(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】電池のインピーダンス測定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/389 20190101AFI20230621BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230621BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230621BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230621BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20230621BHJP
【FI】
G01R31/389
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
H02J7/00 Y
H02J7/04 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571282
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 US2021033734
(87)【国際公開番号】W WO2021237135
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519014213
【氏名又は名称】イオントラ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】コノプカ ダニエル エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハウレット ザ サード ジョン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ホルト ジェフリー ジェイ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA51
2G216BA56
2G216CA01
2G216CB24
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503EA08
5H030AA01
5H030AS08
5H030AS12
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
電池に印加されたまたは印加されることになる充電信号に基づいて、1つまたは複数の電池の複素インピーダンス特性を決定するためのシステムが開示される。実施態様は、電池のインピーダンスを測定して、いくつかの事例では、電池を充電するための波形形状の少なくとも一部分を定義する周波数成分または高調波を決定することを含むことができる。1つの実施態様では、電池におけるインピーダンスは、電池に印加される1つの不連続充電期間から、または電池に印加される複数の不連続充電期間から測定または推定することができる。電圧および電流波形の振幅および時間成分間の測定された差分を用いて、電池におけるインピーダンスの大きさ、位相シフト、実数値および/または虚数値を決定または推定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスを監視する方法であって、
処理デバイスを介して、電気化学デバイスに印加された充電波形の電圧振幅および電流振幅の複数の測定値を取得することと、
各々が、電圧振幅測定値および対応する電流振幅測定値を含む複数のインピーダンス比を計算することと、
前記複数の比のサブセットの和に基づいて、前記電気化学デバイスの複素インピーダンス特性を得ることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記複素インピーダンス特性は、実数インピーダンス値、虚数インピーダンス値、大きさインピーダンス値または位相シフトインピーダンス値のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の充電波形は、正弦波の立ち上がりエッジ部分と、前記立ち上がりエッジ部分に続く、前記立ち上がりエッジ部分と異なる本体部分とを含む不連続充電期間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記立ち上がりエッジ部分に対応する前記複数のインピーダンス比のサブセットを合算することによって、前記充電波形の前記立ち上がりエッジ部分の実数インピーダンス値を推定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実数インピーダンス値は、第1の時点に取得された前記電気化学デバイスにおける電圧振幅測定値、および前記第1の時点の後の第2の時点に前記電気化学デバイスを通じて取得された電流振幅測定値に対応する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記充電波形の前記立ち上がりエッジ部分の電流成分の決定された変曲点に基づいて前記第2の時点を推定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記充電波形の前記立ち上がりエッジ部分に対応する虚数インピーダンス値を推定することをさらに含み、前記虚数インピーダンスは、前記第1の時点と前記第2の時点との差から決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記本体部分に対応する前記複数のインピーダンス比のサブセットを合算することによって、前記充電波形の前記本体部分に対応する実数インピーダンス値を推定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記電圧振幅の前記複数の測定値に基づいて、前記充電波形内の電圧成分の、前記立ち上がりエッジ部分から前記本体部分への第1の遷移を決定することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記電流振幅の前記複数の測定値に基づいて、前記充電波形内の電流成分の、前記立ち上がりエッジ部分から前記本体部分への第2の遷移を決定することをさらに含み、前記第2の遷移は前記第1の遷移の後に生じる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の充電波形は、1つまたは複数の不連続充電期間を含み、前記第1の充電波形の前記測定値は、第1の不連続充電期間、および前記第1の不連続充電期間と異なる第2の不連続充電期間から取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記充電波形の前記立ち上がりエッジ部分のセントロイドを計算することをさらに含み、前記電気化学デバイスの前記複素インピーダンス特性は、前記立ち上がりエッジ部分の前記計算されたセントロイドにさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記充電波形の前記本体部分のセントロイドを計算することをさらに含み、前記電気化学デバイスの前記複素インピーダンス特性は、前記本体部分の前記計算されたセントロイドにさらに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
電気化学デバイスを充電する方法であって、
電気化学デバイスを充電するための充電波形について、前記充電波形が、定義された高調波成分を含むことと、
前記充電波形に応じて、前記電気化学デバイスへの電流の流れを示す代表値を取得することであって、前記取得される代表値は前記定義された高調波に関係することと、
前記代表値に基づいて、前記充電波形の属性を変更することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記代表値は、インピーダンス、アドミッタンスおよび電力のうちの少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記充電波形は成形された立ち上がりエッジを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記代表値はインピーダンスであり、前記成形された立ち上がりエッジは、前記充電波形の前記成形された立ち上がりエッジの周波数に対する、前記電気化学デバイスの周波数およびインピーダンス間の関係に基づいて定義された周波数に関連付けられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記代表値は、前記周波数の前記インピーダンスに基づき、前記属性を変更することは、成形された立ち上がりエッジの周波数属性を変更して、前記充電波形に対する前記電気化学デバイスの前記インピーダンスを低減することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記代表値はインピーダンスであり、前記充電波形は本体部分を定義し、前記インピーダンスは前記本体部分に関連付けられ、前記充電波形の属性を変更することは、前記インピーダンスに基づいて前記本体部分の期間を変更することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記本体部分の前記変更された期間は、前記本体部分の前記インピーダンスを閾値内に維持することに基づく、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記代表値はインピーダンスであり、前記充電波形は本体部分を定義し、前記インピーダンスは前記本体部分に関連付けられ、前記充電波形の属性を変更することは、立ち上がりエッジ高調波の周波数を変更して、前記本体部分に関連付けられた前記インピーダンスを低減することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記充電波形は、電圧成分および電流成分を用いて立ち下がりエッジを定義し、後続の充電波形は、前記充電波形の前記電流成分がゼロに達した後に印加される、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記充電波形に応じて前記電気化学デバイスへの前記電流の流れを示す代表値を取得することは、前記充電波形の電圧成分と電流成分との間の比を取得して、インピーダンスの実数成分を決定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記比は、前記充電波形の前記電圧成分の立ち上がりエッジ高調波のピーク値に関連付けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記比は、前記充電波形の本体部分の値に関連付けられる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記充電波形の前記電圧成分の前記高調波のポイントにおいて前記比を得ることと、
前記電圧成分の前記高調波の前記ポイントと、前記電流成分の関連するポイントとの間の時間差に基づいて前記インピーダンスの虚数成分を決定することと、
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許協力条約(PCT)出願は、2020年5月21日に出願された「Systems and Methods for Impedance Measurement of a Battery Cell」と題する米国特許出願第63/028,426号に関連し、これに対する米国特許法第119条に基づく優先権を主張するものであり、その内容の全体が全ての目的のために参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明の実施形態は、全体的には、1つまたは複数の電池を充電するためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、電池のインピーダンスを決定するための方法に関し、インピーダンス決定は、1つまたは複数の電池を充電するための充電信号の最適化において用いるためのものである。
【背景技術】
【0003】
電動工具、掃除機等の多くの電動デバイス、任意の数の異なるポータブル電子デバイス、および電気車両は、再充電可能バッテリを動作電力源として用いる。再充電可能バッテリは有限バッテリ容量によって制限され、消耗時に再充電しなくてはならない。電池の再充電は、電動デバイスが多くの場合に、バッテリの再充電に必要な時間の間静止していなくてはならないため不都合がある場合がある。車両バッテリシステムおよび同様に大容量のシステムの場合、再充電は数時間かかる可能性がある。したがって、バッテリを再充電するのに必要な時間を低減する充電技術の開発に多大な労力が費やされてきた。しかしながら、急速再充電システムは、通常、作動中のバッテリに対する過剰充電および結果として生じる損傷を防止するための電流制限および過電圧回路と共に、高レベルの充電電流の送達のためのコストの高い高電力電子機器を必要とする。より低速の再充電システムは、よりコストが低いが、再充電動作を長引かせ、迅速にサービスに戻るという基本的な目的が損なわれる。
【0004】
バッテリシステムはまた、数ある生じ得る要因の中でも、バッテリシステムの充電および放電サイクル、放電深度、および過充電に基づいて経時的に劣化する傾向がある。このため、充電速度と同様に、可能な限り多くのバッテリ容量を用いながら、バッテリ寿命を最大にし、バッテリを過度に放電させず、またはバッテリを過度に充電しないように充電を最適化するための労力が注がれてきた。多くの場合、これらの目標は衝突し、いくつかの属性を他の属性を犠牲にして最適化する充電システムが設計される。
【0005】
数ある中でもこれらの観測を念頭において、本開示の態様が着想され、開発された。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの態様は、電気化学デバイスを監視するための方法に関する。本方法は、処理デバイスを介して、電気化学デバイスに印加された充電波形の電圧振幅および電流振幅の複数の測定値を取得する動作と、各々が、電圧振幅測定値および対応する電流振幅測定値を含む複数のインピーダンス比を計算する動作と、複数の比のサブセットの和に基づいて、電気化学デバイスの複素インピーダンス特性を得る動作と、を含むことができる。
【0007】
本開示の別の態様は、電気化学デバイスを充電するための方法に関する。本方法は、第1の充電波形の測定値に基づいて、電気化学デバイスの複素インピーダンス特性を得る動作と、得られた複素インピーダンス特性に基づいて、第2の充電波形の態様を調整する動作と、
を含むことができる。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、電気化学デバイスを充電する方法に関する。本方法は、電気化学デバイスを充電するための充電波形について、充電波形が、定義された高調波成分を含む動作と、充電波形に応じて、電気化学デバイスへの電流の流れを示す代表値を取得する動作であって、取得される代表値は定義された高調波に関係する、動作と、代表値に基づいて、充電波形の属性を変更する動作と、を含むことができる。
【0009】
本明細書に示される本開示の上記のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示されるように、これらの発明の概念の特定の実施形態の以下の説明から明らかとなるはずである。図面は本開示の典型的な実施形態を示すにすぎず、したがって範囲を限定するとみなされるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】1つの実施形態による、充電信号成形回路を利用して電池を充電するための回路を示す概略図である。
【
図1B】1つの実施形態による、電池の充電信号、および充電信号の成分高調波の信号図である。
【
図1C】1つの実施形態による、電池に印加された充電信号の対応する周波数に対する、電池の測定された実数インピーダンス値のグラフである。
【
図2】1つの実施形態による、電圧制御された不連続充電期間に応じた、電池にわたる電流の測定された変動の信号図である。
【
図3】1つの実施形態による、電池における波形の測定された特性に基づいて様々な時点に電池のインピーダンスを決定するための方法を示すフローチャートである。
【
図4A】1つの実施形態による、第1の印加電圧の不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の信号図である。
【
図4B】1つの実施形態による、第2の印加電圧の不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の信号図である。
【
図4C】1つの実施形態による、第3の印加電圧の不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の信号図である。
【
図5】1つの実施形態による、電圧制御された不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の信号図である。
【
図6A】1つの実施形態による、電圧制御された不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の第2の信号図である。
【
図6B】1つの実施形態による、電圧制御された不連続充電期間に応じた電池にわたる電流の測定された変動の第3の信号図である。
【
図7】本開示の実施形態を実施する際に用いることができるコンピューティングシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様によれば、バッテリに印加される充電信号に対する複素インピーダンスを示す情報を取得して、そのようなインピーダンスを用いて、バッテリに印加される充電信号を最適化することが有益である。本開示の態様は、従来の充電技法が、多くの場合、制御されていない高調波を伴い、そのような高調波がバッテリに印加されている充電信号に対するインピーダンスを変更するという概念を利用する。さらに、様々な高調波は、多くの場合、バッテリに印加されている信号に対するインピーダンスを増大させ、充電効率、容量保持およびサイクル寿命に対する有害な影響を有する。同様に、高調波は、印加されている充電電力に対する、バッテリに蓄積されている化学エネルギー量、および不連続充電期間方法の場合は全体アドミッタンスを減少させる場合がある。本開示の態様は、電池の最小実数もしくはレジスタンス値および/または最小虚数もしくはリアクタンスインピーダンス値に関連付けられた単数または複数の高調波に対応する充電信号を最適化することを伴う。そのような充電信号は、電池の電極における高いインピーダンスに起因した損失エネルギーを低減することによって、電池の充電時の効率を改善することができる。電池の電極における高いインピーダンスに関連付けられた充電信号の結果として、容量損失、熱発生、電池全体にわたる動電学的活動の不平衡、充電境界における望ましくない電気化学反応、およびバッテリを損傷させ、電池の寿命を低下させる場合がある電池内の材料に対する損傷を含む、多くの非効率性を生じさせる場合がある。さらに、不連続充電期間の高速に上昇する立ち上がりエッジを用いたバッテリのコールドスタートは、容量性充電および拡散過程が始まる際、限られたファラデー作用を引き起こす。この時間中、隣接したリチウムが反応し、迅速に消費され、望ましくない副反応および拡散律則条件の期間が残る。これは、セルおよびその構成要素の健康状態に負の影響を及ぼす。
【0012】
さらに、電池の充電状態、温度、および他の要因の変化により、電池の電極におけるインピーダンスが変わる場合がある。このため、充電中に、電池が加熱し、および/または電池の充電状態が増大するにつれ、電池におけるインピーダンスが経時的に変動する場合がある。このため、充電されている電池のインピーダンス特性を理解することに加えて、電池のインピーダンスプロファイルが変化する際に充電シーケンスの異なる時点または段階における電池のインピーダンスを測定することにより、電池の充電をさらに改善することができる。さらに、そのようなインピーダンス変化に基づいて充電特性を変えることにより、バッテリシステムに様々な形で利点をもたらすことができる。
【0013】
したがって、電池に印加されたまたは印加されることになる充電信号に基づいて、1つまたは複数の電池の複素インピーダンス特性を決定するためのシステムおよび方法が本明細書において開示される。実施態様は、電池のインピーダンスを測定して、いくつかの事例では、電池を充電するための波形形状の少なくとも一部分を定義する周波数成分または高調波を決定することを含むことができる。本明細書には、不連続充電期間または充電パルスとして包括的に論じられているが、充電波形は任意の形態または形状をとることができ、周期的部分および非周期的部分の双方を含むことができる。したがって、本明細書に記載のシステムおよび方法は、少なくとも1つの高調波を含む任意のタイプの充電信号に印加することができる。電池の実数成分値および/または虚数成分値の双方を含むインピーダンス値は、様々な方式または方法において取得することができる。本明細書におけるインピーダンスへの言及は、大きさ値が、電池にわたる電圧振幅と、電池を通じた電流振幅との比を表し、位相値が、電流が電池の電圧よりも位相が早いかまたは遅いかまたは同相である位相シフトを表す、極形式で表される複素インピーダンスを指すことができることを理解すべきである。本明細書におけるインピーダンスへの言及は、極形式から導出されたデカルト形式で表された複素インピーダンスを指すこともできる。ここで、実数成分または実数値は電池におけるレジスタンスを表し、虚数成分は電池におけるリアクタンスを表す。より容易な理解を提供するために実数成分および虚数成分を有するインピーダンスのデカルト形式の使用が本明細書において用いられる場合があるが、記載されるシステムおよび方法は、電池にわたる電圧振幅と、電池を通じた電流振幅との比(またはインピーダンスの大きさ)、および電圧信号との関係における電流信号の位相差(またはインピーダンスの位相シフト)からそのような値を決定することができる。他の事例において、電池の異なる特性を測定、決定または推定することができる。例えば、電池のコンダクタンスおよび/もしくはサセプタンスまたは任意の他のアドミッタンス態様を、単独でまたは組み合わせて、電池の充電中に測定または取得することができる。送達される電力、電圧測定値、電流測定値等の電池のさらに他の特性を取得および/または推定することができる。本明細書に記載のシステムおよび方法は、充電波形に応じて、および充電波形の定義された高調波の態様に基づいて、アドミッタンス値、電力値または電気化学デバイスへの電流の流れ(例えば、デバイスへの充電電流)を示す他の代表値を測定するかまたは他の形で取得し、そのような値を用いて充電信号を調整することができる。1つの例において、波形の調整は、1つまたは複数のそのような代表値に基づいて波形の高調波特徴を最適化および定義することを伴う。
【0014】
1つの実施態様では、電池におけるインピーダンスは、電池に印加される充電波形の不連続充電期間から、または電池に印加される複数の不連続充電期間から測定または推定することができる。例えば、電池における充電信号の電圧および電流成分の振幅および時間成分の態様を測定および/または推定することができる。別の例において、複数の不連続充電期間にわたるまたは様々な時点における充電信号の電圧および電流成分の振幅および時間成分の態様を測定および/または推定することができる。このため、充電波形の1つの不連続充電期間中に得られた測定値を参照して本明細書において論じられた態様は、複数の不連続充電期間にわたってまたは充電波形の他の様々な時点において取得された測定値に同様に適用することができる。電圧および電流波形の振幅および時間成分間の測定された差分を用いて、電池におけるインピーダンスの大きさ、位相シフト、実数値および/または虚数値を決定または推定することができる。1つの例において、実数および虚数インピーダンス値は、高調波/波形エッジの既知の単数または複数のポイントにおいて取得された電圧および電流波形の振幅における差異を有する既知の高調波から定義された充電不連続充電期間の立ち上がりエッジにおける差異から決定することができる。同様に、インピーダンスの態様は、充電波形の他のポイントにおける電圧および電流部分の振幅測定値から概算することができる。さらに他の実施態様では、充電信号の電圧および電流波形の様々な測定値は、測定値に印加される重み付けされた値に基づいて調整することができる。通常、充電信号の電圧および電流波形のいくつかの態様を決定または測定して、電池におけるインピーダンスを決定または推定することができる。別の実施態様では、充電信号の電圧および電流部分の数百または数千の測定値を取得して、デジタル処理システムを介して分析することができる。通常、波形の更なる測定値は、インピーダンスの周波数の影響をより良好に決定し、周波数に基づいて波形を設計するために、電池のインピーダンスに対する波形の影響のより正確な分析を提供することができる。
【0015】
1つの特定の事例において、充電波形を電池に印加することができ、波形の異なる部分に関連付けられたパラメータを測定または推定することができる。1つまたは複数のキーインピーダンスパラメータを、波形の測定された部分から計算することができる。いくつかの事例において、キーインピーダンスパラメータは、充電波形の様々なセクションにおいて電池で測定されたインピーダンスから、様々なキーインピーダンスパラメータを計算または推定するように構成されたプロセッサを介して決定することができる。別個の制御プロセスが、キーインピーダンスパラメータに基づいて充電波形の成分を調整および/または最適化することができる。各コントローラは、同時にまたは連続して個々に波形の異なる部分を最適化するように作動する別個のプロセスを表すことができる。例えば、インピーダンスパラメータのうちの1つまたは複数を重み付けし、重み付けされたインピーダンス値からスコア、誤差、確率または他のフィードバック測定値を決定することができる。波形特徴の調整を通じて、最適化されたまたは最大のスコアが達成されるまでフィードバック測定値を増大させることができる。最適化されたフィードバック測定値に到達すると、コントローラは、計算されたフィードバック測定値に基づいて充電波形を制御することができる。充電波形のコントローラは、ルールと同時に作用するか、または所定のシーケンスで(プログラムされたルールによって定義された或る特定のトリガイベント時に上書きすることができる)作用することができる。
【0016】
図1Aは、1つの実施形態による、電池104を再充電するための例示的な充電回路100を示す概略図である。通常、回路200は、電圧源または電流源とすることができる電源102を含むことができる。1つの特定の実施形態において、電源102は、直流(DC)電圧源であるが、交流(AC)源も企図される。通常、電源102は、電池104を再充電するための充電電流を供給する。いくつかの実施態様では、
図1Aの回路100は、電池104を充電する際に用いるための充電信号の1つまたは複数の波形を成形するために、電源102と電池104との間に充電信号成形回路106を含むことができる。回路コントローラ110は、充電信号成形回路106と通信し、1つまたは複数の入力を充電信号成形回路106に提供して、充電信号の波形の成形を制御することができる。充電成形回路106の1つの特定の実施態様が、「Sytems and Methods for Battery Charging」と題する同一出願人による米国特許非仮特許出願第17/232,975号に、より詳細に記載されている。この特許出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0017】
いくつかの事例では、回路コントローラ110は、電池104の1つもしくは複数のインピーダンス測定値または他の特性に基づいて充電信号の波形を成形するように充電成形回路106を制御することができる。例えば、充電信号成形回路106は、電池104の最小実数インピーダンス値、最小虚数インピーダンス値、最大コンダクタンス値、最適サセプタンス値等に関連付けられた高調波に少なくとも部分的に対応する充電波形を生成するように電源102からのエネルギーを変えるように制御され得る。したがって、回路コントローラ110は、電池104に接続されたインピーダンス測定回路108と通信して、セル電圧および充電電流、ならびに温度のような他の電池特性を測定し、電池104の電極にわたるインピーダンスを測定または計算することができる。1つの例において、インピーダンスは、印加される波形に基づいて測定することができ、実数値またはレジスタンス値、および虚数値またはリアクタンス値を含むことができる。別の例において、インピーダンスは、印加される波形に基づいて測定することができ、電圧振幅および電流振幅の比から決定された大きさ値と、電圧信号に対する電流信号の遅れから決定される位相シフトとを含むことができる。通常、単数または複数の電池104のインピーダンスは、セルの数および構成、セルの充電状態および/または温度を含む、セルの多くの物理的または化学的特徴に基づいて変動する場合がある。したがって、インピーダンス測定回路108は、数ある時点の中でも、セルの再充電中の電池104の様々なインピーダンスを決定し、測定されたインピーダンス値を回路コントローラ110に提供するように回路コントローラ110によって制御され得る。いくつかの事例において、電池104の測定されたインピーダンスの実数成分は、電源102からのエネルギーを、電池104の最小実数インピーダンス値に関連付けられた高調波に対応する1つまたは複数の充電波形に整えることができるように、回路コントローラによって充電信号成形回路106に提供することができる。別の例において、回路コントローラ110は、受信した実数インピーダンス値に基づいて1つまたは複数の制御信号を生成し、これらの制御信号を充電信号成形回路106に提供することができる。制御信号は、数ある機能の中でも、実数インピーダンス値に対応する高調波成分を含むように充電波形を成形することができる。
【0018】
従来の電源から生成された波形は、複数の高調波成分から構成され得る。例えば、
図1Bは、電池104を充電するために印加することができる一連の波形120の例を示す。波形信号120は、異なる周波数のいくつかの正弦波信号または高調波から構成される。示される例において、波形信号120は、第1の周波数の正弦波信号122、第2の周波数の正弦波信号124、第3の周波数の正弦波信号126、および第4の周波数の正弦波信号128の和である。任意の所与の状況において、より多くのまたはより少ない周波数成分が可能であり、4の例は図示および例示の目的でのみ用いられる。正弦波高調波122~128の組合せは、
図1Bの波形信号120を含む。本開示の態様は、そのような信号における高調波の大きさおよびタイムングを含む、波形の形状を制御することと、その成形された信号を用いて電池を充電することとを伴い、ここで、波形の様々な態様、例えば立ち上がりエッジ、本体および/または立ち下がりエッジは、高調波または高調波成分の組合せを通じて作成され得る。「Sytems and Methods for Battery Charging」と題する同一出願人による米国特許非仮特許出願第17/232,975号に説明されているように、波形信号120の印加に起因した電池104におけるインピーダンスは、充電信号内に含まれる高調波または周波数に依拠することができる。一連の設定されたDC電圧レベルではなく、例えば、いわゆる矩形波信号の場合、信号は、各々、
図1Bに関して紹介したような様々な周波数の高調波からなる一連のパルスを含むことができる。さらに、パルスの制御されていない潜在的高調波は、そのような制御されていないパルス信号が充電において印加され、電池104を充電するための矩形波の効率を低下させる場合、電池104における比較的高いインピーダンスに関連付けることができる。したがって、充電信号を生成または成形して、電池104において高インピーダンスが存在する高調波を除去するかまたは減少させることにより、バッテリの充電の効率を改善し、充電中に生成される熱を低減し、アノードまたはカソードに対する損傷を低減し、充電時間を低減し、より多くの容量が用いられることを可能にし、および/またはバッテリ寿命を増大させることができる。
【0019】
図1Cは、電池に印加される充電信号に含まれる対応する高調波(対数周波数軸(軸136)として示される)に対する電池104の実数インピーダンス値(軸134)の関係を示すグラフ132である。プロット138は、充電信号として印加され得る充電信号の正弦波成分の様々な周波数における電池104の電極にわたる実数インピーダンス値を示す。示すように、実数インピーダンス値138は、充電信号の周波数に基づいて変動することができ、より低い周波数における最初はより高いインピーダンス間の、比較的低いインピーダンスと、次に最低インピーダンスが見つかる周波数よりも高い高調波における実数インピーダンスにおける比較的急速な増大とを伴う。電池104についての実数インピーダンス値のプロット138は、f
Minとしてラベル付けされた特定の充電信号周波数142に対応する最小実数インピーダンス値140を示す。電池104についての実数インピーダンス値138のプロットは、バッテリ化学、充電状態、温度、充電信号の組成等のようなセルの多くの要因に依存し得る。このため、電池104の最小実数インピーダンス値140に対応する周波数f
Min142は、同様に、充電下の特定の電池104の特性に依存し得る。周波数f
Min142は、パック内のセルの構成およびパック内のセル間の接続等の、電池104の他の態様に対応してもよい。
【0020】
1つの実施態様では、充電信号成形回路106は、回路コントローラ110からの1つまたは複数の制御信号に応答して、
図2に示すものに類似した充電不連続充電期間を提供することができる。
図2は、1つの実施形態による、電池に充電信号が印加されたことに応じた、時間206に対する、電池にわたる測定された電圧降下202(「V」をラベル付けされた実線202として示される)および電池における測定された電流204(「I」をラベル付けされた破線204として示される)の信号図である。通常、充電信号成形回路106は、傾斜したフロントエッジ209(場合によっては、電池におけるインピーダンス測定値に関連付けられた高調波に対応する)、一定のまたはほぼ一定の本体部分203(電源102の電圧上限に対応する)、および鋭い立ち下がりエッジ205を含むように電池にわたって電圧202を制御することができる。しかしながら、電圧制御された変形型の回路100の場合、不連続充電期間201の電流204成分は、電圧成分202に遅れをとる場合がある。より詳細には、電池における電流204は、不連続充電期間201の立ち下がりエッジ205においてバッテリへの電圧202が除去された後、ゼロに戻るまでに或る時間がかかる場合がある。バッテリにおける電流204がゼロに戻る際のこの遅延は、不連続充電期間に更なる非効率性を加える場合があるため、不連続充電期間201のいくつかの実施は、不連続充電期間の部分214として
図2に表される、電池におけるゼロ電流に対応する遷移電圧未満に電圧を駆動するように、充電信号の電圧202が制御されることを含むことができる。通常、遷移電圧は、バッテリへの電流が反転される充電信号の電圧であり、電池の浮遊電圧に類似することができる。特に、不連続充電期間の立ち下がりエッジ205に続く期間にわたって電圧214を遷移電圧未満に駆動することにより、そのような形状を有しない不連続充電期間と比較して、より高速に電流204をゼロampに駆動することができる。電圧214がゼロ電流に対応する遷移電圧未満に制御される持続期間T
T216は、回路コントローラ110によって、電池104における電流204がゼロampに戻る時間を最小限にするように決定または設定することができる。電流204が特定の静止期間にわたってゼロampに戻ると、別の不連続充電期間201を電池104に印加することができる。別の事例において、静止電圧230は、次の不連続充電期間201が電池104に印加される前に電流204がゼロampに戻ることに加えた外部制御なしで安定化させることができる。いずれの事例においても、不連続充電期間201の終了時に、別の充電不連続充電期間の印加の前に生じる放電量を最小化または制御することが望ましい場合がある。
【0021】
上述したように、回路コントローラ110は、電池104におけるインピーダンスを測定するようにインピーダンス測定回路108を制御し、そのような測定値を用いて、測定されたインピーダンスに基づいて1つまたは複数の追加のまたは未来の充電不連続充電期間を生成するように充電信号成形回路106を制御する。特に、電池104におけるインピーダンスは、充電信号に含まれる高調波に対応することができるため、電池の充電効率は、充電信号における高調波を、周波数f
Min142の、またはこの近くの高調波に制限することによって改善することができる。そのような充電信号を生成するために、
図1Aの回路は、不連続充電期間中のまたは複数の不連続充電期間にわたる様々なポイントにおいて電池104におけるインピーダンス値を取得し、電池104のインピーダンスプロファイルを決定し、これに応じて追加のまたは未来の充電期間を調整するように構成または設計することができる。他の例において、回路コントローラ110は、電池104および/または電池に印加される充電信号の他の特性を取得し、取得した特性を用いて電池におけるインピーダンスを推定するようにインピーダンス測定回路108を制御することができる。例えば、電池104のインピーダンス値は、インピーダンス測定回路108によって電池において測定された電圧波形202および/または電流波形204の振幅および時間特徴に基づいて測定または推定することができる。さらに、波形202、204の振幅および時間特徴を、印加された不連続充電期間または複数の印加された不連続充電期間の異なる複数のセクションにおいて測定し、電池104におけるインピーダンスを決定または推定することができる。次に、電池104の決定または推定されたインピーダンス値を、回路コントローラ110によって用いて、充電信号の未来の不連続充電期間201を調整して、電池104を再充電する際の充電信号の効率を改善することができる。
【0022】
図3は、特に、1つの実施形態による、電池における波形の測定された特性に基づいて様々な時点に電池のインピーダンス値を決定するための1つの方法を示すフローチャートである。方法の動作は、おそらく、回路コントローラ110によって提供される1つまたは複数の制御信号に応答して、インピーダンス測定回路108の構成要素によって実行することができる。しかしながら、回路100の他の構成要素は、方法300の動作のうちの1つまたは複数を実行することができる。さらに、波形の測定値は、1つまたは複数のハードウェア構成要素、1つまたは複数のソフトウェアプログラム、またはハードウェア構成要素およびソフトウェア構成要素の組合せを通じて取得することができる。また、説明した動作のうちの1つまたは複数は、実行されなくてもよく、動作は、任意の順序で実行されてもよい。
【0023】
動作302の開始時に、インピーダンス測定回路108は、電池104への不連続充電期間の印加中の様々な時点の電池104における電圧および電流波形の振幅および/または時間測定値を取得することができる。上記で説明したように、例として
図2の電圧202および電流波形204を用いて、電圧波形(波形202等)または電流波形(波形204)等を充電信号成形回路106によって電池104に提供することができる。示される特定の例において、
図1Aの回路100は、電圧波形202が電池104の再充電を制御するように、電圧制御された構成要素を含むことができる。代替の実施態様では、回路100は、電流波形が、電池104を再充電するために充電信号成形回路106によって成形されるように電流制御された構成要素を含むことができる。印加される波形のタイプにかかわらず、様々な時点において、電池に印加される不連続充電期間に応じて、電池104にわたる電圧降下および電池において測定される電流を決定または測定することができる。1つの特定の実施態様では、第1の時点218において、インピーダンス測定回路108は、第1の電圧測定値V
0を取得することができ、第1の電流測定値I
0が取得され得る。1つの実施態様では、第1の時点218は、電池104に不連続充電期間201を印加する前の電池104における電流がゼロampである時点に相関することができる。時点218における電流はゼロampである場合があるが、電圧V
0は電池104の浮動電圧である場合がある。さらに、同じに示されているが、電圧成分202および電流成分207の表される値は、信号が異なるユニットにおいて測定されるにもかかわらず、同じプロットにおいて示すことができるようにスケーリングされ、重ね合わせられている場合がある。例えば、x軸206は、電流プロット207についてのゼロamp、および電圧プロット202についての遷移電圧値(いくつかの事例では、ゼロ値よりも高いかまたは低い)の双方を表すことができる。
【0024】
更なる電圧および電流測定値を、不連続充電期間201の波形に対応する後の時点に取得することができる。特に、インピーダンス測定回路108は、電圧波形202の立ち上がりエッジ209のピークにおける電圧V1 220を測定することができる。加えて、インピーダンス測定回路108は、初期電圧測定値V0と電圧V1 220が生じる時点との間の時間差T1-Vを測定することができる。以下で説明されるように、時間差T1-Vを用いて、電池104におけるインピーダンスのリアクタンス値または位相シフト値を決定することができる。類似の方式で、インピーダンス測定回路108は、電流波形207の立ち上がりエッジ211のピークにおける電流I1 222を測定することができる。また、インピーダンス測定回路108は、初期電流測定値I0と、電圧I1 222が生じる時点との間の時間差T1-Iを測定することができる。この示される例において、電流波形204は、T1-IがT1-Vの後に生じるように制御された電圧波形202に対し遅延される。電圧波形202および電流波形204の追加の振幅値は、不連続充電期間201の立ち下がりエッジ205において取得することができる。特に、インピーダンス測定回路108は、不連続充電期間201の立ち下がりエッジ205の発生時に電圧V2 212および電流I2 224を測定することができる。通常、電池104におけるインピーダンスに起因して、印加される電圧と電池104における受信電流との間に何らかの差異が存在するように、不連続充電期間201の全電圧未満の電圧202が充電電流204に変換される。
【0025】
インピーダンス測定回路108によってまた更なる時間測定値を取得することができる。1つの事例において、電流波形204がゼロampに戻るとき、電圧V3、および初期電圧測定値V0と電圧V3が生じる時点との間の時間差T2 226を得ることができる。いくつかの事例において、時間差T2 226は、電流波形204をゼロampにするための時間の尺度としてフェード時間と呼ばれる場合がある。いくつかの事例において、電圧V3は、電池104が電流をゼロampに駆動するのを支援するために、遷移電圧未満とすることができる。しかしながら、電池104のための充電信号は、電池104における電圧および電流が、ゼロampに対応する静止状態、および電池の遷移電圧における電圧に戻るまで待機するように制御することができる。このため、インピーダンス測定回路108は、初期電圧測定値V0と、電圧波形202が遷移電圧に戻り、電流波形204がゼロampに戻る時点との間の時間差T3 228をさらに測定することができる。いくつかの事例において、充電信号の非効率性を防ぐために電池104のために更なる不連続充電期間が生成される前に、追加の静止期間を充電信号に加えることができる。
【0026】
インピーダンス測定回路108または回路コントローラ110によって、電圧および電流波形202、204の任意の数およびタイプの特性を測定または決定することができることが理解されるべきである。例えば、電圧波形202の他の振幅および/または電流波形204の振幅を測定することができ、そのような振幅の発生の時間差を決定することができる。さらに、測定値が取得される不連続充電期間201のポイントは、回路100による不連続充電期間の成形に依拠し得る。なぜなら、以下でより詳細に説明されるように、測定値を用いて、成形された充電期間の特性を決定することができるためである。
【0027】
動作304時に、インピーダンス測定回路108または回路コントローラ110は、充電波形201の測定された特性に基づいて電池の1つまたは複数のインピーダンス特性を計算または推定することができる。さらに、計算または推定されたインピーダンス特性または電池応答の他の特性は、不連続充電期間201の異なるセクションまたは部分に対応することができる。例えば、インピーダンス測定回路108は、V1 220およびI1 222において測定された振幅値の比を決定して、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分209のピークにおける実数インピーダンス値またはインピーダンス大きさを推定することができる。1つの実施態様では、ピークにおける実数インピーダンス値は、ZR_EDGE=(V0-V1)/(I0-I1)に基づいて計算することができる。同様の方式で、インピーダンス測定回路108は、V2 212およびI2 224の振幅値の比を決定して、式ZR_BODY=(V0-V2)/(I0-I2)を通じて、不連続充電期間201の本体部分の末端における実数インピーダンス値またはインピーダンス大きさを推定することができる。しかしながら、推定された実数インピーダンスZR_BODYは概算である場合がある。なぜなら、測定値V2 212およびI2 224が取得される不連続充電期間201の部分は、多くの区別不可能な高調波を含む場合があり、それによってZR_BODYが未知のリアクタンス部分を含む場合があるためである。そのような困難は、通常、ZR_EDGEの計算においては存在しない。なぜなら、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ209は、単一の高調波から構成することができるためである。
【0028】
類似の方式で、電池104の複素インピーダンスの位相シフト、リアクタンスまたは虚数値を決定または推定することができる。例えば、インピーダンス測定回路108は、時点T1-VおよびT1-Iの差を決定し、測定された時間差を利用して、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ209部分のピークにおける虚数インピーダンス値を推定することができる。いくつかの事例において、ZIMG_BODYは、フェード持続時間TT216中にインピーダンス特性を測定することによって粗く概算することができる。特に、立ち下がりエッジ205におけるインピーダンスの虚数成分は、虚数成分を測定された持続時間TT216に基づいて推定することができるように、不連続充電期間201のフェード部分の持続時間TT216に関係することができる。通常、電池104のインピーダンスの多くの態様は、電池104に印加される不連続充電期間201の任意の数の測定値に基づいて決定または推定することができる。
【0029】
動作306時に、回路コントローラ210は、1つまたは複数の不連続充電期間パラメータコントローラに計算または決定されたインピーダンス特性のうちの1つまたは複数を適用して、電池104に提供された充電信号の不連続充電期間の形状に対する調整を決定することができる。特に、コントローラは、インピーダンス測定値または推定値をコントローラへの入力として利用することができる。いくつかの事例において、決定されたインピーダンス値は、他の測定値または推定値に対する測定値の影響を調整するように重み付けすることができる。通常、波形202、204の任意の態様は、単にインピーダンス値に対してのみでなく、ピーク値、%時間利用(ここで、50%デューティにおける矩形波は50%の利用となり、DCは100%となる)等を含む多岐にわたるパラメータに対し重み付けすることができる。
【0030】
動作308時に、不連続充電期間パラメータコントローラは、最適な充電波形形状を達成するように充電波形201の態様を調整することができる。例えば、別個の波形パラメータコントローラは、充電波形201の対応する部分を調整または最適化するように構成することができる。1つの特定の実施態様では、波形パラメータコントローラは、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分209の高調波を最適化するためのコントローラ、不連続充電期間の本体部分203の持続時間を最適化するためのコントローラ、不連続充電期間のフェード部分214の底部において最も低い電圧大きさを最適化するためのコントローラ、および/または新たな不連続充電期間が生成される前に不連続充電期間の静止期間を最適化するためのコントローラを含むことができる。例えば、上記で決定されたZR_BODYおよび/またはZR_EDGEを利用して、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分209の高調波を決定することができる。不連続充電期間の他の態様または特性も1つまたは複数のコントローラによって最適化することができる。各不連続充電期間パラメータコントローラは、充電波形201のインピーダンス測定値または推定値、電圧測定値、電流測定値等の態様を受信することができる。さらに、以下でより詳細に説明するように、各コントローラは、入力に適用された重み付けを調整して、不連続充電期間201の対応する部分について最も高い最適化値を生成するか、または電池104に対する損傷を最小限にすることができる。そのような最適化は、不連続充電期間パラメータコントローラによって別個にまたは同時に行うことができる。1つの実施態様では、コントローラは、実行シーケンスを決定するために、1つまたは複数の規則に基づいて順次実行することができる。さらに、コントローラ実行のシーケンスは、充電波形201の測定値から得られた1つまたは複数のイベントトリガに基づいて調整することができる。
【0031】
動作310時に、回路コントローラ110は、不連続充電期間パラメータコントローラからの出力に基づいて不連続充電期間を生成するように充電信号成形回路106を制御することができる。通常、不連続充電期間パラメータコントローラからの出力は、電池電極におけるインピーダンスを最小化または低減しながら、電池に充電を適用するための最適化された不連続充電期間201を提供する。コントローラ出力の変換により、成形回路106が不連続充電期間の形状を調整して充電信号を最適化するための制御信号を生成することができる。例えば、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ209の高調波に対応する不連続充電期間パラメータコントローラは、立ち上がりエッジからの高周波数高調波を最適化または低減するために、立ち上がりエッジのための周波数を出力することができる。次に、回路コントローラ110は、成形回路106のための1つまたは複数の制御信号を生成して、不連続充電期間の立ち上がりエッジの高調波を、コントローラの出力に対応するように調整することができる。不連続充電期間の他の態様は、不連続充電期間の持続時間、および不連続充電期間のフェード部分のための遷移電圧未満の電圧等の、不連続充電期間パラメータコントローラの出力に基づいて同様に制御することができる。このようにして、電池104の計算または推定されたインピーダンスを用いて、電池に提供される充電波形の形状を調整または制御することができる。
【0032】
いくつかの事例において、回路コントローラ110は、上記で取得したインピーダンス測定値に基づいて不連続充電期間を生成するように充電信号成形回路106を制御するための測定または推定されたインピーダンス値に加えて、充電状態または他の特性を検討することができる。例えば、電池104は、回路コントローラ110によって、充電セッションの開始時に公称電圧を下回る浮動電圧を有する10%未満の充電状態を有するように決定することができる。上記で説明したように不連続充電期間中のインピーダンス測定値または決定を得た後、回路コントローラ110は、決定されたインピーダンスに応じて不連続充電期間を調整するように不連続充電期間生成回路を制御することができる。例えば、後続の不連続充電期間は、
図2に示すものと類似の形状を有するように制御することができる。より具体的には、上記で論考したインピーダンス測定値または推定値、および電池104の充電開始の決定に基づいて、後続の不連続充電期間201の正弦波の立ち上がりエッジ209は、電池の最小インピーダンスに関連付けられた周波数を上回る周波数にマッチするように制御することができる。立ち上がりエッジ209の周波数は、立ち上がりエッジ209中の電池104におけるインピーダンスが測定または計算されたインピーダンス値の特定の許容範囲内、例えば、測定された最小インピーダンス(Z
min)、測定された実数インピーダンス(Z
r)、計算されたモジュラスインピーダンス(Z
mod)、または任意の他のインピーダンスベースの測定値もしくは計算値の12%以内にあるように、回路コントローラ110によって選択することができる。
【0033】
次に、回路コントローラ110は、不連続充電期間201の本体部分203について、傾斜付きのまたは成形された、一定の電圧を印加することができる。本体部分の間、電流は、いくつかの事例において、上昇し続ける場合がある。なぜなら、電池104内の拡散プロセスが依然として一時的である場合があるためである。そのような事例において、本体203の持続時間は、回路コントローラ110によって、電流が本体203の中点においてピークに達するように調整することができる。これは、セル内の構成要素間の大量輸送制限の開始および増大する電圧勾配に起因して、本体203の終了時に、本体203部分の開始時と同じまたは類似の値に戻るための電流を提供することができる。不連続充電期間201の立ち下がりエッジ205において、電流は、電圧信号に遅れをとる場合があるが、最終的に、ゼロの大きさに降下することができる。いくつかの事例において、電流がゼロの大きさまで降下する期間216は、許容可能な期間(立ち上がりエッジ期間の15%等)以内になるように制御することができる。他の事例において、電流は、不連続充電期間201の立ち下がりエッジ232後にゼロampに戻るときに制御されない場合がある。これにより、電池104の所与の目標充電速度についてより低いピーク電圧およびピーク電流をもたらすことができ、これによって、電池104における分極、気体放出および温度上昇を最小限にすることができる。不連続充電期間間の適切な静止期間は、充電信号の立ち上がりエッジ209および本体203の持続時間に基づくことができ、電池104が目標充電速度を維持しながら、更なる熱を散逸させることを可能にするように適用することができる。
【0034】
35%から65%の充電状態において、電池104のインピーダンスは、不連続充電期間のピーク電圧およびピーク電流に対しますます敏感になる場合がある。これに応じて、回路コントローラ110は、不連続充電期間201の本体部分203の高調波を、最小インピーダンス周波数を中心にするように調整することができる一方で、立ち上がりエッジ202に関連付けられた高調波を、より狭い正弦波信号(より短い期間を有する立ち上がりエッジ209)をもたらすように選択することができる。不連続充電期間に対するこれらの変更の結果として、最小インピーダンスの最大で25%等の、より高速な立ち上がりエッジに起因して、電池104における、より高い平均インピーダンスを得ることができる。したがって、電流は、不連続充電期間201の立ち下がりエッジ205においてゼロに近づくための更なる時間を必要とする場合がある。電流がセルの脱分極を示すゼロampに安定化するのに必要な時間を減少させるために、不連続充電期間201の終了時の電圧ディップ214を、上記のようにセルの浮動電圧に戻る代わりに、2.6Vの高さまで減少させることができる。この電圧ディップ214は、電流232が立ち上がりエッジ期間の15%以内にゼロに近づくことを可能にする期間にわたって保持することができ、次に、ゼロ未満の電流のオーバーシュートおよびゼロ付近の電流振動に起因した部分的放電を最小限にするために、或る勾配で浮動電圧まで徐々に上昇される。
【0035】
電池104の最大許容可能平均電圧(約80%のSOC)の付近で、電池のインピーダンスは、立ち上がりエッジ209の周波数と、不連続充電期間201の本体203の周波数との間のより少ない変動を必要とする場合がある。そのような状況において、不連続充電期間201は、最小インピーダンスからの22%以内のずれに制御することができる。電池104のアノードおよびカソードは、それぞれリチウム濃度の上限および下限付近にあり、電池104のインピーダンスは、充電期間間のより長い静止期間を提供する一方で、所与の充電速度について、ピーク電圧および電流値に対しより感度が低くなる。不連続充電期間201に対する調整により、充電システムは、より低い分極で、過剰な熱、電気化学的副反応または容量損失を伴うことなく、効率的な充電を維持することが可能になる。
【0036】
他の事例において、マイクロコントローラまたは他のデジタルベースの測定システムを利用して、電池104のインピーダンスを計算し、それに応じて充電波形201を制御することができる。特に、電圧信号202等の電圧信号の3つの電圧測定値をマイクロコントローラによって取得することができ、電流信号204の3つの電流測定値を取得することができる。測定値は、時間領域において同時に得ることができ、したがって、2つのインピーダンス値Z1およびZ2を計算するのに用いることができる。例えば、測定値V1およびI1は、不連続充電期間の時間領域内で同時に取得することができる。上記で説明したように、波形202、204の追加の測定値も取得することができる。インピーダンス値Z1およびZ2は、充電信号の1つまたは複数の特徴または態様を決定するために上記で説明したのと類似の方式で用いることができ、制御回路110によって、充電信号をこれに応じて成形して、制御された波形の組合せから最適化された充電信号を生成するように回路100の態様を制御するために利用することができる。
【0037】
多くの事例において、電池104を通る電流は、(電圧制御された不連続充電期間の場合)不連続充電期間の電圧の形状および特性に対応する。
図4Aは、バッテリに印加される不連続充電期間402の電圧成分404および電流成分406の図であり、電圧および電流の双方が測定される。
図2と同様に、不連続充電期間402は、信号402の電圧404の制御を通じて生成され、立ち上がりエッジセクション405、本体セクション407および立ち下がりセクション409を含むことができる。
図4Aに示す例において、立ち上がりエッジ405の電圧成分404は、比較的高い周波数の高調波を反映する鋭いエッジを含むことができる。しかしながら、立ち上がりエッジ高調波に関連付けられた電池104におけるインピーダンスに起因して、電池における電流(曲線406において示される)は、電圧よりも低速に上昇することができ、電圧に対し遅延させることができる。電池104におけるインピーダンスは電圧成分404および電流成分406の比に対応するため、不連続充電期間402の比較的高い周波数の立ち上がりエッジ高調波が、信号の電流成分に影響を及ぼす何らかのインピーダンスに関連付けられることを見てとることができる。さらに、
図4Aに示すように、電圧408は、不連続充電期間402の本体部分407において、一定の値になるように制御することができる。しかしながら、不連続充電期間402の電流成分410における反応は、電池104のインピーダンスに起因して本体セクション407の一部分を通じて上昇し続ける場合があり、これは、
図4Aにおいて、本体部分の電圧信号408および電流信号410の分離によって示される。
図4Aにおける電圧信号408および電流信号410間のずれは、電池104におけるインピーダンスの実数成分または大きさの近似を示し、印加された電圧408の立ち上がりエッジに応じた電流信号の遅延は、インピーダンスの虚数成分または位相シフトを表す。電圧成分408および電流成分410のプロットは、
図4A~
図4Cの信号図を生成するようにスケーリングし、重ね合わせることができる。本体セクション407における電流の上昇速度が立ち上がりエッジから本体セクション407への電圧信号404の遷移に関係する場合がある。さらに、上述したように、更なるまたは未来の不連続充電期間の本体部分407の持続時間は、本体セクションの中点において本体セクション407における電流410のピークが生じるように制御することができる。したがって、いくつかの事例において、本体部分407中の不連続充電期間402の電流成分410の下方傾斜を監視および/または測定することができ、不連続充電期間の立ち下がりエッジ部分409は、電流が本体部分の開始時と類似の電流に戻るように投影されるポイントにおいて開始することができる。不連続充電期間402の立ち下がりエッジにおいて、上記で説明したように、電圧412は、電流414をそのような形状を有しない不連続充電期間と比較してより高速にゼロampに駆動するための期間にわたって遷移電圧未満に駆動することができる。
【0038】
図4Bに示す不連続充電期間422の別の事例において、不連続充電期間422の立ち上がりエッジ425は、立ち上がりエッジセクション425中の比較的低い周波数の高調波(
図4Aの不連続充電期間に対しより鈍い速度)によって定義することができる。より低い周波数の高調波の立ち上がり電圧エッジは、不連続充電期間422の電流426部分によって反映される、より低いインピーダンスに関連付けられるほど、振幅および時間の双方において電圧制御部分424の曲線をより密接に辿ることになる。さらに、立ち上がり部分425から本体部分427への遷移が、ここでも
図4Aの不連続充電期間に対し、より激しくないため、電流部分430における頂点も同様により突出せず、それによって電圧振幅および/または形状が本体部分中の電圧形状をより密接に反映する。
図4Aの不連続充電期間に示すような不連続充電期間422の立ち下がり部分429における類似の電圧ディップ432は、別の充電波形の送信の準備において電流434をゼロampに駆動するために
図4Bの不連続充電期間422に存在することができる。
【0039】
図4Cに示すような不連続充電期間442のさらに別の例において、電圧信号444の立ち上がりエッジ445は、さらに平坦な上昇を定義する
図4Aおよび
図4Bのものと比較してさらに低い周波数の高調波によって定義することができる。この事例において、不連続充電期間の電流446部分は、
図4Aおよび
図4Bの不連続充電期間と比較して電圧制御部分444の曲線をさらに密接に反映することができる。しかしながら、本体部分447中の電流450は、上述したように小さな頂点を有するかまた頂点を有しない場合があるが、代わりに、電圧448が電池104内の拡散プロセスに起因して一定に維持される際に徐々に減少する場合がある。この不連続充電期間442の例は、電流454をゼロampに駆動するための不連続充電期間442の立ち下がり部分449における電圧ディップ452も含むことができる。
【0040】
電池104を充電するように不連続充電期間を成形することは、期間あたりの効率性および最大電力の送達のバランスをとることを含むことができる。例えば、
図4Aの不連続充電期間402は、不連続充電期間が矩形波形状に近づくように電圧がピーク値に急速に近づく際に大量の充電電力を提供することができる。しかしながら、本体部分407への鋭い遷移が後続する不連続充電期間402の立ち上がりセクション405における鋭い上昇により、信号において高い高調波が生じる場合がある。
図1Cに関連して上記で論考したように、そのような高い高調波は、電池104における高いインピーダンスを引き起こし、結果としてバッテリの充電における大きな非効率性が生じる場合がある。代替的に、
図4Cの不連続充電期間442は、より低速の立ち上がりエッジ445に起因した電池104における高インピーダンスを提供する不連続充電期間内の高調波を低減または最小化する場合があるが、この不連続充電期間442における電池104に提供される平均電力量(不連続充電期間の下の面積に対応する)は、
図4Aおよび
図4Bの不連続充電期間未満である。このため、インピーダンスは、他の充電信号と比較して低減することができるが、セルを充電するために電池104に送達される電力がより少なくなる。
図4Bの不連続充電期間422は、電池の充電中のインピーダンスおよび電力送達の対照をなす検討事項間の平衡を提供する。
【0041】
インピーダンスおよび電力送達の検討事項間の平衡を達成するために、回路コントローラ210は、電池104におけるインピーダンスを監視または測定し、それに応じて、不連続充電期間の形状を、その任意の成分を含めて調整することができる。いくつかの事例において、インピーダンス特性または値を取得するのに用いることができる電圧および電流の別個の測定値に依拠するのではなく、システムは、上記で説明した測定値のうちの1つまたは複数を推定することができる。例えば、
図5は、電池104を充電するための充電信号の一部とすることができる不連続充電期間501を示す。信号
図501は、(不連続充電期間501の電圧成分502および不連続充電期間の電流成分503の双方についての)不連続充電期間に沿ったポイントのインジケーションを含む、
図2に関して上記で説明した不連続充電期間201に類似している。例えば、回路コントローラ110は、ポイント520、ポイント512等における電圧、およびポイント522、ポイント524等における電流を決定することができる。これらの測定値を利用して、不連続充電期間に沿った様々な時点における電池104のインピーダンスを決定することができる。しかしながら、これらのポイントのうちの1つまたは複数における別個の測定値ではなく、システムは、代わりに、示されたポイントにおける測定値のうちの1つまたは複数を推定してもよい。
【0042】
例えば、電圧V1は、不連続充電期間501の立ち上がりエッジ部分と、不連続充電期間の本体部分との間の電圧成分の遷移点520において測定することができる。電流I1は、同様に、不連続充電期間の電流成分について、遷移点522において測定することができる。電圧制御システムにおいて、遷移点520を決定することができ、それに応じて、電圧成分の制御に基づいて電圧を測定することができ、例えば、測定は、立ち上がりエッジから一定の本体値に電圧が遷移するときに行うことができる。電流遷移は電圧遷移と位置合わせされないため、システムは、単純に遷移点において電圧を測定するのと同時に電流を測定することができない。このため、遷移と位置合わせするために正しい時点に電流成分を正確に測定することは難しい場合があり、実際の遷移よりも早いかまたは遅い測定の結果として、電池のインピーダンスにおける推定においていくらかの不正確性が生じる場合がある。このため、1つの可能な実施態様では、回路コントローラ110は、電池104におけるインピーダンス決定の効率性または精度を改善するために、本明細書において論じた電圧、電流または時間測定値のうちの1つまたは複数を推定することができる。
【0043】
1つの実施態様では、回路コントローラ110は、充電信号の立ち上がりエッジ部分中の電圧成分502の電圧測定値の変化速度、および電流成分503の電流測定値の変化速度を取得することができる。成分の変化速度は、対応する充電信号成分の傾斜に相関することができる。成分の変化速度の監視を通じて、変化の傾斜または速度が最大となる立ち上がりエッジに沿ったポイントを決定することができる。例えば、不連続充電期間501の電圧成分のための最大傾斜ポイント509は、曲線502に沿って電圧を測定し、変化の上昇速度と、変化の下降速度との間の遷移部を探し出すことによって得ることができる。この変曲点509は、電圧曲線502の最大傾斜とすることができる。同様にして、不連続充電期間501の電流成分503の変曲点507も決定することができる。波形が開始したポイント518、ならびに電圧成分502および電流成分503の変曲点507、509が決定されると、システムは、不連続充電期間の立ち上がりエッジ部分から本体部分に各それぞれの成分が遷移する時点を推定することができる。特に、不連続充電期間の立ち上がりエッジは正弦波形状であるため、変曲点507および509は、不連続充電期間501の立ち上がりエッジの中点において生じると想定することができる。このため、次に、回路コントローラ110は、不連続充電期間501の立ち上がりエッジから本体部分への遷移点522または520を、不連続充電期間のそれぞれの成分について初期点518から中点507および509への持続時間の2倍であるポイントにおいて生じるものとして推定することができる。回路コントローラ110は、この推定に基づいて、ポイント520における電圧測定値およびポイント522における電流測定値を得ることができる。これらの推定(または計算)時点における電圧および電流の測定値を用いて、ZR_EDGEおよび/もしくはZIMG_EDGE、または本明細書において論じられる任意の他のインピーダンス測定値を決定することができる。
【0044】
別の例において、回路コントローラ110は、電池104におけるインピーダンスを計算する際に、電圧および/または電流測定における或る特定の量の誤差を受容することができる。例えば、電圧制御された不連続充電期間504について、回路コントローラ110は、制御された電圧信号が立ち上がりエッジの正弦波信号から本体部分の一定の電圧まで遷移するポイントとしてポイント520を決定することができる。しかしながら、不連続充電期間501の電流成分503について対応する遷移点522を推定するのではなく、回路コントローラ110は、遷移点520の時点において、またはそこから或る固定の時間遅延において、電流測定値を取得することができる。電池104におけるインピーダンス値におけるいくらかの誤差が、同時の、または電流成分503の反応における遅延に起因したその後の時点の、電圧V1および電流測定値の比較において存在するが、そのような誤差は、電池104におけるインピーダンスの測定時に回路コントローラ110によって受容可能とすることができる。充電信号501の立ち上がりエッジ部分から本体部分への電流成分の遷移点において電圧測定値を取得することによって、電流制御された不連続充電期間について類似の手法を利用することができる。
【0045】
また別の事例において、不連続充電期間501の電圧成分は、立ち上がりエッジ部分のピークにおいて本体部分の一定電圧に遷移しない場合がある。むしろ、
図6Aに示すように、電圧成分602は、電流成分603が立ち上がりエッジ部分の頂点に達するまで正弦波形状を継続するように制御することができる。より詳細には、不連続充電期間601の立ち上がりエッジ部分は、単一の高調波の正弦波形状を含むことができ、それによって、電圧部分に続く電流部分603が類似の正弦波形状となる。不連続充電期間601は単一の高調波であるため、不連続充電期間601の電流部分603の頂点が生じる時点を正確に決定することができ、ポイント622における電流I
1は、立ち上がりエッジの電流部分の頂点において測定することができる。ポイント622が生じる時点の決定に続いて、電圧部分604は、正弦波の高調波の初期の下方部分から、不連続充電期間601の本体の一定電圧に遷移するように定義することができる。これを行うことにより、このポイントにおいて非常に低いインピーダンスを生じさせることができ、信号の本体部分を非常に低いインピーダンスで印加されるようにすることができる。低インピーダンスは、不連続充電期間の本体部分における信号の電圧成分および電流成分間に分離がほとんどまたは全くないことによって例示される。
【0046】
図6Bに示す別の事例において、電圧部分616は、不連続充電期間610の本体部分について正弦波を弱めるベッセル関数形状をとるように制御することができる。電圧成分616を制御してベッセル関数形状にすることにより、正弦波の立ち上がりエッジからポイント620における一定の電圧部分への遷移において引き起こされ得る高い高調波を低減することができる。しかしながら、ベッセル関数信号形状の使用は、電池104に送達される電力も低減させる場合がある。継続した正弦波立ち上がりエッジ電圧信号616の使用を通じて、立ち上がりエッジの電流部分614の頂点620の正確な決定を、I
1のより正確な測定値について得ることができる。さらに、制御回路110は、電池104に対し不連続充電期間の各々未満で生じるベッセル関数として、不連続充電期間616の電圧部分を制御することができる。例えば、ベッセル関数不連続充電期間610は、全ての不連続充電期間において送達される電力を低減させることなくI
1の正確な読み値を得るために、100または1000個ごとの不連続充電期間につき1回生じることができる。
【0047】
さらに別の事例において、
図5に戻ると、回路コントローラ110は、不連続充電期間501の部分またはセクションごとに累積インピーダンスを計算することができる。例えば、回路コントローラ110は、不連続充電期間の立ち上がりエッジ部分に沿ったいくつかのポイントについて電圧測定値および電流測定値を取得することができる。対応する電圧測定値および電流測定値は同時に発生することができる。このため、不連続充電期間501の電流成分503は電圧成分502に遅れをとっているが、回路コントローラ110は、同時の電圧および電流測定値を得て、不連続充電期間501の立ち上がりエッジ曲線に沿ったいくつかのポイントにおける実数インピーダンス値またはインピーダンス大きさ値を推定することができる。立ち上がりエッジに沿った様々なポイントにおけるインピーダンス測定値を合算して、不連続充電期間501の立ち上がりエッジ全体の間の電池104の実数インピーダンスを得ることができる。類似の方式で、2つの成分502、503の水平方向に対応する測定値は、不連続充電期間501の立ち上がりエッジに沿って様々なポイントにおいて得ることができる。例えば、特定の電圧測定値と対応する電流測定値の発生間の時間を取得することができ、電池104のための虚数インピーダンス値またはインピーダンス位相シフト値を、測定された値および時間遅延から概算することができる。一連のそのような虚数インピーダンス測定値を合算して、立ち上がりエッジ部分中の電池104のための累積虚数インピーダンスを得ることができる。類似の手法を、不連続充電期間501の本体部分について行うことができる。上記で説明したように、不連続充電期間501の部分についての電池104のインピーダンスの合算を利用して、未来の波形の形状を調整することができる。
【0048】
別の例において、回路コントローラ110は、不連続充電期間501の立ち上がりエッジの他の特徴を分析し、これに応じて未来の不連続充電期間を調整することができる。特に、回路コントローラ110は、電圧成分502および/または電流成分503の様々なポイントを測定し、測定値を、立ち上がりエッジの選択された高調波に対応する例示的な正弦波形状と比較することができる。回路コントローラ110によって制御される際、不連続充電期間501の立ち上がりエッジ部分は、真の正弦波形状からの異常を含む場合がある。これらの異常は、生成された不連続充電期間501と例示的な正弦波との比較によって検出することができ、未来の充電期間に対する調整は、例示的な正弦波信号をより良好に近似するために回路コントローラ110によって行うことができる。そのような調整は、例示的な正弦波曲線をより良好に近似するために、不連続充電期間501の電圧成分502および/または電流成分503に対し行うことができる。
【0049】
上述したように、充電信号の電圧および電流部分の数百または数千の測定値を取得し、デジタル処理システムを介して分析して、電池104の不連続充電期間を成形することができる。1つの特定の例において、不連続充電期間のポイントは、時間と周波数との間のドメイン変換を介して分析することができる。この例において、不連続充電期間のエッジおよび本体は、測定されたインピーダンス値に基づいて上記で説明したように定義されない場合がある。代わりに、不連続充電期間は、より任意の形状をとるように制御されてもよい。さらに、不連続充電期間の間の静止期間は、同じ分析を受けることができ、エッジ、本体および静止期間の間の区別がさらに損なわれる場合がある。
【0050】
この例において、電圧および電流の不連続充電期間(単一の期間または複数の平均化された期間について)を時間領域において測定することができる。高速フーリエ変換(FFT)または多くの他のタイプの変換を用いて、測定された時間領域データを周波数領域における対応するデータに変換することができる。いくつかの事例において、用いられる変換のタイプの選択は、データのフォーマット、データにおける雑音および信号対雑音比のタイプ、または回路コントローラ110のプロセッサタイプに依拠することができる。これらの要素のうちの1つまたは複数が、いくつかの変換がFFTよりも高速にまたは良好に処理することを可能にすることができる。不連続充電期間データを周波数領域に変換することによって、不連続充電期間内の個々の高調波の大きさを露呈させ、操作して、複数高調波の不連続充電期間を生成することができる。特に、不連続充電期間の変換から得られた各高調波を、電圧および電流を比較して独立して分析し、電池104におけるインピーダンス、電力、ピーク電圧および電流に対する各々の独立した寄与を決定することができる。例えば、電池104における比較的高いインピーダンス品質を有する高調波は、大きさを低減することができ、他の高調波を増大させて、不連続充電期間201の高調波のより理想的な収集を生じさせることができる。次に、変更された変換を、時間領域に逆変換し、改善された不連続充電期間として印加することができる、より低い全体インピーダンスを有する新たな不連続充電期間をもたらすことができる。さらに、いくつかの事例では、変換された不連続充電期間においてゲーティングを実行し、不連続充電期間の個々のセクションを独立して分析することができ、各逆変換されたセクションは、完全な不連続充電期間の改善された形態を生成するように再結合される。
【0051】
より詳細には、変換された不連続充電期間をゲーティングするプロセスは、独立した分析のために時間領域データの一部分のみを周波数領域に変換することを含むことができる。例えば、不連続充電期間は、5分の1に分割することができ、各5分の1は、全体波解析と共にまたはその代わりに個々に評価される。これは、波のセクションが、本体対静止期間等の大きさまたは高調波コンテンツにおいて重度にマルチモードであるときに特に有用である。ゲーティングプロセスは、インピーダンスの虚数および実数成分のより正確な推定を提供することができ、電池104のインピーダンスに起因して不連続充電期間において生じ得る振動の分析/低減において有用であり得る。ゲーティングは、不連続充電期間の合計期間を調整するメカニズムの基礎も提供することができる。例えば、不連続充電期間の単一のゲーティングされたセクションは、静止期間の一部分を含むことができ、セクションの高調波に対する調整は、有効期間を低減または拡張することができる。
【0052】
上記で論考した計算に加えて、充電波形から取得した測定値に基づいて他の計算も決定することができる。例えば、波形の複数の不連続充電期間について、電圧波形202および/または電流波形207の双方の複数の測定値を取得および合算して、複数の不連続充電期間の平均インピーダンス値を生成することができる。1つの例において、経過時間Δtを有する複数の不連続充電期間の立ち上がりエッジ部分の合計インピーダンスは、以下によって決定することができる。
【0053】
【数1】
同様に、経過時間Δtを有する複数の不連続充電期間の本体部分の合計インピーダンスは、以下によって決定することができる。
【数2】
【0054】
他のインピーダンス計算も、複数の不連続充電期間または充電波形の他の部分から得られた測定から決定することができる。例えば、1つまたは複数の不連続充電期間の本体部分203の最大インピーダンスは、本体部分の開始から本体部分の終了の間で測定された値(i)について、以下によって決定することができる。
【0055】
【数3】
1つまたは複数の不連続充電期間の本体部分203のインピーダンスのデルタ平均は、以下によって決定することができる。
【数4】
さらに、1つまたは複数の不連続充電期間の本体部分203のインピーダンスのデルタ最小値は、本体部分の開始から本体部分の終了の間で測定された値(i)について、以下によって決定することができる。
【数5】
【0056】
いくつかの事例において、不連続充電期間に存在し得る雑音に応じて、インピーダンス測定値は、1つまたは複数のセントロイド計算によって概算することができる。より詳細には、
図2の不連続充電期間201等の不連続充電期間の異なる部分は、対応する部分における全てのポイントのセントロイドまたは算術平均位置を含むことができる。これは、上記で論考したインピーダンス計算における雑音の低減を支援することができる。1つの例において、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分のセントロイド、および不連続充電期間の本体部分のセントロイドを計算することができる。これらのセントロイドポイントは、不連続充電期間のこれらの部分のインピーダンス測定値として回路コントローラ110によって利用することができ、電池104に印加される不連続充電期間の効率性を改善するように最小限にすることができる。例えば、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分の電圧成分202のセントロイドは、以下から計算することができる。
【0057】
【数6】
ここで、t
1はポイント222に対応し、t
0はポイント218に対応し、最大および最小値は立ち上がりエッジ部分内の最大および最小測定値に対応する。立ち上がりエッジの電流成分207のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数7】
【0058】
類似の方式で、不連続充電期間201の本体部分203の電圧成分のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数8】
ここで、t
0はポイント222に対応し、t
1はポイント212に対応し、最大および最小値は立ち上がりエッジ部分内の最大および最小測定値に対応する。本体部分の電流成分204のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数9】
【0059】
計算されたセントロイドポイントから、立ち上がりエッジ部分の実数および虚数インピーダンス値を以下から計算することができ、
【数10】
立ち上がりエッジのセントロイドインピーダンスモジュラスは以下から計算することができる。
【数11】
【0060】
本体部分の実数および虚数インピーダンス値を以下から計算することができ、
【数12】
本体部分のセントロイドインピーダンスモジュラスは以下から計算することができる。
【数13】
【0061】
不連続充電期間の立ち上がりエッジの実数および虚数インピーダンス値の計算として上記で論じられたが、立ち上がりエッジのセントロイド計算は、一般的に、回路コントローラ110によって立ち上がりエッジの高調波を決定するのに利用されない場合があることを理解すべきである。なぜなら、そのようなセントロイド計算は、対応する部分における全てのポイントの算術的平均位置であるためである。むしろ、いくつかの実施態様では、立ち上がりエッジについて上記で論考したセントロイド方程式は、回路コントローラ110によって、特に信号内の雑音を含む場合がある不連続充電期間についての、立ち上がりエッジにおけるインピーダンスの推定値を検証するために利用することができる。セントロイド計算を利用して不連続充電期間の立ち上がりエッジ部分の他の推定値を検証することにより、更なる不連続充電期間を成形するのに用いられるそのような推定値の精度を改善することができる。さらに他の事例では、本明細書に記載の方法のうちの1つまたは複数を介して得られた推定インピーダンス、およびセントロイド計算に基づく推定インピーダンスに、特定の重み付けされた値を与えることができる。インピーダンス推定値を得るための様々な方法に割り当てられた重み付けされた値は、いくつかの事例では、不連続充電期間における雑音の量に基づくことができる。
【0062】
上記のセントロイド方程式は、連続積分関数を利用して波形部分のセントロイドを決定することができる。別の例において、充電波形201の部分の形状を近似する多角形のセントロイドを計算することができる。好ましい軸に対する多角形または「形状」の向きに依拠してセントロイドを計算するための他の方法も利用されてもよいことに留意されたい。むしろ、以下に提供される方程式は、実行することができるセントロイド計算の1つの集合の例にすぎない。例えば、不連続充電期間201の立ち上がりエッジ部分の電圧成分202のセントロイドを決定するための上記の方程式は、以下のように計算することができる。
【0063】
【数14】
ここで、
【数15】
である。同様に、不連続充電期間の立ち上がりエッジ部分の電圧成分202の時間のセントロイドを決定するための方程式は、以下のように計算することができる。
【数16】
【0064】
立ち上がりエッジの電流成分207のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数17】
ここで、
【数18】
である。同様に、不連続充電期間202の立ち上がりエッジ部分211の電流成分の時間のセントロイドを決定するための方程式は、以下のように計算することができる。
【数19】
【0065】
類似の方式で、不連続充電期間201の本体部分203の電圧成分のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数20】
ここで、
【数21】
である。
不連続充電期間の本体部分の電圧成分202の時間のセントロイドを決定するための方程式は、以下のように計算することができる。
【数22】
【0066】
不連続充電期間201の本体部分203の電流成分207のセントロイドは、以下から計算することができる。
【数23】
ここで、
【数24】
である。同様に、不連続充電期間202の立ち上がりエッジ部分211の電流成分の時間のセントロイドを決定するための方程式は、以下のように計算することができる。
【数25】
【0067】
上記のように、立ち上がりエッジ部分の実数および/または虚数インピーダンス値は、計算されたセントロイドポイントから、立ち上がりエッジ部分のレジスタンス計算について、
【数26】
等、および立ち上がりエッジの時間比エッジセントロイドについて
【数27】
等のように、計算することができる。
【0068】
同様に、本体部分の実数および/または虚数インピーダンス値は、計算されたセントロイドポイントから、本体部分のレジスタンス計算について、
【数28】
等、および立ち上がりエッジの時間比エッジセントロイドについて、
【数29】
のように計算することができる。
【0069】
図7は、上記で開示したネットワークの実施形態を実施する際に用いることができるコンピューティングデバイスまたはコンピュータシステム700の例を示すブロック図である。特に、
図7のコンピューティングデバイスは、上記で説明した動作のうちの1つまたは複数を実行するコントローラの1つの実施形態である。コンピュータシステム(システム)は、1つまたは複数のプロセッサ702~706を含む。プロセッサ702~706は、キャッシュ(図示せず)の1つまたは複数の内部レベルと、プロセッサバス712との相互作用を指示するための、バスコントローラまたはバスインタフェースユニットとを含むことができる。ホストバスまたはフロントサイドバスとしても既知である、プロセッサバス712を用いて、プロセッサ702~706をシステムインタフェース714と結合することができる。システムインタフェース714は、システム700の他のコンポーネントと、プロセッサバス712とをインタフェースさせるように、プロセッサバス712に接続することができる。例えば、システムインタフェース714は、メインメモリ716と、プロセッサバス712とをインタフェースさせるための、メモリコントローラ718を含んでもよい。メインメモリ716は、典型的には、1つまたは複数のメモリカードと、制御回路(図示せず)とを含む。システムインタフェース714はまた、1つまたは複数のI/OブリッジまたはI/Oデバイスと、プロセッサバス712とをインタフェースさせるための、入力/出力(I/O)インタフェース720を含むことができる。1つまたは複数のI/Oコントローラおよび/またはI/Oデバイスは、図示されるように、I/Oコントローラ728およびI/Oデバイス730等のI/Oバス726と接続することができる。
【0070】
I/Oデバイス730はまた、プロセッサ702~706に情報および/またはコマンド選択を通信するための、英数字キーおよび他のキーを含む、英数字入力デバイス等の入力デバイス(図示せず)を含んでもよい。別のタイプのユーザ入力デバイスは、プロセッサ702~706に方向情報およびコマンド選択を通信するため、および表示デバイス上でカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御を含む。
【0071】
システム700は、メインメモリ716として参照される、動的記憶デバイス、またはランダムアクセスメモリ(RAM)、またはプロセッサ702~706によって実行されるべき情報および命令を記憶するための、プロセッサバス712に結合される、他のコンピュータ可読デバイスを含むことができる。メインメモリ716は、プロセッサ702~706による命令の実行の間に一時変数または他の中間情報を記憶するために用いることもできる。システム700は、プロセッサ702~706に関する静的情報および命令を記憶するための、プロセッサバス712に結合される、読出し専用メモリ(ROM)および/または他の静的記憶デバイスを含むことができる。
図7に記載のシステムは、本開示の側面に従って採用し得る、または構成され得る、コンピュータシステムの1つの可能な例にすぎない。
【0072】
一実施形態によると、上記の技法は、メインメモリ716内に含有される、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスを実行するプロセッサ704に応答して、コンピュータシステム700によって実施することができる。これらの命令は、記憶デバイス等の別の機械可読媒体からメインメモリ716の中に読み出すことができる。メインメモリ716内に含有される命令のシーケンスの実行により、プロセッサ702~706に、本明細書に記載のプロセスステップを実施させることができる。代替的な実施形態では、回路が、ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて用いられてもよい。したがって、本開示の実施形態は、ハードウェアと、ソフトウェアコンポーネントとの両方を含むことができる。
【0073】
機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって読出し可能な形態(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)で情報を記憶または伝送するための、任意の機構を含む。そのような媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体および揮発性媒体の形態をとることができる。不揮発性媒体は、光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ816等の動的メモリを含む。機械可読媒体の一般的な形態は、限定ではないが、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスケット)、光学記憶媒体(例えば、CD-ROM)、磁気光記憶媒体、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、または電子命令を記憶するのに適した他のタイプの媒体を含むことができる。
【0074】
本開示の実施形態は、本明細書に記載される様々なステップを含む。ステップは、ハードウェアコンポーネントによって実施されてもよく、または機械実行可能命令に具現化されてもよく、これを用いて、命令をプログラムされた汎用プロセッサまたは専用プロセッサにステップを実行させることができる。代替的に、ステップは、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの組合せによって実行されてもよい。
【0075】
本発明の範囲から逸脱することなく、論じた例示的な実施形態に対し、様々な変更および追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態では特定の特徴を参照しているが、本発明の範囲は、異なる特徴の組合せを有する実施形態、および上述の特徴の必ずしも全てを含まない実施形態も含む。したがって、本発明の範囲には、そのような全ての代替、変更、および変形をその全ての均等物と共に含むことが意図される。
【0076】
特定の実施態様が論じられているが、これは例示の目的のみで行われることを理解すべきである。当業者であれば、本開示の趣旨および範囲から離れることなく、他の構成要素および構造を用いることができることを認識するであろう。このため、以下の説明および図面は例示であり、限定と解釈されない。本開示の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細を記載する。しかしながら、特定の事例において、既知のまたは従来の詳細は、説明が曖昧になることを避けるために記載されていない。本開示の1つの実施形態または一実施形態への言及は、同じ実施形態または任意の実施形態への言及とすることができ、そのような言及は、実施形態のうちの少なくとも1つを意味する。
【0077】
「1つの実施形態」または「一実施形態」に対する参照は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所における「1つの実施形態において」という表現の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に対して参照を行っているわけではなく、別個の実施形態または代替的な実施形態が他の実施形態と互いに排他的であるわけでもない。さらに、いくつかの実施形態によって提示され、他の実施形態によっては提示されない場合がある様々な特徴が記載される。
【0078】
本明細書において使用される用語は、一般には、当該技術分野における、本開示の状況内の、および各用語が使用される特定の状況における通常の意味を有する。代替的な文言および類義語が、本明細書において論述される用語のうちの任意の1つまたは複数に対して使用される場合があり、或る用語が本明細書において説明または論述されるか否かに対して、特別な強調が置かれるべきではない。いくつかの場合、或る特定の用語の類義語が提供される。1つまたは複数の類義語の説明は、他の類義語の使用を除外するものではない。本明細書において論述される任意の用語の例を含む本明細書におけるいずれの箇所での例の使用も、例示にすぎず、本開示のまたは任意の例示の用語の範囲および意味をさらに限定するものとは意図されていない。同様に、本開示は、本明細書において与えられる様々な実施形態に限定されない。
【0079】
本開示の範囲を限定することを意図することなく、本開示の実施形態による機器、装置、方法およびそれらの関係した結果の例が以下で与えられる。読者の利便性のために例において見出しまたは下位見出しが使用される場合があるが、これは、決して本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。別に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語は、本開示が関連する当該技術分野における当業者によって一般的に理解されるような意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を含む本明細書が優先する。
【0080】
本開示の更なる特徴および利点は以下の説明において記述され、その説明から或る程度明らかになるか、または本明細書において開示される原理を実践することによって習得することができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲によって特に指摘される機器および組合せによって理解および習得することができる。本開示のこれらの特徴および他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または本明細書において記述される原理を実践することによって習得することができる。
【国際調査報告】