(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(54)【発明の名称】二酸化炭素の変換のための多機能触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/14 20060101AFI20230619BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20230619BHJP
B01J 29/12 20060101ALI20230619BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20230619BHJP
B01J 38/02 20060101ALI20230619BHJP
B01J 20/18 20060101ALI20230619BHJP
【FI】
B01J29/14 M ZAB
B01J29/76 M
B01J29/12 M
B01J29/74 M
B01J38/02
B01J20/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573278
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2021064557
(87)【国際公開番号】W WO2021240017
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504346525
【氏名又は名称】ネーデルランツェ・オルガニザーティ・フォール・トゥーヘパストナトゥールウェテンシャッペレイク・オンダーズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ピーテルセ, ヨハニス アルイシウス ザカリアス
(72)【発明者】
【氏名】エルジンガ, ヘラルト ダウエ
【テーマコード(参考)】
4G066
4G169
【Fターム(参考)】
4G066AA61B
4G066BA23
4G066CA43
4G066DA01
4G066FA37
4G169AA03
4G169AA10
4G169AA11
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC02A
4G169BC03A
4G169BC04A
4G169BC05A
4G169BC06A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC17A
4G169BC18A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC43A
4G169BC51A
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC62A
4G169BC64A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC67B
4G169BC68A
4G169BC70A
4G169BC71A
4G169BC72A
4G169BC73A
4G169BC74A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169CB02
4G169CB46
4G169CB62
4G169CB63
4G169CB66
4G169CB70
4G169CB71
4G169CB81
4G169CC21
4G169CC22
4G169CC23
4G169CC24
4G169CC27
4G169DA05
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EB18Y
4G169EC11X
4G169EC11Y
4G169EC12X
4G169EC12Y
4G169EC13X
4G169EC13Y
4G169EC28
4G169FA02
4G169FA08
4G169FB14
4G169FB44
4G169FC08
4G169GA01
4G169ZA02A
4G169ZA02B
4G169ZA03A
4G169ZA03B
4G169ZC04
4G169ZC07
4G169ZD06
4G169ZE09
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
(57)【要約】
本発明は、CO2を有用な生成物に、例えば逆水性ガスシフト反応によってCOに変換するための、多機能触媒に関する。本発明の触媒は、固体水分収着剤に、H2及びCO2を含むガス混合物からCO2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させることにより、水分収着機能性及び少なくとも1つの触媒機能性を単一の粒子に効率的に組み合わせる。本発明の触媒は、温度及び圧力の観点でより寛大な条件でのCO2の変換におけるより高い選択性、並びに上記触媒自体の改善した安定性を可能にする。本発明はまた、上記触媒を利用してCO2を変換する方法、及びCO2の変換における上記触媒の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
H
2及びCO
2を含むガス混合物からCO
2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒の、CO
2の変換のための触媒としての使用であって、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、使用。
【請求項2】
CO
2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、前記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
H
2及びCO
2を含むガス原料からのCO
2の変換のための方法であって、前記ガス原料を、H
2及びCO
2を含むガス混合物からCO
2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒に供するステップを含み、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、方法。
【請求項4】
CO
2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、前記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変換がRWGS反応である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
100~500℃の範囲、好ましくは200~400℃の範囲の温度で行われる、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が0.5~20MPa、好ましくは1~10MPa、より好ましくは1.5~5MPaの範囲の圧力で行われる、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原料におけるH
2対CO
2のモル比が10:1~1:5、好ましくは5:1~1:1の範囲内、より好ましくは約4:1であり、及び/又は前記原料が更にCOを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
更に前記触媒を再生させるステップを含み、前記再生させるステップでは、圧力を少なくとも0.1×10
6Pa減少させ、好ましくは0.1×10
6Pa~0.3×10
6Paの範囲の圧力にする、及び/又は温度を少なくとも20℃上昇させ、好ましくは370℃~500℃の範囲の温度にする、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
H
2及びCO
2を含むガス混合物からのCO
2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒であって、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、多機能触媒。
【請求項11】
前記収着剤が、1から2の間の範囲、より好ましくは1から1.5の間の範囲のSi/Alモル比を有し、最も好ましくは前記Si/Alモル比が1であり、好ましくは前記収着剤が、LTAゼオライト、X型ゼオライト及びそれらの混合物から選択されるゼオライトであり、好ましくは多機能成分が、LTA-4Aゼオライト及び/又はゼオライト13Xを含む、請求項1若しくは2に記載の使用、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10に記載の多機能触媒。
【請求項12】
前記細孔が4~8Åの範囲の直径を有する、請求項1、2若しくは11に記載の使用、請求項3~9及び11のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10若しくは11に記載の多機能触媒。
【請求項13】
前記収着剤の内側表面及び外側表面に、少なくとも1つの金属触媒が含浸されており、及び/又は前記収着剤に、前記多機能触媒の全重量に基づいて0.1~40wt%、好ましくは1~30wt%の前記金属が含浸されている、請求項1、2、11若しくは12に記載の使用、請求項3~9、11及び12のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~12のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【請求項14】
前記少なくとも1つの金属が、Pt、Cs、Cu、Rh、Au、Zn、Co、Fe、Mo、Zn、Mn、Ru、Ir、Os、Ag、Al、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Ce、Re、In、Zr、Ni、Mg、Al、Pd、Ga及びそれらの混合物からなる群、好ましくはPt、Cu、Rh、Ir、Ru、Pd、Os、Cs、Fe、Zn及びそれらの混合物、より好ましくはPt、Zn、Fe、Cs、Cu及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1、2、11~13のいずれか一項に記載の使用、請求項3~9、11~13のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~13のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【請求項15】
前記固体収着剤に、メタノールからのジメチルエーテルの合成又はエタノールからのジエチルエーテルの合成を触媒可能な第2の金属が更に含浸されている、請求項1、2、11~14のいずれか一項に記載の使用、請求項3~9、11~14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~14のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
[0001]本発明はガスプロセスの分野におけるものであり、CO2を、例えば逆水性ガスシフト反応(RWGS)によって、有用な生成物に変換するための多機能触媒に関する。本発明は更に、CO2の変換反応における上記触媒の使用、及び対応する方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
[0002]世界のエネルギー消費量は人口増加及び産業化のため急増しており、現在消費されている主なエネルギー源は化石燃料であることから、人為的なCO2排出量が急速に増大している。大気中のCO2濃度の上昇は、地球温暖化及びさまざまな環境問題を引き起こしている。CO2排出量を減らすための国際的な取り組み、例えば多国籍のパリ協定が提案されている。同時に、多くの研究が、再生可能なエネルギー源の発展及び応用、並びにCO2を捕捉し利用する技術に重点を置いている。
【0003】
[0003]大型の材料の有益なビルディングブロックの製造においてCO2の反応性が低いこと(低い平衡変換率)により、CO2の効果的な利用は妨げられている。例えば、CO2:H2が1:3の場合のCO2のジメチルエーテル又はメタノールへの変換は、単一パス変換率がわずか約8%(275℃、40bar)であることに悩まされており、一方でCOが豊富な供給物からの合成は変換率を大きく改善し、同様の条件で50%を超える単一パス変換率となる。従って、CO2の利用は、COへの効率的な変換により大きく促進されると考えられる。例えば、逆水性ガスシフト(RWGS)反応は、H2を消費してCO2をCOに変換する最も良く知られた方法である:H2+CO2⇔CO+H2O(ΔH0 41kJ/mol)。RWGS反応は、非常に適応性の高い化学的中間体であるCOを製造する。例えば、上記反応は、フィッシャー-トロプシュ手法と組み合わせて液体炭化水素燃料を製造することができる。更に、上記反応はまた、新世代の交通燃料として可能性のあるメタン、メタノール、及びジメチルエーテルの製造、並びに有益な化学物質、例えばパラフィン、オレフィン、及び芳香族化合物の製造において用いることもできる。
【0004】
[0004]RWGSは吸熱反応である。正反応は選別され、高温でのみ化学平衡が生成物の方向(即ち、CO+H2O)にシフトされる。50%の変換率を達成するためには、800℃を超える温度が通常必要とされる。低温(300℃、1bar(a))でのCOに対する選択性は、収着促進手法を用いることで改善することができる(「Efficient production of solar fuel using existing large scale production technologies」(2011、Environ.Sci.Technol.)におけるHaije,W.らを参照)。「Sorption‐enhanced reaction process」(1996、AIChE Journal)においてCarvill,B.T.らは、触媒と、250℃の動作温度及び3.8barの圧力でのCO2変換を可能にする収着剤との混合物の固定充填カラムの使用について記載している。H2Oは、多くの平衡限界反応、例えば水性ガスシフト反応及びジメチルエーテル合成の主な副生成物であり、H2Oをその場で除去すると、変換が大幅に促進され、従ってプロセス強化がもたらされると考えられる。これはルシャトリエの原理に基づくものであり、それによれば、平衡限界反応における反応物質の生成物への変換は、反応生成物を選択的に除去することにより増大する。「Promotion effects of potassium(K) on the activity and selectivity of Pt/LTL catalysts for reverse water gas shift reaction」(2017、Applied Catalysis B:Environmental)においてYang,X.らは、ゼオライトL担持白金触媒にカリウム促進剤を制御しながら添加することが、CO2減少の触媒活性及び選択性に有益であったことを記載している。K及びPt付近は、CO2吸着及び反応部位での反応を促進した。しかしながら、この促進効果はルシャトリエの原理に基づくものではなく、従って、収着促進反応プロセスではない。また、Yangらの研究におけるCO2の変換は、低温、即ち250~335℃であったが、やはりほとんど有意ではなかった(<5%)。
【0005】
[0005]本発明は、CO2を、例えばRWGS反応によって有益な生成物に変換することを更に改善することを必要として提供する。
【0006】
[発明の概要]
[0006]本発明者らは、CO2の変換において従来の触媒よりも優れた多機能触媒を開発した。本発明の触媒は、温度に誘導される触媒の失活を回避する、温度の観点でより寛大な反応条件での、及び続いてのプロセスでの更なる生成物の合成のために必要とされる反応条件で非常に良好に通常調整される圧力での、生成物形成へのより高い変換率を可能にする。更に、本発明の触媒は、一連のプロセスステップにおいてCOを他の生成物へと反応させるために必要とされる高圧において、CO形成に対するより高い選択性を可能にする。本発明の多機能触媒は、H2及びCO2を含むガス混合物からCO2を有用な生成物に変換するのを触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む。含浸させたモレキュラーシーブにおける金属含有量は、上記触媒の全重量に基づいて40%以下である。上記収着剤は、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブである。
【0007】
[0007]本発明の触媒は、CO2及びH2を含むガス混合物からのいくつかの有益な生成物、例えばCO、低級アルコール(例えばメタノール、エタノール)、エーテル(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル)及び炭化水素の形成において用いることができる。本発明の多機能触媒は、温度及び圧力の観点でより寛大な条件でのCO2の変換におけるより高い選択性を可能にする。更に、この手法は、本発明の均質な触媒では回避される、非常に相違する物理化学特性(例えば分離性、均一性、スケールアップ性、摩耗性、安定性)を有する成分の混合物に基づく触媒系を用いる場合に典型的に直面する課題を克服する。
【0008】
[0008]本発明は、これらの可能性のある生成物のいずれかの形成のための汎用的方法を提供する。本発明の多機能触媒の構成要素(例えば、細孔サイズ及びSi/Al比のような収着剤、金属触媒の種類)、及び原料の組成(例えば、CO2対H2の比、COの存在及び含有量)を慎重に選択することは、所望の生成物への最適な変換をもたらす。また、本発明は、多数の(特に3つの)機能性を合わせることを提供し、この場合には少なくとも2つの機能性が本発明の触媒粒子により提供され、第3の機能性が別の触媒粒子により提供されるか又は同じ粒子内において組み合わせられるかのいずれかである。
【0009】
[0009]より詳細には、本発明は、以下の好ましい実施形態により規定することができる。
【0010】
1.H2及びCO2を含むガス混合物からCO2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒の、CO2の変換のための触媒としての使用であって、上記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、上記触媒における金属含有量が、上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、使用。
【0011】
2.CO2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、上記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、実施形態1に記載の使用。
【0012】
3.H2及びCO2を含むガス原料からのCO2の変換のための方法であって、上記ガス原料を、H2及びCO2を含むガス混合物からCO2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒に供するステップを含み、上記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、上記触媒における金属含有量が、上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、方法。
【0013】
4.CO2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、上記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、実施形態3に記載の方法。
【0014】
5.上記変換がRWGS反応である、実施形態4に記載の方法。
【0015】
6.100~500℃の範囲、好ましくは200~400℃の範囲の温度で行われる、実施形態3~5のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
7.上記反応が0.5~20MPa、好ましくは1~10MPa、より好ましくは1.5~5MPaの範囲の圧力で行われる、実施形態3~6のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
8.上記原料におけるH2対CO2のモル比が10:1~1:5、好ましくは5:1~1:1の範囲内、より好ましくは約4:1であり、及び/又は上記原料が更にCOを含む、実施形態3~7のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
9.更に上記触媒を再生させるステップを含み、上記再生させるステップでは、圧力を少なくとも0.1×106Pa減少させ、好ましくは0.1×106Pa~0.3×106Paの範囲の圧力にする、及び/又は温度を少なくとも20℃上昇させ、好ましくは370℃~500℃の範囲の温度にする、実施形態3~8のいずれか1つに記載の方法。
【0019】
10.H2及びCO2を含むガス混合物からのCO2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒であって、上記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、上記触媒における金属含有量が、上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、多機能触媒。
【0020】
11.上記収着剤が、1から2.0の間の範囲、より好ましくは1から1.5の間の範囲のSi/Alモル比を有し、最も好ましくは上記Si/Alモル比が1であり、好ましくは上記収着剤が、LTAゼオライト、X型ゼオライト及びそれらの混合物から選択されるゼオライトであり、好ましくは多機能成分が、LTA-4Aゼオライト及び/又はゼオライト13Xを含む、実施形態1若しくは2に記載の使用、実施形態3~9のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態10に記載の多機能触媒。
【0021】
12.上記細孔が4~8Åの範囲の直径を有する、実施形態1、2若しくは11に記載の使用、実施形態3~9及び11のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態10若しくは11に記載の多機能触媒。
【0022】
13.上記収着剤の内側表面及び外側表面に、少なくとも1つの金属触媒が含浸されており、及び/又は上記収着剤に、上記多機能触媒の全重量に基づいて0.1~40wt%、好ましくは1~30wt%の上記金属が含浸されている、実施形態1、2、11若しくは12に記載の使用、実施形態3~9、11及び12のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態10~12のいずれか1つに記載の多機能触媒。
【0023】
14.上記少なくとも1つの金属が、Pt、Cs、Cu、Rh、Au、Zn、Co、Fe、Mo、Zn、Mn、Ru、Ir、Os、Ag、Al、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Ce、Re、In、Zr、Ni、Mg、Al、Pd、Ga及びそれらの混合物からなる群、好ましくはPt、Cu、Rh、Ir、Ru、Pd、Os、Cs、Fe、Zn及びそれらの混合物、より好ましくはPt、Zn、Fe、Cs、Cu及びそれらの混合物からなる群より選択される、実施形態1、2、11~13のいずれか1つに記載の使用、実施形態3~9、11~13のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態10~13のいずれか1つに記載の多機能触媒。
【0024】
15.上記固体収着剤に、メタノールからのジメチルエーテルの合成又はエタノールからのジエチルエーテルの合成を触媒可能な第2の金属が更に含浸されている、実施形態1、2、11~14のいずれか1つに記載の使用、実施形態3~9、11~14のいずれか1つに記載の方法、又は実施形態10~14のいずれか1つに記載の多機能触媒。
【0025】
[詳細な説明]
[0010]従って、本発明の第1の態様は、CO2の変換のための多機能触媒に関する。上記触媒は、H2及びCO2を含むガス混合物からのCO2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む。含浸させた固体水分収着剤における金属触媒含有量は、上記触媒の重量に基づいて40%以下である。上記収着剤は、50未満のSi/Alモル比を有するモレキュラーシーブであり、3~20Åの範囲の直径を有する細孔(又はケージ)を含む。
【0026】
[0011]第2の態様では、本発明は、CO2の変換のための触媒としての本発明の触媒の使用に関する。第3の態様では、本発明は、H2及びCO2を含むガス原料からのCO2の変換のための方法であって、上記ガス原料を本発明の触媒に供するステップを含む方法に関する。
【0027】
[0012]本発明の触媒、又はその好ましい実施形態について言及がなされる場合はいつでも、それが本発明の使用及び方法に同様に適用される。また、本発明の使用について言及がなされる場合はいつでも、それが本発明の方法に同様に適用される。
【0028】
触媒
[0013]まず初めに、本発明は、CO2の変換のための多機能触媒に関する。本発明の触媒は、CO2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒であって、上記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、上記触媒における金属含有量が、上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である。上記触媒の多機能特性は、その水分の収着能、及びそのCO2を変換し、任意選択でCO2からの中間生成物を更に変換する触媒能にある。従って、本発明の触媒は少なくとも2機能性であるが、更なる機能性を有していてもよい。好ましくは、上記触媒は2機能性又は3機能性である。
【0029】
[0014]典型的に活性化エネルギーを低下させることによりCO2の変換を触媒する触媒粒子は、反応速度論を上昇させる変換反応を行う必要があった。触媒の存在下、上記反応は、通常、プロセス条件での平衡に達するまで続くのがせいぜいであると考えられ、得られた生成物は平衡混合物であり、これはかなりの量の反応物質(複数可)を含むと考えられる。収着剤粒子は、生成物のうち1つ、本発明に関しては水分を生成混合物から除去することによって平衡をシフトさせ、それにより平衡は生成物へとますますシフトしていく。従って、得られた生成混合物は、主に、CO2が変換されたもの(例えばRWGS反応に関してはCO)及びかなり少ない反応物質(複数可)を含むと考えられる。また、水分は上記収着剤に収着されるため、生成反応物には大部分が存在しないと考えられる。従って、本発明の使用及び方法は、「収着促進された」と言うこともできる。しかしながら、反応が全くない場合、平衡のシフトは起こらない。従って、触媒の非存在下では、上記収着剤の効果は起こり得ない。本発明は、これらの2つの機能性を単一の触媒粒子に組み合わせており、この場合にはCO2の変換の触媒作用が起こり、一方で同時に、同じ粒子において反応生成物の1つ、典型的には水分が収着されて反応混合物から除去され、反応混合物は平衡へと移動していく。従って、上記多機能触媒は、上記粒子の表面が、含浸された金属を理由とする触媒部位、及びそれらのカチオン形態のモレキュラーシーブに典型的に存在する収着部位の両方を含む場合にのみ機能することができる。従って、上記触媒における金属含有量は、上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下、好ましくは30%以下であるべきである。別の方法では、金属量は、金属を含浸させた収着剤の表面のうち最大で75%、好ましくは最大で50%と規定される。
【0030】
[0015]本発明の多機能触媒は、15~200barの高圧、及び比較的低い温度、例えば225~335℃であっても、CO2の変換の生成物に対する高い選択性を与える。例えば、RWGS反応によるCO2のCOへの変換は、300℃、15~25barの高圧で円滑に進行した。更に、本発明の多機能触媒は、それが1種の粒子を含むという点で均質であり、一方で従来の多機能触媒系は、収着剤を有する1種の粒子、及び触媒を有する他の種(複数可)の粒子(複数可)を含む。そのような異質の粒子は、系の均一性、分離性、拡張可能性及び不安定性の課題を生じさせる。そのような課題は、主に、硬い触媒粒子と柔らかい収着剤粒子との間の硬さの相違、及び物質移動の制限により引き起こされる。例えば、収着剤粒子及び触媒粒子からなるそのような従来の系が流動床反応器で共に混合される場合、上記収着剤粒子はすばやく砕けて粉末となり、それらの収着能を失うであろう。このことは、1種の粒子である金属触媒を含浸させた収着剤を含む本発明の多機能触媒では回避される。
【0031】
[0016]本発明者らは、CO2の変換を触媒すること及び水分を吸着させることの両方を行う材料である多機能反応性収着剤を用いることで、これらの効果を達成した。上記多機能反応性収着剤は、特定の水分収着剤、及び上記収着剤の表面、好ましくはその細孔に含浸させた金属を含む。従って、上記多機能触媒は、CO2を変換する反応性ポケット、及びH2Oを吸着することのできる領域の両方を含む。従って、上記収着剤及び触媒が1つの材料に統合されていることから、CO2の変換は容易にスケールアップすることができる。
【0032】
[0017]上記多機能触媒は固体材料であり、好ましくは粒体である。上記粒体は、球状、構造体(例えば複合材料、タンデム、ハイブリッド)、ペレット等であることができる。有利には、上記粒体は、150~600μm、好ましくは200~450μmの範囲の直径を有する粒子を含む。当業者は、内外の物質移動基準に基づいた粒子のサイズの決め方を理解する。従って、好ましい実施形態において、本発明の触媒は、CO2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた収着剤を含む粒子である。
【0033】
[0018]上記触媒の収着剤部分は、固体水分収着剤である。上記収着剤は、モレキュラーシーブである。水分子を収着可能ないずれのモレキュラーシーブも本発明に関して適するが、好ましくは、ゼオライト(ミクロポーラス又はメソポーラス又はそれらの混合物)が収着剤として用いられる。3~20Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトが、水分子の選択的収着に関して当業者に知られている。好ましくは、上記細孔は、4~9Åの範囲の直径を有する。上記ゼオライトの細孔構造はまた、所望の生成物に対する生成物選択性を導くのに有益となりうるケージを含んでいてもよい。
【0034】
[0019]当業者は、全てのゼオライトが水分収着剤であるわけではないことを理解しており、本発明に関して用いられるゼオライトは「固体水分収着剤」、即ち、水分を吸着可能なゼオライトに分類される。そのプロトン化(酸性)形態又はアンモニウム形態のゼオライトは、通常、水分を吸着することができず、従って、本発明に関しては考慮されない。プロトン化ゼオライトの有するプロトンは、負電荷を帯びたゼオライト骨格に会合している。言い換えれば、ゼオライト骨格において、カチオンがはめ込まれるのに利用可能な部位は、プロトンが占めている。ゼオライトのこのプロトン化形態は広く知られており、その酸性形態のゼオライトに対応しており、この場合には酸性とはブレンステッド酸のことである。プロトン化ゼオライトは塩基性ゼオライトとは混同されず、その塩基性ゼオライトは、これらの収着部位にカチオンを有し、プロトンは有さない。これらのカチオンは、典型的には1族及び2族金属のカチオンであり、上記収着剤に水分吸着能を与える。これらのゼオライトはまた、「交換」されていると言うこともでき、これはプロトンの場所を取られたカチオンについて言うものである。当業者であれば分かるように、水分は典型的に、それらの収着部位に位置する(金属)カチオンに吸着する(例えばEzzi及びMa、Equilibrium Adsorption Isotherm Mechanism of Water Vapor on Zeolites 3A, 4A, X, and Y、Proceedings of the ASME 2017 International Mechanical Engineering Congress & Exposition、11月3日~9日、2017、Tampa、Florida、USAを参照)。上記収着部位にプロトンではなくカチオンが存在するゼオライトの形態は、「カチオン性」又は「塩基性」とも呼ばれる。従って、特に好ましい実施形態において、ゼオライトはカチオン形態である。好ましい実施形態において、ゼオライトはNa+、Li+、K+、Ba2+、Mg2+、Ca2+又はそれらの混合物を含む。
【0035】
[0020]好ましい実施形態において、上記固体水分収着剤は、LTAゼオライト、FAU X型、超安定性Y(USY)を含むFAU Y型、EMT、BEA、CHA(ALPO、APSO、SAPO、SSZ-13)、AFI(ALPO4-5、SAPO-5、SSZ-24)ゼオライト、並びに混合物及び誘導体(脱アルミニウム化、アルカリ処理及び酸処理、希土類金属による促進化及び安定化、ハイブリッド、部分交換等)、並びにその天然の対応物から選択されるゼオライトである。好ましいゼオライトは、LTAゼオライト、X型ゼオライト及びAFIから選択され、より好ましくは、USY、LTAゼオライト及びX型ゼオライトから選択される。特に好ましい実施形態において、ゼオライトは、USY、LTA-4A、EMT、AFI及び13Xから選択される。そのより大きな細孔のために、ゼオライトUSY、EMT、AFI及び13Xが、より大きな分子、例えばメタノール又はオレフィンを作製するのに特に適している。従って、1つの実施形態において、RWGS反応のようにCO2の変換が意図する最終生成物としてのCOへの変換ではなく、好ましくは最終生成物がメタノール、エタノール、オレフィン又はジメチルエーテルである場合、上記収着剤はUSY、EMT、AFI及び13Xである。
【0036】
[0021]ゼオライトLTA(Linde A型)は、アルミノシリケートモレキュラーシーブのファミリーに属する。それは式[Na+
12(H2O)27]8[Al12Si12O48]8(国際ゼオライト協会-IZA)で特徴付けられる。ゼオライトAにおけるナトリウムイオンは、他のカチオン、例えばリチウム(Li-LTA)、カリウム(K-LTA)、又はカルシウム(Ca-LTA)と交換することができる。1つのイオンが他のイオンにより交換されている場合、開口している細孔のサイズが変化する。ゼオライトLTA-3Aにおけるカリウムイオンをより小さいナトリウムイオンで交換することで、細孔の直径が増大したゼオライトLTA-4Aとなり、その直径が分子浸透のためのその近づきやすさを決定する。ナトリウムがCa2+と2:1で交換されるとゼオライト5Aが得られる。
【0037】
[0022]ゼオライトXは、フォージャサイト型構造(FAU)を有するアルミノシリケートモレキュラーシーブのファミリーに属する。それは式[(Ca2+,Mg2+Na+
2)29(H2O)240][Al58Si134O384]-FAU(国際ゼオライト協会-IZA)で特徴付けられる。構造的には、LTAゼオライト及びX型は比較的類似している。両方ともβ-ケージからなり、四角形及び六角形の面を含む。両方の型において、これらのケージはつながって非常に親水性の高いスーパーケージを作り出す。本発明者らは、LTA-4Aゼオライト及びゼオライト13Xで最適な結果を得た。
【0038】
[0023]本発明の触媒において収着剤として用いられるモレキュラーシーブは、50未満、例えば1~50の範囲のSi/Alモル比を有する。好ましいSi/Alモル比は、以下に更に規定されるように、CO2変換反応の特定の生成物に依存する可能性がある。一般的に言えば、Si/Al比は10未満、好ましくは5未満、より好ましくは1~4.0の範囲内であることが好ましく、最も好ましくはSi/Al比は1~2の範囲内である。別の好ましい実施形態において、Si/Al比は10~50の範囲内、より好ましくは20~30の範囲内である。Si/Alモル比が高いと、上記塩基性ゼオライト収着剤の親水性及び水分収着能が低下し、本発明の触媒の多機能性が損なわれる。2を超える又は10までものSi/Al比を有するゼオライトが適している。これらのAl含有量低下は、わずかに低い水分収着能をもたらす。
【0039】
[0024]ゼオライトのプロトン化した酸性形態では、Al含有量低下は残っているプロトン化部位の酸性部位強度をいくらか上昇させ、これは例えばジメチルエーテル又はジエチルエーテルへの(アルコールの)脱水のために有益である。従って、特に以下に更に規定する3機能性触媒に関して、Si/Al比は、2.5を超える、例えば2.5~50の範囲、好ましくは5~30の範囲であることができる。上記CO2の変換が脱水を含む場合、ゼオライトは、好ましくは、(脱水に有益な)プロトン性酸性部位及び(吸着に有益な)塩基性部位の両方の部分交換状態である。酸性(プロトン化)部位対塩基性部位の比は、最大で25/75、好ましくは最大で10/90、最も好ましくは最大で5/95である。好ましくは、ゼオライトは大部分がカチオン(交換)状態であり、酸性度は、脱アルミニウム化又は他の構造的欠陥により生じたいわゆる骨格外アルミニウム部位に関する、ルイス酸部位の形態で示すことができる。必要に応じて、Si/Al比は、ゼオライト(脱アルミニウム化)からのAlの浸出により高めることができる。そのような手順は当業者に知られている。
【0040】
[0025]上記収着剤には、H2及びCO2を含むガス混合物からのCO2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属が含浸されている。本発明に関しては、上記収着剤の全表面が含浸されることは必要とされない。好ましくは、上記収着剤には、上記触媒の全重量に基づいて0.1~40wt%、より好ましくは1~30wt%の金属が含浸されている。最適な金属含有量は、所望の生成物及び用いられる特定の金属又は金属の組み合わせに応じて変化することができる。好ましい実施形態では、少なくとも内側表面(細孔)に上記金属が含浸されており、より好ましくは内側表面(細孔内)及び外側表面(粒子の外側)の両方に上記金属が含浸されている。
【0041】
[0026]CO2を有用な生成物に変換するいくつかの反応が知られている。そのような有用な生成物は、例えばCO、低級アルコール(例えばメタノール、エタノール)、低級エーテル(例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル)、アルカンから選択することができる。好ましい実施形態において、上記CO2の変換は逆水性ガスシフト(RWGS)反応を含み、最も好ましくは、上記CO2の変換はRWGS反応であり、生成物はCOである。更なる適切な反応は、CO2のアルコール、好ましくはメタノール又はエタノール、最も好ましくはメタノールへの水素添加である。更なる適切なCO2の変換は、CO2のアルコールへの水素添加、及び続いてのエーテル、好ましくはジメチルエーテル又はジエチルエーテル、最も好ましくはジメチルエーテルへの脱水を含む。更なる適切なCO2の変換は、炭化水素又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応を含む。
【0042】
[0027]当業者は、所望のCO2の変換を触媒することのできる金属、又は金属の組み合わせを選択することができる。好ましい実施形態において、上記収着剤には、Pt、Cs、Cu、Rh、Au、Zn、Co、Fe、Mo、Zn、Mn、Ru、Ir、Os、Ag、Al、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Ce、Re、In、Zr、Ni、Mg、Al、Pd、Ga及びそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくは、Pt、Cu、Rh、Ir、Ru、Pd、Os、Cs、Fe及びZnからなる群より選択される、少なくとも1つの金属が含浸されている。より好ましくは、上記金属は、Pt、Cs、Cu、Fe、Zn、Rh及びそれらの混合物からなる群より選択される。更により好ましくは、上記金属は、Pt、Cs、Cu、Fe及びそれらの混合物からなる群より選択される。更に好ましい実施形態において、上記金属は、Pt、又はPtを含む混合物であり、最も好ましくは、Pt、又はPt及びCsを含む混合物である。最も好ましくは、上記金属は、Pt、又はPt、Cs及びCu若しくはFeを含む混合物である。
【0043】
[0028]1つの特に好ましい実施形態において、上記収着剤には、Ptが含浸されている。Ptが存在する場合、上記モレキュラーシーブには、好ましくは、上記多機能触媒の全重量に基づいて0.1~8wt%、好ましくは0.2~3wt%、より好ましくは0.5~2wt%のPtが含浸されている。Ptが存在する場合、上記収着剤に含浸させる金属は、好ましくはRh、Ru、Ir、Pd、Os、Fe、Cs、Cu、Zn、又は他の遷移金属からなる群より選択される、1つ又は複数の更なる金属を含むことができる。
【0044】
[0029]別の特に好ましい実施形態において、上記収着剤には、Cu、好ましくはCuとCs及び/又はZnの組み合わせが含浸されている。Cuが存在する場合、上記モレキュラーシーブには、好ましくは、上記多機能触媒の全重量に基づいて1~40wt%、好ましくは2~30wt%、より好ましくは5~25wt%のCuが含浸されている。本発明者らは、上記固体水分収着剤のCsとCu又はPtの混合物による含浸は、RWGSにとって特に有利であることを見出した。本発明者らは理論により結び付けられることは望まないが、Csの存在が、メタノール又はジメチルエーテルの形成を引き起こしうる副反応を防止し、そのためCO2をCOに変換するためのRWGS反応の選択性を高めていることが考えられる。Cu及びCsの両方が存在する場合、上記多機能触媒は、47:1~1:1、好ましくは6:1~2:1の分子比でCu及びCsを含浸させたモレキュラーシーブを含むことが好ましい。Cu及びZnの両方が存在する場合、上記多機能触媒は、4:1~1:2、好ましくは2:1~2:3の分子比でCu及びZnを含浸させたモレキュラーシーブを含むことが好ましい。
【0045】
[0030]本発明者らは、所望の生成物の形成は、金属(又は金属の組み合わせ)と収着剤の最適な組み合わせを選択することにより最適化できることを見出した。言い換えれば、上記触媒粒子は、所望の生成物の形成に合わせることができる。そのような最適な組み合わせの例が以下に示される。従って、本発明は、上記金属(又は金属の組み合わせ)及び上記収着剤が所望の生成物へのCO2の最適な変換を提供するために選択されうる、CO2の変換のための汎用的方法を提供する。
【0046】
[0031]特に好ましい実施形態において、上記CO2の変換は、RWGS反応を含む。この実施形態に関して、上記金属は、RWGS反応を触媒することができる。好ましくは、上記金属は、Pt、Cs、Cu、Rh、Au、Zn、Co、Fe、Mo及びそれらの混合物からなる群より選択され、より好ましくは、上記金属は、Pt、Cs、Cu、Fe及びそれらの混合物からなる群より選択される。最も好ましくは、上記金属は、Pt、Pt、又はCsとCuの混合物、又はPt、Cs及びCu若しくはFeの混合物である。別の好ましい実施形態において、上記金属は少なくともCsを含み、これはCOの水素添加を抑えてメタノールを製造するのに適切であり、そのためCOの収率を高めることが見出された。好ましくは、Cs含有量は、上記触媒の全重量に基づいて0.1~2.5wt%、好ましくは1~2wt%の範囲内である。
【0047】
[0032]特に好ましい実施形態において、上記金属はPtである。この金属は、収着剤としての3~5Åの範囲、好ましくは約4Åの細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。別の特に好ましい実施形態において、上記金属は、Cu及びCsの混合物である。この金属は、収着剤としての3~10Åの範囲、好ましくは約4Åの細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。RWGS反応を行うためのSi/Al比は、好ましくは2.5未満、より好ましくは1~2の範囲である。好ましくは、RWGS反応のための上記多機能触媒における収着剤は、LT-4Åゼオライト又は13Xゼオライトであり、最も好ましくはLT-4Åゼオライトである。本発明者らは、触媒の全重量に基づいて1~4wt%のPtを含浸させたゼオライトLT-4Å又は13XによるRWGS反応の触媒において優れた結果を得た。
【0048】
[0033]別の好ましい実施形態において、上記CO2の変換は、メタノールを形成するための水素添加を含む。この実施形態に関して、上記金属は、CO2の水素添加を触媒することができる。好ましくは、上記金属は、Cu、Au、Ag及びそれらの混合物からなる群より選択され、より好ましくは、Cu、Au及びそれらの混合物からなる群より選択され、最も好ましくは、上記金属はAuである。好ましくは、この実施形態に関して上記金属は、Csを含まない。上記金属は、収着剤としての5~10Åの範囲、好ましくは7~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、CO2のメタノールへの水素添加のための上記多機能触媒における収着剤は、1~2の範囲、より好ましくは1~1.5の範囲のSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、フォージャサイト、ゼオライト13X、ゼオライトY、BEA、AFI、EMTゼオライトからなる群より選択され、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライト13X、ゼオライトY、BEA、EMTゼオライトからなる群より選択される。
【0049】
[0034]別の好ましい実施形態において、上記CO2の変換は、エタノールを形成するための水素添加を含む。本明細書において、2分子のメタノール、又は1分子のメタノール及び1分子のCOは、結合して炭素-炭素結合を形成する。高い酸性部位強度を有するゼオライト、例えば2.5を超えるSi/Alを有する脱アルミニウム化ゼオライトが好ましい。この実施形態に関して、上記金属は、任意選択でCOとともに、CO2をエタノールに変換することができる。好ましくは、上記金属は、Cu、Zn、Mn、Rh、Ru、Pt、Ir、Os、Au、Ag、Al、Co、Cr、Fe、アルカリ金属及びそれらの混合物からなる群より選択され、より好ましくは、上記金属は、Cu、Zn、Cs、Li、K、Al、Fe、Rh及びそれらの混合物からなる群より選択される。好ましい実施形態において、上記金属は、(i)Cu及び/又はZn、(ii)Cs、Li、K及びAlのうちの1つ又は複数、並びに(iii)Fe及び/又はRhの混合物である。この金属は、収着剤としての5~10Åの範囲、好ましくは7~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、上記多機能触媒における収着剤は、3~5の範囲のSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトBEA、AFI、EMT及びFAU(超安定性Y(USY)、脱アルミニウム化X)からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトBEA及びFAU(超安定性Y(USY)、脱アルミニウム化X)からなる群より選択される。
【0050】
[0035]別の好ましい実施形態において、任意選択でCOとともに行われるCO2の変換は、フィッシャー-トロプシュ合成によりアルカンを形成するための水素添加を含む。この実施形態に関して、上記金属は、CO2を炭化水素に変換することができる。好ましくは、上記金属は、Co、Fe、Mo、Ru及びそれらの混合物からなる群より選択され、K、Na、Li、Cs、Mn及びそれらの混合物を更に含んでもよい。これらの金属は、収着剤としての5~10Åの範囲、好ましくは7~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、フィッシャー-トロプシュ合成のための上記多機能触媒における収着剤は、5を超えるSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトBEA、AFI、EMT、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトBEA、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択される。
【0051】
[0036]別の好ましい実施形態において、任意選択でCOとともに行われるCO2の変換は、フィッシャー-トロプシュ合成によりアルケンを形成するための水素添加を含む。この実施形態に関して、上記金属は、CO2を炭化水素に変換することができる。好ましくは、上記金属は、Co、Fe、Mo、Ru及びそれらの混合物からなる群より選択され、オレフィン形成を促進するために、K、Ce、Na、Li、Zn、Cs、Mn又はそれらの混合物を更に含んでもよく、好ましくはK、Ce、Na、Li、Cs、Mn又はそれらの混合物を含む。当業者は、アルカンを上回るアルケンの形成のために上記金属の量を微調整することができる。この金属は、収着剤としての5~13Åの範囲、好ましくは7~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、上記多機能触媒における収着剤は、5を超えるSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、AFI、EMT、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択される。
【0052】
[0037]別の好ましい実施形態において、任意選択でCOとともに行われるCO2の変換は、メタノールからオレフィンへの(MTO)合成によりアルケンを形成するための水素添加を含む。この実施形態に関して、上記金属は、CO2をC2~C4オレフィンに変換することができる。好ましくは、上記金属は、Cu、Re、In、Zr、Au、Co、Fe、Mo、Ru、Mg、Ca及びそれらの混合物からなる群より選択され、好ましくはCu、Re、In、Zr、Au、Co、Fe、Mo、Ru及びそれらの混合物からなる群から選択され、オレフィン形成を促進するためにK、Ce、Na、Li、Cs、Mn及びそれらの混合物を更に含んでもよい。これらの金属は、収着剤としての4~13Åの範囲、好ましくは4~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、上記多機能触媒における収着剤は、5を超えるSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、AFI、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択される。
【0053】
[0038]別の好ましい実施形態において、任意選択でCOとともに行われるCO2の変換は、メタンを形成するための水素添加を含む。好ましくは、上記金属は、Ni、Co、Mg、Al、Rh、Pt、Ru、Re、In、Zr、Fe、Mo、Mn及びそれらの混合物からなる群より選択され、K、Ce、La、Na、Li、Cs及びそれらの混合物を更に含んでもよい。これらの金属は、収着剤としての4~13Åの範囲、好ましくは4~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、上記多機能触媒における収着剤は、1.5~4のSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、AFI、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、FAU(超安定性Y(USY)を含むY、13X(脱アルミニウム化13Xを含む))からなる群より選択される。
【0054】
[0039]別の好ましい実施形態において、任意選択でCOとともに行われるCO2の変換は、芳香族化合物を形成するための水素添加を含む。この実施形態に関して、上記金属は、CO2を芳香族炭化水素に変換することができる。好ましくは、上記金属は、Ga、Mo、Cu、Re、In、Zr、Au、Co、Fe、Mo、Ru及びそれらの混合物からなる群より選択され、K、Na、Li、Cs、Mn及びそれらの混合物を更に含んでもよい。これらの金属は、収着剤としての4~13Åの範囲、好ましくは4~9Åの範囲の細孔直径を有するゼオライトと最適に組み合わせられる。最も好ましくは、上記多機能触媒における収着剤は、5を超えるSi/Al比を有するゼオライトである。上記収着剤は、好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、AFI、FAU(超安定性Y(USY)、脱アルミニウム化X)からなる群より選択され、より好ましくは、ゼオライトCHA、BEA、EMT、FAU(超安定性Y(USY)、脱アルミニウム化X)からなる群より選択される。
【0055】
[0040]本発明の多機能触媒は、少なくとも2機能性であり、この場合には2つの機能性は収着能及び触媒能である。特に好ましい実施形態において、上記触媒は、より多くの機能性を含み、好ましくは3機能性である。この実施形態において、上記収着剤には、それぞれが異なる機能性を有する少なくとも2つの金属触媒の混合物が含浸される。
【0056】
[0041]特に好ましい実施形態において、上記CO2の変換は、メタノールを形成するための水素添加を含み、本発明の触媒は、ジメチルエーテルを形成するためのメタノールの脱水を触媒可能な触媒を含む。従って、本発明の触媒は、CO2及びH2をジメチルエーテルへと単一パスにおいて効率的に変換することができる。1つの金属が、H2及びCO2を任意選択でCOとともに含むガス混合物からのメタノールの形成を触媒可能であり、別の触媒が、結果として形成されたメタノールのジメチルエーテルへの変換を触媒可能である。メタノールの形成のために好ましい触媒は、既に上記に規定されている。好ましい実施形態において、上記収着剤は、メタノールの脱水を触媒するために最適化される。この実施形態において、上記収着剤は、好ましくは、フォージャサイト(例えば13X、ゼオライトY)、BEA、EMTゼオライト、LTAから選択され、これらは好ましくは、当該分野において知られている脱アルミニウム化又は脱ケイ酸化及び安定化処理に供される。更に、又は別の方法では、ジメチルエーテルを形成するためのメタノールの脱水の触媒を可能にする又は促進するために、上記2機能性反応性収着剤に更なる(「促進された」)金属が含浸される。上記脱水触媒は、Cu、Mn、Zn及び希土類金属(例えばCe、La)、アルカリ金属(Li、K)、蛍光体(P)又はそれらの混合物、例えばCu‐Mn-Znで担持された(Zr-)Y触媒の堆積により促進されうる。
【0057】
[0042]別の好ましい実施形態において、上記CO2の変換は、エタノールを形成するための水素添加を含み、本発明の触媒は、ジエチルエーテルを形成するためのエタノールの脱水を触媒可能な触媒を更に含む。従って、本発明の触媒は、CO2及びH2を任意選択でCOとともにジエチルエーテルへと単一パスにおいて効率的に変換することができる。1つの触媒が、H2及びCO2を含むガス混合物からのエタノールの形成を触媒可能であり、別の触媒が、結果として形成されたエタノールをジエチルエーテルへと変換可能である。エタノールの形成のために好ましい触媒は、既に上記に規定されている。好ましい実施形態において、上記収着剤は、エタノールの脱水を触媒するために最適化される。この実施形態において、上記収着剤は、好ましくは、フォージャサイト(例えば13X、ゼオライトY)、BEA、EMTゼオライト、LTAから選択され、これらは好ましくは、当該分野において知られている脱アルミニウム化及び安定化処理に供される。更に、又は別の方法では、ジメチルエーテルを形成するためのメタノールの脱水の触媒を可能にする又は促進するために、上記2機能性反応性収着剤に更なる(「促進された」)金属が含浸される。貴金属及び遷移金属の更なる堆積は、エチレンの形成を防ぎ、ジエチルエーテルに対する選択性を高め、安定性を改善することができる。
【0058】
[0043]本発明の触媒はまた、本発明の触媒粒子及び別の反応を触媒する更なる触媒粒子を含む触媒系の一部であってもよい。特に、上記に規定されるような2機能性触媒は、第2の触媒粒子が存在する触媒系に含まれてもよい。例えば、上記更なる触媒粒子は、メタノールのジメチルエーテルへの脱水を触媒するメタノール脱水触媒粒子、又はエタノールのジエチルエーテルへの脱水を触媒するエタノール脱水触媒粒子であることができる。そのようなメタノール脱水触媒粒子及びエタノール脱水触媒粒子は、例えばInd.Eng.Chem.Res.1992、31、4、1035-1040から当該分野において知られている。典型的には、これらの触媒粒子は、10を超える、例えば20~50の範囲のSi/Al比を有するゼオライトを含む。適切なゼオライトは、ZSM-5;MOR、SUZ-4、FERを含む。
【0059】
[0044]従って、CO2及びH2を任意選択でCOとともに含むガス供給物は、本発明の触媒系を含む反応器に供給されて単一パスにおいてジメチルエーテルに変換されうる。
【0060】
[0045]本発明の多機能触媒は、例えばCatalyst Preparation:Science and Engineering、Regalbuto(2007)、CRC Press(ISBN978-0-8493-7088-5)において、又は米国特許第3226339号及び米国特許第3527836号において、当該分野で知られている方法により調製することができる。好ましい実施形態において、本発明の触媒は、以下の方法により得られうる、又は以下の方法により得られる。
【0061】
(i)固体水分収着剤を、RWGSによるH2及びCO2を含むガス混合物からのCOの合成を触媒可能な少なくとも1つの金属を含む溶液と接触させ、
(ii)90~150℃、好ましくは95~115℃の範囲の温度で乾燥させ、
(iii)200~500℃、好ましくは250~450℃、より好ましくは300~400℃の範囲の温度で焼成し、
(iv)還元雰囲気下で上記触媒を活性化する。
【0062】
[0046]ステップに供される収着剤は、典型的には粉末形態である。好ましくは、上記収着剤粉末は、50~200μmの範囲、より好ましくは100~150μmの範囲の平均粒径を有する。
【0063】
[0047]ステップ(i)において、上記収着剤に上記金属溶液を含浸させる。最終的な触媒が収着部位及び触媒部位の両方を含まなくてはならないことから、上記含浸ステップは、全ての収着ステップが金属によりブロックされてしまわないことに気を付けるべきである。言い換えれば、ステップ(i)の含浸は、上記触媒における金属含有量が上記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下、好ましくは上記触媒の全重量に基づいて30%以下であることを保証する。別の方法では、金属量は、金属を含浸させた収着剤の表面のうち最大で75%、好ましくは最大で50%と規定される。
【0064】
[0048]適切な含浸方法が、金属による上記収着剤の表面のそのような部分的な被覆を実現するために選択されるべきである。典型的には、初期湿式含浸は、上記金属がその表面に均一に分散した収着剤を提供し、それにより全ての水分収着部位(もしあれば)をブロックするため、適していない。そのような触媒は、触媒活性は有するが収着能は有さないであろう。好ましい含浸手法は湿潤含浸であり、この場合には上記金属は、上記収着剤の全細孔容積を上回る容積で上記収着剤に添加される。従って、溶媒が除去される場合、ステップ(ii)の乾燥の間に上記収着剤の表面に金属塊が形成され、金属のない表面部分及び金属により被覆された表面部分を残すであろう。そのような湿潤含浸は当業者に知られている手法である。従って、好ましい実施形態では、本発明の触媒は、湿潤含浸法、最も好ましくは上記に規定されるステップ(i)~(iv)を含む方法により得られうる、又は得られる。
【0065】
[0049]従って、上記溶液の容積は、通常、収着剤の細孔容積の1.1~10倍、好ましくは1.5~5倍である。材料の細孔容積は、N2吸着脱着型の実験、又は添加した容積の作用として毛管凝縮の事象により達成された乾燥度レベルを決定するための平行湿潤実験により決定することができる。好ましい実施形態において、上記溶液の容積は、収着剤の細孔容積の1.1~4倍、より好ましくは1.5~3.5倍、更により好ましくは1.6~3、例えば2~3倍又は1.6~2倍である。最も好ましくは、上記溶液の容積は、収着剤の細孔容積のは1.6~2倍である。上記金属は、典型的には、塩形態、例えばPt(NH3)4(NO3)2で水に溶解されている。このステップは、典型的には、室温及び大気圧で数分以内に行われる。上記溶液の容積及びその中の上記金属の濃度は、ステップ(iii)で得られる最終的な触媒が、上記触媒の全重量に基づいて最大で40wt%の量の金属を含むように選択されるべきである。
【0066】
[0050]ステップ(ii)において、上記溶媒は除去され、上記収着剤の表面に金属前駆体の乾燥した層が得られる。乾燥は、典型的には、オーブン中で90~150℃の範囲、好ましくは95~105℃の範囲の温度で行われる。このステップは、通常、空気雰囲気下、大気圧で行われる。上記乾燥ステップ(ii)は、上記溶媒が除去され、金属塩塊が上記収着剤の表面に形成されることを保証し、これは本発明の触媒の2機能性又は多機能性のために非常に重要である。
【0067】
[0051]ステップ(iii)において、上記金属は、焼成によりその酸化物に変換され、これは上記収着剤の表面での上記金属の分散性を保証する。当該分野において知られている焼成についてのいずれの手段であっても用いることができる。焼成は、典型的には、200~500℃の範囲、好ましくは250~450℃の範囲、より好ましくは300~400℃の範囲の温度で行われる。このステップは、通常、指定された温度まで5℃/分の傾斜速度で空気雰囲気下、オーブン中で行われ、上記温度は6時間後に室温まで下げられた。
【0068】
[0052]ステップ(iv)において、上記金属前駆体は、触媒的に活性な金属形態に変換される。当業者は金属触媒の活性化に精通している。活性化は、還元雰囲気下、典型的には水素ガスを含む雰囲気下で行われる。試料は、典型的には、N2中10%水素下、5℃/分で180℃までそのまま加熱され、その後、加熱速度は325℃まで2℃/分に下げられ、その後、30分温度を保持し、続いて反応温度まで冷却する。
【0069】
[0053]ステップ(iv)の間、上記触媒は活性化され、典型的にはCO2変換反応、例えばRWGS反応が行われる直前の最後のステップとして行われる。通常、上記活性化は、RWGS反応器内でRWGSプロセスの最初のステップとして行われる。上記方法は、ステップ(ii)の乾燥触媒をステップ(iii)が行われる反応器、例えばRWGS反応器に投入するステップを更に含んでもよい。
【0070】
[0054]必要に応じて、ステップ(ii)の乾燥触媒は、反応器に供される前に粒体に変換されてもよい。この変換は、上記乾燥触媒を圧縮し、例えば製粉により顆粒へと粉砕することにより行うことができる。圧縮ステップは、液圧プレス及び実施例2の6atmの圧縮力を用いて行うことができる。
【0071】
[0055]ステップ(i)~(iv)を含むこの方法は、その水分収着能を大きく低下させることなく上記固体水分収着剤の金属触媒による含浸を可能にすることから、特に有利である。1つの態様において、本発明はまた、本明細書に規定されるような触媒を調製する方法に関する。
【0072】
方法
[0056]本発明は、更に、H2及びCO2を含むガス原料からのCO2の変換のための方法であって、上記ガス原料を本発明の多機能触媒に供するステップを含む方法に関する。上記方法はまた、CO、メタン、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、アルカン、アルケン又は芳香族化合物から選択される種の形成のためのものと言うこともできる。上記CO2の変換は、好ましくは、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、アルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、上記水素添加反応は、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う。特に好ましい実施形態では、上記方法はRWGS反応によるCOの形成のためのものである。
【0073】
[0057]触媒粒子を用いたCO2の変換が、当該分野において知られている。上記ガス原料と上記触媒との接触は、典型的には、固定床又は流動床反応器にて行われる。当業者は、特定の所望の生成物に応じて所望の変換の最適条件を決定することができる。通常、上記方法は、典型的には、100~500℃の範囲、好ましくは200~400℃の範囲、最も好ましくは200~350℃の温度で行われる。同様に、上記方法は、0.5~20MPa、好ましくは1~10MPa、より好ましくは1.5~5MPaの範囲の圧力で行われることが好ましい。
【0074】
[0058]1つの実施形態において、本発明の方法はRWGS反応であり、従って、RWGS反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、RWGS反応は、150~350℃の範囲、好ましくは290~330℃の範囲の温度で行われる。同様に、RWGS反応は、0.1~5.0MPa、好ましくは0.5~4.0MPa、より好ましくは1~2.5MPaの範囲の圧力で行われることが好ましい。これらの条件は、本発明の触媒によりRWGS反応を行うのに理想的には適していることが見出された。RWGS反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0075】
[0059]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をメタノールに変換するための水素添加反応であり、そのような水素添加反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは230~320℃、最も好ましくは約300℃の温度で行われる。上記水素添加反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0076】
[0060]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をエタノールに変換するための水素添加反応であり、そのような水素添加反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは230~320℃、最も好ましくは約300℃の温度で行われる。上記水素添加反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0077】
[0061]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をアルカンに変換するためのフィッシャー-トロプシュ反応であり、そのようなフィッシャー-トロプシュ反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは250~350℃、最も好ましくは約320℃の温度で行われる。アルカンを調製するためのフィッシャー-トロプシュ反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0078】
[0062]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をアルケンに変換するためのフィッシャー-トロプシュ反応であり、そのようなフィッシャー-トロプシュ反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは250~350℃、最も好ましくは約320℃の温度で行われる。アルケンを調製するためのフィッシャー-トロプシュ反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0079】
[0063]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をアルケンに変換するためのメタノールからオレフィンへの反応であり、そのようなMTO反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは250~350℃、最も好ましくは約320℃の温度で行われる。MTO反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0080】
[0064]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をメタンに変換するためのメタン生成反応であり、そのようなメタン生成反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは250~350℃、最も好ましくは約320℃の温度で行われる。メタン生成反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0081】
[0065]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2を芳香族炭化水素に変換するための芳香族化反応であり、そのような芳香族化反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは250~350℃、最も好ましくは約320℃の温度で行われる。芳香族化反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。
【0082】
[0066]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をメタノールに変換するための水素添加反応及びメタノールをジメチルエーテルに変換するための脱水反応であり、そのような水素添加及び脱水反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは225~300℃、最も好ましくは約275℃の温度で行われる。水素添加及び脱水の組み合わせの反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。本明細書では、2つの異なる触媒粒子を含み、そのうちの1つが2機能性の本発明の触媒である触媒系、及び3機能性の本発明の触媒を含む触媒系の両方が適している。
【0083】
[0067]別の実施形態において、本発明の方法は、CO2をエタノールに変換するための水素添加反応及びエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応であり、そのような水素添加及び脱水反応を実施するのに適した条件下で行われる。好ましい実施形態では、上記反応は、200~400℃、より好ましくは225~300℃、最も好ましくは約275℃の温度で行われる。水素添加及び脱水の組み合わせの反応のための好ましい触媒は上記に規定されており、好ましくは本実施形態の方法において用いられる。本明細書では、2つの異なる触媒粒子を含み、そのうちの1つが2機能性の本発明の触媒である触媒系、及び3機能性の本発明の触媒を含む触媒系の両方が適している。
【0084】
[0068]本発明の方法の原料は、H2及びCO2を含むガス原料である。上記原料は、更なるガス成分、例えばCO、プロセスガス(例えばH2S、CH4)のガス汚染物質及び不活性ガス(例えばN2、Ar)を含むことができる。CO及び場合によっては下流の生成物へのCO2の変換は、本発明の重要な態様である。本発明の方法にとって、上記原料におけるいくらかのCOの存在はマイナスの影響を及ぼさない。また、本発明の方法は、CO2を含有するプロセスの流れの少量の汚染物質に対応することができる。本発明がRWGS反応に関する場合は、本発明のRWGS反応においてCOが効率的に形成されるため、上記原料はCOを含まないことが好ましい。
【0085】
[0069]好ましくは、上記原料はH2及びCO2を含み、任意選択でCO及び不活性ガス、例えばN2及びArを含み、他のガス種は含まない。上記原料におけるH2対CO2のモル比は、25:1~1:10、好ましくは10:1~1:5、より好ましくは5:1~1:1の範囲内であることができる。当業者は、所望の生成物のために上記原料におけるモル比を最適化することができる。例えば、RWGS反応のために最適なH2対CO2の比は約1:1であり、一方でアルコール、エーテル又はアルカンについては、上記原料は好ましくは過剰のH2を含み、例えばH2対CO2の比は約2:1~4:1である。
【0086】
[0070]本発明の方法は、好ましくは、上記触媒が再生されるステップを含む。反応の間、水分子は収着剤に収着されて、反応の平衡を生成物、例えばRWGS反応の場合はCOにシフトさせる。再生の間、収着された水分子は収着剤から脱着され、それにより収着剤は更なる反応に利用可能となる。再生は、当該分野において知られているいずれかの方法により達成することができる。典型的には、温度スイング及び/又は圧力スイング吸着が用いられる。1つの実施形態において、上記再生させるステップは、少なくとも0.1×106Pa減圧させ、好ましくは0.1×106Pa~0.3×106Paの範囲の圧力にすること、及び/又は少なくとも20℃温度上昇させ、好ましくは370℃~500℃の範囲の温度にすることを含む。
【0087】
使用
[0071]本発明の第3の態様は、RWGS反応のための触媒としての本発明の触媒の使用に関する。本態様の使用はまた、RWGS反応によるCOの合成のための触媒としての本発明の触媒の使用と表すことができる。本態様の使用は、好ましくは本発明の方法を用い、本発明の方法について規定された全てのことが、本発明の使用に同様に適用される。
【0088】
[実施例]
[0072]本発明を、以下の限定されない実施例により更に説明する。
【0089】
実施例1:多機能触媒の調製
[0073]本発明の多機能触媒の種類(1)~(6)を調製した。選択した固体水分収着剤を、触媒金属(触媒についての詳細は下記表を参照)を含む溶液と接触させた。触媒を激しく撹拌しながら105℃で乾燥させた。続いて、触媒を400℃(5℃/分、6時間)で焼成して揮発性成分を除去し、触媒表面に金属酸化物塊を堆積させた。次に、粒体を錠剤プレス機を用いて4atmで圧縮し、次いで顆粒へと粉砕した。212~450μmのふるい画分を実験のために選択した。触媒調製の調製における最後のステップは、水素フロー中での還元である(典型的には、このステップは、反応器中の触媒が供される最初のステップのままの場所で行われる)。
【0090】
[0074]上記多機能触媒に加えて、RWGS反応において典型的に用いられる従来の触媒を比較目的で調製した。
【0091】
【0092】
実施例2:RWGSの間のCO選択性
[0075]小規模RWGSプロセスを、実施例1の4つの触媒、及びmolsieve 3A収着剤(ms)と混合した低温CuZnAl商業用水性ガスシフト(LTS)であるコントロール触媒(8)について実施した。H2及びCO2(4/1 mol/mol)の原料並びにトレーサーとしての5%のアルゴンを、300℃、10bar(a)で26gの触媒に供給した。触媒の再生を、N2を供給しながら組み合わせの温度圧力スイング(TPSA)により圧力を5bar(a)まで下げ、かつ400℃まで加熱することにより行った。生成ガスの組成をガスクロマトグラフィー及び質量分析により分析した。(mol%の)組成を以下の表に示す。
【0093】
【0094】
[0076]全ての本発明の触媒が、COについて非選択的でかなりの量のDMEを形成する従来の触媒(8)よりも優れていた。2wt%のPtを含浸させたLTA-4A収着剤である触媒(5)は特に良好な結果を示し、COへの変換率が90%を上回り、DME及びCH4はほとんど形成されなかった。
【0095】
実施例3:安定性
[0077]長期RWGSプロセス(>71日)を実施例1の触媒(5)を用いて実施した。H2及びCO2(4/1 mol/mol)の原料並びにトレーサーとしての5%のアルゴンを、300℃、10bar(a)で26gの触媒に供給した。触媒の再生を、N2を供給しながら組み合わせの温度圧力スイング(TPSA)により圧力を3bar(a)まで下げ、かつ400℃まで加熱することにより、2.5時間のそれぞれの反応吸着時間の後にそれぞれのサイクルの一部として行った。生成ガスの組成をガスクロマトグラフィー及び質量分析により一定期間ごとに分析した。ある時点での(mol%の)組成を以下の表に示す。
【0096】
【0097】
[0078]驚くべきことに、そのような長期実験の間、従来の触媒では(わずかな)失活が通常は起こる一方で、上記触媒は時間が経過するにつれて活性化された。71日後、本発明の触媒は優れたCOへの変換率を示した。
【0098】
実施例4:ジメチルエーテルの選択的形成のための触媒の設計調整
[0079]実施例1のゼオライト13Xに基づく触媒(1)及び(4)を、H2:CO:CO2=8:1:2の原料を用いて25bar、275℃で比較した。Cuに基づく触媒(1)はPtアナログ(4)と比較して約10倍高いジメチルエーテル収率を示した。
【0099】
実施例5:メタンの選択的形成のための触媒の設計調整
[0080]ゼオライト13Xに基づく反応性水分収着剤(7)を、H2:CO2=1:4の原料を用いて10bar、275℃で試験した。コバルトに基づく反応性水分収着剤は95%のCO2変換率に達し、CH4についての生成物の炭素選択性は91%、CO2(5%)及びエタン(4%)であった。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
H
2及びCO
2を含むガス混合物からCO
2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒の、CO
2の変換のための触媒としての使用であって、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、使用。
【請求項2】
CO
2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、前記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
H
2及びCO
2を含むガス原料からのCO
2の変換のための方法であって、前記ガス原料を、H
2及びCO
2を含むガス混合物からCO
2を変換可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒に供するステップを含み、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、方法。
【請求項4】
CO
2の変換が、COを形成するための逆水性ガスシフト反応(RWGS)、メタノール若しくはエタノールを形成するための水素添加反応、又はアルカンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのフィッシャー-トロプシュ反応、アルケンを形成するためのメタノールからオレフィンへの(MTO)反応、芳香族炭化水素を形成するための芳香族化反応、又はメタンを形成するための水素添加反応を含み、任意選択で、前記水素添加反応が、メタノールをジメチルエーテルに変換する又はエタノールをジエチルエーテルに変換するための脱水反応を伴う、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記変換がRWGS反応である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
100~500℃の範囲、好ましくは200~400℃の範囲の温度で行われる、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が0.5~20MPa、好ましくは1~10MPa、より好ましくは1.5~5MPaの範囲の圧力で行われる、請求項3~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原料におけるH
2対CO
2のモル比が10:1~1:5、好ましくは5:1~1:1の範囲内、より好ましくは約4:1であり、及び/又は前記原料が更にCOを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
更に前記触媒を再生させるステップを含み、前記再生させるステップでは、圧力を少なくとも0.1×10
6Pa減少させ、好ましくは0.1×10
6Pa~0.3×10
6Paの範囲の圧力にする、及び/又は温度を少なくとも20℃上昇させ、好ましくは370℃~500℃の範囲の温度にする、請求項3~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
H
2及びCO
2を含むガス混合物からのCO
2の変換を触媒可能な少なくとも1つの金属を含浸させた固体水分収着剤を含む多機能触媒であって、前記収着剤が、50未満のSi/Alモル比を有し、かつ3~20Åの範囲の直径を有する細孔を含むモレキュラーシーブであり、前記触媒における金属含有量が、前記多機能触媒の全重量に基づいて40%以下である、多機能触媒。
【請求項11】
前記収着剤が、1から2の間の範囲、より好ましくは1から1.5の間の範囲のSi/Alモル比を有し、最も好ましくは前記Si/Alモル比が1であ
る、請求項1若しくは2に記載の使用、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10に記載の多機能触媒。
【請求項12】
前記収着剤が、LTAゼオライト、X型ゼオライト及びそれらの混合物から選択されるゼオライトであり、好ましくは多機能成分が、LTA-4Aゼオライト及び/又はゼオライト13Xを含む、請求項1若しくは2に記載の使用、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10に記載の多機能触媒。
【請求項13】
前記細孔が4~8Åの範囲の直径を有する、請求項1、2、11
、若しくは、12に記載の使用、請求項3~9、11、
及び、12のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10
~12のいずれか1項に記載の多機能触媒。
【請求項14】
前記収着剤の内側表面及び外側表面に、少なくとも1つの金属触媒が含浸されており、及び/又は前記収着剤に、前記多機能触媒の全重量に基づいて0.1~40wt%、好ましくは1~30wt%の前記金属が含浸されている、請求項1、2、11
、12若しくは
13に記載の使用、請求項3~9、11
~13のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~
13のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【請求項15】
前記少なくとも1つの金属が、Pt、Cs、Cu、Rh、Au、Zn、Co、Fe、Mo、Zn、Mn、Ru、Ir、Os、Ag、Al、Cr、Li、Na、K、Rb、Cs、Ce、Re、In、Zr、Ni、Mg、Al、Pd、Ga及びそれらの混合物からなる群、好ましくはPt、Cu、Rh、Ir、Ru、Pd、Os、Cs、Fe、Zn及びそれらの混合物、より好ましくはPt、Zn、Fe、Cs、Cu及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1、2、11~
14のいずれか一項に記載の使用、請求項3~9、11~
14のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~
14のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【請求項16】
前記固体収着剤に、メタノールからのジメチルエーテルの合成又はエタノールからのジエチルエーテルの合成を触媒可能な第2の金属が更に含浸されている、請求項1、2、11~
15のいずれか一項に記載の使用、請求項3~9、11~
15のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~
15のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【請求項17】
前記固体収着剤に湿潤含浸法により金属が含浸されている、請求項1、2、11~16のいずれか一項に記載の使用、請求項3~9、11~16のいずれか一項に記載の方法、又は請求項10~16のいずれか一項に記載の多機能触媒。
【国際調査報告】