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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】衝突衝撃減衰システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/14 20060101AFI20230620BHJP
【FI】
E01F15/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569177
(86)(22)【出願日】2021-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 US2021037116
(87)【国際公開番号】W WO2021257410
(87)【国際公開日】2021-12-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510130631
【氏名又は名称】トラフィックス デバイシィズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TrafFix Devices,Inc.
【住所又は居所原語表記】160 Avenida La Pata San Clemente CA 92673(United States of America)
(71)【出願人】
【識別番号】512259123
【氏名又は名称】ニューテック・ベンチャーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】マウス、ジェフリー ビー
(72)【発明者】
【氏名】アルマンザ、フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバウ、スコット ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ファーラー、ロナルド キース
(72)【発明者】
【氏名】ビーレンバーグ、ロバート ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン、ジェニファー ドーン
(72)【発明者】
【氏名】ストール、コーディ
(72)【発明者】
【氏名】レクテンバーグ、カーラ アン
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー、ブロック デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ファレット、ワイエット グレゴリー
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA04
2D101CA06
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA13
2D101FA22
2D101FA27
2D101FB02
2D101GA17
(57)【要約】
構造物の前方に配置するための衝突衝撃減衰システムは、レールと、最初に前記レールの長さに沿って間隔を置いて配置されている複数の振動板と、を含んで構成されている。前記複数の振動板は前記レールに沿って各々移動し、前記衝突減衰システムの前端が車両からの衝撃力を受けると、第1の前記振動板が前記レールに沿って後方に移動すると共に第2の前記振動板に衝突し、前記第1及び第2振動板が共に前記レールに沿って更に後方に移動し、このプロセスは衝撃力が完全に減衰するまで他の前記振動板に対して継続される。前記衝突減衰システムの引き裂き部材は前記衝突減衰システムのサイドパネルまたはフェンダーパネルを形成する材料に係合され、前記引き裂き部材は衝撃力を減衰するように前記サイドパネルを形成する材料を引き裂く。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物への車両の直接的衝突を緩和するための衝突衝撃減衰システムであって、前記システムは、
複数の支持部材を含む減衰部分であって、前記減衰部分は、前記減衰部分の側面に沿って設置される複数のサイドパネルのうちの1つのサイドパネルを更に含み、、前記サイドパネルは前記衝突衝撃減衰システムが車両に衝突された際に前記減衰部分に沿って後方にスライドするように適合され、これにより、車両の衝突に反応するように後方にスライドすることで前記サイドパネルが前記複数のサイドパネルのうちの隣接する第2のサイドパネルの上をスライドし、前記複数のサイドパネルのそれぞれは前記特定のサイドパネルを構成する材料に配置されている複数の穴を含み、前記複数の穴は前記複数のサイドパネルのそれぞれの長さに沿って延伸されていると共に縦方向に互いに間隔を置いている減衰部分と、
前記サイドパネル材料の前記複数の穴のうちの1つに係合されるように適合されている前記減衰部分に配置されている引き裂き部材であって、前記衝突衝撃減衰システムが車両に衝突された場合、前記サイドパネルと前記引き裂き部材との間で相対運動が発生し、これにより隣接する前記複数の穴の間に延伸されている前記サイドパネルを形成している前記材料の破片または裂け目が引き裂かれ、前記サイドパネル材料が引き裂かれることで衝撃力を減衰させ、前記サイドパネル材料は前記サイドパネル材料の引き裂きを最適化するように調整され、所定の方法で前記複数の穴のサイズを決めて配置することで前記サイドパネル材料の調整を達成している引き裂き部材と、を備えていることを特徴とする衝突衝撃減衰システム。
【請求項2】
前記減衰部分は前記衝突衝撃減衰システムの長さに沿って延伸されているレールを更に備え、前記複数のサイドパネルは複数のフェンダーパネルを含み、
前記複数の支持部材は前記レールの長さに沿って間隔を置いて配置されている複数の振動板を備え、前記複数の振動板のそれぞれは前記レールに可動に係合されるように適合されているベース端または脚部を有し、前記衝突衝撃減衰システムが衝突車両から衝撃力を受けた場合、第1の前記複数の振動板が前記レールに沿って後方に移動すると共に第2の前記複数の振動板に衝突して第1及び第2の前記複数の振動板が前記レールに沿って更に後方に移動し、このプロセスは衝撃力が完全に減衰するまで他の前記複数の振動板に対して継続されることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項3】
前記引き裂き部材はボルトを備えていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項4】
前記引き裂き部材は前記複数の支持部材のうちの1つに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項5】
前記引き裂き部材は複数の引き裂き部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項6】
前記複数の穴は、前記サイドパネルの高さに沿って互いに間隔を置く第1列及び第2列の穴を形成するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項7】
前記サイドパネルの第1列及び第2列の各穴を形成している対応する各前記穴は互いに長さ方向に整列していることを特徴とする請求項6に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項8】
前記サイドパネルの第1列及び第2列の各穴を形成している対応する各前記穴は相互に長さ方向に互い違いに配列されていることを特徴とする請求項6に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項9】
前記サイドパネルは第1段減衰部分を備え、第2サイドパネルは第2段減衰部分を備え、前記第1段減衰部分は前記第2段減衰部分の前方に位置し、前記サイドパネルは第2サイドパネルより柔らかいことを特徴とする請求項6に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項10】
a)前記サイドパネルが第2サイドパネルよりも多くの穴を有している、b)第2サイドパネルの前記穴の平均サイズが前記サイドパネルの前記穴の平均サイズよりも小さい、c)前記サイドパネルの幾つかまたは全部の前記穴の形状が第2サイドパネルの幾つかまたは全部の前記穴の形状よりも異なっている、及びd)第2サイドパネル穴の間隔が前記サイドパネル穴の間隔よりも大きい、のうちの1つ以上の理由により前記サイドパネルが第2サイドパネルより柔らかくなっていることを特徴とする請求項9に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項11】
前記複数のサイドパネルは、第2サイドパネルの長さ方向に後方に延伸されている第3、第4、及び第5サイドパネルを更に備え、前記第3サイドパネルは第3段減衰部分を含み、前記第4サイドパネルは第4段減衰部分を含み、前記第5サイドパネルは第5段減衰部分を含み、前記第3サイドパネルは第2サイドパネルより硬く、前記第4サイドパネルは前記第3サイドパネルより硬く、前記第5サイドパネルは前記第4サイドパネルより硬いか同じ硬さであることを特徴とする請求項9に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項12】
前記衝突減衰システムの最前端に配置されているノーズボックスを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項13】
前記ボルトは折り曲げワッシャープレートと共に組み立てられていることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項14】
前記折り曲げワッシャープレートはフレア状フロントウィングを備えていることを特徴とする請求項13に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項15】
前記折り曲げワッシャープレートは前方への延伸を制限されることで前記サイドパネルの湾曲を許容し、前記サイドパネルが前記ボルトにより引き裂かれることで堆積するのを防止することを特徴とする請求項13に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項16】
前記複数の穴は前記複数のサイドパネルの各々の長さに沿って延伸され、且つ縦方向に互いに間隔を置き、前記複数のサイドパネルの各々にある穴の列を含み、前記穴の列は前記複数のサイドパネルの各々の長さ方向に沿って延伸されると共に前記複数のサイドパネルの各々の前端に到達する前に終了し、前記複数のサイドパネルの各々の前記穴の列の終了は前記複数のサイドパネルの隣接する次の1つのサイドパネルの引き裂き開始を容易にし、これにより、前記衝突衝撃減衰システムが圧縮される際に衝撃力の減衰のスパイクを減少させることを特徴とする請求項1に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項17】
前記レールは相互に平行するように配置されていると共に前記減衰部分の長さに沿って延伸されている第1及び第2レールを含み、各前記第1及び第2レールは水平に配置されていると共に各レールの長さに沿って延伸されているトップフランジを含むT字形構成を有し、また、前記複数の振動板の各前記ベース端または脚部は第1及び第2ベース端または脚部を含み、前記第1脚部は前記第1レールの前記トップフランジを包囲するように構成され、前記第2脚部は前記第2レールの前記トップフランジを包囲するように構成され、これにより前記衝突衝撃減衰システムに対する斜め方向の衝撃からの横荷重が各前記第1及び第2レールに分散されることを特徴とする請求項2に記載の衝突衝撃減衰システム。
【請求項18】
危険物に衝突する可能性のある事故車両から加えられる衝突衝撃力の減衰方法であって、
ベース部分及び上部減衰部分を有している衝突衝撃減衰器の前端に衝撃力を受けるステップと、
引き裂き材料は、サイドパネルが衝撃力に反応して移動するように前記衝突衝撃減衰器に配置されている第1サイドパネルを備え、前記第1サイドパネル材料が引き裂かれることで衝撃力を減衰させるステップと、
引き裂き材料は最初は前記第1サイドパネルの後方に配置されている第2サイドパネルを更に備え、第2サイドパネルを含む前記材料は前記第1サイドパネルを含む前記材料以上の引き裂き力を要する大きさと配置が成されているステップと、を含むことを特徴とする衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項19】
前記材料の引き裂きステップは、前記上部減衰部分に配置されている1つ以上の突起部を含む1つ以上の引き裂き部材により実行され、1つ以上の前記引き裂き部材のうちの1つはまず前記材料または引き裂かれている前記サイドパネルに形成されている穴に係合されることを特徴とする請求項18に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項20】
各前記第1及び第2サイドパネルの前記材料の複数の穴は、間隔を置いて縦方向に配置され、且つ各前記引き裂きステップは、最初に係合される前記穴と隣接する前記複数の穴のうちの1つとの間で引き裂かれている前記サイドパネルの前記材料を引き裂き、引き裂かれている前記サイドパネルに破片または裂け目を形成することを特徴とする請求項19に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項21】
第2サイドパネルを形成する前記材料は前記材料前記第1サイドパネルを形成する前記材料より厚いことを特徴とする請求項18に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項22】
前記第1サイドパネルの前記複数の穴は前記第2サイドパネルの前記複数の穴よりも接近するように間隔を置いていることを特徴とする請求項20に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項23】
前記第1サイドパネルの前記複数の穴は前記第2サイドパネルの前記複数の穴よりも大きいことを特徴とする請求項22に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項24】
前記第1サイドパネルの少なくとも幾つかの前記複数の穴は前記第2サイドパネルのどの前記複数の穴よりも大きいことを特徴とする請求項20に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項25】
前記第1サイドパネルの少なくとも幾つかの前記複数の穴の形状は前記第2サイドパネルのどの前記複数の穴の形状よりも異なっていることを特徴とする請求項20に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【請求項26】
前記第2サイドパネルは前記第1サイドパネルよりも異なる材料で形成されていることを特徴とする請求項18に記載の衝突衝撃力の減衰方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に衝突緩衝減衰器に関し、より詳しくは、橋台の前縁及び他の固定されている路側の障害物を保護する固定システムを備えている自動車両及びガードレールの衝突緩衝減衰器に関する。
【0002】
公道における車両事故は世界的に大きな問題となっており、今日の先進世界において経済的及び人的損失及び被害をもたらす最大の要因となっていることは疑いの余地がない。特に、このような交通事故による人的被害を緩和するため、橋の橋台のような固く動かない障害物への車両の衝撃を減衰するためにガードレール、衝突緩衝装置、トラック搭載型衝突減衰器、衝突バレル、及び類似品が発展している。
【0003】
前述したような衝突減衰器は、車両の減速制限を超えないように車両の衝撃エネルギーを吸収しなければならない。また、重量及び軽量の両車両に対応しなければならない。最軽量の車両は前記減衰器が発生させる最大力の制限を設定し、重量のある車両は減速がより低下し、これらを鑑みて要求される合計衝撃変形を決定する。正面衝突した際に、衝突減衰器/緩衝装置は、エネルギーを吸収し、車両を徐々に減速させて停車するように制御するように設計されている。力は軽車両の限界を超えないため、初期の力と減速は低くなり、エネルギーの吸収を制限した。車両を衝撃速度から0まで「ライドダウン」させながら衝突抵抗を増加させることは、政府の厳格な安全基準を満たすために衝突減衰システムにとって極めて重要な特徴である。衝突緩衝装置は、車両が側方から斜めに衝突された際に、車両を車道に戻すように方向転換させ、硬く尖った障害物への致命的な衝撃を防止するように設計されている。一般的な衝突緩衝装置は、サイドレール/パネル、中間振動板、前記中間振動板を固定すると共にガイドするトラック組み立て体、及びエネルギー吸収装置を組み込んでいる。衝突安全基準が高度に発展し、車両の乗員を怪我からより良く保護するために要件が高まっているため、次世代の衝突緩衝減衰器または衝突緩衝装置は、その機能を発揮し、革新的で、安価で、簡単でありながら効果的な方法で高い基準を満たすことが求められることが明白である。本発明はその高い基準を満たし、更にそれを超えたものである。
【0004】
本発明は、追加の特徴及び利点と共に、添付図面と併せて以下の説明を参照することで最良の理解が得られる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は特に革新的であり、配置されている前記サイドパネルは前記エネルギー吸収装置としても機能し、追加の内部吸収部材が不要である。この方法により、システムの複雑さが緩和され、コストも減少し、これは先行の衝突緩衝技術には使用されてこなかった方法である。
【0006】
新しい衝突衝撃減衰システムの前記サイドパネルは、端同士が付くように前記衝突減衰システムが圧縮されると、互いにスライドするか嵌め込まれるように設計されている。これは衝突緩衝装置の共通の特徴である。然しながら、各前記パネルの下流端にある取り付けボルトは、前記パネルが前記取付けボルトを通過するように移動する際に、前記サイドパネル/レールを引き裂くように設計されている。この引き裂き動作により、前記システムが圧縮される際にエネルギーを吸収し、硬い障害物に衝突する前に安全に停車するように前記事故車両を制御する。前記パネルの前記抵抗力は、前記減衰器が圧縮する際に所定の割合でエネルギーを吸収するように制御されている。前記抵抗力は、最初は低く、前記システムの全長に沿って増加するように設計されている。力はパネルの間や個別のパネルセグメント内でも相違させることができる。前記抵抗力の変化は、幾つかの新しい概念により達成され、例えば、パネルの厚さを変化させたり、引き裂き経路に沿って様々な形状の穴を前記パネルに開設することで達成される。異なる形状を使用し、形状間の間隔を変えることは、前記抵抗力にのみ影響を与えるのではなく、前記引き裂き経路の一貫性を制御し、異なる破壊モード(例えば、モード1-引張破壊、モードII - 剪断破壊、モードIII-面外剪断、或いはこれら破壊メカニズムの組み合わせ)を達成するためにも使用可能である。さらに、幾つかの穴の形状は破片を減らすためにも用いることができる。穿孔も抵抗力及び引き裂き経路を制御するために使用可能である。抵抗が高いパネルの場合、衝撃イベントの際の力のスパイクを緩和するために前記穴または切り抜きを互い違いに配置することもできる。その後、パネルは複数の力及び複数の衝撃条件に対応するように構成可能である。
【0007】
例示的な実施形態に係る衝突緩衝装置の構造は、前記中間振動板を固定すると共にガイドするための2つのT字形トラックレールを有するデュアルトラック設計として構成されている。前記トラックレールは、舗装道路に固定されている断続的なベースプレートに溶接されている。前記中間振動板及び衝撃ヘッドは構造用鋼管から組み立てられ、ガイドトラックに沿ってスライドする脚部を備えている。前記衝撃ヘッドの前記脚部は、前記装置のノーズ部に対し中心から外れた/角度のついた衝撃及びハイバンパーの衝撃が与えられた際に、垂直軸及び水平軸を中心に前記衝撃ヘッドが回転するのを防止/制限するようにそれぞれ延長されている。前記中間振動板の脚部は回転を制限するように設計されている。前記衝撃ヘッド及び前記中間振動板の両者は、前記衝突緩衝装置の側面への車両の衝撃に耐えられるように十分な横方向強度を有するように設計されている。前記パネルと前記中間振動板/衝撃ヘッドとの間にある取り付けボルトは、前記パネルを相互にスライド可能にし、前記引き裂き経路を前記パネルに沿ってガイドし、且つ前記取り付けボルトが前記サイドパネルから引き抜かれるのを防止するために、特別に設計された一体型ワッシャープレートで構成されている。なお、前記衝突緩衝装置は、衝撃イベントの開始時に前記衝撃ヘッド及び前記サイドパネルが移動を開始した際に、運動量移動を長引かせると共に慣性パルスを延長させるためのクラッシャブルエネルギー吸収ノーズピースを備えている。この特徴により前記車両及びその乗員に付勢されるピーク時の力を低減する。
【0008】
より具体的に、本発明の一態様では、車両の直接的衝突を緩和するための衝突衝撃減衰システム及び固定構造を提供し、複数の支持部材を含む減衰部分を備えている。前記固定構造は、例えば、コンクリート橋台、ガードレールシステム、ターミナル、及びガードレール端部処理、及びそれらの類似物を含んでもよい。ガードレールの場合、例えば、前記支持部材は単に支柱でもよい。前記減衰器システムは、前記減衰部分の側面に沿って配置されている複数のサイドパネルのうちの1つを含むサイドパネルを更に備え、前記サイドパネルは、前記衝突衝撃減衰システムが車両に衝突された際に、車両の衝突に反応して後方にスライドするように前記サイドパネルが前記複数のサイドパネルのうちの隣接する第2のサイドパネルの上をスライドする際に、前記減衰部分に沿って後方にスライドするように適合されている。前記複数のサイドパネルのそれぞれは、その特定のサイドパネルを構成する材料に配置されている複数の穴を備え、前記複数の穴は前記複数のサイドパネルのそれぞれの長さに沿って延伸され、且つ縦方向に互いに間隔を置いている。
【0009】
利点として、引き裂き部材は前記減衰部分に配置され、前記サイドパネル材料の前記複数の穴のうちの1つに係合するように適合されている。よって、前記衝突減衰器が車両に衝突された場合、前記サイドパネルと前記引き裂き部材との間に相対運動が発生し、これにより隣接する前記複数の穴の間に延伸されている前記サイドパネルを形成している前記材料の破片または裂け目が引き裂かれ、前記サイドパネル材料が引き裂かれることで衝撃力が減衰する。前記サイドパネル材料は前記サイドパネル材料の引き裂きを最適化するように調整され、所定の方法で前記複数の穴のサイズを決めて配置することで前記サイドパネル材料の調整を達成している。
【0010】
本発明の実施形態は図に示す如く、前記減衰部分が前記衝突減衰器システムの長さに沿って延伸されているレールを更に備えている。この実施形態において、前記複数の支持部材は前記レールの長さに沿って間隔を置いて配置されている複数の振動板を備えてもよく、前記複数の振動板のそれぞれは前記レールに可動に係合されるように適合されているベース端または脚部を有し、前記衝突衝撃減衰システムが衝突車両からの衝撃力を受けた場合、第1の前記複数の振動板が前記レールに沿って後方に移動しすると共に第2の前記複数の振動板に衝突し、第1及び第2の前記複数の振動板が共に前記レールに沿って更に後方に移動し、このプロセスは衝撃力が完全に減衰するまで他の前記複数の振動板に対して継続される。図示する実施形態において、前記サイドパネルは通常、図示し、上述した衝突緩衝装置を構成するフェンダーパネルとしても知られている。
【0011】
図示する実施形態において、前記引き裂き部材はボルトを備え、前記複数の振動板のうちの1つに配置されている。前記引き裂き部材は、好ましくは、減衰効果を高めるための複数の引き裂き部材を含む。
【0012】
本発明の他の有利な特徴は、最適な減衰のために前記サイドパネルを調整可能な点である。例えば、ある実施形態において、前記穴は前記サイドパネルの長さに沿って均等に間隔を置いていない。前記サイドパネルの第1または後(図示する実施形態では右端)端に近接する前記複数の穴の隣接するものは、前記サイドパネルの第2または前(図示する実施形態では左端)端に近接する前記複数の穴の隣接するものよりも狭い間隔を置いている。前記複数の穴はサイズが統一されておらず、互いに異なっていてもよい。前記複数の穴の最後端のものは、前記サイドパネルの前端に近接するように位置している前記複数の穴よりも大きく、且つ更に長くてもよい。前記サイドパネルを形成する前記材料は前記サイドパネルの後端に向けて薄くなり、且つ前記サイドパネルの前端に向けて厚くなっている。幾つかの実施形態において、前記複数の穴は前記サイドパネルの高さに沿って互いに間隔を置く第1列及び第2列の穴を形成するように配置され、前記サイドパネルの第1列及び第2列の各穴を形成している対応する各前記穴は互いに長さ方向に整列している。他の実施形態において、この種の複数列は、前記サイドパネルの第1列及び第2列の各穴を形成している対応する各前記穴が互いに長さ方向に互い違いに配列されている。
【0013】
図示する実施形態において、前記サイドパネルは第1段減衰部分を備え、第2サイドパネルは第2段減衰部分を備え、前記第1段減衰部分は前記第2段減衰部分の前方に位置し、より前段にある前記サイドパネルは、より後段にある第2サイドパネルより柔らかい。次のうちの1つ以上の理由により、前記サイドパネルが第2サイドパネルよりも柔らかくなるように調整されている。a)前記サイドパネルが第2サイドパネルよりも多く穴を有している、b)第2サイドパネルの前記穴の平均サイズが前記サイドパネルの前記穴の平均サイズよりも小さい、c)前記サイドパネルの幾つかまたは全部の前記穴の形状が第2サイドパネルの幾つかまたは全部の前記穴の形状よりも異なっている、d)第2サイドパネル穴の間隔が前記サイドパネル穴の間隔よりも大きい、及びe)前記サイドパネルの平均厚さが第2サイドパネルの平均厚さ未満である。
【0014】
一例として、前記複数のサイドパネルは、第2サイドパネルの長さ方向に後方に延伸されている第3、第4、及び第5サイドパネルを更に備えている。前記第3サイドパネルは第3段減衰部分を含み、前記第4サイドパネルは第4段減衰部分を含み、前記第5サイドパネルは第5段減衰部分を含む。前記第3サイドパネルは第2サイドパネルより硬く、前記第4サイドパネルは前記第3サイドパネルより硬く、前記第5サイドパネルは前記第4サイドパネルより硬い。よって、前記第1段から前記第5段にかけて各連続的なサイドパネルが順次後段のサイドパネルが前段のサイドパネルより硬くなるように適合または構成されてもよい。留意すべき点は、幾つかの実施形態において、連続する段には同一のパネルを用いてもよく、このような場合、各連続的なサイドパネルは後方方向に向けてその硬さ/抵抗が前段にあるサイドパネルに等しくなるか、それより高くなる。当然ながら、計5段は例示または図示するためのものに過ぎず、本発明の概念のパラメーター内であれば何段のものを採用してもよい。前述の各実施形態では、ノーズボックスは通常前記衝突減衰器の最前端に配置されている。定義としては、「柔らかい」とは、前記パネルまたは材料が単位変位当たりで、より小さい力の抵抗またはより少ないエネルギーの吸収を提供することを意味し、「硬い」パネルまたは材料は、柔らかいパネルに比べて単位変位当たりで、より大きい力の抵抗またはより多くのエネルギーの吸収を提供する。
【0015】
本発明の有利な特徴は、前記ボルトが折り曲げワッシャープレートと共に組み立てられている点である。前記折り曲げワッシャープレートはフレア状フロントウィングを備えている。前記折り曲げワッシャープレートが前方への延伸を制限されることで、前記サイドパネルの湾曲を許容し、且つ前記サイドパネルが前記ボルトにより引き裂かれることで堆積するのを防止している。
【0016】
前記複数の穴は前記複数のサイドパネルの各々の長さに沿って延伸され、縦方向に互いに間隔を置いている。利点として、前記複数のサイドパネルのそれぞれにある穴の列を含み、前記穴の列は前記複数のサイドパネルの各々の長さ方向に沿って延伸され、前記複数のサイドパネルの各々の前端に到達する前に終了する。前記複数のサイドパネルのそれぞれにある前記穴の列が終了することで、前記複数のサイドパネルの隣接する次の1つのサイドパネルの剪断の開始を容易にし、これにより、前記衝突衝撃減衰システムが圧縮される際に衝撃力の減衰のスパイクを減少させている。
【0017】
本発明の他の有利な特徴は、前記レールが相互に平行するように配置されていると共に前記減衰部分の長さに沿って延伸されている第1及び第2レールを含み、各前記第1及び第2レールは水平に配置されていると共に各レールの長さに沿って延伸されているトップフランジからなるT字形構成を有している。前記複数の振動板のそれぞれの前記ベース端または脚部は第1及び第2ベース端または脚部を含み、前記第1脚部は前記第1レールの前記トップフランジを包囲するように構成され、前記第2脚部は前記第2レールの前記トップフランジを包囲するように構成されている。これにより、前記衝突減衰システムに対する斜め方向の衝撃からの横荷重を各前記第1及び第2レールに分散させている。
【0018】
本発明の他の態様において、固定構造の前方に展開する衝突減衰システムを提供する。前記システムはベース部分を備え、前記ベース部分は、前記ベース部分の長さに沿って延伸されている第1外レールと、前記第1外レールから間隔を置いていると共に前記ベース部分の長さに沿って延伸されている第2外レールと、前記ベース部分の幅を跨って延伸されていると共に前記第1外レールを前記第2外レールに連結する複数の間隔を置いたクロスメンバーまたはブレースチューブと、を含んで構成される。前記システムは、最初は前記ベース部分の長さに沿って間隔を置いて配置されている複数の振動板からなる上部減衰部分を更に備えている。各前記複数の振動板は各前記第1外レール及び前記第2外レールに可動に係合されるように適合されているベース端を有し、前記上部減衰部分の前端が事故車両からの衝撃力を受けた場合、第1の前記複数の振動板が前記第1及び第2外レールに沿って後方に移動し、且つ第2の前記複数の振動板に衝突することで第1及び第2の前記複数の振動板が共に前記第1及び第2外レールに沿って更に後方に移動し、このプロセスは衝撃力が完全に減衰するまで他の前記複数の振動板に対して継続される。サイドパネルは前記上部減衰部分に配置され、前記サイドパネルはその中に配置される穴を有し、前記穴は前記上部減衰部分に配置されている引き裂き部材に係合されるように適合され、前記引き裂き部材及び前記サイドパネルは前記衝突減衰システムに衝撃力が加えれた際に相対移動可能であるため、前記引き裂き部材が前記サイドパネルを引き裂き、衝撃力の減衰が増加する。
【0019】
本発明の更なる他の態様では、不動の物体に衝突する可能性のある事故車両から加えられる衝突衝撃力の減衰方法を提供する。前記方法は、ベース部分及び上部減衰部分を有している衝突衝撃減衰器の前端で衝撃力を受けるステップと、前記上部減衰部分の1つ以上の部材が前記衝撃力に反応して前記ベース部分に沿って後方に移動するステップと、前記上部減衰部分の1つ以上の部材が前記衝撃力に反応して移動すると、前記衝突衝撃減衰器に配置されている引き裂き部材が前記衝突衝撃減衰器に配置されているサイドパネルを含む材料を引き裂き、前記サイドパネル材料が引き裂かれることで前記衝撃力が減衰するステップと、を含む。
【0020】
ある実施形態において、前記引き裂き部材は前記上部減衰部分の1つ以上の部材に配置されている突起部であり、最初は前記サイドパネル材料に形成されている穴に係合されている。前記サイドパネル材料には複数の穴があり、間隔を置いて縦方向に配置され、且つ前記引き裂きステップは、最初に係合される前記穴と前記複数の穴のうちの隣接する1つの穴との間で前記サイドパネル材料を引き裂き、前記サイドパネルに破片または裂け目を形成するステップを含む。前記引き裂き部材はボルトを備えてもよく、図に示す如く、ロッド、プレート、くさび、或いはそれらの類似物のような他の部材を含む。
【0021】
上述したように、本発明の最も単純な実施形態は、エネルギーを散逸させるように前記ベース材料を破壊するために連続的な断面を有するベース材料を通過する前記引き裂き部材を備えている。然しながら、破壊及び関連するエネルギーの散逸を制御するために、前記ベース材料の断面に様々な改変を加えることができる。前記引き裂き部材の経路にある前記ベース材料の断面には様々な形状の穴を開設することができる。これら形状は前記破壊モード及び破壊面の数量を変化させ、破壊または亀裂の伝播を制御するのに寄与する。例えば、連続した三角形の切り抜きによりベース材料にシングルモードI(引張)の前記破壊面を形成することができる。または、連続した台形の切り抜きによりベース材料にモードII及びモードIIIを組み合わせた前記破壊面を形成することもできる。複数の前記破壊面を有することで、前記ベース材料からの破片が形成されるが、前記引き裂き部材の経路に沿って単一の前記破壊面を形成するのみであれば、破片は形成されない。他の可能な形状として、四角形、菱形、長方形、溝形、円形、半円形、三日月形等があるが、これらに制限されない。
【0022】
前記ベース材料の縦方向の穿孔は独立して使用することも、前記ベース材料の穴の形状と組み合わせることも可能である。前記縦方向の穿孔は、前記ベース材料の一部分を除去することで、前記ベース材料の破壊により発生する前記力及びエネルギーを改変する。さらに、縦方向の穿孔は前記破壊面の伝播を制御することもできる。単一の列は単一の破壊線を形成し、複数の列は材料の除去を補助することができる。
【0023】
前記ベース材料の断面を完全に貫通しない前記ベース材料の溝、掠痕、または他の応力集中の特徴も独立して使用するか、或いは前記ベース材料の穴または穿孔の形状に組み合わせることもできる。これらの特徴は、前記材料を破壊する前記力及びエネルギーの散逸を制御する他のメカニズムを提供し、前記ベース材料の破壊の伝播を制御するのにも貢献する。
【0024】
前記ベース材料の断面の縦方向の間隔を様々に改変することでも、本発明の破壊及びエネルギーの散逸を制御可能である。前記縦方向の間隔のこれらの改変は、前記破壊モードを制御し、且つ前記引き裂き部材によって破壊される材料の量を変化させることで、前記力レベルを上昇または低下させ、エネルギーの散逸を増加または減少させることができる。
【0025】
複数の引き裂き部材及び破壊線がベース材料の1つのセクションで使用される場合、穴の形状、穿孔、溝、掠痕、及び縦方向の間隔の所定の組み合わせにより生じるパターンが、互い違いになるか縦方向の偏りが生じ、前記パターンは互いに同期しない。互い違いの前記パターンは、異なるタイミングで前記引き裂き経路に沿った断続的な破壊を生じさせるため、大きな力のスパイクを制限し、より一致した力レベルを提供する。
【0026】
上述した複数の前記ベース材料の断面の改変は、必要なエネルギーの散逸を形成するために、ベース材料の1つのセクション内で使用できる。なお、改変された前記パターンは、前記ベース材料の長さに沿ってエネルギーの散逸率を変化させ、単一のベース材料セクション内で段階的なエネルギー吸収体を形成する。
【0027】
エネルギーの散逸を制御するために、前記ベース材料の2つのパラメーターを改変することができる。1つ目のパラメーターは、破壊に関連する前記力及びエネルギーを調整するために、前記ベース材料自体を変化させる。例えば、破壊時に必要な力及びエネルギーの散逸率を形成するために、特定の降伏強度及び展延性を有している鋼鉄パネルの前記材料グレードを選択することができる。さらに、必要な破壊動作を発生させるために、プラスチック、鋼鉄、或いはアルミニウムのような異なる材料を選択することもできる。
【0028】
2つ目のパラメーターは、前記材料の破壊及びエネルギーの散逸を制御するために、前記ベース材料の厚さを改変することができる。前記材料の厚さは、前記破壊モード及び破壊によって散逸される前記エネルギーの大きさを制御するために用いることができる。複数の材料層を所定の位置で組み合わせ、例えば、金属層を重ねて溶接することで、抵抗力及びエネルギーの散逸を変化させることができる。異なる厚さの材料を端から端まで設置し、任意の位置で前記力レベル及びエネルギーの散逸を変化させることもできる。
【0029】
上述したエネルギーの散逸メカニズムは、連続したスリービームパネルの谷間に使用するために開発された。然しながら、この方法論は様々な部材や部材の断面内の様々な箇所に応用可能である。さらに、この技術は衝突緩衝システムに限らず、路側のハードウェア及び他の衝撃吸収構造に使用される様々なエネルギー散逸システムに応用可能である。
【0030】
本発明は、追加の特徴及び利点と共に、添付図面と併せて後述の説明を参照することで、最良の理解が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の原則に基づいて構成し、展開方向に配置した例示的な実施形態に係る衝突減衰器を示す等角図である。
図2図1の前記衝突減衰器を示す上面図である。
図3図1の前記衝突減衰器を示す立面図である。
図4図3の前記部分4を示す詳細図である。
図4A図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4B図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4C図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4D図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4E図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4F図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図4G図4に示す折り曲げワッシャープレート及びボルトの組み立て体を示す様々な図である。
図5図3の線5-5に沿った断面図である。
図6図3の線6-6に沿った断面図である。
図7図3の線7-7に沿った断面図である。
図8図3の線8-8に沿った断面図である。
図9】本発明の例示的な実施形態に係る前記衝撃ヘッド組み立て体を示す立面図である。
図10図9に示す前記衝撃ヘッド組み立て体を示す上面図である。
図11図9及び図10に示す前記衝撃ヘッド組み立て体を示す側面図である。
図12】本発明の例示的な実施形態に係る前記中間振動板組み立て体を示す立面図である。
図13図12に示す前記中間振動板組み立て体を示す上面図である。
図14図12及び図13に示す前記中間振動板組み立て体を示す側面図である。
図15】本発明の例示的な実施形態に係る前記バックアップ構造組み立て体を示す立面図である。
図16図15に示す前記バックアップ構造組み立て体を示す上面図である。
図17図15及び図16に示す前記バックアップ構造組み立て体を示す側面図である。
図18】本発明の例示的な実施形態に係る前記トラックの組み立て体を示す上面図である。
図18A図18に示す前記挿入領域18Aを示す上面図である。
図18B図19に示す前記挿入領域18Bを示す立面図である。
図19図18に示す前記トラック組み立て体を示す立面図である。
図20図18に相似する本発明の例示的な実施形態に係る前記トラック組み立て体を示す上面図である。
図21図20に示す前記トラック組み立て体を示す立面図である。
図22図21に示す線22-22に沿った断面図である。
図23図2に示す線23-23に沿った断面図である。
図24】本発明の例示的な実施形態に係る前記第1段レール組み立て体を示す立面図である。
図25図24の線25-25に沿った断面図である。
図26】本発明の例示的な実施形態に係る第2段レール組み立て体を示す立面図である。
図27図26の第2段レール組み立て体を示す側面図である。
図28図26に示す数字28で示される前記部分を示す立面図である。
図29】本発明の例示的な実施形態に係る前記第3段レール組み立て体を示す立面図である。
図30図29に示す前記第3段レール組み立て体を示す側面図である。
図31図29に示す数字31で示される前記部分を示す立面図である。
図32】本発明の例示的な実施形態に係る第4段レール及び第5段レール組み立て体を示す立面図である。
図33図32に示す第4段レール及び第5段レール組み立て体を示す側面図である。
図34図32に示す数字34で示される前記部分を示す立面図である。
図35図32に示す数字35で示される前記部分を示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
より詳しく図を参照すると、図1図3には上述した例示的な実施形態に係る固定された衝突衝撃減衰器または衝突緩衝システム10を図示し、衝突後に修理または交換できるように犠牲的に設計されている。このため、安価で簡単な設計及び構成でありながら、減衰器に直接的にまたは斜めに衝突した車両の乗員を保護するのに効果的な設計となっている。
【0033】
本発明の前記エネルギーの散逸メカニズムは、引き裂き部材がベース材料を通過し、前記ベース材料を破壊することでエネルギーの散逸を達成している。本発明のシステムは、タイプの異なる引き裂き部材の使用、様々な形態の穴、切り込み、及び応力集中による前記ベース材料の断面の変化、及び前記ベース材料自体のバリエーションを含む幾つかのパラメーターを使用して前記ベース材料を破壊する前記力レベル及びエネルギーの散逸を制御及び改変するという革新的なものである。前記エネルギーの散逸メカニズムのこれらの側面は、前記破壊モード、前記破壊面の数量、及び前記材料の破壊の長さを変更することによる前記材料の破壊によって生じる力レベル及びエネルギーの散逸の変化を許容する。そのシンプルな形態において、前記引き裂き部材がベース材料の一定の断面を通過して単一の破壊線を形成することで、前記エネルギーの散逸が生じる。また、エネルギーの散逸をより洗練させるために、本明細書で挙げる様々な改変を導入することにより、複数の破壊線に沿った複数の破壊モードを提供することができる。
【0034】
前記システム10の設計で考慮する点は、アメリカ合衆国のTL(Test Level)-3衝突減衰規格を満たすように設計されていると共に試験され、外形が狭く、双方向性があり、MASH(Manual for Assessing Safety Hardware)に準拠し、安価であり、自立的である(剛性の物品に取り付ける必要はないが、取り付けることも可能である)点である。前記システムはシンプルな設計で簡単に製造でき(材料は標準的なサイズ及び形状であり、サイドパネルは標準的なスリービーム型であり、例えば、AASHTO M-180 profileである)、簡単に組み立てることができ、完全な組み立て品を輸出できる。ベースはドリルテンプレートであり、ユニット10を組み立てた状態でアンカー穴を穿設することができる。例示的な実施形態において、前記ユニットの長さは約20~24ftに設計されている。その幅は32 in以下であり、1台のトラックで3幅分の前記ユニット10を輸送可能にしている。例示的な実施形態における高さは31~36 inの間の範囲である。前記ユニット10はコンクリート、アスファルト、またはそれらのハイブリッドに固定でき、標準的なアンカー及び接着剤を使用して固定してもよい。華氏-40度以下~150度以上の温度範囲での使用に適している。
【0035】
特に図2に示すように、前記システム10は梯子フレーム設計を有しているベース部分またはトラック組み立て体12を備え、第1外レール16及び第2外レール18をそれぞれ支持する複数の中間ベースプレート14と、各端部にある大きい末端ベースプレート15と、を含んで構成されている。前記中間ベースプレート14及び末端ベースプレート15は、ボルトアンカー22または適合する他の機械的固定具を使用して前記ベースを地面に固定するためのアンカー穴20をそれぞれ具備している。幾つかの実施例では、代替として接着剤を使用してもよい。図示する実施形態において、前記アンカー穴20は、前記第1外レール16及び前記第2外レール18の外側及び内側に、各ベースプレート14及び15の長さに沿って間隔を置いて配置してもよい。
【0036】
前記システム10は、衝撃ヘッド組み立て体体26、前記衝撃ヘッド組み立て体と前記バックアップ構造組み立て体との間に延伸されている中間振動板組み立て体を含む複数の中間振動板28、及び複数のサイドパネル30からなる上部減衰部分24を更に備えている。図示する例示的な実施形態において、前記衝撃ヘッド組み立て体26は前端に警告ストライプ或いは類似物からなる物体マーカー、及びクラッシャブルノーズボックスまたはエネルギー吸収体32を含む。図示する実施形態において、前記クラッシャブルボックス32には、破壊されると共に圧縮されることで衝撃力を減衰するように適合されているハニカム材料が充填されている(図9図11では、明確にするためにハニカムは図示を省略している)。当然ながら、必要であれば、ハニカム以外の適合する減衰材料を使用してもよい。前記衝撃ヘッド26は、正面、側面、及び角度のついたノーズから付勢された衝撃による負荷を支持する。
【0037】
前記中間振動板28は前記衝撃ヘッド26の後方に間隔を置いて配置されている。これらは標準的な形状及びサイズで製造され、負荷に対応するサイズのクロスブレースまたはブレースチューブを有している。各クロスブレースは、前記サイドパネル30の組み立てを容易にするように配置されている。図に示す如く、各中間振動板28は前記サイドレール16及び18の側方のベース端または脚部34にスライド可能に載置されている。前記レール16及び18はT字形を呈し、且つ前記振動板28の前記脚部34は「T字溝」として構成され、前記T字形レールの「T」の上部フランジ部分を完全に包囲し、被覆している。これは図7及び図8に最もよく示されている。図に示す如く、この独特の構成により、斜め方向の衝撃からの横荷重をレール16及び18に分散しているが、先行技術による衝突緩衝装置では、通常「C字形」レールを使用し、近接するトラックレールに対する横荷重のみを許容する。
【0038】
前記サイドパネル30は標準的な構造であり、図示する衝突緩衝は、標準的なスリービームやWビームパネルのような波形ビームを備え、好ましくは10または12ゲージ鋼で製造されている。プレートまたはチューブを使用してもよい。車両が衝突し、且つ前記減衰器が圧縮された場合、前記中間振動板が前記衝突減衰器10の後方に向けて順次移動し、前記レール16及び18に沿ってスライドする。前記中間振動板28のスライド動作が発生すると、前記サイドパネル30が、それが取り付けられている前記中間振動板と共に後方に向けて移動し、スライドパターンで相互に組み込まれるか重畳するように有利に設計されている。このメカニズムについては詳しく後述する。
【0039】
前記サイドパネル30の長さは側方または斜め方向の衝撃の負荷によって決められ、少なくともある程度は前記振動板に基づいて決めてもよい。前記パネルは、好ましくは、可能な限り普及型の交換可能なものとして設計されるが、当然ながら、同様に段階状に設計された前記減衰器システムの他のパネルとのみ交換可能である。図4図8に示す如く、ボルト及び折り曲げワッシャープレート組み立て体36は各サイドパネル30をそれぞれの中間振動板28に固定し、隣接するサイド前記パネル30を前記衝撃ヘッド26またはバックアップ構造組み立て体44に固定している。各ボルト組み立て体は、ボルトヘッド42を有しているボルト40により固定されている翼状及び折り曲げワッシャープレート38を備えてもよい。この形状のワッシャープレート構成は、前記破壊経路及びパネルの動作をより有利に制御できるという利点を有している。前記サイドパネルを形成する鋼材は亜鉛めっきされていてもよく、例えば、A36、A513、或いはA517でもよい。図4A図4Gはそれぞれ前記ボルト及び折り曲げワッシャープレート組み立て体36の等角図を示し、前記折り曲げワッシャープレート38が折り曲げウィング38a及び中央部分38bを有している。前記ワッシャープレート38にフレア状フロントウィング38aを採用し、且つ前記ボルト40を前方に位置決めすることで、柄面までの距離を短縮し、これにより前記引き裂き部材(ボルト)40の前方及び前記ワッシャーの下方での堆積を制限している。この形状のワッシャープレートは、引き裂きプロセスを行う際に、前記破壊経路及びパネルの動作の制御を補助する機能を有している。図4B図4Aの組み立てを示す側面図であり、図4Cは立面図であり、図4Dには前記折り曲げワッシャープレート38のフラットパターンを図示し、図4E図4Dに示す前記折り曲げワッシャープレートのフラットパターンを示す側面図であり、図4Fは前記折り曲げワッシャープレート38を示す立面図であり、図4Gは前記折り曲げワッシャープレート38を示す側面図である。前記折り曲げワッシャープレート38の前記中央部分38bは前記ボルト40を挿入するための穴39を備えている。
【0040】
図5及び図9図11にさらに詳しく示すように、前記衝撃ヘッド組み立て体26は、前記クラッシャブルボックス32に加えて直立支柱46を備え、前記中間振動板28のベース端または脚部34と同様であるが更に長いベース端47を有し、前記レール16及び18に沿ってスライドするのに適合している。
【0041】
図6及び図15図18Bには前記バックアップ構造組み立て体44を図示し、これは直立柱48及び角度付き支持ブレース50を含んで構成されている(図1図3及び図15図17)。前記直立柱48及び角度付き支持ブレース50は、ボルトアンカー22を用いて地面に固定されている前記末端ベースプレート15を備えている。留意すべき点は、前記バックアップ構造組み立て体44の特定の構造的特徴は求められる応用に基づいて改変され、所望すれば、前記衝突減衰器10は、既知の設計による端部処理ハードウェアを使用して保護されている前記固定構造に固定してもよい。
【0042】
図7図8及び図12図14には前記中間振動板28を図示し、さらに詳しくは、前記中間振動板28は前記中間振動板組み立て体を備えている。前記振動板28は起立支柱54を含み、その下端は前記ベース端または脚部34に配置されている。前記支柱54はクロスメンバー56により共に固定されている。図7及び図8に最もよく示す。
【0043】
図18図23には、例示的な実施形態に係る前記トラック組み立て体12を特に詳細に示し、これは縦方向に間隔を置いた前記中間ベースプレート14にそれぞれ固定されている前記第1サイドレール16及び前記第2サイドレール18を備えている。前記衝突減衰器10の両端では、一端で各前記衝撃ヘッドを支持し、第2端で前記バックアップ構造組み立て体を支持するために、前記レール16及び18が大きな前記末端ベースプレート15の長さ方向に沿って延伸されると共にそこに固定されている。
【0044】
特に図2に示す如く、正面衝突した衝突車両は、矢印58で示すように、左から右の方向にかけて前記ノーズピースまたは衝撃ヘッド26に衝撃を与える。前記システムは、側方から、または角度をつけて衝突する車両の衝撃も減衰可能である。衝突緩衝装置10の減衰特性を調整及び制御するために、前記上部減衰部分が複数の段階に分けられている。図示する例示的な実施形態において、前記上部減衰部分24は、段階1レール組み立て体60と、段階2レール組み立て体62と、段階3レール組み立て体64と、段階4レール組み立て体66と、段階5レール組み立て体68と、を含んで構成され、これらはそれぞれ、パネル/段階の間でスムーズに移行する独自に設計されたパネルを備えている。結果的に生じる慣性パルスの延長が力のピークを低下させ、衝突車両の乗員の安全性を改善している。
【0045】
本発明は前記衝突減衰システムにエネルギー吸収メカニズムを採用し、衝突車両によって付勢された前記力を吸収する前記減衰器システムの要素引き裂きモードが設計されている。図示する実施形態において、前記エネルギー吸収方法は、サイドパネルまたはフェンダーパネル30を引き裂き、前記パネル連結ハードウェアを使用し、前記引き裂きハードウェアとしてボルト組み立て体36を含む。当然ながら、引き裂かれる物品として他のシステム部材を使用し、且つ他の引き裂き部材は、例えば、独立したワッシャープレート/組み立て体やロッド、プレート、くさび、及び類似品のような他の貫通要素の前記引き裂きハードウェアも本発明の範囲内に含まれる。前記引き裂き部材の形態は前記ベース材料内で展開する前記破壊モード及び前記破壊面の数量を決定するために使用し、前記ベース材料を通しての前記破壊経路の伝播を制御する。ベース材料のセクションで使用されている複数の引き裂き部材は、追加の前記破壊面を形成し、力レベル及びエネルギーの散逸を向上させている。
【0046】
特に革新的な点は、衝撃力減衰能力を最大化し、車両の乗員の怪我を可能な限り最低化し、前記車両の乗員が経験するライドダウン力を実質的に米国の衝突基準に規定されている許容レベル以下にするために、前記システムが制御された方法で引き裂きと剪断を調整する設計となっている点である。引き裂きレベルを調整する方法は、前記減衰器の各段階に従って変化するように部材の厚さを調節し、引き裂かれる前記部材の切り抜きを利用して引き裂きプロセスを制御し、固体材料で形成された部材から、例えば、溝形、二等辺三角形及び正三角形を含む三角形、台形、半円形/三日月形、穿孔、長方形、及び類似形のような様々な構成及び間隔を置いた連続した穴までの範囲を含むこと、を含むが、これらに限られない。上述したように、前記切り抜きのサイズは、穴の間の間隔と同様に改変可能である。穴の複数の列は各部材に採用され、前記穴は隣接する列の穴に対して揃えられているか、互い違いになっていてもよい。この調整の目的は、前記穴の形状/パターン及びそれらの間隔や部材の厚さに基づいて、モード1(引張破壊)、モード2(剪断破壊)、モードIII(面外剪断)、及びモードの組み合わせを含む1つ、2つ、または3つの異なるタイプの引き裂きモードを開始可能にすることである。穿孔、パターン間隔、溝または掠痕の計画的な使用、及び引き裂き様式の設計により形成される一貫した予測可能な経路をもたらすように引き裂きの制御が設計されており、例示的な実施形態では、前記ボルト組み立て体36と共に使用される革新的なワッシャープレートの設計を含み、ここでは、前記翼状ワッシャー38は、前記フェンダーパネルの湾曲を許容し、堆積を防止するために前方への延伸を制限している。引き裂かれる前記部材(例えば、例示的な実施形態に係る前記フェンダーパネル30)には、様々な鋼鉄、アルミニウム、プラスチック、及びFRP(Fiber-Reinforced Plastic)のような様々な材料を使用できる。互い違いのパターンは、上述したように、力のピークを制限し、且つレールの谷間またはピーク、或いは前記パネルのどこかで引き裂きが発生するようにするために採用されている。
【0047】
ちなみに、ここでは、本明細書及び添付する請求項で使用する「引き裂く」、「引き裂き」、「引き裂き可能」、及び類似する用語は、長さ方向の破壊または衝撃エネルギーを減衰するための衝突減衰部材のスリットを形成するための用語として上述した何れかの用語を代用するものであり、これらの用語の何れかを含むように本発明の範囲は十分に広いものとなっている。
【0048】
以上を鑑み、図24図25には前記衝突減衰器10の例示的な第1段階(段階1)を図示し、これは前記減衰器システム10の両側に沿って対向するように配置されている第1フェンダーパネル30を備え、特に図2及び図3に図示するように、前記衝撃ヘッド26から後方に延伸されている。図に示す如く、段階1の前記パネル30は、縦方向に配置されていると共に間隔を置いている穴78の2つの列74及び76を含み、ここでは、三角形の形状を呈し、より詳しくは、特定の実施形態において二等辺三角形を呈する。各列74及び76は、前記パネルボルト組み立て体36の前記ボルト40を受け入れるためにそれぞれのボルト穴70に位置を揃えている。位置72は前記スリービームフェンダーパネル30の背面に溶接されているガセットを収容している。このガセットは前記剪断ボルト40が挿通する前記パネルを強化し、これにより下流のボルトが前記パネルによって押し出される。前記翼状ワッシャー38はそれぞれの剪断ボルト40に溶接されている。図24に示す如く、延長溝80の形状は円形、楕円形、または他の形状でもよく、各列74及び76の後端に配置されている。前記溝80の目的は、前記衝突減衰器10の初期展開状態において、次の重畳する前記パネル30の前端を前記第2中間振動板28に固定する前記ボルト組み立て体の前記ボルト40を受け入れることである。溝形、水滴形、及び他の特別な形状を使用することでパネルの開始点における応力集中を促進し、破壊の開始を促す。前記第1パネルは前部が前記衝撃ヘッド26に取り付けられ、第1中間振動板28に跨設され、ボルトにより前記第2中間振動板28に螺着されている。矢印58の方向(図2)に衝撃力を作用させる車両からの衝撃により、図に示す如く、前記第1パネル30が左から右に加速され、それぞれの前端が取り付けられている前記衝撃ヘッド26と共にライドし、前記楕円形溝80は前記引き裂きボルト40が前記引き裂きプロセスを開始する地点となり、前記ボルト40がそれぞれの列74及び76の最左端にある前記パネル30の前端に到達するまで、前記ボルトが前記パネルに対し前方に移動する。、前記パネルが車両の衝撃力58に反応して後方に移動しても、上述したように、前記パネルの最後端は前記パネルの最前端より柔らかいか均一的であるため、前記パネル30の前記材料中で前記ボルト40により前記引き裂き動作が開始され、前記パネルに沿って前方に向けて拡大する破片または裂け目を形成する。
【0049】
段階1は前記衝撃力を受けると共に減衰させる第1段階であり、最も柔らかく設計されており、各連続的な段階は次の段階が前の段階よりも硬くなるように設計されている。段階1において、上述したように、前記穴78は三角形を呈してもよく、より詳しくは、特定の実施形態において二等辺三角形を呈している。三角形の形状は、破片を伴わない破壊を行うシングルモード1に特に適している。上述したように、衝撃の間に、前記引き裂きボルト40が前記パネルの方向とは反対に右から左にかけて前記パネル30を通過するように移動する。前記引き裂きボルト40が前記三角形穴78中に挿入されると、前記ボルトが前記三角形の分岐する2つの側辺に衝突し、前記三角形の左点に引張荷重を形成する。上述したように、前記引き裂きボルトより先に前記材料中でモード1の引張破壊を開始し、特に前記引き裂きプロセスの開始時には往々にしてモードIIの剪断も発生する。
【0050】
上述したように、図26図28に示す如く、段階2は次の段階であり、次のフェンダーパネル30が衝撃を受ける。段階1よりは硬く設計されているが、前記衝撃ヘッド及び前記段階1のパネルのみで減衰されただけでは衝撃力が依然として高いため、段階2はなおも柔らかい。段階2において、前記パネル30は、段階1と同じ穴82の位置に沿って2つの列74及び76を有している。これら穴82は三角形として描写しているが、段階1の前記穴よりも小さく、より緊密に間隔を置いている。前記三角形は二等辺三角形でもよく、或いは、図に示す如く、正三角形でもよいが、円形、台形、長方形、及び類似する形状のような他の代替形状でもよい。図示する実施形態において、各前記列74及び76の32 inの長さに沿って33個の穴82が存在する。当然ながら、これは単に例示的な数量であり、実際の穴の数量と間隔は設計を考慮して改変可能である。前記パネル30を対応する前記中間振動板28に固定するための前記ボルト40を収容するために、大きな延長穴84が各列74及び76の下流(最右)端に配置されている。前記衝撃力が継続すると、前記パネル30が右方向に移動し、これにより、前記引き裂きボルト40がそれぞれの列74及び76に沿って左方向(前方)に移動(相対的に)する。
【0051】
図29図31に示す如く、次の前記パネル30は段階3を含む。この段階は段階2と同様に出現し、前記穴の形状も同じであるが、この例示的な実施形態では、各前記列74及び76の31 1/2 inの長さに沿って29個の穴85が存在している。このため、前記段階2パネルの前記穴82に比べて穴85は数量が少なく、より広く間隔を置いているため、前記段階3パネル30は前記段階2パネル30「より硬い」。
【0052】
段階4及び5は図32図35に示す如く、前記第4及び第5段階フェンダーパネル30も穴74及び76の2つの列を有している。図示する実施形態において、同じパネル30が段階4及び5にも使用され、且つ前記パネルは台形穴86を使用している。円形穴90はこの段階において引き裂きを開始するように機能する。留意すべき点は、段階4及び5において、各列74及び76の前記台形穴86の相対的な軸の位置は、揃えられるのではなく互い違いになっている点である。互い違いにする目的は、力の減衰をより均一化し、前記力のたわみ曲線のピーク及び谷間をスムーズにすることである。台形はモードII/モードIIIの二重のモードでの破壊により適している。
【0053】
必要であれば、後段のパネル30が前段よりも厚い材料を備えてもよく、前段に対し後段を更に硬くしてもよい。
【0054】
上述したように、図示する実施形態は例示にすぎず、穴の列の異なる数量、穴の異なる形状、異なる間隔、互い違い、及びそれらに類似するものは、求められる減衰特性を実現するために採用可能である。代替的な例示的な一実施形態では、例えば、段階1では二等辺三角形を使用し、段階2及び3では様々なサイズ及び間隔の正三角形を使用し、段階4及び5では様々なサイズ及び間隔の台形を使用している。穿孔を有するまたは有しない長方形は、二重のモードII/モードIIIの破壊で使用できる。ちなみに、例示的な実施形態では主にパネルの移行に関連する段階を含むが、1つのパネルから次のパネルに移行するのではなく、本明細書に記載するように、単一のパネルの範囲内で材料の厚さ、穴のサイズ、穴の間隔、または他の特徴を変えることで、単一のパネルを複数の段階に分けることは、本発明の範囲において好適である。
【0055】
利点として、本発明は、単一のパネル内での複数の前記破壊面の使用、縦方向に互い違いにする破壊の変化パターン、及びパネルセグメント内の形状のある穴の間隔の代替を熟慮している点である。特に、各前記パネルの(穴)のパターンの変化は、図に示す如く、前記パネル及び前記プレート72の終了前にフルストロークよりも先行して早期に終了し、慣性力が低下する際に現在のパネルを底にするように力を増加し、次のパネルの破壊の開始にスムーズに移行させる。
【0056】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施例に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0057】
10 ユニット
10 衝突減衰器
10 衝突緩衝システム
12 トラック組み立て体
14 中間ベースプレート
15 末端ベースプレート
16 第1外レール
16 第1サイドレール
18 第2外レール
18 第2サイドレール
18A 挿入領域
20 アンカー穴
22 ボルトアンカー
24 上部減衰部分
26 衝撃ヘッド組み立て体
28 中間振動板
30 サイドパネル
30 フェンダーパネル
32 クラッシャブルノーズボックス
32 エネルギー吸収体
32 クラッシャブルボックス
34 脚部
36 折り曲げワッシャープレート組み立て体
36 ボルト組み立て体
38 折り曲げワッシャープレート
38 翼状ワッシャー
38a フレア状フロントウィング
38a 折り曲げウィング
38b 中央部分
40 ボルト
42 ボルトヘッド
44 バックアップ構造組み立て体
46 直立支柱
48 直立柱
50 角度付き支持ブレース
54 起立支柱
56 クロスメンバー
58 矢印
58 車両の衝撃力
60 段階1レール組み立て体
62 段階2レール組み立て体
64 段階3レール組み立て体
66 段階4レール組み立て体
68 段階5レール組み立て体
70 ボルト穴
72 位置
72 プレート
74 列
76 列
78 穴
80 延長溝
82 穴
84 延長穴
85 穴
86 台形穴
90 円形穴
図1
図2
図3
図4
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【国際調査報告】