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特表2023-527059関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法
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  • 特表-関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法 図1
  • 特表-関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法 図2
  • 特表-関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法 図3
  • 特表-関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】関節リウマチを治療するためのインターロイキン6受容体に対する抗体を含む組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230619BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230619BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230619BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230619BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230619BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230619BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61K31/519
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P43/00 121
C07K16/28 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573217
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2021054546
(87)【国際公開番号】W WO2021240369
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/030,065
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/155,125
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21315087.3
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】522461011
【氏名又は名称】オイゲン・ファイスト
(71)【出願人】
【識別番号】522461022
【氏名又は名称】ペーア-マルテ・アリーズ
(71)【出願人】
【識別番号】522461033
【氏名又は名称】ジルケ・ジン
(71)【出願人】
【識別番号】522461044
【氏名又は名称】ハーラルト・ブルクハルト
(71)【出願人】
【識別番号】522461055
【氏名又は名称】ハンス-ペーター・トーニー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハーラルト・ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】インカ・アルブレヒト
【テーマコード(参考)】
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BB18
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
本技術は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を使用して関節リウマチの症状を治療および改善する組成物および方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
JAK阻害剤(JAKi)による関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象における関節リウマチを治療する方法であって、ヒトIL-6受容体と特異的に結合し、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体を投与することを含み、前記VHは、配列番号2のアミノ酸配列内に見出される3つの相補性決定領域(CDR)を含み、前記VLは、配列番号3のアミノ酸配列内に見出される3つのCDRを含む、前記方法。
【請求項2】
前記対象に、治療有効量のメトトレキサートがさらに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抗体は、約150mg~約200mg用量で、2週間に1回、皮下投与される、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記メトトレキサートは、6mg~25mgの用量で、1週間毎に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体は、配列番号4、5、および6を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列、ならびに配列番号7、8、および9を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
抗体はサリルマブである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は、前記抗体の投与から少なくとも12週間後に、3.1未満のDAS28-ESRスコアを実現する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象は、前記抗体の投与から少なくとも12週間後に、16未満の臨床疾患活動性指標(CDAI)スコアを実現する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象は、バリシチニブ、トファシチニブ、およびウパダシチニブからなる群から選択されるJAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
JAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象における関節リウマチを治療する方法であって、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、およびレフルノミドからなる群から選択される疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、ならびにヒトIL-6受容体と特異的に結合し、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体を投与することを含み、前記VHは、配列番号1のアミノ酸配列内に見出される3つの相補性決定領域(CDR)を含み、前記VLは、配列番号2のアミノ酸配列内に見出される3つのCDRを含む、
前記方法。
【請求項11】
前記抗体は、配列番号4、5、および6を含む3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)配列、ならびに配列番号7、8、および9を含む3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)配列を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
投与される前記DMARDはメトトレキサートである、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体は、約150mg~約200mgの用量で、2週間に1回、皮下投与される、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記メトトレキサートは、6mg~25mgの用量で1週間毎に投与される、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体はサリルマブである、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象は、前記抗体およびDMARDの投与から少なくとも12週間後に、3.6未満のDAS28-ESRスコアを実現する、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象は、前記抗体およびDMARDの投与から少なくとも12週間後に、16未満の臨床疾患活動性指標(CDAI)スコアを実現する、請求項10~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象は、バリシチニブ、トファシチニブ、およびウパダシチニブからなる群から選択されるJAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年5月26日出願の米国仮特許出願シリアル番号第63/030,065号、および2021年3月1日出願の同第63/155,125号、および2021年5月25日出願の欧州仮特許出願シリアル番号第21315087.3号の優先権を主張する。これら出願のそれぞれについて、その全開示を本明細書により参照によって本明細書にそのまま組み入れる。
【0002】
本技術は、関節リウマチの治療処置の分野に関する。より具体的には、本技術は、関節リウマチを治療するための、インターロイキン-6受容体(IL-6R)アンタゴニスト、例えば抗IL-6抗体等の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
北米および欧州内の成人母集団のおよそ0.5%~1%が関節リウマチ(RA)に罹患しているものと推定される。女性のRA罹患頻度は男性の2倍であり、罹病率は40歳を超えた女性において最大である。
【0004】
RAは、遷延性の滑膜炎、ならびに複数の関節における軟骨および骨の進行性破壊により特徴づけられる。疾患の特長として、手および足の小関節を特徴的に含む対称性の多発性関節炎が挙げられる。炎症プロセスは、その他の器官、特徴的に骨髄(貧血)、眼(強膜炎、上強膜炎)、肺(間質性肺炎、胸膜炎)、心臓(心膜炎)、および皮膚(結節、白血球破砕性脈管炎)も標的とするおそれがある。全身性の炎症は、臨床検査値異常、例えば貧血、赤血球沈降速度、フィブリノゲン、およびC反応性タンパク質(CRP)の上昇等により、ならびに倦怠感、体重減少、罹患した関節エリアにおける筋萎縮といった臨床症状により特徴づけられる。ポリクロナール高力価リウマトイド因子および抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)抗体が存在すれば、免疫調節不全のエビデンスとなる。RA対象の65%~70%が、関節破壊、能力障害、および早期死亡を引き起こす進行性疾患を有することが推定されている。
【0005】
RA対象の臨床症状を改善することに付加して、RA対象の身体機能および健康に関連する生活の質における改善に対する関心が益々高まっている。実際、対象の健康状態(疾患の有無)を評価するように意図された通常の手段に付加して、医師および臨床医は、対象の身体機能および生活の質を測定する新しい手段を開発した(医師にとって、特定の治療に対する男女対象の全体的な応答を評価するのに有用なパラメーターである)。対象のどの健康状態が対象の行為を妨げているかについて、またそのような制限に対する対象の感情的応答についても質問することにより、生活の質の方が、例えば機能障害/能力障害および身体障害の連続性(handicap continuum)に優先する。生活の質は、個人が有する個人的、社会的、および経済的資源の影響、ならびにそれらが健康状態とどのように相互作用するかその方式も反映する((非特許文献1))。RA対象の身体機能評価では、上肢の微細運動、下肢の自発運動、ならびに上肢および下肢の両方と関係する活動について一般的に考慮される。これらのパラメーターは、医師、臨床医、および規制当局により、RA対象に提供される異なる治療選択肢を比較するのに今日幅広く使用されている。特定の事例では、類似した効能プロファイルを有する2つの治療法が、異なる生活の質または身体機能改善プロファイルを有し得る。
【0006】
RAと関連する症状を改善するための治療レジメンについて、それを改善する必要性が当技術分野において存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】British Journal of Rheumatology 1997年;36:884~888頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、それを必要としている対象において関節リウマチを治療する方法を提供する。方法は、対象に、有効量のサリルマブ(SAR153191)を投与することを含む。ある種の実施形態では、対象は、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤(JAKi)を投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。
【0009】
1つの態様では、本開示は、JAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象における関節リウマチを治療する方法であって、ヒトIL-6受容体と特異的に結合し、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)を含む抗体を投与することを含み、前記VHは、配列番号2のアミノ酸配列内に見出される3つの相補性決定領域(CDR)を含み、前記VLは、配列番号3のアミノ酸配列内に見出される3つのCDRを含む、前記方法を提供する。
【0010】
一実施形態では、対象に、治療有効量のメトトレキサートがさらに投与される。一実施形態では、抗体は、約150mg~約200mgの用量で、2週間に1回、皮下投与される。一実施形態では、メトトレキサートは、6mg~25mgの用量で、1週間毎に投与される。別の実施形態では、抗体は、配列番号4、5、および6を含む3つの重鎖CDR(HCDR)配列、ならびに配列番号7、8、および9を含む3つの軽鎖CDR(LCDR)配列を含む。特別な実施形態では、抗体はサリルマブである。一実施形態では、対象は、抗体の投与から少なくとも12週間後に、3.1未満のDAS28-ESRスコアを実現する。一実施形態では、対象は、抗体の投与から少なくとも12週間後に、16未満の臨床疾患活動性指標(CDAI)スコアを実現する。一部の実施形態では、対象は、バリシチニブ、トファシチニブ、およびウパダシチニブからなる群から選択されるJAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。
【0011】
別の態様では、本開示は、JAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象における関節リウマチを治療する方法であって、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、およびレフルノミドからなる群から選択される疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、ならびにヒトIL-6受容体と特異的に結合し、VHおよびVLを含む抗体を投与することを含み、前記VHは、配列番号1のアミノ酸配列内に見出される3つのCDRを含み、前記VLは、配列番号2のアミノ酸配列内に見出される3つのCDRを含む、前記方法を提供する。
【0012】
一実施形態では、抗体は、配列番号4、5、および6を含む3つのHCDR配列、ならびに配列番号7、8、および9を含む3つのLCDR配列を含む。一実施形態では、投与されるDMARDはメトトレキサートである。一実施形態では、抗体は、約150mg~約200mgの用量で、2週間に1回、皮下投与される。一実施形態では、メトトレキサートは、6mg~25mgの用量で1週間毎に投与される。特別な実施形態では、抗体はサリルマブである。一実施形態では、対象は、抗体およびDMARDの投与から少なくとも12週間後に、3.6未満のDAS28-ESRスコアを実現する。一実施形態では、対象は、抗体およびDMARDの投与から少なくとも12週間後に、16未満のCDAIスコアを実現する。一部の実施形態では、対象は、バリシチニブ、トファシチニブ、およびウパダシチニブからなる群から選択されるJAKiによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。
【0013】
その他の実施形態は、次の詳細な説明、図面、表、および添付の特許請求の範囲をレビューすることから明らかとなる。
【0014】
本発明の上記特性およびその他の特性、ならびに長所は、添付図面と共に下記の例証的な実施形態の詳細な説明からより完全に理解される。この特許のファイルは、カラーで表される少なくとも1つの図面/写真を含有する。カラーの図面(複数可)/写真(複数可)を含むこの特許のコピーは、依頼および必要な手数料の支払いがなされればオフィスより提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ベースライン時、およびJAKi治療またはコントロールの4~8週間または12週間時点での、対象におけるDAS-28ESR、CDAI、TJC、およびSJCをグラフ形式で表す図である。
図2】文書化開始時の併存症および全身症状を表す図である。
図3】本試験の概要を表す図である。
図4】サリルマブに先行する最後の治療として、JAKiによる治療を受けた患者(JAKi-IR)または治療Aによる治療を受けた患者(TA)、治療履歴内のどの時期かを問わずTNFiまたは非TNFiの投与を受けた患者(bDMARD TH)、およびbDMARDまたはtsDMARDのいずれの投与も受けなかった患者(b/tsDMARD未経験)における、CDAI(A)およびHAQ-DI(B)に基づくサリルマブの効能を表す図である。全分析母集団を示す。したがって、ベースライン(BL)値は表8のベースライン値とは異なる可能性がある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、1つまたはそれ以上のJAKiによる治療をこれまでに受けたことがある患者において関節リウマチ(RA)を治療するための医薬組成物および該組成物を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、患者は、1つまたはそれ以上のJAKiによる治療をこれまでに受けたが効果がなかった。一部の実施形態では、開示される組成物および方法は、RAの少なくとも1つの症状の改善を目的とする。開示される組成物は、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む。一部の実施形態では、開示される組成物は、関節リウマチに罹患している対象の身体機能および生活の質を改善するのに有効である。
【0017】
抗hIL-6R抗体
本開示は、hIL-6Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することを含む方法を含む。本明細書で使用される場合、用語「hIL-6R」とは、ヒトインターロイキン-6(IL-6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。ある種の実施形態では、対象に投与される抗体はhIL-6Rの細胞外ドメインに特異的に結合する。hIL-6Rの細胞外ドメインを、配列番号1のアミノ酸配列に示す。
【0018】
配列番号1のアミノ酸配列は:
MVAVGCALLAALLAAPGAALAPRRCPAQEVARGVLTSLPGDSVTLTCPGVEPEDNATVHWVLRKPAAGSHPSRWAGMGRRLLLRSVQLHDSGNYSCYRAGRPAGTVHLLVDVPPEEPQLSCFRKSPLSNVVCEWGPRSTPSLTTKAVLLVRKFQNSPAEDFQEPCQYSQESQKFSCQLAVPEGDSSFYIVSMCVASSVGSKFSKTQTFQGCGILQPDPPANITVTAVARNPRWLSVTWQDPHSWNSSFYRLRFELRYRAERSKTFTTWMVKDLQHHCVIHDAWSGLRHVVQLRAQEEFGQGEWSEWSPEAMGTPWTESRSPPAENEVSTPMQALTTNKDDDNILFRDSANATSLPVQD
である。
【0019】
別途、特に表記されない限り、用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖(すなわち「完全抗体分子」)を含む抗体分子、ならびにその抗原結合断片を包含するものと理解されなければならない。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」という用語等には、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に取得可能な、合成的であるかまたは遺伝子工学的に操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。抗体の抗原結合断片は、例えば、任意の適する標準的な技術、例えばタンパク質消化、または抗体の可変および(場合により)定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を伴う組換え遺伝子工学技術等を使用して、完全抗体分子から誘導することができる。そのようなDNAは公知であり、および/または例えば、市販の供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であるかまたは合成することができる。DNAは、例えば、1つまたはそれ以上の可変および/または定常ドメインを適切な立体配置に配置するために、またはコドンを導入し、システイン残基を創出し、アミノ酸を修飾、付加、もしくは欠失させる等のために、化学的にまたは分子生物学技術を使用することにより配列決定および操作することができる。
【0020】
各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVR、VまたはVHと略す)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVR、VまたはVLと略す)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL1)を含む。VおよびV領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分化することができる。各VおよびVは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される。一部の実施形態では、抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖細胞系配列と同一であり得るか、または天然もしくは人工的に修飾される。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並列分析に基づいて定義することができる。
【0021】
抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、単離されたCDR)。また、他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠損抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディおよび二価ナノボディ)、小モジュラー免疫医薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインは、本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0022】
抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のものであり得て、一般的に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するかまたはフレーム内にある、少なくとも1つのCDRを含む。Vドメインと会合したVドメインを有する抗原結合断片において、VおよびVドメインは、任意の適切な配置で互いに相対的に配置される。例えば、可変領域は二量体であり、V-V、V-VまたはV-V二量体を含み得る。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VまたはVドメインを含み得る。
【0023】
ある種の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。本技術の抗体の抗原結合断片内に見出される可変ドメインおよび定常ドメインの非限定的な例示的構成は、(i)V-CH1;(ii)V-CH2;(iii)V-CH3;(iv)V-CH1-CH2;(v)V-CH1-CH2-CH3;(vi)V-CH2-CH3;(vii)V-C;(viii)V-CH1;(ix)V-CH2;(x)V-CH3;(xi)V-CH1-CH2;(xii)V-CH1-CH2-CH3;(xiii)V-CH2-CH3;および(xiv)V-Cを含む。上記に列挙される例示的な構成のいずれかを含む可変および定常ドメインの任意の構成において、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されるかまたは完全もしくは部分的ヒンジもしくはリンカー領域によって連結される。ヒンジ領域は、様々な実施形態では、単一のポリペプチド分子内の隣接する可変ドメインおよび/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性連結をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個またはそれ以上)のアミノ酸からなり得る。さらに、本技術の抗体の抗原結合断片は、様々な実施形態では、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VもしくはVドメインと非共有結合している(例えば、ジスルフィド結合により)上記で列挙した可変および定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含み得る。
【0024】
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)であり得る。抗体の多重特異性抗原結合断片は少なくとも2つの異なる可変ドメインを一般的に含み、各可変ドメインは、個別の抗原または同一抗原上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を有する。任意の多重特異性抗体フォーマットが、本明細書で開示される例示的な二重特異性抗体フォーマットを含め、本技術の抗体の抗原結合断片の状況において使用するために、当技術分野において入手可能なルーチン技術を使用して適合され得る。
【0025】
抗体の定常領域は、抗体が補体を結合し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞毒性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択される。
【0026】
特別な実施形態では、本技術の方法で使用される抗体または抗体断片は、多重特異性抗体(1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であり得るかまたは2つ以上の標的ポリペプチドのエピトープに対して特異的な抗原結合ドメインを含有し得る)であり得る。本技術との関連で使用することができる例示的な二特異性抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3ドメインおよび第2のIgCH3ドメインの使用を伴い、第1および第2のIgCH3ドメインは少なくとも1つのアミノ酸によって互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸差は、アミノ酸差を欠く二特異性抗体と比較して、プロテインAに対する二特異性抗体の結合を低減させる。一実施形態では、第1のIg CH3ドメインはプロテインAに結合し、第2のIg CH3ドメインはH95R修飾(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けによるH435R)などのプロテインA結合を低減または消失させる突然変異を含む。第2のCH3は、Y96F修飾(IMGTによる;EUによるY436F)をさらに含むことができる。第2のCH3内で見出されるさらなる修飾には、IgG1抗体の場合、D16E、L18M、N44S、K52N、V57MおよびV82I(IMGTによる;EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397MおよびV422I);IgG2抗体の場合、N44S、K52NおよびV82I(IMGT;EUによるN384S、K392NおよびV422I);ならびにIgG4抗体の場合、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79QおよびV82I(IMGTによる;EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419QおよびV422I)が含まれる。上記二重特異性抗体フォーマット上での変化形態が本技術の範囲内で検討される。
【0027】
一部の実施形態では、本明細書で開示される抗体はヒト抗体である。用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むように意図されている。本技術に特徴づけられるヒト抗体は、様々な実施形態では、それにもかかわらず、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発またはインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)、例えば、CDRおよびいくつかの実施形態ではCDR3を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことを意図していない。
【0028】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作製または単離される全てのヒト抗体を含むことが意図され、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(以下にさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(以下にさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられるTaylorら、(1992年)Nucl.Acids Res.20巻:6287~6295頁を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成または単離された抗体が挙げられる。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、ある種の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列についての動物トランスジェニックが使用される場合、インビボ体細胞突然変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、関連するが、インビボではヒト抗体生殖細胞系レパートリー内には天然に存在し得ない配列である。
【0029】
ヒト抗体は、ヒンジの不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。ある実施形態では、免疫グロブリン分子は、約150~160kDaの安定な4本鎖構築物を含み、二量体は、鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持される。別の実施形態では、二量体は、鎖間ジスルフィド結合を介して連結されておらず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖および重鎖(半抗体)で構成される。これらの実施形態/形態は、アフィニティー精製後であっても、分離するのが極めて困難であった。
【0030】
種々の無傷IgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的相違に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを用いて典型的に観察されるレベルまで、第2の形態(Angalら(1993年)Molecular Immunology 30巻:105頁)の出現を有意に低減させることができる。本技術は、様々な実施形態では、ヒンジ、CH2またはCH3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含し、例えば、生成において、所望の抗体形態の収率を改善するために望ましい場合がある。
【0031】
用語「特異的に結合する」などとは、抗体またはその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定する方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本明細書で使用されるIL-6Rに特異的に結合する抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイで測定した場合、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nMのKDでIL-6Rまたはその一部と結合する抗体を含む。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以下の解離定数により特徴づけることができる。その他の実施形態では、解離定数は、少なくとも約1×10-7M、1×10-8M、または1×10-9Mである。2つの分子が特異的に結合するか判定する方法は当技術分野において周知されており、また例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等を含む。しかしながら、ヒトIL-6Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL-6R分子などの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。
【0032】
用語「表面プラズモン共鳴」とは、本明細書で使用される場合、例えば、BIAcore(登録商標)(GE Healthcare、Piscataway、NJのBiacore Life Sciences Division)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0033】
用語「KD」は、本明細書で使用される場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図する。
【0034】
用語「エピトープ」とは、パラトープとして公知である抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、1を超えるエピトープを有することができる。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合することができ、異なる生物学的効果を有することができる。エピトープは立体的または線状であり得る。立体的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並んだアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって生成されるものである。ある種の状況では、エピトープは、抗原上の糖、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含み得る。
【0035】
「中和」抗体、または「ブロッキング」抗体とは、本明細書で使用される場合、hIL-6の生物学的活性阻害を引き起こす、hIL-6Rに対して結合性を有する抗体を指すように意図されている。このhIL-6の生物学的活性阻害は、当技術分野にとって公知の、hIL-6生物学的活性の1つまたはそれ以上の指標、例えばhIL-6誘発式の細胞活性化やhIL-6Rに対するhIL-6の結合性等(下記の実施例を参照)を測定することにより評価可能である。
【0036】
本明細書で開示される抗IL-6R抗体は、対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域内に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入、および/または欠損を含み得る。そのような突然変異は、本明細書で開示されるアミノ酸配列を、例えば公開抗体配列データベースから入手可能な生殖細胞系配列と比較することにより容易に確認することができる。本技術は、本明細書で開示されるアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびその抗原結合断片を含み、その場合、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸は、対応する生殖細胞系残基(複数可)に復帰突然変異しているかまたは対応する生殖細胞系残基(複数可)の保存的アミノ酸置換(天然または非天然)に復帰突然変異している(そのような配列変化は、本明細書では「生殖細胞系復帰突然変異」と呼ばれる)。当業者は、本明細書で開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から開始して、1つまたはそれ以上の個別の生殖細胞系復帰突然変異またはその組合せを含む、非常に多くの抗体および抗原結合断片を容易に生成することができる。ある種の実施形態では、VHおよび/またはVLドメイン内のすべてのフレームワークおよび/またはCDR残基は、生殖細胞系配列に復帰するように突然変異している。その他の実施形態では、ある特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8個のアミノ酸内、もしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内に見出される突然変異した残基のみ、またはCDR1、CDR2、もしくはCDR3内に見出される突然変異した残基のみが生殖細胞系配列に復帰するように突然変異している。さらに、本技術の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に2つ以上の生殖細胞系復帰突然変異の任意の組合せを含む可能性があり、すなわちある特定の個別残基が生殖細胞系配列に復帰するように突然変異している一方、生殖細胞系配列とは異なるある特定のその他の残基が維持される。一旦得られると、1つまたはそれ以上の生殖細胞系復帰突然変異を含む抗体および抗原結合断片は、結合特異性の改善、結合親和性の増加、拮抗的または作動的な生物学的特性の改善または増強(場合により)、免疫原性の低減などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な方式で得られた抗体および抗原結合断片は本技術内に包含される。
【0037】
本技術はまた、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IL-6R抗体の使用を伴う方法を含む。例えば、本技術は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかに対して、例えば、10以下、8以下、6以下、4以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-6R抗体の使用を含む。
【0038】
本開示によれば、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、様々な実施形態において、参照によって本明細書にそのまま組み入れる米国特許第7、582、298号に記載されている抗IL-6R抗体のアミノ酸配列のいずれかを含むHCVR、LCVR、および/またはCDRを含む。
【0039】
ある種の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列を含むHCVRのHCDR、および配列番号3のアミノ酸配列を含むLCVRのLCDRを含む。ある種の実施形様によれば、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2およびHCDR3)および3つのLCDR(すなわち、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、HCDR1は配列番号4のアミノ酸配列を含み、HCDR2は配列番号5のアミノ酸配列を含み、HCDR3は配列番号6のアミノ酸配列を含み、LCDR1は配列番号7のアミノ酸配列を含み、LCDR2は配列番号8のアミノ酸配列を含み、LCDR3は配列番号9のアミノ酸配列を含む。
【0040】
さらに他の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0041】
別の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。ある種の例示的な実施形態によれば、本開示の方法は、サリルマブと呼ばれ、当該技術分野において公知である抗IL-6R抗体、またはその生物学的同等物の使用を含む。
【0042】
配列番号2のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSS
である。
【0043】
配列番号3のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIK
である。
【0044】
配列番号4のアミノ酸配列は、RFTFDDYAである。
【0045】
配列番号5のアミノ酸配列は、ISWNSGRIである。
【0046】
配列番号6のアミノ酸配列は、AKGRDSFDIである。
【0047】
配列番号7のアミノ酸配列は、QGISSWである。
【0048】
配列番号8のアミノ酸配列は、GASである。
【0049】
配列番号9のアミノ酸配列は、QQANSFPYTである。
【0050】
配列番号10のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0051】
配列番号11のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0052】
その他の特別な実施形態では、抗体はサリルマブ(SAR153191)である。
【0053】
用語「生物学的同等物」とは、本明細書で使用される場合、効能と安全性の両方に関して効果が比較分子と本質的に同じであると期待し得るように、同じモル用量および同様の条件(例えば、同じ投与経路)での投与後に類似した生物学的利用能(利用率および利用程度)を有する分子を指す。抗IL-6R抗体を含む2つの医薬組成物は、それらが薬学的に同等である場合に生物学的に同等であり、それらが、同じ投与経路のために、同じまたは同等の基準を満たすために、同じ投与形態で、同量の活性成分(例えば、IL-6R抗体)を含有することを意味する。生物学的同等性は、例えば、2つの組成物の薬物動態パラメーターを比較するインビボ試験によって決定することができる。生物学的同等性試験で一般的に用いられるパラメーターには、最高血漿中濃度(Cmax)および血漿中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)がある。
【0054】
ある種の実施形態における本技術は、配列番号2の配列を含む重鎖可変領域および配列番号1の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を対象に投与することを含む方法に関する。
【0055】
本開示は、このような抗体を含む医薬組成物、およびこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【0056】
DMARD
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)は、関節リウマチにおける疾患進行を遅延させるためのそれらの使用により定義される薬物である。
【0057】
DMARDは、合成(sDMARD)および生物学的(bDMARD)として分類されてきた。合成DMARDには、非網羅的に、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンが含まれる。生物学的DMARDには、非網羅的に、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、アバタセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、およびトシリズマブが含まれる。
【0058】
本開示の組成物および方法によれば、DMARDは、以下のように投与可能である。メトトレキサートは、1週間当たり10~25mgを経口または筋肉内投与可能である。別の実施形態では、メトトレキサートは、アジア太平洋地域出身、またはアジア太平洋地域出身者の人々の子孫である対象に対して、6~25mg/週を経口または筋肉内投与される。アジア太平洋地域には、台湾、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、およびインドが含まれる。ある種の実施形態では、メトトレキサートは、1週間当たり6~12、10~15、15~20、および20~25mgで投与される。その他の実施形態では、メトトレキサートは、1週間当たり6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または、25mgで投与される。レフルノミドは、10~20mgを毎日経口投与可能である。ある種の実施形態では、レフルノミドは、1日当たり10~12、12~15、15~17、および18~20mgで投与可能である。その他の実施形態では、レフルノミドは、1日当たり10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mgで投与される。スルファサラジンは、1000~3000mgを毎日経口投与可能である。ある種の実施形態では、スルファサラジンは、1日当たり1000~1400、1400~1800、1800~2200、2200~2600、および2600~3000mgで投与可能である。その他の実施形態では、スルファサラジンは、1日当たり1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、または3000mgで投与される。ヒドロキシクロロキンは、200~400mgを毎日経口投与可能である。ある種の実施形態では、ヒドロキシクロロキンは、1日当たり200~240、240~280、280~320、320~360、および360~400で投与可能である。その他の実施形態では、ヒドロキシクロロキンは、1日当たり200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、または400mgで投与可能である。
【0059】
治療投与および製剤
本明細書に記載される方法は、治療有効量の抗hIL-6R抗体を投与することを含む。一部の実施形態では、方法はDMARDを対象に投与することをさらに含む。本明細書で使用される場合、慣用句「治療有効量」とは、関節リウマチと関連する1つもしくはそれ以上の症状において検出可能な改善をもたらすか、または関節リウマチの状態もしくは症状(複数可)を惹起する基礎病態機構(複数可)と相関関係を有する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーのレベルの減少)を引き起こす抗hIL-6R抗体および/またはDMARDの用量を意味する。例えば、下記の症状または状態:慢性疾患貧血、発熱、鬱病、倦怠感、リウマトイド結節、脈管炎、ニューロパシー、強膜炎、心膜炎、フェルティ症候群、および/または関節破壊のいずれかにおいて改善を引き起こす抗hIL-6R抗体および/または1つもしくはそれ以上のDMARDの用量は「治療有効量」とみなされる。
【0060】
関節リウマチを治療するための抗体の効能は、臨床医およびリウマチ学者により一般的に使用される、当分野における標準法、例えばDAS-28、ならびに米国リウマチ学会(ACR)パラメーター、例えば、DAS-28 ESR、ACR20、ACR50、およびACR70パラメーターを使用して一般的に測定される。例えば、ベースラインから20(ACR20)、50(ACR50)、または70%(ACR70)の改善が、検出可能な改善を表すのに使用可能である。使用される別の指標は臨床疾患活動性指標(CDAI)である。
【0061】
関節リウマチに罹患した対象の身体機能の改善は、様々な実施形態では、臨床医およびリウマチ学者により一般的に使用される、当分野における標準法、すなわちHAQ-DIパラメーターを使用して測定される。
【0062】
関節リウマチに罹患している対象の生活の質の改善は、臨床医およびリウマチ学者により一般的に使用される、当分野における標準法、例えばSF36パラメーター、および一部の実施形態ではSF-36 PCSパラメーターを使用して一般的に測定される。
【0063】
ベースライン(本明細書において「BL」とも呼ばれる)は、本技術に基づく抗体が投与される前に、対象より取得されたスコアとして定義される。
【0064】
ベースラインからの変化は、ベースライン時における対象より取得されたスコアと、本技術に基づく抗体が投与された後の、例えば第1回の抗体投与から24週間後を含む、第1回の抗体投与から少なくとも24週間後に測定される、対象より取得されたスコアとの間に存在する差異として定義される。
【0065】
DAS28-ESR
疾患活動性スコア(DAS28)は、検出可能な改善を表すのに使用可能である。DAS28は、28関節に基づく圧痛関節数、28関節に基づく腫脹関節数、全体的な健康評価、およびC反応性タンパク質(CRP)レベルを測定することにより評価可能である炎症マーカーからなる集成スコアである。疾患応答は、欧州リウマチ学会(European League against Rheumatism;EULAR)応答基準を使用して提示することができる。これらの基準による良好な応答とは、DAS28スコアにおいて、現在のスコアが3.2以上のときに1.2を上回る改善である。中程度の応答は、DAS28スコアにおいて、現在のスコアが3.2以上のときに、0.6を上回るがしかし1.2以下の改善である。非応答は、DAS28スコアにおいて、現在のスコアが5.1を上回るときに、0.6未満の改善である。DAS28寛解とは、2.6未満のDAS28スコアである。
【0066】
DAS28は4つの変数を含む集成スコアである:
-圧痛関節数(28関節に基づく:肩(n=2)、肘(n=2)、手首(n=2)、中手指節関節(n=10)、母指の指節間(n=2)、近位指節間(n=8)、ひざ(n=2))
-腫脹関節数(28関節に基づく:肩(n=2)、肘(n=2)、手首(n=2)、中手指節関節(n=10)、母指の指節間(n=2)、近位指節間(n=8)、ひざ(n=2))
-100mm視覚的アナログ尺度(VAS)内でのACR RAコアセット質問票(対象の全体的な評価)から評価される、対象による全体的な健康評価(GH)
-mg/Lで表されるCRPまたはmm/時で表されるESRにより評価される炎症マーカー
【0067】
DAS28は、疾患活動性の絶対変化および改善割合(%)の測定を可能にする連続的計測法である。DAS28-ESRは下記の式を使用して計算可能である:
【数1】
【0068】
DAS28-ESRスコアは、RAの現在の疾患活動性を表す数字を提供する。5.1を上回るDAS28-ESRスコアは疾患活動性が高いことを意味し、一方3.2未満のDAS28-ESRスコアは疾患活動性が低いことを表し、2.6未満のDAS28-ESRスコアは疾患寛解を意味する。
【0069】
28TJCおよび28SJCを計算するとき、欠損している個々の関節スコア(「置換」関節または「癒合」関節では、腫脹または圧痛について考慮されない)はスコア化された関節の平均として補完され、補完後の圧痛/腫脹関節数は以下の通りである:
【0070】
28TJC/28SJC=(スコア化された圧痛/腫脹関節)の合計*(全関節セット内の関節の数/スコア化された圧痛/腫脹関節の数)。全関節セット内の関節の数は、(28-置換関節または癒合関節の数)として定義され、スコア化された関節とは、回答を有する関節を指す(0-疼痛無し、1-疼痛有り)。
【0071】
対象が疼痛を感じない(すなわち、ESR=0)と回答する場合、DAS-ESRスコアを計算するためには、DAS28-ESRの計算を目的として、代わりに値ESR=1を代入して欠損のないスコアを可能にする。
【0072】
コンポーネントの1つが欠損している場合、DAS28-ESRは欠損とみなされる。
【0073】
視覚的アナログスコア(VAS)
VASは、対象に関連する関節リウマチ重症度を評価する指標である。対象は関節リウマチに起因する疼痛の量を最も適切に説明する、2本線のそれぞれを通過する縦方向の目印を付ける。疼痛無し~最も激しい疼痛の範囲。
【0074】
ACR20
ACR20回答例として分類されるには、対象は、TJCおよびSJCの両方においてベースラインと比較して20%の改善、ならびに残りの5つのACRコンポーネント:医師による疾患活動性の全体的な評価、対象による疾患活動性の全体的な評価、疼痛、HAQ-DI、およびCRPのうちの少なくとも3つにおいて20%の改善を実現しなければならない。
【0075】
ACR50
ACR50は、TJCおよびSJCの両方において少なくとも50%の改善、ならびに残りの5つのACRコンポーネントのうちの少なくとも3つにおいて少なくとも50%の改善を達成する事象として定義される。
【0076】
ACR70
ACR70は、TJCおよびSJCの両方において少なくとも70%の改善、ならびに残りの5つのACRコンポーネントのうちの少なくとも3つにおいて少なくとも70%改善を達成する事象として定義される。
【0077】
RAの兆候および症状を評価する7つのACRコンポーネントを下記に定義する(A~G):
A)圧痛関節数(TJC)
合計68関節を圧痛について評価する。圧痛について検査される68関節は:側頭下顎(n=2)、胸鎖(n=2)、肩峰鎖骨(n=2)、肩(n=2)、肘(n=2)、手首(n=2)、中手指節関節(n=10)、母指の指節間(n=2)、遠位指節間(n=8)、近位指節間(n=8)、腰(n=2)、ひざ(n=2)、果間関節窩(n=2)、足根(n=2)、中足指節(n=10)、親指の指節間(n=2)、および足指の近位/遠位指節間(n=8)である。
【0078】
関節の正式な計測は、訓練を受けた評価担当者により実施される。関節の圧痛は、評価担当者の母指および人差指により惹起された関節の圧力により誘発された疼痛として定義される。評価担当者は、有痛(はい/いいえ)および腫脹(はい/いいえ)として各関節を分類する。「疼痛無し」を表す0および「疼痛有り」を表す1を用いて、0/1のスコアが各圧痛関節に付与される。圧痛関節数は0~68の範囲であり、0を最良および68を最悪とみなす。
【0079】
B)腫脹関節数(SJC)
腫脹について検査される66の関節は、圧痛について検査する関節と同じであるが、股関節を除く。関節の正式な計測は、訓練を受けた評価担当者により実施される。評価担当者は各関節を腫脹有り(はい/いいえ)として分類する。「腫脹無し」を表す0および「腫脹関節」を表す1を用いて、0/1のスコアが各腫脹関節に付与される。腫脹関節数は0~66の範囲であり、0を最良および66を最悪とみなす。
【0080】
C)医師による疾患活動性の全体的評価
対象の現在の疾患活動性に関する医師による全体的な評価は、係留された100mm横置き式VAS上で評価され、0が最良の疾患活動性(疾患活動無し)および100が最悪(最も激しい疾患活動)とみなされる。
【0081】
D)対象による疾患活動性の全体的評価
対象によるその現在の疾患活動性の全体的評価は、係留された100mm横置き式のVAS上で等級化され、0が最良の疾患活動性(疾患活動無し)および100が最悪(最も激しい疾患活動)とみなされる。
【0082】
E)対象による疼痛評価
対象は、100mm横置き式のVASを使用しながら、そのRAに起因するその疼痛強度を表すように求められ、0を「疼痛無し」および100を「想像できる最大の疼痛」とみなす。
【0083】
F)対象による身体機能評価-健康評価質問表疾患指標(HAQ-DI)
HAQ-DIは、RAで使用するために開発された標準化された質問票である。HAQ-DIは、前週をタイムフレームとして設定し、回答者の活動の「可否」に重点を置き、8カテゴリー20項目:着衣と身繕い、起立、食事、歩行、衛生、手を伸ばすこと(reach)、握力、および活動を網羅し、分類毎に少なくとも2つの質問が設けられている。HAQ-DI質問に対して4つの回答が以下のように等級化される:困難を有さない=0;若干の困難を有する=1;かなりの困難を有する=2;および不能=3。標準HAQ-DIスコアを計算するのに(補助具/機器を用いながら)、3つの工程が存在する:
1.各カテゴリーから最大のサブカテゴリースコアを使用することにより、8カテゴリースコアを合計する。例えば、食事のカテゴリーでは、3つのサブカテゴリー項目が存在する。対象が1、2、および0とそれぞれ回答した場合;カテゴリースコアは2である。
2.補助具/機器の使用、および/または適応があれば他者からの援助について調整する。
-0または1を2に増加させてカテゴリーに対するスコアを調整する。
-そのサブカテゴリーに対する対象の最高スコアが2である場合、2のままとし、また3の場合には3のままとする。
-「その他詳細明記」欄に入力されたデータはスコア調整に使用されない。
3.カテゴリースコアの合計を、回答されたカテゴリーの数(最低6カテゴリーでなければならない)で割り算して、0~3(3=最悪の機能性)のHAQ-DIスコアを得る。
【0084】
8カテゴリーのうち6未満しかスコアが存在しない場合には、HAQ-DIスコアを有効に計算することはできない。HAQ-DIのスコア化は0~3の範囲である。HAQ-DIスコアが高ければ、それはRAにおける疾病率および死亡率の強力な予測因子であることが判明している。0.22単位異なれば臨床的に意味があるとみなされる。
【0085】
G)CRPにより測定される急性期反応物質のレベル
高感度CRPが一元的に評価される。CRPレベルはインターロイキン6(IL-6)受容体活性と直接相関関係を有するので、活性用量レジメンがCRPレベルに対して劇的な低下効果を有するものと期待される。したがって、試験期間中、投与後のCRPは、治験責任医師、治験依頼者、および対象に対して盲検化されたままである。
【0086】
ACRコンポーネントを表1にさらに記載する。
【0087】
【表1】
【0088】
SF-36 V2
QualityMetric’s SF-36v2(登録商標)Health Surveyは、36の質問からなる、短文式多目的健康調査である。これにより、8ドメイン(身体機能、日常役割機能(身体)、身体の疼痛、全体的健康感、活力、社会的機能、日常役割機能(精神)、および精神的健康、ここで、各ドメインは0~100でスコア化され、より高いスコアはより良好な健康状態および健全性を表す)、ならびに身体的および精神的健康の2つの要約指標:身体的コンポーネントの要約(PCS)および精神的コンポーネントの要約(MCS)についてスコアが得られる。
【0089】
スコアリングプロセスを以下に要約する:
1.回答データ項目に入力する。
2.回答値項目をリコーディングする。
3.健康ドメインスケールの生スコアを決定する。
4.健康ドメインスケールの生スコアを0~100スコアに変換する。
5.健康ドメインスケールの0~100をノーマルベースのスコアに変換する。
6.PCSおよびMCS指標をスコア化する。
【0090】
下記の表2は、SF-36スケールの構成および要約指標を示す:
【0091】
【表2】
【0092】
省略された「内容」項目は以下の通り:
3a 激しい活動、例えばランニング、重量物の持ち上げ、または激しいスポーツへの参加等;
3b 中程度の活動、例えばテーブルの移動、電気掃除機の操作、ボウリング、またはゴルフプレイ等;
3c 食料品の持ち上げまたは運搬;
3d 階段を数段昇ること;
3e 階段を1段昇ること;
3f 屈曲、膝つき、または前屈姿勢;
3g 1マイル超の歩行;
3h 数百ヤードの歩行;
3i 100ヤードの歩行;
3j 単独での入浴または着衣;
4a 仕事またはその他の活動に費やされる時間量の短縮;
4b 思い通りの成果が得られない;
4c 仕事またはその他の活動の類において制限される;
4d 仕事またはその他の活動を実施するのに困難を有した(例えば、余分な努力を要した);
7 身体の疼痛の強度;
8 通常の仕事を妨げる疼痛の範囲;
1 自身の健康について:優良、非常に良好な、良好、概ね良好、不良;
11a 他者より若干ましではあるが、病気に罹っているように思える;
11b 知っている誰とも同程度に健康である;
11c 自分の健康は悪化するように思える;
11d 健康は優良である;
9a 気力を感じる;
9e みなぎるエネルギーを有する;
9g 疲れ果てた感がある;
9i 疲労感がある;
6 正常な社会的活動を妨げる健康問題の範囲;
10 社会的活動を妨げる健康問題の頻度;
5a 仕事またはその他の活動に費やされる時間量の短縮;
5b 思い通りの成果が得られない;
5c 行った仕事またはその他の活動は通常よりも慎重性に欠けたか;
9b 非常に神経質であった;
9c あまりに憂鬱に感じたので、自分を元気づけるものは何もない;
9d 穏やかで平和と感じる;
9f 落胆および鬱屈している感じがする;ならびに
9h 幸福である。
【0093】
コンポーネントスケールの少なくとも50%が入手可能である場合に、PCSおよびMCS要約指標スコアがコンピューター処理される。項目の少なくとも50%が対応するスケール内で入手可能である場合には、スケールスコアはコンピューター処理される。欠損している項目は、入手可能な項目の平均で補完される。
【0094】
一般的スコアリング情報
3つの工程において項目およびスケールをスコア化する:
・工程1.リコーディングを必要とする10項目について項目のリコーディングを行う。
・工程2.同一スケール内の項目(生スケールスコア)について合計することにより、スケールスコアをコンピューター処理する;および
・工程3.生スケールスコアを0~100スケールに変換する(変換後のスケール)。
【0095】
項目のリコーディング
最終的な項目値を割り振る前に、全36項目を範囲外の値についてチェックすべきである。すべての範囲外の値を欠損データとしてリコーディングすべきである。
・下記の表は回答選択のリコーディングを示す。
【0096】
欠損データを処理する方法
回答者が多項目スケール内の項目のうち、少なくとも半分(または、項目数が奇数のスケールの場合は半分+1)について回答した場合にはスケールスコアを計算する。
【0097】
推奨アルゴリズムは、回答者がスケール内の項目のうち、少なくとも50パーセントについて回答したとき、任意の欠損項目について個人固有の推定値を代用する。心理測定法的に妥当とされる推定値は、その回答者に関する、同一スケール内の記入済みの項目における平均スコアである。例えば、回答者が5項目精神的健康スケールのうちの1項目を無回答とした場合、回答者の平均スコア(入力済みの4つの精神的健康項目に関する)を当該1項目に対して代用しなければならない。回答者の平均スコアを見積もる場合、回答者の最終的な項目値を使用すること。
【0098】
生スケールスコアのコンピューター処理
欠損データの取り扱いを含め、項目のリコーディングを行った後、生スコアをスケール毎にコンピューター処理する。このスコアは、当該スケール内の全項目に対する回答の単純な代数和である。
【0099】
回答者が多項目スケール内の項目の少なくとも50%について回答した場合には、スコアを計算することができる。回答者が項目の少なくとも50%について回答しなかった場合、当該スケールに関するスコアは、欠損と設定すべきである。
【0100】
スケールスコアの変換
次の工程は、下記の式を使用して、生スコアそれぞれを0~100スケールに変換することと関係する:
変換後のスケール=[(実際の生スコア-考え得る最低の生スコア)/考え得る生スコア範囲]×100
【0101】
この変換法は、考え得る最低および最高スコアを0および100にそれぞれ変換する。
【0102】
【表3】
【0103】
36項目それぞれのスコアをCRF(症例報告書)に収集する。次に、SAS(統計分析システム)コード(例えば、QualityMetricサーベイにより提供されるもの)が、8スケール、2つの要約指標スコア、および標準化された要約スコアを計算するのに使用される。
【0104】
コンポーネントスケールの少なくとも50%が入手可能である場合には、PCSおよびMCS要約指標スコアをコンピューター処理する。項目の少なくとも50%が対応するスケール内で入手可能である場合には、スケールスコアをコンピューター処理する。欠損項目を入手可能な項目の平均で補完する。
【0105】
SF-36スコアにおけるBLからの変化(身体的コンポーネント要約スコアおよび精神的コンポーネント要約スコア、ならびに8ドメイン)を次に分析する。
【0106】
SF-36 V2スコアリング
一般的スコアリング情報
3つの工程において項目およびスケールをスコア化する(QualityMetricサーベイマニュアルによる指示に従う):
工程1.リコーディングを必要とする10項目について項目のリコーディングを行う。
工程2.同一スケール内の項目(生スケールスコア)について合計することにより、スケールスコアをコンピューター処理する;および
工程3.生スケールスコアを0~100スケールに変換する(変換後のスケール)。
工程5:Zスコアを演算する。
工程6:ドメインについて、Zスコアをノルムベースのスコアに変換する。
PCS:特別な加重式を使用してPCSスコア集合体を演算し、それをノルムベースのスコアに変換する。
MCS:特別な加重式を使用してMCSスコア集合体を演算し、それをノルムベースのスコアに変換する。
【0107】
項目のリコーディング
最終的な項目値を割り振る前に、全36項目を範囲外の値についてチェックすべきである。すべての範囲外の値を欠損データとしてリコーディングすべきである。
【0108】
欠損データを処理する方法
回答者が多項目スケール内の項目のうち、少なくとも半分(または、項目数が奇数のスケールの場合は半分+1)について回答した場合にはスケールスコアを計算する。
【0109】
推奨アルゴリズムは、回答者がスケール内の項目のうち、少なくとも50パーセントについて回答したとき、任意の欠損項目について個人固有の推定値を代用する。心理測定法的に妥当とされる推定値は、その回答者に関する、同一スケール内の記入済みの項目における平均スコアである。例えば、回答者が5項目精神的健康スケールのうちの1項目を無回答とした場合、回答者の平均スコア(入力済みの4つの精神的健康項目に関する)を当該1項目に対して代用しなければならない。回答者の平均スコアを見積もる場合、回答者の最終的な項目値を使用すること。
【0110】
生スケールスコアのコンピューター処理
欠損データの取り扱いを含め、項目をリコーディングした後、生スコアをスケール毎にコンピューター処理する。このスコアは、当該スケール内の全項目に対する回答の単純な代数和である。
【0111】
回答者が多項目スケール内の項目の少なくとも50%について回答した場合には、スコアを計算することができる。回答者が項目の少なくとも50%について回答しなかった場合、当該スケールに関するスコアは、欠損と設定すべきである。
【0112】
スケールスコアの変換
次の工程は、下記の式を使用して、生スコアそれぞれを0~100スケールに変換することと関係する:
変換後のスケール=[(実際の生スコア-考え得る最低の生スコア)/考え得る生スコア範囲]×100
この変換法は、考え得る最低および最高スコアを0および100にそれぞれ変換する。
【0113】
臨床疾患活動性指標(CDAI)
臨床疾患活動性指標(CDAI)は、関節リウマチ(RA)における疾患活動性を測定するための確立された手法である。CDAIは、5つの転帰パラメーターの合計として計算される総合指標である:
TEN28、28関節評価に基づく圧痛関節数(0~28);
SWJ28、28関節評価に基づく腫脹関節数(0~28);
「PGAVAS」、患者による視覚的アナログ尺度(VAS)上での疾患活動性の全体的な評価(0~10);および
「INVVAS」、治験責任医師による視覚的アナログ尺度(VAS)上での疾患活動性の全体的な評価(0~10)。
CDAIは次式により計算される:CDAI=TEN28+SWJ28+PGAVAS+INVVAS。
CDAIはC反応性タンパク質を含まない。したがって、迅速なスコアリングが臨床トライアルにおいて可能である。
CDAIスコアは、以下のように解釈される:
0.0~2.8-寛解;
2.9~10.0-低活動性;
10.1~22.0-中程度の活動性;
22.1~76.0-高活動性。
【0114】
本技術の方法に基づき、対象に投与される抗hIL-6R抗体の治療有効量は、対象の年齢およびサイズ(例えば、体重または体表面積)、ならびに投与経路および当業者に周知されているその他の因子に依存して変化する。ある種の実施形態では、対象に投与される抗hIL-6R抗体の用量は、約10mg~約500mgである。例えば、本技術は、1週間当たり約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、約500mg、またはそれを上回る抗hIL-6R抗体が対象に投与される方法を含む。
【0115】
一実施形態では、hIL-6R抗体は、1週間当たり100~150mgで投与される。別の実施形態では、hIL-6R抗体は、2週間毎に100~200mgで投与される。その他の実施形態では、hIL-6R抗体は、1週間当たり約100または約150mgで投与される。その他の実施形態では、hIL-6R抗体は、2週間毎に約100、150、または200mgで投与される。「2週間に1回」は、「q2w」または「2週間当たり1回」と同一の意味、すなわち抗体は、2週間の期間中に1回投与されるという意味を有する。ある種の実施形態によれば、抗体は皮下投与される。
【0116】
ある種の実施形態では、抗体は、約100mg、150mg、または約200mgで2週間に1回投与される。この文脈において、「約」とは、記載された量の5%内に収まる量を指す。例えば、「約100mg」は、95~105mgの範囲である。ある種の実施形態によれば、抗体は皮下投与される。
【0117】
対象に投与される抗hIL-6R抗体の量は、対象の体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)として表現される。例えば、本技術の方法には、対象の体重1kg当たり約0.01~約100mg、約0.1~約50mg、または約1~約10mgの日用量で、抗hIL-6R抗体を対象に投与することが含まれる。
【0118】
様々な実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-約100mg/mL~約200mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0119】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-少なくとも約130mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0120】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-約131.6mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される
【0121】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖;および
-約175mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0122】
他の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)ショ糖、および
-100mg/mL~200mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0123】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)ショ糖、および
-少なくとも130mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0124】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)のショ糖、および
-131.6mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0125】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)のショ糖;および
-175mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0126】
本技術の方法は、所定のタイムコースにおいて、複数用量の抗hIL-6R抗体を対象に投与することを含む。例えば、抗hIL-6R抗体は、1日当たり約1~5回、1週間当たり約1~5回、1ヶ月当たり約1~5回、または1年当たり約1~5回投与可能である。ある種の実施形態では、本技術の方法は、第1の時点において、第1の用量の抗hIL-6R抗体を対象に投与すること、それに後続して第2の時点において、少なくとも第2の用量の抗hIL-6R抗体を対象に投与することを含む。第1の用量と第2の用量は、ある種の実施形態では、同一量の抗hIL-6R抗体を含有し得る。例えば、第1の用量と第2の用量は、約10mg~約500mg、約20mg~約300mg、約100mg~約200mg、または約100mg~約150mgの抗体をそれぞれ含有し得る。第1の用量と第2の用量との間の時間は約数時間~数週間であり得る。例えば、第2の時点(すなわち、第2の用量が投与されるとき)は、第1の時点(すなわち、第1の用量が投与されたとき)から約1時間~約7週間後であり得る。本技術のある特定の例示的実施形態によれば、第2の時点は、第1の時点から約1時間、約4時間、約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約24時間、約2日間、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約14週間後、またはそれより後であり得る。ある種の実施形態では、第2の時点は、約1週間または約2週間である。第3回以降の用量は、対象の治療経過全体を通じて同様に投与される。
【0127】
本技術は、抗IL-6R抗体もしくはその抗原結合断片、および/または1つもしくはそれ以上のDMARDを含む治療組成物を使用する方法を提供する。本技術の治療組成物は、適する担体、賦形剤、および移送、送達、忍容性等の改善を実現するために製剤中に組み込まれるその他の薬剤と共に投与される。多数の適する製剤が、すべての製薬化学者にとって公知の処方集に見出される:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA。このような製剤として、例えば粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有小胞(例えば、リポフェクチン(商標)等)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、カーボワックス乳剤(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカーボワックスを含有する半固体の混合物が挙げられる。Powellら、“Compendium of excipients for parenteral formulations”PDA(1998年)J Pharm Sci Technol 52:238~311頁も参照。
【0128】
用量は、投与される対象の年齢および体重、標的疾患、状態、投与経路等に依存して変化し得る。様々な送達システム、例えばリポソーム内封入、微粒子、マイクロカプセル、受容体介在性エンドサイトーシスが公知であり、また本技術の医薬組成物を投与するのに使用可能である(例えば、Wuら、(1987年)J.Biol.Chem.262:4429~4432頁を参照)。導入する方法として、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路により、例えば輸液またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜ライニング(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)を通じた吸収により投与され、またその他の生物学的に活性な薬剤と共に投与される場合もある。投与は全身的または局所的であり得る。hIL-6R抗体は皮下に投与可能である。DMARDは、経口投与または筋肉内投与可能である。
【0129】
医薬組成物は、小胞、特にリポソーム内に送達することも可能である(Langer(1990)Science 249:1527~1533頁を参照)。特定の状況では、医薬組成物は、例えばポンプまたはポリマー材料を使用しながら、制御放出システム内に送達可能である。別の実施形態では、制御放出システムは、組成物の標的近傍に配置可能であり、したがって全身投与量の一部分のみを必要とする。
【0130】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、局所注射、点滴注射などのための投薬形態を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法によって調製することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、上記抗体またはその塩を、注射に慣用的に使用される無菌水性媒体または油性媒体に溶解、懸濁または乳化させることによって調製することができる。注射用水性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)など]などの適切な可溶化剤と組み合わせて用いることができる生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがある。油性媒体としては、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用することができるゴマ油、大豆油などが用いられる。このようにして調製された注射液は、適切なアンプルに充填することができる。
【0131】
抗体は、典型的には、本明細書、およびその全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2011/085158号に記載されるように製剤化される。
【0132】
有利には、上述の経口または非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合させるのに好適な単位投与量で投薬形態に調製される。単位投薬量中のこのような投薬形態は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐薬などを含む。含まれるDMARDの量は、使用される具体的なDMARDに応じて、経口単位用量では、一般的に1投与剤形当たり約5~3000mgである。含まれるhIL-6R抗体の量は、一般的に1皮下投与剤形当たり約100~200mgである。
【0133】
本明細書に開示される方法に基づき、抗hIL-6R抗体(または、該抗体を含む医薬製剤)は、任意の許容されるデバイスまたは機構を使用して対象に投与可能である。例えば、投与は、シリンジおよび針を用いて、または再使用可能なペンおよび/もしくは自動注入器送達デバイスを用いて達成することができる。本技術の方法は、抗hIL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)を投与するための多数の再使用可能なペンおよび/または自動注入器送達デバイスの使用を含む。このようなデバイスの例としては、限定されないが、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(登録商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(登録商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(登録商標)ペン、HUMALOG(登録商標)ペン、HUMALIN 70/30(登録商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(登録商標) I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(登録商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(登録商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(登録商標)、OPTIPEN PRO(登録商標)、OPTIPEN STARLET(登録商標)、およびOPTICLIK(登録商標)(sanofi-aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本技術の医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペンおよび/または自動注入器送達デバイスの例としては、限定されないが、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(登録商標)ペン(sanofi-aventis)、FLEXPEN(登録商標)(Novo Nordisk)、およびKWIKPEN(登録商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(登録商標) Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(登録商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey、L.P.)、ならびにHUMIRA(登録商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park、IL)が含まれる。
【0134】
抗hIL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)を対象に送達するためのマイクロインフューザーの使用もまた、本明細書において意図される。本明細書で使用される場合、用語「マイクロインフューザー」とは、長期間(例えば、約10、15、20、25、30分またはそれ以上)にわたって、大量(例えば、約2.5mLまたはそれ以上)の治療製剤をゆっくりと投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。例えば、米国特許第6,629,949号;米国特許第6,659,982号;およびMeehanら、J.Controlled Release、46巻:107~116頁(1996年)を参照されたい。マイクロインフューザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mLまたはそれ以上)および/または粘稠溶液内に含有される大用量の治療タンパク質の送達に特に有用である。
【0135】
一実施形態では、抗体はプレフィルドシリンジを用いて投与される。
【0136】
別の実施形態では、抗体は、安全システムを備えたプレフィルドシリンジを用いて投与される。例えば、安全システムは、偶発的な針刺し事故を防止する。様々な実施形態では、抗体は、ERIS(商標)安全システム(West Pharmaceutical Services Inc.社)を備えたプレフィルドシリンジを用いて投与される。それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,215,534号および同第9,248,242号も参照されたい。
【0137】
別の実施形態では、抗体は、オートインジェクターを用いて投与される。様々な実施形態では、抗体は、PUSHCLICK(商標)技術(SHL Group)を特徴とするオートインジェクターを用いて投与される。様々な実施形態では、自動注入器は、ある用量の組成物および/または抗体の対象への投与を可能にするシリンジを含むデバイスである。それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第9,427,531号および同第9,566,395号も参照されたい。
【0138】
併用療法
本技術は、関節リウマチを治療する方法であって、そのような治療を必要としている対象に、抗hIL-6R抗体を、少なくとも1つの追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む、前記方法を含む。本技術の方法を実践する際に抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与可能である追加の治療剤の例として、DMARD、およびヒト対象における関節リウマチを治療、防止し、または良化させることが公知の任意のその他の化合物が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。特に、本技術の方法の文脈において、抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与される追加の治療剤の非限定的な例として、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、およびレフルノミドが挙げられるが、ただしこれらに限定されない。本方法において、追加の治療剤(複数可)は、抗hIL-6R抗体と同時または連続して投与可能である。例えば、同時投与の場合、抗hIL-6R抗体および少なくとも1つの追加の治療剤の両方を含有する医薬製剤を作成することができる。本技術の方法を実践する際に抗hIL-6R抗体と組み合わせて投与される追加の治療剤の量は、当技術分野において公知および容易に入手可能なルーチン法を使用して容易に決定することができる。
【0139】
本技術の本開示は、下記のいずれかを含む医薬組成物を提供する:
100~150mgのサリルマブ(SA153191)および10~25mgのメトトレキサートを含む組成物。
100~200mgのサリルマブ(SA153191)および10~25mgのメトトレキサートを含む組成物。
100~150mgのサリルマブ(SA153191)および6~25mgのメトトレキサートを含む組成物。
100~200mgのサリルマブ(SA153191)および6~25mgのメトトレキサートを含む組成物。
100~150mgのサリルマブ(SA153191)および10~20mgのレフルノミドを含む組成物。
100~200mgのサリルマブ(SA153191)および10~20mgのレフルノミドを含む組成物。
100~150mgのサリルマブ(SA153191)および1000~3000mgのスルファサラジンを含む組成物。
100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1000~3000mgのスルファサラジンを含む組成物。
100~150mgのサリルマブ(SA153191)および200~400mgのヒドロキシクロロキンを含む組成物。
100~200mgのサリルマブ(SA153191)および200~400mgのヒドロキシクロロキンを含む組成物。
【0140】
本技術の開示は、下記のいずれかを含む、関節リウマチと関連する症状を改善する方法を提供する:
1週間当たり100~150mgのサリルマブ(SA153191)および10~25mgのメトトレキサートを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
2週間毎に100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1週間当たり10~25mgのメトトレキサートを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
1週間当たり100~150mgのサリルマブ(SA153191)および6~25mgのメトトレキサートを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
2週間毎に100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1週間当たり6~25mgのメトトレキサートを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
1週間当たり100~150mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり10~20mgのレフルノミドを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
2週間毎に100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり10~20mgのレフルノミドを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
1週間当たり100~150mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり1000~3000mgのスルファサラジンを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
2週間毎に100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり1000~3000mgのスルファサラジンを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
1週間当たり100~150mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり200~400mgのヒドロキシクロロキンを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
2週間毎に100~200mgのサリルマブ(SA153191)および1日当たり200~400mgのヒドロキシクロロキンを、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
【0141】
バイオマーカー
本開示は、そのような治療を必要とする対象に、hIL-6Rと特異的に結合する治療有効量の抗体またはその抗体結合断片、および場合により、治療有効量の1つまたはそれ以上のDMARDを投与することにより、関節リウマチを治療する方法であって、前記対象内の1つまたはそれ以上のRA関連バイオマーカーのレベルが投与後に修正される(例えば、場合に応じて増加、減少する等)、前記方法を含む。関連する態様では、本技術は、対象に、hIL-6Rと特異的に結合する治療有効量の抗体またはその抗原結合断片、および場合により、治療有効量の1つまたはそれ以上のDMARDを投与することにより、対象におけるRA関連バイオマーカーを減少させるための方法を含む。
【0142】
RA関連バイオマーカーの例として、例えば高感度C反応性タンパク質(hsCRP)、血清アミロイドA(SAA)、赤血球沈降速度(ESR)、血清ヘプシジン、インターロイキン-6(IL-6)、およびヘモグロビン(Hb)が挙げられるが、ただしこれらに限定されない。当技術分野の当業者により認識されるように、RA関連バイオマーカーの増加または減少は、抗IL-6R抗体の投与後の定義された時点で対象において測定されたバイオマーカーのレベルを、投与前に対象において測定されたバイオマーカーのレベル(すなわち、「ベースライン測定値」)と比較することにより決定可能である。バイオマーカーが測定可能である定義された時点は、例えば、抗hIL-6R抗体の投与から約4時間、8時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、35日、40日後、またはそれ以降であり得る。
【0143】
本技術のある種の実施形態によれば、抗hIL-6R抗体を対象に投与した後に、対象は、hsCRP、SAA、ESR、および/またはヘプシジンのうちの1つまたはそれ以上について、そのレベルの減少を示す可能性がある。例えば、抗hIL-6R抗体、および場合により1つまたはそれ以上のDMARDを毎週投与した後の約12週時点において、対象は、(i)約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれを上回るhsCRPの減少;(ii)約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回るSAAの減少;(iii)約15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、もしくはそれを上回るESRの減少;および/または(iv)約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、もしくはそれを上回るヘプシジンの減少のうちの1つまたはそれ以上を示し得る。
【0144】
本技術のある特定のその他の実施形態によれば、抗hIL-6R抗体、および場合により、1つまたはそれ以上のDMARDを対象に投与した後に、対象は、HbまたはIL-6のうちの1つまたはそれ以上について、そのレベルの増加を示し得る。例えば、抗hIL-6R抗体、および場合により、1つまたはそれ以上のDMARDを毎週投与した後の約12週時点において、対象は、(v)約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、もしくはそれを上回るHbの増加;および/または(vi)約100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、もしくはそれを上回るIL-6の増加のうちの1つまたはそれ以上を示し得る。
【0145】
本技術は、対象が、抗hIL-6R抗体の投与が有益である好適対象であるか判断するための方法を含む。例えば、個人が、抗hIL-6R抗体および/または1つもしくはそれ以上のDMARDの投与を受ける前に、疾患状態を示唆するRA関連バイオマーカーのレベルを呈する場合には、それゆえに個人は抗hIL-6R抗体の投与が有益である好適対象として特定される。ある特定の例示的な実施形態によれば、個人が、(i)約4mg/Lを上回る(例えば、約4.5mg/L、約5.0mg/L、約5.5mg/L、約6.0mg/L、約7.0mg/L、約10.0mg/L、約15.0mg/L、約20.0mg/L、またはそれを上回る)hsCRPのレベル;(ii)約3800ng/mLを上回る(例えば、約4000ng/mL、4500ng/mL、約5000ng/mL、約5500ng/mL、約6000ng/mL、約10,000ng/mL、約20,000ng/mL、約25,000ng/mL、約30,000ng/mL、約35,000ng/mL、約40,000ng/mL、約45,000ng/mL、またはそれを上回る)SAAのレベル;(iii)約15mm/時間を上回る(例えば、約16mm/時間、約17mm/時間、約18mm/時間、約19mm/時間、約20mm/時間、約21mm/時間、約22mm/時間、約25mm/時間、約30mm/時間、約35mm/時間、約40mm/時間、約45mm/時間、約50mm/時間、またはそれを上回る)ESR;および/または(iv)約60ng/mLを上回る(例えば、約62ng/mL、約64ng/mL、約68ng/mL、約70ng/mL、約72ng/mL、約74ng/mL、約76ng/mL、約78ng/mL、約80ng/mL、約82ng/mL、約84ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約105ng/mL、またはそれを上回る)ヘプシジンのレベルのうちの1つまたはそれ以上を呈する場合には、該個人は抗hIL-6R/DMARD療法に対する良好な候補として特定される。抗hIL-6R療法に対する好適候補として個人を特定するために、追加の基準、例えばRAのその他の臨床的インジケーター等を上記RA関連バイオマーカーのいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0146】
対象母集団
本技術によれば、「対象」とは、ヒト対象またはヒト患者を意味する。
【0147】
ある種の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、特定の対象母集団に投与される。この母集団には、関節リウマチについて、抗hIL-6R抗体以外の治療レジメンによる治療をこれまでに受けたことがある対象が含まれる。この治療レジメンには、DMARD、例えば抗TNF-α療法(TNFi)等、例えば生物学的抗TNF-α治療レジメン、および/またはJAK阻害剤(JAKi)療法が含まれる。生物学的抗TNF-αアンタゴニストには、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルが含まれる。JAK阻害剤には、バリシチニブ、トファシチニブ、およびウパダシチニブが含まれる。この治療レジメンには、抗hIL-6R抗体が存在しないその他のDMARD療法も含まれる。この療法で使用されるDMARDには、メトトレキサート、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、およびレフルノミドが含まれる。DMARDは、単独で、または抗hIL-6R抗体ではない別の療法と組み合わせて投与することができる。特別な実施形態では、これまでの治療レジメンはメトトレキサートであった。ある種の実施形態では、対象は、抗TNF-αおよびその他のDMARD療法の両方を投与された。特別な実施形態では、これまでの治療レジメンはJAKiであった。ある種の実施形態では、対象は、JAKiおよびその他のDMARD療法の両方を投与された。
【0148】
本技術によれば、「治療を受けたが効果がなかった」とみなされる対象は、様々な実施形態において、1つもしくはそれ以上のこれまでの治療レジメンに対して不耐性であることが判明した対象、および/または1つもしくはそれ以上のこれまでの治療レジメンに対して不適切な応答を示した対象、一般的に、1つもしくはそれ以上の治療レジメンがこれまでに投与されたにもかかわらず、活動性関節リウマチを呈するかまたは有するとなおもみなされる対象である。「活動性関節リウマチ」は一般的に下記のように定義される:
-代表的な定量的腫脹関節数検査および圧痛関節数検査において医師が計測したときに、66箇所の関節のうち少なくとも6箇所の腫脹関節および68箇所の関節のうち8箇所の圧痛関節、
-高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)≧8mg/L、またはESR≧28mm/H
-DAS28ESR>5.1。
【0149】
一実施形態では、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンからなる群から選択されるDMARDを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象である。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。
【0150】
別の実施形態では、抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、メトトレキサートに対して不適切な応答または不耐性を有した対象である。
【0151】
本技術によれば、抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象については、該1つまたはそれ以上のDMARDは該対象に対してもはや投与されず、抗体が、様々な実施形態において、該対象に対する単剤療法において単独で投与される。本技術によれば、「単剤療法」とは、抗体の投与を受ける対象は、抗体の投与過程において、任意のその他のDMARD(または、その他の治療レジメン)が投与されないことを意味する。
【0152】
一実施形態では、抗hIL-6R抗体、および場合により、1つまたはそれ以上のDMARDの組合せ以外の治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、抗TNF-α治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象である。
【0153】
一実施形態では、抗hIL-6R抗体、および場合により、1つまたはそれ以上のDMARDの組合せ以外の治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、JAKi治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象である。
【0154】
別の実施形態では、抗体とは異なる1つまたはそれ以上の治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、抗TNF-α治療レジメンに対して不適切な応答または不耐性を有した対象である。別の実施形態では、抗体とは異なる1つまたはそれ以上の治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、JAKi治療レジメンに対して不適切な応答または不耐性を有した対象である。
【0155】
本技術によれば、抗体とは異なる1つまたはそれ以上の治療レジメンを投与することにより、関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象に対して、該1つまたはそれ以上の治療は該対象に対してもはや投与されず、様々な実施形態では、抗体が対象に対する単剤療法において単独で投与される。
【0156】
様々な実施形態では、対象は、DMARDまたはその他の治療レジメンを用いた治療から引き起こされた1つまたはそれ以上の身体反応、状態、または症状に起因して、DMARDおよび/またはその他の治療レジメンに対して不耐性である。身体的反応、状態、または症状として、アレルギー、疼痛、悪心、下痢、高窒素血症、胃の出血、腸出血、口内炎、血小板減少、小腸の穿孔、細菌性感染症、歯肉または口腔の炎症、胃の内層または腸の内層の炎症、細菌性敗血症、胃潰瘍、腸潰瘍、皮膚の太陽光過敏症、浮動性めまい、食欲不振、エネルギー不足、および嘔吐を挙げることができる。ある種の実施形態では、不耐性は、対象を検査した際に、対象によりまたは医療専門家により決定可能である。様々な実施形態では、DMARDは、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンからなる群から選択される。ある種の実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。ある種の実施形態では、DMARDは抗TNFα治療レジメンである。ある種の実施形態では、DMARDはJAKi治療レジメンである。
【0157】
その他の実施形態では、対象はRAに起因して生活の質が低下している。ある種の実施形態では、RAに起因して生活の質が低下している対象は、欧州版生活の質-5次元3レベル(EQ-5D-3L)におけるベースラインからの変化、関節リウマチ疾患効果におけるベースラインからの変化(RAID)、関節炎に起因する失業日数、関節炎に起因する作業効率の50%以上の低下、関節炎の作業効率妨害率、関節炎に起因する家事作業不能日数、関節炎に起因して家事労働作業効率が50%以上低下した日数、関節炎に起因する家庭/社会/レジャー活動不能日数、関節炎に起因する外部支援雇用日数、RAによる家事労働作業効率妨害率、朝のこわばりVAS、個々のACRコンポーネント-TJCおよびSJC、個々のACRコンポーネント-医師による全体的なVAS、参加者による全体的なVASおよび疼痛VAS、ならびに個々のACRコンポーネント-ESRレベルから選択されるメトリックにおいて、平均よりも重症としてスコア評定される。その他の実施形態では、対象は、治療開始前の平均HAQ-DIまたはDAS-28スコアよりも重症のスコアを有する。
【0158】
ある種の実施形態では、1つまたはそれ以上の上記掲載のメトリックスにおいて平均よりも重症としてスコア評定される対象は、該メトリックについてベースライン値よりも重症であるスコアを有する。様々な実施形態では、治療を受けた後でも、ベースライン値のスコアを有するか、または1つもしくはそれ以上の上記掲載のメトリックスにおいて、ベースライン値よりも重症のスコアを有する対象では、該対象が該治療に対して不適切な応答者であることが示唆される。その他の実施形態では、治療を受けた後でも、1つまたはそれ以上の上記掲載のメトリックスにおいて、ベースライン値よりも重症のスコアを有する対象では、該対象が該治療に対して不適切な応答者であることが示唆される。
【0159】
ある種の実施形態では、上記掲載のメトリックについて、ベースライン値よりも重症であるスコアを該メトリックスについて有する対象は、ベースラインよりも少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%重症であるスコアを有する。
【0160】
療法は、任意の順序で連続してまたは同時に実施することができる。ある種の実施形態では、抗hIL-6R抗体および1つまたはそれ以上のDMARDを組み合わせて投与を受ける前の2年以内に、対象はこれらの療法を施されたことがある。その他の実施形態では、抗hIL-6R抗体および1つまたはそれ以上のDMARDを組み合わせて投与を受ける前の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10年以内に、これらの療法が施されたことがある。
【0161】
ある種の実施形態では、本明細書に記載の方法および組成物は、上記治療レジメンの1つまたはそれ以上を施されたが、そのような治療は効果をなかった特定の対象母集団に投与される。本明細書で使用される場合、1つもしくはそれ以上の用量が、関節リウマチと関連する1つもしくはそれ以上の症状において検出可能な改善をもたらさないとき、または治療が、関節リウマチの状態もしく症状(複数可)を惹起する基礎となる病態機構(複数可)と相関関係を有する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーレベルの減少)を引き起こさないとき、治療は効果がなかった。例えば、下記の症状または状態のいずれかにおいて改善を引き起こさない治療は無効とみなされる:慢性疾患貧血、発熱、鬱病、倦怠感、リウマトイド性結節、脈管炎、ニューロパシー、強膜炎、心膜炎、フェルティ症候群、および/または関節破壊。
【0162】
検出可能な改善は、米国リウマチ学会(ACR)の関節リウマチ分類基準を使用してやはり検出可能である。例えば、ベースラインからの20(ACR20)、50(ACR50)、または70%(ACR70)の改善は、検出可能な改善を示すのに使用可能である。検出可能な改善は、DAS28スコアのコンポーネントについて、そのいずれかにおける改善を測定することにより明らかにすることもできる。
【0163】
本発明は、下記の実施例(さらなる限定と解釈してはならない)によりさらに例証される。図面、ならびに本出願全体を通じて引用されたすべての参考資料、特許、および公開特許出願の内容は、目的の如何を問わず、参照によって本明細書に明示的に組み入れられる。
【0164】
さらに、本発明に基づき、当技術分野の技能範囲内の従来の分子生物学、微生物学、および組換えDNA技術を採用することができる。そのような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、Green & Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Fourth Edition(2012年)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York;DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985年);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984年);Nucleic Acid Hybridization[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];Transcription And Translation[B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984年)];Animal Cell Culture[R.I.Freshney,ed.(1986年)];Immobilized Cells And Enzymes[IRL Press,(1986)];B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984年);F.M.Ausubelら(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照。
【実施例
【0165】
下記の実施例は、当業者に、本発明で取り上げた方法および組成物をどのように作成および使用するか、その完全なる開示および説明を提供するために記載されるのであって、本発明者らがその発明とみなすものの範囲を限定するようには意図されない。使用される数字(例えば量、温度等)に関して正確性を保証するための努力が払われているが、しかし若干の実験誤差および偏差について考慮すべきである。別途明記しない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度はセ氏温度であり、および圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
【実施例1】
【0166】
この実施例は、本技術の抗体を用いた治療が、JAKiによる治療を受けたが効果がなかったRA対象の治療において有効であることを示す。
【0167】
方法:
RAの対象348例をサリルマブで治療した。RAの対象は医師の裁量で選択し、薬物ラベルに従い治療した。中間分析を12週目に実施した。
【0168】
結果:
試験内の対象265例が、最長12週間のベースライン後データを有した。
【0169】
分析した対象の平均年齢は、58.6歳(24~83)であった;患者304例のうち232例(76.3%)は女性であった。平均疾患期間は10.3歳であった。
【0170】
併存症に関するデータは、患者300例について入手可能であった:併存症は患者の80.7%(n=242)において存在し、高頻度の併存症は、高血圧症および心血管系疾患、変性関節疾患、骨粗鬆症、糖尿病、および鬱病であった。(図2を参照)。
【0171】
ベースライン時において、32.5%(n=86)が生物製剤未経験であった。b/tsDMARDによる最も一般的な事前治療には、TNF阻害剤(TNFi、56.2%、n=149)、非TNFiバイオ医薬品(29.1%、n=77)、またはJAK阻害剤(JAKi、17.4%、n=46)が含まれた。表5を参照。ベースライン時において、49%(n=149)が単剤療法としてサリルマブの投与を受け、また29%(n=88)が従来の合成DMARD(csDMARD)と併用投与された(22%について同時投与薬未特定、n=67)。患者260例について、自己抗体データが入手可能であった:47.3%(n=123)がRF/ACPAであった;29.2%(n=76)がRF/ACPAであった(表4を参照)。
【0172】
治療開始時に、89.8%(n=273)において、サリルマブを標準用量である200mg/q2w/s.c.で投与した;10.2%(n=31)を150mg/サリルマブ/q2w/s.c.で治療した。77.6%(n=236)に対してオートインジェクターを使用した一方、22.4%(n=68)についてはデバイスとしてプレフィルドシリンジを使用した。
【0173】
サリルマブで12週間治療した後、平均DAS28-ESRが、5.0±1.46から3.0±1.44に、またCDAIが26.7±13.79から13.6±11.4まで低下した。DAS28-ESR寛解/低疾患活動性を、対象の42.8%(このパラメーターに関して有効なデータを有する患者n=77/180)/59.4%(n=107/180)において実現した;対象の13.6%(n=28/206)および49%(n=101/206)が、CDAI寛解および低疾患活動性に達した。Boolean寛解が、12週目に対象の9.5%において認められた。HAQ-DIが、ベースライン時における1.3から12週目には1.1まで改善した(表4)。平均CDAI改善は、自己抗体陰性対象(12週目においてCDAI-15.4)と比較して、自己抗体陽性対象(12週目において、RFおよび/またはACPA;CDAI-12.5)について類似した(表6を参照)。JAKiからサリルマブに切替えた対象(n=32)は、別の化合物から切替えた対象よりも病状がより重症化し、疾患期間が長くなり、またより多くの治療をこれまでに受けた。JAKiからサリルマブに切替えた対象とその他のDMARDから切替えた対象において、類似した効能を観測した;DAS28、CDAI、TJC、SJCを含む疾患活動性転帰指標、および全体的な評価は、一貫して改善した(図1)。JAKi治療された対象32例のうち29例が、JAKiによる治療を受けたが効果がなかったので、JAKi治療から切替えた(JAKi効能の欠如=12およびJAKi効能の喪失=17)。JAKiで治療された対象を、バリシチニブ(n=13)またはトファシチニブ(n=19)で治療した。
【0174】
安全性は、IL-6-R阻害の予期されたプロファイルと整合し、また新たな安全性シグナルは生じなかった。有害事象および重篤な有害事象は、対象の33.9%(118/348の患者)および6.3%(22/348の患者)においてそれぞれ記載された。重篤な薬物有害反応は、3/348の患者(0.9%)において文書化された:注射部位反応(n=1)、胃炎(n=1)、および腹膜炎(n=1)。(表7を参照)。
【0175】
【表4】
【0176】
【表5】
【0177】
【表6】
【0178】
【表7】
【0179】
結論:
このデータは、JAKiによる治療を受けたが効果がなかったRA対象において、サリルマブを用いた治療によって、迅速かつ臨床的に意味のある改善が実証されたことを示している。安全性プロファイルは比較臨床試験から報告されたデータと整合した。
【0180】
JAKiからサリルマブに切替えた患者(n=32)は、別の化合物から切替えた患者よりも長い疾患期間を有した(RA診断以降の時間は、JAKiから切替えた患者について153.9ヶ月であったのに対して、その他のDMARDから切替えた患者について123.3ヶ月であった)。
【0181】
JAKiからサリルマブに切替えた最も一般的な理由は、効能の喪失(n=17、53.1%)および効能の欠如(n=12、37.5%)であった。
【0182】
類似した有効性が、その他のDMARDから切替えた患者との比較において、JAKiからサリルマブに切替えた患者において観察された。DAS28、CDAI、TJC、SJCを含む疾患活動性転帰指標、および全体的評価が一貫して改善した。
【0183】
本開示の組成物および方法は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載されるものに付加して、本技術の様々な改変が、上記説明から当業者にとって明白となるであろう。そのような改変も、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図されている。
【実施例2】
【0184】
中間分析
現在実施中の中間分析(IA)は、これまでに行われた最後のJAKi治療に対してIRであった患者(JAKi-IR)におけるサリルマブの安全性および有効性について妥当性確認するとともに、それに対する見識を深める。追加のサブグループ分析には、治療履歴(bDMARD TH)のどの時期かを問わず、TNF阻害剤(TNFi)または非TNFi bDMARDの投与を受けた患者、およびbDMARDまたは標的合成DMARD(tsDMARD)の投与を受けなかった患者(b/tsDMARD未経験)が含まれた。
【0185】
サリルマブについて少なくとも1回の投与を受け、かつベースライン文書にアクセス可能であった患者439例が含まれた(ベースライン母集団、表8)。患者388例の部分について、追加のベースライン後効能データが入手可能であった(全分析母集団-JAKi-IR:n=65;TA:n=37;bDMARD TH:n=150;b/tsDMARD未経験:n=136)。すべての分析は記述式に限定される。
【0186】
ベースライン時において、平均(±SD)臨床疾患活動性指標(CDAI)は、JAKi-IRにおいて27.1±14.2、TAにおいて19.1±15.2、bDMARD THにおいて23.0±12.7、およびb/ts DMARD未経験において25.0±13.7であった(表8)。ベースライン時における健康評価質問表-障害指標(HAQ-DI)の評価より、平均(±SD)として、JAKi-IR患者において1.2±0.7、TA患者において1.1±0.7、bDMARD TH患者において1.2±0.7、およびb/tsDMARD未経験患者において1.2±0.8が判明した(表8)。
【0187】
全分析母集団内で、JAKi-IR患者の61.5%、TA患者の29.7%、bDMARD TH患者の50.0%、およびb/tsDMARD未経験患者の52.9%が、グルココルチコイド開始サリルマブ療法の投与を受けた。
【0188】
サリルマブ治療の6ヶ月の期間中、CDAIが、JAKi-IR(27.2±14.14~14.9±11.81)およびTA(21.8±14.78~12.2±13.96)において、bDMARD THコホート(23.7±13.15~11.3±10.2)およびb/tsDMARD未経験患者(25.1±13.94~10.3±10.04)の場合と同程度に改善した(図4A)。同じ期間中、HAQ-DIは比較的安定なままであった(図4B)。
【0189】
安全性は、サリルマブの予期されたプロファイルと整合し、また新たなシグナルの出現は認められなかった。有害事象/重篤なAEが、JAKi-IR患者、TA患者、bDMARD TH患者、およびb/tsDMARD未経験患者の60.0%/15.4%、48.6%/16.2%、56.7%/9.3%、および52.9%/11.0%においてそれぞれ報告された。
【0190】
重要なこととして、サリルマブを通常介護において投与することで、JAKiに対してIRであった患者において、ならびにbDMARD事前治療患者、およびb/tsDMARD未経験患者においてRA疾患活動性の改善が実証された。科学的理論に拘泥するつもりもないが、身体機能の実質的な変化が観測されなかったという事実は、第III相トライアル1~3と比較して、PROSARAにおいてベースラインHAQ-DIスコアが低めであったこと、および比較的短い観察時間に起因した可能性がある。表8:患者特性、疾患活動性、および血清学的状態に関するベースラインデータ。ベースライン母集団を示す。したがって、ベースライン値は、図4におけるベースライン値とは異なる可能性がある。
【0191】
【表8】
【0192】
参照
1. Genovese MC, Fleischmann R, Kivitz AJ et al. Sarilumab Plus Methotrexate in Patients With Active Rheumatoid Arthritis and Inadequate Response to Methotrexate: Results of a Phase III Study. Arthritis Rheumatol. 2015 Jun;67(6):1424-37.
2. Fleischmann R, van Adelsberg J, Lin Y et al. Sarilumab and Nonbiologic Disease-Modifying Antirheumatic Drugs in Patients With Active Rheumatoid Arthritis and Inadequate Response or Intolerance to Tumor Necrosis Factor Inhibitors. Arthritis Rheumatol. 2017 Feb;69(2):277-290.
3. Burmester GR, Lin Y, Patel R et al. Efficacy and safety of sarilumab monotherapy versus adalimumab monotherapy for the treatment of patients with active rheumatoid arthritis (MONARCH): a randomised, double-blind, parallel-group phase III trial. Ann Rheum Dis. 2017 May;76(5):840-847.
4. Genovese MC, van der Heijde D, Lin Y et al. Long-term safety and efficacy of sarilumab plus methotrexate on disease activity, physical function and radiographic progression: 5 years of sarilumab plus methotrexate treatment. RMD Open. 2019 Aug 1;5(2):e000887.
5. European Medicines Agency. Kevzara (sarilumab) - summary of product characteristics, 2021. Available: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/kevzara-epar-product-information_en.pdf [Accessed 18 Feb 2021].
6. Feist E, Aries PM, Zinke S et al THU0165 PROSARA - A prospective, multicenter, non-interventional study to evaluate the safety and effectiveness of sarilumab for the treatment of active rheumatoid arthritis in regular care in Germany. Arthritis Rheumatol. 2020; 72 (suppl 10).
図1
図2
図3
図4
【配列表】
2023527059000001.app
【国際調査報告】