(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】落石防護柵のための安全ネット
(51)【国際特許分類】
E01F 7/04 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
E01F7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569023
(86)(22)【出願日】2021-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021062517
(87)【国際公開番号】W WO2021228879
(87)【国際公開日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】102020113269.7
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514157548
【氏名又は名称】トゥルマー・シュツボーテン・ゲーエーエスエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・フォルクワイン
【テーマコード(参考)】
2D001
【Fターム(参考)】
2D001PA06
2D001PB04
2D001PC03
2D001PD06
2D001PD10
2D001PD11
(57)【要約】
2つの斜面または岩に繋留される2つの外側支持体(1a、1d)および斜面または岩に繋留される少なくとも2つの内側支持体(1b、1c)と、2本の上部ネット体耐荷重ロープ(3、4)および2本の下部ネット体耐荷重ロープの各々のための、外側支持体(1a、1d)および内側支持体(1b、1c)の上端部および下端部に配置されたロープガイド要素(2a、2b、2c、2d)と、を備える、落石防護柵のための安全ネットであって、2本の上部ネット体耐荷重ロープのうちの一方(3または4)が、それぞれ、内側支持体(1b、1c)のロープガイド要素(2b、2c)を通過し、2本の下部ネット体耐荷重ロープのうちの一方が、内側支持体(1b、1c)のロープガイド要素を通過し、かつ、内側支持体(1b、1c)の上部ロープガイド要素および下部ロープガイド要素に隣接して迂回することを特徴とする、安全ネット。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落石防護柵のための安全ネットであって、
ネット体と、
2つの外側支持体(1a、1d)と、
少なくとも2つの内側支持体(1b、1c)と、
前記外側支持体(1a、1d)および前記内側支持体(1b、1c)を斜面または岩に繋留するための、2つの外側底部要素および少なくとも2つの内側底部要素(16)と、
両端部において横方向に張力をかけられた第一の上部耐荷重ロープ(3)および両端部において横方向に張力をかけられた第一の下部耐荷重ロープ(3’)と、
両端部において横方向に張力をかけられた第二の上部耐荷重ロープ(4)および両端部において横方向に張力をかけられた第二の下部耐荷重ロープ(4’)と、
前記外側支持体(1a、1d)および前記内側支持体(1b、1c)の上端部に配置された上部ロープガイド要素(2a、2b、2c、2d)であって、前記第一の上部耐荷重ロープ(3)が、前記外側支持体(1a、1d)の前記ロープガイド要素(2a、2d)を通過する、上部ロープガイド要素(2a、2b、2c、2d)と、
前記外側底部要素および前記内側底部要素(16)の領域内に配置された下部ロープガイド要素(2b’、2c’)であって、前記第一の下部耐荷重ロープ(3’)が、前記外側底部要素の前記ロープガイド要素を通過する、下部ロープガイド要素(2b’、2c’)と
を備え、
前記第一の上部耐荷重ロープ(3)が、前記内側支持体(1b、1cの各々)の少なくとも1つの上部ロープガイド要素(2b)を通過し、かつ、それに隣接する前記内側支持体(1b、1cの各々)の上部ロープガイド要素(2c)を迂回し、
前記第二の上部耐荷重ロープ(4)が、前記外側支持体(1a、1d)の前記上部ロープガイド要素(2a、2d)および内側支持体(2c)の少なくとも1つの上部ロープガイド要素(2c)を通過し、かつ、隣接する内側支持体(1b)のロープガイド要素(2b)を迂回し、一方で、
前記第二の下部耐荷重ロープ(4’)が、前記外側底部要素の前記ロープガイド要素および内側底部要素(16)の少なくとも1つのロープガイド要素(2c’)を通過し、かつ、それに隣接する前記内側底部要素(16)のロープガイド要素(2b’)を迂回し、その結果、
前記内側支持体(1b、2c)の各上部ロープガイド要素(2bまたは2c)および前記内側底部要素(16)の各下部ロープガイド要素(2b’または2c’)が、前記第一の耐荷重ロープ(3もしくは3’)または前記第二の耐荷重ロープ(4もしくは4’)のみを通過させており、
隣接する外側支持体と内側支持体との間の、前記2本の上部耐荷重ロープ(3、4)および前記2本の下部耐荷重ロープ(3’、4’)が、接続要素(5)を介して接続されている
ことを特徴とする、安全ネット。
【請求項2】
前記案内ネットが、少なくとも1本の第一の中間耐荷重ロープ(13)および少なくとも1本の関連する第二の中間耐荷重ロープ(14)を備えることと、
前記安全ネットが、前記安全ネットに垂直に延在する引張り要素(7)を備え、前記引張り要素(7)が、前記内側支持体(1b、1c)より長く、かつ、それらの上端部および下端部により前記内側支持体(1b、1c)の上端部および下端部に固定され、かつ、前記第一の中間耐荷重ロープ(13)および前記第二の中間耐荷重ロープ(14)に対して自由に摺動可能であり、かつ、中間ロープガイド要素(15)を備えることと、
前記第一の中間耐荷重ロープ(13)および前記第二の中間耐荷重ロープ(14)が、それぞれ、隣接する中間ロープガイド要素(15)を交互に通過するか、またはそれらを迂回することと
を特徴とする、請求項1に記載の安全ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の安全ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で説明されている安全ネットでは、2本の上部ネット体懸架ロープおよび2本の底部ロープが、底部支持体内または底部支持体上で長手方向に摺動可能に案内され、全ての懸架ロープおよび底部ロープは、底部支持体の上端部および下端部に配置されたロープガイド要素を通過する。隣接する外側支持体と内側支持体との間に横たわるセクションが、懸架ロープ部分と呼ばれる。ネット体は、衝突、特により大きな石の衝突が生じた際に、基本的に懸架ロープ部分の範囲内でネット体に、したがって上部懸架ロープまたは底部ロープに荷重が印加されるように、各連続的な懸架ロープ部分において2本の上部懸架ロープのうちの他方および2本の底部ロープのうちの他方と接続され、それにより、好ましくない荷重分散、および、ネット体を通過する好ましくない力の流れがもたらされる。
【0003】
特許文献2は、安全ネットを説明しており、かみ合いリングからなるそのネット体は、少なくとも4つの支持体と4つの底部要素との間に延在する上部耐荷重ロープおよび下部耐荷重ロープ上に、ネット体の上部長手方向側および下部長手方向側のそれぞれに沿って、摺動可能に保持される。2本の耐荷重ロープは、支持体の上端部および下端部において、および、支柱を斜面または岩に繋留する底部要素のロープガイド要素内で、耐荷重ロープの長手方向に摺動可能に案内され、横方向に張力をかけられる。各支持体の領域内には、それぞれの支持体を迂回する走行ロープが設けられ、この走行ロープは、支持体の一方の側に対しては一方の端部により、また支持体の他方の側に対しては他方の端部によりネット体荷重ロープに取り付けられ、支持領域内で走行ロープにおいて摺動可能に保持される。
【0004】
別の知られた(非特許文献1に記載の)安全ネットでは、2種類のロープが、上部ネット長手方向側および下部ネット長手方向側のためにそれぞれ設けられる。上部耐荷重ロープストランドおよび下部耐荷重ロープストランドが、支持体の上端部におけるロープガイド要素により、また、底部要素の領域内のロープガイド要素により、それぞれ案内され、横方向に張力をかけられる。第2の種類の上部ロープおよび下部ロープは、外側支持体の上端部および外側底部要素のロープガイド要素においてのみ案内され、内側支持体および中間底板に割り当てられたロープガイド要素を迂回する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0484563号明細書
【特許文献2】欧州特許第1516964号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】欧州技術認証(ETA)第14/0362号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、現状の技術と比較して、落石が起きた際の改善された荷重分散と、ネット体を通過するより好ましい力の流れおよびより一様な変形構造とを得ることができる、安全ネットを作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の特徴部分の特徴は、この目的の解決法を提供する。
【0009】
本発明のさらに好ましい実施形態が、請求項2において扱われる。
【0010】
本発明は、
図3a、
図3bおよび
図4を参照しつつ、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1a】無荷重状態(unloaded state)における、ネット体の上部長手方向側の領域のみにおける、特許文献2で説明されている安全ネットのロープランの概略図である。
【
図1b】荷重が加えられた状態(loaded condition)における、
図1aに記載の安全ネットのロープランの図である。
【
図2a】無荷重状態における、ネット体の上部長手方向側の領域のみにおける、非特許文献1に記載の安全ネットのロープランの図である。
【
図2b】荷重が加えられた状態における、
図2aに記載の安全ネットのロープランの図である。
【
図3a】無荷重状態における、ネット体の上部長手方向側の領域のみにおける、本発明による安全ネットのロープランを概略的な形態で示す図である。
【
図3b】荷重が加えられた状態における、
図3aに記載の安全ネットのロープランの図である。
【
図4】無荷重状態における、
図3による安全ネットのロープランの概略拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1aに示した、無荷重状態における、特許文献2に記載の安全ネットでは、耐荷重ロープaは、全てのロープガイド要素bを通過する。追加的な走行ロープcが、ロープガイド要素bの両側上の点dに位置するそれらの端部により、耐荷重ロープaに固定される。図示されていないネット体は、耐荷重ロープaおよび走行ロープcに沿って摺動可能である。
【0013】
図1bは、荷重が加えられた状態における、特許文献2に記載の安全ネットを示す。
【0014】
図2aは、無荷重状態における、非特許文献1に記載の別の知られた安全ネットのロープランを示す。実線で示されている、横方向に張力をかけられた耐荷重ロープaは、全てのロープガイド要素(b1~b4)を通過する。破線で示されている、横方向に張力をかけられた耐荷重ロープdは、2つの外側ロープガイド要素(b1、b4)のみを通過し、2つの中間ロープガイド要素(b2、b3)を迂回する。耐荷重ロープ(a、b)の両方は、接続要素eを介して接続されている。
【0015】
図3a、
図3bおよび
図4は、未開示である、本発明による安全ネットの、ネット体の上部ネット長手方向側および下部ネット長手方向側の領域における、ロープランの概略図を示す。本発明はまた、2つまたは4つの内側支持体を有する安全ネットを含む。
【0016】
示したように、本発明による安全ネットは、2つの外側支持体(1a、1d)および2つの内側支持体(1b、1c)を備える。上部ロープガイド要素(2a、2b、2c、2d)が、外側支持体(1a、1d)および内側支持体(1b、1c)に設けられる。
【0017】
実線で示した、側端部において張力をかけられた第一の上部耐荷重ロープ3は、2つの外側上部ロープガイド要素(2a、2d)および内側上部ロープガイド要素2bを通過する。
【0018】
破線で示した、端部において横方向に張力をかけられた第二の上部耐荷重ロープ4は、2つの外側ロープガイド要素(2a、2d)および内側ロープガイド要素2cを通過する。
【0019】
図4には2つの内側支持体(1b、1c)のみを示しているが、外側支持体(1a、1d)および内側支持体(1b、1c)を斜面または岩に繋留するために、全ての外側支持体(1a、1d)および内側支持体(1b、1c)に底部要素16が設けられる。横方向に張力をかけられた第一の下部耐荷重ロープ3’および第二の下部耐荷重ロープ4’は、下部ロープガイド要素(2b’、2c’)の各々を交互に通過するか、または、
図4に示した態様で、それらのロープガイド要素(2b’、2c’)を交互に迂回する。
【0020】
欧州特許第3143209号明細書の教示によれば、
図4に示したように、引張りロープ(引っ張り要素)7と、少なくとも1本の第一の中間耐荷重ロープ13および少なくとも1本の関連する第二の中間耐荷重ロープ14とが設けられる。第一の中間耐荷重ロープ13および第二の中間耐荷重ロープ14は、端部において、横方向に張力をかけられる。
【0021】
中間ロープガイド要素15が、引張りロープ(引っ張り要素)7に取り付けられる。第一の中間耐荷重ロープ13および中間耐荷重支持ロープ(第二の中間耐荷重ロープ)14は、ネットの長手方向において、隣接する中間ロープガイド要素15を交互に通過するか、またはそれらを迂回する。
【0022】
第一の上部耐荷重ロープ3および第二の上部耐荷重ロープ4と、第一の下部耐荷重ロープ3’および第二の下部耐荷重ロープ4’とは、外側支持体(1a、1d)と内側支持体(1b、1c)との間に配置された接続要素5を介して、互いに接続される。
【0023】
「耐荷重ロープ」という用語は、また、いくつかの個々の耐荷重ロープを含む「耐荷重ロープストランド」を含む。
【国際調査報告】