(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】磁性材料を製造するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C21D 6/00 20060101AFI20230620BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20230620BHJP
B22D 11/00 20060101ALI20230620BHJP
B22D 11/06 20060101ALI20230620BHJP
C21D 1/613 20060101ALI20230620BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20230620BHJP
H01F 1/057 20060101ALI20230620BHJP
B82Y 25/00 20110101ALI20230620BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20230620BHJP
B22D 11/103 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
C21D6/00 B
C22C38/00 303D
B22D11/00 D
B22D11/06 360B
C21D1/613
H01F41/02 G
H01F1/057
B82Y25/00
B82Y40/00
B22D11/103 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568137
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 SG2021050233
(87)【国際公開番号】W WO2022231509
(87)【国際公開日】2022-11-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516313140
【氏名又は名称】ネオ パフォーマンス マテリアルズ (シンガポール) プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ウィリアム・レイ
【テーマコード(参考)】
4E004
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4E004DB02
4E004DB17
4E004KA16
4E004MC05
4E004NA05
4E004NB07
4E004NC10
4E004SA01
4E004SB04
4E004SC04
4E004TA03
5E040AA04
5E040AA19
5E040CA01
5E040HB05
5E040HB19
5E062CD04
5E062CE02
5E062CG01
(57)【要約】
実施形態は、磁性材料を製造するためのシステムおよび方法に関する。本方法は、合金の混合物を提供することを含む。合金の組成は特に限定されない。この方法は、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることを含む。この方法は、溶融紡糸プロセスを実施して、回転可能なホイールを介して合金の溶融混合物を急速に凝固させて、予備金属リボンとすることを含む。予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、上側は下側とは反対側である。この方法は、粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の製造方法であって、
合金の混合物を提供することと、
前記合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることと、
回転可能ホイールを介して前記合金の溶融混合物を急速に凝固させて予備金属リボンとなるよう、溶融紡糸プロセスを実行することとを含み、前記予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、前記上側は前記下側とは反対側であり、前記方法はさらに、
粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、前記粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含む、磁性材料の製造方法。
【請求項2】
前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に供給される前記第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含む、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項3】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項4】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および前記下側に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項5】
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さく、
前記従来の方法は、前記回転可能ホイールを用いて前記合金の溶融混合物を急速に凝固させるために前記溶融紡糸プロセスを実行することと、前記粒径微細化および均一化プロセスを実行しないこととを含む、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項6】
前記最終金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径は、前記従来の方法を用いて製造された前記従来の金属リボンの前記中央部分の前記従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい、請求項5に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項7】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きく、
前記急速凝固は、前記回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含み、
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さく、
前記従来の流量は、前記従来の金属リボンを製造するための前記従来の方法で用いられる最大流量であり、
前記従来の方法は、前記合金の溶融混合物を、前記第1のホイール速度で回転する前記回転可能ホイールに供給すること、および前記粒径微細化および均一化プロセスを実行しないことを含む、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項8】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の前記流量は、前記従来の流量よりも少なくとも30%大きく、
前記最終金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径は、前記従来の方法を用いて製造される前記従来の金属リボンの前記中央部分の前記従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい、請求項7に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項9】
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は10%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は10%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は5nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は5nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分および両縁部の平均粒径は50nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は50nm未満である、の1つ以上が適用される、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項10】
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は5%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は5%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は2nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は2nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分および両縁部の平均粒径は40nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は40nm未満である、の1つ以上が適用される、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項11】
前記合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含み、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である、請求項1に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項12】
磁性材料の製造方法であって、
合金の混合物を提供することと、
前記合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることと、
回転可能ホイールを介して前記合金の溶融混合物を急速に凝固させて予備金属リボンとなるよう、溶融紡糸プロセスを実行することとを含み、前記予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、前記上側は前記下側とは反対側であり、前記方法はさらに、
粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、前記粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含み、
前記最終金属リボンの前記下側の前記中央領域の平均粒径と前記最終金属リボンの前記下側の縁部の平均粒径との差は10%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記上側の前記中央領域の平均粒径と、前記最終金属リボンの前記上側の縁部の平均粒径との差は10%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記下側の前記中央領域の平均粒径と前記最終金属リボンの前記下側の縁部の平均粒径との差は5nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記上側の前記中央領域の平均粒径と、前記最終金属リボンの前記上側の縁部の平均粒径との差は、5nm未満である、磁性材料の製造方法。
【請求項13】
前記最終金属リボンの前記下側の前記中央領域の前記平均粒径と前記最終金属リボンの前記下側の前記縁部の前記平均粒径との差は5%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記上側の前記中央領域の前記平均粒径と、前記最終金属リボンの前記上側の前記縁部の前記平均粒径との差は5%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記下側の前記中央領域の前記平均粒径と前記最終金属リボンの前記下側の前記縁部の前記平均粒径との差は2nm未満であり、および/または
前記最終金属リボンの前記上側の前記中央領域の前記平均粒径と、前記最終金属リボンの前記上側の縁部の前記平均粒径との差は、2nm未満である、の1つ以上が適用される、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項14】
前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に供給される前記第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含む、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項15】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項16】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および前記下側に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項17】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きく、
前記急速凝固は、前記回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含み、
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さく、
前記従来の流量は、前記従来の金属リボンを製造するための前記従来の方法で用いられる最大流量であり、
前記従来の方法は、前記合金の溶融混合物を、前記第1のホイール速度で回転する前記回転可能ホイールに供給すること、および前記粒径微細化および均一化プロセスを実行しないことを含む、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項18】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の前記流量は、前記従来の流量よりも少なくとも30%大きく、
前記最終金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径は、前記従来の方法を用いて製造される前記従来の金属リボンの前記中央部分の前記従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい、請求項17に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項19】
前記合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含み、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である、請求項12に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項20】
磁性材料の製造方法であって、
合金の混合物を提供することと、
前記合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることと、
回転可能ホイールを介して前記合金の溶融混合物を急速に凝固させて予備金属リボンとなるよう、溶融紡糸プロセスを実行することとを含み、前記予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、前記上側は前記下側とは反対側であり、前記方法はさらに、
粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、前記粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含み、
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の平均粒径よりも少なくとも5%小さく、
前記従来の方法は、前記回転可能ホイールを用いて前記合金の溶融混合物を急速に凝固させることを実行することと、前記粒径微細化および均一化プロセスを実行しないこととを含む、磁性材料の製造方法。
【請求項21】
前記最終金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径は、前記従来の方法を用いて製造された前記従来の金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径よりも少なくとも10%小さい、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項22】
前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に供給される前記第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含む、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項23】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および/または前記下側の少なくとも前記中央領域に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項24】
前記粒径微細化および均一化プロセスは、前記予備金属リボンの前記上側および前記下側に前記第1の冷却剤を直接供給することを含む、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項25】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きく、
前記急速凝固は、前記回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含み、
前記従来の流量は、前記従来の金属リボンを製造するための前記従来の方法で用いられる最大流量である、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項26】
前記回転可能ホイールに供給される前記合金の溶融混合物の前記流量は、前記従来の流量よりも少なくとも30%大きい、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は10%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は10%未満である、の1つ以上が適用される、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【請求項28】
前記最終金属リボンの前記中央部分の前記平均粒径と前記最終金属リボンの前記縁部の前記平均粒径との差は5%未満であり、および/または
前記最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、前記最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は5%未満である、の1つ以上が適用される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含み、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である、請求項20に記載の磁性材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、磁性材料を製造するためのシステムおよび方法に関し、より具体的には、磁性材料を製造するための改良された溶融紡糸システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
溶融紡糸は、磁性材料の製造に用いられるプロセスである。典型的な溶融紡糸プロセスは、回転しているホイール上などに溶融材料を供給することなどを伴う。溶融材料は、回転するホイールの冷硬または冷却表面と接触すると急速に凝固(または急速に急冷)し、薄い金属リボンをもたらす。一般に、回転しているホイールに適用される溶融材料の流量は、とりわけ、回転しているホイールの回転速度に基づいて選択される。溶融紡糸プロセスで用いられる流量および回転しているホイールの回転速度は、生産される金属リボンの厚み、スループット(生産量)、粒径、回転しているホイールのランタイム、およびこのような金属リボンから形成される磁石の磁気特性に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
従来の溶融紡糸プロセスおよびシステムを用いて磁性材料を製造する場合、合金の溶融混合物を急速に凝固(または急速急冷)させることによって金属リボンが形成される。そのような金属リボンは、非常に微細なナノスケールの粒径を有する。金属リボン全体にわたる微細かつ均一な粒径は、金属リボンから磁石を形成するために用いられるプロセスに関係なく、最終磁石の磁気特性(例えば、残留磁化および保磁力)に重要である。
【0004】
従来の溶融紡糸プロセスおよびシステムは、一般に、特に金属リボンの幅にわたって、金属リボンの粒径の不均一性の問題がある。より具体的には、従来の溶融紡糸プロセスを用いて形成された金属リボンの中央領域における平均粒径は、金属リボンの側部(および/または縁部)における平均粒径よりも大きく、それによって不均一な粒径をもたらす。本開示では、平均粒径におけるそのような変動は、急速凝固プロセスの間に、中央領域が側部(および/または縁部)よりも受ける冷却が少ないことの直接的な結果であることが認識される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、上記および本開示に記載されるものを含む、従来の問題に対処するためのシステム、サブシステム、方法、およびプロセスに関し、より具体的には、例示的な実施形態は、磁性材料を製造するためのシステム、サブシステム、方法、およびプロセスに関する。
【0006】
例示的な実施形態では、磁性材料の製造方法が説明される。本方法は、合金の混合物を提供することを含む。合金の組成は特に限定されない。この方法は、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることを含む。この方法は、溶融紡糸プロセスを実施して、回転可能なホイールを介して合金の溶融混合物を急速に凝固させて、予備金属リボンとすることを含む。予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、上側は下側とは反対側である。この方法は、粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含む。
【0007】
予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に供給される第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および下側に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さくてもよく、従来の方法は、回転可能ホイールを用いて合金の溶融混合物を急速に凝固させるために溶融紡糸プロセスを実行することと、粒径微細化および均一化プロセスを実行しないこととを含んでもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さくてもよい。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きくてもよく、急速凝固は、回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含んでもよく、最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造された従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さくてもよく、従来の流量は、従来の金属リボンを製造するための従来の方法で用いられる最大流量であり、従来の方法は、合金の溶融混合物を、第1のホイール速度で回転する回転可能ホイールに供給すること、および粒径微細化および均一化プロセスを実行しないことを含んでもよい。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも30%大きくてもよく、最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さくてもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は10%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は10%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は、5nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は、5nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分および両縁部の平均粒径は、50nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、50nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は5%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は5%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は、2nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は、2nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分および両縁部の平均粒径は、40nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、40nm未満であってもよい。合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含んでもよく、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である。
【0008】
別の例示的な実施形態では、磁性材料の製造方法が記載される。この方法は、合金の混合物を提供することと、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることと、溶融紡糸プロセスを実施して、回転可能なホイールを介して合金の溶融混合物を急速に凝固させて、予備金属リボンとすることとを含む。予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、上側は下側とは反対側である。この方法は、粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含む。
【0009】
最終金属リボンの下側の中央領域の平均粒径と最終金属リボンの下側の縁部の平均粒径との差は10%未満であってもよく、好ましくは、5%未満であってもよい。最終金属リボンの上側の中央領域の平均粒径と、最終金属リボンの上側の縁部の平均粒径との差は10%未満であり、好ましくは、5%未満である。最終金属リボンの下側の中央領域の平均粒径と最終金属リボンの下側の縁部の平均粒径との差は5nm未満であってもよく、好ましくは2nm未満であってもよい。最終金属リボンの上側の中央領域の平均粒径と、最終金属リボンの上側の縁部の平均粒径との差は、5nm未満であってもよく、好ましくは2nm未満であってもよい。予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に供給される第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および下側に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きくてもよく、急速凝固は、回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含み、最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さく、従来の流量は、従来の金属リボンを製造するための従来の方法で用いられる最大流量であり、従来の方法は、合金の溶融混合物を、第1のホイール速度で回転する回転可能ホイールに供給すること、および粒径微細化および均一化プロセスを実行しないことを含む。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも30%大きくてもよく、最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい。合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含んでもよく、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である。
【0010】
別の例示的な実施形態では、磁性材料の製造方法が記載される。この方法は、合金の混合物を提供することと、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすることと、溶融紡糸プロセスを実施して、回転可能なホイールを介して合金の溶融混合物を急速に凝固させて、予備金属リボンとすることとを含む。予備金属リボンは、下側と上側とを有する細長い平坦な本体を有し、上側は下側とは反対側である。この方法は、粒径微細化および均一化プロセスを実行することを含み、粒径微細化および均一化プロセスは、最終金属リボンとするために、直接予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を供給することを含む。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。従来の方法は、回転可能ホイールを用いて合金の溶融混合物を急速に凝固させることを実行することと、粒径微細化および均一化プロセスを実行しないこととを含む。
【0011】
最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の平均粒径よりも少なくとも10%小さくてもよい。予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に供給される第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の希ガスの流れを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、予備金属リボンの上側および下側に第1の冷却剤を直接供給することを含んでもよい。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも10%大きくてもよく、急速凝固は、回転可能ホイールを第1のホイール速度で回転させることを含み、従来の流量は、従来の金属リボンを製造するための従来の方法で用いられる最大流量である。回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量は、従来の流量よりも少なくとも30%大きくてもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は、10%未満であってもよく、または5%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は、10%未満または5%未満であってもよい。合金の混合物はRE-Fe-Co-M-Bを含んでもよく、ここでREは1つ以上の希土類元素であり、Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1つ以上の元素である。
【0012】
例示的な実施形態では、磁性材料が説明される。磁性材料は、上述の1つ以上の例示的な実施形態によって得られる。磁性材料は、最終金属リボンの中央部分の平均粒径が、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。従来の方法は、回転可能ホイールを用いて合金の溶融混合物を急速に凝固させるために溶融紡糸プロセスを実行することと、粒径微細化および均一化プロセスを実行しないこととを含む。最終金属リボンの中央部分の平均粒径は、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さくてもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は、5nm未満、好ましくは2nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は、5nm未満、好ましくは2nm未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と最終金属リボンの縁部の平均粒径との差は10%未満、好ましくは5%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分の平均粒径と、最終金属リボンの両縁部の平均粒径との差は、10%未満、好ましくは5%未満であってもよい。最終金属リボンの中央部分および/または縁部の平均粒径は、50nm未満、好ましくは40nm未満であってもよい。磁性材料はRE-Fe-CO-M-Bを含んでもよい。REは1種以上の希土類元素であり、Mは元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、C、およびMoから選択される1種以上の元素である。
【0013】
別の例示的な例では、磁性材料を製造するためのシステムが説明される。システムは、合金の混合物を溶融混合物に溶融するためのるつぼと、金属リボンを形成する回転するホイール上にるつぼから溶融混合物を放出するように圧力を印加するための圧力源と、冷却剤を金属リボンの上側および/または下側の少なくとも中央領域に直接供給するためのノズルとを含んでもよい。回転するホイールは、急速凝固プロセスおよび金属リボン製造のために構成されてもよい。第1の冷却剤は、液体アルゴン、液体ヘリウム、および/または液体状態の1つ以上の他の不活性ガスの流れを含んでもよい。
【0014】
本開示、例示的な実施形態、およびそれらの利点のより完全な理解のために、同様の参照番号が同様の特徴を示す添付の図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】磁性材料を製造するためのシステムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】磁性材料を製造する方法の例示的な実施形態を示す図である。
【
図5A】比較例および実施例1の平均粒径の表を示す。
【
図5B】比較例および実施例1の平均粒径のグラフである。
【
図5C】予備金属リボンの様々なエリア/領域の平均粒径の表を示す。
【
図5D】予備金属リボンの様々なエリア/領域の平均粒径のグラフを示す。
【
図5E】最終金属リボンの様々なエリア/領域の平均粒径の表を示す。
【
図5F】最終金属リボンの様々なエリア/領域の平均粒径のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
便宜上、図中の同様の要素を指すために同様の参照番号が用いられ得るが、様々な例示的実施形態の各々は、別個の変形であると見なされ得ることを理解されたい。
【0017】
ここで、本開示の一部を形成し、実践され得る例示的な実施形態を示す、例示的な実施形態を、添付の図面を参照して記載する。本開示および特許請求の範囲で用いられる場合、「実施形態」、「実施形態例」、「例示的実施形態」、および「本実施形態」という用語は、必ずしも単一の実施形態を指すわけではないが、それらおよび様々な実施形態例は、実施形態例の範囲または精神から逸脱することなく、容易に組み合わせる、および/または交換されることができる。さらに、本開示および特許請求の範囲で用いられる用語は、例示的な実施形態を説明することのみを目的とし、限定であることを意図しない。この点において、本開示および特許請求の範囲で用いられる場合、「in」と言う語は、「in(~の中に)」および「on(~の上に)」を含み得、「a」、「an」および「the」と言う語は、単数および複数の参照を含み得る。さらに、本開示および特許請求の範囲で用いられる場合、「by」と言う語は、文脈に応じて「from(~から)」を意味し得る。さらに、本開示および特許請求の範囲で用いられる場合、用語「if」は、文脈に応じて「when(~のとき)」または「upon(~すると)」も意味し得る。さらに、本開示および特許請求の範囲で用いられる場合、「および/または」という用語は、関連付けられる列挙された項目のうちの1つ以上の任意のまたはすべての可能な組み合わせを指し、これを包含し得る。
【0018】
詳細な説明
従来の溶融紡糸プロセスおよびシステムを用いて磁性材料を製造する場合、合金の溶融混合物を急速に凝固(または急速急冷)させることによって金属リボンが形成される。そのような金属リボンは、非常に微細なナノスケールの粒径を有する。金属リボン全体にわたる微細かつ均一な粒径は、金属リボンから磁石を形成するために用いられるプロセスに関係なく、そのような金属リボンから製造される最終磁石の磁気特性(例えば、残留磁化および保磁力)に重要である。
【0019】
従来の溶融紡糸プロセスおよびシステムは、一般に、特に金属リボンの幅にわたって、金属リボンの均一な粒径を達成することができない。より具体的には、従来の溶融紡糸プロセスを用いて形成された金属リボンの中央領域(例えば、
図2Aの212bおよび211bを参照されたい)における平均粒径は、金属リボンの側部(および/または縁部)(例えば、
図2Aの212a、212c、211a、および211cを参照されたい)における平均粒径よりも大きく、それによって、金属リボンに不均一な粒径をもたらす。本開示では、平均粒径におけるそのような変動は、急速凝固プロセスの間に、中央領域が側部(および/または縁部)よりも受ける冷却が少ないことの直接的な結果であることが認識される。
【0020】
本例示的実施形態は、概して、上記および本開示に記載されるものを含む、産業上の問題に対処するための方法、システム、方法、および製品に関し、ならびに/またはそれらを含み、より具体的には、例示的実施形態は、方法、システム、磁性材料を製造するための方法、および得られる磁性材料に関する。本開示においてさらに説明されるように、例示的な実施形態は、従来の方法に勝る様々な技術的利点および/または改善を提供する。
【0021】
例示的な実施形態は、本開示において、大部分は、液体希ガスの冷却剤としての使用に関連するものとして説明されるが、本開示において説明される原理は、本開示の教示から逸脱することなく、気体状希ガス、液体状または気体状不活性ガスの使用など、液体希ガスの文脈を超えて適用されてもよいことを理解されたい。
【0022】
本開示の一部を形成する例示的な実施形態について、添付の図面を参照して以下で説明する。
【0023】
磁性材料を製造するためのシステム(例えば、システム100)の例示的な実施形態。
図1は、磁性材料を製造するためのシステム(例えば、システム100)の例示的な実施形態を示す。磁性材料を製造するためのシステム100は、回転可能ホイールを有する溶融紡糸システムなどの回転ホイールアセンブリ120を含む。システム100はまた、合金の混合物を受容および溶融し、合金の溶融混合物200(または溶融金属合金200)を回転ホイールアセンブリ120の回転可能ホイールの表面122に供給するためのるつぼアセンブリ110を含む。システム100はまた、回転ホイールアセンブリ120の回転するホイールを介した合金の溶融混合物の急速な凝固によって生成される金属リボンの幅にわたる粒径の微細化および均一性を制御する際に用いるための粒径微細化および均一化アセンブリ130を含む。システム100はまた、るつぼアセンブリ110、回転ホイールアセンブリ120、およ粒径微細化および均一化アセンブリ130を収容するための、ならびに磁性材料の製造のための一貫した環境/条件を維持するためのチャンバ(図示せず)なども含む。例えば、磁性材料の製造中、チャンバの内圧および温度は、それぞれ約200mTorr~805Torrおよび約10°C~200°Cに維持されてもよい。さらに、チャンバは、1つ以上の入力および/または出力バルブを介して、1種以上の不活性ガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)の雰囲気を受容および維持してもよい。この点に関して、チャンバはまた、磁性材料の製造中、(本開示に記載されるように)粒径微細化および均一化アセンブリ130による冷却剤130aの適用/供給を考慮して、上述の環境/条件を動的に維持する。
【0024】
ここで、本開示の一部を形成する、磁性材料を製造するためのシステム100およびその要素の例示的な実施形態が、添付の図面を参照してさらに説明される。
【0025】
るつぼアセンブリ(例えばるつぼアセンブリ110)。
図1に示されるように、磁性材料を製造するためのシステム100の例示的な実施形態は、合金の混合物を受容および溶融し、合金の溶融混合物を回転ホイールアセンブリ120に供給するためのるつぼアセンブリ(例えば、るつぼアセンブリ110)を含む。
【0026】
るつぼアセンブリ110は、るつぼ(例えば、るつぼ112)などを含む。るつぼ112は、合金の混合物を受容し収容するための内部キャビティを有する本体112として形成されてもよい。例えば、るつぼ112は、円形断面を有する円筒体として形成されてもよい。
【0027】
るつぼアセンブリ110はまた、るつぼ112の内部キャビティに加熱を提供するように、るつぼ112内および/または上に提供される加熱コイル(例えば、加熱コイル114)などを含む。例示的な実施形態では、加熱コイル114は、合金の混合物がるつぼ112の内部キャビティに収容されたとき、合金の混合物を溶融する(すなわち、合金の溶融混合物となる)のに十分な加熱を提供するように構成された誘導加熱コイル114などであってもよい。
【0028】
るつぼアセンブリ110が、るつぼ112の内部キャビティから回転ホイールアセンブリ120へ合金の溶融混合物200を放出することを可能にするために、るつぼアセンブリ110は、るつぼ112の端部に設けられたノズル(例えば、ノズル116)などを含む。例示的な実施形態では、るつぼ112内の合金の溶融混合物200は、約0.2kg/分~5.0kg/分の流量でノズル116から合金の溶融混合物200を放出できるように選択的に加圧されてもよい。本開示では、ノズル116から合金の溶融混合物200を放出するためにるつぼ112内の合金の溶融混合物200に加えられる圧力は、正圧源、重力(例えば、ノズル116近くの下流の合金の溶融混合物200に、重力を介して、すなわち、ノズル116に向かって流下する上流の合金の溶融混合物200の重量を介して、圧力を印加する)等を含むがこれらに限定されない任意の方法および/または装置を用いて提供され得ることを理解されたい。
【0029】
例示的な実施形態では、るつぼアセンブリ110のノズル116によって合金の溶融混合物200として放出される合金の混合物の組成は、RE-Fe-Bによって表され、REは1つ以上の希土類元素であり、Feは鉄であり、Bはホウ素である組成を含むことができるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、合金の混合物の組成はRE-Fe-Co-M-Bであり、ここでREは1つ以上の希土類元素であり;Feは鉄であり;Coはコバルトであり;Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、CおよびMoから選択される1つ以上の元素であり;Bはホウ素である。
【0030】
回転ホイールアセンブリ(例えば、回転ホイールアセンブリ120)。
図1に示されるように、磁性材料を製造するためのシステム100の例示的な実施形態は、回転ホイールアセンブリ(例えば、回転ホイールアセンブリ120)を含む。回転ホイールアセンブリ120は、るつぼアセンブリ110のノズル116によって放出される合金の溶融混合物200を急速に凝固(または急速に急冷)するように構成された外側接触面(例えば接触面122)を有する回転するホイール120などを含む。回転ホイールアセンブリ120の回転するホイール120は、(例えば、
図1の方向矢印Rによって示されるように、)回転するホイール120の中心軸Cに対して、約5m/s~60m/sの回転速度(またはホイール速度)で回転するように構成される。回転するホイール120の回転速度は、とりわけ、ノズル116からの合金の溶融混合物200の流量、ノズル116の開口のサイズ、るつぼ112の内部キャビティに収容された合金の溶融混合物200に加えられる正圧の量、るつぼ112の内部キャビティ内に提供される合金の混合物の組成および温度、ならびに/または回転ホイールアセンブリ120によって形成される予備金属リボン210の所望のサイズ/寸法(例えば、幅、厚さなど)に基づいて選択することができる。
【0031】
本開示で用いられるように、(本開示に記載される)粒径微細化および均一化アセンブリ120によって処理される前に、回転ホイールアセンブリ120の接触面122による合金の溶融混合物200の急速な凝固によって形成される金属リボン210は、「予備金属リボン」210と称される。
【0032】
粒径微細化および均一化アセンブリ(例えば、粒径微細化および均一化アセンブリ130)。
【0033】
例示的な実施形態では、磁性材料を製造するためのシステム100は、粒径微細化および均一化アセンブリ(例えば、粒径微細化および均一化アセンブリ130)を含む。粒径微細化および均一化アセンブリ130は、((上記および本開示に記載されるように)合金の溶融混合物200の急速な凝固によって形成される)予備金属リボン210の1つ以上の部分に冷却剤源(図示せず)から冷却剤(例えば、冷却剤130a)の例示的な実施形態を供給するように構成可能または構成された任意のアセンブリおよび/または要素を含むことができる。本開示で用いられるように、粒径微細化および均一化アセンブリ130から冷却剤130aを受け取っていない(またはまだ受けていない)、合金の溶融混合物200の急速凝固によって形成される金属リボン210は、予備金属リボン210と称される。さらに、本開示で用いられるように、粒径微細化および均一性アセンブリ130から冷却剤130aを受け取った(すなわち、粒径微細化および均一化アセンブリ130によって処理された)予備金属リボン210は、「最終金属リボン」220と称される。別の言い方をすれば、予備金属リボン210は、予備金属リボン210が粒径微細化および均一化アセンブリ130から冷却剤130aを受けた後、最終金属リボン220となる。本開示では、合金の溶融混合物200の急速な凝固によって形成される金属リボンは、予備金属リボン210である部分および最終金属リボン220である部分を有する長い金属リボンであってもよいことを理解されたい。例えば、
図1に示す金属リボンは、回転するホイール120の外側接触面122と接触する部分210a(金属リボンのこの部分は、予備金属リボン210と見なされる)と、回転するホイール120を出て冷却剤130aをまだ受けていない部分210b(金属リボンのこの部分も予備金属リボン210と見なされる)と、冷却剤130aを受けた部分(この金属リボンの部分を最終金属リボン220と呼ぶ)とを有する。
【0034】
図2Aは、例示的な予備金属リボン210の断面図を示す。予備金属リボン210は、上面212(または上側212)および下面211(または下側211)を含み、下面211は、回転するホイール120の外側接触面122と直接接触した(または、予備金属リボン210が回転するホイール120からまだ離れていない場合には、回転するホイール120の外側接触面122とまだ接触している)予備金属リボン210の表面または側部である。予備金属リボン210の上面212は、上部左側面212a(または上部左側212a)、上部中央面212b(または上部中央側212b)、および上部右側面212cまたは(または上部右側212c)を含む。予備金属リボン210の下面211は、下部左側面211a(または下部左側211a)と、下部中央面211b(または下部中央側211b)と、下部右側面211c(または下部右側211c)とを含む。予備金属リボン210は、粒径微細化および均一化アセンブリ130によるさらなる処理のために、回転するホイールアセンブリ120の接触面122を離れる。
【0035】
図2Bは、上面222(または上側222)および下面221(または下側221)を有する最終金属リボン220の例示的実施形態の断面図を示し、下面221は、回転するホイール120の外側接触面122と直接接触した(または、回転するホイール120からまだ離れていない場合に、回転するホイール120の外側接触面122と依然として接触しており、そして冷却剤130aを受けている)最終金属リボン220の表面または側部である。最終金属リボン220の上面222は、上部左側面222a(または上部左側222a)、上部中央面222b(または上部中央側222b)、および上部右側面222cまたは(または上部右側222c)を含む。最終金属リボン220の下面221は、下部左側面221a(または下部左側221a)と、下部中央面221b(または下部中央側221b)と、下部右側面221c(または下部右側221c)とを含む。
【0036】
粒径微細化および均一化アセンブリ130は、冷却剤源(図示せず)と連通する1つ以上のノズル(例えば、ノズル132)などを含んでもよい。例示的な実施形態では、1つ以上のノズル132は、冷却剤130aを予備金属リボン210に供給するように構成される。より具体的な例として、粒径微細化および均一化アセンブリ130は、冷却剤130aの1つ以上の流れを予備金属リボン210の上面212の少なくとも一部に供給するように構成された1つ以上のノズル132などを含むことができる。1つ以上のノズル132は、最終金属リボン220となるように、冷却剤130aを、予備金属リボン210の(
図2Aに示されるように)上部左側または上部左側面212a、(
図2Aに示されるように)上部右側または上部右側面212c、(
図2Aに示されるように)上部中央側または上部中央面212bの少なくとも一部に均一に分配するように構成されてもよい。予備金属リボン210の幅(すなわち、上部左側212aの最も左の部分/縁と上部右側212cの最も右の部分/縁との間の寸法)が小さい(例えば、約3mm未満)である例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化アセンブリ130は、冷却剤130aの単一の流れを予備金属リボン210の上面212に供給するための単一のノズル132を備えて構成されてもよい。1つ以上のノズル132は、(
図1に示されるように)回転するホイール120の接触面122から離れている(またはもはや接触していない)予備金属リボン210の少なくとも一部210bに冷却剤130aを供給するように固定して配置されてもよい。そのような1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の上面212から50mm未満の距離で、かつ予備金属リボン210が回転するホイール120の接触面122から約5mmから600mm離れているときに、固定して配置され得る。代替的または追加的に、回転するホイール120の接触面122をまだ離れていない(またはまだ接触している)予備金属リボン210の少なくとも一部210aに冷却剤130aを供給するよう1つ以上のノズル132を固定的に配置してもよい。そのような1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の上面212から50mm未満の距離に固定して配置され得る。
【0037】
冷却剤130aを予備金属リボン210の上面212の少なくとも一部分に供給するように構成された1つ以上のノズル132の代わりに、またはそれに加えて、粒径微細化および均一化アセンブリ130は、冷却剤130aの1つ以上の流れを予備金属リボン210の下面211の少なくとも一部に供給するように構成される1つ以上のノズル132などを含み得る。予備金属リボン210の下面211は、予備金属リボン210の上面212と反対側の面である。1つ以上のそのようなノズル132は、冷却剤130aを予備金属リボン210の少なくとも(
図2Aに示されるように)下部左側または下部左側面211a、(
図2Aに示されるように)下部右側または下部右側面211c、および(
図2Aに示されるように)下部中央側または下部中央面211bに均一に分配するように構成されてもよい。予備金属リボン210の幅(すなわち、下部左側または下部左側面211aの最も左の部分/縁と下部右側または下部右側面211cの最も右の部分/縁との間の寸法)が小さい(例えば、約3mm未満)である例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化アセンブリ130は、冷却剤130aの単一の流れを予備金属リボン210の下面211に供給する単一のノズル132を備えて構成されてもよい。1つ以上のノズル132は、(
図1に示されるように)回転するホイール120の接触面122から離れている(またはもはや接触していない)予備金属リボン210の少なくとも一部に冷却剤130aを供給するように固定して配置されてもよい。そのような1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の下面211から50mm未満の距離で、かつ予備金属リボン210が回転するホイール120の接触面122から約5mmから600mm離れているときに、固定して配置され得る。
【0038】
例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化アセンブリ130によって予備金属リボン210に供給される冷却剤130aは、液体アルゴン130a流、液体ヘリウム130a流、および/または液体形態(もしくは液体状態)の1つ以上の他の希ガス130a流の形態であってもよい。この点に関して、予備金属リボン210は、液体アルゴン130a、液体ヘリウム130a、および/または液体状態/形態の1つ以上の他の希ガス130aの流れを受け取ってそれと接触する(すなわち、液体アルゴン130aのような1つ以上の希ガス130aの液体状態/形態を受け取って接触させる)。1つ以上の希ガス130aのこのような液体状態/形態の流れは、約20~500cc/分の流量で供給されてもよい。1つ以上の希ガス130aの液体状態/形態の流れを供給する代わりに、または加えて、粒径微細化および均一化アセンブリ130によって予備金属リボン210に供給される冷却剤130aは、アルゴンガス、ヘリウムガス、および/もしくは1つ以上の他の希ガスの気体状態/形態の流れまたは流動であってもよい。
【0039】
(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)粒径微細化および均一化アセンブリ130の実施形態例によって冷却剤130aの実施形態例を予備金属リボン210に供給する際に、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の上側222および/または下側221の幅にわたって、より均一な粒径の微細化および均一性を有して形成される(すなわち、上部左側222a、上部右側222c、上部中央側222b、下部左側221a、下部右側222c、下部中央側222bの粒径の均一性が、より高まっている)ことが本開示において認識される。本開示で用いられるように、粒径の、より高いまたは増大した均一性は、粒径の、より小さい偏差、範囲、または差を指す。例えば、左側211a/212aにおける平均粒径が43.5nmであり、中央211b/212bにおける平均粒径が46.9nmであり、右側211c/212cにおける平均粒径が39.1nmである予備金属リボン210は、左側221a/222aにおける平均粒径が38.1nmであり、中央221b/222bにおける平均粒径が39.1nmであり、右側221c/222cの平均粒径が37.7nmである最終金属リボン220と比較して、粒径の均一性がより低い(または幅にわたって粒径がより均一でない)であろう。
【0040】
より具体的には、本開示では、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)粒径微細化および均一化アセンブリ120の例示的な実施形態による冷却剤130aの例示的な実施形態の予備金属リボン210への供給において、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220の1つ以上の側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220の当該側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径の10%未満となるように形成されることが認識される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径との差(すなわち、最終金属リボン220のすべての側部または縁部と比較して)が、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径の10%未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220の1つ以上の側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220の当該側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径の5%未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径の5%未満となるように形成される。
【0041】
代替的または追加的に、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)冷却剤130aの例示的な実施形態を粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的な実施形態によって予備金属リボン210に供給するとき、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のある側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が、5nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径との差(すなわち、最終金属リボン220のすべての側部または縁部と比較して、)が5nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のある側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が2nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a,221c,222aおよび222c)の平均粒径との差が2nm未満となるように形成される。
【0042】
代替的または追加的に、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)冷却剤130aの例示的実施形態が粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的実施形態によって予備金属リボン210に供給されるとき、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径が50nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径が40nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径およびすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径が50nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径および最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径が40nm未満となるように形成される。
【0043】
本開示ではまた、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的実施形態による冷却剤130aの例示的実施形態の予備金属リボン210への供給において、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が従来の方法で製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも小さく形成されることも認識される。例えば、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さくなるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さいように形成される。本開示で言及されるように、「従来の方法」などは、予備金属リボン210を処理するための粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的な実施形態の使用を含まない(すなわち、従来の方法は、冷却剤130aの例示的な実施形態を予備金属リボン210に供給しない)、金属リボンを製造する任意の方法であり得る。さらに、本開示において言及されるように、「従来の金属リボン」などは、予備金属リボン210を処理するために粒径微細化および均一性アセンブリ130の例示的な実施形態を用いることなく製造される(すなわち、従来の金属リボンは、冷却剤130aの例示的な実施形態で処理されていない)任意の金属リボン(予備金属リボン210を含む)であり得る。さらに、本開示において言及されるように、「従来の金属リボンの中央部分」などは、予備金属リボン210を処理するために粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的な実施形態を用いることなく製造される任意の金属リボンの中央部分(すなわち、冷却剤130aの例示的な実施形態で処理されていない従来の金属リボンの中央部分)(予備金属リボン210の中央部分を含む)であり得る。
【0044】
本開示では、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化アセンブリ130で処理しないことと比較して、)粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的実施形態による冷却剤130aの例示的実施形態の予備金属リボン210への供給において、(第1の回転速度または第1のホイール速度で回転する)回転するホイール120の外側接触面122に供給される合金の溶融混合物200の流量は、従来の方法で用いられる合金の溶融混合物200の従来の流量よりも少なくとも10%高く増加され得ることも認識される。本開示で言及されるように、合金の溶融混合物200の「従来の流量」は、(本開示に記載されるように、予備金属リボン210を処理するために粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的な実施形態を用いることを含まないものである)従来の方法(すなわち、従来の方法は、冷却剤130aの例示的な実施形態を予備金属リボン210に供給しない)を用いて、(第1の回転速度または第1のホイール速度で回転する)回転するホイール120の外側接触面122に供給される合金の溶融混合物200の最大流量である。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記10%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記10%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい。好ましくは、(第1の回転速度または第1のホイール速度で回転する)回転するホイール120の外側接触面122に供給される合金の溶融混合物200の流量は、上述の従来の方法で用いられる合金の溶融混合物200の上述の従来の流量と比較して、少なくとも30%増加され得る。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記30%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記30%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい。
【0045】
磁性材料を製造する方法の例示的な実施形態(例えば、方法300)。
図3は、磁性材料を製造する方法(例えば、方法300)の例示的な実施形態を示す。磁性材料を製造する方法300は、合金の混合物を提供すること(例えば、動作302)を含む。方法300はまた、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすること(例えば、動作304)も含む。方法300はまた、溶融紡糸プロセスを実行すること(例えば、動作306)も含む。溶融紡糸プロセスは、動作304で得られた合金の溶融混合物を、回転可能なホイールを介して急速に凝固させて、予備金属リボンとすること(例えば、動作306)を含む。方法300はまた、粒径微細化および均一化プロセスを実行すること(例えば、動作308)も含む。
【0046】
例示的な実施形態では、方法300は、(本開示に記載されるような)システム100の例示的な実施形態、またはるつぼアセンブリ110、回転ホイールアセンブリ120、および/もしくは粒径微細化および均一化アセンブリ130を含むシステム100の1つ以上の要素を用いて実行されてもよい。そのようなシステム100、またはシステム100の1つ以上の要素は、磁性材料の製造のための一貫した環境/条件を維持するように構成されるチャンバ(図示せず)など内に収容され得る。例えば、磁性材料を製造する間、方法300は、チャンバの内圧および/または温度を、それぞれ約10torr~500torrおよび約10°C~200°Cに維持することも含んでもよい。さらに、方法300は、チャンバ内において、1つ以上の入力および/または出力バルブ(図示せず)を介してなど、1種以上の不活性ガス(例えば、アルゴンガス、ヘリウムガスなど)の雰囲気を提供および維持することも含み得る。方法300は、磁性材料の製造中に、(例えば、本開示で説明するように、粒径微細化および均一化アセンブリ130による)冷却剤130aの適用/供給および1種以上の不活性ガスの雰囲気を考慮して、チャンバ内の上述の環境/条件を動的に維持することも含み得る。
【0047】
磁性材料を製造する方法300の例示的な実施形態およびその動作を、本開示の一部を形成する添付の図面を参照してさらに説明する。
【0048】
合金の混合物を提供する(例えば、動作302)。
例示的な実施形態において、磁性材料を製造する方法300は、合金の混合物を提供すること(例えば、動作302)を含む。合金の混合物は、RE-Fe-Bによって表され、REは1つ以上の希土類元素であり、Feは鉄であり、Bはホウ素である組成物を含み得るが、それに限定されない。好ましい実施形態において、合金の混合物の組成はRE-Fe-Co-M-Bであり、ここでREは1つ以上の希土類元素であり;Feは鉄であり;Coはコバルトであり;Mは、元素Ga、Cu、Al、Nb、Zr、W、Ti、Si、CおよびMoから選択される1つ以上の元素であり;Bはホウ素である。合金の混合物は、るつぼアセンブリ110の例示的な実施形態に与えられてもよい。合金の混合物は、RE、Fe、Co、Mおよび/もしくはBを含む原料の形態で、ならびに/または予め溶融されたインゴット(これはRE、Fe、Co、Mおよび/もしくはBを含み得る)の形態で提供されてもよい。
【0049】
合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とする(例えば、動作304)。
例示的な実施形態において、磁性材料を製造する方法300は、合金の混合物を溶融して合金の溶融混合物とすること(例えば、動作304)を含む。合金の混合物は、加熱コイル114などを有するるつぼアセンブリ110の例示的な実施形態を用いて溶融され得る。加熱コイル114は、合金の混合物がるつぼ112の内部キャビティに収容されたとき、合金の混合物を溶融する(すなわち、合金の溶融混合物となる)のに十分な加熱を提供するように構成された誘導加熱コイル114などであってもよい。
【0050】
溶融紡糸プロセス(例えば、動作306)を実行する。
例示的な実施形態では、磁性材料を製造する方法300は、溶融紡糸プロセス(例えば、動作306)を実行することを含む。溶融紡糸プロセスは、回転可能なホイールを用いて、合金の溶融混合物(動作304で得られ、るつぼ116内に収容される)を急速に凝固させて、予備金属リボンとすること(例えば、動作306)を含む。方法300は、るつぼ112からノズル116などを介して回転するホイール120の外側接触面122に合金の溶融混合物を放出することを含む。
【0051】
合金の溶融混合物は、約0.2kg/分から5.0kg/分の間の流速で放出され得る。
【0052】
溶融紡糸プロセスは、回転ホイールアセンブリ120の回転するホイール120を、(例えば、
図1の方向矢印Rによって示されるように、)回転するホイール120の中心軸Cに対して約5m/s~60m/sの回転速度(またはホイール速度)で回転させることを含む。回転するホイール120の回転速度は、とりわけ、ノズル116からの合金の溶融混合物の流量、ノズル116の開口のサイズ、るつぼ112の内部キャビティに収容された合金の溶融混合物に加えられる正圧の量、るつぼ112の内部キャビティ内に提供される合金の混合物の組成および温度、回転ホイールアセンブリ120によって形成される予備金属リボン210の所望のサイズ/寸法(例えば、幅、厚さなど)に基づいて選択することができる。
【0053】
ノズル116から放出された合金の溶融混合物が回転するホイール120の外側接触面122と接触すると、合金の溶融混合物は急速に凝固して(本開示に記載されるように)予備金属リボンを生成する。
【0054】
粒径微細化および均一化プロセス(例えば、動作308)を実行する。
例示的な実施形態では、磁性材料を製造する方法300は、粒径微細化および均一化プロセス(例えば、動作308)を実行することを含む。粒径微細化および均一化プロセスは、粒径微細化および均一化アセンブリ130の例示的な実施形態によって実行されてもよい。粒径微細化および均一化プロセスは、((上記および本開示に記載されるように)合金の溶融混合物の急速な凝固によって形成される)予備金属リボン210の1つ以上の部分に冷却剤源(図示せず)から冷却剤130aの例示的な実施形態を供給して、最終金属リボンとすることを含む。粒径微細化および均一化プロセスによって予備金属リボン210に供給される冷却剤130aは、液体アルゴン130a流、液体ヘリウム130a流、および/または液体形態(または液体状態)の1つ以上の他の希ガス130a流の形態であってもよい。この点に関して、予備金属リボン210は、液体アルゴン130a、液体ヘリウム130a、および/または液体状態/形態の1つ以上の他の希ガス130aの流れを受け取ってそれと接触する(すなわち、液体アルゴン130aのような1つ以上の希ガス130aの液体状態/形態を受け取って接触させる)。1つ以上の希ガス130aのこのような液体状態/形態の流れは、約20~500cc/分の流量で供給されてもよい。1つ以上の希ガス130aの液体状態/形態の流れを供給する代わりに、またはそれに加えて、粒径微細化および均一化プロセスによって予備金属リボン210に供給される冷却剤130aは、アルゴンガス、ヘリウムガス、および/または1つ以上の他の希ガスの気体状態/形態の流れまたは流動であってもよい。
【0055】
例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化プロセスは、粒径微細化および均一化アセンブリ130の1つ以上のノズル132を介して、冷却剤130aを予備金属リボン210に供給することを含む。1つ以上のノズル132は、冷却剤130aの1つ以上の流れを予備金属リボン210の上面212の少なくとも一部に供給するように構成されてもよい。1つ以上のノズル132は、最終金属リボン220となるように、冷却剤130aを、予備金属リボン210の(
図2Aに示されるように)上部左側または上部左側面212a、(
図2Aに示されるように)上部右側または上部右側面212c、(
図2Aに示されるように)上部中央側または上部中央面212bの少なくとも一部に均一に分配するように構成されてもよい。予備金属リボン210の幅(すなわち、上部左側212aの最も左の部分/縁と上部右側212cの最も右の部分/縁との間の寸法)が小さい(例えば、約3mm未満)である例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化プロセスは、冷却剤130aの単一の流れを予備金属リボン210の上面212に供給するための単一のノズル132を利用してもよい。
【0056】
例示的実施形態では、粒径微細化および均一化プロセスは、(
図1に示されるように)回転するホイール120の接触面122から離れている(またはもはや接触していない)予備金属リボン210の少なくとも一部210bに冷却剤130aを供給してもよい。そのような例では、1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の上面212から50mm未満の距離で、かつ予備金属リボン210が回転するホイール120の接触面122から約5mmから600mm離れているときに、固定して配置されてもよい。
【0057】
代替的または追加的に、粒径微細化および均一化プロセスは、回転するホイール120の接触面122をまだ離れていない(またはまだ接触している)予備金属リボン210の少なくとも一部210aに冷却剤130aを供給してもよい。そのような例では、1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の上面212から50mm未満の距離に固定して配置されてもよい。
【0058】
冷却剤130aを予備金属リボン210の上面212の少なくとも一部分に供給するように構成された1つ以上のノズル132の代わりに、またはそれに加えて、粒径微細化および均一化プロセスは、冷却剤130aの1つ以上の流れを予備金属リボン210の下面211の少なくとも一部に供給してもよい。そのような例では、1つ以上のノズル132は、冷却剤130aを予備金属リボン210の少なくとも(
図2Aに示されるように)下部左側または下部左側面211a、(
図2Aに示されるように)下部右側または下部右側面211c、および(
図2Aに示されるように)下部中央側または下部中央面211bに均一に分配するように構成されてもよい。予備金属リボン210の幅(すなわち、下部左側または下部左側面211aの最も左の部分/縁と下部右側または下部右側面211cの最も右の部分/縁との間の寸法)が小さい(例えば、約3mm未満)である例示的な実施形態では、粒径微細化および均一化プロセスは、冷却剤130aの単一の流れを予備金属リボン210の下面211に供給してもよい。
【0059】
例示的実施形態では、粒径微細化および均一化プロセスは、(
図1に示されるように)回転するホイール120の接触面122から離れている(またはもはや接触していない)予備金属リボン210の少なくとも一部に冷却剤130aを供給してもよい。そのような例では、1つ以上のノズル132は、予備金属リボン210の下面211から50mm未満の距離で、かつ予備金属リボン210が回転するホイール120の接触面122から約5mmから600mm離れているときに、固定して配置されてもよい。
【0060】
(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)粒径微細化および均一化プロセスの実施形態例によって冷却剤130aの実施形態例を予備金属リボン210に供給する際に、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の上側222および/または下側221の幅にわたって、粒径がより微細かつ均一(または微細さおよび均一さがよりよいかもしくはより優れている)に形成される(すなわち、上部左側222a、上部右側222c、上部中央側222b、下部左側221a、下部右側222c、および下部中央側222bの粒径がより均一であるかまたは粒径の均一性が増大されている)ことが本開示において認識される。
【0061】
より具体的には、本開示では、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)粒径微細化および均一化プロセスの例示的な実施形態による冷却剤130aの例示的な実施形態の予備金属リボン210への供給において、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220の1つ以上の側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220の当該側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径の10%未満となるように形成されることが認識される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径との差(すなわち、最終金属リボン220のすべての側部または縁部と比較して)が、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径の10%未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220の1つ以上の側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220の当該側部または縁部(221a、221c、222aおよび/または222c)の平均粒径の5%未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径との差が、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222aおよび222c)の平均粒径の5%未満となるように形成される。
【0062】
代替的または追加的に、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)冷却剤130aの例示的な実施形態を粒径微細化および均一化プロセスの例示的な実施形態によって予備金属リボン210に供給するとき、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のある側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が、5nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径との差(すなわち、最終金属リボン220のすべての側部または縁部と比較して、)が5nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のある側部または縁部(221a、221c、222a、および/または222c)の平均粒径との差が2nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径と、最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a,221c,222aおよび222c)の平均粒径との差が2nm未満となるように形成される。
【0063】
代替的または追加的に、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)冷却剤130aの例示的実施形態が粒径微細化および均一化プロセスの例示的実施形態によって予備金属リボン210に供給されるとき、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径が50nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径が40nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径およびすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径が50nm未満となるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、最終金属リボン220の中央部分221b/222bの平均粒径および最終金属リボン220のすべての側部または縁部(221a、221c、222a、および222c)の平均粒径が40nm未満となるように形成される。
【0064】
本開示ではまた、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)粒径微細化および均一化プロセスの例示的実施形態による冷却剤130aの例示的実施形態の予備金属リボン210への供給において、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が従来の方法で製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも小さく形成されることも認識される。例えば、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さくなるように形成される。好ましくは、最終金属リボン220は、中央部分221b/222bの平均粒径が、従来の方法を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さいように形成される。
【0065】
本開示では、(冷却剤130aを供給しないことを含め、予備金属リボン210を粒径微細化および均一化プロセスで処理しない従来の方法と比較して、)粒径微細化および均一化プロセスの例示的実施形態による冷却剤130aの例示的実施形態の予備金属リボン210への供給において、(第1の回転速度または第1のホイール速度で回転する)回転するホイール120の外側接触面122に供給される合金の溶融混合物200の流量は、従来の方法で用いられる合金の溶融混合物200の従来の流量よりも少なくとも10%高く増加され得ることも認識される。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記10%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記10%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい。好ましくは、(第1の回転速度または第1のホイール速度で回転する)回転するホイール120の外側接触面122に供給される合金の溶融混合物200の流量は、上述の従来の方法で用いられる合金の溶融混合物200の上述の従来の流量と比較して、少なくとも30%増加され得る。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記30%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも5%小さい。好ましくは、(従来の流量と比較して)合金の溶融混合物200の上記30%の流量増加の結果として製造される最終金属リボン220の中央部分の平均粒径は、上記従来の方法(および上記従来の流量)を用いて製造される従来の金属リボンの中央部分の従来の平均粒径よりも少なくとも10%小さい。
【0066】
比較例。
合金の混合物(合金組成31.4%NdPr-0.5%Ga-0.915%B-残部Fe)をるつぼアセンブリ内に与え、溶融して合金の溶融混合物を形成した。溶融紡糸プロセスを実施して、合金の溶融混合物を(回転ホイールアセンブリを介して)急速に凝固させ、予備金属リボンを形成した。本比較例では、予備金属リボンに対して粒径微細化および均一化プロセスを行わなかった。
図4Aは、(第2の行の3つの断面図については)x2,500、および(予備金属リボンの上部左側212a'、上部中央側212b'、上部右側212c'、下部左側211a'、下部中央側211b'、および下部右側211c'の粒子を示す第1の行および第3の行の6つの代表的な領域については)x100,000の倍率で撮影した比較例で得られた予備金属リボンのFESEM(電界放出走査電子顕微鏡)画像を示す。
図5Aおよび
図5Bは、比較例の予備金属リボンについて得られた平均粒径測定値(上側の平均粒径(
図5Cおよび
図5D参照)および下側の平均粒径(
図5Cおよび
図5D参照)の平均計算)の表およびグラフをそれぞれ示し;
図5Cおよび
図5Dは、比較例の予備金属リボンについて得られた平均粒径測定値(別々に提供され、
図5Aおよび
図5Bのように平均化されない、上側の平均粒径および下側の平均粒径)の表およびグラフをそれぞれ示す。平均粒径は、イメージJオープンソースソフトウェアを用いて得た。
図5Aおよび
図5Bに示すように、予備金属リボンの左側の平均粒径(212a'および211a'の平均)は43.5nmであることが測定され;予備金属リボンの中央の平均粒径(212b'および211b'の平均)は、46.9nmであることが測定され;予備金属リボンの右側の平均粒径(212c'、211c'の平均)は39.1nmであることが測定された。さらに、
図5Cおよび
図5Dに示されるように、予備金属リボンの上部左側212a'の平均粒径は44.7nmであることが測定され;予備金属リボンの上部中央側212b'の平均粒径は49.2nmであることが測定され;予備金属リボンの上部右側212c'は41.7nmであることが測定された。さらに、
図5Cおよび
図5Dに示すように、予備金属リボンの下部左側211a'の平均粒径は42.2nmであることが測定され;予備金属リボンの下部中央側211b'の平均粒径は44.7nmであることが測定され;予備金属リボンの下部右側211c'の平均粒径は36.4nmであることが測定された。
【0067】
実施例1
比較例(合金組成31.4%NdPr-0.5%Ga-0.915%B-残部Fe)と同じ合金混合物を、比較例と同じるつぼアセンブリ内に与え、溶融して、比較例と同じ合金の溶融混合物を形成した。合金の溶融混合物を、比較例と同じ回転ホイールアセンブリを介して急速に凝固させ、予備金属リボンを形成した。この実施例1では、予備金属リボンに対して、予備金属リボンの上面への冷却剤の例示的な実施形態の供給を含む、(粒径微細化および均一化アセンブリの例示的な実施形態を用いる)粒径微細化および均一化プロセスを行った。
図4Bは、(第2の行の3つの断面図については)x2,500、および(予備金属リボンの上部左側222a’、上部中央側222b’、上部右側222c’、下部左側221a’、下部中央側221b’、および下部右側221c’の粒子を示す第1の行および第3の行の6つの代表的な領域については)x100,000の倍率で撮影した実施例1で得られた最終金属リボンのFESEM画像を示す。
図5Aおよび
図5Bは、実施例1の最終金属リボンについて得られた平均粒径測定値(上側の平均粒径(
図5Eおよび
図5F参照)および下側の平均粒径(
図5Eおよび
図5F参照)の平均計算)の表およびグラフをそれぞれ示し;
図5Eおよび
図5Fは、実施例1の最終金属リボンについて得られた平均粒径測定値(別々に提供され、
図5Aおよび
図5Bのように平均化されない、上側の平均粒径および下側の平均粒径)の表およびグラフをそれぞれ示す。平均粒径は、イメージ-Jソフトウェアを用いて求めた。本開示では、最終金属リボンの左側の平均粒径(222a'および221a'の平均)は、38.1nmと測定され、これは、比較例の予備金属リボンの左側の平均粒径(212a'および211a'の平均)よりも12.5%または5.4nm小さいことが認識された。また、最終金属リボンの中央の平均粒径(222b'および221b'の平均)は39.1nmと測定され、比較例の予備金属リボンの中央の平均粒径(212b'および211b'の平均)よりも16.6%または7.8nm小さい。また、最終金属リボンの右側の平均粒径(222c'および221c'の平均)は、37.7nmと測定され、これは、比較例の予備金属リボンの右側(212c'、211c')の平均粒径よりも3.4%または1.4nm小さい。さらに、上部左側222a'の平均粒径は、上部左側212a'の平均粒径よりも5.4nmまたは12.08%小さく;下部左側221a'の平均粒径は、下部左側211a'の平均粒径よりも5.4nmまたは12.80%小さく;上部中央側222b'の平均粒径は、上部中央側212b'の平均粒径よりも9.1nmまたは18.50%小さく;下部中央側221b'の平均粒径は、下部中央側211b'の平均粒径よりも6.6nmまたは14.77%小さく;上部右側222c'の平均粒径は、上部右側212c'の平均粒径よりも3nmまたは7.19%小さい。
【0068】
また、中央の平均粒径(222b'、221b'の平均)の39.1nmと左側の平均粒径(222a'、221a'の平均)の38.1nmとの差は1nm(または、左側の平均粒径の約2.62%および中央の平均粒径の約2.56%)であり、これは、中央の平均粒径(212b'および211b'の平均)の46.9nmと左側の平均粒径(212a'、211a')の43.5nmとの差(これは、3.4nm、またはそれぞれ、左の平均粒径の約7.82%;および中央の平均粒径の約7.25%である)よりも有意に小さい。さらに、上部中央(222b')の平均粒径の40.1nmと上部左側(222a')の平均粒径の39.3nmとの差は0.8nm(または上部左側の平均粒径の約2.04%および上部中央の平均粒径の約2.00%)であり、これは、上部中央(212b')の平均粒径の49.2nmと上部左側(212a')の平均粒径の44.7nmとの差(これは、4.5nm、またはそれぞれ、上部左側の平均粒径の約10.07%;および上部中央の平均粒径の約9.15%である)よりも有意に小さい。また、下部中央(221b')の平均粒径の38.1nmと下部左側(221a')の平均粒径の36.8nmとの差は1.3nm(または、下部左側の平均粒径の約3.53%および下部中央の平均粒径の約3.41%)であり、これは、下部中央(211b')の平均粒径の44.7nmと下部左側(211a')の平均粒径の42.2nmとの差(これは、2.5nm、または下部左側の平均粒径の約5.92%であり;下部中央の平均粒径の約5.59%である)よりも有意に小さい。
【0069】
また、中央の平均粒径(222b'、221b'の平均)の39.1nmと、右側の平均粒径(222c'、221c'の平均)の37.7nmとの差は1.4nm(または、右側の平均粒径の約3.71%および中央の平均粒径の約3.58%)であり、これは、中央の平均粒径(212b'および211b'の平均)の46.9nmと、右側の平均粒径(212c'および211c'の平均)の39.1nmとの差(これは、7.8nm、または右側の平均粒径の約19.95%であり;中央の平均粒径の約16.63%である)よりも有意に小さい。さらに、上部中央(222b')の平均粒径の40.1nmと、上部右側(222c')の平均粒径の38.7nmとの差は、1.4nm(または、上部右側の平均粒径の約3.62%および上部中央の平均粒径の約3.49%)であり、これは、上部中央(212b')の平均粒径の49.2nmと上部右側(212c')の平均粒径の41.7nmとの差(7.5nm、または上部右側の平均粒径の約17.99%であり;上部中央の平均粒径の約15.24%である)よりも有意に小さい。また、下部中央(221b')の平均粒径の38.1nmと下部右側(221c')の平均粒径の36.6nmとの差は1.5nm(または、下部右側の平均粒径の約4.01%、下部中央の平均粒径の約3.94%である)であり、これは、下部中央(211b')の平均粒径の44.7nmと下部右側(211c')の平均粒径の36.4nmとの差(これは、8.3nm、または下部右側の平均粒径の約22.80%であり;下部中央の平均粒径の約18.57%である)よりも有意に小さい。
【0070】
本開示では、粒径微細化および均一化アセンブリの例示的実施形態による予備金属リボンへの冷却剤の例示的実施形態の供給を含む、粒径微細化および均一化プロセスの例示的実施形態を実行する際に、以下の利点および/または改善の1つ以上が達成可能または達成されることが認識される:従来の方法と比較して、および予備金属リボンと比較して、最終金属リボンの幅にわたって、より小さい、より一様性が達成され(例えば、左側(平均、上部、下部)、中央(平均、上部、下部)および右側(平均、上部、下部))の平均粒径の差がより小さい);および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの左側と比較して、最終金属リボンの左側のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの中央と比較して、最終金属リボンの中央のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの右側と比較して、最終金属リボンの右側のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの上部左側と比較して、最終金属リボンの上部左側のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの上部中央と比較して、最終金属リボンの上部中央のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの上部右側と比較して、最終金属リボンの上部右側のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの下部左側と比較して、最終金属リボンの下部左側のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの下部中央と比較して、最終金属リボンの下部中央のより小さい平均粒径;および/または従来の方法と比較して、および予備金属リボンの下部右側と比較して、最終金属リボンの下部右側のより小さい平均粒径;および/または(溶融紡糸プロセスを実行するときに、)回転可能ホイールのホイール速度(または回転速度)を増加させる必要なしに回転可能ホイールアセンブリの回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の(従来の方法と比較して)増加した流量が、上記および本開示に記載される利点および/または改善の1つ以上を達成する;および/または(溶融紡糸プロセスを実行するときに)(従来の方法と比較して)回転可能ホイールアセンブリの回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量を増加させる必要なしに回転可能ホイールのホイール速度(または回転速度)を減少させることは、上記および本開示に記載される利点および/または改善の1つ以上を達成する;および/または(従来の方法と比較して)回転可能ホイールアセンブリの回転可能ホイールに供給される合金の溶融混合物の流量を減少させる必要なく予備金属リボンおよび最終金属リボンの厚みを増加させることは、上記および本開示において記載される利点および/または改善の1つ以上を達成する;および/または(従来の方法と比較して)回転可能ホイールアセンブリの回転可能ホイールのホイール速度(または回転速度)を減少させる必要なしに予備金属リボンおよび最終金属リボンの厚みを増加させることは、上述のおよび本開示で説明される利点および/または改善の1つ以上を達成する;および/または、平均粒径および平均粒径の均一性を損なわずに、回転可能ホイールのホイール速度(または回転速度)を低下させることによって達成可能な、延長された回転ホイールランタイム。
【0071】
開示される原理による様々な実施形態が上記で説明されたが、それらは、例として提示されたにすぎず、限定的ではないことを理解されたい。したがって、本開示で説明される例示的な実施形態の広さおよび範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、本開示から請求される特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。さらに、上述の利点および特徴は、記載された実施形態において提供されるが、上述の利点のいずれかまたはすべてを達成するプロセスおよび構造へのそのような請求された特許請求の範囲の適用を限定するものではない。
【0072】
本明細書において用いられる様々な用語は、本技術分野における特別な意味を有する。特定の用語がそのような「技術用語」として解釈されるべきかどうかは、その用語が用いられる文脈に依存する。用語は、それらが本開示で用いられる文脈に照らして解釈されるべきであり、当業者は、開示される文脈においてそれらの用語を理解するであろう。本明細書で提供される定義は、開示される文脈に基づいてそれらの用語に付与され得る他の意味を排除するものではない。
【0073】
「その時に」、「等価」、「~中に」、「完全」など、比較、測定、およびタイミングの語は、「実質的にその時に」、「実質的に等価」、「実質的に~中に」、「実質的に完全」などを意味すると理解されるべきであり、「実質的に」は、このような比較、測定およびタイミングは、暗黙的にまたは明示的に述べられた所望の結果を達成するために実施可能であることを意味する。
【0074】
さらに、本明細書のセクション見出しおよびトピック見出しは、様々な特許規制および実践の下での示唆と一貫性があるように、または編成上の手がかりを与えるために提供される。これらの見出しは、本開示から生じ得る任意の特許請求の範囲に記載される実施形態を限定または特徴付けるものではない。特に、「背景技術」における技術の説明は、技術が本開示の任意の実施形態に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、本開示における単数形での「発明」への言及は、本開示において単一の新規性点のみが存在することを論ずるために用いられるべきではない。複数の発明が、本開示から生ずる特許請求の範囲の限定に従って述べられてもよく、そのような特許請求の範囲は、それによって保護される発明およびそれらの均等物を規定する。すべての場合において、そのような特許請求の範囲は、本開示に照らしてそれ自体のメリットに基づいて考慮されるべきであるが、本明細書の見出しによって制約されるべきではない。
【国際調査報告】