(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】アルデヒドスカベンジャーを含む液体製剤
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20230619BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573241
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2021063706
(87)【国際公開番号】W WO2021239634
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020000012334
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522461527
【氏名又は名称】ファーライン・ソチエタ・アノニマ
【氏名又は名称原語表記】FERLINE SA
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】バンフィ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】マレッリ,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】プリーチ,ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ソットコルノラ,シルヴィア
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DF01
4J034DF12
4J034DG04
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4J034QB15
4J034QB19
4J034QC01
4J034QC02
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、ポリオール、高分子可塑剤、ならびにアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドのごとき揮発性アルデヒドのスカベンジャーを含む液体製剤に関し、スカベンジャーは、特許請求の範囲に記載の化合物の群から選択される。さらに、本発明は、本発明による液体製剤の調製方法、および遊離アルデヒドの含有量の低下により特徴付けされるポリウレタン組成物の調製方法に関し、当該方法は、本発明による液体製剤をポリウレタン組成物の試薬に添加するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン組成物中の遊離アルデヒドレベルを低下させるための液体製剤であって、
ポリオール、高分子可塑剤、ならびにアントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアルデヒドスカベンジャーを含む、前記液体製剤。
【請求項2】
前記ポリオールがポリプロピレングリコールである、請求項1に記載の液体製剤。
【請求項3】
前記ポリオールが、前記製剤の総重量の10重量%~70重量%、好ましくは30重量%~50重量%、さらにより好ましくは37重量%の量にある、請求項1または2に記載の液体製剤。
【請求項4】
前記高分子可塑剤が、前記製剤の総重量の10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~35重量%、さらにより好ましくは24重量%の量にある、請求項1~3のいずれか1記載の液体製剤。
【請求項5】
前記アルデヒドスカベンジャーが、前記製剤の総重量の1重量%~70重量%、好ましくは15重量%~60重量%、より好ましくは25重量%~45重量%、さらにより好ましくは40重量%の量にある、請求項1~4のいずれか1記載の液体製剤。
【請求項6】
前記ポリオールと高分子可塑剤との間の重量比が、80:20~50:50、好ましくは60:40である、請求項1~5のいずれか1記載の液体製剤。
【請求項7】
前記高分子可塑剤がアジピン酸のエステルである、請求項1~6のいずれか1記載の液体製剤。
【請求項8】
前記アルデヒドスカベンジャーが、アントラニルアミド、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシルおよびアミノグアニジン一塩酸塩から選択される、請求項1~7のいずれか1記載の液体製剤。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1記載の液体製剤の調製方法であって、
i)均質な液体分散物が得られるまで、ポリオール、高分子可塑剤、ならびにアントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアルデヒドスカベンジャーを混合するステップ;
ii)ステップi)の均質な液体分散物を、ASTM D1210-05規格に従いグラインドメーターで測定した50μm未満、好ましくは30μm未満の均質な液体分散物中に分散した固体粒子の平均サイズが得られるまで粉砕するステップ
を含む、前記方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1記載の液体製剤をポリウレタン組成物の試薬に添加するステップを含む、ポリウレタン組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドのごとき揮発性アルデヒドのスカベンジャーを含む液体製剤(または、液剤:liquid formulation)に関する。かかる製剤は、ポリウレタン組成物を製造するのに特に有用であるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの合成中に、アルデヒド、特に、アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドの形成ならびに放出に導きかねないいくつかの副反応が起こる。これらのアルデヒドは、車の車室内の臭気によって検出可能な十分な量で生成され、その車室には、通常、例えば、シートをモデルにした軟質フォームまたはステアリングホイールおよび他のアクセサリーコンポーネントのための半硬質/硬質フォームの形態でポリウレタン製のコンポーネントが存在している。
【0003】
揮発性アルデヒドの存在は、毒性現象に関連付けることができる。国際がん研究機関(The International Agency for Research on Cancer;IARC)は、可能な用量/応答関係を示す実験的研究においてホルムアルデヒドの発がん効果を実際に報告しており;さらに、ホルムアルデヒドの存在は、副鼻腔がんとポジティブに関連付けられている。したがって、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドは、IARCによってグループI(発がん性)の化合物として分類されている。したがって、できるだけ低い曝露レベルが推奨される。
【0004】
さらに、これらのアルデヒドの存在は、特に、アルデヒド脱水素酵素2酵素が欠損しているアジア人集団において、不耐性問題をさらに引き起こしかねない。特に、アセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドのごときアルデヒドの存在は、2つの代謝経路を介して、これらの集団における喘息の病因に役割を有し得る。第一に、いくらかのアジア人集団におけるアルデヒド脱水素酵素2活性の前記の遺伝的欠損による血中アセトアルデヒドのレベルの増加は、アルコールを経口摂取した後にマスト細胞を刺激してヒスタミンを放出させ、これが気管支収縮を引き起こす。さらに、吸入されたアセトアルデヒドは、内分泌かく乱物質(EDC)として作用し、アレルギー性の炎症プロセスを増加しかねない(Respiration 2012;84:135-141)。実際、アセトアルデヒドは揮発性有機化合物(VOC)であり、「内分泌かく乱物質」のカテゴリーに属することが知られ、これは、内分泌装置の正常なホルモン機能を変化させ、その子孫または個体群もしくは亜個体群生物の健康に有害効果を生じる物質である(ヒトの健康と野生生物に対する内分泌かく乱物質の影響に関する欧州ワークショップ、1996年12月2日~4日、ウェイブリッジ)。
【0005】
ポリウレタン系とは完全に異なる系において、アミンおよびその誘導体を用いて、例えば、ポリエステル、特に、PETにおけるアセトアルデヒドを軽減することが知られているが(例えば、国際公開第2010/094947号または国際公開第2007/072067号を参照)、皮革のなめしにおいて意図的に用いられるホルムアルデヒドは、例えば、フェノール誘導体で軽減(abate)される。木材産業においては、アンモニア、酸素化硫黄化合物および有機アミンのごときスカベンジャーでの処理により、最終製品からのホルムアルデヒド放出を低下させる処理が知られている(「ホルムアルデヒド放出に対する製造後ボード処理の効果:文献レビュー(1960~1984)」、George E. Myers、FOREST PRODUCTS JOURNAL、Vol.36、No.6)。
【0006】
現在、例えば、自動車メーカーにより使用される原材料の慎重な選択以外に、一般的なポリウレタンフォーム中の遊離アルデヒド量を制限するための工業的解決策は存在しない。実際、ポリウレタンフォームの製造に使用されるポリオールおよびイソシアネートの双方が、その合成における二次反応によって生成された遊離アルデヒドを含むことができる。また、遊離アルデヒドがポリウレタンの合成において生成される。したがって、材料の選択は、より低含量の遊離アルデヒドを含む原料、および/またはポリウレタンの製造中により少量の遊離ホルムアルデヒドおよび遊離アセトアルデヒドを経験的に生成する原料に向かう傾向がある。しかしながら、より低含量の遊離アルデヒドを含む前記原材料は、一般的により高価である。
【0007】
さらに、ポリウレタン中の遊離アルデヒドの含有量を軽減するための添加剤の使用には問題があることが判明している。実際、例えば、触媒、発泡剤、架橋剤、シリコーン界面活性剤などのごときポリオール-イソシアネート系においてすでに一般的に使用されている添加剤に加えてのさらなる添加剤の使用は、最終的なポリウレタンフォームにおける欠陥、例えば、重合中の気泡の付着または核形成欠陥を生じかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/094947号
【特許文献2】国際公開第2007/072067号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Respiration 2012;84:135-141
【非特許文献2】ヒトの健康と野生生物に対する内分泌かく乱物質の影響に関する欧州ワークショップ、1996年12月2日~4日、ウェイブリッジ)
【非特許文献3】「ホルムアルデヒド放出に対する製造後ボード処理の効果:文献レビュー(1960~1984)」、George E. Myers、FOREST PRODUCTS JOURNAL、Vol.36、No.6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術の上記の制限に照らして、本発明の目的は、ポリウレタン高分子化合物中の、例えば、アセトアルデヒドまたはホルムアルデヒドのごとき遊離アルデヒドのレベルを低下させるのに有効な製剤(または、処方物もしくは配合物:formulation)を提供することである。
【0011】
この目的内では、本発明の目的は、経済的でかつ実施が容易である前記製剤の調製プロセス(または、調製方法)を提供することである。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、遊離アルデヒドのレベル低下により特徴付けられるポリウレタン高分子(または、ポリマー:polymeric)組成物を提供する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的ならびに以下により明らかになるであろうこれらおよび他の目的は、ポリウレタン組成物中の遊離アルデヒドレベルを低下させるための液体製剤によって達成され、前記製剤は、ポリオール、高分子可塑剤(または、ポリマー可塑剤:polymeric plasticizer)、ならびにアントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアルデヒドスカベンジャーを含む。
【0014】
また、本発明の目標および目的は、本発明による製剤の調製方法によっても達成され、前記方法は:
i)均質な(または、均一な:homogeneous)液体分散物(または、液体分散体:liquid dispersion)が得られるまで、前記のポリオール、高分子可塑剤、およびアルデヒドスカベンジャーを混合するステップ;
ii)ステップi)の均質な液体分散物を、ASTM D1210-05規格に従いグラインドメーターで測定した50μm未満、好ましくは30μm未満の均質な液体分散物中に分散した固体粒子の平均サイズが得られるまで粉砕するステップ
を含む。
【0015】
さらに、本発明の目標および目的は、本発明による液体製剤をポリウレタン組成物の試薬に添加する(または、加える:adding)ステップを含むポリウレタン組成物の調製方法によっても達成される。
【0016】
本発明のさらなる特徴および有利さは、以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
【0017】
第1の態様において、本発明は、ポリウレタン組成物中の遊離アルデヒドレベルを低下させるための液体製剤に関し、前記製剤は、ポリオール、高分子可塑剤、ならびにアントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアルデヒドスカベンジャーを含む。
【0018】
上述のごとく、本発明による組成物の第1の成分は、ポリオールによって表される。
【0019】
好ましい実施形態において、ポリオールはポリプロピレングリコールである。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明の製剤は、製剤の総重量の10重量%~70重量%、好ましくは30重量%~50重量%、さらにより好ましくは37重量%の量のポリプロピレングリコールを含む。
【0021】
本発明による製剤は、少なくとも1つの高分子可塑剤をさらに含む。
【0022】
可塑剤は、低温でのそれらの変形性、柔軟性、伸び(または、伸長)、および機械的強度を高めるためにポリマー材料(または、高分子材料:polymeric material)に添加される物質である。
【0023】
かかる効果は、可塑剤の分子によるものであり、その分子は、ポリマーの高分子よりもはるかに小さく、したがって高分子(または、巨大分子:macromolecule)間に浸透し(小分子が高分子を取り囲み)、それらの移動性を高める。その高分子がこれらの小分子により囲まれるほど、より外部ストレスに自由に応答できるようになる。市場にはいくつかの種類の高分子可塑剤が存在し、本発明による製剤での使用に適したその非限定的な例は、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、安息香酸エステル、クエン酸エステル、アルキルスルホネート、またはセバシン酸もしくはシクロヘキサンジカルボン酸に基づく生成物により表される。
【0024】
好ましい実施形態において、本発明による製剤は、製剤の総重量の10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~35重量%、さらにより好ましくは24重量%の量の高分子可塑剤を含む。
【0025】
本発明による製剤の好ましい実施形態において、高分子可塑剤はアジピン酸エステルである。
【0026】
高分子可塑剤として販売されているアジピン酸エステルの非限定的な例は、商品名Radichem(登録商標)Ester MA(RadiciGroup)、Plaxter(登録商標)P54(COIM)およびPalamoll(登録商標)652(BASF)により知られた製品である。
【0027】
本発明による製剤のもう一つの好ましい実施形態において、ポリオールと高分子可塑剤との間の重量比は、80:20~50:50で構成される。
【0028】
本発明による製剤の好ましい実施形態において、ポリオールと高分子可塑剤との間の重量比は60:40である。
【0029】
本発明による製剤は、例えば、アントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、例えば、アセトアルデヒドまたはホルムアルデヒドのごときアルデヒドスカベンジャーをさらに含む。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明による製剤は、製剤の総重量の1重量%~70重量%、好ましくは15重量%~60重量%、さらにより好ましくは25重量%~45重量%の量のアルデヒドスカベンジャーを含む。
【0031】
特に好ましい実施形態において、本発明による製剤は、製剤の総重量の40重量%の量のスカベンジャーを含む。
【0032】
本発明による製剤の好ましい実施形態において、スカベンジャーはアントラニルアミドである。
【0033】
本発明による製剤のもう一つの好ましい実施形態において、スカベンジャーは6-アミノ-1,3-ジメチルウラシルである。
【0034】
本発明による製剤のさらにもう一つの好ましい実施形態において、スカベンジャーはアミノグアニジン一塩酸塩である。
【0035】
本発明による製剤のさらにもう一つの好ましい実施形態において、スカベンジャーは、アントラニルアミド、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシルおよびアミノグアニジン一塩酸塩から選択される少なくとも2つのスカベンジャーの混合物である。
【0036】
第2の態様において、本発明は、本発明による製剤の調製方法に関し、前記方法は:
i)均質な液体分散物が得られるまで、ポリオール、高分子可塑剤、ならびにアントラニルアミド、サリチルアミド、サリチルアニリド、o-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、1,8-ジアミノナフタレン、o-メルカプトベンズアミド、N-アセチルグリシンアミド、マロンアミド、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸、4,5-ジヒドロキシ-2,7-ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム塩、ビウレット、2,3-ジアミノピリジン、1,2-ジアミノアントラキノン、ジアニリノエタン、アラントイン、2-アミノベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル、6-アミノイソシトシン、6-アミノウラシル、6-アミノ-1-メチルウラシル、尿素、アルギニン塩、システイン塩、セリン塩、グリシン塩、アミノグアニジン塩、アスパラギン酸、グアニジン塩、ヒドラジン、p-トルエンスルホニルヒドラジン、カルボヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、スクシニルジヒドラジド、トコフェロール、レスベラトロール、p-アミノ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、マンニトール、ソルビトール、5-アミノレブリン酸、アントラニル酸メチル、m-キシレンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンおよびそれらの混合物よりなる群から選択されるアルデヒドスカベンジャーを混合するステップ;
ii)ステップi)の均質な液体分散物を、ASTM D1210-05規格に従いグラインドメーターで測定した50μm未満、好ましくは30μm未満の均質な液体分散物中に分散した固体粒子の平均サイズが得られるまで粉砕するステップ
を含む。
【0037】
ステップi)の混合は、当業者に知られた手段、例えば、高速分散ミキサーを用いて、好ましくは20~1000rpm、より好ましくは50~600rpm、さらにより好ましくは150~450rpmの速度で、好ましくは5~10分間、好ましくは周囲温度、より好ましくは15℃~30℃の温度で実施される。
【0038】
ステップii)における粉砕は、かかる化合物の分散粒子の表面積の増加によりスカベンジャーの有効性を改善する。さらに、所望の粒度への到達により、ビヒクル(ポリオール)中のスカベンジャーの湿潤性、分散の均質性(または、均一性)、および経時的なその安定性が保証される。粉砕ステップにより、ポリオール系中の液体分散物を測定し、使用パーセンテージ(LDR%)を正確に確立し、結果として遊離アルデヒドの低下を制御することが可能である。さらに、粒子サイズが余りにも大きいと、最終的なポリウレタンフォームに欠陥が生じかねない。
【0039】
前記粉砕ステップは、当業者に知られた方法で行うことができ、その非限定的な例は、3本ロールミルまたはビーズミルによる粉砕によって表される。
【0040】
固体材料を流体ビヒクルにおいて粉砕して粒子のサイズを低下させる場合、グラインドメーターを用いて粒子サイズをチェックする。凝集体は、より小さな凝集体または一次粒子を生成するための粉砕によって低減される。グラインドメーターでの測定は、粗い粒子の存在およびそのおおよそのサイズを決定する簡単でかつ迅速な方法である。粉砕は、所望の粒度が得られるまで固体粒子のサイズをモニターしつつ実施される。
【0041】
本発明の製剤の成分を混合するステップの結果として得られる均質な液体分散物中の平均粒径は、ASTM D1210-05規格に従い測定されるが;しかしながら、当業者に知られている平均粒径を決定する他の同等の方法を、本発明の方法の範囲から逸脱することなく使用できる。
【0042】
機械的手段での混合および粉砕は、せん断による熱を発生させる可能性があり、その結果、いくらかの形態の処理を生成物の特徴を損なうことなく、80℃までの加熱に付すことができる。
【0043】
最後にまた、本発明は、本発明の実施形態のいずれかによる液体製剤をポリウレタン組成物の試薬に添加するステップを含む、ポリウレタン組成物の調製方法に関する。
【0044】
本発明の製剤は、ポリウレタンを合成するプロセスに使用される種々のポリオールおよびイソシアネートに適合する。例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクタム、ポリブタジエン、ポリスルフィド、アクリルポリオール、および当業者に知られている他のものが、すべてポリオールとして使用できる。自動車産業では、ポリエーテルおよびポリエステルが特に好ましい。本発明の製剤に適合するイソシアネートは、非限定的な例として、トルエンジイソシアネート(TDI)およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含む。
【0045】
本発明の方法を用いて得られるポリウレタン高分子組成物は、驚くべきことに、遊離アルデヒドの含有量の低下により特徴付けられる。特に、本発明の製剤の非存在下で同じポリオールおよびイソシアネートを用いて得られたポリウレタン組成物に関して、遊離アルデヒドの含有量において5%~95%の低下が観察される。
【0046】
本発明の一態様を参照して説明された実施形態の特徴は、明示的に繰り返されていなくても、本明細書に記載されている本発明の他の態様を参照しても有効であると考えられるべきである。
【0047】
本発明は、以下の非限定的な例を参照して今や説明される。
【実施例】
【0048】
以下のリストのポリオールを使用した:ポリウレタン・インテグラル・スキン用ポリオール(Specflex(商標)NR 784, LE SW System A.3.D.36.2.1/125)、スラブストック ポリウレタン-エーテル用の従来のポリオール(Alcupol(登録商標)F-4811)、スラブストック ポリウレタン-エステル用ポリオール(Desmophen(登録商標)2200 B)、スラブストック ポリウレタン-エーテルHR用ポリオール(Alcupol(登録商標)P4181)、粘弾性スラブストック ポリウレタンフォーム用ポリオール(Lupranol(登録商標)2012)。
【0049】
実施例1:本発明による製剤の調製。
表1に示す量のポリプロピレングリコール、高分子可塑剤およびスカベンジャーを添加することにより、500mlのビーカー内で7種の異なる製剤(F1~F7)を調製した。
【0050】
次いで、均質な液体分散物が得られるまで、分散ミキサー(ALCW180-E2、MAVER Milano Srl)を用いて、300rpmで10分間、製剤の成分を混合した。
【0051】
ASTM D1210-05規格に従いグラインドメーターを用いて測定して、30μm未満の均質な液体分散物中に分散した固体粒子の平均サイズが得られるまで、分散液を3本ロールミル(Z1A、MOLTENI)内で処理した。
【0052】
【0053】
PPG=ポリプロピレングリコール
AA=アントラニルアミド
AG-HCl=アミノグアニジン塩酸塩
6-ADMU=6-アミノ-1,3-ジメチルウラシル
CI=カルボヒドラジド
【0054】
実施例2:ポリウレタン高分子組成物の調製。
100mlのビーカー内で、40gのインテグラルに処方された(integral formulated)ポリオールSpecflex(商標)NR784(Dow)と、本発明によるそれぞれ0.4gの液体製剤F1、F2、F4、F5、F6およびF7を秤量し、これに20gのイソシアネートSpecflex(商標)NE117を(ポリオールに対して1重量%)添加することにより、6種の異なるポリウレタン組成物を調製した。混合物をフリーフォーム(または、自由発泡体:free foam)で反応させたままにし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で30分間、フォームを自由に成長させた。
【0055】
実施例3:ポリウレタン高分子組成物の調製。
100mlベッカー中に40gのポリオールLE SW System A.3.D.36.2.1/125(BASF)と、それぞれ0.4gの本発明による液体分散物F2、F6およびF7(ポリオールに対して1重量%)とを秤量し、これに27.6gのイソシアネートISO 134/16を添加することにより、3種の異なるポリウレタンフォームを調製した。混合物をフリーフォームで反応させたままにし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で30分間、フォームを自由に成長させた。
【0056】
実施例4:実施例2および3において調製したポリウレタン高分子組成物中の遊離アルデヒドの定量。
実施例2および3で得られたフォームをそれぞれホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドのその後の定量化のために半分に切断し、それぞれから100mg(小断片で)を採取し、次いですぐにヘッドスペースバイアルに入れた。
【0057】
ホルムアルデヒドの定量測定については、ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン(PFBHA)(水中33.2mg/mL)の15マイクロリットルの溶液をヘッドスペースバイアルに加えることにより誘導体化を行った。
【0058】
また、ホルムアルデヒドは、そうでなければ、その揮発性のために操作が難しく、クロマトグラフィーを用いて分離するのが困難であるため、検量線は、第1にホルムアルデヒドを誘導体化することによって構築した。
【0059】
対照的に、アセトアルデヒドの定量化は、誘導体化を必要とせずに、異なる濃度のアセトアルデヒドの標準溶液で構築された検量線を用いて実行した。
【0060】
製剤F1、F2、F4~F7でそれぞれ製造された6種の各ポリウレタンフォームについて、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの測定を3連で行い、各製剤について分析された6つの試料を得た。
【0061】
HS-GC-MS分析
製剤の分析は、Elite-5MSカラム(60m×0.25mm×1.0μm)を備えたガスクロマトグラフ/質量分析計(GC-MS) Perkin Elmer Clarus SQ 8でヘッドスペース(HS)技術を用いて実行した。
【0062】
分析は、表2に示すパラメーターを用いて実行した。
【0063】
【0064】
GC-MSへの注入は、TurboMatrix40 HSヘッドスペースシステムからのトランスファーラインを用いて達成した。HS(ヘッドスペース)条件を表3に示す。
【0065】
【0066】
データは、TurboMass v6.1.0ソフトウェアを用いて処理した。
【0067】
ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドの定量化は、検量線を用いて得た。
【0068】
実施例2についての結果
製剤1、2および4ならびに製剤5および7をそれぞれ3回の実験で試験し、その結果をそれぞれ表4~6に要約する。
【0069】
LDR%は、ポリオールに対する本発明による液体製剤(すなわち、製剤1、2、4、5、6および7)のパーセンテージ量である。
【0070】
AcAはアセトアルデヒドの量で、FAはホルムアルデヒドである。「比較(Comp.)」は、本発明による製剤の使用なくして調製したポリウレタンフォームの比較試料である。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
データは、本発明による製剤の添加で製造した高分子組成物について、遊離アセトアルデヒド量の23.5%~58%の低下および遊離ホルムアルデヒド量の14.3%~75.1%の低下を示す。
【0075】
実施例3についての結果
製剤2、6および7をそれぞれ実験においてテストし、その結果を表7に要約する。
【0076】
LDR%は、ポリオールに対する本発明による液体製剤(すなわち、製剤2、6および7)のパーセンテージ量である。
【0077】
AcAはアセトアルデヒドの量で、FAはホルムアルデヒドである。「比較(Comp.)」は、本発明による製剤の使用なくして調製したポリウレタンフォームの比較試料である。
【0078】
【0079】
データは、本発明による製剤の添加で製造した高分子組成物について、遊離アセトアルデヒド量の29.8%~39.3%の低下および遊離ホルムアルデヒド量の53.7%~63.4%の低下を示す。
【0080】
実施例5:遊離アセトアルデヒドの存在に対するLDR%の効果の評価。
ポリウレタン中の遊離アルデヒドの含有量に対する、ポリオールに対する本発明による液体製剤の異なるパーセンテージ量の使用の効果を評価するために、5種のポリウレタン組成物を、表8に与えられた量により実施例2に記載の方法に従い調製した。
【0081】
【0082】
表8のデータは、用いたスカベンジャーに応じて、ポリウレタン中の遊離アセトアルデヒドの存在の低下効果が存在することを示し、これは、反応混合物中のポリオールに対する本発明による液体製剤のパーセンテージ量に依存する。
【0083】
実施例6:ポリウレタンフォーム(従来のスラブストックポリウレタンエーテル)の調製。
100gのポリエーテルポリオール(Alcupol(登録商標)F-4811,MW=3500,OH#=48)、2.3gの水、0.25gの第3級アミン触媒(Niax(商標)B-4)、0.80gのシリコーン界面活性剤(Niax(商標)620 LV)、ならびにそれぞれ、1gの本発明による分散液F3、F6およびF7(ポリオールに対して1重量%)および0.16gのオクタン酸第一スズ(Dabco(登録商標)T-9)を混合し、これに32.6gのイソシアネート(トルエンジイソシアネートのTDI 80/20 2,4/2,6異性体ブレンド)を添加して、3種の異なるポリウレタンフォームを調製した。
【0084】
混合物をフリーフォームで反応させたままとし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で少なくとも16時間、フォームを自由に成長させた。
【0085】
40kg/m3の密度のフォームを得た。
【0086】
実施例7:ポリウレタンフォーム(スラブストックポリウレタンエステル)の調製
100gのポリエステルポリオール(Desmophen(登録商標)2200 B、MW=2000、OH#=57-63)、3.3gの水、0.4gの第3級アミン触媒(Catalyst DMP)、1.8gのシリコーン界面活性剤(Niax(登録商標)L-539)、ならびにそれぞれ1gの本発明による液体分散物F2、F6およびF7(ポリオールに対して1重量%)を混合し、これに46.15gのイソシアネート(トルエンジイソシアネートのTDI 80/20 2,4/2,6異性体ブレンド)を添加して、3種の異なるウレタンフォームを調製した。
【0087】
混合物をフリーフォームで反応させたままとし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で少なくとも16時間、フォームを自由に成長させた。
【0088】
30kg/m3の密度のフォームを得た。
【0089】
実施例8:ポリウレタンフォームの調製(スラブストックポリウレタンエーテルHR)
100gのグラフト化ポリエーテルポリオール(Alcupol(登録商標)P4181、MW=3500、OH#=42.5)、4.8gの水、0.33gの第3級アミン触媒(Dabco(登録商標) 33 LV)、1.10gのシリコーン界面活性剤(Dabco(登録商標) DC 198)ならびにそれぞれ1gの本発明による液体分散物F2、F6およびF7(ポリオールに対して1重量%)および0.46gのオクタン酸第一スズ(Dabco(登録商標)T-9)を混合し、これに57.7gのイソシアネート(トルエンジイソシアネートのTDI 80/20 2,4/2,6異性体ブレンド)が添加した。
【0090】
混合物をフリーフォームで反応させたままとし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で少なくとも16時間、フォームを自由に成長させた。
【0091】
25kg/m3の密度のフォームを得た。
【0092】
実施例9:ポリウレタンフォーム(粘弾性スラブストックポリウレタンフォーム)の調製
【0093】
15gのポリエーテルポリオール(Alcupol(登録商標)F-4811、MW=3500、OH#=48))、85gのポリオールブレンド(Lupranol 2012、OH#=53)、5gのジエタノールアミン、0.15gのトリエチレンジアミン(TEDA-33)、0.3gの非放出性(non-emissive)アミン触媒(Dabco(登録商標)NE300)、0.65gのシリコーン界面活性剤(Dabco(登録商標)DC198)、2.65gの水、およびそれぞれ1gの本発明による液体分散物F3、F6およびF7(ポリオールに対して1重量%)を混合し、これに57.7gのイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネートのMDI変性異性体ブレンド、32.3% NCO)を添加して、3種の異なるポリウレタンフォームを調製した。
【0094】
混合物をフリーフォームで反応させたままとし、すなわち、型を使用せずに、開放系で周囲温度で少なくとも16時間、フォームを自由に成長させた。
【0095】
48kg/m3の密度のフォームを得た。
【0096】
実施例10:実施例6~9において調製したポリウレタンフォーム中のアルデヒドの測定
ポリウレタンフォームを立方体(12×12×12cm)の試料に切断し、アルミホイルでしっかりと包装し、室温で保存した。
【0097】
アルデヒド濃度は、2つのバルブを備えた特注ステンレス鋼チャンバー(21×21×26cm)を用いて測定した。
【0098】
ポリウレタン試料をチャンバー内に置き、次いでチャンバーを閉じて、80℃のオーブン内で2時間加熱した。
【0099】
次いで、空気供給をチャンバーの入口に接続し、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン試薬でコーティングされたシリカゲルを含むカートリッジ(Supelco(登録商標) LpDNPH S10)を出口に接続した。
【0100】
アルデヒドをDNPHカラム上に集めつつ、チャンバーを介して一定の空気流量を1時間維持した。
【0101】
サンプリング後、カートリッジを4℃で保存した。
【0102】
次いで、各カートリッジをアセトニトリルで5mLメスフラスコに約1ml/分の溶出速度で溶出させた。
【0103】
得られたアセトニトリル溶液をHPLCで分析して、アルデヒドを定量した。
【0104】
ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒド(DNPH誘導体の形態)の検量線は、種々の濃度(μg/ml)の標準を用いて得た。
【0105】
未使用のDNPHカートリッジを溶出することにより、バックグラウンドレベルを決定した。分析結果からブランク値を差し引いた。
【0106】
HPLC分析
PRONTOSIL KROMAPLUS 100 C18カラム(5μm、250mm×4.6mm)を備えたPerkin Elmer Series 200 HPLC装置を用いて分析を実施した。
【0107】
高速液体クロマトグラフィーの操作条件を表9にまとめた。
【0108】
【0109】
結果
製剤1、2、3、6および7を4回の実験でテストし、その結果を表10~13にまとめた。
【0110】
LDR%は、ポリオールに対する本発明による液体製剤(すなわち、製剤2、6および7)のパーセンテージ量である。
【0111】
AcAはアセトアルデヒドの量で、FAはホルムアルデヒドである。「比較(Comp.)」は、本発明による製剤の使用なくして製造したポリウレタンフォームの比較試料である。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
データは、本発明による製剤の添加で製造した高分子組成物について、遊離アセトアルデヒド量の15.4%~73.3%の低下および遊離ホルムアルデヒド量の34.6%~87.7%の低下を示す。
【0117】
実際には、本発明による製剤は、ポリウレタン高分子組成物中のアセトアルデヒドおよびホルムアルデヒドの含有量の大幅な低下を得ることができるという点で、設定された目的を十分に達成することが判明した。
【0118】
本発明の製剤、その調製方法およびポリウレタン組成物の調製方法は、多数の変更および変形が可能であり、それらのすべては、添付の特許請求の範囲内にある。さらに、すべての詳細は、他の技術的に同等の要素で置換でき、その対応(correspondence)は当業者に知られている。
【0119】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102020000012334号の開示は、ここに出典明示により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】