(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】飲料容器用バルブ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20230621BHJP
B67D 1/14 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D1/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570696
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 NL2021050320
(87)【国際公開番号】W WO2021235934
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591211799
【氏名又は名称】ハイネケン サプライ チェーン ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】Heineken Supply Chain B.V.
【住所又は居所原語表記】Tweede Weteringplantsoen21 1017 ZD Amsterdam The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンデリクス・ヒルフェルト・ルース
(72)【発明者】
【氏名】フランス・ヴィーベ・ローゼボーム
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・オンネキンク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンデル・パチェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・ロジエ・デ・ヴリンド
(72)【発明者】
【氏名】アリー・マールテン・パーウベ
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082BB02
3E082CC01
3E082DD00
3E082FF05
(57)【要約】
飲料容器(100)用バルブ(1)は、容器開口部にバルブ(1)を装着するための取付要素(10)を備えている。取付要素(10)は、取付要素(10)を通る流体通路(12)を形成する内側から外周側に向けて半径方向に延在し、容器開口部における容器縁部をシールしている。取付要素(10)は、ハウジング上壁(22)からハウジング底壁(23)まで軸方向に延在しているハウジング側壁(21)を有するバルブハウジング(20)に結合されている。ハウジング上壁(22)は、取付要素(10)に対してシールされ、流体通路(12)と整列された飲料出口開口部(25)を有している。ハウジング側壁21は、飲料導入口を有している。バルブ本体(30)は、飲料出口開口部(25)を閉鎖する第1の位置から、飲料出口開口部(25)を通る流体接続を開放する第2の位置まで、バルブハウジング(20)内で軸方向に移動可能である。バルブ本体(30)は、第1の位置で飲料出口開口部(25)に固定的に収容され、側壁の飲料入口開口部の少なくとも一部を越えて軸方向に飲料出口開口部(25)から第2の位置へ移動可能な閉鎖上端部(31)を有している。バルブ本体(30)は、閉状態の上端部(31)からハウジング底壁(23)方向に軸方向に延在している下端部(32)を更に備え、下端部は、少なくとも第2の位置においてハウジング(20)の内側表面に当接するように配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器用のバルブであって、
飲料容器の容器開口部にバルブを装着するための取付要素を備え、
- 該取付要素は、前記容器開口部の容器縁部に対してシールするために、前記取付要素を通る流体通路を形成する内側から外周側へ半径方向に延在しており、
- 前記取付要素はバルブハウジングに結合されており、該バルブハウジングが、前記取付要素に対してシールされたハウジング上壁からハウジング底壁まで軸方向に延在しているハウジング側壁を備え、
- 前記ハウジング上壁は、前記流体通路と整列された飲料出口開口部を有し、
- 前記ハウジング側壁は、飲料入口開口部を有し、
- バルブ本体は、前記バルブハウジング内で、前記飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から、前記飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置まで軸方向に移動可能である、
バルブにおいて、
前記バルブ本体が、前記第1の位置で前記飲料出口開口部に固定的に収容され、前記ハウジング側壁における前記飲料入口開口部の少なくとも一部を越えて軸方向に前記飲料出口開口部から前記第2の位置へ移動することができる閉鎖された上端部と、
閉鎖された前記上端部から前記ハウジング底壁の方向に軸方向に延在している下端部であって、該下端部が少なくとも前記第2の位置で前記バルブハウジングの内側表面に接触するように配置された下端部と、
を備えている、ことを特徴とするバルブ。
【請求項2】
前記バルブ本体の閉鎖された前記上端部は、前記第1の位置において前記飲料出口開口部に締め付け嵌合するように形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記バルブ本体の前記上端部は、弾性材料と、前記第1の位置において前記ハウジング上壁によって少なくとも部分的に圧縮された変形可能な半径方向外側表面とを備えている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記バルブ本体の下端部は、前記バルブハウジングの内側表面に半径方向に当接するように配置された外側表面の少なくとも一部を有する周壁を備えている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項5】
前記周壁は、前記第1の位置において前記バルブハウジングの前記内側表面に対して前記外側表面に当接し、前記バルブ本体が前記第1の位置から前記第2の位置に移動されるときに前記ハウジング底壁に向かって前記内側表面に沿って案内される、ことを特徴とする請求項4に記載のバルブ。
【請求項6】
前記周壁は、前記上端部によって一方が閉塞され、前記ハウジング底壁に対向する他方が開口された中空管を形成している、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のバルブ。
【請求項7】
前記バルブ本体の上端部と前記バルブ本体の下端部とが一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
前記バルブハウジングは、前記ハウジング上壁と、前記ハウジング底壁と、前記ハウジング側壁とによって画定される空洞を備え、前記空洞において、前記バルブ本体は、前記第1の位置から前記第2の位置に移動し、前記ハウジング底壁近くの前記空洞は、前記ハウジング上壁近くの前記空洞の断面直径よりも小さい断面直径を有する、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項9】
前記バルブハウジングは、前記ハウジング上壁と前記取付要素との間に少なくとも部分的に介在する可撓性のシール体によって、前記取付要素の下側に対してシールされている、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項10】
前記シール体が、前記取付要素の前記流体通路及び前記飲料出口開口部と軸方向に整列した中心孔を有するシールリングを備えている、ことを特徴とする請求項9に記載のバルブ。
【請求項11】
前記シール体は、前記ハウジング上壁と前記バルブ本体の半径方向外側表面との間で、前記シールリングから前記飲料出口開口部を通って前記ハウジング底壁の方向に軸方向に延在している半径方向シール壁を備えている、ことを特徴とする請求項10に記載のバルブ。
【請求項12】
前記バルブ本体の前記上端部は、前記バルブ本体の前記第1の位置において前記シールリングの前記中心孔内に延在する係合部を有する、ことを特徴とする請求項10または11に記載のバルブ。
【請求項13】
前記第1の位置にある前記バルブ本体は、前記半径方向シール壁の間に固定的に受け入れられる、ことを特徴とする請求項11または12に記載のバルブ。
【請求項14】
前記バルブ本体と前記シール体とが同一の弾性材料で形成されている、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のバルブ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のバルブを備えている飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器用のバルブに関する。本発明は更に、飲料容器の開閉のために配置されたバルブを含む飲料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料、特にビール、麦汁ベースの飲料、サイダー、ラドラー(Radler)及びソフトドリンクのようなガス含有飲料を充填した飲料容器は、当該技術分野で良く知られており、様々な形状及びサイズがあり、様々な材料、通常は金属製またはプラスチック製とすることができる。公知の飲料容器には、少なくとも使用前に容器内の飲料を外部環境からシールすることができ、使用時に飲料を分配することができるバルブが設けられている。
【0003】
樽(keg)、バッグ・イン・コンテナ(BIC:Bag-in-Container)、またはバッグ・イン・ボトル(Bag-in-Bottle)、バッグ・イン・ボックス(Bag-in-Box)、またはボトル・イン・ボトル(BIB:Bottle-in-Bottle)コンテナ等の殆どの既知の容器では、容器のネック部に取り付けられたバルブが使用されている。例えば、特許文献1には、飲料容器用のバルブが開示されており、このバルブは、飲料容器のネック部に設けられた容器開口部にバルブを装着するための取付要素(mounting element)を備えている。取付要素は、取付要素を通る流体通路を画定する内側から、容器開口部の容器縁部に対してシールするように配置された外周側まで半径方向に延在している。取付要素は、ハウジング上壁からハウジング底壁まで軸方向に延在しているハウジング側壁を有するバルブハウジングに結合されている。ハウジング上壁は、ハウジング上壁と取付要素との間に挿入されたガスケットによって、取付要素の下側に対してシールされている。ガスケットは、取付要素の流体通路と軸線方向に整列された中心孔と、ハウジングの上壁に設けられた飲料出口開口部(beverage outlet opening)とを有し、これにより、バルブハウジングと取付要素との間の飲料の漏れを防止しながら、ガスケット孔と取付要素とを通ってバルブハウジングから飲料が流れることができる。ハウジング側壁は、飲料容器からバルブハウジングへの飲料の流れが可能であるように、飲料入口開口部(beverage inlet opening)を有している。このバルブは、ハウジングの底壁に支持されたバルブハウジング内に設けられた金属ばねによって負荷をかけられたバルブ本体を備え、その結果、バルブ本体は、ガスケットに抗して取付要素に向かって軸方向に付勢され、飲料出口開口部を閉鎖している。バルブ本体は、例えば、分配アダプタ(dispense adapter)のような分配ユニットの注ぎ口を、流体通路を通してガスケットの穴をシールするように導入することによって、飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置までバルブハウジング内を軸方向に移動して、バルブ本体と係合し、バルブ本体をばねに抗してガスケットから離してバルブを開くようにバルブ本体を強制するように操作可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/70003号
【特許文献2】米国特許第5431205号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0294719号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
公知のバルブは、飲料容器内で使用される場合、バルブ本体をガスケットに対して保持し、飲料出口開口部を閉鎖することによって、飲料容器内に収容された飲料を環境から十分にシールすることができ、一方、バルブ本体を操作してガスケットから離れることによって、飲料を容器から所望のときにいつでも分配することができる。上記に拘わらず、金属ばねを用いないか、またはばねを全く用いないバルブを使用することが望ましい場合がある。例えば、金属ばねは、バルブまたはバルブが装着される飲料容器のリサイクル性に影響を及ぼす可能性があり、ばねの適用は一般にバルブの耐久性に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、飲料容器用の代替的なバルブを提供することである。本発明の特定の目的は、金属を含まないバルブ及び/またはばねを含まないバルブ及び/または金属ばねを含まないバルブを提供することである。本発明の目的は、製造が容易であり、比較的安価であり、及び/またはリサイクルが容易で便利なバルブを提供することである。本発明の目的は、飲料容器を容易に閉鎖することができるバルブを提供することであり、特に、充填ライン(filling line)または充填ステーション(filling station)のラインの例えば湿った環境においても、バルブを容易に取り付けることができるバルブを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、バルブを有する代替的な飲料容器を提供することである。特に、本発明の目的は、容器内に設けられたバルブを通して内容物を分配するために圧縮可能な、気体飲料、特に炭酸飲料を含む代替的な容器を提供することである。容器は、自給式容器(self contained container)またはBICまたはBIB型容器の一部とすることができる。本発明の目的は、リサイクル可能なバルブ付き容器を提供することである。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的及び目的の少なくとも1つまたはいくつかは、本明細書に開示されるように、本明細書に記載される態様または実施形態による容器及び/またはバルブによって得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様によれば、飲料容器の容器開口部にバルブを装着するための取付要素を含む飲料容器用バルブが提供され、この取付要素は、容器開口部の容器縁部に対してシールするために、取付要素を通る流体通路を形成する内側から外周側に向けて半径方向に延在しており、またこの取付要素はバルブハウジングに結合されており、バルブハウジングが、取付要素に対してシールされたハウジング上壁からハウジング底壁まで軸方向に延在しているハウジング側壁を備え、ハウジング上壁は、流体通路と整列された飲料出口開口部を有し、ハウジング側壁は、飲料入口開口部をしており、バルブ本体は、バルブハウジング内で、飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から、飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置まで軸方向に移動可能であり、バルブ本体は、第1の位置で飲料出口開口部に固定的に収容され、ハウジング側壁における飲料入口開口部の少なくとも一部を越えて軸方向に飲料出口開口部から第2の位置へ移動することができる閉鎖された上端部と、この閉鎖された上端部からハウジング底壁の方向に軸方向に延在している下端部であって、この下端部が少なくとも第2の位置でバルブハウジングの内側表面に接触するように配置されている。
【0010】
バルブ本体は、第1の位置で飲料出口開口部に締め付け嵌合するように構成及び成形された上端部を有することができる。バルブ本体は、弾性材料を含んでいても良いし、弾性材料で形成されていても良い。バルブ本体は、例えば、全体がプラスチックで作られても良い。バルブ本体の上端部は、特に、バルブ本体の第1の位置においてハウジング上壁によって少なくとも部分的に圧縮された弾性変形可能な半径方向外側表面を含むことができる。このようにして、バルブ本体は、静止状態において、すなわち、バルブ本体を作動させて飲料出口開口部を開く第2の位置に移動させる前に、ばねまたはその他の付勢手段を必要とすることなく、飲料出口開口部を閉じる第1の位置に保持されている。特に、上端部又はバルブ本体全体は、第1の位置において飲料出口開口部内で半径方向に固定されたプラグとして作用するプラグ状部材であっても良い。
【0011】
バルブ本体は、飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から、飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置まで、バルブハウジング内を軸方向に移動するように動作可能である。これは、例えば、分配アダプタのような分配ユニットの注ぎ口を、流体通路を通して導入し、バルブ本体の上端部に押し当てることによって実現することができる。
【0012】
バルブ本体の上端部は、固定力、例えば締め付け力、特に半径方向固定力によって、第1の位置にバルブ本体を確実に固定する飲料出口開口部に保持されるように設計されることが好ましく、例えば、通常の状況下では、バルブは、ユーザによって意図的に操作されない限り開かないが、固定力は、ユーザからの手動力によって容易に打ち勝つことができる。例えば、バルブは、それが適用される飲料容器を外部環境から閉じたままにすることを可能にし、一方、飲料容器内の飲料は、所望のときに、例えば、分配ユニットの注ぎ口を用いて、バルブ本体に対して手動で押すことによって、いつでも分配することができる。
【0013】
バルブ本体の第2の位置にあるバルブは、完全に開いていても良く、すなわち、バルブ本体が第2の位置にあるときに、飲料の流れが飲料入口開口部及び飲料出口開口部を通って可能になり、バルブが適用される飲料容器内に含まれる飲料の分配を可能にしている。
【0014】
飲料容器の飲料分配特性に影響を与え得る、例えば、分配速度を低下させ、または飲料の分配を完全に妨げる可能性がある、バルブハウジング内部のバルブ本体の制御されない位置決めによって、飲料入口開口部が望ましくないように塞がれたり閉じられたりすることを防止するために、バルブ本体の下端部は、少なくとも第2の位置でハウジングの内側表面に接触するように構成されている。ハウジングの内側表面に接触する下端部は、少なくとも第2の位置におけるバルブ本体の移動の自由度を制限し、従って、バルブ本体が第2の位置に移動されたときに、バルブハウジング内に正しく配置されていないことに起因してバルブハウジング側壁の飲料入口開口部を閉塞または閉鎖する危険性を低減している。
【0015】
好ましくは、下端部は、バルブ本体の第2の位置において、バルブハウジング側壁の下部によって半径方向に拘束されている。例えば、バルブ本体の下端部は、外側表面を有する周壁を備え、外側表面の少なくとも一部がバルブハウジングの内側表面に半径方向に当接するように配置されている。
【0016】
好ましくは、バルブ本体の少なくとも下端部は、第1の位置から第2の位置に移動されるときに、バルブハウジングの内側表面によって案内される。例えば、周壁は、第1の位置でその外側表面とバルブハウジングの内側表面とに当接し、バルブ本体が第1の位置から第2の位置に移動するときに、内側表面に沿ってハウジングの底壁に向かってスライドする。特に、バルブ本体の下端部の外径とバルブハウジングの内径とは、少なくとも略同一である。外側表面と内側表面との間の半径方向の当接部は、少なくとも実質的に液密であっても良い。バルブ本体は、例えば、バルブハウジングを通って軸方向に移動可能なピストンを形成し、移動時に流体容積を変位させることができる。外側表面及び内側表面の一方または両方は、平滑であっても良い。外側表面及び内側表面の一方または両方は、第1の位置から第2の位置に移動されたときにハウジングにおけるバルブ本体の正確な位置決めを補助する、波形表面(corrugated surface)等の突出部及び対応する凹部、または1つまたは複数のリブ及び対応する溝を有する不規則な表面であっても良い。この手段または他の手段は、第1の位置から第2の位置に移動されたときに、バルブ本体がその長手方向軸の周りで回転することを防止することができる。外側表面及び/または内側表面は、開口部、例えば、溝を含むかまたは設けて、バルブの使用時に表面間での飲料の流れを可能にすることができる。例えば、外側表面と内側表面は、全周にわたっては液密に当接していない。
【0017】
バルブは、下端部として、ロッドまたはロッド状要素等の中実要素を含むバルブ本体を有することができる。ある態様では、バルブは、上端部によって一方の側が閉じられ、ハウジングの底壁に面する反対側が開放された中空要素、特に中空管を形成する周壁を有している。中実体の代わりに、チューブのような中空要素または中空体は、飲料が充填されたバルブハウジング内でバルブ本体を移動させるときに、流体の変位が少なくて済み、従って、移動が容易である。更に、このような中空体は必要な材料が少なく、従って、重量が軽く、製造コストが低い。飲料容器内でバルブを使用する際には、中空要素によって画定される空洞に飲料を充填することができ、流体は、空洞と、中空体本体の外側のバルブハウジング内の空間との間で、ハウジングの底壁に面する開放面を介して交換され得る。
【0018】
特定の態様では、バルブは、中空要素を有する下端部と、バルブ本体に作用する飲料からの浮力によって使用時に付勢され、バルブ本体が第1の位置に留まるかまたは第1の位置に戻るように構成されたバルブ本体を形成する上端部とを有している。バルブ本体は、第1の位置で飲料出口開口部の液密シール(liquid-tight seal)を維持することを支持するように付勢されても良い。使用中のバルブ本体は、飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置までバルブハウジング内部を軸方向に移動する浮力に打ち勝つのに十分な手動力で操作することができる。バルブ本体は、特に、バルブが開放された後のバルブの使用時に飲料出口開口部の少なくとも実質的な液密シールを可能にする浮力を有するように構成することができる。例えば、バルブ本体は、その第1の位置から第2の位置に移動するようにバルブ本体を作動させる力が除去された後にその第1の位置に戻ることによって、飲料出口開口部を再シールするように構成することができる。好ましくは、このバルブを飲料容器に使用する場合、バルブ本体の上端部とバルブ本体の第2の位置にある飲料出口開口部との間の飲料体積は、バルブ本体の第2の位置にあるバルブハウジングの上端部より下の飲料体積よりも小さい。特に、飲料容器内でのバルブの使用において、バルブ本体の上端部と飲料出口開口部との間のより小さい飲料容積は、バルブ本体をその第1の位置から第2の位置へ移動させるために作動させる力が除去されると比較的迅速に空にされ、それによって、バルブ本体上の一時的な局所的な圧力下を作り出し、これは、バルブ本体上の浮力と共に、飲料出口開口部の信頼できる液密再シールを可能にしている。従って、このようなバルブを備えている飲料容器は、再ブローチ可能(re-broachable)である。バルブは、特定の形状を提供することによって、この目的のために適切なバルブ本体として配置されたバルブ本体を有することができ、例えば、バルブ本体の上の容積とバルブ本体の下の容積との間の液体の流れが減少するかまたは少なくともほぼ完全に防止されるように、第2の位置でバルブハウジングの内側表面に対して液密にシールするように形作られた外側表面を有することによって、及び/またはバルブ本体が主に中空に提供されることによって、及び/または適切な低密度を有する材料を使用することによってである。
【0019】
別の態様では、バルブは、バルブ本体を第3の位置に案内するように構成された位置決め手段を含むことができ、第3の位置では、バルブ本体は、バルブハウジング内に正確に位置決めされて、バルブ本体をその第1の位置から第2の位置に移動させるためにバルブ本体を作動させた力が除去された後に、バルブ本体がその第1の位置に戻ることができる。位置決め手段は、例えば、バルブハウジングの底壁とバルブ本体との間に位置決めされるばね又はばね状の部材、例えば螺旋ばねを含むことができる。ばねは、バルブ本体を閉位置に保持するように付勢するために従来技術のバルブで使用されるような比較的高い力の金属ばねである必要は無く、その代わりに、バルブ本体をその第1の位置に戻すことができるようにバルブ本体を正確に位置決めするように配置される必要があるだけなので、例えばプラスチック製の比較的単純な低い力の再利用可能なばねであっても良い。バルブ本体の正しい位置は、バルブ本体が、軸方向に出口開口部内に戻ることができるように、飲料出口開口部と位置合わせされた上端部を有することである。
【0020】
一態様では、バルブは、バルブ本体の上端部とバルブ本体の下端部とが一体に形成されている。従って、上端部及び下端部は、同じ材料で形成することができる。上端部と下端部とは、例えば、同一の弾性材料で形成されている。好ましくは、上端部及び下端部は熱可塑性材料で作られる。バルブ本体の上端部及び下端部はまた、異なる材料を含むことができる。少なくとも上端部が弾性材料からなることが好ましい。下端部は、弾性材料で形成されていても良いし、非弾性材料、例えば熱硬化性プラスチックで形成されていても良い。
【0021】
一態様では、バルブは、ハウジング上壁と、ハウジング底壁と、ハウジング側壁とによって画定される空間を有するバルブハウジングを有し、この空間において、バルブ本体は、第1の位置から第2の位置に移動し、ハウジング底壁付近の空間は、ハウジング上壁付近の空間の断面径よりも小さい断面径を有している。この空間に面するハウジングの内側表面は、例えば、バルブ本体の上端部のためのシート部を画定しており、このシート部は、バルブ本体の上端部が、より小さい断面直径を有する空間内を移動できないように構成されて、バルブ本体が移動操作されたときに第2の位置を超えて移動することを防止することができる。好ましくは、バルブ本体の下端部は、空間のより小さい断面直径でバルブハウジングの内側表面に沿って案内される。これに代えて、またはこれに加えて、所望の第2の位置におけるバルブ本体の軸方向の移動を停止するために、他の停止手段を設けても良い。例えば、下端部の軸方向長さは、バルブハウジングの軸方向長さに応じて、第2の位置でハウジング底壁に対して支持するバルブ本体の下端部を有するように構成されても良い。ハウジング空間は、例えばハウジング側壁の滑らかで一定の傾斜したまたは傾斜した内側表面によって、ハウジング上壁の近くからハウジング底壁の近くまで直径が連続的に狭くなることができ、あるいは、例えばハウジング側壁に設けられた1つまたは複数の肩部によって段階的に狭くなることができる。
【0022】
別の態様では、バルブは、少なくとも部分的にハウジング頂壁と取付要素との間に挿入された可撓性シール体によって、取付要素の下側に対してシールされたバルブハウジングを有している。シール体は、バルブハウジングと取付要素との間の液体の漏れを最小限にするか又は防止するように構成されている。前記可撓性シール体は、弾性材料からなることができる。例えば、可撓性シール体は、ゴムまたはプラスチックから形成されても良い。
【0023】
シール体は、取付要素の流体通路及び飲料出口開口部と軸方向に整列した中心孔を有するシールリングを備え、使用時にバルブが開いたときに、飲料出口開口部、中心孔及び流体通路を通して飲料を分配することができる。シール体の中心孔は、バルブ本体を操作するために飲料出口開口部内に導入された操作体の一部を通してバルブの使用時に受け入れられるように構成することができ、例えば、分配アダプタのような分配ユニットの注ぎ口のためにバルブ本体を操作している。中心孔は、使用時に操作体がシール体を貫通し、操作体の外側表面がシール体に液密にシールされるような大きさ及び/又は直径を有することができる。例えば、シール体は、0リング又はガスケットのような比較的単純な円形シールリングであっても良い。
【0024】
一態様では、バルブは、バルブ本体の第1の位置において、ハウジング上壁とバルブ本体の半径方向外面との間で、シールリングから飲料出口開口部を通ってハウジング底壁の方向に軸方向に延在している半径方向シール壁を含むシール体を有している。ハウジング頂壁とバルブ本体の半径方向外側表面との間に配置された半径方向シール壁は、バルブ本体をハウジングに対して半径方向にシールするように構成されても良く、その結果、飲料容器内でのバルブの使用時に、飲料出口開口部からの飲料の漏れが確実に防止される。
【0025】
ある態様では、バルブは、バルブ本体の上端部を有し、この上端部は、バルブ本体の第1の位置においてシールリングの中心孔内に延在している係合部分を含む。係合部は、バルブ本体の上端部の局所的な肉厚(local thickening)によって形成されていても良い。例えば、バルブ本体の上端部は、シールリングの中心孔内に延在するように配置された膨出部又はドーム状部を含むことができる。係合部分は、適当な係合面を提供することができ、この係合面に対して、分配アダプタのような分配ユニットの注ぎ口のような、バルブ本体を操作するために飲料出口開口部内に導入される操作体の一部が、バルブ本体を操作するように作用することができる。
【0026】
好ましくは、第1の位置にあるバルブ本体は、半径方向シール壁の間に固定的に受け入れられて、バルブ本体が、例えば使用前に、その第1の位置から意図せずに移動することを防止している。半径方向シール壁は、例えば、バルブ本体の周りに締め付けて嵌合することができる。バルブ本体は、特に、バルブ本体の第1の位置において半径方向シール壁に対して少なくとも部分的に圧縮された弾性変形可能な半径方向外側表面を備えて、締め付け嵌合(clamping fit)を提供することができる。弾性変形可能な半径方向外側表面は、バルブ本体の下端部の外側表面上のリブまたはリブ状の厚肉部によって画定されても良い。バルブ本体の下端部の外側表面は、隆起した外側表面であっても良いし、そうでなければ粗くされた、すなわち滑らかでない外側表面であっても良い。弾性変形可能な半径方向外側表面は、バルブ本体とシール体との間の液密なシール接触を改善するように構成されることが好ましい。
【0027】
また、本発明のバルブは、前記バルブ本体と前記シール体とが同一の弾性材料で形成されていることを特徴としている。好ましくは、バルブは、1つまたは複数の弾性材料からなる。特に、バルブは、リサイクル可能な材料のみを含む。具体的には、バルブは金属を含まない。
【0028】
更なる態様では、本明細書に記載される第1の態様によるバルブを含む飲料容器が提供される。飲料容器は、樽、バッグ・イン・コンテナ(BIC)、又はバッグ・イン・ボトル若しくはバッグ・イン・ボックス若しくはボトル・イン・ボトル(BIB)容器であっても良い。容器は、容器開口部を有するネック部を含むことができ、このネック部内でバルブが適用されて開口部をシールしている。前記飲料容器は、ビールを収容するビール容器であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本本開示の閉位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図1B】本開示の第2の開位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明によるバルブの一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3A】
図2に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3B】
図2に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3C】
図2に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図4A】本開示の閉位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図4B】本開示の第2の開位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図5】本発明による別のバルブの実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図6A】
図5に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図6B】
図5に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図6C】
図5に示す本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図7A】第1の閉位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図7B】第2の開位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図7C】第3の半閉位置にある本開示のバルブを有する本体及びネック部を有する容器の実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図8】本発明による別のバルブの実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図9A】
図8に示される本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図9B】
図8に示される本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図9C】
図8に示される本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図9D】
図8に示される本発明によるバルブの実施形態で使用されるバルブ本体の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示のこれら及び他の態様は、以下、添付の図面及び対応する実施形態によって更に説明されるが、これらの実施形態は、例としてのみ示されている。図面は、明確且つ明示的に示されない限り、本発明の範囲の限定を反映することを決して意図しない。これらの例は、本発明をより良く理解するために与えられたものであり、限定的なものではない。
【0031】
本出願において、類似または対応する特徴は、類似または対応する参照符号によって示されている。実施形態の説明は、図に示された例に限定されるものではなく、詳細な説明及び特許請求の範囲において使用される参照番号は、実施形態の説明を限定することを意図するものではなく、図に示された例を参照することによって実施形態を説明するために含まれる。
【0032】
図1A及び
図1Bに示すように、上部を断面で示す飲料容器100には、ネック部から延在して容器の蓋を形成する壁110が設けられており、容器の蓋は、飲料容器内の空間へのアクセスを提供する容器開口部を画定している。壁は、容器100の残りの部分と一体であっても良いが、ここでは、容器のネック部に取り付けられる取付リング110として形成される別個の本体として示されている。容器開口部において、バルブ1が取付リング110に取り付けられる。
図2に更に示されるように、バルブ1は、取付要素10を備え、そのベース部11は、取付要素を通る流体通路12を画定する内側から、容器開口部の容器縁部に対してシールするための外周側まで半径方向に延在している。ベース部11の外周側の一部は、取付リング110の上方に向いた壁部111の縁に跨っており、壁部111は、容器開口部の周囲に放射状に延在している。バルブ1は、取付リング110に対して容器開口内にバルブ1を嵌合して固定するように構成されたベース部分11から延在しているスナップフィンガーまたはスナップリングまたはシリンダのようなスナップ手段13を含む。
図1に示すように、シール手段50は、スナップ手段13とベース部11との間のバルブ1の一部の周囲に設けられ、バルブ1と取付リング110との間の界面を液密にシールしている。シール手段50は、別個の本体、例えば0リングまたは他の適切な変形可能な本体、例えばゴム製であっても良く、あるいは一体的に形成されたシールとして、例えば2K射出成形(2K injection moulding)によって提供されても良い。
【0033】
取付要素10の下方には、シール体、例えばシールリング又はガスケット40が、ベース部分11の下側に対して位置決めされている。反対側の部位では、ガスケット40はバルブ1のバルブハウジング20上に支持されている。ガスケット40は、その上の流体通路12と軸方向に一致する中心孔と、バルブハウジング20内のその下に設けられた飲料出口開口部25とを有している。
【0034】
バルブハウジング20は、飲料出口開口部25を有するハウジング上壁22からハウジング底壁23まで軸方向に延在しているハウジング側壁21を有している。ハウジング上壁22は、ガスケット40を介して取付要素10に対してシールされている。図示のように、ハウジング底壁23には既知の安全翼24が設けられており、この安全翼24は、例えば、飲料容器内の圧力が安全圧力を超えて予想外に上昇した場合に、バルブが容器開口部から飛び出さないように保護するか又は防止している。ハウジング上壁22は、ガスケット中心孔及び流体通路12と整列した飲料出口開口部25を有し、その結果、バルブが開いているときに、飲料交換、例えば飲料の流れが飲料出口開口と流体通路との間で可能となる。ハウジング側壁21は、容器空間とバルブハウジングとの間の飲料交換、例えば飲料の流れを可能にするように構成された少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、より好ましくは4つの飲料入口開口部26を有している。
【0035】
バルブ1は、ガスケット40と共に
図3A、
図3B及び
図3Cに更に示されるバルブ本体30を有し、バルブ本体30は、
図1Aに示されるように飲料出口開口部を閉鎖する第1の位置から
図1Bに示されるように飲料出口開口部を通る流体接続を開放する第2の位置まで、バルブハウジング20内の空間を通って軸方向に移動可能である。バルブ本体30は、第1の位置で飲料出口開口部内に固定的に収容される閉鎖上端部31を備えている。この目的のために、上端部31は、弾性材料で作られ、第1の位置にあるバルブ本体の上端部がハウジング上壁22によってわずかに圧縮され、飲料出口開口部内に締め付けられて保持されるように、飲料出口開口部のサイズに対してわずかに過大な寸法にされている。従って、
図1Aに示すように、バルブ本体は、その第1の位置で飲料出口開口部を閉鎖している。
【0036】
バルブ本体30は、
図1Bに示すように、流体通路12を通して
図1Bに示す分配システムの注ぎ口60を挿入してバルブ本体の上端部の上面に係合させ、バルブ本体を飲料出口開口部から離して側壁の飲料入口開口部26の少なくとも一部を軸方向に越えた第2の位置まで押し出すことによって手動で操作可能である。従って、第2の位置では、バルブは完全に開き、飲料が容器空間から飲料入口開口部26を介してバルブハウジングに流入し、飲料出口開口部25及び流体通路12を介してバルブハウジングから流出することができる。
【0037】
バルブ本体は、閉鎖上端部31からハウジング底壁23の方向に軸方向に延在している筒状の下端部32を有している。下端部32は、
図1Aに示す第1の位置と
図1Bに示す第2の位置の両方で、ハウジングの内側表面に接触している。
【0038】
図4A、
図4Bは、
図1A、
図1Bに示されるものと同様の容器1の実施形態の一部を示し、ただし、バルブ1は、
図5及び
図6A、
図6B、
図6Cに更に示される代替的なバルブハウジング20、代替的なバルブ本体30、及び代替的なシール体40を備えている。本実施形態に係るバルブ1は、
図1、
図2及び
図3に示す実施形態のバルブ本体よりも小さいバルブ本体30を有している。シール体40は、円筒状の上部42と、この上部42から飲料出口開口部を通ってハウジング上壁22とバルブ本体の半径方向外側表面との間でハウジング底壁23の方向に軸方向に延在している半径方向シール壁41とを備えている。円筒状の上部42は、その一部が取付要素10のベース部11の下側とハウジング上壁22の上側との間でシール固定されている。バルブ本体30は、第1の位置で飲料出口開口部内に固定的に収容される閉鎖上端部31と、バルブ本体の第1の位置でシール体40の中心孔内に延在している係合部33とを備えている。第1の位置にあるバルブ本体は、半径方向シール壁41の間に固定的に受け入れられて、バルブ本体がその第1の位置から意図せずに移動することを防止している。従って、バルブ本体30は、
図4Aに示されるように、シール体40と協働してシールし、飲料出口開口部をその第1の位置で閉鎖している。
【0039】
バルブ本体30は、
図4Bに示すように、流体通路12を通して分配システムの注ぎ口60を挿入して、バルブ本体の上端部の係合部分33に係合させ、その位置に固定されたままのシール体40からバルブ本体を押し出し、飲料出口開口部25を側壁の飲料入口開口部26を越えて軸方向に第2の位置に押し出すことによって手動操作可能である。従って、第2の位置では、バルブは完全に開き、飲料が容器空間から飲料入口開口部26を介してバルブハウジングに流入し、飲料出口開口部25及び流体通路12を介してバルブハウジングから流出することができる。
【0040】
また、本実施形態のバルブ本体30は、閉鎖上端部31からハウジング底壁23の方向に軸方向に延在している筒状の下端部32を有している。この実施形態における下端部32は、
図1、
図2及び
図3に示される実施形態と比較して短い長さを有している。バルブ本体30はシール体40によって第1の位置にしっかりとクランプされるので、
図4Aに示すように、バルブ本体が第1の位置でハウジングの内側表面に接触する必要は無い。
図4Bに示されるように、第2の位置に移動されると、下端部32は、バルブハウジングの内側表面を取り囲み、バルブ本体が飲料入口開口部26を塞ぐことを防止している。
【0041】
図7A、
図7B、
図7Cは、
図1A、
図1B及び
図4A、
図4Bに示されるものと同様の容器1の実施形態の一部を示すが、バルブ1は、
図8及び
図9A、
図9B、
図9C及び
図9Dに更に示される別の代替的なバルブハウジング20、バルブ本体30及びシール体40を備えている。本実施形態に係るバルブ1は、基本的には、
図1、
図2及び
図3に示す実施形態のバルブ本体と
図4、
図5及び
図6に示す実施形態のバルブ本体とを組み合わせたバルブ本体30を有している。バルブ本体30は、
図1、
図2及び
図3に示すバルブ本体の下端部と同様の細長い管状の下端部32を有し、バルブ本体の閉鎖された上端部31からバルブハウジング20の底壁23に向かって軸方向に延在している。管状の下端部32は、
図7A及び
図7Bにそれぞれ示されるように、バルブ本体の第1の閉位置及び第2の開位置の両方でハウジングの内側表面に当接している。上端部31は、
図4、
図5及び
図6に示すバルブ本体の上端部と同様に、バルブ本体の第1の位置において、シール体40の半径方向シール壁41によってクランプされた飲料出口開口部内に固定的に受け入れられるように構成されている。上端部31は、使用時に分配システムの注ぎ口60等の開放手段によって係合される係合部33を備え、バルブ本体をその密閉第1位置から第2位置に押し込んで飲料出口開口部を開放している。この実施形態のバルブ本体は、バルブ本体に作用する簡易な低ばね力の螺旋ばねとして構成された位置決め手段34を備えている。ばね34は、バルブハウジング底壁23に取り付けられ、バルブ本体30の上端部31まで管状の下端部32内に延在している。
図7Aに示されるバルブの第1の位置では、ばねは弛緩され、ばねによってバルブ本体に加えられる付勢力は無い。注ぎ口60が挿入されると、バルブ本体30は、軸方向に、すなわちハウジング底壁23に向かって下方に移動して、バルブを開放第2位置にし、それによってばね34を圧縮している。注ぎ口60を取り外すと、圧縮ばね34は、バルブ本体30に対して軸方向と反対の方向に、すなわち上方に作用して、バルブ本体を補助し、
図7Cに示す第3の位置まで、バルブ本体の上方の一時的な局部加圧下でバルブ本体を案内し、
図7Cに示す第3の位置まで、バルブ本体は上端部31と共にシール体40のシール壁41の下側に当接して位置決めされている。この第3の位置では、バルブ本体30は、飲料出口開口部25を閉鎖するために、シール壁41に対してバルブハウジング20内で正確に位置決めされ、整列されている。加圧された飲料容器で使用されるバルブは、バルブ本体の下の圧力によって、バルブ本体30がバルブの第1の位置に戻ることを可能にしている。従って、バルブは、飲料出口開口部の確実な液密再シールを可能にし、そのようなバルブを備えている飲料容器は、再ブローチ可能である。ばね34は、任意の適切な材料で作ることができるが、リサイクル性のために、バルブの他の部分と適合するプラスチックで作ることが好ましい。
【0042】
実施形態において、バルブ1及び容器100は、プラスチック材料で作製することができる。好ましくは、1つまたは複数のプラスチック材料は、一緒に容易にリサイクルできるように選択される。好ましくは、バルブ及び容器は、実施形態において、互いに溶接され得るプラスチック材料で作製されている。例えば、容器及び/またはバルブは、PET若しくはPENまたはそれらのブレンドで作られても良い。好ましくは、容器及びバルブは、同じ材料から作製されるか、または一緒にリサイクルされ得る材料から作製されている。
【0043】
別段の定義が無い限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明で使用するための方法及び材料を本明細書に記載している。材料及び例は、例示的なものにすぎず、特に示されない限り、限定することを意図しない。明確且つ簡潔な説明のために、特徴は、同一または別個の態様及びその好ましい実施形態の一部として本明細書に記載されている。しかしながら、本発明の範囲は、説明した特徴の全てまたは一部の組み合わせを有する実施形態を含むことができることが理解されよう。
【0044】
更に、本発明はまた、1つの構成要素が複数の機能を実行する、本明細書に記載される実施形態で提供されるよりも少ない構成要素で実施されても良い。同様に、本発明は、図に示されるよりも多くの要素を用いて実施されても良く、ここで、提供される実施形態において1つの構成要素によって実行される機能は、複数の構成要素に分散される。
【0045】
「含む」という語は、クレームに記載されたもの以外の特徴又は工程の存在を排除するものではない。それはまた、他に何も存在しないことを排除するものではなく、すなわち、それはまた、「からなる」という意味を包含し得る。更に、語句「a」及び「an」は、「ただ1つ」に限定されるものと解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除するものではない。
【国際調査報告】