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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】トロカールが不要な腹腔鏡手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20230620BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20230620BHJP
   A61B 17/3201 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B18/12
A61B17/3201
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569561
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2021009019
(87)【国際公開番号】W WO2022015041
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087021
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069961
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510273880
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】パク スンス
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG05
4C160KK01
4C160MM32
(57)【要約】
本発明は、トロカールが不要な腹腔鏡手術器具に関するものであって、腹腔の体内に挿入され、手術器具を備える第1パート;及び腹腔の体外に配され、第1パートに結合されて、手術器具の作動状態を操作する第2パート;を含み、第1パートと第2パートは、第1パートが体内に挿入された状態で磁力によって1次で互いに結合されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹腔の体内に挿入され、手術器具を備える第1パートと、
腹腔の体外に配され、前記第1パートに結合されて、前記手術器具の作動状態を操作する第2パートと、を含み、
前記第1パートと前記第2パートは、前記第1パートが体内に挿入された状態で磁力によって1次で互いに結合されることを特徴とする、トロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項2】
前記第1パートは、
一方向に延設され、前記手術器具を支持する第1胴体と、
前記第1胴体の一端に結合される前記手術器具と、
前記第1胴体の他端に備えられる第1磁石と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項3】
前記第2パートは、
一方向に延設され、一端が前記第1胴体と結合される第2胴体と、
前記第2胴体の他端に結合され、前記手術器具を操作する操作部と、
前記第2胴体の一端に備えられる第2磁石と、
を含むことを特徴とする、請求項2に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項4】
前記第2パートは、前記第2胴体の一端に備えられて、前記操作部の操作によって突出するニードルをさらに含み、
前記第1パートは、前記第1胴体の他端に備えられ、前記第2パートから突出するニードルを収容するニードル収容部をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項5】
前記第1パート及び前記第2パートが腹壁を挟んで磁力によって1次で互いに結合された状態で前記ニードルが突出して、前記ニードル収容部に挿入されて2次で結合されることを特徴とする、請求項4に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項6】
前記第1胴体及び前記第2胴体は、それぞれ通信モジュールをさらに備え、
前記通信モジュールは、前記第1パート及び前記第2パートが互いに結合される場合、前記第1パートと前記第2パートとの間の通信チャネルを形成して、前記第2パートでの操作による信号を伝達することを特徴とする、請求項3に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【請求項7】
前記手術器具は、エネルギーデバイス、鉗子及び手術用ハサミのうち何れか1つで形成され、交替可能であることを特徴とする、請求項1に記載のトロカールが不要な腹腔鏡手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロカールが不要な腹腔鏡手術器具に係り、より具体的には、腹腔の体内に挿入される手術器具と体外で手術器具とが結合されて手術器具の作動状態を操作することができる操作部を備えることにより、腹壁に傷跡を残す創傷を作らず、腹腔鏡手術を施行することができるトロカールが不要な(トロカールの機能を内蔵した)腹腔鏡手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡手術は、腹腔内に炭酸ガスを注入して腹腔内の空間を作って手術空間と視野とを確保し、腹壁に小さな穴をあけてトロカール(trocar)と呼ばれる器具を挿入した後、このトロカールを通じてカメラと手術器具とを患者の体内に挿入し、カメラによってモニターに表示される映像を観察しながら行われる手術である。
【0003】
腹腔鏡手術には、少なくとも3種以上の手術器具が必要である。具体的に、手術時に、腹腔内部を観察するための必須構成要素であるカメラ(laparoscope)と、組織を取るための鉗子(forceps、laparoscopic instrumentsの一種)と、カッターや超音波発生器のように組織を切り取るか、治療のための操作を加える機器(surgical energy device)などが必要である。
【0004】
従来、同時に使われる手術器具の個数に対応して腹部に多数の穴をあけ、それぞれの穴にトロカールを1つずつ設置し、それぞれのトロカールを通じて手術器具を個別的に腹腔に進入させて手術を行うマルチポート(multi-ports)方式が主に使われた。これは、一般的な開腹術に比べては、手術傷跡を著しく減らしうるが、依然として複数個の傷跡が残る。
【0005】
一方、手術後に発生する傷跡を最小化するために、図2のように、腹部に1つの切開創(腹腔鏡手術時の切開創よりも3倍以上大きい)をあけて複数個のトロカールを挿入可能な装備(port)を設置し、設けられた装備を通じて一回に複数個の手術器具を1つの切開創を通じて腹腔内に進入させて手術するシングルポート(single-port laparoscopy)方式手術が最近広がっている。この場合、設けられた装備は、複数個の図1のような手術器具を同時に腹腔内に進入させるように複数の投管部を備えなければならない。しかし、このようなシングルポート方式手術は、器具使用の個数が限定され、小さく作られた切開創の同一位置に挿入された多数の器具が互いに衝突して角度を大きくしながら手術することができない。したがって、切開創を1つのみ作って患者の生活の質の側面を考慮する理論的な長所があるにも拘らず、本シングルポート方式手術は、依然として技術的な限界が存在して広く施行されていない。
【0006】
したがって、手術傷跡を最小化する長所を保持しながら、既存のマルチポート(multi-ports)方式手術のように容易かつ安全であり、効果的に腹腔鏡手術を施行させるための方案が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、腹腔の体内に挿入されて作動する手術器具と体外で腹腔内の手術器具と結合されて1つの装備として手術を施行することができる操作部を備え、最小化された結合部位を有するように開発することにより、腹壁にトロカールを挿入せず、トロカール創傷による傷跡を残さず、腹腔鏡手術を施行することができるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具を提供することである。
【0008】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないさらなる目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を果たすために、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具は、腹腔の体内に挿入され、手術器具を備える第1パート;及び腹腔の体外に配され、前記第1パートに結合されて、前記手術器具の作動状態を操作する第2パート;を含み、前記第1パートと前記第2パートは、前記第1パートが体内に挿入された状態で磁力によって1次で互いに結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、腹腔鏡手術のために別途のトロカールを使用せずとも、腹腔の体内に挿入される手術器具と体外で手術器具とが結合されて手術器具の作動状態を操作することができる操作部を用いて腹腔鏡手術を施行することができる。
【0011】
これにより、従来のシングルポート方式でのように1つの切開創を通じて複数の手術器具を設置する必要がなく、既存のマルチポート方式の腹腔鏡手術と同様に手術器具の自由度を確保することができて、精巧さが要求されるあらゆる腹腔鏡手術を提供することができる。
【0012】
本発明の効果は、前述した効果に制限されず、言及されていないさらなる効果は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来の腹腔鏡器具を示す写真である。
図2】従来のシングルポート手術を示す概念図である。
図3】本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具を示す概念図である。
図4】本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具が結合された状態を示す概念図である。
図5】本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具の使用方法を示すフローチャートである。
図6】第1パートと第2パートとの安全な結合のためのガイド部の構成を説明する図面である。
図7】本発明は、さらに第1パートから第2パートに延び、ニードルのような手術道具が備えられたシリンダー(S)を通じて磁性結合後、物理的方式で手術道具の一体性を向上させる構成を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。この際、添付図面で同じ構成要素は、可能な限り同じ符号で示していることに留意する。本発明の要旨を不明にする恐れがある公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。同様の理由で添付図面において、一部の構成要素は、誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0015】
明細書の全体において、ある部分が、ある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対される記載のない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。また、明細書の全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0016】
図3は、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具を示す概念図であり、図4は、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具が結合された状態を示す概念図である。
【0017】
図3及び図4を参照して説明すれば、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具10は、体内に挿入される第1パート110と体外に配される第2パート120とを含んで構成され、第1パート110と第2パート120は、第1パート110が体内に挿入された状態で磁力によって互いに結合されうる。
【0018】
第1パート110は、腹腔の体内に挿入されるものであって、第1胴体111、手術器具112、第1磁石113及びニードル収容部114を備える。第1パート110は、例えば、従来のシングルポート方式の腹腔鏡手術のために設けられるトロカールを通じて体内に挿入される。
【0019】
第1胴体111は、手術器具112を支持する役割を行うものであって、手術器具112を支持できるように一方向に延設される。
【0020】
図3には図示されていないが、第1胴体111は、通信モジュール、バッテリなどを備えることができる。ここで、通信モジュールは、第1パート110及び第2パート120が互いに結合される場合、第1パート110と第2パート120との間の通信チャネルを形成する。形成された通信チャネルを通じて第2パート120での操作によって信号が伝達されて、第1パート110の手術器具112を作動させうる。
【0021】
手術器具112は、第1胴体111の一端に結合されて、第2パート120での操作によって作動する。図3では、手術器具112が鉗子で形成されたことを例示として図示したが、必ずしもこれに制限されるものではない。すなわち、手術器具112は、エネルギーデバイス、鉗子及び手術用ハサミのうち何れか1つで形成されるものであって、腹腔鏡手術に使われる多様な手術器具が適用可能であることは自明な事実である。また、第1胴体111に結合される手術器具112は、必要に応じて多種に置き換えられる。
【0022】
第1磁石113は、第2胴体121と結合される第1胴体111の他端に備えられうる。第1磁石113は、後述するように、その中心部に形成されるニードル収容部114を考慮してドーナツ状に形成されうるが、その形状が必ずしもこれに制限されるものではない。また、第1磁石113は、第2磁石123と結合された状態で容易に分離されないようにネオジム磁石で形成されうるが、必ずしもこれに制限されるものではない。また、第1磁石113は、電磁石にも形成されうる。
【0023】
ニードル収容部114は、第2胴体121と結合される第1胴体111の他端にさらに備えられ、例えば、第1磁石113の中心部に形成されて第2パート120から突出するニードル124を収容することができる。腹壁を挟んで第1パート110と第2パート120とが磁力によって1次で互いに結合された状態で後述するように、ニードル124がニードル収容部114に挿入されて結合されれば、第1パート110と第2パート120との結合をさらに堅固に保持させうる。
【0024】
第2パート120は、腹腔の体外に配され、第1パート110に結合されて手術器具112の作動状態を操作するものであって、第2胴体121、操作部122、第2磁石123及びニードル124を備える。
【0025】
第2胴体121は、一端が第1胴体111と結合されうるように第1胴体111に対応する形状に形成され、第2胴体121の他端は、操作部122と結合されうる。第2胴体121は、第1胴体111と同様に一方向に延設される。
【0026】
図3には図示されていないが、第2胴体121は、通信モジュール及びバッテリなどを備えることができる。通信モジュールは、前述したように、第1パート110及び第2パート120が互いに結合される場合、第1パート110と第2パート120との間の通信チャネルを形成する。形成された通信チャネルを通じて第2パート120での操作によって信号が伝達されて第1パート110の手術器具112を作動させうる。
【0027】
操作部122は、手術器具112を操作する役割を行うものであって、手術器具112の種類や条件によって多様な設定ボタンまたは操作ボタンが備えられ、その設定ボタンまたは操作ボタンの操作によって入力信号を通信チャネルを通じて第1パート110の手術器具112に伝送させうる。
【0028】
第2磁石123は、第1胴体111と結合される第2胴体121の一端に備えられうる。第2磁石123は、後述するように、その中心部から突出するニードル124を考慮してドーナツ状に形成されうるが、その形状が必ずしもこれに制限されるものではない。また、第2磁石123は、第1磁石113と結合された状態で容易に分離されないようにネオジム磁石で形成されうるが、必ずしもこれに制限されるものではない。また、第2磁石123は、電磁石にも形成されうる。
【0029】
ニードル124は、第1胴体111と結合される第2胴体121の一端にさらに備えられ、例えば、第2磁石123の中心部から突設される。ニードル124は、操作部122の操作によって突出して患者の腹壁(W)を貫通して腹壁(W)の内側に位置する第1パート110の第1胴体111に形成されたニードル収容部114に挿設される。このようにニードル124がニードル収容部114に結合されれば、第1パート110と第2パート120との結合がさらに堅固に保持されて容易に分離されないようにできる。
【0030】
図5は、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具の使用方法を示すフローチャートである。
【0031】
図5を参照して説明すれば、本発明の実施形態によるトロカールが不要な腹腔鏡手術器具は、次のような順序によって進行しうる。
【0032】
まず、腹腔鏡手術を準備する(1)。腹腔鏡手術のために腹壁に少なくとも1つ以上の創傷が形成されうる。本発明は、シングルポート方式またはマルチポート方式の腹腔鏡手術いずれもに適用が可能である。
【0033】
以後、形成された創傷を通じて第1パートを体内に挿入して入れる(2)。
【0034】
以後、体内に挿入された第1パートを第2パートと結合する(3)。この際、第1パート及び第2パートは、磁力によって一次的に結合され、追加的にニードルを通じてさらに堅固に結合されるように誘導することができる。このように第1パート及び第2パートが結合された状態で腹腔鏡手術を施行する。
【0035】
最後に、手術が完了すれば、第1パートと第2パートとを分離して第1パートを体外に取り出す(4)。この場合、腹壁で第1パートと第2パートとが結合された部分は、別途の縫合が不要であり、傷跡が残らない。
【0036】
図6は、第1パートと第2パートとの安全な結合のためのガイド部の構成を説明する図面である。
【0037】
図6を参照すれば、第1パートと第2パートとのうち何れか1つに残りのパートを内部に収容することができるガイド部(G)が備えられる。この場合、ガイド部(G)内に第1パートと第2パートとが正確に接触する場合のみに磁力によって2つのパートが一体化される。
【0038】
図7は、本発明は、さらに第1パートから第2パートに延び、ニードルのような手術道具が備えられたシリンダー(S)を通じて磁性結合後、物理的方式で手術道具の一体性を向上させる構成を開示する。
【0039】
図7を参照すれば、第1パートと第2パートとが結合した後、第1パート内部のシリンダーが第2パート方向に延びる。これにより、ニードルのような手術道具も、前記シリンダーを通じて安定して手術部位まで第1パート-第2パートを通じて延び、磁性のみで締結構造が保持されるのに比べてより安定した形態になる。
【0040】
一方、本明細書と図面とに開示された本発明の実施形態は、本発明が技術内容を容易に説明し、本発明の理解を助けるために、特定例を提示したものに過ぎ、本発明の範囲を限定しようとするものではない。これに開示された実施形態の以外にも、本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であるということは、当業者に自明である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、手術器具に関するものであって、産業上の利用可能性がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】