(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】安全アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F41A 33/02 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
F41A33/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568884
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-11
(86)【国際出願番号】 GB2021051119
(87)【国際公開番号】W WO2021229208
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503126681
【氏名又は名称】エムビーディーエー・ユーケー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ、アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス、マーティン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ハルステッド、ウィリアム・マイケル・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブリッジウォーター、コリン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン、マーク
(57)【要約】
レーザ指向性エネルギー兵器とともに使用するための安全アセンブリが開示される。本アセンブリは、光検出器および処理ユニットを備える制御システムと、標的に取り付けるように構成され、取り付けられた場合に、光検出器へ光ビームを提供する光学デバイスとを備える。処理ユニットは、受信された光ビームを1つまたは複数の所定の属性と比較し、受信された光ビームが1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ指向性エネルギー兵器とともに使用するための安全アセンブリであって、前記安全アセンブリが、
光検出器および処理ユニットを備える制御システムと、
標的に取り付けるように構成され、取り付けられた場合、前記光検出器に光ビームを提供する光学デバイスと
を備え、
前記処理ユニットが、受信された前記光ビームを1つまたは複数の所定の属性と比較し、受信された前記光ビームが前記1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、前記レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するように構成される、安全アセンブリ。
【請求項2】
前記処理ユニットが、光ビームが受信されない場合、前記レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを防止するように構成される、請求項1に記載の安全アセンブリ。
【請求項3】
前記光学デバイスが、前記光検出器に光ビームを継続的に提供するように構成される、請求項1または2に記載の安全アセンブリ。
【請求項4】
前記光学デバイスが、光源を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項5】
前記光学デバイスが、レトロリフレクターを備え、前記制御システムが、光源を備え、前記標的に取り付けられた場合、前記光学デバイスが、反射された光ビームを前記光検出器に提供する、請求項1から3のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項6】
前記光源が、周波数変調された光ビームを出射するように構成されたレーザダイオードである、請求項3から5のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項7】
前記処理ユニットが、前記光検出器によって受信された前記光ビームを復調するように構成される、請求項6に記載の安全アセンブリ。
【請求項8】
前記レーザダイオードが、100Hzを超える変調周波数で光を出射するように構成される、請求項6または7に記載の安全アセンブリ。
【請求項9】
前記レーザダイオードが、使用時に、出射される前記光が、前記レーザ指向性エネルギー兵器に備えられた主レーザの波長と異なる波長を有するように構成される、請求項6から8のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項10】
前記光学デバイスが、広角光ビームを提供するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項11】
前記制御システムが、1つまたは複数のダイクロイックミラーを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項12】
前記処理ユニットが、受信された前記光ビームが前記1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にPERMIT信号を出力し、そのような決定が欠如する場合にPERMIT信号を出力しないように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項13】
前記処理ユニットが、そのような決定が欠如する場合に、INHIBIT信号を出力するように構成される、請求項12に記載の安全アセンブリ。
【請求項14】
前記制御システムが、前記光検出器の視野を狭めるために、前記光検出器に対して配置される開口をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項15】
前記安全アセンブリが、レーザ指向性エネルギー兵器に取り付けるように構成され、取り付けられた場合に、前記光検出器の視野が前記レーザ指向性エネルギー兵器のボアサイトと整列する、請求項1から14のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項16】
前記安全アセンブリが、前記制御システムに関連付けられた無線周波数エミッタと、前記光学デバイスに関連付けられた無線周波数受信器とを備え、前記無線周波数エミッタおよび前記受信器が、使用時に、それぞれ特定の周波数信号を出射および受信するように構成されており、前記特定の周波数信号の受信が欠如する場合、前記光源が無効にされる、請求項4に従属する場合の、請求項6から15のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項17】
標的をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の安全アセンブリ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の安全アセンブリにおける前記光学デバイスとして使用するための光学デバイス。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載の安全アセンブリにおける前記制御システムとして使用するための制御システム。
【請求項20】
レーザ指向性エネルギー兵器と、請求項1から17のいずれか一項に記載の安全アセンブリとを備える、レーザ指向性エネルギー兵器の安全システム。
【請求項21】
レーザ指向性エネルギー兵器の安全システムであって、
標的に向かって発射するように構成された主レーザと、
光検出器および処理ユニットを備える制御システムと、
前記標的に取り付けるように構成され、取り付けられた場合、前記光検出器に光ビームを提供する光学デバイスと
を備え、
前記処理ユニットが、受信された前記光ビームを1つまたは複数の所定の属性と比較し、受信された前記光ビームが前記1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、前記レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するように構成される、レーザ指向性エネルギー兵器の安全システム。
【請求項22】
レーザ指向性エネルギー兵器の発射を防止する方法であって、
標的に光学デバイスを取り付けるステップと、
前記レーザ指向性エネルギー兵器に光検出器を取り付けるステップと、
前記光学デバイスから前記光検出器へ光ビームを提供するステップと、
前記光検出器によって受信された前記光ビームを1つまたは複数の属性と比較するステップと、
前記光ビームが前記1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、前記レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するステップが、前記処理ユニットからPERMIT信号を出力するステップを備える、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、レーザ指向性エネルギー兵器の試験における使用のための、安全アセンブリに関する。本発明は、レーザ指向性エネルギー兵器の安全システム、およびレーザ指向性エネルギー兵器の発射を防止する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ指向性エネルギー兵器の試験期間中または操作者訓練期間中には、望まれない焼失または他の損害を防止するために、兵器によって出射される高エネルギーレーザ放射を正確に定義された領域に制約することが重要である。スイッチオフが開始されてから発生する損傷効果を防止するために、レーザ指向性エネルギー兵器をスイッチオフさせてからスイッチオフが発生するまでの時間期間を最小限にすることも重要である。言いかえれば、兵器のスイッチオフ時間は、可能な限り高速であるべきである。
【0003】
静的な標的については、物理的に抑制されたポインティングシステム(たとえば、ジンバルシステムエンドストップ)を使用すること、標的の後ろに大型のバックストップを配置すること、またはビーム経路を制約するためにレターボックス開口を使用することを含めて、レーザ指向性エネルギー兵器のレーザビームを明確に定義された領域に制約する、いくつかの知られている手法がある。これらの方法は、一般に、移動する標的には適さず、移動するプラットフォームから発射される移動する標的には、その標的とプラットフォームとの相対的な動きによって導入される不確実性(すなわち、許容誤差)に起因して、特に適さない。
【0004】
レーザ指向性エネルギー兵器のレーザビームを明確に定義された領域に制約し、またはさもなければ、ポインティング方向を高精度で検証する、改善された手段に対する必要性がある。
【0005】
従来のスイッチオフ方法は、許容される発射領域と任意の発射禁止ゾーンとの間に(長いスイッチオフ期間と、高い追跡システムスルーレートとの組合せに起因して)大きいバッファ領域を必要とする。移動するプラットフォームについては、そのプラットフォームの最大限の移動に適応するために、付加的なバッファ角度が必要とされる。たとえば、海事システムにおいて、船のロールおよびピッチは、海洋状態に依存し、これは、特に兵器訓練期間中に、仰角でのビーム制御、ならびに航空機および衛星などの付随的な資産の回避を非常に困難にする。
【0006】
大きいバッファ領域に対する要件は、多くのシナリオを不可能にし、システムを実使用時の使用例を表さない試験または訓練下のものにする。
【0007】
したがって、レーザ指向性エネルギー兵器をスイッチオフする改善された手段に対する必要性もある。
【0008】
要約すると、前述した欠点を克服し、ならびに/または、試験および訓練作戦期間中に、ポインティングの高い完全性確認および制御と、改善された安全性とを提供する、新しいレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムまたは使用の方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様において、レーザ指向性エネルギー兵器とともに使用するための安全アセンブリが提供され、安全アセンブリは、光検出器および処理ユニットを備える制御システムと、標的に取り付けるように構成され、取り付けられた場合、光検出器に光ビームを提供する光学デバイスとを備え、処理ユニットは、受信された光ビームを1つまたは複数の所定の属性と比較し、受信された光ビームが1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するように構成される。
【0010】
1つまたは複数の属性は、変調信号、たとえば、周波数変調信号を含み得る。1つまたは複数の属性は、特定の色の光ビームの受信を含み得る。その例において、特定の色の光のみが光検出器に到達することができるように、色フィルタが使用されてもよい。そのような場合において、1つまたは複数の属性は、実質的に光ビームの受信であり得る。1つまたは複数の属性は、光パターン、または受信された光ビームを区別することができる光信号の任意の他の特性を含んでもよい。
【0011】
先行技術の安全システムと比較して、本安全ビーコンは、ポインティングの高い完全性確認を通じて、発射領域が非常に正確に定義されることを可能にし、したがって、訓練および/または試験活動における身体的損害または他の被害のリスクを低減する。安全アセンブリは、期待される属性の決定がないときにはシャットダウンを引き起こし、これは、光ビームのまったく完全な欠如、または(より早期の肯定的な決定後の)光ビームの損失、および/または検出された信号と期待される信号との間の不一致を含み得る。したがって、安全アセンブリは、ポインティングが確認されないシナリオ、およびポインティングが確認され、その後失われるシナリオに適応する。
【0012】
先行技術の安全システムとは異なり、本安全ビーコンは、静的なプラットフォームおよび標的に加えて、移動するプラットフォームと移動する標的との組合せに対する使用に適している。
【0013】
処理ユニットは、光ビームが受信されない場合、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを防止するように構成され得る。そのような安全アセンブリは、発射禁止のデフォルト位置を有し、発射するための許可の肯定的な確認を必要とし、したがって、使用時の安全を改善する。
【0014】
光学デバイスは、光検出器に光ビームを継続的に提供するように構成され得る。そのような安全アセンブリは、レーザ指向性エネルギー兵器に対する標的の位置をリアルタイムで確認するために、標的からの連続的で、ほぼ瞬間的なフィードバックを可能にし得、発射の精度をさらに改善し、シャットオフ遅延を防止する。
【0015】
光学デバイスは、光源を備え得る。光源は、音波源または他の源と比較して、高い空間分解能を提供し、したがって、改善された精度を提供し得る。
【0016】
光学デバイスは、レトロリフレクターを備えてもよく、制御システムは、光源を備えてもよく、標的に取り付けられた場合、光学デバイスは、反射された光ビームを光検出器に提供する。そのような安全アセンブリにおいて、能動的な構成要素は、1つの簡単にアクセス可能な場所に併置され得る。
【0017】
光源は、レーザダイオードであり得る。レーザダイオードは、訓練および/または試験活動において典型的に使用される、数キロメートルの(最高で数百キロメートルもの)距離にわたって光学フィードバックを提供するのに特に適し得る。
【0018】
レーザダイオードは、周波数変調された光ビームを出射するように構成され得る。周波数変調された光ビームは、知られている参照信号を使用して変調され得る。代替として、何らかの他の変調スキームが、それが制御システムに対して知られている限り、使用されてもよい。
【0019】
処理ユニットは、光検出器によって受信された光ビームを復調するように構成され得る。そのような構成は、受信された信号と期待される信号との間の比較を容易にし得る。代替として、信号処理は、外部ユニットにおいて引き受けられてもよい。
【0020】
レーザダイオードは、100Hzを超える、たとえば、1000Hzを超える変調周波数で光を出射するように構成され得る。そのような変調周波数は、乱気流の影響(屈折率に対する熱渦の影響)を打ち消し、安全アセンブリの信頼性を改善し得る。
【0021】
レーザダイオードは、使用時に、出射される光が、レーザ指向性エネルギー兵器に備えられた主レーザの波長と異なる波長を有するように構成され得る。そのような特徴は、測定の完全性を確実にし、干渉を回避し得る。
【0022】
光学デバイスは、広角光ビームを提供するように構成され得る。広角光ビームは、たとえば、45度を超える、より好ましくは60度を超える拡がり角によって定義される、幅の広い円錐形を有し得る。幅の広い円錐形は、たとえば、単一のレーザダイオードおよび発散レンズによって、または異なる向きの複数のレーザダイオードを介して、提供され得る。広角光ビームは、有利には、制御システムによって検出されている標的からのフィードバック信号の機会を最大化し、したがって、正確な決定の機会を改善する(有用性を改善する)。
【0023】
制御システムは、1つまたは複数のダイクロイックミラーを備え得る。ダイクロイックミラーは、有利には、特定の波長の光のみの通過を許容し、他の光を反射し得る。そのような構成は、ポインティングシステムとともに砲腔軸を照準に合わされた安全アセンブリを提供するのに役立ち得る。代替として、代替的な光学構成要素が提供されるか、またはレーザ指向性エネルギー兵器の確立されたポインティングシステムの一部をダイクロイックミラーが形成するのであれば、ダイクロイックミラーは、制御システムに存在しなくてもよい。
【0024】
処理ユニットは、受信された光ビームが1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にPERMIT信号を出力し、そのような決定が欠如する場合にPERMIT信号を出力しないように構成され得る。PERMIT信号は、レーザ指向性エネルギー兵器の高エネルギーレーザへ(直接的または間接的に)出力され得る。そのような安全アセンブリにおいて、肯定的な決定の欠如は、ポインティングの損失、またはポインティングの確立の完全な失敗を示し得る。そのような特徴は、デフォルト位置が発射禁止であるので、安全性および信頼性を改善し得る。代替として、PERMIT信号の信号処理および出力は、外部制御ユニットとともに引き受けられてもよい。
【0025】
処理ユニットは、そのような決定が欠如する場合、INHIBIT信号を出力するように構成され得る。INHIBIT信号は、レーザ指向性エネルギー兵器の高エネルギーレーザへ出力され得る。代替として、INHIBIT信号の信号処理および出力は、外部制御ユニットとともに引き受けられてもよい。
【0026】
制御システムは、光検出器の視野を狭めるために、光検出器に対して配置される開口をさらに備え得る。開口サイズは、製造および設置時に設定され得る。代替として、開口サイズは、視野を変更するために、使用期間中に操作者によって調整可能であってもよい。
【0027】
安全アセンブリは、取り付けられた場合に、光検出器の視野がレーザ指向性エネルギー兵器のボアサイトと整列するように、レーザ指向性エネルギー兵器に取り付けるように構成され得る。そのような共同ボアサイトは、必要とされる変形を最小限にし、既存の構成要素の再使用を可能にし、したがって、全体的な重みおよび複雑さ低減する。
【0028】
安全アセンブリは、制御システムに関連付けられた無線周波数エミッタと、光学デバイスに関連付けられた無線周波数受信器とを備え得、無線周波数エミッタおよび受信器は、使用時に、それぞれ特定の周波数信号を出射および受信するように構成されており、特定の周波数信号の受信が欠如する場合、光源が無効にされる。
【0029】
そのような特徴は、ポインティングの正確な確認時であっても、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを防止され得るように、高い完全性のスイッチングシステムを提供し得る。したがって、安全性が改善され得、またはシステムがより多用途になり得る。
【0030】
安全アセンブリは、標的をさらに備え得る。
【0031】
本発明の第2の態様において、第1の態様の安全アセンブリにおいて光学デバイスとして使用するための光学デバイスが提供される。
【0032】
本発明の第3の態様において、第1の態様の安全アセンブリにおいて制御システムとして使用するための制御システムが提供される。
【0033】
本発明の第4の態様において、レーザ指向性エネルギー兵器と、第1の態様の安全アセンブリとを備える、レーザ指向性エネルギー兵器の安全システムが提供される。
【0034】
本発明の第5の態様において、標的に向かって発射するように構成された主レーザと、光検出器および処理ユニットを備える制御システムと、標的に取り付けるように構成され、取り付けられた場合、光検出器に光ビームを提供する光学デバイスと、受信された光ビームを1つまたは複数の所定の属性と比較し、受信された光ビームが1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するように構成された処理ユニットとを備える、レーザ指向性エネルギー兵器の安全システムが提供される。
【0035】
本発明の第6の態様において、レーザ指向性エネルギー兵器の発射を防止する方法であって、標的に光学デバイスを取り付けるステップと、レーザ指向性エネルギー兵器に光検出器を取り付けるステップと、光学デバイスからの光ビームを光検出器に提供するステップと、光検出器によって受信された光ビームを1つまたは複数の属性と比較するステップと、光ビームが1つまたは複数の属性を有すると決定された場合にのみ、レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するステップとを含む方法が提供される。
【0036】
レーザ指向性エネルギー兵器が発射することを許容するステップは、処理ユニットからPERMIT信号を出力することを備え得る。PERMIT信号は、高エネルギーレーザが発射することを許容するために、高エネルギーレーザへ(直接的または間接的に)出力され得る。
【0037】
本発明の1つの態様に関連して説明される特徴は、本発明の他の態様に組み込まれてもよいことが、当然ながら認識されるであろう。たとえば、本発明の方法は、本発明の装置を参照して説明される特徴のうちのいずれかを組み込んでもよく、その逆もまた同様である。
【0038】
本発明の2つの実施形態が、添付の概略図を参照して、あくまでも例として、ここで説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】レーザ指向性エネルギー兵器に取り付けられた、使用時の状態で示される、本発明の第1の例示的な実施形態による安全アセンブリと、標的との概略的な斜視図。
【
図2】
図1の安全アセンブリの制御システムの高レベル概略図。
【
図3】標的およびレーザ指向性エネルギー兵器のポインティングシステムに一体化された、
図1の安全アセンブリの構成要素の概略図。
【
図3a】
図1の安全アセンブリの処理ユニットの概略図。
【
図4】本発明の第1の例示的な実施形態による、許容される発射弧のまわりのバッファゾーンを示す概略図。
【
図5】本発明の第1の例示的な実施形態による光検出器の視野の概略図。
【
図6】
図1の安全アセンブリのスイッチングシステムおよび標的の概略図。
【
図7】標的およびレーザ指向性エネルギー兵器のポインティングシステムに一体化された、本発明の第2の例示的な実施形態の安全アセンブリの構成要素の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の第1の例示的な実施形態による安全アセンブリ1(
図1)は、レーザ指向性エネルギー兵器4に一体化される。安全アセンブリ1は、レーザ指向性エネルギー兵器を試験すること、または訓練においてそれを使用することが必要とされる場合、手動操作のスイッチ(図示せず)を介してオンにされる。そうでない場合、戦闘シナリオにおいて、安全アセンブリ1は、オフにされ、レーザ指向性エネルギー兵器4は、あたかも安全アセンブリ1が存在しないかのように、通常通りに動作する。
【0041】
安全アセンブリ1は、光学デバイス2と、制御システム3とを備える。制御システム3は、光学構成要素11と、処理ユニット15とを含む。光学デバイス2は、標的5に取り付けられている。訓練または試験期間中の使用時に、標的5は、典型的には、レーザ指向性エネルギー兵器4から数キロメートル離れて位置付けられるが、数十または数百キロメートル離れて使用されてもよい。レーザ指向性エネルギー兵器4は、追跡システム(図示せず)およびポインティングシステム21を含む標準的な構造と、航空機または船舶などのプラットフォーム(図示せず)に取り付けるのに適した固定具とを有する。ポインティングシステム21は、標的5に向かって発射する高エネルギーレーザ18を含む。本発明の第1の例示的な実施形態においては、プラットフォーム(図示せず)と標的5の両方が動的である。
【0042】
上述したように、安全アセンブリ1は、制御システム3と、光学デバイス(
図2)とを含む。本発明の本例示的な実施形態において、安全アセンブリ1は、スイッチングシステム13も含む。光学デバイス2は、高エネルギーレーザ18の発射に先立ってポインティング方向が検証され得るように、標的5の位置に関して制御システム3へフィードバックを提供するために使用される。
【0043】
光学デバイス2は、光ビーム29を制御システム3へ提供し、光ビーム29は、光学構成要素11によって受信される。信号37が、光学構成要素11から処理ユニット15へ出力される。処理ユニット15は、次いで、信号37を処理し、信号37を1つまたは複数の事前に決定された属性(本例示的な実施形態において、1つまたは複数の事前に決定された属性は、知られている周波数変調信号である)と比較し、比較の結果に基づいて、PERMIT信号またはINHIBIT信号16を高エネルギーレーザ18へ出力して、高エネルギーレーザ18が高エネルギーレーザビーム8を発射することを許容または防止する。したがって、受信された信号が、一定の所定の期待値に一致する場合にのみ、高エネルギーレーザ18は発射することを許容される。スイッチングシステム13は、光学デバイス2に無線周波数信号52を提供することによって、高エネルギーレーザ18を間接的に制御するために使用され、無線周波数信号52は、この信号52が一定の期待される周波数を有すると決定されるか否かに依存して、光学デバイス2を有効または無効にする。
【0044】
光学構成要素11は、ポインティングシステム21と整列するように構成される(
図3)。本技術分野において知られているように、ポインティングシステム21は、高出力レーザ18と、第1のダイクロイックミラー19とを含む。ポインティングシステム21は、第1のダイクロイックミラー19に向かって高エネルギーレーザビーム8を出射する。第1のダイクロイックミラー19は、高エネルギーレーザビーム8をポインティングシステムボアサイト23に沿って反射するために、高出力レーザ18に対して角度付けられる。高エネルギーレーザビーム8の経路内のポインティングミラー25は、高エネルギーレーザビーム8を、レンズ27を介して標的5に向ける。最後に、高エネルギーレーザビーム8は、ポインティングシステム21から標的5に向かって出射される。
【0045】
本発明の第1の例示的な実施形態における光学デバイス2(
図3)は、標的5に取り付けられ、レーザビーム29を出射するように構成されたレーザダイオードである。戦闘期間中に、標的のそのようなマーキング/変形は可能でないであろうが、付加的な安全措置が必要とされる訓練シナリオまたは試験シナリオにおいて、標的5は、高エネルギーレーザ18を発射することに先立ってセットアップされ得る。
【0046】
安全アセンブリ1の制御システム3内の光学構成要素11(
図3)は、ポインティングシステム21と並んで配置され、光検出器35と、開口33と、第2のダイクロイックミラー31とを含む。光検出器35の視野は、ポインティングシステム21とともに砲腔軸を照準に合わされる。
【0047】
集束レンズ27は、レーザダイオード2によって出射されたレーザビーム29を、ポインティングシステム21のポインティングミラー25上に集束させる。レーザビーム29は、第1のダイクロイックミラー19の方向におけるポインティングシステムボアサイト23に沿ってポインティングミラー25によって反射される。レーザビーム29は、高エネルギーレーザビーム8と異なる波長を有し、第1のダイクロイックミラー19によって反射されないが、代わりに、制御システム3の光学構成要素11に向かって、第1のダイクロイックミラー19を通過する。
【0048】
レーザビーム29は、次いで、光検出器35へ開口33を通じてレーザビーム29を反射するように構成された第2のダイクロイックミラー31によって反射される。光検出器35は、次いで、対応する信号37を処理ユニット15(図示せず)へ出力する。本発明の本例示的な実施形態において、光学デバイス2はレーザダイオードであるが、任意の適切な光源が使用されてもよい。
【0049】
本発明の第1の例示的な実施形態において、レーザダイオード2によって出射された光は、知られている参照信号36を使用してパルス化される(すなわち、光は周波数変調される)。本発明の本例示的な実施形態においては、単一の周波数が使用されるが、他の実施形態においては、複数の周波数参照信号が使用されてもよい。
【0050】
レーザダイオード2は、その出力が光検出器35に対して広範囲の向きにおいて見られることを可能にするために、その出力が広い発散角度(本例示的な実施形態において、約90度)を有するように設計される。レーザダイオード2の波長出力は、高エネルギーレーザビーム8の波長帯と重複しないように選ばれる。レーザビーム29は、乱気流の影響が打ち消されるように、たとえば100Hzよりも高い周波数で変調される。
【0051】
処理ユニット15において、受信された信号37は、ハードウェアにおいて復調され、知られている参照信号36(
図3a)と比較される。まず、受信された変調された信号37は、復調器40へ入力され、復調器40は、復調された信号38を出力する。次いで、復調された信号38は、比較器42へ入力され、比較器42は、復調された信号38を参照信号36と比較する。復調された信号38が、知られている参照信号36に一致すると決定されると、HI PERMIT信号16が、処理ユニット15から高エネルギーレーザ18へ出力され、その結果、高エネルギーレーザ18は、標的5に向かって発射することを許容される。一致が欠如する際には、LO INHIBIT信号16が、高エネルギーレーザ18へ代わりに出力され、その結果、高エネルギーレーザ18は、発射を制限される。LO INHIBIT信号16は、一致が検出されなかった後にほぼ瞬時に受信され、ポインティングが失われる場合には発射することをほぼ直ちに停止することを高エネルギーレーザ18に求める。
【0052】
結果として、訓練または試験活動期間中に必要とされるバッファゾーン39(
図4)は、より遅いシャットオフ機構を利用する先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムと比較して、大幅に低減される。発射禁止ゾーン41に隣接する、より小さいバッファゾーン39により、本発明の第1の例示的な実施形態の安全アセンブリ1を使用して、より小さい発射弧(すなわち、許容される発射弧43とバッファゾーン39とを組合せること)が可能である。代替的な実施形態において、信号処理は、外部制御ユニットを介してHI PERMIT信号およびLO INHIBIT信号が提供される状態で、安全アセンブリ1から遠隔で引き受けられてもよい。
【0053】
光検出器35の正面の開口33は、操作者による要求に応じて、より大きい視野またはより小さい視野45(
図5)を提供する。開口サイズは、使用時に調整可能とすることができ、または製造および組立て期間中に決定される、予め設定された開口サイズとすることができる。光検出器の視野45は、それぞれ度数またはミリラジアンのオーダの傾向がある、ポインティングシステム21の標準的な粗い44または細かい47ポインティング視野よりも小さい(すなわち、マイクロラジアンのオーダである)。
【0054】
制御システム3内のスイッチングシステム13(
図6)は、予期しない発射を防止するための独立した制御手段を提供する。スイッチングシステム13は、特定の周波数で信号52を出射するように構成された無線周波数エミッタ51と、無線周波数受信器53とを含む。無線周波数エミッタ51は、制御システム3に隣接して位置する。無線周波数受信器51は、光学デバイス2とともに位置する。
【0055】
無線周波数受信器53は、特定の周波数信号52をリッスンする。信号52が受信された場合にのみ、レーザダイオード2をオンにするためにスイッチ(図示せず)が起動される。したがって、ポインティングシステムおよび追跡システムが、標的5に対して「ロックオンされ」ている場合であっても、高エネルギーレーザ18は発射を防止され、付加的なレベルのセキュリティを提供する。スイッチングシステム13は、レーザダイオード2に対して、独立した高い完全性のオン/オフ機構を提供し、このオン/オフ機構は、ひいては、高エネルギーレーザ18からの出射を制御する。
【0056】
スイッチングシステム13を起動するために、無線周波数エミッタ51は、押しボタンスイッチ(図示せず)を介して手動でスイッチオンされ得る。
【0057】
本発明の代替的な実施形態において、スイッチングシステム13は省略されるが、代わりに、光検出器35が、操作者によってスイッチオンまたはスイッチオフされる。
【0058】
本発明の第2の例示的な実施形態において、安全アセンブリ1aの光学デバイスは、光源(
図7)の代わりに標的5aに取り付けられたレトロリフレクター2aである。レーザダイオード55aの形態の光源は、制御システム内の光学構成要素11aとともに位置する。安全アセンブリの他の構成要素は、第1の例示的な実施形態と同様であり、同様の参照符号は、同様の部分を表す。本発明の第2の例示的な実施形態は、スイッチングシステムを含まない。
【0059】
レーザダイオード55aは、レーザビーム29aがポインティングミラー25aによって、標的5aに向かって外へ反射される前に、第2のダイクロイックミラー31aおよび第1のダイクロイックミラー19aをそれぞれ通過するように、ポインティングシステム21aのボアサイト23aに沿って配置される。光検出器35aによって検出される前に、レーザダイオード光ビーム29aが制御システム内で生じ、標的5aから反射されるという点を除いて、安全アセンブリ1aは、本発明の第1の例示的な実施形態の安全アセンブリ1と似た方法において動作する。本発明の第2の例示的な実施形態の構成は、より容易なアクセスのために、すべての能動的な構成要素を(レーザ指向性エネルギー兵器に取り付けられた)制御システム内に保持するという利点を提供し得る。本発明の第2の例示的な実施形態において、広い光ビームは、レーザダイオード55aからの幅の広い出射ビーム角度とレトロリフレクター2aの反射面との組合せを通じて提供される。
【0060】
本発明の例示的な実施形態の安全アセンブリ1、1aは、標的5、5aに取り付けられた光学デバイス2、2aを介して、ポインティング方向上にフィードバックを継続的に提供する。したがって、ポインティング方向は、常に、ならびに、プラットフォームおよび/または標的5、5aのうちの1つが移動した場合であっても、高精度で確認され得る。
【0061】
ポインティング方向が確認され得ない場合、または確認され、次いで失われた場合、高エネルギーレーザ18、18aは、迅速にシャットダウンされる。これは、先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムと比較して、訓練シナリオおよび試験シナリオにおいて高いレベルの信頼性、ならびにより高い全体的な安全性を提供する。本発明の例示的な実施形態の安全アセンブリは、明確に定義された領域内への制御された発射を可能にする。先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムに対するさらなる利点において、エンドストップ、バックストップおよびレターボックスなどの従来の抑制器具は必要とされない。
【0062】
既述したように、標的5、5aに取り付けられたレーザダイオード2、55aは、広い発散角度を有し、光ビーム29、29aを光学構成要素11、11aへ継続的に提供し、プラットフォームおよび標的5、5aのそれぞれの位置が何であれ、位置フィードバックを提供するので、本発明の例示的な実施形態の安全アセンブリ1、1aは、訓練または試験期間中の移動するプラットフォームと移動する標的5、5aの両方に適応することができる。したがって、本発明の例示的な実施形態は、先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムに対するさらに別の利点を提供する。
【0063】
先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムに対するまたさらなる利点において、PERMIT信号の除去がほぼ瞬時である(低減された許容誤差につながる)ので、許容される発射弧のまわりの必要とされるバッファゾーンは、大幅に低減される。したがって、発射弧(許容される発射弧とバッファゾーンとから構成される)は、先行技術のレーザ指向性エネルギー兵器の安全システムを使用して可能であるよりも、大幅に小さくすることが可能であり、複数の発射弧もシミュレーションされ得る。
【0064】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明および例示されてきたが、本発明は、本明細書において具体的に例示されていない多くの異なるバリエーションに対して役立つことが、当業者によって認識されるであろう。あくまでも例として、一定の可能なバリエーションが、ここで説明されることになる。
【0065】
たとえば、周波数変調された参照信号の代わりに、何らかの他の「キー」、たとえば、特定の色の光、または光パターンなどが使用されてもよい。「キー」は、高い空間分解能で送信しなければならず、すなわち、音波は、それらの分岐に起因して不適切である。
【0066】
レーザダイオードの代わりに、代替的な光源があってもよい。たとえば、一定の適用例においては、発光ダイオードが適切であり得る。
【国際調査報告】