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特表2023-527238N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形ならびにその調製方法及び使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形ならびにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 235/60 20060101AFI20230620BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230620BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/28 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/27 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20230620BHJP
   A61P 5/50 20060101ALI20230620BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230620BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20230620BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 38/55 20060101ALI20230620BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230620BHJP
   C07C 231/24 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
C07C235/60 CSP
A61K45/00
A61P3/10
A61K38/28
A61K38/26
A61K38/22
A61K38/27
A61K38/21
A61K38/19
A61P5/50
A61P5/00
A61K47/18
A61K9/22
A61P43/00 121
A61K38/55
A61K39/395 N
C07C231/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573605
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2020128050
(87)【国際公開番号】W WO2021238088
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/093306
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520404791
【氏名又は名称】杭州先▲為▼▲達▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王宏▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】江▲師▼月
(72)【発明者】
【氏名】李▲尭▼
(72)【発明者】
【氏名】潘海
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC21
4C076CC30
4C076CC45
4C076DD52
4C076FF03
4C076FF31
4C076FF34
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG05
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA07
4C084BA19
4C084BA44
4C084DA01
4C084DA21
4C084DB01
4C084DB22
4C084DB34
4C084DB35
4C084DC32
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA11
4C084NA13
4C084ZC031
4C084ZC032
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA14
4C085CC23
4C085DD61
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG08
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AD15
4H006BB14
4H006BC51
4H006BJ50
4H006BN30
4H006BS10
4H006BV72
(57)【要約】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を開示する。前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は、少なくとも2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、及び18.89±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形Iである。本願により提供されるN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形は4つの結晶形を有し、溶解度が高く、安定性が高く、薬剤をより効果的に送達し、胃腸管に送達される薬剤の透過性を高め、経口製剤の製造に有利であるので、予防薬及び/または治療薬を体内によりよく送達して、バイオアベイラビリティを改善する効果を達成することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、及び18.89±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形Iである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項2】
前記結晶形Iが少なくとも2θ°:5.24±0.2及び21.59±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項3】
前記結晶形Iが少なくとも2θ°:13.02±0.2及び24.29±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項2に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項4】
前記結晶形Iが少なくとも2θ°:6.61±0.2、10.43±0.2、31.63±0.2、及び37.00±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項3に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項5】
前記結晶形Iの粉末X線回折パターンを図1に示す、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項6】
前記結晶形Iの融点が163.1℃である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項7】
前記結晶形Iの吸着水除去温度が83.6℃である、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項8】
前記結晶形Iが140℃で3.0%減量する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項9】
少なくとも2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、及び20.26±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IIである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項10】
前記結晶形IIが少なくとも2θ°:14.68±0.2及び25.55±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項9に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項11】
前記結晶形IIが少なくとも2θ°:13.41±0.2及び26.66±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する
、ことを特徴とする請求項10に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項12】
前記結晶形IIが少なくとも2θ°:21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2、22.55±0.2、27.79±0.2、及び8.91±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項11に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項13】
前記結晶形IIの粉末X線回折パターンを図3に示す、ことを特徴とする請求項9に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項14】
前記結晶形IIの融点が162.5℃である、ことを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項15】
前記結晶形IIの吸着水除去温度が93℃である、ことを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項16】
前記結晶形IIが140℃で5.6%減量する、ことを特徴とする請求項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項17】
少なくとも2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、及び21.44±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IIIである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項18】
前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:24.75±0.2及び6.03±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項17に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項19】
前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:21.20±0.2及び17.06±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項18に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項20】
前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2、17.91±0.2、15.64±0.2、及び26.49±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項19に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項21】
前記結晶形IIIの粉末X線回折パターンを図5に示す、ことを特徴とする請求項17に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項22】
前記結晶形IIIの融点が162.0℃である、ことを特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項23】
前記結晶形IIIの吸着水除去温度が94.5℃である、ことを特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項24】
前記結晶形IIIが140℃で6.1%減量する、ことを特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項25】
少なくとも2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、及び22.08±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IVである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項26】
前記結晶形IVが少なくとも2θ°:13.16±0.2及び19.39±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項25に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項27】
前記結晶形IVが少なくとも2θ°:18.35±0.2及び9.68±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項26に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項28】
前記結晶形IVが少なくとも2θ°:15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2、19.74±0.2、34.34±0.2、及び18.82±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする請求項27に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項29】
前記結晶形IVの粉末X線回折パターンを図7に示す、ことを特徴とする請求項25に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項30】
前記結晶形IVの融点が163.8℃である、ことを特徴とする請求項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項31】
前記結晶形IVの吸着水除去温度が96.1℃である、ことを特徴とする請求項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項32】
前記結晶形IVが150℃で8.21%減量する、ことを特徴とする請求項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
【請求項33】
反応容器に有機溶媒を加えて攪拌し、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えて均一に攪拌し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、濃縮して粗生成物を得るステップと;
前記粗生成物に有機溶媒を加え、叩解、吸引ろ過後、ろ過ケーキを得、前記ろ過ケーキをすすいだ後、乾燥オーブンで乾燥してN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を得るステップと
を含む、ことを特徴とする前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形の調製方法。
【請求項34】
ろ過ケーキをすすぎ、乾燥オーブンに入れて、乾燥温度60℃~100℃、乾燥時間30~40時間で乾燥し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを得;好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥し、
前記結晶形Iが請求項1~8のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iである、ことを特徴とする請求項33に記載の調製方法。
【請求項35】
前記ろ過ケーキを均一な顆粒に調製し、前記顆粒を前記乾燥オーブンに入れて乾燥し、乾燥した顆粒を2~8℃の低温環境で均一に広がらせ、50%に制御された相対湿度に2日間置いてN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIを形成し、
前記顆粒が入れられた前記乾燥オーブンの乾燥温度は60℃~100℃であり、乾燥時間は30~40時間であり、
好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥し、前記ろ過ケーキを20~24メッシュの篩にかけて均一な粒子を得、
前記結晶形IIIが請求項17~24のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIである、ことを特徴とする請求項33に記載の調製方法。
【請求項36】
前記有機溶媒がイソプロパノールまたはアセトンであり、前記水酸化カリウム溶液の濃度が40%~90%であり、好ましくは前記水酸化カリウムの溶液濃度が50%である、ことを特徴とする請求項33~35のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項37】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃以上に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、0.5~2時間保温して反応させ、
好ましくは、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃~52℃に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、1時間保温して反応させ、
前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸と水酸化カリウム溶液の添加モル比が1:1であり、
前記粗生成物に有機溶媒を加えて0.5~1.5時間、好ましくは1時間叩解する、ことを特徴とする請求項33~35のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項38】
結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を少なくとも75℃以上に加熱して、結晶形Iを形成し、
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ
以上であり、
結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を窒素の保護下で75℃以上に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの調製方法。
【請求項39】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを窒素の保護下で140℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とする請求項38に記載の調製方法。
【請求項40】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVを窒素の保護下で110℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とする請求項38に記載の調製方法。
【請求項41】
結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を凍結乾燥して結晶形Iを形成し、
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上であり、
前記結晶形Iが請求項1~8のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの調製方法。
【請求項42】
結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を室温条件で0~60%の相対湿度を持つ環境に24時間以上さらして、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを形成する、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIの調製方法。
【請求項43】
前記相対湿度が20%、30%、40%、60%の環境であり、
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上であり、
前記結晶形IIは、請求項9~16のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIである、ことを特徴とする請求項42に記載の調製方法。
【請求項44】
結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を、80%を超える相対湿度環境でゲル状物質を形成するステップ、
前記ゲル状物質を室温条件で20~40%の相対湿度を持つ環境に120時間以上さらして結晶形IVを形成するステップを含み、
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形II及び結晶形IIIの少なくとも1つまたは2つ以上であり、
前記結晶形IVは、請求項25~32のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVの調製方法。
【請求項45】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を含む医薬組成物であって、
前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は、結晶形I、結晶形II、結晶形III、及び結晶形IVの1つまたは少なくとも2つである、ことを特徴とする前記医薬組成物。
【請求項46】
前記医薬組成物は、予防及び/または治療薬をさらに含み、
前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は(20~60):1であり、好ましくは、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は30:1である、ことを特徴とする請求項45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記予防及び/または治療薬は、グルカゴン様ペプチド-1、インスリン、PYY、ヒトアミリン、ヘパリン、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、モノクローナル抗体、プロテアーゼ阻害剤、トロンボポエチンである、ことを特徴とする請求項46に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本出願は化学医薬の分野に関し、具体的には、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形ならびにその調製方法及び使用に関する。
【0002】
[背景技術]
ペプチドやタンパク医薬品などの高分子医薬品は、分子量が大きく、脂溶性が低く、胃酸に対して不安定であり、消化管内のさまざまな消化酵素によって破壊される可能性があるため、経口投与では腸管にスムーズに進入して吸収することができない。上記の問題に対応して、人々は多くの方法で薬物吸収障壁を克服しようとしており、剤形でのいくつかの試みに加えて、薬物のバイオフィルム透過性を改善するために胃腸吸収促進剤を使用することが多く、薬物の吸収を増加させたが、腸内毒素の吸収も増加し、長期使用には安全性が欠けている。
【0003】
1997年に公開された米国特許第5,650,386号には、新規の高分子薬物送達剤であるN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸(NACと略称)及びその塩が開示されており、その分子式は式(I)に示される通りである。特に、2009年に開示された米国特許第8,636,996号には、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]カプリル酸モノナトリウム(SNACと略称)の結晶多形、非晶質形態及びその調製方法が開示されており、その分子式は式(II)に示される通りである。
【化1】
【0004】
SNACは、新規のアミノ酸誘導体送達剤である。最近の研究では、剤形保護なしでヘパリンやヒト成長ホルモンなどのさまざまなタンパク質薬液の経口吸収を促進できることが示されているが、明らかな細胞毒性は示されていない。化合物の異なる塩形態のバイオアベイラビリティ、溶解度、及び流動性も異なる。同じ塩形の異なる結晶形は、結晶形状、密度、硬度、色、化学的安定性、融点、吸湿性、懸濁性、及び溶解速度などの異なる特性を持ち、薬物の送達能力に直接的または間接的に影響し、送達された薬物のバイオアベイラビリティ、圧縮性、及び安定性に違いをもたらす。
【0005】
[発明の概要]
本出願の目的は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形ならびにその調製方法及び使用、医薬組成物及びその使用を提供することである。
【0006】
本出願の技術案は次の通りである。
1、少なくとも2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、及び18.89±0
.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形Iである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
2、前記結晶形Iが少なくとも2θ°:5.24±0.2及び21.59±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項1に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
3、前記結晶形Iが少なくとも2θ°:13.02±0.2及び24.29±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項2に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
4、前記結晶形Iが少なくとも2θ°:6.61±0.2、10.43±0.2、31.63±0.2、及び37.00±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項3に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
5、前記結晶形Iの粉末X線回折パターンを図1に示す、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
6、前記結晶形Iの融点が163.1℃である、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
7、前記結晶形Iの吸着水除去温度が83.6℃である、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
8、前記結晶形Iが140℃で3.0%減量(重量損失)する、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
9、少なくとも2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、及び20.26±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IIである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
10、前記結晶形IIが少なくとも2θ°:14.68±0.2及び25.55±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項9に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
11、前記結晶形IIが少なくとも2θ°:13.41±0.2及び26.66±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項10に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
12、前記結晶形IIが少なくとも2θ°:21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2、22.55±0.2、27.79±0.2、及び8.91±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項11に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
13、前記結晶形IIの粉末X線回折パターンを図3に示す、ことを特徴とする項9に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
14、前記結晶形IIの融点が162.5℃である、ことを特徴とする項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウ
ムの結晶多形。
15、前記結晶形IIの吸着水除去温度が93℃である、ことを特徴とする項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
16、前記結晶形IIが140℃で5.6%減量する、ことを特徴とする項9~13のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
17、少なくとも2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、及び21.44±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IIIである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
18、前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:24.75±0.2及び6.03±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項17に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
19、前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:21.20±0.2及び17.06±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項18に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
20、前記結晶形IIIが少なくとも2θ°:21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2、17.91±0.2、15.64±0.2、及び26.49±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項19に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
21、前記結晶形IIIの粉末X線回折パターンを図5に示す、ことを特徴とする項17に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
22、前記結晶形IIIの融点が162.0℃である、ことを特徴とする項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
23、前記結晶形IIIの吸着水除去温度が94.5℃である、ことを特徴とする項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
24、前記結晶形IIIが140℃で6.1%減量する、ことを特徴とする項17~21のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
25、少なくとも2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、及び22.08±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する結晶形IVである、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
26、前記結晶形IVが少なくとも2θ°:13.16±0.2及び19.39±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項25に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
27、前記結晶形IVが少なくとも2θ°:18.35±0.2及び9.68±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項26に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
28、前記結晶形IVが少なくとも2θ°:15.92±0.2、11.71±0.2
、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2、19.74±0.2、34.34±0.2、及び18.82±0.2のうちの1つによって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンをさらに有する、ことを特徴とする項27に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
29、前記結晶形IVの粉末X線回折パターンを図7に示す、ことを特徴とする項25に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
30、前記結晶形IVの融点が163.8℃である、ことを特徴とする項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
31、前記結晶形IVの吸着水除去温度が96.1℃である、ことを特徴とする項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
32、前記結晶形IVが150℃で8.21%減量する、ことを特徴とする項25~29のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形。
33、反応容器に有機溶媒を加えて攪拌し、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えて均一に攪拌し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、濃縮して粗生成物を得るステップと、
前記粗生成物に有機溶媒を加え、叩解(beating)、吸引ろ過後、ろ過ケーキを得、前記ろ過ケーキをすすいだ後、乾燥オーブンで乾燥してN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を得るステップと
を含む、ことを特徴とする前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形の調製方法。
34、前記ろ過ケーキをすすぎ、乾燥オーブンに入れて、乾燥温度60℃~100℃、乾燥時間30~40時間で乾燥し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを得;好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥し、
前記結晶形Iが項1~8のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iである、ことを特徴とする項33に記載の調製方法。
35、前記ろ過ケーキを均一な顆粒に調製し、前記顆粒を前記乾燥オーブンに入れて乾燥し、乾燥した顆粒を2~8℃の低温環境で均一に広がらせ、50%に制御された相対湿度に2日間置いてN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIを形成する、ことを特徴とする項33に記載の調製方法。
36、前記顆粒が入れられた前記乾燥オーブンの乾燥温度は60℃~100℃であり、乾燥時間は30~40時間であり、好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥する、ことを特徴とする項35に記載の調製方法。
37、前記ろ過ケーキを20~24メッシュの篩にかけて均一な粒子を得、
前記結晶形IIIが項17~24のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIである、ことを特徴とする項35に記載の調製方法。
38、前記有機溶媒がイソプロパノールまたはアセトンである、ことを特徴とする項33~37のいずれか一項に記載の調製方法。
39、前記水酸化カリウム溶液の濃度が40%~90%であり、好ましくは前記水酸化カリウムの溶液濃度が50%である、ことを特徴とする項33~37のいずれか一項に記載の調製方法。
40、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内
を48℃以上に昇温させ、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、0.5~2時間保温して反応させ、
好ましくは、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃~52℃に昇温させ、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、1時間保温して反応させる、ことを特徴とする項33~37のいずれか一項に記載の調製方法。
41、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸と水酸化カリウム溶液の添加モル比が1:1である、ことを特徴とする項33~37のいずれか一項に記載の調製方法。
42、前記粗生成物に有機溶媒を加えて0.5~1.5時間、好ましくは1時間叩解する、ことを特徴とする項33~37のいずれか一項に記載の調製方法。
43、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を少なくとも75℃以上に加熱して、結晶形Iを形成する、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの調製方法。
44、前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする項43に記載の調製方法。
45、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を窒素の保護下で75℃以上に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とする項43に記載の調製方法。
46、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを窒素の保護下で140℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とする項43に記載の調製方法。
47、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVを窒素の保護下で110℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する、ことを特徴とする項43に記載の調製方法。
48、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を凍結乾燥して結晶形Iを形成する、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの調製方法。
49、前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする項48に記載の調製方法。
50、前記結晶形Iが項1~8のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iである、ことを特徴とする項43~49のいずれか一項に記載の調製方法。
51、結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を室温条件で0~60%の相対湿度を持つ環境に24時間以上さらして、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを形成する、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIの調製方法。
52、前記相対湿度が20%、30%、40%、60%の環境である、ことを特徴とする項51に記載の調製方法。
53、前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする項51に記載の調製方法。
54、前記結晶形IIは、項9~16のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIである、ことを特徴とする項
51~53のいずれか一項に記載の調製方法。
55、結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を、80%を超える相対湿度環境でゲル状物質を形成するステップと、
前記ゲル状物質を室温条件で20~40%の相対湿度を持つ環境に120時間以上さらして結晶形IVを形成するステップとを含む、ことを特徴とするN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVの調製方法。
56、前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形II及び結晶形IIIの少なくとも1つまたは2つ以上である、ことを特徴とする項55に記載の調製方法。
57、前記ゲル状物質を20%、30%、または40%の相対湿度を持つ環境にさらし、好ましくは、前記ゲル状物質を40%の相対湿度を持つ環境にさらす、ことを特徴とする項55に記載の調製方法。
58、前記結晶形IVは、項25~32のいずれか一項に記載のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVである、ことを特徴とする項55~57のいずれか一項に記載の調製方法。
59、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を含むことを特徴とする医薬組成物。
60、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は、結晶形I、結晶形II、結晶形III、及び結晶形IVの1つまたは少なくとも2つである、ことを特徴とする項59に記載の医薬組成物。
61、前記医薬組成物は、予防及び/または治療薬をさらに含む、ことを特徴とする項59または60に記載の医薬組成物。
62、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は(20~60):1であり、好ましくは、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は30:1である、ことを特徴とする項61に記載の医薬組成物。
63、前記予防及び/または治療薬は、グルカゴン様ペプチド-1、インスリン、PYY、ヒトアミリン、ヘパリン、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、モノクローナル抗体、プロテアーゼ阻害剤、やトロンボポエチンである、ことを特徴とする項62に記載の医薬組成物。
64、予防及び/または治療薬の調製における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用。
65、薬物送達の促進における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用。
66、糖尿病もしくは糖尿病合併症の予防及び/または治療、または減量(ダイエット)のための薬剤の調製における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用。
【0007】
本出願により提供されるN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形は4つの結晶形を有し、溶解度が高く、安定性が高く、薬剤をより効果的に送達し、胃腸管に送達される薬剤の透過性を高め、経口製剤の製造に有利であるので、予防薬及び/または治療薬を体内によりよく送達して、バイオアベイラビリティを改善する効果を達成することができる。
【0008】
添付の図面は、本出願をよりよく理解するために使用され、本出願の不適切な限定を構成するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1で調製されたPNACの結晶形Iの粉末X線回折パターン(粉末X線回折スペクトル)である。
図2a】実施例1で調製されたPNACの結晶形IのDSCチャートである。
図2b】実施例1で調製されたPNACの結晶形IのTGA図である。
図3】実施例2で調製したPNACの結晶形IIの粉末X線回折パターンである。
図4a】実施例2で調製されたPNACの結晶形IIのDSCチャートである。
図4b】実施例2で調製されたPNACの結晶形IIのTGA図である。
図5】実施例3で調製されたPNACの結晶形IIIの粉末X線回折パターンである。
図6a】実施例3で調製されたPNACの結晶形IIIのDSCチャートである。
図6b】実施例3で調製されたPNACの結晶形IIIのTGA図である。
図7】実施例4で調製されたPNACの結晶形IVの粉末X線回折パターンである。
図8a】実施例4で調製されたPNACの結晶形IVのDSCチャートである。
図8b】実施例4で調製されたPNACの結晶形IVのTGA図である。
図9】静脈内投与群における血中薬物濃度-投与時間の推移図である。
図10】各経口投与群の血中薬物濃度-投与時間の推移図である。
図11】結晶形IIの固体安定性実験のXRPDスペクトルである。
図12】結晶形IIの研磨実験前後のXRPDスペクトルである。
図13】結晶形IIの打錠実験前後のXRPDスペクトルである。
図14】結晶形IIのジェットミリング実験前後のXRPDスペクトルである。
図15】結晶形Iの固体安定性実験のXRPDスペクトルである。
図16】結晶形Iの打錠実験前後のXRPDスペクトルである。
図17】結晶形Iのジェットミリング実験前後のXRPDスペクトルである。
図18】結晶形Iの研磨実験前後のXRPDスペクトルである。
図19】静脈内投与群における血中薬物濃度-投与時間の推移図である。
図20】各経口投与群における血中薬物濃度-投与時間の推移図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願の例示的な実施形態は、理解を容易にするために本出願の実施形態の様々な詳細を含む添付の図面と併せて以下に説明され、それらは単なる例示と見なされるべきである。したがって、当業者は、本願の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態のさまざまな変更及び修正を行うことができることを認識するであろう。本明細書の定義と矛盾しない場合、本明細書の用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するが、矛盾がある場合、本明細書の定義が優先するものとする。
【0011】
N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム(PNACと略称)は、式(III)に示される:
【化2】
【0012】
粉末X線回折
粉末X線回折(X-Ray Powder Diffraction、XRPD)は、通常、結晶構造の解析に適用される。X線は電磁波の一種であり、結晶に入射すると結晶
内に周期的に変化する電磁界を発生させる。原子内の電子と原子核を振動させ、原子核の質量は非常に大きいため、その振動は無視できる。振動している電子は、二次X線の波動源であり、その波長と位相が入射光と同じである。結晶構造の周期性に基づいて、結晶内の各電子の散乱波が互いに干渉して重畳することを回折と呼ぶ。散乱波の位相が一致して強め合う方向を回折方向と呼び、回折線が発生する。
機器モデル:PANalytical Empyrean及びX’Pert3粉末線回折分析装置;
射線:単色Cu-Kα射線(λ=1.5406);
スキャンモード:θ/2θ、スキャン範囲:2~40°;
電圧:40KV、電流:40mA。
【0013】
熱重量分析
熱重量分析(Thermogravimetric Analysis,TGA)とは、プログラム制御された温度下で、テスト対象のサンプルの質量と温度変化との関係を測定する熱分析技術を指し、材料の熱安定性と組成を研究するために使用される。TGAは、研究開発及び品質管理で一般的に使用される検出方法である。熱重量分析は、実際の材料分析において他の分析方法と組み合わせて使用されることが多く、包括的な熱分析を行い、材料を全面的かつ正確に分析する。熱重量分析装置によって記録された曲線は、TGA曲線と呼ばれる。
装置モデル:TA Q5000/Discovery 5500;
パージガス:窒素;
加熱方法:線形昇温;
温度範囲:室温~350℃。
【0014】
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry,DSC)とは、温度プログラムの制御下で、参照物質に対するサンプルの熱流(ヒートフロー)を温度または時間の関数として測定する技術である。示差走査熱量計で記録された曲線はDSC曲線と呼ばれ、一般にW/gまたはmW/mg(つまり、サンプル1グラムあたりに流れる出力電力)を縦軸に、温度Tまたは時間tを横軸にとり、比熱容量、反応熱、遷移熱、相図、反応速度、結晶化速度、高分子結晶化度、サンプル純度など、さまざまな熱力学的及び動力学的パラメーターを測定できる。この方法は、使用する温度範囲が広く(-175~725℃)、分解能が高く、サンプル消費量が少ない。無機物、有機化合物、及び薬物の分析に適している。
機器モデル:TAQ2000/Discovery 2500;
パージガス:窒素;
加熱方法:線形昇温;
温度範囲:25~300℃。
【0015】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を提供し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は結晶形Iであり、前記結晶形Iは、少なくとも2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、及び18.89±0.2によって表される特徴的なピークを持つ粉末X線回折パターンを有する。
【0016】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0017】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、1
8.89±0.2、21.59±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0018】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0019】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、24.29±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0020】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0021】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2、24.29±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0022】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2、24.29±0.2、6.61±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0023】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2、24.29±0.2、6.61±0.2、10.43±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0024】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2、24.29±0.2、6.61±0.2、10.43±0.2、31.63±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0025】
本願において、前記結晶形Iは、2θ°:7.83±0.2、26.64±0.2、18.89±0.2、5.24±0.2、21.59±0.2、13.02±0.2、24.29±0.2、6.61±0.2、10.43±0.2、31.63±0.2、37.00±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0026】
本願において、前記結晶形Iの粉末X線回折パターンを図1に示す。
【0027】
本願において、結晶形Iの融点が163.1℃である。
【0028】
本願において、結晶形Iの吸着水除去温度が83.6℃である。
【0029】
本願において、結晶形Iが140℃で3.0%減量する。
【0030】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を提供し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウ
ムの結晶多形は結晶形IIであり、前記結晶形IIは、少なくとも2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、及び20.26±0.2によって表される特徴的なピークを持つ粉末X線回折パターンを有する。
【0031】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0032】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、25.55±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0033】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0034】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0035】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、26.66±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0036】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0037】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0038】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0039】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0040】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0041】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0042】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0043】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0044】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2、22.55±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0045】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2、22.55±0.2、27.79±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0046】
本願において、前記結晶形IIは、2θ°:24.76±0.2、6.73±0.2、20.26±0.2、14.68±0.2、25.55±0.2、13.41±0.2、26.66±0.2、21.08±0.2、25.79±0.2、28.47±0.2、12.07±0.2、15.38±0.2、23.38±0.2、29.48±0.2、22.55±0.2、27.79±0.2、8.91±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0047】
本願において、前記結晶形IIの粉末X線回折パターンを図3に示す。
【0048】
本願において、結晶形IIの融点が162.5℃である。
【0049】
本願において、結晶形IIの吸着水除去温度が93℃である。
【0050】
本願において、結晶形IIが140℃で5.6%減量する。
【0051】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を提供し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は結晶形IIIであり、前記結晶形IIIは、少なくとも2θ°:9.06
±0.2、23.30±0.2、及び21.44±0.2によって表される特徴的なピークを持つ粉末X線回折パターンを有する。
【0052】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0053】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、6.03±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0054】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0055】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0056】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、17.06±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0057】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0058】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0059】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0060】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0061】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0062】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2
、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0063】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0064】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0065】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2、17.91±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0066】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2、17.91±0.2、15.64±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0067】
本願において、前記結晶形IIIは、2θ°:9.06±0.2、23.30±0.2、21.44±0.2、24.75±0.2、6.03±0.2、21.20±0.2、17.06±0.2、21.75±0.2、29.52±0.2、22.15±0.2、15.11±0.2、28.47±0.2、22.54±0.2、30.71±0.2、17.91±0.2、15.64±0.2、26.49±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0068】
本願において、前記結晶形IIIの粉末X線回折パターンを図5に示す。
【0069】
本願において、結晶形IIIの融点が162.0℃である。
【0070】
本願において、結晶形IIIの吸着水除去温度が94.5℃である。
【0071】
本願において、結晶形IIIが140℃で6.1%減量する。
【0072】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を提供し、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は結晶形IVであり、前記結晶形IVは、少なくとも2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、及び22.08±0.2によって表される特徴的なピークを持
つ粉末X線回折パターンを有する。
【0073】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0074】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、19.39±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0075】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0076】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0077】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、9.68±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0078】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0079】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0080】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0081】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0082】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0083】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9
.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0084】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0085】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0086】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2、19.74±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0087】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2、19.74±0.2、34.34±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0088】
本願において、前記結晶形IVは、2θ°:16.25±0.2、6.8±0.2、22.08±0.2、13.16±0.2、19.39±0.2、18.35±0.2、9.68±0.2、15.92±0.2、11.71±0.2、29.91±0.2、23.04±0.2、16.56±0.2、23.5±0.2、27.31±0.2、19.74±0.2、34.34±0.2、18.82±0.2によって表される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0089】
本願において、前記結晶形IVの粉末X線回折パターンを図7に示す。
【0090】
本願において、結晶形IVの融点が163.8℃である。
【0091】
本願において、結晶形IVの吸着水除去温度が96.1℃である。
【0092】
本願において、結晶形IVが150℃で8.21%減量する。
【0093】
本願で提供されるPNACの結晶形I~IVはすべて、良好な溶解性、バイオアベイラビリティ及び固体安定性を有し、特に結晶形I及び結晶形IIのバイオアベイラビリティ及び固体安定性はより優れている。
【0094】
本願は、次のステップ:
ステップ1:反応容器に有機溶媒を加えて攪拌し、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾ
イル)アミノ]オクタン酸を加えて均一に攪拌し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、濃縮して粗生成物を得るステップ;及び
ステップ2:前記粗生成物に有機溶媒を加え、叩解、吸引ろ過後、ろ過ケーキを得、前記ろ過ケーキをすすいだ後、乾燥オーブンで60℃~100℃の乾燥温度で30~40時間乾燥してN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを得るステップ
を含む、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの調製方法を提供する。
【0095】
前記乾燥温度は、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃であってもよい。前記乾燥時間は、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間であってもよい。
【0096】
好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥する。
【0097】
本願において、前記有機溶媒がイソプロパノールまたはアセトンである。
【0098】
本願において、前記水酸化カリウム溶液の濃度が40%~90%であり、好ましくは前記水酸化カリウムの溶液濃度が50%である。
【0099】
前記水酸化カリウム溶液の濃度は、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%であり得る。
【0100】
本願において、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃以上に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、48℃以上の温度を保ちながら0.5~2時間反応させる。
【0101】
好ましくは、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃~52℃に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、48℃~52℃の温度を保ちながら1時間反応させる。
【0102】
前記系内温度は、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃であってもよい。
【0103】
保温反応の時間は、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、2時間であってもよい。
【0104】
本願において、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸と水酸化カリウムのモル比が1:1である。
【0105】
本願において、前記粗生成物に有機溶媒を加えて叩解する時間は0.5~1.5時間、好ましくは1時間である。
【0106】
前記粗生成物に有機溶媒を加えて叩解する時間は、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、2時間であってもよい。
【0107】
本願は、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を少なくとも75℃以上に加熱して結晶形Iを形成する、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの2つ目の調製方法を提供する。
【0108】
本願において、前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である。
【0109】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IIであってもよい。
【0110】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IIIであってもよい。
【0111】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IVであってもよい。
【0112】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II及び結晶形IIIであってもよい。
【0113】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II及び結晶形IVであってもよい。
【0114】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形III及び結晶形IVであってもよい。
【0115】
前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVであってもよい。
【0116】
本願において、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を窒素の保護下で75℃以上に0~300分間加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する。
【0117】
前記加熱温度は110~140℃が好ましい。前記加熱温度は、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃であってもよい。
【0118】
前記加熱時間は、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、60分間、65分間、70分間、75分間、80分間、85分間、90分間、95分間、100分間、105分間、110分間、115分間、120分間、125分間、130分間、135分間、140分間、145分間、150分間、155分間、160分間、165分間、170分間、175分間、180分間、185分間、190分間、195分間、200分間、205分間、210分間、210分間、220分間、225分間、230分間、235分間、240分間、245分間、250分間、255分間、260分間、265分間、270分間、275分間、280分間、285分間、290分間、295分間、300分間であってもよい。
【0119】
本願において、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを窒素の保護下で140℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾ
イル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する。
【0120】
本願において、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVを窒素の保護下で110℃に加熱して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを形成する。
【0121】
本願は、結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を凍結乾燥して結晶形Iを形成する、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iの3つ目の調製方法を提供する。
【0122】
本願において、前記結晶形I以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である。
【0123】
本願は、次のステップ:
ステップ1:反応容器に有機溶媒を加えて攪拌し、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えて均一に攪拌し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、濃縮して粗生成物を得るステップ;及び
ステップ2:前記粗生成物に有機溶媒を加え、叩解、吸引ろ過後、ろ過ケーキを得、前記ろ過ケーキを均一な顆粒に調製し、前記顆粒を前記乾燥オーブンに入れて乾燥し、乾燥した顆粒を2~8℃の低温環境で均一に広がらせ、50%に制御された相対湿度に2日間置いてN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIを形成するステップ
を含む、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIの調製方法を提供する。
【0124】
本願において、前記ろ過ケーキを20~24メッシュの篩にかけて均一な粒子を得る。
【0125】
本願において、前記乾燥温度は60℃~100℃であり、乾燥時間は30~40時間である。好ましくは、前記乾燥温度は、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃であってもよい。前記乾燥時間は、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間であってもよい。
【0126】
好ましくは、前記乾燥を二段階に分け、まず60℃で16時間乾燥し、次いでシステムを窒素で置換した後、100℃で24時間乾燥する。
【0127】
本願において、前記有機溶媒がイソプロパノールまたはアセトンである。
【0128】
本願において、前記水酸化カリウム溶液の濃度が40%~90%であり、好ましくは前記水酸化カリウムの溶液濃度が50%である。
【0129】
前記水酸化カリウム溶液の濃度は、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%であり得る。
【0130】
本願において、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後、系内を48℃以上に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、48℃以上の温度を保ちながら0.5~2時間反応させる。
【0131】
好ましくは、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸を加えた後
、系内を48℃~52℃に昇温し、水酸化カリウム溶液を滴下し、滴下終了後、48℃~52℃の温度を保ちながら1時間反応させる。
【0132】
前記系内温度は、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃であってもよい。
【0133】
温度保持反応の時間は、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、2時間であってもよい。
【0134】
本願において、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸と水酸化カリウムのモル比が1:1である。
【0135】
本願において、前記粗生成物に有機溶媒を加えて叩解する時間は0.5~1.5時間、好ましくは1時間である。
【0136】
前記粗生成物に有機溶媒を加えて叩解する時間は、0.5時間、0.6時間、0.7時間、0.8時間、0.9時間、1時間、1.1時間、1.2時間、1.3時間、1.4時間、1.5時間、1.6時間、1.7時間、1.8時間、1.9時間、2時間であってもよい。
【0137】
本願は、結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を室温条件で0~60%の相対湿度を持つ環境に24時間以上さらして、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを形成する、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIの調製方法を提供する。
【0138】
本願において、前記相対湿度が20%、30%、40%、60%の環境である。
【0139】
本願において、前記N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを形成する時間は、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間などであり得る。
【0140】
本願において、前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である。
【0141】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形Iであってもよい。
【0142】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IIIであってもよい。
【0143】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IVであってもよい。
【0144】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I及び結晶形IIIであってもよい。
【0145】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I及び結晶形IVであってもよい。
【0146】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形III及び結晶形IVであってもよい。
【0147】
前記結晶形II以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形III、及び結晶形IVであってもよい。
【0148】
本願は、
結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形を、80%を超える相対湿度環境でゲル状物質を形成するステップと、
前記ゲル状物質を室温条件で20~40%の相対湿度環境に120時間以上さらして結晶形IVを形成するステップと
を含む、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVの調製方法を提供する。
【0149】
本願において、前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形II及び結晶形IIIの少なくとも1つまたは2つ以上である。
【0150】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形Iであってもよい。
【0151】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IIであってもよい。
【0152】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形IIIであってもよい。
【0153】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I及び結晶形IIIであってもよい。
【0154】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I及び結晶形IIであってもよい。
【0155】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形III及び結晶形IIであってもよい。
【0156】
前記結晶形IV以外のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形は、結晶形I、結晶形II、及び結晶形IIIであってもよい。
【0157】
本願において、前記ゲル状物質を、20%、30%、または40%の相対湿度を持つ環境でさらし、好ましくは、前記ゲル状物質を40%の相対湿度を持つ環境でさらす。
【0158】
本願において、結晶形IV以外の結晶形を、80%を超える相対湿度環境で少なくとも2日間以上放置してゲル状物質を形成する。前記放置時間は、48時間、50時間、55時間、60時間、65時間、72時間などであってもよい。
【0159】
前記ゲル状物質を室温条件で20~40%の相対湿度を持つ環境にさらし、結晶形IVを形成する時間は、120時間、121時間、122時間、123時間、124時間、125時間、126時間、127時間、128時間、129時間、130時間、131時間、132時間、133時間、134時間、135時間、136時間、137時間、138時間、139時間、140時間などであってもよい。
【0160】
本願は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形を含む医薬組成物を提供する。
【0161】
前記医薬組成物は、予防及び/または治療薬をさらに含み、前記予防及び/または治療薬は、グルカゴン様ペプチド-1(単にGLP-1という)、インスリン、PYY、ヒトアミリン、ヘパリン、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、モノクローナル抗体、プロテアーゼ阻害剤、及び/またはトロンボポエチンであり得る。
【0162】
本願において、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形は、結晶形I、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの少なくとも1つまたは2つ以上である。
【0163】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形Iを含む。
【0164】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIを含む。
【0165】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IIIを含む。
【0166】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形IVを含む。
【0167】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I及び結晶形IIを含む。
【0168】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I及び結晶形IIIを含む。
【0169】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I及び結晶形IVを含む。
【0170】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形II及び結晶形IIIを含む。
【0171】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形II及び結晶形IVを含む。
【0172】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形III及び結晶形IVを含む。
【0173】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I、結晶形II、及び結晶形IIIを含む。
【0174】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形II、結晶形III、及び結晶形IVを含む。
【0175】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I、結晶形III、及び結晶形IVを含む。
【0176】
前記医薬組成物は、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶形I、結晶形II、結晶形III、及び結晶形IVを含む。
【0177】
本願において、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は(20~60):1であってもよい。
【0178】
本願において、前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は30:1であってもよい。
【0179】
前記医薬組成物中のN-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウム結晶多形と前記予防及び/又は治療薬の重量比は、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1、41:1、42:1、43:1、44:1、45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1、51:1、52:1、53:1、54:1、55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、60:1であり得る。
【0180】
前記医薬組成物は錠剤であり得る。
【0181】
本願は、予防及び/または治療薬の調製における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0182】
本願は、薬物送達の促進における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0183】
本願は、糖尿病もしくは糖尿病合併症の予防及び/または治療のための薬剤の調製における、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸カリウムの結晶多形またはその医薬組成物の使用を提供する。
【0184】
予防及び/または治療薬
予防及び/または治療薬とは、使用されることにより、(疾患などの)状態、疾患の症状、または疾患に対する感受性を回避、治癒、軽減、緩和、変化、治療、改善、改良、または影響を与える目的を達成できる薬剤を指す。
【0185】
予防及び/または治療薬は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ホルモン、多糖類、ムコ多糖類、及びムコ多糖類の特定の混合物、炭水化物、脂質、極性有機小分子(すなわち、500ダルトン以下の分子量を有する極性有機分子)、その他の有機化合物、及びそれ自体が胃腸粘膜を通過しない(投与された用量の一部のみが通過する)及び/または胃腸管内の酸及び酵素活性による切断に敏感な特定の化合物、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0186】
予防及び/または治療薬は、ヒト成長ホルモン(hGH)、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)、ウシ成長ホルモン(hGH)、ウシ及びブタ成長ホルモンを含む、成長ホルモン;成長ホルモン放出ホルモン;成長ホルモン放出因子(例えば、GRF類縁体g);アルファ、ベータ、及びガンマを含むインターフェロン;インターロイキン1;インターロイキン2;ブタ、ウシ、ヒトインスリン、及びヒト組み換えインスリンを含み、亜鉛、ナトリウム、カルシウム、及びアンモニウムなどの対イオンを含んでいてもよいインスリン;IGF-1を含むインスリン様成長因子;未分画ヘパリン、ヘパリン類似体、デルマタン、コンドロイチン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン、及び超低分子量ヘパリンを含むヘパリン;サケ、ウナギ、ブタ、及びヒトカルシトニンを含むカルシトニン;エリスロポエチン;心房性ナトリウム利尿ペプチド;抗原;モノクローナル抗体;ソマトスタチン;プロテアーゼ阻害剤;コルチコトロピン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン;オキシトシン;黄体形成ホルモン-放出ホルモン;卵胞刺激ホルモン;グルコセレブロシダーゼ;トロンボポエチン;フィルグラスチム;プロスタグランジン;シクロスポリン;バソプレシン;クロモリンナトリウム(クロモグリク酸ナトリウムまたはクロモグリク酸二ナトリウム(disodium chromoglycate));バンコマイシン;デフェロキサミン(DFO);イバンドロネート、アレンドロネート、チルドロネート、エチドロネート、クロドロネート、パミドロネート、オパドロネート、及びイカドロネートの酸塩、ならびにそれらの薬学的に許容される塩(例えば、イバンドロネートナトリウム)を含むビスホスホネート;ガリウム塩(硝酸ガリウム、硝酸ガリウム九水和物、マルトレートガリウム(gallium maltolate)など);アシクロビル及びその薬学的に許容される塩(アシクロビルナトリウムなど);副甲状腺ホルモン(PTH)(そのフラグメントを含む);BIBN-4096BS及び他のカルシトニン遺伝子関連タンパク質アンタゴニストなどの抗片頭痛薬;抗生物質(ダプトマイシンを含む、グラム陽性菌に作用する殺菌剤、リポペプチド及び環状ペプチド抗生物質を含む)、抗菌剤及び抗真菌剤を含む抗微生物剤;ビタミン;これらの化合物の類縁体、フラグメント、模倣物またはポリエチレングリコール(PEG)修飾誘導体;またはそれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されず、それらの合成、天然または組換え起源を含む。
【0187】
本願で好ましい薬剤は、経口投与では腸管に入りにくく、吸収し難いポリペプチド及びタンパク質薬剤であり、一般的な薬剤には、インスリン、モノクローナル抗体、ヘパリン、グルカゴン様ペプチド、PYY、ヒトアミリン、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、プロテアーゼ阻害剤、トロンボポエチンなどがあり、それらの類縁体、フラグメント、模倣体、及びポリエチレングリコール修飾誘導体を含む。
【0188】
インスリン
インスリンは、グルコース、ラクトース、リボース、アルギニン、及びグルカゴンなどの内因性または外因性の物質によって刺激されると、膵臓の膵島β細胞によって分泌されるタンパク質ホルモンである。インスリンは、体内で血糖値を下げる唯一のホルモンであり、同時にグリコーゲン、脂肪、タンパク質の合成を促進する。外因性インスリンは、主に糖尿病の治療に使用される。本願におけるインスリンのすべての結晶形は、天然に存在するインスリン及び合成インスリンの結晶形を含むがこれらに限定されない。経口投与は分解されやすいため、現在でも皮下注射が主な方法である。
【0189】
PYY
PYYは、食後に消化管遠位部の内分泌細胞から分泌され、視床下部の満腹シグナルに作用する。最近の研究では、肥満者は禁食時及び食後のPYYレベルが低く、これが食欲及び食物消費量が多い原因である可能性があることが示されている。静脈内に投与すると、やせた人や肥満者の食欲及び食物摂取を抑制する。PYYフラグメント(例えば、PYY[3-36])などの膵臓ペプチド(PP)ファミリーの他のペプチドや、他のPYYアゴニストも食欲を抑制することができる。しかし、消化管での吸収が低く、急速に分解
されるため、その経口活性はほぼ無視できる。
【0190】
グルカゴン様ペプチド-1
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1と略称)は、回腸内分泌細胞から分泌される脳腸ペプチドの一種であり、主に2型糖尿病治療薬の標的として使用されている。GLP-1は胃内容排出を阻害し、腸の蠕動運動を減少させることができるため、食物摂取を制御し、体重を減らすのに役立つ。しかし、GLP-1はポリペプチドであるため、経口投与は分解されやすく、腸管に到達しにくい。
【0191】
ヒトアミリン
ヒトアミリン(hIAPP)は、膵島細胞によって合成及び分泌される37アミノ酸からなるポリペプチドホルモンであり、インスリン及びグルカゴンと協力してグルコース恒常性を調節する。hIAPPモノマーの生理学的及び薬理学的機能は次のとおりである。1)インスリン及びグルカゴンの分泌に影響を与える;2)胃内容排出を遅らせ、食後の血糖を下げる;3)レニン及びアンギオテンシンIIを増加させ、腎臓の成長を調節する;4)アルドステロンを上昇させ、血中カルシウムを減らす;5)骨密度を調節する;6)血管を拡張し、血行動態を調節する;7)免疫効果を調節する。hIAPPモノマーはT細胞分化を誘導・調節することができ、それによって炎症反応と免疫因子の分泌を調節する。hIAPPは、肥満、糖尿病、自己免疫、骨粗鬆症、及びその他の疾患の予防及び治療に応用できる可能性がある。
【0192】
医薬組成物
本出願に記載のPNACならびに予防及び/または治療薬に加えて、医薬組成物はまた、薬学的に許容される添加剤を含むことができ、前記添加剤は、非毒性の充填剤、安定剤、希釈剤、担体、溶媒または他の製剤添加剤であり得る。例えば、微結晶性セルロース、マンニトールなどの希釈剤、賦形剤;デンプン、スクロースなどの充填剤;デンプン、セルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、及び/またはポリエチレンピロリドンなどの結合剤;炭酸カルシウム及び/または重炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;セチルアルコールなどの界面活性剤;水、生理食塩水、カオリン、ベントナイトなどの担体、溶媒;タルク、ステアリン酸カルシウム/マグネシウム、ポリエチレングリコールなどの潤滑剤が挙げられる。また、本願の医薬組成物は注射剤であることが好ましい。
【0193】
医薬組成物は、好ましくは固体形態の医薬組成物であり、それらは固体剤形として配合され得る。固形剤形は、カプセル、錠剤、または粉末や小袋などの顆粒であり得る。粉末は、液体と混合して投与するための小袋(マイクロカプセル)に入れることができる。固体剤形は、軟膏、クリーム、または半固体などの局所送達システムでもあり得る。考えられる固体剤形は、徐放または制御放出システムを含み得る。好ましくは、固体剤形は経口投与用の剤形である。
【0194】
粉末をカプセルに詰めるまたは錠剤に圧縮し、粉末形態で使用し、あるいは軟膏、クリーム、または半固体に組み込むことができる。固体剤形を形成する方法は、当技術分野で周知である。
【0195】
本出願におけるPNACは、医薬組成物において送達剤として使用することができる。
【0196】
固体剤形中の送達剤の量は、送達有効量であり、当業者に周知の方法により、任意の特定の化合物または生物学的または化学的活性剤について測定することができる。
【0197】
投与後、単位剤形中の活性剤は循環に吸収される。活性剤のバイオアベイラビリティは
、血中の既知の薬理学的活性(例えば、ヘパリンによる血液凝固時間の増加またはカルシトニンによるカルシウム循環レベルの低下)をアッセイすることによって容易に評価される。あるいは、活性剤自体の循環レベルを直接測定することができる。
【0198】
送達システム
本願の医薬組成物に使用される予防及び/または治療薬(活性剤と呼ばれることがある)の量は、標的適応症のための活性剤の目的を達成するのに有効な量である。活性剤は、一般に、薬理学的、生物学的、治療的または化学的に有効な量で組成物に使用される。しかし、この量は、組成物が単位剤形で使用される場合の用量よりも低い場合もあり、これは、単位剤形が複数の送達剤化合物/活性剤組成物を含み得るか、または回あたりの薬理学的、生物学的、治療的または活性的有効量を含み得るからである。総有効量は、総計で有効量の活性剤を含む累積単位で投与することができる。
【0199】
使用される活性剤の総量は、当業者に知られている方法によって決定することができる。しかし、本願の組成物は、他の組成物または活性剤のみを含有する組成物よりも効果的に活性剤を送達することができるため、既存の単位剤形または送達系において使用される生物的または化学的活性剤よりも少ない量を対象に投与すると共に同じ血中レベル及び/または治療効果を達成することができる。
【0200】
本明細書に開示される送達剤は、生物学的及び化学的活性剤の送達を促進し、特に経口、舌下、口腔内、十二指腸内、結腸内、直腸、膣、粘膜、肺、鼻腔内、及び眼系への送達を促進する。
【0201】
本願の化合物及び組成物は、ニワトリなどの鳥類、齧歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、霊長類、特にヒトなどの哺乳類、及び昆虫を含むがこれらに限定されない任意の動物に生物学的または化学的活性剤を投与するために使用される。
【0202】
これらの化合物及び組成物は、活性剤が標的領域(すなわち、送達組成物の活性剤が放出される領域)に到達する前に遭遇する条件のため、及びそれらが投与された動物体内で破壊されているか、または活性が低下しているような化学的または生物活性剤の送達に特に有利である。特に、本願の化合物及び組成物は、活性剤、特に通常は経口送達されないもの、または送達の増強が望まれるものの経口投与に使用される。
【0203】
前記化合物及び活性剤を含む組成物は、活性剤を選択された生物系に送達し、送達剤なしの活性剤の送達よりも活性剤のバイオアベイラビリティを増加または増強する有用性を有する。送達は、一定期間にわたってより多くの活性剤を送達すること、あるいはより迅速に作用するもしくは遅延送達などの特定の期間にわたって、または持続送達などの一定期間にわたって活性剤を送達することによって改善することができる。
[実施例]
【0204】
以下の実施例で使用される実験方法は、特に明記しない限り、従来の方法である。
以下の実施例で使用される材料及び試薬は、別段の指定がない限り、商業的供給源から得ることができる。
【0205】
[実施例1]
国際特許出願WO2008/028859の実施例1の方法を参照して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸NACを調製した。
【0206】
PNAC結晶形Iの調製
イソプロパノール(22070.0ml、4.0vol)を50Lの反応器に加え、撹
拌を開始し、NAC(5518g、1.0当量)を加えた。系を50℃まで昇温し、調製した50%水酸化カリウム溶液(1304.0g、1.0eq)を系内に滴下した。滴下後、系は透明な黄色の溶液になり、50℃に保温して1時間反応させた。反応溶液を40℃でバッチで分けて濃縮し、得られた粗生成物の色は淡橙黄色であった。
粗生成物を合わせてイソプロパノール(19310.0ml、3.5vol)に加え、1時間叩いた。系を吸引濾過し、ろ過ケーキをイソプロパノール(2760.0ml、0.5vol)ですすいだ。ろ過ケーキを真空乾燥オーブンに移し、乾燥システムを窒素で置換し、60℃で16時間乾燥させた後、真空乾燥オーブンに移して100℃で24時間乾燥させた。乾燥終了後、性状がオフホワイトの粉末状固体である生成物を合計4.52kg得た。収率は72.8%であった。
測定後、製品は結晶形Iであり、結晶形IのXRPD及びTGA/DSCをそれぞれ図1~2bに示す。PNACは結晶形Iであり、結晶形Iの特徴的なXRPDピーク(°2θで特徴付けられる)は、下記の表1に示す。
【0207】
【表1】
【0208】
DSCスペクトル(図2a)は、結晶形Iの融解吸熱ピークが195.5℃で現れ始め、ピークが163.1℃であることを示している。DSC(図2a)とTGA(図2b)スペクトルの両方により、結晶形Iが無水物であることが示されている。
【0209】
[実施例2]
PNAC結晶形IIの調製
実施例1で調製したPNAC結晶形Iを室温で60%の相対湿度の環境にさらし、24時間を超えて放置して生成物を得た。
測定した結果、生成物は結晶形IIであった。生成物のXRPD及びTGA/DSCをそれぞれ図3~4bに示し、結晶形IIの特徴的なXRPDピーク(°2θによって特徴付けられる)は下記表2に示す。
【0210】
【表2】
【0211】
DSCスペクトル(図4a)は、結晶形IIの融解吸熱ピークが157.1℃で現れ始め、ピークが162.5℃であることを示している。DSC(図4a)とTGA(図4b)スペクトルの組み合わせは、結晶形IIが1/3水和物であることを示している。
【0212】
[実施例3]
国際特許出願WO2008/028859の実施例1の方法を参照して、N-[8-(2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]オクタン酸NACを調製した。
【0213】
PNAC結晶形IIIの調製
イソプロパノール(22070.0ml、4.0vol)を50Lの反応器に加え、撹拌を開始し、NAC(5518g、1.0当量)を加えた。系を50℃まで昇温し、調製した50%水酸化カリウム溶液(1304.0g、1.0eq)を系内に滴下した。滴下後、系は透明な黄色の溶液になり、50℃に保温して1時間反応させた。反応溶液を40℃でバッチで分けて濃縮し、得られた粗生成物の色は淡橙黄色であった。
粗生成物を合わせてイソプロパノール(19310.0ml、3.5vol)に加え、1時間叩いた。系を吸引濾過してろ過ケーキを得、ろ過ケーキを24メッシュの篩にかけて均一な顆粒にし、真空乾燥オーブンに移し、乾燥システムを窒素で置換し、60℃で16時間乾燥させた後、真空乾燥オーブンに移して100℃で24時間乾燥させた。得られた顆粒を5℃の低温環境で均一に広がらせ、50%に制御された相対湿度に2日間置いて生成物を得た。
測定した結果、生成物は結晶形IIIであった。結晶形IIIのXRPD及びTGA/DSCをそれぞれ図5~6bに示し、結晶形IIIの特徴的なXRPDピーク(°2θによって特徴付けられる)は下記表3に示す。
【0214】
【表3】
【0215】
DSCスペクトル(図6a)は、結晶形IIIの融解吸熱ピークが156.6℃で現れ始め、ピークが162.0℃であることを示している。DSC(図6a)とTGA(図6b)スペクトルの組み合わせは、結晶形IIIが1/2水和物であることを示している。
【0216】
[実施例4]
PNAC結晶形IVの調製
実施例1で調製したPNAC結晶形Iを室温で80%の相対湿度の環境にさらし、3日間放置してゲル状物質を形成し、このゲル状物質を40%の相対湿度を持つ環境にさらし、5日間放置して生成物を得た。
測定した結果、生成物は結晶形IVであった。結晶形IVのXRPD及びTGA/DS
Cをそれぞれ図7~8bに示し、結晶形IVの特徴的なXRPDピーク(°2θによって特徴付けられる)は下記表4に示す。
【0217】
【表4】
【0218】
DSCスペクトル(図8a)は、結晶形IVの融解吸熱ピークが163.8℃で現れ始めたことを示している。DSC(図8a)とTGA(図8b)スペクトルの組み合わせは、結晶形IVが水和物であることを示している。
【0219】
[実験例]
SNAC:
Rybelsus(登録商標)錠剤(デンマークの製薬会社Novo Nordiskによって開発された)におけるSNAC特徴付けた結果、特許WO2005107462中の結晶形Iと同一であることが判明した。したがって、本明細書のSNACは、特許WO2005107462の実施例1におけるSNAC結晶形Iの調製方法を参照することによって調製された。以下の実施例のSNACはすべてこの方法で調製された。
結晶形I(PNAC-I)は、実施例1で調製したものである。
結晶形II(PNAC-II)は、実施例2で調製したものである。
結晶形III(PNAC-III)は、実施例3で調製したものである。
結晶形IV(PNAC-IV)は、実施例4で調製したものである。
【0220】
[実験例1 水溶液中のPNACの異なる結晶形の溶液安定性試験]
上記の実施例で調製したPNAC結晶形I~IVのサンプルと、上記で調製したSNAC結晶形Iのサンプルをそれぞれ精製水に溶解し、それぞれ4℃と室温の2条件に置き、溶液の変化を観察し、水溶液中の異なる塩形態及び異なる結晶形の高濃度(500mg/mL)の条件下での安定性の違いを比較し、結果を表5に示す(サンプルPNAC結晶形I~IVの溶解及び溶液放置プロセスに違いはなかった)。
【0221】
【表5】
【0222】
表5から分かるように、SNACを4℃で溶解した後、0.5時間に溶液中にフロックが現れ始め、時間の経過とともに溶液の流動性が徐々に低下し、2時間に溶液中に大きな白い粒子が析出した。温度が室温に上がると、SNAC溶液を1時間放置した後、溶液にもフロックが出現し、2時間にフロックが増加して濁った。それに対して、本願で調製したPNAC I~IVの溶解液は、4℃で1時間放置すると底部に少量の糸状のフロックが出現し、2時間まで溶液の状態はあまり変化しなかった。室温で2時間放置すると、溶液に少量のフロックが現れた。これは、同じ条件下で、本願のPNAC I~IVの溶液安定性が高濃度(500mg/mL)の条件下でSNACよりも優れていることを示している。
【0223】
[実験例2 ビーグル犬におけるGLP-1薬剤のバイオアベイラビリティに対するPNACの異なる結晶形の影響]
GLP-1薬M4(M4と略称)の調製方法については、特許出願WO2019201328を参照されたい。
複合経口錠剤の調製方法については、特許WO2012080471の実施例1の調製方法を参照されたい。送達剤(SNAC、PNAC-I、PNAC-II)をそれぞれM4と組み合わせた。SNACとM4を組み合わせた複合経口錠剤がSNAC+M4である。PNAC-IとM4を組み合わせた複合経口錠剤がPNAC-I+M4である。PNAC-IIとM4を組み合わせた複合経口錠剤がPNAC-II+M4である。
複合経口錠剤では、M4の含有量は10mgであり、送達剤の含有量は100mgであった。
M4の静脈内注射の処方:M4の最終濃度が1mg/mLになるように、M4を8mM、pH7.2のリン酸緩衝液に溶解した。
9~12kgのオスビーグル犬28匹を取り、4つの群に分け、第1群にはM4(0.05mg/kg、N=4)を静脈内注射により単回投与し、第2群にはSNAC+M4(1錠、N=8)を単回経口投与し、第3群にはPNAC-I+M4(1錠、N=8)を単回経口投与し、第4群にはPNAC-II+M4(1錠、N=8)を単回経口投与し、ビーグル犬におけるM4のバイオアベイラビリティに対するPNACの異なる結晶形の影響を比較した。
経口投与群のビーグル犬は、前夜に絶食し、水を禁じなかった。同日の投与後、錠剤を10mlの水(定量的に)で服用し、4時間後に食事を再開し、次に、表6の採血スキームに従って血液サンプルを採取して、異なる時点での血中薬物濃度を測定し、動物体内の曝露量AUClastを算出した。具体的な結果を表7、8、9、及び図9、10に示す。
【0224】
【表6】
【0225】
【表7】
【0226】
【表8】
【0227】
【表9】
【0228】
表7~9のデータの計算から分かるように、SNACの単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは0.88%であり、PNAC-IIの単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.28%であり、PNAC-Iの単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.11%であり、2つのPNAC群のバイオアベイラビリティはSNAC群より有意に高かった。
SNACの単回経口投与群と比較して、PNAC-IIの単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは45.5%増加し、PNAC-Iの単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは26.1%増加した。
【0229】
[実験例3 ビーグル犬におけるGLP-1薬剤のバイオアベイラビリティに対するPNACの異なる含有量及び異なる結晶形の影響]
GLP-1薬M4(M4と略称)の調製方法については、特許出願WO2019201328を参照されたい。
複合経口錠剤の調製方法については、特許WO2012080471の実施例1の調製方法を参照されたい。送達剤(SNAC、PNAC-I、PNAC-II)をそれぞれM4と組み合わせた。SNACとM4を組み合わせた複合経口錠剤がSNAC+M4である。PNAC-IとM4を組み合わせた複合経口錠剤がPNAC-I+M4である。PNAC-IIとM4を組み合わせた複合経口錠剤がPNAC-II+M4である。
複合経口錠剤では、各錠の成分として、M4の含有量は10mgであり、送達剤の含有量はそれぞれ300mg及び450mgであった。
M4の静脈内注射の処方:M4の最終濃度が1mg/mLになるように、M4を8mM、pH7.2のリン酸緩衝液に溶解した。
9~15kgのオスビーグル犬28匹を取り、7つの群に分け、各群で4匹とし、ビーグル犬におけるM4のバイオアベイラビリティに対するPNACの異なる結晶形の影響を比較した。群分けの情報を下記の表10に示す。
経口投与群のビーグル犬は、前夜に絶食し、水を禁じなかった。同日の投与後、錠剤を10mlの水(定量的に)で服用し、4時間後に食事を再開し、次に、表11の採血スキームに従って血液サンプルを採取して、異なる時点での血中薬物濃度を測定し、動物体内の曝露量AUClastを算出した。具体的な結果を表12~14、及び図19、20に示す。
【0230】
【表10】
【0231】
【表11】
【0232】
【表12】
【0233】
【表13】
【0234】
【表14】
【0235】
表14から分かるように、SNAC(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは0.70%であり、SNAC(450mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは0.80%であり、PNAC-II(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.20%であり、PNAC-II(450mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.92%であり、PNAC-I(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.01%であり、PNAC-I(450mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは1.72%であり、いずれもSNACより有意に高く、PNAC絶対バイオアベイラビリティは、含有量の増加とともに大幅に増加した。
SNAC(300mg)の単回経口投与群と比較して、PNAC-II(300mg)
の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは71%増加し、PNAC-I(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは44%増加した。SNAC(450mg)の単回経口投与群と比較して、PNAC-II(450mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは140%増加し、PNAC-I(450mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは115%増加した。
一種類の薬剤から見て、SNAC(450mg)の単回経口投与群と比較して、SNAC(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティは14%のみ増加し、2つの群間のバイオアベイラビリティに大きな差はなかった。つまり、薬剤中のSNACの含有量は、絶対バイオアベイラビリティにほとんど影響を与えなかった。PNAC-II(450mg)の単回経口投与群と比較して、PNAC-II(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティーは60%増加した。PNAC-I(450mg)の単回経口投与群と比較して、PNAC-I(300mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティーは70%増加した。実施例2のPNAC-II及びPNAC-I(100mg)の単回経口投与群の絶対バイオアベイラビリティを組み合わせて、薬剤中の本願のPNACの含有量の増加とともに、絶対バイオアベイラビリティが有意に増加したことをさらに検証することができ、そして、予期せぬ質的改善があった。
【0236】
[実験例4]
PNAC結晶形IIの固体安定性実験
実施例2で調製した結晶形IIを3つの群に分け、第1群を60℃で24時間静置して固体サンプルを得た。第2群を40℃、相対湿度75%の条件下で2週間放置して固体サンプルを得た。第3群を、25℃、相対湿度60%の条件下で2週間置いて固体サンプルを得た。そして、3つの群の固体サンプルのそれぞれをXRPD及びHPLC試験により物理的及び化学的安定性について評価した。
ここで、HPLC試験とは、実施例2で得られた結晶形IIを参照サンプルとして用い、それのHPLC純度試験を行って得られた純度を100面積%とし、相対純度=HPLC純度/参照サンプル純度とすることを意味する。HPLC試験法では、カラム長150mmのC18逆相クロマトグラフカラムを使用し、移動相としてアセトニトリル-水+0.05%トリフルオロ酢酸系を使用し、1.2ml/分の流速で、サンプルを注入して、検出器波長UV-215nmの条件で検出し、正規化法に従ってメインピークの純度を計算した。
試験後、参照サンプルを異なる環境に一定時間置いた後、測定されたHPLC相対純度はいずれも100%であることが分かった。実験後のXRPDオーバーレイを図11に示し、これは参照サンプルの特徴的なピークとまったく同じであり、固体安定性実験で結晶形がいずれも変化していないことが分かった。
PNAC結晶形Iの固体安定性実験は、上記と同じ方法を使用して実施し、結果を図15に示す。
【0237】
[実験例5]
製剤中の安定性試験
実施例2で得られた結晶形IIを3つの群に分け、第1群では結晶形IIを手動で10分間研磨して固体サンプルを得た。第2群では、結晶形IIを錠剤に圧縮し(圧力3kN)、固体サンプルを得た。第3群では、結晶形IIに対してジェットミリング(射出圧力0.4MPa、粉砕圧力0.2MPa)を行い、固体サンプルを得た。3つの群の固体サンプルをXRPDによって特徴付け、物理的安定性を評価した。具体的な結果を図12~14に示す。
図12~14から、結晶形IIの研磨、錠剤化、及びジェットミリング後、サンプルの結晶形は変化しなかったことが分かる。
上記と同じ方法を使用して、PNAC結晶形I、結晶形II、結晶形III及び結晶形IVの調製プロセス中の安定性試験を実施し、結果を表15に示す。
PNAC結晶形IのXRPDキャラクタリゼーション結果を図16~18に示す。図16~18から、結晶形Iの研磨、錠剤化、及びジェットミリング後、サンプルの結晶形は変化しなかったことが分かる。
【0238】
【表15】
【0239】
上記の表の結果から分かるように、PNAC結晶形I及び結晶形IIは非常に安定しており、結晶形Iは60%RHを超える環境に長時間置く場合のみ結晶化し、結晶形IIは試験中の条件に関係なく安定している。
【0240】
以上、本願の実施形態について説明したが、本願は、上記の特定の実施形態及び適用分野に限定されるものではなく、上記の特定の実施形態はただ例示的、指導的であり、限定的ではない。当業者は、本明細書の教示の下で、本出願の特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく、多くの形態を作成することもでき、それらはすべて本出願の保護に属する。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
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図20
【国際調査報告】