(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】非水性アルドール縮合のための有機触媒
(51)【国際特許分類】
C07C 45/72 20060101AFI20230620BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20230620BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20230620BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
C07C45/72
C07C47/02
B01J31/02 102Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565541
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021034461
(87)【国際公開番号】W WO2021242987
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ク、スンユ
(72)【発明者】
【氏名】デマイオ-ターナー、サリー
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、ワンリン
(72)【発明者】
【氏名】ブラメール、マイケル エー.
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA47A
4G169BB05B
4G169BC02B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE06A
4G169BE06B
4G169BE17A
4G169BE17B
4G169BE28A
4G169CB25
4H006AA02
4H006AC13
4H006AC41
4H039CA29
4H039CA60
4H039CG10
4H039CL25
(57)【要約】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、ノナナール、C
8オレフィン、及びC
7~C
9アルカンで構成される第1のブレンドを準備することを含む。プロセスは、第1のブレンドに、C
4アルデヒド、C
5アルデヒド、及びそれらの組み合わせから選択される成分を加えて、0重量%~10重量%の水の初期含水量を有する非水性反応混合物を生成することを含む。プロセスは、有機塩基触媒を非水性反応混合物に導入することと、非水性反応混合物を30℃~100℃の温度に加熱し、非水性反応混合物を交差アルドール縮合することと、を含む。プロセスは、C
8エナール、C
10エナール、C
13エナール、C
14エナール、及びC
18エナール、並びにそれらの組み合わせから選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノナナール、C
8オレフィン、及びC
7~C
9アルカンを含む第1のブレンドを準備することと、
前記第1のブレンドに、C
4アルデヒド、C
5アルデヒド、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分を加えて、0重量%~10重量%の水の初期含水量を有する非水性反応混合物を生成することと、
前記非水性反応混合物に有機塩基触媒を導入することと、
前記非水性反応混合物を30℃~100℃の温度に加熱し、前記非水性反応混合物を交差アルドール縮合することと、
C
8エナール、C
10エナール、C
13エナール、C
14エナール、及びC
18エナール、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
0NTU~1.0NTU未満の濁度値を有する交差アルドール生成物を生成することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
23℃で流動性の交差アルドール生成物を生成することを含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記有機塩基触媒を、有機塩基触媒と総アルデヒドとのモル比0.0036~0.0286:1で導入することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリブチルメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される有機塩基触媒を導入することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
無機塩基の非存在下で前記交差アルドール生成物を生成することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスであって、
前記第1のブレンドにC
4アルデヒドを加えて前記非水性反応混合物を生成することと、
前記有機塩基触媒を、有機塩基触媒と総アルデヒドとのモル比0.0036~0.0286:1で導入することと、
C
8エナール、C
13エナール、及びC
18エナール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することと、を含む、プロセス。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスであって、
前記第1のブレンドにC
5アルデヒドを加えて前記非水性反応混合物を生成することと、
前記有機塩基触媒を、有機塩基触媒と総アルデヒドとのモル比0.0036~0.0286:1で導入することと、
C
10エナール、C
14エナール、及びC
18エナール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することと、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
パージされた炭化水素種の再生は、大規模のポリオレフィン製造に対する最大の課題の1つである。例えば、エチレン/オクテンコポリマーの重合生成におけるオクテンコモノマーの転化率は、全般的に非常に低く、例えば、10~20%である。これは、オクテンの80~90%がポリマーに転化されることなく反応器を通過し得ることを意味する。
【0002】
ヒドロホルミル化触媒を使用したオクテン/アルカンの工業的パージ流のヒドロホルミル化によって、C9アルデヒド、未反応のC8オレフィン、及び炭化水素溶媒の混合物が生成される。次いで、このヒドロホルミル化生成物をブチルアルデヒド及び/またはバレルアルデヒドと交差アルドール反応させることでC8~C18アルデヒドが生成される。次いでその後の水素化により、これらのC8~C18アルデヒドを使用してC8~C18アルコールを生成することができる。C8~C18アルコールは、例えば、界面活性剤などの最終用途における需要の高い出発材料である。
【0003】
工業規模の交差アルドール縮合反応は、典型的には、例えば水溶液中に溶解された水酸化ナトリウム(NaOH)などの無機塩基触媒を用いて行われる。しかしながら、水溶液中での無機塩基触媒の使用は、オクテン異性体/アルカンで構成されるパージ流から生成されたヒドロホルミル化生成物とブチルアルデヒドまたはバレルアルデヒドとの交差アルドール反応を行おうとする場合に問題となる。パージ流のヒドロホルミル化生成物中の未反応のC8オレフィン及び炭化水素溶媒(アルカン)の存在は、アルドール反応のための非水性及び非極性環境を与える。C9アルデヒドとC4アルデヒドまたはC5アルデヒドとは極性が大きく異なる。それらの水中及びアルカンとオクテンとの混合物中への相対溶解度は大きく異なる。C4アルデヒドまたはC5アルデヒドは、C9アルデヒドよりも水相中への溶解度が高い。この状況では、反応においてC4アルデヒドまたはC5アルデヒドとC9アルデヒドとの所望の交差アルドール縮合の代わりにC4アルデヒドまたはC5アルデヒドの自己縮合が優位となる。アルデヒドが無機塩基触媒と混和するように、溶媒、例えばイソプロパノールを添加することによって、交差縮合反応を促進することができる。しかしながら、イソプロパノールなどの溶媒は、アルドール反応生成物混合物中に複数の共沸混合物を生成し得るため、アルドール反応生成物から有機溶媒を回収することが困難となる。
【0004】
さらに、極性有機溶媒の存在下で無機塩基触媒を使用することにより、アルデヒド反応物の高い転化率を実現するために高濃度の無機塩基触媒が必要となる。しかしながら、高濃度の無機塩基触媒は、典型的には、望まない副反応及び望まない副生成物をもたらす。副反応は、所望の生成物の収率を低下させるだけでなく、例えばカニッツァーロ反応によるカルボン酸の生成をもたらす。未反応のオレフィン及び炭化水素の存在下での、カルボン酸及びそれらの塩(例えば、重合単位のパージ流から誘導されるC9アルデヒド生成物中に存在するもの)は、深刻なゲル化をもたらし得る。アルドール反応混合物のゲル化は、反応混合物の取り扱いが困難であり、アルドール反応生成物のさらなる処理のコストが高くなり、時間、及び消費エネルギーが嵩むことから問題となる。
【0005】
したがって、疎水性のヒドロホルミル化反応生成物(例えば、ノナナール)が出発物質として使用される場合にアルドール反応を推進することができる触媒の必要性が当該技術分野において認識されている。さらに、非水性アルケン/アルカンヒドロホルミル化反応生成物が出発物質として使用される場合に、共沸混合物をほとんどまたは全く含まないアルドール反応生成物を生成することができ、室温で流動性の生成物を生じる触媒が望まれている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、ノナナール、C8オレフィン、及びC7~C9アルカンで構成される第1のブレンドを準備することを含む。プロセスは、第1のブレンドに、C4アルデヒド、C5アルデヒド、及びそれらの組み合わせから選択される成分を加えて、0重量%~10重量%の水の初期含水量を有する非水性反応混合物を生成することを含む。プロセスは、有機塩基触媒を非水性反応混合物に導入することと、非水性反応混合物を30℃~100℃の温度に加熱し、非水性反応混合物を交差アルドール縮合することと、を含む。プロセスは、C8エナール、C10エナール、C13エナール、C14エナール、C18エナール、及びそれらの組み合わせから選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態による、ヒドロホルミル化条件を与えるためのヒドロホルミル化反応器システムの概略図である。
【0008】
【
図2A】容器が直立位置にある、比較試料Bからの交差アルドール生成物の写真である。
【0009】
【
図2B】容器が反転位置にある、比較試料Bからの交差アルドール生成物の写真である。
【0010】
【
図3A】容器が直立位置にある、比較試料Cからの交差アルドール生成物の写真である。
【0011】
【
図3B】容器が反転位置にある、比較試料Cからの交差アルドール生成物の写真である。
【0012】
【
図4A】容器が直立位置にある、本発明の実施例2dからの交差アルドール生成物の写真である。
【0013】
【
図4B】容器が反転位置にある、本発明の実施例2dからの交差アルドール生成物の写真である。
【0014】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表での元素の族への参照は、族に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0015】
米国特許実務の目的のために、任意の参照される特許、特許出願または刊行物の内容は、特に定義の開示(具体的に本開示で提供されるいずれの定義とも矛盾しない範囲)及び当該技術分野での全般的知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(か、またはその同等の米国版がそのように参照により組み込まれる)。
【0016】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値及び上限値からのすべての値を含む。明示的な値(例えば、1または2、もしくは3~5、もしくは6、もしくは7)を含有する範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆる下位範囲が含まれる(例えば、上記の1~7の範囲には、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、などの下位範囲が含まれる)。
【0017】
別段その逆が記載されるか、文脈から暗示されるか、又は当該技術分野での慣習ではない限り、すべての部及びパーセントは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0018】
「アルコール」とは、炭化水素基に結合したヒドロキシル基(-OH)を有する化合物である。
【0019】
「アルデヒド」とは、1つの炭化水素基と水素原子とに結合したカルボニル官能基(C=O)を有する化合物である。
【0020】
「アルケン」とは、炭素-炭素二重結合を有する炭化水素である。
【0021】
本明細書で使用される「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0022】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、並びに組成物の材料から生成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0023】
「含む(comprising)」」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる成分、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0024】
「エナール」とは、炭素-炭素二重結合を有するアルデヒド化合物である。エナールは、アルデヒドのアルドール(または交差アルドール)縮合の後、得られた中間化合物の脱水によって生成することができる。エナールの非限定的な例は、2-エチルヘキセナールであり、これは下記に示されるようにアルデヒドのC
4の自己縮合から生じる。
【化1】
【0025】
「エノール」とは、炭素-炭素二重結合を有するアルコールである。エノールは、エナールの部分水素化によって生成することができる。
【0026】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性単量体の総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)を超える重合エチレン単量体を含有し、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーとしては、エチレンホモポリマー、及びエチレンコポリマー(エチレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)が挙げられる。「エチレン系ポリマー」及び「ポリエチレン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0027】
「炭化水素」とは、水素原子と炭素原子のみを含む化合物である。「ヒドロカルボニル」(または「ヒドロカルボニル基」)とは、原子価(典型的には一価)を有する炭化水素である。
【0028】
本明細書で使用される場合、「1-オクテン」という用語は、分子式C
8H
16を有する不飽和炭化水素α-オレフィンであり、かつ不飽和がアルファ位にある。1-オクテンは、以下に示すような分子構造(A)を有する。
構造(A)
【化2】
【0029】
本明細書で使用される場合、「オクテンの異性体」という用語は、分子式C8H16を有する不飽和炭化水素であり、かつ不飽和(二重結合)が、アルファ位にない。言い換えれば、「オクテンの異性体」という用語は、1-オクテンを除外して任意のオクテンである。オクテンの異性体の非限定的な例としては、cis-2-オクテン、trans-2-オクテン、cis-3-オクテン、trans-3-オクテン及びそれらの組み合わせ並びにシス-4-オクテン、trans-4-オクテン、分岐オクテン異性体及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「直鎖状内部オクテン異性体」という用語は、8炭素鎖で構成される直鎖かつ不飽和の炭化水素であり、不飽和(二重結合)がα位にない。直鎖状内部オクテン異性体としては、cis-2-オクテン、trans-2-オクテン、cis-3-オクテン、trans-3-オクテン、cis-4-オクテン、trans-4-オクテン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本明細書で使用される場合、「分岐鎖状C8オレフィン」とは、分子式C8H16を有し、主鎖の長さが炭素原子7個以下である不飽和炭化水素である。構造Aの直鎖状の性質に対して、分岐鎖状C8オレフィンは、主鎖に直接結合した少なくとも1つの炭化水素基を有する。分岐鎖状C8オレフィンの非限定的な例としては、3-メチル-2-ヘプテン、3-メチル-3-ヘプテン、5-メチル-2-ヘプテン、5-メチル-3-ヘプテンなどのメチルヘプテンが挙げられる。分岐鎖状C8オレフィンのさらなる非限定的な例としては、3,4-ジメチル-2-ヘキセン、3,4-ジメチル-3-ヘキセン、2,3-ジメチル-3-ヘキセンなどのジメチルヘキセンが挙げられる。さらなる非限定的な例としては、2-エチル-1-ヘキセンなどのエチルエチレンが挙げられる。
【0031】
「オレフィン」とは、炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素である。
【0032】
「ポリマー」とは、同じタイプであるか異なるタイプであるかによらず、重合した形態で、ポリマーを構成する複数及び/または繰り返しの「単位」または「~量体単位」を与えるモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、包括的なポリマーという用語は、ただ1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常使用されるホモポリマーという用語と、少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常使用されるコポリマーという用語と、を包含する。ポリマーはまた、例えば、ランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「オクテン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレンまたはオクテンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを意味している。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマーまたはモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残基を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意されたい。概して、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づいたものと称される。
【0033】
試験方法
ガスクロマトグラフィ(GC)
【0034】
使用済み溶媒及びヒドロホルミル化反応生成物の組成は、以下の条件を用いたガスクロマトグラフィー(GC)によって決定される。
【表1】
【0035】
表1及び実施例のセクションにおけるセクションAのこのデータの定量化は、既知の濃度の標準溶液から導出された応答係数を用いた重量パーセントに基づく。
【0036】
交差アルドール反応生成物の組成は、以下の条件を用いたGCによって決定される。
【表2】
【0037】
実施例のセクションにおける定量化は、FIDシグナルからのGC面積パーセント(互換的に「GC面積」または「GC%」と呼ばれる)に基づく。ピーク同一性/成分構造の確認は、米国国立標準技術研究所の試験ライブラリーに一致する電子イオン化質量選択検出器のシグナルに基づく。
【0038】
N:I比。3個以上の炭素原子を有するオレフィンのヒドロホルミル化反応は、直鎖状及び分岐鎖状異性体両方の混合物を生じる。本明細書で使用される場合、「N:I比」という用語は、直鎖状またはノルマル(N)アルデヒド異性体と分岐鎖状またはイソアルデヒド(I)異性体との比である。N:I比は、ノルマルアルデヒドの濃度(重量%)をイソアルデヒドの濃度(重量%)で割ることによって計算される。各アルデヒド異性体の重量パーセント濃度は、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定される。
【0039】
濁度は、0~200NTUの範囲でHach比濁度計を使用して測定される。測定は、8ドラム試料セルを使用して室温で行われる。機器の較正はGelex濁度標準を使用して確認した。読み取り値が安定するように各試料を少なくとも15秒間平衡化させた。試料が相分離を有していた場合、有機相を測定する。有機相混合物。結果は、比濁法濁度単位(NTU)で報告される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本開示は、プロセスを提供する。プロセスは、ノナナール、C8オレフィン、及びC7~C9アルカンで構成される第1のブレンドを準備することと、第1のブレンドにC4アルデヒド、C5アルデヒド、及びこれらの組み合わせから選択される成分を加えて非水性反応混合物を生成することと、を含む。非水性反応混合物は、0重量%~10重量%の水の初期含水量を有する。プロセスは、有機塩基触媒を非水性反応混合物に導入することを含む。プロセスは、非水性反応混合物を30℃~100℃の温度に加熱し、非水性反応混合物を交差アルドール縮合することと、を含む。プロセスは、C8エナール、C10エナール、C13エナール、C14エナール、及びC18エナール、及びそれらの組み合わせから選択される成分で構成される交差アルドール生成物を生成することを含む。
【0041】
プロセスは、ノナナール、C8オレフィン、オレフィンC7~C9アルカンで構成される、またはそうでなければこれらからなる、0重量%もしくは0重量%超~10重量%の水、または0重量%もしくは0重量%超~8重量%の水を含む第1のブレンドを準備することを含む。一実施形態では、第1のブレンドは、パージ流のヒドロホルミル化の反応生成物である。本明細書で使用される場合、「パージ流」は、重合反応が発生した後に重合反応器を出る流出物から分離されるか、またはその他の方法で回収されるいくつかの画分のうちの1つである。重合反応器を出る液体流出物は、固体(粒状)ポリマー生成物を含有し、この生成物は除去される。流出物からは再循環流も除去されるが、これはさらに処理され、重合反応器に戻される。パージ流は、(i)ポリマー生成物が流出物から回収された後、かつ(ii)再循環流が流出物から分離された後、に残る流れである。パージ流は、オクテン異性体を含む未反応のオレフィンモノマー、及び重合反応時に利用される他の炭化水素を含有する。パージ流は、その中に固体ポリマー生成物を含まないか、または実質的に含まないということが理解されよう。
【0042】
一実施形態では、パージ流は、エチレンがオクテンと共重合される重合反応器からの流出物である。パージ流は、未反応のオクテン異性体及び他の炭化水素を含む。
【0043】
一実施形態では、パージ流は、
(i)20重量%~55重量%、または25重量%~50重量%の1-オクテン、
(ii)20重量%~60重量%の直鎖状内部オクテン異性体、
(iii)2重量%~8重量%の分岐鎖状C8オレフィン、及び
(iv)5重量%~60重量%の炭化水素溶媒を含み、ただし、重量パーセントはパージ流の総重量に基づく。成分(i)~(iv)を合計すると、パージ流の100重量%になるということが理解されよう。
【0044】
パージ流は、ヒドロホルミル化反応器システムに供給される。ヒドロホルミル化反応器システムでは、ヒドロホルミル化反応によってホルミル基(-CH=O)と水素原子がアルケン(すなわち、オレフィン)の炭素-炭素二重結合に結合されてアルデヒドを生成する。パージ流はオクテン異性体を含むため、パージ流をヒドロホルミル化条件に供すると、ノナナールで構成される反応生成物が生成する。「ノナナール」は、9個の炭素原子を有するアルデヒドである。パージ流は、アルケン(主にオクテン異性体)とアルカンとの混合物であり、その結果、ヒドロホルミル化反応からの反応生成物はノナナール以外に他の成分を含む。ヒドロホルミル化反応生成物中の他の成分の非限定的な例としては、C8オレフィン、C7~C9アルカン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
プロセスは、第1のブレンド(ノナナール、C8オレフィン、及びC7~C9アルカンを含む第1のブレンド)に、C4アルデヒド、C5アルデヒド、及びこれらの組み合わせから選択される成分(以下、「C4/C5アルデヒド」と呼ぶ)を加えて、0重量%~8重量%の水の初期含水量を有する非水性反応混合物を生成することを含む。初期含水量は、0重量%もしくは0重量%超~10重量%の水、または0重量%もしくは0重量%超~8重量%の水、または1重量%~8重量%の水、または0重量%超~6重量%の水、または1重量%~4重量%の水である。一実施形態では、初期含水量は、0重量%もしくは0重量%超~10重量%、または0重量%以上もしくは0重量%超~8重量%の水、または0重量%もしくは0重量%超~6重量%の水、または0重量%もしくは0重量%超~4重量%の水である。重量パーセントは、非水性反応混合物の総重量に基づく。
【0046】
プロセスは、有機塩基触媒を非水性反応混合物に導入することを含む。本明細書で使用される場合、「有機塩基触媒」は、(i)アルキルアンモニウムカチオンまたはアルキルホスホニウムカチオンで構成される化合物であり、アルキル部分は、C10~C30ヒドロカルボニル基(またはC10~C20ヒドロカルボニル基)であり、有機塩基触媒はまた、(ii)ヒドロキシル基(-OH)またはハロ基(-Cl、-Br)であるアニオンも含む。アニオンは、カチオンに結合したヒドロキシル基(-OH)であってもよく、または水酸化物アニオンは、水酸化ナトリウム(NaOH)及び/または水酸化カリウム(KOH)などの無機塩基触媒を含む反応混合物中で、インサイチューで生成されてもよい。適当な有機塩基触媒の非限定的な例としては、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化トリブチルメチルアンモニウム(TBMAH)、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、臭化テトラブチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
一実施形態では、有機塩基は、NaOH及び/またはKOHを含む塩基性反応混合物に導入される。無機塩基触媒と有機塩基触媒との比は、0.1~1:1である。言い換えれば、本プロセスは、有機塩基触媒を使用して、反応混合物中の無機塩基触媒(NaOH及び/またはKOH)の量を減少または大幅に減少させる。
【0048】
一実施形態では、有機塩基は、水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムなどの無機塩基触媒が排除されるまで反応混合物に導入される。言い換えれば、本プロセスは、有機塩基触媒を唯一の触媒として使用し、それによって、プロセス中の無機塩基(水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウムなど)の存在を回避、または他の方法で排除する。
【0049】
有機塩基触媒が非水性反応混合物に導入された後、プロセスは、非水性反応混合物を30℃~100℃の温度、または40℃~70℃の温度、または50℃~60℃の温度にまで加熱し、非水性反応混合物を交差アルドール縮合することと、を含む。交差アルドール縮合ステップでは、有機塩基触媒は、アルデヒドとアルコールとの縮合を触媒して交差アルドール生成物及び凝縮した水の副生成物を生成する。交差アルドール生成物は、C8エナール、C10エナール、C13エナール、C14エナール、C18エナール、及びこれらの組み合わせから選択されるエナールで構成される。交差アルドール生成物は、アルコール溶媒、水、未反応アルデヒド、他のC8、C10、C13、C14、C18種、及びこれらの組み合わせをさらに含み得る。一実施形態では、交差アルドール生成物は、過半量のC8エナール、C10エナール、C13エナール、C14エナール、C18エナールを含む(ただし、「過半量」とは、交差アルドール反応生成物の総GC面積の50%超である)。
【0050】
本明細書で使用される場合、「種」という用語は、アルコール、エナール、エノール、及びアルデヒドの混合物であり、種中の各アルコール、エナール、エノール、及びアルデヒドは、同じ数の炭素原子を有する。「C8種」は、C8アルコール、C8エナール、C8エノール、及びC8アルデヒドの混合物である。「C10種」は、C10アルコール、C10エナール、C10エノール、及びC10アルデヒドの混合物である。「C13種」は、C13アルコール、C10エナール、C13エノール、及びC13アルデヒドの混合物である。「C14種」は、C14アルコール、C14エナール、C14エノール、及びC14アルデヒドの混合物である。「C18種」は、C18アルコール、C18エナール、C18エノール、及びC18アルデヒドの混合物である。
【0051】
プロセスは、23℃で流動性の液体である、1.0NTU未満、または0NTUもしくは0NTU超~1.0NTUの濁度値を有する交差アルドール生成物を生成することを含む。(i)低い初期含水量(0~10重量%の初期の水)、(ii)オレフィン、及び(iii)アルカンの存在下での無機塩基触媒(例えば、NaOH)の使用により、23℃で非流動性のゲルであり、200NTUを超える濁度を有する交差アルドール生成物が生成される。出願人は、(i)低い初期含水量(0~10重量%の初期の水)、(ii)オレフィン、及び(iii)アルカンの存在下での有機塩基触媒の使用により、23℃で流動性の、1.0NTU未満の濁度を有する交差アルドール生成物が予想外に生成されることを見出した。一実施形態では、プロセスは、23℃で流動性の液体であり、0NTU~1.0NTU、または0NTU超~0.9NTU、または0.05NTU~0.5NTUの濁度値を有する交差アルドール生成物を生成することを含む。
【0052】
一実施形態では、プロセスは、C4アルデヒドを第1のブレンドに加えて非水性反応混合物(0~10重量%の初期含水量)を生成することを含む。プロセスは、有機塩基触媒(TBAH)を、有機塩基触媒と総アルデヒドとのモル比0.0036~0.0286:1で導入することと、C8エナール、C13エナール、C18エナール、及びこれらの組み合わせから選択されるエナールで構成される交差アルドール生成物を生成することと、を含む。交差アルドール生成物は、アルコール溶媒、水、未反応アルデヒド、他のC8、C13、及びC18種(前述のエナール以外に)をさらに含み得る。交差アルドール生成物は、過半量のC8エナール、C13エナール、及びC18エナールを含む(ただし、「過半量」とは、交差アルドール反応生成物の総GC面積の50%超である)。交差アルドール生成物は、23℃で流動性であり、0NTU~1.0NTU、または0NTU超~0.9NTU、または0.05NTU~0.5NTUの濁度値を有する。C4アルデヒド及び/またはC9アルデヒドのC8/C13/C18種への転化率は、90%~99%、または92%~98%、または93%~97%である。
【0053】
一実施形態では、プロセスは、C5アルデヒドを第1のブレンドに加えて非水性反応混合物(0~8重量%の初期の水)を生成することを含む。プロセスは、有機塩基触媒(TBAH)を、有機塩基と総アルデヒドとのモル比0.0036~0.0286:1で導入することと、C10エナール、C14エナール、C18エナール、及びこれらの組み合わせから選択されるエナールで構成される交差アルドール生成物を生成することと、を含む。交差アルドール生成物は、アルコール溶媒、水、未反応アルデヒド、他のC10、C14、C18種(上述のエナール以外に)をさらに含み得る。交差アルドール生成物は、過半量のC10エナール、C14エナール、及びC18エナールを含む(ただし、「過半量」とは、交差アルドール反応生成物の総GC面積の50%超である)。交差アルドール生成物は、23℃で流動性であり、0NTU~1.0NTU、または0NTU超~0.9NTU、または0.05NTU~0.5NTUの濁度値を有する。C5アルデヒド及び/またはC9アルデヒドのC10/C14/C18種への転化率は、90%~99%、または92%~98%、または93%~97%である。
【0054】
限定ではなく例として、ここで、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0055】
エチレン/オクテン重合生成プロセスから回収されたパージ流の組成を下記表1に示す。
【表3】
【0056】
本発明の実施例(inventive examples、IE)で使用されるヒドロホルミル化触媒の配位子を下記表2に示す。
【表4】
A.ヒドロホルミル化条件(ヒドロホルミル化1)にパージ流を供する。
【0057】
ヒドロホルミル化条件は、
図1に示すように反応器システムで与えられる。反応器システムは、直列に接続された3つの1リットルのステンレス鋼製撹拌槽反応器(Rx1、Rx2、Rx3)からなる。各反応器は、垂直に取り付けられた攪拌器と、オレフィン及び/または合成ガスを反応器に供給するための底部近くの円管状スパージャーと、を備えている。スパージャーは、液体主部に所望のガス流を供給するうえで十分な大きさの複数の穴を有している。各反応器は、反応器温度を制御するための手段としてシリコーン油シェルを有している。反応器1と2及び反応器2と3はさらにラインを介して接続されており、あらゆる未反応ガスを移送し、アルデヒド生成物と触媒を含む溶液の部分を反応器1から反応器2に、さらに反応器2から反応器3に(例えば、圧力差異または圧送により)流すことができる。これにより、反応器1の未反応オレフィンは、反応器2で、その後、反応器3でさらにヒドロホルミル化される。代替の構成では、反応器3(Rx3)を迂回して、2つの反応器のみが用いられるようにしてもよい。
【0058】
各反応器は、反応器で所望の液位を維持するための空圧液位制御器も有している。反応器1が、オレフィン、一酸化炭素及び水素をスパージャーを通じて導入するためのラインをさらに有しているのに対して、メイクアップ一酸化炭素及び水素は、反応器1から反応器2に、さらに反応器2から反応器3に未反応ガスも移送する移送ラインを介して反応器2及び3に送られる。各反応器は、必要に応じて未反応ガスを制御しながら除去するためのブローオフベントも有している。液体反応溶液の一部分は、最終反応器から、加熱ゾーンからなる気化器に連続的に順次圧送され、流動ガス(ストリップガス)流を用いて揮発性成分の一部分が水冷式凝縮器に掃引され、そこで生成物受容器内に液体として回収することができる(粗生成物)。不揮発性物質は、接触領域及び分離ゾーンからなる水性抽出ゾーンに通される。US5741944に記載されるように、水性抽出の目的は、酸性副生成物を抽出することによってホスファイト配位子のさらなる加水分解を防止することにある。水性抽出後、有機不揮発性物質は再循環ラインを通じて反応器1に戻される。
【0059】
パージ流が反応器1に導入される(
図1の「オレフィン」がパージ流を表す)。パージ流は、エチレン-オクテン重合生成プロセスからのものである。パージ流の組成は上記の表1に示されている。
【0060】
ヒドロホルミル化反応は、2つの反応器(Rx1及びRx2。Rx3は迂回される)を使用して行われる。ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート(394ppmのロジウム)、配位子A(上記の表2)(0.7重量%、ロジウム1モル当たり2.0モル当量の配位子A)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(約15重量%)及び混合C
4アルデヒド(約85重量%、n-ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドとの比=約30:1)で構成される触媒溶液2Lを、
図1に示される反応器システムに入れる。次いで、反応器を流動合成ガス(CO:H
2の比=1:1)下で70℃に加熱する。反応器1及び2の圧力は、それぞれ244及び220psigに維持する。使用済み溶媒は、138グラム/時の速度で反応器1に供給される。気化器システムは、1:1の合成ガスからなるストリップガスを790sLphの流量で用いて運転され、気化器の圧力は、触媒温度101℃で7psigに維持される。
【0061】
数日間の連続運転の後、ブチルアルデヒド及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルをオーバーヘッドで除去すると、ノナナール、重質アルデヒド(インサイチューアルドール縮合の副生成物)、未反応オレフィン及び炭化水素溶媒(使用済み溶媒の一部として連続的に導入されるもの)で構成される反応器プロセス流体が残る。ノナナールで構成される反応生成物(ノナナール反応生成物)が155グラム/時の速度で回収される。ノナナール反応生成物の組成を下記表3に示す。
B.ヒドロホルミル化条件(ヒドロホルミル化2)にパージ流を供する。
【0062】
ヒドロホルミル化条件は、
図1に示される、上記のヒドロホルミル化1で述べたような2反応器システムで与えられる。ロジウムジカルボニルアセチルアセトネート(150ppmのロジウム)、配位子B(0.75重量%、ロジウム1モル当たり7.0モル当量)、及び実施例1AからのC
9アルデヒド生成物で構成される触媒溶液2Lをミニプラントに入れる。次いで、反応器を流動合成ガス(CO:H
2の比=1:1)下で90 ℃に加熱する。反応器1及び2の圧力は、それぞれ472及び438psigに維持する。使用済み溶媒は、175グラム/時の速度で反応器1に供給される。気化器システムは、1:1の合成ガスからなるストリップガスを790sLphの流量で用いて運転され、気化器の圧力は、触媒温度100~105℃で7psigに維持される。C
9アルデヒド生成物が212グラム/時の速度で回収される。組成を表3に示す。
【表5】
C. 交差アルドール縮合
【0063】
1-ドデカンをGCの内部標準として用いてC4及びC9転化率を計算する。1モル%の内部標準を含むブチルアルデヒドのマスターバッチを、1-ドデカン(17g、0.1mol)とブチルアルデヒド(720g、10.0mol)との混合物を用いて調製する。このブチルアルデヒドのマスターバッチを後の交差アルドール化学に使用する。GC法を用いてC4及びC9の原材料混合物供給量と生成物混合物との間でC4及びC9アルデヒド転化率を計算する。GC面積積分/1-ドデカンを使用して生成物の収率を評価する。例えば、C8/1-ドデカンの面積比はC8生成物の収率を表し、C13/1-ドデカンの面積比はC13生成物の収率を表し、C18/1-ドデカンの面積比はC18生成物の収率を表し、総(C8+C13+C18)/1-ドデカンはC8、C13、及びC18生成物の収率を表す。
i.比較試料(CS)A
【0064】
比較試料Aは、ヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物(上記の表3)とブチルアルデヒドとのNaOH(水溶液)触媒交差アルドール縮合反応である。ブチルアルデヒド(25.3g、0.350mol)とヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物(38.2g、0.175モルのn-ノナナール)との混合物を調製し、300mLのParr反応器にロードし、窒素で3回パージし、窒素下で密封する。NaOH触媒(1.2g、30mmol)と水(42g)の溶液を調製し、30℃で20mL/分の供給速度でGilsonポンプを使用してParr反応器に加える。添加後、反応混合物を激しく撹拌しながら60℃に加熱し、温度を60℃で60分間維持する。反応混合物を40℃に冷却し、0.9当量の酢酸でクエンチする。中和された反応混合物を分液漏斗に移し、有機相を回収する。ブチルアルデヒド及びノナナールの転化率、ならびにC8、C13、及びC18エナールの生成物収率をガスクロマトグラフィーから計算し、初期の水の重量%を計算し、結果を表5に示す。
ii.比較試料B、比較試料C
【0065】
イソプロパノール(21g)と表5に示される量のNaOHを300mLのParr反応器に入れ、窒素で3回パージし、密封する。溶液を激しく攪拌しながら60℃に加熱する。C4アルデヒド(0.175mol、12.6g)とヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物(上記の表3)(0.0875mol、22.2g)との混合物を調製し、GCを用いて分析し、小型のラボポンプを用いて40mL/分の供給速度で反応器に導入する。添加後、1時間撹拌しながら温度を60℃の反応温度に維持する。次いで、反応混合物を40℃に冷却し、GCを使用して直ちに分析する。室温に冷却した後、反応混合物の濁度を分析し、液体またはゲル挙動を示すために写真撮影する。
【0066】
比較試料Bでは、わずかに濁った液体反応混合物が得られる。
図2Aの写真に示されるように、比較試料Bでゲル化が視覚的に観察され、比較試料Bはゲルである。
図2Bの写真に示されるように、比較試料Bは、容器を逆さまにした場合であっても(反転させた場合であっても)流動性ではない。比較試料Bの濁度は、200NTUを上回る値として測定される。
【0067】
比較試料Cはゲルではなく、混合物は流動性である。しかしながら、生成物収率は低く、C4転化率は21%、C9転化率は33%である。比較試料Cは高い濁度(1NTU超)を有し、比較試料Cは36NTUの濁度を有する。
(iii)本発明の実施例(Inventive Examples、IE)2a~2d:ヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物の、様々な量のTBAH触媒を用いた均質な交差アルドール縮合反応
【0068】
ブチルアルデヒド(25.3g、0.350mol)とヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物(上記の表3)(38.2g、0.175モルのn-ノナナール)との混合物を調製し、300mLのParr反応器にロードし、窒素で3回パージし、窒素下で密封する。40重量%のTBAH水溶液(表5に示される量)を調製し、30℃で、20mL/分の供給速度でGilsonポンプを使用してParr反応器に加える。添加後、反応混合物を激しく撹拌しながら60℃に加熱し、温度を60℃で60分間維持する。反応混合物を40℃に冷却し、0.9当量の酢酸でクエンチする。中和された反応混合物を分液漏斗に移し、有機相を回収する。ブチルアルデヒド及びノナナールの転化率、ならびにC8、C13、及びC18エナールの生成物収率をガスクロマトグラフィーから計算し、初期の水の重量%を計算し、結果を表5に要約する。本発明の実施例2a~2dはそれぞれ、ゲル化が認められず、流動性である。
図4Aは、直立位置にある容器内のIE 2dを示す写真である。写真及び
図4Bに示されるように、IE 2dが入った容器を反転すると、IE 2dは下方に流れて、逆さまの容器の容器キャップを覆う。本発明の実施例2a~2dはそれぞれ低い濁度(1.0NTU未満)を有し、IE 2aの濁度値は0.14NTUであり、IE 2bの濁度値は0.12NTUであり、IE 2cの濁度値は0.13NTUであり、IE 2d濁度値は0.12NTUである。
(iii)本発明の実施例3:ヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物の、臭化テトラブチルアンモニウム+NaOH触媒を用いた均質な交差アルドール縮合反応
【0069】
ブチルアルデヒド(25.3g、0.350mol)とヒドロホルミル化1から得られたノナナール反応生成物(上記の表3)(38.2g、0.175モルのn-ノナナール)との混合物を調製し、300mLのParr反応器にロードし、窒素で3回パージし、窒素下で密封する。水(3g)に溶解した臭化テトラブチルアンモニウム(3.8mmol、1.21g)及びNaOH(3.8mmol、0.15g)の混合触媒溶液を調製し、30℃で、20mL/分の供給速度でGilsonポンプを使用してParr反応器に加える。添加後、反応混合物を激しく撹拌しながら60℃に加熱し、温度を60℃で60分間維持する。反応混合物を40℃に冷却し、0.9当量の酢酸でクエンチする。中和された反応混合物を分液漏斗に移し、有機相を回収する。ブチルアルデヒド及びノナナールの転化率、ならびにC8、C13、及びC18エナールの生成物収率をガスクロマトグラフィーから計算し、初期の水の重量%を計算し、結果を表5に示す。本発明の実施例3はそれぞれ、ゲル化が認められず、流動性である。IE3は低い濁度(1.0NTU未満)を有し、IE3の濁度値は0.15NTUである。
(v)本発明の実施例4:C8~C18アルドール生成物を生成するC4アルデヒドと分岐鎖状C9異性体との交差アルドール縮合反応
【0070】
ブチルアルデヒド(25.3g、0.350mol)とヒドロホルミル化2からのノナナール反応生成物(上記の表3)(38.2g、0.175モルのn-ノナナール)との混合物を調製し、300mLのParr反応器にロードし、窒素で3回パージし、窒素下で密封する。40重量%のTBAH水溶液(15mmol、9.73g)を、30℃で、20mL/分の供給速度でGilsonポンプを使用してParr反応器に加える。添加後、反応混合物を激しく撹拌しながら60℃に加熱し、温度を60℃で60分間維持する。反応混合物を40℃に冷却し、0.9当量の酢酸でクエンチする。中和された反応混合物を分液漏斗に移し、有機相を回収する。ブチルアルデヒド、ノナナール、分岐鎖状C9アルデヒドの転化率、ならびにC8、C13、及びC18エナールの生成物収率をガスクロマトグラフィーから計算し、初期の水の重量%を計算し、結果を表5に示す。本発明の実施例4はそれぞれ、ゲル化が認められず、流動性である。IE4は低い濁度(1.0NTU未満)を有し、IE4の濁度値は0.09NTUである。
【0071】
IE4は、TBAH触媒が直鎖状C
4アルデヒド及びC
9アルデヒドを転化率98%(99%)超で転化するだけでなく、分岐鎖状C9アルデヒドも転化率60%超(62%)で転化することを示すものである。
【表6】
【0072】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部分、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。
【国際調査報告】