(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】信号処理方法および装置、ならびにコヒーレント受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 10/2507 20130101AFI20230620BHJP
H04B 10/61 20130101ALI20230620BHJP
【FI】
H04B10/2507
H04B10/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573532
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 CN2021094742
(87)【国際公開番号】W WO2021238749
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・アナトリエヴィッチ・ドルギフ
(72)【発明者】
【氏名】ワンヤン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】プロトニコフ・パヴェル
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD15
5K102AH11
5K102AH27
5K102KA01
5K102KA02
5K102KA39
5K102PB01
5K102PH22
5K102PH31
5K102RD26
5K102RD28
(57)【要約】
本出願は、信号処理方法および装置、ならびにコヒーレント受信機を提供する。信号処理方法は、P個の実数信号を取得するステップと、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対して少なくとも数論変換NTT処理を実行するステップと、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行するステップと、m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償および逆数論変換INTT処理を実行するステップと、ビット信号を取得するために、m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yに対して位相復元および復号を実行するステップとを含む。信号処理手順中にNTT処理およびINTT処理を使用することは、信号処理性能を改善し、複雑度を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理方法であって、前記方法が、
P個の実数信号を取得するステップと、
P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、前記P個の実数信号に対して少なくとも数論変換NTT処理を実行するステップと、
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行するステップと、
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償および逆数論変換INTT処理を実行するステップと、
ビット信号を取得するために、前記m個の時間領域の複素数信号Xおよび前記m個の時間領域の複素数信号Yに対して位相復元および復号を実行するステップとを含み、
mおよびPが正の整数である、方法。
【請求項2】
前記P個の実数信号が、m個の送信モードにおいて4×m個の実数信号を含み、mが1に等しいとき、それがシングルモード送信を示し、またはmが1より大きいとき、それがマルチモード送信を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行する前記ステップが、
P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するステップと、
前記P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第3の実数信号に対してクロック復元を実行するステップとを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記P個の実数信号が、第1の偏波方向の同相実数信号I
m
xおよび直交実数信号Q
m
xと、第2の偏波方向の同相実数信号I
m
yおよび直交実数信号Q
m
yとを含み、
前記P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行する前記ステップが、
同相実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数I
h(w)および直交実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Q
h(w)を取得するために、前記同相実数信号に対応する波長分散インパルス応答I
h(t)および前記直交実数信号に対応する波長分散インパルス応答Q
h(t)に対してNTT処理を実行するステップと、
I
h(w)、Q
h(w)、ならびに前記P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号I
x(w)および直交実数信号Q
x(w)に基づいて、前記P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するステップと、
I
h(w)、Q
h(w)、ならびに前記P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号I
y(w)および直交実数信号Q
y(w)に基づいて、前記P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するステップとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
波長分散補償を介して取得された前記変換領域の第3の実数信号および前記変換領域の第1の実数信号が、以下の要件:
I’
x(w)=I
x(w)・I
h(w)-Q
x(w)・Q
h(w)、
Q’
x(w)=Q
x(w)・I
h(w)+I
x(w)・Q
h(w)、
I’
y(w)=I
y(w)・I
h(w)-Q
y(w)・Q
h(w)、および
Q’
y(w)=Q
y(w)・I
h(w)+I
y(w)・Q
h(w)を満たし、
I
x(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q
x(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I
y(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q
y(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’
x(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’
x(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’
y(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’
y(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある直交実数信号を表す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、前記P個の実数信号に対して少なくとも数論変換NTT処理を実行する前記ステップが、
P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、前記P個の実数信号に対してデジタル逆伝搬DBP処理を実行するステップと、
前記P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、前記P個の時間領域の第10の実数信号に対してNTT処理を別々に実行するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、前記P個の実数信号に対してDBP処理を実行する前記ステップが、
P個の変換領域の第4の実数信号を取得するために、前記P個の実数信号に対してNTT処理を実行するステップと、
変換領域において、P個の変換領域の第5の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償を実行するステップと、
P個の時間領域の第9の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理を実行するステップと、
前記P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、前記P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償を実行するステップとを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償および逆数論変換INTT処理を実行する前記ステップが、
P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償を実行するステップと、
P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理を実行するステップと、
前記第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、前記P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合し、前記第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合するステップとを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償を実行する前記ステップが、
前記P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するステップと、
前記P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するステップとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償および逆数論変換INTT処理を実行する前記ステップが、
P個の時間領域の第8の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理を実行するステップと、
前記第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、前記P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合し、前記第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合するステップと、
時間領域偏波補償を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記第1の偏波方向の前記m個の時間領域の複素数信号Xおよび前記第2の偏波方向の前記m個の時間領域の複素数信号Yに対して前記偏波補償を実行するステップとを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の入力信号に対してNTT処理を実行するように構成された第1の数論変換NTTモジュールと、
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号または波長分散補償を介して取得されたP個の変換領域の第1の実数信号に対してクロック復元を実行するように構成されたクロック復元モジュールと、
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号を処理するように構成された偏波補償モジュールおよび第1の逆数論変換INTTモジュールと、
ビット信号を取得するために、前記m個の時間領域の複素数信号Xおよび前記m個の時間領域の複素数信号Yを処理するように構成された位相復元モジュールおよび復号モジュールと
を備え、
mおよびPが正の整数である、信号処理装置。
【請求項12】
前記P個の入力信号が、m個の送信モードにおいて4×m個の実数信号を含み、mが1に等しいとき、それがシングルモード送信を示し、またはmが1より大きいとき、それがマルチモード送信を示す、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、
P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成された第1の波長分散補償モジュールをさらに備え、
前記クロック復元モジュールが、前記P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、前記第3の実数信号に対してクロック復元を実行するように構成される、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
前記P個の入力信号が、第1の偏波方向の同相実数信号I
m
xおよび直交実数信号Q
m
xと、第2の偏波方向の同相実数信号I
m
yおよび直交実数信号Q
m
yとを含み、前記第1の波長分散補償モジュールが、P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成されることが、
前記第1の波長分散補償モジュールが、同相実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数I
h(w)、直交実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Q
h(w)、ならびに、前記P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、前記P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するように構成されることと、
前記第1の波長分散補償モジュールが、I
h(w)、Q
h(w)、ならびに前記P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、前記P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するように構成されることとを含み、
I
h(w)およびQ
h(w)が、それぞれ、前記同相実数信号に対応する波長分散インパルス応答I
h(t)および前記直交実数信号に対応する波長分散インパルス応答Q
h(t)に対して、NTT処理を実行することによって取得される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
波長分散補償を介して取得された前記変換領域の第3の実数信号および前記変換領域の第1の実数信号が、以下の要件:
I’
x(w)=I
x(w)・I
h(w)-Q
x(w)・Q
h(w)、
Q’
x(w)=Q
x(w)・I
h(w)+I
x(w)・Q
h(w)、
I’
y(w)=I
y(w)・I
h(w)-Q
y(w)・Q
h(w)、および
Q’
y(w)=Q
y(w)・I
h(w)+I
y(w)・Q
h(w)を満たし、
I
x(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q
x(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I
y(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q
y(w)が、前記変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’
x(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’
x(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’
y(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’
y(w)が、前記変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある直交実数信号を表す、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の波長分散補償モジュールが、第3のNTTモジュールと、結合モジュールと、乗算モジュールとを備え、前記第3のNTTモジュールが、波長分散等化関数を取得するために時間領域波長分散インパルス応答に対してNTT処理を実行し、前記P個の変換領域の第1の実数信号に対してNTT処理を実行するように構成され、前記乗算モジュールが、NTT処理を介して取得された前記P個の変換領域の第1の実数信号と前記波長分散等化関数を乗算するように構成され、前記結合モジュールが、前記乗算モジュールによる処理を介して取得された信号を結合するように構成される、請求項13から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記P個の入力信号がP個の時間領域の第10の実数信号を含み、
前記装置が、
前記P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個のデジタル信号に対してDBP処理を実行するように構成されたデジタル逆伝搬DBPモジュールをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記DBPモジュールが、順次、
第2のNTTモジュールと、第2の波長分散補償モジュールと、第2のINTTモジュールと、非線形補償モジュールとを備え、
前記DBPモジュールが、前記P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個のデジタル信号に対してDBP処理を実行するように構成されることが、
前記第2のNTTモジュールが、P個の変換領域の第4の実数信号を取得するために、前記P個のデジタル信号に対してNTT処理を実行するように構成されることと、
前記第2の波長分散補償モジュールが、変換領域において、P個の変換領域の第5の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成されることと、
前記第2のINTTモジュールが、P個の時間領域の第9の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成されることと、
前記非線形補償モジュールが、前記P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、前記P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償を実行するように構成されることとを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記装置が、
結合モジュールをさらに備え、
前記偏波補償モジュールが、P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償を実行するように構成され、
前記第1のINTTモジュールが、P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成され、
前記結合モジュールが、前記第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、前記P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合し、
前記第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合するように構成される、請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記偏波補償モジュールが、第1のバタフライフィルタおよび第2のバタフライフィルタを備え、
前記第1のバタフライフィルタが、前記P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するように構成され、
前記第2のバタフライフィルタが、前記P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するように構成される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が、
結合モジュールをさらに備え、
前記第1の逆数論変換INTTモジュールが、P個の時間領域の第8の実数信号を取得するために、前記P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成され、
前記結合モジュールが、前記第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、前記P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ前記第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合し、
前記第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ前記第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合するように構成され、
前記偏波補償モジュールが、前記m個の複素数信号Xおよび前記m個の複素数信号Yに対して時間領域偏波補償を実行するように構成される、請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記偏波補償モジュールが第3のバタフライフィルタを備え、
前記第3のバタフライフィルタが、時間領域偏波補償を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、前記第1の偏波方向の前記m個の時間領域の複素数信号Xおよび前記第2の偏波方向の前記m個の時間領域の複素数信号Yに対して前記偏波補償を実行するように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
請求項11から22のいずれか一項に記載の装置と、偏波ビームスプリッタと、周波数ミキサと、光電検出器と、アナログデジタル変換器とを備え、前記偏波ビームスプリッタが、2つの偏波方向の信号を取得するように構成され、前記周波数ミキサが、前記偏波ビームスプリッタによって出力された前記2つの偏波方向の前記信号の中の同じ偏波方向の信号に対して周波数混合処理を実行するように構成され、前記光電検出器が、前記周波数ミキサによって出力された光信号の強度を電気信号の強度に変換するように構成され、前記アナログデジタル変換器が、前記光電検出器によって出力された信号に対してアナログデジタル変換を実行するように構成される、
コヒーレント受信機。
【請求項24】
通信インターフェース、メモリ、およびプロセッサを備えるチップであって、前記メモリがコンピュータプログラムを記憶するように構成され、前記プロセッサが、前記チップが請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するように、前記メモリに記憶された前記コンピュータプログラムを読み取り実行するように構成される、チップ。
【請求項25】
プロセッサおよび通信インターフェース
を備える、信号処理装置であって、
前記プロセッサが、前記通信インターフェースを使用してメモリに結合され、前記プロセッサが、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実施するために、前記メモリ内のプログラムコードを実行するように構成される、信号処理装置。
【請求項26】
コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読記憶媒体がコンピュータプログラムを記憶し、
前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、前記コンピュータが、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法を実行することを可能にされる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年5月29日に出願された「SIGNAL PROCESSING METHOD AND APPARATUS、AND COHERENT RECEIVER」と題するロシア特許出願第RU2020117812号の優先権を主張する。
【0002】
本出願は光通信分野に関し、詳細には、信号処理方法および装置、ならびにコヒーレント受信機に関する。
【背景技術】
【0003】
大容量光通信システムの性能は、光ファイバ減衰、光ファイバ波長分散、偏波モード波長分散、レーザ位相雑音、光ファイバ非線形性などに起因して劣化する可能性がある。現在提供されている偏波多重コヒーレント受信機は、電気信号処理手順中に電気領域における前述の劣化要因を効果的に補償することができる。
【0004】
既存の偏波多重コヒーレント受信機の電気信号処理手順中に、電気領域において前述の効果的な補償を実施するために、時間領域信号とチャネル応答の逆関数の畳み込みがフーリエ変換に基づいて実施される。したがって、高速フーリエ変換(fast Fourier transform、FFT)モジュールおよび逆高速フーリエ変換(inverse fast Fourier transform、IFFT)モジュールが、偏波多重コヒーレント受信機の構造に導入される必要がある。しかしながら、フーリエ変換は、複雑度が高く精度が低い。結果として、電気信号処理手順は非常に複雑であり、復元信号の精度は低い。したがって、電気信号を処理する際の偏波多重コヒーレント受信機の性能をどのように改善するかが、解決されるべき緊急の問題になる。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、信号処理性能を改善するために、信号処理方法および装置、ならびにコヒーレント受信機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、信号処理方法が提供される。信号処理方法は、コヒーレント受信機によって実行されてもよく、コヒーレント受信機内に配置されたチップまたは回路によって実行されてもよい。これは、本出願では限定されない。
【0007】
信号処理方法は、
最初に、P個の実数信号を取得するステップであって、P個の実数信号が、アナログデジタル変換を介して取得されたP個の実数信号、またはデジタル信号処理を必要とする他のP個の実数信号を含み、これは本出願では限定されない、ステップと、
次いで、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対して少なくとも数論変換(number theoretic transform、NTT)処理を実行するステップと、
次いで、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行するステップと、
次いで、m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償および逆数論変換(inverse number theoretic transform、INTT)処理を実行するステップであって、mおよびPが正の整数である、ステップと
を含む。
【0008】
さらに、INTTおよび結合処理が最初に実行され、次いで偏波補償処理が実行される場合、本出願において提供される信号処理方法では、ビット信号を取得するために、偏波補償を介して取得されたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yに対して、位相復元および復号が実行されてもよい。
【0009】
INTTおよび結合処理が最初に実行され、次いで偏波補償処理が実行される場合、偏波補償処理は、INTT処理を介して取得された時間領域信号に基づいて実行されることを理解されたい。具体的には、時間領域内で偏波補償処理を実行することにより、ループ遅延に耐える能力を高めることができる。
【0010】
あるいは、偏波補償処理が最初に実行され、次いでINTTおよび結合処理が実行される場合、本出願において提供される信号処理方法では、信号復元を実施するように、ビット信号を取得するために、結合を介して取得された第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xおよび第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに対して、位相復元および復号が実行されてもよい。
【0011】
偏波補償処理が最初に実行され、次いでINTTおよび結合処理が実行される場合、偏波補償処理は変換領域信号に基づいて実行されることを理解されたい。具体的には、変換領域内で偏波等化障害補償が実行され、畳み込みを置き換えるために乗算が使用され、その結果、電力消費を低減することができる。
【0012】
本出願において提供される信号処理方法では、2つの偏波方向の信号がアナログデジタル変換を介して取得され、2つの偏波方向の信号は受信機デジタル信号処理Rx DSP装置に入力される。Rx DSPの処理手順中に、高速フーリエ変換FFT処理および逆高速フーリエ変換IFFT処理を置き換えて、FFT処理およびIFFT処理によって引き起こされる高い複雑度および低い精度を回避するために、数論変換NTT処理および逆数論変換INTT処理が使用され、それによって信号処理性能が改善される。
【0013】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対して少なくとも数論変換NTT処理を実行するステップは、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してNTT処理を実行するステップ、または
P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してデジタル逆伝搬DBP処理を実行し、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第10の実数信号に対してNTT処理を別々に実行するステップ
を含む。
【0014】
P個の実数信号がDBP処理を受ける場合、非線形効果補償を実施して信号送信距離を増大させるためにDBPモジュールが使用される。
【0015】
本出願において提供される信号処理方法では、P個の変換領域の第1の実数信号は、P個の実数信号をNTTモジュールに入力し、NTT処理を実行することによって取得されてもよく、またはP個の変換領域の第1の実数信号は、最初にP個の実数信号をDBPモジュールに入力し、DBP処理を実行し、次いでNTT処理を実行することによって取得されてもよい。P個の変換領域の第1の実数信号を取得する異なる方式が提供され、その結果、Rx DSP装置の構造設計がより柔軟になる。
【0016】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、P個の実数信号がDBP処理を受けないとき、P個の変換領域の第1の実数信号に基づいてP個の変換領域の第2の実数信号が取得されるときに波長分散補償が実行される必要がある。具体的には、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行するステップは、P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するステップと、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第3の実数信号に対してクロック復元を実行するステップとを含む。
【0017】
あるいは、P個の実数信号がDBP処理を受けるとき、DBPモジュールは波長分散補償機能を有するので、P個の変換領域の第1の実数信号に基づいてP個の変換領域の第2の実数信号が取得されるときに、さらなる波長分散補償が実行される必要がない。具体的には、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元を実行するステップは、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するステップを含む。
【0018】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、P個の実数信号は、第1の偏波方向の同相実数信号Im
xおよび直交実数信号Qm
xと、第2の偏波方向の同相実数信号Im
yおよび直交実数信号Qm
yとを含む。さらなる波長分散補償が必要とされる前述のケースでは、波長分散補償プロセスは、同相実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Ih(w)および直交実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Qh(w)を取得するために、同相実数信号に対応する波長分散インパルス応答Ih(t)および直交実数信号に対応する波長分散インパルス応答Qh(t)に対してNTT処理を実行するステップを含む。
【0019】
Ih(w)およびQh(w)が取得された後に、波長分散補償を完了するために、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号は、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて決定することができ、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号は、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて決定することができる。
【0020】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、波長分散補償を介して取得された変換領域の第3の実数信号および変換領域の第1の実数信号は、以下の要件:
I’x(w)=Ix(w)・Ih(w)-Qx(w)・Qh(w)、
Q’x(w)=Qx(w)・Ih(w)+Ix(w)・Qh(w)、
I’y(w)=Iy(w)・Ih(w)-Qy(w)・Qh(w)、および
Q’y(w)=Qy(w)・Ih(w)+Iy(w)・Qh(w)
を満たし、ここで、Ix(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qx(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、Iy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表す。
【0021】
具体的には、mが1に等しいとき、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいてP個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するステップは、
Ix_3=Ix_1・Ih(w)-Qx_1・Qh(w)、Qx_3=Qx_1・Ih(w)+Ix_1・Qh(w)
を含み、ここで、
Ix_3は、第1の偏波方向の変換領域同相の第3の実数信号を表し、Ix_1は、P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qx_3は、第1の偏波方向の変換領域直交の第3の実数信号を表し、Qx_1は、P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、
Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいてP個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するステップは、
Iy_3=Iy_1・Ih(w)-Qy_1・Qh(w)、Qy_3=Qy_1・Ih(w)+Iy_1・Qh(w)
を含み、ここで、
Iy_3は、第2の偏波方向の変換領域同相の第3の実数信号を表し、Iy_1は、P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qy_3は、第2の偏波方向の変換領域直交の第3の実数信号を表し、Qy_1は、P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表す。
【0022】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、DBP処理は、具体的に、P個の変換領域の第4の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してNTT処理を実行するステップと、変換領域において、P個の変換領域の第5の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償を実行するステップと、P個の時間領域の第9の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理を実行するステップと、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償を実行するステップとを含む。
【0023】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、偏波補償が最初に実行されてもよく、次いでINTT処理が実行される。
【0024】
具体的には、P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償が実行され、P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理が実行される。P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消が実行される。P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消が実行される。
【0025】
次いで、INTT処理を介して取得されたP個の時間領域の第7の実数信号が結合される。P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号は、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xに結合される。P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号は、第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに結合される。
【0026】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、偏波補償を受けた時間領域の複素数信号Xおよび時間領域の複素数信号Yを取得するために、INTT処理が最初に実行されてもよく、次いで偏波補償が実行される。
【0027】
具体的には、P個の時間領域の第8の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理が実行される。P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号は、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xに結合される。P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号は、第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに結合される。偏波補償を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xおよび第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに対して時間領域偏波補償が実行される。
【0028】
第1の態様を参照して、第1の態様のいくつかの実装形態では、P個の実数信号は、m個の送信モードの4×m個の実数信号を含む。mは1に等しいかまたは1より大きい値であってもよい。Pおよびmは、P=4×mを満たす。mが1に等しいとき、それはシングルモード送信として理解されてもよく、またはmが1より大きいとき、それはマルチモード送信として理解されてもよい。
【0029】
第2の態様によれば、プロセッサを含む信号処理装置が提供される。プロセッサは、メモリに結合され、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける方法を実施するために、メモリ内の命令を実行するように構成されてもよい。
【0030】
任意選択で、装置は通信インターフェースをさらに含み、プロセッサは通信インターフェースに結合される。
【0031】
一実装形態では、装置はデジタル信号プロセッサである。装置がデジタル信号プロセッサであるとき、通信インターフェースはトランシーバまたは入力/出力インターフェースであってもよい。
【0032】
別の実装形態では、装置はデジタル信号プロセッサ内で構成されたチップである。装置がデジタル信号プロセッサ内で構成されたチップであるとき、通信インターフェースは入力/出力インターフェースであってもよい。
【0033】
別の実装形態では、装置はチップまたはチップシステムである。
【0034】
任意選択で、トランシーバはトランシーバ回路であってもよい。
【0035】
任意選択で、入力/出力インターフェースは入力/出力回路であってもよい。
【0036】
具体的には、信号処理装置は、
P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の入力信号に対してNTT処理を実行するように構成された第1の数論変換NTTモジュールと、
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号または波長分散補償を介して取得されたP個の変換領域の第1の実数信号に対してクロック復元を実行するように構成されたクロック復元モジュールと、
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号を処理するように構成された、偏波補償モジュールおよび第1の逆数論変換INTTモジュールと、
ビット信号を取得するために、時間領域の複素数信号Xおよび時間領域の複素数信号Yに対して位相復元および復号を実行するように構成された位相復元モジュールおよび復号モジュールと
を含み、
mおよびPは正の整数である。
【0037】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、P個の入力信号はP個の実数信号を含み、第1の数論変換NTTモジュールが、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の入力信号に対してNTT処理を実行するように構成されることは、第1の数論変換NTTモジュールが、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対して数論変換を実行するように構成されることを含む。
【0038】
例えば、P個の実数信号は、m個の送信モードの4×m個の実数信号を含む。mは1に等しいかまたは1より大きい値であってもよい。Pおよびmは、P=4×mを満たす。mが1に等しいとき、それはシングルモード送信として理解されてもよく、またはmが1より大きいとき、それはマルチモード送信として理解されてもよい。
【0039】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、装置は、P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成された第1の波長分散補償モジュールと、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第3の実数信号に対してクロック復元を実行するように構成されたクロック復元モジュールとをさらに含む。
【0040】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、第1の波長分散補償モジュールが、P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成されることは、
第1の波長分散補償モジュールが、同相実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Ih(w)、直交実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Qh(w)、ならびに、P個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にあるm個の変換領域の第3の実数信号を決定するように構成されることと、
第1の波長分散補償モジュールが、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定するように構成されることであって、Ih(w)およびQh(w)が、それぞれ、同相実数信号に対応する波長分散インパルス応答Ih(t)および直交実数信号に対応する波長分散インパルス応答Qh(t)に対して、NTT処理を実行することによって取得される、構成されることと
を含む。
【0041】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、波長分散補償を介して取得された変換領域の第3の実数信号および変換領域の第1の実数信号は、以下の要件:
I’x(w)=Ix(w)・Ih(w)-Qx(w)・Qh(w)、
Q’x(w)=Qx(w)・Ih(w)+Ix(w)・Qh(w)、
I’y(w)=Iy(w)・Ih(w)-Qy(w)・Qh(w)、および
Q’y(w)=Qy(w)・Ih(w)+Iy(w)・Qh(w)
を満たし、ここで、Ix(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qx(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、Iy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表す。
【0042】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、第1の波長分散補償モジュールは、第3のNTTモジュールと、結合モジュールと、乗算モジュールとを含む。第3のNTTモジュールは、波長分散等化関数を取得するために、時間領域波長分散インパルス応答に対してNTT処理を実行し、P個の変換領域の第1の実数信号に対してNTT処理を実行するように構成される。乗算モジュールは、NTT処理を介して取得されたP個の変換領域の第1の実数信号と波長分散等化関数を乗算するように構成される。結合モジュールは、乗算モジュールによる処理を介して取得された信号を結合するように構成される。
【0043】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、P個の入力信号はP個の時間領域の第10の実数信号を含み、装置は、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個のデジタル信号に対してDBP処理を実行するように構成されたデジタル逆伝搬DBPモジュールをさらに含む。
【0044】
装置がDBPモジュールを含むとき、装置は、信号送信距離を増大させるために、DBPモジュールを使用して線形障害に基づいて非線形効果補償を実施する。
【0045】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、DBPモジュールは、順次、
第2のNTTモジュールと、第2の波長分散補償モジュールと、第2のINTTモジュールと、非線形補償モジュールと
を含み、
DBPモジュールが、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個のデジタル信号に対してDBP処理を実行するように構成されることは、
第2のNTTモジュールが、P個の変換領域の第4の実数信号を取得するために、P個のデジタル信号に対してNTT処理を実行するように構成されることと、
第2の波長分散補償モジュールが、変換領域において、P個の変換領域の第5の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償を実行するように構成されることと、
第2のINTTモジュールが、P個の時間領域の第9の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成されることと、
非線形補償モジュールが、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償を実行するように構成されることと
を含む。
【0046】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、クロック復元モジュールは、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対してクロック復元を実行するように構成される。
【0047】
第2の態様を参照して、第2の態様のいくつかの実装形態では、装置は、
結合モジュール
をさらに含み、
偏波補償モジュールは、P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償を実行するように構成され、
第1の逆数論変換INTTモジュールは、P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成され、
結合モジュールは、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合し、
第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号のうちの2つずつを結合するように構成される。
【0048】
例えば、偏波補償モジュールは、第1のバタフライフィルタおよび第2のバタフライフィルタを含む。
【0049】
第1のバタフライフィルタは、P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するように構成される。
【0050】
第2のバタフライフィルタは、P個の変換領域の第6の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第2の実数信号に対して等化および偏波解消を実行するように構成される。
【0051】
具体的には、信号処理手順中に、装置が最初に偏波補償モジュールに基づいて偏波補償処理を実行し、次いで第1のINTTモジュールに基づいてINTT処理を実行するとき、偏波補償処理は変換領域信号に基づいて実行される。変換領域内で偏波等化障害補償が実行され、畳み込みを置き換えるために乗算が使用され、その結果、電力消費を低減することができる。
【0052】
あるいは、装置は結合モジュールをさらに含み、第1の逆数論変換INTTモジュールは、P個の時間領域の第8の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理を実行するように構成され、
結合モジュールは、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために、P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合し、
第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号のうちの2つずつを結合するように構成され、
偏波補償モジュールは、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yに対して時間領域偏波補償を実行するように構成される。
【0053】
例えば、偏波補償モジュールは第3のバタフライフィルタを含む。第3のバタフライフィルタは、偏波補償を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xおよび第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに対して時間領域偏波補償を実行するように構成される。
【0054】
具体的には、信号処理手順中に、装置が最初に第1のINTTモジュールに基づいてINTT処理を実行し、次いで偏波補償モジュールに基づいて偏波補償処理を実行するとき、偏波補償処理は、INTT処理を介して取得された時間領域信号に基づいて実行される。時間領域内で偏波補償処理を実行することにより、ループ遅延に耐える能力を高めることができる。
【0055】
第3の態様によれば、コヒーレント受信機が提供される。コヒーレント受信機は、第2の態様または第2の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける信号処理装置を含む。
【0056】
さらに、コヒーレント受信機は、偏波ビームスプリッタと、周波数ミキサと、光電検出器と、アナログデジタル変換器とをさらに含む。偏波ビームスプリッタは、2つの偏波方向の信号を取得するように構成される。周波数ミキサは、同じ偏波方向の信号に対して周波数混合処理を実行するように構成される。光電検出器は、光信号の強度を電気信号の強度に変換するように構成される。アナログデジタル変換器は、信号に対してアナログ信号からデジタル信号への変換を実行するように構成される。
【0057】
第4の態様によれば、チップが提供される。チップは、通信インターフェースと、メモリと、プロセッサとを含む。メモリは、コンピュータプログラムを記憶するように構成される。プロセッサは、メモリに記憶されたコンピュータプログラムを読み取り実行するように構成され、その結果、チップは、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける信号処理方法を実施する。
【0058】
第5の態様によれば、プロセッサおよび通信インターフェースを含む信号処理装置が提供される。プロセッサはメモリに結合される。プロセッサは、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける信号処理方法を実施するために、メモリ内のプログラムコードを実行するように構成されてもよい。
【0059】
第6の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムが装置によって実行されると、装置は、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける信号処理方法を実施することが可能になる。
【0060】
第7の態様によれば、命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。命令がコンピュータによって実行されると、装置は、第1の態様または第1の態様の可能な実装形態のいずれか1つにおける信号処理方法を実施することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1(a)】偏波多重コヒーレント受信機の概略図である。
【
図1(b)】偏波多重コヒーレント受信機の概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態による、Rx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図3】本出願の一実施形態による、別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図4(a)】FFT変換に基づいて波長分散補償を実施する概略図である。
【
図4(b)】本出願の一実施形態による、波長分散補償モジュールの概略構造図である。
【
図5】本出願の一実施形態による、さらに別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図6】本出願の一実施形態による、さらに別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図7】本出願の一実施形態による、DBPモジュールの概略構造図である。
【
図8(a)】本出願の一実施形態による、第1の偏波補償モジュールの概略構造図である。
【
図8(b)】本出願の一実施形態による、第2の偏波補償モジュールの概略構造図である。
【
図9(a)】本出願の一実施形態による、マルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図9(b)】本出願の一実施形態による、別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図9(c)】本出願の一実施形態による、さらに別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図9(d)】本出願の一実施形態による、さらに別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。
【
図9(e)】本出願の一実施形態による、別のDBPモジュールの概略構造図である。
【
図10(a)】本出願の一実施形態による、信号処理方法の概略フローチャートである。
【
図10(b)】本出願の一実施形態による、DBP処理の概略フローチャートである。
【
図10(c)】本出願の一実施形態による、時間領域の複素数信号を取得する概略フローチャートである。
【
図10(d)】本出願の一実施形態による、時間領域の複素数信号を取得する別の概略フローチャートである。
【
図11】本出願の一実施形態による、チップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、添付図面を参照して本出願の技術的解決策を記載する。
【0063】
本出願の実施形態における技術的解決策は、偏波多重コヒーレント受信機の改善に関する。以下、最初に、
図1(a)および
図1(b)を参照して、従来の偏波多重コヒーレント受信機を記載する。
図1(a)および
図1(b)は、シングルモード偏波多重コヒーレント受信機の概略図である。
【0064】
図1(a)および
図1(b)から、シングルモード偏波多重コヒーレント受信機の信号処理手順が以下のステップを含むことが分かる。
【0065】
光信号は、偏波ビームスプリッタ(Polarization beam splitter)101内の偏波ビームスプリッタ#1による処理を介して信号x1とy1に分割される。x1は周波数ミキサ(Hybrid)102内の周波数ミキサ#1に送られ、y1は周波数ミキサ102内の周波数ミキサ#2に送られる。
【0066】
(例えば、ローカルレーザ(local laser)または送信機によって生成された)局部発振光は、偏波ビームスプリッタ101内の偏波ビームスプリッタ#2による処理を介して信号x2とy2に分割される。x2は周波数ミキサ102内の周波数ミキサ#1に送られ、y2は周波数ミキサ102内の周波数ミキサ#2に送られる。
【0067】
光信号または局部発振光は、2つの偏波モード:横電気(transverse electric、TE)および横磁気(transverse magnetic、TM)を有し、それらは、偏波状態Xおよび偏波状態Yと呼ばれる場合もあり、または偏波方向Xおよび偏波方向Yと呼ばれる場合もある。
【0068】
偏波状態Xと偏波状態Yは互いに直交する。具体的には、偏波回転を受けた後に、単一の偏波状態(偏波状態Y)の光ビームは、偏波状態Xの光ビームになる。本明細書におけるXおよびYは、狭義のx軸およびy軸ではなく、広義の2つの直交方向、例えば、水平+45°方向および垂直-45°方向であることに留意されたい。
【0069】
周波数ミキサ#1および周波数ミキサ#2は、4つの信号を出力する。4つの信号は、光電検出器(Photodiode)103の入力として使用され、光電検出器#1~光電検出器#4に別々に入力される。光電検出器は、光信号の強度を電気信号の強度に変換するように構成される。
【0070】
光電検出器#1の出力信号は信号Ixであり、光電検出器#2の出力信号は信号Qxであり、光電検出器#3の出力信号は信号Iyであり、光電検出器#4の出力信号は信号Qyである。
【0071】
Ix、Qx、Iy、およびQyは、それぞれ、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)104内のアナログデジタル変換器#1~アナログデジタル変換器#4によって変換され、アナログデジタル変換を介して取得されたデジタル信号Ix、Qx、Iy、およびQyが出力される。IxおよびQxは、複素数信号Xを取得するために、結合モジュール105内の結合モジュール#1によって結合される。IyおよびQyは、複素数信号Yを取得するために、結合モジュール105内の結合モジュール#2によって結合される。例えば、本出願における結合モジュールは加算器と呼ばれる場合もある。
【0072】
複素数信号Xは、FFTモジュール106内のFFTモジュール#1に入力され、高速フーリエ変換を受けた周波数領域信号Xを取得するために、FFTモジュール#1によって処理される。複素数信号Yは、FFTモジュール106内のFFTモジュール#2に入力され、高速フーリエ変換を受けた周波数領域信号Yを取得するために、FFTモジュール#2によって処理される。
【0073】
周波数領域信号Xは、波長分散補償(Chromatic dispersion compensation、CDC)モジュール112内の波長分散補償モジュール#1に入力され、周波数領域分散補償を受けた周波数領域信号Xを取得するために、周波数領域において波長分散補償が実行される。周波数領域信号Yは、波長分散補償モジュール112内の波長分散補償モジュール#2に入力され、周波数領域波長分散補償を受けた周波数領域信号Yを取得するために、周波数領域において波長分散補償が実行される。
【0074】
周波数領域波長分散補償を介して取得された周波数領域信号Xは、クロック復元モジュール107内のクロック復元モジュール#1に入力され、クロック復元を受けた周波数領域信号Xを取得するために、クロック復元が実行される。周波数領域波長分散補償を介して取得された周波数領域信号Yは、クロック復元モジュール107内のクロック復元モジュール#2に入力され、クロック復元を受けた周波数領域信号Yを取得するために、クロック復元が実行される。
【0075】
クロック復元を介して取得された周波数領域信号Xは、IFFTモジュール113内のIFFTモジュール#1に入力され、逆高速フーリエ変換を受けた時間領域信号Xを取得するために、IFFTモジュール#1によって処理される。クロック復元を介して取得された周波数領域信号Yは、IFFTモジュール113内のIFFTモジュール#2に入力され、逆高速フーリエ変換を受けた時間領域信号Yを取得するために、IFFTモジュール#2によって処理される。
【0076】
時間領域信号Xと時間領域信号Yの両方は、偏波補償モジュール108に入力される。任意選択で、偏波補償モジュールは2×2個のバタフライフィルタを含み、偏波補償を受けた時間領域信号Xおよび時間領域信号Yを取得するために、偏波逆多重化および障害等化を実行する。具体的には、
図1(a)および
図1(b)に示されたように、偏波補償モジュール108は係数更新モジュール109をさらに含む。係数更新モジュール109は、偏波補償モジュール108に含まれるフィルタの係数を更新するように構成される。
【0077】
偏波補償を介して取得された複素数信号Xは、ビット信号を取得するために、位相復元(phase recovery)モジュール110内の位相復元モジュール#1および復号(decoder)モジュール111内の復号モジュール#1に順次送られる。偏波補償を介して取得された複素数信号Yは、ビット信号を取得するために、位相復元モジュール110内の位相復元モジュール#2および復号モジュール111内の復号モジュール#2に順次送られる。
【0078】
FFTモジュール106およびIFFTモジュール113はコヒーレント受信機の電流信号処理手順に導入されるので、以下のケースが発生する可能性があることに留意されたい。
【0079】
(1)FFT変換の複雑度は、Nlog2Nの速度で変換点の数とともに増加する。
【0080】
(2)FFT変換は大量の乗算演算を含み、乗算複雑度が非常に高い。
【0081】
(3)FFT変換行列は指数eに基づく複素数行列であり、限られたビット数のコンピュータ上で切り捨て誤差および固定小数点ペナルティを正確に示すことができない。
【0082】
本出願のこの実施形態は、主にADC後の処理手順の改善に関する。したがって、説明を容易にするために、ADC後の処理手順は、受信機デジタル信号処理(Receiver Digital Signal Processing、Rx DSP)手順、例えば、
図1(a)および
図1(b)の大きい破線ボックスに含まれるRx DSP信号処理手順と総称される。
【0083】
理解を容易にするために、本出願におけるいくつかの基本概念が簡潔に記載される。
【0084】
1.偏波多重化
シングルモード光ファイバにおける光信号向けの送信モード、すなわちHE11モードは、2つのサブモード:HEx
11およびHEy
11を含む。2つのサブモードは互いに独立しており、それらの偏波方向は互いに直交している。2つのサブモードは、送信プロセスにおける異なる形態:直線偏波、楕円偏波、および円偏波を提示するが、常に直交したままである。本出願におけるX偏波およびY偏波は、多重シングルモード光ファイバにおける2つの直交偏波状態である。
【0085】
シングルモード光ファイバと比較して、マルチモード光ファイバは、複数のモードで信号を送信することができる。現在、LPpqモードが一般的に使用されている。pおよびqの値は、LPモードの異なるモードフィールド特性を表す。
【0086】
2.NTT処理およびINTT処理
本出願におけるNTT処理とFFT処理の両方は、高速畳み込みを実施するための変換に属する。FFT処理は、K=exp(jα)をコアとする複素数変換である。exp(jα)は複素数であり、記憶時の切り捨て誤差を有する。加えて、複素数の乗算複雑度は非常に高い。NTT変換は、有限体で定義され、コアがK(Kは整数である)である変換である。通常、Kは2である。したがって、変換行列は切り捨て誤差がない。バイナリコンピュータでは、シフトを介して2の乗算と除算の両方を実施することができるので、乗算を回避することができ、電力消費を低減することができる。
【0087】
加えて、INTT処理はNTT処理の逆プロセスであり、IFFTはFFT処理の逆プロセスである。本出願では詳細は記載されない。
【0088】
3.変換領域および時間領域
本出願の実施形態における時間領域信号は、アナログデジタル変換を介してRx DSPプロセスに入力される信号である。時間領域信号に対してFFT処理を実行することによって取得された信号は周波数領域信号と呼ばれ、NTT処理を介して取得された信号は変換領域信号と呼ばれる。
【0089】
加えて、時間領域信号は、周波数領域信号に対してIFFT処理を実行することによって取得され、時間領域信号は、変換領域信号に対してINTT処理を実行することによって取得される。
【0090】
具体的には、本出願における時間領域信号は、時間粒度の信号として理解されてもよく、時間が変化するにつれて変化してもよく、周波数領域信号は、時間領域信号が時間領域から周波数領域への変換を介して変換される周波数領域表現として理解されてもよく、同様に、変換領域信号は、時間領域信号が時間領域から変換領域への変換を介して変換される変換領域表現として理解されてもよい。時間領域から変換領域への変換のプロセス中に、時間領域信号は、通常、セグメント化され、次いで最初と最後で一部が重ね合わされ、次いで信号がNTT/INTT変換モジュールに送られる。例えば、時間領域データのセグメントは1024個の点を含む。時間領域信号は最初に512個の点に分割され、次いで256個の点が最初と最後で重ね合わされ、次いで1024個の点がNTT/INTT変換モジュールに送られる。本明細書における512、256、および1024は単なる例である。セグメント内の具体的な重ね合わせの割合および具体的な点の数は、本出願では限定されない。データ変換の点の数は、データ変換中の配列長である。一般に、点の数が多いほど、変換性能が向上する。
【0091】
4.同相実数信号および直交実数信号
直交振幅変調は、現代のコヒーレント通信において広く使用されている。直交振幅変調は、2つの直交する搬送波に対して振幅変調が実行される変調方式である。2つの搬送波は、通常、位相差が90°の正弦波であるため、直交搬送波と呼ばれる。複素数信号の実数部は同方向成分と呼ばれ、信号の虚数部は直交成分と呼ばれる。
【0092】
複素数信号(例えば、X=a+bj)の実数部と虚数部の両方は実数である(例えば、aとbの両方は実数である)。したがって、本出願では、同方向成分は同相実数信号と呼ばれ、直交成分は直交実数信号と呼ばれる。
【0093】
上記の説明から、FFTモジュールおよびIFFTモジュールをコヒーレント受信機の電気信号処理手順に導入することは、信号処理手順の複雑度を増大させる可能性があることが分かる。コヒーレント受信機の既存の電気信号処理手順における問題を解決し、アルゴリズムの電力消費を低減するために、本出願の実施形態は信号処理方法および装置を提供し、その中で、電気信号はFFTモジュールまたはIFFTモジュールを導入することなく処理され、それによって電気信号を処理する際の偏波多重コヒーレント受信機の性能が改善され、複雑度が低減される。
【0094】
以下、添付図面を参照して、本出願の実施形態において提供される信号処理方法および装置を詳細に記載する。本出願の実施形態において提供される信号処理方法は、シングルモードまたはマルチモードの送信シナリオで電気信号を処理するために偏波多重コヒーレント受信機によって使用されてもよい。
【0095】
図2は、本出願の一実施形態による、Rx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ200は、
第1のNTTモジュール211と、第1の波長分散補償モジュール212と、クロック復元モジュール213と、第1の偏波補償モジュール214と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール217と、復号モジュール218とを含む。
【0096】
第1のNTTモジュールは、NTTモジュール#1と、NTTモジュール#2と、NTTモジュール#3と、NTTモジュール#4とを含む。信号I1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yは、それぞれ、NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4に入力される。
【0097】
任意選択で、信号I1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yは、ADCによる変換を介して取得された実数信号である。
【0098】
NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4は、それぞれI1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yに対してNTT処理を実行し、変換領域の第1の実数信号Ix_1、Qx_1、Iy_1、およびQy_1を第1の波長分散補償モジュール212に出力する。
【0099】
第1の波長分散補償モジュール212は、波長分散補償モジュール#1および波長分散補償モジュール#2を含む。Ix_1およびQx_1が波長分散補償モジュール#1に入力され、変換領域の第3の実数信号Ix_3およびQx_3を取得するために、波長分散補償が実行される。Iy_1およびQy_1が波長分散補償モジュール#2に入力され、変換領域の第3の実数信号Iy_3およびQy_3を取得するために、波長分散補償が実行される。
【0100】
クロック復元モジュール213は、クロック復元モジュール#1およびクロック復元モジュール#2を含む。Ix_3およびQx_3がクロック復元モジュール#1に入力され、変換領域の第2の実数信号Ix_2およびQx_2を取得するために、クロック復元が実行される。Iy_3およびQy_3がクロック復元モジュール#2に入力され、変換領域の第2の実数信号Iy_2およびQy_2を取得するために、クロック復元が実行される。
【0101】
第2の実数信号Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2が第1の偏波補償モジュール214に入力され、変換領域の第6の実数信号Ix_5、Qx_5、Iy_5、およびQy_5を取得するために、偏波逆多重化および障害等化が実行される。任意選択で、第1の偏波補償モジュール214は、係数更新モジュール2141をさらに含む。係数更新モジュール2141は、第1の偏波補償モジュール214に含まれるフィルタの係数を更新するように構成される。
【0102】
第1のINTTモジュール215は、INTTモジュール#1と、INTTモジュール#2と、INTTモジュール#3と、INTTモジュール#4とを含む。信号Ix_5、Qx_5、Iy_5、およびQy_5は、それぞれ、INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4に入力される。
【0103】
INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4は、それぞれ、Ix_5、Qx_5、Iy_5、およびQy_5に対してINTT処理を実行し、時間領域の第7の実数信号Ix_6、Qx_6、Iy_6、およびQy_6を結合モジュール216に出力する。
【0104】
結合モジュール216は、結合モジュール#1および結合モジュール#2を含む。Ix_6およびQx_6が結合モジュール#1に入力され、時間領域の複素数信号Xを取得するために結合される。Iy_6およびQy_6が結合モジュール#2に入力され、時間領域の複素数信号Yを取得するために結合される。
【0105】
位相復元モジュール217は、位相復元モジュール#1および位相復元モジュール#2を含む。復号モジュール111は、復号モジュール#1および復号モジュール#2を含む。時間領域の複素数信号Xは、ビット信号を取得するために、位相復元モジュール#1および復号モジュール#1に順次入力される。時間領域の複素数信号Yは、ビット信号を取得するために、位相復元モジュール#2および復号モジュール#2に順次入力される。
【0106】
図2に示されたRx DSPアーキテクチャ200は、完全変換領域Rx DSPアーキテクチャと呼ばれる場合がある。完全変換領域Rx DSPアーキテクチャは、NTT/INTTに基づいて波長分散補償を実行するだけでなく、NTT/INTTに基づいて偏波補償も実行する、すなわち、変換領域内で波長分散補償および偏波補償を実行する。具体的には、変換領域内で偏波等化障害補償が実行され、畳み込みを置き換えるために乗算が使用され、その結果、電力消費をさらに低減することができる。加えて、変換点の量(サイズ)を増大させることができ、その結果、障害が効果的に等化され、性能が改善される。
【0107】
図3は、本出願の一実施形態による、別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ300は、
第1のNTTモジュール211と、第1の波長分散補償モジュール212と、クロック復元モジュール213と、第2の偏波補償モジュール310と、係数更新モジュール311と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール320と、復号モジュール330とを含む。
【0108】
アーキテクチャ300におけるクロック復元以前のモジュールは、アーキテクチャ200におけるモジュールと同じである。違いは、クロック復元モジュール213によって出力された信号が最初にINTTモジュール215によって処理され、結合モジュール216によって結合され、次いで第2の偏波補償モジュール310に入力されることにある。クロック復元以前のプロセスは再び記載されない。
【0109】
第1のINTTモジュール215は、INTTモジュール#1と、INTTモジュール#2と、INTTモジュール#3と、INTTモジュール#4とを含む。第2の実数信号Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2は、それぞれ、INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4に入力される。
【0110】
INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4は、それぞれ、Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2に対してINTT処理を実行し、時間領域の第8の実数信号Ix_7、Qx_7、Iy_7、およびQy_7を結合モジュール216に出力する。
【0111】
結合モジュール216は、結合モジュール#1および結合モジュール#2を含む。Ix_7およびQx_7が結合モジュール#1に入力され、時間領域の複素数信号Xを取得するために結合される。Iy_7およびQy_7が結合モジュール#2に入力され、時間領域の複素数信号Yを取得するために結合される。
【0112】
時間領域の複素数信号Xおよび時間領域の複素数信号Yが第2の偏波補償モジュール310に入力され、偏波補償を受けた時間領域の複素数信号Xおよび時間領域の複素数信号Yを取得するために、偏波逆多重化および障害等化が実行される。第2の偏波補償モジュール310は、係数更新モジュール311をさらに含む。係数更新モジュール311は、第2の偏波補償モジュール310に含まれるフィルタの係数を更新するように構成される。
【0113】
位相復元モジュール320は、位相復元モジュール#1および位相復元モジュール#2を含む。復号モジュール111は、復号モジュール#1および復号モジュール#2を含む。偏波補償を介して取得された時間領域の複素数信号Xは、ビット信号を取得するために、位相復元モジュール#1および復号モジュール#1に順次入力される。偏波補償を介して取得された時間領域の複素数信号Yは、ビット信号を取得するために、位相復元モジュール#2および復号モジュール#2に順次入力される。
【0114】
図3に示されたRx DSPアーキテクチャ300は、時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャと呼ばれる場合がある。時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャでは、波長分散補償はNTT/INTTに基づいて実行され、偏波補償は依然として時間領域内で実行される、すなわち、波長分散補償は変換領域内で実行されるが、偏波補償は時間領域内で実行される。具体的には、電力消費が非常に高い波長分散補償モジュールは、変換領域内で補償を実施し、その結果、全体的な電力消費を効果的に低減することができ、偏波等化モジュールは、補償を実行するために時間領域内に残され、その結果、ループ遅延に抵抗する際の等化モジュールの能力が向上する。
【0115】
図4(a)は、波長分散補償モジュール400の概略構造図である。波長分散補償モジュール400は、
図1(a)および
図1(b)に示されたアーキテクチャに適用されてもよい。波長分散補償モジュールは、FFTモジュール402と、FFTモジュール404と、結合モジュール401と、結合モジュール403と、乗算モジュール405とを含む。
【0116】
信号は光ファイバで送信される。信号に対する光ファイバの波長分散の影響は、インパルス応答として記載されてもよい。時間領域波長分散等化では、有限インパルス応答(finite impulse response、FIR)が補償に使用される。FIR係数は以下の通りである:
【数1】
。β
2は光ファイバの波長分散係数を示し、zは光ファイバ内の信号の送信距離を示し、jは虚数を示し、tは時間を示す。偏波方向xの信号および偏波方向yの信号は同じ波長分散障害を受けるため、等化中に同じ関数h(t)が使用される。
【0117】
図1(a)および
図1(b)に示された信号処理手順におけるFFTベースの波長分散補償モジュールでは、波長分散補償モジュールの入力は、周波数領域複素数信号X(ω)である。
【0118】
例えば、Ih(t)およびQh(t)は時間領域波長分散インパルス応答であり、Ih(t)およびQh(t)は結合モジュール403によって複素数インパルス応答H(t)に結合され、H(t)は周波数領域等化関数H(ω)を取得するためにFFTモジュール404に入力され、H(ω)およびX(ω)は乗算モジュール405に入力され、波長分散補償モジュールの出力を取得するために乗算される:Xout(ω)=H(ω)・X(ω)。
【0119】
図4(b)は、本出願の一実施形態による、波長分散補償モジュール410の概略構造図である。波長分散補償モジュール410は、RX DSPアーキテクチャ200および300に適用されてもよい。波長分散補償モジュールは、NTTモジュール411と、NTTモジュール412と、NTTモジュール419と、NTTモジュール420と、結合モジュール414と、結合モジュール418と、乗算モジュール413と、乗算モジュール415と、乗算モジュール416と、乗算モジュール417とを含む。
【0120】
図2および
図3に示された信号処理手順では、NTTベースの波長分散補償モジュールは、偏波方向xの信号および偏波方向yの信号に対して波長分散補償を別々に実行する。例として偏波方向xの波長分散補償を使用することにより、(
図4(b)に示された)波長分散補償処理が記載される。
【0121】
例えば、偏波方向xの波長分散インパルス応答h(t)はI
h(t)およびQ
h(t)に分割され、ここで、
【数2】
および
【数3】
である。
【0122】
Ih(t)およびQh(t)は、それぞれ、NTTモジュール419およびNTTモジュール420に入力され、NTT変換領域内で波長分散等化関数Ih(w)およびQh(w)を取得するために変換される。偏波方向xの同方向信号Ix(t)および直交信号Qx(t)が、それぞれ、NTTモジュール411およびNTTモジュール412に入力され、変換領域信号Ix(w)およびQx(w)を取得するために変換される。
【0123】
図4(b)から、変換領域の同方向信号I
x(w)および等化関数の同方向成分I
h(w)を乗算モジュール413に入力し乗算を実行することによって取得された結果、ならびに変換領域の直交信号Q
x(w)および等化関数の直交成分Q
h(w)を乗算モジュール415に入力し乗算を実行することによって取得された結果が、以下のように結合モジュール414によって結合されることが分かる:Ix_out(w)=I
x(w)・I
h(w)-Q
x(w)・Q
h(w)。
【0124】
Qx(w)およびIh(w)を乗算モジュール416に入力し乗算を実行することによって取得された結果、ならびにIx(w)およびQh(w)を乗算モジュール417に入力し乗算を実行することによって取得された結果は、以下のように結合モジュール418によって結合される:Qx_out(w)=Qx(w)・Ih(w)-Ix(w)・Qh(w)。
【0125】
同様に、波長分散補償が偏波方向yにおいて実行される場合、偏波方向yの同方向信号Iy(t)および直交信号Qy(t)がNTTモジュールに入力され、変換領域信号Iy(w)およびQy(w)を取得するために変換される。偏波方向yにおける波長分散補償プロセスは、以下の式を使用して記載されてもよい:
Iy_out(w)=Iy(w)・Ih(w)-Qy(w)・Qh(w)、および
Qy_out(w)=Qy(w)・Ih(w)+Iy(w)・Qh(w)。
【0126】
実際の動作では、
図4(a)のフーリエ変換領域における等化関数H(ω)および
図4(b)の数論変換領域における波長分散等化関数I
h(w)およびQ
h(w)は、一度だけ計算されメモリに記憶される必要があり、異なる入力信号に対して繰り返し呼び出されてもよい。
【0127】
例えば、2つのタイプの変換の間の違いを説明するために、1つのNTT変換および1つのFFT変換が例として使用される。
【0128】
FFTとNTTの両方の変換行列は、以下のように表わされてもよい:
【数4】
。
【0129】
違いは、FFTの変換コア
【数5】
にある。NTTの変換コアαは2のべき乗である。通常、αは2である(または、
【数6】
もしくは別の値であってもよく、それは本出願では限定されない)。例えば、α=2である。変換行列の各要素は依然として2のべき乗であり、バイナリ演算における2の乗算または2のべき乗は、ビットシフトを介して実行されてもよい。
【0130】
それに対応して、例えば、コアα=2である。NTTの変換行列HおよびINTTの変換行列H
-1は、それぞれ、以下の通りである:
【数7】
、
【数8】
。
【0131】
クロック復元モジュール#1およびクロック復元モジュール#2の内部動作プロセスは
図4(b)と同様であり、波長分散等化関数I
h(w)およびQ
h(w)のみがクロック遅延を等化するための関数と置き換えられる必要がある。クロックによって引き起こされる遅延は、時間領域有限インパルス応答を使用してh(t)=exp(-2πft
0)と表される。クロック復元モジュールでは、I
h(w)およびQ
h(w)は、cos(2πft
0)のNTT変換と置き換えられてもよい。ここでは詳細は記載されない。
【0132】
図5は、本出願の一実施形態による、さらに別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ500は、
デジタル逆伝搬(digital back propagation、DBP)モジュール510と、第1のNTTモジュール211と、クロック復元モジュール213と、第1の偏波補償モジュール214と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール217と、復号モジュール218とを含む。
【0133】
Rx DSPアーキテクチャ500における第1の偏波補償モジュール214以後のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ200におけるアーキテクチャと同じである。違いは、信号が偏波補償前にDBP処理を受けることである。DBPモジュール510は波長分散補償機能を有するので、DBPモジュール以後のプロセスは、波長分散補償モジュール212を必要としなくてもよい。
【0134】
信号I1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yがDBPモジュール510に入力され、DBP処理が実行され、時間領域の第10の実数信号Ix_4、Qx_4、Iy_4、およびQy_4が第1のNTTモジュール211に出力される。
【0135】
第1のNTTモジュール211は、NTTモジュール#1と、NTTモジュール#2と、NTTモジュール#3と、NTTモジュール#4とを含む。Ix_4、Qx_4、Iy_4、およびQy_4は、それぞれ、NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4に入力される。
【0136】
NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4は、それぞれ、Ix_4、Qx_4、Iy_4、およびQy_4に対してNTT処理を実行し、変換領域の第1の実数信号Ix_1、Qx_1、Iy_1、およびQy_1をクロック復元モジュール213に出力する。
【0137】
クロック復元モジュール213は、クロック復元モジュール#1およびクロック復元モジュール#2を含む。Ix_1およびQx_1がクロック復元モジュール#1に入力され、変換領域の第2の実数信号Ix_2およびQx_2を取得するために、クロック復元が実行される。Iy_1およびQy_1がクロック復元モジュール#2に入力され、変換領域の第2の実数信号Iy_2およびQy_2を取得するために、クロック復元が実行される。
【0138】
クロック復元モジュール213以後のプロセスについては、
図2に示された実施形態を参照されたい。
【0139】
図5に示されたRx DSPアーキテクチャ500は、DBPが追加された完全変換領域Rx DSPアーキテクチャと呼ばれる場合がある。
図2に示された完全変換領域Rx DSPアーキテクチャとの違いは、DBPモジュールが追加されていることにある。
図2に示された完全変換領域Rx DSPアーキテクチャでは、光ファイバの線形障害のみが、例えば波長分散補償のために補償されることを理解されたい。DBPモジュールが追加された完全変換領域Rx DSPアーキテクチャでは、DBPモジュールは、信号送信距離を増大させるために、線形障害に基づいて非線形効果補償を実施するために使用される。
【0140】
図6は、本出願の一実施形態による、さらに別のRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ600は、
DBPモジュール510と、第1のNTTモジュール211と、クロック復元モジュール213と、第2の偏波補償モジュール310と、係数更新モジュール311と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール320と、復号モジュール330とを含む。
【0141】
Rx DSPアーキテクチャ600における第2の偏波補償モジュール310以後のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ300におけるアーキテクチャと同じである。第2の偏波補償モジュール310以前のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ500におけるアーキテクチャと同じである。具体的には、ADCによる変換を介して取得された受信信号は、最初にDBP処理を受ける。DBP処理およびクロック復元以前のプロセスについては、
図5に示された実施形態を参照されたい。クロック復元モジュール213以後のプロセスについては、
図3に示された実施形態を参照されたい。
【0142】
図6に示されたRx DSPアーキテクチャ600は、DBPが追加された時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャと呼ばれる場合がある。
図3に示された時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャとの違いは、DBPモジュールが追加されていることにある。
図3に示された時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャでは、光ファイバの線形障害のみが、例えば波長分散補償のために補償されることを理解されたい。DBPモジュールが追加された時間領域と変換領域を結合するRx DSPアーキテクチャでは、DBPモジュールは、信号送信距離を増大させるために、線形障害に基づいて非線形効果補償を実施するために使用される。
【0143】
図7は、本出願の一実施形態による、DBPモジュールの概略構造図である。DBPモジュール700は、
第2のNTTモジュール711と、第2の波長分散補償モジュール712と、第2のINTTモジュール713と、非線形補償モジュール714とを含み、第2の波長分散補償モジュール712の構造は
図4(b)に示され、ここでは詳細に記載されない。
【0144】
図7に示されたDBPモジュールの構造図から、
図5および
図6に示された実数信号Ix_4、Qx_4、Iy_4、およびQy_4を取得するために、I
1
x、Q
1
x、I
1
y、およびQ
1
yに対してDBP処理を実行することは、具体的に以下のステップを含むことが分かる。
【0145】
第2のNTTモジュール711は、NTTモジュール#1と、NTTモジュール#2と、NTTモジュール#3と、NTTモジュール#4とを含む。I1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yは、それぞれ、NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4に入力される。
【0146】
NTTモジュール#1、NTTモジュール#2、NTTモジュール#3、およびNTTモジュール#4は、それぞれ、I1
x、Q1
x、I1
y、およびQ1
yに対してNTT処理を実行し、第4の実数信号Ix_4’、Qx_4’、Iy_4’、およびQy_4’を第2の波長分散補償モジュール712に出力する。
【0147】
第2の波長分散補償モジュール712は、波長分散補償モジュール#1および波長分散補償モジュール#2を含む。Ix_4’およびQx_4’が波長分散補償モジュール#1に入力され、変換領域の第5の実数信号Ix_4’’およびQx_4’’を取得するために、変換領域内で波長分散補償が実行される。Iy_4’およびQy_4’が波長分散補償モジュール#2に入力され、変換領域の第5の実数信号Iy_4’’およびQy_4’’を取得するために、変換領域内で波長分散補償が実行される。
【0148】
第2のINTTモジュール713は、INTTモジュール#1と、INTTモジュール#2と、INTTモジュール#3と、INTTモジュール#4とを含む。Ix_4’’、Qx_4’’、Iy_4’’、およびQy_4’’は、それぞれ、INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4に入力される。
【0149】
INTTモジュール#1、INTTモジュール#2、INTTモジュール#3、およびINTTモジュール#4は、それぞれ、Ix_4’’、Qx_4’’、Iy_4’’、およびQy_4’’に対してINTT処理を実行し、時間領域の第9の実数信号Ix_4’’’、Qx_4’’’、Iy_4’’’、およびQy_4’’’を非線形補償モジュール714に出力する。
【0150】
非線形補償モジュール714は、非線形補償モジュール#1および非線形補償モジュール#2を含む。Ix_4’およびQx_4’が非線形補償モジュール#1に入力され、Ix_4およびQx_4を取得するために非線形補償が実行される。Iy_4’およびQy_4’が非線形補償モジュール#2に入力され、Iy_4およびQy_4を取得するために非線形補償が実行される。
【0151】
DBPモジュールにおける前述の処理手順はNs回繰り返される必要があることに留意されたい。性能を保証するために、リンクのスパンが増加すると、DBP反復の回数Nsも増加する必要がある。異なるDBP解決策は、本明細書では限定されない。シナリオによって要求される異なる電力消費に応じて、Nsはリンクの総スパンに等しくなるように設定されてもよく、またはシングルステップDBPが設定されてもよい。本出願のこの実施形態におけるDBPモジュールでは、FFTモジュールまたはIFFFモジュールは使用されず、代わりに、NTTモジュールおよびINTTモジュールが使用される。このようにして、DBPモジュールの信号処理手順中に、Ns回の変換が繰り返されてもエラーが累積することはない。
【0152】
図8(a)は、本出願の一実施形態による、第1の偏波補償モジュール214の概略構造図である。
図8(b)は、本出願の一実施形態による、第2の偏波補償モジュール310の概略構造図である。
【0153】
図8(a)から、本出願のこの実施形態における第1の偏波補償モジュール214が、バタフライフィルタ810およびバタフライフィルタ820を含むことが分かる。バタフライフィルタ810は、フィルタ801と、フィルタ802と、フィルタ803と、フィルタ804と、加算器805と、加算器806とを含む。バタフライフィルタ820は、フィルタ807と、フィルタ808と、フィルタ809と、フィルタ8010と、加算器8011と、加算器8012とを含む。
【0154】
フィルタ801の出力、フィルタ807の出力、フィルタ803の出力、およびフィルタ809の出力は負である。前述の4つの信号は、波長分散補償を受けた信号Ix_5を取得するために、加算器805に入力される。フィルタ801の出力、フィルタ807の出力、フィルタ803の出力、およびフィルタ809の出力は、波長分散補償を受けた信号Qx_5を取得するために、加算器805に入力される。フィルタ802の出力、フィルタ808の出力、フィルタ804の出力、およびフィルタ8010の出力は負である。前述の4つの信号は、波長分散補償を受けた信号Iy_5を取得するために、加算器806に入力される。フィルタ802の出力、フィルタ808の出力、フィルタ804の出力、およびフィルタ8010の出力は、波長分散補償を受けた信号Qy_5を取得するために、加算器805に出力される。
【0155】
クロック復元モジュールは4つの信号を出力する。4つの信号Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2は、偏波補償モジュールに入力される。偏波補償モジュールは2つのバタフライフィルタを含む。1つのバタフライフィルタは、2×2の2入力2出力システムを表す。2つの複素数信号が入力され、2つの複素数信号が出力される。実数信号はNTT変換において処理されるので、偏波等化部は4×4の4入力4出力システムである。
【0156】
第1のバタフライフィルタ810は、(x偏波のI経路信号Ix_2およびy偏波のI経路信号Iy_2を含む)I経路信号の等化および偏波解消のためのものであり、変換行列は
【数9】
である。第2のバタフライフィルタ820は、(x偏波のQ経路信号Qx_2およびy偏波のQ経路信号Qy_2を含む)Q経路信号向けであり、変換行列は
【数10】
である。
【0157】
偏波補償モジュールは、4つの実数信号Ix_5、Qx_5、Iy_5、およびQy_5を出力する。第1の偏波補償モジュール214によって偏波補償を実行するプロセスが、
図8(a)を参照して記載される。
【0158】
第1の偏波補償モジュール214の入力信号は、4つの実数信号:Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2であり、それらは、それぞれ、偏波方向xの同方向信号Ix_2、偏波方向xの直交信号Qx_2、偏波方向yの同方向信号Iy_2、および偏波方向yの直交信号Qy_2である。
【0159】
具体的には、Ix_2とIhxxの乗算結果が加算器805に入力され、Qx_2とQhxxの乗算結果の負の値が加算器805に入力され、Iy_2とIhxyの乗算結果が加算器805に入力され、Qy_2とQhxyの乗算結果の負の値が加算器805に入力され、加算器805は、偏波方向xにあり、偏波補償を介して取得された同方向信号Ix_5を出力する。
【0160】
Ix_2とQhxxの乗算結果が加算器8011に入力され、Qx_2とIhxxの乗算結果の負の値が加算器8011に入力され、Iy_2とQhxyの乗算結果が加算器8011に入力され、Qy_2とIhxyの乗算結果が加算器8011に入力され、加算器8011は、偏波方向xにあり、偏波補償を介して取得された直交信号Qx_5を出力する。
【0161】
Ix_2とIhyxの乗算結果が加算器806に入力され、Qx_2とQhyxの乗算結果の負の値が加算器806に入力され、Iy_2とIhyyの乗算結果が加算器806に入力され、Qy_2とQhyyの乗算結果の負の値が加算器806に入力され、加算器806は、偏波方向yにあり、偏波補償を介して取得された同方向信号Iy_5を出力する。
【0162】
Ix_2とQhyxの乗算結果が加算器8012に入力され、Qx_2とIhyxの乗算結果が加算器8012に入力され、Iy_2とQhyyの乗算結果が加算器8012に入力され、Qy_2とIhyyの乗算結果が加算器8012に入力され、加算器8012は、偏波方向yにあり、偏波補償を介して取得された直交信号Qy_5を出力する。
【0163】
第1の偏波補償モジュール214の出力Ix_5、Qx_5、Iy_5、およびQy_5が等化行列および入力信号Ix_2、Qx_2、Iy_2、およびQy_2と相互作用するプロセスは、以下の式を使用して記載される:
【数11】
【0164】
例えば、第1の偏波補償モジュール214は、(図に示されていない)係数更新モジュール2141をさらに含む。係数更新モジュール2141は、第1の偏波補償モジュール214に含まれるフィルタの係数を更新するように構成される。本出願のこの実施形態では、偏波補償モジュールの等化係数行列
【数12】
および
【数13】
を更新する方式には、ブラインド更新、訓練を伴う更新、決定フィードバックを伴わない更新、決定フィードバックを伴う更新などが含まれる。偏波補償モジュールの係数を更新する方式は、本出願のこの実施形態では限定されない。ここでは詳細は記載されない。
【0165】
図8(b)から、本出願のこの実施形態における第2の偏波補償モジュール310が2×2個のバタフライフィルタを含み、バタフライフィルタが、フィルタ801と、フィルタ802と、フィルタ803と、第4のフィルタ804と、加算器805と、加算器806とを含むことが分かる。
【0166】
第2の偏波補償モジュール310の機能は、等化補償(equalization compensation)、差動群遅延(differential group delay、DGD)、および残存波長分散などのチャネル光ファイバ効果を含む。光ファイバ効果は、2×2の障害行列を使用して記載されてもよい。障害行列の逆行列は、異なるアルゴリズムを使用して取得されてもよい。時間領域バタフライフィルタ108のタップ係数は、hxx、hxy、hyx、およびhyyである。X信号およびY信号は、偏波障害補償を受けた信号XoutおよびYoutを取得するために、タップ係数行列hxx、hxy、hyx、およびhyyと畳み込まれる。タップ係数行列を計算するための一般的なアルゴリズムには、定包絡線アルゴリズム(constant modulus algorithm、CMA)、最小二乗平均(Least Mean Square、LMS)、およびLMSの様々な修正バージョンまたはデータ支援LMSなどの他の形態が含まれる。
【0167】
結合モジュール216は、偏波方向Xの複素数信号Xを出力し、複素数信号Xは、フィルタ801およびフィルタ803に入力される。結合モジュール216は、偏波方向Yの複素数信号Yを出力し、複素数信号Yは、フィルタ802およびフィルタ804に入力される。フィルタ801およびフィルタ803は、加算器805に出力を提供する。フィルタ802およびフィルタ804は、加算器806に出力を提供する。
【0168】
図8(b)におけるhxx、hxy、hyx、およびhyyは、それぞれ、フィルタ801、フィルタ802、フィルタ803、およびフィルタ804の係数を表す。
【0169】
図8(a)および
図8(b)は、本出願におけるバタフライフィルタを記載するために例として使用されているが、
図8(a)および
図8(b)に示されたバタフライフィルタは単なる例であり、本出願の保護範囲に対するいかなる制限も構成しないことに留意されたい。本出願の実施形態におけるバタフライフィルタは、広い意味で理解されるべきであり、逆畳み込み関数を実施することができるフィルタまたはフィルタの組合せは、バタフライフィルタと呼ばれる場合がある。
【0170】
本出願のこの実施形態において提供されるRx DSPは、マルチモード送信シナリオにさらに適用されてもよい。例えば、Rx DSPは、m個の送信モードに適用される。この場合、Rx DSPはP個の実数信号を受信する。
【0171】
図9(a)は、本出願の一実施形態による、マルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ900は、
第1のNTTモジュール211と、第1の波長分散補償モジュール212と、クロック復元モジュール213と、第1の偏波補償モジュール214と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール217と、復号モジュール218とを含む。
【0172】
P個の実数信号は、第1のNTTモジュール211に入力される。第1のNTTモジュールは、P個の実数信号に対してNTT処理を別々に実行し、P個の変換領域の第1の実数信号を第1の波長分散補償モジュール212に出力する。
【0173】
任意選択で、P個の実数信号は、ADCによる変換を介して取得された実数信号である。P個の実数信号は、m個の送信モードの4×m個の実数信号を含む。
【0174】
第1の波長分散補償モジュール212は、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を別々に実行し、P個の変換領域の第3の実数信号をクロック復元モジュール213に出力する。
【0175】
クロック復元モジュール213は、P個の変換領域の第3の実数信号に対してクロック復元を別々に実行し、P個の変換領域の第2の実数信号を第1の偏波補償モジュール214に出力する。
【0176】
第1の偏波補償モジュール214は、P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償処理を実行し、P個の変換領域の第6の実数信号を第1のINTTモジュール215に出力する。
【0177】
第1のINTTモジュール215は、P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理を別々に実行し、P個の時間領域の第7の実数信号を結合モジュール216に出力する。
【0178】
結合モジュール216は、P個の時間領域の第7の実数信号を結合し、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yを位相復元モジュール217および復号モジュール218に出力する。
【0179】
位相復元モジュール217および復号モジュール218は、復元されたビット信号を取得するために、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yに対して位相復元および復号処理を実行する。
【0180】
図9(b)は、本出願の一実施形態による、別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ910は、
第1のNTTモジュール211と、第1の波長分散補償モジュール212と、クロック復元モジュール213と、第2の偏波補償モジュール108と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール320と、復号モジュール330とを含む。
【0181】
アーキテクチャ910におけるクロック復元以前のモジュールは、アーキテクチャ900におけるモジュールと同じである。違いは、クロック復元モジュールによって出力された信号が最初にINTTモジュールによって処理され、結合モジュールによって結合され、次いで第2の偏波補償モジュール108に入力されることにある。クロック復元以前のプロセスは再び記載されない。
【0182】
第1のINTTモジュール215は、P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理を別々に実行し、P個の時間領域の第8の実数信号を結合モジュール216に出力する。結合モジュール216は、P個の時間領域の第8の実数信号を結合し、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yを第2の偏波補償モジュール310に出力する。
【0183】
第2の偏波補償モジュール310は、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yに対して偏波補償処理を実行し、偏波補償を介して取得されたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを位相復元モジュール320および復号モジュール330に出力する。第2の偏波補償モジュール310は、(図に示されていない)係数更新モジュール311をさらに含む。係数更新モジュール311は、第2の偏波補償モジュール310に含まれるフィルタの係数を更新するように構成される。
【0184】
位相復元モジュール320および復号モジュール330は、復元されたビット信号を取得するために、m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yに対して位相復元および復号処理を実行する。
【0185】
図9(c)は、本出願の一実施形態による、さらに別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ920は、
DBPモジュール510と、第1のNTTモジュール211と、クロック復元モジュール213と、第1の偏波補償モジュール214と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール217と、復号モジュール218とを含む。
【0186】
Rx DSPアーキテクチャ920における第1の偏波補償モジュール214以後のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ900におけるアーキテクチャと同じである。違いは、信号が偏波補償前にDBP処理を受けることである。DBPモジュール510は波長分散補償機能を有するので、DBPモジュール以後のプロセスは、波長分散補償モジュール212を必要としなくてもよい。
【0187】
P個の実数信号がDBPモジュール510に入力され、DBP処理が実行され、P個の時間領域の第10の実数信号が第1のNTTモジュール211に出力される。
【0188】
第1のNTTモジュール211は、P個の時間領域の第10の実数信号に対してNTT処理を別々に実行し、P個の変換領域の第1の実数信号をクロック復元モジュール213に出力する。
【0189】
クロック復元モジュール213は、P個の変換領域の第1の実数信号に対してクロック復元処理を別々に実行し、P個の変換領域の第2の実数信号を第1の偏波補償モジュール214に出力する。
【0190】
クロック復元モジュール213以後のプロセスについては、
図9(a)に示された実施形態を参照されたい。
【0191】
図9(d)は、本出願の一実施形態による、さらに別のマルチモード送信シナリオにおけるRx DSPアーキテクチャの概略図である。Rx DSPアーキテクチャ930は、
DBPモジュール510と、第1のNTTモジュール211と、クロック復元モジュール213と、第2の偏波補償モジュール310と、第1のINTTモジュール215と、結合モジュール216と、位相復元モジュール320と、復号モジュール330とを含む。
【0192】
Rx DSPアーキテクチャ930における第2の偏波補償モジュール310以後のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ910におけるアーキテクチャと同じである。第2の偏波補償モジュール310以前のアーキテクチャは、Rx DSPアーキテクチャ920におけるアーキテクチャと同じである。具体的には、ADCによる変換を介して取得された受信信号は、最初にDBP処理を受ける。DBP処理およびクロック復元以前のプロセスについては、
図9(c)に示された実施形態を参照されたい。クロック復元モジュール213以後のプロセスについては、
図9(b)に示された実施形態を参照されたい。
【0193】
例えば、
図9(c)および
図9(d)に示されたDBPモジュール510が
図9(e)に示されている。
図9(e)は、本出願の一実施形態による、別のDBPモジュールの概略構造図である。DBPモジュール940は、
第2のNTTモジュール711と、第2の波長分散補償モジュール712と、第2のINTTモジュール713と、非線形補償モジュール714とを含む。
【0194】
P個の実数信号がDBPモジュール510に入力され、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するためにDBP処理が実行されることは、具体的に以下のステップを含む。
【0195】
P個の実数信号がP個の第2のNTTモジュール711にそれぞれ入力され、NTT処理が実行され、P個の変換領域の第4の実数信号が第2の波長分散補償モジュール712に出力される。
【0196】
第2の波長分散補償モジュール712は、P個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償を実行し、P個の変換領域の第5の実数信号を第2のINTTモジュール713に出力する。
【0197】
第2のINTTモジュール713は、P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理を実行し、P個の時間領域の第9の実数信号を非線形補償モジュール714に出力する。
【0198】
非線形補償モジュール714は、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償を実行する。
【0199】
具体的には、FFTモジュールおよびIFFTモジュールを使用して信号処理を実行することと比較して、NTTモジュールおよびINTTモジュールを使用して信号処理を実行することは、以下の利点を有する。
【0200】
(1)NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、Rx DSPアーキテクチャの複雑度が低減される。
【0201】
FFTモジュールおよびIFFTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、信号送信プロセス中、波長分散補償のみの電力消費がRx DSPの総電力消費の半分を占め、N点FFTの複雑度はNlog2N乗算に比例する。演算の異なるデータビット幅に応じて、乗算の複雑度は加算の複雑度の数倍~数十倍に等しい。
【0202】
しかしながら、NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて実行される信号処理の複雑度は、2Nlog2N加算に比例する。異なるデータビット幅および異なる変換点の数Nに応じて、NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて実行される信号処理の複雑度は、異なる程度で低減される。例えば、変換点の数が256である場合、NTTの電力消費はFFTの電力消費の約1/4に低減される。
【0203】
(2)NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、変換行列は、切り捨て誤差または固定小数点ペナルティをもたない。
【0204】
FFTモジュールおよびIFFTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、FFTの変換コアは指数関数であるため、切り捨て誤差はバイナリコンピュータ上で正確に表現することができない。加えて、変換行列のビット幅は固定されておらず、固定小数点ペナルティを引き起こす。
【0205】
しかしながら、NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて実行される信号処理では、NTTの変換コアは整数であり、変換コアは通常2または2のべき乗であるため、変換コアはメモリ内で正確に表現することができる。加えて、変換行列のビット幅は固定されており、固定小数点ペナルティがない。
【0206】
(3)NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、誤差は蓄積しない。
【0207】
単一のFFT変換またはIFFT変換における切り捨て誤差および固定小数点ペナルティは、DBP伝搬中に繰り返し累積する。結果として、最終結果の誤差が大きくなる。
【0208】
しかしながら、単一のNTT変換またはINTT変換には、切り捨て誤差または固定小数点ペナルティは存在しない。したがって、Ns個の変換が繰り返されても誤差の蓄積は発生しない。
【0209】
(4)NTTモジュールおよびINTTモジュールに基づいて信号処理が実行されるとき、記憶域は削減することができる。
【0210】
NTTの変換コアは2であり、変換行列は2または2のべき乗を含む。2進法では、数はシフトのみを介して2のべき乗と乗算される。したがって、DSPプロセスに巨大な変換行列が記憶される必要がなく、変換コアが記憶されるだけでよい。
【0211】
図10(a)は、本出願の一実施形態による、信号処理方法の概略フローチャートである。以下のステップS1010~S1050が含まれる。
【0212】
S1010.P個の実数信号を取得する。
【0213】
例えば、P個の実数信号は、m個のモードの各々に対応する2つの偏波方向にある実数信号を含む。mが1に等しいとき、それはシングルモード送信を示し、またはmが1より大きいとき、それはマルチモード送信を示す。mおよびPは正の整数である。
【0214】
S1020.P個の変換領域の第1の実数信号を取得する。
【0215】
P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対して少なくともNTT処理が実行される。以下の2つの可能な実装形態が含まれる。
【0216】
実装形態1.1:P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してNTT処理を実行する。
【0217】
実装形態1.2:P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してDBP処理およびNTT処理を順次実行する。
【0218】
実装形態1.2:P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してDBP処理が最初に実行され、次いで、P個の変換領域の第1の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第10の実数信号に対してNTT処理が実行される。
【0219】
実装形態1.1においてP個の実数信号に対してNTT処理を実行すること、および実装形態1.2においてP個の実数信号に対してDBP処理を実行することによって取得されたP個の時間領域の第10の実数信号に対してNTT処理を実行することは、P個の入力信号に対してNTT処理を実行することと総称される場合がある。言い換えれば、本出願のこの実施形態では、P個の入力信号は、P個の実数信号、またはP個の実数信号に対してDBP処理を実行することによって取得されたP個の時間領域の第10の実数信号を含む。
【0220】
理解を容易にするために、P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してDBP処理を実行するプロセスが、
図10(b)を参照して簡単に記載される。
図10(b)は、本出願の一実施形態による、DBP処理の概略フローチャートである。以下のステップS1021~S1024が含まれる。
【0221】
S1021.P個の変換領域の第4の実数信号を取得する。
【0222】
P個の変換領域の第4の実数信号を取得するために、P個の実数信号に対してNTT処理が実行される。
【0223】
S1022.P個の変換領域の第5の実数信号を取得する。
【0224】
P個の変換領域の第5の実数信号を取得するために、変換領域においてP個の変換領域の第4の実数信号に対して波長分散補償が実行される。
【0225】
S1023.P個の時間領域の第9の実数信号を取得する。
【0226】
P個の時間領域の第9の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第5の実数信号に対してINTT処理が実行される。
【0227】
S1024.P個の時間領域の第10の実数信号を取得する。
【0228】
P個の時間領域の第10の実数信号を取得するために、P個の時間領域の第9の実数信号に対して非線形補償が実行される。
【0229】
S1030.P個の変換領域の第2の実数信号を取得する。
【0230】
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して少なくともクロック復元処理が実行される。ステップS1020における2つの可能性に対応して、以下の2つの可能な実装形態が含まれる。
【0231】
実装形態2.1:これはステップS1020の実装形態1.1に対応する。具体的な手順は以下のステップを含む。
【0232】
最初に、P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行する。
【0233】
次いで、P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第3の実数信号に対してクロック復元を別々に実行する。
【0234】
P個の変換領域の第3の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対して波長分散補償を実行することは、具体的に以下のステップを含む。
【0235】
最初に、同相実数信号に対応する波長分散インパルス応答Ih(t)および直交実数信号に対応する波長分散インパルス応答Qh(t)を決定し、同相実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Ih(w)および直交実数信号に対応する変換領域波長分散等化関数Qh(w)を取得するためにNTT処理を実行する。
【0236】
次いで、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定し、Ih(w)、Qh(w)、ならびにP個の変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号および直交実数信号に基づいて、P個の変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の変換領域の第3の実数信号を決定する。
【0237】
具体的には、波長分散補償を介して取得された変換領域の第3の実数信号、および波長分散補償を受けていない変換領域の第1の実数信号は、以下の要件:
I’x(w)=Ix(w)・Ih(w)-Qx(w)・Qh(w)、
Q’x(w)=Qx(w)・Ih(w)+Ix(w)・Qh(w)、
I’y(w)=Iy(w)・Ih(w)-Qy(w)・Qh(w)、および
Q’y(w)=Qy(w)・Ih(w)+Iy(w)・Qh(w)
を満たし、ここで、Ix(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qx(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、Iy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Qy(w)は、変換領域の第1の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’x(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある直交実数信号を表し、I’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある同相実数信号を表し、Q’y(w)は、変換領域の第3の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある直交実数信号を表す。
【0238】
実装形態2.2:
これはステップS1020の実装形態1.2に対応する。処理手順は以下のステップを含む。
【0239】
P個の変換領域の第2の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第1の実数信号に対してクロック復元を別々に実行する。
【0240】
S1040.時間領域の複素数信号を取得する。
【0241】
m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して少なくとも偏波補償処理およびINTT処理が実行される。以下の2つの可能な実装形態が含まれる。
【0242】
実装形態3.1:m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償処理、INTT処理、および結合処理を順次実行する。
図10(c)は、本出願の一実施形態による、時間領域の複素数信号を取得する概略フローチャートである。以下のステップS1041~S1043が含まれる。
【0243】
S1041.P個の変換領域の第6の実数信号を取得する。
【0244】
P個の変換領域の第6の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対して偏波補償が実行される。
【0245】
S1042.P個の時間領域の第7の実数信号を取得する。
【0246】
P個の時間領域の第7の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第6の実数信号に対してINTT処理が別々に実行される。
【0247】
S1043.m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yを取得するために結合を実行する。
【0248】
P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号の2つずつは、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために結合される。
【0249】
P個の時間領域の第7の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第7の実数信号の2つずつは、第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために結合される。
【0250】
実装形態3.2:P個の変換領域の第2の実数信号に対して、INTT処理、結合処理、および偏波補償処理を順次実行する。
図10(d)は、本出願の一実施形態による、時間領域の複素数信号を取得する別の概略フローチャートである。以下のステップS1044~S1046が含まれる。
【0251】
S1044.P個の時間領域の第8の実数信号を取得する。
【0252】
P個の時間領域の第8の実数信号を取得するために、P個の変換領域の第2の実数信号に対してINTT処理が実行される。
【0253】
S1045.m個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yを取得する。
【0254】
P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第1の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号の2つずつは、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xを取得するために結合される。
【0255】
P個の時間領域の第8の実数信号内にあり、かつ第2の偏波方向にある2×m個の時間領域の第8の実数信号の2つずつは、第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために結合される。
【0256】
S1046.偏波補償を受けたm個の複素数信号Xおよびm個の複素数信号Yを取得する。
【0257】
偏波補償を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、第1の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Xおよび第2の偏波方向のm個の時間領域の複素数信号Yに対して偏波補償が実行される。
【0258】
S1050.ビット信号を取得する。
【0259】
復元されたビット信号を取得するために、S1040において取得された時間領域の複素数信号に対して位相復元および復号が実行される必要がある。
【0260】
最初に、位相復元を受けたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、m個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yに対して位相復元が実行される。
【0261】
次いで、復号されたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yを取得するために、位相復元を介して取得されたm個の時間領域の複素数信号Xおよびm個の時間領域の複素数信号Yが復号される。
【0262】
時間領域の複素数信号に対して位相復元および復号を実行する方法は、本出願のこの実施形態では限定されないことに留意されたい。偏波多重コヒーレント受信機によって電気信号に対して位相復元および復号を実行する現在のプロセスを参照されたい。
【0263】
本出願の一実施形態は、
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)、または
図9(d)に示された偏波ビームスプリッタ、周波数ミキサ、光電検出器、アナログデジタル変換器、およびRx DSPを含むコヒーレント受信機をさらに提供する。偏波ビームスプリッタ、周波数ミキサ、光電検出器、およびアナログデジタル変換器は、
図1(a)および
図1(b)に示されたそれらと同様である。ここでは詳細は再び記載されない。
【0264】
本出願の一実施形態はチップをさらに提供する。
図11は、本出願によるチップ1100の概略図である。チップ1100は、プロセッサ1110と、メモリ1120と、通信インターフェース1130とを含む。プロセッサ1110はメモリ1120に結合される。メモリ1120は、コンピュータプログラムまたは命令および/もしくはデータを記憶するように構成される。プロセッサ1110は、前述の方法実施形態における方法が実行されるように、メモリ1120に記憶されたコンピュータプログラムまたは命令および/もしくはデータを実行するように構成される。
【0265】
可能な実装形態では、
図11に示されたチップは、プロセッサ1110および通信インターフェース1130を含む信号処理装置であってもよい。プロセッサ1110は、通信インターフェース1130を使用してメモリに結合され、プロセッサ1110は、前述の方法実施形態における方法を実行するように構成される。
【0266】
前述の実施形態は、本出願において提供される信号処理手順を記載するための単なる例であり、本出願の保護範囲に対するいかなる制限も構成しないことを理解されたい。Rx DSPアーキテクチャの他の単純な変形形態は、すべて本出願の保護範囲内に入る。本出願におけるRx DSPアーキテクチャと既存のRx DSPアーキテクチャとの間の違いは、FFTモジュールおよびIFFTモジュールが信号処理に使用されず、NTTモジュールおよびINTTモジュールが使用されることにある。
【0267】
本出願の実施形態では、特に明記しない限り、または論理的に矛盾する場合でない限り、異なる実施形態における用語および/または説明は一致していてもよく、相互に参照されてもよいことをさらに理解されたい。異なる実施形態における技術的特徴は、新しい実施形態を形成するために、技術的特徴の内部論理関係に基づいて組み合わされてもよい。
【0268】
簡便かつ簡単な説明のために、前述のシステム、装置、およびユニットの詳細な動作プロセスについては、前述の方法実施形態における対応するプロセスを参照されたく、ここでは詳細は再び記載されないことは、当業者によって明確に理解されよう。
【0269】
機能がソフトウェア機能ユニットの形態で実装され、独立した製品として販売または使用されるとき、機能は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。そのような理解に基づいて、本出願の技術的解決策は本質的に、または従来技術に寄与する部分は、または技術的解決策のうちのいくつかは、ソフトウェア製品の形態で実装されてもよい。ソフトウェア製品は記憶媒体に記憶され、本出願の実施形態に記載された方法のステップのすべてまたは一部を実行するように、(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイスであり得る)コンピュータデバイスに指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体には、USBフラッシュドライブ、リムーバブルハードディスク、読取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、磁気ディスク、または光ディスクなどの、プログラムコードを記憶することができる任意の媒体が含まれる。
【符号の説明】
【0270】
101 偏波ビームスプリッタ
102 周波数ミキサ
103 光電検出器
104 アナログデジタル変換器
105 結合モジュール
106 高速フーリエ変換(FFT)モジュール
107 クロック復元モジュール
108 偏波補償モジュール
109 係数更新モジュール
110 位相復元モジュール
111 復号モジュール
112 波長分散補償モジュール
113 逆高速フーリエ変換(IFFT)モジュール
200 受信機デジタル信号処理(Rx DSP)アーキテクチャ
211 第1の数論変換(NTT)モジュール
212 第1の波長分散補償モジュール
213 クロック復元モジュール
214 第1の偏波補償モジュール
215 第1の逆数論変換(INTT)モジュール
216 結合モジュール
217 位相復元モジュール
218 復号モジュール
300 Rx DSPアーキテクチャ
310 第2の偏波補償モジュール
311 係数更新モジュール
320 位相復元モジュール
330 復号モジュール
400 波長分散補償モジュール
401 結合モジュール
402 FFTモジュール
403 結合モジュール
404 FFTモジュール
405 乗算モジュール
410 波長分散補償モジュール
411 NTTモジュール
412 NTTモジュール
413 乗算モジュール
414 結合モジュール
415 乗算モジュール
416 乗算モジュール
417 乗算モジュール
418 結合モジュール
419 NTTモジュール
420 NTTモジュール
500 Rx DSPアーキテクチャ
510 デジタル逆伝搬(DBP)モジュール
600 Rx DSPアーキテクチャ
700 DBPモジュール
711 第2のNTTモジュール
712 第2の波長分散補償モジュール
713 第2のINTTモジュール
714 非線形補償モジュール
801 フィルタ
802 フィルタ
803 フィルタ
804 フィルタ
805 加算器
806 加算器
807 フィルタ
808 フィルタ
809 フィルタ
810 第1のバタフライフィルタ
820 第2のバタフライフィルタ
900 Rx DSPアーキテクチャ
910 Rx DSPアーキテクチャ
920 Rx DSPアーキテクチャ
930 Rx DSPアーキテクチャ
940 DBPモジュール
1100 チップ
1110 プロセッサ
1120 メモリ
1130 通信インターフェース
2141 係数更新モジュール
8010 フィルタ
8011 加算器
8012 加算器
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0151
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0151】
DBPモジュールにおける前述の処理手順はNs回繰り返される必要があることに留意されたい。性能を保証するために、リンクのスパンが増加すると、DBP反復の回数Nsも増加する必要がある。異なるDBP解決策は、本明細書では限定されない。シナリオによって要求される異なる電力消費に応じて、Nsはリンクの総スパンに等しくなるように設定されてもよく、またはシングルステップDBPが設定されてもよい。本出願のこの実施形態におけるDBPモジュールでは、FFTモジュールまたはIFFTモジュールは使用されず、代わりに、NTTモジュールおよびINTTモジュールが使用される。このようにして、DBPモジュールの信号処理手順中に、Ns回の変換が繰り返されてもエラーが累積することはない。
【国際調査報告】