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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】産業プロセスモデル生成システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230620BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20230620BHJP
【FI】
G05B23/02 R
G06N20/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573547
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021060802
(87)【国際公開番号】W WO2021239358
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】20177360.3
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヤンカ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】クレッパー、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】シウア、モンセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス、パブロ
(72)【発明者】
【氏名】リベロプロス、イオアニス
(72)【発明者】
【氏名】ディックス、マルセル
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF03
3C223FF04
3C223FF05
3C223FF22
3C223FF23
3C223FF26
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH08
(57)【要約】
本発明は、入力ユニットと、処理ユニットとを備える産業プロセスモデル生成システムに関する。入力ユニットは、産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成される。処理ユニットは、産業プロセスのシミュレータを実装するように構成される。処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成され、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含む。処理ユニットは、産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装するように構成される。処理ユニットは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成される。処理ユニットは、第1のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。処理ユニットは、第2のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プロセスモデル生成システムであって、
-入力ユニットと、
-処理ユニットとを備え、
前記入力ユニットは、産業プロセスに関連する動作入力値軌跡及びシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成され、
前記処理ユニットは、前記産業プロセスのシミュレータを実装するように構成され、
前記処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成され、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての前記産業プロセス挙動データの生成は、前記シミュレータの利用を含み、
前記処理ユニットは、前記産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装するように構成され、
前記処理ユニットは、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成され、
前記処理ユニットは、第1のモデル化された結果を決定するために、前記機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成され、
前記処理ユニットは、前記第1の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定するように構成され、前記決定は、前記第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含み、
前記処理ユニットは、第2のモデル化された結果を決定するために、前記機械学習アルゴリズムを用いて前記複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成され、
前記処理ユニットは、前記第2の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または前記第2の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定するように構成され、前記決定は、前記第2のモデル化された結果と前記性能条件との比較を含む、システム。
【請求項2】
前記複数の入力値軌跡は、プロセスデータ、温度データ、圧力データ、流量データ、レベルデータ、電圧データ、電流データ、電力データ、アクチュエータデータ、バルブデータ、センサデータ、コントローラデータのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の挙動データを使用する前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の挙動データを使用する前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の挙動データを使用する前記機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするか、またはさらにトレーニングしないかの決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に関する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、前記決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記複数の入力値軌跡の少なくともいくつかを選択するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
産業プロセスモデル選択および生成システムであって、
-入力ユニットと、
-処理ユニットとを備え、
前記入力ユニットは、動作入力値軌跡及びシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成され、
前記処理ユニットは、前記産業プロセスのシミュレータを実装するように構成され、
前記処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成され、前記産業プロセス挙動データは、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての前記産業プロセス挙動データの生成は、前記シミュレータの利用を含み、
前記処理ユニットは、前記産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムを実装するように構成され、
前記処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、前記複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成され、
前記処理ユニットは、前記第1の挙動データを使用して前記第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または前記複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、前記決定は、前記第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む、システム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果を決定するために、前記第1の機械学習アルゴリズムを用いて前記複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成され、前記処理ユニットは、前記第2の挙動データを使用して前記第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または前記第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、前記決定は、前記第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果と前記性能条件との比較を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理ユニットは、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、前記第2の機械学習アルゴリズムを用いて前記第1の挙動データを処理するように構成され、前記処理ユニットは、前記第1の挙動データを使用して前記第2の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または前記複数の機械学習アルゴリズムのうちの第3の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、前記決定は、前記第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と前記性能条件との比較を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
挙動データを使用して既存の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または新たな機械学習アルゴリズムを実装するかの決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記既存の機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記処理ユニットは、既存の機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、前記決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む、請求項9から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の挙動データの少なくとも一部に対する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、前記複数の挙動データの少なくとも一部に関する前記トレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記処理ユニットは、前記複数の入力値軌跡の少なくともいくつかを選択するように構成される、請求項9から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
産業プロセスモデル生成方法であって、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって前記産業プロセスのシミュレータを実装することと、
前記処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、前記産業プロセス挙動データは、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての前記産業プロセス挙動データの生成は、前記シミュレータの利用を含み、
前記処理ユニットによって、前記産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装することと、前記処理ユニットは、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成され、
第1のモデル化された結果を決定するように、前記処理ユニットによって、複数の挙動データのうちの第1の挙動データを前記機械学習アルゴリズムで処理することと、
前記処理ユニットによって、前記第1の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかまたはトレーニングしないかを決定することと、前記決定は、前記第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含み、
第2のモデル化された結果を決定するように、前記処理ユニットによって、前記複数の挙動データのうちの第2の挙動データを前記機械学習アルゴリズムで処理することと、
前記処理ユニットによって、前記第2の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または前記第2の挙動データを使用して前記機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定することとを含み、前記決定は、前記第2のモデル化された結果と前記性能条件との比較を含む、方法。
【請求項17】
産業プロセスモデル選択及び生成方法であって、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって前記産業プロセスのシミュレータを実装することと、
前記処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、前記産業プロセス挙動データは、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、前記複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての前記産業プロセス挙動データの生成は、前記シミュレータの利用を含み、
前記処理ユニットによって、前記産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを実装することと、
第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するように、前記処理ユニットによって、前記複数の機械学習アルゴリズムのうちの前記第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理することと、
前記処理ユニットによって、前記第1の挙動データを使用して前記第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または前記複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、前記決定は、前記第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業プロセスモデル生成システム、産業プロセスモデル選択及び生成システム、産業プロセスモデル生成方法、並びに産業プロセスモデル選択及び生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習の産業用途は、通常、機械学習モデルのトレーニングのための十分な(ラベル付けされた)トレーニングデータの利用可能性に悩まされる。高忠実度シミュレータを使用して、追加のデータを生成して、そのような機械学習モデルの品質を改善することができる。しかしながら、高忠実度シミュレーションを実行することは、時間がかかり、計算的に高価である。データのブラインド生成は、非常に高価であり、機械学習アルゴリズムの性能に保証された影響を及ぼさない。
【0003】
産業プロセスのためのモデル開発を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、産業プロセスのためのモデルを生成するための改善された技術を有することが有利である。
【0005】
本発明の目的は、独立請求項の主題事項によって解決され、さらなる実施形態が従属請求項に組み込まれる。
【0006】
第1の態様では、産業プロセスモデル生成システムが提供され、
-入力ユニットと、
-処理ユニットとを備える。
入力ユニットは、産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成される。処理ユニットは、産業プロセスのシミュレータを実装するように構成される。処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成される。産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかについて生成され、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかについての産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含む。処理ユニットは、産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装するように構成される。処理ユニットは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成される。処理ユニットは、第1のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。処理ユニットは、第2のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0007】
一例では、入力値軌跡は、実際の入力データまたはシミュレートされた入力データである。
【0008】
したがって、産業プロセス挙動データのセットは、実際の値またはシミュレートされることもある入力値軌跡に基づいてシミュレータによって生成され、機械学習アルゴリズムは、このデータのサブセットに対してトレーニングされ、システムは、データのどのサブセットをそのトレーニングで実際に使用するかを決定する。
【0009】
機械学習アルゴリズムは、シミュレータによって生成された産業プロセス挙動データに加えて、「実際の」産業プロセス挙動データに対してトレーニングすることができ、複数の産業プロセス挙動データは、シミュレータによって生成されたものおよび「実際の」データを含むことができる。しかしながら、複数の産業プロセス挙動データの全ては、シミュレータによって生成されたものであることがある。
【0010】
このようにして、実際の入力データまたはシミュレートされた入力データである新しい入力軌跡が提供されると、産業プロセスの機械学習モデルをトレーニングすることができ、または機械学習モデルをトレーニングしないように、シミュレータから生成された関連する挙動データを使用することができる。これは、挙動データが生成されるにつれて段階的に継続し、機械学習アルゴリズムは、適切なデータを用いて継続的にトレーニングされるが、適切でないデータを用いてトレーニングされない。
【0011】
動作入力値軌跡は、プラントオペレータが生産プロセスに対して行う任意の入力である。
これらは、例えば、設定値(自動化/制御ループのための目標値)、アクチュエータのためのパラメータ(例えば、バルブの開放または閉鎖の割合)、およびデジタル入力(ポンプオン/オフ)である。
【0012】
オペレータが行う入力(動作入力値軌跡)に加えて、シミュレーションを構成し制御するための入力もある。例は、シミュレーションの開始時の初期プラント状態、原料組成/品質、特定のタイプでの故障(例えば、バルブ故障(漏れ、粘着など)、回転機器故障(ポンプ、圧縮機)など)のシミュレーションである。これらをシミュレーション入力値軌跡と呼ぶ。
【0013】
したがって、入力値軌跡は、シミュレーションプロセスを制御(フィードフォワード)する入力であり、シミュレータは、例えば、プロセスデータ(例えば、シミュレートされた温度、圧力、レベル、流量値)、アクチュエータデータ(シミュレートされたバルブ位置、熱交換器流入、モータ電流など)、設定値(例えば、PID((比例積分微分)コントローラ)の目標値)のうちの1つ以上を含む産業プロセス挙動データを生成することができる。
【0014】
「プロセッサ(a processor)」および「プロセッサ(the processor)」は、システムが1つのプロセッサのみを使用しなければならないことを意味しないことに留意されたい。例えば、プロセッサは、データを生成するためにシミュレータを実装することができ、第2のプロセッサは、機械学習アルゴリズムを実装する。
【0015】
一例では、複数の挙動データは、プロセスデータ、温度データ、圧力データ、流量データ、レベルデータ、電圧データ、電流データ、電力データ、アクチュエータデータ、バルブデータ、センサデータ、コントローラデータのうちの1つ以上を含む。
【0016】
したがって、入力値軌跡は、シミュレーションプロセスを制御(フィードフォワード)する入力であり、シミュレータは、例えば、初期シミュレーション状態(例えば、シミュレートされた温度、圧力、レベル、流量値)、アクチュエータデータ(シミュレートされたバルブ位置、熱交換器流入、モータ電流など)、設定値(例えば、PID((比例積分微分)コントローラ)の目標値)のうちの1つ以上を含む産業プロセス挙動データを生成することができる。
【0017】
一例では、モデル化された結果は、産業プロセスの制御または監視出力を含む。
【0018】
したがって、機械学習アルゴリズムは、例えば、タスク制御を実現する、またはシミュレートされる実際の産業プロセスを監視する機械学習モデルを生成するようにトレーニングされる。
【0019】
一例では、処理ユニットは、複数の入力値軌跡の少なくとも一部を選択するように構成される。
【0020】
したがって、システムは、トレーニングのために使用されることができる新しい挙動データを生成するために、どの入力値軌跡がシミュレータに提供されるべきかを選択または決定することができ、これは、シミュレータが呼び出される必要がないかもしれないことから、計算効率性を最適化する。
【0021】
一例では、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかの選択は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度の利用を含む。
【0022】
一例では、第1の挙動データを使用する機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0023】
一例では、第2の挙動データを使用する機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0024】
一例では、第2の挙動データを使用する機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするか、またはさらにトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0025】
一例では、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0026】
一例では、処理ユニットは、機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0027】
したがって、機械学習アルゴリズム(モデル)は、機械学習アルゴリズムが新しいデータに対して(追加的に)トレーニングされるときに、新しく生成されたシミュレートされたデータが機械学習モデルを「大きく」著しく変化させるように、機械学習アルゴリズムのトレーニングのための新しい挙動データを生成するためにどの動作入力軌跡およびシミュレーション入力値軌跡が使用されるべきかを識別するために分析される。そして、機械学習アルゴリズムが著しく変更されていないとき、トレーニングを停止することができ、最終的なトレーニングされた機械学習アルゴリズムを提供してプロセスをモデル化することができる。
【0028】
第2の態様では、産業プロセスモデル選択および生成システムが提供され、
-入力ユニットと、
-処理ユニットとを備える。
入力ユニットは、動作入力値軌跡及びシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成される。処理ユニットは、産業プロセスのシミュレータを実装するように構成される。処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成される。産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかについて生成され、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかについての産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含む。処理ユニットは、産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムを実装するように構成される。処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0029】
一例では、処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果を決定するために、第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第2の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0030】
一例では、処理ユニットは、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、第2の機械学習アルゴリズムを用いて第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して第2の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第3の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0031】
このようにして、実際の入力データまたはシミュレートされた入力データである新しい入力軌跡が提供されると、シミュレータから生成された関係する挙動データを使用して、機械学習モデルをトレーニングするか、または産業プロセスの異なる機械学習モデルを選択してトレーニングすることができる。これは、挙動データが生成されるにつれて段階的に継続し、機械学習アルゴリズムは、適切なデータを用いて継続的にトレーニングされるか、または異なる機械学習アルゴリズムが選択され、適切なデータを用いてトレーニングされる。
【0032】
一例では、処理ユニットは、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかを選択するように構成される。
【0033】
したがって、システムは、トレーニングのために使用されることができる新しい挙動データを生成するために、どの入力値軌跡がシミュレータに提供されるべきかを選択または決定することができ、これは、シミュレータが呼び出される必要がないかもしれないことから、計算効率性を最適化する。
【0034】
一例では、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかの選択は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度の利用を含む。
【0035】
一例では、挙動データを使用して既存の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または新しい機械学習アルゴリズムを実装するかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対する既存のトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0036】
一例では、処理ユニットは、既存の機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。一例では、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0037】
したがって、機械学習アルゴリズム(モデル)は、機械学習アルゴリズムが新しいデータに対して(追加的に)トレーニングされるときに、新しく生成されたシミュレートされたデータが機械学習モデルを「大きく」著しく変化させるように、機械学習アルゴリズムのトレーニングのための新しい挙動データを生成するためにどの動作入力軌跡およびシミュレーション入力値軌跡が使用されるべきかを識別するために分析される。また、機械学習アルゴリズムが必要に応じて実行していないとき、より高度な機械学習アルゴリズムを実装することができ、その機械学習アルゴリズムが著しく変更されていないとき、トレーニングを停止することができ、最終的なトレーニングされた機械学習アルゴリズムを提供してプロセスをモデル化することができる。
【0038】
一例では、第1の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの最も単純な機械学習アルゴリズムである。
【0039】
一例では、第2の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの2番目に単純な機械学習アルゴリズムである。
【0040】
一例では、第3の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの3番目に最も単純な機械学習アルゴリズムである。
【0041】
第3の態様では、産業プロセスモデル生成方法が提供され、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって産業プロセスのシミュレータを実装することとを含む。
【0042】
処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含み、
処理ユニットによって、産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装することと、処理ユニットは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成され、
第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の挙動データのうちの第1の挙動データを機械学習アルゴリズムで処理することと、
処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかまたはトレーニングしないかを決定することと、決定は、第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含み、
第2のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の挙動データのうちの第2の挙動データを機械学習アルゴリズムで処理することと、
処理ユニットによって、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定することとを含み、決定は、第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0043】
一例において、方法は、処理ユニットによって、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することを含む。
【0044】
一例では、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することは、トレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度を複数の挙動データのうちの少なくとも一部に利用することを含む。
【0045】
一例では、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0046】
一例では、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0047】
一例では、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかまたはさらにトレーニングしないことを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0048】
一例では、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に関してトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数を分析することを含む。
【0049】
一例では、方法は、機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを処理ユニットによって決定することを含み、決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0050】
第4の態様では、産業プロセスモデル選択および生成方法が提供され、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって産業プロセスのシミュレータを実装することと、
処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについて生成され、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかについての産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含み、
処理ユニットによって、産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを実装することと、
第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理することと、
処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0051】
一例では、方法は、処理ユニットによって、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果を決定するように、複数の挙動データのうちの第2の挙動データを第1の機械学習アルゴリズムで処理することと、第2の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または第2の機械学習アルゴリズムを実装するように、処理ユニットによって、決定することとを含み、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0052】
一例では、方法は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットを用いて、第1の挙動データを第2の機械学習アルゴリズムで処理することと、処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して第2の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第3の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、決定は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0053】
一例において、方法は、処理ユニットによって、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することを含む。
【0054】
一例では、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することは、トレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度を複数の挙動データのうちの少なくとも一部に利用することを含む。
【0055】
一例では、挙動データを使用して既存の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または新たな機械学習アルゴリズムを実装することを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対する既存のトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0056】
一例では、処理ユニットは、既存の機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0057】
一例では、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0058】
したがって、機械学習アルゴリズム(モデル)は、機械学習アルゴリズムが新しいデータに対して(追加的に)トレーニングされるときに、新しく生成されたシミュレートされたデータが機械学習モデルを「大きく」著しく変化させるように、機械学習アルゴリズムのトレーニングのための新しい挙動データを生成するためにどの動作入力軌跡およびシミュレーション入力値軌跡が使用されるべきかを識別するために分析される。また、機械学習アルゴリズムが必要に応じて実行していないとき、より高度な機械学習アルゴリズムを実装することができ、その機械学習アルゴリズムが著しく変更されていないとき、トレーニングを停止することができ、最終的なトレーニングされた機械学習アルゴリズムを提供してプロセスをモデル化することができる。
【0059】
上述の態様および例が、以下に説明する実施形態から明らかになり、それらの実施形態を参照して明瞭にされるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
添付の図面を参照して、例示的な実施形態が以下で説明される。
図1図1は、モデルトレーニングおよびトレーニングデータ生成の新たなプロセスの概要ワークフローを示す。
図2図2は、適切なモデルアーキテクチャ、すなわち適切な機械学習アルゴリズムを検索する新たなプロセスの概要ワークフローを示す。
図3図3は、モデルトレーニングおよびトレーニングデータ生成の標準プロセスの詳細なワークフローを示す。
図4図4は、モデルトレーニングおよびトレーニングデータ生成の新たなプロセスの詳細なワークフローを示す。
図5図5は、適切なモデルアーキテクチャを検索する新たなプロセスの詳細なワークフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1から図5は、産業プロセスモデル生成システム、産業プロセスモデル選択及び生成システム、産業プロセスモデル生成方法、並びに産業プロセスモデル選択及び生成方法に関する。
【0062】
産業プロセスモデル生成システム
産業プロセスモデル生成システムの一例は、入力ユニットと、処理ユニットとを備える。入力ユニットは、産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成される。処理ユニットは、産業プロセスのシミュレータを実装するように構成される。処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成される。産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡に対して生成され、複数の入力値軌跡に対する産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含む。処理ユニットは、産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装するように構成される。処理ユニットは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成される。処理ユニットは、第1のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。処理ユニットは、第2のモデル化された結果を決定するために、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかトレーニングしないかを決定するように構成され、決定は、第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0063】
言い換えると、機械学習アルゴリズムが、生成されたデータを用いてそれをさらにトレーニングすることによって改善できると決定できるか、または機械学習モデルが、その生成されたデータを用いて改善される必要がないと決定できる。
【0064】
一例では、性能条件は、目標精度、目標誤検出率、目標検出漏れ率のうちの1つ以上を含む。
【0065】
一例によれば、複数の入力値軌跡は、プロセスデータ、温度データ、圧力データ、流量データ、レベルデータ、電圧データ、電流データ、電力データ、アクチュエータデータ、バルブデータ、センサデータ、コントローラデータのうちの1つ以上を含む。
【0066】
一例によれば、モデル化された結果は、産業プロセスの制御または監視出力を含む。
【0067】
一例によれば、処理ユニットは、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかを選択するように構成される。
【0068】
一例では、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかの選択は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度の利用を含む。
【0069】
一例によれば、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0070】
一例によれば、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0071】
一例によれば、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするか、またはさらにトレーニングしないかの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0072】
一例によれば、複数の挙動データに対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0073】
一例によれば、処理ユニットは、機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0074】
産業プロセスモデル選択及び生成システム
産業プロセスモデル選択および生成システムの一例は、入力ユニットと、処理ユニットとを備える。入力ユニットは、動作入力値軌跡及びシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信するように構成される。処理ユニットは、産業プロセスのシミュレータを実装するように構成される。処理ユニットは、複数の産業プロセス挙動データを生成するように構成される。産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡に対して生成され、複数の入力値軌跡に対する産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含む。処理ユニットは、産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムを実装するように構成される。処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0075】
このようにして、プロセス監視のために使用される最良の機械学習アルゴリズムを選択し、トレーニングすることができる。
【0076】
一例では、性能条件は、目標精度、目標誤検出率、目標検出漏れ率のうちの1つ以上を含む。
【0077】
一例によれば、処理ユニットは、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果を決定するために、第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第2の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0078】
一例によれば、処理ユニットは、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するために、第2の機械学習アルゴリズムを用いて第1の挙動データを処理するように構成される。処理ユニットは、第1の挙動データを使用して第2の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第3の機械学習アルゴリズムを実装することを決定するように構成され、決定は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0079】
一例によれば、処理ユニットは、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかを選択するように構成される。
【0080】
一例では、複数の入力値軌跡の少なくともいくつかの選択は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度の利用を含む。
【0081】
一例によれば、挙動データを使用して既存の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または新しい機械学習アルゴリズムを実装することの決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対する既存のトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0082】
一例によれば、処理ユニットは、既存の機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0083】
一例によれば、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0084】
一例によれば、第1の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの最も単純な機械学習アルゴリズムである。
【0085】
一例によれば、第2の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの2番目に最も単純な機械学習アルゴリズムである。
【0086】
一例によれば、第3の機械学習アルゴリズムは、複数の機械学習アルゴリズムのうちの3番目に最も単純な機械学習アルゴリズムである。
【0087】
産業プロセスモデル生成方法
産業プロセスモデル生成方法の一例は、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって産業プロセスのシミュレータを実装することと、
処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡に対して生成され、複数の入力値軌跡に対する産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含み、
処理ユニットによって、産業プロセスをモデル化する機械学習アルゴリズムを実装することと、処理ユニットは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするように構成され、
第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の挙動データのうちの第1の挙動データを機械学習アルゴリズムで処理することと、
処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかまたはトレーニングしないかを決定することと、決定は、第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含み、
第2のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第2の挙動データを処理することと、
処理ユニットによって、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないか、または第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかさらにトレーニングしないかを決定することとを含み、決定は、第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0088】
一例では、第1の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0089】
一例では、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをトレーニングするかトレーニングしないかを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0090】
一例では、第2の挙動データを使用して機械学習アルゴリズムをさらにトレーニングするかまたはさらにトレーニングしないことを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0091】
一例では、複数の挙動データに対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に関してトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数を分析することを含む。
【0092】
一例では、方法は、機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを処理ユニットによって決定することを含み、決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度を決定することを含む。
【0093】
一例において、方法は、処理ユニットによって、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することを含む。
【0094】
一例では、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することは、トレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度を複数の挙動データのうちの少なくとも一部に利用することを含む。
【0095】
産業プロセスモデル選択及び生成方法
産業プロセスモデル選択及び生成方法の一例は、
産業プロセスに関連する動作入力値軌跡およびシミュレーション入力値軌跡を含む複数の入力値軌跡を受信することと、
処理ユニットによって産業プロセスのシミュレータを実装することと、
処理ユニットによって、複数の産業プロセス挙動データを生成することと、産業プロセス挙動データは、複数の入力値軌跡に対して生成され、複数の入力値軌跡に対する産業プロセス挙動データの生成は、シミュレータの利用を含み、
処理ユニットによって、産業プロセスをモデル化する複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを実装することと、
第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の機械学習アルゴリズムのうちの第1の機械学習アルゴリズムを用いて複数の挙動データのうちの第1の挙動データを処理することと、
処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0096】
一例では、方法は、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットによって、複数の挙動データのうちの第2の挙動データを第1の機械学習アルゴリズムで処理することと、処理ユニットによって、第2の挙動データを使用して第1の機械学習アルゴリズムをトレーニングするか、または第2の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、決定は、第1の機械学習アルゴリズムの第2のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0097】
一例では、方法は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果を決定するように、処理ユニットを用いて第1の挙動データを第2の機械学習アルゴリズムで処理することと、処理ユニットによって、第1の挙動データを使用して第2の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または複数の機械学習アルゴリズムのうちの第3の機械学習アルゴリズムを実装することを決定することとを含み、決定は、第2の機械学習アルゴリズムの第1のモデル化された結果と性能条件との比較を含む。
【0098】
一例において、方法は、処理ユニットによって、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することを含む。
【0099】
一例では、複数の入力値軌跡のうちの少なくともいくつかを選択することは、トレーニングされた機械学習アルゴリズムの決定された感度を複数の挙動データのうちの少なくとも一部に利用することを含む。
【0100】
一例では、挙動データを使用して既存の機械学習アルゴリズムをトレーニングすること、または新たな機械学習アルゴリズムを実装することを決定することは、複数の挙動データの少なくとも一部に対する既存のトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0101】
一例では、処理ユニットは、既存の機械学習アルゴリズムのトレーニングを停止することを決定するように構成され、決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定を含む。
【0102】
一例では、複数の挙動データの少なくとも一部に対するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの感度の決定は、複数の挙動データの少なくとも一部に関するトレーニングされた機械学習アルゴリズムの損失関数の分析を含む。
【0103】
産業プロセストレーニングデータ生成システム、産業プロセス監視システム、産業プロセストレーニングデータを生成する方法、および産業プロセス監視方法は、特定の詳細な実施形態に関してさらに詳細に説明され、再び図1から図2が参照される。
【0104】
図1は、高忠実度シミュレータを使用したモデルトレーニングおよびトレーニングデータ生成の統合ワークフローの概要を示す。
【0105】
最初に、多数の事前定義されたオペレータ入力値軌跡および外乱軌跡、例えば、プロセスの関連設定値上のステップ変化のセット、またはバルブ故障のようなアクチュエータ故障のアクティブ化もしくは非アクティブ化が存在する。簡単にするために、オペレータ入力値軌跡および外乱軌跡をまとめて入力値軌跡と呼ぶことができる。このような段階的変化実験は、システム同定から周知である。入力値軌跡および外乱軌跡を用いて、シミュレーションデータとともにラベルを作成することができる。シミュレーションにおける外乱の導入からのデータは、異常または故障としてラベル付けされる。システム同定タスクの場合、設定値変更(応答)後のデータは、機械学習プロセスのためのラベル情報として機能する。
【0106】
これらの入力値軌跡は、多数のシミュレーション実行においてプロセスを制御するために使用される。1つのシミュレーション実行は、1つの入力値軌跡に対するシステム挙動および応答を捕捉する。これらのシミュレーション実行の終わりに、初期トレーニングデータセットが作成されている。
【0107】
次のステップでは、機械学習アルゴリズム(ここでのアルゴリズムは、一緒に動作する2つ以上のアルゴリズムを意味することができる)が、損失関数に基づいて基礎となるモデルのパラメータを変更するトレーニングデータを提示されることによってトレーニングされる(機械学習アルゴリズムは、深層学習ネットワーク、線形回帰、ランダムフォレスト、SVMなどに基づくことができることが確立されている)。このステップの終わりに、第1のモデルがトレーニングされている。このステップの間、トレーニングデータセットは、トレーニングデータセットとテスト(ホールドアウト)データセットとに分割されることができる。さらに、トレーニングデータセットは、トレーニングおよび検証データセットに繰り返し分割することができる(交差検証)。
【0108】
次のステップでは、システムは、アルゴリズムへの可能な入力の空間全体に向けて機械学習アルゴリズムの感度を抽出する。1つの方法は、トレーニングセットサンプルまたは検証セットサンプルの両方におけるモデルの損失関数(モデル予測誤差の尺度)を分析することである。しかしながら、これを他の方法でどのように実行できるかが知られている。
【0109】
追加の制約(例えば、設定値の最小値および最大値、またはシステムトリップの閾値)に基づいて、最も有益な新しい入力が生成される。トレーニングまたは検証データセット内の既存のサンプルを使用するとき、新しい入力が生成され、元のデータ点の近傍に入力値軌跡を作成することができる。
【0110】
新たな設定値軌跡および外乱軌跡(入力値軌跡)は、新たなシミュレーション実行のための入力として使用される。これらの実行は新しいデータ点を生成する。第1に、既存のモデルが新しいデータ点でテストされる。(例えば、目標精度、または目標誤検出/検出漏れ率に基づいて)性能が十分に良好である場合、プロセスは終了し、作成された機械学習モデルをオンラインで使用することができる。
【0111】
モデルが十分に良好でない場合、新しいデータ点がトレーニングデータセットに追加され、機械学習モデルは、それを改善するために再トレーニングされる。
【0112】
上記のプロセスの変形では、2つ以上の機械学習モデルをトレーニングすることができるが、機械学習アルゴリズムまたはモデルのグループをトレーニングすることができる。最も有益な点は、全てのモデルにわたって最も有益な点の混合である。(例えば、統計的検定に基づいて)他のモデルよりも著しく劣った結果を生じ続けるモデルは、プロセスから除外することができる。
【0113】
上述したプロセスの別の変形では、トレーニングデータセットは、初期トレーニングのための実際のプラントからの履歴データも含む。
【0114】
図2は、図1に描かれたプロセスへの外部プロセスを示す。ここで、検索プロセスは、非常に単純な機械学習モデル(例えば、ロジスティック回帰または少数の層を有する人工ニューラルネットワーク)から開始する。モデル性能が不十分な精度(または何らかの他の性能尺度)で飽和するか、またはより有益なデータが提示されている間に低下し始めるとき、検索プロセスは、機械学習モデルの事前定義されたリストによって、または追加の自由度をモデルアーキテクチャに追加することによって、例えば層を追加することによって、より複雑なモデルに変化する。また、2つの方法の組み合わせが可能であり、最初に、例えば深層学習ネットワークの所定のクラスの複雑さを増加させ、次いで、より複雑なネットワークアーキテクチャに変化する。
【0115】
上記で詳述したように、機械学習モデルまたはトレーニングデータセットもしくは検証データセット内の個々のサンプルに対する機械学習モデルの性能を使用して新しいシミュレーション入力を決定するワークフローが開発されており、これにより、機械学習モデルにとって非常に有益なシミュレーション実行がもたらされる。新しいデータは、シミュレーションシステムで生成される。既にトレーニングされたアルゴリズムは、新しい、決して見られないデータに対してテストされる。アルゴリズムの性能が十分である場合、プロセスは停止する。性能が十分でない場合、新しいデータがトレーニングデータに追加され、機械学習モデルが再トレーニングされ、プロセスが継続する。
【0116】
産業プロセスモデル生成システム、産業プロセスモデル選択および生成システム、ならびに関係する方法をさらに説明するために、図3から図5を参照する。
【0117】
図3は、既存のシミュレーションワークフローの詳細な例を示す。
産業プロセスのシミュレーションは、2つのタイプの入力を取る:
[1]プロセスのオペレータが行うであろう入力、および[2]シミュレーションにおいてのみ可能であり、実際にはオペレータの制御外である入力、例えば、機器故障、原料品質、外部温度などである。
【0118】
機械学習モデルをトレーニングするためのデータを生成するために、これらの入力の軌跡が、シミュレーションを制御するために定義される必要がある。軌跡は、例えば、「5分で、オペレータがバルブを開く」及び「20分で、バルブが流れの50%を漏洩し始める」ことを規定する。
【0119】
プロセスシミュレータの出力は、プロセス制御システムにおいて通常利用可能な全ての値(設定値、センサ測定値、バルブ位置のようなアクチュエータ値)である。
【0120】
この方法は、例えば、(1)プロセス異常を検出し、(2)デバイス故障を検出し、(3)プロセスの将来の挙動を予測し、(4)最良の可能な次のコントローラ出力を選択するために、機械学習アルゴリズムをトレーニングするために使用される。
【0121】
トレーニングの出力は、新しい以前には見られなかったデータを供給することができ、例えば、タスク(1)から(4)のうちの1つを実行することができるモデルである。
モデルは、(シミュレータバージョンと同じタイプのデータ点を生成する)実際の産業プロセスに接続され、タスクを実行し、対応する出力を生成する。
【0122】
このフローでは、人間が入力軌跡を定義し、MLアルゴリズムの結果(モデルの性能)を検討し、次の反復でどの入力値軌跡を使用するかを決定する。
【0123】
図4は、本発明者らによってなされた開発の詳細な例を示す。
本質的に、新しい開発は、生成されたモデルの最良の改善をどの新しいデータがもたらすかを見出すために、機械学習アルゴリズムによって生成されたモデルを分析することである。
【0124】
モデルが実際のプロセスで使用するのに十分に良好である場合、新しいデータは生成されず、モデルが使用される。
このフローでは、システムまたは方法は、モデルをテストし、モデルを分析し、どの新しい入力値軌跡が次の反復で使用されるかを決定する。
【0125】
図5は、本発明者によってなされたさらなる開発の詳細な例を示す。
拡張は、繰り返されるデータ生成およびトレーニングに加えて、別のループの導入に関連する。
【0126】
モデル受け入れチェックの後、改善チェッカーは、新しいデータをデータセットに追加することによってモデルが依然として改善しているかどうかをテストする。入力に対するモデルの感度を直接分析することによって(感度がすべての入力にわたって低い場合、モデルをさらに改善することはできない)、またはモデルが最後のn個のバージョンにおいてしきい値を超える改善を見たかどうかを単に追跡することによって、これを行うことができる。性能は、F1スコア(分類用)またはRMSE(二乗平均平方根誤差)(回帰用)のような何らかの性能尺度によって測定される。
【0127】
モデルがもはや改善していない(及び感度層の出力に基づいて改善しない)場合、モデルマネージャは、最も単純なMLアルゴリズム(例えば、線形回帰(回帰)又はロジスティック回帰(分類))から開始してより複雑なアルゴリズム(例えば、サポートベクターマシン及びディープラーニング人工ニューラルネットワーク)に向かうアルゴリズムのリストを維持する。MLモデルが改善を停止するたびに、次のより複雑なモデルが選ばれ、トレーニングが再び開始し、常に、その時点で利用可能なすべてのトレーニングデータを開始する。
【0128】
人工ニューラルネットワークの複雑さは、アーキテクチャの複雑さによって決定され、例えば、隠れ層の数及び隠れ層内のノードの数によって測定される。
【0129】
このフローでは、システムまたは方法は、依然としてモデルをテストし、モデルを分析し、どの新しい入力値軌跡が次の反復で使用されるかを決定する。加えて、現在使用されている機械学習アルゴリズムが依然として改善されることが可能であり、必要とされる性能を達成し得るかどうか、またはより複雑なアルゴリズムが使用されるべきであるかどうかを、システムまたは方法は決定する。
【0130】
注意:
最初に最も複雑なアルゴリズムを使用しないのは、それが(基本的にトレーニングデータのためのルックアップテーブルを作成する)トレーニングデータを「オーバーフィット」し、トレーニングデータセットの外側のデータに向けて一般化することができないからである。
【0131】
図3から図5では、異なるコンピュータ、またはそのようなコンピュータの処理ユニットが、異なる機能を実行することができることが示されている。これは事実であり得るが、必要であれば、単一の処理ユニットが全ての異なる機能を実行することもできる。
【0132】
感度分析
機械学習アルゴリズムまたはモデルの感度を分析することに関して、以下は、これに関する3つの例である。
【0133】
機械学習モデルの感度を分析する1つの例は、機械学習モデルが実際の値と最も異なる(この差は予測誤差とも呼ばれる)n個の産業プロセス挙動データを選択することである。モデルの改善を支援する入力値軌跡を生成するために、最大の予測誤差を有するn個の産業プロセス挙動を生成するために使用されたn個の入力値軌跡が、例えば、シミュレーションの初期状態をランダムに変更することによって、または入力値軌跡内の入力値のいくつかをランダムに変更することによって変更される。
【0134】
別の例では、別の機械学習モデルアルゴリズムが、入力値軌跡の初期状態および他の特性を予測変数として使用して、第1の機械アルゴリズムの予測誤差を予測するようにトレーニングされる。この機械学習モデルは、例えば、決定木であることがあり、決定木は、どの入力値軌跡値が現在の機械学習モデルに対して不十分な予測をもたらすかの決定のシーケンスを返す。この情報を使用して、正確にこれらの内容、例えばシミュレーションのための特定の初期状態、特定のタイプのオペレータ入力(例えば設定値変更、手動アクチュエータ変更)、およびこれらの入力のパラメータ(例えば初期設定値および新しい設定値)、または故障タイプを有する新しい入力値軌跡を生成することができる。
【0135】
人工ニューラルネットワークに特有の別の例では、新しい高情報データ点が以下のように生成される:
最適化アルゴリズム(遺伝的アルゴリズム、強化学習アルゴリズム、またはベイズ最適化アルゴリズムなど)は、プロセスシミュレーションシステムを使用して挙動データを生成するために使用される入力値軌跡を生成する。各挙動データに対して、モデルパラメータに関するニューラルネットワーク予測(モデル応答)の導関数(すなわち、感度)は、全トレーニングおよび検証サイクルを受ける必要なく、評価されることができる。これは、短時間で多数の候補点についてこの勾配情報を評価できることを意味する。結果として得られる点は、以下の意味で「高情報」点である:
後続のトレーニングの間、勾配降下型アルゴリズムは、予測誤差が高い場合、すなわち、モデルを改善することができる場合に、より良好な解に向かって大きなステップをとる。
後続のトレーニングの間、勾配降下型アルゴリズムは、予測誤差が低い場合、すなわち、モデルが新たに発見された入力軌跡に良好に一般化される場合、その現在の解の近傍に留まる。
【0136】
したがって、モデル応答の最大化された感度を有する入力軌跡は、モデルに現在のモデルを改善させるかまたは現在のモデルを検証させるかのいずれかである。特別な場合には、人工ニューラルネットワークへの入力(予測変数)が入力値軌跡の一部である情報のみを含み、プロセスシミュレーションの出力(プロセス挙動データ)が出力(予測値)の一部であるとき、プロセスシミュレーションのステップを回避することができ、モデルパラメータに関するニューラルネットワーク予測の導関数(モデル応答)を使用して、多数の候補入力値軌跡を直接評価することができる。この場合、候補入力軌跡を評価する時間はさらに短くなる。
【0137】
本発明について、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明したが、そのような例示及び説明は、例示的又は実例的なものであって限定的なものではないとみなすべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他のバリエーションは、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の参酌から、請求項に記載の発明を実施するにあたり当業者が理解及び達成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】