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特表2023-527051(不)飽和炭化水素ベース鎖を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと界面活性剤とを含む化粧用組成物
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  • 特表-(不)飽和炭化水素ベース鎖を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと界面活性剤とを含む化粧用組成物 図1
  • 特表-(不)飽和炭化水素ベース鎖を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと界面活性剤とを含む化粧用組成物 図2
  • 特表-(不)飽和炭化水素ベース鎖を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと界面活性剤とを含む化粧用組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】(不)飽和炭化水素ベース鎖を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと界面活性剤とを含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20230619BHJP
   C08G 63/06 20060101ALI20230619BHJP
   C08G 63/91 20060101ALI20230619BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALN20230619BHJP
【FI】
A61K8/85
C08G63/06
C08G63/91
A61Q1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572756
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2021067263
(87)【国際公開番号】W WO2021260078
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2006624
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・ポルタル
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・ギャルコン
【テーマコード(参考)】
4C083
4J029
【Fターム(参考)】
4C083AB352
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC422
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD162
4C083CC02
4C083DD31
4C083EE07
4J029AA02
4J029AB01
4J029AB07
4J029AE18
4J029EA05
4J029JB223
4J029JC332
4J029KE17
4J029KH01
(57)【要約】
本発明は、
a)下記の単位(A)及び(B):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位、及びその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物を含有し、好ましくはそれらからなる、1種又は複数種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)中:-Rが、i)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキル、ii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルケニル、iii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は直鎖状であり;前記炭化水素ベース鎖が、任意選択的に、明細書に記載されたような原子又は基によって置換及び/又は中断されており;-Rが、3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表すもの;並びにb)1種又は複数種の界面活性剤を含む化粧用組成物に関し、(A)は(B)とは異なることが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記の単位(A)及び(B):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位、及びその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物を含有し、好ましくはそれらからなる、1種又は複数種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)中:
-Rは、i)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキル、ii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルケニル、iii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は直鎖状であり;
前記炭化水素ベース鎖が、
・a)塩素又は臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシ、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又はC(S)-N(R、g)シアノ、h)イソ(チオ)シアネート、i)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、j)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、k)化粧用活性剤、l)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤から選択される基を表すR、及びa’)O、S、N(R)若しくはSi(R)(R)、b’)S(O)若しくは(チオ)カルボニル、又はc’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)ウレア若しくはスルホンアミドなどのa’)とb’)との組合せを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換されており;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;R及びRは、同一又は異なっていてもよく、(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基を表し、特に、好ましくはb)ハロゲン及びj)エポキシドなどから選択される1種のみの置換基によって置換されており;且つ/或いは
・1種又は複数種のヘテロ原子a’)例えばO、S、N(R)及びSi(R)(R)、b’)S(O)、(チオ)カルボニル、又はc’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)ウレア、スルホンアミドなどのa’)とb’)との組み合わせによって任意選択的に中断されており、rは1又は2であり、Rは上記で定義した通りであり、好ましくはRは水素原子を表し、R及びRは上記で定義した通りであり;
-Rは、3~30個の炭素原子を含む、環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベース基を表し;特に直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状炭化水素ベース基、より特に(C~C20)アルキル若しくは(C~C20)アルケニルから選択され;好ましくは、炭化水素ベース基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有するもの;並びに
b)1種又は複数種の界面活性剤;並びに
c)任意選択的に1種又は複数種の脂肪性物質であって、好ましくは25℃及び大気圧で液体であるもの
を含み、(A)は(B)とは異なることが理解される組成物、特に化粧用組成物。
【請求項2】
前記PHAコポリマーa)が、式(I):
【化1】
(式(I)中、
・R及びRは、請求項1において定義した通りであり;
・m及びnは1以上の整数であり、好ましくは、n+mの合計は450以上1400以下であり;
好ましくは、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>nであり、より優先的には、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり;且つRは、2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は中断されたアルケニル基又は任意選択的に置換及び/又は中断されたアルキニル基を表し、Rがアルキル基を表す場合、m<nである)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記PHAコポリマーa)が、3種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは、以下の3種の異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
(ポリマー単位(A)、(B)及び(C)中、
-R及びRは、請求項1において定義した通りであり;
-Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニルから選択される炭化水素ベース基、特に直鎖状炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルを表し、好ましくは、炭化水素ベースの基は、基Rの炭素原子の数、さもなければ、少なくとも3個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは4個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;且つ
以下:
-(A)は(B)及び(C)とは異なり、(B)は(A)及び(C)とは異なり、(C)は(A)及び(B)とは異なり;且つ
好ましくは、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、より優先的には、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)からなり、さらにその光学異性体又は幾何学異性体及びその水和物などの溶媒和物からなり;
より優先的には、前記PHAコポリマーa)が、式(II):
【化2】
(式(II)中、
・R、R及びRは上記で定義した通りであり;
・m、n及びpは1以上の整数であり、好ましくは、n+m+pの合計は450以上1400以下であり;
好ましくは、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+pであり、より優先的には、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表す場合、m<n+pである)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記PHAコポリマーa)が、4種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは、以下の4種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)中、
-R、R及びRは、請求項1において定義した通りであり;
-Rは、Rに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって任意選択的に中断された3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和炭化水素ベースの基を表し、特にRに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって中断された直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;且つ
以下:
-(A)は(B)、(C)及び(D)とは異なり、(B)は(A)、(C)及び(D)とは異なり、(C)は(A)、(B)及び(D)とは異なり、(D)は(A)、(B)及び(C)とは異なり;
-好ましくは、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、より優先的には、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表し;且つ且つR及びRが、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)、さらにその光学異性体又は幾何学異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物からなり:
より優先的には、前記PHAコポリマーが、式(III):
【化3】
(式(III)中:
・R、R、R及びRは上記で定義した通りであり、
・m、n、p及びvは1以上の整数であり、好ましくは、n+m+p+vの合計は450以上1400以下であり;
好ましくは、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+p+qであり、より優先的には、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つRが、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、n>m+v;より優先的にはn+p>m+vである)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PHAコポリマーa)が、5種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは、以下の5種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)中、
-R、R、R及びRは、請求項1~4において定義した通りであり;
-且つ
-Rは、Rに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって任意選択的に中断された3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和炭化水素ベースの基を表し、特にRに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって中断された直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;且つ好ましくは、炭化水素ベースの基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;
以下:
-(A)は(B)、(C)、(D)及び(E)とは異なり、(B)は(A)、(C)、(D)及び(E)とは異なり、(C)は(A)、(B)、(D)及び(E)とは異なり、(D)は(A)、(B)、(C)及び(E)とは異なり、(E)は(A)、(B)、(C)及び(D)とは異なり;
-好ましくは、R、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、単位(E)のモルパーセントよりも大きく、より優先的には、R、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、8個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表し;且つ且つR及びRが、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)、さらにその光学異性体又は幾何学異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物からなり;
より優先的には、前記PHAコポリマーが、式(IV):
【化4】
(式(IV)中:
・R、R、R、R及びRは上記で定義した通りであり、
・m、n、p、v及びzは1以上の整数であり、好ましくは、n+m+p+v+zの合計は450以上1400以下であり;
・好ましくは、R、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+p+v+zであり;
・好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つR及びR基が、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、n>m+v+z;より優先的にはn+p>m+v+zである)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
が、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状(C~C28)アルキル炭化水素ベース鎖を表し、より特に、Rが1個若しくは複数個の原子又は基a)~k)によって置換された、5~12個、好ましくは6~10個の炭素原子、より優先的には7~9個の炭素原子を含むアルキル基、例えば、n-オクチルであり;好ましくは、Rは、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)蛍光増白剤、UVスクリーン剤などの着色又は無着色、蛍光又は非蛍光発色団から選択される化粧用活性剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤から選択される基を表すR、及びa’)O、S、N(R)、b’)カルボニル、又はc’)エステル、アミド若しくはウレアなどのa’)とb’)との組合せを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換された炭化水素ベース鎖を表し;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;さらに優先的には、前記PHAコポリマーは、Rが炭化水素ベース鎖、特に、b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表わすR、及びa’)O、S又はN(R)、好ましくはSを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換された上記で定義したアルキル基を表し、Rは水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;より好ましくは、前記炭化水素ベース鎖Rは、前記基Rを有する炭素原子とは反対側の鎖末端において置換されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
が、炭化水素ベース鎖、特にアルキル、特にC~C20、より特にC~C18、さらに特にC~C16アルキルであって、O、S、N(R)、カルボニル、又はエステル、アミド若しくは尿素などのこれらの組合せから選択される1個若しくは複数個(好ましくは1個)の原子又は基によって中断されたアルキルを表し、Rは請求項1~6において定義した通りであり、好ましくは、Rは水素原子;好ましくは、O及びSから選択される1個若しくは複数個の原子、より優先的にはO又はS、特にS原子によって中断されたアルキル基を表し;好ましくは、前記中断された炭化水素ベース鎖、特にアルキルが直鎖状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
が、次式-(CH-X-(ALK)-Gを有し、Xは上記で定義した通りであり、特にO、S又はN(R)、好ましくはSを表し、ALKは直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C10)アルキレン、より特に(C~C)アルキレン鎖を表し、rは6以上11以下の整数、好ましくは8などの7以上10以下の整数を表し、uは0又は1に等しく;そしてGは水素原子、又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリール、シクロヘキシルなどのシクロアルキル、又は糖、特にアシルなどの1個若しくは複数個の基によって任意選択的に保護された単糖から選択される基を表し、好ましくはSugは、
【化5】
を表し、式中、Rは、基R-C(O)-を表し、Rは、メチルなどの(C~C)アルキル基を表し;好ましくは、uが0に等しい場合、Gはシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、または上記で定義した糖を表し;別の有利な変形例によれば、uが1に等しい場合、Gは水素原子、又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ若しくは(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリールから選択される基を表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記PHAコポリマーが、Rが、直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル、及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものであり;好ましくは、炭化水素ベースの基が、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子数に対応する炭素数を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記PHAコポリマーa)が、基Rが、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基、例えばn-ペンチル若しくはn-ヘキシルであるか;或いはRが、分岐状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基、好ましくはイソブチルなどの分岐状(C~C)アルキルであるようなものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記PHAコポリマーa)が、
-単位(A)が、0.1%~99%の範囲のモルパーセント、好ましくは0.5%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらに優先的には2%~30%の範囲のモルパーセント、より好ましくは5%~20%の範囲のモルパーセント、さらに好ましくは10%~30%の範囲のモルパーセントの単位(A)で存在し;且つ
-単位(B)が、1%~40%の範囲のモルパーセント、優先的には2%~10%の範囲のモルパーセント、より優先的には5%~35%の範囲のモルパーセントの単位(B)で存在し;且つ/又は
-単位(C)が、0.5%~20%の範囲のモルパーセント、優先的には1%~7%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~7%の範囲のモルパーセントの単位(C)で存在するようなものである、請求項1又は3~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記PHAコポリマーa)が、以下の繰り返し単位、さらにその光学異性体又は幾何異性体、その有機若しくは鉱物酸塩又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物を含むようなものであり:
【化6】
【表1】
【表2】
m及びnは上記で定義した通りであり、Halは臭素などのハロゲン原子を表し、tは1~10、好ましくは3~8、例えば6の整数を表し、
Ar:フェニルなどの(ヘテロ)アリール基を表し;
Ar’:t-ブチルフェニル、好ましくは4-t-ブチルフェニルなどの(C~C)アルキル(ヘテロ)アリール基を表し;
Cycl:シクロヘキシル基を表し;
Fur:フリル基、好ましくは2-フリルを表し;
Sug:糖基、特にアシルなどの1個又は複数個の基によって任意選択的に保護された単糖を表し;好ましくは、Sugは、以下:
【化7】
を表し、より優先的には、前記PHAコポリマーが以下の式を有し、さらにはその光学異性体、その有機若しくは鉱物物の酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を有し:
【化8】
【表3】
【表4】
M、n、Hal、t、Ar、Ar’、Cycl、Fur及びSugは、化合物(1)~(14)に関して上記で定義した通りである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【化9】
【表5】
【化10】
【表6】
【表7】
【表8】
【請求項13】
b)本発明の前記界面活性剤がイオン性、好ましくはアニオン性又はカチオン性、より優先的にはスルフェート型のアニオン性又はアンモニウム型のカチオン性であり、且つ/又は前記界面活性剤b)が高いHLB値、すなわち、10より大きく、好ましくは15より大きい、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
直接エマルジョンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
逆エマルジョンである、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記脂肪性媒体が、
□分岐状のC~C16アルカン、例えば石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン、イソデカン又はイソヘキサデカン、
□直鎖状C~C16アルカン、例えば、n-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、n-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物、並びにこれらの混合物;
□エステル油、特に植物由来の油から選択されるもの、例えば、脂肪酸がCからC24までの様々な鎖長を有し得るグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドであって、これらの鎖は場合により直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和であるもの;これらの油は特にヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリドである。植物由来の油は、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、落花生油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、米油、亜麻仁油、マカダミア油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、セサミシード油、マロー油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナット油、パッションフラワー油、マスクローズ油及びアルガン油;シアバター;或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択され得る;
□式R-C(O)-OR10のモノエステル油(式中、R+R10≧9個の炭素原子、好ましくは29個未満の炭素原子未満という条件で、Rは5~19個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素ベース鎖を表し、R10は4~20個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状、特に分岐状炭化水素ベース鎖を表す)、例えばパルミテート、アジペート、ミリスレート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリルオクタノエート(パーセリン油)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルドデシルラウレート、2-オクチルドデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えばイソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート、セチルラクテート又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えばジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13)アルキルマレート、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレート;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特に、テトラエステル又はジエステル)、例えば、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート、又はペンタエリスリチルジステアレート;
□式R11-O-C(O)-R12-C(O)-O-R13のジエステル(式中、R11及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、任意選択的に少なくとも1個の飽和又は不飽和、好ましくは飽和の環を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、且つR12は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えば、スクシネート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)、マレエート(この場合、R12は不飽和Cアルキレン鎖)、グルタレート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)又はアジペート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)から得られるアルキレン鎖を表し、特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル及びイソノニルから選択される);優先的には、ジカプリリルマレエート又はビス(2-エチルヘキシル)スクシネートが挙げられ得る;
□式R14-C(=O)-O-R15-O-C(=O)-R16のジエステル(式中、R14及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R15は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)、特に、1,3-プロパンジオールジカプリレート(R14はC、R16はC)、又はジプロピレングリコールジカプリレート;
□カルボネート油は、次式R17-O-C(O)-O-R18のカルボネートから選択され得、式中、R17及びR18は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐状C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し;カルボネート油は、ジカプリリルカルボネート(又はジオクチルカルボネート)、ビス(2-エチルヘキシル)カルボネート、ジブチルカルボネート、ジネオペンチルカルボネート、ジペンチルカルボネート、ジネオヘプチルカルボネート、ジへプチルカルボネート、ジイソノニルカルボネート又はジノニルカルボネート、好ましくはジオクチルカルボネートであり得る;
□並びにそれらの混合物
から選択される1種若しくは複数種の物質を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記脂肪性媒体が、組成物の全質量に対して2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは5質量%~90質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で1種又は複数種の脂肪性物質を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記脂肪性媒体が、水以外の1種若しくは複数種の溶媒、好ましくは極性及び/又はプロトン性溶媒、より優先的にはC~Cアルカノール、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノールから選択されるもの、好ましくはエタノールを含み;より特に、前記溶媒が、前記溶媒混合物の全質量に対して0~10質量%、優先的には、組成物の全質量に対して0.5~8質量%、より特に1~5質量%、例えば2質量%の質量パーセントで前記組成物中に存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される1種又は複数種の着色剤、好ましくは顔料も含み;より優先的には、本発明の前記顔料は、カーボンブラック、酸化鉄、特に黒色酸化鉄、及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色トリアリールメタン顔料、例えば、ブルー1レイク(Blue 1 Lake)、アゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&Cレッド7(D&C Red 7)、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩、さらに優先的には赤色酸化鉄から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇を、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物を適用することによって処理するための方法。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物の美容的使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、a)(不)飽和炭化水素ベース基を有する少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートコポリマーと、b)少なくとも1種の界面活性剤と、c)少なくとも1種の脂肪性物質とを含む化粧用組成物、及びそのような組成物を使用してケラチン物質を処理するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素ベース油などの有機媒体中で送達することができる被膜形成性ポリマーを化粧品中に使用することは既知の実施態様である。ポリマーは、特にマスカラ、アイライナー、アイシャドウ又は口紅などのメイクアップ製品において被膜形成剤として使用されている。
【0003】
(特許文献1)は、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-ヒドロキシバレレート)などのC~C21ポリヒドロキシアルカノエートによって被覆された顔料を含む化粧用組成物を記載している。
【0004】
(特許文献2)には、4-カルボキシ-2-ピロリジノンエステル誘導体と、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート及びポリヒドロキシブチレート-co-ポリヒドロキシバレレートなどのポリヒドロキシアルカノエートであり得る被膜形成性ポリマーとを含む化粧用組成物が記載されている。
【0005】
(特許文献3)には、水性分散液中のポリヒドロキシアルカノエートなどの熱可塑性樹脂と、シリコーンエラストマーとを含む化粧用組成物が記載されている。
一方、(特許文献4)には、皮脂などの油性物質を吸収するために、0.1μm~100μmの平均直径(d50)を有する粒子の形態で、組成物の全質量に関して0.1質量%~30質量%の量で少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を含む化粧用組成物が記載されている。しかしながら、ほとんどのPHAは、イソドデカンなどの揮発性油などの脂肪性物質を満足に溶解しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】仏国特許第A-2964663号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/154508号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第A-2015/274972号明細書
【特許文献4】国際公開第2018/178899号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリヒドロキシアルカノエートコポリマーの主要部分は、ほとんどの部分が同一であり、且つ同一の炭素源又は基質から誘導されるポリマー性繰り返し単位の重縮合から誘導されるポリマーである。これらの文献には、脂肪族基質又は第1の炭素源、及び1種若しくは複数種の(不)飽和炭化水素ベース基を含む第1の基質とは異なる少なくとも1種の第2の基質を用いた重縮合から誘導されるコポリマーと界面活性剤との美容的使用は記載されていない。したがって、親油性又は脂肪相中で可溶性であるポリヒドロキシアルカノエートコポリマーを含む組成物が必要とされている。さらに、様々な官能基を有するか、又はそれによってそれらを活性及び脂肪相中で可溶性にさせることができる親油性若しくは非親油性活性剤によって官能化可能であるPHAを含む組成物が必要とされている。これによって、良好な化粧特性、特に油及び皮脂に対する良好な耐性を有する被膜をケラチン物質上に得ること、さらにまた、光沢又はマット感を変更することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、以下に定義する特定のグラフト化又は官能化された炭化水素ベース基を有するポリヒドロキシアルカノエートコポリマーが、脂肪媒体中で容易に使用され得、したがって、均質な組成物を得ることが可能であることを発見した。さらに、本発明によるPHAは、皮膜形成ポリマーである。この組成物は、特に室温(25℃)で1ヶ月間保存した後、良好な安定性を示す。この組成物によって、特にケラチン物質に適用した後、良好な化粧特性、特に油及び皮脂に対する良好な耐性、並びにマット感又は光沢のある外観を有する被膜を得ることが可能となる。
【0009】
したがって、本発明の主題は、
a)下記の単位(A)及び(B):
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位、及びその光学的又は幾何学的異性体、その有機又は鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物を含有し、好ましくはそれらからなる、1種又は複数種のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)コポリマーであって、ポリマー単位(A)及び(B)中:
-Rは、i)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキル、ii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルケニル、iii)直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベースの基は直鎖状であり;
前記炭化水素ベース鎖が、
・a)塩素又は臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシ、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又はC(S)-N(R、g)シアノ、h)イソ(チオ)シアネート、i)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、j)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、k)化粧用活性剤、l)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤から選択される基を表すR、及びa’)O、S、N(R)若しくはSi(R)(R)、b’)S(O)若しくは(チオ)カルボニル、又はc’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)ウレア若しくはスルホンアミドなどのa’)とb’)との組合せを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換されており;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し;R及びRは、同一又は異なっていてもよく、(C~C)アルキル又は(C~C)アルコキシ基を表し、特に、好ましくはb)ハロゲン及びj)エポキシドなどから選択される1種のみの置換基によって置換されており;且つ/或いは
・1種又は複数種のヘテロ原子a’)例えばO、S、N(R)及びSi(R)(R)、b’)S(O)、(チオ)カルボニル、又はc’)(チオ)エステル、(チオ)アミド、(チオ)ウレア、スルホンアミドなどのa’)とb’)との組み合わせによって任意選択的に中断されており、rは1又は2であり、Rは上記で定義した通りであり、好ましくはRは水素原子を表し、R及びRは上記で定義した通りであり;
-Rは、3~30個の炭素原子を含む、環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベース基を表し;特に直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状の(C~C28)アルケニル、特に直鎖状炭化水素ベース基、より特に(C~C20)アルキル若しくは(C~C20)アルケニルから選択され;好ましくは、炭化水素ベース基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有するもの;並びに
b)1種又は複数種の界面活性剤;並びに
c)任意選択的に1種又は複数種の脂肪性物質であって、好ましくは25℃及び大気圧で液体であるもの
を含む組成物であって、(A)は(B)とは異なることが理解される。
【0010】
本発明の別の主題は、a)上記で定義した1種又は複数種のPHAコポリマー、b)上記で定義した1種又は複数種の界面活性剤、及び任意選択的にc)上記で定義した1種又は複数種の脂肪性物質の化粧品中での使用である。
【0011】
本発明の別の主題は、ケラチン物質、好ましくはα)ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維、又はβ)ヒト皮膚、特に唇を処理するプロセスであって、a)上記で定義された1種又は複数種のPHAコポリマー及び任意選択的にb)上記で定義された1種又は複数種の脂肪性物質を用いるプロセスである。
【0012】
より特に、本発明の主題は、ケラチン物質を処理するための非治療的美容的方法であって、上記で定義した組成物をケラチン物質に適用することを含むものである。この処理プロセスは、特にケラチン物質をケア又はメイクアップするためのプロセスである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】流加培養用アセンブリを示す。
図2】連続純粋培養用アセンブリを示す。
図3】オリーブ油又は皮脂と接触した後の膜の劣化の試験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的に関して、そして他に示されない限り、
-「化粧用活性剤」という用語は、その効果が即効性であるか又は繰り返し適用によって提供されるかにかかわらず、化粧用組成物に組み込んで、ケラチン物質に効果を与えることができる有機又は有機ケイ素化合物の基を意味する。化粧用活性剤の例として、着色又は未着色、蛍光又は非蛍光発色団、例えば、蛍光増白剤から誘導されるもの、又はUVA及び/又はUVBスクリーニング剤から誘導される発色団、抗老化活性剤又はバリア機能に対する作用を有する活性剤などの皮膚に利益を与えることが意図された活性剤、鉱物粒子以外のデオドラント活性剤、鉱物粒子以外の制汗活性剤、角質除去活性剤、抗酸化活性剤、保湿活性剤、皮脂調節活性剤、皮膚の光沢を抑えることを目的とする活性剤、汚染の影響に対抗することを目的とする活性剤、抗菌又は殺菌活性剤、抗ふけ活性剤及び香料が挙げられ得る。
-「(ヘテロ)アリール」という用語は、アリール又はヘテロアリール基を意味する。
-「(ヘテロ)シクロアルキル」という用語は、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキル基を意味する。
-「アリール」若しくは「ヘテロアリール」基、又は基のアリール若しくはヘテロアリール部分は、以下から選択される炭素原子に結合される少なくとも1個の置換基によって置換され得る:
・C~C、好ましくはC~Cアルキル基;
・塩素、フッ素又は臭素などのハロゲン原子;
・ヒドロキシル基;
・C~Cアルコキシ基;C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基;
・アミノ基;
・1個又は2個の同一又は異なるC~C、C~C、好ましくはC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基;
・基Rが水素原子であるアシルアミノ基(-NR-COR’);
・C~Cアルキル基及び基R’がC~Cアルキル基である;同一又は異なっていてもよい基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表す、カルバモイル基((R)N-CO-);
・基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表し、且つ基R’がC~Cアルキル基又はフェニル基を表す、アルキルスルホニルアミノ基(R’SO-NR-);
・同一又は異なっていてもよい基Rが水素原子又はC~Cアルキル基を表す、アミノスルホニル基((R)N-S(O)-);
・酸又は塩化形態のカルボキシル基(好ましくは、アルカリ金属又は置換若しくは非置換のアンモニウムによって塩化されたもの);
・シアノ基(CN);
・ポリハロ(C~C)アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル(CF);
-非芳香族基の環式又は複素環式部分は、以下の群から選択される炭素原子に結合した少なくとも1個の置換基によって置換され得る:
・ヒドロキシル、
・C~Cアルコキシ、C~C(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、
・基R’が水素原子又はC~Cアルキル基であり、且つ基Rが、C~Cアルキル基、又は同一若しくは異なる1個又は2個のC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルキルカルボニルアミノ(RCO-NR’-);
・基Rが、C~Cアルキル基、又は1個若しくは2個の同一若しくは異なるC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルキルカルボニルオキシ(RCO-O-);
・基Rが、C~Cアルキル基、又は1個若しくは2個の同一若しくは異なるC~Cアルキル基によって置換されたアミノ基である、アルコキシカルボニル((RO-CO-);
-環式若しくは複素環式基、又はアリール若しくはヘテロアリール基の非芳香族部分は、1個又は複数個のオキソ基によって置換されていてもよい;
-炭化水素ベース鎖は、それが1個若しくは複数個の二重結合及び/又は1個若しくは複数個の三重結合を含む場合、不飽和である;
-「アリール」基は、6~22個の炭素原子を含み、少なくとも1個の環が芳香族である単環式又は縮合若しくは非縮合多環式炭化水素ベースの基を表し;好ましくはアリール基は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、インデニル、アントラセニル又はテトラヒドロナフチルである;
-「ヘテロアリール」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレン原子から選択される1~6個のヘテロ原子を含み、そのうちの少なくとも1個の環が芳香族である単環式又は縮合若しくは非縮合多環式5~22員の基を表し;好ましくは、ヘテロアリール基は、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾビストリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾピリダジニル、ベンゾキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリジル、テトラゾリル、ジヒドロチアゾリル、イミダゾピリジル、イミダゾリル、インドリル、イソキノリル、ナフトイミダゾリル、ナフトオキサゾリル、ナフトピラゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾロピリジル、フェナジニル、フェノキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリリル、ピラゾイルトリアジル、ピリジル、ピリジノイミダゾリル、ピロリル、キノリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チアゾロピリジル、チアゾイルイミダゾリル、チオピリリル、トリアゾリル及びキサンチリルから選択される;
-「環式」又は「シクロアルキル」基は、5~22個の炭素原子を含有する単環式又は縮合若しくは非縮合多環式非芳香族環式炭化水素ベースの基であり、1個又は複数個の不飽和を含み得;シクロアルキルは好ましくはシクロヘキシル基である;
-「複素環式」又は「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素、硫黄及びセレン原子から選択される1~4個のヘテロ原子を含む単環式又は縮合又は非縮合多環式3~9員非芳香環式基であり;好ましくは、ヘテロシクロアルキルはエポキシド、ピペラジニル、ピペリジル及びモルホリニルから選択される;
-「アルキル」基は、直鎖状又は分岐状の特にC~C、好ましくはC~C飽和炭化水素ベースの基である;
-「アルケニル」基は、1個又は複数個の共役又は非共役二重結合を含む直鎖状又は分岐状不飽和炭化水素ベースの基である;
-「アルキニル」基は、1個又は複数個の共役又は非共役三重結合を含む直鎖又は分岐状不飽和炭化水素ベースの基である;
-「アルコキシ基」は、アルキル基が直鎖状又は分岐状C~C、好ましくはC~C炭化水素ベースの基であるアルキル-オキシ基である;
-「糖」基は、単糖又は多糖基、及びそのO保護糖誘導体、例えば、(C~C)アルキルカルボン酸の糖エステル、例えば、酢酸の糖エステル、アミン基を含有する糖及び(C~C)アルキル誘導体、例えば、メチル誘導体、例えば、メチルグルコースである。言及され得る糖基としては、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、ラクトースが挙げられる;
-「単糖」という用語は、式C(HO)(式中、xは5以上の整数、好ましくはxは6以上、特にxは5以上7以下、好ましくはx=6である)の少なくとも5個の炭素原子を含む単糖を指し、これらはD又はL配置であり得、アルファ又はベータ異性体であり得、さらにその塩及び水和物などのその溶媒和物であり得る;
-「多糖」という用語は、O-オシド結合を介して結合した複数の糖類から構成されるポリマーである多糖を指し、前記ポリマーは、上記で定義した単糖単位から構成され、前記単糖単位は、少なくとも5個の炭素原子、好ましくは6個の炭素原子を含み、特に単糖単位は、α(アルファ)又はβ(ベータ)アノマーとして1,4又は1,6結合を介して結合しており、各オシド単位がL又はD配置であることが可能であり、さらにその塩及び前記単糖の水和物などのその溶媒和物が可能であり;より特に、それらは一般式:-[C(HO))]-(式中、xは5以上の整数、好ましくはxは6以上、特にxは5以上7以下、好ましくはx=6であり、且つyはx-1を表す整数であり、wは2以上、特に3以上3000以下、より特に5以上2500以下、好ましくは10以上2300以下の整数である)を有する特定数の糖(又は単糖)から形成されるポリマーである;
-「アミン基を含有する糖」という用語は、糖基が1個又は複数個のアミノ基NRによって置換されていることを意味し、すなわち、糖基の少なくとも1個のサッカライド単位のヒドロキシル基の少なくとも1個が基NRによって置換されており、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、i)水素原子、ii)(C~C)アルキル基、iii)フェニルなどのアリール基、iv)ベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基、vii)-C(Y)-(Y’)-R’(式中、Y及びY’は同一であっても異なっていてもよく、酸素原子、硫黄原子又はN(R’)、好ましくは酸素を表し、f=0又は1、好ましくは0であり;且つR’及びR’は、上記で定義したR及びRのi)~vi)を表し、特にR’はメチルなどの(C~C)アルキル基を示す。好ましくは、R及びRは、水素原子又はアセチルなどの(C~C)アルキルカルボニル基を表す;
-「有機又は鉱酸塩」という用語は、より詳細には、特に、i)塩酸、HCl、ii)臭化水素酸、HBr、iii)硫酸、HSO、iv)アルキルスルホン酸:Alk-S(O)OH、例えば、メチルスルホン酸及びエチルスルホン酸、v)アリールスルホン酸:Ar-S(O)OH、例えば、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、vi)アルコキシスルフィン酸:Alk-O-S(O)OH、例えば、メトキシスルフィン酸及びエトキシスルフィン酸、vii)アリールオキシスルフィン酸、例えば、トルエンオキシスルフィン酸及びフェノキシスルフィン酸、viii)リン酸、HPO、ix)トリフリン酸、CFSOH、並びにx)テトラフルオロホウ酸、HBF、xi)有機カルボン酸、R°-C(O)-OH(I’z)(式(I’z)中、R°はフェニルなどの(ヘテロ)アリール基、ベンジルなどの(ヘテロ)アリール(C~C)アルキル基又は(C~C10)アルキルを示し、前記アルキル基は任意選択的に1個若しくは複数個の水酸基又はアミノ若しくはカルボキシル基によって好ましくは置換され、R°は1個、2個若しくは3個の水酸基又はカルボキシル基によって任意選択的に置換された(C~C)アルキル基を好ましくは表し;より好ましくは、式(I’z)のモノカルボン酸は、酢酸、グリコール酸、乳酸、及びそれらの混合物から選択され、より特に酢酸及び乳酸から選択され;且つポリカルボン酸は、酒石酸、コハク酸、フマル酸、クエン酸及びそれらの混合物から選択される);並びにxii)アミノ基よりも多くのカルボン酸基を含むアミノ酸、例えば、γ-カルボキシグルタミン酸、アスパラギン酸又はグルタミン酸、特に
γ-カルボキシグルタミン酸から誘導される塩から選択される有機又は鉱物塩である;
-「アニオン性対イオン」は、カチオン電荷に関連するアニオン又はアニオン性基であり;より特に、アニオン性対イオンは、i)塩化物又は臭化物などのハロゲン化物;ii)ニトレート;iii)C~Cアルキルスルホネート:Alk-S(O)、例えば、メタンスルホネート又はメシレート及びエタンスルホネート;iv)アリールスルホネート:Ar-S(O)、例えば、ベンゼンスルホネート及びトルエンスルホネート又はトシレート;v)シトレート;vi)スクシネート;vii)タルトレート;viii)ラクトネート;Ix)アルキルスルフェート:Alk-O-S(O)O、例えば、メチルスルフェート及びエチルスルフェート;x)アリールスルフェート:Ar-O-S(O)O、例えば、ベンゼンスルフェート及びトルエンスルフェート;xi)アルコキシスルフェート:Alk-O-S(O)、例えば、メトキシスルフェート及びエトキシスルフェート;xii)アリールオキシスルフェート:Ar-O-S(O);xiii)ホスフェート;xiv)アセテート;xv)トリフレート;並びにxvi)ボレート、例えば、テトラフルオロボレートから選択される。
-「溶媒和物」は、水和物、及び
エタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールなどの直鎖状又は分岐状C~Cアルコールとの組合せを表す。
-「発色団」という用語は、250~800nmの波長λabsのUV及び/又は可視光線領域で吸収することができる無色又は着色化合物から誘導される基を意味する。好ましくは、発色団は着色されており、すなわち、それは可視範囲、すなわち、好ましくは400~800nmの間の波長を吸収する。好ましくは、発色団は、目視で、特に400~700nmの間で着色して見える(Ullmann’s Encyclopedia,2005,Wiley-VcH,Verlag「Dyes,General Survey」,§2.1 Basic Principle of Color);
-「蛍光発色団」という用語は、400~800nmの間の、吸収波長よりも高い発光波長λemの可視領域で再発光も可能な発色団を意味し、好ましくはストークのシフト、すなわち最大吸収波長と発光波長との差が少なくとも10nmであるものを意味する。好ましくは、蛍光発色団は、可視領域λabs、すなわち400~800nmの波長で吸収し、そして400~800nmの可視領域λemで再発光することができる蛍光色素から誘導される。より好ましくは、蛍光発色団は、420~550nmの間のλabsで吸収することができ、470~600nmの間の可視範囲λemで再発光することができる。
-「蛍光増白発色団」という用語は、蛍光増白化合物又は「蛍光増白剤(optical brightener、optical brightening agent)(OBA)」又は「蛍光増白剤(fluorescent brightening agent)(FBA)」又は「蛍光増白剤(fluorescent whitening agent)(FWA)」、すなわち、紫外線、すなわち、250~350nmの波長λabsでUV光線を吸収し、その後、400~600nmの発光波長λem、青-紫及び青-緑の間であり、青領域で最大となる波長の可視領域において蛍光によってこのエネルギーを再発光する薬剤から誘導される色素団を意味する。したがって、蛍光増白発色団は目視では無色である。
-「UV-Aスクリーニング剤」という用語は、320~400nmの波長のUV-A紫外線を遮蔽(又は吸収)する化合物から誘導される発色団を意味する。短UV-Aスクリーニング剤(320~340nmの波長の光線を吸収する)と長UV-Aスクリーニング剤(340~400nmの波長の光線を吸収する)が区別されてもよい;
-「UV-Bスクリーニング剤」という用語は、280~320nmの波長のUV-B紫外線を遮蔽(又は吸収)する化合物から誘導される発色団を意味する。
さらに、特に示されない限り、ある数値の範囲を区切る限界値は、その数値の範囲に含まれる。
【0015】
a)PHAコポリマー
本発明の組成物は、第1の成分a)として、上記で定義した単位(A)及び(B)から選択される少なくとも2種の異なる繰り返しポリマー単位を含有するか、又は好ましくはそれらからなる1種又は複数種のPHAコポリマーを含む。
「コポリマー」という用語は、前記ポリマーが、互いに異なる繰り返しポリマー単位の重縮合か誘導されること、すなわち、前記ポリマーが、繰り返しポリマー単位(A)及び(B)の重縮合から誘導され(ポリマー単位(A)がポリマー単位(B)とは異なることは理解される)、且つ脂肪族基質又は第1の炭素源と、1種若しくは複数種の(非)飽和炭化水素ベースの基を含む第1の基質とは異なる少なくとも1種の第2の基質とによって開始される重縮合から得られることを意味する。
【0016】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、上記で定義した単位(A)及び(B)から選択される2種の異なる繰り返しポリマー単位からなる。
【0017】
より特に、本発明によるPHAコポリマーは、式(I)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む。
[化学式1]:
【化1】
(式(I)中、
・R及びRは上記で定義した通りであり、
・m及びnは1以上の整数であり、好ましくは、n+mの合計は450以上1400以下であり、
好ましくは、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>nであり、より好ましくは、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり;且つRは、C~C11アルキル基などの2個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に対応する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は中断されたアルケニル基又は任意選択的に置換及び/又は中断されたアルキニル基を表し、Rがアルキル基を表す場合、m<nである)。
【0018】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、3種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)及び(C)を含有し、好ましくは以下の3種の異なるポリマー単位(A)、(B)及び(C)からなり、さらにその光学異性体又は幾何学異性体及びその水和物などの溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
(ポリマー単位(A)、(B)及び(C)中、
-R及びRは上記で定義した通りであり、
-Rは、1~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和の炭化水素ベースの基を表し、特に直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニルから選択される炭化水素ベース基、特に直鎖状炭化水素ベースの基、より特に(C~C20)アルケニルを表し、好ましくは、炭化水素ベースの基は、基Rの炭素原子の数、さもなければ、少なくとも3個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは4個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;且つ
以下:
-(A)は(B)及び(C)とは異なり、(B)は(A)及び(C)とは異なり、(C)は(A)及び(B)とは異なること;並びに
-好ましくは、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、より好ましくは、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表すこと;並びに
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)。
【0019】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(II)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む。
[化学式2]:
【化2】
(式(II)中、
・R、R及びRは上記で定義した通りであり、
・m、n及びpは1以上の整数であり、好ましくは、n+m+pの合計は450以上1400以下であり、且つ
-好ましくは、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+pであり、より好ましくは、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、C~C11アルキル基などの2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、C~Cアルキル基などの4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表す場合、m<n+pである)。
【0020】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、4種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含有し、好ましくは、以下の4種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)、さらにその光学異性体又は幾何学異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)及び(D)中、
-R、R及びRは上記で定義した通りであり、
-Rは、Rに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって任意選択的に中断された3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和炭化水素ベースの基を表し、特にRに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって中断された直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;且つ
以下:
-(A)は(B)、(C)及び(D)とは異なり、(B)は(A)、(C)及び(D)とは異なり、(C)は(A)、(B)及び(D)とは異なり、(D)は(A)、(B)及び(C)とは異なること;並びに
-好ましくは、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、より好ましくは、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、C~C11アルキル基などの2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、C~Cアルキル基などの4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表すこと;並びに
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表し;且つRは、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)。
【0021】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(III)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む。
[化学式3]:
【化3】
(式(III)中:
・R、R、R及びRは上記で定義した通りであり、
・m、n、p及びvは1以上の整数であり;
-好ましくは、n+m+p+vの合計は450以上1400以下であり、且つ
-好ましくは、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、m>n+p+qであり、より好ましくは、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つRが、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、n>m+v;より好ましくはn+p>m+vである。)
【0022】
特定の実施形態によれば、組成物のPHAコポリマーa)は、5種の異なる繰り返しポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、好ましくは、以下の5種の異なるポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)、さらにその光学異性体又は幾何学異性体、有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物からなる。
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(A)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(B)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(C)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(D)
-[-O-CH(R)-CH-C(O)-]- 単位(E)
(ポリマー単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)中、
-R、R、R及びRは上記で定義した通りであり、
-且つ
-Rは、Rに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって任意選択的に中断された3~30個の炭素原子を含む環式又は非環式、直鎖状又は分岐状、飽和炭化水素ベースの基を表し、特にRに関して定義されたa)~l)の1種若しくは複数種の原子又は基によって任意選択的に置換され、且つ/又はa’)~c’)の1種若しくは複数種のヘテロ原子又は基によって中断された直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキルから選択される炭化水素ベースの基を表し;且つ好ましくは、炭化水素ベースの基は、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数、好ましくは少なくとも2個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する炭素数を有し;且つ
以下:
-(A)は(B)、(C)、(D)及び(E)とは異なり、(B)は(A)、(C)、(D)及び(E)とは異なり、(C)は(A)、(B)、(D)及び(E)とは異なり、(D)は(A)、(B)、(C)及び(E)とは異なり、(E)は(A)、(B)、(C)及び(D)とは異なり;且つ
-好ましくは、R、R、R、R及びRが非置換且つ中断されていないアルキル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントが、単位(B)のモルパーセントよりも大きく、単位(C)のモルパーセントよりも大きく、単位(D)のモルパーセントよりも大きく、単位(E)のモルパーセントよりも大きく、より好ましくは、R、R、R、R及びRが直鎖状アルキルである場合、RはC~C13アルキル基であり、Rは、2個の炭素原子を差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、4個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、6個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し、Rは、8個の炭素原子が差し引かれたRの炭素数に相当する炭素数を有する直鎖状アルキル基を表し;且つ
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、特にRがアルキル基を表し且つ/又はRがアルキル基を表し;且つR及びRが、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、単位(A)のモルパーセントは単位(B)のモルパーセントより小さく、且つ単位(C)のモルパーセントより小さいことが理解される)。
【0023】
本発明の特定の実施形態によると、PHAコポリマーは、式(IV)の繰り返し単位、さらにその光学的又は幾何学的異性体、その有機若しくは鉱物酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を含む。
[化学式4]:
【化4】
(式(IV)中:
・R、R、R、R及びRは上記で定義した通りであり、
・m、n、p、v及びzは1以上の整数であり、好ましくは、n+m+p+v+zの合計は450以上1400以下であり、且つ
-好ましくは、R、R、R、R及びRが置換及び/又は中断されたアルキル基を表す場合、m>n+p+v+zであり;
-好ましくは、Rが置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表し、R及びRがアルキル基を表し、且つR及びR基が、置換及び/又は中断されたアルキル基、任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルケニル基、又は任意選択的に置換及び/又は任意選択的に中断されたアルキニル基を表す場合、n>m+v+z;より好ましくはn+p>m+v+zである。)
【0024】
好ましくは、Rは、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C28)アルキル炭化水素ベース鎖を表す。本発明による組成物の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、5~14個、好ましくは6~12個の炭素原子、より好ましくは7~10個の炭素原子を含むアルキル基、例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-オクチル又はn-ノニルなどであるようなものである。
【0025】
本発明の特定の実施形態によれば、炭化水素ベース鎖Rは未置換である。本発明の特定の実施形態によれば、炭化水素ベース鎖Rは中断されていない。
【0026】
本発明の別の実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベース鎖は、1)置換されているか、又は2)中断されているか、又は3)置換され且つ中断されているかのいずれかである。
【0027】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが炭化水素ベース鎖、特に、O、S、N(R)及びカルボニル又はそれらの組合せ、例えば、エステル、アミド若しくはウレアから選択される1個若しくは複数個の(好ましくは1個の)原子又は基によって中断された、上記で定義したアルキル基を表し(Rは上記で定義した通りであり、好ましくはRが水素原子を表す);好ましくは、Rは、O及びSから選択される1個若しくは複数個の原子、より好ましくはO又はS、特にS原子によって中断されているアルキル基を表す。特に、中断された炭化水素ベース鎖、特にアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらに特にC~C16である。好ましくは、前記中断された炭化水素ベース鎖、特にアルキルは、直鎖状である。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、上記で定義したa)~k)から選択される1個若しくは複数個(好ましくは1個)の原子又は基によって置換された炭化水素ベース鎖、特にアルキル基を表すようなものである。好ましくは、前記炭化水素ベース鎖は、上記で定義したa)~k)から選択される1個の原子又は基のみによって置換されている。
【0029】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが炭化水素ベース鎖、特に、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)蛍光増白剤、UVスクリーン剤などの着色又は無着色、蛍光又は非蛍光発色団から選択される化粧用活性剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖基、好ましくはグルコシルなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤から選択される基を表すR、及びa’)O、S、N(R)、b’)カルボニル、又はc’)エステル、アミド若しくはウレアなどのa’)とb’)との組合せを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換された上記で定義したアルキル基を表し;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す。
【0030】
さらに好ましくは、PHAコポリマーは、Rが炭化水素ベース鎖、特に、b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖基、好ましくはグルコシルなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表わすR、及びa’)O、S又はN(R)、好ましくはSを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換された上記で定義したアルキル基を表し、Rは水素原子又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表す。
【0031】
好ましくは、前記の置換された炭化水素ベース鎖、特にアルキルは直鎖状である。
【0032】
本発明の別の特定の実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベース鎖は、置換及び中断されている。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベース鎖(特に、上記で定義したアルキル基)は、
-b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)蛍光増白剤、UVスクリーン剤などの着色又は無着色、蛍光又は非蛍光発色団から選択される化粧用活性剤、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤から選択される基を表すR、及びa’)O、S、N(R)、b’)カルボニル、又はc’)エステル、アミド若しくはウレアなどのa’)とb’)との組合せを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換され;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基、又はベンジルなどのアリール(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し、且つ
-O、S、N(R)及びカルボニル又はそれらの組合せ、例えば、エステル、アミド若しくはウレアから選択される1個若しくは複数個の(好ましくは1個の)原子又は基によって中断され、Rは上記で定義した通りであり、好ましくはRは水素原子を表し;好ましくは、O及びSから選択される1個若しくは複数個の原子、より好ましくはO又はS、特にS原子によって中断されているアルキル基を表す。特に、中断された炭化水素ベース鎖、特にアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらに特にC~C16である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の基Rの炭化水素ベース鎖(特に上記で定義したアルキル基)は、
-b)ヒドロキシル、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、好ましくはアミノ、e)カルボキシル、i)エポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール、k)α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリールから選択される基を表すR、及びa’)O、S又はN(R)、好ましくはSを表すXを有するR-Xから選択される1種若しくは複数種(好ましくは1種)の基によって置換され;Rは水素原子、又は(C~C)アルキル基を表し、好ましくはRは水素原子を表し、且つ
-O、S、N(R)及びカルボニル又はそれらの組合せ、例えば、エステル、アミド若しくはウレアから選択される1個若しくは複数個の(好ましくは1個の)原子又は基によって中断され、Rは上記で定義した通りであり、好ましくはRは水素原子を表し;好ましくは、O及びSから選択される1個若しくは複数個の原子、より好ましくはO又はS、特にS原子によって中断されているアルキル基を表す。特に、中断された炭化水素ベース鎖、特にアルキルを表す場合、Rは、C~C20、より特にC~C18、さらに特にC~C16である。
【0035】
好ましくは、前記の置換及び中断された炭化水素ベース鎖は、特にアルキルであり、好ましくは直鎖状である。
【0036】
より好ましくは、前記炭化水素ベース鎖Rが置換される場合、前記基Rを有する炭素原子とは反対側の鎖末端において置換される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、前記炭化水素ベース鎖Rは、次式-(CH-X-(ALK)-Gを有し、Xは上記で定義した通りであり、特にO、S又はN(R)、好ましくはSを表し、ALKは直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C10)アルキレン、より特に(C~C)アルキレン鎖を表し、rは6以上11以下の整数、好ましくは8などの7以上10以下の整数を表し、uは0又は1に等しく;そしてGは水素原子、又はヒドロキシル、カルボキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、(ヘテロ)アリール、特にフェニルなどのアリール、シクロヘキシルなどのシクロアルキル、又は糖、特にアシルなどの1個若しくは複数個の基によって任意選択的に保護された単糖、好ましくはSugから選択される基を表す。
[化学式4]:
【化5】
【0038】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、フッ素、塩素又は臭素などの1個若しくは複数個のハロゲン原子によって置換された(C~C30)アルキル、より特に直鎖状(C~C20)アルキル、さらに特に(C~C13)アルキルであって、臭素などのハロゲン原子で置換されたものを表すようなものである。好ましくは、ハロゲン原子は、前記アルキル基の末端に置換される。より好ましくは、Rは、1-ブロモ-5-イルなどの1-ハロ-5-イルを表す。
【0039】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、a)シアノから選択される1個若しくは複数個の基によって置換された(C~C30)アルキル基を表し、より好ましくは、1-シアノ-3-プロピルなどのシアノ基によって置換された直鎖状(C~C13)アルキル基を表わすようなものである。
【0040】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、vii)(ヘテロ)アリール(C~C)アルキル、より特にはアリール(C~C)アルキル基、好ましくはフェニルエチルを表すようなものである。
【0041】
本発明の別の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、Rが、c)(ヘテロ)シクロアルキルから選択される1個若しくは複数個の基で置換された(C~C28)アルキル基を表すようなものである。より特に、Rは、エポキシドなどのヘテロシクロアルキル基によって置換された、好ましくは直鎖状の(C~C13)アルキル基を表す。
【0042】
特に、PHAコポリマーは、Rが、直鎖状又は分岐状(C~C28)アルキル、及び直鎖状又は分岐状(C~C28)アルケニル、特に直鎖状の炭化水素ベースの基、特に(C~C20)アルキル又は(C~C20)アルケニルから選択されるようなものであり;好ましくは、炭化水素ベースの基が、少なくとも1個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子の数に対応する、好ましくは2個の炭素原子が差し引かれた基Rの炭素原子数に対応する炭素数を有する。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、基Rが、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基、例えば、n-ペンチル又はn-ヘキシルであるようなものである。
【0044】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、分岐状(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル基R、好ましくは分岐状(C~C)アルキル基、例えば、イソブチルであるようなものである。
【0045】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、本発明のPHAコポリマーは、上記で定義したアルキル基Rを有する単位(A)と、上記で定義した単位(B)と、直鎖状又は分岐状(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル、より特に(C~C10)アルケニル基であって、好ましくは直鎖状であり、鎖末端に個のみの不飽和を含むもの、特に-[CR(R)]-C(R)=C(R)-R(式中、R、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、qは2以上20以下、好ましくは3以上10以下、より好ましくは4以上8以下、例えば6の整数を表す)、例えば-[CH-CH=CH(式中、qは3以上8以下、好ましくは4以上6以下、例えば5の整数を表す)を有する単位(C)とを含む。
【0046】
本発明による組成物の一実施形態によれば、PHAコポリマーは、ヒドロキシル、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、カルボキシル、及び上記で定義したR-X-、好ましくはR-S-(式中、Rはシクロヘキシルなどのシクロアルキル基、糖、より好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、(C~C)(アルキル)ベンジル若しくはフェニルエチルなどの任意選択的に置換されたアリール(C~C)アルキル、又はフリルメチルなどのヘテロアリール(C~C)アルキルを表わす)から選択される1個若しくは複数個(好ましくは1個)の基によって置換された8~16個の炭素原子を含むアルキル基R1を有する単位(A)を含む。
【0047】
本発明による組成物の一実施形態によれば、コポリマーは、直鎖状又は分岐状、好ましくは直鎖状の(C~C)アルキル、特に(C~C)アルキル、好ましくは(C~C)アルキル基R、例えばペンチルを有する単位Bを含む。
【0048】
本発明による組成物の別の実施形態によれば、PHAコポリマーは、上記で定義したアルキル基Rを含む単位(A)と、上記で定義した単位(B)と、直鎖状又は分岐状(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル基、より特に(C~C10)アルケニル基であって、好ましくは直鎖状であり、鎖末端に1個のみの不飽和を含むもの、例えば、-[CH-CH=CH(式中、pは3以上8以下、好ましくは4以上6以下、例えば5の整数を表わす)を含む単位(C)とを含む。
【0049】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマー中、単位(A)は、上記で定義した炭化水素ベース鎖、特にiii)を含み、前記単位(A)は、好ましくは0.1%~99%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~50%の範囲のモルパーセント、さらに優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、より良好には2%~30%の範囲のモルパーセント、又は5%~20%の範囲のモルパーセントで存在する。
【0050】
本発明のより特定の実施形態によれば、PHAコポリマー中、単位(A)、(B)及び(C)の合計に対して単位(A)は、好ましくは0.5%~99%の範囲のモルパーセント、より優先的には1%~50%の範囲のモルパーセント、さらに優先的には5%~40%の範囲のモルパーセント、より好ましくは10%~30%の範囲のモルパーセントで存在し;単位(B)は、2%~40%の範囲のモルパーセントで存在し;且つ単位(C)は、0.5%~20%の範囲のモルパーセントで存在する。有利には、本発明のPHAコポリマーは、2モル%~10モル%の単位(B)、及び0.5モル%~7モル%の単位(C)を含み;より有利には、コポリマーは5モル%~35モル%の単位(B)、及び0.5モル%~7モル%の単位(C)を含む。
【0051】
本発明のより具体的な実施形態によれば、PHAコポリマーは、PHAコポリマーa)中:
-単位(A)が、上記で定義した炭化水素ベース鎖を含み、前記単位(A)が、0.1%~99%の範囲のモルパーセント、好ましくは0.5%~50%の範囲のモルパーセント、より優先的には1%~40%の範囲のモルパーセント、さらに優先的には2%~30%の範囲のモルパーセント、より好ましくは5%~20%の範囲のモルパーセント、さらに好ましくは10%~30%の範囲のモルパーセントの単位(A)で存在し;且つ
-単位(B)が、1%~40%の範囲のモルパーセント、優先的には2%~10%の範囲のモルパーセント、より優先的には5%~35%の範囲のモルパーセントの単位(B)で存在し;且つ/又は
-単位(C)が、0.5~20%の範囲のモルパーセント、優先的には1%~7%の範囲のモルパーセント、より優先的には0.5%~7%の範囲のモルパーセントの単位(C)で存在する。
好ましくは、単位(A)のRが飽和炭化水素ベース鎖である場合、前記単位(A)は、30%を超える、より特に50%を超える、より優先的には60%を超える、好ましくは60%~90%のモルパーセントで存在する。
【0052】
PHAコポリマーの単位(A)、(B)及び(C)のモルパーセントの値は、コポリマーが追加の単位(C)を含まない場合、(A)+(B)の総モル数に対して計算され、そうでなければ、本発明のコポリマーが3種の異なる単位(A)、(B)及び(C)を含む場合、モルパーセントは(A)+(B)+(C)の総モル数に対して計算される。さもなければ、本発明のコポリマーが4種の異なる単位(A)、(B)、(C)及び(D)を含む場合、モルパーセントは、(A)+(B)+(C)+(D)の総モル数に対して計算される。そうでなければ、本発明のコポリマーが5種の異なる単位(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含む場合、モルパーセントは、(A)+(B)+(C)+(D)+(E)の総モル数に対して計算される。
【0053】
優先的には、本発明のPHAコポリマーは、以下の繰り返し単位、さらにその光学異性体又は幾何異性体、その有機若しくは鉱物酸塩又は塩基塩、及びその水和物などの溶媒和物を含む。
[化学式5]:
【化6】
【0054】
【表1】
【0055】
m及びnは上記で定義した通りであり、Halは臭素などのハロゲン原子を表し、tは1~10、好ましくは3~8、例えば6の整数を表す。
Ar:フェニルなどの(ヘテロ)アリール基を表す。
Ar’:t-ブチルフェニル、好ましくは4-t-ブチルフェニルなどの(C1~C4)アルキル(ヘテロ)アリール基を表す。
Cycl:シクロヘキシル基を表す。
Fur:フリル基、好ましくは2-フリルを表す。
Sug:糖基、特にアシルなどの1個又は複数個の基によって任意選択的に保護された単糖を表し;好ましくは、Sugは、以下を表す。
[化学式6]:
【化7】
特に、基R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置、好ましくは(R)配置のものである。
【0056】
より特に、基R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。より詳細には、基R、R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。
【0057】
より特に、基R、R、R、R及びRを有する炭素原子の立体化学は、同一の(R)又は(S)配置であり、好ましくは(R)配置のものである。
【0058】
より優先的には、PHAコポリマーは以下の式を有し、さらにはその光学異性体、その有機若しくは鉱物物の酸又は塩基塩、及び水和物などのその溶媒和物を有する。
[化学式7]:
【化8】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
M、n、Hal、t、Ar、Ar’、Cycl、Fur及びSugは、化合物(1)~(14)に関して上記で定義した通りである。
【化9】
【0062】
【表4】
【0063】
【化10】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
本発明のPHAコポリマーは、好ましくは、50000~150000の範囲の数平均分子量を有する。
【0068】
分子量は、特にサイズ排除クロマトグラフィーによって測定することができる。方法については後に実施例において説明する。
【0069】
PHAコポリマーは、特に、本発明による組成物中に、組成物の全質量に対して0.1質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%の範囲の含有量で存在する。
【0070】
PHAコポリマーは、好ましくは、50000~150000の範囲の数平均分子量を有する。
【0071】
分子量は、特にサイズ排除クロマトグラフィーによって測定することができる。方法については後に実施例において説明する。
【0072】
コポリマーは、組成物の全質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~25質量%の範囲の含有量で本発明による組成物に存在し得る。
【0073】
PHAコポリマーの調製方法
本発明のPHAコポリマーの調製方法は当業者に知られている。「官能化可能な」PHA産生微生物株の使用が挙げられ得る。
【0074】
「官能化可能」という用語は、PHAコポリマーが、反応性原子又は反応性基」とも呼ばれる別の試薬と化学的に反応して前記試薬とのΣ共有結合を与えることができる1種又は複数種の原子又は基を含む炭化水素ベース鎖を含むことを意味している。試薬は、例えば、少なくとも1つの求核性基を含む化合物であり、前記官能化炭化水素ベース鎖は、少なくとも1つの求電子性又は離核性原子又は基を含み、求核性基は、求電子性基と反応して、試薬を共有結合的にグラフト化Σさせる。求核試薬はまた、アルケニル基の1個又は複数個の不飽和と反応して、官能化炭化水素ベース鎖と前記試薬との共有結合によるグラフト化をももたらし得る。また、付加は、ラジカルベース、マルコフニコフ型又は反マルコフニコフ型の付加、或いは求核置換又は求電子置換であってよい。付加反応又は縮合反応は、ラジカルルートを介して実行されても、実行されなくてもよく、触媒又は酵素を使用しても、使用しなくてもよく、好ましくは100℃以下の温度まで加熱して、又は熱を供給せずに、1気圧以上の圧力下で、不活性雰囲気下で、又は酸素下で、又はその他の方法で実行されてよい。
【0075】
「求核性」とは、誘導効果+I及び/又はメソメリック効果+Mによって電子供与性を示す原子又は基を指す。挙げられ得る電子供与性基には、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基が含まれる。
【0076】
「求電子性」とは、誘導効果-I及び/又はメソメリック効果-Mによって電子吸引性を示す任意の原子又は基を指す。挙げられ得る電子吸引性種には含まれる。
【0077】
本発明の特に炭化水素ベース鎖を有するPHAを産生する微生物は、細菌界、例えば、ネンジュモ(Nostocales)目の藍藻類(例えば、ノストク・ムスコルム(Nostoc muscorum)、シネコシスティス(Synechocystis)及びシネココッカス(Synechococcus))により自然産生され得るが、主にプロテオバクテリア門(Proteobacteria)、例えば、以下のクラスにより産生され得る。
-バークホルデリア(Burkholderiales)目のベータ-プロテオバクテリア(キュプリアビダス・ネガーター・シノニム・ラルストニア・ユートロファ(Cupriavidus negator)
-ロドバクター(Rhodobacteriales)目のアルファ-プロテオバクテリア(ロドバクター・カプスラタス(Rhodobacter capsulatus)海洋性及び光合成)
-モラクセラ(Moraxellaceae)科シュードモナレス(Pseudomonales)目のガンマ-プロテオバクテリア(アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii))。
【0078】
細菌界の微生物のうち、アゾトバクター(Azotobacter)属、ヒドロゲノマス(Hydrogenomomas)属又はクロマティウム(Chromatium)属がPHA産生生物の代表的なものである。
【0079】
特にC~C炭化水素ベース鎖を有するPHAを天然に産生する生物は、特に、プロテオバクテリア(Proteobacteria)、例えばガンマ-プロテオバクテリア、より詳細にはシュードモナス(Pseudomonas)科シュードモナレス(Pseudomonales)目のもの、例えば、シュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)及び好ましくはシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440、好ましくは、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、特にシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1及びシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440である。
【0080】
また、ある種の生物は、シュードモナス(Pseudomonales)目に属さずにPHAを天然産生し得、例えば、コマモナス(Comamonadaceae)科のブルクホルディアレス(Burkholderiales)目のベータ-プロテオバクテリアのクラスに属するコマモナス・テストステロニ(Commamonas testosteroni)が挙げられる。
【0081】
また、本発明によるPHA産生微生物は、3酸化PHA合成酵素代謝経路が存在する場合、組換え株であってもよい。3酸化PHA合成酵素代謝経路は、主にEC:2.3.1B2、EC:2.3.1B3、EC:2.3.1B4及びEC:2.3.1B5の4クラスの酵素で表されるものである。
【0082】
組換え株は、細菌界、例えば、大腸菌(Escherichia coli)から、又は植物界、例えば、クロレラ・ピレロイドサ(Chlorella pyrenoidosa)から(International Journal of Biological Macromolecules,116,552-562 「Influence of nitrogen on growth,biomass composition,production,and properties of polyhydroxyalkanoates(PHAs)by microalgae」)又は真菌界、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccaromyces cerevisiae)若しくはヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から:Applied Microbiology and Biotechnology 91,1327-1340(2011)「Engineering polyhydroxyalkanoate content and monomer composition in the oleaginous yeast Yarrowia lipolytica by modifying the β-oxidation multifunctional protein」)であり得る。
【0083】
遺伝子改変微生物の使用も可能であり、これにより、例えば、PHAの産生量を増加させること、及び/又は酸素消費能力を増加させること、及び/又は自己分解を減少させること、及び/又はモノマー比率を変更することが可能となり得る。
【0084】
PHAの場合、全製造コストの大部分は、培養培地、主に基質/炭素源に費やされることが知られている。そこで、より少量の栄養源(炭素源)を用いて増殖する遺伝子改変微生物、例えば、本来光独立栄養的である微生物、すなわち、主なエネルギー源として光及びCOを用いる微生物を利用することができる。
【0085】
コポリマーは、生合成により、公知の様式で、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物、例えば、シュードモナス・レシノボランス(Pseudomonas resinovorans)、シュードモナス・プチダ(Pseudomomonas putida)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・アエルギノザ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、好ましくは、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)と;C~C20、好ましくはC~C18カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、ドデカン酸;単糖、例えば、フルクトース、マルトース、ラクトース、キシロース、アラビノースなど);
n-アルカン、例えば、ヘキサン、オクタン、若しくはドデカン;n-アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、若しくはグリセロール;メタン、又は二酸化炭素であり得る炭素源とを用いて得られてもよい。
【0086】
この生合成は、任意選択的に、β-酸化経路の阻害剤、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオン酸、ケイ皮酸、サリチル酸、ペンテン酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸、又はフェニルプロピオン酸、好ましくはアクリル酸の存在下で実行され得る。
【0087】
一実施形態によれば、本発明のPHAを調製するためのプロセスは、遺伝子改変微生物(GMO)を介してPHAを産生する微生物細胞を使用する。遺伝子改変は、PHAの産生を増加させ、酸素吸収能力を高め、溶媒の毒性に対する耐性を高め、自己分解を低減し、PHAコモノマーの比率を変更し、及び/又はそれらの任意の組合せであってよい。これらの実施形態のいくつかにおいて、単位(A)のコモノマー比の改変は、得られる本発明のPHAの(B)に対して優勢なモノマーの量を増加させる。別の実施形態では、PHA産生微生物細胞は、自然に繁殖する。
【0088】
一例として、官能基化可能な、又は言及され得る反応性基を含むPHAを産生する遺伝子改変微生物株は、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23である(Biomacromolecules.2014 Jun 9;15(6):2310-9.doi:10.1021/bm500669s)。
【0089】
また、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)LAC23などの菌株によって、フェニルバレリック-co-3-ヒドロキシドデカン酸コポリマーを産生する遺伝子改変微生物を使用することも可能である(Sci.China Life Sci.,Shen R.ら,57 No.1,(2014))。
【0090】
この生合成には、窒素、リン、硫黄、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、及び鉄をベースとする水溶性塩等の栄養素も使用され得る。
【0091】
微生物の培養には、公知の適切な温度、pH、溶存酸素(OD)条件が使用され得る。
【0092】
微生物は、いずれかの公知の培養方法に従って培養され得、例えば、バイオリアクター中で連続式又はバッチ式で、供給式又は非供給式で行えばよい。
【0093】
本発明に従って使用されるポリマーの生合成は、論文「Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates with Enriched Content of the Dominant Monomer」、Xun Juanら、Biomacromolecules 2012、13、2926-2932、及び国際公開第2011/069244号パンフレットに特に記載されている。
【0094】
上記で定義したように、官能化可能であるか、又は反応性基を含むPHAを産生する微生物株は、例えば、P.シコリイ(P.cichorii)YN2、P.シトロネロリス(P.citronellolis)、P.ジェセニイ(P.jessenii)などのシュードモナス(Pseudomonas)属、及びより一般的には、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)GPo1(シュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)の同義)、P.プチダ(P.putida)KT2442、P.プチダ(P.putida)KCTC 2407、P.プチダ(P.putida)BM01などの、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)種のものである。
【0095】
炭素源:
本発明のPHAへのアクセスを得るための1つの手段は、1種又は複数種の有機化合物を培養培地に導入することであり、この又はこれらの有機化合物は、好ましくはアルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びこれらの混合物から選択される炭素源を表す。
【0096】
一実施形態において、有機化合物は、好ましくは、アルコール、カルボン酸、及びそれらの混合物から選択される。
【0097】
炭素源は、2つのカテゴリーに分類することができる。
【0098】
1)培地中に導入された1種又は複数種の有機化合物を介した炭素源
本発明のPHAへのアクセスを得るための1つの手段は、1種又は複数種の有機化合物を培養培地に導入することであり、この有機化合物は、好ましくはアルカン、アルケン、アルコール、カルボン酸及びそれらの混合物から選択される炭素源である。
【0099】
本発明の特定の実施形態によれば、有機化合物は、アルコール、特に(C~C20)アルカノール、及び/又はカルボン酸、特に(C~C20)アルカン酸から選択される。
【0100】
炭素源は、その意図された用途に従って3つのグループに分類され得る。
-グループA:有機化合物は、産生株の増殖を助け、有機化合物に連結されたPHA構造の産生を助け得る。
-グループB:有機化合物は、菌株の増殖を助け得るが、有機化合物に連結された構造的なPHAの産生には関与しない。
-グループC:有機化合物は、菌株の増殖に関与しない。
【0101】
そのような微生物学的プロセスは、当業者に知られており、特に科学文献に記載されている。下記:International Journal of Biological Macromolecules 28,23-29(2000);The Journal of Microbiology,45,No.2,87-97,(2007)が挙げられてよい。
【0102】
1つの変形例によれば、本発明のPHAの反応性原子又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、唯一の炭素源として培地に直接導入される(例:P.プチダ(P.putida)GPo1のためのグループA:アルケン酸、特に末端)。
【0103】
別の変形例によれば、本発明のPHAの反応性原子、特にハロゲン、又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、同じくPHAに構造的に連結している共基質としての第2の炭素源とともに炭素源として培地に導入される(例:P.プチダ(P.putida)GPo1のためのグループB:末端ブロモアルカン酸などの好ましくは末端であるハロアルカン酸)。
【0104】
さらに別の変形例によれば、本発明のPHAの反応性原子、特にハロゲン、又は反応性基に構造的に連結している基質の統合は、微生物の増殖に適した培地において、同じく構造的にPHAに連結している共基質としての第2の炭素源及び構造的にPHAに結合していない共基質としての第3の炭素源とともに炭素源として直接培地に導入され得る(例:グループCグルコース又はスクロース)。
【0105】
一実施形態において、β酸化経路阻害剤は、アクリル酸、2-ブチン酸、2-オクチン酸、フェニルプロピオン酸、プロピオン酸、トランス-桂皮酸、サリチル酸、メタクリル酸、4-ペンテン酸、又は3-メルカプトプロピオン酸である。
【0106】
第1の態様の一実施形態において、官能化脂肪酸は、官能化ヘキサン酸、官能化ヘプタン酸、官能化オクタン酸、官能化ノナン酸、官能化デカン酸、官能化ウンデカン酸、官能化ドデカン酸、又は官能化テトラデカン酸である。
【0107】
官能化は、アルコール及び/又はカルボン酸の分類の前駆体から選択される有機化合物によって導入されてもよい。特に、以下が挙げられる:
-分岐状アルキル基を有するPHAの官能化については:例えば、Applied and Environmental Microbiology,.60,No.9,3245-325(1994)を参照されたい。
-末端シクロヘキシル単位を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については:例えば、doi.org/10.1016/S0141-8130(01)00144-1を参照されたい。
-好ましくは末端である不飽和アルキル基によるPHAの官能化については:例えば、doi.org/10.1021/bm8005616)を参照されたい。
-好ましくは炭化水素ベース鎖の末端にハロゲンを含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、(doi.org/10.1021/ma00033a002);
-(複素)芳香族アルキル基、例えば、フェニル、ベンゾイル、フェノキシによるPHAの官能化については、例えば、J.Microbiol.Biotechnol.,11,3,435-442(2001)を参照されたい。
-特に炭化水素ベース鎖の末端にヘテロ原子を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、DOI 10.1007/s00253-011-3099-4を参照されたい。
-特に炭化水素ベース鎖の末端にシアノ官能基を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1111/j.1574-6968.1992.tb05839.xを参照されたい。
-特に炭化水素ベース鎖の末端にエポキシ官能基を含む直鎖状アルキル基によるPHAの官能化については、例えば、doi.org/10.1016/S1381-5148(97)00024-2を参照されたい。
International Microbiology 16:1-15(2013)doi:10.2436/20.1501.01.175)のレビューにも、主要な官能化ネイティブPHAについて言及されている。
【0108】
本発明の特定の実施形態において、グループAからの脂肪酸は、11-ウンデセン酸、10-エポキシウンデカン酸、5-フェニル吉草酸、シトロネロール及び5-シアノペンタン酸から選択される。
【0109】
本発明の特定の実施形態において、グループBからの脂肪酸は、8-ブロモオクタン酸などのハロオクタン酸から選択される。
【0110】
本発明の特定の実施形態において、グループCからの炭素源は、単糖、好ましくはグルコースである。
【0111】
2)培地に導入された酸化防止剤の存在下での炭素源:
本発明の別の態様は、微生物の増殖に適した培地におけるPHA産生微生物株の使用であり、前記培地は、PHAに構造的に連結している基質;PHAに構造的に連結していない少なくとも1種の炭素源;及び少なくとも1種の酸化、特にβ酸化経路阻害剤を含むものである。これにより、微生物細胞の増殖が前記培地中で行われ、微生物細胞は、本発明のPHAポリマー;好ましくは、特に95%より多くの同一単位を含むコポリマーであって、単位(A)と単位(B)のコモノマー比が、β酸化経路阻害剤の不在下で得られるものと異なっているものを合成する。
【0112】
以下のスキームは、一例として、不飽和炭化水素ベース鎖を有するPHAコポリマーから出発する、本発明によるPHAコポリマーの官能化を以下のスキーム1に従って示すものである。
[化学式8]:
【化11】
スキーム1において、
-R、m及びnは上記で定義した通りであり、
-Yは、塩素又は臭素などのHal、ヒドロキシル、チオール、(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、α)シクロヘキシルなどのシクロアルキル、β)糖、好ましくはグルコースなどの単糖などのヘテロシクロアルキル、γ)フェニルなどの(ヘテロ)アリール、δ)上記で定義した化粧用活性剤、ε)(C~C20)アルキル、(C~C20)アルケニル、(C~C20)アルキニルから選択される基を表わすR、及びa’)O、S、N(R)若しくはSi(R)(R)又はe)直鎖状又は分岐状(C~C20)アルキル(R、R及びRが上記で定義した通りである)を表すXを有するR-Xから選択される基を表し;
-q’は、2以上20以下、好ましくは3以上10以下、より好ましくは4以上8以下、例えば、6、より好ましくは3以上8以下、好ましくは4以上6以下、例えば、5の整数を表す。
【0113】
マイケル(Michael)又はディールスアルダー(Diels-Alder)付加などの二重又は三重不飽和を用いた反応、ラジカル反応、(特にPd又はNiを用いる)触媒又は無触媒水素化反応、特に臭素を用いるハロゲン化反応、水和反応又は酸化反応を使用して他の反応を実行してもよい。これらは制御されていても、されていなくてもよく、下記に模式的に表すように求電子試薬上で反応を行ってもよい。
【0114】
本発明の特定の実施形態によれば、PHAコポリマーは、
-Rに関して上記で定義した基によって置換及び/又は中断された、合計5~30個の炭素原子、好ましくは6~20個の炭素原子、より特に7~11個の炭素原子を含む、直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素ベース鎖R、並びに
-直鎖状又は分岐状の(C~C20)アルケニル、特に(C~C14)アルケニル、より特に(C~C10)アルケニル基を表す炭化水素ベース鎖Rであって、好ましくは直鎖状であり、且つ鎖末端に1個のみの不飽和を含むもの、特に-[CR(R)]-C(R)=C(R)-R(式中、R、R、R、R及びRは同一であっても異なってもよく、水素原子又はメチルなどの(C~C)アルキル基、好ましくは水素原子を表し、qは2以上20以下、好ましくは3以上10以下、より好ましくは4以上8以下、例えば、6の整数を示す)、例えば、-[CH-CH=CH(qは3以上8以下、好ましくは4以上6以下、例えば5の整数を示す)
を含み、前記鎖Rは、1%~99%、好ましくは2%~50%、さらに好ましくは3%~40%の不飽和、さらに特に3%~30%の不飽和、より良好には5%~20%の不飽和を含む。PHAコポリマーが不飽和を含む本発明のこの特定の実施形態によれば、これらの不飽和は、
A)粒子、化学化合物又はポリマーとの付加反応、例えば、ラジカル付加、マイケル(Michael)付加、求電子付加、ディールス-アルダー(Diels-Alder)、ハロゲン化、水和又は水素化反応、好ましくはヒドロチオール化反応によって化学的に変性されていてもよい。
【0115】
特に、ヒドロチオール化反応は、熱開始剤、レドックス開始剤又は光化学開始剤、及びスルフヒドリル基を有する有機化合物、特に、
-1~14個の炭素原子を含む直鎖状、分岐状、環式又は芳香族アルカンチオール、例えば、メタン-、エタン-、プロパン-、ペンタン-、シクロペンタン-、ヘキサン-、シクロヘキサン-、ヘプタン-、オクタン-、フェニルエタン-、4-tert-ブチルフェニルメタン-又は2-フランメタン-チオール、好ましくは、ヘキサン-、シクロヘキサン-、ヘプタン-、オクタン-、フェニルエタン-、4-tert-ブチルフェニルメタン-又は2-フランメタン-チオール;
-チオール官能基を有するオルガノシロキサン、例えば、
(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)メチルジメトキシシラン、
2-(トリエトキシシリル)エタンチオール又はメルカプトプロピル-イソブチル-POSS;
-チオールベースのシリコーンオイル、特に文献、DOI:10.1016/j.actbio.2015.01.020)に記載されたもの;
-反応性機能、例えば、アミン、アルコール、酸、ハロゲン、チオール、エポキシド、ニトリル、イソシアネート、ヘテロ原子、好ましくはシステイン、システアミン、N-アセチルシステアミンを有するチオールベースのオリゴマー又はポリマー;
2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-2-プロパノール、8-メルカプト-1-オクタノール、チオ乳酸、チオグリコール酸、3-メルカプトプロピオン酸、11-メルカプトウンデカン酸、ポリエチレングリコールジチオール、3-メルカプトプロピオンニトリル、1,3-プロパンジチオール、4-シアノ-1-ブタンチオール、3-クロロ-1-プロパンジチオール、1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテート;並びに
-フェニルジスルフィド又はフルフリルジスルフィドなどのジスルフィド還元から得られ得るチオール
から選択されるものの存在下で実行され得る。
【0116】
挙げられ得る開始剤の例としては、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、クメンペルピバレート、tert-ブチルペルオキシラウレート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)オクタン、n-ブチル4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、2,2-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ブタン、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、ジ-tert-ブチルジペルオキシイソフタレート、2,2-ビス(4,4-ジ-tert-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、ジ-tert-ブチルペルオキシ-α-メチルスクシネート、ジ-tert-ブチルペルオキシジメチルグルタレート、ジ-tert-ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ-tert-ブチルペルオキシアゼレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジエチレングリコールビス(tert-ブチルペルオキシカルボネート)、ジ-tert-ブチルペルオキシトリメチルアジペート、トリス(tert-ブチルペルオキシ)トリアジン、ビニルトリス(tert-ブチルペルオキシ)シランフェノチアジン、テトラセン、ペリレン、アントラセン、9,10-ジフェニルアントラセン、チオキサントン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、キサントン、フルオレノン、アントラキノン、9,10-ジメチルアントラセン、2-エチル-9,10-ジメチルオキシアントラセン、2,6-ジメチルナフタレン、2,5-ジフェニル-1,3,4-オキサジアゾール、キサントピナコール、1,2-ベンザントラセン、9-ニトロアントラセンが挙げられる。これらの開始剤は、それぞれ単独で用いても、他と組み合わせて用いられてもよい。
【0117】
上記化学反応は当業者に公知である。特に以下の文献が挙げられ得る:ポリエチレングリコールジチオールによって変性されたPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with polyethylene glycol dithiol):10.1021/acs.biomac.9b00479;Biomacromolecules,19,3536-3548(2018);メルカプトヘキサノールによって変性されたPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with mercaptohexanol):10.1021/acs.biomac.8b01257;Biomacromolecules,20,2,645-652(2019);ヒドロキシ桂皮酸スルフェート及びゾステリン酸によって変性されたPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with hydroxycinnamic acid sulfate, and zosteric acid):10.1021/bm049962e;Biomacromolecules,5,4,1452-1456(2004);PHOUnへのメタクリル酸メチルのラジカル付加反応(Radical addition of methyl methacrylate to a PHOUn):10.1002/1521-3935(20010701)202:11<2281:AID-MACP2281>3.0.CO;2-9;Macromolecular Chemistry and Physics,vol.202,11,2281-2286(2001);ポリシルセスキオキサン(POSS)によって変性されたPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with a polysilsesquioxane(POSS)):10.1016/j.polymer.2005.04.020;Polymer Vol.46,14,5025-5031(2005);飽和側鎖へのチオ-ベータ-グルコースのグラフト化(Grafting of thio-beta-glucose to saturated side chains):1022-1336/99/0202-0091$17.50+.50/0;Macromol.Rapid Commun.,20,91-94(1999)
並びに/或いは
B)例えば濃縮又は希釈アルカリ剤のペルマンガネートによって制御されていても、又はされていなくてもよい酸化反応、又はオゾン分解、還元剤の存在下での酸化を経て、側鎖の末端位置にヒドロキシル基、エポキシ基又はカルボキシル基を有する新規物質を得ることが可能である。
【0118】
上記化学反応は当業者に公知である。特に以下の文献が挙げられ得る:10.1021/bm049337;Biomacromolecules,vol.6,2,891-896(2005);10.1016/S0032-3861(99)00347-X;Polymer,vol.41,5,1703-1709(2000);10.1021/ma9714528 and 10.1016/S1381-5148(97)00024-2;Macromolecules,23,15,3705-3707(1990);10.1016/S0032-3861(01)00692-9;Polymer,vol.43,4,1095-1101(2002);10.1016/S0032-3861(99)00347-X;Polymer,vol.41,5,1703-1709(2000);及び10.1021/bm025728h;Biomacromolecules,vol.4,2,193-195(2003)。
【0119】
以下のスキーム2による、エポキシド基を含む炭化水素ベース鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
[化学式9]:
【化12】
スキーム2中、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1で定義した通りである。
【0120】
エポキシド構造は、生物技術的な経由であっても、又は上記の不飽和の酸化などの化学プロセス経由であっても、当業者に公知の従来の方法を介して得られ得る。ペルオキシド基は、カルボン酸、無水マレイン酸、アミン、アルコール、チオール又はイソシアネートと反応し得るが、これらの試薬は全て、少なくとも1種の直鎖状又は分岐状、環式又は非環式、飽和又は不飽和C~C20炭化水素ベース鎖を含むか、又はオリゴマー若しくはポリマー、特にアミノ(ポリ)サッカリド、例えば、キトサン及び(ポリ)シル(オキシ)アンから誘導される化合物、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン 3-(トリメトキシシリル)プロピルカルバミン酸、ジエタノールアミン、又はナトリウムなどのアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属塩の3-メルカプト-1-プロパンスルホネートによって担持されている。エポキシド基は水とも反応し得る。
【0121】
特に以下の文献が挙げられ得る:
-ジエタノールアミンによって開始する電荷を有するPHAの調製(Preparation of PHA bearing charges starting with diethanolamine):10.1021/bm8005616,Biomacromolecules,vol.9,8,2091-2096(2008);
-3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸ナトリウムによって開始する電荷を有するPHAの調製(Preparation of PHA bearing charges starting with sodium 3-mercapto-1-propanesulfonate):10.1021/acs.biomac.9b00870 Biomacromolecules,vol.20,9,3324-3332(2019);
-ネイティブエポキシド単位を含むPHAの調製(Preparation of PHA including a native epoxide unit):10.1016/S1381-5148(97)00024-2);Reactive and Functional Polymers,vol.34,1,65-77(1997)
【0122】
以下のスキーム3による、離核性基を含む炭化水素ベース鎖を有するPHAコポリマーから出発する、本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
[化学式10]:
【化13】
スキーム3中、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1で定義した通りである。Mは、求核性基によって置換され得る有機又は無機の離核性基に相当し、好ましくは、前記求核性基は、O、S又はNなどの+I及び/又は+M効果を介して電子を供与するヘテロ原子である。好ましくは、求核性基Mは、Brなどのハロゲン原子、メシレート、トシレート又はトリフレート基から選択される。これは、当業者に既知の反応である。例えば、以下の文献が挙げられ得る:10.1016/j.ijbiomac.2016.11.118,International Journal of Biological Macromolecules,vol.95,796-808(2017)。
【0123】
下記スキーム4による、シアノ基を含有する炭化水素ベース鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
[化学式11]:
【化14】
スキーム4中、Y、m、n、q’及びRは、スキーム1で定義した通りである。
【0124】
第1のステップi)において、シアノ基又はニトリル基を含有する側鎖を有するPHAコポリマーを、有機アルカリ金属又は有機マグネシウム化合物Y-MgHal、Y-Li又はY-Naと反応させ、続いて加水分解して、ケトン官能基によってグラフト化された基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーが得られる。ケトン官能基は、例えば、アミンの存在下でS8を用いたチオン化、又はローソン(Lawesson)の試薬を用いてチオケトンに変換され得る。前記チオケトンは、(例えばクレメンセン還元による)全体還元ii)後、アルキレン基によってグラフト化された基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーをもたらす。或いは、前記チオケトンは、従来の還元剤を用いて、制御された還元iii)を受けて、ヒドロキシアルキレン基によってグラフト化された基Yを含有する側鎖を有するPHAコポリマーが得られ得る。出発PHAコポリマーのシアノ基は、水和v)後、又はカルボキシル誘導体への加水分解iv)後に水と反応してアミド誘導体を得ることができる。また、出発PHAコポリマーのシアノ基は、還元vi)の後、アミン誘導体又はケトン誘導体を与え得る。ニトリル官能基を含有する炭化水素ベース側鎖を有するPHAコポリマーは、当業者に知られている従来の方法を介して調製される。例えば、以下の文献が挙げられ得る:10.1016/0378-1097(92)90311-B,FEMS Microbiology Letters,vol.103,2-4,207-214(1992)。
【0125】
以下のスキーム5による、鎖末端に炭化水素ベース鎖を有するPHAコポリマーから出発する本発明によるPHAコポリマーの官能化の例:
[化学式12]:
【化15】
スキーム5中、R、R、m、n及びYは上記で定義した通りであり、R’1は、i)直鎖状又は分岐状(C~C20)アルキル、ii)直鎖状又は分岐状(C~C20)アルケニル、iii)直鎖状又は分岐状(C~C20)アルキニルから選択される炭化水素ベース鎖を表し;好ましくは、炭化水素ベース基は直鎖状であり、前記炭化水素ベース鎖は、a)塩素又は臭素などのハロゲン、b)ヒドロキシル、c)チオール、d)(ジ)(C~C)(アルキル)アミノ、e)(チオ)カルボキシル、f)(チオ)カルボキサミド-C(O)-N(R又は-C(S)-N(R、f)シアノ、g)イソ(チオ)シアナート、h)フェニル又はフリルなどの(ヘテロ)アリール及びi)無水物又はエポキシドなどの(ヘテロ)シクロアルキル、j)有色又は無色、蛍光性又は非蛍光性色団、例えば、蛍光増白剤から誘導されるもの、或いはUVA及び/又はUVBスクリーニング剤から誘導される発色団、及び抗老化活性剤から選択される化粧用活性剤から選択される1個又は複数個の原子又は基によって置換される。
【0126】
これらのPHAポリマーへの鎖末端グラフト化剤は当業者に知られている。例えば、以下の文献が挙げられ得る:
-熱分解によるPHAオリゴマーの調製(Preparation of PHA oligomers by thermal degradation): 10.1021/bm0156274;Biomacromolecules,vol.3,1,219-224(2002);
-エステル交換反応によるPHAオリゴマーの調製(Preparation of PHA oligomers by transesterification):10.1021/ma011420r,Macromolecules,vol.35,3,684-689(2002);
-加水分解によるPHAオリゴマーの調製(Preparation of PHA oligomers by hydrolysis):10.1016/0032-3861(94)90590-8 Polymer vol.35,19,4156-4162(1994);
-メタノリシスによるPHAオリゴマーの調製(Preparation of PHA oligomers by methanolysis):10.1021/bm060981t,Biomacromolecules,vol.8,4,1255-1265(2007)。
【0127】
また、当業者に知られている他の方法についても挙げられ得る。
-アスコルビン酸によってグラフト化されたPHAの合成及び特性評価(Synthesis and characterization of PHA grafted with ascorbic acid):10.1016/j.ijbiomac.2018.11.052;International Journal of Biological Macromolecules,vol.123:7(2019);
-リパーゼによって触媒されるアジピン酸ジビニルによる重縮合によるPHB-b-PHOコポリマーの調製(Preparation of PHB-b-PHO copolymers by polycondensation with divinyl adipate catalysed with a lipase):10.1021/bm9011634,Biomacromolecules,vol.10,12,3176-3181(2009);
-ジイソシアネート結合を介してカップリングされたPHB-b-PHOコポリマーの合成(Synthesis of PHB-b-PHO copolymers coupled via a diisocyanate junction):10.1021/ma012223v;Macromolecules,vol.35,13,4946-4950(2002);
-PHOのカルボン酸末端とキトサンのアミン官能基との間での縮合によるキトサン上でのPHOオリゴマーの調製(Preparation of PHO oligomers on chitosan by condensation between the carboxylic acid end of the PHO and the amine functions of the chitosan):10.1002/app.24276;Journal of Applied Polymer Science,vol.103,1,(2006);
-「クリック」ケミストリーによって変性可能なPHAオリゴマーを製造するためのプロパルギルアルコールによるPHAのエステル交換(Transesterification of PHAs with propargyl alcohol in order to produce PHA oligomers that are modifiable by “click”chemistry):10.1016/j.reactfunctpolym.2011.12.005;Reactive and Functional Polymers,vol.72,2,160-167(2012);
-PHO-b-PCLコポリマーの調製(Preparation of PHO-b-PCL copolymer):10.1002/mabi.200400104;Macromolecular Bioscience,vol.4,11(2004);
-PHO-b-PEGコポリマーの調製(Preparation of PHO-b-PCL copolymer):10.1002/macp.201000562;Macromolecular Chemistry and Physics;vol.212,3,(2010);
-鎖末端不飽和のエポキシ化及び酸の鎖末端グラフト化(Epoxidation of chain-end unsaturation and chain-end grafting of acid):10.14314/polimery.2017.317;Polimery,vol.62,4,317-322(2017);
-PHA上への鎖末端におけるオルガノシロキサン単位のグラフト化(Grafting of organosiloxane unit at chain end onto PHA):10.1016/j.reactfunctpolym.2014.09.008;Reactive and Functional Polymers,vol.84,53-59(2014)。
【0128】
スキーム6による、上記の本発明のグラフト化PHAコポリマーの組合せ:
[化学式13]:
【化16】
スキーム6中、R’、R、m、n及びYは上記で定義した通りであり、且つX’は、求電子性E又は求核性Nu原子又は基と反応してΣ共有結合を形成することができる反応性原子又は基を表し、X’が求電子性又は求核性基である場合、試薬R’-Nuと反応でき、X’が求核性基Nuである場合、R’-Eと反応し、Σ共有結合を形成することができる。
【0129】
一例として、求電子試薬及び求核試薬の縮合から生成し得るΣ共有結合又は結合基を以下の表に挙げる。
【0130】
【表8】
【0131】
【表9】
【0132】
また、スキーム7に記載されているように、側鎖上で官能基化されたPHAから出発して、第2段階で鎖末端グラフト化を行うことも可能である。逆もまた真なりで、鎖末端グラフト化を第1段階で行い、次いで第2段階で官能化可能な側鎖の官能化を行うことも可能である。
[化学式14]:
【化17】
スキーム7中、R’、R、m、n及びYは上記で定義した通りである。
【0133】
これらの化学反応は全て当業者に知られている。例えば、以下の文献が挙げられ得る:
-チオール-エンによって変性され、次いで新規グラフト化官能基上での反応が実行されるPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with thiol-ene followed by reaction on the new grafted function):10.1021/ma0304426;Macromolecules,vol.37,2,385-389(2004);
-酸によって官能基化したPHA上へのPEG及びPLAのグラフト化(Grafting of PEG and of PLA onto PHAs functionalized with acids):10.1002/marc.200900803及び10.1002/mabi.200390033;
-ポリエチレングリコールジチオールによって変性されたPHAの合成及び調製(Synthesis and preparation of PHAs modified with polyethylene glycol dithiol):10.1021/acs.biomac.9b00479。
【0134】
b)界面活性剤
組成物はまた、b)好ましくは非イオン性若しくはイオン性である1種若しくは複数種の界面活性剤、又はそれらの混合物も含む。
【0135】
「界面活性剤」という用語は、2つの表面間の表面張力を変更する化合物を意味する。界面活性剤は両親媒性分子であり、極性の異なる2つの部分を有し、一方の部分は無極性である親油性(脂肪性物質を保持する)であり、他方の親水性部分(水に混和性又は可溶性)は極性である。親油性部分は一般に脂肪鎖であり、他の水混和性部分は極性、及び/又はプロトン性である。
【0136】
「イオン性」という用語は、アニオン性、カチオン性、両性又は双性イオンを意味する。
【0137】
「脂肪鎖」という用語は、6個より多い原子、好ましくは6~30個の炭素原子、好ましくは8~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和炭化水素ベース鎖を意味する。
【0138】
第1の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。本発明による非イオン性界面活性剤の中で、単独又は混合物としての脂肪アルコール、α-ジオール及びアルキルフェノールが挙げられてよく、これらの3種類の化合物は、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化又はポリグリセロール化され、例えば、8~22個の炭素原子を含む脂肪鎖を含有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数はおそらく2~50の範囲であり、グリセロール基の数はおそらく2~30である。エチレンオキシド及びプロピレンオキシドコポリマー、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物、好ましくは2~30のエチレンオキシド単位を有するポリエトキシル化脂肪アミド、平均1~5、特に1.5~4のグリセロール基を含有するポリグリセロール化脂肪アミド、2~30のエチレンオキシド単位を含有するソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N-アルキルグルカミン誘導体、(C10~C14)アルキルアミンオキシド又はN-アシルアミノプロピルモルホリンオキシドなどのアミンオキシドも挙げられ得る。
【0139】
より特に、本発明の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤から選択され、特に、i)(ポリ)エトキシル化脂肪アルコール;ii)グリセロール化脂肪アルコール;及びiii)アルキルポリグリコシド(APG)から選択される。
【0140】
アルキルポリグリコシドに関しては、これらの化合物はよく知られており、より特に、以下の一般式で表すことができる。
R’O-(R’O)t’(G’)v’ (V)
(式(V)中:
・R’は、約8~24個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状アルキル及び/又はアルケニル基、又はその直鎖状若しくは分岐状アルキル基が8~24個の炭素原子を含むアルキルフェニル基を表し;
・R’は、約2~4つの炭素原子を含むアルキレン基を示し;
・G’は、5~6つの炭素原子を含む糖単位を表し;
・t’は、0以上10以下、好ましくは0以上4以下、より好ましくは0以上4以下の整数を表し;且つ
・v’は1以上15以下の整数を表す。
【0141】
本発明による好ましいアルキルポリグリコシドは、式(V)の化合物であり、式中、Rは、より特に、8~18個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和アルキル基を示し、t’は0~3の値、さらに特に0に等しく、G’はグルコース、フルクトース又はガラクトース、好ましくはグルコースを示し得る。重合度、すなわち式(V)中のv’の値は、1~15、好ましくは1~4の範囲であり得る。平均重合度は、より特に1~2であり、さらにより優先的には1.1~1.5である。
【0142】
糖単位間のグリコシド結合は、1-6型又は1-4型であり、好ましくは1-4型である。
【0143】
式(V)の化合物は、特に、Cognis社からPlantaren(登録商標)(600CS/U、1200及び2000)又はPlantacare(登録商標)(818、1200及び2000)の名称で販売されている製品によって代表される。また、SEPPIC社からTriton CG 110(又はOramix CG 110)及びTriton CG 312(又はOramix(登録商標)NS 10)という名称で販売されている製品、BASF社からLutensol GD 70という名称で販売されている製品、Chem Y社がAG10 LKという名称で販売されている製品を使用することも可能である。
【0144】
また、例えば、Cognis社からPlantacare(登録商標)818 UPの名称で販売されている53%水溶液としてのC8/C16アルキル1,4-ポリグルコシドを使用することも可能である。
【0145】
モノ又はポリグリセロール化界面活性剤に関して、それらは好ましくは平均で1~30個のグリセロール基、より特に1~10個、特に1.5~5個のグリセロール基を含む。
【0146】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化された界面活性剤は、好ましくは、以下の式の化合物:
R’’O[CHCH(CHOH)O]H、R’’O[CHCH(OH)CHO]H又はR’’O[CH(CHOH)CHO]
から選択される。
式中、R’’は、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状炭化水素ベース基を表し;mは1~30、好ましくは1~10、より特に1.5~6の整数である。
【0147】
R’’は、任意選択的にヘテロ原子、例えば酸素及び窒素を含んでいてもよい。特に、Rは、任意選択的に、1個若しくは複数個のヒドロキシル基及び/又はエーテル基及び/又はアミド基を含んでいてもよい。R’’は、好ましくは、任意選択的にモノ又はポリヒドロキシル化されたC10~C20アルキル及び/又はアルケニル基を示す。
【0148】
例えば、ChimexからChimexane(登録商標)NFの名称で販売されているポリグリセロール化(3.5mol)ヒドロキシラウリルエーテルを使用してもよい。
【0149】
本発明での使用に適した(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、より特に、8~30個の炭素原子、好ましくは12~22個の炭素原子を含むアルコールから選択される。
【0150】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、より特に、8~30個の炭素原子を含む、1個若しくは複数個の直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和炭化水素ベース基を含み、これは任意選択的に、特に1個若しくは複数個の(特に1~4個の)ヒドロキシル基によって置換されている。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0151】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、好ましくは、次式(VI)を有する。
-[O-CH-CHn’-OH (VI)
式(VI)中:
-Rは、直鎖状若しくは分岐状C~C40アルキル又は直鎖状若しくは分岐状C~C30アルケニル(優先的にはC~C30アルキル)基を表し;且つ
-n’は1以上200以下の整数であり、優先的には2以上50以下、特に2以上30以下の整数であり、例えば20である。
【0152】
(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールは、より特に、8~22個の炭素原子を含み、1~30モルのエチレンオキシド(1~30EO)によってオキシエチレン化された脂肪アルコールである。これらの中でも、より特に、ラウリルアルコール2EO、ラウリルアルコール3EO、デシルアルコール3EO、デシルアルコール5EO及びオレイルアルコール20EOが挙げられてよい。
【0153】
また、これらの(ポリ)オキシエチレン化脂肪アルコールの混合物を使用してもよい。
【0154】
優先的には、非イオン性界面活性剤は、(C~C24)アルキル(ポリ)グリコシド、より特に(C~C18)アルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタンのエトキシル化C~C30脂肪酸エステル、ポリエトキシル化C~C30脂肪アルコール、ポリオキシエチレン化C~C30脂肪酸エステル(これらの化合物は、好ましく2~150モルのエチレンオキシドを含有する)、及びこれらの混合物から選択される。
【0155】
非イオン性界面活性剤の中でも、C~C24アルキルポリグルコシド及び(ポリ)エトキシル化脂肪アルコールが好ましく用いられ、C~C16アルキルポリグルコシドがより特に用いられる。
【0156】
非イオン性界面活性剤の総量は、好ましくは組成物の全質量に対して0.01質量%~60質量%、好ましくは本発明の組成物の全質量に対して0.5質量%~30質量%、より特に2質量%~10質量%の範囲である。
【0157】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種のイオン性界面活性剤を含む。
【0158】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種のカチオン性界面活性剤を含む。それらは、有利には、任意選択的にポリオキシアルキレン化された第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物から選択される。
【0159】
第四級アンモニウム塩として、以下が特に挙げられてよい。
【0160】
-式(VII)の第四級アンモニウム塩:
[化学式15]:
【化18】
式(VII)中、
・同一であっても異なっていてもよい基R~R11は、1~30個の炭素原子を含む直鎖状若しくは分岐状脂肪族基、又はアリール若しくはアルキルアリールなどの芳香族基を表し、基R~R11の少なくとも1個は8~30個、好ましくは12~24個の炭素原子を含み、直鎖状若しくは分岐状脂肪族基が、特に酸素、窒素若しくは硫黄などの隣接しないヘテロ原子、及びハロゲンを含んでいることが可能であり;且つ
・Qは、特にi)臭化物、塩化物、ヨウ化物又はフッ化物などのハロゲン化物、ii)ホスフェート、iii)アセテート、iv)ラクテート、v)(C~C)アルキルスルフェート、vi)(C~C)アルキルスルホネート及びvii)(C~C)アルキルアリールスルホネートから選択されるアニオン性対イオンである。
【0161】
アルキル基が12~22個の炭素原子、特に14~20個の炭素原子を含むジアルキルジメチルアンモニウム又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドなどのテトラアルキルアンモニウムハライド、特にクロリド、例えば、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(セトリモニウムクロリド)及びベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリドが挙げられてよい。また、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はステアラミドプロピルジメチル-(ミリスチルアセテート)-アンモニウムハライド、特にクロリド;特にVan Dyk社からCeraphyl(登録商標)70という名称で販売されている製品も挙げられてよい。
【0162】
好ましくは、使用され得る式(VII)のカチオン性界面活性剤は、アルキル基が12~22個の炭素原子、より優先的には14~20個の炭素原子を含むアルキルトリメチルアンモニウムハライド、より特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド又はセトリモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウムクロリドを示す。
【0163】
-式(VIII)のイミダゾリンの第四級アンモニウム塩:
[化学式16]:
【化19】
式(VIII)中、
・R12は、8~30個の炭素原子を含むアルケニル又はアルキル基、例えば獣脂又は植物、好ましくは植物脂肪酸誘導体を表し;
・R13は、水素原子、C~Cアルキル基、又は8~30個の炭素原子を含むアルケニル基若しくはアルキル基を表し;
・R14は、C~Cアルキル基を表し;
・R15は、水素原子又はC~Cアルキル基を表し;
・Qは上記で定義した通りである。
好ましくは、R12及びR13は、例えば獣脂脂肪酸から誘導される、12~21個の炭素原子を含むアルケニル基又はアルキル基の混合物を示し、R14はメチル基を示し、R15は水素原子を示す。このような製品は、例えば、Evonik社からRewoquat(登録商標)W75又はW90という名称で販売されている。
【0164】
-式(IX)の第4級ジ-又はトリアンモニウム塩:
[化学式17]:
【化20】
式(IX)中:
・R16は、16~30個の炭素原子を含むアルキル基を表し、これは任意選択的にヒドロキシル化され、及び/又は任意選択的に1個若しくは複数個の酸素原子によって中断されており;
・R17は、水素、1~4個の炭素原子を含むアルキル基又は基-(CH-N(R16a)(R17a)(R18a)を表し;R16a、R17a及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素又は1~4個の炭素原子を含むアルキル基を表し;
・R18、R19、R20及びR21は、同一であっても異なっていてもよく、水素又は1~4個の炭素原子を含むアルキル基を示し、且つ
・Qは、上記で定義した通りである。
【0165】
このような化合物は、例えば、Finetex社から販売されているFinquat CT-P(Quaternium 89)及びFinquat CT(Quaternium 75)である。
【0166】
-下記式(X)で示される、1個若しくは複数個のエステル官能基を有する第四級アンモニウム塩:
[化学式18]:
【化21】
式(X)中、
22は、C~Cアルキル基及びC~Cヒドロキシアルキル又はジヒドロキシアルキル基から選択され;
・R23は、基R26-C(O)-;直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C22炭化水素ベース基R27;及び水素原子から選択され;
・R25は、基R28-C(O)-;直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C炭化水素ベース基R29;及び水素原子から選択され;
・同一であっても異なっていてもよいR24、R26及びR28は、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C21炭化水素ベース基から選択され;
・r、s及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2~6の範囲の整数であり;
r1及びt1は、同一であっても異なっていてもよく、0又は1に等しく;
・yは1~10の整数であり;
・x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0~10の整数であり;
・Qは、上記で定義した通りであり;
r2+r1=2r及びt1+t2=2tであること、及びx+y+zの合計は1~15の範囲であることが理解されるが、
ただし、x=0である場合、R23はR27を表し、z=0である場合、R25はR29を表す。
【0167】
アルキル基R22は直鎖状であっても分岐状であってもよく、好ましくは直鎖状である。好ましくは、R22は、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基又はジヒドロキシプロピル基を示し、より好ましくはメチル基又はエチル基を示す。
【0168】
有利には、x+y+zの合計は1~10である。
【0169】
23が炭化水素ベース基R27である場合、それは12~22個の炭素原子を含み得、さもなければ、1~3個の炭素原子を含み得る。
【0170】
25が炭化水素ベース基R29である場合、好ましくは1~3個の炭素原子を含む。
【0171】
有利には、同一であっても異なっていてもよいR24、R26及びR28は、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C11~C21炭化水素ベースの基から、より特に直鎖状又は分岐状C11~C21アルキル及びアルケニル基から選択される。
【0172】
好ましくは、同一であっても異なっていてもよいx及びzは、0又は1に等しい。有利には、yは1に等しい。
【0173】
好ましくは、同一であっても異なっていてもよいr、s及びtは、2又は3に等しく、さらに特に2に等しい。
【0174】
アニオン性対イオンQは、好ましくはハライド、好ましくはクロリド、ブロミド又はヨージド、(C~C)アルキルスルフェート、(C~C)アルキルスルホネート又は(C~C)アルキルアリールスルホネート、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、アセテート又はラクテートなどの有機酸から誘導されるアニオン、或いはエステル官能性を有するアンモニウムと適合する他の任意のアニオンである。アニオンQは、より特に、クロリド、メチルスルフェート又はエチルスルフェートである。
【0175】
本発明による組成物中、より特に、
・R22が、メチル又はエチル基を示し、
・x及びyが1と等しく;
・zが0又は1と等しく;
・r、s、及びtが2と等しく;
・R23が、基R26-C(O)-;メチル、エチル又はC14~C22炭化水素ベース基、及び水素原子から選択され、
・R25が、基R28-C(O)-;及び水素原子から選択され、
・R24、R26及びR28が、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐枝状、飽和又は不飽和C13~C17炭化水素ベース基から選択され、好ましくは直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C13~C17アルキル及びアルケニル基から選択される、式(X)のアンモニウム塩が使用される。
【0176】
有利には、炭化水素ベース基は直鎖状である。
【0177】
式(X)の化合物の中でも、塩、特にクロリドなどのハライド、又は硫酸メチルなどの(C~C)アルキルスルフェート、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム又はモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられてよい。これらのアシル基は、好ましくは、14から18個の炭素原子を含有し、また、より具体的には、パーム油又はヒマワリ油などの植物油に由来する。化合物が、いくつかのアシル基を含有する場合、これらの基は、同一又は異なっていてよい。
【0178】
これらの生成物は、例えば、任意選択的にオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン又はアルキルジイソプロパノールアミンを、特に植物若しくは動物由来の脂肪酸又は脂肪酸混合物によって直接エステル化することによるか、或いはそのメチルエステルをエステル交換することによって得られる。このエステル化の後、アルキルハライド、好ましくはメチル又はエチルハライド、ジアルキルスルフェート、好ましくはジメチル又はジエチルスルフェート、メチルメタンスルホネート、メチルパラ-トルエンスルホネート、グリコールクロロヒドリン又はグリセロールクロロヒドリンなどのアルキル化剤によって四級化してもよい。そのような化合物は、例えば、Henkel社からDehyquart(登録商標)、Stepan社からStepanquat(登録商標)、CECA社からNoxamium(登録商標)、Evonik社からRewoquat(登録商標)WE18という名称で販売されている。
【0179】
本発明による組成物は、例えば、ジエステル塩が質量過半数を占める第四級アンモニウムモノエステル塩、ジエステル塩及びトリエステル塩の混合物を含有し得る。米国特許第A-4874554号明細書及び米国特許第A-4137180号明細書に記載されている、少なくとも1個のエステル官能基を含有するアンモニウム塩も使用されてよい。また、例えば、Kao社からQuartamin BTC 131の名称で販売されているベヘノイルヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドも使用されてよい。
【0180】
好ましくは、少なくとも1個のエステル官能基を含有するアンモニウム塩は、2個のエステル官能基を含有する。
【0181】
好ましくは、界面活性剤はカチオン性であり、式(VII)、(IX)又は(X)のものから選択され、より好ましくはセチルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウム及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩並びにこれらの混合物から選択され、より特に、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド又はメトスルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はメトスルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド又はメトスルフェート、及びこれらの混合物から選択される。
【0182】
より優先的には、本発明によるカチオン性界面活性剤は、式(VII)のものから選択され、より優先的には、アルキル基が12~22個の炭素原子、より優先的には14~20個の炭素原子を含有するアルキルトリメチルアンモニウム塩、特にベヘニルトリメチルアンモニウム塩、セトリモニウム塩、特にセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド又はその全比率の混合物から選択される。
【0183】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種のアニオン性界面活性剤を含む。
【0184】
「アニオン性界面活性剤」という用語は、イオン性又はイオン化可能な基として、アニオン性基のみを含む界面活性剤を意味する。これらのアニオン性基は、好ましくは、基-C(O)OH、-C(O)O、-SOH、-S(O)、-OS(O)OH、-OS(O)、-P(O)OH
-P(O)、-P(O)O 、-P(OH)、=P(O)OH、-P(OH)O、=P(O)O、=POH、=POから選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアミン若しくはアンモニウムから誘導されるものなどのカチオン性対イオンを含むアニオン性部分である。
【0185】
本発明による組成物中で使用され得るアニオン性界面活性剤の例として、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシネート、アシルイソチオネート及びN-アシルタウレート、ポリグリコシドポリカンボン酸及びアルキルモノエステル塩、アシルラクチレート、D-ガラクトシドウロン酸の塩、アルキルエーテルカルボン酸の塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸の塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸の塩、並びにこれら全ての化合物の対応する非塩化形態が挙げられてよい。これら全ての化合物のアルキル基及びアシル基は、6~24個の炭素原子を含み、アリール基はフェニル基を示す。
【0186】
これらの化合物はオキシエチレン化されていてもよく、その場合、好ましくは1~50個のエチレンオキシド単位を含む。
【0187】
ポリグリコシド-ポリカルボン酸のC~C24アルキルモノエステルの塩は、C~C24アルキルポリグリコシド-シトレート、C~C24アルキルポリグリコシド-タートレート及びC~C24アルキルポリグリコシド-スルホスクシネートから選択され得る。
【0188】
アニオン性界面活性剤が塩の形態である場合、それらは、ナトリウム塩又はカリウム塩、好ましくはナトリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、特にアミノアルコール塩又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩から選択され得る。
【0189】
特に挙られ得るアミノアルコール塩の例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン塩又はトリイソプロパノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩が挙げられる。
【0190】
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム塩又はマグネシウム塩を使用することが好ましい。
【0191】
挙げられたアニオン性界面活性剤の中でも、好ましくは、アルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコール及びアルカリ土類金属塩の形態の2~50個のエチレンオキシド単位を含む(C~C24)アルキルスルフェート、(C~C24)アルキルエーテルスルフェート、又はこれらの化合物の混合物が使用される。
【0192】
特に、2~20個のエチレンオキシド単位を含む(C12~C20)アルキルスルフェート、(C12~C20)アルキルエーテルスルフェート、特にアルカリ金属、アンモニウム、アミノアルコール及びアルカリ土類金属塩の形態、又はこれらの化合物の混合物を使用することが好ましい。より好ましくは、特に2.2モルのエチレンオキシドを含有するラウリルエーテル硫酸ナトリウム、より優先的にはナトリウムなどのアルカリ金属のラウリルスルフェートなどの(C12~C20)アルキルスルフェートを使用することである。
【0193】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種の両性又は双性イオン性界面活性剤を含む。本発明の両性又は双性イオン性界面活性剤は、シリコーン系ではなく、特に任意選択的に四級化された二次又は三次脂肪族アミン誘導体であって、脂肪族基が8~22個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖であるものであり、前記アミン誘導体は少なくとも1個のアニオン性基、例えばカルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート又はホスホネート基を含有する。特に、(C~C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C~C20)アルキルアミド(C~C)アルキルベタイン及び(C~C20)アルキルアミド(C~C)アルキルスルホベタインが挙げられてよい。
【0194】
上記の両性又は双性イオン性界面活性剤の中でも、好ましくは、ココイルベタインなどの(C~C20)アルキルベタイン、及びコカミドプロピルベタインなどの(C~C20)アルキルアミド(C~C)アルキルベタイン、並びにこれらの混合物が使用される。より好ましくは、両性又は双性イオン性界面活性剤は、コカミドプロピルベタイン及びココイルベタインから選択される。
【0195】
特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種のカチオン性界面活性剤、特に任意選択的にポリオキシアルキレン化された第一級、第二級若しくは第三級脂肪アミン塩、又は第四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物を含む。本発明による組成物中に存在し得るカチオン性界面活性剤の中で、セチルトリメチルアンモニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウム及びジパルミトイルエチルヒドロキシメチルアンモニウム塩、並びにそれらの混合物、より特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びジパルミトイルエチルヒドロキシエチルアンモニウムメトスルフェート並びにそれらの混合物を選択することがより特に好ましい。
【0196】
本発明の特定の実施形態によれば、界面活性剤は、高いHLB、すなわち、10より大きく、好ましくは15より大きいHLBを有する。
【0197】
本発明の別の特定の実施形態によれば、界面活性剤は、低いHLB、すなわち10以下、より優先的には1~6のHLBを有する。
【0198】
「HLB」又は親水性-親油性バランスという用語は、W.C.Griffin(Classification of Surface-Active Agents by HLB,Journal of the Society of Cosmetic Chemists 1,311(1949))によって与えられた定義に従って、親水性/親油性バランス値を意味する。また、J.T.Daviesの従来法によりHLBを算出することができる(Davies J.T.,A quantitative kinetic theory of emulsion type,I.Physical chemistry of the emulsifying agent,Gas/Liquid and Liquid/Liquid Interface.Proceedings of the International Congress of Surface Activity(1957):426-438)。
【0199】
【表10】
【0200】
【表11】
【0201】
【表12】
【0202】
【表13】
【0203】
【表14】
【0204】
【表15】
【0205】
好ましくは、b)本発明の界面活性剤がイオン性、好ましくはアニオン性又はカチオン性、より優先的にはスルフェート型のアニオン性であり、且つ/又は界面活性剤及びb)は高いHLB値、すなわち、10より大きく、好ましくは15より大きい。
【0206】
より優先的には、界面活性剤は、以下から選択される。
【0207】
【表16】
【0208】
特定の実施形態によれば、組成物は、高いHLB値によって特徴付けられる非イオン性である界面活性剤又はいくつかの界面活性剤の混合物を含む。好ましくは、界面活性剤は、以下から選択される。
【0209】
界面活性剤b)が、全比率での少なくとも1種のイオン性界面活性剤と少なくとも1種の非イオン性界面活性剤との混合物である場合、
好ましくは、イオン性界面活性剤は、
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート
・ベヘニルトリメチルアンモニウムハライド、好ましくはクロリド
・セトリモニウムハライド、好ましくはクロリド
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ココイルグリシネート
から選択され、そして非イオン性界面活性剤は、
・4OE及び/又は23OEポリオキシエチレン化ラウリルアルコール(ラウレス-23及び/又はラウレス-4)
・ポリオキシエチレン化(20OE)ソルビタンモノパルミテート
・ポリグリセリル-4イソステアレート
から選択される。
【0210】
本発明の特定の実施形態によれば、界面活性剤は、混合物のHLBが高HLBであるような比率の非イオン性界面活性剤の混合物であり;好ましくは、非イオン性界面活性剤は、
・ポリグリセリル-4イソステアレート
・4OE及び/又は23OEポリオキシエチレン化ラウリルアルコール(ラウレス-23及び/又はラウレス-4)
・ポリオキシエチレン化(20OE)ソルビタンモノパルミテート
から選択される。
【0211】
好ましくは、界面活性剤b)は、1種類の界面活性剤のみであり、好ましくはイオン性界面活性剤である。さらに優先的には、イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシネートである。
【0212】
本発明の組成物に含まれる界面活性剤の量は、組成物の全質量に対して、0.1質量%~30質量%、好ましくは1質量%~20質量%、さらに好ましくは2質量%~10質量%を表す。
【0213】
本発明の第2の好ましい変形において、組成物は、
・23OEポリオキシエチレン化ラウリルアルコール(=ラウレス-23)及び
・ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート
から選択される、好ましくは高いHLB値によって特徴付けられる非イオン性である1種類のみの界面活性剤を含む。
【0214】
さらに優先的には、本発明の界面活性剤b)は、ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテートなどの高HLB値によって特徴付けられる。
【0215】
本発明の好ましい変形によれば、組成物は、好ましくは、
・特に1/99~99/1の割合のラウリルアルコール/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化された(ナトリウムなど)アルカリ金属又はアルカリ土類金属N-ラウロイルサルコシネート;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化されたラウリルアルコール;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のベヘニルトリメチルアンモニウムハライド(クロリドなど)/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化されたラウリルアルコール;
・特に1/99~99/1の割合のベヘニルトリメチルアンモニウムハライド(クロリドなど)/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のセトリモニウムハライド(クロリドなど)/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化されたラウリルアルコール;
・特に1/99~99/1の割合のセトリモニウムハライド(クロリドなど)/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化されたラウリルアルコール;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ココイルグリシネート/4OE及び/又は23OEによってポリオキシエチレン化されたラウリルアルコール;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ココイルグリシネート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に1/99~99/1の割合のラウレススルフェート/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に1/99~99/1の割合のクロリドなどのベヘニルトリメチルアンモニウムハライド/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に1/99~99/1の割合のクロリドなどのセトリモニウムハライド/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート/ポリグリセリル-4イソステアレート;並びに
・特に1/99~99/1の割合のナトリウムN-ココイルグリシネート/ポリグリセリル-4イソステアレート
から選択されるイオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物を含む。
【0216】
好ましくは、組成物の界面活性剤b)は、
・特に10/90の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に50/50の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のドデシルスルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・90/10の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に90/10の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレス/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に50/50の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に10/90の割合のセトリモニウムハライド(好ましくはクロリド)/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に10/90の割合のベヘニルトリメチルアンモニウムハライド(好ましくはクロリド)/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;
・特に90/10の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に10/90の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート/ポリグリセリル-4イソステアレート;
・特に10/90の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリグリセリル-4イソステアレート;並びに
・特に50/50の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリグリセリル-4イソステアレート;並びに
・特に10/90の割合のセトリモニウムハライド(好ましくはクロリド)/ポリグリセリル-4イソステアレート;並びに
・特に10/90の割合のベヘニルトリメチルアンモニウム(好ましくはクロリド)/ポリグリセリル-4イソステアレート
から選択される界面活性剤の混合物である。
【0217】
さらに優先的には、界面活性剤の混合物は、
・特に90/10~50/50、好ましくは75/25~50/50、より優先的には50/50の割合の、ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート;並びに
・特に10/90~90/10、好ましくは25/75~75/25、より優先的には50/50の割合のナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート/ポリグリセリル-4イソステアレート
の組合せから選択される。
【0218】
本発明の第4の好ましい変形において、本発明の組成物は、混合物が高いHLB値によって特徴付けられる、すなわち、
・15.1の混合物に対するHLB値が得られるように特に(80/20)の割合でのラウレス23及びラウレス4;並びに
・16の混合物に対するHLB値が得られるように特に(95/5)の割合でのラウレス23及びラウレス4の混合物から選択されるような割合で、2質量%~50質量%、優先的には10%~40%の界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤から形成される。
【0219】
より優先的には、界面活性剤b)は、特に
・15.1の混合物に対するHLB値が得られるように特に(80/20)の割合でのラウレス23及びラウレス4
から選択される界面活性剤の混合物である。
【0220】
「非イオン性界面活性剤」という用語は、好ましくは、ラウレス-23、ラウレス-4、オキシエチレン化(20OE)ソルビタンモノパルミテート、又はポリグリセリル-4イソステアレートを意味する。
【0221】
高いHLB値を有する非イオン性界面活性剤の例として挙げられてよいものには、オキシエチレン化(20OE)ソルビタンモノパルミテート及びラウレス-23が含まれる。
【0222】
低いHLB値を有する非イオン性界面活性剤の例として挙げられてよい例としては、ラウレス-4及びポリグリセリル-4イソステアレートが含まれる。
【0223】
本発明の別の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種のシリコーン界面活性剤を含む。
【0224】
本発明による組成物は、1種又は複数種のシリコーン界面活性剤を含んでいてもよい。シリコーン界面活性剤は、水溶性、自然発生的水分散性又は水不溶性であってよい。好ましくは、水溶性又は自然発生的水分散性である。
【0225】
好ましくは、シリコーン界面活性剤は、オキシアルキレン化されており、好ましくはオキシエチレン化されている。
【0226】
組成物b)は、シリコーン界面活性剤を含んでいてもよい。シリコーン界面活性剤は、下記の式(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)及び(XV)の化合物から選択され得る。
【化22】
[式(XI)~(XV)中、
・同一であっても異なっていてもよいRは、直鎖状又は分岐状C~C30アルキル基又はフェニル基を表し;
・同一であっても異なっていてもよいR及びRは、直鎖状又は分岐状C~C12アルキル基、好ましくはメチル基を示し;
・同一であっても異なっていてもよいRは、基-(CH)c-O-(CO)a’-(CO)b’-R又は-(CH)c-O-(CO)a’-R(式中、a’は0~50の範囲であり、b’は0~50の範囲であり、且つa’+b’は1以上であり;cは0~4の範囲である)を表わし;且つ
・同一であっても異なっていてもよいRは、水素原子、1~12個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルキル基;1~6個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アルコキシ基;2~12個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状アシル基;ヒドロキシル基、基-SOM、基-OCOR、1個若しくは2個のC~Cアルキル基によってアミン上で任意選択的に置換され、任意選択的に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアミノアルコキシ基;1個若しくは2個のC~Cアルキル基によって任意選択的に置換され、任意選択的に少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~Cアミノアシル基;基-NHCHCHCOOM、基-N(CHCHCOOM);アミン上及びアルキル鎖上で1個若しくは2個のC~Cアルキル基によって任意選択的に置換され、少なくとも1個のヒドロキシル基を有するC~C12アミノアルキル基、C~C30カルボキシアキル基、1個若しくは2個の置換C~C12アミノアルキル基によって任意選択的に置換されたホスホノ基、基-CO(CHCOOM、基-OCOCHR(CHCOOM、基-NHCO(CHOH、基-NHY(式中、同一であっても異なっていてもよいMは、水素原子、Na、K、Li、NH又は有機アミンを示し;Rは直鎖状又は分岐状C~C30アルキル基を表し、Rは水素原子又は基SOMを示し;dは1~10の範囲であり;Yはハライド(クロリド、ブロミド)、スルフェート又はカルボキシレート(アセテート、ラクテート、シトレート)などのアニオンを示す)から選択され;
・mは0~20の範囲であり;
・m’は1~20の範囲であり;
・nは0~500の範囲であり;
・pは1~50の範囲であり;
・qは0~20の範囲であり;
・wは1~100の範囲であり;
・式(XIV)中、aは0~50の範囲であり;bは0~50の範囲であり;且つa+bは1以上である。]
【0227】
好ましくは、シリコーン界面活性剤は、上記で定義した一般式(XI)又は(XII)に相当し、より特に、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たす式(XI)又は(XII)に相当するものである。
・Rは、メチル基を表す。
・R、c=2又は3である。
・R、Rは、水素原子、メチル基又はアセチル基を表し、好ましくは水素原子である。
・R、a’は1~25の範囲であり、より特に2~25の範囲である。
・R、b’は0~25の範囲であり、好ましくは10~20の範囲である。
・nは0~100の範囲である。
・pは1~20の範囲である。
【0228】
Dow Corning社からFluid DC 193及びDC 5225C、OSI社からSilwet(登録商標)L 77、並びにMazer PPG社からMazil(登録商標)756という商品名で販売されているシリコーン界面活性剤が特に挙げられてよい。
【0229】
好ましくは、シリコーン界面活性剤は、親水性グラフトを含むシリコーンの混合物である。それは、優先的には、オキシエチレン化(OE)オキシプロピレン化(OP)(18OE/18OP)ポリジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン及び水(10/88/2)の混合物、例えば、Dow Corning社からDow Corning 5225C Formulation Aidという名称で販売されている製品から構成される。
【0230】
本発明による組成物は、組成物の全質量に対して0.1質量%~30質量%、特に1質量%~20質量%の範囲の量でシリコーン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0231】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、以下から選択される1種又は複数種の界面活性剤を含む。
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ラウロイルサルコシネート;
・ナトリウムなどアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウレススルフェート;
・ベヘニルトリメチルアンモニウムハライド(好ましくはクロリド);
・セトリモニウムハライド(好ましくはクロリド);
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のN-ココイルグリシネート;
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のデシルスルフェート;
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウロイルサルコシネート;
[化学式23]:
【化23】
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のラウリルエーテルスルフェート;
[化学式24]:
【化24】
・ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属のサルコシネート及びアシルグリシネート
[化学式25]:
【化25】
【0232】
好ましくは、本発明の界面活性剤は、イオン性、好ましくはアニオン性又はカチオン性である。本発明の特定の実施形態によれば、界面活性剤は、高いHLB、すなわち、10より大きく、好ましくは15より大きいHLBを有する。
【0233】
特定の実施形態によれば、組成物は、高いHLB値によって特徴付けられる1種又は複数種の非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、界面活性剤は、
・23OEポリオキシエチレン化ラウリルアルコール(ラウレス-23)及び
・ポリオキシエチレン化ソルビタンモノパルミテート
から選択される。
【0234】
界面活性剤は、組成物の全質量に対して、特に合計で0.01質量%~60質量%、好ましくは0.5質量%~30質量%、さらに優先的には1質量%~20質量%を表す。
【0235】
界面活性剤b)の量は、組成物の全量に対して0.1質量%~30質量%を表し、好ましくは1質量%~20質量%、さらに好ましくは2質量%~10質量%である。
【0236】
c)脂肪性物質
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、1種又は複数種の脂肪性物質も含む。
【0237】
組成物は水を含んでいてもよい。好ましくは、本発明の組成物は、質量基準で、水の質量量に対して1種又は複数種の脂肪性物質を主に含む。
【0238】
「脂肪性物質」という用語は、通常の室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)において水に不溶性である(溶解度が5%未満、好ましくは1%未満、さらに優先的には0.1%未満である)有機化合物を意味する。それらは、その構造中に、少なくとも6個の炭素原子又は少なくとも2個のシロキサン基の列を含む少なくとも1種の炭化水素ベース鎖を有する。さらに、脂肪性物質は、一般に、同一温度及び圧力条件下で有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液体石油ゼリー又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶性である。
【0239】
本発明の脂肪性物質は、天然又は合成由来であり、好ましくは天然、より優先的には植物由来である。これらの脂肪性物質は、好ましくはポリオキシエチレン化されておらず、ポリグリセロール化もされてもいない。塩化した脂肪酸は一般に水性媒体中に可溶性である石鹸を構成するため、脂肪酸とは異なる。
【0240】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、25℃及び大気圧において液体ではない1種又は複数種の脂肪性物質を含む。
【0241】
ワックス
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1種又は複数種のワックスを含む。
【0242】
「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、30℃以上、最大200℃、特に最大120℃の融点を有する親油性化合物を意味する。
【0243】
特に、本発明での使用のために適切なワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0244】
本発明による組成物は、好ましくは、組成物の全質量に対して3質量%~20質量%、特に5質量%~15質量%、より特に6質量%~15質量%の範囲のワックス含有物を含む。
【0245】
本発明の特定の態様によれば、本発明の組成物は固体であり、特に無水である。これはスティック状であってもよく、固形組成物中の層の存在を減少させるか、又はさらには排除するように、少なくとも2に等しいアスペクト比を有し、且つ70~110℃、好ましくは70~100℃の範囲の融点を有する微結晶形態のポリエチレンマイクロワックスが使用されるであろう。これらの針状微結晶、特にその寸法は、以下の方法に従って視覚的に特徴付けられ得る。
【0246】
ペースト状化合物
特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、1種又は複数種のペースト状化合物を含む。
【0247】
本発明の目的のために、「ペースト状化合物」という用語は、可逆的な固体/液体状態変化を起こし、固体状態で異方性結晶組織を有し、そして23℃の温度において、液体フラクション及び固体フラクションを含む親油性脂肪化合物を意味する。
【0248】
好ましくは、組成物は、液体脂肪性物質である1種又は複数種の脂肪性物質c)を含み;特に、液体脂肪性物質は、非シリコーン油から選択され;好ましくは、液体脂肪性物質は、
□エステル油、カルボネート油;
□好ましくは1/99~10/90の範囲のモノアルコール/無極性分岐状炭化水素ベース油の質量比で、2~6個の炭素原子を含むモノアルコールとの混合物としての8~14個の炭素原子を含む無極性分岐状炭化水素ベース油から選択される。
【0249】
好ましくは、組成物は、1種又は複数種の油を含む。
【0250】
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(1気圧又は760mmHg)において液体である疎水性(すなわち、水不混和性)の脂肪(すなわち、非水性)物質を意味する。
【0251】
「液体脂肪性物質」という用語は、特に、好ましくは20℃において7000センチポイズ以下の粘度を有する液体脂肪性物質を意味する。
【0252】
本発明の液体脂肪性物質は、より特に、25℃の温度及び1s-1のせん断速度において、2Pa・s以下、より特に1Pa・s以下、さらに特に0・1Pa・s以下、より優先的には0・09Pa・s以下の粘度を有する。
【0253】
本発明の特定の実施形態によれば、液体脂肪性物質は、25℃の温度及び1s-1のせん断速度において、0.001Pa・s~2Pa・s、より特に0・01以上1Pa・s以下、さらに特に0・014以上0・1Pa・s以下、より優先的には0・015以上0・09Pa・s以下の粘度を有する。
【0254】
本発明によるPHAコポリマーは、25℃及び大気圧において、液体脂肪性物質中で可溶性である。
【0255】
本発明によれば、媒体は、炭素ベース媒体の全質量に対して、25℃において液体である炭素ベース化合物を少なくとも50質量%、特に50質量%~100質量%、例えば60質量%~99質量%、さもなければ65質量%~95質量%、又はさらには70質量%~90質量%含む場合、炭素ベースであると記載される。
【0256】
好ましくは、液体脂肪性物質は、20(MPa)1/2以下のハンセン(Hansen)溶解度空間を有する全溶解度パラメータを有するか、又はそのような化合物の混合物である。
【0257】
ハンセン溶解度空間による全溶解度パラメータδは、書籍「Polymer Handbook」第3版、第VII章、519~559ページのGrulkeによる論文「Solubility parameter values」中、δ=(dD+dP+dH1/2の関係で定義されており、式中、
-dは、分子衝撃の際に生じる双極子の形成に由来するロンドン(London)分散力を特徴づけ、
-dは、永久双極子間のデバイ(Debye)相互作用力を特徴づけ、
-dは、特定の相互作用(水素結合、酸/塩基、供与体/受容体など)の力を特徴づける。
【0258】
ハンセン3次元溶解度空間における溶媒の定義は、Hansenによる論文:「The three-dimensional solubility parameters」,J.Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0259】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間による全溶解度パラメータを有する液体炭素ベース化合物の中で、液体脂肪性物質、特に油が挙げられてよく、これは天然又は合成、炭素ベース又は炭化水素ベース油から選択され得、これらは任意選択的にフッ素化され、任意選択的に分岐され、単独又は混合物である。
【0260】
液体脂肪性物質は、特にC~C16炭化水素、又は16個より多い炭素原子及び最大60個までの炭素原子を含む炭化水素、特にアルカン、動物由来の油、植物由来の油、合成由来のグリセリド又はフルオロ油、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、非シリコーンワックス及びシリコーンから選択される。
【0261】
本発明の目的のために、脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、より特に、6~30個の炭素原子を含む1個又は複数個の直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和炭化水素ベース基を含有し、これらは任意選択的に、特に1個又は複数個の(特に1~4個の)ヒドロキシル基で置換されているということが想起される。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0262】
~C16アルカンに関しては、直鎖状又は分岐状であり、場合によっては環式である。挙げられ得る例としては、ヘキサン、ドデカン、並びにイソヘキサデカン及びイソデカンなどのイソパラフィンが含まれる。16個より多くの炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素は、流動パラフィン、石油ゼリー、液体石油ゼリー、ポリデセン、及び水素化ポリイソブテンから選択され得る。
【0263】
特定の実施形態によれば、本発明のプロセスで使用される脂肪性物質は、揮発性直鎖状アルカンから選択される。
【0264】
「1種又は複数種の揮発性直鎖状アルカン」という用語は、区別することなく、「1種又は複数種の揮発性直鎖状アルカン油」を意味する。
【0265】
本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(約25℃)及び大気圧(101325Pa又は760mmHg)において液体である。
【0266】
本発明での使用のために適切な「揮発性直鎖状アルカン」とは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において皮膚との接触時に1時間未満で蒸発することができる直鎖状アルカンであって、室温で液体であり、特に室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において蒸発速度が0.01~15mg/cm/分の範囲であるものを意味する。
【0267】
好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において、0.01~3.5mg/cm/分、さらに好ましくは0.01~1.5mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0268】
より好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)及び大気圧(101325Pa)において、0.01~0.8mg/cm/分、優先的には0.01~0.3mg/cm/分、さらに優先的には0.01~0.12mg/cm/分の範囲の蒸発速度を有する。
【0269】
本発明による揮発性アルカン(及びより一般的には揮発性溶媒)の蒸発速度は、特に国際公開第06/013413号パンフレットに記載のプロトコルによって、より詳細には以下に記載のプロトコルによって評価され得る。
【0270】
15gの揮発性炭化水素ベース溶媒を、温度(25℃)及び湿度(相対湿度50%)に調節された約0.3mのチャンバー内の天秤に載せた結晶皿(直径:7cm)中に入れる。
【0271】
揮発性炭化水素ベース溶媒を含有する結晶皿上に垂直に配置された換気扇(Papst-Motoren、参照8550N、2700rpmで回転)によって換気を行いながら、撹拌せずに揮発性炭化水素ベース溶媒を自然に蒸発させる。この時、羽根は結晶皿の底部から20cm離して、結晶皿の方に向けられる。
【0272】
結晶皿に残った揮発性炭化水素ベース溶媒の質量を一定時間ごとに測定する。
【0273】
次に、蒸発した生成物の量(mg/cm)の曲線を時間(分)の関数としてプロットすることによって、溶媒の蒸発プロファイルを得る。
【0274】
次に、得られた曲線の原点に対する接線に相当する蒸発速度を算出する。蒸発速度は、単位面積(cm)及び単位時間(分)あたりで蒸発した揮発性溶媒のmgで表される。
【0275】
好ましい実施形態によれば、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温においてゼロではない蒸気圧(飽和蒸気圧としても知られている)、特に0.3Pa~6000Paの範囲の蒸気圧を有している。
【0276】
好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)において、0.3~2000Pa、さらに好ましくは0.3~1000Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0277】
より好ましくは、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、室温(25℃)において、0.4~600Pa、優先的には1~200Pa、さらに優先的には3~60Paの範囲の蒸気圧を有する。
【0278】
一実施形態によれば、本発明での使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、30~120℃、より特に40~100℃の範囲内にある引火点を有し得る。引火点は、特に、規格ISO3679に従って測定される。
【0279】
一実施形態によれば、本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、7~15個の炭素原子、好ましくは8~14個の炭素原子、より好ましくは9~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであってもよい。
【0280】
より好ましくは、本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、10~14個の炭素原子、さらに優先的には11~14個の炭素原子を含む直鎖状アルカンであってもよい。
【0281】
本発明における使用のために適切な揮発性直鎖状アルカンは、有利には、植物由来であり得る。
【0282】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物の脂肪媒体は油性である。より特に、組成物は、1種又は複数種の油、好ましくは非シリコーン油、特に炭化水素ベース油を含む。
【0283】
「炭化水素ベース油」という用語は、炭素原子及び水素原子からな油を意味する。
【0284】
好ましくは、本発明の液体脂肪性物質は、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪エステル、シリコーン及び脂肪エーテル、又はそれらの混合物から選択される。より特に、本発明の脂肪性物質は、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0285】
「液体炭化水素」という用語は、炭素原子及び水素原子のみから構成される炭化水素であって、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×10Pa)において液体であるものを意味する。
【0286】
より特に、液体炭化水素は、
-直鎖状又は分岐状、任意選択的に環式のC~C16アルカン(挙げられ得る例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、並びにイソパラフィン、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる。);
-鉱物、動物又は合成由来の、16個より多くの炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン水素化ポリイソブテン、例えば、Parleam(登録商標)及びスクワラン
から選択される。
【0287】
好ましい変形において、液体炭化水素は、液体パラフィン及び液体石油ゼリーから選択される。
【0288】
「液体脂肪アルコール」という用語は、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち、1.013×10Pa)において液体である非グリセロール化及び非オキシアルキレン化脂肪アルコールを意味する。
【0289】
好ましくは、本発明の液体脂肪アルコールは、8~30個の炭素原子、より優先的にはC10~C22、さらに優先的にはC14~C20、より好ましくはC16~C18を含む。
【0290】
本発明の液体脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。
【0291】
飽和液体脂肪アルコールは、好ましくは分岐状である。それらは任意選択的に、その構造中に少なくとも1個の芳香環又は非芳香環を含んでいてもよい。好ましくは、それらは非環式である。
【0292】
より特に、本発明の飽和液体脂肪アルコールは、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール及び2-ヘキシルデカノールから選択される。
【0293】
本発明の別の変形によれば、脂肪性物質は、液体不飽和脂肪アルコールから選択される。これらの液体不飽和脂肪アルコールは、その構造中に少なくとも1個の二重結合又は三重結合を含有する。好ましくは、本発明の脂肪アルコールは、その構造中に1個又は複数個の二重結合を有する。複数の二重結合が存在する場合、好ましくは2個又は3個の二重結合が存在し、それらは共役であっても非共役であってもよい。
【0294】
これらの不飽和脂肪アルコールは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0295】
これらは、任意選択的に、その構造中に少なくとも1個の芳香族又は非芳香族環を含んでいてもよい。好ましくは、それらは非環式である。
【0296】
より特に、本発明の液体不飽和脂肪アルコールは、オレイルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール及びウンデシレニルアルコールから選択される。
【0297】
オレイルアルコールが最も特に好ましい。
【0298】
「液体脂肪エステル」又は「エステル油」という用語は、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールから誘導される1種又は複数種のエステル基を含み、常温(25℃)及び大気圧(760mmHg;すなわち、1.013×10Pa)において液体である化合物を意味する。
【0299】
エステルは、好ましくは、飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C~C26脂肪族モノ酸又はポリ酸、及び飽和又は不飽和、直鎖状又は分岐状C~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールの液体エステルであって、エステル中の総炭素原子数が10以上であるものである。
【0300】
好ましくは、モノアルコールのエステルに関して、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸の中の少なくとも1つが分岐状である。
【0301】
モノ酸及びモノアルコールのモノエステルの中でも、エチルパルミテート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート又はエチルミリステートなどのアルキルミリステート、イソセチルステアレート、2-エチルヘキシルイソノナノエート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート、イソプロピルイソステアレートなどのC10~C22、好ましくはC12~C20アルキル(イソ)ステアレートが挙げられてよい。
【0302】
~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と非糖類C~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用されてよい。
【0303】
特に、ジエチルセバケート、ジイソプロピルセバケート、ビス(2-エチルヘキシル)セバケート、ジイソプロピルアジペート、ジ-n-プロピルアジペート、ジオクチルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、ジイソステアリルアジペート、ビス(2-エチルヘキシル)マレエート、トリイソプロピルシトレート、トリイソセチルシトレート、トリイソステアリルシトレート、グリセリルトリラクテート、グリセリルトリオクタノエート、トリオクチルドデシルシトレート、トリオレイルシトレート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート及びジエチレングリコールジイソノナノエートが挙げられてよい。
【0304】
組成物はまた、液体脂肪エステルとして、C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを含んでいてもよい。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基を有しするか又は有さない、いくつかのアルコール官能基を有する酸素含有炭化水素ベース化合物を意味し、少なくとも4個の炭素原子を含むものであることが想起される。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖類又は多糖類であってもよい。
【0305】
挙げられ得る適切な糖の例には、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0306】
脂肪酸の糖エステルは、特に、上記の糖、並びに直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和C~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸のエステル又はエステルの混合物を含む群から選択され得る。不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0307】
本変形によるエステルはまた、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラエステル、ポリエステル、並びにそれらの混合物からも選択され得る。
【0308】
これらのエステルは、例えば、オレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート及びアラキドネート、又はこれらの混合物、例えば、特に、オレオパルミテート、オレオステアレート及びパルミトステアレート混合エステルであり得る。
【0309】
より特に、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースモノオレート又はジオレート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート又はオレオステアレートが使用される。
【0310】
挙げられ得る例は、Amerchol社からGlucate(登録商標)DOという名称で販売されている製品であり、これはメチルグルコースジオレエートである。
【0311】
最後に、モノ-、ジ-又はトリ酸の天然又は合成グリセロールエステルも使用されてよい。
【0312】
これらのうち、植物油が挙げられ得る。
【0313】
液体脂肪エステルとして本発明の組成物に使用され得る植物由来の油又は合成トリグリセリドとして、挙げられ得る例としては、
-植物又は合成由来のトリグリセリド油、例えば6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いは、例えば、ヒマワリ油、コーン油、大豆油、マロー油、グレープシード油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol(登録商標)810、812及び818という名称で販売されているもの、ホホバ油及びシアバター油が含まれる。
【0314】
本発明によるエステルとして、モノアルコールから誘導される液体脂肪エステルが好ましく使用されるであろう。
【0315】
ミリスチン酸イソプロピル又はパルミチン酸イソプロピルが好ましい。
【0316】
液体脂肪エーテルは、ジカプリリルエーテルなどの液体ジアルキルエーテルから選択される。
【0317】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、8~16個の炭素原子を含有する1種又は複数種の炭化水素ベース油を含む。
【0318】
より特に、8~16個の炭素原子を含有する炭化水素ベース油は、
□分岐状のC~C16アルカン、例えば石油由来のC~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン及び例えばIsopar又はPermethylの商品名で市販されている油、
□直鎖状C~C16アルカン、例えばSasol社からそれぞれParafol 12-97及びParafol 14-97の参照番号で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、並びにそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社からの特許出願、国際公開第2008/155059号パンフレットの実施例1及び2で得られたn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物、並びにこれらの混合物から選択される。
【0319】
「エステル油」という用語は、その化学構造中に1個又は複数個のエステル基を含む油性化合物を意味する。
【0320】
エステル油は、特に、以下から選択される。
□植物由来の油、例えば、脂肪酸がC~C24までの様々な鎖長を有し得るグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリドであって、これらの鎖は場合により直鎖状又は分岐状及び飽和又は不飽和であるもの;これらの油は特にヘプタン酸又はオクタン酸のトリグリセリドである。植物由来の油は、小麦胚芽油、ヒマワリ油、グレープシード油、ゴマ油、落花生油、コーン油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、大豆油、スイートアーモンド油、パーム油、菜種油、綿実油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、米油、亜麻仁油、マカダミア油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、セサミシード油、マロー油、菜種油、ブラックカラント油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナット油、パッションフラワー油、マスクローズ油及びアルガン油;シアバター;或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社から販売されているもの、又はDynamit Nobel社からMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものなどから選択され得る;
□式R-C(O)-OR10のモノエステル油(式中、R+R10≧9個の炭素原子、好ましくは29個未満の炭素原子未満という条件で、Rは5~19個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状炭化水素ベース鎖を表し、R10は4~20個の炭素原子を含有する直鎖状又は分岐状、特に分岐状炭化水素ベース鎖を表す)、例えばパルミテート、アジペート、ミリスレート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;セテアリルオクタノエート(パーセリン油)、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ヘキシルラウレート、イソノニルイソノナノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、2-ヘキシルドデシルラウレート、2-オクチルドデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステート、2-エチルヘキシルヘキサノエート、イソノニルヘキサノエート、ネオペンチルヘキサノエート、カプリリルヘプタノエート又はオクチルオクタノエート;
□乳酸とC10~C20アルコールとのエステル、例えば、イソステアリルラクテート、2-オクチルドデシルラクテート、ミリスチルラクテート、C12~C13アルキルラクテート(SasolからのCosmacol(登録商標)ELI)、セチルラクテート又はラウリルラクテート;
□リンゴ酸とC10~C20アルコールとのジエステル、例えば、ジイソステアリルマレート、ジ(C12~C13)アルキルマレート(SasolからのCosmacol(登録商標)EMI)、ジブチルオクチルマレート、ジエチルヘキシルマレート又はジオクチルドデシルマレート;
□ペンタエリスリトールとC~C22カルボン酸とのエステル(特に、テトラエステル又はジエステル)、例えば、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラベヘネート、ペンタエリスリチルテトラカプリレート/テトラカプレート、ペンタエリスリチルテトラココエート、ペンタエリスリチルテトラエチルヘキサノエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラステアレート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトララウレート、ペンタエリスリチルテトラミリステート、ペンタエリスリチルテトラオレエート、又はペンタエリスリチルジステアレート;
□次式(VII)R11-O-C(O)-R12-C(O)-O-R13のジエステル(式中、R11及びR13は、同一であっても異なっていてもよく、任意選択的に少なくとも1個の飽和又は不飽和、好ましくは飽和の環を含有する直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、且つR12は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖、例えば、スクシネート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)、マレエート(この場合、R12は不飽和Cアルキレン鎖)、グルタレート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)又はアジペート(この場合、R12は飽和Cアルキレン鎖)から得られるアルキレン鎖を表し、特に、R11及びR13は、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、ネオヘプチル、2-エチルヘキシル、オクチル、ノニル及びイソノニルから選択される);優先的には、ジカプリリルマレエート又はビス(2-エチルヘキシル)スクシネートが挙げられ得る;
□次式(VIII)R14-C(O)-O-R15-O-C(O)-R16のジエステル(式中、R14及びR16は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐状、飽和又は不飽和(好ましくは飽和)C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表し、R15は、飽和又は不飽和C~C、好ましくはC~Cアルキレン鎖を表す)。特に、Stearinierie Dubois社からDub Zenoatの名称で販売されている1,3-プロパンジオールジカプリレート(R14はC、R16はC)、又はジプロピレングリコールジカプリレートが挙げられ得る;
□カルボネート油は、式R17-O-C(O)-O-R18のカルボネートから選択され得、式中、R17及びR18は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状又は分岐状C~C12、優先的にはC~C10アルキル鎖を表す。カルボネート油は、BASF社からCetiol CC(登録商標)の名称で販売されているジカプリリルカルボネート(又はジオクチルカルボネート)、Evonik社からTegosoft DEC(登録商標)の名称で販売されているビス(2-エチルヘキシル)カルボネート、ジプロピルヘプチルカルボネート(BASF社からのCetiol 4 AII)、ジブチルカルボネート、ジネオペンチルカルボネート、ジペンチルカルボネート、ジネオヘプチルカルボネート、ジへプチルカルボネート、ジイソノニルカルボネート又はジノニルカルボネート、好ましくはジオクチルカルボネートであり得る。
【0321】
特に、脂肪性物質b)は、
-ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドによって形成された植物油、例えば、ヒマワリ油、ゴマ油、菜種油、マカダミア油、大豆油、スイートアーモンド油、ビューティーリーフ油、パーム油、グレープシード油、コーン油、アララ油、綿実油、アプリコット油、アボカド油、ホホバ油、オリーブ油又は穀物胚乳油;
-6個より多い炭素原子、特に6~30個の炭素原子を含有する直鎖状、分岐状又は環式エステル;及び特にイソノナン酸イソノニル;より特に、式R-C(O)-O-R’のエステル(式中、Rは7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を示し、且つR’は3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベース鎖を表す)、例えば、パルミテート、アジペート、ミリスレート及びベンゾエート、特にジイソプロピルアジペート及びイソプロピルミリステート;
-炭化水素、及び特に揮発性又は不揮発性、直鎖状、分岐状及び/又は環式アルカン、例えば、任意選択的に揮発性であるC~C60イソパラフィン、例えば、イソドデカン、Parleam(水素化ポリイソブテン)、イソヘキサデカン、シクロヘキサン又はIsopars;或いは流動パラフィン、液体石油ゼリー又は水素化ポリイソブチレン;
-6~30個の炭素原子を含有するエーテル;
-6~30個の炭素原子を含有するケトン;
-6~30個の炭素原子を含有する脂肪族脂肪モノアルコールであって、炭化水素ベース鎖がいかなる置換基も含まないもの、例えば、オレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノール、オクチルドデカノール及びリノレイルアルコール;
-6~30個の炭素原子を含有するポリオール、例えば、ヘキシレングリコール;並びに
-これらの混合物
から選択される。
【0322】
好ましくは、組成物は、脂肪媒体中に、
-ポリオールの脂肪酸エステル、特にトリグリセリドによって形成される植物油、
-式RC(O)-OR’のエステル(式中、Rは7~19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R’は3~20個の炭素原子を含む炭化水素ベース鎖を表す)、
-揮発性又は不揮発性直鎖状又は分岐状C~C30アルカン;
-直鎖状又は分岐状非芳香族環式C~C12アルカン;
-7~30個の炭素原子を含有するエーテル;
-8~30個の炭素原子を含有するケトン;
-炭化水素系鎖が置換基を含まない、12~30個の炭素原子を含む脂肪族脂肪モノアルコール;及び
-これらの混合物
から選択される少なくとも1種の油を含む。
【0323】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基R1が6~9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールの不在下で、8~14個の炭素原子を含有する無極性炭化水素ベース油から選択される。
【0324】
好ましくは、コポリマーが、アルキル基Rが9個の炭素原子を含むようなものである場合、脂肪性物質b)は、水素化ポリイソブチレンから選択される。
【0325】
特に、脂肪性物質は非シリコーン油から選択され;好ましくは、液体脂肪性物質は、
-エステル油、カルボネート油;及び
-8~14個の炭素原子を含有する分岐状無極性炭化水素ベース油
-好ましくは1/99~10/90の範囲のモノアルコール/分岐状無極性炭化水素ベース油の質量比で、2~6個の炭素原子を含有するモノアルコールとの混合物として
から選択される。
【0326】
有利には、組成物は、組成物の全質量に対して、2質量%~99.9質量%の範囲、好ましくは5質量%~90質量%の範囲、好ましくは10質量%~80質量%の範囲、好ましくは20質量%~80質量%の範囲の含有量で、脂肪媒体の25℃及び大気圧において顕著に液体である1種又は複数種の脂肪性物質、好ましくは1種又は複数種の油を含む。
【0327】
本発明の一実施形態によれば、組成物は水性相を含む。この組成物は、特に水性ローションとして、又は油中水型若しくは水中油型エマルジョンとして、又は多重エマルジョン(油中水中油型若しくは水中油中水型トリプルエマルジョン(このようなエマルジョンは既知であり、例えば、C.Foxによって「Cosmetics and Toiletries」-November 1986-Vol.101-pages 101-112に記載されている))として配合される。
【0328】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、直接エマルジョン、すなわち水中油型又はO/W型のエマルジョンである。油の質量は、好ましくは、逆エマルジョンにおいて、組成物の全質量に対して30%以下、好ましくは20%以下である。より特に、直接エマルジョンにおいて、水の量は、組成物の全質量に対して40質量%以上である。
【0329】
本発明の別の特定の実施形態によれば、本発明の組成物は、逆エマルジョン、すなわち、油中水型又はW/O型である。油の質量は、好ましくは、逆エマルジョンにおいて、組成物の全質量に対して30%より多く、好ましくは40%より多い。より特に、逆エマルジョンにおいて、水の量は、組成物の全質量に対して40質量%未満であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%未満である。
【0330】
組成物の水性相は、水と、一般に以下に定義する極性溶媒及びプロトン性溶媒などの他の水溶性又は水混和性溶媒を含む(追加の溶媒を参照のこと)。
【0331】
本発明による組成物は、好ましくは、選択された担体次第で、3~9の範囲のpHを有する。
【0332】
本発明の特定の実施形態によれば、組成物のpHは、中性又は僅かに酸性である。好ましくは、組成物のpHは6~7である。これらの組成物のpHは、化粧品に通常使用される酸性化剤又は塩基性化剤によって、或いは標準的な緩衝系を用いて、所望の値に調整され得る。
【0333】
「塩基化剤」又は「塩基」という用語は、それが存在する組成物のpHを増加させるための任意の薬剤を意味する。塩基化剤は、ブレンステッド(Bronsted)塩基、ローリー(Lowry)塩基又はルイス(Lewis)塩基である。それは鉱物又は有機物であってよい。特に、前記薬剤は、a)水性アンモニア、b)(bi)カルボネート、c)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びそれらの誘導体などのアルカノールアミン、d)オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エチレンジアミン、e)有機アミン、f)鉱物又は有機水酸化物、g)メタケイ酸ナトリウムなどのアルカリ金属シリケート、h)アミノ酸、好ましくはアルギニン、リジン、オルニチン、シトルリン及びヒスチジンなどの塩基性アミノ酸、i)下記式(F)の化合物から選択される。
[化学式26]:
【化26】
(式(F)中、
-Wは、1個若しくは複数個のヒドロキシル基又はC~Cアルキル基によって任意選択的に置換され、且つ/或いはO又はNRuなどの1個若しくは複数個のヘテロ原子によって任意選択的に中断された二価C~Cアルキレン基であり、
-R、R、R、R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又はC~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル又はC~Cアミノアルキル基を表す。)
【0334】
挙げられ得る式(E)のアミンの例としては、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが含まれる。
【0335】
「アルカノールアミン」という用語は、第一級、第二級又は第三級アミン官能基と、1個又は複数のヒドロキシル基を有する1個又は複数の直鎖状又は分岐状C~Cアルキル基とを有する有機アミンを意味する。
【0336】
鉱物又は有機水酸化物のうち、a)アルカリ金属の水酸化物、b)アルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、c)遷移金属の水酸化物、d)ランタノイド又はアクチノイドの水酸化物、第四級アンモニウム水酸化物及び水酸化グアニジニウムから選択されるものが挙げられてよい。鉱物又は有機物の水酸化物a)及びb)が好ましい。
【0337】
本発明で使用される組成物の酸性化剤のうち、挙げられ得る例には、鉱酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸若しくは乳酸、又はスルホン酸が含まれる。
【0338】
上記で定義した塩基性化剤及び酸性化剤は、好ましくは、それらを含む組成物の質量に対して0.001質量%~20質量%、より詳細には組成物の質量に対して0.005質量%~8質量%を表す。
【0339】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、組成物の全質量に対して10質量%以下の量の水を含んでいる。さらに優先的には、組成物は、5%以下、さらにより優先的には2%以下、さらにより優先的には0.5%以下の量の水を含み、特に水を含有しない。適切な場合、そのような少量の水は、特に、その残留量を含み得る組成物の成分によって導入され得る。
【0340】
さらにより優先的には、組成物はいかなる水も含まない。
【0341】
有利には、本発明による組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。特に、この組成物は化粧用組成物である。
【0342】
「生理学的に許容される媒体」という用語は、ヒトのケラチン物質、例えば、皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛又は毛髪と適合性がある媒体を意味する。
【0343】
「化粧用組成物」という用語は、ケラチン物質と適合性があり、心地よい色、におい及び感触を有し、消費者がその使用を思いとどまるような許容できない不快感(刺戟性、張り又は赤み)を生じない組成物を意味する。
【0344】
「ケラチン物質」という用語は、皮膚(身体、顔、目の輪郭、頭皮)、頭髪、睫毛、眉毛、体毛、爪又は唇を意味する。
【0345】
本発明による組成物は、水、香料、保存剤、充填剤、着色剤、UVスクリーン剤、オイル、ワックス、界面活性剤、保湿剤、ビタミン、セラミド、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、ポリマー及び増粘剤から選択される化粧用添加物を含み得る。特に、本発明による組成物は、顔料、直接染料及びそれらの混合物から選択される1種又は複数種の着色剤、好ましくは顔料も含む。より優先的には、本発明の顔料は、カーボンブラック、酸化鉄、特に黒色酸化鉄、及び酸化鉄でコーティングされたマイカ、トリアリールメタン顔料、特に青色及び紫色トリアリールメタン顔料、例えば、ブルー1レイク(Blue 1 Lake)、アゾ顔料、特に赤色アゾ顔料、例えばD&Cレッド7(D&C Red 7)、リソールレッドのアルカリ金属塩、例えばリソールレッドBのカルシウム塩、さらに優先的には赤色酸化鉄から選択される。
【0346】
有利には、本発明による組成物は、メイクアップ組成物、特にリップメイクアップ組成物、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ又はファンデーションである。
【0347】
追加の溶媒
本発明の特定の実施形態によれば、組成物は、主に脂肪質の媒体中に、好ましくは水以外の極性及び/又はプロトン性である1種又は複数種の溶媒を含む。
【0348】
水以外の好ましくは極性及び/又はプロトン性である溶媒は、溶媒混合物の全質量に対して0~10質量%、優先的には、組成物の全質量に対して0.5~8質量%、より特に1~5質量%、例えば2質量%の質量パーセントで組成物中に存在する。好ましくは、溶媒は、アルカノール、より優先的にはC~Cアルカノール、例えばエタノールなどの極性プロトン性溶媒である。
【0349】
アジュバント
本発明による組成物はまた、1種又は複数種の充填剤を、特に組成物の全質量に対して0.01質量%~30質量%、好ましくは0.01質量%~20質量%の範囲の含有量で含んでいてもよい。「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度に関係なく、組成物の媒体中に不溶性である、任意の形状の無色又は白色の鉱物又は合成粒子を意味すると理解されるべきである。これらの充填剤は、特に、組成物のレオロジー又はテクスチャーを変更するために役立つ。
【0350】
本発明による組成物は、化粧品に一般的に使用される成分、例えば、ビタミン、増粘剤、微量元素、軟化剤、封鎖剤、香料、保存剤、日焼け止め、抗酸化剤、損失対策用薬剤、ふけ防止剤及び推進剤、又はこれらの混合物を含有してもよい。
【0351】
本発明による組成物は、無水組成物、油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンの形態であってよい。
【0352】
「無水組成物」という用語は、2質量%未満の水、又は0.5%未満の水を含有し、特に水を含まない組成物を意味する。適切な場合、そのような少量の水は、その残留量を含み得る組成物の成分によって特に導入されてもよい。
【0353】
本発明は、以下の実施例において、より詳細に例示される。量は質量%として示される。
【実施例
【0354】
様々な実施例に例示されたPHAを、β酸化経路阻害剤を使用するか否かに応じて、3リットルケモスタット及び/又は5リットルフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中で調製した。PHAの単離は、得られた全ての実施例で同様である。
【0355】
第1段階として、微生物がPHAを生成し、これは細胞内顆粒に貯蔵される。その割合は、温度又は培養培地の性質などの適用条件の作用として変動する。PHA顆粒の生成は、微生物の性質の作用として、微生物の成長と関連していても、していなくてもよい。第2段階の間に、PHAを含有するバイオマスを単離、すなわち、発酵培地から分離し、次いで乾燥させる。PHAは、必要に応じて精製される前にバイオマスから抽出される。
【0356】
特定の実施例では、得られるPHAの安定性のために、飽和及び不飽和炭素源の混合物が必要である。
【0357】
【表17】
【0358】
【表18】
【0359】
実施例1:直鎖状10%不飽和n-オクテニル基を表す側鎖R及びn-ペンチル基を表すRを有するPHA
[化学式27]:
【化27】
実施例1の化合物を合成するためのプロセスは、論文:Fed-batch production of unsaturated medium-chain-length polyhydroxyalkanoates with controlled composition by Pseudomonas putida KT2440,Z.Sun,J.A.Ramsay,M.Guay,B.A.Ramsay,Applied Microbiology Biotechnology,82,657-662,2009から転用されたものである。
【0360】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054(商標)である。培養方法は、2.5Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、速度μ=0.15時間-1で炭素源の混合物を含有する維持液を用いて流加培養純粋培養条件下で行われる。
【0361】
公称溶存酸素(O)値が30%飽和になるように、システムを0.5vvmの空気流に通気する。pHは15%アンモニア水溶液で調整される。発酵培地の温度は30℃に調整される。
【0362】
流加培養発酵モードのためのアセンブリ
発酵培地は、温度-溶存酸素の圧力及びpHに関して調節される(図示せず)。
【0363】
図1を参照のこと。
【0364】
製造プロセスは、3種の異なる培養培地を使用して行われる。CM1「接種(inoculum)」と定義される第1の培養培地は、前培養の調製のために使用される。第2の培養培地は、CM2「バッチ(batch)」と定義され、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内で一次炭素源を用いて微生物を非流加培養させるために使用される。第3の培養培地は、CM3「維持(maintenance)」と定義され、微生物の成長の作用として較正された流速で、目的の炭素源を用いた流加培養又は維持発酵モードのために使用される。
【0365】
【表19】
【0366】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
【0367】
【表20】
【0368】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの前培養液を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。30℃、850rpmにおいて4時間後、滅菌済み3Lケモスタットに入れたCM2「バッチ」培養培地1.9Lを前培養液100mLによってOD=0.1で接種する。
【0369】
導入終了後、遠心分離によりバイオマスを単離し、水で3回洗浄する。バイオマスを凍結乾燥によって乾燥した後、酢酸エチルで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。酢酸エチルに溶解したPHA化合物である濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0370】
PHAは、任意選択的に、例えば、酢酸エチル/エタノール70%メタノール系からの連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0371】
PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致している。
【0372】
実施例2:チオ乳酸によって100%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(チオ乳酸TLAによってグラフト化された実施例1の化合物):
[化学式28]:
【化28】
実施例1の化合物1g及びチオ乳酸150mgを、室温で攪拌しながら、酢酸エチル20mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)20mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0373】
次に、反応培地20mLを70/30v/vエタノール/水の200mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0374】
実施例2のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。
【0375】
実施例3:オクタンチオールによって100%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(n-オクタンチオールによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式30]:
【化29】
実施例1の化合物0.5g及びオクタンチオール125mgを、室温で攪拌しながら、酢酸エチル10mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)15mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0376】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の100mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0377】
実施例3のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。
【0378】
実施例4:8-メルカプト-1-オクタノールによって75%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(8-メルカプト-1-オクタノールによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式31]:
【化30】
実施例1の化合物50mg及び8-メルカプト-1-オクタノール10mgを、室温で攪拌しながら、酢酸エチル5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)2mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0379】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0380】
実施例4のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で75%又は7.5%の関数までグラフト化する。
【0381】
実施例5:システアミンによって32%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(システアミンによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式32]:
【化31】
実施例1の化合物0.5g及びシステアミン54mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン10mL及びエタノール2mLの混合物中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)10mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0382】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の100mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0383】
実施例5のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で32%(以下のスペクトルを参照のこと)又は3.2%の関数までグラフト化する。
【0384】
実施例6:シクロヘキサンチオールによって73%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(CHTによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式33]:
【化32】
実施例1の化合物100mg及びシクロヘキサンチオール26mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0385】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0386】
実施例6のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で73%又は7.3%の関数までグラフト化する。
【0387】
実施例7:2-フランメタンチオール(FT)によって66%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(FTによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式34]:
【化33】
実施例1の化合物100mg及び2-フランメタンチオール26mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0388】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0389】
実施例7のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で66%又は6.6%の関数までグラフト化する。
【0390】
実施例8:1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテートによって66%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(TGTによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式35]:
【化34】
実施例1の化合物100mg及び1-チオ-β-D-グルコーステトラアセテート26mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0391】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0392】
実施例8のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で70%又は7%の関数までグラフト化する。
【0393】
実施例9:2-フェニルエタンチオール(PT)によって50%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(PTによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式36]:
【化35】
実施例1の化合物100mg及び2-フェニルエタンチオール26mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0394】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0395】
実施例9のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で50%又は5%の関数までグラフト化する。
【0396】
実施例10:4-tert-ブチルベンジルメルカプタン(TBM)によって64%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシオクタノエート-co-ウンデセノエート)(TBMによってグラフト化された実施例1の化合物)
[化学式39]:
【化36】
実施例1の化合物100mg及び4-tert-ブチルベンジルメルカプタン26mgを、室温で攪拌しながら、ジクロロメタン5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0397】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0398】
実施例10のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。合計で64%又は6.4%の関数までグラフト化する。
【0399】
実施例11:チオ乳酸によって100%グラフト化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
[化学式40]:
【化37】
実施例1の化合物0.1g及びチオ乳酸15mgを、室温で攪拌しながら、クロロホルム5mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)5mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0400】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の50mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0401】
実施例11のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までグラフト化する。
【0402】
実施例12:オクタンチオールによって100%グラフト化された5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
[化学式41]:
【化38】
実施例1’の調製:n-ヘキシル基を表す側鎖R及びn-ヘキシル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式42]:
【化39】
実施例1のn-オクタン酸炭素源をn-ノナン酸に置き換えて、実施例1の製造プロセスを実施例1’の製造プロセスに適合させる。
【0403】
実施例1’のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致しており、不飽和度は5%であった。
【0404】
実施例1’のPHAコポリマー1g及びオクタンチオール150mgを、室温で攪拌しながら、酢酸エチル15mL中に溶解させた。この混合物に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)20mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0405】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の500mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0406】
実施例12のグラフト化PHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までグラフト化する。
【0407】
実施例13:100%エポキシ化された5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
[化学式43]:
【化40】
実施例1’のPHAコポリマー20gを無水ジクロロメタン80mLに溶解させた。77%m-CPBA1.9gの懸濁液を無水ジクロロメタン20mLを用いて調製し、そして室温で少なくとも120時間攪拌することによって、混合物に添加した。
【0408】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の500mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0409】
実施例13のPHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までエポキシ化する。
【0410】
実施例14:100%エポキシ化された10%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
実施例1’のものと同一であるが10%不飽和度を有するPHAコポリマー10gを無水ジクロロメタン40mLに溶解させた。77%m-CPBA1.9gの懸濁液を無水ジクロロメタン10mLを用いて調製し、そして室温で少なくとも120時間攪拌することによって、混合物に添加した。
【0411】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の500mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0412】
実施例14のPHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までエポキシ化する。
【0413】
実施例15:100%エポキシ化された30%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)
実施例1’のものと同一であるが30%不飽和度を有するPHAコポリマー10gを無水ジクロロメタン40mLに溶解させた。77%m-CPBA6.2gの懸濁液を無水ジクロロメタン10mLを用いて調製し、そして室温で少なくとも120時間攪拌することによって、混合物に添加した。
【0414】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の250mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0415】
実施例15のPHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までエポキシ化する。
【0416】
実施例16:4-tert-ブチルベンジルメルカプタン(TBM)によって100%グラフト化された5%不飽和を含有するポリ(3-ヒドロキシノナノエート-co-ウンデセノエート)(TBMによってグラフト化された実施例1’の化合物)
[化学式45]:
【化41】
実施例1’のPHAコポリマー2g及び4-tert-ブチルベンジルメルカプタン300mgを、室温で攪拌しながら、酢酸エチル25mL中に溶解させた。この混合物に25,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(Irgacure 651)2mgを添加した。その後、100WのUVランプ下、365nm(参照)で、攪拌しながら少なくとも10分間、媒体を照射した。
【0417】
次に、反応培地を70/30v/vエタノール/水の500mL混合液から沈殿させた。粘性の白色沈殿物が得られた。この段階を繰り返してもよい。そのようにして得られた生成物を最小量の酢酸エチル中に溶解し、テフロン(登録商標)(Teflon)プレート上に注ぎ、そして40℃の動的真空下で乾燥させて、均一な被膜を得た。
【0418】
実施例16のPHAは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特性評価され、予想される化学構造と合致している。100%までグラフト化する。
【0419】
実施例17:イソヘキセニル基を表す側鎖R及びイソブチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式46]:
【化42】
実施例3の製造プロセスは、Applied and Environmental Microbiology,Vol.60,No.9.3245-3254(1994)「Polyester Biosynthesis Characteristics of Pseudomonas citronellolis Grown on Various Carbon Sources,Including 3-Methyl-Branched Substrate」,Mun Hwan Choi及びSung Chul Yoonから転用されたものである。使用した微生物は、シュードモナス・シトロネロリス(Pseudomonas citronellolis)ATCC(登録商標)13674(商標)である。培養方法は、オービタルインキュベーター(オービタル直径2.5cm)にて30℃、110rpmで振盪された2Lの培養培地を含有する5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ(Corning(登録商標)ref.431685)を用いて、非流加純粋培養条件下で行う。
【0420】
製造プロセスは、2種の異なる培養培地を使用して行われる。CM1「接種(inoculum)」と定義される第1の培養培地は、前培養の調製のために使用される。CM2「バッチ(batch)」と定義さる第2の培養培地は、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内で目的の炭素源を用いて微生物を非流加培養させるために使用される。
【0421】
【表21】
【0422】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)BD。
【0423】
酵母エキスの組成は、質量%で、酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の100%自己消化物である。参照記号210933 DIFCO(商標)BD。
【0424】
【表22】
【0425】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの前培養液を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。滅菌済み5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコに入れたCM2「バッチ」培養培地1.9Lを接種100mLによってOD=0.1で接種する。
【0426】
30℃、110rpmで70時間後、バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。ジクロロメタンに溶解したPHAから構成される濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0427】
PHAは任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して、連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0428】
実施例3のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=イソヘキセニルである単位(A)が68モル%、R=イソブチルである単位(B)が32モル%であった。
【0429】
実施例18:イソヘキシル基を表す側鎖R及びイソブチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式48]:
【化43】
実施例18は、ThalesNano Technologies製のH-Cube Midi(登録商標)連続水素化装置を用いて、実施例17を水素化することにより得られる。
【0430】
100mLの酢酸エチル(Sigma-Aldrich-CAS:141-78-6)及び100mLのメタノール(Sigma-Aldrich-CAS:67-56-1)から構成される混合物を用いて、2g(8.83mmol)の実施例3の溶液を調製し、ThalesNano Technologies H-Cube Midi(登録商標)システム内で水素の存在下、80バールの圧力下で100℃に維持されたチャコール上5%パラジウムを含有する触媒を含有する水素化カートリッジ(MidiCard 参照記号DHS 2141;ThalesNano Technologies)中に3mL/分の流速で導入する。二重結合の減少をNMRによって監視する。6回の連続減少サイクル後、溶液を蒸発によって濃縮し、真空下で乾燥させて質量を一定にする。
【0431】
PHAは任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して、連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0432】
実施例4のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価され、予想される化学構造と合致しており、R=イソヘキシルである単位(A)が68モル%、R=イソブチルである単位(B)が32モル%であった。
【0433】
実施例19:
微生物シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054(商標)及びオクタン酸を用いてポリマーを調製した。
【0434】
培養方法は、オービタルインキュベーター(オービタル直径2.5cm)にて30℃、110rpmで振盪された2Lの培養培地を含有する5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ(Corning(登録商標)ref.431685)中、バッチ式純粋培養条件下で行った。
【0435】
合成プロセスは、2種の異なる培養培地を使用して行われた。接種菌体の調製には、CM1「接種」と定義される第1の培養培地を使用した。CM2「バッチ」と定義される第2の培養培地は、フェルンバッハ(Fernbach)フラスコ内でのオクタン酸と一緒の微生物の無流加バッチ式培養のために使用された。
【0436】
この2種の培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)を表11に記載する。
【0437】
【表23】
【0438】
(1)ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
(2)微量元素溶液の組成(1リットル当たりのグラム数)を下記表12に記載する。
【0439】
【表24】
【0440】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって6.8に調整したpHで100mLの「接種」培養培地と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの接種源を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートした。滅菌済み5Lフェルンバッハ(Fernbach)フラスコに入れたCM2「バッチ」培養培地1.9Lを接種100mLによってOD=0.1で接種した。30℃、110rpmで70時間後、バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出した。懸濁液をGF/A濾紙(Whatman(登録商標))で濾過することにより清澄化した。ジクロロメタンに溶解したコポリマーを含有する濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させた。この粗生成ポリヒドロキシアルカノエートを、10倍体積の冷メタノール溶液中、10倍質量のジクロロメタン中に溶解された後者の溶液から沈殿させることにより精製した。得られた固体を40℃の高真空下で質量が一定になるまで乾燥させた。
【0441】
得られたポリヒドロキシアルカノエートの分子量を、サイズ排除クロマトグラフィー、屈折率検出により特性評価した。
□溶離液:THF
□分析フローレート:1mL/分
□インジェクション:100μL
□カラム:Agilent PLGel Mixed-Dカラム(5μm;300×7.5mm)1本;Agilent PLGel Mixed-Cカラム(5μm;300×7.5mm)1本;Agilent Oligoporeカラム(300×7.5mm)1本
□室温(25℃)
□検出:Waters 2487デュアルl吸光度検出器(Dual l Absorbance Detector)、Waters 2414屈折
率検出器
□インテグレータ:45℃、64mVの屈折率
□エンパワー(Empower)(GC相対分子質量/従来型モジュール)
□エンパワー(Empower)インジェクション時間:40分
□標準:Agilent Technologiesからの高質量/EasiVial PS-H 4 mLポリスチレン,特許番号第PL2010-0200号明細書
【0442】
この分析により、質量平均分子量(Mw:単位:g/mol)、数平均分子量(Mn:単位:g/mol)、多分散指数Ip(Mw/Mn)、及び重合度DPnを測定することが可能である。
【0443】
得られたポリヒドロキシアルカノエートのモノマー組成を、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて確定した。
【0444】
市販の標準物質を注入することにより同定を行い、メタノリシス及びシリル化処理を行うことによりモノマー組成を決定した。
【0445】
モノマー組成を決定するために、ポリヒドロキシアルカノエートポリマー7mgをクロロホルム1.5mLに溶解し、MeOH/HCl(17/2、v/v)溶液1.5mLの存在下に100℃で4時間メタノリシスを行った。次いで有機相を水1mLで洗浄し、次いでMgSO4で乾燥させた。メチル化した試料にBSTFA(N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド)100μL及びピリジン100μLを添加することにより、生成したメチルエステルのシリル化を行った。溶液を70℃で1時間加熱した後、蒸発乾固させた。次いで試料をジクロロメタン600μLに溶解し、次に示す条件でクロマトグラフィーによる分析を行った:
□Hewlett Packard 6890シリーズ機器
□PhenomenexからのZB-5 HT固定相カラム(長さ:30m、直径:0.25mm)
□温度:恒温60℃から300℃(6分間)(昇温速度:10℃/分)
□ガス:ヘリウム;フローレート:0.8mL/分
□インジェクター:温度:250℃;50ml/分
□水素炎イオン化検出器;温度:300℃
□インジェクション:体積1μL
【0446】
こうして得られたコポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)91質量%、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)6質量%、及びポリ(3-ヒドロキシブタノエート)3質量%を含んでいた。
□Mn=68100g/mol
□Mw=149100g/mol
□Ip=2.2
□DPn=531。
【0447】
実施例2
微生物シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440 ATCC(登録商標)47054(商標)、オクタン酸、及びアクリル酸を用いてポリマーを調製した。
【0448】
培養方法は、1.1Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、希釈D=0.25時間-1において連続純粋培養条件下で行われた。この系に、30%飽和における公称溶存酸素(O)値に対して流速3vvm(vvm=発酵培地の体積当たりの1分間当たりの空気の容積)で空気を通気した。
【0449】
製造プロセスは、3種の異なる培養培地を使用して行われた。接種菌体の調製に、第1の定義された培養培地(CM1)を使用した。微生物の発酵槽での無流加バッチ培養に、第2の定義された培養培地(CM2)を使用した。オクタン酸及びアクリル酸(β-酸化経路の阻害剤)を含む連続発酵の供給又は維持に、第3の定義された培養培地(CM3)を使用した。
【0450】
CM1及びCM2培地は実施例1に記載したものと同一である。CM3培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)を表13に記載する。
【0451】
【表25】
【0452】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって7.0に調整したpHで100mLのニュートリエントブロス(Nutrient Broth)と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの接種源を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートした。
【0453】
CM2培養培地1リットルを含む30℃の発酵槽に、630nmにおける光学濃度が0.1(OD630=0.1)となるように接種した。この系を、約16時間及び/又は微生物がその増殖定常期に到達することができる時間、700±200rpmで撹拌しながら、30℃に維持し、酸素を連続供給して(in cascade with)調整した。
【0454】
微生物がその増殖定常期に達したら、発酵槽へのCM3培養培地の供給を開始し、発酵培地の初期質量を維持するために抜き取りを行った。連続培養の平衡状態に到達したら、抜き取った物質の一部を、バイオマスを発酵培地から分離するために遠心分離した。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出した。得られた懸濁液をGF/A濾紙(Whatman(登録商標))で濾過することにより清澄化した。ジクロロメタンに溶解したコポリマーを含む、得られた濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させた。この粗生成ポリヒドロキシアルカノエートを、10倍体積の冷メタノール溶液中、10倍質量のジクロロメタン中に溶解された後者の溶液から沈殿させることにより精製した。得られた固体を40℃の高真空下で質量が一定になるまで乾燥させた。
【0455】
こうして得られたコポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)96質量%、ポリ(3-ヒドロキシヘキサノエート)3質量%、及びポリ(3-ヒドロキシブタノエート)1質量%を含んでいた。
□Mn=67900g/mol
□Mw=142000g/mol
□Ip=2.1
□DPn=611。
【0456】
実施例20:
実施例2の手順に従い、(オクタン酸の代わりに)ノナン酸を使用してポリマーを調製した。
【0457】
こうして得られたコポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)86質量%、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)9質量%、及びポリ(3-ヒドロキシペンタノエート)5質量%を含んでいた。
□Mn=65900g/mol
□Mw=143600g/mol
□Ip=2.2
□DPn=531。
【0458】
実施例21:
実施例2の手順に従い、(オクタン酸の代わりに)ノナン酸を使用し、アクリル酸を使用せずにポリマーを調製した。
【0459】
こうして得られたコポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシノナノエート)68質量%、ポリ(3-ヒドロキシヘプタノエート)27質量%、及びポリ(3-ヒドロキシペンタノエート)5質量%を含んでいた。
□Mn=55800g/mol
□Mw=124500g/mol
□Ip=2.2
□DPn=469。
【0460】
実施例22:
実施例2の手順に従い、(オクタン酸の代わりに)ドデカン酸を使用してポリマーを調製した。
【0461】
こうして得られたコポリマーは、ポリ(3-ヒドロキシドデカノエート)44質量%、ポリ(3-ヒドロキシデカノエート)38質量%、及びポリ(3-ヒドロキシオクタノエート)18質量%を含んでいた。
□Mn=67400g/mol
□Mw=129800g/mol
□Ip=1.9
□DPn=484。
【0462】
実施例23:n-ペンチル基を表す側鎖R及びn-プロピル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式49]:
【化44】
実施例23の製造プロセスは、論文、Biomacromolecules 2012,13,2926-2932:「Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates with Enriched Content of the Dominant Monomer」から転用されたものである。
【0463】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC(登録商標)47054(商標)である。培養方法は、1.1Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、希釈D=0.25時間-1で連続純粋培養条件下で行われる。
【0464】
公称溶存酸素(O)値が30%飽和になるように、システムを3vvmの空気流に通気する。
【0465】
アセンブリー:
図2を参照のこと。
【0466】
製造プロセスは、3種の異なる培養培地を使用して行われる。
【0467】
接種菌体の調製に、第1の定義された培養培地(CM1)を使用する。
【0468】
微生物の発酵槽での加バッチ培養に、第2の定義された培養培地(CM2)を使用する。
【0469】
目的の炭素源及びβ-酸化経路の阻害剤を含む連続発酵の供給又は維持に、第3の定義された培養培地(CM3)を使用した。
【0470】
3種の培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)を表14に記載する:接種及び維持のための培養培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)。
【0471】
【表26】
【0472】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
【0473】
1リットル当たりの微量元素溶液の組成(単位:グラム)を下記表15に記載する:微量元素溶液1リットル当たりの組成(単位:グラム)。
【0474】
【表27】
【0475】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって7.0に調整したpHで100mLのニュートリエントブロス(Nutrient Broth)と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの接種源を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。
【0476】
CM2培養培地1リットルを含む30℃の発酵槽に、630nmにおける光学濃度が0.1(OD630=0.1)となるように接種する。この系を、約16時間及び/又は微生物がその増殖定常期に到達することができる時間、700±200rpmで撹拌しながら、30℃に維持し、酸素を連続供給して(in cascade with)調整する。
【0477】
微生物がその増殖定常期に達したら、発酵槽へのCM3培養培地の供給を開始し、発酵培地の初期質量を維持するために抜き取りを行う。連続培養の平衡状態に到達したら、抜き取った物質の一部を、バイオマスを発酵培地から分離するために遠心分離する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。ジクロロメタンに溶解したPHAから構成される濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0478】
PHAは任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して、連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0479】
実施例23のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価された。FID検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより、コポリマーは。96%の基R=n-ペンチル及び4%の基R=n-プロピルを含有することが分かる。
【0480】
実施例24:n-ヘキシル基を表す側鎖R及びn-ブチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式50]:
【化45】
実施例24の製造プロセスは、論文、Biomacromolecules,13,2926-2932(2012):「Biosynthesis and Properties of Medium-Chain-Length Polyhydroxyalkanoates with Enriched Content of the Dominant Monomer」から転用されたものである。
【0481】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC(登録商標)47054(商標)である。
【0482】
培養方法は、1.1Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、希釈D=0.25時間-1において連続純粋培養条件下で行う。
【0483】
公称溶存酸素(O)値が30%飽和になるように、システムを3vvmの空気流に通気する。アセンブリは上記実施例のものと同一である。
【0484】
3種の培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)を表16に記載する:接種及び維持のための培養培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)。
【0485】
【表28】
【0486】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
【0487】
微量元素溶液の組成(1リットル当たりのグラム数)を表15に記載する。
【0488】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって7.0に調整したpHで100mLのNutrient Brothと一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの接種源を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。
【0489】
CM2培養培地1リットルを含む30℃の発酵槽に、630nmにおける光学濃度が0.1(OD630=0.1)となるように接種する。この系を、約16時間及び/又は微生物がその増殖定常期に到達することができる時間、700±200rpmで撹拌しながら、30℃に維持し、酸素を連続供給して(in cascade with)調整する。
【0490】
微生物がその増殖定常期に達したら、発酵槽へのCM3培養培地の供給を開始し、発酵培地の初期質量を維持するために抜き取りを行う。連続培養の平衡状態に到達したら、抜き取った物質の一部を、バイオマスを発酵培地から分離するために遠心分離する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。ジクロロメタンに溶解したPHAから構成される濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。
【0491】
実施例24のPHAコポリマーは任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して、連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0492】
実施例24のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価された。FID検出器を備えたガスクロマトグラフィーにより、コポリマーは。86%の基R=n-ヘキシル及び14%の基R=n-ブチルを含有することが分かる。
【0493】
実施例25:n-ノニル基を表す側鎖R及びn-へプチル基を表すRを有するPHAのコポリマー
[化学式51]:
【化46】
実施例25の製造プロセスは、特許、CA2781699C号明細書、実施例10から転用されたものである。
【0494】
使用される微生物は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)ATCC(登録商標)47054(商標)である。
【0495】
培養方法は、1.1Lの培養培地を含有する3Lケモスタット中、希釈D=0.25時間-1で連続純粋培養条件下で行われる。
【0496】
公称溶存酸素(O)値が30%飽和になるように、システムを3vvmの空気流に通気する。アセンブリは実施例23のものと同一である。
【0497】
製造プロセスは、3種の異なる培養培地を使用して行われる。
【0498】
接種菌体の調製に、第1の定義された培養培地(CM1)を使用する。
【0499】
微生物の発酵槽での加バッチ培養に、第2の定義された培養培地(CM2)を使用する。
【0500】
目的の炭素源及びβ-酸化経路の阻害剤を含む連続発酵の供給又は維持に、第3の定義された培養培地(CM3)を使用した。
【0501】
3種の培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)を表17に記載する:接種及び維持のための培養培地1リットル当たりの組成(単位:グラム)。
【0502】
【表29】
【0503】
ニュートリエントブロス(Nutrient Broth)の組成は、質量%で、牛肉エキス37.5%及びペプトン62.5%である。参照記号233000 DIFCO(商標)。
【0504】
微量元素溶液の組成(1リットル当たりのグラム数)を表15に記載する。
【0505】
250mLフェルンバッハ(Fernbach)フラスコ中、2N NaOHによって7.0に調整したpHで100mLのニュートリエントブロス(Nutrient Broth)と一緒に1mLの株を含有するクリオチューブを懸濁し、100mLの接種源を調製し、次いで、30℃において150rpmで24時間インキュベートする。CM2培養培地1リットルを含む30℃の発酵槽に、630nmにおける光学濃度が0.1(OD630=0.1)となるように接種する。この系を、約16時間及び/又は微生物がその増殖定常期に到達することができる時間、700±200rpmで撹拌しながら、30℃に維持し、酸素を連続供給して(in cascade with)調整する。微生物がその増殖定常期に達したら、発酵槽へのCM3培養培地の供給を開始し、発酵培地の初期質量を維持するために抜き取りを行う。連続培養の平衡状態に到達したら、抜き取った物質の一部を、バイオマスを発酵培地から分離するために遠心分離する。バイオマスを凍結乾燥により乾燥させた後、ジクロロメタンで24時間抽出する。懸濁液は、GF/Aフィルター(Whatman(登録商標))によって濾過することによって清澄化する。ジクロロメタンに溶解したPHAから構成される濾液を蒸発により濃縮し、次いで一定質量になるまで40℃の高真空下で乾燥させる。PHAコポリマーは任意選択的に、例えばジクロロメタン/メタノール系を使用して、連続溶解及び沈殿によって精製されてもよい。
【0506】
実施例25のPHAコポリマーは、分光法及びスペクトロメトリー法によって十分に特徴評価された。GCクロマトグラフィーにより、このコポリマーは、55%の基R=n-ノニル、33%の基R=n-ヘプチル、11%の基材R=n-ペンチル、1.1%のR=プロピル及び%のR=メチルを含有することが分かる。
【0507】
乳化
実施例26:実施例23のPHAコポリマーを用いた直接エマルジョン
ラウレス硫酸ナトリウム;水中70%AMの水溶液としてのラウリルエーテル硫酸ナトリウム SLES(2.0又は2.2OE)アニオン性界面活性剤。
【0508】
実施例23のPHAコポリマー5gを室温で酢酸エチル(EtOAc)45g中に溶解した後、10分間、5℃のジャケット付き反応器中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpm(毎分回転数)において、1%AMの50gのSLES溶液(0.7g qs 50gの脱ミネラル水)によって分散させた。18℃から33℃への温度上昇が観察される。
【0509】
EtOAcを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。
【0510】
この混合物を水で35gにし、青味を帯びた白色分散体が得られる。
【0511】
この分散体をPSM下、0.45μmで濾過する。
【0512】
実施例27:実施例24のPHAコポリマーを用いた直接エマルジョン
実施例23の代わりに実施例24のコポリマー5gから開始して、上記の実施例と同様の方法でエマルジョンを調製した。
【0513】
実施例28:実施例25のPHAコポリマーを用いた直接エマルジョン
実施例23の代わりに実施例25のコポリマー5gから開始して、上記の実施例と同様の方法でエマルジョンを調製した。
【0514】
実施例29:実施例24のコポリマーから開始する逆エマルジョン(脂肪性相中13%)
組成:
【0515】
【表30】
【0516】
手順:
室温で攪拌しながら表8の成分を連続的に導入することにより、水性相を調製する。
【0517】
【表31】
【0518】
70℃で1時間攪拌しながら表9の成分を導入することにより、20mLバイアル中で脂肪性相を調製する。この透明な溶液を、攪拌しながら室温にする。
【0519】
【表32】
【0520】
脂肪性相4.13gを水性相5.87gで希釈し、氷水浴上、24000rpmで10分間、Ultra-Turrax blender(10mmスピンドル)を用いてエマルジョンを調製する。
【0521】
明白色で比較的流動性のある分散体は、室温(25℃)で2週間経過しても外観に変化がない。
【0522】
実施例30:実施例24のコポリマーから開始する逆エマルジョン(脂肪性相中28%)
組成:
【0523】
【表33】
【0524】
手順:同一水性相を用いるが、異なる量の脂肪性相を用いて、上記の実施例と同一である。
【0525】
【表34】
【0526】
脂肪性相4.13gを水性相5.87gで希釈し、氷水浴上、24000rpmで10分間、Ultra-Turrax blender(10mmスピンドル)を用いてエマルジョンを調製する。
【0527】
明白色で比較的流動性のある分散体は、室温(25℃)で2週間経過しても外観に変化がない。
【0528】
評価
第一段階において、コントラストカード上で膜スプレッダー(速度:50mm/秒-シリンダー:100μm)を用いて膜を作成する。その膜を室温で24時間かけて乾燥させる。乾燥後、膜の厚さは約40μmである(図1)。
【0529】
イソドデカン又はイソドデカン/エタノール混合物中に可溶性である実施例1~4のPHAコポリマーに関して、乾燥膜での化粧品特性の評価を行った。
【0530】
第一段階において、コントラストカード上で膜スプレッダー(速度:50mm/秒-シリンダー:100μm)を用いて膜を作成する。その膜を室温で24時間かけて乾燥させる。乾燥後、膜の厚さは約40μmである。
【0531】
乾燥膜上で3種の評価:耐脂性、光沢、粘性を実行する。
【0532】
耐脂性の測定
コントラストカードの黒色部分に存在する乾燥膜上に、オリーブ油又は皮脂又は水を3滴滴下した。各液滴は約10μLのオリーブ油に相当する(マイクロピペットを使用)。
【0533】
液滴を乾燥膜に接触させたまま、2つの時間:5分間及び30分間放置する。時間が経過したら、オリーブ油又は皮脂又は水の液滴を拭き取り、ポリマー膜の劣化の観察を実行する。オリーブ油又は皮脂又は水の液滴によって膜が損傷した場合、そのポリマー膜はオリーブ油又は皮脂に対して耐性がないとみなされる。
【0534】
水/油及び粘着テープに対する耐性の測定も評価できる
イソドデカン又はイソドデカン/エタノールに溶解したポリマーを顔料と一緒に3500rpmで2分間混合する。BioSkin上で評価を実行する。第1段階において、膜スプレッダーを用いて、各配合物の膜をBioSkin試料上に堆積させる。湿潤膜の厚さは100μmである。膜を室温で24時間かけて乾燥させる。膜が乾燥したら、試験が実行され得る。
【0535】
オリーブ油/皮脂に対する耐性
配合物の膜に0.5mLのオリーブ油又は皮脂を適用する。5分後、脱脂綿で15回拭き取ることによって、オリーブ油又は皮脂を除去する。そのようにして、オリーブ油又は皮脂と接触した後の膜の劣化を試験する(図3参照)。
【0536】
粘着テープに対する耐性
配合物の膜に帯状の粘着テープ(Scotch(登録商標)型)を適用する。前記帯状の粘着テープに30秒間、重さを加える。その後、粘着テープを除去し、スライドホルダー上に装着して、結果を観察する。そのようにして、支持体への膜の粘着性を評価する(図3参照)。
【0537】
実施例31:HLB>10を有するカチオン性SAによる実施例24のPHAから開始する直接エマルジョン
SA=カチオン性:塩化セトリモニウム
PHA=(14%の86%PHHxにおけるコポPHN)
【0538】
PHA 5gを室温で酢酸エチル45g中に溶解した後、10分間、5℃の氷水浴中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpmにおいて、1%AMの50gのSA溶液(0.5g qs=50gの脱ミネラル水)によって分散させる。
【0539】
酢酸エチルを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。水の蒸発を45℃の浴上、連続段階で実行する。青味を帯びた白色分散体を脱ミネラル水で35gにする。
【0540】
実施例32:HLB<10を有する非イオン性SAによる実施例24に記載のPHAから開始する直接エマルジョン
SA=非イオン性:Span 80(モノオレイン酸ソルビタン)
PHA=(14%の86%PHHxにおけるコポPHN)
【0541】
PHA 5gを室温で酢酸エチル45g中に溶解した後、10分間、5℃の氷水浴中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpmにおいて、1%AMの50gのSA溶液(0.5g qs=50gの脱ミネラル水)によって分散させる。
【0542】
酢酸エチルを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。水の蒸発を45℃の浴上、連続段階で実行する。2相の白色懸濁液を脱ミネラル水で35gにする。
SA=非イオン性:イソステアリン酸ポリグリセリル-4
PHA=(14%の86%PHHxにおけるコポPHN)
【0543】
PHA 5gを室温で酢酸エチル45g中に溶解した後、10分間、5℃の氷水浴中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpmにおいて、1%AMの50gのSA溶液(0.5g qs=50gの脱ミネラル水)によって分散させる。
【0544】
酢酸エチルを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。水の蒸発を45℃の浴上、連続段階で実行する。2相の白色懸濁液を脱ミネラル水で35gにする。
【0545】
実施例33:HLB>10を有する非イオン性SAによる実施例24に記載のPHAから開始する直接エマルジョン
SA=非イオン性:ポリソルベート40=Tween 40
PHA=(14%の86%PHHxにおけるコポPHN)
【0546】
PHA 5gを室温で酢酸エチル45g中に溶解した後、10分間、5℃の氷水浴中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpmにおいて、1%AMの50gのSA溶液(0.5g qs=50gの脱ミネラル水)によって分散させる。
【0547】
酢酸エチルを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。水の蒸発を45℃の浴上、連続段階で実行する。2相の白色懸濁液を脱ミネラル水で35gにする。
SA=非イオン性:ラウレス23
PHA=(14%の86%PHHxにおけるコポPHN)
【0548】
PHA 5gを室温で酢酸エチル45g中に溶解した後、10分間、5℃の氷水浴中、Ultra-Turrax blender(25mmスピンドル)を用いて24000rpmにおいて、1%AMの50gのSA溶液(0.5g qs=50gの脱ミネラル水)によって分散させる。
【0549】
酢酸エチルを45℃の浴上、連続段階で蒸留除去する。水の蒸発を45℃の浴上、連続段階で実行する。2相の白色懸濁液を脱ミネラル水で35gにする。
【0550】
界面活性剤の性質の作用としての直接エマルションの安定性を次の表に要約する。
【0551】
【表35】
【0552】
表22は、各種エマルションに対する評価をまとめたものである。
【0553】
【表36】
【0554】
本発明の組成物によって、水、油及び皮脂に対して有意な耐性を得ることが可能であることがわかる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】