(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】レーダ信号送信方法、レーダ信号受信方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01S 13/58 20060101AFI20230620BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230620BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20230620BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230620BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
G01S13/58 200
G01S13/931
G01S13/34
G01S7/02 210
H01Q21/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573474
(86)(22)【出願日】2020-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2020093630
(87)【国際公開番号】W WO2021243491
(87)【国際公開日】2021-12-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラオ、ダペン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ジンナン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ロンジアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、ジンタイ
(72)【発明者】
【氏名】リ、デジアン
【テーマコード(参考)】
5J021
5J070
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA06
5J021AA11
5J021FA07
5J021FA13
5J021FA23
5J021FA26
5J021FA29
5J021HA04
5J070AB09
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC13
5J070AD05
5J070AE20
5J070AF04
5J070AF05
5J070AF06
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK22
5J070BA01
(57)【要約】
レーダ信号送信方法、レーダ信号受信方法および装置はレーダ装置に適用される。レーダ信号送信方法は、S個のスロットにおいて第1信号および第2信号を送信する段階であって、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままであり、第1信号はSIMO信号と同等であり得る、段階と、時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つで、第2信号を送信する段階であって、位相変調は、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって実行され、第2信号はMIMO信号と同等である、段階とを備える。P=2であるとき、MIMO信号は時分割方式で送信される。P>2であるとき、MIMO信号は時分割方式および符号分割方式で送信される。前述の方法において、第1信号および第2信号の両方ともS個のスロットにおいて送信されるので、第1信号および第2信号を使用することによって標的を検出するために必要な時間長は、大幅に低減され、検出効率が改善され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置に適用されるレーダ信号送信方法であって、前記レーダ装置はN個の送信アンテナを備え、Nは2より大きい整数であり、前記レーダ信号送信方法は、
前記N個の送信アンテナの第1送信アンテナを通じて、S個の連続スロットにおいて第1信号を送信する段階であって、Sは4以上の整数である、段階と、
時分割方式または符号分割方式の少なくとも1つで、前記第1送信アンテナを除く前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、前記S個のスロットにおいて第2信号を送信する段階であって、mは2以上かつN未満の整数である、段階と、
を備え、前記m個の送信アンテナの各々を通じて送信される信号に対して、2πk
y/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、k
yは0より大きくP未満の整数であり、k
yは、前記m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調パラメータを表し、y=1、...、またはmである、レーダ信号送信方法。
【請求項2】
前記m個の送信アンテナは第1アンテナグループおよび第2アンテナグループを含み、前記第1アンテナグループにおける各アンテナによって送信される信号の位相ステップは異なり、前記第1アンテナグループにおけるすべてのアンテナによって送信される信号は同じスロットを占有し、
前記第2アンテナグループにおける各アンテナによって送信される信号の位相ステップは異なり、前記第2アンテナグループにおけるすべてのアンテナによって送信される信号は同一の時間スロットを占有し、
前記第1アンテナグループおよび前記第2アンテナグループは時分割方式で信号を送信する、
請求項1に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項3】
前記第1信号の位相は、前記S個の連続スロットにおいて変化しないままであり、または、前記S個の連続スロットにおける隣接スロットにおける前記第1信号の位相ステップは0である、請求項1または2に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項4】
前記第2信号は、位相シフタのスイッチ状態および/または位相選択を設定することによって変調される、請求項1から3のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項5】
(Nd+1)×P×M>S≧Nd×P×Mであり、Ndは前記m個の送信アンテナの送信パターンの反復回数を表し、Ndは1以上であり、
前記送信パターンは、時分割方式を使用する送信アンテナの信号が、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有することを示し、Mは、前記m個の送信アンテナの1つによって占有されるスロットにおける隣接スロットの間で隔てられるスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である、請求項1から4のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項6】
前記m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信される信号に対して、2πk
y/Pのステップを使用することによって位相変調が実行されるとき、k
yの値は異なる、請求項1から5のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項7】
2πk
y/Pのステップを使用することによって取得されるP個の位相は、位相[0,2π/P,4π/P,6π/P,...,(P-1)×2π/P]を含む位相シフタによって生成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項8】
前記レーダ信号送信方法はさらに、時分割方式で前記m個の送信アンテナを通じて前記S個のスロットの後のS0個のスロットにおいて第3信号を送信する段階であって、S0は1より大きい整数である、段階を備え、
前記S0個のスロットにおける前記第3信号の送信パターンは、前記S個のスロットにおける前記第2信号の送信パターンと同一であり、S=Nd×P×Mであり、Mはm/(P-1)以上の整数である、請求項1から7のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項9】
m=N1+N2、N1≧2、およびN2≧1であり、
時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つで、前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、前記S個のスロットにおいて第2信号を送信する前記段階は、
前記S個のスロットにおける最初のS1個のスロットにおいて、P×M1個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M1個のスロットからM1の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、前記m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナを通じて前記第2信号を別々に送信する段階と、
前記S個のスロットにおける最後のS2個のスロットにおいて、P×M2個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M2個のスロットからM2の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、前記m個の送信アンテナにおける前記N1個の送信アンテナ以外のN2個の送信アンテナを通じて、前記第2信号を別々に送信する段階と
を含み、S=S1+S2、M1≠M2、M1≧N1/(P-1)、およびM2≧N2/(P-1)である、請求項1に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項10】
前記S個のスロットにおける前記第1信号の信号波形は、周波数変調連続波FMCWであり、
前記S個のスロットにおける前記第2信号の信号波形はFMCWである、
請求項1から9のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項11】
P=2、3または4である、請求項1から10のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法。
【請求項12】
レーダ装置に適用されるレーダ信号受信方法であって、前記レーダ装置は、N個の送信アンテナ、および、少なくとも1個の受信アンテナを備え、Nは2より大きい整数であり、mは2以上かつN未満の整数であり、前記レーダ信号受信方法は、
前記少なくとも1個の受信アンテナの各々のM個のサブレンジドップラーRDマップを取得する段階であって、各受信アンテナの前記M個のサブRDマップにおける第iサブRDマップは、S個のスロットにおける前記受信アンテナのエコー信号における、開始スロットがそれぞれiである、M個のスロットの間隔である信号に対して2次元高速フーリエ変換2D-FFTを実行する結果であり、iは1、2、...、およびMの任意の整数に設定され、前記エコー信号は、第1信号および第2信号が少なくとも1個の標的によって反射された後に形成され、前記第1信号は、前記N個の送信アンテナの1つを通じて前記S個のスロットにおいて送信され、前記第1信号の位相は、前記S個のスロットにおいて変化しないままであり、前記第2信号は、時分割方式および符号分割方式の少なくとも1つで、前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて前記S個のスロットにおいて送信され、前記m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、前記第2信号における信号に対して、2πk
y/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、k
yは0より大きくP未満の整数であり、k
yは、前記m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである、段階と、
各受信アンテナの前記M個のサブRDマップが累積された後に取得されるサブRDマップに基づいて第1標的を検出し、前記第1標的のレンジ情報を取得する段階であって、前記第1標的は、前記少なくとも1つの標的のうちの1または複数である、段階と
を備える、レーダ信号受信方法。
【請求項13】
前記レーダ信号受信方法はさらに、
総レンジドップラーRDマップを取得する段階であって、前記総RDマップは、前記S個のスロットにおけるすべての隣接スロットにおいて2D-FFTを実行する結果である、段階を備える、請求項12に記載のレーダ信号受信方法。
【請求項14】
前記レーダ信号受信方法はさらに、
前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階であって、前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的の前記第1信号の前記エイリアシング速度の前記少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subは、Nfft/Pの間隔であるP個の可能な位置に位置し、Nfftは、前記累積の後に取得される前記サブRDマップの2D-FFTの次元である、段階を備える、請求項12に記載のレーダ信号受信方法。
【請求項15】
前記レーダ信号受信方法はさらに、前記累積の後に取得される前記サブRDマップおよび前記総RDマップをマッチして、前記第1標的の非エイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_total、および、前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的に対応するエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階を備える、請求項13に記載のレーダ信号受信方法。
【請求項16】
前記レーダ信号受信方法はさらに、
前記m個の送信アンテナの時分割によって生じるドップラー位相偏移、および、前記m個の送信アンテナの符号分割によって生じる位相偏移を補償し、前記第1標的の角度情報を取得する段階を備える、請求項12に記載のレーダ信号受信方法。
【請求項17】
レーダ装置であって、前記レーダ装置は、アンテナアレイ、プロセッサおよびマイクロ波集積回路を備え、前記アンテナアレイはN個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数であり、
前記プロセッサは、請求項1から11のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法における第1信号および第2信号を決定するよう構成され、
前記マイクロ波集積回路は、前記プロセッサによって決定される前記第1信号および前記第2信号を生成するよう構成され、
前記アンテナアレイは、前記マイクロ波集積回路によって生成される前記第1信号および前記第2信号を送信するよう構成される、レーダ装置。
【請求項18】
レーダ装置であって、前記レーダ装置は、N個の送信アンテナおよびプロセッサを備え、Nは2より大きい整数であり、前記N個の送信アンテナは、請求項1から11のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法における第1信号および第2信号を送信するよう構成される、レーダ装置。
【請求項19】
レーダ装置であって、前記レーダ装置は受信機およびプロセッサを備え、前記受信機は少なくとも1個の受信アンテナを含み、
前記受信機は、請求項12から16のいずれか一項に記載のレーダ信号受信方法におけるエコー信号を受信するよう構成され、
前記プロセッサは、請求項12から16のいずれか一項に記載のレーダ信号受信方法を実行するよう構成される、レーダ装置。
【請求項20】
メモリおよびプロセッサを備えるレーダ装置であって、前記メモリは命令を格納するよう構成され、前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記命令を実行するよう構成され、前記メモリに格納された前記命令を実行するとき、前記プロセッサは、請求項12から16のいずれか一項に記載のレーダ信号受信方法を実行するよう構成される、レーダ装置。
【請求項21】
コンピュータプログラムまたは命令を備える可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムまたは前記命令が実行されるとき、請求項1から11のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法、または、請求項12から16のいずれか一項に記載のレーダ信号受信方法が実行される、可読記憶媒体。
【請求項22】
コンピュータ可読命令を備えるコンピュータプログラムであって、レーダ装置が前記コンピュータ可読命令を読み取り実行するとき、前記レーダ装置は、請求項1から11のいずれか一項に記載のレーダ信号送信方法、または、請求項12から16のいずれか一項に記載のレーダ信号受信方法を実行可能である、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はレーダ技術の分野に関し、特に、レーダ信号送信方法、レーダ信号受信方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載レーダは自動運転システムにおける不可欠なセンサである。車載レーダを使用することにより、障害物(標的とも称され得る)検出が車両に提供され得る。具体的には、車載レーダは、周波数変調連続波(frequency modulated continuous wave,FMCW)を送信し、障害物の反射したエコーを検出することによって障害物の距離、速度および方位角を測定し得る。
【0003】
近年、車載レーダ技術は継続的に発展し、車載レーダの性能は継続的に改善しており、このことは、具体的には以下の態様において反映され得る。周波数帯域は24GHzから77GHz/79GHzに徐々に発展し、より高いスキャン帯域幅を通じて、より高いレンジ分解能が取得される。チャープ(chirp)スキャン期間は、波形の観点から、数msからμsに低減され、その結果、測定距離は測定速度から分離され、誤目標の可能性が低減される。チャネルの数は、単入力多出力(single-input multiple-output,SIMO)モードから多入力多出力(multiple-input multiple-output,MIMO))モードに発展し、アンテナスケールは継続的に増加し、その結果、仮想アンテナアパーチャが拡大され、角度分解能を改善し、標的のより高い空間分解能のための自律運転の要件を満たす。標的角度を取得するために複数の送信アンテナの信号が隔てられる必要があるので、複数の送信アンテナの直交波形を設計する必要がある。
【0004】
MIMOレーダの複数の送信アンテナは、時分割多重(time division multiplexing,TDM)方式でチャープ(chirp)信号を送信して、仮想アンテナアパーチャを拡大する、すなわち、TDM MIMO波形を実装し得る。しかしながら、TDM MIMO波形において、最大速度測定レンジVmax_MIMOが減少し、Vmax_MIMO=Vmax_SIMO/Ntxであり、ここで、Ntxは送信アンテナの数である。
【0005】
代替的に、複数の送信アンテナの信号は、符号分割多重(Code Division Multiple,CDM)方式で同時に送信され得る。CDMはまた、いくつかの文書において、ドップラー分割多重(Doppler Division Multiplexing,DDM)またはドップラー分割多元接続(Doppler Division Multiple Access,DDMA)と称される。文書「Automotive Fast-Chirp MIMO Radar with Simultaneous Transmission in a Doppler-Multiplex,the 19th International Radar Symposium IRS,2018」において、二位相(binary phase)を使用することによって、2つの送信アンテナを有するMIMOレーダが実装される。文書「Automotive Radar Doppler Division MIMO With Velocity Ambiguity Resolving Capabilities,16th European Radar Conference (EuRAD),2019」において、二位相を使用することによって、3つの送信アンテナの同時送信が実装される。2つの方式は、信号位相に対するチップにおける位相シフタの厳密な制御によって限定され、したがって、より多くのアンテナの直交伝送を実装できない。結果として、速度測定レンジおよび角度分解能の両方の要件を満たすことができない。
【発明の概要】
【0006】
本願の目的は、レーダ信号送信方法、レーダ信号受信方法および装置を提供し、それにより、レーダ装置によって送信された直交波形が速度測定レンジおよび角度分解能の両方の要件を満たすことができないという、従来の技術における問題を克服することである。
【0007】
第1態様によれば、本願はレーダ装置に適用されたレーダ信号送信方法を提供する。レーダ装置はN個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数であり、mは2以上かつN未満の整数である。方法は、S個のスロットにおいて第1信号および第2信号の両方を送信する段階であって、第1信号はN個の送信アンテナの1つを通じて送信され、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままであり、第2信号は、時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいて、N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じてS個のスロットにおいて送信され、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって、位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、m個の送信アンテナにおける第y送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである、段階を備える。
【0008】
前述の方法において、第1信号は1個の送信アンテナの信号のみを含み、S個の連続スロットを占有するので、第1信号はSIMO信号であり得る。第1信号の利点は、速度測定レンジが大きいことである。第2信号は、m個の送信アンテナを通じて送信された信号を含み、したがって、MIMO信号として理解され得る。第2信号の利点は、測定された角度分解能が高いことである。大きい速度測定レンジおよび高い角度分解能の両方は、時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいて、第1信号および第2信号を送信することによって取得され得る。
【0009】
可能な設計において、Sは値範囲を有し得、すなわち、(Nd+1)×P×M>S≧Nd×P×Mであり、ここで、Ndはm個の送信アンテナの送信パターンの反復回数の数を表し、Ndは1以上である。送信パターンは、時分割方式を使用する送信アンテナの信号が、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有することを示し、ここで、Mは、m個の送信アンテナの1つによって占有されたスロットにおける隣接スロット間で隔てられたスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である。送信パターンは、P×M個のスロットにおける信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係を示し得る。P、Nd、およびMの値範囲、すなわち、P=2、m=2、M=m/(P-1)=2およびNd=1から、Sの最小値は4であり得ることが分かる。
【0010】
前述の方法において、標的の速度を測定するための速度分解能は、Sの値に反比例するλ/(2×S×Tchip)であるので、Sの値が大きいほど、速度分解能がより小さく、標的を取得するための速度がより正確であることを示す。λは変調周波数の波長であり、Tchipはスロットの時間長である。
【0011】
可能な設計において、m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信された信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる。例えば、1つの送信アンテナが、2π/Pのステップを使用することによって位相変調を実行し、他の送信アンテナが、4π/Pのステップを使用することによって位相変調を実行する。
【0012】
前述の方法において、同じスロットを占有する送信アンテナは、異なるステップを使用することによって位相変調を実行し、その結果、異なる送信アンテナを通じて送信された信号は、位相に基づいて区別され得、目標検出の正確度が改善される。
【0013】
可能な設計において、位相[0、2π/P、4π/P、6π/P、...、(P-1)×2π/P]を含む位相シフタによって、P個の位相が生成される。
【0014】
可能な設計において、第3信号はさらに、時分割方式において、m個の送信アンテナを通じて、S個のスロットの後のS0個のスロットにおいて送信され得、S0は1より大きい整数である。第3信号の波形は第2信号の波形と同一であり、すなわち、S0個のスロットにおける第3信号の送信パターンは、S個のスロットにおける第2信号の送信パターンと同一であり、S=Nd×P×Mであり、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0015】
前述の方法において、S0個のスロットにおける第3信号は第1信号の後に送信され、その結果、標的の速度および標的の速度に対応するドップラー位相が、第1信号の速度分解能に基づいて取得され得る。
【0016】
可能な設計において、時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいて、N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じてS個のスロットにおける第2信号を送信することは、S個のスロットにおける最初のS1個のスロットにおいて、P×M1個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M1個のスロットから、M1の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおいてN1個の送信アンテナを通じて第2信号を別々に送信すること、ならびに、S個のスロットにおける最後のS2個のスロットにおいて、P×M2個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M2個のスロットから、M2の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナ以外のN2個の送信アンテナを通じて、第2信号を別々に送信することを含み、ここでm=N1+N2であり、N1≧2、N2≧1、S=S1+S2、M1≠M2、M1≧N1/(P-1)、およびM2≧N2/(P-1)である。
【0017】
前述の方法において、構成されたM1およびM2は異なるので、最大速度測定レンジは異なる。M1の間隔のエコーにおいて速度がエイリアシングされる2つの標的は、M2の間隔のエコーにおいて容易に区別され得る。逆に、M2の間隔のエコーにおいて速度がエイリアシングされる2つの標的は、M1の間隔のエコーにおいて容易に区別され得る。したがって、異なるスロット間隔M1およびM2が設定され、それにより、標的の実際の数を決定すること、および、反射したエコーが弱い標的の漏れを回避することを容易にする。
【0018】
可能な設計において、S個のスロットにおける第1信号の信号波形はFMCWであり得、S個のスロットにおける第2信号の信号波形もFMCWであり得る。代替的に、MIMOレーダによって使用される別の波形が使用され得、例えば、パルス波形または直交周波数分割多重方式(Orthogonal Frequency Division Multiplexing,OFDM)波形であり得る。
【0019】
可能な設計において、P=2、3、または4である。
【0020】
前述の方法において、異なる位相変調および符号化が第1信号および第2信号に使用され、数が4以下である位相のみが使用される。したがって、位相変調器の精度の要件が低減され、チップの要件が低減される。
【0021】
可能な設計において、第2信号を送信するm個の送信アンテナと第1信号を送信する1個の送信アンテナとの間の重なりは0であり、すなわち、第2信号を送信するm個の送信アンテナ、および、第1信号を送信する1個の送信アンテナは、N個の送信アンテナにおける異なる送信アンテナである。
【0022】
第2態様によれば、本願は、レーダ装置に適用されるレーダ信号受信方法を提供する。レーダ装置は、N個の送信アンテナおよび少なくとも1つの受信アンテナを含み、ここで、mは2以上かつN未満の整数であり、Nは2より大きい整数である。方法は、少なくとも1つの受信アンテナの各々のM個のサブレンジドップラーRDマップを取得する段階と、各受信アンテナのM個のサブRDマップが累積された後に取得されたサブRDマップに基づいて第1標的を検出する段階と、第1標的のレンジ情報を取得する段階とを備え、ここで、第1標的は少なくとも1つの標的の1または複数である。各受信アンテナのM個のサブRDマップにおける第iサブRDマップは、S個のスロットにおいて、受信アンテナのエコー信号における、開始スロットがそれぞれiである、M個のスロットの間隔である信号に対して2次元高速フーリエ変換2D-FFTを実行する結果であり、iは1、2、...、Mの任意の整数に設定され、エコー信号は、第1信号および第2信号が少なくとも1つの標的によって反射された後に形成され、第1信号は、N個の送信アンテナの1つを通じてS個のスロットにおいて送信され、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままであり、第2信号は、時分割方式および符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいて、N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、S個のスロットにおいて送信され、位相変調は、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって実行され、ここで、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きく、かつP未満の整数であり、kyは、m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである。
【0023】
従来の技術において、標的のエイリアシング速度のドップラースペクトル線が、総RDマップを使用することによって検出され、(P-1)×M+1個のドップラースペクトル線がマッチされる必要がある。前述の方法において、1つの標的が、累積後に取得されたサブRDマップを使用することによって検出される。同一の標的は、総RDマップを使用することによって検出が実行されたときに対応するドップラースペクトル線の数より遥かに小さいP個のドップラースペクトル線のみに対応するので、総RDマップを使用することより、サブRDマップを使用することの方が、標的のエイリアシング速度のドップラースペクトル線を検出することが容易である。
【0024】
RDマップは、1つの次元がレンジ情報であり他方の次元がドップラー情報であるレーダ出力グラフであることに留意されたい。RDマップは、レンジ次元の観点からレンジビン(Range bin)と称され、ドップラー次元の観点からドップラービン(Doppler bin)と称され、レンジ次元およびドップラー次元の両方の観点からレンジドップラーセル(Range-Doppler Cell)と称される。
【0025】
可能な設計において、総RDマップがさらに取得され得、総RDマップは、S個のスロットにおいてすべての隣接スロットにおいて2次元FFT(2D-FFT)を実行する結果であり得る。
【0026】
可能な設計において、方法はさらに、累積後に取得されるサブRDマップ上の第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階であって、累積後に取得されるサブRDマップ上の第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subは、Nfft/Pの間隔であるP個の可能な位置に位置し、Nfftは、累積後に取得されるサブRDマップの2D-FFTの次元である、段階を備える。
【0027】
可能な設計において、方法はさらに、累積後に取得されるサブRDマップおよび総RDマップをマッチして、第1標的の非エイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_total、および、累積後に取得されるサブRDマップ上の第1標的に対応するエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階を備える。
【0028】
可能な設計において、方法はさらに、m個の送信アンテナの時分割によって生じるドップラー位相偏移、および、m個の送信アンテナの符号分割によって生じる位相偏移を補償し、第1標的の角度情報を取得する段階を備える。正確な角度情報は、位相偏移を補償することによって取得され得る。
【0029】
第3態様によれば、レーダ装置が提供される。レーダ装置は、アンテナアレイ、プロセッサ、およびマイクロ波集積回路を含み、アンテナアレイはN個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数である。
【0030】
プロセッサは、第1態様の任意の可能な設計における第1信号および第2信号を決定するよう構成される。
【0031】
マイクロ波集積回路は、プロセッサによって決定される第1信号および第2信号を生成するよう構成される。
【0032】
アンテナアレイは、マイクロ波集積回路によって生成される第1信号および第2信号を送信するよう構成される。
【0033】
第4態様によれば、レーダ装置が提供される。レーダ装置は受信機およびプロセッサを備え、受信機は少なくとも1個の受信アンテナを含む。
【0034】
受信機は、第2態様の任意の可能な設計におけるエコー信号を受信するよう構成される。
【0035】
プロセッサは、エコー信号に基づいて、第2態様の任意の可能な設計における方法を実行するよう構成される。
【0036】
第5態様によれば、レーダ装置が提供され、メモリおよびプロセッサを含む。メモリは命令を格納するよう構成され、プロセッサは、メモリに格納された命令を実行するよう構成され、メモリに格納された命令を実行するとき、プロセッサは、第1態様の任意の可能な設計における第1信号および第2信号を生成するよう構成される。
【0037】
第6態様によれば、レーダ装置が提供され、メモリおよびプロセッサを含む。メモリは命令を格納するよう構成され、プロセッサは、メモリに格納された命令を実行するよう構成され、メモリに格納された命令を実行するとき、プロセッサは、第2態様の任意の可能な設計における方法を実行するよう構成される。
【0038】
第7態様によれば、可読記憶媒体が提供され、コンピュータプログラムまたは命令を含む。コンピュータプログラムまたは命令が実行されるとき、第1態様または第2態様の任意の可能な設計における方法が実行される。
【0039】
第8態様によれば、コンピュータプログラム製品が提供され、コンピュータ可読命令を含む。レーダ装置がコンピュータ可読命令を読み取り実行するとき、レーダ装置は、第1態様または第2態様の任意の可能な設計における方法を実行することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1(a)】本願の実施形態が適用可能であるレーダ装置の構造の概略図である。
【
図1(b)】本願の実施形態が適用可能であるレーダ装置の構造の概略図である。
【0041】
【
図2】本願の実施形態による、車両の構造の概略図である。
【0042】
【
図3】本願の実施形態による、レーダ信号送信手順の概略図である。
【0043】
【
図4】本願の実施形態による、レーダ信号の概略図である。
【0044】
【
図5】本願の実施形態による、別のレーダ信号の概略図である。
【0045】
【
図6】本願の実施形態による、別のレーダ信号の概略図である。
【0046】
【
図7】本願の実施形態による、レーダ信号受信手順の概略図である。
【0047】
【
図8】本願の実施形態による、別のレーダ信号受信手順の概略図である。
【0048】
【
図9】本願の実施形態による、別のレーダ信号受信手順の概略図である。
【0049】
【
図10(a)】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【
図10(b)】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【
図10(c)】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0050】
【
図11】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0051】
【
図12】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0052】
【
図13】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0053】
【
図14】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0054】
【
図15】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0055】
【
図16】本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
【0056】
【
図17】本願の実施形態による、レーダ装置の構造の概略図である。
【0057】
【
図18】本願の実施形態による、レーダ装置の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
以下ではさらに、添付図面を参照して本願の実施形態を詳細に説明する。
【0059】
図1(a)は、本願の実施形態による、レーダ装置の概略図である。
図1(a)におけるレーダ装置はMIMOレーダであり得、アンテナアレイ101、マイクロ波集積回路(monolithic microwave integrated circuit,MMIC)102、およびプロセッサ103を含み得る。アンテナアレイ101は複数の送信アンテナおよび複数の受信アンテナを含み得る。
【0060】
マイクロ波集積回路102は、レーダ信号を生成するよう構成され、さらに、アンテナアレイ101における送信アンテナアレイにおける1または複数の送信アンテナを通じてレーダ信号を送信するよう構成される。本願の本実施形態において、レーダ装置の送信アンテナを通じて送信される信号の波形はFMCWであり、信号の周波数は、信号周波数が時間と共に上昇および下降することを可能にすることによって変調されることに留意されたい。この信号は通常、1または複数の「チャープ(chirp)信号」を含む。1つのスロットは、単一の送信アンテナを通じて1つのチャープ信号を送信する占有時間として表され得、
【数1】
であり、ここで、
【数2】
は、測定のために実際に使用される周波数掃引信号の時間を表し、
【数3】
は、アナログ‐デジタルコンバータ(Analogy-to-Digital Converter,ADC)または位相同期回路(Phase Locked Loop,PLL)などの実際のコンポーネントによって導入される追加の時間オーバヘッドを表す。本願において時分割および位相変調技術が使用されるので、レーダ装置における各送信アンテナの無線周波数リンクはさらにスイッチおよび位相シフタを含むことが理解され得る。
【0061】
例えば、
図1(b)は、本願の実施形態によるマイクロ波集積回路の概略図である。
図1(b)において、マイクロ波集積回路は、1または複数の無線周波数受信チャネルおよび無線周波数送信チャネルを含み得る。無線周波数送信チャネルは、波形発生器、位相シフタ、スイッチおよび電力増幅器(power amplifier,PA)などのモジュールを含み得る。無線周波数受信チャネルは、低雑音増幅器(low noise amplifier,LNA)、ダウンミキサ(mixer)、フィルタ、およびアナログ‐デジタルコンバータ(analog-to-digital converter,ADC)などのモジュールを含み得る。
【0062】
図1(b)は単に例であり、マイクロ波集積回路は代替的に別の形式であり得る。これについては、本願の本実施形態において限定しない。
【0063】
レーダ信号を送信する前に、プロセッサは、無線周波数送信チャネルにおける波形発生器を使用することによって、レーダ信号の構成された波形を実装する。本願の本実施形態において、複数の送信アンテナの直交送信波形は、プロセッサによって事前に構成され得、プロセッサの名前に限定されるものではなく、事前に構成された波形を実装する機能を示すのみである。本願の本実施形態において、レーダ信号は、時分割方式で異なる送信アンテナにおいて送信され得る。したがって、レーダ信号を送信する必要がある送信アンテナは、スイッチを使用することによってゲーティングされ得る。加えて、レーダ信号は、符号分割方式で異なる送信アンテナにおいて送信され得、対応する位相は、送信アンテナに接続された位相シフタを使用することによって変調される。スイッチおよび位相シフタはアンテナおよび波形送信機に直列に接続されるが、スイッチおよび位相シフタの順序は変更され得る。
【0064】
レーダ信号が送信された後に、レーダ信号が1または複数の標的によって反射された後にエコー信号が形式され、エコー信号は受信アンテナによって受信される。マイクロ波集積回路102はさらに、アンテナアレイ101における受信アンテナアレイにおける一部または全部の受信アンテナ上で受信されたエコー信号に対して周波数ミキシングおよびサンプリングなどの処理を実行し、サンプリングされたエコー信号をプロセッサ103へ送信するよう構成される。
【0065】
プロセッサ103は、エコー信号に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform,FFT)および信号処理などの動作を実行して、受信されたエコー信号に基づいて、標的の距離、速度および角度などの情報を決定するよう構成される。具体的には、プロセッサ103は、マイクロプロセッサ(microcontroller unit,MCU)、中央処理装置(central processing unit、CPU)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor,DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array,FPGA)、または専用アクセラレータなどの処理機能を有するデバイスであり得る。
【0066】
加えて、
図1(a)に示されるレーダシステムはさらに、プロセッサ103による処理後に取得される標的の距離、速度、および角度などの情報に基づいて車両を制御するよう、例えば、車両の移動ルートを決定して車両の速度を制御するよう構成される電子制御ユニット(electronic control unit,ECU)104を含み得る。
【0067】
本願の本実施形態において、送信機は、マイクロ波集積回路102において送信アンテナおよび送信チャネルを含み得、受信機はマイクロ波集積回路102において受信アンテナおよび受信チャネルを含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、プリント回路基板(printed circuit board,PCB)上に位置し得、送信チャネルおよび受信チャネルは、チップ、すなわち、AOB(antenna on PCB)に位置し得る。代替的に、送信アンテナおよび受信アンテナは、チップパッケージに位置し得、送信チャネルおよび受信チャネルは、チップ、すなわち、パッケージ内アンテナ(antenna in package,AIP)に位置し得る。組み合わせの形式は、本願の本実施形態に具体的に限定されない。対応する送信および受信機能を実装できれば、送信チャネルおよび受信チャネルの特定の構造は、本願の本実施形態に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0068】
加えて、単一マイクロ波集積回路(radio frequency chip)のチャネル数は限定されているので、システムが必要とする送信および受信チャネルの数が単一無線周波数チップより大きいとき、複数の無線周波数チップがカスケードされる必要がある。したがって、レーダシステム全体は複数のカスケードされた無線周波数チップを含み得る。例えば、送信アンテナアレイおよび受信アンテナアレイは、複数のMIMOをカスケードすることによって取得され、アナログ‐デジタルコンバータ(analog digital converter,ADC)チャネルは、インタフェースを通じて接続され、データをプロセッサ103、例えば、MCU、DSP、FPGA、または汎用プロセスユニット(General Process Unit,GPU)へ出力する。別の例において、MMICおよびDSPは、1つのチップに統合され、システムオンチップ(System on chip,SOC)を形成し得る。別の例では、MMIC、ADCおよびプロセッサ103は1つのチップに統合されてSoCを形成し得る。加えて、1または複数のレーダシステムが車両全体に設置され、車両搭載バスを通じて中央処理装置に接続され得る。中央処理装置は、1または複数のミリメートル波レーダセンサを含む1または複数の車両搭載センサを制御する。
【0069】
以下では、本願の実施形態における適用シナリオを説明する。
【0070】
図1(a)に示されるレーダ装置は、自律運転機能を有する車両に適用され得る。
図2は、本願の実施形態による、自律運転機能を有する車両200の機能ブロック図である。実施形態において、車両200は、完全または部分的に自律運転モードであるよう構成される。例えば、自律運転モードの車両200は、車両200を制御し得、手動操作を通じて、車両の現在のステータスおよび車両の周囲環境を決定し得、周囲環境における少なくとも1つの別の車両の可能な挙動を決定し、別の車両が可能な挙動を実行する可能性に対応する信頼水準を決定し、決定された情報に基づいて車両200を制御し得る。車両200が自律運転モードであるとき、車両200は、人とインタラクトすることなく動作するよう設定され得る。
【0071】
車両200は、走行システム202、センサシステム204、制御システム206、1または複数のペリフェラルデバイス208、電源210、コンピュータシステム212、およびユーザインタフェース216などの様々なサブシステムを含み得る。任意選択で、車両200は、より多い、またはより少ないサブシステムを含み得、各サブシステムは複数のコンポーネントを含み得る。加えて、車両200の各サブシステムおよびコンポーネントは、有線または無線方式で相互接続され得る。
【0072】
走行システム202は、移動するための動力を車両200に提供するコンポーネントを含み得る。実施形態において、走行システム202は、エンジン218、エネルギー源219、変速装置220およびホイール/タイヤ221を含み得る。エンジン218は内燃エンジン、モータ、空気圧縮エンジン、または別のタイプのエンジンの組み合わせ、例えば、ガソリンエンジンおよびモータを含むハイブリッドエンジン、または、内燃エンジンおよび空気圧縮エンジンを含むハイブリッドエンジンであり得る。エンジン218は、エネルギー源219を機械的エネルギーに変換する。
【0073】
エネルギー源219は例えば、ガソリン、ディーゼル、他の油性燃料、プロパン、他の圧縮ガス性燃料、エタノール、太陽電池パネル、バッテリ、および他の電源を含む。エネルギー源219は、車両200の別のシステムにもエネルギーを提供してよい。
【0074】
変速装置220は、エンジン218からホイール221に機械的動力を伝達してよい。変速装置220は、ギアボックス、差動装置および駆動シャフトを含み得る。実施形態において、変速装置220は、別のコンポーネント、例えば、クラッチをさらに含み得る。駆動シャフトは、1または複数のホイール221に連結され得る1または複数のシャフトを含み得る。
【0075】
センサシステム204は、車両200の周囲環境についての情報を検知するいくつかのセンサを含み得る。例えば、センサシステム204は、測位システム222(測位システムは、グローバル測位システム(global positioning system,GPS)であり得るか、または、北斗システムもしくは別の測位システムであり得る)、慣性測定ユニット(inertial measurement unit,IMU)224、レーダ226、レーザ距離計228およびカメラ230を含み得る。センサシステム204は、監視される車両200の内部システム内のセンサ(例えば、車載大気質モニタ、燃料計および油温計)をさらに含み得る。これらのセンサのうちの1または複数からのセンサデータは、物体と、物体の対応する特徴(位置、形状、方向および速度等)とを検出するために用いられ得る。そのような検出および認識は、車両200の安全な動作の重要な機能である。
【0076】
測位システム222は、車両200の地理的位置を推定するように構成され得る。IMU224は、慣性加速度に基づいて、車両200の位置変更および向き変更を検知するよう構成される。ある実施形態において、IMU224は加速度計とジャイロスコープとの組み合わせであってよい。
【0077】
レーダ226は、無線信号を使用することによって車両200の周囲環境における標的を検知し得る。いくつかの実施形態では、標的を検知することに加えて、レーダ226はさらに、標的の速度および/または移動方向を検知するよう構成され得る。特定の例において、レーダ226は、
図1(a)に示されるレーダ装置として実装され得る。
【0078】
レーザ距離計228は、レーザを使用することによって、車両100が位置する環境における標的を検知し得る。いくつかの実施形態では、レーザ距離計228は、1または複数のレーザ源、レーザスキャナ、1または複数の検出器、および別のシステムコンポーネントを含み得る。
【0079】
カメラ230は、車両200の周囲環境の複数の画像を撮像するように構成され得る。カメラ230は、静止カメラであってもビデオカメラであってもよい。
【0080】
制御システム206は、車両200の動作および車両のコンポーネントを制御する。制御システム206は、ステアリングシステム232、アクセラレータ234、ブレーキユニット236、センサフュージョンアルゴリズム238、コンピュータビジョンシステム240、ルート制御システム242および障害物回避システム244を含む様々なコンポーネントを含み得る。
【0081】
ステアリングシステム232は、車両200の移動方向を調節するよう動作し得る。例えば、実施形態において、ステアリングシステム232はステアリングホイールシステムであり得る。
【0082】
アクセラレータ234は、エンジン218の動作速度を制御し、さらに、車両200の速度を制御するよう構成される。
【0083】
ブレーキユニット236は、減速するよう車両200を制御するように構成される。ブレーキユニット236は、摩擦を使用してホイール221の回転速度を低減し得る。別の実施形態において、ブレーキユニット236は、ホイール221の運動エネルギーを電流に変換し得る。ブレーキユニット236は代替的に、別の形式を使用してホイール221の回転速度を低減し、車両200の速度を制御し得る。
【0084】
コンピュータビジョンシステム240は、カメラ230によって撮像された画像を処理および分析するよう動作して、車両200の周囲環境における標的および/または特徴を認識し得る。標的および/または特徴は、交通信号、道路境界および障害物を含み得る。コンピュータビジョンシステム240は、標的認識アルゴリズム、ストラクチャ・フロム・モーション(structure from motion,SFM)アルゴリズム、ビデオトラッキング、および別のコンピュータビジョン技術を使用し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータビジョンシステム240は、環境のマップを描画し、標的を追跡し、標的の速度を推定するなどを行うよう構成され得る。
【0085】
ルート制御システム242は、車両200の走行ルートを決定するように構成される。いくつかの実施形態では、ルート制御システム142は、センサ238からのデータと、GPS222と、1または複数の予め定められたマップとに基づいて、車両200の走行ルートを決定し得る。
【0086】
障害物回避システム244は、車両200の環境内の潜在的な障害物を別の方式で識別、評価および回避または迂回するように構成される。
【0087】
当然、例において、制御システム206は、示され且つ説明されたコンポーネント以外のコンポーネントを追加してもよく、代替的に含み得る。代替的に、制御システム206は上述のコンポーネントの一部を削除し得る。
【0088】
車両200は、ペリフェラルデバイス208を用いて、外部センサ、別の車両、別のコンピュータシステム、またはユーザとインタラクトする。ペリフェラルデバイス208には、無線通信システム246、車載コンピュータ248、マイク250、および/またはスピーカ252が含まれ得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、ペリフェラルデバイス208は、車両200のユーザのために、ユーザインタフェース216とインタラクトするための手段を提供する。例えば、車載コンピュータ248は車両200のユーザに情報を提供し得る。ユーザインタフェース216はさらに、ユーザ入力を受信するよう車載コンピュータ248を操作し得る。車載コンピュータ248は、タッチスクリーンを通じて動作を実行し得る。別の事例において、ペリフェラルデバイス208は、車両200が車両内に位置する別のデバイスと通信するための手段を提供し得る。例えば、マイク250は、車両200のユーザから音声(例えば、音声命令または別の音声入力)を受信してよい。同様に、スピーカ252は、車両200のユーザに音声を出力してよい。
【0090】
無線通信システム246は、1または複数のデバイスと直接または通信ネットワークを通じて無線通信し得る。例えば、無線通信システム246は、符号分割多元接続(code division multiple access,CDMA)、EVD0、またはグローバルシステム・フォー・モバイルコミュニケーションズ(global system for mobile communications,GSM(登録商標))/汎用パケット無線サービス(general packet radio service,GPRS)などの3Gセルラ方式通信、ロングタームエボリューション(long term evolution,LTE)などの4Gセルラ方式通信、または5Gセルラ方式通信を使用し得る。無線通信システム246は、Wi-Fi(登録商標)を通じて無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)と通信し得る。いくつかの実施形態では、無線通信システム246は、赤外線リンク、Bluetooth(登録商標)またはZigBee(登録商標)を通じてデバイスと直接通信し得る。他の無線プロトコル、例えば、無線通信システム246などの様々な車両通信システムは、1または複数の専用近距離通信(dedicated short range communications,DSRC)デバイスを含み得、これらのデバイスは、車両および/または路側ステーションの間のパブリックおよび/またはプライベートデータ通信を含み得る。
【0091】
電源210は、車両200の様々なコンポーネントに電力を供給し得る。ある実施形態において、電源210は、充電可能なリチウムイオンバッテリまたは鉛酸バッテリであり得る。そのようなバッテリの1または複数のバッテリパックは、電力を車両200のコンポーネントに供給するための電源として構成され得る。いくつかの実施形態では、電源210およびエネルギー源219は、例えば、いくつかの純粋な電気自動車内に共に実装され得る。
【0092】
車両200の一部または全部の機能が、コンピュータシステム212によって制御される。コンピュータシステム212は、少なくとも1つのプロセッサ223を含み得る。プロセッサ223は、メモリ214などの非一時的コンピュータ可読媒体に格納された命令225を実行する。コンピュータシステム212は代替的に、車両200の個々のコンポーネントまたはサブシステムを分散方式で制御する複数のコンピューティングデバイスであり得る。
【0093】
プロセッサ223は、市販の中央処理装置(central processing unit、CPU)などの任意の従来型プロセッサであり得る。代替的に、プロセッサは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit,ASIC)または別のハードウェアベースのプロセッサなどの専用デバイスであり得る。
図2は同一ブロックにおけるコンピュータ210のプロセッサ、メモリおよび他のコンポーネントを機能的に示すが、当業者であれば、プロセッサ、コンピュータまたはメモリは実際には、同一の物理ハウジングに格納されてもされなくてもよい複数のプロセッサ、コンピュータ、またはメモリを含み得ることを理解するであろう。例えば、メモリは、コンピュータ210のものとは異なるハウジング内に位置するハードディスクドライブまたは別の記憶媒体であってよい。したがって、プロセッサまたはコンピュータへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサ、コンピュータ、またはメモリのセットへの参照を含むと理解される。単一のプロセッサを用いて、本明細書において説明される段階を実行するのとは異なり、ステアリングコンポーネント減速コンポーネントなど、いくつかのコンポーネントは、それぞれのプロセッサを含み得る。プロセッサは、コンポーネントに固有の機能に関連する計算のみを実行する。
【0094】
本明細書において説明される様々な態様において、プロセッサは、車両から遠く離れて位置してよく、車両と無線通信してよい。別の態様において、本明細書に説明されるいくつかのプロセスは、車両内に配置されたプロセッサ上で実行され、一方、他のプロセスは、リモートプロセッサによって実行される(単一操作に必要な段階を実行することを含む)。
【0095】
いくつかの実施形態では、メモリ214は、命令225(例えばプログラムロジック)を含み得、命令225は、プロセッサ223によって実行されて、上で説明された機能を含む車両200の様々な機能を実行し得る。メモリ214はまた、走行システム202、センサシステム204、制御システム206、およびペリフェラルデバイス208のうち1または複数へデータを送信し、それからデータを受信し、それとインタラクトし、および/または、それを制御するために使用される命令を含む追加の命令を含み得る。
【0096】
命令225に加えて、メモリ214はさらに、車両の道路マップ、ルート情報、位置、方向、速度および他の車両データ、ならびに他の情報などのデータを格納し得る。そのような情報は、車両200が自律モード、半自律モードおよび/または手動モードで動作する場合に車両200およびコンピュータシステム212により用いられ得る。
【0097】
ユーザインタフェース216は、車両200のユーザのために情報を提供するか、または、当該ユーザから情報を受信するよう構成される。任意選択で、ユーザインタフェース216は、無線通信システム246、車載コンピュータ248、マイク250およびスピーカ252などのペリフェラルデバイス208のセット内の1または複数の入力/出力デバイスを含み得る。
【0098】
コンピュータシステム212は、様々なサブシステム(例えば、走行システム202、センサシステム204、および制御システム206)およびユーザインタフェース216から受信された入力に基づいて車両200の機能を制御し得る。例えば、コンピュータシステム212は、制御システム206からの入力を使用することによってステアリングユニット232を制御して、センサシステム204および障害物回避システム244によって検出される障害物を回避し得る。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム212は、車両200および車両200のサブシステムに対する制御を多くの態様で提供するよう動作し得る。
【0099】
任意選択で、前述の複数のコンポーネントのうちの1または複数が、車両200とは別個に設置されるか、または車両200と関連付けられ得る。例えば、メモリ214は、車両200から部分的に、または、完全に別個に存在し得る。上述の複数のコンポーネントは、有線方式および/または無線方式で一緒に通信可能に連結されてよい。
【0100】
任意選択で、前述の複数のコンポーネントは単なる例にすぎない。実際の適用では、前述の複数のモジュールにおけるコンポーネントが、実際の要件に基づいて追加されても削除されてもよい。
図2は、本願の本実施形態に対する限定として理解されるべきでない。
【0101】
道路上を走行する自律走行車、例えば、車両200は、自律走行車の周囲環境における標的を認識して、現在の速度を調節するよう決定し得る。標的は、別の車両、交通制御デバイス、または別のタイプの標的であり得る。いくつかの例において、認識された各標的は、独立に考慮され得、標的の現在の速度、標的の加速度、および、標的と車両との間の空間など、各標的の特徴に基づいて、自律走行車によって調節される速度を決定するために使用され得る。
【0102】
任意選択で、自律走行車200または自律走行車200に関連付けられたコンピューティングデバイス(例えば、
図2のコンピュータシステム212、コンピュータビジョンシステム240またはメモリ214)は、識別された標的の特徴、および、周囲環境のステータス(例えば、道路上の交通、雨、および氷)に基づいて、識別された標的の挙動を予測し得る。任意選択で、すべての識別された標的は互いの挙動に依存し、したがって、識別された標的のすべては、単一の識別された標的の挙動を予測するために共に考慮され得る。車両200は、識別された標的の予測された挙動に基づいて車両200の速度を調節し得る。言い換えれば、自律走行車は、標的の予測された挙動に基づいて、車両が調節される必要がある安定状態(例えば、加速、減速、または停止)を決定し得る。このプロセスにおいて、車両200の速度を決定するために別の要素、例えば、車両が走行する道路上の車両200の水平位置、道路の曲率、および、静的標的と動的標的との間の近接性も考慮され得る。
【0103】
自律走行車の速度を調節するための命令を提供することに加えて、コンピューティングデバイスはさらに、車両200のステアリング角度を修正するための命令を提供し得、その結果、自律走行車は、所与の進路に従い、および/または、自律走行車と自律走行車の近くの標的(例えば、道路上の隣接レーンの自動車)との間の安全な横方向および長手方向距離を維持する。
【0104】
車両200は、自動車、トラック、自動二輪車、バス、ボート、飛行機、ヘリコプタ、芝刈機、娯楽用車両、遊び場車両、建設デバイス、トロリー、ゴルフカート、電車、手押し車または同様のものであり得る。これは、本願の本実施形態において具体的に限定されるものではない。
【0105】
加えて、本願の本実施形態におけるレーダシステムは、複数の分野に適用され得ることにも留意すべきである。例えば、本願の本実施形態におけるレーダシステムは、車載レーダ、路肩交通レーダ、および無人航空機のレーダを含むが、これらに限定されるものではない。
【0106】
本願の実施形態において、「複数の」は、2以上を意味することに留意されたい。加えて、本願の説明において、「第1」および「第2」などの用語は単に、区別のために使用されるものと理解されるべきであり、相対的な重要性を示す、もしくは意味するものと理解されるべきでなく、または、順序を示す、もしくは意味すると理解されるべきでない。
【0107】
前述の説明を参照すると、本願はレーダ信号送信方法およびレーダ信号受信方法を提供する。方法はレーダ装置に適用される。レーダ装置は、N個の送信アンテナを含み、N>mであり、mは2以上の整数である。レーダ装置の特定の構造が
図1(a)に示され得るか、または、
図1(a)における特定の構造に限定されないことがあり得ることが理解されるべきである。これについては、本願において限定しない。
【0108】
図3を参照されたい。送信側において、方法は以下の段階を備える。
【0109】
段階301:N個の送信アンテナの1つを通じてS個のスロットにおいて第1信号を送信する。
【0110】
本願の本実施形態において、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままである。例えば、S個のスロットにおける第1スロットにおける第1信号の位相がφである場合、他方のスロットにおける第1信号の位相はφである。
【0111】
例えば、S個のスロットにおける第1信号の信号波形はFMCWである。
【0112】
段階302:時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つで、N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、S個のスロットにおいて第2信号を送信する。
【0113】
S個のスロットにおける第2信号の信号波形もFMCWであり、第1信号および第2信号について、異なる位相変調および符号化が使用される。
【0114】
符号分割方式は、符号分割多重(Code Division Multiple,CDM)、ドップラー分割多重(Doppler Division Multiplexing,DDM)、またはドップラー分割多元接続(Doppler Division Multiple Access,DDMA)、すなわち、位相変調および符号化において信号の位相を変調することによって符号化が形成される方式である。
【0115】
第2信号はm個の送信アンテナを通じて送信され、これは、m個の送信アンテナを通じて送信される信号の重畳と同等である。位相変調は、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して2πk
y/Pのステップを使用することによって実行され、ここで、Pは、1より大きい整数であり、k
yは0より大きくP未満の整数であり、k
yは、m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである。本願の本実施形態において、第2信号の変調位相は、P個の位相を含み得、P個の位相は、[0,2π)におけるP個の偶数の位相であり、対応する位相セットは、[0,2π/P,4π/P、6π/P、...、(P-1)×2π/P]であり得る。Pは少なくとも2に等しいので、例えば、
図1(b)に示されるようにP=2であるとき、P個の位相はそれぞれ0およびπである。P=4であるとき、P個の位相はそれぞれ0、π/2、πおよび3π/2であり、すなわち、
図1(b)における位相シフタは、全体のFMCW周波数掃引勾配レンジにおいて合計で4の高精度位相0、π/2、π、および3π/2を提供し得ることを理解されたい。複素信号については、位相変調は、信号にexp(jφ)を乗算することと同等であり、2π期間の回転の後に同等の特性を有することに留意されたい。したがって、実際のシステムにおいて、P個の位相のみが使用され、2πの整数倍の他の位相が変調され得る。すなわち、2π/Pの位相は、変調のために2π/P+u×2πの位相を置き換えるために使用され得、ここで、uは整数である。
【0116】
第2信号および第1信号の両方が送信のためにS個のスロットを占有するので、段階301と段階302との間に特定の順序は無いことに留意されたい。それは、異なる符号分割を通じて、すなわち、異なるドップラーシフト2πky/Pのステップを使用することによって、第1信号および第2信号に対して位相変調が実行されることを示すだけであり、ここで、Pは1より大きい整数であり、kyは0以上P未満の整数である。kyが0に等しいとき、複数のスロットにおける、すなわち、隣接スロット間の送信アンテナによって占有された信号は0に変化すると理解され得る。
【0117】
第1信号は1つの送信アンテナの信号だけを含み、S個の連続スロットを占有するので、第1信号はSIMO信号であり得る。第1信号の利点は、速度測定レンジが大きいことである。第2信号は、m個の送信アンテナの信号を含み、したがって、TDM MIMO信号として理解され得る。第2信号の利点は、測定された角度分解能が高いことである。標的が測定中に移動するので、SIMO信号およびTDM MIMO信号は、同一のレンジビン上で速度インデックスをマッチすることによって、標的の非エイリアシング速度を取得する。第1信号および第2信号が同時に送信されない場合、送信に成功したSIMO信号およびMIMO信号に起因して、標的は、同一のレンジビンを発見しないことがあり得、すなわち、標的を観察した時点が異なる。結果として、標的の速度を正確に測定できない。本願において、第1信号および第2信号は同時に送信される。したがって、これにより、SIMO信号およびTDM MIMO信号が時分割方式で送信されるときに、標的を観察する時点が異なるので、高速で移動する標的の速度を正確に測定できないという従来の技術の問題を解決する。
【0118】
P=2、すなわち、二位相変調(文書において二位相偏移変調(Binary Phase Shift Keying,BPSK)とも称され、これは本願の本実施形態において具体的に限定されない)であるとき、2πky/Pの任意のステップを使用することによって、第1信号および第2信号のそれぞれに対して位相変調が実行され、ここで、ky=0および1である。ky=0であるとき、隣接スロットにおける位相ステップは0であり、すなわち、S個のスロットにおける位相は変化しないままであることが理解され得る。位相変調および符号化は[1,1]であり、ここで、シーケンスにおける要素は、信号の変調位相を表し、1は、変調位相が0であることを示し、-1は、変調位相がπであることを示すことが理解され得る。ky=1であるとき、πのステップを使用することによって各送信アンテナを通じて送信された信号に対して位相変調が実行され、すなわち、第2信号におけるすべての送信アンテナの位相変調および符号化は同一である、すなわち、[1,-1]である。したがって、第2信号におけるm個の送信アンテナの直交波形を区別するために、第2信号におけるm個の送信アンテナはさらに、時分割方式で信号を送信する。TDM MIMO伝送は位相制御によって限定されるものではないので、レーダシステムの送信アンテナの数は、第2信号における複数の送信アンテナを使用することによって容易に増加され得、すなわち、mは2以上の任意の整数であり得る。この方法によれば、二位相DDM波形はより多くの送信アンテナの直交伝送を実装できないという従来の技術における問題が解決される。加えて、第1信号は、S個のスロットにおいて継続的に送信され、これにより、レーダシステムの最大速度測定レンジを確実にし、レーダシステムの速度測定レンジがTDM MIMO伝送に起因して減少するという問題を回避する。
【0119】
実際、P=2であるとき、位相変調はまた、πのステップを使用することによって第1信号に対して実行され得る。第2信号における複数の送信アンテナの信号はすべて、0のステップを使用することによって送信され、すなわち、位相非変化方式で送信される。しかしながら、第1信号の速度測定レンジは大きい。したがって、0のステップを使用することによって第1信号に対して位相変調が実行された場合、受信端における第1信号のエコー信号は、大きい速度測定レンジを取得し得、非ゼロ位相変調ステップによって生じる追加のドップラーシフトがなく、受信処理手順をさらに簡略化する。したがって、本願の本実施形態において、0のステップを使用することによって第1信号に対して位相変調が実行される例が、以下の実施形態を説明するために使用される。
【0120】
例えば、m個の送信アンテナの各々が、P×M個のスロットを期間として使用することによって、繰り返される送信を実行する。第2信号において2πky/Pのステップを使用することによって位相変調を実行する複数の送信アンテナは、均一のドップラー変調を完了するためにP個のスロットを必要とし、時分割を使用する複数の送信アンテナは、時分割送信を完了するためにM個のスロットを必要とし、ここで、Mは2以上である。したがって、本明細書において、各送信アンテナは、P×M個のスロットを期間として使用することによって、繰り返される送信を実行すると表現される。例えば、P=2、N=3、およびm=N-1=2であるとき、4つのスロットを期間として使用することによって、送信が少なくとも1回実行される必要がある。
【0121】
各送信アンテナが、P×M個のスロットを期間として使用することによって、繰り返される送信を実行するとき、1つの送信アンテナは、各期間において送信パターンに基づいて送信を実行する。送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係を示し、時分割方式を使用する送信アンテナの信号は、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有し、ここで、Mは、m個の送信アンテナの1つによって占有されるスロットにおける隣接スロット間で隔てられるスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0122】
速度分解能を改善するために、さらに、(Nd+1)×P×M>S≧Nd×P×Mであり、ここで、NdはP×M個のスロットの期間におけるm個の送信アンテナの送信期間の回数を表し、Ndは1以上の整数である。Mの具体的な値は、実際の状況に基づいて決定され得、Mはm/(P-1)以上の整数である。本明細書において、SはNd×P×Mの整数倍に等しくないことがあり得、受信端においてゼロパディング操作が実行され得ることに留意されたい。ここでは、これについて限定しない。
【0123】
前述の説明に基づいて、Pは1より大きい整数なので、Ndは1以上の整数であり、Mは1より大きい整数であり、Sは4以上の整数である。Sの具体的な値は実際の状況に基づいて決定され得る。ここでは、これについて限定しない。
【0124】
本願の本実施形態において、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される信号は、時分割方式または符号分割方式で区別され得、すなわち、異なる送信アンテナを通じて送信された信号は、異なるスロットを占有し、または、m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信された信号に対して2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる。このようにして、Pの量を非常に大きく設定できない場合でも、例えば、Pが4以下であるとき、N個の送信アンテナの信号はなお直交的に送信できる。
【0125】
例えば、m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信された信号に対して2πky/Pのステップを使用して位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる。例えば、送信アンテナ1および送信アンテナ2は、同じスロットを占有することによって信号を送信する。P=4であるとき、送信アンテナ1に対応するkyの値は1であり、すなわち、送信アンテナ1を通じて送信される信号の位相は、0、π/2、πおよび3π/2によって順次循環され、送信アンテナ2に対応するkyの値は3であり、すなわち、送信アンテナ2を通じて送信される信号の位相は、0、3π/2、3π=2π+π、および9π/2=4π+π/2によって順次循環される。説明を容易にするべく、1つの期間において1つの送信アンテナを通じて送信される信号の位相の組み合わせは、送信アンテナの送信パターンと称され得る。この場合において、オイラーの公式exp(jφ)によれば、4つの占有されたスロットにおける送信アンテナ1の信号の位相は、0、π/2、π、および3π/2によって順次循環され、複素数の形式で表される。送信アンテナ1について、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける位相は、[1,j,-1,-j]として表され得る。同様に、送信アンテナ2について、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける位相は、[1,-j,-1,j]として表され得る。しかしながら、ここでの送信パターンは、位相変調のみを表すことができるが、時分割を使用するアンテナを表すことができないことが理解され得る。したがって、本願の本実施形態において、無信号を示すためにxが導入され、信号はスロットにおいて送信されない。代替的に、xは0によって表され得る。スロットにおける信号の振幅は0に設定され、これは、スイッチを開状態に設定することによって実際のシステムにおいて実装され得ることが理解され得る。計算を通じて、P=4およびM=2であるとき、mはM×(P-1)以下であり、mの最大値は6に等しく、N=m+1であり、その結果、拡張を通じて7個の送信アンテナが取得され得ることが分かる。具体的な送信パターンについては、具体的な実施形態を参照されたい。
【0126】
本願の本実施形態において、説明を容易にするために、第1信号を送信する送信アンテナはTx0と示され、第2信号を送信する送信アンテナはTx1~Tx mとして示される。
【0127】
さらに本願の本実施形態において、第2信号を送信するm個の送信アンテナ、および、第1信号を送信する1個の送信アンテナは、N個の送信アンテナにおける異なる送信アンテナであり得る。この場合において、第1信号を送信するTx0はS個のスロットにおけるすべてのスロットを占有する。P=2かつM>m/(P-1)=mであるとき、第2信号におけるm個の信号は、S個のスロットにおけるすべてのスロットを占有せず、いくつかのスロットにおいて第1信号のみが存在することが理解され得る。例えば、P=2、N=3およびm=N-1=2であるとき、M=3である。この場合において、Tx1はスロット1およびスロット4を占有し、Tx2はスロット2およびスロット5を占有し、第1信号のみ、すなわち、Tx0を通じて送信された信号がスロット3およびスロット6に存在すると想定する。
【0128】
代替的に、第1信号を送信する1個の送信アンテナは、m個の送信アンテナの1つであり得る。これについては、本願の本実施形態において限定しない。この場合において、対応する競合が生じるとき、送信アンテナは、第2信号の位相符号化を通じて第2信号を送信し、第1信号における対応するスロットは同様に、信号が空隙である少数のスロットを有し得る。例えば、P=2、N=3およびm=N=3であるとき、M=3である。この場合において、Tx1はスロット1およびスロット4を占有し、Tx2はスロット2およびスロット5を占有すると想定され、スロット3およびスロット6において、Tx0を通じて送信される信号に第2信号の規則が使用される場合、Tx0を送信するのにπのステップが使用される。この場合において、第2信号の規則を使用することによって送信された第1信号は、S個のスロットのうち3つごとに1つの空隙を有する。当然、Mが小さいとき、S個のスロットにおいて、第1信号の特徴に基づいて送信された空隙のアンテナの比率は、1/Mに近いことが分かる。結果として、SIMO信号はダウンサンプリングされることと同等である。したがって、この送信方式は、Mが大きいとき、例えば、Mが3より大きいときに好適である。
【0129】
例えば、m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信された信号に対して2πky/Pのステップを使用して位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる。例えば、ky=1、2、...、およびP-1である。例えば、P=3であるとき、第2信号におけるm個のアンテナのkyの値は1および2である。送信アンテナ1に対応するkyの値は1であり、すなわち、送信アンテナ1を通じて送信された信号の位相は、0、2π/3および4π/3によって順次循環される。送信アンテナ2に対応するkyの値は2であり、すなわち、送信アンテナ2を通じて送信される信号の位相は、0、4π/3および8π/3=2π+2π/3によって順次循環される。説明を容易にするべく、1つの期間において1つの送信アンテナを通じて送信される信号の位相の組み合わせは、送信アンテナの送信パターンと称され得る。この場合において、オイラーの公式exp(jΨ)によれば、3つの占有されたスロットにおける送信アンテナ1の信号の位相は、0、2π/3および4π/3によって順次循環され、複素数の形式で表される。送信アンテナ1について、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける位相は、[1,exp(j2π/3),exp(j4π/3)]によって表され得る。同様に、送信アンテナ2について、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける位相は、[1,exp(j4π/3),exp(j2π/3)]によって表され得る。しかしながら、ここでの送信パターンは、位相変調のみを表すことができ、時分割を使用するアンテナを表すことができないことが理解され得る。したがって、本願の本実施形態において、無信号を示すためにxが導入され、信号はスロットにおいて送信されない。代替的に、xは0によって表され得る。スロットにおける信号の振幅は0に設定され、これは、スイッチを開状態に設定することによって実際のシステムにおいて実装され得ることが理解され得る。計算を通じて、P=3およびM=2であるとき、mはM×(P-1)以下であり、mの最大値は4に等しく、N=m+1=5であり、その結果、拡張を通じて5個の送信アンテナが取得され得ることが分かる。Mの値がより大きく設定される場合、Nのより大きい値に容易に拡張され得る。具体的な送信パターンは再び説明されない。
【0130】
以下では、N、m、MおよびPの値の具体的な実施形態を使用することによって、異なる第1信号および第2信号を説明する。
[実施形態1]
【0131】
図4は、本願の実施形態による信号の概略図である。
図4において、N=3である、すなわち、レーダ信号を送信するために3つの送信アンテナが使用され、P=2、すなわち、位相シフタは少なくとも安定的な0およびπの位相変調を提供し、m=2であり、第2信号が2つの送信アンテナを含む例を使用することによって説明が提供される。前述の説明に基づいて、Mはm/(P-1)以上の整数である。この場合において、計算を通じて、Mは2以上であることが分かる。Mの最小値が設定される、すなわち、M=2である例を使用することによって説明が提供される。
図4において、第1信号が送信アンテナTx0を通じて送信される。S個のスロットにおいて、第1信号はS個のチャープ信号を含み、各チャープ信号の位相は変化しないままである。
【0132】
第2信号は、複数のチャープ信号を含み、第2信号は、送信アンテナTx1および送信アンテナTx2を通じて時分割方式で送信され、Tx1およびTx2を通じて送信される信号の期間は4個のスロットである。各期間におけるTx1の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[1,x,-1,x]であることを示し得、各期間におけるTx2の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[x,1,x,-1]であることを示し得る。ここで、xは無信号を示し、スロットにおいて信号が送信されない。代替的に、xは0によって表され得、すなわち、各期間におけるTx1の送信パターンは、[1,0,-1,0]として書き込まれ得、各期間におけるTx2の送信パターンは[0,1,0,-1]として書き込まれ得る。スロットにおける信号の振幅は0に設定され、これは、スイッチを開状態に設定することによって実際のシステムにおいて実装され得ることが理解され得る。1は、スロットにおけるチャープ信号の位相が0ラジアンだけ変調されることを示し、-1は、スロットにおけるチャープ信号の位相がπラジアンだけ変調されることを示す。これは、スイッチを閉状態に設定し、位相シフタの対応する位相を選択することによって実際のシステムにおいて実装され得る。
図4から、Tx1を通じて送信された信号によって占有されたスロットは、Tx2を通じて送信された信号によって占有されたスロットとは異なることが分かる。Tx1を通じて送信された信号によって占有されるスロットにおいて、隣接スロットは2スロットだけ隔てられる。Tx2を通じて送信された信号によって占有されたスロットにおいて、隣接スロットは2スロットだけ隔てられる。
【0133】
図4において提供されるチャープ信号は、上昇する線形連続周波数変調波である、または、チャープ信号は、下降する線形連続周波数変調波であり得ることに留意されたい。これについては、本願の本実施形態において限定しない。
【0134】
異なる位相変調および符号化が第1信号および第2信号に使用され、位相0およびπのみが使用される。したがって、第1信号および第2信号を送信するために、安定的な二位相変調器のみが必要であり、チップの要件が低減される。速度分解能を改善するために、さらに、S個のスロットによって占有された時間長が増加され得、S≧Nd×P×Mであり、Ndはm個の送信アンテナの送信パターンの反復回数を表し、Ndは1以上である。送信パターンは、時分割方式を使用する送信アンテナの信号が、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有することを示し、ここで、Mは、m個の送信アンテナの1つによって占有されたスロットにおける隣接スロット間で隔てられたスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である。Mの具体的な値は、実際の状況に基づいて決定され得、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0135】
本実施形態において、M=m/(P-1)である。第2信号に対応する最大速度測定レンジは最大値に設定されることが理解され得る。Mはまた、m/(P-1)より大きい整数に設定され得、例えば、N=3、P=2、およびM=3である。そのような方法は、第2信号の最大速度測定レンジを低減するが、いくつかのスロットにおいて、第1信号および第2信号の各々によって使用される位相ステップの数はPより小さいことがあり得る。この場合において、受信端は、空隙位相ステップを使用することによって第1信号のドップラー周波数を決定し得、さらに、信号受信処理手順を簡略化する。具体的には、第1信号は各スロットにおいて送信され、第1信号を送信する送信アンテナTx0の送信パターンは、6個のスロットとして書き込まれ、[1,1,1,1,1,1]として表され得る。第2信号を送信する複数の送信アンテナの送信パターンはそれぞれ、以下の通りである。Tx1の送信パターンは、6個のスロットとして書き込まれ、[1,x,x,-1,x,x]として表され得、Tx2の送信パターンは6個のスロットにおいて[x,1,x,x,-1,x]として表される。この場合において、第1信号における送信アンテナの信号のみが第3スロットおよび第6スロットに存在し、第2送信アンテナの信号は、第3スロットおよび第6スロットにおけるスイッチによってゲーティングおよび制御され、アンテナはゲーティングされない。この場合において、第3スロットおよび第6スロットにおけるエコー信号が抽出され、観察されたドップラー周波数は、第1信号における送信アンテナ信号のエコー信号である。第1スロット、第4スロット、第2スロットおよび第5スロットにおけるドップラー周波数は、第1信号および第2信号における送信アンテナ信号のエコー信号を含む。第1信号における送信アンテナに対応するドップラー周波数は、異なるスロットにおけるサブRDダイアグラムを比較することによって容易に分かり得る。
【0136】
本実施形態において、Ndの値はさらに、分解能精度の要件に基づいて制限され得る。ここで、例えば、Nd=32であるとき、S≧Nd×P×Mによれば、Sの最小値は32×2×2=128であり、すなわち、4個のスロットにおける各送信アンテナの送信パターンは、32回繰り返し送信されることが分かる。Ndは代替的に、任意の他の整数値に設定され得ることが理解され得る。詳細は本明細書において説明しない。
【0137】
実際には、前述の説明に基づいて、P=2、N=12、M=11であるとき、送信パターンは表1に示され得る。
表1
【表1】
【0138】
表1において、第1行における各グリッドは1つのスロットを表し、第1列における各グリッドは1個の送信アンテナを表す。表1における送信アンテナの番号は単に論理番号であり、隣接番号を有する送信アンテナは、実際の空間隣接関係を表さない。第1信号の送信アンテナはTx0として示され、信号は位相0を使用することによって変調される。第2信号の送信アンテナは、Tx1~Tx11として示される。P=2、ky=1、およびm=N-1=11であるので、第2信号における11個の送信アンテナを通じて送信された信号は、2πky/P=πのステップを使用することによって変調される。第2信号を送信する送信アンテナTx1~Tx11は、時分割を使用する送信アンテナであり、M=m/(P-1)=11スロットの間隔であるP=2個の非競合スロットを占有する。
[実施形態2]
【0139】
実施形態2において、S個のスロットにおける第1信号および第2信号の両方を送信することに加えて、第3信号はさらに、時分割方式で、m個の送信アンテナを通じてS個のスロットの後のS0個のスロットにおいて送信され得、S0は1より大きい整数である。
【0140】
S0個のスロットにおける第3信号の送信パターンは、S個のスロットにおける第2信号の送信パターンと同一であり、ここで、S=Nd×P×Mであり、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0141】
第1信号はS0個のスロットに存在しない。Tx0を通じて送信された第1信号はS個のスロットのみに存在するので、標的のドップラー周波数は、S0個のスロットにおける受信されたエコー信号におけるドップラー周波数と、S個のスロットにおける受信されたエコー信号におけるドップラー周波数とを比較することによって決定され得、S個のスロットにおけるTx0に対応するドップラーインデックス位置が決定され、受信側の標的の速度を取得する手順をさらに簡略化する。
【0142】
例えば、
図4を参照すると、
図5は、本願の実施形態による信号の概略図である。
図5において、m=2、P=2およびM=2である例を使用することによって説明が提供される。
図5において、上述のS個のスロットにおいて送信される第1信号および第2信号については、
図4を参照されたい。第3信号は、Tx1およびTx2を通じてS個のスロットの後のS0個のスロットにおいて送信される。第3信号の送信パターンは、第2信号の送信パターンと同一であり、すなわち、Tx1およびTx2を通じて送信された信号の期間は4個のスロットである。各期間におけるTx1の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[1,x,-1,x]であることを示し得、各期間におけるTx2の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[x,1,x,-1]であることを示し得る。S0個のスロットにおいてTx1を通じて送信された信号は、S個のスロットにおいて送信された信号と同一であり、S0個のスロットにおいてTx2を通じて送信された信号は、S個のスロットにおいて送信された信号と同一であることが
図5から分かる。ここで、xは無信号を示し、信号がスロットにおいて送信されない。代替的に、xは0によって表され得る。スロットにおける信号の振幅は0に設定され、これは、スイッチを開状態に設定することによって実際のシステムにおいて実装され得ることが理解され得る。1は、スロットにおけるチャープ信号の位相が0ラジアンだけ変調されることを示し、-1は、スロットにおけるチャープ信号の位相がπラジアンだけ変調されることを示す。これは、スイッチを閉状態に設定し、位相シフタの対応する位相を選択することによって実際のシステムにおいて実装され得る。
図5から、Tx1を通じて送信された信号によって占有されたスロットは、Tx2を通じて送信された信号によって占有されたスロットとは異なることが分かる。Tx1を通じて送信された信号によって占有されるスロットにおいて、隣接スロットは2スロットだけ隔てられる。Tx2を通じて送信された信号によって占有されたスロットにおいて、隣接スロットは2スロットだけ隔てられる。
【0143】
加えて、S=128、かつ、S0=128であるとき、第2信号における2つの送信アンテナは、4つのスロットにおける予め定められた送信パターンを使用することによって、信号を32×2=64回繰り返し送信することが理解され得る。第1信号における1つの送信アンテナは、4個のスロットにおいて予め定められた送信パターンを使用することによって、信号を32回繰り返し送信する。標的の速度を測定するための速度分解能はSおよびS0の値に反比例するので、SおよびS0は、0より大きい他の整数値に設定され得ることが理解され得る。より大きい値は、より高い速度分解能を示す。
[実施形態3]
【0144】
上述の実施形態において、P=2である例を使用することによって説明が提供される。代替的に、第2信号に含まれる位相の数Pは別の値であり得る。例えば、P=4であるとき、
図6は、本願の実施形態による信号の概略図である。
図6において、m=6、P=4およびM=2である例を使用することによって説明が提供される。
図6において、第1信号は、送信アンテナTx0を通じて送信される。第1信号はS個のチャープ信号を含み、各チャープ信号の位相は変化しないままである。
【0145】
第2信号は、送信アンテナTx1を通じて送信アンテナTx6へ送信され、各送信アンテナを通じて送信される信号の期間は8個のスロットである。6個の送信アンテナは2つのグループにグループ化され得る。1つのグループは、Tx1、Tx2、およびTx3を含み、他方のグループは、Tx4、Tx5およびTx6を含む。
【0146】
Tx1、Tx2およびTx3は、同じスロットを占有するが、異なる位相変調および符号化を通じて信号を送信し得る。具体的には、各期間におけるTx1の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[1,x,j,x,-1,x,-j,x]、すなわち、ステップがπ/2であることを示し得る。各期間におけるTx2の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が、[1,x,-1,x,1,x,-1,x]、すなわち、変調ステップがπであることを示し得る。各期間におけるTx3の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が、[1,x,-j,x,-1,x,j,x]、すなわち、変調ステップが3π/2であることを示し得る。ここで、xは無信号を示し、信号がスロットにおいて送信されない。1は、スロットにおけるチャープ信号の位相は0ラジアンだけ変調されることを示し、jは、スロットにおけるチャープ信号の位相はπ/2ラジアンだけ変調されることを示し、-1は、スロットにおけるチャープ信号の位相がπラジアンだけ変調されることを示し、-jは、スロットにおけるチャープ信号の位相が3π/2ラジアンだけ変調されることを示す。
【0147】
第1グループにおけるTx4、Tx5およびTx6、ならびに、第2グループにおけるTx1、Tx2およびTx3は、信号を送信するために異なるスロットを占有し、すなわち、時分割直交性である。同様に、各期間におけるTx4の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係は[x,1,x,j,x,-1,x,-j]であり得る、すなわち、変調ステップがπ/2であることを示し得る。各期間におけるTx5の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係は、[x,1,x,-1,x,1,x,-1]である、すなわち、変調ステップはπであることを示し得る。各期間におけるTx6の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が、[x,1,x,-j,x,-1,x,j]、すなわち、変調ステップが3π/2であることを示し得る。
【0148】
Tx4を通じて送信された信号の送信パターンは、Tx1を通じて送信された信号の送信パターンの循環シフトシーケンスであり得ることに留意されたい。循環シフトシーケンスは、ベースシーケンスに対して時計回りまたは反時計回りシフトを実行することによって取得される新しいシーケンスであり得る。例えば、ベースシーケンスは、[1,x,j,x,-1,x,-j,x]である。この場合において、シーケンス[x,1,x,j,x,-1,x,-j]は、ベースシーケンスに対して反時計回り循環シフトを1回実行することによって取得され得、シーケンス[j,x,-1,x,-j,x,1,x]は、ベースシーケンスに対して時計回り循環シフトを2回実行することによって取得され得る、などである。それに対応して、Tx5を通じて送信された信号の送信パターンは、Tx2を通じて送信された信号の循環シフトシーケンスであり得、Tx6を通じて送信された信号の送信パターンは、Tx3を通じて送信された信号の送信パターンの循環シフトシーケンスであり得る。同じスロットを占有するアンテナのグループにおける、すべての送信アンテナについて選択された具体的な位相ステップは、異なる必要がある。本実施形態において提供される送信アンテナシーケンスに対応する具体的な位相ステップは、本願において限定されるものではない。
【0149】
さらに、P=4かつN=16であるとき、送信パターンは表2によって表され得る。
表2
【表2】
【0150】
表2において、第1行における各グリッドは1つのスロットを表し、第1列における各グリッドは1個の送信アンテナを表す。表2における送信アンテナの番号は単に論理番号であり、隣接番号を有する送信アンテナは、実際の空間隣接関係を表さない。第1信号の送信アンテナはTx0として示され、信号は位相0を使用することによって変調される。第2信号の送信アンテナは、Tx1~Tx15として示される。P=4である場合、N=16個の送信アンテナの送信が実装され、Mは少なくとも(N-1)/(P-1)=5であり、送信パターンは、P×M個のスロット、すなわち、4×5=20個のスロットを示す。第1信号の送信アンテナはTx0として示され、信号は、位相0を使用することによって変調され、[1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1,1]は、20個のスロットにおける変調信号を示す。第2信号は、時分割方式または符号分割方式で、Tx1~Tx15を通じて別々に送信され、すなわち、符号分割を使用するアンテナは、π/2、πおよび3π/2のステップを使用することによって変調され、時分割を使用するアンテナは、M=(N-1)/(P-1)=5個のスロットの間隔であるP=4個の非競合スロットを別々に占有する。異なる位相変調および符号化が、送信のためにTx1、Tx2およびTx3に使用され得、20個のスロットにおいて送信された変調信号はそれぞれ、[1,x,x,x,x,j,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,-j,x,x,x,x]、[1,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,1,x,x,x,x,-1,x,x,x,x]および[1,x,x,x,x,-j,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,j,x,x,x,x]として表される。Tx4、Tx5およびTx6は、Tx1~Tx3からの異なるスロットを使用し得る。例えば、位相符号化は、Tx1~Tx3が1つのスロットを反時計回りに循環シフトすることであり、20個のスロットにおいて送信された変調信号はそれぞれ、[x,1,x,x,x,x,j,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,-j,x,x,x]、[x,1,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,1,x,x,x,x,-1,x,x,x]および[x,1,x,x,x,x,-j,x,x,x,x,-1,x,x,x,x,j,x,x,x]として表される。同様に、Tx7~Tx9の位相符号化は、Tx1~Tx3が2つのスロットを反時計回りに循環シフトすることであり、Tx10~Tx12の位相符号化は、Tx1~Tx3が3つのスロットを反時計回りに循環シフトすることであり、Tx13~Tx15の位相符号化は、Tx1~Tx3が4つのスロットを反時計回りに循環シフトすることである。
【0151】
Pが別の値に等しいとき、第1信号および第2信号の具体的構造については、前述の説明が参照され得ることに留意されたい。ここでは、詳細について改めて説明しない。
[実施形態4]
【0152】
前述の説明において、第2信号を送信するm個の送信アンテナは、同一の構成を使用することによってS個のスロットにおいて信号を送信する。m個の送信アンテナは代替的に、S個のスロットにあり得る。第2信号におけるm個の送信アンテナは、異なるグループにグループ化され、異なるMiまたはmiが各グループについて選択され、iは、1および2の少なくとも2つの構成に設定される。
【0153】
例えば、S個のスロットにおける最初のS1個のスロットにおいて、第2信号は、P×M1個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M1個のスロットからのM1の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナを通じて別々に送信され得、S個のスロットにおける最後のS2個のスロットにおいて、第2信号は、P×M2個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M2個のスロットからのM2の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナ以外のN2個の送信アンテナを通じて別々に送信され、ここで、m=N1+N2、N1≧2、N2≧1、S=S1+S2、M1≠M2、M1≧N1/(P-1)、M2≧N2/(P-1)である。
【0154】
例えば、N=5、m=N-1=4、P=2、N1=2、N2=2、M1=2、およびM2=3である例を使用することによって説明が提供される。第1信号は、送信アンテナTx0を通じて送信される。第1信号はS個のチャープ信号を含み、各チャープ信号の位相は変化しないままである。
【0155】
第2信号は送信アンテナTx1および送信アンテナTx2を通じて送信される。各期間におけるTx1の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[1,x,-1,x]であることを示し得、各期間におけるTx2の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[x,1,x,-1]であることを示し得る。各期間におけるTx4の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[1,x,x,-1,x,x]であることを示し得る。各期間におけるTx4の送信パターンは、信号の変調された位相と変調された振幅との間の関係が[x,1,x,x,-1,x]であることを示し得る。Tx1およびTx2を通じて送信された信号の期間は、4個のスロットであり、信号はNd1回にわたって繰り返し送信される。Tx3~Tx4を通じて送信された信号の期間は6個のスロットであり、信号は、Nd2回にわたって繰り返し送信される。Nd1およびNd2は各々2以上である。すなわち、S=Nd1×4およびS2=Nd2×6であることが理解され得る。
【0156】
他の実施形態と同様に、Nd1およびNd2はより大きい整数に設定され得、速度分解能をさらに改善する。例えば、Nd1=Nd2=32である。そのような多構成は、速度が最大速度測定レンジの半分だけ異なる2つの標的を回避でき、ここで、標的1のTx0の信号のエコー信号のドップラーインデックスは、位相πに変調される、標的2のTx1およびTx2の信号のエコー信号のドップラーインデックスと完全に同一である。構成1および構成2におけるM1およびM2は異なるので、構成1における最大速度測定レンジおよび構成2における最大速度測定レンジは異なる。構成1において、標的1および標的2がTx0の信号のエコーにおける2つの標的としてほとんど区別されない場合でも、標的1および標的2は、構成2における2つの標的として容易に識別され得る。したがって、Tx0の信号のエコー信号に含まれるドップラー周波数の差Vmax×k/Pに起因する複数の標的のエイリアシングが回避される。異なる構成においてVmax=λ/(4×T)なので、異なるM個の構成について、送信反復期間T=M×TSIMOは異なる。本明細書において、構成1の送信反復期間T1は、2×TSIMOに等しく、構成2の送信反復期間T1は、3×TSIMOに等しい。構成1において、ドップラースペクトル線が競合する2つの標的が構成2において隔てられ得る。
【0157】
前述の説明は単に例である。S個のスロットにおいて、別の異なる構成が使用され得るか、または、P=4である場合が存在する。ここでは例を1つずつ説明しない。
【0158】
図3に示される信号送信方法に対応して、本願の実施形態はさらに、第1信号および第2信号が1または複数の標的によって反射された後に形成されるエコー信号を処理するための方法を提供し、それにより、1または複数の標的の1または複数の速度を取得し、さらに、1または複数の標的の角度情報(例えば、水平方位角および鉛直方位角)を取得する。
【0159】
方法はレーダ装置、特にMIMOレーダに適用され得る。レーダ装置は、N個の送信アンテナおよび少なくとも1つの受信アンテナを含む。
図7を参照されたい。本方法は、以下の段階を含む。
【0160】
段階701:第1信号および第2信号が少なくとも1つの標的によって反射された後に形成されるエコー信号を受信する。
【0161】
第1信号および第2信号の具体的な内容については、
図3に示される手順を参照されたい。
【0162】
具体的には、第1信号および第2信号が少なくとも1つの標的によって反射された後に形成されるエコー信号が受信される。第1信号はN個の送信アンテナのうちの1つを通じてS個のスロットにおいて送信され、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままであり、第2信号は、時分割方式および符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいてN個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じてS個のスロットにおいて送信され、2πky/Pのステップを使用することによって、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmであり、Sは4以上の整数である。
【0163】
段階702:各受信アンテナのM個のサブレンジドップラーマップ(range-Doppler map,RD Map)を取得する。
【0164】
ここでの各受信アンテナは、レーダ装置に含まれるすべての受信アンテナの各々である。各受信アンテナのM個のサブRDマップにおける第iサブRDマップは、S個のスロットにおける受信アンテナのエコー信号における、開始スロットがそれぞれiであるM個のスロットの間隔である信号に対して2D-FFTを実行する結果であり、ここで、iは1、2、...、およびMの任意の整数に設定される。
【0165】
段階703:各受信アンテナのM個のサブRDマップが累積された後に取得されるサブRDマップに基づいて第1標的を検出し、第1標的のレンジ情報を取得する。
【0166】
第1標的は少なくとも1つの標的のうちの1または複数である。
【0167】
第1標的のレンジ情報は、
図7に示される手順において取得され得る。本願の本実施形態において、第1標的の角度情報および速度情報がさらに取得され得る。詳細は
図8に示され得る。
【0168】
段階801:受信されたエコー信号の差分周波数信号に基づいて、各スロットにおいて、1次元高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform,FFT)(1D-FFT)、すなわち、レンジ次元における高速フーリエ変換を実行する。
【0169】
Nrx個の受信アンテナが、各スロットにおいて複数のサンプリングされた信号を取得し、レンジ次元におけるFFTの次元はNrangeであると想定する。FFT演算が、各スロットにおける1つの受信アンテナの複数のサンプリングされた信号に対して実行され、それにより、複素行列次元Nrange×S×Nrxが取得される。
【0170】
段階802:1D-FFTの結果に基づいて、各レンジビンから抽出された、開始スロットがそれぞれ1~MであるM個のスロットの間隔である信号を1つずつ計算し、2次元FFT(2D-FFT)、すなわち、ドップラーフーリエ変換を実行し、Nrx個の受信アンテナ上でM個のサブRDマップの複素数値を別々に取得し、各受信アンテナのM個のサブRDマップを取得する。
【0171】
RDマップは、1つの次元がレンジ情報であり他方の次元がドップラー情報であるレーダ出力グラフである。RDマップは、レンジ次元の観点からレンジビン(Range bin)と称され、ドップラー次元の観点からドップラービン(Doppler bin)と称され、レンジ次元およびドップラー次元の両方の観点からレンジドップラーセル(Range-Doppler Cell)と称される。
【0172】
サブRDマップを取得するプロセスにおいて、エコー信号に対して以下の動作、例えば、信号ウィンドウイング(Windowing)、送信/受信チャネル較正(Tx/Rx Calibration)およびゼロパディング(Zero-padding)がさらに実行され得ることに留意されたい。これについては、本願の本実施形態において限定しない。詳細については、従来の技術における説明を参照されたい。詳細は、ここで説明しない。
【0173】
さらに、各受信アンテナのM個のサブRDマップが取得された後に、段階703において、第1標的が、各受信アンテナのM個のサブRDマップに基づいて検出され得、第1標的のレンジ情報が取得され得る。これは具体的には、以下のステップを含み得る。
【0174】
段階803:複数の受信アンテナ上で取得されたM個のサブRDマップを累積して、累積後に取得されたサブRDマップを取得し、累積後に取得されたサブRDマップに対して検出を実行して第1標的のレンジインデックスRind、すなわち、第1標的のレンジ情報を取得する。
【0175】
具体的には、第1標的のレンジインデックスRindおよびドップラーインデックスVindが取得され、ここで、Vindは、[1,Nfft/P]のレンジにおける検出された標的のドップラーインデックスである。目標検出は、Nrx個の受信アンテナのM個のサブRDマップのコヒーレント累積値、または、非コヒーレント累積値に基づいて実行される。コヒーレント累積値は、異なる送信アンテナまたは受信アンテナの信号累積方式についての位相内重畳の値であり、すなわち、予め定められた角度のビーム方向における最大値が選択される。非コヒーレント累積値は、異なる送信アンテナまたは受信アンテナの信号累積方式についての振幅重畳の値である。
【0176】
閾値検出がレンジ次元において実行され得る。ここでは一定誤警報確率(Constant False Alarm Rate,CFAR)に加えて、別の検出方法、例えば、ノイズ閾値ベースの方法が、第1標的のレンジインデックスRindを取得するためにさらに使用され得る。
【0177】
段階804a:すべてのS個のスロットを使用することによってドップラードメインに対して2D-FFTを実行し、総レンジドップラーマップ(range-Doppler map,RD Map)の複素数値を取得する。
【0178】
具体的には、2次元FFT(2D-FFT)、すなわち、ドップラー次元における高速フーリエ変換が、S個のスロットにおける1D-FFTの結果に対して実行されて、複数の受信チャネル上で信号の総レンジドップラーマップ(range-Doppler map,RD Map)の複素数値を取得する。
【0179】
総RDマップにおける各レンジドップラーセルのエネルギーを取得するために複数の受信チャネル上の信号が累積される。総RDマップの次元はNrange×(M×Nfft)であり、すなわち、レンジ次元はサブRDマップの次元と同一であり、ドップラー次元はサブRDマップのM倍であることが理解され得る。
【0180】
総RDマップにおいて、M×Nfftポイントの2D-FFTが、段階801に基づいてすべてのS個のスロットを使用することによってドップラードメインに対して実行され、Mの間隔の抽出はそれ以上実行されない。非コヒーレント重畳はNrx個の受信アンテナのみに対して実行される。
【0181】
さらに、計算を簡略化するために、
図9に示されるように、段階804aは段階804bで置き換えられ得る。サブRDマップにおける検出された第1標的のレンジインデックスRind上のS個のスロットにおける2D-FFTドップラースペクトルを計算する。
【0182】
第1信号が標的によって反射された後に形成されるエコー信号におけるドップラーを決定するために、送信波形と組み合わせて複数の異なるタイプの処理が実行され得る。
【0183】
段階805:累積後に取得されたサブRDマップにおける第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定し、すなわち、累積後に取得されたサブRDマップにおけるTx0のドップラーインデックスVind_subを取得する。累積後に取得されたサブRDマップにおける第1標的の第1信号のドップラーインデックスVind_subは、Nfft/Pの間隔であるP個の可能な位置のうちの1つに位置し、ここで、Nfftは、累積後に取得されたサブRDマップの2D-FFTの次元である。
【0184】
サブRDマップにおけるドップラー値が、検出のために第1標的のレンジインデックスRindから抽出され、すなわち、閾値検出がドップラードメインに対して実行され、エイリアシングされたVmax/Mレンジにおける第1標的の速度、または、第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを取得する。
【0185】
しかしながら、様々なアンテナの信号が2πky/Pの位相だけ変調されるので、ky=0、1、...、またはP-1において位相変調が実行される。累積後に取得されたサブRDマップにおける第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subは、直接取得することができないが、Nfft/Pの間隔であるP個のスペクトル線に位置し、ここで、P個のスペクトル線は、Vind、nfft/P+Vind、...、および(P-1)Nfft/P+Vindを含み、Nfftは、累積後に取得されるサブRDマップの2D-FFTの次元であり、Vindは、[1,Nfft/P]のレンジにおいて検出される標的インデックス値である。実際、ドップラースペクトルは2π循環特性を有するので、累積後に取得されるサブRDマップにおけるP個のサブ間隔の任意のサブレンジも、ここで具体的に検出され得る。例えば、[Nfft/P+1,2Nfft/P]の間隔におけるVindが選択される場合、対応するP個のスペクトル線の位置は、Vind-Nfft/P、Vind、...、および(P-2)/Nfft/P+Vindである。
【0186】
本願の実施形態は、スペクトル線Tx0のスペクトル線位置を決定するための複数の方法を提供する。1つの方法は、段階805における方法であり、M個のサブRDマップについての情報のみが使用される。別の方法において、総RDマップおよびサブRDマップが使用され得る。詳細に関しては、段階806を参照されたい。
【0187】
段階805における方法において、M個のサブRDマップのみが使用される。具体的には、同一の受信アンテナのM個のサブRDマップの各々におけるP個のスペクトル線に対応するスペクトル線のペア間の振幅差が比較される。小さい振幅差を有するスペクトル線のペアに対応するサブRDマップは、Tx0が位置するスペクトル線位置であり、すなわち、サブRDマップにおけるアンテナTx0に対応するドップラーインデックスが決定される。
【0188】
Tx1~Tx mが位置するスペクトル線は異なるチャネルに対応するので、振幅差が大きい。Tx0が位置するスペクトル線は同一のチャネルに対応するので、振幅差は小さい。したがって、Tx0が位置するスペクトル線の位置は、振幅差に基づいて決定され得る。Tx1~Tx mはそれぞれ、第2信号を送信するm個の送信アンテナである。
【0189】
段階806:各サブRDマップにおけるP個のスペクトル線の複素数値を1つずつ抽出し、ここで、P個のスペクトル線は、ドップラーインデックス値がサブRDマップにおけるVind、Nfft/P+Vind、...、および(P-1)Nfft/P+VindであるP個のスペクトル線であり、P個のスペクトル線の複素数値および総RDマップをマッチし、第1標的の速度、および、累積後に取得されたサブRDマップにおけるTx0の対応する速度を決定し、ここで、Vindは、[1,Nfft/P]のレンジにおいて検出された標的インデックス値である。
【0190】
このステップにおいて、累積後に取得されたサブRDマップにおけるTx0の対応するスペクトル線、および、総RDマップにおけるTx0の対応するスペクトル線の両方が決定され得ることに留意されたい。言い換えれば、第1標的の速度、および、累積後に取得されたサブRDマップにおけるTx0の対応する速度の両方が決定される。
【0191】
速度は方向を有する、すなわち、レーダから遠く離れているか、または、レーダに近いので、実際のプロセスにおいて、Vindは、正の数または負の数に設定され、標的がレーダから遠く離れているか、または、レーダに近いかを示し得る。ここで、送信波形パラメータに基づいて決定される、レーダ装置の最大速度測定レンジVmax_totalは通常、レーダに近い、および、レーダから遠く離れている2つの速度方向が正および負として表される形式であり、すなわち、±Vmax_total=λ/(4×TSIMO)であり、ここで、λは、変調周波数の波長であり、TSIMOは、単一の連続送信アンテナのスロット長であり、本願において、送信アンテナTx0を通じて信号を送信する反復期間として示される。送信アンテナTx0は、第1信号を送信する送信アンテナである。第1標的は、少なくとも1つの標的のいずれか1つである。第2信号は、M個のスロットの間隔で抽出され、±Vmax_sub=λ/(4×M×TSIMO)であり、λは変調周波数の波長である。したがって、サブRDマップ上で決定されたアンテナTx0のドップラーインデックス値はさらに、Vmaxのレンジにおける速度インデックス値に変換される必要がある。第1標的の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalは、Vind_sub+kk×Nfft-Nfft/2に等しく、ここで、サブRDマップは総RDマップの各々なので、kkは、ダウンサンプリング後に取得されるM個のドップラーインデックスのエイリアシング値を表し、kkの値は0、...、またはM-1である。ここでは、-Nfft/2を使用することによって、サブRDマップにおけるVind_subに対してfftshift操作が実行され、正および負の速度を示し、総RDマップにおけるVind_totalに対してfftshift操作が実行され得、正および負の速度を取得することに留意されたい。異なる適用は、異なる正および負の速度定義を有するので、これは、本願の本実施形態において限定されるものではない。
【0192】
具体的には、レンジビン上の標的の数は、サブRDマップを使用することによって取得され、総RDマップにおける同一のレンジビン上の最大エネルギーを有するスペクトル線、すなわち、第1標的の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalは、サブRDマップにおけるエイリアシング速度のドップラーインデックスVind_sub=mod(Vind_total,Nfft)+Nfft/2の位置にマッチする。数に基づいて、スペクトル線および標的の数は順次に反復される。
【0193】
総送信時間において、Tx0の信号のみが常に送信される。したがって、総RDマップにおいて、標的のTx0のスペクトル線のエネルギーは、同一の標的の他の送信アンテナのスペクトル線のエネルギーより高い。
【0194】
図10(a)~
図10(c)は各々、3個の送信アンテナに対応するドップラースペクトルの例を示す。
図10(a)~
図10(c)において、S個のスロットにおいて、第2信号の変調位相はP個の位相を含み、第2信号を送信する各送信アンテナは、P×M個のスロットを期間として使用することによって繰り返し送信を実行する。例えば、P=2およびM=2である。合計S=256のスロットが送信され、Nfft=S/2=128であり、実際の速度は0である。
図10(a)は、すべてのスロットのドップラースペクトル、すなわち、総RDマップを示す。
図10(b)は、スロット1およびスロット3に対応するドップラースペクトルを示す。
図10(c)は、スロット2およびスロット4に対応するドップラースペクトルを示す。
図10(a)において、総RDマップにおいて、対応する標的レンジビンRind上で、対応するドップラースペクトル線は、非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_total=129(Nfft/P=128/2=64の識別子)の右および左において各々1つのスペクトル線を有し得る。すなわち、標的は、129-64=65および129+65=194の両方において検出され得る。すなわち、検出された標的のドップラー値は大きい。
【0195】
図10(b)において、奇数のスロットのドップラースペクトルは、1および65の各々において1つのスペクトル線を有する。
図10(c)において、偶数のスロットのドップラースペクトルは、1および65の各々において1つのスペクトル線を有する。この場合において、インデックスが1である場合とは異なり、サブRDマップにおけるTx0のスペクトル線の位置は、エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_sub=mod(129,Nfft=128)+Nfft/2=65であることが分かる。
【0196】
図10(a)~
図10(c)を参照すると、P=2であるとき、スペクトル線の間の間隔は、以下の規則を有することが分かる。実際のドップラーインデックスVindの左右の間隔Nfft/2でスペクトル線があり、すなわち、Vind_total+Nfft/2またはVind_total-Nfft/2であり、他方のスペクトル線は、左右の整数倍のNfft間隔である。加えて、1つの標的のドップラー速度のみがある場合でも、時分割方式および符号分割方式で送信される第2信号は、複数のドップラースペクトル線を形成することが理解され得る。従来の技術における方法によれば、1つの標的に対応する(P-1)×M+1個のドップラースペクトル線があることを検出するために総RDマップが使用される場合、総RDマップ上でTx0上の1つの標的のエイリアシング速度を直接検出することは非常に困難である。サブRDマップの速度測定レンジが総RDマップの1/Mに低減されるとき、Nfft/P関係において大きい振幅差を有するP個のスペクトル線は常に存在し、サブRDマップにおけるスペクトル線の数は、第2信号の送信アンテナの数が増加するときに増加せず、位相変調において使用される位相変調ステップk
yの異なる値の数のみに関する。したがって、標的のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subが、サブRDマップを使用することによって決定されるとき、大きい振幅を有するP個のスペクトル線のみがマッチされる必要がある。これは、総RDマップにおいてマッチされる必要があるドップラースペクトル線の数より遥かに小さい。
【0197】
段階807:累積後に取得されたサブRDマップにおけるTx0のエイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subに基づいて総RDマップをマッチし、第1標的の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalを取得する。
【0198】
具体的には、累積後に取得されたサブRDマップを使用することによって取得されるTx0の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_sub、および、式Vind_total=Vind_sub+kk×Nfft-Nfft/2は、kkの異なる値をトラバースして、総RDマップに対応する可能性における最大振幅を有するドップラーインデックス値を発見し、それにより、第1標的の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalを取得し、ここで、kkはエイリアシング速度係数であり、kkの値は0、1、...、およびM-1である。プロセスは、段階806における逆プロセスと同様である。第1標的の非エイリアシング速度は、第1標的の速度情報である。
【0199】
図10(a)~
図10(c)に示されるように、実際には、サブRDマップ上のTx0のエイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subは65に等しく、非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalは129に等しく、kk=1である。したがって、kk=0であるとき、Vind_total=65-64=1であることも分かり得る。総RDマップにおいて、インデックスがVind_total=1であるドップラースペクトル線上の値は、Vind_total=129のエネルギーより遥かに小さい。したがって、kk=1であり、0に等しいのではないことも決定され得る。ここで、kkの値は、0、...、またはM-1の値であり、正または負の間隔のkkの値を表す方式もあることに留意されたい。これは、本願の本実施形態において具体的に限定されない。
【0200】
段階805から807は、トラバースが完了するまで、少なくとも1つの検出された標的が位置する複数のレンジビンに基づいて繰り返し実行される。
【0201】
さらに以下の段階が含まれ得る。
【0202】
段階808:異なる受信アンテナ上で送信アンテナTx0によって2D-FFTが実行された後に取得される複素信号を取得する。
【0203】
複素信号は、Nrx個の受信アンテナのM個のサブRDマップのレンジインデックスRind、および、エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subに対応するRDセルから抽出されることが理解され得る。
【0204】
段階809:m個の送信アンテナTx1~Tx mの時分割によって生じるドップラー位相偏移、および、m個の送信アンテナTx1~Tx mの符号分割によって生じる位相偏移を補償して、異なる受信アンテナに対してm個の送信アンテナTx1~Tx mによって2D-FFTが実行された後に取得される複素信号を取得する。
【0205】
m=0、1、...、またはM-1であることに留意されたい。第1スロットについて、mが0に設定されるとき、時分割によって生じるドップラー位相偏移、または、符号分割によって生じる位相偏移のみがある。mが別の値に設定されるとき、時分割によって生じたドップラー位相偏移および符号分割によって生じた位相偏移が存在する。
【0206】
第mのスロットにおける送信アンテナが選択されるので、補償される必要がある位相は、Vind_subまたはVind_totalの関数によって表され得る。ここで、
【数4】
は、アンテナがTx0の送信時点および位相に整合する場合に、総RDマップにおいて2D-FFTのインデックスが(Rind,Vind_total)であるRDセルの複素数値を表し、
【数5】
は、
【数6】
の位相を使用することによって変調されたアンテナが、第mのスロットにおいて、エイリアシング速度係数がkkである信号を送信する場合に、第mのサブRDマップにおいてインデックスが(Rind,Vind_sub)であるRDセルの複素数値を表す。
【数7】
【0207】
TDM時分割スロットmにおける送信アンテナおよびエイリアシング速度係数よって導入される位相補償量は、
【数8】
であり、位相変調によって生じる変化は、
【数9】
であり、ここで、k
mは、スロットmにおける送信アンテナによって使用される送信波形によって使用される位相変調ステップにおけるkの値である。
【0208】
この段階において、各標的の異なるスロット間のドップラー位相シフトが計算され、その結果、各受信アンテナの隔たれた複素信号は、位相補償後に取得され得る。
【0209】
具体的には、2つの方法があり得る。
【0210】
方法9-1:Tx0がN-1個のサブRDマップに位置するスペクトル線の位相の間の位相差に基づいて、異なる時点における送信アンテナのドップラー補償値を決定する。
【0211】
Tx0が位置するスペクトル線が、異なるサブRDマップにおける異なる時点に起因して導入された位相のみを有するので、この位相は、時分割を使用する他のアンテナを補償するために補償値として使用され、その結果、信号は同時送信と同等である。すなわち、それは、式における
【数10】
の部分と同等である。
【0212】
方法9-2:第1標的の取得されたドップラー位相に基づいて、異なる時点における送信アンテナのドップラー補償値との対応する位相差を補償する。
【0213】
第mのスロットにおける送信アンテナが選択されるので、補償される必要がある位相は、Vind_subまたはVind_totalによって表され得る。
【0214】
段階810:異なる送信アンテナおよび受信アンテナによって形成された仮想受信アンテナ上の補償信号に基づいて第1標的の角度情報を取得する。
【0215】
送信アンテナおよび受信アンテナを組み合わせることによって取得されたアンテナは、仮想受信アンテナ(Virtual Receive antenna)であり、または、送信アンテナおよび受信アンテナを組み合わせることによって取得される仮想受信アレイとして説明され得る。第1標的の角度情報は、FFT、デジタルビームフォーミング(digital beamforming,DBF)、多信号分類(Multiple Signal Classification,MUSIC)、別の共通に使用される角度スペクトル分析アルゴリズム、または同様のものを使用することによって、仮想受信アンテナの展開に基づいて取得される。詳細は本明細書において説明しない。
【0216】
段階810において、段階807において決定されたレンジ情報および速度情報がさらに取得され得ることに留意されたい。
【0217】
段階808から810は、段階807において出力された第1標的に対して繰り返し実行されることに留意されたい。
【0218】
本願はさらに、送信アンテナの数がより大きい場合に適用され得ることに留意されたい。例えば、
図11は、1個のレンジビンが総RDマップにおいて1個の標的を含むドップラースペクトル線の概略図である。
図11における左端の総RDマップ上で、4個の送信アンテナは、少なくとも6個のスロットを必要とし、総RDマップは4個のスペクトル線を含む。
図11における中央の総RDマップ上で、5個の送信アンテナは少なくとも8個のスロットを必要として、総RDマップは5個のスペクトル線を含む。
図11における右端の総RDマップ上で、6個の送信アンテナが少なくとも10個のスロットを必要とし、総RDマップは6個のスペクトル線を含む。別の場合は説明されない。この図から、総RDマップにおいて標的が検出された場合、不連続な送信のアンテナ速度の周期的拡張に起因して、P個の異なるステップだけが位相について選択された場合でも、複数のスペクトル線を検出することが困難であることが分かる。したがって、この方法において、サブRDマップを使用することによって標的が検出され、その結果、受信側の処理が簡略化され得る。
【0219】
さらに、M=8、m=8、N=9、P=2、S=1024、Nfft=1024/8=128であるとき、2つの標的シナリオがあり、すなわち、2つのインデックスVind_subがRind上で検出される。
図12は、1つのレンジビンが二位相16スロットの総RDマップにおいて2つの標的ドップラースペクトル線を含む概略図である。
図12において、総RDマップおよびサブRDマップの各々の速度分解能はdvであるが、総RDマップの速度測定レンジは、8×2×64×dv=1024×dvである。この場合において、サブRDマップの速度測定レンジは、2×64×dv=128×dvである。
【0220】
サブRDマップにおいて、ドップラードメイン上のTx0のピークインデックスVindは96または83に等しく、サブRDマップにおける2つのピーク間の間隔は13であると検出される。
【0221】
総RDマップにおいて、第1の最大ピークのドップラーインデックス544=96+128×3+64は、ローカルピーク方法を使用することによって取得される。したがって、544×dvは、第1標的の速度でることが分かる。サブRDマップにおける2つのピーク間の間隔は13なので、総RDマップにおける第2ピークのドップラーインデックスは、間隔の整数エイリアシング関係を満たさず、96-83=(544-659)+2×128が、振幅が三番目に大きいピークであるドップラーインデックス659にマッチされる。したがって、第2の標的の速度は659×dvである。
【0222】
実際、ここでの例は、同一のレンジインデックスRindが2つの標的に対応する場合である。しかしながら、本願の本実施形態は、これに限定されない。マッチされるピーク値が予め定められた閾値より小さくなるまで複数の反復が実行され得る。
【0223】
さらに、異なる時点によって生じたドップラー位相差は、速度に基づいて補償され、様々なアンテナ間のドップラー位相差は、方法9-1または方法9-2に従って補償される。
【0224】
さらに、補償後に異なる時点で送信されるアンテナの信号は、同一の時点で送信され、アンテナ上の位相差は、アンテナの空間における遅延によって生じる位相差だけである。標的の角度情報は位相差に基づいて計算される。ここでの計算は、アンテナの展開に関するので、これは、ここで具体的に限定されない。
【0225】
さらに、実施形態2を参照すると、第3信号が、S個のスロットの後のS0個のスロットにさらに含まれるとき、受信側で実行される対応するステップは段階806を除いて同一である。詳細については、前述の説明を参照されたい。
【0226】
実施形態2を参照すると、段階806が以下の方式で実装され得る。
【0227】
m個の送信アンテナがさらにS0個のスロットにおいて第3信号を送信するとき、サブRDマップにおけるTx0のドップラー位置は、S個のスロットにおけるスペクトル線の位置と、S0個のスロットにおけるスペクトル線の位置とを、すなわち、エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subと、標的の実際の速度に対応する非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalとを比較することによって決定され得る。
【0228】
具体的には、m=8、N=9、M=8、P=2、S=S0=512であり、送信アンテナはそれぞれTx0~Tx8であると想定される。Tx0は第1信号を送信し、Tx1~Tx8は第2信号および第3信号を送信する。ドップラースペクトルは、対応するレンジビンにおいて最初のS個のスロットにおける信号について計算される。
図13は、本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。
図13の(c)(
図13の左下の図)において、合計9個のスペクトル線、Tx0を通じて送信された信号、および、時分割に起因して他のTx1~Tx8のスペクトル線上に現れる複数のエイリアシングスペクトル線が取得され得る。後のS0個のスロットにおける信号に対応するレンジビンに基づいてドップラースペクトルが計算される場合、8個のスペクトル線が取得され得る。詳細については、
図13の(d)(
図13の右下の図)を参照されたい。Tx0の信号が存在しないので、複数のエイリアシングスペクトル線が、時分割に起因してTx1~Tx8だけにおけるスペクトル線上に現れる。この場合において、256における標的の速度に対応するスペクトル線位置は、2つのスペクトル振幅を減算することによって取得され得る。詳細については、
図13における(b)(
図13における右上の図)を参照されたい。
図13における(a)、すなわち、
図13における左上の図は、S+S0個のスロット全体に対してFFTを実行することによって取得されるドップラースペクトル線を示す。
【0229】
第2信号の時間長および第3信号の時間長の和が第1信号の時間長より長いので、Tx0を通じて送信される信号は、最初のS個のスロットだけを占有し、Tx1~Tx8を通じて送信される信号は、S+S0個のスロットを占有する。したがって、実際には、Tx0によって取得される速度分解能は、Tx1~Tx8によって取得されるもの、すなわち、dv_tx0=S×dv_txi/(S+S0)より低く、ここで、dv_tx0およびdv_txiはそれぞれ、Tx0に対応する速度分解能を表し、実際の目標速度および目標速度に対応するドップラー位相は単純な変換を通じて取得され得る。詳細は本明細書において説明しない。
【0230】
さらに、実施形態3を参照すると、Pが2より大きいとき、受信側上での具体的な段階は、段階806および段階809を除いて同一である。以下では、段階806および段階809を別々に説明する。
【0231】
段階806:P=4であるとき、サブRDマップにおけるVind、Nfft/4+Vind、Nfft/2+Vindおよび3×Nfft/4+Vindのスペクトル線を抽出し、Tx0が位置する、サブRDマップにおけるスペクトル線の位置、すなわち、エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subを決定する。
【0232】
この場合において、総RDマップにおける複数の送信アンテナについての情報はまた、ドップラーを利用して識別することは困難であることに留意されたい。同一のグループにおいて信号を同時に送信する送信アンテナTx1、Tx2およびTx3の位相は、f0-(2×π×ii+Q)/(2×π×M×T
SIMO)であり、ここで、f0は、Tx0を通じて送信される信号の周波数である。M=N-1=2およびP=4であるとき、Qは3つの可能な値、すなわち、π/2、πまたは3π/2を有する。位相0はTx0によって占有され、iiは2つの可能な値0および1を有する。
図11の左の最初の図に示されるように、合計で2×3=6個の可能なスペクトル線があり、Tx0が位置するスペクトル線に加えて、合計で7個のスペクトル線がある。したがって、本実施形態において、Tx0が位置するスペクトル線は、サブRDマップの補助標的情報を使用することによって取得され得る。
【0233】
具体的には、方法1において、サブRDマップだけが使用され、すなわち、段階805aが実行される。複数のサブRDマップにおけるP=4個のスペクトル線の間の振幅差が比較され、Tx0が位置するスペクトル線は、より小さい振幅差を有する。
【0234】
複数のサブRDマップにおいて、Tx0のチャネルを除くすべてのチャネルは時間分割チャネルである。したがって、振幅は大きく異なる。
図11において、サブRDマップにおけるVind=129の振幅はすべて256であり、Tx0が位置するスペクトル線の位置は129である。
【0235】
方法2において、総RDマップおよびサブRDマップが使用され、すなわち、段階806が実行される。レンジビン上の標的の数は、サブRDマップを使用することによって取得され、総RDマップにおける同一のレンジビン上の最大エネルギーを有するスペクトル線、すなわち、非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_totalは、サブRDマップにおけるエイリアシング速度のmod(Vind_total,Nfft)+Nfft/2の位置にマッチする。Tx0が位置するスペクトル線の位置を決定するために、数に基づいて、スペクトル線および標的の数が順次に反復される。
【0236】
図14は、本願の実施形態による、ドップラースペクトル線の概略図である。例えば、
図14は、4個の位相および8個のスロットを有するレンジビンにおける1個の標的の総RDマップおよびサブRDマップにおけるドップラースペクトル線を示す。
図14において、総ラジアル速度が0であり、0度方向に1個の標的のみがある例を使用することによって説明が提供される。総RDマップにおいて、Nfft/4=64の間隔で7個のスペクトル線がある。各標的は、サブRDマップにおいて64の間隔で4個のスペクトル線を有する。第1標的の非エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_total=257のエネルギーが最高であり、mod(257,256)+256/2=129である。ドップラーインデックスの位置129はTx0のスペクトル線であると決定され得る。
【0237】
さらに、段階809:Tx1~Tx mが位置するスロットのドップラー周波数差、および、Tx0とTx1~Tx mとの間の固定位相差j、-1、および-jを補償し、異なる受信アンテナ上でアンテナTx1~Tx mによって2D-FFTが実行された後に取得される複素信号を取得する。
【0238】
同様に、実施形態3における例はまた、Mが別の値に設定される場合に拡張され得、例えば、N<(P-1)×M+1である。同一のグループにおける様々なアンテナ(すなわち、送信のために同じスロットを占有するアンテナ)の位相は異なり、異なるグループにおける無信号期間の位置は循環シフトされる。
【0239】
さらに、Mが別の値に設定され、P≧3であるとき、第2信号の少なくとも1つのグループにおける、同時送信のための送信アンテナ(同じスロットにおける同時送信のためのアンテナ)の数は、P-1より小さい。
【0240】
それに対応して、受信側において、段階805は以下のように示され得る。
【0241】
段階805bは段階805aの代替的な解決手段であり、サブRDマップにおけるTx0のドップラー識別子を決定するための方法のみが使用される。従来の技術と同様に、実施形態2において、P≧3であるとき、セットにおけるいくつかの位相のみがグループ(同じスロットにおける同時送信のためにアンテナ)におけるステップ変調信号として使用される場合、Tx0の識別子は、空隙位相を使用することによって識別され得る。代替的に、P=2であり、かつ、Mがm/(P-1)の整数より大きいとき、P個の位相変調ステップは、いくつかのサブRDマップにおいて完全に占有されない。したがって、Tx0が位置するドップラースペクトル線の位置は、サブRDマップにおける空隙位相、すなわち、エイリアシング速度のドップラーインデックスVind_subを使用することによって識別され得る。
【0242】
具体的には、P=4個の位相がある例において、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける、各期間において第1信号に基づいて送信される信号の位相は[1,1,1,1]として表され得、P×M個のスロットにおけるMの間隔のP個のスロットにおける、各期間において第2信号に基づいて送信された信号の位相は、[1,j,-1,-j],[1,-1,1,-1]および[1,-j,-1,j]から選択され得る。同時送信が、4-1=3(P=4)個より少ない送信アンテナを使用することによって実行されるとき、例えば、送信が、[1,j,-1,-j]および[1,-j,-1,j]のみを使用することによって実行されるとき、f0-fvmax/2のスペクトル線は存在せず、したがって、Tx0の正確な位置はこの方法を使用することによって決定され得る。すなわち、スペクトル線は、f0、f0-fvmax/4およびf0-3fvmax/4のみに存在する。時分割多重を使用するアンテナのM個のグループにおいて、いくつかのグループが本方式における送信のために使用される場合、Tx0が位置するスペクトル線の位置は、対応するスロットのサブRDマップを使用することによって受信側で決定され得る。同様に、P=4、M=2、m=5、N=m+1=6であり、Tx1~Tx3がスロット1および3を占有し、Tx4およびTx5がスロット2および4を占有するとき、3つの送信アンテナの信号、すなわち、アンテナTx0、Tx4およびTx5の信号のみがスロット2および4に存在する。位相変調ステップ、および、空隙位相、すなわち、P個の均一に分散するスペクトル線の1つが漏れていることに基づいて、f0-fvmax/2のスペクトル線は存在しない。
【0243】
代替的に、P=2かつM>m/(P-1)=mであるとき、第2信号におけるm個の信号はS個のスロットのすべてを占有せず、第1信号のみがいくつかのスロットに存在することが理解され得る。例えば、P=2、N=3およびm=N-1=2であるとき、M=3である。この場合においてTx1はスロット1および4を占有し、Tx2はスロット2および5を占有し、第1信号、すなわち、Tx0の信号のみがスロット3および6に存在し、第2信号が位置するスペクトル線の位置は空隙であると想定する。Tx0が位置するスペクトル線の位置は、スロット3および6に対応するサブRDマップを使用することによって決定され得る。
【0244】
さらに、現在、いくつかの特殊な場合において、1つのペアのスペクトル線のみがサブRDマップ上で観察され得るが、総RDマップから、実際に2つの目標速度があることが観察され得る。例えば、
図15は、2個の位相および4個のスロットを有するレンジビンにおける2個のサブRDマップにおける重複する標的の総RDマップおよびサブRDマップにおけるドップラースペクトル線の概略図である。
図16において、対応する速度は、Vind=59およびVind=251であり、サブRDマップにおける2つの対応する標的のTx0はそれぞれ、左のスペクトル線および右のスペクトル線である。したがって、弱い標的、例えば、速度がVind=251である標的が漏れ得る。
【0245】
この問題を解決するために、実施形態4における信号送信方法が使用され得、すなわち、第2信号におけるm個の送信アンテナが異なるグループにグループ化され、異なるMiまたはmiが各グループに選択される。実施形態4を参照すると、m個の送信アンテナが異なる構成を使用することによってS個のスロットにおいて第2信号を送信するとき、受信側で、段階803、段階806、および段階809は、以下の態様において異なり得る。
【0246】
段階803:M1およびM2に基づいて複数のサブRDマップをそれぞれ抽出する。
【0247】
例えば、M1=2およびM2=3であるとき、
図16は、本願の実施形態によるドップラースペクトル線の概略図である。例えば、
図16は、2個の位相および6個のスロットを有するレンジビンにおける2個のサブRDマップにおける4個のスロットにおける重複する標的のドップラーの総RDマップおよびサブRDマップにおけるドップラースペクトル線の概略図である。
【0248】
図16を参照すると、d
vM2=M1×d
vM1/M2を使用することによって、異なる構成の速度識別子が変換される。具体的には、M2=3であり、最大速度測定レンジは単一のチャープスキャン時間なので、6個のスロットにおける速度分解能d
v6および4個のスロットにおける速度分解能d
v4は、以下の変換関係、d
v6=4×d
v4/6=M1×d
v4/M2を有し得る。
【0249】
段階806:異なる構成を有する複数のサブRDマップ、および、総RDマップに基づいて、Tx0が位置するスペクトル線を決定する。
【0250】
実施形態1とは異なり、本実施形態において、複数のサブRDマップにおける最大数の標的が標的数として使用される。例えば、M1=2であるサブRDマップにおいて、1つの標的のみがあると決定されるが、M2=3であるサブRDマップにおいて、2つの標的があると決定される。この場合において、2つの標的のTx0が位置するスペクトル線は、別々に検索される必要がある。具体的には、段階805および806において、複数の標的のTx0におけるスペクトル線の位置がさらに決定される。
【0251】
送信側の波形構成に基づいて、複数の標的のTx0が、現在のレンジインデックスRind上の同一の、または異なるP個の位置の1つにエイリアシングされるかどうかが容易に分かる。
【0252】
段階809:Tx1~Tx mが位置するスロット間のドップラー周波数差を補償する。
【0253】
N1個の送信アンテナおよびN2個の送信アンテナが時分割方式で信号を送信する。N1およびN2の設計された総送信時間長が、標的が最大速度で移動し、かつ、1個のレンジビンを超えないという要件を満たすとき、N1個の送信アンテナおよびN2個の送信アンテナを通じて送信される信号によって反射される標的はなお1個のレンジビンにある。したがって、位相差のみが考慮され得る。車両搭載シナリオにおいて、N1個の送信アンテナが信号を送信するS1個のスロットの総時間長は10msを超えず、N2個の送信アンテナが信号を送信するS2個のスロットの総時間長は10msを超えないとみなされ得る。本願の実施形態はさらに、レーダ装置を提供する。レーダ装置は、
図3に示される方法を実行するよう構成され得る。
図17を参照されたい。レーダ装置は、アンテナアレイ1701、マイクロ波集積回路1702およびプロセッサ1703を含む。アンテナアレイ1701はN個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数である。
【0254】
プロセッサ1703は第1信号および第2信号を決定するよう構成される。
【0255】
マイクロ波集積回路1702は、プロセッサ1703によって決定される第1信号および第2信号を生成するよう構成される。
【0256】
アンテナアレイ1701は、N個の送信アンテナの1つを通じてS個のスロットにおいて第1信号を送信することであって、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままである、こと、および、時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいて、N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、S個のスロットにおいて第2信号を送信することであって、Sは4以上の整数であり、mは2より大きくN未満の整数である、ことを行うよう構成され、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、ここで、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、m個の送信アンテナにおける第y送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである。
【0257】
任意選択で、(Nd+1)×P×M>S≧Nd×P×Mであり、Ndはm個の送信アンテナの送信パターンの反復回数を表し、Ndは1以上である。
【0258】
送信パターンは、時分割方式を使用する送信アンテナの信号が、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有することを示し、ここで、Mは、m個の送信アンテナの1つによって占有されたスロットにおける隣接スロット間で隔てられたスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0259】
任意選択で、m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信された信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる。
【0260】
任意選択で、マイクロ波集積回路はさらに、時分割方式においてm個の送信アンテナを通じてS個のスロットの後のS0個のスロットにおいて第3信号を送信するよう構成され、ここで、S0は1より大きい整数であり、S0個のスロットにおける第3信号の送信パターンは、S個のスロットにおける第2信号の送信パターンと同一であり、S=Nd×P×Mであり、Mはm/(P-1)以上の整数である。
【0261】
任意選択で、m=N1+N2、N1≧2およびN2≧1である。マイクロ波集積回路は具体的には、S個のスロットにおける最初のS1個のスロットにおいて、P×M1個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M1個のスロットからM1の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナを通じて第2信号を別々に送信するよう、ならびに、S個のスロットにおける最後のS2個のスロットにおいて、P×M2個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M2個のスロットからM2の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナ以外のN2個の送信アンテナを通じて第2信号を別々に送信するよう構成され、ここで、S=S1+S2、M1≠M2、M1≧N1/(P-1)、M2≧N2/(P-1)である。
【0262】
任意選択で、P=2、3または4である。
【0263】
任意選択で、第2信号を送信するm個の送信アンテナ、および、第1信号を送信する1個の送信アンテナは、N個の送信アンテナにおける異なる送信アンテナである。
【0264】
本願の実施形態はさらに、レーダ装置を提供する。レーダ装置は、
図7に示される方法を実行するよう構成され得る。
図18を参照されたい。レーダ装置は受信機1801およびプロセッサ1802を含み、受信機は少なくとも1個の受信アンテナを含む。
【0265】
受信機は、エコー信号を受信することであって、エコー信号は、第1信号および第2信号が少なくとも1個の標的によって反射された後に形成され、第1信号は、N個の送信アンテナの1つを通じてS個のスロットにおいて送信され、第1信号の位相はS個のスロットにおいて変化しないままであり、第2信号は、時分割方式および符号分割方式のうちの少なくとも1つにおいてN個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じてS個のスロットにおいて送信され、mは2以上かつN未満の整数であり、m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、ここでPは、1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmであり、Sは4以上の整数である、ことを行うよう構成される。
【0266】
プロセッサは、少なくとも1個の受信アンテナの各々のM個のサブレンジドップラーRDマップを取得することであって、各受信アンテナのM個のサブRDマップにおける第iサブRDマップは、開始スロットがそれぞれiである、S個のスロットにおける受信アンテナのエコー信号におけるM個のスロットの間隔である信号に対して2次元高速フーリエ変換2D-FFTを実行する結果であり、iは1、2、...、およびMの任意の整数に設定される、こと、ならびに、各受信アンテナのM個のサブRDマップが累積された後に取得されたサブRDマップに基づいて第1標的を検出し、第1標的のレンジ情報を取得することであって、第1標的は少なくとも1個の標的のうち1または複数である、ことを行うよう構成される。
【0267】
任意選択で、プロセッサはさらに、対応する総レンジドップラーRDマップを取得するよう構成され、ここで、総RDマップは、S個のスロットにおけるすべての隣接スロットにおいて2D-FFTを実行する結果である。
【0268】
任意選択で、プロセッサはさらに、累積後に取得されるサブRDマップ上の第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定するよう構成され、累積後に取得されたサブRDマップ上の第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subは、Nfft/Pの間隔であるP個の可能な位置に位置し、Nfftは、累積の後に取得されたサブRDマップの2D-FFTの次元である。
【0269】
任意選択で、プロセッサはさらに、累積後に取得されるサブRDマップおよび総RDマップをマッチして、第1標的の非エイリアシング速度の少なくとも1個のドップラーインデックスVind_total、および、累積後に取得されるサブRDマップ上の第1標的に対応するエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定するよう構成される。
【0270】
任意選択で、プロセッサはさらに、m個の送信アンテナの時分割によって生じるドップラー位相偏移、および、m個の送信アンテナの符号分割によって生じる位相偏移を補償し、第1標的の角度情報を取得するよう構成される。
【0271】
当業者であれば、本願の実施形態が、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供され得ることを理解するはずである。したがって、本願は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせによる実施形態の形態で使用し得る。加えて、本願は、コンピュータ使用可能プログラムコードを含む、1または複数のコンピュータ使用可能記憶媒体上に実装されるコンピュータプログラム製品の形態(ディスクメモリ、光メモリおよび同様のものを含むが、これらに限定されるものではない)を使用し得る。
【0272】
本願は、本願による方法、デバイス(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明されている。コンピュータプログラム命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の各手順および/または各ブロック、並びにフローチャートおよび/またはブロック図の手順および/またはブロックの組み合わせを実装するのに用いられてよいことを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、または別のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサのために提供され、機械を生成し得、その結果、コンピュータまたは別のプログラマブルデータ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図における1または複数のブロックにおける1または複数の手順における具体的な機能を実装するための装置を生成する。
【0273】
これらのコンピュータプログラム命令は、代替的に、特定の方式で動作するようコンピュータまたは別のプログラマブルデータ処理デバイスに指示でき、その結果、コンピュータ可読メモリに格納された命令によって命令装置を含むアーティファクトが生成されるコンピュータ可読メモリに格納され得る。命令装置は、フローチャートの1もしくは複数の手順および/またはブロック図の1もしくは複数のブロックに特定の機能を実装する。
【0274】
当業者であれば、本願の範囲から逸脱することなく、本願の実施形態に様々な修正および変形を加えることができることが明らかである。本願は、本願のこうした修正および変形を、それが以下の特許請求の範囲およびその同等な技術により定められる保護の範囲に含まれる場合に限り、カバーすることが意図されている。
[他の可能な実装]
(項目1)
レーダ装置に適用されるレーダ信号送信方法であって、前記レーダ装置は、N個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数であり、前記方法は、
前記N個の送信アンテナの1つを通じてS個のスロットにおいて第1信号を送信する段階であって、前記第1信号の位相は、前記S個のスロットにおいて変化しないままであり、Sは4以上の整数である、段階と、
時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つで、前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、前記S個のスロットにおいて第2信号を送信する段階であって、mは2以上かつN未満の整数である、段階と、
を備え、前記m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、前記第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、前記m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである、方法。
(項目2)
(Nd+1)×P×M>S≧Nd×P×Mであり、Ndは前記m個の送信アンテナの送信パターンの反復回数を表し、Ndは1以上であり、
前記送信パターンは、時分割方式を使用する送信アンテナの信号が、M個のスロットの間隔であるP個の非競合スロットを占有することを示し、Mは、前記m個の送信アンテナの1つによって占有されるスロットにおける隣接スロットの間で隔てられるスロットの数であり、Mはm/(P-1)以上の整数である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記m個の送信アンテナにおける同じスロットを占有する送信アンテナを通じて送信される信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行されるとき、kyの値は異なる、項目1に記載の方法。
(項目4)
P個の位相は、位相[0,2π/P,4π/P,6π/P,...,(P-1)×2π/P]を含む位相シフタによって生成される、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記方法はさらに、時分割方式で前記m個の送信アンテナを通じて前記S個のスロットの後のS0個のスロットにおいて第3信号を送信する段階であって、S0は1より大きい整数である、段階を備え、
前記S0個のスロットにおける前記第3信号の送信パターンは、前記S個のスロットにおける前記第2信号の送信パターンと同一であり、S=Nd×P×Mであり、Mはm/(P-1)以上の整数である、項目1から4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
m=N1+N2、N1≧2、およびN2≧1であり、
時分割方式または符号分割方式のうちの少なくとも1つで、前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて、前記S個のスロットにおいて第2信号を送信する前記段階は、
前記S個のスロットにおける最初のS1個のスロットにおいて、P×M1個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M1個のスロットからM1の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、前記m個の送信アンテナにおけるN1個の送信アンテナを通じて前記第2信号を別々に送信する段階と、
前記S個のスロットにおける最後のS2個のスロットにおいて、P×M2個のスロットを期間として使用することによって、および、1つの期間におけるP×M2個のスロットからM2の間隔であるP個の非競合スロットを選択することによって、前記m個の送信アンテナにおける前記N1個の送信アンテナ以外のN2個の送信アンテナを通じて、前記第2信号を別々に送信する段階と
を含み、S=S1+S2、M1≠M2、M1≧N1/(P-1)、およびM2≧N2/(P-1)である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記S個のスロットにおける前記第1信号の信号波形は、周波数変調連続波FMCWであり、
前記S個のスロットにおける前記第2信号の信号波形はFMCWである、
項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
P=2、3または4である、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記第2信号を送信する前記m個の送信アンテナ、および、前記第1信号を送信する前記1個の送信アンテナは、前記N個の送信アンテナにおける異なる送信アンテナである、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
レーダ装置に適用されるレーダ信号受信方法であって、前記レーダ装置は、N個の送信アンテナ、および、少なくとも1個の受信アンテナを備え、Nは2より大きい整数であり、mは2以上かつN未満の整数であり、前記方法は、
前記少なくとも1個の受信アンテナの各々のM個のサブレンジドップラーRDマップを取得する段階であって、各受信アンテナの前記M個のサブRDマップにおける第iサブRDマップは、S個のスロットにおける前記受信アンテナのエコー信号における、開始スロットがそれぞれiである、M個のスロットの間隔である信号に対して2次元高速フーリエ変換2D-FFTを実行する結果であり、iは1、2、...、およびMの任意の整数に設定され、前記エコー信号は、第1信号および第2信号が少なくとも1個の標的によって反射された後に形成され、前記第1信号は、前記N個の送信アンテナの1つを通じて前記S個のスロットにおいて送信され、前記第1信号の位相は、前記S個のスロットにおいて変化しないままであり、前記第2信号は、時分割方式および符号分割方式の少なくとも1つで、前記N個の送信アンテナにおけるm個の送信アンテナを通じて前記S個のスロットにおいて送信され、前記m個の送信アンテナの各々を通じて送信される、前記第2信号における信号に対して、2πky/Pのステップを使用することによって位相変調が実行され、Pは1より大きい整数であり、kyは0より大きくP未満の整数であり、kyは、前記m個の送信アンテナにおける第yの送信アンテナによって使用される位相変調ステップを表し、y=1、...、またはmである、段階と、
各受信アンテナの前記M個のサブRDマップが累積された後に取得されるサブRDマップに基づいて第1標的を検出し、前記第1標的のレンジ情報を取得する段階であって、前記第1標的は、前記少なくとも1つの標的のうちの1または複数である、段階と
を備える、方法。
(項目11)
前記方法はさらに、
総レンジドップラーRDマップを取得する段階であって、前記総RDマップは、前記S個のスロットにおけるすべての隣接スロットにおいて2D-FFTを実行する結果である、段階を備える、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記方法はさらに、
前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的の第1信号のエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階であって、前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的の前記第1信号の前記エイリアシング速度の前記少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subは、Nfft/Pの間隔であるP個の可能な位置に位置し、Nfftは、前記累積の後に取得される前記サブRDマップの2D-FFTの次元である、段階を備える、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記方法はさらに、前記累積の後に取得される前記サブRDマップおよび前記総RDマップをマッチして、前記第1標的の非エイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_total、および、前記累積の後に取得される前記サブRDマップ上の前記第1標的に対応するエイリアシング速度の少なくとも1つのドップラーインデックスVind_subを決定する段階を備える、項目10または11に記載の方法。
(項目14)
前記方法はさらに、
前記m個の送信アンテナの時分割によって生じるドップラー位相偏移、および、前記m個の送信アンテナの符号分割によって生じる位相偏移を補償し、前記第1標的の角度情報を取得する段階を備える、項目10に記載の方法。
(項目15)
レーダ装置であって、前記レーダ装置は、アンテナアレイ、プロセッサおよびマイクロ波集積回路を備え、前記アンテナアレイはN個の送信アンテナを含み、Nは2より大きい整数であり、
前記プロセッサは、項目1から9のいずれか一項に記載の第1信号および第2信号を決定するよう構成され、
前記マイクロ波集積回路は、前記プロセッサによって決定される前記第1信号および前記第2信号を生成するよう構成され、
前記アンテナアレイは、前記マイクロ波集積回路によって生成される前記第1信号および前記第2信号を送信するよう構成される、レーダ装置。
(項目16)
レーダ装置であって、前記レーダ装置は受信機およびプロセッサを備え、前記受信機は少なくとも1個の受信アンテナを含み、
前記受信機は、項目10から14のいずれか一項に記載のエコー信号を受信するよう構成され、
前記プロセッサは、項目10から14のいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成される、レーダ装置。
(項目17)
メモリおよびプロセッサを備えるレーダ装置であって、前記メモリは命令を格納するよう構成され、前記プロセッサは、前記メモリに格納された前記命令を実行するよう構成され、前記メモリに格納された前記命令を実行するとき、前記プロセッサは、項目10から14のいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成される、レーダ装置。
(項目18)
コンピュータプログラムまたは命令を備える可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムまたは前記命令が実行されるとき、項目1から9のいずれか一項に記載の方法、または、項目10から14のいずれか一項に記載の方法が実行される、可読記憶媒体。
(項目19)
コンピュータ可読命令を備えるコンピュータプログラム製品であって、レーダ装置が前記コンピュータ可読命令を読み取り実行するとき、前記レーダ装置は、項目1から9のいずれか一項に記載の方法、または、項目10から14のいずれか一項に記載の方法を実行可能である、コンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】