(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】フローエレメント、フローエレメントの使用、バイポーラプレート、及びフローエレメントの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0258 20160101AFI20230619BHJP
H01M 8/0206 20160101ALI20230619BHJP
H01M 8/0213 20160101ALI20230619BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/0206
H01M8/0213
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573267
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2021063712
(87)【国際公開番号】W WO2021239635
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】102020114399.0
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522461594
【氏名又は名称】エーカーペーオー フュエル セル テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100201112
【氏名又は名称】上野 美紀
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン クラフト
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル モルコス
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】バディム カイザー
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126EE03
5H126EE27
5H126EE29
5H126GG02
5H126GG06
5H126JJ03
(57)【要約】
本発明はフローエレメント、詳細には電気化学的装置のバイポーラプレート(10、130、140)の構成要素としてのフローエレメントに関し、このフローエレメントは、互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向(24、26)に延び、かつ主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向(28)に延びる板状の本体基部(22)を備え、本体基部(22)は横方向に互いに隣接して配置される複数の流路(32)を有する流路構造(30)を有し、複数の流路(32)は本体基部(22)に複数の凹部(38)により形成されて、複数の凹部(38)の間に配置された本体基部(22)の複数の隆起部(40)により互いに離間しており、高さ方向(28)に規定される、隆起部(40)と隣接する凹部(38)との高さの差分である通常の高低差(N
n)を有する領域(42)、及び隆起部(40)と隣接する凹部(38)の高さの差分であり、通常の高低差(N
n)と比べて縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)が設けられ、複数の流路(32)の伸長方向(34)には、少なくともいくつかの場所に通常の高低差(N
n)を有する領域(42)と縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)が繰り返し設けられ、隣接する複数の流路(32)の縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)は複数の流路(32)の伸長方向(34)のそれぞれに対して互いにオフセットされており、縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)は複数の鞍状領域(46)を用いて本体基部(22)上に形成され、通常の高低差(N
n)を有する領域(42)は鞍状領域(46)の間に配置される谷状領域(48)を用いて形成され、隣接する流路(32)の谷状領域(48)はそれぞれ鞍状領域(46)の反対側に位置している。加えて、本発明は、フローエレメントの使用、バイポーラプレート、及びフローエレメントの製造方法に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に電気化学的装置のバイポーラプレート(10、130、140)の構成要素としてのフローエレメントであって、互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向(24、26)に延び、かつ前記主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向(28)に延びる板状の本体基部(22)を備え、
前記本体基部(22)は横方向に互いに隣接して配置される複数の流路(32)を有する流路構造(30)を有し、
前記複数の流路(32)は前記本体基部(22)に複数の凹部(38)により形成されて、前記複数の凹部(38)の間に配置された前記本体基部(22)の複数の隆起部(40)により互いに離間しており、
前記高さ方向(28)に規定される、前記隆起部(40)と隣接する前記凹部(38)との高さの差分である通常の高低差(N
n)を有する領域(42)、及び前記隆起部(40)と隣接する前記凹部(38)との高さの差分であり、前記通常の高低差(N
n)と比べて縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)が設けられ、
前記複数の流路(32)の前記伸長方向(34)には、少なくともいくつかの場所に前記通常の高低差(N
n)を有する領域(42)と前記縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)とが繰り返し設けられ、隣接する前記複数の流路(32)の前記縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)は前記複数の流路(32)の前記伸長方向(34)のそれぞれに対して互いにオフセットされており、
前記縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)は複数の鞍状領域(46)を用いて前記本体基部(22)上に形成され、前記通常の高低差(N
n)を有する領域(42)は前記鞍状領域(46)の間に配置される谷状領域(48)を用いて形成され、隣接する前記流路(32)の前記谷状領域(48)はそれぞれ前記鞍状領域(46)の反対側に位置している、
フローエレメント。
【請求項2】
前記流路(32)のそれぞれの流れることが可能な断面積の調節は、前記鞍状領域(46)及び前記谷状領域(48)を用いて行われることを特徴とする、請求項1に記載のフローエレメント。
【請求項3】
前記谷状領域(48)は、前記本体基部(22)の窪んだ領域として構成される、及び/又は、前記鞍状領域(46)は、前記本体基部(22)の凸状の領域として構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフローエレメント。
【請求項4】
前記流路(32)の前記伸長方向(34)での前記本体基部(22)の曲率は、前記鞍状領域(46)において、前記伸長方向(34)に対して横方向、特に垂直な方向よりも、特に前記鞍状領域(46)の頂上においてより小さい、及び/又は、前記流路(32)の前記伸長方向(34)での前記本体基部(22)の曲率は、前記谷状領域(48)において、前記伸長方向(34)に対して横方向、特に垂直な方向よりも、特に前記谷状領域(48)の谷底においてより小さいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項5】
前記谷状領域(48)及び前記鞍上領域(46)は前記流路(32)のそれぞれの中で周期的に繰り返すように形成される、並びに/又は、前記流路(32)の前記谷状領域(48)と前記鞍状領域(46)の繰り返しの周期は同じ大きさ、若しくは実質的に同じ大きさであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項6】
前記本体基部(22)には前記鞍状領域(46)と前記谷状領域(48)が規則的に配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項7】
-前記鞍状領域(46)及び/又は前記谷状領域(48)は、前記流路(32)の前記伸長方向(34)である角度で互いに対して隣接している前記本体基部(22)の複数の部分により実現される、
-前記鞍状領域(46)及び/又は前記谷状領域(48)は、いくつかの場所で平面的となるよう構成される、
-前記鞍状領域(46)及び/又は前記谷状領域(48)は、前記流路(32)の前記伸長方向(34)で連続的に湾曲している前記流路(32)の複数の部分により実現される、
-前記鞍状領域(46)及び前記谷状領域(48)は、前記流路(32)の前記伸長方向(34)で互いに合流する、あるいは直接互いに隣接する、
のうちの少なくとも1つが当てはまることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項8】
-前記本体基部(22)の材料厚さはおよそ40μmからおよそ500μm、好ましくはおよそ50μmからおよそ120μmである、
-前記通常の高低差(N
n)を有する領域(42)における前記複数の流路(32)の深さは、およそ0.15mm~1.0mm、好ましくはおよそ0.2mm~0.6mmである、
-前記縮小された高低差(N
r)を有する領域(44)における前記複数の流路(32)の深さは、およそ0.05mm~0.6mm、好ましくはおよそ0.1mm~0.5mmである、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項9】
前記複数の流路(32)は、前記伸長方向(34)に対して横方向、特に垂直な方向における前記複数の流路(32)の幅が通常の幅の領域(60)よりも小さい、狭められた領域(62)であって、前記通常の幅の領域(60)は前記狭められた領域(62)の間に配置されている、前記狭められた領域(62)を前記伸長方向(34)において繰り返し有していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項10】
前記狭められた領域(62)は、前記複数の流路(32)の流れることが可能な断面積が前記通常の幅の領域(60)の断面積に対して縮小されている断面積縮小領域であり、詳細には、隣接する前記流路(32)の前記通常の幅の領域(60)はそれぞれ、前記狭められた領域(62)の反対側に位置していることを特徴とする、請求項9に記載のフローエレメント。
【請求項11】
前記流路(32)の前記伸長方向(34)において、前記狭められた領域(62)は前記鞍状領域(46)内に配置される、又は形成されて、前記通常の幅の領域(60)は前記谷状領域(48)内に配置される、又は形成されることを特徴とする、請求項24又は25に記載のフローエレメント。
【請求項12】
前記狭められた領域(62)及び前記通常の幅の領域(60)は前記流路(32)のそれぞれの中で周期的に繰り返すように形成される、並びに/又は、前記流路(32)の前記狭められた領域(62)及び前記通常の幅の領域(60)の繰り返しの周期長(P)は同じ大きさ、若しくは実質的に同じ大きさであることを特徴とする、請求項24~28のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項13】
-前記狭められた領域(62)での前記流路(32)の幅(B
V)、具体的には前記隆起部(40)の側面(58)の高さの半分において測定される幅は、およそ0.2mm~2mm、好ましくはおよそ0.3mm~1mmである、
-前記通常の幅の領域(60)での前記流路の幅(B
N)、具体的には前記隆起部(40)の前記側面(58)の高さの半分において測定される幅は、およそ0.3mm~3mm、好ましくはおよそ0.4mm~2mmである、
-前記隆起部(40)の幅、具体的には前記隆起部(40)の前記側面(58)の高さの半分において測定される幅は、およそ0.2mm~1.5mm、好ましくはおよそ0.3mm~0.8mmである、
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項24~32のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項14】
前記流路(32)のそれぞれの前記伸長方向(34)に断面積が拡大された領域(112)、そしてその後に断面積が縮小された領域(114)が設けられる、詳細には、前記断面積が拡大された領域(112)及び前記断面積が縮小された領域(114)は、互いに対して非対称的に形成されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項15】
前記断面積が拡大された領域(112)において前記流路(32)は広がっていく角度(122)で拡大されている、及び/又は、前記断面積が縮小された領域(114)において前記流路(32)は縮小していく角度(124)で縮小されていて、前記広がっていく角度(122)、及び/又は前記縮小していく角度(124)は、具体的には前記隆起部(40)の前記側面(58)に沿って延びる区間を有することを特徴とする、請求項14に記載のフローエレメント。
【請求項16】
前記広がっていく角度(122)と前記縮小していく角度(124)は異なる大きさであり、詳細には、前記縮小していく角度(124)は前記広がっていく角度(122)より大きいことを特徴とする、請求項15に記載のフローエレメント。
【請求項17】
前記隆起部(40)は、特に電気化学的装置のガス拡散層(12)に接触する、前記本体基部(22)の接触要素(64)を形成し、好ましくは、前記接触要素(64)はそれぞれが平面的となるよう構成される、及び/又は、前記接触要素(64)は前記流路(32)の前記伸長方向(34)においてジグザグ形状の進路を有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項18】
前記隆起部(40)は、前記流路(32)のそれぞれの前記伸長方向(34)に対して横方向、特に垂直な方向の幅と同一の、又は実質的に同一の幅を前記流路(32)の前記伸長方向(34)にわたって有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項19】
-前記本体基部(22)上の前記複数の流路(32)は、少なくとも一部の領域において互いに対して平行に延びる、
-前記本体基部(22)上の前記複数の流路(32)は、少なくとも一部の領域において一直線に延びる、偏向部(126)を含む、及び/又は、少なくとも一部の領域において弧の形状で延びる、
-前記本体基部(22)上の前記複数の流路(32)は、少なくとも一部の領域において蛇行路に沿って延びる、
のうちの少なくとも1つが当てはまることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項20】
前記本体基部(22)は第1面(18)及び前記第1面(18)から離れる方を向く第2面(20)を有し、前記複数の流路(32)は前記第1面(18)に配置され、更なる複数の流路(72)が前記本体基部(22)の前記第2面(20)に配置される、又は形成されて、前記更なる複数の流路(72)は前記第1面(18)の前記隆起部(40)の領域内に配置され、前記第2面(20)には隆起部(66)が前記第1面(18)の前記凹部(38)領域内の前記更なる複数の流路(72)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項21】
前記第2面(20)には、流れの移行領域(74)が前記鞍状領域(46)の領域内の前記更なる複数の流路(72)のうちの隣接する流路の間に形成され、前記流れの移行領域は、前記高さ方向(28)に前記第2面(20)の前記谷状領域(48)の領域内に配置される突出部(76)より低く延びるよう構成されることを特徴とする、請求項20に記載のフローエレメント。
【請求項22】
前記本体基部(22)は、前記突出部(76)において、前記フローエレメント(14)を特に前記バイポーラプレート(10、130、140)の更なるフローエレメント(16)に接触させる接触要素(80)を形成することを特徴とする、請求項21に記載のフローエレメント。
【請求項23】
-前記フローエレメント(14)は一体的に形成される、
-前記フローエレメント(14)は熱成形法により、又は積層プロセスにより、変形部分として構成される、
-前記フローエレメント(14)は金属又はグラファイトで作られる、
のうちの少なくとも1つが当てはまることを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載のフローエレメント。
【請求項24】
電気化学的装置のバイポーラプレート(10、130、140)における、請求項1~23のいずれか一項に記載のフローエレメントの使用。
【請求項25】
少なくとも1つのフローエレメント(14)及び第2フローエレメント(16、110、132、142)を備え、前記少なくとも1つのフローエレメント(14)は請求項1~23のいずれか一項に記載のフローエレメント(14)である、電気化学的装置用のバイポーラプレート。
【請求項26】
前記第1フローエレメント(14)及び前記第2フローエレメント(16、110、132、142)は、対応する接触要素(64、80)を介して互いに接触することを特徴とする、請求項25に記載のバイポーラプレート。
【請求項27】
前記第2フローエレメント(16、110、132、142)は、少なくとも前記第1フローエレメント(14)に面する側の面(88、20)に流路構造(90、30)を備える、及び/又は、前記第1フローエレメント(14)は、前記凹部(38)が前記第2フローエレメント(16、110、132、142)の方向へ延びるように、前記第2フローエレメント(16、110、132、142)上に配置されることを特徴とする、請求項25又は26に記載のバイポーラプレート。
【請求項28】
前記第1フローエレメント(14)の前記複数の流路(72)の間の流れ移行経路が、前記第1フローエレメント(14)と前記第2フローエレメント(16、110、132、142)との間で、好ましくは前記本体基部(22)の前記鞍状領域(46)から離れる方を向く側の面(20)に形成されることを特徴とする、請求項25~27のいずれか一項に記載のバイポーラプレート。
【請求項29】
互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向に延び、かつ前記主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向に延びる本体基部に横方向に互いに隣接して配置される複数の流路を有する流路構造を形成することを含み、
前記複数の流路は前記本体基部に複数の凹部により形成されて、前記複数の凹部の間に配置された前記本体基部の複数の隆起部により互いに離間するよう形成され、
前記高さ方向に規定される、前記隆起部と隣接する前記凹部の高さの差分である通常の高低差を有する領域、及び前記隆起部と隣接する前記凹部の高さの差分であり、前記通常の高低差と比べて縮小された高低差を有する領域が形成され、
前記複数の流路の伸長方向には、少なくともいくつかの場所に前記通常の高低差を有する領域と前記縮小された高低差を有する領域が繰り返し形成され、隣接する前記複数の流路の前記縮小された高低差を有する領域は前記複数の流路それぞれの伸長方向に対して互いにオフセットされており、
前記縮小された高低差を有する領域は複数の鞍状領域を用いて前記本体基部上に形成され、前記通常の高低差を有する領域は前記鞍状領域の間に配置される谷状領域を用いて形成され、隣接する前記流路の前記谷状領域はそれぞれ前記鞍状領域の反対側に形成される、
請求項1~23のいずれか一項に記載のフローエレメントを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフローエレメント(flow element)に関し、詳細には電気化学的装置、例えば燃料電池装置のバイポーラプレートの構成要素としてのフローエレメントに関する。
【0002】
さらに、本発明は、フローエレメントの使用、少なくとも1つのフローエレメントを有するバイポーラプレート、及びフローエレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フローエレメントの実施例は、米国特許第6586128(B2)号明細書、米国特許第8367270(B2)号明細書、及び独国特許出願公開第102014112607(A1)号明細書に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、堅牢な構造と有利な流動特性を有するフローエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は本発明のフローエレメント、詳細には電気化学的装置のバイポーラプレートの構成要素としてのフローエレメントにより実現され、このフローエレメントは、互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向に延び、かつ主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向に延びる板状の本体基部(base body)を備え、本体基部は横方向に互いに隣接して配置される複数の流路(channel)を有する流路構造を有し、流路は本体基部に複数の凹部により形成されて、複数の凹部の間に配置された本体基部の複数の隆起部により互いに離間しており、高さ方向に規定される、隆起部と隣接する凹部の高さの差分である通常の高低差を有する領域、及び隆起部と隣接する凹部の高さの差分である通常の高低差と比べて縮小された高低差を有する領域が設けられ、流路の伸長方向には、少なくともいくつかの場所に通常の高低差を有する領域と縮小された高低差を有する領域が繰り返し設けられ、隣接する流路の縮小された高低差を有する領域はそれぞれの流路の伸長方向に対して互いにオフセットされており、縮小された高低差を有する領域は鞍状領域(saddle region)を用いて本体基部上に形成され、通常の高低差を有する領域は鞍状領域の間に配置される谷状領域(valley region)を用いて形成され、隣接する流路の谷状領域はそれぞれ鞍状領域の反対側に形成される。
【0006】
本発明のフローエレメントの特徴は、好ましくは堅牢な構造を備えうる。鞍状領域は立ち上がっている流路基部により具体的には流路の伸長方向に形成することができて、それゆえ谷状領域と比べて縮小された高低差を谷状領域に対して横方向に形成することができて、この縮小された高低差は流路を隣接する流路から離間する、隆起部の立ち上がっている側面により画定される。流路の伸長方向に鞍状領域と谷状領域とを隣接して配置すること、及び/又は隣接する流路の谷状領域を鞍状領域に対して横方向に隣接して配置することで、好ましくはフローエレメントの製造に使用される材料への不必要に強い張力を、例えば変形による製造中に防ぐことができる。好ましくは、ひびが入るのを防ぐことができる。このことは、フローエレメントが、例えば積層構造を有する電気化学的装置、特に燃料電池スタックのバイポーラプレートの構成要素として使用される場合、積層方向に作用する力や圧力に関して有利である。
【0007】
それに加えて、フローエレメントを用いることで好ましくは有利な流動特性が実現される。鞍状領域と谷状領域は、好ましくは各流路内を流れる流体の動圧及び/又は静圧に圧力変動をもたらす。そのような圧力変動は、好ましくは隣接する流路でも同様に起こる。隣接する流路の各谷状領域は鞍状領域の反対側に位置している。具体的にはこれは、鞍状領域から始まって流路の伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向へ、流路間を分離する隆起部を越えた後に谷状領域が設けられることを意味すると理解することができる。結果として、電気化学的装置においてフローエレメントを多孔質のガス拡散層(GDL)に隣接させて使用することで、隆起部の領域においてGDLを通る流路間での流れの移行をもたらすこともできる。流路が反応流体、例えば空気や水素ガスを供給するのに使用される場合、有利にはGDL領域で反応ガスを確実に効果的に供給することもできる。それに加えて、縮小された高低差を有する領域を鞍状領域を用いて形成する方法は、各流路内での圧力損失を低く抑えられることを意味する。
【0008】
すでに述べたように、各流路は、少なくともそのいくつかの場所に繰り返される鞍状領域と谷状領域を有すると理解される。このような構造を流路の全長にわたって設けることができる。本発明の容易な理解と読みやすさのために、以下では、そのような構造が、その都度詳細にそのように記載されていない場合でも、各流路の少なくとも一部分に存在することとする。
【0009】
流路の伸長方向は、具体的には流路を通る流れの方向を規定する。
【0010】
好ましくは、隣接する流路の鞍状領域と谷状領域は、隣接する流路の各谷状領域が各鞍状領域の反対側に位置するように、「千鳥状」に配置される。鞍状領域及び谷状領域は隣接する流路では反対方向に配置され、これにより特に有利な隆起部を越える流れの移行をもたらすことができる。
【0011】
各流路の流れることが可能な断面積の調節は、好ましくは鞍状領域及び谷状領域を用いて行われる。この場合、流路は特に深さの調節、結果として断面積の調節を伴って形成することができる。
【0012】
鞍状領域は、例えば本体基部の凸状の領域として構成することができて、この構成では、本体基部は流路の方向に見た場合に「突出」している。
【0013】
谷状領域は、例えば本体基部の窪んだ領域として構成することができて、この構成では、本体基部は流路の方向に見た場合に「窪んで」いる。
【0014】
流路の伸長方向での本体基部の曲率は、鞍状領域において、伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向よりも、特に鞍状領域の頂上においてより小さければ有利である。流路の伸長方向では、本体基部の曲率は流路基部の鞍状の隆起の結果として、好ましくは伸長方向に対して横方向よりも小さく、流路基部は隆起部の側面へと遷移する。
【0015】
この場合、曲率は、具体的には鞍状領域と谷状領域によりもたらされる、伸長方向に沿った流路の深さの変化量、又は流路の間の隆起部によりもたらされる、伸長方向に対して横方向の流路の深さの変化量と考えられる。曲率の符号は本体基部が形成されている方向に由来し、具体的には、谷状領域では上向き(「正」)であり、鞍状領域では下向き(「負」)である。
【0016】
流路の深さの変化に由来する曲率は、例えば離散的、又は連続的でありうる。前者の場合、例えば、鞍状領域、及び/又は谷状領域は、それぞれが(折れ線と同様に)伸長方向で互いに隣接する直線状の部分を有しうる。その結果、例えば鞍状領域の頂上、及び/又は鞍状領域の谷底は湾曲しないようにすることができて、鞍状領域、及び/又は谷状領域はそのすべての長さが本体基部の曲率に由来する。
【0017】
流路の伸長方向での鞍状領域及び谷状領域における本体基部の曲率は同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさとすることができる。曲率の方向は、谷状領域及び鞍状領域では異なる符号を有することができる。本体基部は、谷状領域で上向きに、鞍状領域では下向きに湾曲することができる。
【0018】
流路の伸長方向での本体基部の曲率は、谷状領域において、伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向よりも、特に谷状領域の谷底においてより小さくすることができる。伸長方向では、本体基部は伸長方向に対して横方向ほど目立たない曲率を有することができて、谷底が隆起部の側面へと遷移する。
【0019】
流路の伸長方向での谷状領域及び鞍状領域の長さは同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさとすることができる。
【0020】
各流路内で谷状領域及び鞍状領域が周期的に繰り返すように形成されるのは有益である。このようにして、静圧及び/又は動圧の変動を周期的に繰り返すことで特に有利な流動特性をフローエレメントに与えることができる。
【0021】
流路の谷状領域と鞍状領域の繰り返しの周期長は同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさとすることができる。この場合、詳細には流路が同一の周期長、又は実質的に同一の周期長を有することを意味すると理解することができる。したがって、上述したように、隣接する流路の谷状領域及び鞍状領域は、いわば「千鳥状」に配置することができる。
【0022】
本体基部が、特に本体基部の平面視で高さ方向に沿って規則的に配置された鞍状領域と谷状領域を有すれば有利である。
【0023】
鞍状領域及び谷状領域の周期の周期長は、有利にはおよそ2mm~50mm、好ましくはおよそ4mm~20mmである。
【0024】
流路の方向での各鞍状領域の長さは、好ましくはおよそ1mm~25mm、有利にはおよそ2mm~10mmとすることができる。有利には、同じことが各谷状領域にも当てはまりうる。
【0025】
鞍状領域、及び/又は谷状領域は、流路の伸長方向である角度で互いに対して隣接している本体基部の複数の部分により実現することができる。上述したように、前記の複数の部分は、例えば直線状とすることができる。
【0026】
鞍状領域、及び/又は谷状領域は、いくつかの場所で平面的となるよう構成することができる。例えば、鞍状領域は平面的な頂上を有する、及び/又は谷状領域は平面的な谷底を有する。
【0027】
鞍状領域、及び/又は谷状領域は、流路の伸長方向で連続的に湾曲している流路の複数の部分により実現することができる。例えば、略正弦曲線の鞍状領域、及び/又は谷状領域が設けられる。
【0028】
鞍状領域及び谷状領域は、流路の伸長方向で互いに合流する、又は直接互いに隣接させることができる。
【0029】
鞍状領域、及び/又は谷状領域は、特に流路中心面に対して、及び/又は、流路の伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている流路横断面に対して、それぞれ対称的に形成することができる。
【0030】
あるいは、鞍状領域、及び/又は谷状領域は、流路中心面に対して、及び/又は流路横断面に対して非対称的に構成することができる。
【0031】
谷状領域により形成される基準面に対する鞍状領域の入射角は、具体的にはおよそ2°~60°、好ましくはおよそ2°~40°とすることができる。入射角は、具体的には流路の伸長方向において上昇する、又は下降する鞍状領域の傾斜角度を意味すると理解することができて、この傾斜を介して鞍状領域を谷状領域へ接続する、又は隣接させることができる。
【0032】
本体基部の材料の厚さは、特に変形前の変形部分の場合は、例えばおよそ40μm~およそ500μm、好ましくはおよそ50μm~120μmとすることができる。
【0033】
通常の高低差を有する領域、及び/又は縮小された高低差を有する領域での流路の深さが本体基部の材料の厚さに応じて決まれば有利となりうる。
【0034】
この場合、流路に関連する寸法は、好ましくは本体基部の材料の厚さを含めない明確な情報として指定される。
【0035】
通常の高低差を有する領域での流路の深さは、好ましくはおよそ0.15mm~1.0mm、好ましくはおよそ0.2mm~0.6mmとすることができる。
【0036】
後者の場合、本体基部の材料の厚さの流路の深さに対する比率は、例えばおよそ0.05~0.8、好ましくはおよそ0.15~0.4とすることができる。
【0037】
縮小された高低差を有する領域での流路の深さは、好ましくはおよそ0.05mm~0.6mm、好ましくはおよそ0.1mm~0.5mmとすることができる。
【0038】
後者の場合、本体基部の材料の厚さの流路の深さに対する比率は、好ましくはおよそ0.05~3、好ましくはおよそ0.1~1.2とすることができる。
【0039】
縮小された高低差を有する領域での流路の深さの通常の高低差を有する領域での深さに対する比率は、およそ0.1~0.9、好ましくはおよそ0.3~0.7であれば有益でありうる。
【0040】
伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向における流路の幅が通常の幅の領域よりも小さい狭められた領域であって、通常の幅の領域が狭められた領域の間に配置されている、狭められた領域を流路がその伸長方向において繰り返し有していれば有利である。
【0041】
各流路の幅は、例えば、流路を画定する隆起部の側面の高さのおよそ半分において測定することができる。隆起部の側面の高さは鞍状領域と谷状領域の間で変化するため、流路の幅は、あるいは例えば本体基部の接触面又は谷状領域により規定される平面に平行で、通常の高低差を有する領域の深さの半分の値だけ前記平面から離間した平面において測定することができる。
【0042】
上記の狭められた領域及び通常の幅の領域を用いて形成する代わりに、流路はその伸長方向において通常の幅の領域と拡大された領域を有することができることが理解される。この場合、例えば狭められた領域を通常の幅の領域に対応させることができて、通常の幅の領域を拡大された領域に対応させることができる。
【0043】
任意選択で、互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向に延び、主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向に延びる板状の本体基部を備えるフローエレメントであって、本体基部は横方向に互いに隣接して配置される複数の流路を有する流路構造を有し、流路は本体基部に複数の凹部により形成されて、複数の凹部の間に配置された本体基部の複数の隆起部により互いに離間しているフローエレメントの場合は、流路が、伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向における流路の幅が通常の幅の領域よりも小さい狭められた領域であって、通常の幅の領域が狭められた領域の間に配置されている、狭められた領域をその伸長方向において有することができる。
【0044】
そのようなフローエレメントは独立発明を規定することができて、任意選択で本明細書で開示されるものの特徴を、単独で、又は互いに組み合わせてさらに備えることができて、具体的には、通常の高低差を有する領域及び縮小された高低差を有する領域を備えることができる。
【0045】
狭められた領域は、有利には、流路の流れることが可能な断面積が通常の幅の領域の断面積に対して縮小されている断面積縮小領域である。これにより、流路の幅を調節する可能性が提供される。このようにして、流路内の静圧及び/又は動圧の調節を実現することができる。これにより、隣接する流路の間での流れの移行を可能とするために隣接する流路の間で圧力変動を生じさせることができる。
【0046】
好ましくは、隣接する流路の通常の幅の領域はそれぞれ、狭められた領域の反対側に位置している。これにより、隆起部を越えて隣接する流路への流体の流れの移行が促進される。
【0047】
流路の伸長方向において、狭められた領域は鞍状領域内に配置される、又は形成されて、通常の幅の領域は谷状領域内に配置される、又は形成されれば有利となりうる。このようにして、各流路の自由な断面積を特に効果的に調節することができる。流路は鞍状領域においてより浅くてより狭く、これと対照的に、谷状領域ではより深くてより広い。この場合、隣接する各流路が最初に述べた流路に対してオフセットされている、具体的には周期長の半分だけオフセットされている、鞍状領域と、谷状領域と、狭められた領域と、通常の幅の領域とを有していれば特に有利である。
【0048】
流路の深さの調節、及び/又は幅の調節によって、隆起部を越える流れの改善された移行に対して静圧及び/又は動圧を調節することができる。
【0049】
流路の伸長方向において、隆起部の側面は互いに向かって延び、その後、狭められた領域では互いから離れるように延びることができる。その結果、流路の「くびれ」を狭められた領域に設けることができる。
【0050】
あるいは、又は加えて、流路の伸長方向において、隆起部の側面は互いから離れるように延びることができて、その後、通常の幅の領域では互いに向かって延びることができる。その結果、「拡大部」を通常の幅の領域に設けることができる。
【0051】
流路の伸長方向での狭められた領域及び通常の幅の領域の長さは、好ましくは同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさとすることができる。
【0052】
各流路内で、好ましくは狭められた領域と通常の幅の領域が周期的に繰り返すように形成される。
【0053】
流路の狭められた領域と通常の幅の領域の繰り返しの周期長は、有利には同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさである。この場合、具体的にはこれは、鞍状領域及び谷状領域に対して好ましいように、流路が狭められた領域と通常の幅の領域に対して同一の周期長を有していることを意味すると理解することができる。
【0054】
本体基部の平面視において、狭められた領域及び通常の幅の領域の側面の高さ方向に沿った進路線は異なりうる。例えば、進路線は正弦曲線、ジグザグ形状、又は互いに隣に置かれた円弧の形状である。
【0055】
狭められた領域と通常の幅の領域は、流路の伸長方向で互いに合流する、又は直接互いに隣接させることができる。
【0056】
狭められた領域、及び/又は通常の幅の領域は、流路中心面に対して本質的に対称的となるよう構成することができる。
【0057】
あるいは、又は加えて、狭められた領域、及び/又は通常の幅の領域は、流路の伸長方向に対して垂直な流路横断面に対して本質的に対称的となるよう構成することができる。
【0058】
狭められた領域での流路の幅、具体的には隆起部の側面の高さの半分において測定される幅は、例えば、およそ0.2mm~2mm、好ましくはおよそ0.3mm~1mmとすることができる。
【0059】
後者の場合、本体基部の材料の厚さの流路の幅に対する比率は、好ましくはおよそ0.05~0.5、好ましくはおよそ0.1~0.3である。
【0060】
通常の幅の領域での流路の幅、具体的には隆起部の側面の高さの半分において測定される幅は、例えば、およそ0.3mm~3mm、好ましくはおよそ0.4mm~2mmである。
【0061】
後者の場合、本体基部の材料の厚さの流路の幅に対する比率は、好ましくはおよそ0.05~1.25、好ましくはおよそ0.1~1.0である。
【0062】
狭められた領域での流路の幅の通常の幅の領域での幅に対する比率は、好ましくは約0.1~1.0、好ましくは約0.4~0.85である。
【0063】
各流路の不変の自由な断面積が存在する領域が、断面の変化の結果として圧力の均等化が発生する長さと比べて短ければ有利である。
【0064】
断面積の調節によりもたらされる、各流路に沿った圧力損失を可能な限り低くするために、鞍上領域と谷状領域が、及び/又は狭められた領域と通常の幅の領域が、連続的に遷移することが好ましい。例えば階段状の、急激な断面変化は、あまり有利ではないとみなされる。
【0065】
隆起部の幅、具体的には隆起部の側面の高さの半分において測定される幅は、例えば、およそ0.2mm~1.5mm、好ましくはおよそ0.3mm~0.8mmである。
【0066】
後者の場合、本体基部の材料の厚さの流路の幅に対する比率は、好ましくはおよそ0.05~0.7、好ましくはおよそ0.1~0.4である。
【0067】
各流路の伸長方向に断面積が拡大された領域、そしてその後に断面積が縮小された領域を設けることができる。断面積が拡大された領域は、特にディフューザと呼ばれることがある。断面積が縮小された領域は、特にコンフューザと呼ばれることがある。
【0068】
有利には、断面積が拡大された領域及び断面積が縮小された領域は、周期的に繰り返すように各流路に設けられる。
【0069】
断面積が拡大された領域及び断面積が縮小された領域において、隆起部が流路の伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向に異なる幅を持つのは有益である。
【0070】
断面積が拡大された領域及び断面積が縮小された領域は、好ましくは互いに対して非対称的に形成される。
【0071】
各流路の伸長方向において、断面積が縮小された領域の長さは、特に前述の非対称を実現するために、断面積が拡大された領域の長さよりも小さいことが好ましい。
【0072】
断面積が拡大された領域において流路が広がっていく角度で拡大されれば有益でありうる。あるいは、又は加えて、断面積が縮小された領域において流路は縮小していく角度で縮小させることができる。広がっていく角度、及び/又は縮小していく角度は、具体的には流路を画定する隆起部の側面に沿って延びる区間を有しうる。
【0073】
一方で断面積が拡大され、他方で断面積が縮小された領域の非対称に関して、広がっていく角度と縮小していく角度が異なる大きさであれば有利となりうる。
【0074】
具体的には、縮小していく角度は広がっていく角度より大きくすることができる。
【0075】
広がっていく角度は、例えばおよそ0.5°~20°、好ましくはおよそ1°~5°とすることができる。
【0076】
縮小していく角度は、例えばおよそ0.5°~20°、好ましくはおよそ1°~10°とすることができる。
【0077】
有利には、隆起部により、特に電気化学的装置のガス拡散層(GDL)に接触する本体基部の接触要素を形成することができる。接触要素は、例えばフローエレメントの接触面又は上面を規定しうる。ガス拡散層は、接触要素を介して本体基部に確実に接触することができる。
【0078】
好ましくは、接触要素はそれぞれが面対面の接触を可能とするために平面的となるよう構成される。
【0079】
好ましい実施形態では、接触要素は共通の接触面を形成しうる、又は規定しうる。
【0080】
あるいは、接触要素は仮想的な湾曲した面に配置することができる。例えば、本体基部はガス拡散層の半径と一致しうる比較的大きな半径を有することができる。
【0081】
流路の伸長方向において接触要素がジグザグ形状の進路を有すれば有利となりうる。狭められた領域及び通常の幅の領域、又は断面積が拡大された領域及び断面積が縮小された領域が設けられたジグザグ形状の進路は、例えば、上述したように流路の幅を調節した結果として生じうる。
【0082】
接触要素の進路が偏向している場合、例えばジグザグ形状の進路である場合、隣接する構成要素の接触要素に接触する位置を改善することができる。具体的には、バイポーラプレート、及び/又は電気化学的装置におけるフローエレメントの組立品の公差を改善することが可能となる。例えば、調節の振幅が隣接するフローエレメントの対向する隆起部の幅より小さい場合、フローエレメントが互いに対してこの程度までオフセットされた場合にはそれらのフローエレメントは必ず重なる。これは、燃料電池スタックの積層方向の力をより良く吸収することを可能とするためにバイポーラプレート又は電気化学的装置を堅牢な構造とするのに有利である。
【0083】
本体基部の隆起部は、有利には流路の伸長方向において、特に接触要素のジグザグ形状の進路に対してジグザグ形状を有することができる。
【0084】
前述の重なった領域の幅は、例えば流路の伸長方向に対して横方向の隆起部の幅、及び/又は流路を拡大又は狭める調節の振幅により調節可能、又は設定することができる。
【0085】
隆起部は、各流路の伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向の幅と同一の、又は実質的に同一の幅を流路の伸長方向にわたって有することができる。
【0086】
あるいは、隆起部は、流路の伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向の幅とは異なる幅を流路の伸長方向にわたって有することができる。
【0087】
流路は、少なくともいくつかの場所において、具体的には前述の接触要素により規定される平面に対して垂直な方向を向いている流路中心面に対して対称的に構成することができる。
【0088】
流路を流路中心面、又は流路中心線に対して非対称的に形成することができる。例えば、流路中心線は湾曲させることができる。流路の断面積が変動する場合の調節の幅は異なることがあり、特に隣接する流路で異なる調節を行いうる。
【0089】
本体基部上の流路は、少なくとも一部の領域において互いに対して平行に延びるようにすることができる。
【0090】
流路は、少なくとも一部の領域において本体基部上で一直線に延びうる。
【0091】
あるいは、又は加えて、流路は、少なくとも一部の領域において、例えば断面積が縮小された領域及び断面積が拡大された領域の使用に関連して偏向しうる。流路の内径が偏向した後に、流路を狭めることは好都合でありうる。
【0092】
例えば、断面積が拡大された領域(ディフューザ)内で少なくとも1つの流路を偏向させることができる。
【0093】
断面積が縮小された領域(コンフューザ)を、例えば流路の偏向に直接続けることができる。
【0094】
偏向の角度は、例えば0°~180°とすることができる。
【0095】
流路は、少なくとも一部の領域において、弧の形状で延びるように形成することができる。
【0096】
少なくとも一部の領域において、本体基部上の流路を蛇行路、具体的には矩形状の蛇行路に沿って延びるようにすることができる。この場合、流路内の流れを偏向させる要素において、流れの誘導を改善する目的で曲率半径を有限にすることができる。
【0097】
本体基部は、有利には第1面及び第1面から離れる方を向く第2面を有しうる。
【0098】
流路は第1面に配置することができる。第2面には、本体基部に更なる複数の流路を配置する、又は形成することができる。この場合、更なる複数の流路は、有利には第1面の隆起部の領域内に配置され、隆起部は有利には第2面の更なる複数の流路の間で第1面の窪んだ領域内に配置される。流路を形成する第1面の凹部は、その結果、第2面では対応する隆起部を有しうる。これに対応して、第1面の隆起部は第2面の複数の流路の間の対応する凹部、及びそれに応じた流路を有しうる。
【0099】
第1面の流路構造の「ネガ」(negative)でありうる流路構造を第2面に形成することができる。
【0100】
第2面には、流れの移行領域が好ましくは鞍状領域の領域内の更なる複数の流路のうちの隣接する流路の間に形成される。流れの移行領域は、好ましくは高さ方向に第2面の谷状領域の領域内に配置される突出部より低く延びるよう構成される。本実施形態では、流れの移行領域は第2面の鞍状領域に対応しうる。前記流れの移行領域は、第1面の谷状領域が形成されている領域内に配置される突出部ほど高く延びることはできない。流れの移行領域は、ある意味では、突出部の間の「ヨーク」(yoke)とみなしうる。
【0101】
突出部において、本体基部は、特にフローエレメントに接触する接触要素を形成する。具体的には、例えば、バイポーラプレートの更なるフローエレメントへの接触が可能となる。
【0102】
接触要素は、好ましくは平面的となるよう構成される。第1面、及び/又は第2面の平面的な接触要素により、特にこのような接触要素がバイポーラプレートや例えば燃料電池スタックを備える、又は形成する電気化学的装置で使用される場合に、フローエレメントへの力の導入を改善することができる。
【0103】
第2面の接触要素は、有利には共通の接触面を形成する。
【0104】
あるいは、接触要素は仮想的な湾曲した面に配置することができる。例えば、この面はガス拡散層の半径に対応する比較的大きな半径を有する。
【0105】
フローエレメントは、有利には一体的に形成される。
【0106】
フローエレメントは変形部分として設計することができる。例えば、本体基部はスタンピング工程で板、具体的には金属板を変形させることで形成される。
【0107】
フローエレメントは、その結果、金属板部分として設計することができる。
【0108】
フローエレメントは例えば金属で作ることができる。金属とは、この場合は元素金属又は合金でありうる金属材料であると理解される。金属の例として鋼鉄が挙げられ、具体的には、欧州規格の番号で1.4301、1.4306、1.4404、1.4438のステンレス鋼が挙げられる。例えば、チタンやアルミニウムを金属として使用することができる。
【0109】
変形部分として製造する場合は、特に堅牢な構造をフローエレメントに与えることができる。この場合、例えば、通常の高低差を有する領域内の大きな変形を有する本体基部の領域は、より小さな変形を有する領域、具体的には縮小された高低差を有する領域に直接隣接させることができる。変形中に材料がすぐ近くの領域から「流れ」て、その結果応力を受ける状態に置かれるため、その周囲をあまり目立たない構造とすることで、もっと極端に変形させることができる。
【0110】
この場合、具体的にはこれは、鞍状領域を用いることで谷状領域及び隆起部の谷状領域に関連する険しい側面の領域内でもっと極端な変形が可能となることを意味すると理解することができる。
【0111】
変形の場合は、通常の高低差を有する領域、つまり谷状領域が同時に通常の幅の領域であれば、特に有利である。これにより、隆起部の側面をより大きな半径とすることが可能となり、これにより、本体基部のより大きな長さを有するこれらの領域において変形をしやすくすることができる。
【0112】
第2面の平面的な接触要素は、有利には前述の突出部上に配置され、谷状領域は好ましくは第1面の反対側に位置する。変形中に谷状領域を比較的かなり広くなるよう成型するのはより容易であり、その結果、更なるフローエレメントに接触するための第2面の接触要素に比較的大きな接触面を設けることができる。これは、例えばフローエレメントを互いに接続する際に有利である。
【0113】
この接続は、例えば溶接により行うことができる。
【0114】
フローエレメントは熱成形法により製造することができる。
【0115】
例えば、フローエレメントはグラファイトで作られる。例えば、この場合はグラファイトは熱成形法により、「焼成により整形する」ことができる。
【0116】
フローエレメントは、例えばスタンピング加工した炭素化合物で作ることができる。
【0117】
フローエレメントを複合材料、特に炭素複合材料で作るのは有利となりうる。
【0118】
フローエレメントは、例えば積層プロセスにより形成することができる。
【0119】
本体基部及び/又はフローエレメントのコーティング、及び/又は表面処理は、例えば電気化学セルで使用する際に有利となりうる。
【0120】
フローエレメントの流路構造は、具体的には流れ場(flow field)として知られるものを形成する。様々な流れ場の種類を与えることができる。これには、例えば直線状の流れ場、蛇行した流れ場、ピン型流れ場、並びにこれらの組み合わせ及び/又はこれらの派生を含む。
【0121】
また、本発明は使用にも関する。本発明の使用は、電気化学的装置のバイポーラプレートにおける前述の種類のフローエレメントの使用である。
【0122】
最初に述べたように、本発明はバイポーラプレートにも関する。本発明のバイポーラプレートは特に電気化学的装置に適しており、少なくとも1つの本発明に係る前述の種類のフローエレメントを備える。
【0123】
フローエレメントの説明に関連してすでに述べた利点は、バイポーラプレートにおいても実現することができる。これに関しては、上の記述を参照することができる。
【0124】
本発明のバイポーラプレートの有利な実施形態は、本発明のフローエレメントの有利な実施形態に由来するので、やはりこれに関しても上の記述を参照することができる。
【0125】
バイポーラプレートは、有利には第1フローエレメント及び第2フローエレメントを備え、少なくとも1つのフローエレメントは前述の種類のフローエレメントである。
【0126】
第1フローエレメント及び第2フローエレメントは、有利には対応する接触要素を介して互いに接触する。
【0127】
バイポーラプレートの堅牢さを向上させるため、接触要素は好ましくは平面的となるよう構成される。加えて、これは例えばフローエレメントを互いに溶接で接続するのに有利である。
【0128】
対応する接触要素は、好ましくは平坦となるよう構成される。具体的には、第2フローエレメントに面する側の面の谷状領域の領域において、接触要素は第1フローエレメントに配置される。これは、例えば第1フローエレメントの第2面の前述の突出部を意味すると理解することができる。
【0129】
第2接触要素は、好ましくは少なくとも第1フローエレメントに面する側の面に流路構造を備える。具体的には、流路構造の複数の流路は、第1フローエレメントの、第2フローエレメントに面する側の面に形成される流路と位置を合わせることができる。
【0130】
第1フローエレメントは、例えば凹部が第2フローエレメントの方向へ延びるように、第2フローエレメント上に配置することができる。
【0131】
あるいは、第1フローエレメントは、隆起部が第2フローエレメントの方向へ延びるように、第2フローエレメント上に配置することができる。
【0132】
第1フローエレメントと第2フローエレメントの間の流れ移行経路が、好ましくは第1フローエレメントの複数の流路の間で、好ましくは本体基部の鞍状領域から離れる方を向く側の面に形成される。これは、具体的には前述の第2面とすることができて、流れ移行経路は複数の突出部の間の流れ移行領域に配置され、突出部は好ましくは第2フローエレメントに対する接触要素を形成することができる。
【0133】
第2フローエレメントは前述の種類のフローエレメントとすることができる。
【0134】
この場合、第1フローエレメントの凹部が第2フローエレメントの凹部と嵌合できるようにすることができる。有利には、第1フローエレメント及び第2フローエレメントの流路は同様に、又は実質的に同様に構成される。
【0135】
すでに述べたように、本発明は方法にも関する。本発明の目的は、堅牢な構造及び有利な流動特性を有するフローエレメントを製造することができる方法を提供することである。
【0136】
この目的は、本発明に従って前述の種類のフローエレメントを製造する方法により実現され、この方法には、互いに対してある角度を向いている2つの主要な伸長方向に延び、かつ主要な伸長方向に対して横方向、特に垂直な方向を向いている高さ方向に延びる本体基部に、横方向に互いに隣接して配置される複数の流路を有する流路構造を生成することを含み、流路は本体基部に複数の凹部により形成されて、複数の凹部の間に配置された本体基部の複数の隆起部により互いに離間しており、高さ方向に規定される、隆起部と隣接する凹部の高さの差分である通常の高低差を有する領域、及び隆起部と隣接する凹部の高さの差分である通常の高低差と比べて縮小された高低差を有する領域が形成され、流路の伸長方向には、少なくともいくつかの場所に通常の高低差を有する領域と縮小された高低差を有する領域が繰り返し形成され、隣接する流路の縮小された高低差を有する領域はそれぞれの流路の伸長方向に対して互いにオフセットされており、縮小された高低差を有する領域は鞍状領域を用いて本体基部上に形成され、通常の高低差を有する領域は鞍状領域の間に配置される谷状領域を用いて形成され、隣接する流路の谷状領域はそれぞれ鞍状領域の反対側に形成される。
【0137】
本発明の方法を用いて実現できる利点は、本発明のフローエレメントの説明に関連してすでに説明されている。これに関しては、上の記述を参照することができる。
【0138】
本発明の方法の有利な実施形態は、本発明のフローエレメント及び本発明のバイポーラプレートの有利な実施形態に由来する。これに関しても、上の記述を参照することができる。
【0139】
フローエレメントは、有利には変形法により形成され、この方法は板状の本体基部を準備することを含み、流路構造は変形法により形成される。
【0140】
フローエレメントは熱成形法により形成することができて、本体基部は流路構造と一体的に形成される。
【0141】
フローエレメントは積層プロセスにより形成することができて、本体基部は流路構造と一体的に形成される。
【0142】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、図面と共に本発明をより詳細に説明するのに役立つ。以下で説明されるフローエレメント、及び以下で説明されるバイポーラプレートは、本発明の方法の有利な実施形態を用いて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
図面において、
【
図1】
図1は、本発明のフローエレメント(第1フローエレメント)及び更なるフローエレメント(第2フローエレメント)の好ましい実施形態を含む、本発明のバイポーラプレートの好ましい実施形態における概略透視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1における第1フローエレメントの第1面の平面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2の線3-3で切断された、第1フローエレメントの部分透視図を示す。
【
図4】
図4は、透視図における第1フローエレメントの拡大された詳細図を示す。
【
図5】
図5は、
図2の線5-5に沿った第1フローエレメントの断面図を示す。
【
図6】
図6は、
図5の線6-6に沿った、第1フローエレメントの断面図を示す。
【
図8】
図8は、
図1の第1フローエレメントの第1面から離れる方を向いている第2面からの透視図を示す。
【
図10】
図10は、第1フローエレメントの第2面の平面図を示す。
【
図14】
図14は、第1フローエレメントの第2面の平面図をあらためて示す。
【
図18】
図18は、本発明の更なるフローエレメントの第1面からの切り出し部の平面図を示す。
【
図19】
図19は、本発明の更なるバイポーラプレートの断面図を略図で示す。
【
図20】
図20は、本発明の更なるバイポーラプレートの断面図を略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0144】
本発明のフローエレメント、及び本発明のバイポーラプレートの好ましい実施形態が以下で説明される。類似の、又は機能的に同等の特徴及び構成要素に対して、同じ参照符号が使用される。本発明の利点は最初に説明されたバイポーラプレート及びそのフローエレメントに関連して説明され、それらの利点は更なる有利な実施形態にも当てはまる。最も大きな差異だけが論じられる。
【0145】
図1は、電気化学的装置、例えば燃料電池装置(図面では示されていない)で使用される、全体が参照符号10で指定される本発明のバイポーラプレートの有利な実施形態の概略透視図を示す。バイポーラプレート10は、例えば燃料電池スタック内に配置することができる。ガス拡散層(GDL)はバイポーラプレート10の両側に配置することができる。
図1は、図面に示されているバイポーラプレート10の下面にあるガス拡散層を参照符号12を用いて破線で模式的に示している。
【0146】
バイポーラプレート10は、本発明のフローエレメントの好ましい実施形態である第1フローエレメント14と第2フローエレメント16とを備える。
【0147】
フローエレメント14は、ガス拡散層12に面する第1面18と、第2フローエレメント16から離れる方を向く第2面20を有する。以下で説明されるように、フローエレメント14は第2フローエレメント16に第2面20で接触する。
【0148】
更なるガス拡散層(分かりやすくするために図面には示されていない)を、第2フローエレメント16のフローエレメント14から離れる方を向く側の面に配置することができる。
【0149】
この場合、フローエレメント14は、具体的には互いに対して垂直でありうる2つの主要な伸長方向24、26に沿って延びる板状の本体基部22を備える。高さ方向28は、主要な伸長方向24、26に対して横方向、特に垂直な方向を向いている。フローエレメント14は高さ方向28に延びており、フローエレメント14の高さ方向28の高さはHである。
【0150】
本体基部22及びフローエレメント14は、すでに上で説明されているように、全体的に変形部分として、例えば、具体的には金属板から形成することができる。あるいは、例えば熱成形法により、又は生成的生産により製造が可能である。上の記述が参照される。
【0151】
本体基部22は、第1面18に複数の流路32を有する流路構造30を備える。この場合、複数の流路32は直線状に構成され、互いに対して平行に延びる。ただし、非直線状の流路、例えば曲がった流路、偏向された流路、又は蛇行路に沿って延びる流路も考えられる。流路32はそれぞれ伸長方向34を有する。流路32を流れる流体は流れの方向に流れることができて、流れは伸長方向34のどちらの向きに沿った方向とすることもできる。
【0152】
流体は特に反応物とすることができて、例えばガス拡散層12へ供給するための水素ガスや空気とすることができる。
【0153】
特に
図3~
図6から明らかなように、流路32は、前記複数の流路の各伸長方向34にわたって変動しうる自由な流れることが可能な断面を備える。これにより、反応物がガス拡散層12へよりうまく供給されるという利点が提供される。この場合、流路32の断面は高さ方向28、及び伸長方向34に対して横方向、特に垂直な方向である横方向36の両方に沿って変化する。
【0154】
流路32の断面を調節することで、流路32内の流体の静圧及び動圧が調整される。同時に、流路32にわたる圧力降下は、以下で説明されるフローエレメント14の有利な実施形態により可能な限り低く保たれる。静圧及び動圧の調節により、ガス拡散層12への流体の供給が改善される。
【0155】
特に
図3~
図5から分かるように、流路32は本体基部22の複数の凹部38及び複数の凹部38の間に位置する複数の隆起部40により形成される。流体は凹部38内を流れることができる。隣接する流路32はそれぞれ、隆起部40により互いに離間している凹部38を有する。
【0156】
各流路32の深さは、伸長方向34に沿って変化する。通常の高低差Nnを有する領域が設けられる。これらの領域は図面では参照符号42で示され、高さ方向28に沿った凹部38と隣接する隆起部40の間の高さの差分により規定される通常の高低差Nnを有する深さを持つ。
【0157】
さらに、流路32は、縮小された高低差Nrを有する、参照符号44で示される領域を有する。縮小された高低差Nrは、高さ方向28で通常の高低差Nnよりも小さい。また、縮小された高低差Nrは、高さ方向28における凹部38と隣接する隆起部40の間の高さの差分により与えられる。
【0158】
結果として、通常の差Nnを有する領域42の流路32は、縮小された高低差Nrを有する領域44の流路32より深い。
【0159】
フローエレメント14において、領域42はこの場合に凸状の鞍状領域46を用いて形成され、この場合、領域44は窪んだ谷状領域48を用いて形成される。
【0160】
鞍状領域46と谷状領域48は伸長方向34で交互に並ぶ。2つの谷状領域48はそれぞれ鞍状領域46と隣接し、逆もまた同様である。
【0161】
したがって、この場合に流路32は、鞍状領域46及び谷状領域48によって流路の深さが全体的に周期的に調節される。この場合、調節の周期、又は「位相」は、隣接する流路の間で半分の周期だけ、それぞれが互いからオフセットされている。
【0162】
流路32の鞍状領域46は、隣接する流路32の谷状領域48の反対側に位置しており、逆もまた同様である。この場合、「反対側」は、具体的には一つの流路32から隣接する流路32への隣接する隆起部40(
図3及び
図4)を経由した遷移を指す。
【0163】
特に
図4及び
図6から分かるように、鞍状領域46及び谷状領域48はそれぞれ略平面部分50又は52を有する。この場合、部分50、52は互いに対して平行に配列されて、やはり以下で論じられるように、具体的には第1面18のフローエレメント14の接触面54に平行に配列される。
【0164】
この場合、通常の高低差Nnが部分52で測定され、縮小された高低差Nrが部分50で測定されるが、これは本発明に対して制限とはならない。部分52は谷状領域48の谷底を形成し、部分50は鞍状領域46の頂上を形成する。
【0165】
鞍状領域46及び谷状領域48は互いに合流する。これは、部分50及び部分52が下降しながら、又は上昇しながら互いに接続される際に介する傾斜56により行われる(
図6)。部分50又は52により規定される各平面に対する傾斜56の入射角は、例えばおよそ2°~60°、好ましくはおよそ2°~40°である。
【0166】
鞍状領域46及び谷状領域48は傾斜56において互いに隣接しており、具体的にはそれぞれの傾斜56の半分は好ましくは鞍状領域46の一部とすることができて、残りの半分は谷状領域48の一部とすることができる。
【0167】
この例では、各鞍状領域46は、上昇する傾斜56の中心から下降している傾斜56へ部分50を介して延びる。
【0168】
この例では、各谷状領域48は、下降する傾斜56の中心から上昇する傾斜56へ部分52を介して延びる。
【0169】
鞍状領域のそれぞれの長さLSは、例えばおよそ1mm~25mmとすることができて、好ましくはおよそ2mm~10mmである。
【0170】
それぞれの長さLTは鞍状領域の長さLSに一致しうる、又は異なりうる。その結果、鞍状領域46及び谷状領域48は伸長方向34で同じ大きさ、又は実質的に同じ大きさとなりうる。
【0171】
各流路32内の周期(周期長P)は、例えばおよそ2mm~50mmであり、好ましくはおよそ4mm~20mmである。
【0172】
特に
図3、
図4、及び
図5から分かるように、伸長方向34での鞍状領域46及び谷状領域48における本体基部22の曲率はそれぞれ、本体基部22の横方向36に沿った曲率より小さい。隆起部40の側面58は、鞍状領域46において谷状領域48におけるよりも緩い勾配で延びる。谷状領域48と比べてより平坦な鞍状領域46により、側面の険しさ、及び/又は本体基部22の半径に関する設計の自由度がより大きくなる。
【0173】
ここで説明された、傾斜56及び部分50、52を用いた流路32の深さの調節の代わりに、異なる種類の深さ調節を、例えば連続的に、又は円弧状部分や正弦波状部分を複合させたものに沿って設けることもできる。
【0174】
すでに述べたように、流路32は、自由な流れることが可能な異なる断面を実現するためにその幅も調節される。
【0175】
具体的には、本体基部22は流路32上で通常の幅の領域60及び狭められた領域62を形成する。通常の幅の領域60においては、各流路32の幅BNは狭められた領域62における幅BVより大きい。
【0176】
通常の幅の領域60及び狭められた領域62は、伸長方向34に沿って周期的に繰り返すようにフローエレメント14に配置される。
【0177】
具体的には、伸長方向34に沿った通常の幅の領域60の長さは狭められた領域62の長さと等しい。
【0178】
この場合、狭められた領域62が鞍状領域46に配置され、通常の幅の領域60が谷状領域48に配置されることが特に有利である。これは、流路32のより浅い場所において、流路32は幅もより小さいことを意味する。逆に、より深い谷状領域48において流路はより広い。
【0179】
このようにして、流体の静圧及び動圧を効果的に調節できるようにするために、流路の深さ及び幅の両方で断面積を効果的に調節することができる。同時に、流路32の伸長方向34での圧力損失は、凸状の鞍状領域46及び対応する凹状に形成された谷状領域48を形成することと、通常の幅の領域60及び狭められた領域62を構成することで可能な限り低く保たれる。
【0180】
通常の幅の領域60の長さLN及び狭められた領域62の長さLVは同一とすることができて、鞍状領域46及び谷状領域48の長さLS及びLTとも同一にすることができる、あるいはそれぞれ異なるものとして、後者とも異なるものとすることもできる。その結果、例えば通常の幅の領域60及び狭められた領域62の周期長Pは、鞍状領域46及び谷状領域48の周期長Pと一致する。
【0181】
具体的には、流路32の狭められた領域62を、隣接する流路32の通常の幅の領域60の反対側に位置させることができて、逆もまた同様である。鞍状領域46及び谷状領域48の場合のように、隣接する流路32において、通常の幅の領域60及び狭められた領域62は有利には互いに対して周期長Pの半分だけオフセットされる。
【0182】
したがって、概して、本体基部22は有利には、一方では鞍状領域46及び谷状領域48が、他方では通常の幅の領域60及び狭められた領域62が、第1面18に規則的に配列されている。隣接する流路32の鞍状領域46、谷状領域48、通常の幅の領域60、及び狭められた領域62は、伸長方向34に沿って「千鳥状」に配置される。
【0183】
特に
図3及び
図4から分かるように、通常の幅の領域60及び狭められた領域62において流路32のそれぞれの幅は一定ではない。具体的には、例えば、通常の幅の領域60における幅B
Nは、部分52の略中心で伸長方向34に測定することができる。狭められた領域62における幅B
Vは、例えば、部分50の略中心で伸長方向34に測定することができる。
【0184】
通常の幅の領域60は、流路32を画定する両側面58がまず伸長方向34に沿って互いから離れて、その後にふたたび互いへ向かっていくように形成される。逆に、流路32を画定する隆起部40の側面58は、まず狭められた領域62で互いに向かって延びて、その後互いから離れていく。
【0185】
これにより、狭められた領域62はくびれを形成し、その最も狭い場所は好ましくは伸長方向34で鞍状領域46の中心に形成され、通常の幅の領域60は拡大部を形成し、その最も広い場所は伸長方向34で谷状領域48の中心に形成される(
図4)。
【0186】
各流路32の幅は、例えば各流路32の深さに関係なく、
図5に記号で示されているように高さ方向28で同じ場所で測定することができる。あるいは、例えば、各流路32の幅は凹部38と隆起部40の間の側面58の高さの半分において測定することができる。
【0187】
例えば、フローエレメント14に対する以下のパラメータは、特に変形法により金属板から製造する場合は有利でありうる。
通常の高低差NNは0.15mm~1.0mm、好ましくは0.2mm~0.6mm。
【0188】
縮小された高低差NRは0.05mm~0.6mm、好ましくは0.1mm~0.5mm。
【0189】
通常の幅の領域60における幅BNは0.3mm~3mm、好ましくは0.4mm~2mm。
【0190】
狭められた領域62における幅BVは0.2mm~2mm、好ましくは0.3mm~1mm。
【0191】
本体基部22を変形させる前の材料厚さは、例えば燃料電池装置において、特にフローエレメントの適用に応じて、例えばおよそ40μmからおよそ500μmとすることができて、好ましくはおよそ50μmからおよそ120μmである。例えばSOFC燃料電池では、かなり大きな厚さの材料が使用され、PEM燃料電池では幾分小さな厚さの材料が使用される。
【0192】
特に
図5及び
図6から分かるように、この場合は本体基部22の材料厚さは流路の深さ及び幅には含まれない。
【0193】
流路32内で発生しうる圧力調節の結果として、隣接する流路32の鞍状領域46、谷状領域48、通常の幅の領域60、及び狭められた領域62の位相のずれによって、隣接する流路の間で圧力変動が発生する。これによって、流路32の隆起部40を越えて各隣接流路32への流体の横方向の流れを形成することができる。結果として、ガス拡散層12は、電気化学的装置でのより高い効率を考慮し、隆起部40の領域においても流体が良好に供給される。
【0194】
この場合、隣接する流路32の間の流れの移行は、横方向36だけでなく一部は伸長方向34に沿って起こりうる。流れの移行は、複数の流路32の間で両方向に起こりうる。好ましくは、流れの移行は流路32の形状、特に隆起部40の形状に影響されうる。
【0195】
この場合は、概して、各流路32は流路の中心面Mに対して対称的となるよう構成される。
【0196】
鞍状領域46、谷状領域48、通常の幅の領域60、及び狭められた領域62はそれぞれ、各領域46、48、60,又は62における流路の中心面M、及び流路の横断面Qに対して本質的に対称的となるよう構成される。
【0197】
特に
図3及び
図4から分かるように、隆起部40は伸長方向34にわたって横方向36に略一定の幅を有しうる。
【0198】
最上部において、隆起部40はそれぞれ接触要素64を形成する。この場合、接触要素64は平面的である。隆起部40の接触要素64は、具体的には共通の平面である前述の接触面54を形成する。
【0199】
接触面54を介して、ガス拡散層12はフローエレメント14に第1面18で接触することができて、その結果、前記フローエレメントに対して規定された位置を取ることができる。
【0200】
接触要素64は、伸長方向34でジグザグ形状を有する。この場合、これは好ましくは、通常の幅の領域60及び狭められた領域62が、それぞれ拡大部を有する領域、くびれを有する領域として構成された結果である。
【0201】
接触要素64のジグザグ形状の進路のために、フローエレメント14は、複数のバイポーラプレート10及びその間に位置するガス拡散層が燃料電池スタック内で上下に積層されている場合に、組立品の第1面18での公差が大きい。
【0202】
フローエレメント14の第1面18から離れる方を向く第2面20の実施形態について、特に
図8~
図15を参照して以下で論じる。
【0203】
この場合、フローエレメント14は、凹部38がフローエレメント16の方を向き、隆起部40がフローエレメント16から離れる方を向くように、フローエレメント16に配置される。その結果、第2面20は、フローエレメント14のフローエレメント16に面する側の面となる。
【0204】
第2面20では、フローエレメント14はいわば第1面18の「ネガ」として形成される。凹部38では隆起部66が本体基部22の第2面20に配置され、隆起部40では凹部68が第2面20に配置される。このようにして、第2面20上で、本体基部22は複数の流路72を有する流路構造70を形成する。
【0205】
通常反応物が第1面18を流体として流れている間は、第2面20上の流路72が、例えば冷却材の流体を誘導するために使用される。
【0206】
第2面20では、流れの移行領域74が鞍状領域46に形成される。第2面20では、突出部76が谷状領域48の領域内に形成される。
【0207】
流れの移行領域74は、高さ方向28で突出部76よりも低く延びている。このようにして、流体が流れ移行領域74を越えて隣接する流路72へ入る流れ移行経路が第2面20の隣接する流路72の間に形成される可能性がある(
図9の矢印78)。このようにして、フローエレメント14により、第2面20上で効果的な流体の流れを特に冷媒を用いた温度制御(冷却及び/又は加熱)に対して実現することもできる。
【0208】
突出部76は第2面20上の接触要素80を形成する。フローエレメント14は接触要素80を介してフローエレメント16に接触する。
【0209】
この場合、接触要素80は第2面20上の部分52の領域に配置される。接触要素80は平面的となるよう構成される。この場合、接触要素80は接触面82を規定する。
【0210】
また、第2フローエレメント16は、主要な伸長方向24、26、及び高さ方向28へ延びる本体基部84も有する。フローエレメント16は、フローエレメント14から離れる方を向く第1面86と、フローエレメント14に面する第2面88を有する。
【0211】
第2面88では、本体基部84は、複数の凹部94及び複数の凹部94の間に位置する複数の隆起部96により形成される複数の流路92を有する流路構造90を形成する(
図1及び
図7)。
【0212】
フローエレメント14、16は、互いに対して流路72が流路92と位置合わせされて隆起部96が接触要素80に平面的に接触できるように置かれる。
【0213】
いくつかの場所において、フローエレメント16は主要な伸長方向24、26の両方に隆起部96と比べて拡大された基板状の支持要素98を備える。
【0214】
フローエレメント14、16の接続は、好ましくは支持要素98において、例えば溶接により行われる。このため、支持要素98は、好ましくは平面的となるよう構成され、フローエレメント14の接触要素80に平面的に接触することができる。このようにして、支持要素98は突出部76、すなわち、比較的広い谷状領域48の反対側に位置する第2面20に接触する。これにより、特に積層方向で確実な支持が可能となる。
【0215】
第1面86では、本体基部84は例えば更なる反応物を輸送するのに使用される流路構造100も形成する。
【0216】
特に
図11~
図13及び
図15~
図17から、間隙102の形の貫通開口が流れ移行領域74と隆起部96の間に形成されることがわかる。流れ移行経路は、上述したように間隙102を通過する。
【0217】
図18は、第1面18の平面視における、参照符号110で示される本発明のフローエレメントの詳細を示す。流路32が凹部38及び隆起部40と共に示されている。分かりやすくするため、鞍状領域46及び谷状領域48は
図18では隠されている。流路32の側面及び半径も同じ理由で示されていない。
【0218】
フローエレメント110には、断面積が拡大された領域112及び断面積が縮小された領域114が設けられる。最初に言及した領域はディフューザ116と呼ばれることもあり、2番目に言及した領域はコンフューザ118と呼ばれることもある。ディフューザ116の領域では断面が拡大し、コンフューザ118の領域では断面は縮小する。流れの方向は矢印120で示されている。
【0219】
この場合、ディフューザ116及びコンフューザ118は、伸長方向34に沿って異なる長さを有する。この場合、ディフューザ116は具体的にはコンフューザ118よりも長い長さを有する。
【0220】
ディフューザ116は広がっていく角度122を有し、コンフューザ118は縮小していく角度124を有する。角度122及び124の区間はそれぞれ、側面58に沿って延びる。
【0221】
この場合、広がっていく角度122及び縮小していく角度124は互いに異なる。この場合、縮小していく角度124が広がっていく角度122より大きければ有利でありうる。例えば、広がっていく角度はおよそ0.5°~20°であり、好ましくはおよそ1°~5°である。縮小していく角度は、例えばおよそ0.5°~20°であり、好ましくはおよそ1°~10°である。
【0222】
さらに
図18から明らかなように、各流路32は連続的な偏向部126を備え、直線としては構成されない。この例では、偏向の角度はおよそ10°~50°である。
【0223】
さらに、隆起部40は伸長方向34で様々な幅を有する。隆起部40の幅を流路32の断面積の変化及び偏向部126に適応させることは、特に流れている流体の死水域を防ぐのに役立ちうる。加えて、特にガス拡散層12との接触面は、隆起部40を拡大することでより大きくすることができる。
【0224】
フローエレメント110の実装において、例えば偏向の後にコンフューザ118により内径を小さくして断面積を狭小化することは、有利でありうる。
【0225】
フローエレメント110は本発明のバイポーラプレートの構成要素としうることが理解される。
【0226】
本発明によれば、
図18に示されるディフューザ116及びコンフューザ118が存在する実施形態を、
図18に示される偏向部126を持たないように変更することができる。例えば、ディフューザ116及びコンフューザ118は、流路の方向34に位置合わせが可能な共通の中心線を有する。
【0227】
図19は、参照符号130で示される本発明のバイポーラプレートの有利な実施形態の断面図を示す。
【0228】
バイポーラプレート130は、フローエレメント14と、フローエレメント14がその第2面20を介して面する更なるフローエレメント132とを備える。フローエレメント132は、フローエレメント14から離れる方を向く第1面86と、フローエレメント14に面する第2面88を有する。
【0229】
第2面には、複数の流路92を有する流路構造90が本体基部84上に形成される。この場合、隆起部96は凹部68に嵌合する。隆起部66は凹部94に嵌合する。このようにして、非常に小型のバイポーラプレート130を形成することができて、それに加えて好ましい堅牢な相互支持も実現することができる。
【0230】
バイポーラプレート130の場合、流体が流路72を流れないようにすることができる。その代わりに、流体はフローエレメント14とフローエレメント132との間の流路92を流れる。このため、凹部94は凹部38(
図19)よりも深くなるよう設計される。例えば凹部及び隆起部のそれぞれの傾斜又は側面の差異によって、流体を横方向に分布させることができる。
【0231】
図20は、参照符号140により示される、フローエレメント14及び第2フローエレメント142を備える本発明のバイポーラプレートの有利な実施形態を
図19に対応する方法で示す。フローエレメント142は、流路32の構成に関してフローエレメント14と同様に、又は少なくとも機能的に同様に形成される。
【0232】
フローエレメント142の第2面20は第2面20に面する。フローエレメント14及びフローエレメント142は、好ましくは互いに平面的に接触する。この場合、フローエレメント14、142は、互いに対して横方向36にオフセットされて配置される。このようにして、フローエレメント14、142のそれぞれの接触要素80は他方のフローエレメント142又は14の第2面20に、具体的には各隆起部40の領域で接触することができる。対応する接触領域が
図20で参照符号144により示されている。
【符号の説明】
【0233】
10 バイポーラプレート
12 ガス拡散層
14 第1フローエレメント
16 第2フローエレメント
18 第1面
20 第2面
22 本体基部
24 主要な伸長方向
26 主要な伸長方向
28 高さ方向
30 流路構造
32 流路
34 伸長方向
36 横方向
38 凹部
40 隆起部
42 通常の高低差を有する領域
44 縮小された高低差を有する領域
46 鞍状領域
48 谷状領域
50 部分
52 部分
54 接触面
56 傾斜
58 側面
60 通常の幅の領域
62 狭められた領域
64 接触要素
66 隆起部
68 凹部
70 流路構造
72 流路
74 流れの移行領域
76 突出部
78 矢印
80 接触要素
82 接触面
84 本体基部
86 第1面
88 第2面
90 流路構造
92 流路
94 凹部
96 隆起部
98 支持要素
100 流路構造
102 間隙
110 フローエレメント
112 断面積が拡大された領域
114 断面積が縮小された領域
116 ディフューザ
118 コンフューザ
120 矢印
122 広がっていく角度
124 縮小していく角度
126 偏向部
130 バイポーラプレート
132 フローエレメント
140 バイポーラプレート
142 フローエレメント
144 接触領域
【国際調査報告】