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特表2023-527019新規の局所用皮膚閉鎖組成物及びシステム
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  • 特表-新規の局所用皮膚閉鎖組成物及びシステム 図1
  • 特表-新規の局所用皮膚閉鎖組成物及びシステム 図2a
  • 特表-新規の局所用皮膚閉鎖組成物及びシステム 図2b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】新規の局所用皮膚閉鎖組成物及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/04 20060101AFI20230619BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20230619BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20230619BHJP
   A61L 24/04 20060101ALI20230619BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20230619BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230619BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20230619BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230619BHJP
   C09D 183/07 20060101ALI20230619BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230619BHJP
   C09D 183/05 20060101ALI20230619BHJP
   C09D 7/20 20180101ALI20230619BHJP
   C09J 183/04 20060101ALI20230619BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20230619BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20230619BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230619BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20230619BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
C08L83/04
A61L15/26 100
A61L15/24 100
A61L24/04 200
C08K5/5425
C08K3/36
C09D183/04
C09D7/63
C09D183/07
C09D7/61
C09D183/05
C09D7/20
C09J183/04
C09J183/07
C09J183/05
C09J11/06
C09J11/04
B01J31/22 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572602
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 IB2021054515
(87)【国際公開番号】W WO2021240355
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】16/885,361
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/327,940
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】512080321
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】オウ・デュアン・リ
【テーマコード(参考)】
4C081
4G169
4J002
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4C081AA03
4C081AA12
4C081BA12
4C081BB04
4C081CA021
4C081CA031
4C081CA081
4C081CA131
4C081CA161
4C081CA171
4C081CA211
4C081CA231
4C081CA272
4C081CB05
4C081CC05
4C081CD32
4C081CD33
4C081DA02
4C081DA05
4C081DA06
4G169AA02
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BE02A
4G169BE02B
4G169BE09A
4G169BE09B
4G169BE32A
4G169BE32B
4G169CB25
4G169CB62
4G169CB80
4G169DA02
4G169FA01
4J002CP031
4J002CP041
4J002CP081
4J002CP141
4J002DA116
4J002DJ017
4J002EX036
4J002FD146
4J002GB01
4J038DL041
4J038DL101
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4J038JA02
4J038JC38
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA08
4J038MA07
4J038NA10
4J038PB01
4J038PC11
4J040EK061
4J040EK101
4J040HA306
4J040HB02
4J040HD41
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4J040JB09
4J040MA07
4J040MA10
4J040MA14
4J040MB02
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA02
(57)【要約】
創傷を閉鎖するための新規組成物及びシステムが開示される。組成物は、改善された可撓性及び弾性のデバイスを提供し、創傷部位に、又は創傷閉鎖デバイス全体に容易に適用される。また、本発明は、このような組成物において用いるための新規白金触媒に関する。触媒は、皮膚などの局所表面上で急速な硬化を提供し、このような表面に約2~5分間で接着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
反応性官能基を有する架橋性シリコーンポリマーと、
シリカ含有組成物と、
シリコーン架橋剤と、
触媒であって、前記触媒が、以下の式、Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体を含む、触媒と、
を含む、組成物。
【請求項2】
前記架橋性シリコーンポリマーが、ビニル末端ポリジアルキルシロキサン、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ポリジフェニルシラン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル末端ポリフルオロプロピルメチル-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリジエチルシロキサン、及びSiH末端ポリジメチルジシロキサンからなる群から選択されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記架橋性シリコーンポリマーが、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記シリカ含有組成物が、トリメチルシリル表面処理シリカ充填剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記シリカ含有組成物が、HCR(高一貫性ゴム)ベース及びLSR(液状シリコーンゴム)ベースを含む、市販の反応性シリカ含有シリコーンベースから選択されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記シリカ含有組成物が、液状シリコーンゴムベースである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーン架橋剤が、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン、ポリエチヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン-コ-オクチルメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサン-コ-メチルフェニルシロキサンからなる群から選択されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーン架橋剤が、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、総固形分に基づいて、約1重量%~約15重量%の前記シリコーン架橋剤を含み、前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記コーティング組成物が、総固形分に基づいて、約0.003重量%~約0.06重量%の前記白金触媒を含み、前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記コーティング組成物が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、低分子量オレフィンの混合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
以下の式、Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体を含む、
組成物。
【請求項14】
前記組成物が、約19度の温度において硬化可能である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約28度の温度において約2~5分で硬化可能である、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
キットであって、
a)創傷閉鎖デバイスと、
b)請求項1に記載の組成物と、を含む、キット。
【請求項17】
前記創傷閉鎖デバイスが、創傷閉鎖ストリップである、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記創傷閉鎖ストリップが、メッシュ、ポリマーフィルム、プラスチック発泡体(連続気泡発泡体を含む)、織布、編まれた布地、不織布、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されている、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記創傷閉鎖ストリップがメッシュである、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記創傷閉鎖デバイスが、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリウレタン、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物と、綿、絹、及びリネンと、OH表面処理PTFE、OH表面処理ポリプロピレン及びOH表面処理ポリエチレンを含むがこれらに限定されない、それらの表面にOH官能基を付与する表面処理材料と、からなる群から選択される材料を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、60~95重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、60~80重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、30~100重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、0~30重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、0~40重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、70~100重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年5月28日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第16/885,361号の一部継続出願であり、その全てが2020年5月28日に出願された米国特許仮出願第16/885,413号(代理人整理番号ETH6068USNP1)、同第16/885,426号(代理人整理番号ETH6069USNP1)、同第16/885,366号(代理人整理番号ETH6084USNP1)、同第16/885,375号(代理人整理番号ETH6085USNP1)、及び米国特許非仮出願第__________号(現在本明細書と共に出願されている、代理人整理番号ETH6084USCIP1)に関し、一般的な譲受人を有する前述の特許出願の全ては、本出願において、その内容が全体として本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明が関係する技術分野は、シリコーンベース創傷閉鎖組成物及びデバイス、特に、シリコーンベース局所用皮膚接着剤(TSA)及びシステムである。
【背景技術】
【0003】
特に、膝、手首、肘等の動く身体関節部の皮膚閉鎖のための、エラストマー局所用皮膚接着剤が必要とされている。
【0004】
TSAの弾性バージョンは、整形外科手術において特に必要とされる。接合部の活動的な動きは、接着剤と皮膚との間の界面における閉鎖の質を損なう可能性がある。外科手術後感染の可能性を低減するために、水密閉鎖もまた生成物において望ましい。接着剤のシリコーンの種類は、その弾性及び密閉特性故に、これらの2つの主要な顧客必要条件の両方についての、1つの解決法である。
【0005】
シリコーンは、その不活性について知られており、一般にOTC瘢痕を低減する生成物として使用される。皮膚反応の低減及び美容上の改善は、シリコーンベースTSAによって提供される付加的な利点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、特に、膝、手首、肘等の動く身体部分及び関節部の閉鎖のためのエラストマー局所用皮膚接着剤が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、新規の触媒組成物、シリコーンベース硬化性接着剤組成物、及び創傷閉鎖システムが開示される。
【0008】
組成物は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンとポリジメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤との混合物、結合剤としての表面処理シリカ粒子、及び所望により、ヘキサン又はその市販の誘導体などの脂肪族有機溶媒などの一般的な低沸点有機溶媒を有する新規の非従来型白金触媒、並びにSiH末端ポリジメチルシロキサン鎖延長剤を含む。提案されたシリコーン接着剤は、体温で3分未満で、皮膚上において乾燥され得る。提案されたシリコーン接着剤と皮膚との間の皮膚保持力は、典型的なシアノアクリレートベースTSA生成物と同等であるか、又はより良好である。従来のシアノアクリレートベースTSA生成物とは異なり、本発明のシリコーンベースTSAは、従来の創傷閉鎖デバイスと組み合わせられた場合に、その元の長さの160%まで延伸され、その元の寸法に完全に回復し得る。
【0009】
結合形成は、シリカ粒子の表面上のシラノール官能基と皮膚上のOH官能基との間の縮合反応によって可能になる。シラノール縮合は周囲温度で緩慢になる傾向があり、新規の非従来型触媒は、本反応が短期間で発生することを可能にする。白金ベースの新規触媒はまた、ビニルシリル化反応を活性化して、ビニル末端シリコーンポリマーが同時に架橋して縮合反応することを可能にする。
【0010】
一実施形態では、本発明は、
反応性官能基を有する架橋性シリコーンポリマーと、
シリカ含有組成物と、
シリコーン架橋剤と、
触媒であって、当該触媒が、以下の式、Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体を含む、触媒と、
を含む、組成物に関する。
【0011】
前述の実施形態では、シリカ含有組成物を別個の成分として添加してもよいが、より好ましくは、それは架橋性シリコーンポリマーに含有されている。また、コーティング組成物は、白金触媒を含有してもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、表面を有する医療用デバイスであって、表面の少なくとも一部が上記新規シリコーンコーティング組成物でコーティングされている、医療用デバイスである。
【0013】
本発明の依然として更に別の態様は、架橋性シリコーンコーティングで使用するための新規白金触媒である。触媒は、以下の式、
Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金錯体を含む。
【0014】
本発明の更なる態様は、局所用皮膚接着剤としての、及び創傷を閉じるためのシステム又はキットとしての創傷閉鎖デバイスと組み合わせた局所用皮膚接着剤としての、本発明の組成物の使用である。
【0015】
その他の実施形態では、本発明の組成物は、以下に記載されるように、有機溶媒(複数可)の必要性を制限するか又は排除する制御された粘度要件下で、作製される。
【0016】
本発明のこれら及びその他の態様及び利点は、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の新規触媒のNMRピークと比較した、カルステッド触媒のNMRピーク比較である。
図2A】本発明の弾性を実証するために使用される延伸試験の工程を示す。
図2B】本発明の弾性を実証するために使用される延伸試験の工程を示す。
図2C】本発明の弾性を実証するために使用される延伸試験の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語シリコーン及びシロキサンとは、本分野で従来互換的に使用されており、その使用法が本明細書で採用されている。
【0019】
局所用皮膚接着剤組成物及び創傷閉鎖システム
本発明の一態様は、裂傷及び外科手術的切開を閉鎖するために特に有用である新規の創傷閉鎖組成物に関する。これらの組成物は、局所用皮膚接着剤として、及び創傷閉鎖デバイスと組み合わせた接着剤としての使用に好適である。
【0020】
一実施形態では、組成物は、架橋性シロキサンポリマーと、別個の成分として添加されてもよいが、より好ましくは架橋性シリコーンポリマーに含有されているシリカ含有組成物と、の混合物と、従来のシリコーン架橋剤と、白金触媒と、を含む。シリコーンポリマー成分は、コーティング溶液又は組成物を形成するために、(例えば、ヘキサン、ヘプタン、又はその市販の誘導体などの)例えば肪族有機溶媒を含む、従来の芳香族有機溶媒とブレンドされる。コーティング溶液に好適なその他の溶媒としては、低分子量シロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
本発明の組成物において有用な架橋性シロキサンポリマーは、ビニル末端された、ヒドロキシル及びアクリレート官能基を含むがこれらに限定されない、反応性官能基又は末端官能基を有する。本発明の組成物において用いられ得る架橋性シロキサンポリマーは、好ましくは、ビニル末端ポリジアルキルシロキサン又はビニル末端ポリアルキルアリールシロキサンを含む。例としては、以下のビニル末端シロキサンポリマー:ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシラン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフルオロプロピルメチル-ジメチルシロキサンコポリマー、及びポリジエチルシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。ビニル末端架橋性ポリメチルシロキサンを用いることが、特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物で用いられ得る架橋剤としては、例えば、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン、ポリエチヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン-コ-オクチルメチルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン-コ-メチルフェニルシロキサンなどの、従来のシリコーン架橋剤が挙げられる。本発明の組成物で使用するための好ましい従来の架橋剤は、ポリメチルヒドロシロキサン及びポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサンである。本発明のコーティングにおける架橋密度の正確な制御は、非架橋性シリコーンポリマー(例えば、ポリジメチルシロキサン)の総架橋ポリマーに対する比を正確に制御することによって、達成される。総架橋ポリマーは、所望により、白金錯体触媒の存在下における、官能化架橋性ポリマーと架橋剤との間の反応、例えば、ビニル末端ポリジメチルシロキサンとポリメチルヒドロシロキサンとの間のビニルシリル化反応によって、形成される。本ポリマーの実施例としては、Gelest,Inc.(Morrisville,Pa.19067)から入手可能なGelest製品コード番号DMS-V31、DMS-V33、DMS V-35、DMS V42、DMS-V46、DMS-V52等が挙げられるが、これらに限定されない。ビニル末端ポリジメチルジシロキサンの典型的な分子構造は、以下の通りである。
【0023】
【化1】
式中、nは、分子量によって定義される。
【0024】
使用されるシリコーンポリマーの分子量は、粘度と分子量との関係に基づいて推定され得る(ページ11,SILICONE FLUIDS:STABLE,INERT MEDIA ENGINEERING AND DESIGN PROPERTIES,Catalog published by Gelest,Inc.11 East Steel Rd.Morrisville,PA 19067)。25℃におけるセンチストークス(cSt)で表される運動粘度μに相関する分子量(M)>2,500については、A.J.Barryの関係式を使用して、シリコーンの分子量Mを以下のように推定し得る。
log μcSt=1.00+0.0123M0.5
(Journal of Applied Physics 17 1020(1946)において、A.J.Barryにより公表)
【0025】
ビニル末端ポリジメチルシロキサンは、適切な条件下において白金触媒の存在下で、ポリメチルヒドロシロキサン架橋剤と反応し、ビニル末端ポリジメチルシロキサン直鎖ポリマーは、本反応の結果として、互いに完全に架橋される。ポリメチルヒドロシロキサン架橋剤の量は、ビニル末端ポリジメチルシロキサンベースポリマーに比べて多く化学量論的に過剰である。架橋剤中の余分なSiH官能基は、ヒトの皮膚などの、例えばポリマー縫合糸の表面上のOH官能基と反応して、高温でSi-O-C結合を形成するか、又はスチール製の針の場合はSi-O-Fe結合を形成すると考えられる。シリコーンコーティングとデバイスとの間にこのようにして生じる共有結合は、本反応の結果として、所与の表面にコーティングを接着的に付着させる。
【0026】
本発明の実施において使用されるポリメチルヒドロシロキサン架橋剤又は架橋剤は、約1000~約3000、好ましくは、約1400~約2100の分子量を有する。本ポリマー架橋剤の実施例としては、Gelest,Inc.(Morrisville,Pa.19607)から入手可能なGelest製品コード番号HMS-991、HMS-992が挙げられるが、これらに限定されない。ポリメチルヒドロシロキサン架橋剤の典型的な分子構造は、以下の通りである。
【0027】
【化2】
式中、nは、分子量によって定義される。
【0028】
また、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサンは、本発明の新規コーティングにおいて架橋剤としても使用され得る。本ポリマーの実施例としては、Gelest製品コード番号HMS-301、HMS-501が挙げられるが、これらに限定されない。本シロキサンポリマー架橋剤の分子量は、典型的に、約900~約5,000、好ましくは、約1,200~約3,000である。ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤の典型的な分子構造は、以下の通りである。
【0029】
【化3】
式中、n及びmは、分子量によって定義される。
【0030】
シリカ含有組成物
本明細書で使用する場合、本発明との使用について記載されるシリカ含有組成物は、(表面処理シリカなどの)別個の成分として、又は架橋性シリコーンポリマー混合物中にシリカを含有する市販の組成物からのシリカ材料を含む。
【0031】
別個の成分として、シリカは、本発明の組成物に組み込まれて、皮膚及びその他の基材材料への結合剤として作用する。シリカ粒子の表面上のOH基は、以下に示すように、特定の条件下でヒトの皮膚を含む基材材料の表面上でOH官能基と反応する、と考えられている。
【0032】
【化4】
【0033】
シリカ粒子を架橋性シリコーンポリマーに組み込んだ。相分離を防止するポリシロキサンポリマーマトリクスへのその相溶性を可能にするために、シリカ粒子にはヘキサメチルシリル表面処理が必要である。処理されるシリカの一例としては、ヘキサメチルジシラザン処理シリカ、すなわち、トリメチルシリル表面処理シリカ充填剤(Gelest SIS6962.0)が挙げられる。
【0034】
既にシリカを含有するシリコーンポリマーの場合、これらは、HCR(高一貫性ゴム)ベース及びLSR(液状シリコーンゴム)ベースを含む反応性シリカ含有シリコーンベースから選択されるシリカ含有組成物などの市販の原料から得てもよく、LSRベースが好ましい。本材料のその他の市販例としては、Wacker 401-10、401-20、401-40ベース、及び液状シリコーンゴムベースが挙げられるが、これらに限定されず、本材料の市販例としては、Bluestar Silbione LSR 4370ベースが挙げられるが、これに限定されない。これらの種類の市販のシリコーンゴムベースは、表面処理シリカ充填剤を、種々の分子量のビニル末端ポリジメチルシロキサンポリマーと混合することによって、調製される。充填剤とポリシロキサンポリマーとの間の相溶性を改善するために、混合プロセス中にその場で表面処理が実施されてもよい。
【0035】
触媒
GE Siliconeのカルステッドは、1970年代始めに高活性の白金触媒を発明した(米国特許第3775452号)。ビニル末端ポリジメチルシロキサンは、わずか10ppmのカルステッド触媒を用いて、周囲温度において1分未満でポリメチルヒドロシロキサン含有架橋剤と反応し得る。従来の白金触媒は、シリカ粒子の表面上のOH基と基材の表面上のOH官能基との間の反応を可能にしない。この種類の縮合反応は、周囲条件で遅くなる傾向があり、本反応の典型的な触媒は、有機アミン及びジラウリン酸スズなどの触媒を含む。微量の縮合触媒は、白金触媒の触媒能力を停止させ、シリコーン産業において白金毒作用と称される。シリコーンと所与の基材材料との間の急速な接着形成を可能にするために、シリカ粒子と基材材料との間のOH縮合を活性化するよう、新規の白金同等触媒が必要である。本発明の白金ベース新規触媒は、ビニルシリル化及びOH縮合の両方を同時に活性化することができる。
【0036】
新規触媒は、スキーム1に従って、カルステッドの触媒をジエチルマレエートと反応させることによって、調製される。新規白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート触媒は、ビニルシリル化及び縮合反応の両方を可能にする。これは、「二重官能性シリコーン触媒」と呼ばれる。
【0037】
【化5】
【0038】
本発明の新規触媒を、以下の方法で調製してもよい。反応を完了させるのに十分有効な時間、例えば30分間、周囲温度で、キシレン溶液中のカルステッド触媒をキシレン溶液中の低濃度のビニルシクロヘキサノールと混合するが、反応の完了は、反応混合物の色が透明から薄褐色に変化することによって示される。
【0039】
本発明の新規触媒を含有する得られた触媒溶液は、局所用皮膚接着剤として有用な組成物中で、使用する準備が整う。得られた白金錯体触媒(白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体)の式は、
Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)である。
【0040】
得られた触媒反応混合物は、少量の反応生成物ジビニルテトラメチルジシロキサンを含有することに留意すべきである。本成分は、触媒に影響を与えず、急速に蒸発する低沸点成分である。したがって、ジビニルテトラメチルジシロキサンを除去するための触媒混合物の精製は任意であり、超低濃縮におけるその存在は、架橋性シリコーンポリマーの架橋反応には影響を与えないと考えられる。本発明の新規触媒はまた、シリカ充填剤の表面上のシラノール基と所与の表面上のOH官能基との間の結合形成を活性化する、すなわち、触媒は、2つの反応を活性化することができる。これにより、シリコーンコーティング中の架橋性成分を硬化させて、所望の硬化温度でコーティングフィルムを急速に形成し、ヒトの皮膚などの所与の基材への結合を提供することができる。
【0041】
粘度低減のための溶媒
いくつかの市販生産の充填剤強化架橋性シリコーンポリマー(シリコーンベースゴム)は、高い粘度、典型的には、500,000超、かつ最大数百万cPを有する。このような高粘度材料を皮膚上に混合して塗布することは不可能であり、その粘度を低減させるために低有害有機溶媒が必要である。
【0042】
この目的のために、低温脂肪族溶媒が使用される。典型的な実施例としては、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンポリマー成分を均質な溶液へと有効にブレンドすることが可能である十分な濃度で、有機溶媒を添加する。総溶媒濃度は、基部ゴムの元の粘度に応じて、10%~30%である。n-ブタン及びイソペンタンなどの超低沸点溶媒もまた、シリコーン接着剤の噴霧可能な配合物を提供するために使用され得る。
【0043】
低粘度ビニル末端ポリジメチルシロキサンベースポリマーのための鎖延長剤
100,000センチポアズ(cP)~数百万cP(例えば、100万~2000万cP)の粘度の範囲で高粘度を有する、それらの市販生産の充填剤強化架橋性シリコーンポリマー(シリコーンベースゴム)について、(低分子量)ビニル末端ポリジメチルシロキサン(<300cP)を、低温脂肪族溶媒と一緒に添加して、その混合性及び塗布性を改善してもよい。SiH末端ポリジメチルシロキサンを鎖延長剤として添加して、低分子量ビニル末端ポリジメンチルシロキサンを重合する。SiH末端ポリジメチルシロキサンベースポリマーは、1000~100,000、好ましくは、3,000~10,000の分子量を有する。
【0044】
この種のポリマーの実施例としては、Gelest製品コード番号 DMS-H21、DMS-H31等が挙げられるが、これらに限定されない。SiH末端ポリジメチルジシロキサンの典型的な分子構造を以下に示す。
【0045】
【化6】
【0046】
上記シリコーンポリマー及び新規白金触媒は、低沸点有機溶媒中へと分散して、コーティング溶液を形成する。シリコーン分散液には、低温脂肪族溶媒が使用される。芳香族溶媒及びヘキサメチルジシロキサンが、一般にシリコーン分散液に使用される。典型例としては、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンポリマー成分を均質なコーティング溶液へと有効にブレンドすることが可能である十分な濃度で、有機溶媒を添加する。総溶媒濃度は、コーティングの厚さ要件に応じて、約80重量%~約99重量%、より典型的には、約85重量%~約93重量%である。当業者は、コーティング溶液の固形分含有量を変化させることによってコーティング厚さを操作し得ることを理解するであろう。
【0047】
成分の添加の順序が重要である。典型的なコーティング組成物は、以下の方法で調製される。シリカを別個の成分として添加する場合、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを、表面処理シリカと共に、ヘキサメチルジシロキサンなどの第1の溶液中に、完全に均質になるまで最長2時間分散させる(溶液2)。次に、ヘプタンを添加し(溶液3)、ポリメチルヒドロシロキサン架橋剤を添加する前に更に1時間混合する。最終成分として全ての触媒を添加した後、溶液を更に1時間かけて完全にブレンドする。
【0048】
以下の段落において、重量%とは、コーティング溶液中の総固形分含有の重量%である。本発明の新規コーティング組成物は、高い可撓性及び耐久性を有するシリコーンコーティングを効果的に提供するために、十分な量のポリマー成分、シリカ含有組成物、架橋剤、触媒、及び溶媒を含有する。
【0049】
典型的には、コーティング溶液中のシリカの量は、約5重量%~約40重量%(総固形分)、より典型的には、約10重量%~約30重量%(総固形分)、好ましくは、約15重量%~約25重量%(総固形分)である。架橋性シリコーンポリマーの量は、典型的には、約60重量%~約95重量%(総固形分)、より典型的には、約70重量%~約90重量%(総固形分)、好ましくは、約75重量%~約85重量%(総固形分)である。シリコーン架橋剤の量は、典型的には、約1重量%~約15重量%(総固形分)、より典型的には、約2重量%~約10重量%(総固形分)、好ましくは、約3重量%~約8重量%(総固形分)である。本発明の新規シリコーンコーティング組成物(総固形分中の白金元素)中の総固形分に基づく白金触媒の量は、典型的には、約0.06重量%~約0.003重量%、より典型的には、約0.04重量%~約0.008重量%、好ましくは、約0.03重量%~約0.01重量%である。
【0050】
本発明の組成物中の有機溶媒の量は、典型的には、約0重量%~約30重量%、より典型的には、約10重量%~約20重量%、好ましくは、約12重量%~約18重量%である。当業者は、本発明の新規コーティング組成物中に存在する溶媒の量が、幾つかの要因によって変動し、また、コーティング組成物中の溶媒量が、有効なコーティングを作製するように選択されることを理解するであろう。典型的に考慮される要因としては、適用方法、硬化方法、利用するコーティング設備、周囲条件、厚さ等が挙げられる。本発明のコーティング組成物の各成分は、これら成分のブレンドから構成されていてもよいことが理解されるであろう。例えば、異なる官能基及び/又は分子量を有する2つ以上の架橋性シリコーンポリマー等を使用してもよい。
【0051】
本発明の組成物は、局所用皮膚接着剤などの創傷閉鎖用途に十分に適している。一般に、これらの組成物は、約19度の温度で非粘着性の性質又は触感に硬化することが実証されている。約28度の温度で、組成物は約2~5分間硬化する。
【0052】
上記及び当業者には理解されるように、本発明のシリコーン組成物は、粘性でも粘着性でもないフィルムへと数分で硬化する。対照的に、シリコーン感圧接着剤(PSA)などのいくつかのシリコーン接着剤は、本質的に粘性又は粘着性によるものであり、接着剤の使用可能な寿命全体についてのものであることが意図される。粘着性シリコーンPSAのこのような使用可能な寿命は、数年以上であり得る。本発明の組成物及び実施例の非粘着性は、ASTM C679によって測定される。
【0053】
一般に、ASTM C679は、封止剤がフィルムにそれ自体を付着させず、表面から剥離する場合にフィルムがきれいに見えるまで、硬化性封止剤の表面を規則的な間隔でポリエチレンフィルムに軽く触れさせることから構成される。より具体的には、ポリエチレンフィルムのストリップが硬化エラストマーの表面上に配置され、30gの重量がフィルム上に配置される。重量を30秒間所定の位置に放置し、次に除去し、ポリエチレンストリップを除去し、フィルムへの封止剤付着について調べる。封止剤が所与の表面に最初に適用されてから、封止剤がそれ以上フィルムによって取り込まれなくなるまでの時間の長さは、タックフリー時間と呼ばれ、フィルムが非粘着性の性質を示す時点であり、また封止剤が硬化したことを証明する時点である。
【0054】
硬化する際に、本発明の硬化性組成物は、膝、肘などの屈曲可能な関節部上の創傷閉鎖に対する適用に特に有用な延伸性、可撓性、及び弾性特性を示す。所望により、種々の創傷閉鎖デバイスと組み合わせて、本発明の硬化性組成物は、例えば、身体、腹部、腕、脚、肩、背面領域若しくは同類部などの任意の組織領域に対してなどの、一般的な外科手術的閉鎖のように、屈曲可能な関節部にわたる創傷又は屈曲可能な関節部にわたらない創傷を含む任意の創傷閉鎖に適用され得る。
【0055】
本発明の組成物は、硬化性液体又は硬化性半液体、流動性組成物として直接創傷上に適用されるか、又は多孔質の流動性組成物透過性創傷閉鎖デバイス上に適用され得る。
【0056】
創傷閉鎖システム
上記のように、本発明の組成物は、創傷閉鎖デバイスと組み合わせて使用するのに好適である。
【0057】
本発明での使用に好適な創傷閉鎖デバイスは、創傷を閉じるように構成されている任意のデバイスを含む。最も有用な創傷閉鎖デバイスは、創傷閉鎖ストリップ、テープ、パッチ、又は創傷を閉じるのに好適な任意のその他の材料、最も好ましくはストリップである。好ましくは、創傷閉鎖デバイスは、多孔質であり、流動性の重合性接着剤がデバイスに浸透し、結合される組織表面にデバイスが適切に結合できることを可能にする。
【0058】
創傷閉鎖デバイスは、創傷対向面、及び上面を含む。創傷対向面は、創傷対向面の少なくとも一部に適用された感圧接着剤(PSA)などの接着剤を更に含んでもよい。PSAは、初期に創傷に近接するのが有用である。創傷閉鎖デバイスは、好ましくは多孔質である。本明細書では、「多孔質」とは、創傷閉鎖デバイスのバルクが孔を有し、これによって、続いて適用される重合性接着剤組成物がバルク材料によって浸漬される、つまり吸収されるか、あるいは創傷閉鎖デバイスのバルクが(網又はスクリーンのような)空隙を有し、これによって、続いて適用される重合性接着剤組成物がバルク材料によって浸漬される、つまり吸収されるか又は吸収されずに、バルク材料を直接通過する、のどちらかを意味する。例えば、織物材料の場合には、「多孔質」とは一般に、適用される接着剤組成物が、繊維の間の隙間に浸透して通過するが、必ずしも繊維自体の中を通って通り抜けないことを意味するように使用される。好ましくは、創傷閉鎖デバイスはメッシュストリップである。
【0059】
このような多孔性(又は疎水性若しくは親水性などのその他の特性)は更に、続いて適用される重合性接着剤組成物を惹起するために、使用前に重合開始剤又は速度調整剤が創傷閉鎖デバイスの中へ又は上に充填されることを可能にする。このような多孔性は更に好ましくは、空気及び液体が、孔自体を通るか、又はバルク材料中の空隙を通るか、のどちらかで、創傷閉鎖デバイスを通過することを可能にする。多孔性の度合い及び/又は開口部の寸法に依存して、このようなメッシュの多孔性、又は空気及び液体がメッシュを通って浸透する能力は、最終複合材料の形成後、残存するように調整されてもよいか、又はそこから不在するように調整されてもよい。生物組織上などの創傷を被覆するために使用されることが意図されるので、創傷閉鎖デバイスは、更に好ましくは非毒性である。したがって、創傷閉鎖デバイスは、所望の基材(例えば、組織、皮膚、臓器等)と生物学的適合性があるべきであり、好ましくは、政府承認である又は所望の目的に安全であると一般的にみなされる材料である。実施例として、好適な創傷閉鎖デバイスはメッシュ材料であり、米国特許出願第2006/0009099号及び同第2005/0182443号に開示されており、それら全体が、本明細書に参照として組み込まれる。
【0060】
創傷閉鎖デバイスは、織物又はメッシュ/ウェブ材料であってもよい。好適な織物材料は、合成又は天然の材料のどちらかで形成されてもよい。このような織物材料は、織布若しくは不織布、又は織材料若しくは不織材料のどちらかで形成されてもよい。創傷閉鎖デバイスは、例えば、任意の好適なポリマーフィルム、プラスチック発泡体(連続気泡発泡体を含む)、織布、編まれた布地、不織布、これらの混合物等であってもよい。特に、好適な創傷閉鎖デバイスは、したがって、例えば、ナイロンと、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、及びエチレンブチレンコポリマーなどのポリオレフィンと、アクリルと、レーヨンと、ポリウレタンと、ポリウレタン発泡体と、ポリスチレンと、可塑化ポリ塩化ビニルと、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルと、ポリアミドと、ポリ乳酸と、ポリグリコール酸と、ポリカプロラクトンと、上記のコポリマーの混合物と、綿、絹、及びリネンなどの自然材料と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、生体脈管材料と、コラーゲンと、Gore-Tex(登録商標)と、DACRON(登録商標)等と、から調製されてもよい。好ましい創傷閉鎖デバイス材料は、その表面上にOH官能基を含有するようなものであるが、これは、自然に発生するか、又はOH官能基を付与する表面処理(「OH表面処理」)によって発生するか、のどちらかである。これらの材料としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリウレタン、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、上記のコポリマー混合物、及び綿、絹、並びにリネンが挙げられるが、これらに限定されない。OH官能基をそれらの表面に付与する好適なOH表面処理材料としては、OH表面処理PTFE、OH表面処理ポリプロピレン及びOH表面処理ポリエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
創傷閉鎖デバイスは、合成材料、半合成材料、又は天然有機材料から形成されてもよい。したがって、例えば、メッシュは、金属(銀、鋼等など)又はガラス又はセラミックなどの材料からではない、合成又は天然のポリマー材料から形成されてもよい。創傷閉鎖デバイスは、生分解性、又は非生分解性のどちらであってもよい。創傷閉鎖デバイスは、好ましくは耐裂性である。
【0062】
創傷閉鎖デバイスの厚さは、約0.1mm~約25mmであってもよい。別の実施形態では、創傷閉鎖デバイスの厚さは、約0.5mm~約20mm、好ましくは、約0.7mm~約10mm、最も好ましくは、約1mm~約5mmである。
【0063】
創傷閉鎖デバイスがストリップである場合、ストリップは、長さが約2cm~約40cm、好ましくは、約10~約30cm、最も好ましくは、25cmであってもよい。ストリップは、幅が0.1~約8cm、好ましくは、約2~6cm、より好ましくは、約4cmであってもよい。
【0064】
創傷閉鎖デバイスは、弾性であるか、又はいくらかの記憶効果を有するように選択されてもよい。このような実施形態では、メッシュの弾性特性は望ましくは、例えば、創傷縁部近接を保持するために、貼り付け部位においてある程度の圧力又は応力を提供してもよい。同様に、貼り付け部位においてこのような付加的な程度の圧力又は応力が望まれない実施形態では、メッシュは、より少ない弾性を有するか、又は弾性を有しないように、選択されてもよい。
【0065】
創傷閉鎖デバイスは、生分解性、又は非生分解性のどちらであってもよい。「生分解性」とは、メッシュが経時的に生体内で生分解することを意味し、そのため一定期間後、メッシュを物理的に除去することを必要としない。したがって、例えば、生分解性メッシュは、生体内の環境において、約1週間~約5年の期間にわたって生分解してしまうものである。非生物分解性の材料は、生体内の環境において、約5年以内に生分解しないものである。このような非生物分解性の材料の場合、したがって、経時的にゆっくり劣化していくか、又は組織から自然に脱落してしまうのではなく、むしろ、望ましい時期に創傷閉鎖デバイスを物理的に除去する必要がある。
【0066】
創傷閉鎖デバイスは、その中に又はその上に検出される1種以上の化学物質を含んでもよい。例えば、1種以上の化学物質は、それに化学的に結合される、物理的に結合される、吸収される、又は吸着されるなど、創傷閉鎖デバイスの中又はその上に分散されてもよい。創傷閉鎖デバイスの中又はその上に存在してもよいこのような化学物質としては、複合体構造の性能を強化する、任意の好適な、かつ好ましくは、適合性のある添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。このような追加の化学物質は、生理活性又は非生理活性であってもよい。したがって、好適なその他の化学物質は、着色剤(インク、染料、及び色素など)、芳香剤、化学的に剥離しない保護コーティング、温度感受性剤、医薬品、創傷治癒剤、抗菌剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例
【0067】
実施例1、新規白金触媒(合成手順)
44.50gのGelest SIP6831.2(キシレン中の2.2%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、カルステッド触媒)を、2gのジエチルマレエートと周囲温度で24時間混合した。NMR試験のために、3時間後、18時間後、及び24時間後に試料を取り出し、3時間のNMRスペクトルを図1に示す。
【0068】
新規触媒の配合は、スキーム1の証拠であり、これは、NMR分光学的同定上にある。カルステッド触媒は、およそ-6111ppmでの195Ptシグナル特性であることが知られている。
【0069】
図1の3時間での本混合物のNMRスペクトルに示されるように、実施例1の混合物を3時間混合した後に、-6082ppmでの新しい195Ptシグナルが、-6111ppmでのカルステッド触媒の元のシグナルと共に観察された。新しいシグナルの強度は経時的に増加するが、一方で、カルステッド触媒のシグナルの強度は同時に低減した。
【0070】
実施例2、シリコーンベース局所用皮膚接着剤の調製
一般に、市販の白金硬化シリコーン材料のほとんどと同様に、シリコーンベース局所用皮膚接着剤は、等量のパートA成分及びパートB成分を混合することによって、2液型キットで送達される。
【0071】
概要として、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを、高速ミキサを使用して、白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート触媒、シリカ粒子、及び所望により脂肪族有機溶媒と混合して、キットのパートAを形成する。ビニル末端ポリジメチルシロキサンを、高速ミキサを使用して、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤、シリカ粒子及び所望により脂肪族有機溶媒と混合して、キットのパートBを形成した。
【0072】
等量の2液型キットを静的ミキサを使用して混合し、次に、皮膚などの基材の表面上に塗布した。2液型キットの混合物は、適用されたシリコーンの粘性又は粘着性の損失によって決定されるように、体温で5分以内に硬化した。
【0073】
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、40gのビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest DMSV41)と、10gの表面処理シリカ粒子(Gelest SIS6962.0)とを、実施例1で得られた触媒2.6gと一緒に混合した。
【0074】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、40gのビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest DMSV41)と、10gの表面処理シリカ粒子(Gelest SIS6962.0)とを、3.34gのポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン(Gelest HMS301)と一緒に混合した。
【0075】
実施例3、市販のシリカ含有シリコーン原材料を使用したシリコーンベース局所用皮膚接着剤の調製。
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、90gのE-Kem44実験ベース(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームシリカ粒子を含有する)を、4.72gの実施例1で得られた触媒と、9.0gの低分子量ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー(Gelest DMS V21)と、26gのヘキサンと混合した。
【0076】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、81gのE-Kem44実験ベース(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームシリカ粒子を含有する)を、8.1gのポリメチルヒドロシロキサン架橋剤(Gelest DMS H991)と、2.7gのSiH末端ポリジメチルシロキサン鎖延長剤(Gelest DMS H21)と、10.2gのヘキサンと混合した。
【0077】
対照実施例:シリカ結合剤なしの対照実施例及び従来のカルステッド触媒の使用
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、40gのビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest DMSV41)を、2.6gのカルステッド触媒キシレン溶液(キシレン中1%のGelest SIP 6831.2)と混合した。
【0078】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで5分間使用して、40gのビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest DMSV41)を、3.34gのポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン(Gelest HMS301)と混合した。
【0079】
実施例4、試験試料の調製及び試験手順の説明
試験手順
創傷閉鎖ストリップ試験試料の調製:
8インチ×11インチの合成基材(又はバイオ基板)を、4インチ×11インチの寸法で2つの半分部分に切断した。1インチ幅のPSA(感圧接着剤)コーティングされたポリエステルメッシュを切断線に沿って配置して、2つの半試験片を一緒に保持した。上記の2液型シリコーンTSA組成物を混合し、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。
【0080】
保持強度試験:
本試験は、PSAコーティングされたメッシュ及び適用されたシリコーンTSA組成物に近似した基材を分離するのに必要な力を評価した。本方法は、ASTMF2458:組織接着剤及び封止剤における創傷閉鎖強度の標準試験方法に基づいた。
【0081】
試験に合成基材(Mylar)を使用し、選択された試料もブタの皮膚で試験した。合成基材の幅は1インチであり、ブタの皮膚は2インチであり、ひずみ速度は20インチ/分であった。
【0082】
剥離試験
ASTM F2256:張力負荷によるT型剥離における組織接着剤の強度特性のための標準試験方法に従って、T剥離強度試験を実施した。
【0083】
T型剥離構成におけるシリコーンベースTSAでコーティングされたメッシュの平均剥離強度は、10インチ/分のひずみ速度で実施される。
【0084】
保持強度試験試料
合成基材、ポリエステルフィルム(厚さ0.05インチのDuralar(登録商標)フィルム)、グラフィックスプラスチック、Maple Heights、OH
8インチ×11インチのDuralar(登録商標)ポリエステルフィルムを、4インチ×11インチの寸法で2つの半分部分に切断した。1.5インチ幅のPSA(感圧接着剤)コーティングされたポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)を切断線に沿って配置して、2つの半試験片を一緒に保持した。以下の実施例のそれぞれにおける2液型シリコーンTSA組成物をそれぞれ混合し(実施例2、実施例3及び対照実施例)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。試料を31℃で2~5分間乾燥させた。5、被覆されたメッシュ試料のそれぞれの1インチ幅のストリップを、試験のために切断した。
【0085】
バイオ基材(ブタの皮膚)
2インチ×8インチのブタの皮膚の試料を、2インチ×4インチの寸法で、2つの半分部分に切断した。1.5インチ幅のPSA(感圧接着剤)コーティングされたポリエステルメッシュを切断線に沿って配置して、2つの半試験片を一緒に保持した。2液型シリコーンTSA組成物を混合し(実施例3)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。
【0086】
剥離試験試料
合成基材(ポリエステルフィルム、厚さ0.05インチのDuralar(登録商標)フィルム、グラフィックスプラスチック、Maple Heights、OH)
ポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)上にコーティングされた5インチ×5インチのPSA(感圧接着剤)を、同じ寸法のポリエステル基材上に配置した。以下の実施例のそれぞれの2液型シリコーンTSA組成物をそれぞれ混合し(実施例2、実施例3及び対照実施例)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。5、被覆されたメッシュ試料のそれぞれを乾燥させた後、試験のために、1インチ幅の試験片を切断した。
【0087】
バイオ基質(55歳のアジア人男性の腕)
ポリエステルメッシュ上にコーティングされた3インチ×1インチのPSA(感圧接着剤)を、55歳のアジア人男性の左腕に配置した。以下の実施例のそれぞれの2液型シリコーンTSA組成物をそれぞれ混合し(実施例3及び対照実施例)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。
【0088】
バイオ基材(ブタの皮膚)
ポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)上にコーティングされた5インチ×1.5インチのPSA(感圧接着剤)を、ほぼ同じ寸法でブタの皮膚片上に配置した。実施例3の2液型シリコーンTSA組成物を混合し、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。
【0089】
延伸試験試料
5インチ×5インチのPSA(感圧接着剤)によってコーティングされたポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)を、テフロン基材上に配置した。2液型シリコーンTSA組成物を混合し(実施例3)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。シリコーンコーティングされたポリエステルメッシュを、1時間後にテフロン基板から剥離した。5、1インチ幅のシリコーンコーティングされたメッシュ試験片を、試験のために切断した。
【0090】
性能試験結果:
1a:保持試験(合成基材)
ポリエステルフィルム上の保持試験を、対照実施例と共に、実施例2及び実施例3の組成物について実施し、結果を表1にまとめる。
【0091】
【表1】
【0092】
表1を参照すると、ポリエステル基材の保持力は、カルステッド触媒を使用した従来の架橋性シリコーンポリマーと比較して、ポリシロキサンポリマー及び市販の塩基から作製された本発明の実施例において有意に良好であることが分かる。
【0093】
1b:保持試験結果(バイオ基材)
ブタの皮膚に対する保持試験を、実施例3の組成物で実施し、
結果を表2にまとめる。
【0094】
【表2】
【0095】
表2を参照すると、ブタの皮膚上のシリコーンベースTSAの保持力が、約10lbであるシアノアクリレートベース市販生成物の保持強度に匹敵することを示す。
【0096】
2a:剥離試験結果(合成基材)
合成基材(ポリエステル)上のTSA組成物の剥離試験を、実施例2及び実施例3の組成物を使用して、対照実施例と共に実施し、結果を表3にまとめる。
【0097】
【表3】
【0098】
表3を参照すると、ポリエステル基材の平均剥離力及び最大剥離力は、カルステッド触媒を使用した従来の架橋性シリコーンポリマーと比較して、ポリシロキサンポリマー及び市販の塩基から作製された本発明の実施例において有意に良好であることが分かる。
【0099】
2b:剥離試験結果(バイオ基材)
ヒトの皮膚上のTSAの剥離試験を実施例3及び対照実施例で実施し、結果を表4にまとめる。
【0100】
【表4】
【0101】
本発明の実施例3で作製されたシリコーンTSAの剥離力は、対照実施例よりも著しく高い。また、ヒトの皮膚上のシリコーンTSAの剥離力は、ポリエステル基材上の同じ材料の剥離力と非常に類似している(表3を参照)。
【0102】
2b:剥離試験結果(バイオ基材)
ブタの皮膚上のTSAの剥離試験を実施例3で実施し、結果を表4aにまとめる。
【0103】
【表5】
【0104】
3:延伸試験結果
実施例3をその元の長さの160%にまで延伸した。試験試料の寸法は、延伸の前後に測定され、画像は、図2A図2B、及び図2cに示された。
【0105】
これらの図を参照すると、試験結果は、実施例3がその元の寸法の160%まで伸長され、完全に回復し得ることを示す。図示されていない別個の試験では、シアノアクリレートコーティングされたポリエステルメッシュ試料は、その元の寸法の101%にのみに伸長し得る。すなわち、1%の延伸は永久変形を生じさせるのに十分であった。
【0106】
実施例-無溶媒(SF)
いくつかの実施形態では、有機溶媒を含まない混合組成物の使用がより望ましい。このような実施形態は、二重バレルシリンジなどの混合デバイスの内容物が溶媒で作製され、シリンジの内容物がシリンジの封止を通過して漏れるか、又は溶媒が蒸発する場合がある状況を含む。本発明者らは、低分子量(3000~9000)のビニル末端ポリジメチルシロキサン及び/又は低分子量(3000~9000)の水素化物末端ポリジメチルシロキサンを置換することによって、有機溶媒を使用することなく、好適な組成物が可能であることを見出した。これらの種類の低分子ビニル末端ポリジメチルシロキサン化合物又は低分子水素化物末端ポリジメチルシロキサン化合物の両方は、40~150cPsの範囲の粘度を有する。本発明者らは、これらの無溶媒配合物が、典型的には、500,000超及び最大数百万センチポアズを有する粘度を有する高粘度シリコーンベースの粘度を低減させることができることを、実証した。
【0107】
これらの実施形態では、パートA組成物は、典型的には、45,000~75,000cPsのパートA粘度を制御する場合、60~95重量%(又は、15,000~45,000cPsのパートA粘度を制御する場合、30~100重量%、又は75,000~105,000cPsのパートA粘度を制御する場合、0~40重量%)の範囲の、(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子を含有する)シリコーンベースと、5~15重量%の3000~9000cPsのビニル末端ポリジメチルシロキサンと、本発明の触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含む。
【0108】
パートB組成物は、典型的には、45,000~75,000cPsベースのパートB粘度を制御する場合、60~80重量%(又は、15,000~45,000cPsベースのパートB粘度を制御する場合、0~30重量%、又は75,000~105,000cPsベースのパートB粘度を制御する場合、70~100重量%)の範囲の、(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子を含有する)シリコーンベースと、10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む。
【0109】
典型的には、パートAの組成物及びパートBの組成物の両方の粘度は、混合前に25,000~100,000cPsの間で独立した範囲であり、パートA及びパートBが、低粘度レベル、中粘度レベル、又は高粘度レベルの周囲で互いに組み合わせて使用される場合、同様の粘度となる。
【0110】
実施例1-SF:新規白金触媒(合成手順)
2.7gのジエチルマレエートと、3.6gのジエチルエーテル及び3.6gのGelest SIP6830.3(ビニル末端ポリジメチルシロキサン中の3.0%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、カルステッド触媒-キシレン溶媒を含まない)とを、周囲温度で24時間混合した。次に、64.9gのGelest SIP6830.3を上記混合物へと添加し、容器の蓋は開けたまま、更に72時間混合した。最後に、928.8gのビニル末端ポリジメチルシロキサン(Gelest DMS V21)を添加し、更に4時間混合した。新規白金触媒マスターバッチは、2055ppmの元素白金を有する新規触媒を含有し、本質的に、残査はビニル末端ポリジメチルシロキサンである。
【0111】
実施例2-SF、(低粘度)(15,000~45,000cPs)
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、90gのElkem55実験ベース(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子を含有する、Elkem Silbione4020-55としても知られている)を、10gの実施例1-SFと混合した。本組成物は、32,090cPsの粘度を有した(実施例7a-SFを参照)。
【0112】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、90gのElkem55実験ベースを、9.0gのポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤(Gelest HMS H301)、3.0gのSiH末端ポリジメチルシロキサン鎖延長剤(Gelest DMS H21)と混合した。本組成物は、31,160cPsの粘度を有した(実施例7a-SFを参照)。
【0113】
実施例3-SF,中粘度(45,000~75,000cPs)
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、115gのElkem55実験ベースを、20gのElkem44実験ベース(ビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子を含有する、Elkem Silbione4020-44としても知られている)、15gの実施例1-SFと混合した。本組成物は、57,900cPsの粘度を有した(実施例7a-SFを参照)。
【0114】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、80gのElkem44実験ベースを、20gのElkem55実験ベース、42gのポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤(Gelest HMS151)、8.0gのSiH末端ポリジメチルシロキサン鎖延長剤(Gelest DMS H21)と混合した。本組成物は、61,500cPsの粘度を有した(実施例7a-SFを参照)。
【0115】
実施例4-SF、高粘度(75,000~105,000cPs)
パートA
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、90gのElkem55実験ベースを、45gのElkem44実験ベース及び15gの実施例1-SFと混合した。本組成物は、84,000cPsの粘度を有した。(実施例7a-SFを参照)。
【0116】
パートB
高速遠心ミキサ(FlackTek DAC150 FV-K)を3470rpmで3分間使用して、100gのElkem44実験ベースを、42gのポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤(Gelest HMS H151)、8.0gのSiH末端ポリジメチルシロキサン鎖延長剤(Gelest DMS H21)と混合した。本組成物は、94,800cPsの粘度を有した(実施例7a-SFを参照)。
【0117】
実施例5-SF:接着性能試験試料の調製:
保持強度試験試料
合成基材、ポリエステルフィルム(厚さ0.05インチのDuralar(登録商標)フィルム)、グラフィックスプラスチック、Maple Heights、OH
1.5インチ幅のPSA(感圧接着剤)コーティングされたポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)を切断線に沿って配置して、上記の4インチ×11インチのDuralarフィルムの2つの半試験片を一緒に保持した。以下の実施例のそれぞれにおける2液型シリコーンTSA組成物をそれぞれ混合し(実施例2-SF、実施例3-SF、実施例4-SF)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。試料を31度で1~3分間硬化させ、この温度で一晩維持した。5、被覆されたメッシュ試料のそれぞれの1インチ幅のストリップの試験片を、試験のために切断した。
【0118】
剥離試験試料
合成基材(ポリエステルフィルム、厚さ0.05インチのDuralar(登録商標)フィルム、グラフィックスプラスチック、Maple Heights、OH)
ポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)上にコーティングされた5インチ×5インチのPSA(感圧接着剤)を、同じ寸法のポリエステル基材上に置いた。以下の実施例のそれぞれの2液型シリコーンTSA組成物をそれぞれ混合し(実施例2-SF、実施例3-SF、実施例4-SF)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。5、被覆されたメッシュ試料のそれぞれを硬化させ、一晩(すなわち、少なくとも8時間)、31度で維持した後、試験のために1インチ幅の試験片を切断した。
【0119】
延伸試験試料
5インチ×5インチのPSA(感圧接着剤)によってコーティングされたポリエステルメッシュ(ロット番号16204、Innovize、St Paul、MN)を、ポリエチレン基材上に配置した。2液型シリコーンTSA組成物を混合し(実施例2-SF、実施例3-SF、及び実施例4-SF)、従来のゴムスパチュラを使用して、メッシュの全領域を被覆するようにメッシュ上に均一に適用した。シリコーンコーティングされたポリエステルメッシュを、1時間後にテフロン基板から剥離した。5、1インチ幅のシリコーンコーティングされたメッシュ試験片を、試験のために切断した。
【0120】
実施例6-SF.試験手順の説明
粘度測定:
Brookfield DV II+CP粘度計を使用して、実施例2-SF、実施例3-SF及び実施例4-SFで、粘度測定を実施した。スピンドル12を全ての測定に使用し、速度は1RPMであった。
【0121】
硬化時間測定
ASTMC679:エラストマー封止剤のタックフリー時間のための標準試験方法。試験は、封止剤がフィルムにそれ自体を付着させず、表面から剥離した場合にフィルムがきれいに見えるまで、硬化性封止剤の表面を規則的な間隔でポリエチレンフィルムに軽く触れさせることから構成される。より具体的には、ポリエチレンフィルムのストリップが硬化エラストマーの表面上に配置され、30gの重量がフィルム上に配置される。重量を30秒間所定の位置に放置し、次に除去し、ポリエチレンストリップを除去し、フィルムへの封止剤付着について調べる。封止剤が所与の表面に最初に適用されてから、封止剤がそれ以上フィルムによって取り込まれなくなるまでの時間の長さは、タックフリー時間と呼ばれ、フィルムが非粘着性の性質を示す時点であり、また封止剤が硬化したことを証明する時点である。
【0122】
剥離試験
ASTM F2256:張力負荷によるT型剥離における組織接着剤の強度特性のための標準試験方法に従って、T剥離強度試験を実施した。
【0123】
T型剥離構成におけるシリコーンベースTSAでコーティングされたメッシュの平均剥離強度は、10インチ/分のひずみ速度で実施される。
【0124】
保持強度試験:
本試験は、PSAコーティングされたメッシュ及び適用されたシリコーンTSA組成物に近似した基材を分離するのに必要な力を評価した。本方法は、ASTMF2458:組織接着剤及び封止剤における創傷閉鎖強度の標準試験方法に基づいた。
【0125】
試験のために合成基材(Mylar)を使用した。合成基材の幅は1インチであり、ひずみ速度は20インチ/分であった。
【0126】
実施例7-SF.性能試験結果:
7a-SF.粘度測定
実施例2-SF、実施例3-SF、及び実施例4-SFの粘度測定の結果を、表1a-SFにまとめる。
【0127】
【表6】
【0128】
7b-SF.硬化時間測定
剥離試験試料調製中に、実施例2-SF、実施例3-SF、及び実施例4-SFの組成物について硬化時間測定を実施し、結果を表1b-SFにまとめる。
【0129】
【表7】
【0130】
前述は、本発明の組成物が2分未満で硬化することができることを実証している。
【0131】
7c-SF:保持試験結果(合成基材)
ポリエステルフィルム上の保持試験を、実施例2-SF、実施例3-SF及び実施例4-SFの組成物について実施した。結果を表1c-SFにまとめる。
【0132】
【表8】
【0133】
表1c-SFを参照すると、ポリエステル基材の保持力は、カルステッド触媒を使用した従来の架橋性シリコーンポリマーと比較して(対照実施例、表1)、ポリシロキサンポリマー及び市販の塩基から作製された本発明の実施例において有意に良好であることが分かる。
【0134】
7d-SF:剥離試験結果(合成基材)
合成基材(ポリエステル)上のTSA組成物の剥離試験を、実施例2-SF、実施例3-SF、及び実施例4-SFの組成物を使用して実施した。結果を表1d-SFにまとめる。
【0135】
【表9】
【0136】
表d-SFを参照すると、ポリエステル基材の平均剥離力は、カルステッド触媒を使用した従来の架橋性シリコーンポリマーと比較して、ポリシロキサンポリマー及び市販の塩基から作製された本発明の実施例において有意に良好であることが分かる。\(対照実施例、表3)
【0137】
7e-SF:延伸試験結果
実施例2-SF、実施例3-SF及び実施例4-SFは、その元の長さの160%まで延伸することができ、その元の寸法に回復することができた。
【0138】
実証されるように、本発明の新規組成物、創傷閉鎖システム、及び触媒は、先行技術と比較して多くの利点を有する。組成物は、特にヒトの皮膚に好適な医療グレードのシリコーン接着剤の配合を可能にする。組成物は、機械的特性及び接着特性の両方を提供する、耐久性のある弾性構造を提供する。触媒は、二重硬化触媒作用を提供し、所与のヒドロキシル含有基材上に接着特性を形成しながら、ポリシロキサン鎖の架橋が急速にフィルムを形成することを可能にする。組成物中のシリコーン充填剤の表面上のシラノール官能基は、本新規二重官能性触媒の存在下で、所与の表面上のヒドロキシル官能基と反応し、本新規シリコーンベース接着剤に接着特性を提供する。
【0139】
以上、本発明をその詳細な実施形態について図示及び説明してきたが、当業者であれば、特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の形態及び詳細に種々の変更を行い得る点が、理解されるであろう。
【0140】
〔実施の態様〕
(1) 組成物であって、
反応性官能基を有する架橋性シリコーンポリマーと、
シリカ含有組成物と、
シリコーン架橋剤と、
触媒であって、前記触媒が、以下の式、Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体を含む、触媒と、
を含む、組成物。
(2) 前記架橋性シリコーンポリマーが、ビニル末端ポリジアルキルシロキサン、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ポリジフェニルシラン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニル末端ポリフルオロプロピルメチル-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリジエチルシロキサン、及びSiH末端ポリジメチルジシロキサンからなる群から選択されている、実施態様1に記載の組成物。
(3) 前記架橋性シリコーンポリマーが、ビニル末端ポリジメチルシロキサンを含む、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記シリカ含有組成物が、トリメチルシリル表面処理シリカ充填剤を含む、実施態様1に記載の組成物。
(5) 前記シリカ含有組成物が、HCR(高一貫性ゴム)ベース及びLSR(液状シリコーンゴム)ベースを含む、市販の反応性シリカ含有シリコーンベースから選択されている、実施態様1に記載の組成物。
【0141】
(6) 前記シリカ含有組成物が、液状シリコーンゴムベースである、実施態様5に記載の組成物。
(7) 前記シリコーン架橋剤が、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン、ポリエチヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン-コ-オクチルメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサン-コ-メチルフェニルシロキサンからなる群から選択されている、実施態様1に記載の組成物。
(8) 前記シリコーン架橋剤が、ポリメチルヒドロシロキサン、ポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせを含む、実施態様1に記載の組成物。
(9) 前記組成物が、前記組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(10) 前記組成物が、総固形分に基づいて、約1重量%~約15重量%の前記シリコーン架橋剤を含み、前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
【0142】
(11) 前記コーティング組成物が、総固形分に基づいて、約0.003重量%~約0.06重量%の前記白金触媒を含み、前記コーティング組成物が、前記コーティング組成物の重量に基づいて、約0重量%~約30重量%の有機溶媒を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(12) 前記コーティング組成物が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、低分子量オレフィンの混合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒を更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(13) 以下の式、Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)を有する白金テトラメチルジビニルジシロキサンジエチルマレエート錯体を含む、
組成物。
(14) 前記組成物が、約19度の温度において硬化可能である、実施態様1に記載のコーティング組成物。
(15) 前記組成物が、約28度の温度において約2~5分で硬化可能である、実施態様14に記載のコーティング組成物。
【0143】
(16) キットであって、
a)創傷閉鎖デバイスと、
b)実施態様1に記載の組成物と、を含む、キット。
(17) 前記創傷閉鎖デバイスが、創傷閉鎖ストリップである、実施態様16に記載のキット。
(18) 前記創傷閉鎖ストリップが、メッシュ、ポリマーフィルム、プラスチック発泡体(連続気泡発泡体を含む)、織布、編まれた布地、不織布、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されている、実施態様17に記載のキット。
(19) 前記創傷閉鎖ストリップがメッシュである、実施態様18に記載のキット。
(20) 前記創傷閉鎖デバイスが、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリウレタン、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物と、綿、絹、及びリネンと、OH表面処理PTFE、OH表面処理ポリプロピレン及びOH表面処理ポリエチレンを含むがこれらに限定されない、それらの表面にOH官能基を付与する表面処理材料と、からなる群から選択される材料を含む、実施態様19に記載のキット。
【0144】
(21) 等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、60~95重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、60~80重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、実施態様1に記載の組成物。
(22) 等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、30~100重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、0~30重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、実施態様1に記載の組成物。
(23) 等量のパートAとパートBとの組み合わせを含み、
パートAが、0~40重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する5~15重量%のビニル末端ポリジメチルシロキサンと、
前記触媒Pt[(CH=CH)(CHSi]O・(COCH=CHCO)(CO)から寄与される100~250ppmの元素白金と、を含み、
パートBが、70~100重量%のビニル末端ポリジメチルシリコーンベースポリマー及びヒュームドシリカ粒子と、
10~40重量%のポリメチルヒドロ-コ-ポリジメチルシロキサン架橋剤と、
3,000~9,000の範囲の分子量を有する3~12重量%の水素化物末端ポリジメチルシロキサンと、を含む、実施態様1に記載の組成物。
図1
図2a
図2b
図2c
【国際調査報告】