12Bに関連する説明において提供される。工程1630では、多孔質電極材料を平面電極支持面上に堆積させて、多孔質電極材料のカラムで構成されているシームレス多孔質電極層を形成する。さらなる詳細は、
図12Cおよび
図13に関連する説明において提供される。工程1640において、保護層がシームレス多孔質電極層上に堆積される。さらなる詳細は、
図12Cに関連する説明において提供される。工程1650において、シームレス多孔質電極層および保護層をパターニングして、作用電極アイランドを形成する。さらなる詳細は、
図12Dに関連する説明において提供される。ステップ1660において、疎水性クラッドが堆積およびパターニングされて、ナノポアセルのウェルの側壁が形成される。さらなる詳細は、
図12Eに関連する説明において提供される。工程1670において、保護層の一部を除去して、多孔質電極層をナノポアセルのウェルに露出させる。さらなる詳細は、
図12Fに関連する説明において提供される。
【0060】
B.シームレス作用電極を有するナノポアセル
図12Fは、基板1201と、基板1201の上部を覆う電極支持層1205と、ウェル1216とを有するナノポアセル1250を示す。電極支持体は、相互接続誘電体層1204によって囲まれた導電層アイランド1202と、導電層アイランド1202および相互接続誘電体層1204によって形成された平坦な上面1203とを有する。ウェル1216は、シームレス多孔質作用電極アイランド1210と、シームレス多孔質作用電極アイランド1210を取り囲み、ウェル1216の側壁を形成するようにパターニングされた疎水性クラッド1214と、疎水性クラッド1214およびシームレス多孔質作用電極アイランド1210によって形成された空洞とを有する。シームレス多孔質作用電極アイランド1210は、平面状電極支持層1205の平坦な上面1203上に配置され、多孔質電極材料のカラムで構成されている。
【0061】
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、
図12A~
図12Eの方法によって形成されたシームレス電極のアレイの一例の上面および斜視図の顕微鏡写真であり、
図15は、
図12A~
図12Eの方法によって形成されたシームレスTiN電極層1510を有するナノポアデバイスの一例を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像である。これらの図のそれぞれに示され得るように、電極材料のカラムは、所望の多孔性および均一性を有し、除去試薬が浸透することを可能にする空隙または弱点として機能し得る目に見えるシームはない。したがって、
図12A~
図12Eの方法を使用して製造された電極材料は、ナノポアウェルの他の成分への損傷を防ぐようにより良好に構成され得る。
【0062】
前述の説明では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解をもたらすために、多くの詳細が説明されてきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの詳細の一部なしで、または追加の詳細を伴って実施され得ることが当業者には明らかであろう。
【0063】
値の範囲が提供される場合、各介在値は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、下限の単位の10分の1まで、また具体的に開示された範囲の上限と下限との間であることが理解される。記載された値または記載された範囲内の介在値と、その記載された範囲内の別に記載された値または介在値との間では、より小さい範囲が包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立して、範囲に含まれるかまたは除外され得、該範囲において、上下限のいずれかが含まれる場合、いずれも含まれない場合、またはいずれも含まれる場合、各範囲はまた本発明に包含され、記載された範囲内で具体的に除外された上下限はそれに従う。記載された範囲が上下限の一方または両方を含む場合、包含された上下限の一方または両方を除いた範囲もまた、含まれる。
【0064】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、複数のそのような方法を含む。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、ステップ、動作、要素、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解される。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連するリストされた項目の1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含み、「/」と省略され得る。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態が上記に記載されている。しかしながら、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な修正、代替構造、および均等物を使用し得ることが認識されるであろう。例えば、上記の説明では、ウェル形成のための疎水性材料の例としてポリイミド層が使用されているが、他の実施形態では、非晶質フルオロポリマーであるCYTOPなどの疎水性表面特性を有する他の有機材料も使用し得る。さらに、酸化ケイ素以外に、適切なエッチング選択性およびプロセス適合性を有する他の誘電体材料、例えば、窒化ケイ素、酸化ジルコニウム、および酸化ハフニウムなども、犠牲層を形成するために使用し得る。さらに、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、いくつかの周知のプロセスおよび要素は記載されていない。さらに、特定の実施形態の詳細は、その実施形態の変形に常に存在するとは限らないか、または他の実施形態に追加され得る。
【0066】
特徴または要素が本明細書で別の特徴または要素「上」にあると言及される場合、それは、他の特徴または要素上に直接存在し得、または介在する特徴および/または要素も存在してもよい。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接」あると言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。特徴または要素が別の特徴または要素に「接続され」、「取り付けられ」または「結合され」と言及される場合、それは他の特徴または要素に直接接続され、取り付けられ、または結合されることも可能であり、または介在する特徴または要素が存在し得ることも理解されよう。対照的に、特徴または要素が別の特徴または要素に「直接接続されている」、「直接接続されている」、または「直接結合されている」と言及される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して説明または示されているが、そのように説明または示されている特徴および要素は、他の実施形態に適用し得る。別の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複するか、またはその下にある部分を有し得ることも当業者には理解されるであろう。
【0067】
「下(under)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(over)」、「上(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、ある要素または特徴と別の要素または図に示されている特徴との関係を説明するために本明細書において使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中の装置の異なる方向を包含することを意図していることが理解されよう。例えば、図の装置が裏返されている場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として記述されている要素は、他の要素または特徴の「上」になる。したがって、「下」という例示的な用語は、上と下の双方の方向を包含し得る。装置は、他の方法で方向付けられてもよく(例えば、90度回転または他の方向に)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子がそれに応じて解釈されてもよい。同様に、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は、特に明記しない限り、説明の目的でのみ本明細書で使用される。
【0068】
「第1」および「第2」という用語は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明するために使用され得るが、文脈が別段の指示をしない限り、これらの特徴/要素はこれらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある特徴/要素を別の特徴/要素から区別するために使用される場合がある。したがって、以下に記載される第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼び得ることが可能であり、同様に、以下に記載される第2の特徴/要素は、本発明の教示から逸脱することなく、第1の特徴/要素と呼び得る。
【0069】
本明細書および以下の特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の定めがない限り、「備える(comprise)」という単語、および「備える(comprises)」および「備える(comprising)」などの変異は、方法および物品(例えば、組成物ならびに装置および方法を含む装置)において共同で使用され得ることを意味する。例えば、用語「備える(comprising)」は、ここに記されるいずれの要素またはステップを含むことを暗示するが、いずれの他の要素またはステップを除外することを含まない、と理解される。
【0070】
実施例で使用されるものを含め、本明細書で本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、特に明示的に指定されない限り、全ての数は、その用語が明示的に表示されない場合でも、「約」または「およそ」という単語で始まるかのように判断し得る。「約」または「およそ」という句は、大きさおよび/または位置を説明するときに使用されて、説明される値および/または位置が値および/または位置の合理的な予想範囲内にあることを示し得る。例えば、数値は、記載された値(または値の範囲)の+/-0.1%、記載された値(または値の範囲)の+/-1%、記載された値(または値の範囲)の+/-2%の値、記載された値(または値の範囲)の+/-5%、記載された値(または値の範囲)の+/-10%などを有し得る。本明細書に示される任意の数値はまた、文脈がそうでないことを示さない限り、ほぼその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。本明細書に記載されている任意の数値範囲は、そこに含まれる全てのサブ範囲を含むことを意図している。また、当業者が適切に理解するように、値が「以下」であると開示される場合、「値以上」および値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「X以下」ならびに「X以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。また、本特許出願全体で、データは多くの様々な形式で提供され、このデータは、終了点と開始点、およびデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解される。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それよりも小さい、それ以下、およびそれに等しいことが、10から15の間とともに開示されていると見なされることが理解される。2つの特定のユニット間の各ユニットもまた開示されていることも理解される。例えば、10と15が開示されている場合、11、12、13、および14も開示される。
【0071】
様々な例示的な実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態にいくつかの変更を加え得る。例えば、記載された様々な方法ステップが実行される順序は、代替の実施形態ではしばしば変更されることがあり、他の代替の実施形態では、1つ以上の方法ステップが完全にスキップされることがある。様々な装置およびシステムの実施形態の任意の特徴は、いくつかの実施形態には含めてもよく、他の実施形態には含めなくてもよい。したがって、前述の説明は、主に例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に記載されているように、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0072】
本明細書に含まれる例および図は、限定ではなく例示として、主題が実施され得る特定の実施形態を示している。前述のように、他の実施形態を利用してそこから導き出し得、その結果、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的および論理的な置換および変更を行い得る。本発明の主題のそのような実施形態は、複数のものが実際に開示されている場合、単に便宜のために、そして本特許出願の範囲を任意の単一の発明または発明の概念に自発的に限定することを意図することなく、本明細書において個別にまたは集合的に「発明」という用語によって言及され得る。したがって、特定の実施形態が本明細書で例示および説明されてきたが、同じ目的を達成するために計算された任意の構成を、示された特定の実施形態の代わりに使用し得る。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる適応または変形をカバーすることを意図している。上記の実施形態、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を検討すると、当業者にとって明らかであろう。
【0073】
ここに説明される全ての特許、特許出願、出版物、および説明文は、それらの内容全体を、全ての目的のために、参照により本明細書に援用する。従来技術と認められるものはない。
【国際調査報告】