(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】関節リウマチを有する対象における非炎症性疼痛を治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230620BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230620BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230620BHJP
A61P 29/02 20060101ALI20230620BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230620BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20230620BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230620BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230620BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230620BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P29/02
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K31/519
A61P43/00 111
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573173
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 IB2021054652
(87)【国際公開番号】W WO2021240436
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515337475
【氏名又は名称】サノフィ・バイオテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ケリ・フォード
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバート・ヴァン・フーグストラテン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084ZA08
4C084ZA96
4C084ZB15
4C084ZC751
4C085AA13
4C085BB31
4C085CC22
4C085DD61
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA96
4C086ZB15
4C086ZC42
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、関節リウマチを有する対象における非炎症性疼痛を治療するための抗IL6受容体抗体の使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL-6受容体に特異的に結合する治療有効用量の抗体を対象に投与することを含む、関節リウマチを有する、それを必要とする対象における非炎症性疼痛(NIP)を治療するための方法であって、抗体は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、
(a)HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;および
(f)LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む
前記方法。
【請求項2】
IL-6受容体と特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象は、少なくとも21の圧痛関節数を有し、圧痛関節数は、腫脹関節数とは少なくとも5の差がある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
抗体は、皮下に投与される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
抗体は、対象に、少なくとも2週間に1回投与される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
対象は、中程度~重度に活動性の関節リウマチを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
対象は、抗体とともに、1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、腫瘍壊死因子(TNF)アンタゴニストを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
治療を必要とする対象におけるNIPを治療する方法であって、
(i)関節リウマチおよびNIPを有する対象を選択する工程と;
(ii)対象に、治療上有効な用量のIL-6受容体に特異的に結合する抗体を投与する工程と
を含み、抗体は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み:
(a)HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;および
(f)LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む
前記方法。
【請求項23】
IL-6受容体と特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
対象は、少なくとも21の圧痛関節数を有し、圧痛関節数は、腫脹関節数とは少なくとも5の差がある、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
抗体は、皮下に投与される、請求項22~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
抗体は、少なくとも2週間に1回、対象に投与される、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
対象は、中程度~重度に活動性の関節リウマチを有する、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない、請求項22~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
対象は、抗体とともに、1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される、請求項22~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、TNFアンタゴニストを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった、請求項22~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる、請求項22~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった、請求項22~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項38または39に記載の方法。
【請求項42】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
関節リウマチを有する、それを必要とする患者におけるNIPの治療に使用するための抗体であって、IL-6受容体に特異的に結合し、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、
(a)HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
(b)HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
(c)HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;
(d)LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;
(e)LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;および
(f)LCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む
前記抗体。
【請求項44】
IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む、請求項43に記載の使用するための抗体。
【請求項45】
対象は、少なくとも21の圧痛関節数を有し、圧痛関節数は、腫脹関節数とは少なくとも5の差がある、請求項43に記載の使用するための方法。
【請求項46】
抗体は、皮下に投与される、請求項43~45のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項47】
対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される、請求項43~46のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項48】
抗体は、少なくとも2週間に1回、対象に投与される、請求項43~47のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項49】
対象は、中程度~重度に活動性の関節リウマチを有する、請求項43~48のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項50】
対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない、請求項43~49のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項51】
対象は、抗体とともに、1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される、請求項43~49のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項52】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む、請求項51に記載の使用するための抗体。
【請求項53】
1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、TNFアンタゴニストを含む、請求項51に記載の使用するための抗体。
【請求項54】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項53に記載の使用するための抗体。
【請求項55】
対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった、請求項43~54のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項56】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項55に記載の使用するための抗体。
【請求項57】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項55に記載の使用するための抗体。
【請求項58】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項57に記載の使用するための抗体。
【請求項59】
対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる、請求項43~58のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項60】
対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった、請求項43~58のいずれか1項に記載の使用するための抗体。
【請求項61】
DMARDは、メトトレキサートである、請求項59または60に記載の使用するための抗体。
【請求項62】
DMARDは、TNFアンタゴニストである、請求項59または60に記載の使用するための抗体。
【請求項63】
TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される、請求項62に記載の使用するための抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年5月29日出願の米国仮特許出願シリアル第63/032,035号、および2020年9月11日出願の米国仮特許出願シリアル番号63/077,378号、および2021年5月11日出願の欧州仮特許出願シリアル番号21315081.6号の優先権を主張する。これらの出願それぞれの全開示は、本明細書により参照によって本明細書にその全体を組み入れる。
【0002】
本開示は、関節リウマチを過去にまたは現在有する対象において、非炎症性疼痛を治療処置する分野に関する。
【背景技術】
【0003】
関節リウマチ(RA)は、自己免疫性炎症性関節炎の最も一般的な形態であり、人口の約1%に影響を与えている。これは、体の免疫システムが関節を囲む膜の内層を攻撃する自己免疫疾患である。RAは、関節の疼痛、腫脹、およびこわばりを引き起こし得る慢性的な炎症の原因である。疼痛はRAを有する患者にとってのコアセットドメイン(core-set domain)および悩ましい症状であり、また炎症と直接関連し得るが、非炎症性疼痛(NIP)もRAを有する患者によく見られる。
【0004】
サリルマブは、1つまたはそれ以上の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)に対して応答が不十分または不耐性である、中程度~重度に活動性のRAを有する成人を治療するためのインターロイキン-6受容体アンタゴニストである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、関節リウマチを有する対象におけるNIPを治療するための方法および組成物について提示する。様々な実施形態では、対象の治療は、治療有効量のIL-6Rに特異的に結合する抗体を投与することを含む。
【0006】
一態様では、本開示は、IL-6受容体に特異的に結合する治療有効用量の抗体を対象に投与することを含む、関節リウマチを有する、それを必要とする対象における非炎症性疼痛(NIP)を治療するための方法であって、抗体は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む方法を提供する。様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む。様々な実施形態では、対象は少なくとも21の圧痛関節数(TJC)を有する。様々な実施形態では、圧痛関節数は腫脹関節数とは少なくとも5の差がある。様々な実施形態では、抗体は皮下に投与される。様々な実施形態では、対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される。様々な実施形態では、抗体は、少なくとも2週間に1回対象に投与される。様々な実施形態では、対象は、中程度~重度の活動性の関節リウマチを有する。様々な実施形態では、対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない。様々な実施形態では、対象は、抗体とともに、1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、TNFアンタゴニストを含む。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる。様々な実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。
【0007】
別の態様では、本開示は、関節リウマチおよびNIPを有する対象を選択すること、およびIL-6受容体に特異的に結合する治療有効用量の抗体を対象に投与することを含む、それを必要とする対象におけるNIPを治療する方法であって、抗体は、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む方法を提供する。様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む。様々な実施形態では、対象は少なくとも21のTJCを有する。様々な実施形態では、圧痛関節数は腫脹関節数とは少なくとも5の差がある。様々な実施形態では、抗体は皮下に投与される。様々な実施形態では、対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される。様々な実施形態では、抗体は、少なくとも2週間に1回対象に投与される。様々な実施形態では、対象は、中程度~重度の活動性の関節リウマチを有する。様々な実施形態では、対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない。様々な実施形態では、対象は、抗体とともに1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、TNFアンタゴニストを含む。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる。様々な実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。
【0008】
別の態様では、本開示は、関節リウマチを有する、それを必要とする患者におけるNIPの治療に使用するための抗体であって、IL-6受容体に特異的に結合し、相補性決定領域HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに相補性決定領域LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、HCDR1は、配列番号3のアミノ酸配列を含み;HCDR2は、配列番号4のアミノ酸配列を含み;HCDR3は、配列番号5のアミノ酸配列を含み;LCDR1は、配列番号6のアミノ酸配列を含み;LCDR2は、配列番号7のアミノ酸配列を含み;およびLCDR3は、配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体を提供する。様々な実施形態では、IL-6受容体に特異的に結合する抗体は、配列番号1の重鎖可変領域配列および配列番号2の軽鎖可変領域配列を含む。様々な実施形態では、対象は少なくとも21のTJCを有する。様々な実施形態では、圧痛関節数は腫脹関節数とは少なくとも5の差がある。様々な実施形態では、抗体は皮下に投与される。様々な実施形態では、対象は、約150mgまたは約200mgの用量の抗体を投与される。様々な実施形態では、抗体は、少なくとも2週間に1回対象に投与される。様々な実施形態では、対象は、中程度~重度の活動性の関節リウマチを有する。様々な実施形態では、対象は、抗体の投与の過程において、任意の他のDMARDを投与されない。様々な実施形態では、対象は、抗体とともに1つまたはそれ以上の追加のDMARDも投与される。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、メトトレキサートを含む。様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の追加のDMARDは、TNFアンタゴニストを含む。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。様々な実施形態では、対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDに対して不耐性である、または対象は、1つもしくはそれ以上のDMARDを用いた治療の継続の候補として不適切と考えられる。様々な実施形態では、対象は、1つまたはそれ以上のDMARDに対する応答が不十分であった。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNFアンタゴニストである。様々な実施形態では、TNFアンタゴニストは、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルからなる群から選択される。
【0009】
本発明の前述およびその他の特徴および利点は、添付の図面と併せて例示的な実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】12週目および24週目までにNIPを有する患者のパーセンテージを治療ごとに示した図である。
【
図2】24週目のサリルマブまたはアダリムマブの応答者のNIP状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
炎症は関節リウマチ(RA)の疼痛の主な要因である。しかし、一部の患者は、観察された滑膜炎の量に基づいて予想されるよりも多くの疼痛を経験しており、非炎症性疼痛(NIP)の存在を示している可能性がある。本開示は、RAを有する対象におけるNIPの治療のための医薬組成物およびこれらの組成物を使用する方法を提供する。これらの組成物および方法は、インターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する少なくとも1つの抗体を含む。
【0012】
特許請求の範囲および本明細書における発明の概要、詳細ない説明で使用される場合、定量的用語における「約」という用語は、修飾される値のプラスまたはマイナス10%(その値が分割不能でない場合、分子またはヌクレオチドの数など、最も近い整数に丸められる)を指す。例えば、語句「約100mg」は、両端を含む90mg~110mgを包含し、語句「約2500mg」は2250mg~2750mgを包含する。パーセンテージに適用される場合、用語「約」は、そのパーセンテージに対してプラスまたはマイナス10%を指す。例えば、語句「約20%」は18~22%を包含し、「約80%」は72~88%を包含し、両端を含む。さらに、本明細書において「約」が量的用語とともに使用される場合、値プラスまたはマイナス10%に加えて、量的用語の正確な値も企図され、記載されることが理解される。例えば、用語「約23%」は、正確に23%を意図し、記載し、正確に23%を含む。
【0013】
用語「1つの(a)」または「1つの(an)」実体は、その実体の1つまたはそれ以上を指し、例えば、「1つの症状」は、1つまたはそれ以上の症状を表すと理解されることに留意されたい。したがって、用語「1つの(a)」(または「1つの(an)」)、「1つまたはそれ以上」、および「少なくとも1つ」は、本明細書において互換的に使用することができる。
【0014】
さらに、本明細書で使用される場合、「および/または」は、他方を伴うまたは伴わない、2つの特定された特徴または構成要素の各々の具体的な開示として解釈されるべきである。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの語句で使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)および「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句で使用される「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)の各々を包含することを意図する。
【0015】
本明細書において、いずれの態様も、「含む(comprising)」という言語で記載されているが、「からなる(consisting of)」および/または「本質的にからなる(consisting essentially of)」という用語で記載されている他の類似の態様も提供されることが理解される。
【0016】
用語「疼痛」とは、疾病、傷害、または精神的苦痛を含む、激しいまたは損害性の刺激により引き起こされる不快感を指す。一部の実施形態では、疼痛は、身体的および感情的コンポーネントの両方を有し、また軽度の局所的な不快感から激痛の範囲に及び得る不快な感覚として経験される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「急性疼痛」とは、3カ月未満続く疼痛を指す。一部の実施形態では、急性疼痛は軟部組織の損傷に関連しており、損傷が治癒するにつれて徐々に消失する。急性疼痛は、危険に関する情報を生物に伝える強力な信号を検出して応答する特殊な神経受容体(侵害受容器)によって検出され、したがって生物が防御を動員できるようになると推測される。RAでは、炎症を起こした関節内からの持続的なシグナル伝達が、侵害受容器の刺激に対する閾値の低下を引き起こし、結果として侵害受容刺激に対する過敏性(末梢性感作)をもたらす可能性がある。サイトカインなどの局所的な要素が、感覚ニューロンに直接的な非炎症性の影響を及ぼしていると考えられる。
【0018】
用語「慢性疼痛」とは、少なくとも3カ月続く疼痛を指す。一部の実施形態では、慢性疼痛は、予想される治癒期間を超えて続く疼痛であると記載されている。一部の実施形態では、慢性疼痛は、寛解しているように見えるRAを有する患者において予想外に長引く疼痛を含む。慢性疼痛は中枢性感作と関連していることが多く、一次感覚ニューロンの末梢性感作による異常なニューロン活動およびCNSにおけるニューロンのその後の、または追加の感作の徴候といえる。この状態では、以前または現在の炎症とはほとんど、またはまったく関係がない場合がある。
【0019】
用語「非炎症性疼痛」または「NIP」とは、上記のように、炎症に関連しない疼痛を指す。場合によっては、NIPは関節痛または多発性関節痛が原因である。NIPは通常、発熱や体重減少などの全身症状無しで存在する。NIPは、腫脹や温感無しで存在することもある。NIPはまた、断続的で60分未満持続するわずかな朝のこわばり、および/または活動によって改善されずに悪化するこわばりによっても特徴づけられ得る。一部の実施形態では、NIPは急性または慢性疼痛を含む。一部の実施形態では、NIPはアロディニア、増強する疼痛、および神経障害性疼痛を含む。一部の実施形態では、NIPを有する対象はまた、中枢性感作を経験している。一部の実施形態では、NIPを有する対象は、RAの経過の早期にある。一部の実施形態では、これらの対象はRAと診断されておらず、炎症の症状を示さない。一部の実施形態では、NIPを有する対象は、関節外またはびまん性疼痛を有する。
【0020】
本明細書で使用される場合、「中枢性感作」とは、拡散した部位での疼痛感受性の増加をもたらし、感覚インパルスに応答して中枢神経系(CNS)の全体的な応答状態を高め、複雑なフィルターを通して疼痛増強として脳内で解釈される、脊髄および脳の疼痛処理における異常を指す。この部類には、慢性疼痛状態に対する疼痛知覚との心理社会的相互作用が含まれることがある。中枢性感作では、例えば、疼痛を伝える機械受容器を動員することによって、新たな侵害受容経路が生成される。これは、主に脊椎における感作が増強することによって生じ、やがてこの状態は、傷害がなくても自己永続的で、保護目的とは無関係になることがある。
【0021】
したがって、一部の実施形態は、本質的には軽度の疼痛のみを引き起こし得るRAによる基礎となる炎症性疼痛を有する患者におけるものである。本明細書で使用される場合、「痛覚過敏」または「疼痛増強」とは、誇張され、はるかに激しい疼痛として経験される比較的軽度の疼痛を指す。この状態での疼痛の感覚は、通常は情報入力として解釈される動き(例えば、拳を握ること)などの通常は疼痛を伴わない刺激からも生じることがある。本明細書で使用される場合、「アロディニア」とは、通常は疼痛を伴わない刺激から生じる疼痛を指す。臨床所見では、早期のRAの一部の症例では疼痛と炎症とが切り離されていることが示唆されており、例えば、両側性で対称性である小さな関節痛が、関節炎が客観的に証明されるより前に生じることがある。逆に、RAを有する一部の患者では、関節炎(および関節の損傷)のみを呈し、疼痛を伴わないものもある(「ロバストなリウマチ」型)。一部の実施形態では、疼痛を伴う主に識別可能な滑膜炎を有する患者から疼痛のみを呈する患者までの範囲の表現型を示す様々なRA症状が存在する。例えば、腫脹関節数の圧痛関節数に対する比を使用して、疾患の経過の早期に非炎症性疼痛を有する、疼痛のみを呈するこれらのRA患者を特定する試みが行われている。
【0022】
患者が自己報告した疼痛と炎症の客観的評価との間には不一致が報告されており、患者が報告した疼痛は、研究における医師の評価および炎症の測定値とはあまり相関していないようである。疼痛が炎症だけに由来するのではないという見解はまた、抗サイトカイン治療によって炎症が軽減する前に疼痛が十分に緩和され、寛解中の患者の約12~50%、およびRAの炎症成分の治療後に「ある程度完全に制御された」疾患を有する患者の82%で、疼痛が残存し続けるという観察によって裏付けられる。リウマチ専門医はしばしば、この残留痛は線維筋痛症またはRAの根底にある関節損傷に起因すると考えるが、後者の説明は、X線写真の損傷が、患者が報告した疼痛の2.1%を占めるに過ぎないことが示されていることを考慮すると、そうではなさそうである。線維筋痛症の分類基準を満たすRAを有する患者の割合はまた、疾患の進行の過程を通じて増加し、このことも中枢性疼痛増強を示唆している。
【0023】
RAは関節が関与する疾患であるが、一部の実施形態では、疼痛はしばしば関節外であると報告されており、びまん性のこともあり、遠隔の非関節部位および関節に広範な痛みを伴い、場所および時間で変化することがある。この疼痛は滑膜炎とは関係がないようであり、中枢性疼痛処理の変化によるものと考えられる。例えば、疼痛の感覚がピリピリする、焼けるような、または切るような、と報告された場合、鋭い臨床医にとっては、RAを有する患者の疼痛の様相が神経系の関与によるものであることを示唆する手がかりとなることがある。CNSの関与が明らかになりつつあり、RAを有する患者のかなりの割合に、何らかの形態の特定可能な神経障害が関与している。自律神経障害もRAに関連することがますます確認されている。したがって、一部の実施形態では、CNSは、RAにおける重要な関連器官系である。
【0024】
疼痛と炎症の間の多くの臨床的に明らかな解離は、一部のRAの疼痛が、複数の機構が関与する、炎症と重複するが炎症だけによるものではない独立した問題であることを示唆している。一部の実施形態では、RAにおける患者の疼痛は、ある形態の炎症または損傷に由来するが、さらに、RA患者は、末梢神経系によって伝達され、脊髄で増幅され、CNSで経験される、同時に、および独立して誘発される(感覚刺激がないかまたはわずかな感覚刺激を伴う)疼痛を感じる。脳では、より遠位からの感覚は外部の心理社会的要素と混ざり合う。実際に、疼痛は「意見」として記載されてきた。様々な実施形態では、この疼痛は、炎症の疼痛とは別個の実体であり、この形態の疼痛は、サイトカイン調節不全に関連する異常に少なくとも部分的に起因する。
【0025】
一部の実施形態では、サイトカインは関節の炎症(これは今度は疼痛の原因となる)の原因となるが、より直接的に疼痛を引き起こし、必ずしも炎症と相関するとは限らない、末梢および神経系の他の部分にも及ぶサイトカインの他の影響が存在する可能性がある。一部の実施形態では、サイトカインIL-6がこのことにおいて重要な役割を果たしている。
【0026】
一部の実施形態では、NIPは、確立された式:TJC-SJC≧7を使用して、28関節の圧痛関節数(TJC)と腫脹関節数(SJC)との間の差として定義される。
【0027】
一部の実施形態では、前週に経験した疼痛が測定される。一部の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8週間、またはそれより長い週をさかのぼり経験した疼痛が測定される。一部の実施形態では、1カ月前に経験した疼痛が測定される。一部の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月、またはそれより長い月をさかのぼり経験した疼痛が測定される。一部の実施形態では、1年前に経験した疼痛が測定される。一部の実施形態では、2、3、4、5、6、7、8、9、10年、またはそれより長い年数をさかのぼり経験した疼痛が測定される。
【0028】
IL-6は、IL-6Rαサブユニットと直接相互作用し、IL-6/IL-6Rα対は、糖タンパク質130(gp130)サブユニットと高親和性複合体を形成し、ヤヌスキナーゼ(JAK)シグナル伝達因子および転写活性化因子(STAT)(JAK/STAT)およびRas Raf-マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を介して細胞内シグナル伝達を開始する。IL-6Rαは可溶性形態でも存在し、これはトランスシグナル伝達に関与し、これにより、関節内の滑膜細胞を含むIL-6Rαを発現しない細胞にIL-6が影響を及ぼすことが可能になる。
【0029】
REGN88とも呼ばれるサリルマブ(SAR153191)は、IL-6受容体複合体のαサブユニット(IL-6Rα)に対する完全ヒト配列の組換えIgG1カッパモノクローナル抗体である。サリルマブはIL-6の結合を遮断し、サイトカインを介したシグナル伝達カスケードを中断させる。
【0030】
抗体
本開示は、hIL-6Rに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することを含む方法を含む。本明細書で使用される場合、用語「hIL-6R」とは、ヒトインターロイキン-6(IL-6)に特異的に結合するヒトサイトカイン受容体を意味する。ある種の実施形態では、患者に投与される抗体はhIL-6Rの細胞外ドメインに特異的に結合する。
【0031】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、4つのポリペプチド鎖、ジスルフィド結合によって相互接続された2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、ならびにそれらの多量体(例えば、IgM)を含む免疫グロブリン分子を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略す)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略す)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分化することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配列される。一部の実施形態では、抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖細胞系配列と同一であり得るか、または天然もしくは人工的に修飾される。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並列分析に基づいて定義することができる。
【0032】
用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、完全抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成もしくは遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、抗体可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む、タンパク質分解消化または組換え遺伝子工学技術などの任意の適切な標準技術を用いて、完全抗体分子から誘導することができる。このようなDNAは公知であり、および/または、例えば、市販の供給源、DNAライブラリー(例えば、ファージ-抗体ライブラリーを含む)から容易に入手可能であり、または合成することができる。DNAは、例えば、1つまたはそれ以上の可変および/または定常ドメインを適切な立体配置に配列するために、またはコドンを導入し、システイン残基を作製し、アミノ酸を修飾し、付加しまたは欠失させるために、化学的にまたは分子生物学的技術を使用して配列決定および操作することができる。
【0033】
抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))、または制約されたFR3-CDR3-FR4ペプチドが含まれる。また、他の操作された分子、例えば、ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠損抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディおよび二価ナノボディ)、小モジュラー免疫医薬(SMIP)、およびサメ可変IgNARドメインは、本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」という表現に包含される。
【0034】
抗体の抗原結合断片は、典型的には、少なくとも1つの可変ドメインを含む。可変ドメインは、任意のサイズまたはアミノ酸組成のものであり得て、一般的に、1つまたはそれ以上のフレームワーク配列に隣接するかまたはフレーム内にある、少なくとも1つのCDRを含む。VLドメインと会合したVHドメインを有する抗原結合断片において、VHおよびVLドメインは、任意の適切な配置で互いに相対的に配置される。例えば、可変領域は二量体であり、VH-VH、VH-VLまたはVL-VL二量体を含み得る。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VHまたはVLドメインを含み得る。
【0035】
ある種の実施形態では、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合した少なくとも1つの可変ドメインを含み得る。抗体の抗原結合断片内に見出される可変ドメインおよび定常ドメインの非限定的な例示的構成は、(i)VH-CH1;(ii)VH-CH2;(iii)VH-CH3;(iv)VH-CH1-CH2;(v)VH-CH1-CH2-CH3;(vi)VH-CH2-CH3;(vii)VH-CL;(viii)VL-CH1;(ix)VL-CH2;(x)VL-CH3;(xi)VL-CH1-CH2;(xii)VL-CH1-CH2-CH3;(xiii)VL-CH2-CH3;および(xiv)VL-CLを含む。上記に列挙される例示的な構成のいずれかを含む可変および定常ドメインの任意の構成において、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されるかまたは完全もしくは部分的ヒンジもしくはリンカー領域によって連結される。ヒンジ領域は、様々な実施形態では、単一のポリペプチド分子内の隣接する可変ドメインおよび/または定常ドメイン間の可撓性または半可撓性連結をもたらす少なくとも2個(例えば、5、10、15、20、40、60個またはそれ以上)のアミノ酸からなり得る。さらに、抗体の抗原結合断片は、様々な実施形態では、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと非共有結合している(例えば、ジスルフィド結合により)上記で列挙した可変および定常ドメイン構成のいずれかのホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含み得る。
【0036】
ある種の実施形態では、本明細書で開示される方法で使用するための抗体または抗体断片は、単一特異性抗体であり得る。ある種の実施形態では、本明細書で開示される方法で使用するための抗体または抗体断片は、1つの標的ポリペプチドの異なるエピトープに対して特異的であり得る、または1つより多くの標的ポリペプチドのエピトープに対して特異的な抗原結合ドメインを含有し得る多重特異性抗体であり得る。ある種の実施形態との関連で使用することができる例示的な二特異性抗体フォーマットは、第1の免疫グロブリン(Ig)CH3ドメインおよび第2のIgCH3ドメインの使用を伴い、第1および第2のIgCH3ドメインは少なくとも1つのアミノ酸によって互いに異なり、少なくとも1つのアミノ酸差は、アミノ酸差を欠く二特異性抗体と比較して、プロテインAに対する二特異性抗体の結合を低減させる。一実施形態では、第1のIg CH3ドメインはプロテインAに結合し、第2のIg CH3ドメインはH95R修飾(IMGTエクソン番号付けによる;EU番号付けによるH435R)などのプロテインA結合を低減または消失させる突然変異を含む。第2のCH3は、Y96F修飾(IMGTによる;EUによるY436F)をさらに含むことができる。第2のCH3内で見出されるさらなる修飾には、IgG1抗体の場合、D16E、L18M、N44S、K52N、V57MおよびV82I(IMGTによる;EUによるD356E、L358M、N384S、K392N、V397MおよびV422I);IgG2抗体の場合、N44S、K52NおよびV82I(IMGT;EUによるN384S、K392NおよびV422I);ならびにIgG4抗体の場合、Q15R、N44S、K52N、V57M、R69K、E79QおよびV82I(IMGTによる;EUによるQ355R、N384S、K392N、V397M、R409K、E419QおよびV422I)が含まれる。上述の二特異性抗体フォーマットの変形は、ある種の実施形態の範囲内であると考えられる。本明細書に開示される例示的な二特異性抗体フォーマットを含む任意の多特異性抗体フォーマットは、様々な実施形態では、当該技術分野において利用可能な通常の技術を使用して、抗IL-6R抗体の抗原結合断片との関連で使用するために適合される。
【0037】
本明細書に開示される完全ヒト抗IL-6R抗体は、対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域における1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含み得る。このような突然変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば、公開された抗体配列データベースから入手可能な生殖細胞系配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかから誘導される抗体およびその抗原結合断片を含み、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸は、対応する生殖細胞系残基(複数可)または対応する生殖細胞系残基(複数可)の保存的アミノ酸置換(天然または非天然)に復帰突然変異される(このような配列変化は、本明細書では「生殖細胞系復帰突然変異」と呼ばれる)。当業者は、本明細書に開示される重鎖および軽鎖可変領域配列から出発して、1つまたはそれ以上の個々の生殖細胞系復帰突然変異またはそれらの組合せを含む多数の抗体および抗原結合断片を容易に生成することができる。ある種の実施形態では、VHおよび/またはVLドメイン内のフレームワーク残基および/またはCDR残基の全ては、生殖細胞系配列に復帰突然変異される。他の実施形態では、ある種の残基のみが、生殖細胞系配列に復帰突然変異され、例えば、FR1の最初の8つのアミノ酸内またはFR4の最後の8つのアミノ酸内に見出される突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見出される突然変異残基のみである。さらに、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2つまたはそれ以上の生殖細胞系復帰突然変異の任意の組合せを含み得、すなわち、ある種の個々の残基は生殖細胞系配列に復帰突然変異し、一方、生殖細胞系配列とは異なるある種の他の残基は維持される、抗体が本明細書に含まれる。一旦得られると、1つまたはそれ以上の生殖細胞系復帰突然変異を含む抗体および抗原結合断片は、結合特異性の改善、結合親和性の増加、拮抗的または作動的な生物学的特性の改善または増強(場合により)、免疫原性の低減などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な方法で得られる抗体および抗原結合断片は、本開示に包含される。
【0038】
抗体の定常領域は、抗体が補体を結合し、細胞依存性細胞傷害性を媒介する能力において重要である。したがって、抗体のアイソタイプは、抗体が細胞毒性を媒介することが望ましいかどうかに基づいて選択される。
【0039】
用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本開示に特徴づけられるヒト抗体は、様々な実施形態では、それにもかかわらず、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発またはインビボでの体細胞突然変異によって導入される突然変異)、例えば、CDRおよびいくつかの実施形態ではCDR3を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含むことを意図していない。
【0040】
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作製または単離される全てのヒト抗体を含むことが意図され、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体(以下にさらに記載される)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体(以下にさらに記載される)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作成または単離された抗体が挙げられる。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかしながら、ある種の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列についての動物トランスジェニックが使用される場合、インビボ体細胞突然変異誘発)に供され、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、関連するが、インビボではヒト抗体生殖細胞系レパートリー内には天然に存在し得ない配列である。
【0041】
ヒト抗体は、ヒンジの不均一性に関連する2つの形態で存在することができる。ある実施形態では、免疫グロブリン分子は、約150~160kDaの安定な4本鎖構築物を含み、二量体は、鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持される。別の実施形態では、二量体は、鎖間ジスルフィド結合を介して連結されておらず、約75~80kDaの分子は、共有結合した軽鎖および重鎖(半抗体)で構成される。ある種の実施形態では、これらの形態は、アフィニティー精製後であっても、分離するのが極めて困難であった。
【0042】
種々の無傷IgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、限定されないが、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造的相違に起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、ヒトIgG1ヒンジを用いて典型的に観察されるレベルまで、第2の形態の出現を有意に低減させることができる。本開示は、様々な実施形態では、ヒンジ、CH2またはCH3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含し、例えば、生成において、所望の抗体形態の収率を改善するために望ましい場合がある。
【0043】
「単離された抗体」とは、本明細書で使用される場合、その自然環境の少なくとも1つの構成要素から同定され、分離され、および/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの構成要素から、または抗体が天然に存在するかもしくは天然に生成される組織もしくは細胞から分離または除去された抗体は、「単離された抗体」である。様々な実施形態では、単離された抗体はまた、組換え細胞内のインサイチュでの抗体を含む。他の実施形態では、単離された抗体は、少なくとも1つの精製または単離工程に供された抗体である。様々な実施形態では、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まないことができる。
【0044】
用語「特異的に結合する」などとは、抗体またはその抗原結合断片が、生理学的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成することを意味する。抗体が抗原に特異的に結合するか否かを決定する方法は、当該技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、本明細書で使用されるIL-6Rに「特異的に結合する」抗体は、表面プラズモン共鳴アッセイで測定した場合、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満または約0.5nMのKDでIL-6R(例えば、ヒトIL-6R)またはその一部と結合する抗体を含む。一部の実施形態では、抗体は、約0.1nM~約1000nMまたは約1nM~約100nMのKDでIL-6R(例えば、ヒトIL-6Rα)に結合する。一部の実施形態では、抗体は、約1pM~約100pMまたは約40pM~約60pMのKDでIL-6R(例えば、ヒトIL-6Rα)に結合する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6Mまたはそれより小さい解離定数により特徴づけられる場合もある。他の実施形態では、解離定数は、少なくとも約1×10-7M、1×10-8M、または1×10-9Mである。しかしながら、ヒトIL-6Rに特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種由来のIL-6R分子などの他の抗原に対して交差反応性を有し得る。
【0045】
用語「表面プラズモン共鳴」とは、本明細書で使用される場合、例えば、BIACORE(登録商標)システム(GE Healthcare、Piscataway、NJのBiacore Life Sciences Division)を使用して、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することによってリアルタイム相互作用の分析を可能にする光学現象を指す。
【0046】
用語「KD」は、本明細書で使用される場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図する。
【0047】
用語「エピトープ」とは、パラトープとして公知である抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原は、1を超えるエピトープを有することができる。したがって、異なる抗体は、抗原上の異なる領域に結合することができ、異なる生物学的効果を有することができる。エピトープは立体的または線状であり得る。立体的エピトープは、線状ポリペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に並んだアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖中の隣接するアミノ酸残基によって生成されるものである。ある種の状況では、エピトープは、抗原上の糖、ホスホリル基、またはスルホニル基の部分を含み得る。
【0048】
本明細書に記載される方法に有用な抗IL-6R抗体は、様々な実施形態では、抗体が由来した対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域における1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含み得る。このような突然変異は、本明細書に開示されるアミノ酸配列を、例えば公開された抗体配列データベースから入手可能な生殖細胞系配列と比較することによって容易に確認することができる。本開示は、様々な実施形態では、本明細書に開示されるアミノ酸配列のいずれかから誘導される抗体およびその抗原結合断片の使用を伴う方法を含み、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸は、抗体が由来した生殖細胞系配列の対応する残基(複数可)に、または別のヒト生殖細胞系配列の対応する残基(複数可)に、または対応する生殖細胞系残基(複数可)の保存的アミノ酸置換(このような配列変化は、本明細書において総称して「生殖細胞突然変異」と称する)に突然変異される。1つもしくはそれ以上の個々の生殖細胞系突然変異またはそれらの組合せを含む多数の抗体および抗原結合断片を構築することができる。ある種の実施形態では、VHドメインおよび/またはVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基の全ては、抗体が由来した元の生殖細胞系配列内に見出される残基に復帰突然変異される。他の実施形態では、ある種の残基のみは、元の生殖細胞系配列に復帰突然変異され、例えば、FR1の最初の8個のアミノ酸内、もしくはFR4の最後の8個のアミノ酸内に見出される突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内に見出される突然変異残基のみである。他の実施形態では、1つもしくはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR残基(複数可)は、異なる生殖細胞系列配列(すなわち、抗体が最初に由来した生殖細胞系列配列とは異なる生殖細胞系列配列)の対応する残基(複数可)に突然変異される。さらに、抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内の2つまたはそれ以上の生殖細胞変異の任意の組合せを含み得、例えば、ある種の個々の残基は、ある種の生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されるが、一方、元の生殖細胞系配列とは異なるある種の異なる残基は、維持されるか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異される。一旦得られると、1つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異を含む抗体および抗原結合断片は、結合特異性の改善、結合親和性の増加、拮抗的または作動的な生物学的特性の改善または増強(場合により)、免疫原性の低減などの1つまたはそれ以上の所望の特性について容易に試験することができる。この一般的な方法で得られた抗体および抗原結合断片の使用は、本開示に包含される。
【0049】
本開示はまた、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかのバリアントを含む抗IL-6R抗体の使用を伴う方法を含む。例えば、本開示は、本明細書に開示されるHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列のいずれかに対して、例えば、10以下、8以下、6以下、4以下などの保存的アミノ酸置換を有するHCVR、LCVR、および/またはCDRアミノ酸配列を有する抗IL-6R抗体の使用を含む。
【0050】
本開示によれば、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、様々な実施形態において、参照によって本明細書にそのまま組み入れる米国特許第7、582、298号に記載されている抗IL-6R抗体のアミノ酸配列のいずれかを含む重鎖可変領域(HCVR)、軽鎖可変領域(LCVR)、および/または相補性決定領域(CDR)を含む。ある種の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVRの重鎖相補性決定領域(HCDR)、および配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRの軽鎖相補性決定領域(LCDR)を含む。ある種の実施形様によれば、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、3つのHCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2およびHCDR3)および3つのLCDR(すなわち、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含み、HCDR1は配列番号3のアミノ酸配列を含み、HCDR2は配列番号4のアミノ酸配列を含み、HCDR3は配列番号5のアミノ酸配列を含み、LCDR1は配列番号6のアミノ酸配列を含み、LCDR2は配列番号7のアミノ酸配列を含み、LCDR3は配列番号8のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列を含むHCVR、および配列番号2のアミノ酸配列を含むLCVRを含む。
【0051】
別の実施形態では、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。一部の実施形態では、hIL-6Rの細胞外ドメインは、配列番号11のアミノ酸配列を含む。ある種の例示的な実施形態によれば、本開示の方法は、サリルマブと呼ばれ、当該技術分野において公知である抗IL-6R抗体、またはその生物学的同等物の使用を含む。
【0052】
配列番号1のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSS
である。
【0053】
配列番号2のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIK
である。
【0054】
配列番号3のアミノ酸配列は、RFTFDDYAである。
【0055】
配列番号4のアミノ酸配列は、ISWNSGRIである。
【0056】
配列番号5のアミノ酸配列は、AKGRDSFDIである。
【0057】
配列番号6のアミノ酸配列は、QGISSWである。
【0058】
配列番号7のアミノ酸配列は、GASである。
【0059】
配列番号8のアミノ酸配列は、QQANSFPYTである。
【0060】
配列番号9のアミノ酸配列は、
EVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASRFTFDDYAMHWVRQAPGKGLEWVSGISWNSGRIGYADSVKGRFTISRDNAENSLFLQMNGLRAEDTALYYCAKGRDSFDIWGQGTMVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
である。
【0061】
配列番号10のアミノ酸配列は、
DIQMTQSPSSVSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYGASSLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFASYYCQQANSFPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
である。
【0062】
配列番号11のアミノ酸配列は、
MVAVGCALLAALLAAPGAALAPRRCPAQEVARGVLTSLPGDSVTLTCPGVEPEDNATVHWVLRKPAAGSHPSRWAGMGRRLLLRSVQLHDSGNYSCYRAGRPAGTVHLLVDVPPEEPQLSCFRKSPLSNVVCEWGPRSTPSLTTKAVLLVRKFQNSPAEDFQEPCQYSQESQKFSCQLAVPEGDSSFYIVSMCVASSVGSKFSKTQTFQGCGILQPDPPANITVTAVARNPRWLSVTWQDPHSWNSSFYRLRFELRYRAERSKTFTTWMVKDLQHHCVIHDAWSGLRHVVQLRAQEEFGQGEWSEWSPEAMGTPWTESRSPPAENEVSTPMQALTTNKDDDNILFRDSANATSLPVQD
である。
【0063】
用語「生物学的同等物」とは、本明細書で使用される場合、効能と安全性の両方に関して効果が比較分子と本質的に同じであると期待し得るように、同じモル用量および同様の条件(例えば、同じ投与経路)での投与後に類似した生物学的利用能(利用率および利用程度)を有する分子を指す。抗IL-6R抗体を含む2つの医薬組成物は、それらが薬学的に同等である場合に生物学的に同等であり、それらが、同じ投与経路のために、同じまたは同等の基準を満たすために、同じ投与形態で、同量の活性成分(例えば、IL-6R抗体)を含有することを意味する。生物学的同等性は、例えば、2つの組成物の薬物動態パラメーターを比較するインビボ試験によって決定することができる。生物学的同等性試験で一般的に用いられるパラメーターには、最高血漿中濃度(Cmax)および血漿中薬物濃度時間曲線下面積(AUC)がある。
【0064】
ある種の実施形態における開示は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域および配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体を対象に投与することを含む方法に関する。
【0065】
本開示は、このような抗体を含む医薬組成物、およびこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【0066】
様々な実施形態における抗体は、配列番号1の配列を含む重鎖可変領域および配列番号2の配列を含む軽鎖可変領域を含み、ヒトインターロイキン-6受容体(hIL-6R)に特異的に結合する抗体である。その全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2007/143168号を参照されたい。一実施形態では、抗体は、配列番号9の配列を含む重鎖可変領域および配列番号10の配列を含む軽鎖可変領域を含む。様々な実施形態では、抗体はサリルマブである。
【0067】
DMARD
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)は、関節リウマチにおける疾患進行を遅延させるためのそれらの使用により定義される薬物である。DMARDは、合成(sDMARD)および生物学的(bDMARD)として分類されてきた。合成DMARDには、非網羅的に、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンが含まれる。生物学的DMARDには、非網羅的に、アダリムマブ、ゴリムマブ、エタネルセプト、アバタセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、およびトシリズマブが含まれる。一部の実施形態では、DMARDは、TNFアンタゴニストである。TNFアンタゴニストには、限定されないが、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセルトリズマブペゴルが含まれる。
【0068】
投与方法および処方
本明細書に記載される方法は、治療的に有効な量の抗IL-6R抗体を対象に投与することを含む。本明細書で使用される場合、「有効量」または「治療有効量」は、NIPの治療をもたらす治療薬の用量である。ある種の実施形態では、有効量は、炎症コントロール(IC)にもかかわらず遷延するNIPの治療をもたらす治療薬の用量である。本明細書で使用される場合、「治療する」とは、NIPに関連する1つもしくはそれ以上の症状の検出可能な改善を引き起こすこと、または状態もしくは症状(複数可)を引き起こす基礎にある病理学的機序と相関する生物学的効果(例えば、特定のバイオマーカーのレベルの減少)を引き起こすことを指す。例えば、NIPの低下を引き起こす抗IL-6R抗体の用量が、「治療有効量」とみなされる。
【0069】
NIP関連の症状の「改善」とは、様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の疼痛関連検査、スコア、または測定基準(本明細書に記載される)の改善と相関し得る疼痛症状の発生率の低減を指す。例えば、改善は、1つまたはそれ以上の疼痛基準のベースラインからの減少と相関し得る。様々な実施形態では、改善はVASのベースラインからの減少を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「ベースライン」は、疼痛関連のパラメーターに関して、本技術の抗体の投与前または投与時の患者についての疼痛関連のパラメーターの数値を意味する。検出可能な「改善」は、本明細書に記載される少なくとも1つの試験、スコアまたは測定基準を使用して検出することも可能である。様々な実施形態では、改善はVASを使用して検出される。様々な実施形態では、改善は、それと対象のPASS状態との関係により特徴づけられる。
【0070】
様々な実施形態では、抗IL-6R抗体(例えばサリルマブ等)以外のDMARDを用いた前治療は不十分であった(例えば、対象および/または医師の評価に従い)、効果を有さなかった、および/またはNIPと関連する1つもしくはそれ以上のパラメーターもしくは症状において検出可能な改善を引き起こさなかった、および/またはNIPの状態もしくは症状(複数可)を惹起する潜在的病態機構(複数可)と相関する生物学的効果を引き起こさなかった。
【0071】
様々な実施形態では、IL-6R抗体は皮下に投与される。様々な実施形態では、IL-6R抗体はサリルマブである。
【0072】
様々な実施形態では、対象に投与される治療有効量の抗IL-6R抗体は、対象の年齢およびサイズ(例えば、体重または体表面積)、ならびに投与経路および当業者に周知の他の因子に依存して変化する。
【0073】
様々な実施形態では、用量は、対象の体重または表面積を問わず用量固定式である。様々な実施形態では、対象は少なくとも18歳である。様々な実施形態では、対象は30~100歳である。様々な実施形態では、対象は35~100歳である。様々な実施形態では、対象は35~8歳である。様々な実施形態では、対象は40~70歳である。
【0074】
本開示は、抗IL-6R抗体またはその抗原結合断片、および場合により、1つまたはそれ以上のさらなる治療剤を含む治療組成物を使用する方法を提供する。本開示の治療組成物は、改善された移動、送達、耐性などを提供するために製剤に組み込まれる適切な担体、賦形剤および/または他の薬剤とともに投与される。多くの適切な製剤が、全ての医薬化学者に公知である式、すなわち、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAに見出される。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、小胞を含有する脂質(カチオン性またはアニオン性)(例えば、LIPOFECTIN(登録商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、およびカルボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。
【0075】
様々な送達システム、例えばリポソーム内封入、微粒子、マイクロカプセル、受容体介在性エンドサイトーシスが公知であり、また本明細書に提示する医薬組成物を投与するのに使用可能である。導入方法としては、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が含まれる。組成物は、任意の好都合な経路、例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚裏打ち(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介する吸収により投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与することができる。投与は全身または局所であり得る。IL-6R抗体は、皮下投与することができる。
【0076】
医薬組成物はまた、リポソームなどの小胞内に送達することができる。ある種の実施形態では、医薬組成物は、放出制御システム、例えば、ポンプまたはポリマー材料を用いて送達することができる。ある種の実施形態では、放出制御システムを組成物の標的の近傍に配置することができ、したがって、全身投薬量のほんの一部しか必要としない。
【0077】
注射用製剤は、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、局所注射、点滴注射などのための投薬形態を含み得る。これらの注射用製剤は、公知の方法によって調製することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、上記抗体またはその塩を、注射に慣用的に使用される無菌水性媒体または油性媒体に溶解、懸濁または乳化させることによって調製することができる。注射用水性媒体としては、例えば、アルコール(例えば、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(水素化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)など]などの適切な可溶化剤と組み合わせて用いることができる生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがある。油性媒体としては、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどの可溶化剤と組み合わせて使用することができるゴマ油、大豆油などが用いられる。このようにして調製された注射液は、適切なアンプルに充填することができる。
【0078】
抗体は、典型的には、本明細書、およびその全体が参照により本明細書に組み入れられる国際公開第2011/085158号に記載されるように製剤化される。
【0079】
様々な実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-約100mg/mL~約200mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0080】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-少なくとも約130mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0081】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖、および
-約131.6mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0082】
別の実施形態では、抗体は、
-約21mMのヒスチジン、
-約45mMのアルギニン、
-約0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-約5%(w/v)のショ糖;および
-約175mg/mLの抗体
を含有する約pH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0083】
他の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)ショ糖、および
-100mg/mL~200mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0084】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)ショ糖、および
-少なくとも130mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0085】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)のショ糖、および
-131.6mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0086】
別の実施形態では、抗体は、
-21mMのヒスチジン、
-45mMのアルギニン、
-0.2%(w/v)のポリソルベート20、
-5%(w/v)のショ糖;および
-175mg/mLの抗体
を含有するpH6.0の水性緩衝溶液として投与される。
【0087】
様々な実施形態では、抗体は、(i)25mM~100mMの濃度のヒスチジン;(ii)25mM~50mMの濃度のアルギニン;(iii)3%~10%w/vの量のスクロース;および(iv)0.1%~0.2%の量のポリソルベート20を含む安定な医薬製剤として投与され、製剤は、約5.8、約6.0、または約6.2のpHを有し、また45℃で保管して1カ月後に、粒径排除クロマトグラフィーにより決定した場合、少なくとも90%の天然型抗体が回収される。様々な実施形態では、抗体(例えば、サリルマブ)、約150mgが対象に投与される。
【0088】
様々な実施形態では、抗体は、(i)約10mM~約25mMの濃度のヒスチジン;(ii)約25mM~約50mMの濃度のアルギニン;(iii)約5%~約10%w/vの量のスクロース;および(iv)約0.1%~約0.2%w/vの量のポリソルベートを含む安定な医薬製剤として投与され、製剤は、約5.8、約6.0、または約6.2のpHを有し、また45℃で保管して1カ月後に、粒径排除クロマトグラフィーにより決定した場合、少なくとも90%の天然型抗体が回収される。様々な実施形態では、抗体(例えば、サリルマブ)、約150mgが対象に投与される。
【0089】
有利には、上述の経口または非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合させるのに好適な単位投与量で投薬形態に調製される。単位投薬量中のこのような投薬形態は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐薬などを含む。
【0090】
様々な実施形態では、抗IL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)は、任意の許容可能なデバイスまたは機構を用いて患者に投与することができる。例えば、投与は、シリンジおよび針を用いて、または再使用可能なペンおよび/もしくは自動注入器送達デバイスを用いて達成することができる。本開示の方法は、抗IL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)を投与するための多数の再使用可能なペンおよび/または自動注入器送達デバイスの使用を含む。このようなデバイスの例としては、限定されないが、AUTOPEN(登録商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(登録商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX(登録商標)75/25ペン、HUMALOG(登録商標)ペン、HUMALIN(登録商標)70/30ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(登録商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(登録商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(登録商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(登録商標)、OPTIPEN PRO(登録商標)、OPTIPEN STARLET(登録商標)、およびOPTICLIK(登録商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が含まれる。本開示の医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペンおよび/または自動注入器送達デバイスの例としては、限定されないが、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(登録商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(登録商標)(Novo Nordisk),およびKWIKPEN(登録商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(登録商標)Autoinjector(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(登録商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(登録商標)(Dey、L.P.)、ならびにHUMIRA(登録商標)ペン(AbbVie Inc.、North Chicago、IL)が含まれる。
【0091】
様々な実施形態では、抗体は充填済みシリンジで投与される。様々な実施形態では、抗体は、安全システムを含む充填済みシリンジで投与される。例えば、安全システムは、偶発的な針刺し損傷を防止する。様々な実施形態では、抗体は、ERIS安全システム(West Pharmaceutical Services Inc.)を含む充填済みシリンジで投与される。
【0092】
様々な実施形態では、抗体は自動注入器を用いて投与される。様々な実施形態では、抗体は、PUSHCLICK(登録商標)技術(SHL Group)を特徴とする自動注入器を用いて投与される。様々な実施形態では、自動注入器は、ある用量の組成物および/または抗体の対象への投与を可能にするシリンジを含むデバイスである。
【0093】
抗IL-6R抗体(または抗体を含む医薬製剤)を患者に送達するためのマイクロインフューザーの使用もまた、本明細書において意図される。本明細書で使用される場合、用語「マイクロインフューザー」とは、長期間(例えば、約10、15、20、25、30分またはそれ以上)にわたって、大量(例えば、約2.5mLまたはそれ以上)の治療製剤をゆっくりと投与するように設計された皮下送達デバイスを意味する。マイクロインフューザーは、高濃度(例えば、約100、125、150、175、200mg/mLまたはそれ以上)および/または粘稠溶液内に含有される大用量の治療タンパク質の送達に特に有用である。
【0094】
様々な実施形態では、前治療に対する不十分な応答とは、前治療を代表的最大耐容用量で受けた後に、疼痛が十分にコントロールされていない対象を指す。ある実施形態では、前治療に対する不十分な応答とは、中等度または高度の疾患活動性を有し、前治療にもかかわらず予後不良の特徴を有する対象を指す。様々な実施形態では、前治療に対する不十分な応答とは、改善されていないか、または前治療にもかかわらず悪化した疼痛症状(例えば、本明細書に列挙されたいずれかの症状)を有する対象を指す。
【0095】
患者母集団
本明細書で使用される場合、「対象」とは、ヒト対象またはヒト患者を意味する。
【0096】
本明細書に記載されるような抗体は、様々な実施形態では、関節リウマチを有し、またNIPに罹患している対象に投与される。様々な実施形態では、対象はNIPおよび関節リウマチを有する。様々な実施形態では、対象は、IL-6R抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった。
【0097】
担当医師により「治療を受けたが効果がなかった」と考えられる対象は、様々な実施形態において、医師によりテストされた1つまたはそれ以上のDMARDに対して不耐性であることが判明した対象、および/または医師によりテストされた1つまたはそれ以上のDMARDに対して不十分な応答を示した対象であり、典型的には、これまでに1つまたはそれ以上のDMARDが投与されたにもかかわらず、NIPを呈するまたは有すると医師によりなおもみなされる対象である。
【0098】
様々な実施形態では、関節リウマチの対象は、
-代表的な腫脹および圧痛関節数定量検査において、医師により計測したとき、少なくとも、腫脹関節66箇所のうち6箇所および圧痛関節68箇所のうち8箇所、
-高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)≧8mg/LまたはESR≧28mM/H
-DAS28ESR>5.1
を有する。
【0099】
様々な実施形態では、抗体とは異なる少なくとも1つのDMARDを投与することによる関節リウマチの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、DMARDを投与することによるNIPの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象である。様々な実施形態では、DMARDは、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンからなる群から選択される。様々な実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。様々な実施形態では、DMARDはTNF-αアンタゴニストである。様々な実施形態では、DMARDはアダリムマブである。
【0100】
様々な実施形態では、抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することによるNIPの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、メトトレキサートに対して応答が不十分または不耐性であった対象である。
【0101】
様々な実施形態では、抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することによるNIPの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象は、アダリムマブに対して応答が不十分または不耐性であった対象である。
【0102】
様々な実施形態では、IL-6R抗体とは異なる1つまたはそれ以上のDMARDを投与することによるNIPの治療をこれまでに受けたが効果がなかった対象に対して、1つまたはそれ以上のDMARDは対象に対してもはや投与されず、そして様々な実施形態では、IL-6R抗体が、対象に対する単剤療法において単独で投与される。
【0103】
様々な実施形態では、対象は、DMARDを用いた治療に由来する1つまたはそれ以上の身体的反応、状態、または症状に起因して、DMARDに対して不耐性である。身体的反応、状態、または症状として、アレルギー、疼痛、悪心、下痢、高窒素血症、胃の出血、腸出血、口内炎、血小板減少、小腸の穿孔、細菌性感染症、歯肉または口腔の炎症、胃の内層または腸の内層の炎症、細菌性敗血症、胃潰瘍、腸潰瘍、皮膚の太陽光過敏症、浮動性めまい、食欲不振、エネルギー不足、および嘔吐を挙げることができる。ある種の実施形態では、不耐性は、対象を検査した際に、対象によりまたは医療専門家により決定可能である。様々な実施形態では、DMARDは、メトトレキサート、スルファサラジン、レフルノミド、およびヒドロキシクロロキンからなる群から選択される。ある種の実施形態では、DMARDはメトトレキサートである。ある種の実施形態では、DMARDはアダリムマブである。
【0104】
ある種の実施形態では、本開示は、IL-6R抗体と組み合わせて、1つまたはそれ以上の追加の治療剤を対象に投与する工程を提供する。本明細書で使用される場合、表現「~と組み合わせて」とは、追加の治療剤が、IL-6R抗体を含む医薬組成物の前、後、またはそれと同時に投与されることを意味する。ある種の実施形態では、対象には、DMARDおよび/またはTNF-αアンタゴニストとともに抗体が投与される。
【実施例1】
【0105】
サリルマブ、NIP状態、および疾患活動性
本研究では、非炎症性疼痛(NIP)の有病率、NIPに対するサリルマブの効果、ならびにサリルマブ治療、疾患活動性、およびNIP状態との間の関連性がベースライン時に調査され、その後サリルマブ治療の3および6カ月後に再び調査された。
【0106】
データソース
患者データは、サリルマブ150mgおよび200mg q2wの2つのプラセボ対照RCT(MOBILITY、NCT01061736;TARGET、NCT01709578)、ならびにサリルマブ200mg q2w(MONARCH、NCT02332590)の1つのアダリムマブ対照RCTから収集された。
【0107】
試験のエンドポイント
NIPは、確立された式:TJC-SJC≧710、11を使用して、28関節の圧痛関節数(TJC)と腫脹関節数(SJC)との間の差として定義された。患者は、研究ベースラインでNIPについて、12および24週目でNIP状態の変化について評価された。最後に、24週目で米国リウマチ学会の20/50/70(ACR20/50/70)基準、臨床疾患活動指数(CDAI)≦10およびC反応性タンパク質による28関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)<3.2を達成した患者の割合が、ベースラインNIPを有する患者と有さない患者で評価された。
【0108】
結果
NIP状態による人口統計学的およびベースライン疾患の特徴
ベースラインNIPを有する患者は、NIPを有さない患者よりも疾患活動性の複合測定値が高かったが、炎症の測定値は類似していた(表1)。分析に含まれた2112人の患者のうち、490人(23%)がベースラインでNIPを有していた(MOBILITY、25%[294/1197];TARGET、19%[106/546];MONARCH、24%[90/369])。ベースラインNIPを有する患者および有さない患者は、ベースライン時に類似の人口統計学的特徴を有していた(表2)。
【0109】
【0110】
【0111】
サリルマブ、NIP状態、および疾患活動性
ベースラインNIPを有する患者の中で、サリルマブを投与された患者は、プラセボまたはアダリムマブを投与された患者と比較して、12および24週目にNIPを有さない可能性が高かった(
図1)。3つの研究(MOBILITY、TARGET、およびMONARCH)全てにおいて、サリルマブと対照治療の相対的な差は、治療期間とともに増加するように見えた。MONARCHでは、ベースラインNIPの存在に関係なく、アダリムマブで治療された患者よりもサリルマブで治療された患者の方が、24週目に治療効果を達成した患者の割合が高かった(
図2)。治療群間の相対的な差は、ACR50を除く全ての評価においてベースラインNIPを有する患者で大きかった。3および6カ月の治療後、サリルマブで治療された患者と比較して、プラセボおよびアダリムマブで治療された患者では、非炎症性疼痛の有病率が高かった。さらに、ベースライン時での非炎症性疼痛に関係なく、6カ月の治療後に低い疾患活動性を達成した患者の割合はアダリムマブよりもサリルマブで高くなった。
【0112】
結論
12および24週目では、プラセボまたはアダリムマブで治療された患者よりも、サリルマブで治療された患者の方がNIPの有病率が低かった。このデータは、NIPがRA患者の疼痛に寄与すること、およびRA患者のNIPを本開示の組成物で治療できることを示している。
【0113】
References
1. Boyden SD, et al. Curr Rheumatol Rep 2016; 18:30.
2.Choy EHS, Calabrese LH. Rheumatology (Oxford) 2018;57:1885-95.
3.BrennD, et al. Arthritis Rheum 2007; 56:351-9.
4.Zhou YQ, et al. J Neuroinflammation 2016; 13:141.
5.KEVZARA (sarilumab) [Summary of Product Characteristics]. Bridgewater, NJ: Sanofi.
6.KEVZARA (sarilumab) [Prescribing Information] 2017. Bridgewater, NJ: Sanofi.
7.Strand V, et al. Arthritis Res Ther 2016; 18:198.
8.Strand V, et al. RMD Open 2017; 3:e000416.
9.BurmesterGR, et al. Ann Rheum Dis 2017; 76:840-7.
10.Duran J, et al. Rheumatology (Oxford) 2015;54:2166-70.
11.Pollard LC, et al. Rheumatology (Oxford) 2010;49:924-8.
12. Schaible H. Nociceptive neurons detect cytokines in arthritis. Arthritis Res Ther. 2014; 16(5):470.
13. Turk D, Okifuji A. Pain terms and taxonomies. Bonica’s Management of Pain. 3rd ed: Lippincott Williams & Wilkins; 2001.
14. Yang S, Chang M. Chronic pain: Structural and functional changes in brain structures and associated negative affective states. Int J Mol Sci. 2019;20(13):3130.
15. Schaible H. Nociceptive neurons detect cytokines in arthritis. Arthritis Res Ther. 2014;16(5):470.
16. Cazzola M, et al. Physiopathology of pain in rheumatology. Reumatismo. 2014;66(1):4-13.
17. Deane KD, et al. Preclinical rheumatoid arthritis: identification, evaluation, and future directions for investigation. Rheum Dis Clin North Am. 2010;36(2):213-41.
18. de Haas WH, et al. Rheumatoid arthritis, typus robustus. Ann Rheum Dis. 1973;32(1):91-2.
19. Kristensen LE, et al. Is swollen to tender joint count ratio a new and useful clinical marker for biologic drug response in rheumatoid arthritis? results from a Swedish cohort. Arthritis Care Res (Hoboken). 2014;66(2):173-9
20. Challa DN, et al. Patient-provider discordance between global assessments of disease activity in rheumatoid arthritis: A comprehensive clinical evaluation. Arthritis Res Ther. 2017; 19(1):212.
21. Khan NA, et al. Determinants of discordance in patients' and physicians' rating of rheumatoid arthritis disease activity. Arthritis Care Res (Hoboken). 2012; 64(2):206-14.
22. Studenic P, et al. Discrepancies between patients and physicians in their perceptions of rheumatoid arthritis disease activity. Arthritis Rheum. 2012; 64(9):2814-23.
23. Hammer H, et al. Major reduction of ultrasound detected synovitis during subcutaneous tocilizumab treatment; results from a multicenter 24 weeks study of patients with rheumatoid arthritis [abstract]. Arthritis Rheumatol. 2018; 70(suppl 10).
24. Maini RSC, E. W., et al. Infliximab (chimeric anti-tumour necrosis factor alpha monoclonal antibody) versus placebo in rheumatoid arthritis patients receiving concomitant methotrexate: A randomised phase III trial. ATTRACT study group. Lancet. 1999; 354(9194):1932-9.
25. Lee YC, et al. Pain persists in DAS28 rheumatoid arthritis remission but not in ACR/EULAR remission: A longitudinal observational study. Arthritis Res Ther. 2011; 13(3):R83.
26. Taylor P, et al. Patient perceptions concerning pain management in the treatment of rheumatoid arthritis. J Int Med Res. 2010; 38(4):1213-24.
27. Sarzi-Puttini P, et al. Correlation of the score for subjective pain with physical disability, clinical and radiographic scores in recent onset rheumatoid arthritis. BMC Musculoskelet Disord. 2002; 3:18.
28. McWilliams DF, Walsh DA. Pain mechanisms in rheumatoid arthritis. Clin Exp Rheumatol. 2017; 35(5):94-101.
29. Flodin P, et al. Intrinsic brain connectivity in chronic pain: A resting-state fMRI study in patients with rheumatoid arthritis. Front Hum Neurosci. 2016; 10:107.
30. Biswas M, et al. Prevalence, types, clinical associations, and determinants of peripheral neuropathy in rheumatoid patients. Ann Indian Acad Neurol. 2011; 14(3):194-7.
31. Adlan A, et al. Autonomic function and rheumatoid arthritis: A systematic review. Semin Arthritis Rheum 2014; 44(3):283-304.
32. Walsh DA, McWilliams DF. Mechanisms, impact and management of pain in rheumatoid arthritis. Nat Rev Rheumatol. 2014; 10(10):581-92.
33. Ramachandran VS, Blakeslee S. Phantoms in the brain: human nature and the architecture of the mind: HarperCollins; 1998.
34. Taylor et al., Nucl. Acids Res. 1992; 20:6287-6295.
35. Angal et al., Molecular Immunology; 1993 30:105.
36. Powell et al. "Compendium of excipients for parenteral formulations" PDA J Pharm Sci Technol 1998; 52:238-311.
37. Wu et al. J. Biol. Chem. 1987; 262:4429-4432.
38. Langer Science 1990; 249:1527-1533.
39. U.S. Patent No. 5,215,534.
40. U.S. Patent No. 9,248,242.
41. U.S. Patent No. 9,427,531.
42. U.S. Patent No. 9,566,395.
43. U.S. Patent No. 6,629,949.
44. U.S. Patent No. 6,659,982.
45. Meehan et al., J. Controlled Release 1996; 46:107-116.
46. Rose-John et al., J Leukoc Biol. 2006; 80(2), 227-36.
47. Committee for Medicinal Products for Human Use, Assessment Report, April 27, 2017 EMA/292840/2017, available at www_dot_ema_dot_europa_dot_eu/documents/assessment_report/kevzara_epar_public_assessment_report_en_dot_pdf.
【配列表】
【国際調査報告】