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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】回転式投与デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230619BHJP
【FI】
G01N1/00 101S
G01N1/00 101T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573230
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2021054810
(87)【国際公開番号】W WO2021245558
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】62/704,876
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522461424
【氏名又は名称】レコ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス, ピーター エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラッシュ, ブラッドリー アール.
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA02
2G052AA24
2G052AB07
2G052AB11
2G052AC25
2G052AD02
2G052AD22
2G052AD42
2G052BA03
2G052BA17
2G052CA04
2G052CA35
2G052CA38
2G052GA27
2G052GA28
2G052HA02
2G052HA18
2G052HA19
2G052HC09
2G052HC25
2G052HC28
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA08
(57)【要約】
分析器具における使用のための回転式投与デバイスは、一次流から二次流に一連の正確なモル量のガスを迅速に移送する。デバイスは、充填、平衡化、及び移送の3つの状態を通って循環する投与ポートを備えた回転チャンバを有する。デバイスは、ある投与量体積が、一次流からのガスで充填され、別の投与量体積が、既知の圧力及び温度で平衡化し、別の投与量体積が、その内容物を二次流に移送するように、重複する方式で、循環する。デバイスは、一連における第1の移送が一次流から適切に充填され、平衡化された投与量であるように、動作を開始する。単一の投与量体積を3つの状態を通って複数回循環させるのではなく、回転式投与器の重複動作により、3分の1の時間で複数の正確なモル量のガスを移送させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式投与デバイスであって、
バルブ本体と、
前記バルブ本体に含まれた回転円筒形チャンバであって、軸方向長さを有し、
前記回転円筒形チャンバを通って延在する第1の投与ポートと、
前記回転円筒形チャンバを通って延在する第2の投与ポートと、を含む、回転円筒形チャンバと、
一次ガス流を受容し、前記回転円筒形チャンバの前記第1及び第2のポートのうちの1つに前記一次ガス流を導入するための一次上流ポートと、
二次ガス流を受容し、前記回転円筒形チャンバの前記第1及び第2の投与ポートのうちの1つに前記二次ガス流を導入するための二次上流ポートと、
前記回転円筒形チャンバの前記第1及び第2の投与ポートのうちの1つから前記一次ガス流の残りの部分を受容するための一次下流ポートと、
前記回転円筒形チャンバの前記第1及び第2の投与ポートのうちの1つから前記二次ガス流を受容するための二次下流ポートと、
前記第1及び第2の投与ポートの各々が、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流ポート及び下流ポート、並びに前記ガスを前記二次ガス流に移送するための前記二次上流ポート及び下流ポートと順次整列するように、前記回転円筒形チャンバを回転させるためのモータと、を備える、回転式投与デバイス。
【請求項2】
前記回転円筒形チャンバを通って延在する第3の投与ポートを更に備え、前記一次上流及び下流ポート並びに前記二次上流及び下流ポートが、前記第3の投与ポートに選択的に接続する、請求項1に記載の回転式投与デバイス。
【請求項3】
平衡化ポートを更に備え、前記モータは、前記第1、第2、及び第3の投与ポートの各々が、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流ポート及び下流ポート、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポート、並びに前記ガスを前記二次ガス流に移送するための前記二次上流ポート及び下流ポートと順次整列するように、前記回転円筒形チャンバを回転させる、請求項2に記載の回転式投与デバイス。
【請求項4】
前記第2の投与ポートが、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流及び下流ポートと整列されるときに、前記第1の投与ポートが、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポートと同時に整列される、請求項3に記載の回転式投与デバイス。
【請求項5】
前記第3の投与ポートが、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流ポート及び下流ポートと整列されるときに、前記第2の投与ポートが、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポートと同時に整列され、前記第1の投与ポートが、前記ガスを前記二次ガス流の中へ移送するための前記二次上流ポート及び下流ポートと同時に整列される、請求項3及び4のいずれか一項に記載の回転式投与デバイス。
【請求項6】
前記バルブ本体の上流端に固定された上流端キャップと、
前記バルブ本体の下流端に固定された下流端キャップと、を更に備え、
前記一次上流ポート及び前記二次上流ポートが、前記上流端キャップにおいて提供され、前記一次下流ポート、前記二次下流ポート、及び前記平衡化ポートが、前記下流端キャップにおいて提供される、請求項1~5のいずれか一項に記載の回転式投与デバイス。
【請求項7】
前記上流端キャップと前記回転円筒形チャンバの上流端面との間に位置決めされた上流端シールと、
前記下流端キャップと前記回転円筒形チャンバの下流端面との間に位置決めされた下流端シールと、を更に備える、請求項6に記載の回転式投与デバイス。
【請求項8】
前記上流端シールが、前記一次上流ポートと連通する2つの開口部、及び前記二次上流ポートと連通する2つの開口部を有し、
前記下流端シールが、前記一次下流ポートと連通する2つの開口部、前記二次下流ポートと連通する2つの開口部、及び前記平衡ポートと連通する1つの開口部を有する、請求項7に記載の回転式投与デバイス。
【請求項9】
前記モータが、中間位置において、前記回転円筒形チャンバを回転させるように構成され、前記第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つが前記平衡ポートと整列され、もう1つが前記二次上流及び下流ポートと整列され、もう1つが前記一次上流及び下流ポート、前記二次上流及び下流ポート、並びに前記平衡ポートのうちのいずれにも整列されない、請求項8に記載の回転式投与デバイス。
【請求項10】
前記回転円筒形チャンバが、前記回転円筒形チャンバの反対側に上流端面及び下流端面を含み、前記第1及び第2の投与ポートが、両方とも前記上流端面から前記下流端面に延在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の回転式投与デバイス。
【請求項11】
正確な量の既知の較正物を一次流から二次流に移送して、前記二次流において検出システムを較正する方法であって、
前記既知の較正物が、前記一次上流ポートに導入され、ある投与量の前記較正物が、前記二次下流ポートを介して、前記二次流に移送される、請求項1~10のいずれか一項に記載の回転式投与デバイスを使用することを含む、方法。
【請求項12】
ある投与量の前記較正物のサイズが、多点較正を達成するために変化し得る、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
更なる処理及び分析のための二次流を含む一次ガス流から正確な量の小さな代表的なアリコートを移送する方法であって、前記一次ガス流が、分析される試料の燃焼から進化する燃焼ガスの少なくとも一部分を含み、前記方法が、
前記一次ガス流が、前記一次上流ポートに導入され、正確な量の前記アリコートが、前記二次下流ポートを介して、前記二次流に移送される、請求項1~10のいずれか一項に記載の回転式投与デバイスを使用することを含む、方法。
【請求項14】
前記投与量のアリコートのサイズが可変である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ガス試料の要素を分析するための元素分析器であって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の回転式投与デバイスと、
前記回転式投与デバイスの前記一次上流ポートで受容された前記一次ガス流内にガス試料を提供するための試料源と、
前記回転式投与デバイスの前記二次上流ポートで受容された前記二次ガス流においてキャリアガスを提供するためのキャリア源と、
前記二次下流ポートから前記二次ガス流を受容し、前記ガス試料が前記回転式投与デバイスによって導入される前記受容された二次ガス流を分析するための分析セルと、を備える、元素分析器。
【請求項16】
回転式投与デバイスであって、
バルブ本体と、
前記バルブ本体に含まれた回転円筒形チャンバであって、軸方向長さを有し、
前記回転円筒形チャンバの反対側の上流端面及び下流端面と、
前記上流端面から前記下流端面まで延在する第1の投与ポートと、
前記上流端面から前記下流端面まで延在する第2の投与ポートと、
前記上流端面から前記下流端面まで延在する第3の投与ポートと、を含む、回転円筒形チャンバと、
一次ガス流を受容し、前記回転円筒形チャンバの前記第1、第2及び第3の投与ポートのうちの1つに前記一次ガス流を導入するための一次上流ポートと、
二次ガス流を受容し、前記回転円筒形チャンバの前記第1、第2及び第3の投与ポートのうちの1つに前記一次ガス流を導入するための二次上流ポートと、
前記回転円筒形チャンバの前記第1、第2及び第3の投与ポートのうちの1つから前記一次ガス流の残りの部分を受容するための一次下流ポートと、
前記回転円筒形チャンバの前記第1、第2及び第3の投与ポートのうちの1つから前記二次ガス流を受容するための二次下流ポートと、
平衡ポートと、
前記第1、第2、及び第3の投与ポートの各々が、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流ポート及び下流ポート、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポート、並びに前記ガスを前記二次ガス流に移送するための前記二次上流ポート及び下流ポートと順次整列するように、前記回転円筒形チャンバを回転させる、モータと、を備える、回転式投与デバイス。
【請求項17】
前記第2の投与ポートが、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流及び下流ポートと整列されるときに、前記第1の投与ポートが、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポートと同時に整列される、請求項16に記載の回転式投与デバイス。
【請求項18】
前記第3の投与ポートが、前記一次ガス流で充填するための前記一次上流ポート及び下流ポートと整列されるときに、前記第2の投与ポートが、前記一次ガス流から前記ガスを平衡化するための前記平衡化ポートと同時に整列され、前記第1の投与ポートが、前記ガスを前記二次ガス流の中へ移送するための前記二次上流ポート及び下流ポートと同時に整列される、請求項16又は17記載の回転式投与デバイス。
【請求項19】
前記バルブ本体の上流端に固定された上流端キャップと、
前記バルブ本体の下流端に固定された下流端キャップと、を更に備え、
前記一次上流ポート及び前記二次上流ポートが、前記上流端キャップにおいて提供され、前記一次下流ポート、前記二次下流ポート、及び前記平衡化ポートが、前記下流端キャップにおいて提供される、請求項16~19のいずれか一項に記載の回転式投与デバイス。
【請求項20】
前記上流端キャップと前記回転円筒形チャンバの前記上流端面との間に位置決めされた上流端シールと、
前記下流端キャップと前記回転円筒形チャンバの前記下流端面との間に位置決めされた下流端シールと、を更に備える、請求項19に記載の回転式投与デバイス。
【請求項21】
前記上流端シールが、前記一次上流ポートと連通する2つの開口部、及び前記二次上流ポートと連通する2つの開口部を有し、
前記下流端シールが、前記一次下流ポートと連通する2つの開口部、前記二次下流ポートと連通する2つの開口部、及び前記平衡ポートと連通する1つの開口部を有する、請求項20に記載の回転式投与デバイス。
【請求項22】
前記モータが、中間位置において、前記回転円筒形チャンバを回転させるように構成され、前記第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つが前記平衡ポートと整列され、もう1つが前記二次上流及び下流ポートと整列され、もう1つが前記一次上流及び下流ポート、前記二次上流及び下流ポート、並びに前記平衡ポートのうちのいずれにも整列されない、請求項21に記載の回転式投与デバイス。
【請求項23】
ガス試料の要素を分析するための元素分析器であって、
請求項16~22のいずれか一項に記載の回転式投与デバイスと、
前記回転式投与デバイスの前記一次上流ポートで受容された前記一次ガス流内にガス試料を提供するための試料源と、
前記回転式投与デバイスの前記二次上流ポートで受容された前記二次ガス流においてキャリアガスを提供するためのキャリア源と、
前記二次下流ポートから前記二次ガス流を受容し、前記ガス試料が前記回転式投与デバイスによって導入される前記受容された二次ガス流を分析するための分析セルと、を備える、元素分析器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正確なモル量のガスを移送するための投与デバイス、特に、元素分析器における使用のための投与デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料における炭素、水素、及び窒素などの元素の判定は、多くの理由から望ましい。近年、食品市場は試料中のタンパク質の量を判定することに関心を有するようになり、これは、窒素含有量によって判定することができる。したがって、窒素の判定は、栄養市場に有用な情報を提供する上で重要である。炭素対水素比は、様々な他の有機材料における炭素、水素、及び窒素比と同様に、石炭及びコークス試料の特徴付けにおいて望ましい。したがって、元素分析器は、これら及び他の用途にしばらくの間使用されてきた。
【0003】
本素子分析器において、燃焼又は還元炉は、それによって生成される燃焼ガスが分析され得るように、試料材料を燃焼又は還元するために提供され得る。1つのかかる分析器システムは、本譲受人に割り当てられた米国特許第7,070,738号に記載されている。米国特許第7,497,991号、同第4,622,009号、同第6,291,802号、同第6,270,727号もまた、燃焼システムの構成要素を開示している。
【0004】
投与デバイスは、1つ以上の用途において使用されている。1つの用途において、ガス投与器は、二次流における検出システムの較正の一部として、一次流から二次流に正確な量の既知の較正物を正確に移送するために使用される。設計の中には、一点較正用の単一の投与量サイズを有するものもあれば、多点較正用の2つ以上の投与量サイズを有するものも存在する。
【0005】
別の用途では、一次ガスは、試料の燃焼から進化する燃焼ガスの少なくとも一部分、モル移送デバイスを使用して収集及び平衡化されたガスからなる。投与デバイスは、更なる処理及び分析のために、小さな代表的なアリコートを、一次ガス流から二次流に移送する。二次流における試薬は、アリコートを処理することによって消費されるため、投与量サイズは、分析のコストを最小限に抑えるために、可能な限り小さく作られる。ただし、投与量は、器具が最も要求の厳しい用途で指定された検出限界を達成するのに十分な量である必要がある。オペレータが分析ニーズに最も好適なサイズを選択できるように、1つ以上の投与量サイズが存在し得る。2つの投与量サイズを有する1つの器具において、2つの投与量体積の比率は、約3:1であり、2つの投与量は、一次流において収集された体積ガスの約1/500及び1/1500を移送する。
【0006】
反復可能な量のガスを一次流から二次流内に移送する投与デバイスが一般的である。デバイスは一定の温度環境に配置されるか、又はデバイスの温度を正確に測定する手段が提供される。バルブ手段は、典型的には、充填、平衡化、及び移送の3つの状態を通って、投与量を循環させる。平衡状態は、固定体積に含まれた一次ガスが、所望の温度及び圧力で安定することを可能にするために、重要である。投与器の体積、温度、及び圧力を知ることによって、ガスの正確なモル量が知られる。2つ以上の投与量を使用する場合、投与量サイズを選択するために、追加のバルブ手段が必要である。
【0007】
高精度投与の場合、バルブ経路は、低いデッドボリュームを有する必要があり、デバイスは、複数のバルブを同時に作動させる必要がある。双方向バルブを使用してガスの移送を実現する場合、8つのこのようなバルブのバンクが必要であり、実質的なデッドボリュームが存在する可能性が高くなる。あるいは、4つの3方向バルブは、より低いデッドボリュームで同じ動作を提供することができるが、平衡のために一次流を無効にするために追加の2方向バルブが必要である。複数の投与量サイズが存在する場合、いつでも1つの投与量のみが使用される。
【0008】
そのような設計の1つは、構成が同じステムに位置する複数の3方向バルブを本質的に有するステムバルブを使用する。ステムは、2つの位置の間で移動され、全てのバルブを同時に2つの状態(充填及び移送)の間で作動させる。2つの投与量サイズについて、別の同様のステムバルブを使用して、一方又は他方を選択する。バルブ本体は、内部ステムチャンバに延在する8つの外部ポートを有する。複数のOリングがステムに設置されており、ステムが作動したときにOリングがポートを通過する必要があるため、ポートがOリングをスライスしないように滑らかなエッジを有する必要がある。デッドボリュームを最小限に抑えるために、ステム径をできるだけ小さくし、それにより製造が困難になる。外部接続及び内部接続が複数の潜在的な漏出点を生じさせ、バルブをトラブルシュートすることが困難になる。
【発明の概要】
【0009】
開示された発明は、製造及び動作が容易であり、本質的にゼロのデッドボリュームを有し、漏出点がより少ない単純なデバイスを用いて、一次流から二次流に一連の正確なモル量のガスを迅速に移送する問題を解決する。回転式投与デバイスは、回転チャンバと、バルブ本体と、2つの端キャップと、2つの端部シールと、モータと、を備える。回転チャンバは、少なくとも2つの内部投与ポートを有し、これらは、投与量として機能する。シリンダが回転すると、投与量は、充填、平衡化(任意選択的)、及び移送の2つ又は3つの状態を通って循環する。デバイスは、ある投与量体積が、一次流からのガスで充填され、別の投与量体積が、既知の圧力及び温度で平衡化し、別の投与量体積が、その内容物を二次流に移送するように、重複する方式で、循環する。
【0010】
回転チャンバは、単一の分析中に複数回作動させて、可変であるが正確な量の一次ガスを二次流内に投与することができる。例えば、投入器は、1つの分析のために単回、及び次の分析のために3回作動させて、較正曲線上の2つの点のためのデータを生成することができる。複数の投与量はまた、オペレータがアリコート量を分析要件とより密接に一致させることを可能にする燃焼用途において、柔軟性を提供することができる。
【0011】
本発明の態様は、バルブ本体と、バルブ本体に含まれた回転円筒形チャンバと、を備える回転式投与デバイスを提供することである。回転円筒形チャンバは、軸方向の長さを有し、回転円筒形チャンバを通って延在する第1の投与ポートと、回転円筒形チャンバを通って延在する第2の投与ポートと、を含む。回転式投与デバイスは、一次ガス流を受容し、回転円筒形チャンバの第1及び第2の投与ポートのうちの1つに一次ガス流を導入するための一次上流ポートと、二次ガス流を受容し、回転円筒形チャンバの第1及び第2の投与ポートのうちの1つに二次ガス流を導入するための二次上流ポートと、回転円筒形チャンバの第1及び第2の投与ポートのうちの1つから一次ガス流の残りの部分を受容するための一次下流ポートと、回転円筒形チャンバの第1及び第2の投与ポートのうちの1つから二次ガス流を受容するための二次下流ポートと、第1及び第2の投与ポートの各々が、一次ガス流を充填するための一次上流ポート及び下流ポート、並びに二次ガス流にガスを移送するための二次上流ポート及び下流ポートに順次整列するように、回転円筒形チャンバを回転させるためのモータと、を更に備える。
【0012】
別の態様は、正確な量の既知の較正物を一次流から二次流に移送して、二次流において検出システムを較正する方法を提供することである。方法は、既知の較正物が、一次上流ポートに導入され、ある投与量の較正物が、二次下流ポートを介して、二次流に移送される、本明細書に記載の回転式投与デバイスを使用することを含む。
【0013】
別の態様は、更なる処理及び分析のための二次流を含む一次ガス流から正確な量の小さな代表的なアリコートを移送する方法であって、一次ガス流が、分析される試料の燃焼から進化する燃焼ガスの少なくとも一部分を含む、方法を提供することである。方法は、一次ガス流が、一次上流ポートに導入され、正確な量のアリコートが、二次下流ポートを介して、二次流に移送される、本明細書に記載の回転式投与デバイスを使用することを含む。
【0014】
本発明の別の態様は、バルブ本体と、バルブ本体に含まれた回転円筒形チャンバと、を備える回転式投与デバイスを提供することである。回転円筒チャンバは、軸方向の長さを有し、回転円筒チャンバの反対側の上流端面及び下流端面と、上流端面から下流端面に延在する第1の投与ポートと、上流端面から下流端面まで延在する第2の投与ポートと、上流端面から下流端面まで延在する第3の投与ポートと、を含む。回転式投与デバイスは、一次ガス流を受容し、回転円筒形チャンバの第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つに一次ガス流を導入するための一次上流ポートと、二次ガス流を受容し、回転円筒形チャンバの第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つに二次ガス流を導入するための二次上流ポートと、回転円筒形チャンバの第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つから一次ガス流の残りの部分を受容するための一次下流ポートと、回転円筒形チャンバの第1、第2、及び第3の投与ポートのうちの1つから二次ガス流を受容するための二次下流ポートと、平衡ポートと、第1、第2、及び第3の投与ポートの各々が、一次ガス流を充填するための一次上流ポート及び下流ポート、ガスを平衡化するための平衡ポート、並びに二次ガス流にガスを移送するための二次上流ポート及び下流ポートに順次整列するように、回転円筒形チャンバを回転させるためのモータと、を更に備える。
【0015】
本発明のこれら及び他の特徴、目的、及び利点は、添付の図面を参照しながら、以下の説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面では、
図1】回転式投与デバイスの等角図である。
図2図1に示される回転式投与デバイスの上流部分の拡大等角図である。
図3図1に示される回転式投与デバイスの下流部分の拡大等角図である。
図4図1に示される回転式投与デバイスにおいて使用される回転チャンバの等角図である。
図5図1に示される回転式投与デバイスにおいて使用される上流端シールの上面図である。
図6図1に示される回転式投与デバイスにおいて使用される下流端シールの上面図である。
図7A】回転チャンバの投与ポートが位置の第1の通常のセットにある、図1に示される回転式投与デバイスの概略図である。
図7B】回転チャンバの投与ポートが位置の中間セットにある、図1に示される回転式投与デバイスの概略図である。
図7C】回転チャンバの投与ポートが位置の第2の通常のセットにある、図1に示される回転式投与デバイスの概略図である。
図7D】回転チャンバの投与ポートが位置の第3の通常のセットにある、図1に示される回転式投与デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
最初に図1を参照すると、回転円筒形チャンバ20、バルブ本体30、上流端キャップ40、下流端キャップ50、上流端シール60、下流端シール70、及びモータ80を有する回転式投与デバイス10が示されている。図7Aに最もよく示されるように、5つのガス経路は、デバイス10に接続する:一次上流経路A、一次下流経路B、二次上流経路C、二次下流経路D、及び下流平衡経路E。
【0018】
図4に最もよく示されるように、回転円筒形チャンバ20は、上流端面21及び下流端面22を含む、シリンダの回転軸に垂直な平坦な端面21及び22を有する。図示される例では、3つの等体積投与ポート24、26、及び28は、チャンバ20の長さを両端面21及び22まで延在し、デバイス10の内部投与量体積として機能する。しかしながら、投与ポート24、26、及び28は、各ポートから異なるサイズの投与量を可能にするために異なる体積を有し得ることに留意されたい。図5に示すように、投与ポート24、26、及び28は、端面21及び22の中心から固定された半径R1に位置し、互いに120°離れて配置される。3つの投与ポート24、26、及び28が、開示される実施例に示されるが、2つの投与ポートのみが必要であり、追加の投与ポートが提供され得る。このような追加の投与ポートは、様々な理由により提供され得る。例えば、追加の平衡時間が所望される場合、追加の投与ポート及び追加の平衡位置が充填位置と移送位置との間に提供されてもよい。充填を待つだけの追加のポート及び位置も存在する。投与ポート24、26、及び28は、回転円筒形チャンバ20の軸に対して平行に延在するように示されているが、投与ポートは、この軸に対してある角度で延在してもよいか、又はチャンバ20の湾曲した側壁上のチャンバ20に出入りしてもよい。
【0019】
図1に戻って参照すると、バルブ本体30は、回転円筒形チャンバ20を受容するための大きな円筒形ボア、及びそれが自由に回転することを可能にしながら、チャンバ20を半径方向に収縮するためのベアリング(図示せず)を有する。上流キャップ40及び下流キャップ50は、バルブ本体30に締結され、回転円筒形チャンバ20を軸方向に保持する。
【0020】
上流端シール60は、上流端キャップ40と上流端面21との間に位置する。下流端シール70は、下流端キャップ50と下流端面22との間に位置する。図2に最もよく示されるように、シール60及び70は、好ましくは、キャップ40及び50と接触しているエラストマー材料62、72、並びにPTFEなどの低摩擦材料63、73、又はチャンバ20の回転端面21、22と接触している他の材料から構成される。エラストマー材料62、72は、低摩擦密封面を端面21及び22に押し付け続けるためのばね力を提供する。シール60及び70は、チャンバ20が回転するときに回転しないように、キャップ40及び50内に保持される。
【0021】
上流シール60及び上流端面21(図5)を見る上流キャップ40から見ると、6つの位置が、チャンバの回転軸を参照して画定される。これらの位置は、半径R1で、60°間隔で配置されている。0°位置の選択は任意である。6つの位置は時計回りに1~6と標識付けられている。図6は、上流端から見た下流シール70上の位置を示す。
【0022】
図1図2及び図7A図7Dに示されるように、上流キャップ40の外部の一次上流ポート42は、上流一次経路Aに接続し、二次上流ポート44は、上流二次経路Cに接続する。これらの2つのポート42及び44は、投与ポート24、26、及び28とのインターフェースに内部的に延在する。一次上流ポート42は、位置1を占め、二次上流ポート44は、位置5を占める。上流キャップ40の内面における上流溝状経路46及び48は、以下に更に記載されるように、バルブが起動及び正常の2つの位置で動作することを可能にする。上流キャップ40上で、第1の上流溝状経路46は、位置1と位置2との間に延在し、第2の上流溝状経路48は、位置4と位置5との間に延在する。
【0023】
図1図3、及び図7A図7Dに示されるように、下流キャップ50は、3つの下流ポート51、52、及び53を有する。一次下流ポート51は、一次下流経路Bに外部接続し、二次下流ポート52は、二次下流経路Dに接続し、平衡化下流ポート53は、平衡下流経路Eに接続する。これらの3つの下流ポート51、52、及び53は、内部に延在し、投与ポート24、26、及び28のいずれかとインターフェースする。一次下流ポート51は、位置1を占め、二次下流ポート52は、位置5を占め、平衡ポート53は、位置3を占める。下流キャップ50の内面には、2つの下流溝状経路54及び55が存在する。第1の下流溝状経路54は、位置1と位置2との間に延在し、第2の下流溝状経路55は、位置4と位置5との間に延在する。背圧を使用する平衡が望ましくない場合、平衡ポート53は排除されてもよい。
【0024】
端部シール60及び70において、キャップ40及び50におけるポート及び溝状経路と整列する経路が存在する。
【0025】
端面21及び22は、それらが回転するときに密封面に最小限の摩耗を与えるように仕上げられる。
【0026】
チャンバ20を回転させるために、モータ80のシャフト上の同様の形状の嵌合カップリングによって係合され得るように、非円形の形状を有する、下流端面22の中央に特徴82が存在する。モータ80は、下流キャップ50に締結されるステッピングモータであってよく、モータシャフト上の特徴は、下流キャップ50において開口部83を通過し、下流シール70は、チャンバ面22上の嵌合特徴82と係合して、チャンバ20を回転させる。
【0027】
通常の条件下では、内部投与ポート24、26、及び28は、図7Aに示されるように、キャップ40及び50上の位置1、3、及び5、並びに端部シール60及び70と整列する:位置1は充填中であり、位置3は平衡化中であり、位置5は移送中である。図7Aに示される例では、第1の投与ポート24は、大気排気106であり得る下流一次ガス流Bに余分なガスが流れる間、上流一次ガス流Aからのガスで第1の投与ポート24を充填するために、ポート42及び51と連通して位置1と整列される。第2の投与ポート26は、背圧排気ガス流Eによって確立され得る特定の圧力で平衡化するために、平衡ポート53と連通するための位置3において整列される。第3の投与ポート28は、上流二次ガス流Cが、第3の投与ポート28を通って下流二次ガス流D内に流れることを可能にするために、ポート44及び52と連通する位置5において整列される。次いで、以下で更に説明するように、チャンバ20は、サイクルごとに時計回りに120°回転される。
【0028】
しかしながら、第1の移送については、平衡位置3にある投与ポート(第2の移送ポート26)におけるガスが不明であるため、チャンバ20を時計回りに120°前進させることによって開始することは望ましくないため、二次ガス流Dへの移送は望ましくない。このため、起動時に、チャンバ20は、その投与ポート24、26、及び28が位置2、4、及び6と整列するように、中間位置まで反時計回りに60°回転される。端キャップ40及び50内の溝付きチャネル46、48、54、及び55、並びに端シール60及び70は、一次上流及び下流経路A及びB、並びに二次上流及び下流経路C及びDを延在させて、中間位置2及び4に到達する。図7Bに示されるように、位置3にあった第2の投与ポート26は、現在、位置2に充填されるように移動され、移送位置5にあった第3の投与ポート28は、現在も、位置4において二次ガス流の流路を提供し、位置1において充填されていた第1の投与ポート24は、現在、その入力及び出力がブロックされた状態で、位置6で待機位置に戻される。
【0029】
第2の投与ポート26を充填した後、チャンバ20は、第2の投与ポート26に含まれた第1の投与量を位置3で平衡化するために、元の開始位置(図7A)まで時計回りに60°前進する。その後、チャンバ20は、通常通り、サイクルごとに時計回りに120°前進する。例えば、図7Aの位置から図7Cに示される位置に移動して、第2の投与ポート26は、第1の投与量を上流二次流Cからのキャリアガスを使用して下流二次流Dに移送するために、平衡位置3から移送位置5に前進され、第1の投与ポート24は、充填位置1から平衡位置3に移動され、第3の投与ポート28は、移送位置5から充填位置1に移動される。次に、チャンバ20は、チャンバ20が図7Cの位置から図7Dの位置まで回転するように、再び時計回りに120°前進し、第1の投与ポート24は、上流二次ガス流Cを介して、キャリア源102からのキャリアガスを使用して、第2の投与量を下流二次ガス流Dに移送するために、平衡位置3から移送位置5に前進され、第3の投与ポート28は、充填位置1から平衡位置3に移動され、第2の投与ポート26は、移送位置5から充填位置1に移動される。次に、チャンバ20は、図7Dの位置から図7Aの初期位置までチャンバ20が回転するように、再び時計回りに120°前進し、第3の投与ポート28における第3の投与量が、二次ガス流Dに移送され得る。
【0030】
チャンバ20は、回転を続け、二次ガス流Dに投与量を送達してもよい。回転の数は、特定の分析のために所望されるモル投与量に依存する。この回転式投与デバイス10は、したがって、投与ポート24、26、及び28のうちの1つからの単一の投与量の増分である任意の特定の投与量の選択を可能にする。回転チャンバ20は、単一の分析中に複数回作動させて、可変であるが正確な量の一次ガスを二次ガス流内に投与することができる。例えば、回転式投与デバイス10は、1つの分析のために単回、及び次の分析のために3回作動させて、較正曲線上の2つの点のためのデータを生成することができる。複数の投与量はまた、オペレータがアリコート量を分析要件とより密接に一致させることを可能にする燃焼用途において、柔軟性を提供することができる。
【0031】
回転式投与デバイス10は、一次ガス流から二次ガス流に一連の正確なモル量のガスを迅速に移送することができる。回転式投与デバイス10は、製造及び動作が容易であり、本質的にゼロのデッドボリュームを有し、漏出点がより少ない単純なデバイスである。
【0032】
回転式投与デバイス10は、正確な量の既知の較正物を一次ガス流から二次ガス流に移送して、二次流において検出システムを較正する方法において使用され得る。方法は、既知の較正物が、一次上流ポート42に導入され、ある投与量の較正物が、二次下流ポート52を介して、二次流に移送される、本明細書に記載の回転式投与デバイス10を使用することを含む。ある投与量の較正物のサイズは、多点較正を達成するために変化し得る。
【0033】
回転式投与デバイス10はまた更なる処理及び分析のための二次流を含む一次ガス流から正確な量の小さな代表的なアリコートを移送する方法であって、一次ガス流が、分析される試料の燃焼から進化する燃焼ガスの少なくとも一部分を含む、方法において使用され得る。方法は、一次ガス流が、一次上流ポート42に導入され、正確な量のアリコートが、二次下流ポート52を介して、二次流に移送される、本明細書に記載の回転式投与デバイス10を使用することを含む。アリコートの投与量のサイズは可変である。
【0034】
したがって、回転式投与デバイス10は、回転式投与デバイス10の一次上流ポート42で受容された一次ガス流A内にガス試料を提供するための試料源100を含む、元素分析器における使用に適している。試料源100は、燃焼炉であり得る。好適な燃焼炉の構成要素の例は、米国特許第7,497,991号、同第4,622,009号、同第6,291,802号、及び同第6,270,727号に開示されている。要素分析器はまた、回転式投与デバイス10の二次上流ポート44で受容された二次ガス流Cにおいてキャリアガスを提供するためのキャリア源102を含んでもよい。元素分析器は、二次下流ポート52から二次ガス流Dを受容し、ガス試料が回転式投与デバイス10によって導入される受容された二次ガス流Dを分析するための少なくとも1つの分析セル104を更に含むことができる。加えて、要素分析器は、一次下流ポート51から受容された一次ガス流Bを大気中に排気するための大気排気106と、所望の圧力で平衡ポート53に接続された、投与ポートにおける投与量を所望の圧力に持ち込む、ポート53を平衡化するために結合された背圧排気108と、を含み得る。
【0035】
本明細書の教示を考慮すれば、複数の双方向又は一方向のバラストを使用して、分析器の性能を向上させることができることが、当業者に明らかとなるであろう。また、これら及び他の修正が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく行われ得ることも、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
【国際調査報告】