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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】安全な患者制御鎮痛
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20230620BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/172
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570461
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 US2021033017
(87)【国際公開番号】W WO2021236679
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】63/027,261
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バージェス、ブレンダン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ファーナー、エドワード スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ベス エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、シャノン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アバル、ダニエル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066QQ63
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
鎮痛剤投与システムを動作させるためのシステム及び方法が開示される。制御デバイスは、薬物送達デバイスに関連付けられ、患者の指紋の少なくとも一部を含む第1のユーザ入力を、薬剤を投与するよう求める要求に対応する第2のユーザ入力とともに受信するように構成される。指紋の一部を以前に記憶された指紋と比較して、患者の識別情報を特定し、第2のユーザ入力を受信したこと及び患者が権限付与されたユーザであると判定したことに応答して、1つ又は複数のセンサを使用して、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得する。患者の状態が薬剤送達基準のセットを満たす場合、薬物送達デバイスに所定量の薬剤を患者に投与させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスと、
前記薬物送達デバイスに動作可能に接続された薬物制御デバイスと、
前記薬物送達デバイスに動作可能に接続され、人から生体情報を捕捉するように構成された、制御ユニットと
を備えるシステムであって、前記制御ユニットが、
前記薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定し、
前記薬物制御デバイスを介して、一定用量の前記薬剤を投与するよう前記薬物送達デバイスに求める要求と、前記薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信し、
前記生体情報に基づいて、前記生体情報に関連付けられた患者が、前記薬物送達デバイスからの前記一定用量の前記薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認し、
前記要求及び生体情報を受信したこと並びに前記患者が前記一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであると確認したことに応答して、
前記薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、前記患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得し、
前記患者の前記状態が、前記患者が前記薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、前記薬物送達デバイスに前記一定用量の前記薬剤を前記患者に投与させる
ように構成される、システム。
【請求項2】
前記薬物制御デバイスがハンドヘルド制御デバイスであり、前記要求及び生体情報が、互いの所定の期間内に捕捉される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ又は複数のセンサが、前記薬物制御デバイス内に含まれ、前記薬物制御デバイスによって前記要求及び生体情報が受信された後に起動される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記薬物制御デバイスが指紋リーダを備え、前記生体情報が、前記指紋リーダによって捕捉された指紋の少なくとも一部の表現を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者の前記状態を示す前記1つ又は複数の信号が、脳波(EEG)信号、心電図(ECG)信号、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)信号、呼吸数信号、又は運動信号を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者の前記状態が前記所定の基準を満たすと判定することが、前記1つ又は複数の信号に少なくとも部分的に基づいて前記患者が意識状態にあると判定することを含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記患者が前記一定用量を自己投与する権限を付与されていることを確認することが、
前記患者の識別情報を特定することと、
前記患者の前記識別情報又は薬物送達デバイスに関連付けられた識別子に少なくとも部分的に基づいて、ある期間にわたって前記患者によって受け取られた薬剤の量を病院情報システムから識別することと、
薬剤の前記量が前記期間の閾値量を満たすと判定することと
を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御ユニットがさらに、
前記患者の状態を示す前記1つ又は複数の信号を取得した後、前記1つ又は複数の信号に基づいて、前記患者に関連する不快レベルが閾値不快レベルより大きいと判定するように構成される、請求項1から7までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ又は複数のセンサが、
前記患者の運動を検出するための動きセンサと、
心拍数、血圧、心電図信号、脳波信号、又は酸素レベルを含む生理学的状態を測定するための1つ又は複数の生理学的モニタと
を備え、前記制御ユニットが、
前記患者の運動を検出し、
前記患者の前記生理学的状態を測定し、
前記患者の検出された前記運動が運動閾値を満たしていること及び前記生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、前記不快レベルを決定する
ように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記薬物送達デバイスが、前記要求を開始するためのユーザ入力を受信し、前記ユーザ入力の大きさを決定するように構成された、制御部を備え、前記薬物送達デバイスによって前記一定用量の前記薬剤を前記患者に投与することが、前記ユーザ入力の前記大きさに従って、ある量の前記薬剤を投与することを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定するステップと、
前記薬物送達デバイスに動作可能に接続された薬物制御デバイスを介して、一定用量の前記薬剤を投与するよう前記薬物送達デバイスに求める要求と、前記薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信するステップと、
前記生体情報に基づいて、前記生体情報に関連付けられた患者が、前記薬物送達デバイスからの前記一定用量の前記薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認するステップと、
前記要求及び生体情報を受信したこと並びに前記患者が前記一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであると確認したことに応答して、
前記薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、前記患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得するステップと、
前記患者の前記状態が、前記患者が前記薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、前記薬物送達デバイスに前記一定用量の前記薬剤を前記患者に投与させるステップと
を含む、機械実施方法。
【請求項12】
前記薬物制御デバイスがハンドヘルド制御デバイスであり、前記要求及び生体情報が、互いの所定の期間内に捕捉される、請求項11に記載の機械実施方法。
【請求項13】
前記薬物制御デバイスが指紋リーダを備え、前記生体情報が、前記指紋リーダによって捕捉された指紋の少なくとも一部の表現を含み、前記1つ又は複数のセンサが、前記薬物制御デバイス内に含まれ、前記薬物制御デバイスによって前記要求及び前記患者の指紋の少なくとも一部の前記表現が受信された後に起動される、請求項12に記載の機械実装方法。
【請求項14】
前記患者の前記状態を示す前記1つ又は複数の信号が、脳波(EEG)信号、心電図(ECG)信号、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)信号、呼吸数信号、又は運動信号を含む、請求項11から13までのいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項15】
前記患者の前記状態が前記所定の基準を満たすと判定することが、前記1つ又は複数の信号に少なくとも部分的に基づいて前記患者が意識状態にあると判定することを含む、請求項11から14までのいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項16】
前記患者が前記一定用量を自己投与する権限を付与されていることを確認するステップが、
前記患者の識別情報を特定することと、
前記患者の前記識別情報又は薬物送達デバイスに関連付けられた識別子に少なくとも部分的に基づいて、ある期間にわたって前記患者によって受け取られた薬剤のある量を病院情報システムから識別することと、
薬剤の前記量が前記期間の閾値量を満たすと判定することと
を含む、請求項11から15までのいずれか一項に記載の機械実装方法。
【請求項17】
前記1つ又は複数のセンサが、前記患者の運動を検出するための動きセンサと、心拍数、血圧、心電図信号、脳波信号、又は酸素レベルを含む生理学的状態を測定するための1つ又は複数の生理学的モニタとを備え、前記機械実施方法がさらに、
前記患者の運動を検出するステップと、
前記患者の前記生理学的状態を測定するステップと、
前記患者の状態を示す前記1つ又は複数の信号を取得した後、前記患者の検出された前記運動が運動閾値を満たしていること及び前記生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、不快レベルを決定するステップであって、前記患者が、所定の不快閾値を満たす前記不快レベルを含む所定の基準を満たしている、ステップと
を含む、請求項11から16までのいずれか一項に記載の機械実施方法。
【請求項18】
前記薬物送達デバイスが、前記要求を開始するためのユーザ入力を受信し、前記ユーザ入力の大きさを決定するように構成された、制御部を備え、前記薬物送達デバイスによって前記一定用量の前記薬剤を患者に投与することが、前記ユーザ入力の前記大きさに従って、ある量の前記薬剤を投与することを含む、請求項11から17までのいずれか一項に記載の機械実施方法。
【請求項19】
患者に薬剤を投与するための患者制御鎮痛デバイスであって、
患者の指紋の少なくとも一部を取得するための指紋リーダと、
前記患者制御鎮痛デバイスに通信可能に連結された薬物送達デバイスに、所定量の薬剤を前記患者に投与するよう要求するための起動ボタンと、
前記患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得するための1つ又は複数のセンサと、
前記患者制御鎮痛デバイスの作動状態を示すためのフィードバック回路と、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、前記1つ又は複数のプロセッサに、
薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定することと、
前記起動ボタンを介して、一定用量の前記薬剤を投与するよう前記薬物送達デバイスに求める要求と、前記指紋リーダによって捕捉された前記患者の指紋とを受信することと、
前記指紋に基づいて、前記患者が前記薬物送達デバイスからの前記一定用量の前記薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認することと、
前記要求及び生体情報を受信したこと並びに前記患者が前記一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであると確認したことに応答して、
前記薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、前記患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得することと、
前記患者の前記状態が、前記患者が前記薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、前記薬物送達デバイスに前記一定用量の前記薬剤を前記患者に投与させることと
を含む動作を実行させる命令を含むメモリと
を備える、患者制御鎮痛デバイス。
【請求項20】
前記動作がさらに、
さらなる用量の前記薬剤を投与するよう前記薬物送達デバイスに求める第2の要求を受信することと、
前記第2の要求に基づいて、前記患者が前記薬物送達デバイスからのさらなる用量の前記薬剤を自己投与する権限を付与されていないと判定することと、
前記フィードバック回路を使用して、前記第2の要求に応答してさらなる用量が投与されないことを示す感覚情報を前記患者に提供することと
を含む、請求項19に記載の患者制御鎮痛デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年5月19日に出願された「SECURE PATIENT-CONTROLLED ANALGESIA」と題する米国仮出願第63/027,261号の非仮出願であり、この米国仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、医療デバイスを動作させることに関する。
【背景技術】
【0003】
患者制御鎮痛(PCA:Patient-Controlled Analgesia)は、患者が経験する痛みを緩和するために一般的に使用される方法である。方法は、典型的には、患者が望むときにのみ鎮痛剤の送達を許可にするようにプログラムされたシリンジ・ポンプを使用することを含む。例えば、患者は、鎮痛剤の所定のボーラス(bolus)を投与したいとき、PCA制御デバイス上のボタンを押すことができる。このように、患者がボタンを押さない場合、鎮痛剤は投与されない。
【0004】
しかしながら、いくつかの状況では、患者以外の人が患者の知らないうちにPCA制御デバイスを誤って動作させる可能性がある(例えば、「代理人によるPCA」のリスク)。したがって、患者がPCA制御デバイスの排他的な制御を有することを保証するための方法及びデバイスが強く望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,713,856号
【特許文献2】米国特許第5,681,285号
【発明の概要】
【0006】
様々な態様によれば、本技術は、薬物送達デバイスと、薬物送達デバイスに動作可能に接続された薬物制御デバイスと、薬物送達デバイスに動作可能に接続され、人から生体情報を捕捉するように構成された、制御ユニットとを備えるシステムであって、制御ユニットが、薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定し、薬物制御デバイスを介して、一定用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める要求と、薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信し、生体情報に基づいて、生体情報に関連付けられた患者が、薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認し、要求及び生体情報を受信したこと並びに患者が一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであると確認したことに応答して、薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得し、患者の状態が、患者が薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、薬物送達デバイスに一定用量の薬剤を患者に投与させるように構成される、システムを含む。
【0007】
いくつかの実装形態では、薬物制御デバイスはハンドヘルド制御デバイスであり、要求及び生体情報は互いの所定の期間内に捕捉される。1つ又は複数のセンサは、薬物制御デバイス内に含まれ、薬物制御デバイスによって要求及び生体情報が受信された後に起動されてもよい。
【0008】
いくつかの実装形態では、薬物制御デバイスは指紋リーダを備え、生体情報は指紋の少なくとも一部を含む。いくつかの実装形態では、患者の状態を示す1つ又は複数の信号は、脳波(EEG:electroencephalogram)信号、心電図(ECG:electrocardiography)信号、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2:peripheral capillary oxygen saturation)信号、呼吸数信号、又は運動信号を含む。いくつかの実装形態では、患者の状態が所定の基準を満たすと判定することは、1つ又は複数の信号に少なくとも部分的に基づいて患者が意識状態にあると判定することを含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、患者が一定用量を自己投与する権限を付与されていることを確認することは、患者の識別情報を特定することと、患者の識別情報又は薬物送達デバイスに関連付けられた識別子に少なくとも部分的に基づいて、ある期間にわたって患者によって受け取られた薬剤の量を病院情報システムから識別することと、薬剤の量が期間の閾値量を満たすと判定することとを含む。
【0010】
いくつかの実装形態では、制御ユニットはさらに、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得した後、1つ又は複数の信号に基づいて、患者に関連する不快レベルが閾値不快レベルより大きいと判定するように構成される。いくつかの実装形態では、1つ又は複数のセンサは、患者の運動を検出するための動きセンサと、心拍数、血圧、心電図信号、脳波信号、又は酸素レベルを含む生理学的状態を測定するための1つ又は複数の生理学的モニタとを備え、制御ユニットは、患者の運動を検出し、患者の生理学的状態を測定し、患者の検出された運動が運動閾値を満たしていること及び生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、不快レベルを決定するように構成される。いくつかの実装形態では、薬物送達デバイスは、要求を開始するためのユーザ入力を受信し、ユーザ入力の大きさを決定するように構成された、制御部を備え、薬物送達によって一定用量の薬剤を患者に投与することは、ユーザ入力の大きさに従って、ある量の薬剤を投与することを含む。他の態様は、システムのさらなる実装形態のための対応する方法、装置、及びコンピュータ・プログラム製品を含む。
【0011】
患者に薬剤を投与するために本技術を使用する利点は、患者(又は別の権限付与された人)が指紋生体情報又は他の信頼できる識別情報を使用して認証に成功した後に薬剤を投与できることである。したがって、例えば指紋生体情報を使用した認証は容易には複製できないので、本技術は、代理人によるPCAのリスクを排除することによって患者の安全を保護する。
【0012】
本技術の他の構成は、本技術の様々な構成を例示として示し説明する以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになることが理解される。理解されるように、本技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、本技術の範囲からすべて逸脱することなく、他の様々な点において修正することが可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【0013】
記載されている様々な実装形態をよりよく理解するために、以下の図面と併せて、以下の実装形態についての説明が参照されるべきである。図及び説明全体を通して、同様の参照番号は対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本技術の態様による、ヘルスケア組織の施設内患者ケア・システムの実例を示す図である。
図2A】本技術の態様による、ヘルスケア組織内の臨床医又は患者によって対話され得る例示的な患者ケア・デバイスを示す図である。
図2B】PCAポンプ、EtCO2監視モジュール、SpO2監視モジュール、中央サーバと動作上接続されたコントローラの使用を示すとともに、システムとの実際の患者の対話を示す立面図である。
図3】本技術の態様による、例示的な患者制御鎮痛デバイスを示す図である。
図4】本技術の態様による、患者ケア・デバイスを動作させるための例示的なプロセスを示す図である。
図5】本技術の態様による、鎮痛剤投与システムを動作させるための例示的な電子システムを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、実装形態について言及し、その実例を添付の図面に示す。以下の説明では、記載されている様々な実装形態についての理解を提供するために、具体的な詳細を多数記載している。しかしながら、記載されている様々な実装形態をこれらの具体的な詳細なしでも実践できることが、当業者には明らかであろう。他の場合においては、実装形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、よく知られた方法、手順、構成要素、回路、及びネットワークについては詳細には説明していない。
【0016】
本技術は、薬物送達デバイスに関連付けられ、患者の指紋の少なくとも一部を、薬剤を投与するよう求める要求とともに受信するように構成された制御デバイスを含む、患者に薬剤を投与するためのシステム及び方法を含む。患者ケア・ユニット(PCU:patient care unit)又はPCUの代わりにサーバは、指紋の少なくとも一部を以前に記憶された指紋と比較して、患者の識別情報を特定し、要求を受信したこと及び患者が権限付与されたユーザであると判定したことに応答して、(例えば、1つ又は複数のセンサを使用して)患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得する。患者の状態が薬剤送達基準の第1のセットを満たしているとの判定に応答して、PCU又は中央サーバは、薬物送達デバイスに所定量の薬剤を患者に投与させる。
【0017】
図1は、本技術の態様による、ヘルスケア組織の施設内患者ケア・システム100の実例を示す。図1では、患者ケア・デバイス(又は一般に「医療デバイス」)12は、ヘルスケア・ネットワーク110に接続される。患者ケア・デバイス(又は「PCD:patient care device」)という用語は、患者ケア・ユニット(又は「PCU」)という用語と区別なく使用される場合があり、これらのいずれにも、注入ポンプ、バイタル・サイン・モニタ、薬剤分配デバイス(例えば、キャビネット、トート(tote))、薬剤調製デバイス、自動分配デバイス、前述したもののうちの1つに結合されたモジュール(例えば、注入ポンプに取り付けるように構成されたシリンジ・ポンプ・モジュール)、患者制御鎮痛(PCA)ワンド、又は他の同様のデバイスなどの様々な補助医療デバイスが含まれ得る。患者ケア・デバイス12の各要素は、伝送チャネル131によってヘルスケア・ネットワーク110に接続される。伝送チャネル131は、任意の有線又は無線伝送チャネル、例えば、802.11無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)である。いくつかの実装形態では、ヘルスケア・ネットワーク110は、病院全体の様々な部門に配置されたコンピュータ・システムも含む。例えば、ヘルスケア・ネットワーク110は、任意選択として、入院部門、経理部門、医用生体工学部門、臨床検査室、中央供給部門、1つ又は複数のユニット・ステーション・コンピュータ、及び/又は医療決定支援システムに関連付けられたコンピュータ・システムを含む。以下でさらに説明するように、ネットワーク10は個別のサブネットワークを含み得る。図示の実例では、ヘルスケア・ネットワーク10はデバイス・ネットワーク140を含み、そのデバイス・ネットワーク140によって、患者ケア・デバイス12(及び他のデバイス)は通常の動作に従って通信する。いくつかの実装形態によれば、ヘルスケア・ネットワーク110のデバイス及びサポート・サービス、又はその一部は、例えば、病院から離れた場所に配置された及び/又は複数の遠隔の場所又は地域にわたって分散されたサーバ及びサービス(例えば、データベース、APIなど)を有するクラウド・ベースのものであってもよい。
【0018】
追加として、施設内患者ケア・システム100は、別個の情報システム・サーバ130を組み込むことができ、その機能について以下でより詳細に説明する。さらに、情報システム・サーバ130は別個のサーバとして示されているが、施設の情報システムを設計するエンジニアによって望まれる場合、情報システム・サーバ130の機能及びプログラミングは、例えば、病院情報システム・サーバ又はクラウド・ベースのサーバなどの別のコンピュータに組み込まれ得る。施設内患者ケア・システム100は、情報システム・サーバ130に接続して通信するための1つ又は複数のデバイス端末132をさらに含み得る。デバイス端末132には、ヘルスケア・ネットワーク110を介して情報システム・サーバ130と通信するためのソフトウェアを有するように構成された、パーソナル・コンピュータ、パーソナル・データ・アシスタント、ラップトップなどのモバイル・デバイス、タブレット・コンピュータ、拡張現実デバイス、又はスマートフォンが含まれ得る。情報システム・サーバ130は、患者監視デバイス(図示せず)からの測定値、デバイス端末132のうちの1つを介した患者のエントリ、若しくは患者ケア・デバイス12からのイベントなどの患者及び/又は患者の治療に関する情報を受信並びに提供し得る。
【0019】
患者ケア・デバイス12は、Eggersらに対する米国特許第5,713,856号に記載されているような患者ケアを提供するためのシステムを備え、この米国特許は、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる。患者ケア・デバイス12は、ポンプ、生理学的モニタ(例えば、心拍数、血圧、ECG、EEG、パルス・オキシメータ、及び他の患者モニタ)、治療デバイスを含むか又はそれらを組み込んでもよく、本明細書に記載の教示に従って、他の薬物送達デバイスが利用されてもよい。図示の実例では、患者ケア・デバイス12は、1つ又は複数の機能モジュール16、18、20、22に接続された、インターフェース・ユニット14とも呼ばれる制御モジュール14を備える。インターフェース・ユニット14は、メモリ、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)58に接続された中央処理ユニット(CPU:central processing unit)50、並びにユーザ・インターフェース・デバイス54(例えば、ディスプレイ画面及び/又はキーボード)などの1つ又は複数のインターフェース・デバイス、コード化データ入力デバイス60、ネットワーク接続52、及び追加のモジュール又はデバイスと通信するための補助インターフェース62を含む。インターフェース・ユニット14はまた、必須ではないが、ソフトウェア及びデータを記憶するためのハード・ディスク・ドライブ又は不揮発性フラッシュ・メモリなどの主不揮発性記憶ユニット56と、前述の要素を相互接続するための1つ又は複数の内部バス64とを含む。
【0020】
様々な実装形態において、ユーザ・インターフェース・デバイス54は、ユーザに情報を表示して、ユーザが画面の定義された領域に触れることによって情報を入力できるようにするためのタッチ画面である。追加として又は代替として、ユーザ・インターフェース・デバイス54は、モニタ、プリンタ、キーボード、ソフト・キー、マウス、トラック・ボール、及び/又はライト・ペンなど、情報を表示及び入力するための任意の手段を含み得る。データ入力デバイス60は、バーコード・フォーマットで印刷されたデータを走査及び解釈することが可能なバーコード・リーダであってもよい。追加として又は代替として、データ入力デバイス60は、磁気ストリップを読み取るためのデバイス、RFIDタグ又はスマート・ラベル(以下に定義)に符号化されたデジタル・データが電波、PCMCIAスマート・カード、無線周波数カード、メモリ・スティック、CD、DVD、又は他のアナログ記憶媒体若しくはデジタル記憶媒体を介してリーダ60によって捕捉される無線周波数識別(RFID:radio-frequency identification)デバイスなど、コード化されたデータをコンピュータに入力するための任意のデバイスとすることができる。データ入力デバイス60の他の実例には、音声起動若しくは認識デバイス、又は携帯用パーソナル・データ・アシスタント(PDA:personal data assistant)が含まれる。使用されるインターフェース・デバイスのタイプに応じて、ユーザ・インターフェース・デバイス54とデータ入力デバイス60は同じデバイスであってもよい。図1ではデータ入力デバイス60がインターフェース・ユニット14内に配置されるように示されているが、データ入力デバイス60は、薬局システム34内に組み込まれるか、又は外部に配置されて、RS-232シリアル・インターフェース又は任意の他の適切な通信手段を介して薬局システム34と通信してもよいことが認識される。補助インターフェース62は、RS-232通信インターフェースであってもよいが、本技術から逸脱することなく、プリンタ、患者モニタ、注入ポンプ、又は他の医療デバイスなどの周辺デバイスと通信するための任意の他の手段が使用されてもよい。追加として、データ入力デバイス60は、機能モジュール16、18、20、及び22などの別個の機能モジュールとすることができ、好適なプログラミング及び通信プロトコルを使用してインターフェース・ユニット14又はネットワーク上の任意の他のシステムと通信するように構成されてもよい。
【0021】
ネットワーク接続52は、Ethernet(登録商標)、WiFi(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)、統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN(登録商標):integrated services digital network)接続、デジタル加入者線(DSL:digital subscriber line)モデム、又はケーブル・モデムなどによる、有線接続又は無線接続であってもよい。電話モデム、MIBシステム、RS232インターフェース、補助インターフェース、光リンク、赤外線リンク、無線周波数リンク、マイクロ波リンク、若しくはWLAN接続、又は他の無線接続を含むがこれらに限定されない、任意の直接又は間接ネットワーク接続が使用されてもよい。
【0022】
機能モジュール16、18、20、22は、患者にケアを提供するため又は患者の状態を監視するための、インターフェース・ユニット14に関連付けられた任意のデバイスである。図1に示すように機能モジュール16、18、20、22のうちの少なくとも1つは、薬剤又は他の輸液を患者に送達するための静脈内注入ポンプなどの注入ポンプ・モジュールであってもよい。例えば、機能モジュール16が注入ポンプ・モジュールであってもよい。機能モジュール16、18、20、及び22のそれぞれは、注入ポンプ、シリンジ・ポンプ、PCAポンプ、硬膜外ポンプ、経腸ポンプ、血圧モニタ、パルス・オキシメータ、EKGモニタ、EEGモニタ、心拍数モニタ、又は頭蓋内圧モニタなどを含むがこれらに限定されない、任意の患者治療用又は監視用デバイスであってもよい。他の実例では、機能モジュール18、20、及び/又は22は、プリンタ、スキャナ、バーコード・リーダ、又は任意の他の周辺入力、出力、若しくは入出力デバイスであってもよい。
【0023】
各機能モジュール16、18、20、及び22は、インターフェース・ユニット14と直接的又は間接的に通信し、インターフェース・ユニット14は、患者ケア・デバイス12の全体的な監視及び制御を提供する。機能モジュール16、18、20、及び22は、図1に示すように又はEggersらにおいて詳述されているように、インターフェース・ユニット14の一端又は両端に物理的及び電子的にシリアル方式で接続されてもよい。しかしながら、本技術から逸脱することなく、機能モジュールをインターフェース・ユニットに接続するため他の手段が利用されてもよいことが認識される。十分なプログラム可能性及び接続性を提供するポンプ又は患者監視デバイスなどのデバイスが、スタンド・アロン・デバイスとして動作することが可能であり、別のインターフェース・ユニット14を介して接続されることなくネットワークと直接通信できることも理解されよう。上記のように、追加の医療デバイス又は周辺デバイスが、1つ又は複数の補助インターフェース62を介して患者ケア機器12に接続されてもよい。
【0024】
各機能モジュール16、18、20、及び22は、モジュール固有の構成要素76、マイクロプロセッサ70、揮発性メモリ72、及び情報を記憶するための不揮発性メモリ74を含み得る。いくつかの実装形態では、機能モジュールは、メモリRAM58に接続されたCPU50、ユーザ・インターフェース・デバイス54などの1つ又は複数のインターフェース・デバイス、コード化データ入力デバイス60、ネットワーク接続52、及び追加のモジュール又はデバイスと通信するための補助インターフェース62を含むがこれらに限定されない、制御ユニット14のハードウェア構成要素と同様のハードウェア構成要素を含み得る。図1には4つの機能モジュールが示されているが、任意の数のデバイスが中央コントローラ14に直接的又は間接的に接続されてもよいことに留意されたい。本明細書に記載の機能モジュールの数及び種類は、例示を目的としており、本技術の範囲を決して限定するものではない。モジュール固有の構成要素76は、注入ポンプ・モジュール16用のポンピング機構など、特定のモジュールの動作に必要な任意の構成要素を含む。
【0025】
様々な実装形態によれば、各機能モジュールは(例えば、制御ユニット14及びそのハードウェア構成要素に関して説明したように)独立した動作が可能であり得るが、インターフェース・ユニット14は、患者ケア・デバイス12の全体的な動作を監視及び制御するように構成される。例えば、制御モジュール14は、機能モジュール16、18、20、22にプログラミング命令を提供し、各モジュールの状況を監視してもよい。
【0026】
患者ケア・デバイス12は、いくつかの異なるモード又はパーソナリティで動作可能とすることができ、各パーソナリティは構成データベースによって定義される。以下に説明するように、各モード又はパーソナリティは、異なる構成パラメータのセットを含むか、又は異なる薬物ライブラリを実装してもよい。構成データベースは、患者ケア・デバイスの内部のディスク56、又は外部データベース137であってもよい。特定の構成データベース(又はその一部)は、患者の位置、年齢、身体的特徴、又は医学的特徴などの患者固有の情報に少なくとも部分的に基づいて選択されてもよい。医学的特徴には、患者の診断、治療処方、病歴、医療記録、患者ケア提供者の識別情報、生理学的特徴又は心理学的特徴が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される患者固有の情報は、ケア提供者情報(例えば、医師の識別情報)、又は病院若しくは病院のコンピュータ・ネットワークにおける患者ケア・デバイス12の位置も含む。患者ケア情報は、インターフェース・デバイス52、54、60、又は62を介して入力されてもよく、例えば、薬局サーバ、入院サーバ、検査サーバなど、ネットワーク10内の任意の場所から生じてもよい。
【0027】
患者ケア・デバイス12のインターフェース・ユニット14は、薬物ライブラリへのアクセスも有する。薬物ライブラリに関するさらなる情報は、Fordに対する米国特許第5,681,285号に含まれており、この米国特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。薬物ライブラリは、コントローラ内、アクセス可能なローカル・メモリ内に常駐しているか、又はシステム・ネットワーク上の他の場所に配置されているがコントローラによってアクセス可能であってもよい。例えば、ICU(intensive care unit:集中治療室)プロファイル、小児科プロファイル、新生児プロファイルなどの「薬物ライブラリ・プロファイル」が確立されてもよく、この「薬物ライブラリ・プロファイル」では、薬剤(例えば、薬物)、濃度、及び他のポンピング・パラメータが、そのケア区域に固有に設定される。使用が許可された薬剤のデータ・セット及びその使用に対する制限を含むポンピング・パラメータの構成が、薬物ライブラリ・プロファイルごとに利用可能であってもよい。そのため、薬物ライブラリ・プロファイルは、必ずではないが、病院の様々な患者ケア区域に対応してもよい。したがって、例えば、小児科病棟に配置されたコントローラ14は、小児科として分類された又は小児科病棟にいる患者に固有の許可された薬剤、ポンピング・パラメータ、及びポンピング制限のセットを含む小児科薬物ライブラリ・プロファイルを利用してもよい。同様に、ICU内に配置されたコントローラ14は、集中治療環境にいる患者及び集中治療を必要とする他の患者に固有の許可された薬剤、ポンピング・パラメータ、及びポンピング制限の異なるセットを含むICU薬物ライブラリ・プロファイルを利用してもよい。
【0028】
本技術の態様を組み込んだ医療デバイスにネットワーク・インターフェース・モジュール(NIM:Network Interface Module)を装備して、医療デバイスがノードとしてネットワークに参加することを可能にしてもよい。明確にするために、本技術を、インターネット・プロトコル(IP:Internet Protocol)を使用するEthernet(登録商標)ネットワーク環境内で動作するものとして説明するが、本技術の概念が他のネットワーク環境にも等しく適用可能であり、そのような環境が本技術の範囲内にあるよう意図されていることが理解される。
【0029】
様々なデータ・ソースとの間でやり取りされるデータを、既存の技術を用いてネットワーク互換性のあるデータに変換することができ、医療デバイスとネットワークとの間の情報の移動を、様々な手段によって実現することができる。例えば、患者ケア・デバイス12及びヘルスケア・ネットワーク10は、自動化された対話、手動の対話、又は自動化された対話と手動の対話との両方の組合せを介して通信してもよい。自動化された対話は、継続的又は断続的である場合があり、(図1に示すように)直接ネットワーク接続54、又はRS232リンク、MIBシステム、BLUETOOTHなどのRFリンク、IRリンク、WLAN、デジタル・ケーブル・システム、電話モデム、他の有線又は無線通信手段を介して行われてもよい。患者ケア・デバイス12とネットワーク10との間の手動の対話は、例えば、ユーザ・インターフェース・デバイス54、コード化データ入力デバイス60、バーコード、コンピュータ・ディスク、携帯用データ・アシスタント、メモリ・カード、又はデータを記憶するための任意の他の媒体を使用して、システム間で断続的又は定期的にデータを物理的に転送することを含む。様々な態様における通信手段は、分散データ・ソースの可能な限り多くの箇所からデータへアクセスすることによる双方向通信である。意思決定は、ヘルスケア・ネットワーク10内の様々な場所で行われてもよい。例えば、限定するものではないが、HISサーバ30、決定支援48、リモート・データ・サーバ49、病院部門若しくはユニット・ステーション46において、又は患者ケア・デバイス12自体の中で、決定を行うことができる。
【0030】
本技術に従ってネットワーク上で動作する医療デバイスとの直接通信はすべて、リモート・データ・サーバ(RDS:remote data server)として知られる情報システム・サーバ30を介して実行されてもよい。本技術の態様によれば、例えば注入ポンプ又はバイタル・サイン測定デバイスなどの医療デバイスに組み込まれたネットワーク・インターフェース・モジュールは、認証されたRDSから発生しないすべてのネットワーク・トラフィックを無視する。本技術のRDSの主な役割は、NIMを有するネットワーク化されたすべての医療デバイスの位置及び状況を追跡し、オープンな通信を維持することである。
【0031】
図2Aは、本技術の態様による、ヘルスケア組織内の臨床医又は患者によって対話され得る例示的な患者ケア・デバイスである。図2に示す患者ケア・デバイス200は、図1の患者ケア・デバイス12と同様又は同一であり、4つの輸液注入ポンプ22(例えば、図1の機能モジュール22)、24、26、及び28を含み、各輸液注入ポンプは、それぞれの輸液投与セット30、32、34、及び36と動作的に係合している。輸液供給源38、40、42、及び44は、様々な形式をとることができるが、この事例ではボトルとして示されており、逆さにされ、ポンプの上に吊り下げられている。輸液供給源はまた、バッグ又は他のタイプの容器の形式をとってもよい。患者ケア・デバイス200と輸液供給源38、40、42、及び44はどちらも、ローラ・スタンド(roller stand)又はポール46に取り付けられる。特定の輸液供給源及びケア区域内のそれらの配向(例えば、取り付け位置、取り付け高さ、取り付けタイプなど)は、1つ又は複数の対話記録を生成してもよい。例えば、セットの対話記録は、使用前にそのセットに関連付けられた走査可能なコードを検出することによって部分的に生成されてもよい。走査されると、本明細書に記載の使用のために対話記録が記録されてもよい。
【0032】
図2Aの例示的な実装形態に示すように、患者48がすべての輸液供給源から輸液を受け取ることができるように、各投与セット30、32、34、及び36は、それぞれの輸液供給源38、40、42、及び44と患者48との間に接続される。投与セットは、例えば臨床医による走査によって能動的に、又は例えば投与セットの無線又は光学的検出によって受動的に識別されてもよい。輸液供給源の場合と同様に、識別されると、投与セット、及び臨床医、プログラミング・モジュール、ポンプ、投与セットの配置(例えば、投与位置(例えば、左前腕、右上腕など))を識別する対話記録が生成されてもよい。
【0033】
輸液注入ポンプ22、24、26、及び28のそれぞれは、輸液供給源の輸液のそれぞれを患者48に注入するために使用される。輸液注入ポンプ22、24、26、及び28は、輸液投与セットのそれぞれのチューブ又は輸液導管に作用して輸液を輸液供給源から導管を通して患者48に移動させる流量制御デバイスである。個々のポンプが使用されるので、各ポンプは、それぞれの輸液供給源から特定の医療輸液を臨床医によってその輸液について処方された特定の速度で注入するために必要とされる、ポンピング又は動作パラメータに個別に設定され得る。特定の医療輸液を注入するためにポンプ又は臨床医によって実行されるアクティビティは、説明したように記録及び処理され得る1つ又は複数の対話に関連付けられてもよい。
【0034】
通常、医療輸液投与セットは、図2Aに示す部品よりも多くの部品を有する。多くは、チェック・バルブ、ドリップ・チャンバ、バルブ付きポート、コネクタ、及び当業者によく知られている他のデバイスを有する。これらの他のデバイスは、図示を明瞭にするために図面には含まれていない。例えば、患者ケア・デバイス200は、患者48が薬剤(例えば、鎮痛剤)を自己投与することを可能にする患者制御鎮痛(PCA)デバイスを含んでもよい。図3図4、及びPCAデバイスがどのように動作し得るかに関する以下の関連する説明を参照されたい。
【0035】
図2Bは、PCAポンプ、EtCO2監視モジュール、SpO2監視モジュール、中央サーバと動作上接続されたコントローラの使用を示すとともに、システムとの実際の患者の対話を示す立面図である。プログラム・モジュール232は、メモリ及びプログラムを含み、一実施例として、参照により本明細書に組み込まれる、Eggersに対する米国特許第5,713,856号において見出される先進インターフェース・ユニット(100)の観点から説明され得る。プログラム・モジュールは、一般に、患者ケア・システム200bにおいて4つの機能を実行する。プログラム・モジュールは、IVポール及びベッド・レールなどの構造物へのシステム200bの物理的な取り付けを提供する。プログラム・モジュールは、システム200bに電力を提供する。プログラム・モジュールは、システム200bと外部デバイスとの間のインターフェースを提供し、ある特定の情報を除いて、プログラム・モジュールは、システム200bとのユーザ・インターフェースの大部分を提供する。
【0036】
プログラム・モジュール232は、液晶ディスプレイなどの任意のタイプのディスプレイであり得る情報ディスプレイ250を含む。ディスプレイは、データの入力及び編集を容易にするために、セットアップ及び動作手順中に使用されてもよい。ディスプレイはまた、個々の注入ポンプ機能モジュール238についての注入量(VTBI:volume to be infused)及び現在の時刻、並びに他のプロンプト、勧告、及び警報条件などの様々な動作パラメータを表示するために使用されてもよい。プログラム・モジュール232は、データ及びコマンドを入力するための複数のハード・キー252及びソフト・キー254を含む。数字ハード・キーは数値データの入力に使用され、ハード・キーの残りの部分及びソフト・キーは動作コマンドの入力に使用される。
【0037】
この実施例では、SpO2モジュール234及びEtCO2モジュール236などの機能モジュールもプロセッサ及びメモリを有することをさらに理解されたい。識別情報は、各機能モジュールのメモリに常に記憶されなければならない。識別情報は、例えば各機能モジュールのイベント履歴をたどってアップロードできるように、各機能モジュールを一意に識別する手段、好ましくはシリアル番号を含む。識別情報はまた、機能モジュールが例えばPCAポンプであることを示すコードなど、機能モジュールの機能をプログラム・モジュール232に対して識別するための手段を含む。この情報により、複数のソフトウェア・ドメインを記憶しているプログラム・モジュール232は、選択された機能モジュールのためにどのドメインにアクセスするべきかを知ることが可能になる。したがって、各機能モジュールに記憶された識別情報は、取り付けられたインターフェース・モジュールに対して機能モジュールを一意に識別するだけでなく、機能モジュールの機能も識別する。この識別情報は、機能モジュールのタイプに対応するソフトウェア・ドメインと同様に、各機能モジュールに固有の情報を含む。
【0038】
機能モジュールは、特にそれらが生理学的モニタである場合、独自の内部プログラムを独自のメモリに含んでもよい。例えば、ある特定のSpO2モニタ及びEtCO2モニタは、セットとして販売される付属の「ボード」を有するセンサの形式で製造業者によって配給される。付属のボードは、関連するセンサのデータを処理するためのプロセッサ、メモリ、及びプログラミングを含む。ボードは、典型的には、例えば機能監視モジュール234及び236内に配置され、ディスプレイ用及び警報用のデータを提供することが可能である。そのようなディスプレイの実例が図2Bに示されており、機能モジュール234と機能モジュール236との両方が、それらの特定のセンサにそれぞれ関連したデータ276及びデータ278を表示する。このようなセンサ/ボード・セットは、いつ警報を提供すべきかに関する規則を含む、それぞれのセンサによって作成されたデータを処理するための独自の規則セットを含む。しかしながら、センサのデータに基づいて、PCAモジュールを一時停止するために特定の処理を提供しない場合がある。これまで、センサ/ボード・セットによって提供される警報は、PCAポンプを一時停止するために使用されていた場合がある。本文書の背景技術のセクションに記載のように、内部プロセッサ、プログラミング、及び警報を提供するためのセンサとボードのセットの規則に基づくこのような一時停止は、誤った警報及び不要な一時停止をもたらしている。
【0039】
本発明の一態様によれば、個々の患者監視モジュール234及び236は、PCA制御プロトコル警報構成とは明確に区別して、警報を発するように構成されてもよい。このような警報は、監視モジュール234及び236の前面パネル上のライトの形式をとってもよく、同様に可聴であってもよい。警報はまた、監視モジュールによって直接的に且つ独立して、又はサーバとの有線又は無線接続を介してコントローラを介して、リモート・サーバに送信されてもよい。追加として、PCA制御プロトコルは、患者検査データ及び慢性閉塞性肺疾患(「COPD:chronic obstructive pulmonary disease」)などの患者の既往症など、リモート・サーバから取得可能なデータを取り出して考慮してもよい。例えば、患者がCOPDを有することを示すデータをサーバが提供するとき、PCA制御プロトコルは、最初に、比較的低いPCA一時停止制限レベルに設定されてもよい。その後、臨床医は、患者の状態及びPCAに対する反応の実際の観察に基づいて、必要に応じて、PDA又はキーボード又は他のデータ通信デバイスなどの入力デバイスを介して、PCA一時停止制限及びPCA制御プロトコルの規則を変更してもよい。さらに、PCA制御プロトコルの最初の規則及び/又は構成は、中央サーバが患者又は規則又はその他に関して所有する追加情報に基づいて、中央サーバによって変更又は最適化されてもよい。
【0040】
監視モジュール234及び236内の規則セットは、監視モジュールのそれらの通常の動作を続行することを許可され、それらの内部規則セットに基づいて警報を提供してもよい。個々の監視モジュール234及び236は、モジュールをシャットダウンすること及び/又は除去することによって、プログラム・モジュール232から、したがってPCA制御プロトコルからも切断され得る。しかしながら、この方法には、PCA制御プロトコルの範囲外で、PCA注入の迷惑な一時停止を回避しながら、監視ユニットに警報発生を含むそれらの通常の動作を継続させる柔軟性が与えられないという欠点がある。さらに別の実施例では、PCA制御プロトコルは、バックアップとしての患者監視モジュール234及び236からの(フィルタリングされていない)瞬時値に基づいて、警報を発生させ、PCA投与を一時停止することができる。この方法には、監視データにおける一時的で短期間の変動の影響を受けて、PCA制御プロトコルが迷惑な警報及び一時停止を引き起こすという欠点がある。
【0041】
図3は、本技術の態様による、患者制御鎮痛(PCA)デバイス(PCAワンドとしても知られる)300の実例を示す。例えば、PCAデバイス300は、患者ケア・デバイス12若しくは患者ケア・デバイスのモジュール(例えば、図1の患者ケア・デバイス12の機能ユニット16)と統合されるか又はその一部であってもよい。PCAデバイス300を介して入力が受信されると、患者ケア・デバイス12は、受信されたユーザ入力に基づいて、1つ又は複数の注入デバイスを起動する(例えば、薬剤を調製及び送達するために注入ポンプを起動する)ように構成される。様々な実装形態が、鎮痛剤の自己投与について患者を認証するための生体情報(例えば、指紋)の使用を目的としているが、本技術は、そのようなものに限定されず、任意のタイプの薬剤の自己投与のための他の生体情報に基づく認証(例えば、パスコード、顔認識など)を使用することを含むことができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、PCAデバイス300は、指紋認証の機能を実装するための様々な電子機器及び配線を収容するハウジング306を含む。例えば、本体PCAデバイス300に生体情報センサ302が統合されてもよい。生体情報センサ302は、ユーザの識別情報を特定するためにユーザの生体情報信号を収集するように構成される。生体情報センサ302は、ユーザの指紋の少なくとも一部の画像を捕捉するように構成された指紋リーダであってもよい。画像を捕捉すると、PCAデバイス300は、捕捉されたユーザの指紋の画像を、有線接続(例えば、配線310)を介して又は無線で患者ケア・ユニットに送信し、患者ケア・ユニットは、ユーザが患者ケア・ユニットを動作させる権限を付与されたユーザであるかどうかを判定する。いくつかの実装形態では、捕捉された生体情報は、網膜走査を含む。
【0043】
いくつかの実施例によれば、要求が有効であるためには、要求の所定の期間内(例えば、10秒以内又は同時に)に生体情報を取得して、一定用量の薬剤を投与する必要がある。いくつかの実装形態では、ユーザがボタン304を起動して、ボタンが押されたときに生体情報センサ302がユーザの指紋を自動的に収集するように、生体情報センサ302はPCAデバイス300に統合される。例えば、生体情報センサ302及びボタン304は、ハウジング306内の単一の構成要素として統合されてもよい。ボタン304は、物理的なボタン(例えば、機械的な押しボタン)又は仮想ボタン(例えば、タッチ・センサ式画面上に示されるユーザ・インターフェース要素)とすることができ、患者ケア・デバイスの1つ又は複数の機能ユニット(例えば、図1の患者ケア・デバイス12の機能ユニット18)を制御するように構成される。例えば、ユーザは、ボタン304を押して、(例えば、患者ケア・デバイスの機能モジュールとして)注入ポンプに、所定量の薬剤を(例えば、静脈内送達によって)患者に投与させてもよい。投与される薬剤の量は、ボタンを押したときにボタンに加えられる力の大きさに基づいてもよい(例えば、より長く又はより強く(例えば、より高い圧力で)押すことで、より大量の薬剤を投与させてもよい)。追加として又は代替として、投与される薬剤の量は、ボタンを押す頻度に基づいてもよい。いくつかの実装形態では、PCAデバイス300を動作させているユーザが薬剤を投与する権限を付与されていないと判定された場合、PCAデバイス300は、(例えば、視覚又は聴覚による)アラートを提供し、薬剤を投与しないようにしてもよい。
【0044】
いくつかの実装形態では、薬剤を投与すべきかどうかの評価は、PCAデバイス300で(例えば、PCAデバイス300に装備されたプロセッサ及びメモリによって)実行されている。例えば、ユーザが権限付与されたユーザであると判定された場合、PCAデバイス300又はPCAモジュール(例えば、図2Bの機能モジュール234又は236)に結合された患者ケア・ユニットにPCA要求が送信される。一方、ユーザが権限付与されていないユーザであると判定された場合、要求はそれ以上処理されず、その試行が患者ケア・ユニット又はPCAモジュールによってログ記録されてもよい。試行の失敗により、PCAデバイス300において、視覚警報又は聴覚警報などの1つ又は複数のフィードバックが発せられてもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、薬剤を投与すべきかどうかの評価は、PCAモジュールによって実行されている。PCAモジュールは、PCAデバイス300によって薬剤を投与するよう求める要求を受信し、ユーザが権限付与されたユーザであるかどうかを判定する。要求が有効である場合、PCAモジュールはその要求を患者ケア・ユニットに転送し、患者ケア・ユニットは、薬物送達デバイスに所定量の薬剤を投与させる。一方、ユーザが権限付与されていないユーザである場合、要求はそれ以上処理されず、PCAデバイス300又はPCAモジュールにおいて、視覚警報又は聴覚警報などの1つ又は複数のフィードバックが発せられてもよい。失敗した試行は、PCAモジュールの患者ケア・ユニットによってログ記録されてもよい。
【0046】
例えば、患者は、特定の期間の薬剤の最大量を超える複数回用量又は単回用量を自己投与しようとする可能性がある。この点に関して、さらなる用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める第2の要求が受信される可能性があり、システム(例えば、制御ユニット14又は関連するサーバ)は、第2の要求に基づいて、患者が薬物送達デバイスからさらなる用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていないと判定してもよい。PCAデバイス300内のフィードバック回路は、第2の要求に応答して、さらなる用量が投与されないことを示す感覚情報(例えば、警報)を患者に提供する。
【0047】
いくつかの実施例では、薬剤を投与すべきかどうかの評価は、患者ケア・ユニットによって実行されている。薬剤を投与するよう求める各要求は、捕捉されたユーザの生体情報(例えば、指紋)とともに、PCAデバイス300から患者ケア・ユニットに送信される。要求が有効である場合、患者ケア・ユニットは所定量の薬剤を投与する。一方、要求が無効な要求である場合、患者ケア・ユニットは、権限付与されてない試行をログ記録し、患者ケア・ユニット、PCAモジュール、又はPCAデバイスにおいて視覚警報又は聴覚警報を発してもよい。
【0048】
いくつかの実装形態では、患者ケア・デバイス12は、指紋のセットを格納するデータベース(例えば、図1のデータベース137)に通信可能に結合され、PCAデバイス300によって取得された指紋を受信すると、患者ケア・デバイス12(又は中央サーバ)は、収集された指紋を、以前にデータベースに格納された指紋特性と比較する。いくつかの実装形態では、患者のためにPCAデバイス300を制御する権限を付与されたユーザとして、患者自身、患者を治療する権限を与えられた医師、看護師、及び介護士を含む複数のユーザの指紋特性がデータベースに格納されてもよい。
【0049】
いくつかの実装形態では、指紋認証(又は他の生体情報に基づく認証)が成功すると、本技術は、患者ケア・デバイスが患者に薬剤を投与できるようになる前に、1つ又は複数の追加の投与基準(図3には図示せず)を満たすことを必要とする場合がある。例えば、PCAデバイス300は、患者の現在の状況に関連する信号を収集するための追加のセンサを含むか又は追加のセンサと接続されてもよい。これらの追加のセンサには、動きセンサ、EEGセンサ、ECGセンサ、SpO2センサ、心拍数モニタ、呼吸数センサ、音センサ(例えば、マイク)などが含まれてもよい。追加のセンサは、患者ケア・デバイス12に直接接続されてもよく、又は、無線接続を介して(例えば、WiFi又はBLUETOOTH(登録商標)などを使用して)センサ・データを患者ケア・デバイス12に送信してもよい。指紋認証が成功した後、追加のセンサによって収集された信号が、患者が薬剤を受けるのに好適な状態にあることを示す場合にのみ、患者ケア・デバイスは患者に薬剤を投与する。例えば、動きセンサが、患者が動いている状態にあることを検出した場合、患者ケア・デバイスは安全上の理由から薬剤を投与しない可能性がある。別の実例として、音センサを使用して、患者の覚醒状態又は痛みのレベルを評価することができる。評価は、患者の近くでの騒音量(例えば、騒音がより多いことは、患者が目覚めていることを示している可能性が高い)又は不快のレベルを示す特定の騒音(例えば、うめき声、又は話し言葉の感情分析)についての受動的な音のモニタリングに基づいてもよい。評価は、「あなたの痛みのレベルは?」などの自動化されたプロンプトに患者が応答する、能動的な音のモニタリングに基づいてもよい。応答は、システムによって解釈され、投与決定への入力として提供されてもよい。
【0050】
いくつかの実装形態では、薬剤投与のタイプを、権限付与基準の異なるセットに関連付けることができる。例えば、第1のタイプの薬剤は、EEG信号、ECG信号、SpO2信号、心拍数、呼吸数、音、及び動き信号が基準の第1のセットを満たす場合にのみ投与することができ、第2のタイプの薬剤は、EEG信号、ECG信号、SpO2信号、心拍数、呼吸数、音、及び動き信号が基準の第2のセットを満たす場合にのみ投与することができる。いくつかの実装形態では、基準は、投与の権限を付与し得る信号のサブセット又は信号の代替セットを指定してもよい。例えば、EEG信号が指定の基準に適合する場合又は呼吸数が基準に一致する場合、薬物又は薬物タイプが投与されてもよい。
【0051】
いくつかの実装形態では、患者(又は別の権限付与されたユーザ)が正当に薬剤を要求している(例えば、要求が指紋認証及び1つ又は複数の追加基準を満たしている)が、あまりにも頻繁に要求している可能性がある。過剰摂取を防止するために、患者ケア・デバイス12は時間ベースのロックアウトを実装してもよく、それによって、要求は受信されるが、薬物送達デバイスはロックアウト時間が経過するまで何のアクションも起こさない。例えば、ロックアウト時間は、患者が開始した薬剤要求の間、又は臨床医が開始したボーラス投与とその後の患者が開始した要求との間の所定の長さの時間を含んでもよい。ロックアウト期間の長さは、患者の身体的特徴及び要求されている薬剤のタイプに依存する。
【0052】
図4は、本技術の態様による、患者ケア・デバイスを動作させる例示的なプロセス400を示す。いくつかの実装形態では、患者ケア・デバイス(例えば、図1の患者ケア・デバイス12)は、薬物制御デバイス(例えば、図3のPCAデバイス300)、制御ユニット(例えば、図3のインターフェース・ユニット14)、及び薬物送達デバイス(例えば、図2の輸液投与セット30と動作的に係合する輸液注入ポンプ22)を含む。
【0053】
第1のステップとして、制御ユニット14は、制御ユニット14又は関連モジュール16、18、20、22(例えば、薬物送達デバイス)に関連付けられた制御デバイス(例えば、PCAデバイス300)から、患者による指紋の少なくとも一部を含む第1のユーザ入力を、薬剤を投与するよう求める要求に対応する第2のユーザ入力とともに受信する(402)。例えば、患者は、図3に示すように指紋リーダと一体化されたボタンを押すなどの1回のアクションで、第1のユーザ入力及び第2のユーザ入力を提供してもよい。制御デバイスは、指紋の少なくとも一部と、薬剤を投与するよう求める要求とを、制御ユニット14に送信する。言い換えれば、制御ユニット14は、一定用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める要求と、薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信する。
【0054】
次に、制御ユニット14(又は制御ユニット14の代わりにサーバ30)は、指紋の少なくとも一部を以前に記憶された指紋と比較して、患者の識別情報を特定する(404)。例えば、患者が入院したとき、患者の医療記録が、患者の指紋によって更新され、データベース137に格納されてもよい。患者ケア・デバイス12(又は制御ユニット14若しくはモジュール16、18、20、22)は臨床医によって患者と関連付けられてもよく、その関連付けもデータベース137に格納される。
【0055】
いくつかの実装形態によれば、入院プロセス中又は臨床医が(例えば、患者のベッドサイドで)患者に薬剤を投与するために患者ケア・デバイス12を準備しているときに、PCAデバイス300を使用して患者の指紋を取得してもよい。臨床医は、制御ユニット14で自分のバッジを走査して、臨床医を識別するとともに、薬剤の投与を開始する権限を付与し、患者の識別情報(例えば、リストバンドのバーコード又はRFID識別子)を走査して、患者を患者ケア・デバイスと関連付けてもよい。臨床医は、次いで、制御ユニット14によって、患者の指紋(又は親指の指紋)を生体情報センサ302に押し付けるように促されて、患者の記憶された電子健康記録に患者の指紋を入力するか、又は(記録内の患者に関連付けられている以前に記憶された指紋に基づいて)正しい患者がポンプに関連付けられていることを検証してもよい。
【0056】
患者ケア・デバイス12(又は制御ユニット14又はモジュール16、18、20、22)は、いくつかの実装形態では、患者の指紋を含む医療記録の一部をサーバ30又はデータベース137から受信してもよい。いくつかの実装形態では、制御デバイスによって取得された指紋(又はその一部)がサーバに送信され、サーバは、指紋に基づいて患者を識別する。このようにして、又は臨床医によって行われる前述の関連付け手順によって、患者ケア・デバイス12(又はPCU14若しくはモジュール16、18、20、22)が、1人又は複数人の権限付与されたユーザに関連付けられ、そのユーザの指紋特性は、データベース(例えば、図1のデータベース137)に格納される。したがって、制御デバイスから要求及び指紋圧痕が受信されると、制御ユニット14は、(例えば、比較404によって)患者が、患者ケア・デバイスを動作させて薬剤を自己投与する権限を付与された患者に関連付けられたユーザのうちの1人であるかどうかを判定する。
【0057】
いくつかの実装形態では、制御ユニット14は、患者が薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されているかどうかを判定する。この点に関して、制御ユニット14は、薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定してもよい。このような決定は単に、薬剤識別情報の以前のエントリ、又は薬物送達デバイスでの(例えば、インターフェース・デバイス54又はデータ入力デバイス60での)臨床医による他の関連するパラメータ・エントリに基づいてもよい。いくつかの実装形態では、制御ユニット14は、制御ユニットで利用可能な又は受信された情報(例えば、患者識別子又はデバイス12若しくは制御ユニット14に関連付けられた識別子)に基づいてサーバに照会し、サーバから薬剤識別情報を取得してもよい。いくつかの実装形態では、薬物制御デバイス300によって取得された要求及び生体情報並びにデバイス又は患者の識別子がサーバに送信され、サーバは、患者が、薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されているかどうかを判定する。そのような実装形態では、サーバは、患者が権限付与されているかどうかを制御ユニット14に通知する。
【0058】
(例えば、第2のユーザ入力を介して)薬剤を投与するよう求める要求を受信したこと、及び識別情報に基づいて患者が権限付与されたユーザであると判定したことに応答して(406)、患者ケア・デバイスは、薬剤が患者に投与される前の患者の状況を識別するために1つ又は複数の追加の検証を実行する。例えば、追加の検証は、患者ケア・デバイス12(又は患者制御ユニット14若しくはモジュール16、18、20、22)に統合又は接続された1つ又は複数のセンサによって収集された信号に基づいて患者の状態を判断することを含んでもよい。1つ又は複数のセンサ及び信号の収集に関する詳細については、図3及び関連する説明を参照されたい。
【0059】
追加の検証を実行するために、1つ又は複数のセンサは、患者の状態を示す信号を取得する(408)。これらの信号は、患者の状態が、患者が薬剤を自己投与できるようにするための所定の基準を満たしているかどうかを判定するために使用されてもよい。いくつかの実装形態では、1つ又は複数のセンサは薬物制御デバイスに含まれる。いくつかの実装形態では、センサは、薬物制御デバイスによって要求及び生体情報が受信された後に(例えば、要求及び/又は生体情報に応答して)起動される。
【0060】
図3に関して説明したように、本技術は、1つ又は複数の動きセンサ、EEGセンサ、ECGセンサ、SpO2センサ、心拍数モニタ、呼吸数センサなどと統合又は接続されてもよい。いくつかの実装形態では、これらのセンサから取得された信号を所定のパターン又は閾値と比較して、要求された薬剤の投与を正当化するのに十分なレベルの不快を患者が受けているかどうかを判定してもよい。言い換えれば、信号を比較して、患者の状態が薬剤送達基準のセットを満たしているかどうかを判定する。一実例では、EEG波形が、センサ・データから決定され、1つ又は複数のレベルの不快を示す所定の波形と比較されてもよい。EEG波形から識別されたレベルの不快が所定の閾値レベルの不快を満たす場合、薬剤送達基準は満たされ得る。別の実例では、酸素センサが酸素センサ・データを提供してもよく、次いで、酸素センサ・データは、患者が患者ケア・デバイス12によって提供される特定の薬剤の投与に適切なレベルの酸素を受け取っているかどうかを判定するために使用されてもよい。例えば、ある一定の範囲の酸素レベル(例えば、85%未満)の場合に、薬剤を禁忌としてもよい。患者の現在の酸素レベルに対して薬剤が禁忌でない場合、薬剤のさらなる投与を求める要求は拒否されてもよい。
【0061】
別の実例では、動きセンサを使用して、患者に関連する動きのレベルを決定してもよい。例えば、動きセンサを使用して、(例えば、定期的な運動、又はある一定の閾値を超える期間ごとの運動のレベルを感知することによって)患者が目覚めており動いているかどうかを判定するか、又は(例えば、閾値期間に運動がないこと感知することによって)患者が眠っているかどうかを判定してもよい。患者が眠っていると判定された場合、要求された薬剤の投与は拒否されてもよい。運動のレベルは、不快のレベルに関連付けられてもよい。そのような事例では、不快の閾値レベルに関連付けられた運動のレベル又は運動のパターンを感知したときのみ、要求された量の薬剤が送達されてもよい。
【0062】
例えば、センサを使用して、(例えば、制御ユニット又は薬物送達デバイスによって)患者の運動を検出し、患者の生理学的状態を測定し、次いで、検出された患者の運動が運動閾値を満たしていること及び生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、不快レベルを決定してもよい。制御ユニット及び/又はサーバ及び/又はデータベースは、異なるレベルの不快に関連する異なる閾値を記憶してもよい。現在の読取り値に基づいて患者の現在の不快レベルを決定するために、異なる閾値が相互参照されてもよい。
【0063】
いくつかの実装形態では、要求された薬剤の量は、患者の決定された不快のレベルに従って、薬物送達デバイスによって自動的に調整されてもよい。例えば、患者が目覚めているが、センサ・データに基づいて(及び/又は動きのレベル、EEG若しくはECGパターン、SpO2レベル、心拍数、呼吸データなどを含む他のデータに基づいて)静止しており不快を感じていないと判定された場合、要求に応じて送達される薬剤の量は低減されてもよい。いくつかの実装形態では、量は、決定された不快のレベルに比例して(又は段階的な尺度に基づいて)調整されてもよい。
【0064】
様々な実装形態によれば、薬剤送達基準が満たされない場合、臨床医に関連付けられたコンピューティング・デバイスにアラートが提供されてもよい。例えば、アラートは、PCU14(又はPCUの代わりにサーバ30)によって臨床医のモバイル・デバイスに送信されてもよい。追加として又は代替として、アラートは、要求された薬剤投与に関連するPCU若しくはモジュールのディスプレイ画面に表示されるか、又はPCU若しくはモジュールに統合又は関連付けられたスピーカを介して音声で提供されてもよい。
【0065】
患者の状態が薬剤送達基準のセットを満たしているとの判定に応答して、薬物送達デバイスは、所定量の薬剤を患者に投与する(410)。前述のように、各薬剤は、異なるセットの薬剤送達基準に関連付けられてもよい。例えば、ユーザが安静にしている(例えば、静止している)と判定される限り、他の信号に関係なく、ある薬剤が送達されてもよい。別の実例では、SpO2レベルがある一定の閾値を上回っている場合及び/又は心拍数がある一定の閾値を下回っている場合、薬剤が送達され得る。
【0066】
いくつかの実装形態では、患者の状態が薬剤送達基準のセットを満たしていると判定することは、患者が意識状態にあると判定することを含んでもよい。患者に意識があるか意識がないかは、例えば、患者から収集されたEEGによって(又はECG信号を用いて)示されてもよい。
【0067】
いくつかの実装形態では、患者の状態が薬剤送達基準のセットを満たしていると判定することは、患者が過去の所定の期間に閾値量を超える量の薬剤を受け取っていないと判定することを含んでもよい。すなわち、過剰摂取を防止するために、患者ケア・デバイスは、薬剤の投薬に対してロックアウト期間を実施する。ロックアウト期間の長さは、薬剤によって異なる場合がある。
【0068】
いくつかの実装形態では、前述のように、患者の状態が薬剤送達基準の第1のセットを満たしていると判定することは、患者に関連する不快レベルが閾値不快レベルより大きいと判定することを含んでもよく、患者に関連する不快レベルは、患者の状態を示す1つ又は複数の信号に基づいて決定される。例えば、快適レベルは、患者の心拍数と呼吸数との組合せに基づいて算出されてもよい。
【0069】
いくつかの実装形態では、薬物送達デバイスによって、所定量の薬剤を患者に投与することは、第2のユーザ入力の大きさに従って、ある量の薬剤を投与することを含む。例えば、制御デバイスをより長く押す又はより強く押すほど、より大きいボーラスの薬剤が投与されることになり、より短く押す又はより軽く押すほど、より小さいボーラスの薬剤が投与されることになる。
【0070】
上述の実例400及び関連する機能及びアプリケーションの多くは、コンピュータ可読記憶媒体(コンピュータ可読媒体とも呼ばれる)に記録された命令セットとして指定されるソフトウェア・プロセスとして実装されてもよく、(例えば、ユーザの介入なしで)自動的に実行されてもよい。これらの命令が1つ又は複数の処理ユニット(例えば、1つ又は複数のプロセッサ、プロセッサのコア、又は他の処理ユニット)によって実行されると、これらの命令は、処理ユニットに、命令内で指示されているアクションを実行させる。コンピュータ可読媒体の実例には、CD-ROM、フラッシュ・ドライブ、RAMチップ、ハード・ドライブ、EPROMなどが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体には、無線で又は有線接続を介して通過する搬送波及び電子信号は含まれない。
【0071】
「ソフトウェア」という用語は、必要に応じて、読み取り専用メモリに常駐するファームウェア、又は、プロセッサによる処理のためにメモリに読み込むことができる、磁気ストレージに記憶されたアプリケーションを含むことを意味する。また、いくつかの実装形態では、本開示の複数のソフトウェア態様を、本開示の別個のソフトウェア態様を維持しながらより大きいプログラムのサブパーツとして実装することができる。いくつかの実装形態では、複数のソフトウェア態様を個別のプログラムとして実装することもできる。最後に、本明細書に記載のソフトウェア態様をともに実装する個別のプログラムの任意の組合せは、本開示の範囲内にある。いくつかの実装形態では、ソフトウェア・プログラムは、1つ又は複数の電子システムで動作するようにインストールされる場合、ソフトウェア・プログラムの動作を実行及び実施する1つ又は複数の特定の機械実装形態を定義する。
【0072】
コンピュータ・プログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェア・アプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)は、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語、宣言型言語又は手続き型言語を含む、任意の形式のプログラミング言語で記述され得、スタンドアロン・プログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、オブジェクト、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとして、を含む、任意の形式で展開され得る。コンピュータ・プログラムは、ファイル・システム内のファイルに対応してもよいが、必ずしもそうである必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語ドキュメントに格納された1つ又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題としているプログラム専用の単一のファイルに、又は複数の調整されたファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブ・プログラム、又はコードの一部を格納するファイル)に格納され得る。コンピュータ・プログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つの拠点に配置された若しくは複数の拠点にわたって分散されて通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0073】
図5は、本技術の態様による、鎮痛剤投与システムを動作させるための例示的な電子システム500を示す概念図である。電子システム500は、図1のプロセス400の1つ若しくは複数の部分若しくはステップ又は情報システム・サーバ30、患者ケア・デバイス12内のコンピューティング・ハードウェア、若しくはデバイス端末32を含むがこれらに限定されない図1図3によって提供される構成要素及びプロセスに関連するソフトウェアの実行のためのコンピューティング・デバイスであってもよい。電子システム500は、図1図4に関する本開示との組合せにおいて、代表的なものであってもよい。この点に関して、電子システム500は、パーソナル・コンピュータ、若しくはスマートフォン、タブレット・コンピュータ、ラップトップ、PDA、拡張現実デバイス、時計若しくはバンド若しくは眼鏡などのウェアラブルなどのモバイル・デバイス、若しくはそれらの組合せ、若しくは、1つ若しくは複数のプロセッサが組み込まれた若しくは結合された他のタッチ画面若しくはテレビ、又は、ネットワーク接続性を有する任意の他の種類のコンピュータ関連電子デバイスであってもよい。
【0074】
電子システム500は、様々なタイプのコンピュータ可読媒体と、様々な他のタイプのコンピュータ可読媒体のためのインターフェースとを含んでもよい。図示の実例では、電子システム500は、バス508、処理ユニット512、システム・メモリ504、読み取り専用メモリ(ROM:read-only memory)510、永続ストレージ・デバイス502、入力デバイス・インターフェース514、出力デバイス・インターフェース506、及び1つ又は複数のネットワーク・インターフェース516を含む。いくつかの実装形態では、電子システム500は、前述の様々な構成要素及びプロセスの動作のために、他のコンピューティング・デバイス又は回路を含むか又はそれらと統合されてもよい。
【0075】
バス508は、電子システム500の多数の内部デバイスを通信可能に接続するすべてのシステム・バス、周辺機器バス、及びチップセット・バスを一括して表す。例えば、バス508は、処理ユニット512を、ROM510、システム・メモリ504、及び永続ストレージ・デバイス502と通信可能に接続する。
【0076】
これらの様々なメモリ・ユニットから、処理ユニット512は、本開示のプロセスを実行するために実行すべき命令及び処理すべきデータを取り出す。異なる実装形態では、処理ユニットは、シングル・プロセッサ又はマルチコア・プロセッサとすることができる。
【0077】
ROM510は、処理ユニット512及び電子システムの他のモジュールによって必要とされる静的データ及び命令を記憶する。一方、永続ストレージ・デバイス502は、読み書き用メモリ・デバイスである。このデバイスは、電子システム500がオフのときでも命令及びデータを記憶する不揮発性メモリ・ユニットである。本開示のいくつかの実装形態は、大容量ストレージ・デバイス(磁気ディスク又は光ディスク、及びそれに対応するディスク・ドライブなど)を永続ストレージ・デバイス502として使用する。
【0078】
他の実装形態は、取り外し可能なストレージ・デバイス(フロッピ・ディスク、フラッシュ・ドライブ、及びそれに対応するディスク・ドライブなど)を永続ストレージ・デバイス502として使用する。永続ストレージ・デバイス502と同様に、システム・メモリ504は、読み書き用メモリ・デバイスである。しかしながら、ストレージ・デバイス502とは異なり、システム・メモリ504は、ランダム・アクセス・メモリのような揮発性読み書き用メモリである。システム・メモリ504は、実行時にプロセッサが必要とする命令及びデータの一部を記憶する。いくつかの実装形態では、本開示のプロセスは、システム・メモリ504、永続ストレージ・デバイス502、及び/又はROM510に記憶される。これらの様々なメモリ・ユニットから、処理ユニット512は、いくつかの実装形態のプロセスを実行するために実行すべき命令及び処理すべきデータを取り出す。
【0079】
バス508は、入力デバイス・インターフェース514及び出力デバイス・インターフェース506にも接続する。入力デバイス・インターフェース514は、ユーザが、情報及び選択されたコマンドを電子システムに通信することを可能にする。入力デバイス・インターフェース514とともに使用される入力デバイスには、例えば、英数字キーボード及びポインティング・デバイス(「カーソル制御デバイス」とも呼ばれる)が含まれる。出力デバイス・インターフェース506は、例えば、電子システム500によって生成された画像の表示を可能にする。出力デバイス・インターフェース506とともに使用される出力デバイスには、例えば、プリンタ、及び陰極線管(CRT:cathode ray tube)又は液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)などの表示デバイスが含まれる。いくつかの実装形態は、入力デバイスと出力デバイスの両方として機能するタッチ画面などのデバイスを含む。
【0080】
また、図5に示すように、バス508はまた、ネットワーク・インターフェース516を介して電子システム500をネットワーク(図示せず)に結合する。ネットワーク・インターフェース516は、例えば、ワイヤレス・アクセス・ポイント(例えば、Bluetooth(登録商標)若しくはWiFi)又はワイヤレス・アクセス・ポイントに接続するための無線回路を含んでもよい。ネットワーク・インターフェース516はまた、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、ワイド・エリア・ネットワーク(「WAN:wide area network」)、ワイヤレスLAN、若しくはイントラネットなどのコンピュータのネットワーク(network of computers)、又はインターネットなどのネットワークなどのコンピュータ・ネットワーク(network of networks)の一部にコンピュータを接続するためのハードウェア(例えば、Ethernet(登録商標)ハードウェア)を含んでもよい。電子システム500のいずれか又はすべての構成要素を、本開示と併せて使用することができる。
【0081】
上記のこれらの機能は、コンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアにおいて実装されてもよい。1つ又は複数のコンピュータ・プログラム製品を使用して本技法を実装することができる。プログラマブル・プロセッサ及びコンピュータをモバイル・デバイスに含めるか又はモバイル・デバイスとしてパッケージ化することができる。1つ又は複数のプログラマブル・プロセッサによって及び1つ又は複数のプログラマブル論理回路によってプロセス及び論理フローを実行することができる。汎用及び専用のコンピューティング・デバイス並びにストレージ・デバイスを、通信ネットワークを介して相互接続することができる。
【0082】
いくつかの実装形態は、コンピュータ・プログラム命令を機械可読又はコンピュータ可読媒体(コンピュータ可読記憶媒体、機械可読媒体、又は機械可読記憶媒体とも呼ばれる)に記憶する、マイクロプロセッサ、ストレージ、及びメモリなどの電子構成要素を含む。このようなコンピュータ可読媒体のいくつかの実例には、RAM、ROM、読み取り専用コンパクト・ディスク(CD-ROM:read-only compact disc)、記録可能コンパクト・ディスク(CD-R:recordable compact disc)、書き換え可能コンパクト・ディスク(CD-RW:rewritable compact disc)、読み出し専用デジタル多用途ディスク(例えば、DVD-ROM:read-only digital versatile disc、2層DVD-ROM)、様々な記録可能/書き換え可能DVD(DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RWなど)、フラッシュ・メモリ(例えば、SDカード、mini-SDカード、micro-SDカードなど)、磁気及び/又はソリッド・ステート・ハード・ドライブ、読み取り専用及び記録可能Blu-Ray(登録商標)ディスク、超高密度光ディスク、任意の他の光学又は磁気媒体、及びフロッピ・ディスクが含まれる。コンピュータ可読媒体は、少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能であり様々な動作を実行するための命令セットを含むコンピュータ・プログラムを記憶することができる。コンピュータ・プログラム又はコンピュータコードの実例には、コンパイラによって生成されるような機械コード、及びインタプリタを使用してコンピュータ、電子構成要素、又はマイクロプロセッサによって実行される高レベルコードを含むファイルが含まれる。
【0083】
上記の説明は主に、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ又はマルチコア・プロセッサについて言及しているが、いくつかの実装形態は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)又はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)などの1つ又は複数の集積回路によって実行される。いくつかの実装形態では、そのような集積回路は、回路自体に記憶されている命令を実行する。
【0084】
本出願の本明細書及び任意の特許請求の範囲で使用される「コンピュータ」、「サーバ」、「プロセッサ」、及び「メモリ」という用語はすべて、電子デバイス又は他の技術デバイスを指す。これらの用語は、人又は人のグループを除外する。本明細書の目的のために、表示する(display)又は表示している(displaying)という用語は、電子デバイス上に表示することを意味する。本出願の本明細書及び任意の特許請求の範囲で使用される「コンピュータ可読媒体(computer readable medium)」及び「コンピュータ可読媒体(computer readable media)」という用語は、コンピュータによって読み取り可能な形式で情報を記憶する有形の物理的オブジェクトに完全に限定される。これらの用語は、任意のワイヤレス信号、有線ダウンロード信号、及び任意の他の一時的な信号を除外する。
【0085】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載されている本主題の実装形態は、ユーザに情報を表示するための表示デバイス、例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるキーボード及びポインティング・デバイス、例えば、マウス又はトラック・ボールとを有するコンピュータ上で実装され得る。ユーザとの対話を提供するために、他の種類のデバイスも同様に使用することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどとすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む任意の形式で受け取ることができる。さらに、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスとの間でドキュメントを送受信することによって、例えば、ウェブ・ブラウザから受信された要求に応じてユーザのクライアント・デバイス上のウェブ・ブラウザ上にウェブ・ページを送信することによって、ユーザと対話することができる。
【0086】
本明細書に記載された本主題の実装形態は、バック・エンド構成要素、例えばデータ・サーバを含む、又はミドルウェア構成要素、例えばアプリケーション・サーバを含む、又はフロント・エンド構成要素、例えば、ユーザが本明細書に記載されている本主題の実装形態と対話することができるグラフィカル・ユーザ・インターフェース若しくはウェブ・ブラウザを有するクライアント・コンピュータ、又は1つ若しくは複数のそのようなバック・エンド構成要素、ミドルウェア構成要素、若しくはフロント・エンド構成要素の任意の組合せを含む、コンピューティング・システムにおいて実装され得る。システムの構成要素は、デジタル・データ通信の任意の形式又は媒体、例えば通信ネットワークによって相互接続され得る。通信ネットワークの実例には、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)及びワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、インター・ネットワーク(例えば、インターネット)、並びにピア・ツー・ピア・ネットワーク(例えば、アドホック・ピア・ツー・ピア・ネットワーク)が含まれる。
【0087】
コンピューティング・システムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは、一般に、互いに離れており、通信ネットワークを介して対話する場合がある。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータで実行され、互いにクライアントとサーバの関係を有するコンピュータ・プログラムによって発生する。いくつかの実装形態では、サーバは、(例えば、データをクライアント・デバイスと対話するユーザに対して表示し、そのユーザからユーザ入力を受信するために)データ(例えば、HTMLページ)をクライアント・デバイスに送信する。クライアント・デバイスで生成されたデータ(例えば、ユーザ対話の結果)は、サーバでクライアント・デバイスから受信することができる。
【0088】
当業者は、本明細書に記載の様々な例示的なブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムが、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、又は両方の組合せとして実装され得ることを理解するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を例示するために、様々な例示的なブロック、モジュール、要素、構成要素、方法、及びアルゴリズムについて、それらの機能性の観点から一般的に説明してきた。このような機能性がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定のアプリケーション及び設計上の制約に依存する。説明した機能性は、特定のアプリケーションごとに様々な方法で実装されてもよい。本技術の範囲からすべて逸脱することなく、様々な構成要素及びブロックが、異なって構成されてもよい(例えば、異なる順序で構成されてもよく、又は異なる方法で分割されてもよい)。
【0089】
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層が、例示的な手法の説明であることを理解されたい。設計上の嗜好に基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層が再構成されてもよいことが理解される。ステップのうちのいくつかが同時に実行されてもよい。添付の方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプルの順序で提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図するものではない。
【0090】
本技術の条項としての例示:
本開示の態様の様々な実例について、便宜上、番号付きの条項(1、2、3など)として説明する。これらは実例として提供されており、本技術を限定するものではない。図及び参照番号の識別は、単に実例として、説明を目的として以下に提供されており、条項はそれらの識別によって限定されない。
【0091】
条項1 薬物送達デバイスと、薬物送達デバイスに動作可能に接続された薬物制御デバイスと、薬物送達デバイスに動作可能に接続され、人から生体情報を捕捉するように構成された、制御ユニットとを備えるシステムであって、制御ユニットが、薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定し、薬物制御デバイスを介して、一定用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める要求と、薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信し、生体情報に基づいて、生体情報に関連付けられた患者が、薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認し、要求及び生体情報を受信したこと並びに患者が一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであると確認したことに応答して、薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得し、患者の状態が、患者が薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、薬物送達デバイスに一定用量の薬剤を患者に投与させるように構成される、システム。
【0092】
条項2 薬物制御デバイスがハンドヘルド制御デバイスであり、要求及び生体情報が、互いの所定の期間内に捕捉される、条項1に記載のシステム。
【0093】
条項3 1つ又は複数のセンサが、薬物制御デバイス内に含まれ、薬物制御デバイスによって要求及び生体情報が受信された後に起動される、条項2に記載のシステム。
【0094】
条項4 薬物制御デバイスが指紋リーダを備え、生体情報が、指紋リーダによって捕捉された指紋の少なくとも一部の表現を含む、条項1から3までのいずれかに記載のシステム。
【0095】
条項5 患者の状態を示す1つ又は複数の信号が、脳波(EEG)信号、心電図(ECG)信号、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)信号、呼吸数信号、又は運動信号を含む、条項1から4までのいずれかに記載のシステム。
【0096】
条項6 患者の状態が所定の基準を満たすと判定することが、1つ又は複数の信号に少なくとも部分的に基づいて患者が意識状態にあると判定することを含む、条項1から5までのいずれかに記載のシステム。
【0097】
条項7 患者が一定用量を自己投与する権限を付与されていることを確認することが、患者の識別情報を特定することと、患者の識別情報又は薬物送達デバイスに関連付けられた識別子に少なくとも部分的に基づいて、ある期間にわたって患者によって受け取られた薬剤の量を病院情報システムから識別することと、薬剤の量が期間の閾値量を満たすと判定することとを含む、条項1から6までのいずれかに記載のシステム。
【0098】
条項8 制御ユニットがさらに、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得した後、1つ又は複数の信号に基づいて、患者に関連する不快レベルが閾値不快レベルより大きいと判定するように構成される、条項1から7までのいずれかに記載のシステム。
【0099】
条項9 1つ又は複数のセンサが、患者の運動を検出するための動きセンサと、心拍数、血圧、心電図信号、脳波信号、又は酸素レベルを含む生理学的状態を測定するための1つ又は複数の生理学的モニタとを備え、制御ユニットが、患者の運動を検出し、患者の生理学的状態を測定し、患者の検出された運動が運動閾値を満たしていること及び生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、不快レベルを決定するように構成される、条項1から8までのいずれかに記載のシステム。
【0100】
条項10 薬物送達デバイスが、要求を開始するためのユーザ入力を受信し、ユーザ入力の大きさを決定するように構成された、制御部を備え、薬物送達によって一定用量の薬剤を患者に投与することが、ユーザ入力の大きさに従って、ある量の薬剤を投与することを含む、条項1から9までのいずれかに記載のシステム。
【0101】
条項11 薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定するステップと、薬物送達デバイスに動作可能に接続された薬物制御デバイスを介して、一定用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める要求と、薬物制御デバイスによって捕捉された生体情報とを受信するステップと、生体情報に基づいて、生体情報に関連付けられた患者が、薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認するステップと、要求及び生体情報を受信したこと、及び患者が一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであるとの確認に応答して、薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得するステップと、患者の状態が、患者が薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、薬物送達デバイスに一定用量の薬剤を患者に投与させるステップとを含む、機械実施方法。
【0102】
条項12 薬物制御デバイスがハンドヘルド制御デバイスであり、要求及び生体情報が、互いの所定の期間内に捕捉される、条項11に記載の機械実施方法。
【0103】
条項13 薬物制御デバイスが指紋リーダを備え、生体情報が、指紋リーダによって捕捉された指紋の少なくとも一部の表現を含み、1つ又は複数のセンサが、薬物制御デバイス内に含まれ、薬物制御デバイスによって要求及び患者の指紋の少なくとも一部の表現が受信された後に起動される、条項12に記載の機械実装方法。
【0104】
条項14 患者の状態を示す1つ又は複数の信号が、脳波(EEG)信号、心電図(ECG)信号、末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)信号、呼吸数信号、又は運動信号を含む、条項11から13までのいずれかに記載の機械実装方法。
【0105】
条項15 患者の状態が所定の基準を満たすと判定することが、1つ又は複数の信号に少なくとも部分的に基づいて患者が意識状態にあると判定することを含む、条項11から14までのいずれかに記載の機械実装方法。
【0106】
条項16 患者が一定用量を自己投与する権限を付与されていることを確認するステップが、患者の識別情報を特定することと、患者の識別情報又は薬物送達デバイスに関連付けられた識別子に少なくとも部分的に基づいて、ある期間にわたって患者によって受け取られた薬剤の量を病院情報システムから識別することと、薬剤の量が期間の閾値量を満たすと判定することとを含む、条項11から14までのいずれかに記載の機械実装方法。
【0107】
条項17 1つ又は複数のセンサが、患者の運動を検出するための動きセンサと、心拍数、血圧、心電図信号、脳波信号、又は酸素レベルを含む生理学的状態を測定するための1つ又は複数の生理学的モニタとを備え、機械実施方法がさらに、患者の運動を検出するステップと、患者の生理学的状態を測定するステップと、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得した後、患者の検出された運動が運動閾値を満たしていること及び生理学的状態が生理学的閾値を満たしていることに基づいて、患者の不快レベルを決定するステップであって、患者が、所定の不快閾値を満たす不快レベルを含む所定の基準を満たしている、ステップとを含む、条項11から16までのいずれかに記載の機械実施方法。
【0108】
条項18 薬物送達デバイスが、要求を開始するためのユーザ入力を受信し、ユーザ入力の大きさを決定するように構成された、制御部を備え、薬物送達によって一定用量の薬剤を患者に投与することが、ユーザ入力の大きさに従って、ある量の薬剤を投与することを含む、条項11から17までのいずれかに記載の機械実施方法。
【0109】
条項19 患者に薬剤を投与するための患者制御鎮痛デバイスであって、患者の指紋の少なくとも一部を取得するための指紋リーダと、患者制御鎮痛デバイスに通信可能に連結された薬物送達デバイスに、所定量の薬剤を患者に投与するよう要求するための起動ボタンと、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得するための1つ又は複数のセンサと、患者制御鎮痛デバイスの作動状態を示すためのフィードバック回路と、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたとき、1つ又は複数のプロセッサに、薬物送達デバイスによって現在充填されている薬剤を決定することと、一定用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める要求と、指紋リーダによって捕捉された患者の指紋とを、起動ボタンを介して受信することと、指紋に基づいて、患者が薬物送達デバイスからの一定用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていることを確認することと、要求及び生体情報を受信したこと、及び患者が一定用量を自己投与する権限を付与されているユーザであるとの確認に応答して、薬物送達デバイスに関連付けられた1つ又は複数のセンサによって、患者の状態を示す1つ又は複数の信号を取得することと、患者の状態が、患者が薬剤を自己投与することを可能にするための所定の基準を満たしていると判定した後、薬物送達デバイスに一定用量の薬剤を患者に投与させることとを含む動作を実行させる命令を含むメモリとを備える、患者制御鎮痛デバイス。
【0110】
条項20 動作がさらに、さらなる用量の薬剤を投与するよう薬物送達デバイスに求める第2の要求を受信することと、第2の要求に基づいて、患者が薬物送達デバイスからのさらなる用量の薬剤を自己投与する権限を付与されていないと判定することと、フィードバック回路を使用して、第2の要求に応答してさらなる用量が投与されないことを示す感覚情報を患者に提供することとを含む、条項19に記載の患者制御鎮痛デバイス。
【0111】
さらなる考慮事項:
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層が、例示的な手法の説明であることを理解されたい。設計上の嗜好に基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層が再構成されてもよいことが理解される。ステップのうちのいくつかが同時に実行されてもよい。添付の方法の請求項は、様々なステップの要素をサンプルの順序で提示しており、提示された特定の順序又は階層に限定されることを意図するものではない。
【0112】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実践できるようにするために提供されたものである。前述の説明は、本技術の様々な実例を提供しており、本技術はこれらの実例に限定されない。これらの態様に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、他の態様に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示す態様に限定されることを意図するものではなく、文言の特許請求の範囲と一致する完全な範囲が与えられるべきであり、要素についての単数形での言及は、特に明記しない限り、「唯一」を意味することを意図するものではなく、むしろ「1つ又は複数」を意味することを意図している。特に明記しない限り、「いくつか」という用語は、1つ又は複数を指す。男性形の代名詞(例えば、彼の(his))は、女性形及び中性形(例えば、彼女の(her)及びその(its))を含み、逆もまた同様である。見出し及び小見出しがある場合、それらは、便宜上使用されているにすぎず、本明細書に記載の発明を限定するものではない。
【0113】
本明細書で使用されるウェブサイトという用語は、1つ又は複数のウェブ・ページ、ウェブ関連コンテンツをホスト又は記憶するために使用される1つ又は複数のサーバなどを含む、ウェブサイトの任意の態様を含む場合がある。したがって、ウェブサイトという用語は、ウェブ・ページ及びサーバという用語と交換可能に使用される場合がある。「ように構成された」、「ように動作可能である」、及び「ようにプログラムされた」という述語は、主語の特定の実体的な修正又は非実体的な修正を暗示するものではなく、むしろ、交換可能に使用されることを意図している。例えば、動作又は構成要素を監視及び制御するように構成されたプロセッサは、プロセッサが動作を監視及び制御するようにプログラムされていること、又はプロセッサが動作を監視及び制御するように動作可能であることも意味する場合がある。同様に、コードを実行するように構成されたプロセッサは、コードを実行するようにプログラムされた又はコードを実行するように動作可能なプロセッサとして解釈され得る。
【0114】
本明細書で使用される自動という用語は、ユーザの介入なしのコンピュータ又はマシンによる、例えば、コンピュータ若しくはマシン又は他の開始メカニズムによる述語アクションに応答する命令による性能を含む場合がある。「実例」という単語は、本明細書では「実例又は例示としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「実例」として本明細書に記載される任意の態様又は設計は、必ずしも他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0115】
「態様」などの語句は、そのような態様が本技術に不可欠であることも、そのような態様が本技術のすべての構成に適用されることも意味するものではない。態様に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用されてもよい。態様は、1つ又は複数の実例を提供する場合がある。態様などの語句は、1つ又は複数の態様を指す場合があり、その逆も同様である。「実施例」などの語句は、そのような実施例が本技術に不可欠であることも、そのような実施例が本技術のすべての構成に適用されることも意味するものではない。実施例に関する開示は、すべての実装形態又は1つ若しくは複数の実装形態に適用されてもよい。実施例は、1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「実施例」などの語句は、1つ又は複数の実装形態を指す場合があり、その逆も同様である。「構成」などの語句は、そのような構成が本技術に不可欠であることも、そのような構成が本技術のすべての構成に適用されることも意味するものではない。構成に関する開示は、すべての構成又は1つ若しくは複数の構成に適用されてもよい。構成は、1つ又は複数の実例を提供する場合がある。「構成」などの語句は、1つ又は複数の構成を指す場合があり、その逆も同様である。
【0116】
本明細書で使用される「決定する」又は「決定すること」という用語は、多種多様なアクションを包含する。例えば、「決定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、算出すること、計算すること、処理すること、導出すること、生成すること、取得すること、検索すること(例えば、テーブル、データベース、又は別のデータ構造内で検索すること)、確認することなどを含み得る。また、「決定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、受信すること(例えば、情報を受信すること)、アクセスすること(例えば、メモリ内のデータにアクセスすること)などを含み得る。「決定すること」は、ユーザの介入なしにハードウェア要素を介して、解決すること、選択すること、選ぶこと、確立することなどを含み得る。
【0117】
本明細書で使用される「提供する」又は「提供すること」という用語は、多種多様なアクションを包含する。例えば、「提供すること」は、後で取り出すためにストレージ・デバイスのある位置に値を記憶すること、少なくとも1つの有線又は無線通信媒体を介して受信側に値を直接送信すること、値への参照を送信又は記憶することなどを含み得る。「提供すること」は、ハードウェア要素を介して、符号化すること、復号すること、暗号化すること、解読すること、実証すること、検証することなども含み得る。
【0118】
本明細書で使用される「メッセージ」という用語は、情報を通信する(例えば、送信又は受信する)ための多種多様なフォーマットを包含する。メッセージは、XML文書、固定フィールド・メッセージ、カンマ区切りメッセージなどの機械可読情報の集合体を含み得る。メッセージは、いくつかの実装形態では、情報の1つ又は複数の表現を送信するために利用される信号を含み得る。単数形で述べられているが、メッセージが複数の部分で作成、送信、保存、受信などされ得ることを理解されたい。
【0119】
本明細書で使用される「ユーザ・インターフェース」(対話型ユーザ・インターフェース、グラフィカル・ユーザ・インターフェース、又はUIとも呼ばれる)は、入力信号を受信する若しくは電子情報を提供するため及び/又は受信した任意の入力信号に応答してユーザに情報を提供するための、データ・フィールド及び/又は他の制御要素を含むネットワークベースのインターフェースを指す場合がある。制御要素には、ダイヤル、ボタン、アイコン、選択可能エリア、又は対話(例えば、クリック、タッチ、選択など)されたときに、UIを提示するデバイスのためにデータ交換を開始する、UIを介して提示される他の認識可能な指標が含まれ得る。UIは、ハイパーテキスト・マークアップ言語(HTML:hyper-text mark-up language)、FLASH(登録商標)、JAVA(登録商標)、.NET(商標)、ウェブ・サービス、又はリッチ・サイト・サマリ(RSS:rich site summary)などの技術を使用して、全体的又は部分的に実装されてもよい。いくつかの実装形態では、UIは、記載された態様のうちの1つ又は複数に従って通信する(例えば、データを送信又は受信する)ように構成されたスタンドアロン・クライアント(例えば、シック・クライアント、ファット・クライアント)に含まれてもよい。通信は、医療デバイス、診断デバイス、監視デバイス、又はそれらと通信するサーバとの間の通信であってもよい。
【0120】
本明細書で使用される「対応する」又は「対応している」という用語は、2つ以上のオブジェクト間、データ・セット間などの構造的、機能的、量的、及び/若しくは質的な相関又は関係を包含し、対応又は関係は、2つ以上のオブジェクト、データ・セット、情報などのうちの1つ又は複数を同一又は同等に見えるように翻訳するために使用され得ることが好ましい。対応は、閾値、値の範囲、ファジー論理、パターン照合、機械学習評価モデル、又はそれらの組合せのうちの1つ又は複数を使用して評価されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】