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特表2023-527267少なくとも1つの水流発電機を牽引する空気牽引船を含むエネルギ生産装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】少なくとも1つの水流発電機を牽引する空気牽引船を含むエネルギ生産装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/06 20060101AFI20230621BHJP
   B63H 9/069 20200101ALI20230621BHJP
【FI】
F03B17/06
B63H9/069
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563186
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2021062948
(87)【国際公開番号】W WO2021239485
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】2005655
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294128
【氏名又は名称】エアバス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】スペランデイ,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ブラ,クレモント
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA12
3H074AA18
3H074BB10
3H074CC46
(57)【要約】
本発明は、空気牽引船(10)ならびに、少なくとも1本の電気ケーブル(24)及び少なくとも1本の機械的結合用ケーブル(22)によって船(20)に連結されて船(10)によって牽引されるようになっている少なくとも1つの水流発電機(20)を含むエネルギ生産装置を目的とする。本発明によると、水流発電機(20)は、船(10)から離隔され、こうして、その直径を増大させ、水流発電機(20)と船(10)の間の相互作用を低減させることが可能になっている。その上、同じ一艘の船(10)によって牽引される多数の水流発電機(20)を想定することが可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気牽引船(10)ならびに、少なくとも1本の電気ケーブル(24)によって前記船(20)に連結された少なくとも1つの水流発電機(20)を含むエネルギ生産装置において、前記水流発電機(20)が、船(10)による牽引のために少なくとも1本の機械的結合用ケーブル(22)によって前記船(10)に連結されていることを特徴とするエネルギ生産装置。
【請求項2】
前記機械的結合用ケーブル(22)により前記船(10)に連結された少なくとも1つの支持体(28)を含み、前記支持体上に少なくとも2つの前記水流発電機(20)が固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のエネルギ生産装置。
【請求項3】
前記支持体(28)が、稼動中の移動方向(DD)に直交する横断方向に沿って延在しており、前記支持体(28)に連結された前記水流発電機(20)が、移動方向(DD)に直交する同じ横断平面内に位置付けされていることを特徴とする、請求項2に記載のエネルギ生産装置。
【請求項4】
前記支持体(28)が、稼動中の移動方向(DD)に平行な長手方向に沿って延在しており、前記支持体(28)に連結された前記水流発電機(20)が少なくとも2つの群(32.1、32.2)に分布させられており、第1の群(32.1)の前記水流発電機(20)が移動方向(DD)に直交する第1の横断平面(P1)内に位置付けされており、第2の群(32.2)の前記水流発電機(20)が、移動方向(DD)に直交する第2の横断平面(P2)内に位置付けされており、前記第2の横断平面(P2)が第1の平面(P1)に平行かつ平面から離隔されていることを特徴とする、請求項2に記載のエネルギ生産装置。
【請求項5】
同じ前記支持体(28)の前記水流発電機(20)が、前記支持体(28)の周りに位置付けされた回転軸(A20)を有することを特徴とする、請求項2~4のうちいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記水流発電機(20)及び/または少なくとも2つの前記水流発電機(20)を連結する少なくとも1つの前記支持体(28)の少なくとも1つの姿勢制御システムを含むことを特徴とする、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項7】
前記水流発電機(20)及び/または少なくとも2つの前記水流発電機(20)を連結する前記支持体(28)に連結された少なくとも1つのバラスト(34)を含み、それらの浮力の調整が可能になっていることを特徴とする、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項8】
前記水流発電機(20)及び/または少なくとも2つの前記水流発電機(20)を連結する前記支持体(28)に連結され、前記水流発電機(20)及び/または前記支持体(28)の移動を制御するように構成された少なくとも1つの自律型移動システム(36)を含むことを特徴とする、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項9】
前記水流発電機(20)及び/または少なくとも2つの前記水流発電機(20)を連結する前記支持体(28)の移動及び/または位置の管理システムを含むことを特徴とする、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項10】
前記水流発電機(20)及び/または少なくとも2つの前記水流発電機(20)を連結する少なくとも1つの前記支持体(28)の少なくとも1本の前記機械的結合用ケーブル(22)を巻取るかまたは繰出すように構成された少なくとも1つのウインチ(38)を含むことを特徴とする、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記水流発電機(20)が、少なくとも2セットの羽根(26.1、26.2)を含み、異なるセットの前記羽根(26.1、26.2)が、二重反転回転運動を有することを特徴とする、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項12】
前記船(10)が、牽引される各々の前記水流発電機(20)によって生産された電気エネルギの、水素及び/または合成燃料及び/または他のあらゆるエネルギへの変換システムを含んでいることを特徴とする、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項13】
前記船(10)が、少なくとも1つの可撓性翼(12)、前記可撓性翼(12)の下に懸吊された前記可撓性翼(12)の制御システム(16)、ならびに前記制御システム(16)に連結されて前記システムに電気エネルギを供給する前記風力発電機(18)を含む、請求項1~12のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項14】
前記船(10)が、上流から下流へと移動するように構成されていること、及び、エネルギ生産装置が、前記船(10)の下流側に位置付けされた少なくとも1つの前記翼(12)、前記翼(12)の少なくとも1つの特性を修正するように構成された前記制御システム(16)、ならびに前記船(10)の上流側の風の少なくとも1つの特性の決定システム(42)を含み、前記制御システム(16)が、前記決定システム(42)により決定された風の特性に応じて前記翼(12)の少なくとも1つの特性を修正するように構成されていることを特徴とする、請求項1~13のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項15】
少なくとも1つの半剛性または剛性の第1の部分(44)及び多少の差こそあれ跨越する複数の位置の間で前記第1の部分(44)との関係において可動である少なくとも1つの第2の部分(46、46’)を有する翼(12)を含み、各々の前記第2の部分(46、46’)が、少なくとも:
- 前記船(10)上での前記翼の収納用に想定された、前記翼(12)の最小外形寸法に対応する格納状態;及び
- 前記翼(12)の飛翔時利用向けに想定された展開状態
を占有するように構成されていることを特徴とする、請求項1~14のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項16】
前記船(10)が、翼(12)を把握しそれを持ち上げて前記翼(12)が飛翔できるようにするように構成された少なくとも1つの操作システム(58)を含み、操作システムが、前記翼(12)の半剛性または剛性の前記部分(44)の把持点(72)と協働するために想定された少なくとも1つのグリッパ(74)を含んでいることを特徴とする、請求項1~15のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置。
【請求項17】
エネルギ生産方法において:
- 請求項1~16のうちのいずれか一項に記載のエネルギ生産装置を取上げるステップと;
- 水域上で空気牽引船(10)を航行させるステップと;
- 少なくとも1本の機械的結合用ケーブル(22)を繰出して、前記船から離隔した少なくとも1つの水流発電機(20)を前記船が牽引するようにするステップと;
- 前記少なくとも1つの水流発電機(20)により生産された電気に由来するエネルギを前記船上で回収し貯蔵するステップと;
を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載のエネルギ生産方法を利用して生産されたエネルギ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、少なくとも1つの水流発電機を牽引する空気牽引船を含むエネルギ生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008/047963号中に記載の公知の一実施形態によると、電気エネルギ生産装置には、少なくとも1つのカイトならびに船体の下に固定された水流発電機が含まれている。この実施形態によると、カイトは、船を移動させるために強くて安定している上空高い所の風を利用し、船の下に固定された水流発電機が電気エネルギを生産する。
【0003】
この実施形態は、低コストで電気エネルギを生産することを可能にする。しかしながら、生産されるエネルギ量は比較的低いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/047963号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、先行技術の欠点を全てまたは一部改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このために、本発明は、空気牽引船ならびに、少なくとも1本の電気ケーブルによって船に連結された少なくとも1つの水流発電機を含むエネルギ生産装置において、水流発電機が、船による牽引のために少なくとも1本の機械的結合用ケーブルによって船に連結されていることを特徴とするエネルギ生産装置を目的とする。
【0007】
本発明によると、水流発電機は、船から離隔され、こうして、その直径を増大させ、水流発電機と船の間の相互作用を低減させることが可能になっている。その上、同じ一艘の船によって牽引される多数の水流発電機を想定することが可能である。水流発電機の直径及びその数を増大させることによって、生産されるエネルギを増大させることができる。
【0008】
別の特徴によると、エネルギ生産装置は、機械的結合用ケーブルにより船に連結された少なくとも1つの支持体を含み、この支持体上に少なくとも2つの水流発電機が固定されている。
【0009】
第1の実施形態によると、支持体は、稼動中の移動方向に直交する横断方向に沿って延在しており、支持体に連結された水流発電機は、移動方向に直交する同じ横断平面内に位置付けされている。
【0010】
第2の実施形態によると、支持体は、稼動中の移動方向に平行な長手方向に沿って延在しており、支持体に連結された水流発電機は、少なくとも2つの群に分布させられており、第1の群の水流発電機は、移動方向に直交する第1の横断平面内に位置付けされており、第2の群の水流発電機は、移動方向に直交する第2の横断平面内に位置付けされており、第2の横断平面は、第1の平面に平行かつこの平面から離隔されていることを特徴とする。
【0011】
一配設によると、同じ支持体の水流発電機は、支持体の周りに位置付けされた回転軸を有する。
【0012】
他の特徴によると、エネルギ生産装置は:
- 少なくとも1つの水流発電機及び/または少なくとも2つの水流発電機を連結する少なくとも1つの支持体の少なくとも1つの姿勢制御システム;
- 水流発電機及び/または少なくとも2つの水流発電機を連結する支持体に連結され、それらの浮力の調整が可能な少なくとも1つのバラスト;
- 水流発電機及び/または少なくとも2つの水流発電機を連結する支持体に連結され水流発電機及び/または支持体の移動を制御するように構成された少なくとも1つの自律型移動システム;
- 水流発電機及び/または少なくとも2つの水流発電機を連結する支持体の移動及び/または位置の管理システム;
- 水流発電機及び/または少なくとも2つの水流発電機を連結する少なくとも1つの支持体の少なくとも1本の機械的結合用ケーブルを巻取るかまたは繰出すように構成された少なくとも1つのウインチ;
を含む。
【0013】
別の特徴によると、少なくとも1つの水流発電機は、少なくとも2セットの羽根を含み、異なるセットの羽根は、二重反転回転運動を有する。
【0014】
別の特徴によると、船は、牽引される各々の水流発電機によって生産された電気エネルギの、水素及び/または合成燃料及び/または他のあらゆるエネルギへの変換システムを含んでいる。
【0015】
別の特徴によると、船は、少なくとも1つの可撓性翼、可撓性翼の下に懸吊された可撓性翼の制御システム、ならびに制御システムに連結されてこのシステムに電気エネルギを供給する風力発電機を含む。
【0016】
別の特徴によると、船は、上流から下流へと移動するように構成されており、エネルギ生産装置は、船の下流側に位置付けされた少なくとも1つの翼、翼の少なくとも1つの特性を修正するように構成された制御システム、ならびに船の上流側の風の少なくとも1つの特性の決定システムを含み、制御システムは、決定システムにより決定された風の特性に応じて翼の少なくとも1つの特性を修正するように構成されている。
【0017】
別の特徴によると、エネルギ生産装置は、少なくとも1つの半剛性または剛性の第1の部分及び多少の差こそあれ跨越している位置の間で第1の部分との関係において可動である少なくとも1つの第2の部分を有する翼を含み、各々の第2の部分が、少なくとも:
- 船上での翼の収納用に想定された、翼の最小外形寸法に対応する格納状態;及び
- 翼の飛翔時の利用向けに想定された展開状態;
を占有するように構成されている。
【0018】
別の特徴によると、船は、複数の翼、ならびに翼を把握しそれを持ち上げて翼が飛翔できるようにするように構成された少なくとも1つの操作システムを含み、操作システムは、翼の半剛性または剛性部分の把持点と協働するために想定された少なくとも1つのグリッパを含んでいる。
【0019】
本発明は同様に、エネルギ生産方法において:
- 前述の通りのエネルギ生産装置を取上げるステップと;
- 水域上で空気牽引船を航行させるステップと;
- 少なくとも1本の機械的結合用ケーブルを繰出して、船から離隔した少なくとも1つの水流発電機を船が牽引するようにするステップと;
- 上記少なくとも1つの水流発電機により生産された電気に由来するエネルギを船上で回収し貯蔵するステップと;
を含む方法にも関する。
【0020】
本発明は同様に、前述のエネルギ生産方法を利用して生産されたエネルギにも関する。
【0021】
他の特徴及び利点は、添付図面を参照して、単なる一例として示されている以下の本発明の説明から明らかになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態を例示する、エネルギ生産装置の側面概略図である。
図2図2は、本発明の別の実施形態を例示する、エネルギ生産装置の側面概略図である。
図3図3は、エネルギ生産段階にある、図2中に見られるエネルギ生産装置の上面概略図である。
図4図4は、メンテナンス段階にある、図2中に見られるエネルギ生産装置の上面概略図である。
図5図5は、本発明の一実施形態を例示する牽引された水流発電機対の斜視図である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態を例示する水流発電機群の側面図である。
図7図7は、図6中に見られる水流発電機群の上面図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態を例示する水流発電機群の上面概略図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態を例示する水流発電機群の背面図である。
図10図10は、本発明の第4の実施形態を例示する水流発電機群の上面概略図である。
図11図11は、エネルギ生産段階にある、図10中に見られる水流発電機群の側面概略図である。
図12図12は、メンテナンス段階にある、図10中に見られる水流発電機群の側面概略図である。
図13図13は、本発明の別の実施形態を例示するエネルギ生産装置の側面概略図である。
図14図14は、本発明の一実施形態を例示する、風の少なくとも1つの特性の決定システムを備えた空気牽引船の側面概略図である。
図15図15は、本発明の一実施形態を例示する、格納状態にある伸縮式翼の概略図である。
図16図16は、展開中の図15中に見られる伸縮式翼の概略図である。
図17図17は、展開状態にある図15中に見られる伸縮式翼の概略図である。
図18図18は、翼の把握ステップ時における翼の操作システムを備えた空気牽引船の概略図である。
図19図19は、翼の展開ステップ時における、図18中に見られる空気牽引船の概略図である。
図20図20は、展開状態にある翼の操作システムによる上昇ステップ時における、図18中に見られる空気牽引船の概略図である。
図21図21は、飛翔時の翼の主ケーブルの操作システムによる把握ステップ時における、図18中に見られる空気牽引船の概略図である。
図22図22は、飛翔時の翼の誘導ケーブルの操作システムによる把握ステップ時における、図18中に見られる空気牽引船の概略図である。
図23図23は、飛翔時の翼の操作システムによる把握ステップ時における、図18中に見られる空気牽引船の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~4、図8、および図11~13中に見られる一実施形態によると、エネルギ生産装置は、空気牽引船10を含む。船とは、水面でまたは水面近くで可動であるあらゆる構造を意味する。空気牽引船とは、風により推進される少なくとも1つの要素によって牽引される船10を意味する。
【0024】
空気牽引船10は、牽引翼とも呼ばれる少なくとも1つの可撓性翼12、ならびに可撓性翼12と船10を連結する、吊索とも呼ばれる少なくとも1本のケーブル14を含む。概して、複数の吊索14が各々の可撓性翼12に連結されている。図13中に見られる構成によると、空気牽引船10は、可撓性翼12の下に懸吊され、可撓性翼12を制御するように構成された制御システム16を含む。制御システム16は、主ケーブル14によって船10に連結され、複数の吊索14’によって可撓性翼12に連結されている。
【0025】
可撓性翼12は、上空に存在する強く安定した風を利用することから、船10を牽引するために優れている。
【0026】
可撓性翼12、ケーブル及び吊索14、14’ならびに制御システム16は、当業者にとって公知のものであり、例えば国際公開第2019/179924号中に記載されていることから、これ以上説明されない。
【0027】
図13中に見られる一実施形態によると、風力発電機18が制御システム16に連結されて、このシステムに電気エネルギを供給している。この風力発電機18は、一部の航空機上に存在する非常用風力発電機(英語でRam Air TurbineまたはRAT)と同一であり得る。
【0028】
制御システム16は、風力発電機18を補足して電気エネルギを貯蔵するためのバッテリを含み得る。この風力発電機18は、船10と制御システム16の間の電気的結合用ケーブルを削除することを可能にする。
【0029】
当然のことながら、本発明は、空気牽引船10について先に説明された実施形態に限定されない。
【0030】
船10は、牽引された場合、移動方向DDと呼ばれる方向に沿って移動する。エネルギを生産するために、空気牽引船10は、水域上を航行させられる。
【0031】
エネルギ生産装置には、水中に浸漬され、船10により牽引される少なくとも1つの水流発電機20が含まれており、この水流発電機は、船10と水流発電機20の間の機械的応力の回収を行なう少なくとも1本の機械的結合用ケーブル22ならびに水流発電機20により生産された電気エネルギを船10に向かって移送するための少なくとも1本の電気ケーブル24によって船10に連結されている。先行技術とは異なり、水流発電機20は、剛性機械的結合によって船10に連結されていない。
【0032】
機械的結合用ケーブル22は、水流発電機20が船10から離隔されるように、10m超、さらには100m超の長さを有する。機械的結合用ケーブル22は、およそ100メートル程度、さらにはキロメートル単位の長さを有し得る。
【0033】
電気ケーブル24と機械的結合用ケーブル22は、分離されているかまたは同一ハーネスに結集されていてよい。
【0034】
第1の実施形態によると、船10は、電気エネルギ貯蔵システムを含む。
【0035】
第2の実施形態によると、船10は、水流発電機により生産された電気エネルギを別のエネルギに変換するシステムを含む。一例として、電気エネルギは電気分解によって水素に変換され得、この水素は、一酸化炭素及び水素の化学的解媒反応プロセスにより合成燃料を生産するために利用可能である。
【0036】
第1及び第2の実施形態は組合わせ可能である。実施形態の如何に関わらず、エネルギ生産装置は、電気及び/または水素及び/または合成燃料及び/または他のあらゆるエネルギを生産することができる。
【0037】
図5及び図6中に見られる実施形態によると、各水流発電機20は、回転軸A20、回転軸A20を中心にして枢動する少なくとも2つの羽根26.1、26.2、ならびに回転軸A20の機械的エネルギを電気エネルギに変換することのできる発電機を有する。各水流発電機20は、その空気力学係数を低減させることを可能にする外形を有する。
【0038】
一構成によると、少なくとも1つの水流発電機20は、少なくとも2セットの羽根26.1、26.2、すなわち回転軸A20に直交する第1の平面内に位置付けされている第1の羽根セットならびに、第1の平面に対し平行かつこの平面から離隔された第2の平面内に位置付けされている第2の羽根セットを含み、第1及び第2のセットの羽根は、外乱トルクの出現を制限するために二重反転回転運動を有する。
【0039】
1つの設計によると、各水流発電機20は、4m以上の直径を有し、水流発電機の直径は、羽根の端部が描く円の直径に等しい。一構成によると、各水流発電機20は、およそ8m、さらには20mの直径を有する。このような直径は、水流発電機20が船10から離れており機械的結合用ケーブル22によって船に連結されているために企図可能なものである。
【0040】
変形形態によると、水流発電機20を互いに隔離するかまたは少なくとも2つずつまとめることが可能である。
【0041】
このために、エネルギ生産装置は少なくとも1つの支持体28を含み、この支持体上に、船10に対して機械的結合用ケーブル22により連結された少なくとも2つの水流発電機20が固定される。
【0042】
図2~5に見られる一実施形態によると、各支持体28は、2つの水流発電機20を支持する。支持体28及び水流発電機20は、2つの水流発電機20の間の軸間距離が水流発電機20の直径の1.5倍以上となるように構成されている。水流発電機20がおよそ8mの直径を有する場合、軸間距離は、およそ12mである。水流発電機20がおよそ20mの直径を有する場合、軸間距離はおよそ30mである。
【0043】
図6図7及び図10中に見られる実施形態によると、同じ支持体28が3個以上の水流発電機20を支持し得る。図7に例示された第1の実施例によると、6個の水流発電機20が支持体28上に付加されている。図8に例示された第2の実施例によると、4個の水流発電機が支持体28上に付加されている。
【0044】
同一の支持体28上の水流発電機20は、互いに平行な回転軸A20を有する。第1の構成によると、同一の支持体28の水流発電機20の回転軸A20は、水流発電機20が船10によって牽引されている場合にはほぼ水平である同じ平面内に位置付けされている。図9中に見られる別の構成によると、同一の支持体28の水流発電機20の回転軸A20は、支持体28の周り位置付けされている。一例として、これらの回転軸は、支持体28を取り囲む1つの円上に規則的に分布させられ得る。
【0045】
エネルギ生産装置は、唯一の支持体28または、同じ船10によって牽引される複数の支持体28を含み得る。
【0046】
例えば図7中に見られる第1の構成によると、支持体28は、稼動中の移動方向DDに直交する横断方向に沿って延在し、支持体28に連結された水流発電機20は、移動方向DDに直交する同じ横断平面内に位置付けされている。水流発電機20は、水流発電機20の羽根26.1、26.2が同じ横断平面P内で枢動する場合に同じ横断平面内に位置付けされていると考えられる。
【0047】
この第1の構成によると、支持体28は、低い流体力学係数を有する翼外形を伴う横断面S28を有し、横断面は、垂直方向及び移動方向を含む一平面内の断面に対応している。この構成により、支持体28の抗力によって生成される損失を削減することが可能となる。
【0048】
図8中に見られる第2の構成によると、支持体28は、稼動中の移動方向DDに平行な長手方向に沿って延在しており、支持体28に連結された水流発電機20は、少なくとも2つの群32.1、32.2に分布させられており、第1の群32.1の水流発電機20は、移動方向DDに直交する第1の横断平面P1内に位置付けされており、第2の群32.2の水流発電機20は、移動方向DDに直交する第2の横断平面P2内に位置付けされており、第2の横断平面P2は、第1の平面P1に平行かつこの平面から離隔されている。
【0049】
この第2の構成によると、支持体28は、長手方向に沿って延在するほぼ管状の本体28.1、及び各水流発電機20について、本体28.1と水流発電機20を連結する長手方向に直交して延在し、翼外形を伴う横断面を有するアーム28.2を含む。
【0050】
図8中に見られる一実施形態によると、エネルギ生産装置は、少なくとも1つの水流発電機20及び/または少なくとも2つの水流発電機20を連結する少なくとも1つの支持体28の少なくとも1つの姿勢制御システムを含む。一構成によると、少なくとも1つの支持体28は、支持体28の昇降を制御できるように姿勢制御システムによって位置を修正することのできる少なくとも1つの可動部分30を含む。可動部分30の位置を修正することにより、同様に、支持体28の空気力学係数、特にその抗力も修正することが可能となる。
【0051】
一実施形態によると、エネルギ生産装置は、水流発電機20及び/または支持体28に連結され、それらの浮力の調整可能な少なくとも1つのバラスト34を含む。図8中に見られる第1の構成によると、バラスト34は、支持体28内、例えばその本体28.1内に一体化されている。図6及び図7中に見られる第2の構成によると、バラスト34は、支持体28上に固定された支持体28と明確に区別される要素である。
【0052】
1つの設計によると、全ての支持体28は、少なくとも1つのバラスト34を含む。
【0053】
図11及び図12中に見られる一実施形態によると、エネルギ生産装置は、水流発電機20及び/または支持体28に連結され、例えばプロペラモータのようにほぼ水平な平面内での水流発電機20及び/または支持体28の移動を制御するように構成された少なくとも1つの自律型移動システム36を含む。
【0054】
図2~4中に見られる一実施形態によると、各水流発電機20は、特にエネルギ生産段階に対応する、図2及び図3中で例示されているような船10から離れた位置、及び特にメンテナンス段階に対応する、図4中で例示されているような船10に接近した位置を占有するように構成されている。
【0055】
このためにエネルギ生産装置は、水流発電機20及び/または少なくとも1つの支持体28の少なくとも1本の機械的結合用ケーブル22を巻取るかまたは繰出すように構成された少なくとも1つのウインチ38を含む。
【0056】
一実施形態によると、船10は、(移動方向DDに直交する)横断方向に沿って船10の両側に延在する各水流発電機20について1つずつの複数のアーム40を含む。アーム40は、船10の両側で対称的に配置されている。各アームは、機械的結合用ケーブル22を巻取り繰出すウインチ38を支持している。図3で例示されているようなエネルギ生産段階において、機械的結合用ケーブル22は、繰出され、水流発電機20は船10から離隔される。図4で例示されているようなメンテナンス段階においては、機械的結合用ケーブル22は巻取られ、水流発電機20は船10の近くでアーム40の下に位置付けされており、これが水流発電機20へのアクセス性の改善に貢献している。
【0057】
隔離された複数の水流発電機20及び/または複数の支持体28が存在する中で、エネルギ生産装置は、バラスト34の制御システム、自律型移動システム36、ウインチ38及び/または姿勢制御システムに働きかけることによって、隔離された水流発電機20及び/または支持体28の間の衝突または船10との衝突を回避するために、これらの水流発電機20及び/または支持体28の移動及び/または位置の管理システムを含んでいる。
【0058】
生産段階において、水流発電機20または支持体28の深さは、船10の牽引応力、その抗力及びその重量に応じて調整される。隔離された各々の水流発電機20及び/または各々の支持体28の深さを、それらのバラスト34及び/または姿勢を制御することによって個別に修正することが可能である。
【0059】
複数の水流発電機20が存在することによって、生産されるエネルギ量の増大が可能になる。
【0060】
水流発電機20が船10から及び互いに離隔されていることにより、その直径を増大できかつ相互間のまたは船10との相互作用を制限することが可能になる。
【0061】
水流発電機20は、船10に固定されていないことから、生産段階において大きい深度まで浸漬させることができ、こうして、波浪の衝撃が低減され浮動する破片が比較的少ないゾーンにおいて動作することが可能になっている。水流発電機は船体に取付けられていないことから、船の喫水を削減でき、こうして浅い港へのアクセスが容易になる。
【0062】
図14中に見られる一実施形態によると、船10は、移動方向DDに沿って、上流から下流へと移動する。この船10は、それ自体主ケーブル14によって船10に連結された制御システム16に対して吊索14’によって連結された、船10の下流側に位置付けされた少なくとも1つの翼12によって空気牽引される。この制御システム16は、例えばその配向及び/またはその主ケーブル14の傾斜などのような翼12の少なくとも1つの特性を修正するように構成されている。
【0063】
船10は、船10の上流側の風の少なくとも1つの特性の決定システム42を含み、制御システム16は、決定システム42によって決定された風の特性に応じて翼12の少なくとも1つの特性を修正するように構成されている。
【0064】
一構成によると、決定システム42は、船10の上流側に向かって配向されたレーザまたはライダによる遠隔検出システムである。
【0065】
決定システム42による強風の検出が不在の場合、翼12は、主ケーブル14が水平に対して角度αを成すように制御システム16によって制御される。このとき、翼12は、主ケーブル14を介して船10上に牽引力F1を及ぼす。
【0066】
決定システム42が強風を検出した場合、翼12は、ケーブル14が水平に対してαよりも大きい角度α’を成すように制御システム16によって制御される。このとき、翼12は、主ケーブル14を介して船10に対して牽引力F2を及ぼす。角度α’は角度αよりも大きいことから、力F2は力F1よりも小さく、このため、強風が翼12に到達した場合に翼12及び主ケーブル14に加わる応力を少なくし、結果として翼12及び主ケーブル14の破損の危険性を低下させることが可能となる。
【0067】
図15~17中に見られる一実施形態によると、翼12は半剛性または剛性である。この解決法により、可撓性翼12に比べてさらに高い精度を有する翼12を得ることが可能になる。半剛性または剛性翼12は、10m/sの風速について、(従来の可撓性翼の場合には約8kw/m2にすぎないのに対して)25kw/mの出力を供給し得る。
【0068】
使用されていない場合の翼の外形寸法を削減するために、船10は、半剛性または剛性の少なくとも1つの第1の部分44、及び多少の差こそあれ跨越する複数の位置の間で第1の部分44との関係において可動である少なくとも1つの第2の部分46を有する少なくとも1つの翼12を含む。一構成によると、半剛性または剛性の翼12は、中央の半剛性または剛性の第1の部分44及び、中央の第1の部分44の両側に配置された2つの第2の可動部分46、46’を含み、第2の部分46、46’の各々は、第2の部分46、46’が第1の部分44内に部分的に収納されるかまたは第1の部分44に重ね合わされている、図15中に見られる格納状態、及び第2の部分46、46’が第1の部分44の外部に位置付けされているかまたは第1の部分44との関係においてオフセットされている、図17中に見られる展開状態、を占有するように構成されている。格納状態は、翼の最小外形寸法に対応する。こうして、第2の部分は、翼の船上収納のために格納状態で位置付けされ、これにより、翼の収納を容易にしかつその収納に要する空間を最小限に抑えることが可能となる。展開状態は、翼の飛翔時使用のために想定されている。
【0069】
一実施形態によると、各々の第2の部分46、46’は、第1の部分44と一体化した第1の端部48.1、50.1及び、格納状態に対応する第1の端部48.1、50.1に接近した位置と展開状態に対応する第1の端部48.1、50.1から離隔した第2の位置との間で展開方向52に沿って移動するように構成された第2の端部48.2、50.2を各々有する2本の伸縮式アーム48、50を含む。第1の構成によると、伸縮式アーム48、50は、部分的に、半剛性または剛性の第1の部分44の内部に位置付けされている。第2の構成によると、伸縮式アーム48、50は、部分的に、半剛性または剛性の第1の部分44の外部面に対して押し付けられている。
【0070】
各々の第2の部分46、46’は、伸縮式アーム48、50に連結され、格納状態では折り畳まれ展開状態では緊張させられる帆布54を含む。
【0071】
一実施形態によると、帆布54は、伸縮式アーム48、50に直交し金属製または複合材料製であり得るロッド56を介して、伸縮式アーム48、50に連結される。
【0072】
一構成によると、半剛性または剛性の第1の部分44及び第2の部分46、46’は、複数の吊索によって制御システムに連結されている。
【0073】
規模を示すと、翼12は、およそ20mの幅(展開方向52に直交して測定した寸法)、ならびに、第1の部分44の両側に配置された2つの第2の部分46、46’が存在する状態で、格納状態でおよそ35mそして展開状態で100mの長さ(展開方向52に平行に測定した寸法)を有する。
【0074】
図18~23中に見られる一実施形態によると、空気牽引船10は、複数の翼12、ならびに翼12を把握しそれを持ち上げてそれが飛翔できるようにするように構成された少なくとも1つの操作システム58を含む。一設計によると、操作システム58は同様に、飛翔中に翼12を把握しそれを船10の上に再び置くようにも構成されている。
【0075】
一構成によると、操作システム58は、第1のヒンジ62を介して船10に連結されたベース60、ベース60に連結された第1の端部64.1を有するセグメント64、少なくとも1つの翼12に対して一時的に一体化されるように構成されたヘッド66、ならびにヘッド66をセグメント64の第2の端部64.2に連結する第2のヒンジ68を有するロボットアームを含んでいる。
【0076】
一構成によると、第1のヒンジ62は、垂直方向枢動軸及び水平方向枢動軸を含む。第2のヒンジ68は、互いに直交する少なくとも2本の枢動軸を含む。セグメント64は伸縮式である。
【0077】
各翼12について、船10は、船10上に固定されたウインチ70、主ケーブル14、主ケーブル14によってウインチ70にそして吊索14’によって翼12に連結された制御システム16を含む。
【0078】
図17に例示されているように、各翼12は、一時的にヘッド16を連結できる把持点72を少なくとも1つ含んでいる。この把持点72は、好ましくは、翼の半剛性または剛性部分44上に配置される。一構成によると、ヘッド66は、半剛性または剛性の翼12の固定部分44上に位置付けされた2つの把持点72と協働するように想定された2つのグリッパ74を含む。各翼12は、伸縮式部分を含んでいてもいなくてもよい。
【0079】
1つの動作モードによると、翼12は、図18に例示されているように、船10上で垂直に保管される。把握ステップの際に、操作システム58のヘッド66は、翼12に連結される。図19中に見られる展開ステップの前に、翼12は操作システム58によって持ち上げられ配向される。翼の展開ステップの後、操作システム58は翼12を上昇させて、図20に例示されているように上昇ステップに際して風が翼を捕え得るようにする。次に翼12は操作システム58から離されて飛翔する。
【0080】
把持点72に対してヘッド66のグリッパ74を係留し易くするため、翼12は、各把持点72について1本の誘導ケーブル76を含み、このケーブルは、把持点72の近くで翼12に連結され、制御システム16と翼12とを連結している。
【0081】
翼12を回収し船10上に再度載置するために、ウインチ70を起動させて、図21に例示されているように、操作システム58のヘッド66が届くところに翼12が来るようにする。その後、ヘッド66は把持点72まで誘導される。最初に、ヘッド66は、図21上に例示されているように、ウインチ70の近くで主ケーブル14を把握する。その後、ヘッド66は、制御システム16に達するまで、そして次に、図22に例示されているように主ケーブル14と第1の誘導ケーブル76を同時に把握するまで移動させられる。このとき、ヘッド66は、主ケーブル14を放し、第2の誘導ケーブル76を把握し、次に、図23に例示されているように、グリッパ74が把持点72を把握し得るように翼12と接触するまで誘導ケーブル76に沿って移動させられる。変形形態では、翼12は、ヘッド66が翼12と接触しグリッパ74が把持点72を把握するまで、ウインチ70によって移動させられる。その後、翼12は、船10上でのその保管ゾーンまで、操作システム58によって移動させられる。
【0082】
図示されていない1つの特定の実施形態によると、空気牽引船10は、膨張可能な翼を含む。この膨張可能な翼は、例えばヘリウムなどの空気より軽い気体を充填するように想定されたジャケットを含む。この翼は同様に、この気体を用いたジャケットの充填(またはパージ)を可能にするように想定された充填用装置も含んでいる。膨張可能な翼が船の牽引のために使用されない場合、ジャケットは、折り畳まれ、船上に具備された適切な空間内に収納され得る。船の牽引に使用するための翼の展開は、膨張可能でない翼と比べて容易である。実際、このような展開に際して、予め牽引ケーブルにより船に連結されたジャケットは、充填用装置を介して空気より軽い気体で膨張させられる。牽引用ケーブルは好ましくは、ウインチ上に巻取られている。ケーブルは、膨張可能な翼の膨張を可能にするような形でウインチと膨張可能な翼の間に自由長を含み、こうして膨張可能な翼は船の近くに維持される。膨張可能な翼の膨張がひとたび終了した時点で、膨張可能な翼のジャケットが空気より軽い気体で充填されていることから、膨張可能な翼は自律的に船の近くで空中に維持される。翼の展開のために、いかなる操作システムも必要とされない。すなわち、そのためには、ウインチ上に巻取られたケーブルを繰出すだけでよい。同様にして、船上での収納を目的として翼を回収するためには、ウインチ上にケーブルを巻き取り、その後、翼が船に充分近くなった時点でジャケット内に含まれた気体を抜取るだけでよい。操作システムは高価で嵩高いことから、このようなシステムを必要としないという点は極めて有利である。このことは、エネルギ生産システムの一部を成す船の場合には、翼の展開及び回収操作はこの翼による船の牽引時間に比べて頻度が少ないことからなおさら有利である。ひとたび膨張させられた時点で、ジャケット内に含まれた気体の圧力のため、翼は、剛性または半剛性の翼の剛性に近く可撓性翼のものよりも高い剛性を有し、これにより、膨張可能な翼には高い空気力学的性能が付与される。このような膨張可能な翼は、(形状を修正するために翼の吊索ケーブルに対して作用する)前述の制御システム16のような制御システムを用いて、あるいは可動な制御表面(例えば半剛性制御表面)を用いて、制御され得る。
【0083】
前述の特定の実施形態の一変形形態においては、水流発電機(または水流発電機アセンブリ)は、船を使用する必要無く、膨張可能な翼によって(または膨張可能な翼アセンブリによって)直接牽引される。これは、このタイプの翼が、その展開及びその回収のために操作システムを必要としないということによって可能になっている。有利にも、水流発電機(または水流発電機アセンブリ)は、このとき、水流発電機により生産された電気エネルギを水素及び/または合成燃料及び/または他のあらゆるエネルギに変換するシステムが中に設置されている本体を含む。膨張可能な翼(または膨張可能な翼アセンブリ)の制御システムも同様に、水流発電機の前記本体内に設置され得る。詳細には、この本体は、水流発電機がその稼動中に浸漬される時に浸漬される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】