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特表2023-527292超音波トランスデューサ治療デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサ治療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20230621BHJP
【FI】
A61N7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570529
(86)(22)【出願日】2021-05-14
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021032554
(87)【国際公開番号】W WO2021236455
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】16/879,649
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519214008
【氏名又は名称】ブレインソニックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー, マーク エバン
(72)【発明者】
【氏名】バイストリトスキー, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ショール, クリストファー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン, ジョゼフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
4C160JJ50
4C160MM32
(57)【要約】
本明細書の実施形態は、超音波トランスデューサを保持するためのトランスデューサホルダを含む、超音波治療デバイスを提供する。トランスデューサホルダは、トランスデューサが、異なる角度で、トランスデューサホルダによって保持されることを有効にするために、超音波トランスデューサのための複数の搭載位置を含む。例えば、いくつかの実施形態では、トランスデューサホルダは、トランスデューサホルダの内側表面上に、複数の搭載要素を含んでもよい。搭載要素は、例えば、内側表面上の隆起部または溝であってもよい。トランスデューサは、トランスデューサホルダ内にトランスデューサを保持するために、トランスデューサホルダの搭載要素と相互作用する、1つ以上の係止要素を含む、および/またはそれを具備してもよい。他の実施形態も、説明および請求され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波治療デバイスであって、
トランスデューサホルダであって、
円筒形である、内側表面を有する、円形本体と、
前記トランスデューサホルダの底部から、異なる高さで、前記内側表面の周囲に延在する、複数の噛合要素と
を含む、トランスデューサホルダと、
超音波トランスデューサに取り付けられるための係止アセンブリであって、前記係止アセンブリは、前記トランスデューサホルダに対して、選択された角度で、前記超音波トランスデューサを保持するために、それぞれ、前記複数の噛合要素のうちのいずれかと係合するように適合される、第1の係止要素および第2の係止要素を含む、係止アセンブリと
を備える、超音波治療デバイス。
【請求項2】
前記複数の噛合要素は、少なくとも第1の噛合要素と、第2の噛合要素と、第3の噛合要素とを含み、前記係止アセンブリは、
前記第1および第2の係止要素が、ともに、前記第1の噛合要素と係合されるとき、第1の角度で、前記超音波トランスデューサを保持し、
前記第1の係止要素が、前記第1の噛合要素と係合され、前記第2の係止要素が、前記第2の噛合要素と係合されるとき、第2の角度で、前記超音波トランスデューサを保持し、
前記第1の係止要素が、前記第1の噛合要素と係合され、前記第2の係止要素が、前記第3の噛合要素と係合されるとき、第3の角度で、前記超音波トランスデューサを保持する
ためのものである、請求項1に記載の超音波治療デバイス。
【請求項3】
前記第1の角度は、0度である、請求項2に記載の超音波治療デバイス。
【請求項4】
前記第2の角度は、2.5度であり、前記第3の角度は、5度である、請求項3に記載の超音波治療デバイス。
【請求項5】
前記噛合要素は、個別の溝または隆起部を含む、請求項1に記載の超音波治療デバイス。
【請求項6】
前記第1および第2の係止要素は、前記トランスデューサを定位置で保持するために、前記第1および第2の係止要素が、個別の搭載要素と係合される、延在された位置に付勢され、前記係止アセンブリはさらに、前記個別の搭載要素から、前記個別の第1および第2の係止要素を解放するために、前記第1および第2の係止要素を後退させられた位置まで移動させるように動作可能である、1つ以上のアクチュエータを含む、請求項1に記載の超音波治療デバイス。
【請求項7】
前記搭載要素は、相互に対して平行である、請求項1に記載の超音波治療デバイス。
【請求項8】
前記搭載要素は、前記内側表面の円周の少なくとも75%に延在する、請求項7に記載の超音波治療デバイス。
【請求項9】
前記係止アセンブリは、前記係止アセンブリを前記超音波トランスデューサに結合するためのねじを含み、それによって、前記係止アセンブリが、前記超音波トランスデューサに対して、回転移動可能である、請求項1に記載の超音波治療デバイス。
【請求項10】
前記ねじは、磁気共鳴撮像(MRI)において可視である、材料を含む、請求項9に記載の超音波治療デバイス。
【請求項11】
前記トランスデューサをさらに備える、請求項1-10のいずれか1項に記載の超音波治療デバイス。
【請求項12】
前記トランスデューサは、MRIにおいて可視である材料の1つ以上の部分を含む、請求項11に記載の超音波治療デバイス。
【請求項13】
音響パッドをさらに備え、前記音響パッドは、前記音響パッドを前記トランスデューサの底部部分と係合させるために、前記音響パッドの中に埋設される、リムを含む、請求項11に記載の超音波治療デバイス。
【請求項14】
超音波トランスデューサのためのトランスデューサホルダであって、前記トランスデューサホルダは、
円筒形である、内側表面を有する、円形本体と、
前記トランスデューサホルダの底部平面から、異なる高さで、前記内側表面の周囲に延在する、複数の溝であって、前記複数の溝のうちの個々の溝は、前記トランスデューサホルダに対して、複数の搭載角度のうちの選択された1つで、前記トランスデューサを保持するために、前記超音波トランスデューサの少なくとも1つの係止要素と係合するように適合される、複数の溝と
を備える、トランスデューサホルダ。
【請求項15】
前記複数の溝は、3つ以上の溝を含む、請求項14に記載のトランスデューサホルダ。
【請求項16】
前記複数の溝は、相互に対して平行である、請求項14に記載のトランスデューサホルダ。
【請求項17】
前記円形本体から外方向に延在する、複数のフランジをさらに備え、前記複数のフランジは、前記トランスデューサホルダを患者に固定するために、1つ以上のストラップに取り付けられるように適合され、前記複数のフランジのうちの少なくとも1つは、前記トランスデューサホルダの底部平面の上方に位置付けられる、請求項14に記載のトランスデューサホルダ。
【請求項18】
開口部を患者と1つ以上の部分との間に残すために、前記1つ以上の部分において、前記底部平面の上方に延在する、底部表面をさらに備える、請求項14-17のいずれか1項に記載のトランスデューサホルダ。
【請求項19】
超音波治療のためのシステムであって、前記システムは、
トランスデューサホルダであって、
円筒形である、内側表面を有する、円形本体と、
前記トランスデューサホルダの底部から、異なる高さで、前記内側表面の周囲に延在する、複数の噛合要素と
を含む、トランスデューサホルダと、
超音波ビームを生成するための超音波トランスデューサと、
係止アセンブリであって、前記係止アセンブリは、前記超音波トランスデューサに対して、前記係止アセンブリの回転を有効にするために、前記超音波トランスデューサの上部に回転可能に取り付けられ、前記係止アセンブリは、前記トランスデューサホルダに対して、選択された角度で、前記超音波トランスデューサを保持するために、それぞれ、前記複数の噛合要素のうちのいずれかと係合するように適合される、第1の係止要素および第2の係止要素を含む、係止アセンブリと
を備える、システム。
【請求項20】
前記トランスデューサホルダの前記複数の噛合要素は、少なくとも第1の噛合要素と、第2の噛合要素と、第3の噛合要素とを含み、前記係止アセンブリは、
前記第1および第2の係止要素が、ともに、前記第1の噛合要素と係合されるとき、0度の第1の角度で、前記超音波トランスデューサを保持し、
前記第1の係止要素が、前記第1の噛合要素と係合され、前記第2の係止要素が、前記第2の噛合要素と係合されるとき、第2の角度で、前記超音波トランスデューサを保持し、
前記第1の係止要素が、前記第1の噛合要素と係合され、前記第2の係止要素が、前記第3の噛合要素と係合されるとき、第3の角度で、前記超音波トランスデューサを保持し、前記第2および第3の角度は、ゼロではなく、前記第3の角度は、前記第2の角度よりも大きい、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記噛合要素は、個別の溝または隆起部を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記溝または隆起部は、相互に対して平行である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1および第2の係止要素は、前記トランスデューサを定位置で保持するために、前記第1および第2の係止要素が、個別の搭載要素と係合される、延在された位置に付勢され、前記係止アセンブリは、前記個別の搭載要素から、前記個別の第1および第2の係止要素を解放するために、前記第1および第2の係止要素を後退させられた位置まで移動させるように動作可能である、1つ以上のアクチュエータをさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
音響パッドをさらに備え、前記音響パッドは、前記音響パッドを前記トランスデューサの底部部分と係合させるために、前記音響パッドの中に埋設される、リムを含む、請求項19-23のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年5月20日に出願された、米国出願第16/879,649号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本明細書の実施形態は、超音波の分野に関し、より詳細には、超音波トランスデューサ治療デバイスならびに関連付けられるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
超音波治療は、神経学的疾患等の種々の疾患を治療するために使用される。治療の間、あるレベルの超音波エネルギーが、脳内の具体的な面積に送達される必要がある。超音波エネルギーは、頭蓋骨の骨を通して送達され、蓋骨内の所望の領域上に集束される必要がある。患者の頭蓋骨上の超音波トランスデューサの信頼可能な位置付けおよび照準化は、治療プロセスの重要な要件である。治療は、典型的には、脳を撮像し、操作者に、治療されるべき領域を示すために、磁気共鳴撮像(MRI)システムを使用して遂行される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書内の種々の実施形態は、超音波トランスデューサ(超音波プローブおよび/または伝送機とも称される)を保持するためのトランスデューサホルダを含む、超音波治療システムを提供する。トランスデューサホルダは、トランスデューサが、異なる角度で、トランスデューサホルダによって保持されることを有効にするために、超音波トランスデューサのための複数の搭載位置を含む。例えば、いくつかの実施形態では、トランスデューサホルダは、トランスデューサホルダの内側表面上に、複数の搭載要素を含んでもよい。搭載要素は、例えば、内側表面上の隆起部または溝、面ファスナ、および/または別の連結手段であってもよい。トランスデューサは、トランスデューサホルダ内にトランスデューサを保持するために、トランスデューサホルダの搭載要素と相互作用する、1つ以上の係止要素を含む、および/またはそれを具備してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、係止要素を提供するために、係止アセンブリが、トランスデューサに取り付けられ(例えば、その上に搭載され)てもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、係止要素は、トランスデューサを所望の位置の中に設置するために、(例えば、アクチュエータによって)後退させられ、次いで、対応する搭載要素の隆起部または溝と相互作用するように延在され、それによって、トランスデューサを所望の位置に保持し得る、後退可能要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、トランスデューサの係止要素は、ばね荷重式であってもよく、それによって、それらは、(例えば、手動で)圧力をアクチュエータに印加することによって後退させられ、次いで、アクチュエータから圧力を解放することによって、延在され得る。
【0006】
種々の実施形態では、トランスデューサホルダの搭載要素は、トランスデューサホルダの内側表面の周囲に、円形に延在する、円形要素であってもよい。一実施例では、複数の搭載要素が、相互に対して平行であってもよい。加えて、トランスデューサは、第1の係止要素と、第2の係止要素とを含んでもよい。故に、トランスデューサは、トランスデューサの第1および第2の係止要素を、トランスデューサホルダの同一搭載要素に、機械的に係止することによって、(搭載要素の平面に対して直角である方向に、トランスデューサホルダを通る中心線に対して)0度の角度で、トランスデューサホルダによって保持されてもよい。加えて、トランスデューサは、トランスデューサの第1の係止要素をトランスデューサホルダの第1の搭載要素に、およびトランスデューサの第2の係止要素をトランスデューサホルダの第2の搭載要素に、機械的に係合することによって、ある角度で、トランスデューサホルダによって保持されてもよい。
【0007】
トランスデューサホルダに対する、トランスデューサの角度は、第1および第2の搭載要素の間の間隔に基づいてもよい。トランスデューサホルダは、トランスデューサが配列され得る、可能性として考えられる角度のうちの所望の数を提供するために、2つ以上の搭載要素のうちの任意の好適な数を含んでもよい。例えば、トランスデューサホルダは、3つの異なる可能性として考えられる角度を提供するために、3つの搭載要素を含んでもよい。加えて、搭載要素の間の間隔は、0度、2.5度、および/または5度等の異なる可能性として考えられる角度に対して、所望の値を提供するように設計されてもよい。搭載要素の他の数、および/または可能性として考えられる角度の値が、種々の実施形態によって使用され得ることは、明白であろう。
【0008】
加えて、または代替として、搭載要素は、トランスデューサの角度が、異なる方向に照準化されることを有効にし得る。故に、トランスデューサによって生成される、超音波ビームの角度は、患者の所望の領域に向かって照準化され得る。例えば、いくつかの実施形態では、係止機構は、トランスデューサの角度が異なる方向に照準化されることを有効にするために、トランスデューサに対して回転され得る。
【0009】
他の実施形態では、個々の搭載要素は、トランスデューサに対して異なる角度を提供するために、相互に対して異なる角度(平行ではない)で、配置されてもよい。
【0010】
種々の実施形態では、トランスデューサホルダおよび/またはトランスデューサはさらに、トランスデューサの空間的配向が、MRI画像から判定されることを有効にする、基準マーカを提供するために、MRI画像において可視である材料から形成される、1つ以上の部分を含んでもよい。
【0011】
本明細書に説明される治療デバイスは、例えば、ツールを用いず、および/またはMRIシステム内またはその近傍での使用と互換性がある、ツールを用いて、超音波トランスデューサが、所望の角度および/または配向に、操作者によって容易に位置付けられることを有効にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
実施形態は、付随の図面および添付の請求項と併せて、以下の詳細な説明によって、容易に理解されるであろう。実施形態は、付随の図面の図において、限定のためではなく、一例として図示される。
【0013】
図1A図1Aは、種々の実施形態による、第1の角度(例えば、0度の角度)で、超音波トランスデューサを保持する、トランスデューサホルダを伴う、超音波治療デバイスを概略的に図示する。
【0014】
図1B図1Bは、種々の実施形態による、トランスデューサからの超音波ビームの経路を示す、図1Aの超音波治療デバイスを図示する。
【0015】
図2A図2Aは、種々の実施形態による、第2の角度(例えば、5度の角度)で、超音波トランスデューサを保持する、トランスデューサホルダを伴う、超音波治療デバイスを図示する。
【0016】
図2B図2Bは、種々の実施形態による、トランスデューサからの超音波ビームの経路を示す、図2Aの超音波治療デバイスを図示する。
【0017】
図3図3は、種々の実施形態による、超音波治療デバイスの分解図である。
【0018】
図4A図4Aは、種々の実施形態による、トランスデューサホルダの第1の斜視図を図示する。
【0019】
図4B図4Bは、種々の実施形態による、図4Aのトランスデューサホルダの第2の斜視図を図示する。
【0020】
図4C図4Cは、種々の実施形態による、図4Aのトランスデューサホルダの側面図を図示する。
【0021】
図4D図4Dは、種々の実施形態による、図4Aのトランスデューサホルダの上面図を図示する。
【0022】
図4E図4Eは、種々の実施形態による、図4D内の線A-Aに沿った、トランスデューサホルダの断面図を図示する
【0023】
図5図5は、種々の実施形態による、第1の角度(本実施例の場合、0度の角度)で、トランスデューサホルダによって保持される、トランスデューサの断面図を図示する。
【0024】
図6図6は、種々の実施形態による、第2の角度(本実施例の場合、5度の角度)で、トランスデューサホルダによって保持される、トランスデューサの断面図を図示する。
【0025】
図7図7は、種々の実施形態による、第2の角度(本実施例の場合、5度の角度)で、トランスデューサホルダによって保持される、トランスデューサを伴う、超音波治療デバイスの上方斜視図である。
【0026】
図8図8は、種々の実施形態による、トランスデューサに取り付けられ、音響的に結合される、音響パッドの底部斜視図を図示する。
【0027】
図9図9は、トランスデューサに隣接する、音響パッドの位置の維持を促進するために、音響パッドと機械的に関連付けられ得る(例えば、その中に埋設される)、リムの上面図および部分的な斜視図を図示する。
【0028】
図10図10は、種々の実施形態による、対象の耳との関係における、トランスデューサを図示する、磁気共鳴撮像(MRI)画像である。
【0029】
図11図11は、種々の実施形態による、整合プロセスを実証するために、MRI画像を図示する。
【0030】
図12図12は、種々の実施形態による、水中で撮影された水中聴音器の測定値に基づいて、焦点場所を示すための楕円を伴う、図11からのMRI画像を図示する。
【0031】
図13A図13Aは、種々の実施形態による、標的化プロセスを図示するためのMRI画像である。
【0032】
図13B図13Bは、種々の実施形態による、超音波治療に応答して、脳血流における、低強度集束超音波脈動(LIFUP)の誘起変化を示す、MRI画像である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(開示される実施形態の詳細な説明)
以下の詳細な説明では、その一部を形成する、付随の図面に対して、参照が行われ、その中で、これは、実践され得る例証実施形態として示される。他の実施形態も、利用され得、構造的または論理的変更が、その範囲から逸脱することなく、成され得ることは理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味合いにおいて、解釈されるべきではない。
【0034】
種々の動作が、順に、実施形態を理解する際に役立ち得る様式で、複数の別々の動作として、説明され得るが、しかしながら、説明の順序は、これらの動作が、順序依存的であることを意味するように解釈されるべきではない。
【0035】
本説明は、上/下、後/前、および上部/底部等の遠近感ベースの説明を使用し得る。そのような説明は、単に議論を促進するために使用され、開示される実施形態の用途を制限することを意図されない。
【0036】
用語「結合される(coupled)」および「接続される(connected)」は、その派生語とともに、使用され得る。これらの用語は、相互に対する同義語として意図されないことを理解されたい。むしろ、特定の実施形態では、「接続される(connected)」は、2つ以上の要素が、相互と直接物理的または電気的な接触状態にあることを示すために使用され得る。「結合される(coupled)」は、2つ以上の要素が、直接物理的または電気的な接触状態にあることを意味し得る。しかしながら、「結合される(coupled)」はまた、2つ以上の要素が、相互と直接的な接触状態にないが、なおも依然として、相互と協働または相互作用することも意味し得る。加えて、用語「音響的に結合される(acoustically coupled)」は、2つ以上の要素が、波動または別のタイプの信号等の信号(例えば、超音波信号)が、1つ要素から別の要素へ通過することを有効にするように配列されることを説明するために、本明細書内で使用され得る。
【0037】
説明の目的のために、「A/B」という形態、または「Aおよび/またはB(A and/or B)」という形態の語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。説明の目的のために、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ(at least one of A, B, and C)」という形態の語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)を意味する。説明の目的のために、「(A)B」という形態の語句は、(B)または(AB)、すなわち、Aは、随意の要素であることを意味する。
【0038】
本説明は、用語「実施形態(embodiment)」または「実施形態(embodiments)」を使用し得、これは、それぞれ、同一のまたは異なる実施形態のうちの1つ以上を指し得る。さらに、用語「~を備える(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」、および同等語は、実施形態に対して使用されるとき、同義語であり、概して、「非制限的」用語として意図される(例えば、用語「~を含む(including)」は、「~を含むが、それに限定しない」として解釈されるべきであり、用語「~を有する(having)」は、「少なくとも~を有する」として解釈されるべきであり、用語「~を含む(includes)」は、「~を含むが、それに限定しない」として解釈されるべきである、等)。
【0039】
本明細書内の任意の複数形および/または単数形の用語の使用に関しては、文脈および/または用途に対して適切であるとき、当業者は、複数形から単数形へ、および/または単数形から複数形へ変換することができる。種々の単数形/複数形の置換が、明瞭性のために、本明細書内で明示的に述べられ得る。
【0040】
これらの実施形態および他の実施形態は、図を参照して、下記にさらに詳細に説明されるであろう。
【0041】
図1Aは、種々の実施形態による、超音波治療デバイス50(「デバイス50」)を概略的に図示する。デバイス50は、トランスデューサホルダ10の中心を通して、基準線40に対する所望の角度で、トランスデューサ30を保持するために、トランスデューサ30と係合する、トランスデューサホルダ10を含んでもよい。例えば、0度の角度で保持される、トランスデューサが、図1Aに示される。
【0042】
種々の実施形態では、デバイス50はさらに、トランスデューサホルダ10(したがって、トランスデューサ30)を患者60に固定するために、トランスデューサホルダ10に取り付けられる、1つ以上のストラップ15を含んでもよい。デバイス50はさらに、トランスデューサ30からの超音波エネルギーを患者60に音響的に結合するために、トランスデューサ30と患者60との間に位置付けられる、音響パッド20(例えば、固体ゲルパッド)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、付加的な音響材料(例えば、液体ゲル)が、患者60と音響パッド20との間に適用されてもよい。
【0043】
図1Bは、種々の実施形態による、トランスデューサ30が、超音波ビーム70を生成しているときのデバイス50を概略的に図示する。いくつかの実施形態では、トランスデューサ30は、(例えば、図1Bに示されるように、略円錐形を伴って)球状に集束された超音波ビームを提供するために、円形の単一要素トランスデューサであってもよい。超音波伝搬の当業者は、図1Bに示される円錐形が、概略的な表現であり、実際の超音波ビームは、例示の単純な円錐形よりも複雑であることを理解するであろう。
【0044】
図2Aは、基準線40に対して5度の角度で、トランスデューサホルダ10によって(例えば、その中に)保持される、トランスデューサ30を伴う、デバイス50を図示する。角度付けられた音響パッド22は、トランスデューサ30と患者60との間の空間を実質的に充填し、トランスデューサ30から患者60に、音響伝達を提供するために、トランスデューサ30が、ある角度で配向されるときに使用されてもよい。
【0045】
図2Bは、5度の角度で保持される間、トランスデューサ30によって生成される、超音波ビーム70を図示する。患者60に向かって上向きに指向する、超音波ビーム70が、図2Bに示されるが、トランスデューサ30の角度は、異なる方向に、ビーム70を照準化するように方向付けられ得る。
【0046】
図3は、種々の実施形態による、超音波治療デバイス150(「デバイス150」)の分解図である。デバイス150は、より詳細に、デバイス50の一例示的実装を描写し得る。デバイス150は、(トランスデューサホルダ10に対応し得る)トランスデューサホルダ100と、(トランスデューサ30に対応し得る)超音波トランスデューサ300とを含んでもよい。デバイス150はさらに、所望の配向に、トランスデューサ300をトランスデューサホルダ100に結合するために、係止アセンブリ400を含んでもよい。加えて、デバイス150は、トランスデューサ300(例えば、トランスデューサ300と患者60との間に位置付けられることになる、トランスデューサ300の底部)に結合される、音響パッド200(例えば、ゲルパッド)を含んでもよい。
【0047】
図4A-4Eは、トランスデューサホルダ100の付加的な図を図示する。図5は、さらに下記に議論されるように、0度の角度で、トランスデューサホルダによって(例えば、その中に)保持される、トランスデューサ300の断面図を図示する。加えて、図6は、5度の角度で、トランスデューサホルダ100によって(例えば、その中に)保持される、トランスデューサ300の断面図を図示する。さらに、図7は、5度の角度で、トランスデューサホルダ100によって保持される、トランスデューサ300を伴う、デバイス150の斜視図である。
【0048】
図4A-4Eに示されるように、トランスデューサホルダ100は、トランスデューサホルダ100の本体104から外に延在し、開口部106a-dを含む、フランジ102a-dを含んでもよい。フランジ102a-dは、例えば、1つ以上のストラップ(図4A-4Eに図示せず)を使用して、トランスデューサホルダ100が、患者に結合されることを有効にし得る。例えば、1つ以上のストラップは、図1A-Bおよび2A-Bに示される、ストラップ15および/または図7に示されるストラップ115と類似してもよい。4つのフランジ102a-dは、トランスデューサホルダ100が、2つの方向に、患者の周囲に進行する、ストラップを用いて、患者に結合されることを有効にし得る。例えば、一方のストラップは、患者の前額部を横断して、患者の頭部の後面の周囲に進行し、もう一方のストラップは、患者の頭部の上部の周囲に、かつ患者の顎の下に進行してもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、フランジ102a-dのうちの1つ以上は、トランスデューサホルダ100が、患者に固定されるとき、患者と接触した状態にある、トランスデューサホルダ100の底部平面の上方に位置付けられてもよい。例えば、図4A-4Eに示されるように、フランジ102b-dは、底部平面から(下記にさらに議論されるように、開口部114の下方にある)フランジ102aよりも高い高さ(例えば、同一の高さ)で位置付けられてもよい。加えて、いくつかの実施形態では、底部表面108のうちの1つ以上の部分112は、患者との接触平面から上に延在してもよい。いくつかの実施形態および/または使用事例では、トランスデューサホルダ100のこれらの特徴は、トランスデューサホルダ100が、患者の耳を覆って、快適に嵌合することを有効にし得る。
【0050】
加えて、または代替として、フランジ102a-dは、トランスデューサホルダ100の周囲に、例えば、トランスデューサホルダ100の中心を通して、垂直平面に対して対称に配向されてもよい。例えば、フランジ102bおよび102dは、図4A-Bおよび4D-Eに示されるように、対称に位置してもよい。これは、トランスデューサホルダ100が、患者の頭部の両側で使用されることを有効にし得る。
【0051】
他の実施形態が、フランジ102-dの異なる数および/またはフランジの異なる位置(例えば、接触平面からの高さおよび/またはトランスデューサホルダ100の周囲の角度場所)を含み得ることは、明白であろう。例えば、フランジ102a-dの数および/または位置は、患者の身体上の異なる場所上でのトランスデューサホルダの使用のために修正されてもよい。
【0052】
トランスデューサホルダ100はさらに、スロット116を伴う、開口部114を含み、トランスデューサ300が、トランスデューサホルダ100内に設置され、適切な位置にある間に開口部114を通して退出するとき、(下記にさらに議論される)トランスデューサ300のケーブルがスロット116通して通過することを有効にし得る。
【0053】
種々の実施形態では、トランスデューサホルダ100は、トランスデューサホルダ100の内側表面118上に、複数の噛合要素110a-cを含んでもよい。噛合要素110a-cは、下記にさらに議論されるように、トランスデューサ300をトランスデューサホルダ100内に保持するために、トランスデューサ300の係止要素と係合し得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、噛合要素110a-cは、図3-6に示されるように、溝を含んでもよい。いくつかの実施形態では、溝は、相互に対して平行であってもよい。溝は、例えば、スロット116によって中断される、トランスデューサホルダの内側表面118の全てまたは大部分の周囲に延在してもよい。例えば、溝は、円周の少なくとも90%等、内側表面118の円周の少なくとも約75%に延在してもよい。個々の溝は、それらの間に個別の溝を形成する、対の隆起部によって形成されてもよい。例えば、4つの隆起部が、3つの溝を形成してもよい。噛合要素110a-cおよび対応する係止要素4222a-bの他の設計および/または物理的属性も、使用され得ることは明白であろう。
【0055】
トランスデューサホルダ100は、ウレタンメタクリル樹脂等の任意の好適な材料を含んでもよい。本材料は、剛性、軽量、MRIの安全性、およびMRI画像における可視性の望ましい組み合わせを提供し得る。しかしながら、他の材料も、ウレタンメタクリル樹脂に加えて、またはその代わりに、トランスデューサホルダ100内に含まれる得ることは、明白であろう。いくつかの実施形態では、トランスデューサホルダ100は、3次元(3D)印刷によって生成され得る。
【0056】
種々の実施形態では、トランスデューサ300は、患者に送達されることになる、超音波エネルギーを生成し得る。例えば、トランスデューサ300は、制御界面305(例えば、ケーブル)を介して受信される、電気的駆動信号によって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、ケーブルは、トランスデューサ300を動作する、電子駆動デバイスに接続するために、少なくとも3メートルの長さであってもよい。いくつかの実施形態では、トランスデューサ300は、球状に集束された超音波ビームを提供するために、円形の単一要素トランスデューサであってもよい。例えば、トランスデューサ300は、中空シリンダの形状であってもよい。
【0057】
異なるトランスデューサ300は、デバイス150の他の要素を併用してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、デバイス150は、同一の開口(例えば、60mmまたは別の好適な開口)、および異なる焦点距離(例えば、55mm、65mm、80mm、および/または別の好適な値の公称曲率半径(ROC))を有する、異なるトランスデューサ300を採用してもよい。異なる焦点距離は、脳の異なる領域を標的化するために使用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ300は、所望の帯域幅(例えば、約21%または低電力非撮像目的に対する別の好適な値)を提供するために、低損失バッキングを伴う、1-3圧電性材料を使用してもよい。測定された焦点ピーク圧力場所は、典型的には、公称トランスデューサROCよりも1~2mm浅いことが見出されている。
【0059】
トランスデューサ300の他のタイプおよび/または構成も、用途および/または治療に応じて使用され得ることは明白であろう。例えば、トランスデューサ300は、任意の好適な直径、周波数、および/または焦点距離を有してもよい。
【0060】
トランスデューサ300は、トランスデューサ300の上部開口部を覆う、カバープレート320を含んでもよい。トランスデューサ300は、トランスデューサ300の空間的配向の判定を有効にする、基準マーカを提供するために、MRI画像上で可視である(例えば、明るい)材料から形成される、1つ以上の部分を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、トランスデューサ300上の環310(例えば、トランスデューサ300内の開口部の内側上部縁)および/またはカバープレート320上の環330は、MRI可視材料を含んでもよい。MRI可視材料は、MRI画像上で可視であり、スチレンブロックポリマー等のMRI撮像と互換性がある、任意の好適な材料であってもよい。
【0061】
カバープレート320はさらに、係止アセンブリ400をトランスデューサ300に結合する、ねじ440を受容するために、レセプタクル340を含んでもよい。係止アセンブリ400は、係止要素422a-bを含む、係止プレート420を含んでもよい。係止要素422a-bは、係止プレート420の中心に向かって、個別のアクチュエータ424a-bを引動することによって、延在された位置から後退させられた位置まで、後退可能であり得る。係止要素422a-bは、個別のアクチュエータ424a-b上の圧力が、解放されるとき、後退させられた位置から延在された位置まで移動するように、ばね荷重式であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、係止プレート420は、(例えば、ねじ405を使用して)筐体プレート410と430との間に位置付けられてもよい。係止アセンブリ400は、ねじ440によって、トランスデューサ300に取り付けられてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、ねじ440は、スチレンブロックポリマー等のMRI可視材料を含んでもよい。故に、ねじ440は、(例えば、環310および330に加えて、またはその代わりに)トランスデューサ300の位置/配向を判定するために、基準マーカを提供し得る。いくつかの実施形態では、ねじ440は、MRI可視材料で充填される、(例えば、ねじの中心に)空洞を含んでもよい。
【0064】
種々の実施形態では、係止要素422a-bは、トランスデューサ300を、所望の角度で、トランスデューサホルダ100に対して保持するために、トランスデューサホルダ100の搭載要素110a-cと相互作用してもよい。例えば、係止要素422a-bは、後退させられ、次いで、搭載要素110a-cのうちの1つの溝の中に延在し得る。いくつかの実施形態では、係止要素422a-bは、トランスデューサホルダ100に対して、トランスデューサ300を第1の角度(例えば、0度)で保持するために、同一の搭載要素110a、110b、または110cと結合してもよい。代替として、係止要素422aおよび422bは、トランスデューサホルダ100に対して、異なる(例えば、非ゼロ)角度で、トランスデューサ300を保持するために、異なる搭載要素110a-cに結合されてもよい。例えば、トランスデューサホルダ100に対して、第2の角度で、トランスデューサを位置付けるために、係止要素422aは、搭載要素110aと係合されてもよく、係止要素422bは、搭載要素110bと係合されてもよい。加えて、トランスデューサホルダ100に対して、第3の角度で、トランスデューサ300を保持するために、係止要素422aは、搭載要素110aと係合されてもよく、係止要素422bは、搭載要素110cと係合されてもよい。第3の角度は、第2の角度よりも大きくあり得る。例えば、一実施形態では、第1の角度は、0度であり得、第2の角度は、2.5度であり得、および/または第3の角度は、5度であり得る。
【0065】
第2および第3の角度の値は、搭載要素110a-c間の間隔に基づいてもよい。加えて、可能性として考えられる角度の数は、搭載要素110a-cの数に基づいてもよい。他の実施形態も、可能性として考えられる搭載角度の異なる数を提供するために、搭載角度の異なる値および/または搭載要素110a-cの異なる数を提供するために、搭載要素110a-c間の異なる間隔を使用し得ることは、明白であろう。
【0066】
種々の実施形態では、トランスデューサ300の非ゼロ角度は、0度の角度と比較して、超音波ビームの焦点区域の場所を偏移させ得る。例えば、80mmの公称焦点距離に関し、偏移は、2.5度の角度に対しては3.5mmであり、5度の角度に対しては7mmである。本実施例では、焦点区域が、約4.4mm幅であり得るため、7mmの偏移は、ビーム径の1.6倍、すなわち、3.2×ビーム半径の偏移に変換される。2.5度の角度が、隣接する場所への焦点領域のほぼ完全な偏移を遂行し、5度のオフセットが、焦点を完全に別の場所へ移動させる。偏移は、焦点距離を用いてスケーリングされ、したがって、偏移の値は、他の焦点距離に対して異なるであろう。
【0067】
当業者は、搭載要素(例えば、溝)110a-cの間隔が、例えば、トランスデューサ300の焦点距離および焦点領域の直径に応じて、所望され得るように、焦点区域の対応する偏移を提供するように配列され得ることを理解するであろう。ビーム径の2分の1よりも小さい偏移(同等に、ビーム半径よりも小さい偏移)は、脳内の刺激領域を著しく変化させるために、偏移が十分ではあり得ないため、有用ではない場合がある。同様に、大きすぎる角度は、ビーム伝送に悪影響を及ぼす、頭蓋骨内の剪断波を作成し得る。
【0068】
種々の実施形態では、トランスデューサ300および/または係止アセンブリ400は、(例えば、トランスデューサ300が、非ゼロ角度で配向されるとき)所望の方向に、超音波ビームを指向するように回転され得る。本回転は、相互に平行である、搭載要素110a-cによって促進され得る。しかしながら、他の実施形態は、(平行ではない)異なる角度で配置される、2つ以上の搭載要素110a-cを含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、係止アセンブリ400(例えば、係止プレート420)は、トランスデューサ300が、角形成の異なる方向で搭載されることを有効にするために、トランスデューサ300に対して回転し得る。これは、トランスデューサ300自体が、トランスデューサホルダ100の開口部114と整合されることになる、制御界面305および/または関連付けられるケーブルを用いて、ある位置を維持することを有効にし得る。
【0070】
上記に議論されるように、音響パッド200は、トランスデューサ300から患者への超音波エネルギーの通過を促進するために、トランスデューサ300と患者との間に配置されてもよい。音響パッド200は、トランスデューサホルダ100の底部内に嵌合し得る。いくつかの実施形態では、音響パッド200は、トランスデューサ300が、その角度で配向されるとき、音響結合を提供するために、ある角度(例えば、上記に説明される、第1、第2、または第3の角度)で、予め形成されてもよい。故に、異なる音響パッド200が、トランスデューサ300の異なる角度に対して使用され得る。いくつかの実施形態では、音響パッド200は、それらが提供する角度に従って、色分けされてもよい。
【0071】
音響パッド200は、音響ゲルを含む、および/または具備してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、音響ゲルは、音響パッド200の片側または両側に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、音響パッド200は、スチレンブロックポリマーおよび/またはMRI画像において可視である、別の材料を含んでもよい。音響パッド200のMRI可視性は、トランスデューサ300の位置付けを判定するために、別の参照源を提供し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、音響パッド200は、トランスデューサ300に隣接して、定位置に音響パッド200を維持するために、音響パッド200の上部表面と機械的に関連付けられる(例えば、その中に埋設される)、リム210を含んでもよい。例えば、リム210は、トランスデューサ300の底部縁上の対応するリムと結合され得る。リム210は、超音波ビーム70の経路内に存在しないように、リム210の材料組成の選定またはリム210の内径の選択のいずれかによって、トランスデューサ300から患者60に向かう、超音波信号の伝搬に干渉しないように設計されてもよい。
【0073】
図8は、トランスデューサ300の底部上に位置付けられる、音響パッド200の底部斜視図であり、トランスデューサの底部リム350と係合される、リム210を示す。リム210は、音響パッド200が、トランスデューサの底部表面から滑落しないように阻止し得、これは、特に、トランスデューサ300の角度付けられた位置で起こる傾向があり得る。
【0074】
図9は、いくつかの実施形態による、リム210をより詳細に図示する。例えば、リムは、複数の接続部分208によって接続される、2つの円形部分204を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リム210はさらに、音響パッド200の角度付けられた傾きの方向の判定を有効にするために、整合特徴215を含んでもよい。例えば、整合特徴215は、音響パッド200の最厚部分と整合されてもよい。整合特徴215は、0度の音響パッド200に対しては必要とされ得ない。整合特徴215は、リム210の他の接続部分208とは異なる接続部分等、視覚的に区別可能である、物理的特徴であってもよい。
【0075】
リム210は、任意の好適な材料から作製されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、リム210は、Fused Deposition Modeling (FDM) Ultem 9085等のプラスチックから作製、例えば、3D印刷されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、基準マーキング特徴は、加えて、または代替として、トランスデューサ300(例えば、カバープレート320等のトランスデューサ300の後面)に結合される、光学的感知特徴を含む。光学的感知特徴は、トランスデューサ300の後方の空間内に、三角形または他のパターンで配列される、複数の小さな球状標的等の個々の標的を含んでもよい。標的は、1つ以上のカメラ等の1つ以上の光学的検出デバイスによって撮像されてもよい。これらの光学標的の位置をトランスデューサ300の既知の中心軸と比較することによって、MRIシステムを使用することなく、患者の頭部または他の身体部分に対して相対的に空間内でトランスデューサ300を整合させることが可能である。そのような光学システムは、患者の頭部の空間的場所に関する情報を必要とし得、これは、先に述べられた光学標的、ならびにMRIまたは医学的CTスキャン等の別個に取得されたスキャンからの患者の脳または他の身体部分のいくつかの内部マッピングを用いて行われ得る。
【0077】
当業者は、トランスデューサ300、ホルダ100、および/または患者上に設置されることになる、バーコード、QRコード(登録商標)、発光ダイオード(LED)、または他のパターン等、そのような外部光学マーキングの他の方法が存在することを認識するであろう。
【0078】
当業者はまた、複数のカメラによって視認される外部LED、または複数のマイクロホンによって検出される外部音源等、トランスデューサの位置付けの別の方法も、使用され得ることも認識するであろう。
【0079】
さらに、基準マーキングシステムのさらなる拡張は、トランスデューサの要求される位置および角度を判定するために、患者の頭部または他の身体領域に関する外部の物理的測定値を使用し得る。
【0080】
本明細書の種々の実施形態による、本明細書に説明される、デバイス150は、トランスデューサ300の角度が、トランスデューサホルダ100に対する角度の所定のセットのうちの1つであるように、容易に調節されることを有効にし得る。加えて、搭載要素110a-cの円周の性質は、トランスデューサの角度付けられたビームが、所望の方向に指向されることを有効にする。例えば、係止アセンブリ400は、所望の方向に、角度付けられたトランスデューサ300を指向するように回転され得る。
【0081】
さらに、デバイス150のコンパクトな設計は、デバイス150が、MRIの頭部コイル内で使用されることを有効にし得る。加えて、デバイス150は、環310および/または330、ねじ440、ならびに/もしくは音響パッド200等の統合された基準マーカを含んでもよい。
【0082】
(実験結果)
図10-13は、種々の実施形態による、本明細書に説明されるデバイス(例えば、デバイス50および/またはデバイス150)および方法を使用して取得された、実験結果を図示する。図10-13は、本明細書に開示される、トランスデューサ300およびトランスデューサホルダ100を伴う、低強度集束超音波脈動(LIFUP)を使用して治療を受けている、検査対象のMRI画像である。基準環に対して完全に直角である、MRI画像は、入手されなかったが、標的化を促進するために、入手後に回転された。図10は、対象の耳500との関係における、トランスデューサ300を示す。2つの基準環310および330は、画像において、明確に可視である。
【0083】
図11は、整合プロセスを図示する。同心状環(基準マーカ310および330)の中心は、超音波ビームの軸に位置する(左上画像)。右上および下の画像の線1105は、環310および330、ならびにトランスデューサ300の平面を正確に説明する。中心ねじ440を通して、環の平面に対して直角に描かれた線(例えば、右上および下の画像の線1110)は、中心音響軸を確立した。脳内の音響集束の位置は、基準マーカを使用して判定された音響軸の線に沿って設置される、(臨床状況によって要求されるようなトランスデューサ300の設計特性に依存する)測定されたトランスデューサの焦点深度を使用して推定されることができる。音響結合のために使用されるゲルパッドもまた、MRI画像内で高度に可視であり、トランスデューサおよび頭蓋骨表面の正確な位置を判定することを容易にする。
【0084】
図12は、水中で撮影された水中聴音器の測定値に基づいて、焦点場所を表す、楕円を伴う、図11の画像のオーバーレイを示す。原位置における実際の焦点区域は、(骨からの歪曲に起因して)幅がより広く、(伝搬の方向に沿った超音波の減衰に起因して)深さがより浅いであろう。しかしながら、これは、操作者に、高周波音波を当てられるべき体積の一般的な感覚を与える。図12のような画像に基づいて、操作者は、トランスデューサ300が、脳内の所望の場所で照準化されるかどうかを判定し得る。所望の場所は、治療されるべき患者の病状に依存する。
【0085】
図13Aおよび13Bは、低強度集束超音波脈動(LIFUP)を使用した、脳組織の局所的刺激の実施例を示す。これは、IRB承認研究(IRB:18-000104)の下、採用された、単一の対象からの代表的なサンプル画像である。図13Aは、線1305によって示される、音響軸の中心を伴って、標的化プロセスを示す(図11との比較)。本研究で使用されるトランスデューサに対する、焦点領域(65mm)の近似場所を示すために、別個の線1310が、重ね合わせられる。これは、図12に正確に説明される、楕円形領域の中心に対応する。
【0086】
図13Bは、Siemens 3T Prismaスキャナを使用して収集される、パルス式動脈スピンラベリング(1.5×1.5×3mmボクセル、TR=4600ms、TE=16.8ms、TI=1990ms、BD=700ms、FAIR QII灌流、3DターボGRASEシーケンス、ターボ係数=20)を使用して、測定されたときの脳血流(CBF)におけるLIFUPの誘起変化を示す。ASL画像は、LIFUP刺激の前後に入手される。その結果として生じるシーケンスは、FSL v6.0.1(FMRIB Software Library,Oxford,UK)を使用して処理され、次いで、差分画像を作成するために差し引かれる。これは、次いで、図13Bに見られる画像を生成するために、高分解能構造T1加重画像上にオーバーレイされる。
【0087】
本研究で使用されるトランスデューサは、65mmの焦点深度を有し、61mmの直径を伴う。超音波伝送パラメータは、942mW/cmspta.0(720mW/cm Ispta.)、100Hz PRF、5%デューティサイクル、0.71 MPa pr.0、および1回10分間の治療ブロックにわたって30秒オン/30秒オフであった。内嗅皮質における、その結果として生じる変化は、焦点領域内にある。集束点近傍での活性化は、LIFUPの直接的効果であると推定されるが、他の活性化は、焦点領域の機能的接続性を介した間接的効果であると推定される。本特定の断面における、見掛け活性化のうちのいくつかは、脳自体に存在しないことに留意されたい。
【0088】
ある実施形態が、本明細書に図示および説明されているが、同一の目的を達成するために計算される、多種多様な代替および/または同等の実施形態または実装が、その範囲から逸脱することなく、示され、説明される実施形態に代用され得ることは、当業者によって理解されるであろう。当業者は、実施形態が、非常に多種多様な方法で実装され得ることを容易に理解するであろう。本適用は、本明細書に議論される、実施形態の任意の適合例または変形例を網羅することが意図される。したがって、実施形態が、請求項およびその同等物によってのみ限定されることが顕現的に意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
【国際調査報告】